説明

基板載置装置

【課題】たわみを抑制しつつ基板を持ち上げること。
【解決手段】基板90を載置可能なステージ20と、旋回部32を受渡位置と処理位置との間で移動可能なステージ動作機構部30と、ステージ20が受渡位置に移動された状態で旋回部32の移動軌跡上に配設される外側補助リフトピンを含み、ステージ20上に載置される基板90の周縁部に沿った位置に、ステージ20上面に対して出退可能に配設された複数の外側リフトピン42と、受渡位置に配設され、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、第1の外側リフトピンを出退操作可能な出退操作機構部60と、ステージ動作機構部30に対して、第2の外側リフトピンに対向する位置に出退方向に移動可能に配設され、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、出退操作機構部60の出退操作力に応じて出退方向に移動される突き上げ補助部材72と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機EL材料等を基板に塗布する装置において基板を搬出入可能に支持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL材料等をガラス基板、プラスチック基板等の基板の主面に対して塗布する処理は、基板をステージ上に載置した状態で行われることがある。一般的に、基板に対する処理を施す工程と基板をステージ上に搬入/搬出する工程とは異なる位置(処理位置、搬入/搬出位置)で行われることが多く、この場合、ステージが搬入/搬出位置と処理位置との間を移動可能に構成される。
【0003】
そして、ステージに対する基板の載置又は取除き作業をロボット等の移載機を用いて行う場合、基板の下方空間に基板保持用のハンド等が進入可能なように、基板がステージ上から持ち上げられているとよい。このような基板載置装置として、特許文献1に開示のものがある。特許文献1に係る基板載置装置は、基板を載置して搬入/搬出位置と処理位置との間を移動するステージの上面に対して、昇降可能にピン機構が設けられ、このピン機構を上下駆動部による突き上げ板の上下駆動により昇降させ、ステージから基板を持ち上げるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−179571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ステージが搬入/搬出位置と処理位置との間で移動可能であるのに対して、突き上げ板は搬入/搬出位置に配設されている。そして、突き上げ板は、ステージを支持する旋回部との接触を避けながら、ピン機構の下部空間に配置可能なように、搬入/搬出位置から処理位置に向けて開口するコの字型に形成されている。つまり、ステージのうち、突き上げ板のコの字型の開口に相当する部分では、ピン機構を設けたとしても昇降させることができない。このため、大盤な基板を扱う場合、特許文献1に係る基板載置装置では、基板を持ち上げる際に、ピン機構が当接しない上記部分で基板にたわみが発生する恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、たわみを抑制しつつ基板を持ち上げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る基板載置装置は、基板を載置可能なステージと、前記ステージを支持するステージ支持部を有し、前記ステージ及び前記ステージ支持部を受渡位置と処理位置との間で移動可能なステージ動作機構部と、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で前記ステージ支持部の移動軌跡上に配設される位置に配設されている補助リフトピンを含み、前記ステージ上に載置される前記基板の周縁部に沿った位置に、前記ステージ上面に対して出退可能に配設された複数のリフトピンと、前記受渡位置に配設され、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記複数のリフトピンのうち前記補助リフトピンを含まない第1のリフトピンを出退操作可能な出退操作機構部と、前記ステージ動作機構部に対して、前記複数のリフトピンのうち前記第1のリフトピンを除く第2のリフトピンに対向する位置に、出退方向に移動可能に配設され、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記出退操作機構部の出退操作力に応じて前記出退方向に移動される突き上げ補助部材と、を備えている。
【0008】
第2の態様に係る基板載置装置は、第1の態様に係る基板載置装置であって、前記突き上げ補助部材は、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記複数のリフトピンの出退方向において前記出退操作機構部に対して一部重複し、前記出退操作機構部との重複部分に押し上げられた状態で前記出退方向に移動される。
【0009】
第3の態様に係る基板載置装置は、第1又は第2の態様に係る基板載置装置であって、前記出退操作機構部は、前記受渡位置から前記処理位置に向けて開口し、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で前記ステージ支持部の三方を囲む形状に形成されている突き上げ部材を有し、前記突き上げ補助部材は、前記突き上げ部材の開口幅より長尺に形成されると共に、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記突き上げ部材の開口に対応する位置で、長手方向両端部が前記出退方向において前記突き上げ部材と重複するように配設されている。
【0010】
第4の態様に係る基板載置装置は、第1〜第3の態様のいずれか一態様に係る基板載置装置であって、前記補助リフトピンより内周側の位置に、前記ステージが受渡位置に移動された状態で前記ステージ支持部の移動軌跡上に配設される内側補助リフトピンをさらに備え、前記突き上げ補助部材は、前記第2のリフトピン及び前記内側補助リフトピンに対向可能に形成されている。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係る基板載置装置によると、ステージが受渡位置に移動された状態でステージ支持部の移動軌跡上に配設される位置に補助リフトピンが配設されている。そして、ステージ動作機構部に対して配設され、出退操作機構部の出退操作力に応じて移動される突き上げ補助部材により、補助リフトピンを出退操作可能に構成されている。これにより、ステージ上に載置された基板のうち、ステージが受渡位置に移動された状態でステージ動作機構部の移動軌跡上に配設される一辺部を突き上げることができ、大盤な基板を扱う場合であっても、たわみを抑制しつつ持ち上げることができる。また、移動するステージに対して突き上げ補助部材を出退操作するための駆動源を別途設けることを省略でき、ステージの負荷を軽減して耐久性を向上させると共に、装置の簡略化を図ることができる。
【0012】
第2の態様に係る基板載置装置によると、突き上げ補助部材が、出退操作機構部との重複部分に載置された状態で出退方向に移動されることにより、複数のリフトピンのうち第2のリフトピンが出退操作される。このため、移動するステージに対して突き上げ補助部材を出退操作するための伝達機構を別途設けることを省略でき、ステージの負荷を軽減して耐久性を向上させると共に、装置の簡略化を図ることができる。
【0013】
第3の態様に係る基板載置装置によると、突き上げ補助部材は、出退操作機構部が出退操作されると、突き上げ部材と重複した両端部が突き上げ部材に支持された状態で出退方向に移動される。このため、突き上げ補助部材は、安定して出退方向に移動され、より正確にリフトピンを出退操作することができる。
【0014】
第4の態様に係る基板載置装置によると、ステージが受渡位置に移動された状態でステージ支持部の移動軌跡上に配設される位置のうち、ステージ上に載置される基板の周縁部に沿った位置だけでなく、その内周側の位置にも内側補助リフトピンが配設されているため、基板の中央部付近のたわみを抑制して基板を持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】処理位置における有機EL表示装置の製造装置の概略平面図である。
【図2】処理位置における有機EL表示装置の製造装置の概略正面図である。
【図3】ステージが処理位置に移動された基板載置装置の概略側面図である。
【図4】ステージが受渡位置に移動された基板載置装置の概略側面図である。
【図5】リフトピンの構造を示す図である。
【図6】リフトピンと突き上げ部材及び突き上げ補助部材との関係を示す平面図である。
【図7】出退操作機構部と突き上げ補助部材との関係を示す図である。
【図8】出退操作機構部が突き上げ補助部材を支持した状態を示す図である。
【図9】リフトピンが突出姿勢に姿勢変更された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る基板載置装置について説明する。一般的に、本基板載置装置は、ガラス基板、プラスチック基板等の基板に対して諸処理を施す装置に組込まれる。ここでは、基板載置装置が有機EL表示装置の製造装置に組込まれる例を用いて説明する。
【0017】
<1.有機EL表示装置の製造装置の概略>
まず、説明の便宜上、有機EL表示装置の製造装置100について、その一例を挙げて説明する(図1、図2参照)。有機EL表示装置の製造装置100は、有機EL材料を、ガラス又は透明のプラスチック等により形成されている(ここでは、略矩形に形成されている)基板90に対して、所定のパターン形状で塗布して、有機EL表示装置を製造するための装置である。
【0018】
有機EL表示装置の製造装置100は、基板載置装置10及び有機EL塗布機構110を備えている。有機EL塗付機構110は、ノズルユニット112、ノズル移動機構部114及び受液部118を有している。ノズルユニット112は、赤、緑及び青の有機EL材料をそれぞれ吐出するノズル112a〜112cを有している。各ノズル112a〜112cに対しては、それぞれ図示省略の供給部から各色の有機EL材料が供給される。また、ノズル移動機構部114は、ノズルユニット112を、ガイド部材115に沿って一方向に移動可能に構成されている。また、受液部118は、基板90の端部或いはその側方位置で、ノズルユニット112から基板90下方に落下する有機EL材料を受けるように、ノズルユニット112の移動経路に対応して、ステージ20両側方の位置に配設されている。
【0019】
そして、ノズルユニット112が各ノズル112a〜112cから有機EL材料を吐出した状態で、ノズル移動機構部114によりガイド部材115に沿って移動されると、基板90の一主面に対して、有機EL材料がノズルユニット112の移動方向に沿ってストライプ状に塗布される。また、順次、基板90をノズルユニット112の移動方向と略直交する方向に沿って移動させ、上記と同様に有機EL材料の塗布作業を行うことにより、基板90の一主面全体(或いは所定の箇所)に対して有機EL材料を塗布することができる。
【0020】
もっとも、本実施形態に係る基板載置装置10は、上記有機EL表示装置の製造装置100に組込まれる場合に限られるものではなく、上記とは異なる構成の有機EL表示装置の製造装置、また、基板に対する諸処理を施すための各種装置に適用することができる。
【0021】
<2.基板載置装置の構成>
次に、本実施形態に係る基板載置装置10の構成について説明する(図3、図4参照)。
【0022】
基板載置装置10は、ステージ20と、ステージ動作機構部30と、リフトピン40と、突き上げ部材62を有する出退操作機構部60と、突き上げ補助部材72とを備えている。
【0023】
ステージ20は、基板90を載置可能に形成されている。より具体的には、ステージ20は、略矩形の板状で、その一主面20aに基板90を載置可能に形成されている。また、ステージ20の内部には、有機EL材料が塗付された基板90に対して予備加熱処理等を施すことが可能なように、図示省略の加熱機構が設けられていてもよい。さらに、ステージ20には、後述するリフトピン40のピン部52を挿通可能な孔部22が形成されている。
【0024】
ステージ動作機構部30は、ステージ20を支持するステージ支持部を有し、ステージ20及びステージ支持部を受渡位置と処理位置との間で移動可能に構成されている。ここでは、ステージ支持部は、旋回部32により構成されている。上記受渡位置とは、ロボット等の移載機により、ステージ20上に対して、基板90を載置、取除きするための位置である。また、処理位置とは、ここでは、ノズルユニット112により吐出される有機EL材料を、ステージ20に載置された基板90に対して塗付する位置である。この処理位置は、ステージ20の一主面20aに対して略平行な方向のうちノズル移動機構部114によるノズルユニット112の移動方向に略直交する方向(図1の上下方向)において、基板90の一端部に塗布する位置から他端部に塗布する位置までの範囲の位置である。
【0025】
ここでは、ステージ動作機構部30は、自走式の移動機構を採用しており、旋回部32が取り付けられた移動部36が、ガイドレール38に沿って移動するように構成されている。つまり、ステージ20、旋回部32及び移動部36が一体となって受渡位置と処理位置との間で移動する構成である。
【0026】
ガイドレール38は、受渡位置と処理位置との間を結ぶ(ここでは、略直線上に結ぶ)ように敷設されている。より具体的には、ガイドレール38の敷設方向は、有機EL材塗布機構110のノズルユニット112の移動方向(ガイド部材115の敷設方向)と略直交する方向である。
【0027】
移動部36は、ガイドレール38に沿ってその上を滑動可能に形成されたガイド受け部37と、図示省略の駆動機構とを有している。そして、移動部36は、この駆動機構の駆動により、ガイド受け部37がガイドレール38上を滑動して、旋回部32及びステージ20を受渡位置と処理位置との間で移動させる。この移動部36の駆動機構としては、例えば、駆動用モータと車輪を設け、駆動用モータにより車輪を駆動する構成を採用することができる。
【0028】
もっとも、ステージ動作機構部30の移動部36は、上記自走式の構成に限られず、リニアモータ、油圧/エアシリンダ等を採用し、ステージ支持部としての旋回部32及びステージ20を受渡位置と処理位置との間で移動させる構成であってもよい。
【0029】
また、旋回部32は、ステージ20を、その一主面20aに略直交する中心軸周りに旋回可能に支持した状態で、移動部36に対して取り付けられている(図1〜4参照)。より具体的には、旋回部32は、ステージ20を、その一主面20aが略水平となる姿勢で支持するように構成されている。旋回部32としては、例えば、2部材をモータにより相対回転駆動可能に連結した構成を採用することができる。
【0030】
この旋回部32には、平面視において、ステージ20より小さいものが採用されている(図6参照)。すなわち、平面視において、ステージ20のうち、旋回部32に取り付けられている部分の周りの部分に、後述する複数のリフトピン40を配設するためのスペースが確保されている。
【0031】
そして、旋回部32は、ステージ20の一主面20aに載置された基板90が、載置、取除きされる姿勢と有機EL材料が塗布される姿勢とが異なる場合等に、ステージ20を回転駆動して(例えば、90度回転させる)、基板90の姿勢を変更する。
【0032】
また、上記ステージ20には、その一主面20aに対して突出、退避(以下、出退)可能にリフトピン40が複数配設されている。
【0033】
より具体的には、リフトピン40は、ステージ20の一主面20aとは反対側の他主面に対して取り付けられ、ステージ20の他主面側から一主面20a側に貫通するように形成された孔部22を通じて、一主面20aに対して出退するように構成されている。リフトピン40は、ピン部52と、支持部54と、ブッシュ55と、付勢部材56と、基端部材58とを有している(図5参照)。
【0034】
支持部54は、中心に貫通孔54aが形成され、この貫通孔54aと上記ステージ20の孔部22との軸方向が略一致する姿勢で、ステージ20の一主面20aとは反対側の他主面に対してネジ止め等により固定されている。また、支持部54の貫通孔54a内には、ブッシュ55が配設されている。そして、このブッシュ55内には、長尺棒状に形成されたピン部52が、ステージ20の一主面20aに対して略直交する方向に沿って出退移動可能に配設されている。このピン部52の移動方向を出退方向とする。ここでは、ピン部52の先端部は、ステージ20の孔部22内に配設されている。ピン部52の基端部には、基端部材58が固定されている。この基端部材58と支持部54との間には付勢部材56が圧縮状態で配設されている。つまり、ピン部52は、付勢部材56により出退方向退避側に付勢されている。基端部材58は、後述する出退操作機構部60の突き上げ部材62の一主面に略直交方向に当接可能に構成されている。ここでは、基端部材58は、リフトピン40の基端側に向けて突出するように配設された4本のネジを有しており、その端部が同時に突き上げ部材62及び突き上げ補助部材72の一主面に当接するように突出量を調節可能に構成されている。さらに、基端部材58には、後述する被検知部59が配設されている。
【0035】
そして、リフトピン40は、基端部材58に対して、出退方向突出側に向けて外力が加えられない状態では、付勢部材56の付勢力によりピン部52の先端部がステージ20の孔部22内に配設された退避姿勢に維持される。また、リフトピン40は、基端部材58に対して、出退方向突出側に向けて付勢部材56の付勢力より大きい外力が加えられると、ピン部52の先端部がステージ20の一主面20aから突出した突出姿勢に姿勢変更される。このリフトピン40の出退操作は、後述する出退操作機構部60及び突き上げ補助部材72により行われる。
【0036】
また、複数のリフトピン40は、外側リフトピン42と、内側リフトピン44とに区別される。
【0037】
外側リフトピン42は、ステージ20が受渡位置に移動された状態で旋回部32の移動軌跡32a上に配設される位置に配設されている外側補助リフトピン42aを含み、ステージ20上に載置される基板90の周縁部に沿った位置に複数配設されている(図6参照)。
【0038】
より具体的には、外側リフトピン42は、ステージ20の各辺に平行な辺を有しステージ20より小さい(外側)仮想四角形の頂点又は辺上に、それぞれの中心軸が位置するように配設されている。ここでは、外側リフトピン42は、前記(外側)仮想四角形の各頂点及び各辺の略中心にそれぞれの中心軸が位置するように8個配設されている。また、複数の外側リフトピン42のうち、(外側)仮想四角形の処理位置側の一辺の略中心に配設されている一個のリフトピン40が外側補助リフトピン42aである。
【0039】
もっとも、複数の外側リフトピン42の配設態様は、上記態様に限られない。例えば、外側リフトピン42は、上記の配設態様から、ステージ20のうち受渡位置と処理位置とを結ぶ方向に沿った辺部の中心に配設されたリフトピン40を省略した態様であってもよい。また、各辺部の中途部にリフトピン40を2個ずつ配設し、2個の外側補助リフトピン42aを含む12個の外側リフトピン42を配設してもよい。
【0040】
内側リフトピン44は、外側リフトピン42より内周側の位置に複数配設されている(図6参照)。また、内側リフトピン44は、外側補助リフトピン42aより内周側の位置に、ステージ20が受渡位置に移動された状態で旋回部32の移動軌跡上に配設されている内側補助リフトピン44aを含んでいる。ここで、外側リフトピン42より内周側(外側補助リフトピン42aより内周側)の位置とは、外側リフトピン42(外側補助リフトピン42a)に対して、ステージ20の中心からの距離が近い位置である。
【0041】
より具体的には、内側リフトピン44は、複数の外側リフトピン42の中心軸が位置する(外側)仮想四角形より小さい(内側)仮想四角形の頂点又は辺上に、それぞれの中心軸が位置するように配設されている。ここでは、内側リフトピン44は、(内側)仮想四角形の各頂点にそれぞれの中心軸が位置するように4個配設されている。また、複数の内側リフトピン44のうち、(内側)仮想四角形の処理位置側の2つの頂点位置に配設されている2個のリフトピン40が内側補助リフトピン44aである。
【0042】
もっとも、複数の内側リフトピン44の配設態様は、上記態様に限られない。例えば、内側リフトピン44は、上記受渡位置と処理位置とを結ぶ方向に沿って、旋回部32を挟んだ位置に一つずつ配設されてもよいし、上記(内側)仮想四角形の各頂点に加え、各辺の略中心に配設されていてもよい。
【0043】
上記複数のリフトピン40は、ステージ20の各辺に平行でかつステージ20の中心を通る2本の仮想線それぞれについて、略線対称に配設されているとよい。
【0044】
出退操作機構部60は、受渡位置に配設され、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、複数の外側リフトピン42のうち外側補助リフトピン42aを含まない第1の外側リフトピンと複数の内側リフトピン44のうち内側補助リフトピン44aを含まない第1の内側リフトピンとを出退操作可能に構成されている(図3、図4参照)。第1の外側リフトピン40とは、外側補助リフトピン42aを含まない任意の個数の外側リフトピン42であればよいが、ここでは、複数の外側リフトピン42のうち、外側補助リフトピン42aを除く外側リフトピン42全てをいう。また、第1の内側リフトピンとは、ここでは、複数の内側リフトピン44のうち、内側補助リフトピン44aを除く内側リフトピン44全てをいう。以下、この例で説明する。この出退操作機構部60は、板状の突き上げ部材62と突き上げ駆動部64とを有している。
【0045】
突き上げ駆動部64は、受渡位置に配設され、突き上げ部材62を、リフトピン40の出退方向に沿って突き上げ位置と退避位置との間で移動駆動可能に構成されている。より具体的には、突き上げ駆動部64は、突き上げ部材62の一主面がリフトピン40の出退方向に略直交する姿勢で、移動駆動可能である。例えば、突き上げ駆動部64には、エアシリンダ、モータとカム等の伝達機構とを有する構成等を採用することができる。この突き上げ駆動部64は、ステージ動作機構部30の移動部36の移動経路と干渉しないように配設されている(図6参照)。ここでは、突き上げ駆動部64は、後述する突き上げ部材62のうち、受渡位置と処理位置とを結ぶ方向に略直交する方向において、旋回部32の両側に離間して4箇所に配設されている。
【0046】
突き上げ部材62は、受渡位置から処理位置に向けて開口し、ステージ20が受渡位置に移動された状態でステージ支持部としての旋回部32の三方を囲む形状に形成されている(図6参照)。より具体的には、この突き上げ部材62は、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、第1の外側リフトピン及び第1の内側リフトピンそれぞれに対して、その退避側位置(ここでは、略直下の位置)に対応して各部が配設されるように形成されている。つまり、突き上げ部材62の形状は、突き上げ駆動部64により、リフトピン40の出退方向突出側に向けて移動された際に、第1の外側リフトピン及び第1の内側リフトピンのそれぞれの基端部材58に対して当接可能な形状である。また、突き上げ部材62は、受渡位置に移動されたステージ20の旋回部32に干渉しない形状に形成されている。
【0047】
ここでは、突き上げ部材62は、受渡位置から処理位置に向けて開口する略U字形状に形成されている。そして、内側リフトピン44のうちの受渡位置側に配設された2つ(つまり第1の内側リフトピン)に対応する位置で、この略U字の底部の2箇所から処理位置側に向けて突出するように形成されている。そして、この2箇所の突出部分の間には、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、旋回部32の周縁部の一部が配設される(図6参照)。
【0048】
また、突き上げ部材62は、リフトピン40を検知可能なピン検知用センサ68を有している(図5参照)。ピン検知用センサ68は、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、リフトピン40の位置或いは状態を検知可能であり、この検知信号を後述する制御部80に出力可能に構成されている。このピン検知用センサ68としては、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、静電容量センサ等を採用することができる。
【0049】
このピン検知用センサ68は、突き上げ部材62の一主面に対して、受渡位置に移動されたステージ20に配設されている第1の外側リフトピン及び第1の内側リフトピンそれぞれに対向する位置に、複数配設されている。なお、リフトピン40の基端部材58には、ピン検知用センサ68に対する検知対象部分としての被検知部59が、その検知面をリフトピン40の出退方向退避側(下方)に向けて配設されている。つまり、複数のピン検知用センサ68は、第1の外側リフトピン及び第1の内側リフトピンそれぞれの被検知部59と対向する位置に配設されている。そして、ピン検知用センサ68は、突き上げ部材62が退避位置から突き上げ位置側に移動され、被検知部59との距離が予め設定された距離以下になると、当該距離を検知可能に構成されている。このピン検知用センサ68は、後述する突き上げ補助部材72にも、対応するリフトピン40の被検知部59と対向するように配設されているとよい。
【0050】
また、ここでは、突き上げ部材62は、リフトピン40の出退方向に移動操作される際に、後述する突き上げ補助部材72を押動可能な押し上げ部63を有している。押し上げ部63の構成については、突き上げ補助部材72の説明と共に後述する。
【0051】
突き上げ補助部材72は、第1の外側リフトピンを除く第2の外側リフトピン40及び第1の内側リフトピンを除く第2の内側リフトピンに対向可能な形状に形成されている。なお、ここでは、第2の外側リフトピンとは外側補助リフトピン42aをいい、第2の内側リフトピンとは内側補助リフトピン44aをいう。より具体的には、突き上げ補助部材72は、一主面が外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aに対向可能な板状に形成されている。
【0052】
もっとも、突き上げ補助部材72は、外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44a以外のリフトピン40に対しても対向可能な形状に形成されていてもよい。すなわち、突き上げ補助部材72は、少なくとも、外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aに当接して突き上げ可能であればよく、突き上げ部材62が突き上げしないリフトピン40に対して対向するように形成されているとよい。
【0053】
そして、この突き上げ補助部材72は、ステージ動作機構部30(ここでは、移動部36)に対して取付けられている。つまり、突き上げ補助部材72は、ステージ動作機構部30により、ステージ20と共に受渡位置と処理位置との間で移動可能に構成されている。また、突き上げ補助部材72は、複数のリフトピン40のうち第2の外側リフトピン40(外側補助リフトピン42a)及び第2の内側リフトピン(内側補助リフトピン44a)に対向する位置に、出退方向に移動可能に配設されている。より具体的には、突き上げ補助部材72は、その一主面がリフトピン40の出退方向と略直交する姿勢で移動可能に配設されている。ここでは、突き上げ補助部材72は、移動部36に対してリフトピン40の出退方向に沿って延びるように配設された略棒状の支持部76に対して、その長手方向に沿って突き上げ位置と退避位置との間で移動可能に支持されている(図7参照)。例えば、突き上げ補助部材72は、支持部76を内孔に挿通した状態で摺動可能な直線運動軸受を有しているとよい。
【0054】
また、突き上げ補助部材72は、ステージ20と共に受渡位置に移動された状態で、出退操作機構部60の出退操作力に応じて出退方向に移動されるように構成されている。より具体的には、突き上げ補助部材72は、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、複数のリフトピン40の出退方向において出退操作機構部60に対して平面視一部重複し、出退操作機構部60との重複部分に押し上げられた状態で出退方向に移動される。ここでは、突き上げ補助部材72は、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、前突き上げ部材62の開口に対応する位置で、長手方向両端部が出退方向において突き上げ部材62と重複するように配設されている(図6、図7参照)。
【0055】
すなわち、上記突き上げ部材62の押し上げ部63は、出退操作機構部60による出退操作の際に、突き上げ補助部材72を、部分的に(ここでは長手方向両端部を)載置状に支持して押し上げ可能に構成されている。より具体的には、押し上げ部63は、リフトピン40の出退方向に略直交し、その突出側に向かう押し上げ面を有している。ここでは、押し上げ部63は、突き上げ部材62の略U字形状の対向部分の開口側一部からその対向方向内側に向けて互いに突出するように一対配設されている。
【0056】
これに対して、突き上げ補助部材72は、突き上げ部材62の開口幅より長尺に形成されている。ここで、上記突き上げ部材62の開口幅とは、押し上げ部63同士の間隔をいう。つまり、突き上げ補助部材72は、その両端部が、一対の押し上げ部63の押し上げ面に対して平面視重複するように形成されていればよい。より具体的には、突き上げ補助部材72の長手方向寸法は、一対の押し上げ部63の間の寸法より大きく、かつ、突き上げ部材62の略U字形状の対向する2片間の寸法より小さく(ここでは僅かに小さく)設定されている。
【0057】
また、突き上げ補助部材72は、突き上げ部材62の板厚と略同厚に形成されている。つまり、突き上げ補助部材72が突き上げ部材62の押し上げ部63に支持された状態で、突き上げ補助部材72の一主面と突き上げ部材62の一主面とは、略面一になるように構成されている(図7の二点鎖線部分参照)。これにより、ステージ20が旋回部32により旋回された場合にも、複数のリフトピン40に対して同時に当接して突き上げることができる。
【0058】
そして、突き上げ補助部材72は、リフトピン40が突出する向きに外力が加えられない状態では、リフトピン40の基端部材58に当接しないと共に、突き上げ部材62の押し上げ部63に対して出退方向突出側に離間した位置に維持される。ここでは、この位置は、突き上げ補助部材72の出退方向退避側の一部が突き上げ部材62の開口間に配設される位置である。また、突き上げ補助部材72は、突き上げ駆動部64により突き上げ部材62が出退方向突出側に移動されると、突き上げ部材62の開口間に配設されると共に、その両端部が押し上げ部63の押し上げ面上に載置状に支持された状態で、突出移動される。
【0059】
このように、外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aを出退操作する機構をステージ動作機構部30の移動部36に配設しないため、その移動操作に掛かる負荷を小さくすることができる。
【0060】
上記突き上げ部材62と突き上げ補助部材72とは、ステージ20が受渡位置に移動された状態で、複数のリフトピン40に対応してステージ動作機構部30の旋回部32の四方を囲むように配設される。
【0061】
もっとも、突き上げ部材62の押し上げ部63は、開口の内側に向けて突出する構成に限られるものではない。例えば、押し上げ部63は、突き上げ部材62の略U字形状の対向部分の先端側部分で、その一主面を押し上げ面とする構成であってもよい。また、当該対向部分の先端側部分に、突き上げ補助部材72の両端部をそれぞれ配設可能な凹部が形成され、凹部の底面を押し上げ面とする構成であってもよい。
【0062】
また、突き上げ部材62と突き上げ補助部材72とは、上記形状の組合せに限られるものではない。例えば、突き上げ部材と突き上げ補助部材とは、略L字部材同士の組合せ、略C字部材とその開口に対応する弧状部材との組合せでもよい。また、突き上げ補助部材が略U字形状に形成され、突き上げ部材がその開口に対応した長尺板状に形成されていてもよい。ただし、これらの組合せは、少なくとも、突き上げ補助部材72が外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aに対向する位置に配設されていることを前提とするものである。
【0063】
また、突き上げ部材62と突き上げ補助部材72とは、ステージ20が旋回部32により姿勢変更された(例えば90度回転駆動された)状態でも、複数のリフトピン40に対向し、突き上げ可能であるとよい。
【0064】
上記ステージ動作機構部30及び出退操作機構部60は、図示省略の制御部80の制御指令に従って動作するように構成されている(図3参照)。制御部80は、図示省略のCPU、RAM、ROM、入力部、入出力回路等を有する一般的なコンピュータである。
【0065】
制御部80は、ステージ動作機構部30に対して、ステージ20を受渡位置と処理位置との間で移動させる移動信号を出力可能に構成されている。また、制御部80は、ステージ動作機構部30に対して、旋回部32によりステージ20を回転駆動し、姿勢変更させる旋回信号を出力可能に構成されている。例えば、制御部80は、ステージ20に対して基板90が載置された後にステージ20を旋回、又は、受渡位置から処理位置に移動すると共に、ステージ20に載置された基板90に対する有機EL材料の塗布作業が終了した後に処理位置から受渡位置に移動するように制御するように構成されているとよい。
【0066】
また、制御部80は、出退操作機構部60の突き上げ駆動部64に対して、突き上げ部材62を突き上げ位置と退避位置との間で移動させる出退駆動信号を出力可能に構成されている。例えば、制御部80は、受渡位置に移動されたステージ20に対して基板90が載置される際又は取除かれる際に、突き上げ部材62を突き上げ位置に移動させると共に、その後、移載部等により基板90が載置、取除きされると突き上げ部材62を退避位置に移動させるように構成されている。
【0067】
ここでは、制御部80は、ピン検知用センサ68から出力される検知信号を入力可能に図示省略のAD変換機等を介して複数のピン検知用センサ68に接続されている(図5参照)。そして、制御部80は、ピン検知用センサ68の出力により、リフトピン40の被検知部59との距離が所定の距離(つまり、突き上げ部材62と基端部材58が当接した状態におけるリフトピン40の被検知部59との距離)であると判断すると、リフトピン40が出退操作状態にあることを検出するように構成されているとよい。また、制御部80は、突き上げ駆動部64の駆動による突き上げ部材62の位置(変位)と各ピン検知用センサ68の出力とから、各リフトピン40が完全に突出姿勢或いは退避姿勢に姿勢変更されているかを検出可能に構成されているとよい。これにより、基板90が持ち上げられていない状態での取除き動作、リフトピン40が退避していない状態での有機EL塗布動作が行われることを事前に防止することができる。
【0068】
また、この制御部80は、ステージ20に対して基板90を載置、取除きする移載機及び有機EL塗布機構110の動作タイミングに応じてステージ動作機構部30及び出退操作機構部60を制御するように構成されているとよい。
【0069】
<3.基板載置装置の動作>
次に、上記基板載置装置10の動作について説明する。ここでは、ステージ20の一主面20aに対して、有機EL材料が塗布されていない基板90が載置され、この基板90に対して塗布処理を施した後、有機EL材料が塗布された基板90をステージ20上から取り除くまでの工程を追って、基板載置装置10の動作を説明する。
【0070】
まず、基板載置装置10の初期状態として、出退操作機構部60の突き出し部材62が退避位置に移動され(図7の実線部分参照)、複数のリフトピン40が退避姿勢に維持されているものとする。また、ステージ20の一主面20aには、基板90が載置されていない状態である。
【0071】
まず、ステージ動作機構部30は、制御部80からの移動信号を受けて、ステージ20を受渡位置に移動させる(図4参照)。ステージ20が受渡位置に移動されると、突き上げ補助部材72は、突き上げ部材62の開口を通じて、その両端部が押し上げ部63の略直上(出退方向突出側)に配設される位置に配設される(図6参照)。この状態では、まだ、突き上げ補助部材72と押し上げ部63とは、出退方向において離間した位置に配設されている(図7参照)。
【0072】
ステージ20が受渡位置に移動されると、制御部80から、出退操作機構部60に対して突出操作する指令(出退駆動信号)が与えられ、突き上げ駆動部64により突き上げ部材62が出退方向突出側に向けて(図7の実線から二点差線に向けて)移動される。
【0073】
突き上げ部材62が出退方向突出側に向けて移動すると、まず押し上げ部63が突き上げ補助部材72の両端部下面(他主面)に当接する。その後、さらに突き上げ部材62が突出側へ移動することにより、突き上げ補助部材72の一主面が突き上げ部材62の一主面と略面一になった状態で出退方向突出側に向けて移動される(図8参照)。
【0074】
この移動途中において、突き上げ部材62(及び突き上げ補助部材72)が所定の位置まで移動されると、各ピン検知用センサ68が対応するリフトピン40(被検知部59)を検知する。
【0075】
さらに突き上げ部材62が移動すると、突き上げ部材62及び突き上げ補助部材72は、複数のリフトピン40のうちそれぞれ対応するリフトピン40の基端部材58に当接する。つまり、突き上げ部材62は、第1の外側リフトピン及び第1の内側リフトピンに当接し、突き上げ補助部材72は、第2の外側リフトピン(外側補助リフトピン42a)及び第2の内側リフトピン(内側補助リフトピン44a)に当接する。この状態で、制御部80は、ピン検知用センサ68の出力によりリフトピン40が出退操作されていることを検出することができる。
【0076】
ここからさらに突き上げ部材62が移動すると、複数のリフトピン40は、そのピン部52の先端部がステージ20の一主面20aから徐々に突出していく。突き上げ部材62が突き上げ位置まで移動されると、複数のリフトピン40は突出姿勢に姿勢変更された状態となる(図9参照)。
【0077】
複数のリフトピン40が突出姿勢に姿勢変更された状態で、図示省略の移載部等により、ステージ20上、つまり、ステージ20の一主面20aから突出している複数のリフトピン40のピン部52の先端部上に、基板90が載置される。ここで、基板90とステージ20との間には、出退方向においてリフトピン40のピン部52の突出寸法分の空間が空けられている。そして、基板90が載置される際に、基板90を保持する前記移載部のハンド等の一部が一旦前記空間に進入し、その後、保持を解除して前記空間から退避する。また、基板90は、その中心位置が出退方向においてステージ20の中心位置と略一致する位置で、かつ、各辺がステージ20の各辺と略平行になる姿勢で載置されるとよい。
【0078】
また、前記移載部が退避すると、制御部80から出退操作機構部60に対して退避操作移動する信号が与えられ、突き上げ駆動部64により突き上げ部材62が出退方向退避側に向けて(図7の二点差線から実線に向けて)移動される。
【0079】
突き上げ部材62が出退方向退避側に向けて移動すると、突き上げ補助部材72も押し上げ部63に載置状に支持された状態で出退方向退避側に向けて移動される。これにより、ステージ20の一主面20aから突出されていた複数のリフトピン40のピン部52が徐々に退避移動される。
【0080】
そして、ピン部52の先端がステージ20の一主面20aと同一平面上に配設される位置まで退避移動されると、基板90は、ステージ20の一主面20aに対して載置される(図8参照)。この状態で、制御部80は、突き上げ部材62の位置(変位)とピン検知センサ68の出力とから、リフトピン40が退避姿勢に姿勢変更されたか否か検出することができる。
【0081】
さらに突き上げ部材62が移動されると、複数のリフトピン40は、退避姿勢に姿勢変更される。
【0082】
ここからさらに突き上げ部材62が移動されると、突き上げ補助部材72は移動下限位置で停止し、突き上げ部材62の押し上げ部63から離間する。そして、突き上げ部材62は、退避位置にまで移動されて停止する(図7の実線部分参照)。
【0083】
突き上げ部材62が退避位置まで移動されると、ステージ動作機構部30に対して、ステージ20を処理位置に移動させる信号が与えられる。これにより、ステージ20は、一主面20aに載置されている基板90の処理位置側端部(或いは受渡位置側端部)がノズルユニット112の各ノズル112a〜112cの移動経路の略直下に配設される位置に移動される(図1参照)。なお、ステージ20上に載置された基板90の姿勢が有機EL材料を塗布する姿勢と異なる場合、旋回部32によりステージ20を(ここでは90度)回転させて、基板90を姿勢変更させるとよい。
【0084】
ステージ20が処理位置のうち上記位置に移動されると、ノズルユニット112が有機EL材料を吐出しつつガイド部材115に沿って一側方から他側方に向けて移動される。これにより、基板90の処理位置側端部(或いは受渡位置側端部)に有機EL材料が塗布される。ノズルユニット112が基板90の他側方に移動されると、制御部80からステージ動作機構部30に対して、ステージ20を受渡位置側(或いは処理位置側)に向けて、ノズルユニット112による有機EL材料の塗布幅だけ移動させる指令(移動信号)が与えられる。ステージ20が移動されると、ノズルユニット112が有機EL材料を吐出しつつ基板90の他側方から一側方に向けて移動され、基板90の一方側に移動されると上記と同様にステージ20が受渡位置側(或いは処理位置側)に向けて移動される。
【0085】
上記のようにして、基板90の受渡位置側端部(或いは処理位置側端部)まで有機EL材料が塗布されると、有機EL材料の塗布工程は完了する。つまり、塗布工程完了時には、ステージ20は、基板90の受渡位置側端部(或いは処理位置側端部)がノズルユニット112の各ノズル112a〜112cの移動経路の略直下に配設される位置に配設されている。
【0086】
この後、ステージ動作機構部30に対して、ステージ20を受渡位置に移動させる指令(移動信号)が与えられ、ステージ20は受渡位置に移動される(図4参照)。
【0087】
有機EL材料が塗布された基板90が載置されたステージ20が受渡位置に移動されると、上記と同様にして、複数のリフトピン40が突出姿勢に姿勢変更され、基板90が持ち上げられる(図8参照)。この状態で、移載機等により、基板90とステージ20との間の空間に移載機のハンド等が配設された状態で基板90を保持し、ステージ20上から基板90が取除かれる。
【0088】
そして、複数のリフトピン40が突出姿勢の状態で、そのピン部52の先端部上に、有機EL材料が塗布されていない基板90が載置される。この後、上記動作が繰り返されて、基板90に対する有機EL材料の塗布作業が繰り返される。
【0089】
上記のように構成された基板載置装置10によると、ステージ20が受渡位置に移動された状態で旋回部32の移動軌跡32a上に配設される位置に外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aが配設されている。そして、ステージ動作機構部30に対して配設され、出退操作機構部60の出退操作力に応じて移動される突き上げ補助部材72により、外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aを出退操作可能に構成されている。これにより、ステージ20の一主面20aに載置された基板90のうち、ステージ20が受渡位置に移動された状態で旋回部32の移動軌跡32a上に配設される一辺部を突き上げることができ、大盤な基板90を扱う場合であっても、たわみを抑制しつつ持ち上げることができる。また、移動するステージ20に対して突き上げ補助部材72を出退操作するための駆動源を別途設けることを省略でき、ステージ20の負荷を軽減して耐久性を向上させると共に、装置の簡略化を図ることができる。
【0090】
また、突き上げ補助部材72が、出退操作機構部60との重複部分、つまり、押し上げ部63に載置された状態で出退方向に移動されることにより、複数のリフトピン40のうち外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aが出退操作される。このため、移動するステージ20に対して突き上げ補助部材72を出退操作するための伝達機構を別途設けることを省略でき、ステージ20の負荷を軽減して耐久性を向上させると共に、装置の簡略化を図ることができる。
【0091】
また、突き上げ補助部材72は、出退操作機構部60が出退操作されると、突き上げ部材62の押し上げ部63と重複した両端部が支持された状態で出退方向に移動される。このため、突き上げ補助部材72は、安定して出退方向に移動され、より正確に外側補助リフトピン42a及び内側補助リフトピン44aを出退操作することができる。
【0092】
また、ステージ20が受渡位置に移動された状態で旋回部32の移動軌跡32a上に配設される位置のうち、ステージ20上に載置される基板90の周縁部に沿った位置だけでなく、その内周側の位置にも内側補助リフトピン44aが配設されているため、基板90の中央部付近のたわみを抑制して基板90を持ち上げることができる。
【符号の説明】
【0093】
10 基板載置装置
20 ステージ
30 ステージ動作機構部
32 旋回部
36 移動部
40 リフトピン
42 外側リフトピン
42a 外側補助リフトピン
44 内側リフトピン
44a 内側補助リフトピン
60 出退操作機構部
62 突き上げ部材
63 押し上げ部
72 突き上げ補助部材
90 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置可能なステージと、
前記ステージを支持するステージ支持部を有し、前記ステージ及び前記ステージ支持部を受渡位置と処理位置との間で移動可能なステージ動作機構部と、
前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で前記ステージ支持部の移動軌跡上に配設される位置に配設されている補助リフトピンを含み、前記ステージ上に載置される前記基板の周縁部に沿った位置に、前記ステージ上面に対して出退可能に配設された複数のリフトピンと、
前記受渡位置に配設され、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記複数のリフトピンのうち前記補助リフトピンを含まない第1のリフトピンを出退操作可能な出退操作機構部と、
前記ステージ動作機構部に対して、前記複数のリフトピンのうち前記第1のリフトピンを除く第2のリフトピンに対向する位置に、出退方向に移動可能に配設され、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記出退操作機構部の出退操作力に応じて前記出退方向に移動される突き上げ補助部材と、
を備えている基板載置装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板載置装置であって、
前記突き上げ補助部材は、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記複数のリフトピンの出退方向において前記出退操作機構部に対して一部重複し、前記出退操作機構部との重複部分に押し上げられた状態で前記出退方向に移動される基板載置装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基板載置装置であって、
前記出退操作機構部は、前記受渡位置から前記処理位置に向けて開口し、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で前記ステージ支持部の三方を囲む形状に形成されている突き上げ部材を有し、
前記突き上げ補助部材は、前記突き上げ部材の開口幅より長尺に形成されると共に、前記ステージが前記受渡位置に移動された状態で、前記突き上げ部材の開口に対応する位置で、長手方向両端部が前記出退方向において前記突き上げ部材と重複するように配設されている基板載置装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板載置装置であって、
前記補助リフトピンより内周側の位置に、前記ステージが受渡位置に移動された状態で前記ステージ支持部の移動軌跡上に配設される内側補助リフトピンをさらに備え、
前記突き上げ補助部材は、前記第2のリフトピン及び前記内側補助リフトピンに対向可能に形成されている基板載置装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−96532(P2011−96532A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249829(P2009−249829)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】