説明

塗布ノズル検査装置および検査方法ならびに塗布ノズルを用いた塗布方法

【課題】パネルやカラーフィルターに色むらができないように、吐出の有無だけでなく吐出量の多少を評価できる塗布ノズル検査装置と検査方法、ならびに塗布ノズルを用いた塗布方法を提供する。
【解決手段】塗布ノズル90の検査装置において、連続的に吐出される液体によって形成される柱状流を生成する吐出口92が一列に配列されている塗布ノズルに液体を供給する液体供給手段と、前記柱状流に光を放射する照明手段15と、前記照明手段から放出された光の反射光を受光する受光手段16と、少なくとも前記受光手段に接続され、受光手段からの出力を受信する制御手段17を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置の蛍光体や色素材の塗布に用いる塗布ノズルの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置といったフラットディスプレイ装置では、カラー表示をするために、3原色もしくは色彩表現をより豊かにするために3原色に更にもう1色を加えた4色のカラーパターンを有している。例えば、液晶ディスプレイ装置では、カラーフィルターによって、背面からの光に色づけされた光を放出する。また、プラズマディスプレイ装置では、微小な枠(セル)中に蛍光体を配置して放電させ、蛍光体の発する色光を放出している。いずれの場合も、微小でかつ一定の大きさを持ったセルに色素材や蛍光体を塗布する必要がある。これらの枠の配置の方法もいくつか提案されているが、製造が容易であるのは一列に色を配置する方法である。
【0003】
図11(a)にセルへの塗布の1例を示す。図はプラズマディスプレイパネルの場合について示す。パネル101には微小なセル102が列毎に配置されている。それぞれのセルには、列毎に赤、青、緑といった蛍光体が塗布される。ここで、塗布ノズル90には、同じ色の蛍光体が塗られる位置に吐出口が一列に連なるように配列されており、列毎に同一色を一斉に塗布する。列毎に塗液を塗布する方法には他にもいくつかの方法があるが、図11(a)のように塗布用の塗布ノズルを用いた方法は、高速に処理できる点で有用である。
【0004】
なおここで本発明においては、塗液の供給を受けてこれらを微細な孔から吐出し、対象物に塗布するための部材全体を「塗布ノズル」と称し、この塗布ノズルが有する直径1mm以下の微細な孔を「吐出口」と称し、以下の説明で用いる。
【0005】
一方この塗布方法で注意すべき点は、塗布ノズルの吐出口の口径が塗布量を決める大きな要因となるため、多くの吐出口の口径については、高い精度で作製される必要がある。従って、塗布ノズルは、錆による塗液の汚染(コンタミ)を防止するため耐食性が優れ、且つ加工精度の高いステンレス鋼で作製される場合が多い。また、塗液を貯留するマニホールドの内壁は、その内壁に付着するゴミによるコンタミを最小限にするため、研磨されるのが好ましい。
【0006】
図11(b)に塗布ノズルの断面を例示する。本図の場合、塗布ノズルはノズル本体97と上面部96で構成されており、更にノズル本体97によって塗布ノズルの吐出口92とマニホールド99が形成される。ここで図11(b)では、マニホールド99に塗液91が上部に空気室を残して充填されている様子を示している。
【0007】
また、吐出口の口径は、パネルの画素が小さくなるに従って小さくなる。特に近年の表示パネルの高画質化は、吐出口径の縮小化を招くことになる。表示パネルにおいては、たとえ1画素でも不良であると、パネル全体が不良となるため、塗布ノズルに形成された微小な吐出口は全て、所定量の塗液の吐出が可能でなければならない。
【0008】
しかし、多数の微小な吐出口は、どこかで目詰まりが生じる場合があり、洗浄して組み上げた後、吐出口に詰まりがあるかないかといった検査が必要となる。
【0009】
従来このような塗布ノズルの目詰まり検査に関する発明としては、インクジェットノズ
ルの検査方法が知られている。例えば、特許文献1では、検査のために試し印刷をした後、製品などに組み込まれたインクジェットノズルの中で、溶剤が蒸発し、残った固形分が目詰まりの原因となることが示されている。これを解決するために、特許文献1では、固形分を有しない液体を試験印刷に用いる発明が開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、インクジェットノズルから液滴が出るか否かを検査する方法として、液滴の飛行経路の途中に発光部と受光部を有する検出器が開示されている。この検出器は、光の前を液滴が通過した際に、受光部が光を受けなくなることを検知して、インクジェットノズルから液滴が吐出されたか否かを判断する。
【0011】
また、特許文献3のように組み立てた状態のノズルを洗浄する方法が知られているが、この場合、吐出孔より大きい異物を排出するため、吐出孔より大きい排出口が必要となる。この排出口は、塗布する際には不要であり、塞ぐ必要があるが、この塞ぐ作業をする際に異物が混入するため、詰まりを完全になくすことはできず、詰まり検査が必要となってくる。
【特許文献1】特開2003−311976号公報
【特許文献2】特開2006−69226号公報
【特許文献3】特開2004−314048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
インクジェットノズルのように非常に小さな液滴を吐出する場合は、液滴が出ているか否かの判断だけでもよい。しかし、ディスプレイパネルのフィルターや蛍光体の塗布は、吐出量も問題となる。なぜなら、塗液が吐出してはいるものの、吐出量が規定値に達しない場合は、その列だけ色が薄くなるなどの弊害が生じ、パネル全体として不良となりうるからである。
【0013】
すなわち、塗布ノズルに形成された多数の微小な吐出口から供給される塗液量が適切であるかどうかを検出しなければならないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたもので、塗布ノズルの吐出口から吐出された液体の半径を光の輝度に変換し求めることで、吐出量の適切さを判断するものである。
【0015】
すなわち、本発明の第1の局面は、
塗布ノズルの検査装置において、
連続的に吐出される液体によって形成される柱状流を生成する吐出口が一列に配列されている塗布ノズルに液体を供給する液体供給手段と、
前記柱状流に光を放射する照明手段と、
前記照明手段から放出された光の反射光を受光する受光手段と、
少なくとも前記受光手段に接続され、受光手段からの出力を受信する制御手段を有する塗布ノズル検査装置を提供する。
【0016】
また、本発明の第2の局面は、
前記受光手段の分解能Rは、前記柱状流の直径をφとして(6)式で表される第1の局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。ここで(6)式は以下の関係を満たすものである。
【0017】
【数1】

・・・・(6)
【0018】
また、本発明の第3の局面は、
前記塗布ノズルを保持する塗布ノズル保持手段と、
前記照明手段を保持する照明手段保持手段と、
前記受光手段を保持する受光手段保持手段を有し、
前記塗布ノズル、もしくは前記照明手段と前記受光手段の少なくともどちらか一方を前記塗布ノズルに一列に配列された前記吐出口の配列方向に相対移動させるガイド手段と駆動手段を有する第1又は第2の何れか局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
【0019】
また、本発明の第4の局面は、
前記制御手段に接続され、
前記ガイド手段上での前記塗布ノズル、もしくは前記照明手段と前記受光手段の位置を示す情報を検知し出力する位置検出手段をさらに有する第1乃至3の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
【0020】
また、本発明の第5の局面は、
前記塗布ノズルに液体を供給する際に、前記塗布ノズルの姿勢を変える手段を有する第1乃至4の何れかの局面の検査装置を提供するものである。
【0021】
また、本発明の第6の局面は、
前記液体供給手段が、前記塗布ノズルに断続的に液体を供給する機能と前記塗布ノズルに連続して液体を供給する機能を有する第1乃至5の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
【0022】
また、本発明の第7の局面は、
前記塗布ノズルの検査を実施する前に前記塗布ノズル内に固着した異物の固着力を弱める異物固着力低減手段を有する第1乃至第6の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
【0023】
また、本発明の第8の局面は、
前記制御手段に接続された検査結果を表示するための表示手段を有する第1乃至第7の何れかの局面の塗布ノズル検査装置を提供するものである。
【0024】
また、本発明の第9の局面は、
塗布ノズルに形成された吐出口によって形成された柱状流に光をあて、前記柱状流からの反射光を受光して得た輝度値を得る測定工程と、
前記測定工程によって得られる前記輝度値と所定の閾値とを比較し異常値か否かを判断するデータ処理工程を有する塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0025】
また、本発明の第10の局面は、
前記測定工程は、さらに前記反射光を発した前記柱状流の位置情報も得る工程である第9の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0026】
また、本発明の第11の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流に対して前記位置情報と前記輝度値を複数回求める工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数回求めた輝度値から少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である第10の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0027】
また、本発明の第12の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での輝度値と、前記柱状流の位置情報を得る工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数個所での輝度値から少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である第10または第11の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0028】
また、本発明の第13の局面は、
前記データ処理工程は、前記測定工程によって得られる輝度値から、前記輝度値に対応する前記吐出口の位置情報を求め、前記輝度値と所定の閾値を比較し異常値か否かを判断する工程である第9の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0029】
また、本発明の第14の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流に対して前記輝度値を複数回得る工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数回求めた輝度値から前記吐出口の位置情報と、
少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である第13の局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0030】
また、本発明の第15の局面は、
前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での輝度値を得る工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数個所での輝度値のうち少なくとも1つの前記輝度値から前記吐出口の位置情報を求め、
さらに、前記複数個所での輝度値から少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である第13乃至第14の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0031】
また、本発明の第16の局面は、
前記データ処理工程で判断の対象となる前記柱状流に対して、
少なくとも、
隣接する2つ以上の柱状流の前記輝度平均値同士をさらに平均することで輝度平均値に対する閾値を求める処理か、
隣接する2つ以上の柱状流の前記輝度標準偏差値同士をさらに平均することで輝度標準偏差値に対する閾値を求める処理か、
のいずれか、もしくは両方の処理を行う閾値算出工程をさらに有する第9乃至第15のいずれかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0032】
また、本発明の第17の局面は、
前記測定工程の前に、前記塗布ノズルの姿勢を変えながら液体を供給する工程を有する第9乃至16の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0033】
また、本発明の第18の局面は、
前記測定工程の前に、前記塗布ノズルに断続的に液体を供給する工程を有する第9乃至17の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0034】
また、本発明の第19の局面は、
前記測定工程の前に、前記塗布ノズル内に固着した異物の固着力を弱める異物固着力低減工程を有する第9乃至18の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0035】
また、本発明の第20の局面は、
前記データ処理工程において異常値と判断された点の前記位置情報を表示する工程を有する第9乃至第19の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を提供するものである。
【0036】
また、本発明の第21の局面は、
塗布装置に塗布ノズルを搭載する前に、第1乃至第8の何れかの局面の塗布ノズル検査装置、もしくは第10乃至第20の何れかの局面の塗布ノズル検査方法を用いて塗布ノズルの良否を判定し、不良のないノズルを選別して塗布に用いることを特徴とする塗液の塗布方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、塗布ノズルの吐出口から吐出される液体に光をあてた場合に柱状流の直径(太さ)によって反射光の状態が変化することを利用し、その反射光の輝度を測定することで柱状流の直径の大小を求め、更にその情報から吐出口毎の吐出量を相対的に測定可能にできる。従って、塗布ノズルに設けられた多数の吐出口から液体が出ているか否かだけでなく、吐出量が不足しているか否かを検査することができる。
【0038】
特に洗浄後、組み立てられた塗布ノズル(更に厳密には、生産時に液体が内壁に接する可能性のある塗布ノズル付属部品全てを含む)に異物が残留していると、生産開始直後に異物が吐出口まで移動し、吐出口を詰まらせ、装置不良を誘発し、新たな塗布ノズルに付け替えなければいけない。つまり、手間取りが生じる。
【0039】
しかし、洗浄・組み立て後の塗布ノズルに本検査を実施することで、異物を内包していた塗布ノズルは再洗浄へ戻し、異物を内包していない塗布ノズルはそのまま適切に生産に使用できる。すなわち、異物詰まりを起こさない塗布ノズルを塗布装置に組み込み長期間連続して使用できるので、工程稼働率の低下を防止できる。
【0040】
加えて、液体を流す際に塗布ノズル(更に厳密には、生産時に液体が内壁に接する可能性のある塗布ノズル付属部品全てを含む)の姿勢を、塗布ノズルに内包している異物が流れやすくする姿勢にし、また、その際に、液体を断続的に供給することで、確実に異物を吐出口付近まで移動させることによって、不良ノズルの発見率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図1に本発明の塗布ノズル検査装置の構成を示す。なお本明細書中においては説明の都合上、塗布ノズルに一列に配列された複数の吐出口の配列方向と実質的に同じ方向に照明装置、受光装置を相対移動させる構成を例に挙げた。また吐出口がひとつの塗布ノズルについては一般的な列という概念を満たさないので、この場合は塗布ノズルと照明装置、受光装置の相対移動を行う必要はない、もしくは相対移動の方向は任意で良いと考えることとする。
【0042】
本発明の塗布ノズル検査装置は、レール11と、ステージ12と駆動モータ13と位置センサ14と、照明装置15と受光装置16と、制御装置17が含まれる。なお後述するように位置センサ14は必ずしも必要ではない。検査対象物である塗布ノズル90は、レール11の前に、図示していないフレーム体によって保持される。図1においては、塗布ノズル90は上から見た図になっており、吐出口92が紙面裏側に向けて形成されている。
【0043】
本発明の塗布ノズル検査装置は、さらに、表示器19、超音波振動装置20、気泡発生装置21、パン25、ポンプ26およびフィルター27、姿勢変化装置110(図2に示す)、液体断続供給バルブ121が含まれていてもよい。
【0044】
図2には、レール11側から見た状態を示す。塗布ノズル90は図示されていないフレーム体によってパン25の上方に保持される。
【0045】
以下に図1、図2および図3を参照してより詳細な説明を行う。
【0046】
本発明の塗布ノズル検査装置は、塗布ノズルの吐出口から吐出する液体の吐出量を調べるので、塗布ノズルからは連続的に液体が吐出されている状態にする必要がある。この連続的な液体は柱の形状になるために、柱状流とよぶ。パン25、ポンプ26は、検査の最中に塗布ノズル90が柱状流を吐出し続けるために用意されるものである。これらは液体供給部と呼んでもよい。液体供給部は検査の間、連続的な柱状流の吐出がなされれば良いのでパンとポンプだけに限られるものではない。
【0047】
パン25の底部には、図示していないが排出用の口があり、そこからパイプがポンプ26に接続されている。また、ポンプ26からは、塗布ノズルの液供給口93にパイプが接続されている。ポンプ26から供給される液体31は、塗布ノズルの液供給口93から塗布ノズル90のマニホールド内に入り、各吐出口から連続的に流れ出る柱状流95としてパン25に落下する。なお検査用の液体の供給口93は塗布用の塗液の供給口と同じであっても良いが、異なる構成でも良い。パン25に落下した液体30は、ポンプの陰圧によって再びポンプ26に戻る。このように、検査用の液体は循環し、柱状流を形成し続ける。
【0048】
なお液体流路をこのような閉ループで構成した場合には、塗布ノズル内部に吐出口径よりも小さい異物(詰まりの原因にはならないもの)が残留していた場合に異物が再び塗布ノズル内に戻って検査後に残留異物となり、実際の生産で塗液に混入して製品に悪影響を及ぼす可能性がある。これに対しては流路におけるポンプ26直後に吐出口の面積に対して充分に目の細かいフィルター27を装着することによって異物を液体内から除去できるため好ましい。また液体は再利用せず、常に新鮮なものを供給できるように流路を構成しておけば吐出された異物が塗布ノズル内に戻ることが無く好ましい。ここで検査に使用する液体は、塗布ノズルに対して腐食性がなく、且つ吐出口を詰まらせる要因となる異物を含まないものであれば良いが、検査終了後塗布ノズルを乾燥させる必要がある場合は、純水、エタノール、IPAなどの有機溶剤等が好適である。
【0049】
塗布ノズル90の前には、測定対象である塗布ノズルに列状に並んで配列された吐出口の並び方向(列)と平行にレール11が設置される。レール11は、後述するステージを常に同一軌道で移動させるためのガイドである。従って、図1では、2本レールを示しているが、2本でなくてもよい。またステージを移動させるための手段としてはボールネジ駆動ステージやリニアガイド、エアーアクチュエータなどの一般的な工業用ステージ全般が使用可能である。
【0050】
レール11にはステージ12が移動可能に設置されている。移動可能になる手段は、車輪、空気による浮上、磁気による浮上など、特に限定されるものではないが、ステージ12の下側にレール幅の車輪を取り付けておくのが簡便である。ステージは、照明装置15および受光装置16を搭載するので、移動中に上下や左右に振動が発生しにくい移動可能手段を有するのがより好ましい。レールの真直度は1.0mm以下が好ましく、0.1mm以下が更に好ましい。
【0051】
また、ステージは照明装置と受光装置を搭載するので一定の広さを有するのが好ましい。ここで一定の広さとは、照明装置と受光装置が一定の距離をおいて搭載できれば足りる。また、照明装置と受光装置の取り付け位置と角度は、微小調整ができるようになっているのが好適である。本発明の検査装置は、光の反射光を利用するため、照明装置と受光装置の取り付け角度は検出する信号のSNR(Signal Noise Ratio)に直接関係するからである。
【0052】
ステージ12には、駆動モータ13が取り付けられている。駆動モータ13は、ステッピングモータやACモータ、DCモータ、サーボモータなどが好適に用いられる。また、駆動モータ13は後述する制御装置17からの指示Cdvによって、レール11上を左右に移動または停止といった動作を行う。
【0053】
また、ステージ12には、位置センサ14が搭載されてもよい。位置センサ14は、ステージ12が現在レール11上のどこに位置するかという位置情報Ipsを後述する制御装置17に送る。また位置情報Ipsは、測定対象である塗布ノズル90に設けられた吐出口のうち、どの吐出口に対して測定を行っているかという吐出口に関する位置情報であってもよい。最終的に必要なのは測定された吐出口の位置情報である。位置センサ14は、ポテンショメータを利用するもの、リニアエンコーダを用いるもの、ステージ移動制御量をフィードバックしたもの、モータ回転数をカウントするもの、レーザー式変位計を用いるものなど、特に限定されることなく利用できる。
【0054】
ステージ12上には照明装置15と受光装置16が搭載される。照明装置15は、レーザーやLED(Light Emitting Diode)、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプのように一般的な計測に使用されるランプなどが好適に利用でき、平行光線若しくは収束光35が塗布ノズルの吐出口92の下に形成される柱状流に当てられる。照明装置からの光線は柱状流に当てるので、分かり易いように可視光領域の光を出せるものがより好ましい。柱状流にあたった光は反射光36となって受光装置16で電気信号Irfに変換される。電気信号Irfは輝度値Irfと呼んでもよい。
【0055】
輝度値IrfはA/D変換されたデジタル信号として説明を続けるが、受光装置16からはアナログ信号のまま出力され制御装置でデジタル化されてもよい。受光装置16は、フォトダイオードやCCD(Charge Coupled Device)等が好適に利用できる。電気信号Irfは、後述する制御装置17に送られ、処理される。照明装置15や受光装置16は収束用のレンズを備えていても良い。
【0056】
本発明ではこの反射光36の強度を示す輝度値Irfで、柱状流の太さを検出し、吐出の不良を検出する。従って、どのような考え方で柱状流の太さを検出するかについて以下に説明を加える。
【0057】
図4(a)には、照明装置15からの照射光35と、一本の柱状流95と、反射光36を受ける受光装置16の関係を示す。ここで、柱状流から見た照射光35の広がりを入射外周角θj(53)、反射点から受光装置の入射瞳にはる角度を開口角θk(54)とする。
【0058】
図4(a)において、照明装置15としてはその一部の発光面を、照射光35と反射光36は主光線軸を、受光装置16としてはその一部の入射瞳をそれぞれ表している。柱状流正面に当たった照射光35は入射角θi(51)と同じ反射角θr(52)で反射され反射光36となる。しかし、実際には照射光は一定の広がりを持っており、また受光装置16も有限の入射瞳を有している。
【0059】
つまり、受光装置16で受けることのできる光は、柱状流の正面の点だけでなく、一定の広がりを持つ。これを反射許容角θ(60)とする。言い換えると、この反射許容角θ(60)とは、柱状流95の中心から見てこの角度の範囲内で柱状流に照射された光は、受光装置16で受ける範囲に反射できる角度であると言える。
【0060】
図4(b)を用いてより詳しく説明する。柱状流の正面における接線を接線66とする。実際は反射面であるが説明のため便宜的に接線という。さて、照射光のうち、柱状流95に対して最も大きな角度で照射されるのは、入射外周角がθj/2である光線(55)である。この光線の接線66に対する入射角はθi+θj/2である。この光線(55)が、柱状流の正面より左側で反射された場合、反射光56の角度が、接線66に対する反射角としてみたときに、θr−θk/2より小さくなるまでは、受光装置で検知可能である。その時の柱状流上での反射点を反射点67とする。すると、反射許容角θ(60)とは、反射点67における接線が接線66となす角度であると言える。
【0061】
接線66に対する入射角θiと反射角θrは等しい角度であることを考慮すると、照射光55の接線66に対する反射光57と、反射点67での反射光56の角度差はθj/2+θk/2と求められる。従って、反射許容角θ(60)は、(1)式のように表すことができる。
【0062】
【数2】

・・・・(1)
【0063】
(1)式より、反射許容角θは、入射外周角θj(53)と開口角θk(54)だけで決まる角度であることがわかる。この反射許容角を用いると柱状流の反射幅bw(65)を(2)式として求めることができる。反射幅bwとは、受光装置から見た反射光の幅である。
【0064】
【数3】

・・・・(2)
【0065】
ここでφは柱状流の直径50で、rは柱状流の半径である。吐出口から流出する液体の吐出量がなんらかの原因で減少したとすると、柱状流の径が小さくなる。従って吐出量の変化は式(2)より反射幅bwの変化として検出することができる。
【0066】
さらに、受光装置16の分解能Rについての検討も加える。受光装置16の分解能Rとは、一回の受光動作において受光装置の受光素子が捕らえることのできる領域面積を示し、受光素子自体のサイズやレンズの倍率などで制御可能である。ここで受光素子とは、例えば受光装置がフォトダイオードの場合は1つのフォトダイオードであるし、CCDカメラの場合は1つのCCD素子である。一般的にはひとつの受光素子について定義される言葉であるが、本件発明の場合、複数の受光素子群をまとめてひとつの受光素子(領域)と捉え、受光素子(領域)内の各受光素子のデータを積算しても同様の効果が得られるため、このような場合も分解能の定義に含めることとする。
【0067】
例えば、分解能Rが柱状流の直径φ(=2r)と同じであるなら受光装置は1度に柱状流の直径分の幅からの光を受光することができるということである。なお、ここでは分解能Rを考える際に柱状流の流れ方向(縦方向)に関わる反射光状態は変化しないと考えている。
【0068】
この分解能Rと反射幅bwを使い、理論輝度Brを(3)式のように決める。
【0069】
【数4】

・・・・(3)
【0070】
すなわち、理論輝度Brとは分解能R中に見える反射幅bwの割合で表す。例えば、仮に分解能Rは柱状流の直径φと同じ幅であったとする。すると、(3)式にR=2rを代入して得られる理論輝度Brはsinθである。反射許容角θは入射外周角と開口角で決まる角度であった。仮に入射外周角θjを20度、開口角を8度と見積もってみると、θは7度となり、理論輝度Brは、約0.122となる。これを輝度階調10ビット(値で0〜1023)で表すと、輝度階調は125に相当する。
【0071】
吐出量は柱状流の縦方向の単位長さと柱状流の断面積63の積と考えることができる。柱状流の断面積S(63)は(4)式のように表される。
【0072】
【数5】

・・・・(4)
【0073】
(4)式を(2)式に代入し、さらに(3)式に代入して整理すると(5)式を得る。
【0074】
【数6】

・・・・(5)
【0075】
分解能Rを柱状流の直径φとの関係で表し、φを100μm、開口角θkを8度、入射外周角θjを20度、輝度階調を10ビットで表し、計算した結果を図5に示す。縦軸は輝度階調を表し、横軸は面積率(%)を表す。面積率とは、吐出口の面積に対する柱状流の断面積の割合である。吐出量に変化がなければ、吐出口と柱状流は同じ断面積を有する。また、図5では、φ/Rが異なる場合について計算を行なった。φ/Rが1の時とは、分解能Rが柱状流と同じ幅であった場合である。反射幅が分解能に対して狭いため、吐出量が正常であっても、輝度階調は128程度にしかならない。これは、1024階調において全階調の12.5%しか利用できないことを意味する。つまり、φ/Rが小さくなると、測定の際の柱状流の変化に対する感度が悪くなる。よって、φ/Rは大きい方がよい。
【0076】
一方、φ/Rが10の場合は、分解能Rが柱状流の直径の1/10であるので、柱状流が正常である場合は反射幅の方が大きくなり、輝度階調は1024を超える。つまり、φ/Rが大きくなりすぎると、柱状流が少し詰まった程度では検知できなくなる。
【0077】
以上を踏まえると、理論上は感度特性としては面積率が100%の場合に輝度最大(例では1023)が得られることが好ましく、上記例ではΦ/R=8.2付近が最も好ましい値となる。ただしこの感度特性は入射外周角θj(53)と開口角θk(54)が変ることで変化する値であるため、実際の装置を構成する機器として入手可能な一般的な機器の入射外周角θjと開口角θkを鑑みた場合、φ/Rは1から100までの値が好ましい。従って、受光装置16の分解能Rは、柱状流の直径φを用いて(6)式の範囲に設定するのが望ましい。
【0078】
【数7】

・・・・(6)
【0079】
以上のような関係を有する照明装置と受光装置は一定の角度を持ってステージ上に取り付けられる。上記の考察から入射角θiと反射角θrは、測定の輝度階調変化傾向には影響しない。しかし、測定対象である塗布ノズルに列状に並んで配列された吐出口の並び方向(列)とステージは必ずしも完全に平行にセットできない場合もある。その場合、柱状流は吐出口列の右端と左端でステージからの距離が変ってくる。
【0080】
そうすると、入射角と反射角が大きい場合は、設計上の柱状流面での反射点がずれてしまい、入射角θiと反射角θrの関係に誤差が生じやすくなる。一方で、測定に光を用いている関係上、一般的には入射角θi、反射角θrが大きいほうが反射光量が増大するため、照明装置のパワーセーブには有利となる。従って、入射角と反射角は、塗布ノズルに列状に並んで配列された吐出口の並び方向(列)とステージの平行度を加味して検査に影響がでないような充分に狭い角度範囲の中で、なるべく広く設定することが好ましい。
【0081】
なお、塗布ノズルの吐出口の位置は、塗布ノズル毎に異なる場合もある。これを補正するために、例えば照明装置か受光装置のいずれか若しくは両方とも可動できるようにしてあってもよい。
【0082】
図1に戻って、制御装置17は、駆動モータ13、位置センサ12、照明装置15、受光装置16、表示器19と接続されている。駆動モータ13には駆動命令Cdvを送信し、位置センサからは現在の位置情報Ipsを受け取る。照明装置へは発光命令Ceを送り、受光装置からはデジタル変換された輝度情報Irfを受ける。
【0083】
制御装置17は受け取った情報を処理し、処理結果を表示部19に表示させる。なお、処理結果に基いた何らかの擬似制御信号を外部に送信してもよい。ここで擬似制御信号とは、何らかの値であっても良いし、メッセージであってもよい。
【0084】
また、制御装置17は、超音波振動装置20や図示しない液体に振動を与える超音波振動装置、気泡発生装置21と接続されていてもよい。超音波振動装置20は、図示していないフレーム体に固定され、塗布ノズル90に微小振動を加える装置である。これにより塗布ノズル90内に内包する異物が塗布ノズル90の内壁から剥離し、液体を流した際に
吐出口まで移動させることができる。また超音波振動装置は、塗布ノズルへの液体流入前にその液体自体にあらかじめ微小振動を加える装置の場合もある。これらは例えば、ピエゾ振動板から構成される振動付与器であってもよい。この場合は、液中を振動が伝播し、上記と同様の効果を得ることができる。制御装置17は、超音波振動装置20に対して振動のON、OFFを指示する駆動命令Cvを送る。また、気泡発生装置21は、微小泡を検査用の液体に混入する装置である。気泡発生装置21へもON、OFFを指示する動作命令Cblを送る。
【0085】
図2は、塗布ノズル系に内包する異物を、吐出口に移動させやすくするため、塗布ノズルの姿勢を変化させる姿勢変化装置110と、液体を断続的に供給する液体断続供給バルブを含む液体循環装置120を備える塗布ノズル検査装置を示す。図2(a)は、レールのある側から見た図であり、図2(b)は、横から見た断面図を示す。
【0086】
この塗布ノズル検査装置は、
(1)塗布ノズルの両端を固定するチャック112と、チャック112を塗布ノズル長手方向に回転自由で固定する軸受け111と、チャック112に接続され長手方向を軸に塗布ノズルを回転し所定の角度で静止可能なサーボモータ113で構成される姿勢変化装置110と、
(2)パン25、ポンプ26、液体断続供給バルブ121、フィルター27およびフレキシブルチューブ122で構成される液体循環装置120と、
(3)塗布ノズル90、塗布ノズルに接続された塗液タンク131、塗液フィルター132および塗液供給配管133で構成される塗布ノズル系を含む。また、液体循環装置120と塗布ノズル系130は、接続フランジ123で繋がれ、フレキシブルチューブ内を流れた液体は、塗布ノズル系内に供給される。
【0087】
図3に姿勢変化装置110を作動させた場合のノズルの動きを示す。ここでは、ノズルに設けられた吐出口92が紙面表側になるように、90度ノズルを回転させた様子を示す。図3(a)はレールのある側から見た図であり、図3(b)は断面図である。
【0088】
姿勢変化装置110は、塗布ノズルの向きを詰まり検査を行う向きで液体を流しただけでは、異物が下流(吐出口方向)へ流れない場合がある。例えば、図2のように塗液供給配管を下から上へと流れる部分において、液体の流れによって異物に働く上向きの力より、重力による下向きの力の方が大きい場合が考えられる。また、塗液タンク131の配管拡大部や塗液供給配管の曲がり部では渦が発生し、そこに異物が拘束される場合が考えられる。その場合、図3のようにこの塗布ノズル検査装置の姿勢変化装置を用いて、塗布ノズル系の姿勢を変えることで、塗液供給配管133内の重力によって移動できなかった異物を下流へ流し、また、液体を断続供給することで渦などの液体滞留部に拘束された異物を下流に流すことが可能となり、異物を吐出口まで移動させることができる。
【0089】
ここで、図2および図3には、サーボモータを用いた回転による姿勢変化装置を用いているが、ノズルの姿勢がその塗布ノズル系に内包する異物が移動しやすい姿勢にすることができれば、ロボットハンドなどで姿勢を変化させても良く、特にサーボモータによる回転機構に限定されるものではない。また、液体循環装置の液体断続供給機能は、塗布ノズル系に液体を断続的に供給できるものであれば、ポンプのON−OFF等で液体を断続供給しても良く、特に液体断続供給バルブに限定されるものではない。
【0090】
次に本検査装置を用いた検査方法について説明する。すでに説明したように検査装置のレールは、ステージが塗布ノズルに列状に並んで配列された吐出口の並び方向(列)と平行に移動するようにセットされているものとする。
【0091】
図6には、検査方法の全体フローを示す。検査がスタートすると(S1000)、事前処理として、液体を塗布ノズルへ流入させ(S1010)、各吐出口から液体を吐出させる。
【0092】
この事前処理時に、この塗布ノズル検査装置の姿勢変化手段と液体断続供給手段を用いて、塗液フィルター、塗液タンク、塗布ノズルおよび配管内の異物を吐出口まで移動させる事前処理を行う。
【0093】
まず、塗布ノズルを吐出口が下向きになるように姿勢変化装置に取り付け、パン25に純水を満たし、循環ポンプ26を起動し、フィルターを介して塗液フィルター、塗液タンク、塗布ノズルに液体を供給し、比較的軽い繊維状異物等を吐出口に移動させる。
【0094】
次に吐出口が横を向くように塗布ノズル系を長手方向を軸にノズルを90度回転させ、液体を供給する。これにより吐出口が下向きの状態では重力により流れることのできなかった比較的重い金属異物類を吐出口に移動させることができる。
【0095】
また、このとき液体断続供給バルブを用いて、塗液タンクの急拡大部や曲がり配管で発生する渦により滞留していた異物が、その滞留部から外れ、流れに乗って吐出口に移動させる。形状の複雑な塗布ノズル系においては、この操作により、塗布ノズル系に内包されていたほとんどの異物を吐出口に移動させることができ、詰まり検査の精度を向上させることができる。
【0096】
次に、吐出口が下向きになるように、先ほど回転した向きとは逆向きに塗布ノズルを90度回転させた後、液体を供給し、吐出口から柱状流を吐出する。
この操作により、塗布ノズル内に異物が残留していれば異物は液体によって吐出口へ運ばれる。異物のサイズや形状によって異物は、
(1)吐出口を完全に塞ぐ、
(2)吐出口の一部を塞ぐ、
(3)吐出口から完全に排出される、
の3種類の現象のうちの何れかを引き起こす。
【0097】
無論、本検査においては上記(1)(2)の状態を検出することを目的としている。ここで上記(3)の場合、液体の吐出動作によって塗布ノズル内に残留していた異物が除去されることになるので、内包されていた異物の有無を検出することはできないが異物が除去されるのであるから問題はない。
【0098】
一方、異物が塗布ノズル内壁に固着している場合も考えられる。この場合、生産開始直後はあたかも正常な塗布動作を実施したとしてもいずれ塗液によって異物が移動させられ、吐出口を詰めてしまう場合があり、やはり問題となる。このため、前記事前処理前に超音波振動装置20や図示しない液体に振動を与える超音波振動装置、気泡発生装置21のような、ノズル壁面に対する異物の固着力を弱める装置を用いて、塗布ノズルのマニホールド内に刺激を与えて異物の固着力を弱め、液体による異物のハンドリングをサポートすることが好ましい。
【0099】
従って予想される異物の種類などによっては異物固着を弱める操作を実施(S1012)することが好ましい。なお、この処理を行うか否かの判断(S1011)は、手動で行なう他、予め入力する測定レシピなどで自動的に行なうようにしてもよい。このように異物が吐出口へ運ばれた後、充分な時間を見計らって検査がスタートする(S1080)。検査処理を開始したら、最初に検査終了・継続を判断する(S1090)。検査終了は、手動で行ってもよい。
【0100】
次に測定を行い(S1100)、データ処理を行う(S1200)。データ処理の結果は、表示器に表示され(S1250)、詰まりが検出された場合には当該塗布ノズルには再洗浄を施すこととし、検査終了判定(S1090)に戻る。
ここで、これら一連の検査時間は、塗布ノズルの詰まり発生時の損失時間より短くしなければ、効率アップすることはできないため、検査時間は短い方が良いが、一方、前記事前処理を行う時間を短くすると、異物が吐出口に移動しないまま検査することになり、詰まり検査の精度が低下してしまう。そのため、事前処理には10〜20分程度かけるのが好ましく、全体の検査時間としては20〜30分程度が好ましい。
【0101】
また、検査終了後、詰まりがなければ、塗液を塗布ノズル系に充填するが、検査に用いた液体が塗液と混合させたくない場合は、検査終了後に塗布ノズル系を乾燥させることが好ましい。乾燥方法としては、塗布ノズル系の接液部を高圧空気でブローする方法や、塗布ノズル系を真空チャンバー等にいれ真空ポンプにて減圧し乾燥する真空乾燥方法、両者を組み合わせた方法等が考えられる。
【0102】
以下にそれぞれの処理についての詳細を説明する。
【0103】
<測定処理>
図7に測定処理のフローを示す。測定処理がスタートすると(S1100)、まず初期設定を行う(S1102)。初期設定は、ステージを初期位置に戻したり、測定回数を初期化するなどの処理である。そして、所定速度vでステージを進める(S1104)。ステージの移動速度vは、受光装置からのデータ転送速度との兼ね合いで決まるが、少なくとも柱状流の幅φに対して、分解能Rを鑑みてφ/R分の測定点数は受光装置からのデータを取得できるように決めるのが望ましい。
【0104】
例えば、柱状流の直径φが100μmであり、φ/Rが5に設定されているとすると、分解能Rは20μmであるので、受光装置からのデータのサンプリングが転送速度もあわせて10msec程度必要であるなら、ステージの移動速度は、毎秒2mm以下に設定する必要がある。
【0105】
ステージが動き始めると、測定回数Scanが所定の回数m回に達したか否かを判定する(S1106)。1回の測定とは、吐出口列の端から端までステージがスキャンを行って全ての吐出口に対する輝度値を取得することを言う。吐出口からの柱状流は、測定した際に適量が吐出していたとしても、時間的に変化したりする場合がある。ここで、「適量」とは、正常値レベルの反射光輝度が得られる柱状流が形成される吐出量をいう。従って、時間をおいて複数回計測し、それらのデータを処理することで、より確度の高い検査結果を得ることができる。もちろん、測定回数は1回であってもよい。
【0106】
測定回数に達していない場合は、測定回数をインクリメントし(S1108)、位置センサから位置情報Ipsを取得する(S1110)。この位置情報Ipsに基づいて、ステージが吐出口列の端まで移動したか否かを判断する(S1112)。吐出口列の端まで行ってない場合は、測定すべき所定位置か否かを判断する(S1114)。測定する位置は、予め測定位置のリストを持っているか、初期設定の際に吐出口列の全長を確認し、どの位置を測定するかを決めておいても良い。測定位置は、柱状流からの反射が期待される点だけでなく、その周囲の部分も測定位置として含めたほうがよい。柱状流からの反射がなかった場合に、測定位置がずれたために反射光を観測できなかったのか、実際に反射光がなかったのかを容易に判断できるからである。
【0107】
また、測定位置であるか否かは、ステージが動き始めてからの時間で判断してもよい。
例えば、所定時間間隔毎に測定を行うこととすれば、位置情報Ipsは、ステージ移動速度と制御装置内部の時計によって得ることができる。この場合は、位置センサ14は不要となる。
【0108】
また、位置情報Ipsを取得することなく、輝度値Irfを測定し続け、輝度値の測定値から塗布ノズル間隔設計値、カメラ測定周期、テーブル移動速度、そしてこれらに生じる誤差量を加味した上で、後述するデータ処理の段階で実際の吐出口との対応関係を求めてもよい。この場合も、位置センサは不要である。
【0109】
具体的には、所定位置か否かの判断ステップ(S1114)で常にY分岐を行い、測定のステップ(S1116)では、位置情報Ipsを取得しない。さらに位置情報を取得するステップ(S1110)でも位置情報を取得しない。吐出口列の端まで行ったか否かの判断(S1112)では、位置情報を使ってもよいが、別の方法で吐出口列の端まで進んだか否かを判断してもよい。
【0110】
図7のフローの説明を続ける。所定位置と判断した場合は、その時の位置情報Ipsと輝度値Irfを取得して記憶部に記録する(S1116)。測定すべき位置でなかった場合は、ステップS1116をスキップして位置情報Ipsの取得ステップ(S1110)に戻る。
【0111】
一方、ステップS1112の判断で吐出口列の端までステージが移動していた場合は、ステージの進行方向を反転し(S1118)、測定回数の判断に戻る(S1106)。折り返し測定を継続するためである。なお、ここでは再度ステージを最初の位置まで戻してから動き始めても良い。
【0112】
測定回数が所定の回数m回になったら、ステージを停止して(S1120)、メインの処理に戻る(S1122)。以上の処理が終了すると、測定した位置情報Ipsと、そのときの輝度値Irfのスキャン毎のデータセットが記憶部に記録されている。位置センサを用いていない場合でも、少なくとも輝度値Irfのスキャン毎のデータセットが記憶部に記録されている。
【0113】
<データ処理>
測定が終了したら、記憶部に記憶された測定データを処理する。図8に、測定データの例を示す。横軸は位置(Ips)を表し、縦軸は輝度(Irf)を表す。図8(a)乃至(c)は、それぞれ1回からm回目のスキャンでのデータ例を示す。それぞれのスキャンで吐出口のピッチ86毎に輝度値の高い部分が観測される。なお、縦線87は吐出口の中心と推定される位置である。
【0114】
図9にデータ処理のフローの例を示す。データ処理が開始されたら(S1200)、記憶部から測定データを読み出し(S1202)、吐出口のピッチ毎に輝度値Bs(Ips)を求める(S1204)。
【0115】
もし、位置センサを使用していない場合には位置情報Ipsを輝度信号波形自身から得る。具体的には、吐出口間隔設計値、カメラ測定周期、テーブル移動速度、等の情報から、柱状流からの反射光が最も強く反射されて信号がピーク状になる輝度信号波形上の位置を推測し、誤差量を加味した上で設定した許容領域内をサーチし、最大輝度位置を抽出し、この位置を求めてIpsとすればよい。仮に異物の詰まりが発生して反射光が得られず、輝度信号波形にピークが得られない場合は、誤差を含まない理論上の位置をIpsとすればよい。
【0116】
このように、位置情報を測定ステップ(S1100)で直接取得せずに、データ処理ステップ(S1200)で求めることもできる。従って、位置情報Ipsの取得は、測定ステップ(S1100)で行うこととしてもよいし、データ処理ステップ(S1200)で行うこととしてもよい。
【0117】
また位置センサを使用した場合の輝度値の求め方は特に限定されるものではなく、吐出口があると推定される点87における値の他、より好ましくは測定系に生じる外乱を加味した上で点87付近に設定した許容領域内の輝度最大値としてもよい。
【0118】
なお、輝度値Bs(Ips)においては、Bの添え字である「s」はスキャン回数を表し、「(Ips)」は位置を表す。なお、「(Ips)」は吐出口の番号としてもよい。吐出口の位置若しくは番号を表す場合は「(n)」を用いる。この場合は、例えば吐出口列の左端から順に吐出口に番号が振られる。同様の処理は全てのスキャン時のデータにも施される。
【0119】
次に特定の吐出口についての輝度値について、輝度平均値AvBと輝度標準偏差値EfBを求める(S1206)。輝度平均値AvB(n)とは、各スキャン時のデータで同じ位置情報Ipsの点での輝度値Bs(Ips)の平均である。具体的には、図8において、位置情報Ipsがnの点での輝度値B1(n)、B2(n)、・・・・、Bm(n)の平均値である。
【0120】
輝度平均値AvB(n)は次の式によって表される。
【0121】
【数8】

・・・・(7)
【0122】
また、輝度標準偏差値EfB(n)は位置情報Ipsがnの点(もしくはn番目の吐出口)での輝度値Bs(n)と輝度値の平均値AvB(n)を用いて次のように表される。
【0123】
【数9】

・・・・(8)
【0124】
なお、本検査においてはスキャン回数が1回の場合も検査可能であるとしているが、この時には輝度平均値AvB(n)はm=1として求める。つまり、厳密には複数のデータの統計結果として平均値を求めることはできないが、本発明においては便宜上、複数ではなくただ1つのデータから求めた平均値として扱う。またこの場合、輝度標準偏差値EfB(n)を求めることは出来ないため、輝度標準偏差値を用いた検査は実行できない。ただし後述する空間的な測定・データ統計処理を行う場合には、スキャン回数が1回の場合でも空間的な位置が異なる複数のデータから輝度平均値AvB(n)、輝度標準偏差値EfB(n)を求めることが可能である。
【0125】
以上の処理によって、塗布ノズルの吐出口に対応する輝度平均値と輝度標準偏差値が求まる。そして次のステップとしては、終了判定(S1208)をはさんで輝度平均値および輝度標準偏差値を所定の閾値と比較する評価処理を行う。終了判定は、全ての吐出口の位置情報Ipsに対する輝度平均値と輝度標準偏差値の評価が終了したか否かで決まる。評価すべき値が残っている場合は、それぞれの吐出口毎に輝度平均値が所定の閾値Athより小さいか、また輝度標準偏差値が所定の閾値Ethより大きいかを判断する(S1210)。
【0126】
輝度平均値が閾値Athより小さいということは、塗布ノズルの吐出口からの吐出量が少ないということである。つまり、蛍光体塗液などを、この塗布ノズルを用いて塗布した際に、その吐出口からの塗液だけ少ないことを意味する。従って、どの程度まで吐出量が少なくてもよいかという観点で閾値は決められる。
【0127】
また、輝度標準偏差値が閾値Ethより大きいということは、経過時間によって吐出量に変化があることを意味する。これはその吐出口で塗布された部分は、部分的に薄くなったり濃くなったりすることを意味する。従って、どの程度まで吐出量の変化を許容するかという観点でそれぞれの閾値は決められる。
【0128】
上記した輝度平均値による判定、輝度標準偏差値による判定は、少なくともどちらか一方を行はなくてはならないが、両方を行って結果のand、もしくはorによって最終的な判定を行っても良い。
【0129】
以上は輝度平均値若しくは輝度標準偏差値に対して固定の閾値を設定する場合について説明したが、これらの閾値は、測定対象となる吐出口以外の吐出口から得られたデータを基準とした相対値として設定してもよい。これはつまり異常が発生している吐出口では正常な吐出口に比して輝度値は低く、標準偏差値は大きくなるため、吐出口同士の相対比較によって欠陥を判定してもよいことを意味する。
【0130】
この方法は特に、経時的に照明装置の出力が衰え、測定によって得られる輝度値が全体的に減少した場合や標準偏差値が小さくなった場合などに有効である。具体的には上記した通り欠陥判定の評価値とする輝度平均値AvB、輝度標準偏差値EfBを求めた後、測定対象とする吐出口以外で、かつ当該吐出口近辺の少なくとも2つ以上の吐出口のAvB、EfBを平均化して閾値基準輝度AvB’、閾値基準標準偏差値EvB’を求め、予め設定しておいた係数、例えば輝度であれば0.8、標準偏差値であれば1.2を乗算して当該吐出口検査のための閾値とするなどである。
【0131】
この閾値算出工程は、図9中ではステップS1208の前、若しくはステップS1210の前に行われ、例えば図示しないステップS1207とすることができる。この閾値算出工程が行われた場合は、輝度平均値や輝度標準偏差値が比較される対象の閾値は閾値基準輝度AvB’および閾値基準標準偏差値EvB’に予め設定しておいた係数を乗じた値となる。
【0132】
なお、ここまでは、スキャン毎の輝度値を統計処理する方法について説明を行ったが、これは計測時刻が異なる時点毎の輝度値に基づいて輝度平均値や輝度標準偏差値を求めることにあたる。一方で、吐出口から吐出される柱状流に対して空間的に広い領域を同時に測定し、柱状流における複数点の測定情報について輝度平均値、輝度標準偏差値を求めてもよい。
【0133】
空間的に複数点の測定情報を統計処理することにより、1点を測定した場合に比べて電気ノイズや正常な吐出口における柱状流にも発生するレベルの柱状流形成不安定さなどの
外乱影響を低減できると共に、柱状流における上流と下流では吐出されたタイミング(時間)に差があるため、異常な吐出口において微小時間内における吐出状態の変動があった場合には、これを検出することができる。また更にこの空間的な統計処理を行いつつ、更に前述の複数回測定(時間的な統計処理)を行うことによって比較的長時間における柱状流の変動を加味した測定ができるため、空間的な統計処理と時間的な統計処理を組み合わせることも好ましい。
【0134】
上記空間的な統計処理について詳しく説明する。図10には吐出口からの液体像を2次元画像として撮像した例を示す。受光装置によって得られた画像70には、塗布ノズル90と柱状流95が5本写っている場合を示している。2次元の撮像手段を用いる場合には、ステージを移動させながら2次元撮像手段が撮像した画像をつなぎ合わせて画像70を構成する。一方で1次元の撮像手段を用いる場合には、撮像素子の並び方向と柱状流の吐出方向を合わせた形に配置し、ステージを移動させながら1次元撮像手段が撮像した1次元画像をつなぎ合わせて画像70を構成する。
【0135】
なお無論、2次元撮像手段を用いるにしても1次元撮像手段を用いるにしても、測定処理を施す空間領域に対しては上述の光学原理が保てるように柱状流の吐出方向と同方向に充分に長い発光領域を有する照明装置が必要である。
【0136】
符号73の点は符号71の点よりも時間的に前に吐出口を出た液体である。そこで、この画像で吐出口から下方に向けて求めた輝度値に基づいて輝度平均値や輝度標準偏差値を求めても良い。具体的には、符号77の点の輝度値をB1(n)とし、符号76の点での輝度値をB2(n)とし、符号75の点での輝度値をB3(n)とするなどである。
【0137】
空間的な統計処理の後、時間的な統計処理も行う場合には、空間的な統計処理においてはあるひとつの吐出口(柱状流)に対して複数の空間領域による輝度平均値だけを求めてこれを一回のスキャンの代表値とし、続く時間的な統計処理においてはこの代表値を元に複数回スキャンによる輝度平均値、および輝度標準偏差値を求めれば良い。
【0138】
例えば輝度平均値が閾値より小さい若しくは輝度標準偏差値が閾値より大きい場合(異常値判定が、輝度平均値と輝度標準偏差値の両方が閾値を超えた条件で異常と判定するように設定されている場合を仮定)は、異常値として位置情報とともに記録する(S1212)。すなわち、データ処理の結果異常値には、位置情報Ipsに加えて、その時の輝度平均値AvB(Ips)および輝度標準偏差値EfB(Ips)が少なくとも記録される。そうでない場合は、終了判断のステップS1208まで戻る。
【0139】
なお、位置情報Ipsは、異常を示す吐出口の番号であってもよい。なお、位置情報Ipsの取得は2次元の画像データを取得した後、この画像データの輝度値や、吐出口間隔設計値、カメラ測定周期、テーブル移動速度などを用いてデータ処理工程で求めてもよいのは、2次元でない場合と同じである。評価すべきデータがなくなったら、処理をメインに戻す(S1214)。
【0140】
<データ表示>
図6を再度参照して、データ表示処理(S1250)は、データ処理の結果、異常値として記録された場所を示すものである。これは、位置情報Ips若しくは吐出口番号nと、輝度平均値AvB(Ips)若しくは輝度標準偏差値EfB(Ips)のいずれか、若しくは両方とも表示する。
【0141】
以上のように本発明の塗布ノズル検査装置を用いて、上記に示した方法で検査を行うことで、実際に塗布する前にノズルの吐出口からの塗液の吐出量異常を検出することができ
る。従って、この検査によって良好と判断されたノズルを用いて、塗液を塗布することで、むらのない、均一な製品を得ることができる。
【0142】
本発明は塗液を塗布するための吐出口を有する塗布ノズルの吐出量を検査する場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の塗布ノズル検査装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の塗布ノズル検査装置の構成を示す図である。
【図3】姿勢の変化した塗布ノズル検査装置を示す図である。
【図4】柱状流からの反射光の様子を説明する図である。
【図5】分解能と柱状流の関係を示すシミュレーション結果を示す図である。
【図6】塗布ノズルの検査の処理を示すフローを示す図である。
【図7】測定の処理のフローを示す図である。
【図8】測定結果の例を示す図である。
【図9】データ処理のフローを示す図である。
【図10】柱状流を2次元画像として取得した際の例を示す図である。
【図11】塗布ノズルによる塗布を示す図である。
【符号の説明】
【0144】
11 レール
12 ステージ
13 駆動モータ
14 位置センサ
15 照明装置
16 受光装置
17 制御装置
19 表示器
20 超音波振動装置
21 気泡発生装置
25 パン
26 ポンプ
27 フィルター
30 液体
35 照射光
36 反射光
51 入射角
52 反射角
53 入射外周角
54 開口角
60 反射許容角
65 反射幅
90 塗布ノズル
92 吐出口
95 柱状流
110 姿勢変化装置
111 軸受け
112 チャック
113 サーボモータ
120 液体循環装置
121 液体断続供給バルブ
122 フレキシブルチューブ
123 接続フランジ
130 塗布ノズル系
131 塗液タンク
132 塗液フィルター
133 塗液供給配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布ノズルの検査装置において、
連続的に吐出される液体によって形成される柱状流を生成する吐出口が一列に配列されている塗布ノズルに液体を供給する液体供給手段と、
前記柱状流に光を放射する照明手段と、
前記照明手段から放出された光の反射光を受光する受光手段と、
少なくとも前記受光手段に接続され、受光手段からの出力を受信する制御手段を有する塗布ノズル検査装置。
【請求項2】
前記受光手段の分解能Rは、前記柱状流の直径をφとして(6)式で表される請求項1記載の塗布ノズル検査装置。
【数100】

・・・・(6)
【請求項3】
前記塗布ノズルを保持する塗布ノズル保持手段と、
2前記照明手段を保持する照明手段保持手段と、
前記受光手段を保持する受光手段保持手段を有し、
前記塗布ノズル、もしくは前記照明手段と前記受光手段の少なくともどちらか一方を前記塗布ノズルに一列に配列された前記吐出口の配列方向に相対移動させるガイド手段と駆動手段を有する請求項1又は2の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
【請求項4】
前記制御手段に接続され、
前記ガイド手段上での前記塗布ノズル、もしくは前記照明手段と前記受光手段の位置を示す情報を検知し出力する位置検出手段をさらに有する請求項1乃至3の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
【請求項5】
前記塗布ノズルに液体を供給する際に、前記塗布ノズルの姿勢を変える手段を有する請求項1乃至4の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
【請求項6】
前記液体供給手段が、前記塗布ノズルに断続的に液体を供給する機能と前記塗布ノズルに連続して液体を供給する機能を有する請求項1乃至5の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
【請求項7】
前記塗布ノズルの検査を実施する前に前記塗布ノズル内に固着した異物の固着力を弱める異物固着力低減手段を有する請求項1乃至6の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
【請求項8】
前記制御手段に接続された検査結果を表示するための表示手段を有する請求項1乃至7の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置。
【請求項9】
塗布ノズルに形成された吐出口によって形成された柱状流に光をあて、前記柱状流からの反射光を受光して得た輝度値を得る測定工程と、
前記測定工程によって得られる前記輝度値と所定の閾値とを比較し異常値か否かを判断するデータ処理工程を有する塗布ノズル検査方法。
【請求項10】
前記測定工程は、さらに前記反射光を発した前記柱状流の位置情報も得る工程である請求項9記載の塗布ノズル検査方法。
【請求項11】
前記測定工程は、前記柱状流に対して前記位置情報と前記輝度値を複数回求める工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数回求めた輝度値から少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である請求項10に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項12】
前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での輝度値と、前記柱状流の位置情報を得る工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数個所での輝度値から少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である請求項10乃至11の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項13】
前記データ処理工程は、前記測定工程によって得られる輝度値から、前記輝度値に対応する前記吐出口の位置情報を求め、前記輝度値と所定の閾値を比較し異常値か否かを判断する工程である請求項9記載の塗布ノズル検査方法。
【請求項14】
前記測定工程は、前記柱状流に対して前記輝度値を複数回得る工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数回求めた輝度値から前記吐出口の位置情報と、
少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め、所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である請求項13に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項15】
前記測定工程は、前記柱状流の吐出方向の複数個所での輝度値を得る工程であり、
前記データ処理工程は、前記複数個所での輝度値のうち少なくとも1つの前記輝度値から前記吐出口の位置情報を求め、
さらに、前記複数個所での輝度値から少なくとも輝度平均値か輝度標準偏差値のいずれかを求め所定の閾値と比較し異常値か否かを判断する工程である請求項13乃至14の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項16】
前記データ処理工程で判断の対象となる前記柱状流に対して、
少なくとも、
隣接する2つ以上の柱状流の前記輝度平均値同士をさらに平均することで輝度平均値に対する閾値を求める処理か、
隣接する2つ以上の柱状流の前記輝度標準偏差値同士をさらに平均することで輝度標準偏差値に対する閾値を求める処理か、
のいずれか、もしくは両方の処理を行う閾値算出工程をさらに有する請求項9乃至15のいずれかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項17】
前記測定工程の前に、前記塗布ノズルの姿勢を変えながら液体を供給する工程を有する請求項9乃至16の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項18】
前記測定工程の前に、前記塗布ノズルに断続的に液体を供給する工程を有する請求項9乃至17の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項19】
前記測定工程の前に、前記塗布ノズル内に固着した異物の固着力を弱める異物固着力低減工程を有する請求項9乃至18の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項20】
前記データ処理工程において異常値と判断された点の前記位置情報を表示する工程を有す
る請求項9乃至19の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法。
【請求項21】
塗布装置に塗布ノズルを搭載する前に、請求項1乃至8の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査装置、もしくは請求項9乃至20の何れかの請求項に記載された塗布ノズル検査方法を用いて塗布ノズルの良否を判定し、不良のないノズルを選別して塗布に用いることを特徴とする塗液の塗布方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−95826(P2009−95826A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245726(P2008−245726)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】