説明

基準電圧回路

【課題】 2個ダイオードを用い、チップ面積が小さいCMOS基準電圧回路を実現する。
【解決手段】 基準電圧回路は、第1電流−電圧変換回路13と、第2電流−電圧変換回路15の電圧が等しくなるように制御する制御部を有し、回路13または15に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路を有し、前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して流すことにより電圧を供給する。回路13は第1ダイオードで構成され、回路15は第2ダイオードと第1抵抗が直列接続され、さらに第2抵抗が並列接続されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体CMOS基準電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のCMOS基準電圧回路は特開平11−45125に詳しく記載されている(特許文献1参照)。この従来例の基準電圧回路は、電流−電圧変換により基準電圧を得ている点で、それ以前に考案された、温度特性が相殺されるこの種の更に従来の基準電圧回路と同様である。しかしながら、この従来例の基準電圧回路では、チップ上での面積が小さい基準電圧回路を実現することが難しかった。
【0003】
この従来例の更に以前の基準電圧回路では、正の温度特性を持つ基準電流が、抵抗とダイオード(あるいはダイオード接続されたトランジスタ)からなる出力回路で電圧に変換される。抵抗での電圧降下分が正の温度特性を持ち、ダイオード(あるいはダイオード接続されたトランジスタ)の順方向電圧が負の温度特性を持つ。こうして、両者を加算して、温度特性が相殺された1.2V前後の基準電圧が得られていた。
【0004】
一方、特開平11−45125に記載された基準電圧回路では、殆ど温度特性を持たない基準電流が得られ、その基準電流が抵抗のみからなる出力回路で任意の電圧値の基準電圧に変換されている。したがって、この従来例の基準電圧回路は、1.2V以下の電源電圧で動作することができ、温度特性が相殺される優れものである。本発明者は、この従来例の基準電圧回路が出願公開されるとすぐに「携帯無線端末のCMOS化のためのアナログ回路設計技術」(トリケップス社、1999年)で「電流モード型基準電圧回路」として紹介し、詳しい回路解析を載せている。ここではその記載内容にしたがって、特開平11−45125に開示された基準電圧回路の動作を説明する。
【0005】
図1において、オペアンプDA1によりV=VとなるようにトタンジスタPとPの共通ゲート電圧が制御される。したがって、
=V (1)
また、
=I (2)
である。また、IはダイオードDに流れるI1Aと抵抗Rに流れるI1Bとに分流される。同様にIは直列接続される抵抗RとN個並列に接続されたダイオードDに共通に流れるI2Aと抵抗Rに流れるI2Bとに分流される。ここで、
=R (3)
とすると、
1A=I2A (4)
1B=I2B (5)
となる。また、
=VF1 (6)
=VF2+ΔV (7)
とおけ、
ΔV=VF1−VF2 (8)
となる。
での電圧降下がΔVであり、
2A=ΔV/R (9)
1B=I2B=VF1/R (10)
となる。
ここで、
ΔV=Vln(N) (11)
である。ただし、Vは熱電圧であり、
=kT/q (12)
と表わされる。ここで、Tは絶対温度[K]、kはボルツマン定数、qは単位電子電荷である。したがって、I(=I)が抵抗Rで電圧変換され、
REF=R*I=R{VF1/R+(Vln(N))/R1}
=(R/R){VF1+(R/R)(Vln(N))} (13)
と表わされる。ここで、{VF1+(R/R)(Vln(N))}は温度特性が相殺された1.2V前後の電圧値である。具体的にはVF1はおよそ−1.9mV/℃の負の温度特性を持ち、Vは0.0853mV/℃の正の温度特性を持つ。したがって、温度特性が相殺されるためには(R/R)ln(N)の値は22.3となる。また、Vは常温では26mVであるから、(R/R)(Vln(N))は常温ではおよそ580mVとなる。したがって、VF1が常温で620mVであるとすると{VF1+(R/R)(Vln(N))}はほぼ1.2Vとなる。
【0006】
また、抵抗比(R/R)は温度特性を持たないから、出力される基準電圧VREFも温度特性が相殺された電圧となる。ここで、抵抗比(R/R)は任意に設定でき、1<(R/R)に設定すればVREFは1.2Vよりも高い電圧となり、1>(R/R)に設定すればVREFは1.2Vよりも低い電圧となる。
【0007】
基準電圧回路では、ダイオードDを流れる電流の密度とダイオードDを流れる電流の密度の比が大きいこと、即ちダイオードDでの電圧降下とダイオードDでの電圧降下の差が大きいことが望ましい。このため、特開平11−45125に開示された基準電圧回路では、ダイオードD2を多くの(N個の)ダイオードで構成し、各ダイオードD2の電流密度を下げ、ダイオードDでの電圧降下を小さくしている。具体的なNの値としてN=10の記載がある。しかし、実際に回路を実現した時(IEEE Symposium on VLSI circuits 1998,May)にはN=100としていた。CMOSプロセスにおいては微細化が進みMOSトランジスタが微細な大きさになったのに対し、寄生バイポーラ素子を流用するダイオードの大きさはMOSトランジスタに比べると桁違いに大きい。また、ダイオードDとDとの比Nを1桁から2桁程度と大きくする必要があるので、チップ上での面積は大きなものとなっている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−45125号
【非特許文献1】IEEE Symposium on VLSI circuits 1998,May
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、2個のダイオードのみを使用して小さなチップ面積で構成されるCMOS基準電圧回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の基準電圧回路は、第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御手段を有し、前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路を有し、前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路において、前記第1電流−電圧変換回路は第1ダイオード(またはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタ)で構成され、前記第2電流−電圧変換回路は第2ダイオード(またはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタ)と第1抵抗が直列接続され、さらに第2抵抗が並列接続されてなる。
あるいは、前記第1電流−電圧変換回路は第1ダイオード(またはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタ)で構成され、前記第2電流−電圧変換回路は第2ダイオード(またはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタ)と第1抵抗が並列接続され、さらに第2抵抗が直列接続されてなる。あるいは、前記制御手段が、差動増幅器(あるいはオペアンプ)である。あるいは、前記制御手段が、前記第1カレントミラー回路を含むカレントミラー回路により自己バイアスされた第2カレントミラー回路である。
【0011】
あるいは、前記制御手段が、前記第1電流−電圧変換回路に供給される電流と前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流を第2カレントミラー回路により比較し、前記第2カレントミラー回路の出力で第3カレントミラー回路をバイアスすることで前記第1電流−電圧変換回路と前記第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する。
あるいは、前記制御手段が、前記第1カレントミラー回路を含む逆ワイドラーカレントミラー回路により自己バイアスされた第2カレントミラー回路である。
【0012】
あるいは、第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御手段を有し、前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路を有し、前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路において、前記第1電流−電圧変換回路は第1バイポーラトランジスタのコレクタと第2バイポーラトランジスタのバースが共通接続されて構成され、前記第2電流−電圧変換回路はダイオード接続された第3バイポーラトランジスタと第1抵抗が直列接続され、さらに第2抵抗が並列接続されてなり、前記第1バイポーラトランジスタのベースは前記第2電流−電圧変換回路の出力端子に接続され、前記第2バイポーラトランジスタのコレクタは前記第1カレントミラー回路を駆動する。
【0013】
あるいは、第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御手段を有し、前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路を有し、前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路において、前記第1電流−電圧変換回路は第1バイポーラトランジスタのコレクタと第2バイポーラトランジスタのバースが共通接続されて構成され、前記第2電流−電圧変換回路はダイオード接続された第3バイポーラトランジスタと第1抵抗が並列接続され、さらに第2抵抗が直列接続されてなり、前記第1バイポーラトランジスタのベースには前記第2電流−電圧変換回路の出力端子に接続され、前記第2バイポーラトランジスタのコレクタは前記第1カレントミラー回路を駆動する。
【0014】
あるいは、第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御手段を有し、前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路を有し、前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路において、前記第1電流−電圧変換回路は第1ダイオード(またはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタ)と第1抵抗が並列接続されてなり、前記第2電流−電圧変換回路は第2ダイオード(またはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタ)と第2抵抗が直列接続され、さらに第3抵抗が並列接続されてなり、前記第1電流−電圧変換回路に供給される電流と前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流を第2カレントミラー回路により比較し、前記第2カレントミラー回路の出力で第3カレントミラー回路をバイアスすることで前記第1電流−電圧変換回路と前記第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御手段を有する。
【0015】
あるいは、第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御手段を有し、前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路を有し、前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路において、前記第1電流−電圧変換回路は第1ダイオード(またはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタ)と第1抵抗が並列接続されてなり、前記第2電流−電圧変換回路は第2ダイオード(またはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタ)と第2抵抗が直列接続され、さらに第3抵抗が並列接続されてなり、前記制御手段が、前記第1カレントミラー回路を含む逆ワイドラーカレントミラー回路により自己バイアスされた第2カレントミラー回路を有する。
【0016】
[作用]
ダイオード(またはダイオード接続されたバイポーラトランジスタ)と抵抗を直列接続し、さらに抵抗を並列接続することで0.7V程度の低電圧で温度特性が相殺された基準電流が得られる。さらに、オペアンプの基準となる電圧をダイオード(またはダイオード接続されたバイポーラトランジスタ)1個で構成することで小さなチップ面積で実現できる。
【発明の効果】
【0017】
第1効果はチップ面積を小さくできることである。その理由は、ダイオードを2個だけしか用いないでも回路を構成できるからである。
第2効果は低電圧で動作させることができるということである。その理由は、出力電圧が1.2V以下の任意の電圧値に設定できるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明の基準電圧回路について詳細に説明する。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態によるCMOS基準電圧回路の構成を示す回路図である。図2を参照して、第1実施形態のCMOS基準電圧回路は、オペアンプAPと、PチャンネルCMOSトランジスタMP〜MP、ダイオードDとD、抵抗R〜Rを有している。ダイオードD,Dは、単一であり、ダイオード接続されたバイポーラトランジスタであってもよい。以下では、特に参照しない限り、ダイオードは、ダイオード接続されたバイポーラトランジスタを含む。
【0020】
ソースが電源VDDに接続されたPチャンネルMOSトランジスタMPとMPとMPは、カレントミラー回路を構成している。CMOSトランジスタMPのドレインと接地(GND)の間にはダイオードDが設けられている。ダイオードDは、第1電流−電圧変換回路13を構成している。MOSトランジスタMPのドレインと接地の間には、抵抗RとダイオードDの直列回路と、それに並列に設けられた抵抗Rとが接続されている。抵抗R、ダイオードD、抵抗Rより構成される回路は、第2電流−電圧変換回路15を構成している。MOSトランジスタMPと第1電流−電圧変換回路13の間のノードNはオペアンプAPの反転入力端子に接続されている。MOSトランジスタMPと第2電流−電圧変換回路15の間のノードNはオペアンプAPの非反転入力端子に接続されている。オペアンプAPの出力端子は、MOSトランジスタMP、MP、MPのゲートに接続されている。MOSトランジスタMPと接地の間には抵抗Rが接続され、MOSトランジスタMPと抵抗Rの間のノードNからは基準出力電圧VREFが出力される。
【0021】
MOSトランジスタMP〜MPに共通のゲート電圧は、オペアンプAPの2つの入力端子電圧が等しくなるように、オペアンプAPにより制御され、MOSトランジスタMP〜MPの各々を流れる電流が制御されている。
【0022】
ダイオードD,Dの順方向電圧をVF1,VF2とし、MOSトランジスタMPとMPの電流が等しいとすると、
=I=VF1/R+(VF1−VF2)/R
={VF1+(R/R)ΔV}/R (14)
となる。ここでVF1はおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持つ。また、VF2もおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持つ。
【0023】
ここで、ダイオードD,Dがいずれも単位ダイオードであるとすると、
ΔV=Vln{I/(I−VF1/R)} (15)
と表わされる。ここで、I=Iとすると、常にI>(I−VF1/R)であるから、I/(I−VF1/R)}>1が成り立ち、(15)式のlnの項は常に正(>0)であることが理解される。すなわち、ΔVは良く知られているようにこの回路においても正の温度特性を持つ。したがって、この温度特性は、熱電圧V(その温度特性は0.00853mV/℃)にほぼ比例する。すなわち、(14)式の{VF1+(R/R)ΔV}の項の温度特性は、負の温度特性を持つVF1と正の温度特性を持つΔVを抵抗比(R/R)を設定して重み付け加算することでほぼ相殺することができる。
【0024】
ここで、(14)式の{VF1+(R/R)ΔV}の項の温度特性を相殺できると、電流I、Iは抵抗Rによる温度特性以外にはほぼ温度特性を持たない電流であることになり、電流Iで駆動される第2電流−電圧変換回路の動作条件は従来技術の動作条件と同一になる。ただし、ダイオードDとDは単位ダイオードであり、両者の電流密度は当然異なるが、ダイオードDの電流密度は抵抗Rに流れる電流分だけ小さくなる。したがって、上述したようにI=Iの場合にもVF1>VF2が常に成立している。
【0025】
この時に、出力される基準電圧VREF
REF=R*I
=(R/R)*{VF1+(R/R)ΔV} (16)
と表わされる。ここで、VF2は常温でおよそ580mVとなるものとすると、VF1は常温で620mVとなり、{VF1+(R/R)ΔV}は、従来技術の説明と同様に、ほぼ1.2Vとなることがわかる。また、抵抗比(R/R)は温度特性を持たないから、出力される基準電圧VREFも温度特性が相殺された電圧となる。
【0026】
ここで、抵抗比(R/R)は任意に設定でき、1<(R/R)に設定すればVREFは1.2Vよりも高い電圧となり、1>(R/R)に設定すればVREFは1.2Vよりも低い電圧となることは従来技術の場合と同様である。特に、VREFが1.2Vよりも低い電圧となる1>(R/R)に設定する場合には、電源電圧を下げられる。例えば、VREF=1.0Vに設定すれば電源電圧が1.2V程度から動作させることができる。
【0027】
なお、ダイオードの順方向電圧Vの温度特性の非線形性、具体的には良く知られているように温度が低くなると鈍っていく特性を補正して多少お椀を伏せたような特性、具体的には常温でピークとなり、低温側と高温側では多少下がる特性を実現するために、MOSトランジスタMPとMPからなるカレントミラー回路の電流比は、1:1から多少変更する必要が生じることがある。あるいは、ダイオードDとDの電流密度を大きく異ならせるためにMOSトランジスタMPのトランジスタサイズをMOSトランジスタMPのトランジスタサイズに比べて大きな値に設定することもなされる。勿論、Dを単位ダイオードをN個並列接続してDとDの電流密度を大きく異ならせる手法も依然として有効である。ただし、この場合においても、もともとダイオードDにはダイオードDよりも大きな電流が流れることより、このNの値はこれまでの10〜100などと大きな値ではなく、小さな自然数で良い。また、ダイオードD1に並列に接続される抵抗を省略することができ、チップ面積を小型化できる。
【0028】
さらに言えば、図2を参照して、動作説明が簡単になるように、カレントミラー回路に単純カレントミラー回路を用いた場合について説明した。しかし、最近ではCMOSプロセスの微細化が著しく進み、トランジスタのチャネル長変調の影響が出やすくなっている。例えば、図2の回路においては、MOSトランジスタMPとMPとはドレイン−ソース電圧が等しいが、MOSトランジスタMPとはドレイン−ソース電圧に多少の違いが生じる。特に、温度変動時にはMP、MP、MPのドレイン−ソース電圧はダイオードの順方向電圧の温度特性による変動分だけ変動することになる。したがって、厳密に見れば極多少ではあるがトランジスタのチャネル長変調の影響が見出せる。このために、カレントミラー回路にカスコードカレントミラー回路などを用いてこの影響を低減することが通常行われている。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態による基準電圧回路を説明する。第2実施形態は、第1実施形態と同様であるが、図3に示されるように、第1実施形態の第2電流−電圧変換回路15に代えて、第2電流−電圧変換回路15Aが採用されている。第2電流−電圧変換回路15Aでは、抵抗RはダイオードDと並列に接続され、さらに、抵抗Rと直列に接続されている。ここで、ダイオードD、Dをいずれも単位ダイオードであるとすると、MOSトランジスタMPとMPはオペアンプAPにより2つの入力端子電圧が等しくなるように制御される。MOSトランジスタMPとMPの電流が等しいとすると、
=I=(VF1−VF2)/R
=ΔV/R (17)
となる。VF1はおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持ち、また、VF2もおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持つ。
【0030】
ここで、ダイオードD、Dをいずれも単位ダイオードであるとすると、
ΔV=Vln{I/(I−VF2/R)} (18)
と表わされる。ここで、I=Iとすると、常にI>(I−VF2/R)であるから、I/(I−VF2/R)}>1が成り立ち、(18)式のlnの項は常に正(>0)であることが理解される。すなわち、
ΔV=Vln[1/{1−VF2/(I)}] (18)’
となる。(17)式は(14)式とは形が異なり、(18)’式に示されるΔVが正の温度特性を持つ訳ではない。ここでは、ΔVがほとんど温度特性を持たないことを説明する。
【0031】
(18)’式において、Vは温度に比例する正の温度特性(+0.0853mV/℃)を持つ。また、[]内のVF2はおよそ−1.9mV/℃前後の負の温度特性を持つ。簡単のために、抵抗Rの温度特性は無視できるほど小さいとすると、R>>Rであるから、Iの積はVF2を越える値となる(即ちI>VF2)。したがって、1/{1−VF2/(I)}の値が1より大きな値、例えば2(それを与えるのはI=0.5VF2)とか3(それを与えるのはI=0.667VF2)とかの値をとり、このように設定された値を中心にして温度が変化すると、ln[1/{1−VF2/(I)}]は、変動することになる。この変動する領域は、ln[1/{1−VF2/(I)}]の関数においては比較的傾きが大きい領域にある。例えば、所望の電流Iが温度特性を持たない場合でも、VF2の持つ温度特性のために、{1−VF2/(I)}は温度に準じて変化する。すなわち、この温度変化のために[1/{1−VF2/(I)}]は負の温度特性となる。このために、ln[1/{1−VF2/(I)}]も負の温度特性を持ち、温度が低くなると大きくなり、温度が高くなると小さくなる。
【0032】
ここで、Iは、単位ダイオードDに流れる電流と単位ダイオードDに並列接続された抵抗Rに流れる電流の和である。したがって、単位ダイオードDに流れる電流IとこのIが等しく制御されることでIの温度特性は、抵抗Rに流れる電流の温度特性(負の温度特性を持つVF2に準じた負の温度特性)と抵抗Rに流れる電流の温度特性(VF2とは逆の正の温度特性)とが互いに相殺されておよそ温度特性を持たなくなる。この時に、温度特性がほぼ相殺され、ln[1/{1−VF2/(I)}]の[]内の値[1/{1−VF2/(I)}]も温度が低くなると大きくなり、温度が高くなると小さくなる。ここで抵抗RとRの値を適切に設定することでVの正の温度特性(その温度特性は0.0853mV/℃)をほぼ相殺するようにln[]の項の温度による変動を合わせ込むことができる。すなわち、ΔVは温度特性がほぼ相殺された電圧となる。この時に、出力される基準電圧VREF
REF=R*I
=(R/R)ΔV (19)
と表わされる。また、抵抗比(R/R)は温度特性を持たないから、出力される基準電圧VREFも温度特性が相殺された電圧となる。ここで、抵抗比(R/R)は任意に設定でき、ΔVは数十mVから百数十mV程度の電圧であり、(R/R)>1を設定する((R/R)>1)ことで、VREFは1.0Vよりも低い電圧に設定できる。この場合には、電源電圧を下げることが可能である。例えば、VREF=1.0Vに設定すれば、基準電圧回路は、1.2V程度の電源電圧から動作可能である。
【0033】
次に、本発明の第3実施形態による基準電圧回路を説明する。ダイオードDと、ダイオードDと抵抗Rの直列接続に、さらに抵抗Rが並列に接続された第2電流−電圧変換回路トポロジ(D,{(R−D)//R})を使用する第3実施形態による基準電圧回路では、自己バイアス化によりオペアンプAPが省略されている。
【0034】
図4は、第3実施形態による自己バイアス化を用いる基準電圧回路の一例を示す。ただし、簡単にするためにスタートアップ回路は省略されている。図4において、オペアンプAPが省略され、NチャネルMOSトランジスタMNとMNが追加されている。ソースが電源VDDに接続されたPチャネルトランジスタMP〜MPはゲートが共通に接続され、トランジスタMPではゲートとドレインが共通接続されている。NチャネルMOSトランジスタMNとMNはゲートが共通に接続され、トランジスタMNはゲートとドレインが共通に接続されている。NチャネルMOSトランジスタMNのドレインはPチャンネルMOSトランジスタMPのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタMNのソースは、第1電流−電圧変換回路13に接続されている。NチャネルMOSトランジスタMNのドレインはPチャンネルMOSトランジスタMPのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタMNのソースは、第2電流−電圧変換回路15に接続されている。
【0035】
したがって、PチャネルトランジスタMPとMP及びNチャネルトランジスタMNとMNはそれぞれカレントミラー回路を構成しており、PチャネルトランジスタMPとMPのカレントミラー回路は、NチャネルトランジスタMNとMNのカレントミラー回路を自己バイアスしている。こうして、NチャネルトランジスタMNとMNに流れる電流は比例する。NチャネルトランジスタMNとMNとのトランジスタサイズが等しく、PチャネルトランジスタMPとMPとのトランジスタサイズが等しい場合には、NチャネルトランジスタMNとMNに流れる電流は等しくなる。いずれにしても自己バイアスされることでNチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれのゲート−ソース間電圧が等しくなり、第1電流−電圧変換回路13、即ち、ダイオードDに印加される電圧と、第2電流−電圧変換回路15、即ちダイオードDに直列接続された抵抗Rとそれらに並列に接続された抵抗Rを有する回路{(R−D)//R}に印加される電圧は等しくなる。(D,{(R−D)//R})には上述したオペアンプを用いた場合と等しい動作条件が実現できる。したがって、図2に示される第1実施形態の基準電圧回路と同等の特性が得られる。なお、ダイオードDと回路{(R−D)//R}はNチャネルトランジスタMNとMNのいずれで駆動しても良い。
【0036】
次に、本発明の第4実施形態による基準電圧回路について説明する。第4実施形態による基準電圧回路では、上述と同様に、ダイオードDを有する第1電流−電圧変換回路13と、ダイオードDと抵抗Rの並列接続に直列接続された抵抗Rを有する第2電流−電圧変換回路15Aの回路トポロジ(D,{R−(D//R)})についても自己バイアス化することで、図5のように、オペアンプを省略することができる。
ソースが電源VDDに接続されたPチャネルトランジスタMP〜MPはゲートが共通に接続され、トランジスタMPではゲートとドレインが共通接続されている。NチャネルMOSトランジスタMNとMNはゲートが共通に接続され、トランジスタMNはゲートとドレインが共通に接続されている。NチャネルMOSトランジスタMNのドレインはPチャンネルMOSトランジスタMPのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタMNのソースは、第1電流−電圧変換回路13に接続されている。NチャネルMOSトランジスタMNのドレインはPチャンネルMOSトランジスタMPのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタMNのソースは、第2電流−電圧変換回路15Aに接続されている。したがって、PチャネルトランジスタMPとMP及びNチャネルトランジスタMNとMNはそれぞれカレントミラー回路を構成しており、PチャネルトランジスタMPとMPのカレントミラー回路は、NチャネルトランジスタMNとMNのカレントミラー回路を自己バイアスしている。したがって、NチャネルトランジスタMNとMNに流れる電流は比例し、NチャネルトランジスタMNとMNとのトランジスタサイズが等しく、PチャネルトランジスタMPとMPとのトランジスタサイズが等しい場合には、NチャネルトランジスタMNとMNに流れる電流は等しくなる。いずれにしても自己バイアスされることでNチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれのゲート−ソース間電圧が等しくなり、第1電流−電圧変換回路13、即ち、ダイオードDに印加される電圧と、第2電流−電圧変換回路15A、即ちダイオードDに直列接続された抵抗Rとそれらに並列に接続された抵抗Rを有する回路{(R−D)//R}に印加される電圧は等しくなる。(D,{(R−D)//R})には上述したオペアンプを用いた場合と等しい動作条件が実現できる。したがって、図3に示される第1実施形態の基準電圧回路と同等の特性が得られる。なお、ダイオードDと回路{(R−D)//R}はNチャネルトランジスタMNとMNのいずれで駆動しても良い。ただし、上述した図4,5に示した基準電圧回路においては、トランジスタのチャネル長変調の影響が出やすい。
【0037】
次に、本発明の第5実施形態と第6実施形態による基準電圧回路について図6と図7を参照して説明する。これらの実施形態では、チャネル長変調の影響が低減されている。ただし、簡単にするためにスタートアップ回路は省略している。
【0038】
図6を参照して、ソースが電源VDDに接続されたPチャネルトランジスタMPからMPはカレントミラー回路を構成し、PチャネルトランジスタMPのゲートはドレインに接続されている。PチャネルトランジスタMPとMPはカレントミラー回路を構成し、トランジスタMPとMPのソースは電源VDDに接続され、トランジスタMPとMPのゲートは共通に接続され、トランジスタMPのゲートはそのドレインに接続されている。トランジスタMPとMPのドレインにはNチャンネルトランジスタMNとMNのドレインがそれぞれ接続され、NチャンネルトランジスタMNとMNのゲートは共通に接続されている。NチャンネルトランジスタMNとMNのソースには、第1実施形態における第2電流−電圧変換回路15と第1電流−電圧変換回路13がそれぞれ接続されている。トランジスタMPとMPのドレインにはNチャンネルトランジスタMNとMNのドレインがそれぞれ接続され、NチャンネルトランジスタMNとMNのゲートは共通に接続されている。トランジスタMNのゲートはそのドレインに接続され、トランジスタMNのドレインはトランジスタMN、MNのゲートに接続されている。NチャンネルトランジスタMNとMNのソースと接地の間には、ダイオードDとDがそれぞれ接続されている。トランジスタMPに関しては上述の実施形態と同様である。
【0039】
NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれに流れる電流は、PチャネルトランジスタMPとMPからなるカレントミラー回路とPチャネルトランジスタMPとMPからなるカレントミラー回路を介して、NチャネルトランジスタMNとMNからなるカレントミラー回路において電流比較され、NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれに流れる電流が等しくなるようにNチャネルトランジスタMNとMNの共通ゲート電圧が制御される。したがって、NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれのゲート−ソース間電圧が等しくなり、ダイオードDに印加される電圧と、ダイオードDと抵抗Rの直列接続に並列接続された抵抗Rを有する第2電流−電圧変換回路{(R−D)//R}15に印加される電圧は等しくなり、(D,{(R−D)//R})には上述したオペアンプを用いた場合と等しい動作条件を実現できる。したがって、図2と同等の特性が得られ、基準電圧回路が実現できる。ここで、DとDはNチャネルトランジスタMNとMNとのドレイン電圧を等しくするように挿入されている。なお、ダイオードDと{(R−D)//R}はNチャネルトランジスタMPとMPのいずれで駆動されても良い。
【0040】
図7は、第6実施形態による基準電圧回路を示している。第6実施形態による基準電圧回路は、第5実施形態による基準電圧回路と同様でありが、第2電流−電圧変換回路15が第2電流−電圧変換回路15Aが変更されている点で異なる。NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれに流れる電流は、PチャネルトランジスタMPとMPからなるカレントミラー回路とPチャネルトランジスタMPとMPからなるカレントミラー回路を介して、NチャネルトランジスタMNとMNからなるカレントミラー回路において電流比較され、NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれに流れる電流が等しくなるようにNチャネルトランジスタMNとMNの共通ゲート電圧が制御される。したがって、NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれのゲート−ソース間電圧が等しくなり、第1電流−電圧変換回路13のダイオードDに印加される電圧と、第2電流−電圧変換回路15AのダイオードDと抵抗Rの並列接続の直列接続された抵抗Rを有する回路{R−(D//R)}に印加される電圧は等しくなり、(D,{R−(D//R)})には上述したオペアンプを用いた場合と等しい動作条件が実現されることできる。したがって、図3と同等の特性が得られ、基準電圧回路が実現できる。ここで、ダイオードDとDはNチャネルトランジスタMNとMNとのドレイン電圧が等しくなるように挿入されている。なお、Dと{R−(D//R)}はNチャネルトランジスタMNとMNのいずれで駆動しても良い。
【0041】
次に、本発明の第7実施形態と第8実施形態による基準電圧回路について図8と図9を参照して説明する。これらの実施形態では、チャネル長変調の影響が低減されている。尚、簡単にするためにスタートアップ回路は省略している。
【0042】
図8を参照して、本発明の第7実施形態による基準電圧回路では、PチャネルトランジスタMからMPのゲートは共通に接続されている。PチャネルトランジスタMPのソースと電源VDDの間には抵抗Rが挿入され、トランジスタMPのゲートはドレインと接続されている。PチャネルトランジスタMPとMPとMPのソースは電源VDDに接続されている。PチャネルトランジスタMP、MP、MPのドレインはNチャンネルトランジスタMN、MN、MNのドレインにそれぞれ接続されている。トランジスタMPのゲートはトランジスタMPのドレインに接続されている。トランジスタMNのゲートは、そのドレインに接続されると共に、トランジスタMNとMNのゲートに接続されている。トランジスタMNのソースは、ダイオードDを介して接地に接続されている。その他の接続は、第1実施形態と同様である。
【0043】
PチャネルトランジスタMPからMPのゲート電圧が共通であるから、等しい電流が流せるように、PチャネルトランジスタMPのトランジスタサイズはPチャネルトランジスタMPのトランジスタサイズよりも大きくしてある。ここで、PチャネルトランジスタMPとMPからなるカレントミラー回路は逆ワイドラーカレントミラー回路を構成している。したがって、NチャネルトランジスタMNに流れる電流が大きくなるとその分だけPチャネルトランジスタMPに流れる電流が大きくなる。しかし、PチャネルトランジスタMPに流れる電流はそれ以上に大きくなるために、NチャネルトランジスタMNでは増えた分の電流を流しきれなくなり、PチャネルトランジスタMPのドレイン電圧が高くなり、PチャネルトランジスタMPのドレインにゲートが接続されたPチャネルトランジスタMPに流れる電流が減少する。したがって、ドレイン電流が共通であるNチャネルトランジスタMNに流れる電流も減少する。ここで、NチャネルトランジスタMNとNチャネルトランジスタMNとはカレントミラー回路を構成しており、NチャネルトランジスタMNとNチャネルトランジスタMNとはゲート電圧が共通になっているから、MN〜MNの共通ゲート電圧が低下し、したがって、NチャネルトランジスタMNに流れる電流も減少する。すなわち、NチャネルトランジスタMN〜MNとPチャネルトランジスタMP〜MPとMPからなる電流ループは負帰還回路を構成しており、逆ワイドラーカレントミラー回路を介してNチャネルトランジスタMNとNチャネルトランジスタMNの電流が所定の値になるように、この例では等しくなるように、NチャネルトランジスタMNとMNの共通ゲート電圧が制御される。
【0044】
したがって、NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれのゲート−ソース間電圧が等しくなり、ダイオードDを有する第1電流−電圧変換回路13に印加される電圧と、ダイオードDと抵抗Rの直列接続に並列接続された抵抗Rを有する第2電流−電圧変換回路15{(R−D)//R}に印加される電圧は等しくなり、(D,{(R−D)//R})には上述したオペアンプを用いた場合と等しい動作条件が実現できる。したがって、図2と同等の特性が得られ、基準電圧回路が実現できる。ここで、ダイオードDはNチャネルトランジスタMNのゲート電圧がNチャネルトランジスタMNとMNのゲート電圧と等しくなるように挿入している。なお、Dと{(R−D)//R2}はNチャネルトランジスタMNとMNのいずれで駆動しても良い。
【0045】
図9を参照して、第8実施形態による基準電圧回路を説明する。第8実施例の基準電圧回路の構成は、第7実施形態による基準電圧回路と同様であり、このなる点は、第2電流−電圧変換回路15が第2電流−電圧変換回路15Aに置換されていることである。PチャネルトランジスタMPのソースには抵抗Rが挿入され、PチャネルトランジスタMPとゲート電圧が共通であるから、等しい電流が流せるように、PチャネルトランジスタMPのトランジスタサイズはPチャネルトランジスタMPのトランジスタサイズよりも大きくしてある。ここで、PチャネルトランジスタMPとMPからなるカレントミラー回路は逆ワイドラーカレントミラー回路を構成している。したがって、NチャネルトランジスタMNに流れる電流が大きくなるとその分だけPチャネルトランジスタMPに流れる電流が大きくなる。しかし、PチャネルトランジスタMPに流れる電流はそれ以上に大きくなるために、NチャネルトランジスタMNでは増えた分の電流を流しきれなくなり、PチャネルトランジスタMPのドレイン電圧が高くなり、PチャネルトランジスタMPのドレインにゲートが接続されたPチャネルトランジスタMPに流れる電流が減少する。したがって、ドレイン電流が共通であるNチャネルトランジスタMNに流れる電流も減少する。ここで、NチャネルトランジスタMNとNチャネルトランジスタMNとはカレントミラー回路を構成しており、NチャネルトランジスタMNとNチャネルトランジスタMNとはゲート電圧が共通になっているから、MN〜MNの共通ゲート電圧が低下し、したがって、NチャネルトランジスタMNに流れる電流も減少する。すなわち、NチャネルトランジスタMN〜MNとPチャネルトランジスタMP、MP、MPからなる電流ループは負帰還回路を構成しており、逆ワイドラーカレントミラー回路を介してNチャネルトランジスタMNとNチャネルトランジスタMNの電流が所定の値になるように、この例では等しくなるように、NチャネルトランジスタMNとMNの共通ゲート電圧が制御される。したがって、NチャネルトランジスタMNとMNのそれぞれのゲート−ソース間電圧が等しくなり、第1電流−電圧変換回路13のダイオードDに印加される電圧と、第2電流−電圧変換回路15AのダイオードDと抵抗Rの並列接続に直列接続された抵抗Rを有する回路{R−(D//R)}に印加される電圧は等しくなり、(D,{R−(D//R)})には上述したオペアンプを用いた場合と等しい動作条件が実現できる。したがって、図3と同等の特性が得られ、基準電圧回路が実現できる。ここで、ダイオードDはNチャネルトランジスタMNのゲート電圧がNチャネルトランジスタMNとMNのゲート電圧と等しくなるように挿入している。なお、Dと{R−(D//R)}はNチャネルトランジスタMNとMNのいずれで駆動しても良い。
【0046】
次に、本発明の第9実施形態と第10実施形態による基準電圧回路について図10、図11を参照して説明する。上述の実施形態におけるダイオードをバイポーラトランジスタに置き換えることで低電圧化が計られる。ただし、簡単にするためにスタートアップ回路は省略している。
【0047】
図10を参照して、本発明の第9実施形態による基準電圧回路では、PチャンネルトランジスタMP’、MP’、MP’、MP’、MP、MP’のソースは電源VDDに接続され、トランジスタMP以外のトランジスタのゲートは互いに接続されている。PチャンネルトランジスタMP’、MP’、MP’、MP’、MP’のドレインは、PチャンネルトランジスタMP、MP、MP、MP、MPのソースにそれぞれ接続されている。PチャンネルトランジスタMP、MP、MP、MP、MP、MPのゲートは共通に接続されている。トランジスタMPのゲートはそのドレインに接続され、トランジスタMPのドレインはトランジスタMP’のゲートに接続されている。トランジスタMPとMPのドレインには、NチャンネルトランジスタMNとMNのドレインがそれぞれ接続されている。トランジスタMNとMNのゲートは互いに接続され、またトランジスタMNのドレインに接続されている。トランジスタMNとMNのソースは接地されている。トランジスタMPのドレインはトランジスタQのコレクタに接続され、トランジスタQのエミッタは接地されている。トランジスタMPのドレインは、トランジスタQのベースと第1電流−電圧変換回路13Bに接続されている。トランジスタMPのドレインは、第2電流−電圧変換回路15Bに接続されている。第1電流−電圧変換回路13Bは、接地されたエミッタとトランジスタMPのドレインに接続されたコレクタを有するバイポーラトランジスタQを有している。第2電流−電圧変換回路15Bは、バイポーラトランジスタQと抵抗RとRとを有している。バイポーラトランジスタQのコレクタは、トランジスタMPのドレインに接続され、また抵抗Rを介して接地されている。また、バイポーラトランジスタQのエミッタは抵抗Rを介して接地されている。トランジスタQのベースは、そのコレクタに接続され、またトランジスタQのベースに接続されている。トランジスタMPのドレインは、抵抗Rを介して接地されている。
【0048】
図10において、バイポーラトランジスタQとバイポーラトランジスタQとは逆ワイドラーカレントミラー回路を構成しており、共通ベース−グランド(GND)間には抵抗Rが挿入されている。したがって、コスコードトランジスタMP’とMPに流れる電流が増えるとQに流れる電流が増え、抵抗Rに流れる電流も増え、電流の増加分を吸収する。ここでR>>Rであるから、抵抗Rでの電圧降下の増加は小さく、抵抗Rの端子間電圧の上昇はわずかである。しかし、抵抗Rでの電圧降下の増加分はそのままバイポーラトランジスタQのベース−エミッタ間電圧となり、バイポーラトランジスタQに流れる電流の増加分は大きな値となる。この時にコスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流はコスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流と等しいから、バイポーラトランジスタQに供給する電流が足りなくなり、バイポーラトランジスタQのコレクタ電圧が低下する。ここで、バイポーラトランジスタQのベースはバイポーラトランジスタQのコレクタに接続されているために、バイポーラトランジスタQに流れる電流が減少する。ここで、バイポーラトランジスタQは自己バイアスしているカスコードカレントミラー回路を駆動しているから、コスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流も減少し、所定の電流値に落ち着くことになる。すなわち、バイポーラトランジスタQ〜Qと自己バイアス回路を構成しているカスコードカレントミラー回路との間で負帰還の電流ループを形成していることがわかる。
【0049】
この時に、コスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流はコスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流IOUTと等しいとすると、
OUT=VBE1/R+(VBE1−VBE2)/R
={VBE1+(R/R)ΔVBE}/R2 (20)
となる。ここでVBE1はおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持つ。また、VBE2もおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持つ。トランジスタQ、Qをいずれも単位トランジスタであるとすると、
ΔVBE=Vln{IC1/(IC2−VBE1/R)} (21)
と表わされる。ここで、IC1=IC2とすると常にIC1>(IC2−VBE1/R)であるから、IC1/(IC2−VBE1/R)}>1が成り立ち、(21)式のlnの項は常に正(>0)であることが理解される。すなわち、ΔVBEは良く知られているようにこの回路においても正の温度特性を持つようになる。したがって、この温度特性は熱電圧V(その温度特性は0.0853mV/℃)にほぼ比例する。すなわち、(20)式の{VBE1+(R/R)ΔVBE}の項の温度特性は、負の温度特性を持つVBE1と正の温度特性を持つΔVBEを抵抗比(R/R)を設定して重み付け加算することでほぼ相殺することができる。
【0050】
ここで、(20)式の{VBE1+(R/R)ΔVBE}の項の温度特性を相殺できると、電流IC2、IOUTは抵抗Rによる温度特性以外にはほぼ温度特性を持たない電流であることになる。この時に、出力される基準電圧VREF
REF=R×IOUT
=(R/R){VBE1+(R/R)ΔVBE} (22)
と表わされる。ここで、VBE2は常温でおよそ580mVとなるものとすると、VBE1は常温で620mVとなり、{VBE1+(R/R)ΔVBE}は、同様に、ほぼ1.2Vとなることがわかる。また、抵抗比(R/R)は温度特性を持たないから、出力される基準電圧VREFも温度特性が相殺された電圧となる。ここで、抵抗比(R/R)は任意に設定でき、1<(R/R)に設定すればVREFは1.2Vよりも高い電圧となり、1>(R/R)に設定すればVREFは1.2Vよりも低い電圧となることは従来技術の場合と同様である。特に、VREFが1.2Vよりも低い電圧となる1>(R/R)に設定する場合には、電源電圧を下げられる。例えば、VREF=0.8Vに設定すれば、カスコードカレントミラー回路でバイアスしているために多少電源電圧は高くなり、
電源電圧が1.2V程度から動作させることができる。
【0051】
次に、図11を参照して、本発明の第10実施形態による基準電圧回路は、第9実施形態による基準電圧回路と同様であり、異なる点は、第2電流−電圧変換回路15Bが第2電流−電圧変換回路1Cに置換されている点にある。第2電流−電圧変換回路1Cでは、抵抗Rの一端がPチャンネルトランジスタMPのドレインとトランジスタQのベースに接続されている。抵抗Rの他端は、抵抗Rを介して接地され、またトランジスタQのコレクタに接続されている。トランジスタQのベースはコレクタに接続され、エミッタは接地されている。
【0052】
図11において、バイポーラトランジスタQとバイポーラトランジスタQとは逆ワイドラーカレントミラー回路を構成しており、バイポーラトランジスタQのベース−グランド(GND)間には抵抗Rが挿入されている。したがって、コスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流が増えるとQに流れる電流が増え、抵抗Rに流れる電流も増え、電流の増加分を吸収する。ここでR>>Rであるから、抵抗Rでの電圧降下の増加は小さく、また、バイポーラトランジスタQのベース−エミッタ間電圧は流れる電流に対して対数圧縮されるためにほとんど抵抗Rの端子間電圧は上昇しない。しかし、抵抗Rでの電圧降下の増加分はそのままバイポーラトランジスタQのベース−エミッタ間電圧となり、バイポーラトランジスタQに流れる電流の増加分は大きな値となる。この時にコスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流はコスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流と等しいから、バイポーラトランジスタQに供給する電流が足りなくなり、バイポーラトランジスタQのコレクタ電圧が低下する。ここで、バイポーラトランジスタQのベースはバイポーラトランジスタQのコレクタに接続されているために、バイポーラトランジスタQに流れる電流が減少する。ここで、バイポーラトランジスタQは自己バイアスしているカスコードカレントミラー回路を駆動しているから、コスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流も減少し、所定の電流値に落ち着くことになる。すなわち、バイポーラトランジスタQ〜Qと自己バイアス回路を構成しているカスコードカレントミラー回路との間で負帰還の電流ループを形成していることがわかる。
【0053】
この時に、コスコードトランジスタMPとMP’に流れる電流はコスコードトランジスタMP〜MP’に流れる電流IOUTと等しいとすると、
OUT=(VBE1−VBE2)/R
=ΔVBE/R (23)
となる。ここでVBE1はおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持つ。また、VBE2もおよそ−1.9mV/℃の温度特性を持つ。ここで、Q、Qをいずれも単位トランジスタであるとすると、
ΔVBE=Vln{IC1/(IC2−VBE2/R)} (24)
と表わされる。ここで、IC1=IC2とすると常にIC1>(IC2−VBE2/R)であるから、IC1/(IC2−VBE2/R)}>1が成り立ち、(24)式のlnの項は常に正(>0)であることが理解される。すなわち、
ΔVBE=Vln[1/{1−VBE2/(IC2)}] (24)’
となる。(23)式は(20)式とは形が異なり、(24)’式に示すΔVBEが正の温度特性を持つ訳ではない。ここでは、ΔVBEがほとんど温度特性を持たないことを説明する。
【0054】
(24)’式において、Vは温度に比例する正の温度特性(+0.0853mV/℃)を持つ。また、(24)’式の[]内のVBE2はおよそ−1.9mV/℃前後の負の温度特性を持つ。簡単のために、抵抗Rの温度特性は無視できるほど小さいとすると、R>>Rであるから、IC2の積はVBE2を越える(IC2>VBE2)値となる。したがって、ln[1/{1−VBE2/(IC2)}]は1/{1−VBE2/(IC2)}の値が1より大きな、例えば2(それを与えるのはIC2=0.5VBE2)とか3(それを与えるのはIC2=0.667VBE2)とかの値となり、このように設定された値を中心にして温度が変化すると変動することになる。この変動する領域は、ln[1/{1−VBE2/(IC2)}]の関数においては比較的傾きが大きい領域にある。例えば、所望のIC2が温度特性を持たない場合でも、VBE2の持つ温度特性のために{1−VBE2/(IC2)}は温度に準じて変化する。すなわち、この温度変化のために[1/{1−VBE2/(IC2)}]は負の温度特性となる。このために、ln[1/{1−VBE2/(IC2)}]も負の温度特性を持ち、温度が低くなると大きくなり、温度が高くなると小さくなる。
【0055】
ここで、IC2は、単位トランジスタQに流れる電流と単位トランジスタQに並列接続された抵抗Rに流れる電流の和である。したがって、単位トランジスタQに流れる電流IC1とこのIC2が等しく制御されることでIC2の温度特性は、抵抗Rに流れる電流の温度特性(負の温度特性を持つVBE2に準じた負の温度特性)と抵抗Rに流れる電流の温度特性(VBE2とは逆の正の温度特性)とが互いに相殺されておよそ温度特性を持たなくなる。この時に、温度特性がほぼ相殺され、ln[1/{1−VBE2/(IC2)}]の[]内の値[1/{1−VBE2/(IC2)}]も温度が低くなると大きくなり、温度が高くなると小さくなる。ここで抵抗RとRの値を設定することでVの正の温度特性(その温度特性は0.0853mV/℃)をほぼ相殺するようにln[]の温度による変動を合わせ込むことができる。すなわち、ΔVBEは温度特性がほぼ相殺された電圧となる。
【0056】
この時に、出力される基準電圧VREF
REF=R*IOUT
=(R/R)ΔV (25)
と表わされる。また、抵抗比(R/R)は温度特性を持たないから、出力される基準電圧VREFも温度特性が相殺された電圧となる。ここで、抵抗比(R/R)は任意に設定でき、ΔVBEは数十mVから百数十mV程度の電圧であり、(R/R)>1を設定する((R/R)>1)ことで、VREFは1.0Vよりも低い電圧に設定できる。この場合には、電源電圧を下げられる。例えば、VREF=1.0Vに設定すれば電源電圧が1.2V程度から動作させることができる。
【0057】
以上、図10、図11に示した回路は、チャネル長変調の影響を低減する意図があり、カスコードカレントミラー回路で自己バイアスした場合を示した。こうしたカスコードカレントミラー回路を用いるやり方はこれまで説明したいずれの基準電圧回路にも適用可能であることは言を待たない。また、NチャネルトランジスタとNチャネルトランジスタも用いたbi−CMOSの場合に相当しているが、NPNトランジスタの他にPNPトランジスタが形成できるのであればバイポーラプロセスでも実現できる。
【0058】
最後に、図1に示した従来例の回路に自己バイアス化手法を適用するとオペアンプを省略することができる。ただし、ダイオード間の電流密度を異ならせるためにDは10〜100程度を並列接続する必要があり、チップ面積においては優位性がない。ただし、図4と図5に示した自己バイアス化手法は、本発明者による技術セミナー配布資料(2002年3月)に記載されており周知である。あるいはDesign Wave Magazine 2002 August(pp.153−158)にも掲載されている。
【0059】
図1に示した従来例の回路に図6と図7に示した自己バイアス化手法を適用すると図12に示される回路が構成される。図6と図7に示した回路の動作説明と同様に、図12においてもMOSトランジスタMPとMPのソース電圧は等しくなるように制御され、(13)式が得られ、基準電圧回路が実現できる。さらに、図8と図9に示した自己バイアス化手法を適用すると図13に示される回路が構成される。図8と図9に示した回路の動作説明と同様に、逆ワイドラーカレントミラー回路を介して自己バイアスすることで、図13においてもMOSトランジスタMPとMPのソース電圧は等しくなるように制御され、(13)式が得られ、基準電圧回路が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、従来の基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図5】図5は、本発明の第4実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図6】図6は、本発明の第5実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図7】図7は、本発明の第6実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図8】図8は、本発明の第7実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図9】図9は、本発明の第8実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図10】図10は、本発明の第9実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図11】図11は、本発明の第10実施形態による基準電圧回路の構成を示す回路図である。
【図12】図12は、図1に示した回路に図6と図7に示した自己バイアス化手法が適用されたときの回路の構成を示す回路図である。
【図13】図13は、図1に示した回路に図8と図9に示した自己バイアス化手法が適用されたときの回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0061】
MP−MP:PチャンネルMOSトランジスタ
MN−MN:NチャンネルMOSトランジスタ
−D:ダイオード
−R:抵抗
−Q:バイポーラトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電流−電圧変換回路と、
第2電流−電圧変換回路と、
前記第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御部と、
前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路であって、
前記第1電流−電圧変換回路は、第1ダイオードまたはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタを有し、
前記第2電流−電圧変換回路は、第2ダイオードまたはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタと第1抵抗の直列接続に並列接続された第2抵抗を有する
基準電圧回路。
【請求項2】
第1電流−電圧変換回路と、
第2電流−電圧変換回路と、
前記第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御部と、
前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路であって、
前記第1電流−電圧変換回路は、第1ダイオードまたはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタを有し、
前記第2電流−電圧変換回路は、第2ダイオードまたはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタと第1抵抗の並列接続に直列接続された第2抵抗を有する
基準電圧回路。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載の基準電圧回路において、
前記制御部は、差動増幅器あるいはオペアンプである
基準電圧回路。
【請求項4】
請求項1および請求項2に記載の基準電圧回路において、
前記制御部は、前記第1カレントミラー回路を含むカレントミラー回路により自己バイアスされた第2カレントミラー回路である
基準電圧回路。
【請求項5】
請求項1および請求項2に記載の基準電圧回路において、
前記制御部が、前記第1電流−電圧変換回路に供給される電流と前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流を第2カレントミラー回路により比較し、前記第2カレントミラー回路の出力で第3カレントミラー回路をバイアスすることで前記第1電流−電圧変換回路と前記第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する
基準電圧回路。
【請求項6】
請求項1および請求項2に記載の基準電圧回路において、
前記制御部が、前記第1カレントミラー回路を含む逆ワイドラーカレントミラー回路により自己バイアスされた第2カレントミラー回路である
基準電圧回路。
【請求項7】
第1電流−電圧変換回路と、
第2電流−電圧変換回路と、
前記第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御部と、
前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路であって、
前記第1電流−電圧変換回路は、第1バイポーラトランジスタを有し、
前記第2電流−電圧変換回路では、ダイオード接続された第2バイポーラトランジスタと第1抵抗が直列接続され、さらに第2抵抗が並列接続されており、前記第1バイポーラトランジスタのベースと前記第2バイポーラトランジスタのベースが共通接続され、
第3バイポーラトランジスタのベースは、前記第1電流−電圧変換回路の出力端子に接続され、前記第3バイポーラトランジスタのコレクタは前記第1カレントミラー回路を駆動する
基準電圧回路。
【請求項8】
第1電流−電圧変換回路と、
第2電流−電圧変換回路と、
前記第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御部と、
前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路であって、
前記第1電流−電圧変換回路は、第1バイポーラトランジスタを有し、
前記第2電流−電圧変換回路では、ダイオード接続された第2バイポーラトランジスタと第1抵抗が並列接続され、さらに第2抵抗が直列接続されており、前記第1バイポーラトランジスタのベースは、前記第2抵抗に接続され、
第3バイポーラトランジスタのベースは前記第1バイポーラトランジスタのコレクタに接続され、前記第3バイポーラトランジスタのコレクタは前記第1カレントミラー回路を駆動する
基準電圧回路
【請求項9】
第1電流−電圧変換回路と、
第2電流−電圧変換回路と、
前記第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御部と、
前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路であって、
前記第1電流−電圧変換回路では、第1ダイオードまたはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタと第1抵抗が並列接続されており、
前記第2電流−電圧変換回路では、第2ダイオードまたはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタと第2抵抗が直列接続され、さらに第3抵抗が並列接続されており、
前記制御部が、前記第1電流−電圧変換回路に供給される電流と前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流を第2カレントミラー回路により比較し、前記第2カレントミラー回路の出力で第3カレントミラー回路をバイアスすることで前記第1電流−電圧変換回路と前記第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する
基準電圧回路。
【請求項10】
第1電流−電圧変換回路と、
第2電流−電圧変換回路と、
前記第1電流−電圧変換回路と第2電流−電圧変換回路の電圧が等しくなるように制御する制御部と、
前記第1電流−電圧変換回路または前記第2電流−電圧変換回路に供給される電流値に比例する電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1カレントミラー回路からの出力電流を第3抵抗を介して電圧を供給する基準電圧回路であって、
前記第1電流−電圧変換回路では、第1ダイオードまたはダイオード接続された第1バイポーラトランジスタと第1抵抗が並列接続されており、
前記第2電流−電圧変換回路は第2ダイオードまたはダイオード接続された第2バイポーラトランジスタと第2抵抗が直列接続され、さらに第3抵抗が並列接続されており、
前記制御部が、前記第1カレントミラー回路を含む逆ワイドラーカレントミラー回路により自己バイアスされた第2カレントミラー回路である
基準電圧回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−133916(P2006−133916A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319908(P2004−319908)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】