説明

塗布方法及び塗布装置

【課題】 浮上搬送中に被処理基板の前端部や後端部がばたつかないようにして基板の浮上高さを正確安定に制御し、塗布膜の膜厚品質を向上させること。
【解決手段】 基板搬送部84は、基板Gを気体圧力の力で空中に浮かせる浮上式ステージ80の両側に平行に配置された一対のガイドレール100L,100Rと、これらのガイドレール上で搬送方向(X方向)に移動可能に取り付けられた一対のスライダ102L,102Rと、両ガイドレール100L,100R上で両スライダスライダ102L,102を同時または平行に直進移動させる搬送駆動部と、基板Gの四隅を着脱可能に保持するために両スライダ102L,102に搭載されている保持部106とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮上搬送方式で被処理基板上に処理液の塗布膜を形成する塗布方法および塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程には、スリット状の吐出口を有する長尺形のレジストノズルを相対的に走査して被処理基板(ガラス基板等)上にレジスト液を塗布するスピンレスの塗布法がよく用いられている。
【0003】
このようなスピンレス塗布法の一形式として、たとえば特許文献1に開示されるように、FPD用の矩形の被処理基板(たとえばガラス基板)を支持するためのステージを浮上式に構成し、ステージ上で基板を空中に浮かせたまま水平な一方向(ステージ長手方向)に搬送し、搬送途中の所定位置でステージ上方に設置した長尺形のレジストノズルに直下を通過する基板に向けてレジスト液を帯状に吐出させることにより、基板上の一端から他端までレジスト液を塗布するようにした浮上搬送方式が知られている。
【0004】
浮上搬送方式は、従来一般のノズル移動方式、つまり吸着式のステージ上に基板を固定してその上方で長尺形レジストノズルを水平方向に移動させながらレジスト液を帯状に吐出させることにより基板上の一端から他端までレジスト液を塗布する方式と比較して、長尺形レジストノズルを固定したまま塗布走査を行えるので、基板の大型化(つまりレジストノズルの重厚長大化)に有利とされている。
【0005】
浮上搬送方式を採用する従来のレジスト塗布装置は、浮上式のステージ上で基板を浮上搬送するために、ステージの左右両側に配置された一対のガイドレールと、それらのガイドレールに沿って平行に直進移動する左右一対のスライダと、基板の左右両辺部に一定間隔で着脱可能に吸着する左右一列の吸着パッドと、それら左右一列の吸着パッドを左右のスライダにそれぞれ連結し、かつ基板の浮上高さに追従して上下に変位する板ばね等の連結部材とを備える。
【0006】
通常、基板の浮上高さ(浮上量)は浮上ステージの上面から基板に与えられる気体(一般に空気)の圧力によって規定され、搬送方向に沿って区分された浮上ステージ上の領域毎に最適な浮上量が設定される。すなわち、基板の搬入および搬出が行われるステージ両端部の領域(搬入領域および搬出領域)ではたとえば250〜350μmの比較的大きな浮上量が設定され、レジストノズルより基板上にレジスト液が供給されるステージ中心部の領域(塗布領域)ではたとえば30〜60μmの小さな浮上量が設定される。そして、浮上ステージ上で基板を搬入領域から塗布領域を通って搬出領域まで浮上搬送する際に基板の浮上高さが変化し、搬送方向の各位置で基板の浮上高さに追随して各位置の連結手段が上下に変位するようになっている。
【0007】
また、浮上搬送方式においては、レジストノズルと基板との間に一定の狭ギャップを形成するために、基板の浮上高さを高い精度で設定値に一致させる制御が要求されるだけでなく、レジストノズルの高さ位置も正確に管理する必要があり、装置のセッティング時や装置稼動の合間にステージに対するレジストノズルの相対的高さ位置またはギャップを測定して、その測定値に基づいて基準値の初期化あるいは誤差の補正が行われている。
【0008】
従来は、ステージとレジストノズル間のギャップ測定のために、ステージ上にブロック形状の治具をその測定ポイントがステージの外(横)にはみ出るように載置して、その治具の測定ポイントに下からダイヤルゲージの触針を押し当ててゲージ読取値からステージ上面(基準)の高さ位置を測定し、次いで治具を取り外してレジストノズルの下端に下からダイヤルゲージの触針を押し当ててゲージ読取値からレジストノズル下端の高さ位置を測定する。そして、第1の測定値(ステージ上面の高さ位置)を第2の測定値(レジストノズル下端の高さ位置)から差し引いてその差分をギャップ測定値としていた。
【特許文献1】特開平2005−244155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の浮上搬送式レジスト塗布装置は、上記のように、浮上ステージより基板に与えられる気体の圧力によって基板の浮上高さ(浮上量)を可変制御し、基板を保持する吸着パッドないし連結部材を基板の浮上高さに追従して上下に変位させるようにしている。しかしながら、浮上搬送中に基板の前端部と後端部が上下に振動してばたつくという問題があった。すなわち、基板の前端がステージ上面の各列または各個別の噴出口または吸引口をほぼ完全に覆う瞬間にステージ側から受ける浮上圧力が急激に変動して基板に鉛直方向の振動が生じ、また基板の後端が各列または各個別の噴出口または吸引口を大気に開放する瞬間にも浮上圧力が急激に変動して基板に鉛直方向の振動が生じる。その際、基板を保持する吸着パッドや連結部材も基板と一体に振動する。このように浮上搬送に基板の前端部および後端部がばたつくことで、レジスト塗布膜の膜厚が不安定になり、縞状の塗布むらが生じることがある。
【0010】
また、上記のようにレジストノズルの高さ位置を測定するためにダイヤルゲージを用いる従来の手法は、ダイヤルゲージの設置や扱い操作が面倒であるだけでなく、接触式であるがために、レジストノズルに傷がついたり、ゲージ触針がレジストで汚れたりして、誤検出しやすいという問題がある。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、浮上搬送中に被処理基板の前端部や後端部がばたつかないようにして基板の浮上高さを正確安定に制御し、塗布膜の膜厚品質を向上させるようにした浮上搬送方式の塗布方法および塗布装置を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、ノズルの高さ位置を簡便かつ安全正確に測定できるようにした浮上搬送方式の塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の塗布装置は、矩形の被処理基板を気体の圧力で浮かせるステージと、前記ステージ上で浮いた状態の前記基板を着脱可能に保持する保持部を有し、前記ステージ上で所定の搬送方向に前記基板を浮上搬送するために前記基板を保持している前記保持部を前記搬送方向に移動させる搬送部と、前記ステージの上方に配置される長尺形のノズルを有し、前記基板上に処理液の塗布膜を形成するために前記浮上搬送で前記ノズルの直下を通過する前記基板に向けて前記ノズルより処理液を吐出させる処理液供給部とを備え、前記保持部が、前記基板の四隅を局所的に保持する実質的にたわまない保持部材と、前記保持部材を昇降移動または変位させるための昇降部とを有する。
【0014】
また、本発明の塗布方法は、多数の噴出口を上面に設けたステージ上に、搬送方向に沿って、矩形の被処理基板を前記ステージ上に搬入するための搬入領域と、前記基板上に処理液を塗布するための塗布領域と、前記基板を前記ステージから搬出するための搬出領域とをこの順に一列に設定し、前記ステージの噴出口より噴出する気体の圧力で前記基板を前記ステージ上で浮かせ、前記基板の四隅を実質的にたわまない昇降可能な保持部材で局所的に保持しながら前記基板を前記搬入領域から前記搬出領域まで搬送し、途中の前記塗布領域内で上方に配置したノズルより処理液を吐出させて前記基板上に前記処理液を塗布する。
【0015】
本発明においては、搬送部に備わっている保持部ないし保持部材が基板の四隅を実質的にたわまずに保持するので、搬送部がステージ上で矩形の基板を浮上搬送する際に、ステージ側から受ける浮上圧力が変動しても、保持部ないし保持部材のリジッドな保持力または拘束力によって基板の前端部または後端部のばたつきを抑制することができる。
【0016】
本発明の塗布方法の好適な一態様によれば、ステージ上の基板の浮上高さを搬入領域、塗布領域および搬出領域毎に個別に設定し、基板を搬入領域から搬出領域まで搬送する間に基板の浮上高さの変化に応じて各々の保持部材を昇降移動または変位させる。この場合、好ましくは、搬送中に前列の保持部材同士および後列の保持部材同士をそれぞれ同一のタイミングで昇降移動または昇降変位させてよい。
【0017】
本発明の塗布装置の好適な一態様においては、保持部材が、基板の四隅の裏面にそれぞれ吸着可能な4個の吸着パッドと、各々の吸着パッドを搬送方向に所定の間隔を置いた2箇所でそれぞれ鉛直方向の変位を規制して支持する第1および第2のパッド支持部とを有する。この場合、第1および第2のパッド支持部間の昇降誤差を吸収するために、第1および第2のパッド支持部の双方が吸着パッドをその回りに鉛直面内で回転変位可能とする水平回転軸を有し、第1および第2のパッド支持部の片方が吸着パッドを水平方向で直動変位可能とする直動軸を有する構成が好ましい。また、好ましい一態様として、昇降部は、第1および第2のパッド支持部をそれぞれ独立に昇降駆動する第1および第2のアクチエータと、第1および第2のアクチエータの駆動動作を統括的に制御する昇降制御部とを有する。ここで、第1のアクチエータは、第1のモータと、この第1のモータの回転駆動力を第1のパッド支持部の鉛直方向の直進運動に変換する第1の伝動機構とを有してよい。第2のアクチエータは、第2のモータと、この第2のモータの回転駆動力を第2のパッド支持部の鉛直方向の直進運動に変換する第2の伝動機構とを有してよい。
【0018】
このように吸着パッドを2軸で昇降移動させて基板の四隅に吸着結合させる構成によれば、吸着パッドの水平姿勢ひいては基板前端部および後端部の水平度を安定確実に保つことができる。
【0019】
また、好適な一態様において、昇降制御部は、第1および第2のモータの回転角をそれぞれ検出するための第1および第2のエンコーダを含み、第1のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために第1のエンコーダの出力信号をフィードバック信号として第1のモータの回転量を制御し、第2のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために第2のロータリエンコーダの出力信号をフィードバック信号として第2のモータの回転量を制御する。あるいは別の好適な一態様として、昇降制御部は、第1および第2のパッド支持部の昇降移動距離をそれぞれ検出するための第1および第2の距離センサを有してもよい。この場合も、第1のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために第1の距離センサの出力信号をフィードバック信号として第1のモータの回転量を制御し、第2のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために第2の距離センサの出力信号をフィードバック信号として第2のモータの回転量を制御してよい。
【0020】
本発明の好適な一態様においては、ノズルの吐出口に対する高さ位置が各々の吸着パッドの上面全体で均一レベルになるように、第1および第2のパッド支持部の間で吸着パッドの支点の高さ位置を相対的に調節する吸着パッドレベリング調節部も備えられる。
【0021】
本発明の好適な一態様によれば、搬送部が、ステージの両側で前記搬送方向に延びる一対のガイドレールと、保持部を搭載し、ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、スライダをガイドレールに沿って直進駆動する搬送駆動部とを有する。
【0022】
また、好適な一態様として、ノズルを昇降移動させるためのノズル昇降機構が設けられるとともに、直下の測定対象物との距離間隔を光学的に測定するために、ノズルまたはこれを支持して一体に昇降移動するノズル支持体に取り付けられた光学式距離センサも設けられる。好ましくは、この光学式距離センサに、吸着パッドとの距離間隔を測定させてよく、あるいはステージ上の基板との距離間隔を測定させてよい。
【0023】
さらに、本発明の好適な一態様によれば、搬送部の保持部に、ノズルの高さ位置を光学的に検出するための光学式位置センサが取り付けられる。この光学式位置センサは、少なくとも1つの吸着パッドと一体に設けられるのが好ましく、搬送方向を前方としてステージの左右両側に設けられるのが好ましい。好適な一態様として、この光学式位置センサは、搬送方向に対して平行または斜めの角度で略水平に光ビームを出射する投光部と、ノズルの下端部が上方から出入り可能な大きさのギャップを隔てて投光部の出射面と真正面に対向する受光面を有し、受光面に光ビームが届いているか否かを表す電気信号を発生する受光部とを有してよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の塗布方法および塗布装置によれば、上記のような構成および作用により、浮上搬送中に被処理基板の前端部や後端部がばたつかないようにして基板の浮上高さを正確安定に制御し、塗布膜の膜厚品質を向上させることができる。さらに、本発明の塗布装置によれば、上記のような光学的位置センサを備える構成により、ノズルの高さ位置を簡便かつ安全正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0026】
図1に、本発明の塗布装置を適用できる一構成例としての塗布現像処理システムを示す。この塗布現像処理システム10は、クリーンルーム内に設置され、たとえば矩形のガラス基板を被処理基板Gとし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベーク等の一連の処理を行うものである。露光処理はこのシステムに隣接して設置される外部の露光装置12で行われる。
【0027】
この塗布現像処理システム10は、中心部に横長のプロセスステーション(P/S)16を配置し、その長手方向(X方向)両端部にカセットステーション(C/S)14とインタフェースステーション(I/F)18とを配置している。
【0028】
カセットステーション(C/S)14は、システム10のカセット搬入出ポートであり、基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容可能なカセットCを水平な一方向(Y方向)に4個まで並べて載置可能なカセットステージ20と、このステージ20上のカセットCに対して基板Gの出し入れを行う搬送機構22とを備えている。搬送機構22は、基板Gを1枚単位または2枚単位で保持できる搬送アーム22aを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するプロセスステーション(P/S)16側と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0029】
プロセスステーション(P/S)16は、水平なシステム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のラインA,Bに各処理部をプロセスフローまたは工程の順に配置している。
【0030】
より詳細には、カセットステーション(C/S)14側からインタフェースステーション(I/F)18側へ向う上流部のプロセスラインAには、搬入ユニット(IN PASS)24、洗浄プロセス部26、第1の熱的処理部28、塗布プロセス部30、第2の熱的処理部32が第1の平流し搬送路34に沿って上流側からこの順序で一列に配置されている。
【0031】
より詳細には、搬入ユニット(IN PASS)24はカセットステーション(C/S)14の搬送機構22から未処理の基板Gを1枚単位または2枚単位で受け取り、所定のタクトで1枚ずつ第1の平流し搬送路34に投入するように構成されている。洗浄プロセス部24は、第1の平流し搬送路34に沿って上流側から順にエキシマUV照射ユニット(E−UV)36およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)38を設けている。第1の熱的処理部28は、上流側から順にアドヒージョンユニット(AD)40および冷却ユニット(COL)42を設けている。
【0032】
塗布プロセス部30は、上流側から順にパスユニット(PASS)43、レジスト塗布ユニット(COT)44、パスユニット(PASS)45および減圧乾燥ユニット(VD)46を設けるとともに、パスユニット(PASS)43,45とレジスト塗布ユニット(COT)44との間の基板Gの搬送を第1の平流し搬送路34からいったん外(横)に迂回して行うための搬送装置47およびバイパス搬送路49を設けている。より詳細には、上流側のパスユニット(PASS)43が第1の熱的処理部28から平流しで搬送されてきた基板Gをバイパス搬送路49の搬送装置47に渡し、搬送装置47がその受け取った基板Gをバイパス搬送路49経由でレジスト塗布ユニット(COT)44に搬入する。そして、レジスト塗布ユニット(COT)44でレジスト塗布処理の済んだ基板Gを搬送装置47が搬出してこれをバイパス搬送路49経由で下流側のパスユニット(PASS)45に渡す。パスユニット(PASS)45から基板Gは再び第1の平流し搬送路34上の平流しで減圧乾燥ユニット(VD)46に送り込まれる。減圧乾燥ユニット(VD)46は、基板Gを収容し、かつ減圧可能なチャンバと、このチャンバに平流しで基板Gを搬入出する搬送機構とを有している。
【0033】
第2の熱的処理部32は、上流側から順にプリベークユニット(PRE−BAKE)48および冷却ユニット(COL)50を設けている。第2の熱的処理部32の下流側隣に位置する第1の平流し搬送路34の終点にはパスユニット(PASS)52が設けられている。第1の平流し搬送路34上を平流しで搬送されてきた基板Gは、この終点のパスユニット(PASS)52からインタフェースステーション(I/F)18へ渡されるようになっている。
【0034】
一方、インタフェースステーション(I/F)18側からカセットステーション(C/S)14側へ向う下流部のプロセスラインBには、現像ユニット(DEV)54、ポストベークユニット(POST−BAKE)56、冷却ユニット(COL)58、検査ユニット(AP)60および搬出ユニット(OUT−PASS)62が第2の平流し搬送路64に沿って上流側からこの順序で一列に配置されている。ここで、ポストベークユニット(POST−BAKE)56および冷却ユニット(COL)58は第3の熱的処理部66を構成する。搬出ユニット(OUT PASS)62は、第2の平流し搬送路64から処理済の基板Gを1枚ずつ受け取って、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22に1枚単位または2枚単位で渡すように構成されている。
【0035】
両プロセスラインA,Bの間には補助搬送空間68が設けられている。なお、基板Gを1枚単位で水平に載置可能なシャトル(図示せず)が駆動機構(図示せず)によってプロセスライン方向(X方向)で双方向に移動できるようになっていてもよい。
【0036】
インタフェースステーション(I/F)18は、上記第1および第2の平流し搬送路34,64や隣接する露光装置12と基板Gのやりとりを行うための搬送装置72を有し、この搬送装置72の周囲にロータリステージ(R/S)74および周辺装置76を配置している。ロータリステージ(R/S)74は、基板Gを水平面内で回転させるステージであり、露光装置12との受け渡しに際して長方形の基板Gの向きを変換するために用いられる。周辺装置76は、たとえばタイトラー(TITLER)や周辺露光装置(EE)等を第2の平流し搬送路64の上の階に設けている。図示省略するが、周辺装置76の下には、搬送装置72から基板Gを受け取って第2の平流し搬送路64に載せる始点のパスユニット(PASS)が設けられている。
【0037】
図2に、この塗布現像処理システムにおける1枚の基板Gに対する全工程の処理手順を示す。先ず、カセットステーション(C/S)14において、搬送機構22が、ステージ20上のいずれか1つのカセットCから基板Gを1枚または2枚取り出し、その取り出した基板Gをプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインA側の搬入ユニット(IN PASS)24に搬入する(ステップS1)。搬入ユニット(IN PASS)24から基板Gは所定のタクトで1枚ずつ第1の平流し搬送路34上に移載または投入される。
【0038】
第1の平流し搬送路34に投入された基板Gは、最初に洗浄プロセス部26においてエキシマUV照射ユニット(E−UV)36およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)38により紫外線洗浄処理およびスクラビング洗浄処理を順次施される(ステップS2,S3)。スクラバ洗浄ユニット(SCR)38は、平流し搬送路32上を水平に移動する基板Gに対して、ブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより基板表面から粒子状の汚れを除去し、その後にリンス処理を施し、最後にエアーナイフ等を用いて基板Gを乾燥させる。スクラバ洗浄ユニット(SCR)38における一連の洗浄処理を終えると、基板Gはそのまま第1の平流し搬送路34を下って第1の熱的処理部28を通過する。
【0039】
第1の熱的処理部28において、基板Gは、最初にアドヒージョンユニット(AD)40で蒸気状のHMDSを用いるアドヒージョン処理を施され、被処理面を疎水化される(ステップS4)。このアドヒージョン処理の終了後に、基板Gは冷却ユニット(COL)42で所定の基板温度まで冷却される(ステップS5)。この後も、基板Gは第1の平流し搬送路34を下り、塗布プロセス部30へ搬送される。
【0040】
塗布プロセス部30に入ると、基板Gは、パスユニット(PASS)43からバイパス搬送路49を経由してレジスト塗布ユニット(COT)44に搬入され、長尺形のスリットノズルを用いる浮上搬送のスピンレス法により基板上面(被処理面)にレジスト液を塗布される。次いで、バイパス搬送路49およびパスユニット(PASS)45を経由して減圧乾燥ユニット(VD)46に送られ、ここで減圧による常温の乾燥処理を受ける(ステップS6)。
【0041】
塗布プロセス部30を出た基板Gは、第1の平流し搬送路34を下って第2の熱的処理部32を通過する。第2の熱的処理部32において、基板Gは、最初にプリベークユニット(PRE−BAKE)48でレジスト塗布後の熱処理または露光前の熱処理としてプリベーキングを受ける(ステップS7)。このプリベーキングによって、基板G上のレジスト膜中に残留していた溶剤が蒸発して除去され、基板に対するレジスト膜の密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)50で所定の基板温度まで冷却される(ステップS8)。しかる後、基板Gは、第1の平流し搬送路34の終点のパスユニット(PASS)52からインタフェースステーション(I/F)18の搬送装置72に引き取られる。
【0042】
インタフェースステーション(I/F)18において、基板Gは、ロータリステージ74でたとえば90度の方向変換を受けてから周辺装置76の周辺露光装置(EE)に搬入され、そこで基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光を受けた後に、隣の露光装置12へ送られる(ステップS9)。
【0043】
露光装置12では基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置12からインタフェースステーション(I/F)18に戻されると(ステップS9)、先ず周辺装置76のタイトラー(TITLER)に搬入され、そこで基板上の所定の部位に所定の情報が記される(ステップS10)。しかる後、基板Gは、搬送装置72よりプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインB側に敷設されている第2の平流し搬送路64の始点パスユニット(PASS)に搬入される。
【0044】
こうして、基板Gは、今度は第2の平流し搬送路64上をプロセスラインBの下流側に向けて搬送される。最初の現像ユニット(DEV)54において、基板Gは、平流しで搬送される間に現像、リンス、乾燥の一連の現像処理を施される(ステップS11)。
【0045】
現像ユニット(DEV)54で一連の現像処理を終えた基板Gは、そのまま第2の平流し搬送路64に乗せられたまま第3の熱的処理部66および検査ユニット(AP)60を順次通過する。第3の熱的処理部66において、基板Gは、最初にポストベークユニット(POST−BAKE)56で現像処理後の熱処理としてポストベーキングを受ける(ステップS12)。このポストベーキングによって、基板G上のレジスト膜に残留していた現像液や洗浄液が蒸発して除去され、基板に対するレジストパターンの密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)58で所定の基板温度に冷却される(ステップS13)。検査ユニット(AP)60では、基板G上のレジストパターンについて非接触の線幅検査や膜質・膜厚検査等が行われる(ステップS14)。
【0046】
搬出ユニット(OUT PASS)62は、第2の平流し搬送路64から全工程の処理を終えてきた基板Gを1枚ずつ受け取り、1枚単位または2枚単位でカセットステーション(C/S)14の搬送機構22へ渡す。カセットステーション(C/S)14側では、搬送機構22が、搬出ユニット(OUT PASS)62から1枚単位または2枚単位で受け取った処理済の基板Gをいずれか1つ(通常は元)のカセットCに収容する(ステップS1)。
【0047】
この塗布現像処理システム10においては、塗布プロセス部30内のレジスト塗布ユニット(COT)44に本発明を適用することができる。以下、図3〜図17につき、本発明をレジスト塗布ユニット(COT)44に適用した一実施形態を詳細に説明する。
【0048】
図3〜図5はこの実施形態におけるレジスト塗布ユニット(COT)44の全体構成を示し、図3は略平面図、図4は斜視図、図5は略正面面である。
【0049】
図3に示すように、レジスト塗布ユニット(COT)44は、第1の平流し搬送路34(図1)の搬送方向(X方向)に長く延びるステージ80を有している。塗布処理を受けるべき新たな基板Gは、搬送装置47によりバイパス搬送路49から矢印FAで示すようにステージ80の搬送上流端の領域(搬入領域M1)に搬入される。そして、ステージ80上の矢印FBで示すような浮上搬送によってスピンレス法のレジスト塗布処理を受けた基板Gは、ステージ80の搬送下流端の領域(搬出領域M5)から矢印FCで示すようにバイパス搬送路49側の搬送装置47に引き取られる。ステージ80の長手方向中心部の領域(塗布領域M3)の上方には、基板Gにレジスト液を供給するための長尺形のレジストノズル82が配置されている。
【0050】
図4に示すように、ステージ80は基板Gを気体圧力の力で空中に浮かせる浮上式ステージとして構成されており、その上面には所定の気体(通常はエア)を噴出する多数の噴出口88が一面に形成されている。そして、ステージ80の左右両側に配置されている直進運動型の基板搬送部84が、ステージ80上で浮いている基板Gを着脱可能に保持してステージ長手方向(X方向)に基板Gを搬送するようになっている。ステージ80上で基板Gは、その一対の辺が搬送方向(X方向)と平行で、他の一対の辺が搬送方向と直交するような水平姿勢をとって、浮上搬送される
【0051】
ステージ80は、その長手方向(X方向)において5つの領域M1,M2,M3,M4,M5に分割されている(図5)。左端の領域M1は搬入領域であり、図3につき上述したように塗布処理を受けるべき新規の基板Gはバイパス搬送路49からこの搬入領域M1に搬入される。この搬入領域M1には、搬送装置47の搬送アームから基板Gを受け取ってステージ80上にローディングするためにステージ下方の原位置とステージ上方の往動位置との間で昇降移動可能な複数本のリフトピン86が所定の間隔を置いて設けられている。これらのリフトピン86は、たとえばエアシリンダ(図示せず)を駆動源に用いる搬入用のリフトピン昇降部85(図12)によって昇降駆動される。
【0052】
この搬入領域M1は基板Gの浮上搬送が開始される領域でもあり、この領域内のステージ上面には基板Gを搬入用の浮上高さまたは浮上量Haで浮かせるために高圧または正圧の圧縮空気を噴き出す噴出口88が一定の密度で多数設けられている。ここで、搬入領域M1における基板Gの浮上高さHaは、特に高い精度を必要とせず、たとえば250〜350μmの範囲内に保たれればよい。また、搬送方向(X方向)において、搬入領域M1のサイズは基板Gのサイズを上回っているのが好ましい。さらに、搬入領域M1には、基板Gをステージ80上で位置合わせするためのアライメント部(図示せず)も設けられてよい。
【0053】
ステージ80の長手方向中心部に設定された領域M3はレジスト液供給領域または塗布領域であり、基板Gはこの塗布領域M3を通過する際に上方のレジストノズル82からレジスト液Rの供給を受ける。塗布領域M3における基板浮上量Hbはレジストノズル80の下端(吐出口)と基板上面(被処理面)との間の塗布ギャップS(たとえば200μm)を規定する。この塗布ギャップSはレジスト塗布膜の膜厚やレジスト消費量を左右する重要なパラメータであり、高い精度で一定に維持される必要がある。このことから、塗布領域M3のステージ上面には、たとえば図6に示すような配列パターンで、基板Gを所望の浮上高さHbで浮かせるために高圧または正圧の圧縮空気を噴き出す噴出口88と負圧で空気を吸い込む吸引口90とを混在させて設けている。そして、基板Gの塗布領域M3内に位置している部分に対して、噴出口88から圧縮空気による垂直上向きの力を加えると同時に、吸引口90より負圧吸引力による垂直下向きの力を加えて、相対抗する双方向の力のバランスを制御することで、塗布用の浮上高さHbを設定値(たとえば30〜50μm)付近に維持するようにしている。
【0054】
搬送方向(X方向)における塗布領域M3のサイズは、レジストノズル82の直下に上記のような狭い塗布ギャップSを安定に形成できるほどの余裕があればよく、通常は基板Gのサイズよりも小さくてよく、たとえば1/3〜1/4程度でよい。
【0055】
図6に示すように、塗布領域M3においては、搬送方向(X方向)に対して一定の傾斜した角度をなす直線C上に噴出口88と吸引口90とを交互に配し、隣接する各列の間で直線C上のピッチに適当なオフセットαを設けている。かかる配置パターンによれば、噴出口88および吸引口90の混在密度を均一にしてステージ80上の基板浮上力を均一化できるだけでなく、基板Gが搬送方向(X方向)に移動する際に噴出口88および吸引口90と対向する時間の割合を基板各部で均一化することも可能であり、これによって基板G上に形成される塗布膜に噴出口88または吸引口90のトレースまたは転写跡が付くのを防止することができる。塗布領域M3の入口では、基板Gの先端部が搬送方向と直交する方向(Y方向)で均一な浮上力を安定に受けるように、同方向(直線J上)に配列する噴出口88および吸引口90の密度を高くするのが好ましい。また、塗布領域M3においても、ステージ80の両側縁部(直線K上)には、基板Gの両側縁部が垂れるのを防止するために、噴出口88のみを配置するのが好ましい。
【0056】
再び図5において、搬入領域M1と塗布領域M3との間に設定された中間の領域M2は、搬送中に基板Gの浮上高さ位置を搬入領域M1における浮上高さHaから塗布領域M3における浮上高さHbへ変化または遷移させるための遷移領域である。この遷移領域M2内でもステージ80の上面に噴出口88と吸引口90とを混在させて配置することができる。その場合は、吸引口90の密度を搬送方向に沿って次第に大きくし、これによって搬送中に基板Gの浮上量が漸次的にHaからHbに移るようにしてよい。あるいは、この遷移領域M2においては、吸引口90を含まずに適当な配置パターンで噴出口88だけを設ける構成も可能である。
【0057】
塗布領域M3の下流側隣の領域M4は、搬送中に基板Gの浮上量を塗布用の浮上量Hbから搬出用の浮上量Hc(たとえば250〜350μm)に変えるための遷移領域である。この遷移領域M4でも、ステージ80の上面に噴出口88と吸引口90とを混在させて配置してもよく、その場合は吸引口90の密度を搬送方向に沿って次第に小さくするのがよい。あるいは、吸引口90を含まずに適当な配置パターンで噴出口88だけを設ける構成も可能である。また、図6に示すように、塗布領域M3と同様に遷移領域M4でも、基板G上に形成されたレジスト塗布膜に転写跡が付くのを防止するために、吸引口90(および噴出口88)を基板搬送方向(X方向)に対して一定の傾斜した角度をなす直線E上に配置し、隣接する各列間で配列ピッチに適当なオフセットβを設ける構成が好ましい。
【0058】
ステージ80の下流端(右端)の領域M5は搬出領域である。レジスト塗布ユニット(COT)44で塗布処理を受けた基板Gは、この搬出領域M5から搬送装置47(図1)によりバイパス搬送路49を経由して下流側の減圧乾燥ユニット(VD)46(図1)へ移送される。この搬出領域M5には、基板Gを搬出用の浮上量Hcで浮かせるための噴出口88がステージ上面に一定の密度で多数設けられているとともに、基板Gをステージ80上からアンローディングして搬送装置47へ受け渡すためにステージ下方の原位置とステージ上方の往動位置との間で昇降移動可能な複数本のリフトピン92が所定の間隔を置いて設けられている。これらのリフトピン92は、たとえばエアシリンダ(図示せず)を駆動源に用いる搬出用のリフトピン昇降部95(図12)によって昇降駆動される。
【0059】
レジストノズル82は、ステージ80上の基板Gを一端から他端までカバーできるスリット状の吐出口82aを有し、門形または逆さコ字形のフレーム138(図3、図11)に昇降可能に取り付けられ、レジスト液供給機構96(図12)からのレジスト液供給管98(図4)に接続されている。
【0060】
基板搬送部84は、図3、図4および図7に示すように、ステージ80の両側に平行に配置された左右一対のガイドレール100L,100Rと、これらのガイドレール100L,100R上で搬送方向(X方向)に移動可能に取り付けられた左右一対のスライダ102L,102Rと、両ガイドレール100L,100R上で両スライダ102L,102を同時または平行に直進移動させる搬送駆動部104と、基板Gを着脱可能に保持するために両スライダ102L,102に搭載されている保持部106とを備えている。搬送駆動部104は、直進型の駆動機構たとえばリニアモータによって構成されている。
【0061】
保持部106は、図3、図4、図7〜図9に示すように、基板Gの四隅の裏面(下面)に真空吸着力で結合する4個の吸着パッド108(1),108(2),108(3),108(4)と、各吸着パッド108(i)(i=1〜4)を搬送方向(X方向)に一定の間隔を置いた2箇所で鉛直方向の変位を規制して支持する一対のパッド支持部110a,110bと、これら一対のパッド支持部110a,110bをそれぞれ独立に昇降移動または昇降変位させる一対のパッドアクチエータ112a,112bとを有している。
【0062】
より詳細には、各吸着パッド108(i)は、図9および図10に示すように、たとえばステンレス鋼(SUS)からなる直方体形状のパッド本体の上面に複数個の吸引口114を設けている。さらに、図示の構成例は、基板に対する密着性ないし吸着力を高めるために、各吸引口114にゴムのベローズ116を一部露出させて装着している。各吸引口114はパッド本体内のバキューム通路を介して外部のバキューム管118(図8)に接続されている。このバキューム管118は、パッド吸着制御部115(図12)の真空源(図示せず)に通じている。
【0063】
パッド支持部110a,110bは、たとえばステンレス鋼(SUS)からなるL字形の剛体棒である。前部のパッド支持部110aは、その下端部(基端部)が鉛直方向に延びて前部パッドアクチエータ112aに結合され、その上端部が水平方向に延びて当該吸着パッド108(i)の前部に結合されている。後部のパッド支持部110bは、その下端部(基端部)が鉛直方向に延びて後部パッドアクチエータ112bに結合され、その上端部が水平方向に延びて当該吸着パッド108(i)の後部に結合されている。
【0064】
ここで、吸着パッド108(i)と両パッド支持部110a,110bとの結合関係は、両パッド支持部110a,110b間の昇降誤差を吸着パッド108(i)側で吸収できる構成が好ましい。このためには、両パッド支持部110a,110bの双方が吸着パッド108(i)をその回りに鉛直面内で回転変位可能とする水平回転軸を有し、両パッド支持部110a,110bの片方が吸着パッド108(i)を水平方向で直動変位可能とする直動軸を有する構成が好ましい。この実施形態では、たとえば図10に示すように、吸着パッド108(i)の前部にジョイント部120aを介して前部軸受122aを取り付けるとともに、吸着パッド108(i)の後部にX方向の直動ガイド120bを介して後部軸受122bを取り付け、前部軸受122aおよび後部軸受122aに両パッド支持部110a,110bの水平上端部をそれぞれ結合させている。
【0065】
前部パッドアクチエータ112aは、たとえばサーボモータ124aと、このサーボモータ124aの回転駆動力を前部パッド支持部110aの鉛直方向の直進運動に変換するたとえば直動ガイド一体型のボールねじ機構からなる伝動機構126aとを有している。後部パッドアクチエータ112bは、たとえばサーボモータ120bと、このサーボモータ120bの回転駆動力を前部パッド支持部110bの鉛直方向の直進運動に変換するたとえば直動ガイド一体型のボールねじ機構からなる伝動機構122bとを有している。両サーボモータ124a,124bにはそれぞれの回転角を検出するためのロータリエンコーダ(図示せず)が取り付けられている。それらのロータリエンコーダの出力信号をフィードバック信号として両サーボモータ124a,124bの回転量をそれぞれ制御することにより、前部および後部パッド支持部110a,110bの昇降移動距離を略正確に一致させることができる。
【0066】
さらに、この実施形態では、両パッド支持部110a,110bに対する上記のような昇降移動制御の精度を一層高めるために、図8および図9に示すように、両パッド支持部110a,110bの昇降位置または昇降移動距離をそれぞれ実測してフィードバックするリニアスケール124a,124bを設けている。各リニアスケール124a,124bは、スライダ102L(102R)に取り付けられたZ方向に延びる目盛部126と、この目盛部126の目盛を光学的に読み取るために各パッド支持部110a,110bに取り付けられた目盛読取部128とを有している。
【0067】
この実施形態の保持部106は、上述したように、各吸着パッド108(i)を実質的にたわまないリジッドな一対のパッド支持部110a,110bを介して一対のパッドアクチエータ112a,112bにより2軸で昇降駆動するので、各吸着パッド108(i)を一定の姿勢(特に水平姿勢)を保って安定に昇降移動させることができる。
【0068】
なお、基板搬送部84においてスライダ102L,102Rに搭載されている各部と定置の制御部や用力供給源とを結ぶ電気配線や配管等は全て可撓性のケーブルベア(図示せず)に収められている。
【0069】
図9において、前列左側の吸着パッド108(1)には、これと一体に光学式位置センサ130が取り付けられている。前列右側の吸着パッド108(2)にも、これと一体に同様の光学式位置センサ130が取り付けられている。この光学的位置センサ130は、従来のダイヤルゲージに代わってレジストノズル82の高さ位置測定に用いられるものであり、その構成および作用は図9、図16、図17を参照して後に詳述する。
【0070】
上記のように、ステージ80の上面に形成された多数の噴出口88およびそれらに浮上力発生用の圧縮空気を供給する圧縮空気供給機構134(図11)、さらにはステージ80の塗布領域M3内に噴出口88と混在して形成された多数の吸引口90およびそれらに真空の圧力を供給するバキューム供給機構136(図11)により、搬入領域M1や搬出領域M5では基板Gを搬入出や高速搬送に適した浮上高さHa,Hcで浮かせ、塗布領域M3では基板Gを安定かつ正確なレジスト塗布走査に適した設定浮上量Hbで浮かせるためのステージ基板浮上部135(図12)が構成されている。
【0071】
図11に、ノズル昇降機構132、圧縮空気供給機構134およびバキューム供給機構136の構成を示す。ノズル昇降機構132は、塗布領域M3の上を搬送方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に跨ぐように架設された門形フレーム138と、この門形フレーム138に取り付けられた鉛直直線運動機構140L,140Rと、これらの鉛直直線運動機構140L,140Rの間に水平に跨る移動体(昇降体)のノズル支持体142とを有する。各直線運動機構140L,140Rの駆動部は、たとえばパルスモータ144L,144R、ボールネジ146L,146Rおよびガイド部材148L,148Rを有している。パルスモータ144L,144Rの回転力がボールネジ機構(146L,148L)、(146R,148R)によって鉛直方向の直線運動に変換され、昇降体のノズル支持体142と一体にレジストノズル82が鉛直方向に昇降移動する。モータ144L,144Rの回転量および回転停止位置によってレジストノズル82の昇降移動量および高さ位置を任意に制御できるようになっている。ノズル支持体142は、たとえば角柱の剛体からなり、その一側面にレジストノズル82をフランジ、ボルト等を介して着脱可能に取り付けている。
【0072】
圧縮空気供給機構134は、ステージ80上面で分割された複数のエリア別に噴出口88に接続された正圧マニホールド150と、それら正圧マニホールド150にたとえば工場用力の圧縮空気源152からの圧縮空気を送り込む圧縮空気供給管154と、この圧縮空気供給管154の途中に設けられるレギュレータ156とを有している。バキューム供給機構136は、ステージ80上面で分割された複数のエリア別に吸引口90に接続された負圧マニホールド158と、それらの負圧マニホールド158にたとえば工場用力の真空源160からのバキュームを送り込むバキューム管162と、このバキューム管162の途中に設けられる絞り弁164とを有している。
【0073】
また、このレジスト塗布ユニット(COT)44は、レジストノズル82と基板Gあるいは各吸着パッド108(i)との距離間隔を測定するために、図11に示すように、ノズル支持体142に光学式の距離センサ166(166L,166R)を取り付けている。この光学式距離センサ166は、ノズル支持体142およびレジストノズル82と一体に昇降移動し、任意の高さ位置から直下の物体つまりステージ80上の基板Gとの距離間隔、あるいは各吸着パッド108(i)との距離間隔を光学的に測定することができる。この光学的な距離測定のために、光学式距離センサ166は、垂直下方に光ビームを投光する投光部と、該光ビームの当たった物体(基板または吸着パッド)から反射してくる光を測定距離に応じた位置で受光する受光部とを含んでいる。図示の構成例では、左右一対の光学式距離センサ166L,166Rを用いて、基板Gまたは吸着パッド108(i)との距離を左右両サイドでそれぞれ測定するようにしている。
【0074】
図12に、この実施形態のレジスト塗布ユニット(COT)44における制御系の主要な構成を示す。コントローラ170は、1個または複数個のマイクロコンピュータを含み、ユニット内の各部、特にレジスト液供給機構96、ノズル昇降機構132、ステージ基板浮上部135、基板搬送部84(搬送駆動部104、パッド吸着制御部115、パッドアクチエータ112)、搬入用リフトピン昇降部85、搬出用リフトピン昇降部95等の個々の動作と全体の動作(シーケンス)を制御する。特に、コントローラ170は、塗布処理に関する一切の制御や各種付加機能に関する一切の制御を実行するためのプログラム(ソフトウェア)を格納するプログラムメモリを有しており、マイクロコンピュータの中央演算制御部(CPU)がプログラムメモリから逐次所要のプログラムを読み出して実行するようになっている。また、プログラムの保存管理にハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ等の各種記憶媒体を用いることができる。
【0075】
次に、この実施形態のレジスト塗布ユニット(COT)44における塗布処理動作を説明する。コントローラ170は、上記のようなプログラムメモリに格納されているレジスト塗布処理用のプログラムにしたがって一連の塗布処理動作を制御する。
【0076】
搬送装置47(図1)より未処理の新たな基板Gがステージ80の搬入領域M1に搬入されると、リフトピン86が往動位置で該基板Gを受け取る。搬送装置47の搬送アームが退出した後、リフトピン86が下降して基板Gを搬送用の高さ位置つまり浮上位置Ha(図5)まで降ろす。次いで、アライメント部(図示せず)が作動し、浮上状態の基板Gに四方から押圧部材(図示せず)を押し付けて、基板Gをステージ80上で位置合わせする。なお、幅方向(Y方向)ではステージ80のサイズが基板Gのサイズよりも幾らか小さく、基板Gの左右両端部がステージ80の外に幾らか(たとえば6〜10mm程度)はみ出すようになっている。
【0077】
搬入部M1には基板搬送部84が待機しており、アライメント動作が完了すると、基板Gの四隅と保持部106の吸着パッド108(1),108(2),108(3),108(4)とがそれぞれ上下に対向する。直後に、各位置の保持部106が、前部および後部パッドアクチエータ112a,112bを同時に作動させて、前部および後部パッド支持部110a,110bを同一のタイミングおよびストロークで上昇移動させ、吸着パッド108(i)を原位置(退避位置)から往動位置(保持位置)へ上昇させる。この直前からパッド吸着制御部115が吸着パッド108(1)〜108(4)へのバキューム供給をオンさせており、一定の高さ位置で基板Gの四隅の裏面に4個の吸着パッド108(1)〜108(4)がそれぞれ下から接触して真空吸着力で結合する。こうして、基板Gは、ステージ80から空気圧の浮上力を基板全体に受けるとともに、その四隅だけを保持部106の4個の吸着パッド108(1)〜108(4)により局所的に吸着保持される。保持部106が基板Gを受け取ると、この直後にアライメント部は押圧部材を所定位置へ退避させる。
【0078】
次に、基板搬送部84は、保持部106の吸着パッド108(1)〜108(4)に基板Gの四隅を保持させた状態で、基板Gの浮上搬送を開始する。すなわち、搬送駆動部104が左右の両スライダ102L,102Rを搬送始点位置から搬送方向(X方向)へ比較的高速の一定速度で直進移動させる。こうして基板Gがステージ80上を浮上搬送で塗布領域M3へ向かって移動し、間もなくして基板Gの前端部がレジストノズル82の直下付近の設定位置に着いたところで、基板搬送部84がこの第1段階の基板搬送を停止する。この時、ノズル昇降機構132は、レジストノズル82を上方の退避位置で待機させている。
【0079】
基板Gが止まると、ノズル昇降機構132が作動して、レジストノズル82を垂直下方に降ろし、ノズル吐出口82aと基板Gとの距離間隔またはギャップSが設定値に達したところでノズル下降動作を止める。次いで、レジスト液供給機構96がレジストノズル82より基板Gの上面に向けてレジスト液の吐出を開始させる。一方で、基板搬送部84が第2段階の基板搬送を開始する。この第2段階つまり塗布時の基板搬送には、比較的低速の一定速度VAが選ばれる。こうして、塗布領域M3内において、基板Gが水平姿勢で搬送方向(X方向)に一定速度VAで移動すると同時に、長尺形のレジストノズル82が直下の基板Gに向けてレジスト液Rを一定の流量で帯状に吐出することにより、図13に示すように基板Gの前端側から後端側に向かってレジスト液の塗布膜RMが形成されていく。
【0080】
塗布領域M3で上記のような塗布処理が済むと、基板Gは搬出領域M5に向けて搬送される。ここで、基板搬送部84は搬送速度の比較的大きい第3段階の基板搬送に切り替える。そして、基板Gが搬出領域M5内の搬送終点位置に着くと、基板搬送部84は第3段階の基板搬送を停止する。この直後に、パッド吸着制御部115が吸着パッド108(1)〜108(4)に対するバキュームの供給を止めると同時に、保持部106の前部および後部パッドアクチエータ112a,112bが作動して、前記および後部パッド支持部110a,110bを同一のタイミングおよびストロークで下降移動させ、各吸着パッド108(i)を往動位置(保持位置)から原位置(退避位置)へ下降させる。こうして、4個の吸着パッド108(1)〜108(4)が一斉に基板Gの四隅から分離する。代わって、リフトピン92が基板Gをアンローディングするためにステージ下方の原位置からステージ上方の往動位置へ上昇する。
【0081】
しかる後、搬出領域M5にバイパス通路49から搬出機つまり搬送装置47がアクセスし、リフトピン92から基板Gを受け取ってステージ80の外へ搬出する。基板搬送部84は、基板Gをリフトピン92に渡したなら直ちに搬入領域M1へ高速度で引き返す。搬出領域M5で上記のように処理済の基板Gが搬出される頃に、搬入領域M1では次に塗布処理を受けるべき新たな基板Gについて搬入、アライメントないし搬送開始が行われる。
【0082】
上記のように、この実施形態は、基板搬送部84において、ステージ80上で浮いた状態の基板Gの四隅を4つの吸着パッド108(1)〜108(4)で局所的に保持するとともに、各吸着パッド108(i)を実質的にたわまないリジッドなパッド支持部110で支持し、かつパッドアクチエータ112の昇降駆動力により所望の高さ位置へ昇降移動または昇降変位させる構成を採っている。しかも、一対のパッド支持部110a,110bおよび一対のパッドアクチエータ112a,112bにより2軸で昇降駆動し、かつサーボで制御するので、各吸着パッド108(i)を一定の姿勢(特に水平姿勢)を保って安定に昇降移動または昇降変位させることができる。
【0083】
このような基板搬送部84の構成によれば、ステージ80上で基板Gを浮上搬送している最中に、基板Gの前端がステージ上面の各列または各個別の噴出口88または吸引口90をほぼ完全に覆う瞬間に、あるいは基板Gの後端が各列または各個別の噴出口88または吸引口90を大気に開放する瞬間にステージ80側から受ける浮上圧力が急激に変動しても、保持部106のリジッドな保持力または拘束力によって基板Gの前端部または後端部のばたつきを抑制することができる。
【0084】
また、ステージ80上で基板Gを搬入領域M1から塗布領域M3を通って搬出領域M5まで浮上搬送する際には、各領域毎に設定されている基板浮上高さに応じて各吸着パッド108(1)〜108(4)の高さ位置を適宜可変制御することができる。
【0085】
より詳細には、先ず基板Gの浮上搬送を開始する直前および直後は、基板Gが搬入領域M1内に設定された浮上高さHaで略水平になるように、吸着パッド108(1)〜108(4)を同一の高さ位置に揃えることができる。
【0086】
そして、基板Gの前端が搬入領域M1と塗布領域M3との間の遷移領域M2を通過する際には、この区間で基板浮上高さがHaからHbに変わるのに合わせて、前列左右の保持部106が前列各組のパッドアクチエータ(112a,112b)を作動させて前列左右の吸着パッド108(1),108(2)を同じタイミングで同じ高低差(Ha−Hb)だけ下降させる。こうして、基板Gの前端が塗布領域M3に入ってレジストノズル82の真下に着いた時、さらには塗布処理走査(第2段階の基板搬送)を開始する時には、図14に示すように、前列左右の保持部106のリジッドな拘束力によって基板Gの前端部を安定確実に設定浮上高さHbで水平に保つことができる。このことにより、基板Gの前端部に形成されるレジスト塗布膜RMの膜厚の均一性を向上させることができる。なお、基板Gの前端部がレジストノズル82の直下を移動する時、基板Gの後端は浮上高さHaで未だ搬入領域M1内にある。
【0087】
また、基板Gの後端が遷移領域M2を通過する際にも、保持部106が後列各組のパッドアクチエータ(112a,112b)を作動させて後列の吸着パッド108(3),108(4)を同じタイミングで同じ高低差(Ha−Hb)だけ下降させる。こうして、基板Gの後端が塗布領域M3でレジストノズル82の真下を通過する時には、図示省略するが、後列左右の保持部106のリジッドな拘束力によって基板Gの前端部を安定確実に設定浮上高さHbで水平に保つことができる。このことにより、基板Gの後端部に形成されるレジスト塗布膜RMの膜厚の均一性を向上させることができる。基板Gの後端部がレジストノズル82の直下を通過する時、基板Gの前端は搬出領域M5内に入って浮上高さHcで移動している。
【0088】
レジストノズル82に対する各吸着パッド108(i)の水平度を検査ないし補正するために、ノズル昇降機構132のノズル支持体142に取り付けられている光学的距離センサ166L(166R)を利用することができる。すなわち、図15に示すように、光学的距離センサ166Lの真下に吸着パッド108(1)を移動させることにより、光学的距離センサ166Lからの距離間隔、つまりレジストノズル82からの距離間隔Jが吸着パッド108(1)上面の各部で均一か否かを検査することが可能である。さらには、前部および後部パッドアクチエータ112a,112bを制御して、吸着パッド108(i)の上面との距離間隔Jが前部および後部パッド支持部110a,110bの支点に対応する位置で等しくなるようにして、吸着パッド108(1)のレベリングを行うことも可能である。なお、図15では前列左側の吸着パッド108(1)だけを示しているが、他の吸着パッド108(2),108(3) ,108(4)についても同様のレベリング検査ないし補正を行うことができる。
【0089】
次に、図9、図16、図17を参照して、この実施形態において保持部106に設けられている光学式位置センサ130の構成および作用について説明する。上述したように、この光学式位置センサ130は、従来のダイヤルゲージに代わってレジストノズル82の高さ位置測定に用いられるものである。
【0090】
図9に示すように、たとえば前列左の吸着パッド108(1)のパッド本体を搬送方向(X方向)に延長させて、その延長ブロック172に光学式位置センサ130を取り付けている。より詳細には、延長ブロック172には、その長手方向中心部にレジストノズル82aの下端部が上方から出入り可能な大きさで溝部174が形成されており、この溝部174を挟んで両側に投光部176および受光部178が配置されている。
【0091】
図17に示すように、投光部176は、たとえば発光ダイオードまたはレーザダイオード等の発光素子180に光学的に結合されている光ファイバ182を有し、この光ファイバ182の端面(出射面)より搬送方向(X方向)と平行または斜めの角度で略水平に受光部178に向けて光ビームLBを出射するようになっている。受光部178は、たとえばフォトダイオード等の受光素子(光電変換素子)184に光学的に結合されている光ファイバ186を有し、この光ファイバ186の端面(受光面)を投光部176の出射面と真正面に対向させている。コントローラ170は、投光部176の発光素子180を発光駆動し、受光部178の受光素子184からの出力信号を取り込むことで、投光部176より出射された光ビームLBが溝部174を横断して受光部178の受光面に入射したか否か、換言すれば溝部174内に光ビームLBの伝播を遮断するものが在るか否かを判定することができる。
【0092】
この光学式位置センサ130を用いてレジストノズル82の高さ位置を測定するには、先ず図16に示すように、ステージ80の上面(基準)の高さ位置を割り出す。より詳細には、ステージ80上に図示のような治具186を載置し、この治具186のステージ80の外にはみ出るL字形プローブ186aの先端を光学式位置センサ130に読み取らせる。すなわち、保持部106のパッドアクチエータ(112a,112b)およびパッド支持部(110a,110b)の昇降駆動を利用して光学式位置センサ130をステージ80よりも低い位置からゆっくり上昇させ、L字形プローブ186aの先端が溝部174内で光ビームLBを遮断した時の光学式位置センサ130の高さ位置を検出する。この高さ位置は、保持部106に備わっているエンコーダまたはリニアスケール124を用いて読み取ることができる。なお、L字形プローブ186aの先端はステージ80の上面に対応する高さ位置に設定されてよい。
【0093】
次に、治具186をステージ80から取り外し、代わりに図17に示すように、ノズル昇降機構132を作動させてレジストノズル82を塗布処理用の基準の高さ位置からゆっくり降ろす。このとき、図示のように、レジストノズル82の下端(吐出口)を光学式位置センサ130の溝部174の真上に位置させる。こうして、レジストノズル82の下端(吐出口)が光学式位置センサ130の溝部174に入って光ビームLBを遮断した時のレジストノズル82の高さ位置を検出する。このノズル高さ位置は、たとえばノズル昇降部132のモータ144L(144R)に備わっているエンコーダ(EC)188を用いて読み取ることができる。こうして、レジストノズル82の塗布処理用の基準の高さ位置とステージ80との間の距離間隔(ギャップ)を測定することができる。このギャップ測定値が設定値と異なっている場合は、一致するようにレジストノズル82の基準の高さ位置を補正すればよい。
【0094】
上述したように、この実施形態のレジスト塗布ユニット(COT)44においては、基板搬送部84の保持部106に上記のような光学式位置センサ130を取り付ける構成により、レジストノズル82の高さ位置を光学式で簡便かつ安全に(ノズルに傷をつけずに)しかも高い精度で検出することができる。
【0095】
なお、ノズル昇降機構132のノズル支持体142に取り付けられている光学的距離センサ166L(166R)を用いてステージ80上(特に塗布領域M3上)の基板Gとの距離間隔を測定することにより、その距離測定値からレジストノズル82の吐出口82aと基板G間のギャップSや浮上高さHbを測定することができる。この場合、上記のようにレジストノズル82の基準高さ位置を随時検査ないし補正できるので、光学的距離センサ166L(166R)を用いる測定機能の信頼性を向上させることができる。
【0096】
図16および図17では前列左側の吸着パッド108(1)と一体に設けられている光学式位置センサ130だけを示しているが、前列右側の吸着パッド108(2)と一体に設けられている光学式位置センサ130にも上記と同様のノズル高さ測定を行わせることができる。これにより、レジストノズル82の左右両端部の高さ位置を揃えて、ノズル吐出口82aの平行度を調節することもできる。
【0097】
上記した実施形態では光学式位置センサ130を前列左右の吸着パッド108(1),108(2)と一体に設けたが、後列左右の吸着パッド108(3),108(4)と一体に設ける構成や、4個の吸着パッド108(1)〜108(2)のいずれか1つと一体的に設ける構成も可能であり、あるいは吸着パッド108(i)から分離させてパッド支持部(110a,110b)あるいはパッドアクチエータ(112a,112b)に取り付ける構成等も可能である。さらには、本発明の光学式位置センサ130は本発明の保持部とは異なる構成または作用で基板を保持する昇降移動可能な保持部に設けることも可能である。
【0098】
本発明における被処理基板はLCD用のガラス基板に限るものではなく、他のフラットパネルディスプレイ用基板や、フォトマスク、プリント基板等も可能である。基板上に塗布する処理液も、レジスト液に限らず、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の処理液も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の適用可能な塗布現像処理システムの構成を示す平面図である。
【図2】上記塗布現像処理システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図3】実施形態におけるレジスト塗布ユニットの全体構成を示す略平面図である。
【図4】上記レジスト塗布ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図5】上記レジスト塗布ユニットの全体構成を示す略正面図である。
【図6】上記レジスト塗布ユニット内のステージ塗布領域における噴出口と吸入口の配列パターンの一例を示す平面図である。
【図7】上記レジスト塗布ユニットにおける基板搬送部の構成を示す一部断面側面図である。
【図8】上記基板搬送部における保持部の構成を示す拡大側面図である。
【図9】上記基板搬送部における保持部の構成を示す斜視図である。
【図10】上記保持部においてパッド支持部が吸着パッドを支持する好適な一構成例を示す斜視図である。
【図11】上記レジスト塗布ユニットにおけるノズル昇降機構、圧縮空気供給機構およびバキューム供給機構の構成を示す図である。
【図12】上記レジスト塗布ユニットにおける制御系の主要な構成を示すブロック図である。
【図13】上記レジスト塗布ユニットにおいて基板上にレジスト塗布膜が形成される様子を示す側面図である。
【図14】上記レジスト塗布ユニットにおいて基板の前端部にレジスト塗布膜が形成されるときの各部の状態を示す側面図である。
【図15】上記レジスト塗布ユニットにおいて吸着パッドのレベリング検査ないし補正を行う方法の一段階を示す側面図である。
【図16】上記レジスト塗布ユニットにおいて実施形態の光学的位置センサを用いてステージの高さを測定する方法を示す斜視図である。
【図17】上記レジスト塗布ユニットにおいて実施形態の光学的位置センサを用いてレジストノズルの高さ位置を測定する方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
10 塗布現像処理システム
30 塗布プロセス部
44 レジスト塗布ユニット(COT)
80 ステージ
82 レジストノズル
82a 吐出口
84 基板搬送部
96 レジスト液供給機構
104 搬送駆動部
106 保持部
108(1)〜108(4) 吸着パッド
110a,110b パッド支持部
112a,112b パッドアクチエータ
130 光学的位置センサ
132 ノズル昇降機構
170 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の被処理基板を気体の圧力で浮かせるステージと、
前記ステージ上で浮いた状態の前記基板を着脱可能に保持する保持部を有し、前記ステージ上で所定の搬送方向に前記基板を浮上搬送するために前記基板を保持している前記保持部を前記搬送方向に移動させる搬送部と、
前記ステージの上方に配置される長尺形のノズルを有し、前記基板上に処理液の塗布膜を形成するために前記浮上搬送で前記ノズルの直下を通過する前記基板に向けて前記ノズルより処理液を吐出させる処理液供給部と
を備え、前記保持部が、前記基板の四隅を局所的に保持する実質的にたわまない保持部材と、前記保持部材を昇降移動または変位させるための昇降部とを有する塗布装置。
【請求項2】
前記保持部材が、前記基板の四隅の裏面にそれぞれ吸着可能な4個の吸着パッドと、各々の前記吸着パッドを前記搬送方向に所定の間隔を置いた2箇所でそれぞれ鉛直方向の変位を規制して支持する第1および第2のパッド支持部とを有する請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記第1および第2のパッド支持部の双方が前記吸着パッドをその回りに鉛直面内で回転変位可能とする水平回転軸を有し、前記第1および第2のパッド支持部の片方が前記吸着パッドを水平方向で直動変位可能とする直動軸を有する請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記昇降部が、
前記第1および第2のパッド支持部をそれぞれ独立に昇降駆動する第1および第2のアクチエータと、
前記第1および第2のアクチエータの駆動動作を統括的に制御する昇降制御部と
を有する請求項2または請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記第1のアクチエータが、第1のモータと、前記第1のモータの回転駆動力を前記第1のパッド支持部の鉛直方向の直進運動に変換する第1の伝動機構とを有し、
前記第2のアクチエータが、第2のモータと、前記第2のモータの回転駆動力を前記第2のパッド支持部の鉛直方向の直進運動に変換する第2の伝動機構とを有する請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記昇降制御部が、前記第1および第2のモータの回転角をそれぞれ検出するための第1および第2のエンコーダを含み、前記第1のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために前記第1のエンコーダの出力信号をフィードバック信号として前記第1のモータの回転量を制御し、前記第2のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために前記第2のエンコーダの出力信号をフィードバック信号として前記第2のモータの回転量を制御する請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記昇降制御部が、前記第1および第2のパッド支持部の昇降移動距離をそれぞれ検出するための第1および第2の距離センサを有し、前記第1のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために前記第1の距離センサの出力信号をフィードバック信号として前記第1のモータの回転量を制御し、前記第2のパッド支持部の昇降移動距離を制御するために前記第2の距離センサの出力信号をフィードバック信号として前記第2のモータの回転量を制御する請求項5に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記ノズルの吐出口に対する高さ位置が各々の前記吸着パッドの上面全体で均一レベルになるように、前記第1および第2のパッド支持部の間で前記吸着パッドの支点の高さ位置を相対的に調節する吸着パッドレベリング調節部を有する請求項2〜7のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記搬送部が、
前記ステージの両側で前記搬送方向に延びる一対のガイドレールと、
前記保持部を搭載し、前記ガイドレールに沿って移動可能なスライダと、
前記スライダを前記ガイドレールに沿って直進駆動する搬送駆動部と
を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記ノズルを昇降移動させるためのノズル昇降機構と、
直下の測定対象物との距離間隔を光学的に測定するために、前記ノズルまたはこれを支持して一体に昇降移動するノズル支持体に取り付けられた光学式距離センサと
を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記光学式距離センサに前記吸着パッドとの距離間隔を測定させる請求項10に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記光学式距離センサに前記ステージ上の前記基板との距離間隔を測定させる請求項10に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記保持部に、前記ノズルの高さ位置を光学的に検出するための光学式位置センサを取り付ける請求項1〜12のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項14】
前記光学式位置センサが、少なくとも1つの前記吸着パッドと一体に設けられる請求項13に記載の塗布装置。
【請求項15】
前記光学式位置センサが、前記搬送方向を前方として前記ステージの左右両側に設けられる請求項13に記載の塗布装置。
【請求項16】
前記光学式位置センサが、
前記搬送方向に対して平行または斜めの角度で略水平に光ビームを出射する投光部と、
前記ノズルの下端部が上方から出入り可能な大きさのギャップを隔てて前記投光部の出射面と真正面に対向する受光面を有し、前記受光面に前記光ビームが届いているか否かを表す電気信号を発生する受光部と
を有する請求項13〜15のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項17】
多数の噴出口を上面に設けたステージ上に、搬送方向に沿って、矩形の被処理基板を前記ステージ上に搬入するための搬入領域と、前記基板上に処理液を塗布するための塗布領域と、前記基板を前記ステージから搬出するための搬出領域とをこの順に一列に設定し、
前記ステージの噴出口より噴出する気体の圧力で前記基板を前記ステージ上で浮かせ、
前記基板の四隅を実質的にたわまない昇降可能な保持部材で局所的に保持しながら前記基板を前記搬入領域から前記搬出領域まで搬送し、
途中の前記塗布領域内で上方に配置したノズルより処理液を吐出させて前記基板上に前記処理液を塗布する塗布方法。
【請求項18】
前記ステージ上の前記基板の浮上高さを前記搬入領域、前記塗布領域および前記搬出領域毎に個別に設定し、
前記基板を前記搬入領域から前記搬出領域まで搬送する間に前記基板の浮上高さの変化に応じて各々の前記保持部材を昇降移動または変位させる請求項17に記載の塗布方法。
【請求項19】
前記搬送中に前列の保持部材同士および後列の保持部材同士をそれぞれ同一のタイミングで昇降移動または変位させる請求項18に記載の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−132422(P2008−132422A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320007(P2006−320007)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】