説明

塗布現像装置及び塗布現像方法

【課題】複数の基板よりなる基板群の各基板を順次液処理し、かつ、異なるプロセスフローが同一の液処理モジュールを共有している場合において、処理時間を短縮することができる塗布現像装置及び塗布現像方法を提供する。
【解決手段】第1の薬液を用いて各基板に順次第1の液処理を行い、再び各基板に第1の薬液を用いて順次第2の液処理を行う第1の液処理モジュールM4と、第1の液処理を行った後、第2の液処理を行う前の各基板を、順次一時的に格納するバッファモジュールBUFと、バッファモジュールBUFから取り出した後、第2の液処理を行う前の各基板に、第2の薬液を用いて順次第3の液処理を行う第2の液処理モジュールM5とを有する。基板群の最後の基板に第1の液処理を行った後、直ぐに基板群の最初の基板に第2の液処理を行うことができるように、最後の基板に行う第1の液処理が終了する前に、最初の基板に行う第3の液処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を用いて基板を液処理する塗布現像装置及び塗布現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィ工程では、半導体基板(以下、「基板」又は「ウェハ」という。)の表面を疎水化処理した後、反射防止膜(Bottom Anti-Reflective Coating;BARC)を塗布及び加熱処理し、レジストを塗布及び加熱処理し、露光し、可溶化された部分を現像処理して除去することにより、微細なレジストパターンを形成している。
【0003】
半導体装置の微細化に伴い、光学露光技術だけでは、線幅とスペース幅が1:1の微細パターンの露光コントラストを十分に確保することが難しくなってきている。そこで、レジスト塗布、加熱処理、露光、現像処理よりなる一連のフォトリソグラフィを行って基板上にレジストパターンを形成した後、形成したレジストパターンの線幅を細く形成する処理(以下、「スリミング処理」という。)を行って、微細なレジストパターンを形成する方法がある。
【0004】
ここで、スリミング処理を含めた微細なレジストパターンを形成する方法としては、例えば、前半の第1の工程として、ウェハにBARCを塗布するBARC塗布処理工程、BARCが塗布されたウェハにレジストを塗布するレジスト塗布処理工程、レジストが塗布されたウェハの選択された部分を露光する露光工程、露光されたウェハに現像液を供給して現像処理してレジストパターンを形成する第1の現像処理工程等の種々の処理工程を行う場合がある。
【0005】
また、例えば、後半の第2の工程として、現像処理を行ったレジストパターンから中間露光領域を除去する第2の現像処理工程、レジストパターンを可溶化する反応物質を塗布する塗布処理工程、レジストパターンが可溶化されたウェハに現像液を供給して現像処理を行う第3の現像処理工程を行う場合がある。
【0006】
このような微細なレジストパターンを形成するための塗布処理及び現像処理を含めた液処理を行う塗布現像装置として、複数枚のウェハをカセット(又はフープ(FOUP))に格納した状態でキャリアブロックのカセット載置台にセットし、カセット側から露光装置側に向かって両側に種々の処理ユニットを配置するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−7795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記したような塗布現像装置を用いて複数の基板よりなる基板群の各基板に、スリミング処理を含めた微細なレジストパターンを形成する処理を順次行う場合、次のような問題がある。
【0009】
スリミング処理を含めた一連の処理を行う場合、処理工程数が多くなるため、前述したように前半の第1の工程と、後半の第2の工程とに分け、フープに格納された複数のウェハをフローAとして第1の工程を連続して行い、第1の工程が行われたウェハをいったんフープに再度格納し、その後、その複数のウェハを新たな別のフローBとして第2の工程を連続して行う場合がある。しかし、第1の工程と第2の工程とは、塗布現像装置に備えられた処理モジュールを共通に使用する場合がある。具体的には、例えば、第1の工程の第1の現像処理工程と、第2の工程の第3の現像処理工程とを、同一の現像処理モジュールで行う場合がある。
【0010】
上述したように、第1の工程及び第2の工程を、それぞれフローA及びフローBとして別に行う場合、フローAの第1の工程の全ての処理を終了させ、全てのウェハをフープに戻し、その後、第2の工程をフローBとして再び開始する。従って、処理時間(Total Access Time;TAT)が長くなり、ウェハの処理能力が低下するという問題がある。
【0011】
あるいは、第1の工程及び第2の工程で、同一の塗布処理モジュールを共通に使用することもある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、複数の基板よりなる基板群の各基板を順次液処理し、かつ、異なるプロセスフローが同一の液処理モジュールを共有している場合において、処理時間を短縮することができる塗布現像装置及び塗布現像方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明は、キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像装置において、第1の薬液を用いて前記各基板に順次第1の液処理を行い、前記第1の液処理を行った前記各基板に、再び前記第1の薬液を用いて順次第2の液処理を行う第1の液処理モジュールと、前記第1の液処理を行った後、前記第2の液処理を行う前の前記各基板を、順次一時的に格納するバッファモジュールと、前記バッファモジュールから取り出した後、前記第2の液処理を行う前の前記各基板に、第2の薬液を用いて順次第3の液処理を行う第2の液処理モジュールとを有し、前記基板群の最後の基板に前記第1の液処理を行った後、直ぐに前記基板群の最初の基板に前記第2の液処理を行うことができるように、前記最後の基板に行う前記第1の液処理が終了する前に、前記最初の基板に行う前記第3の液処理を開始することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像装置において、第1の薬液を用いて前記各基板に順次第1の液処理を行い、前記第1の液処理を行った前記各基板に、再び第2の薬液を用いて順次第2の液処理を行う第1の液処理モジュールと、前記第1の液処理を行った前記各基板に、第3の薬液を用いて順次第3の液処理を行う第2の液処理モジュールと、前記第3の液処理を行った後、前記第2の液処理を行う前の前記各基板を、前記基板群の最後の基板に行う前記第1の液処理が終了するまで、順次一時的に格納するバッファモジュールとを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像方法において、前記基板群の一の基板に、第1の液処理モジュールにより第1の薬液を用いて液処理を行う第1の液処理工程と、前記第1の液処理工程を行った前記一の基板を、一時的にバッファモジュールに格納する格納工程と、前記格納工程の後、前記バッファモジュールから取り出した前記一の基板に、第2の液処理モジュールにより第2の薬液を用いて液処理を行う第2の液処理工程と、前記第2の液処理工程を行った前記一の基板に、再び前記第1の液処理モジュールにより前記第1の薬液を用いて液処理を行う第3の液処理工程とを有し、前記基板群の最後の基板に前記第1の液処理工程を行った後、直ぐに前記基板群の最初の基板に前記第3の液処理工程を行うことができるように、前記最後の基板に行う前記第1の液処理工程が終了する前に、前記最初の基板に行う前記第2の液処理工程を開始することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像方法において、前記基板群の一の基板に、第1の液処理モジュールにより第1の薬液を用いて液処理を行う第1の液処理工程と、前記第1の液処理工程を行った前記一の基板に、第2の液処理モジュールにより第2の薬液を用いて液処理を行う第2の液処理工程と、前記第2の液処理工程を行った前記一の基板を、前記基板群の最後の基板に行う前記第1の液処理工程が終了するまで一時的にバッファモジュールに格納する格納工程と、前記格納工程の後、前記バッファモジュールから取り出した前記一の基板に、再び前記第1の液処理モジュールにより第3の薬液を用いて液処理を行う第3の液処理工程と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の基板よりなる基板群の各基板を順次液処理し、かつ、異なるプロセスフローが同一の液処理モジュールを共有している場合において、処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係る塗布現像装置の構成を示す概略平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る塗布現像装置の構成を示す概略正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図4A】第1の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図(その1)である。
【図4B】第1の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図(その2)である。
【図4C】第1の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図(その3)である。
【図5】第1の実施の形態に係る塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【図7】従来の塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。
【図8】従来の塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係る塗布現像方法及び従来の塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状況を説明するタイムチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る塗布現像装置の構成を示す概略正面図である。
【図11】第2の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図12A】第2の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図(その1)である。
【図12B】第2の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図(その2)である。
【図12C】第2の実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図(その3)である。
【図13】第2の実施の形態に係る塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。
【図14】第2の実施の形態に係る塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【図15】従来の塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。
【図16】従来の塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
初めに、図1から図9を参照し、第1の実施の形態に係る塗布現像装置及び塗布現像方法について説明する。
【0021】
図1及び図2は、それぞれ本実施の形態に係る塗布現像装置の構成を示す概略平面図及び概略正面図である。
【0022】
本実施の形態に係る塗布現像装置は、キャリアブロックB1、バッファブロックB2、塗布現像処理ブロックB3、及びインターフェイスブロックB4を有する。キャリアブロックB1からインターフェイスブロックB4までは、上記した順に並んで配置され、インターフェイスブロックB4は、図示しない露光装置B5と接続されている。
【0023】
キャリアブロックB1は、カセット載置台CS、ウェハ搬送アーム1を有する。カセット載置台CSは、その上面の所定の位置に、複数のカセットC(以下「フープFOUP」ともいう。)を水平のX方向に一列に載置可能となっている。
【0024】
ウェハ搬送アーム1は、搬送路1a上をX方向に沿って移動可能に設けられている。ウェハ搬送アーム1は、フープFOUPに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、X方向に配列された各フープFOUP内のウェハWに対して選択的にアクセスできるように構成されている。ウェハ搬送アーム1は、後述するようにバッファブロックB2のバッファモジュールに対してもアクセスできるように構成されている。
【0025】
バッファブロックB2は、受け渡しユニットTRS1、TRS2と、平面内X方向に並列に配置され、及びZ方向上下に重ねて配置されたバッファモジュールBUFと、ウェハ搬送アーム2を有する。
【0026】
2つの受け渡しユニットTRS1、TRS2は、上下に重なるように設けられており、キャリアブロックB1のウェハ搬送アーム1との間でウェハWを受け渡す。
【0027】
バッファモジュールBUFは、例えば上段及び下段に重ねて配置したバッファモジュールBUF1、BUF2よりなる。上段のバッファモジュールBUF1は、キャリアブロックB1から塗布現像処理ブロックB3の塗布処理モジュールBOT、COT、SCのいずれかへ受け渡すウェハW、あるいは塗布処理モジュールBOT、COT、SCのいずれかから一旦戻ってきた後、再度塗布処理モジュールBOT、COT、SCのいずれかへ受け渡すウェハWを一旦収納する。また、下段のバッファモジュールBUF2は、塗布現像処理ブロックB3の各現像処理モジュールDEV、SRのいずれかから一旦戻ってきて、再度現像処理モジュールDEV、SRのいずれか又は塗布処理モジュールBOT、COT、SCのいずれかへ受け渡すウェハWを一旦収納する。
【0028】
ウェハ搬送アーム2は、搬送路2a上をX方向に沿って移動可能に設けられている。ウェハ搬送アーム2は、受け渡しユニットTRS1、TRS2に収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、上下に重なるように設けられた受け渡しユニットTRS1、TRS2内のウェハWに対して選択的にアクセスできるように構成されている。ウェハ搬送アーム2は、受け渡しユニットTRS1、TRS2、バッファモジュールBUF1、BUF2、塗布現像処理ブロックB3の塗布処理モジュールBOT、COT、SC、現像処理モジュールDEV、SRとの間で、ウェハWを受け渡す。
【0029】
なお、キャリアブロックB1とバッファブロックB2との間に、ウェハWの検査を行う検査ブロックB1´が設けられてもよい。また、バッファブロックB2と塗布処理ブロックB3との間又は塗布処理ブロックB3の一部に、ウェハWに疎水化処理又は熱処理を行う疎水化/熱処理ブロックB2´が設けられてもよい。
【0030】
塗布現像処理ブロックB3は、塗布処理モジュールBOT、COT、SC、現像処理モジュールDEV、SR、ウェハ搬送アーム3、加熱処理モジュールHPを有する。
【0031】
塗布処理モジュールBOTは、BARCを用いてウェハに塗布処理を行うBARC塗布処理モジュールである。塗布処理モジュールCOTは、レジストを用いてウェハに塗布処理を行うレジスト塗布処理モジュールである。塗布処理モジュールSCは、レジストを可溶化する酸を塗布する塗布処理を行うスリミングコート塗布処理モジュールである。現像処理モジュールDEVは、第1の現像液を用いてウェハに現像処理を行う第1の現像処理モジュールである。現像処理モジュールSRは、ウェハにスリミング処理を行うために第2の現像液を用いてウェハに現像処理(スリミングリンス)を行う第2の現像処理モジュールであり、スリミングリンス処理モジュールともいう。
【0032】
塗布処理モジュールと現像処理モジュールとは、上下二段に重ねて配置される。上段側の塗布処理モジュールは、例えば上下三段に重ねて配置される。本実施の形態では、例えばBARC塗布処理モジュールBOT、レジスト塗布処理モジュールCOT、スリミングコート塗布処理モジュールSCの順に下から上へと重ねて配置される。下段側の現像処理モジュールは、例えば上下二段に重ねて配置される。本実施の形態では、例えば第1の現像処理モジュールDEV、第2の現像処理モジュールSRの順に下から上へと重ねて配置される。その結果、第1の現像処理モジュールDEV、第2の現像処理モジュールSR、BARC塗布処理モジュールBOT、レジスト塗布処理モジュールCOT、スリミングコート塗布処理モジュールSCは、下から上へ順に重ねて配置される。
【0033】
ここで、BARC塗布処理モジュールBOT、レジスト塗布処理モジュールCOT、スリミングコート塗布処理モジュールSC、第1の現像処理モジュールDEV、及び第2の現像処理モジュールSRを、それぞれモジュールM1〜M5とする。
【0034】
なお、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)は、本発明における第1の現像処理モジュールに相当し、第1の液処理モジュールに相当する。また、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)は、本発明における第2の現像処理モジュールに相当し、第2の液処理モジュールに相当する。また、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)は、本発明における塗布処理モジュールに相当し、第3の液処理モジュールに相当する。また、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)において用いる第1の現像液は、本発明における第1の薬液に相当する。また、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)において用いる第2の現像液は、本発明における第2の薬液に相当する。また、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)において用いるレジストを可溶化する酸は、本発明における第3の薬液に相当する。
【0035】
また、モジュールM1〜M5は、バッファモジュールBUF1、BUF2とモジュールM1〜M5との間で、一つの基板搬送アームであるウェハ搬送アーム2により直接ウェハを受け渡すことができればよい。従って、モジュールM1〜M5を上下に重ねて配置する場合に限られず、水平面内に並べて配置する等の種々の配置をとることができる。例えば図1に示すように、水平面内X方向に並べて配置してもよい。
【0036】
ここで、モジュールM1〜M5である各塗布処理モジュール、現像処理モジュールについて説明する。用いる薬液が異なる点を除き、モジュールM1〜M5は略同様の構成であるため、ここでは代表してモジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)の構成について説明する。
【0037】
モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)は、カップ11、スピンチャック12、ノズル13を有する。
【0038】
カップ11は、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)の中央部に配置され、環状形状を有する。スピンチャック12は、カップ11の内側に配置され、真空吸着によってウェハWを固定保持した状態で図示しない例えばモータよりなる回転駆動手段によって、回転駆動される。スピンチャック12は、図示しない例えばエアシリンダよりなる昇降駆動手段によって、上下動駆動され、ウェハ搬送アーム2との間でウェハを受け渡しすることができる。
【0039】
ノズル13は、ウェハWの表面に薬液を供給する。ノズル13は、図示しない薬液供給管を介して図示しない薬液供給源に接続され、薬液供給源から薬液を供給される。ノズル13はノズルスキャンアーム14の先端部に着脱可能に取り付けられている。ノズルスキャンアーム14は、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)の底板の上に一方向(X方向)に敷設されたガイドレール15上でX方向に水平移動可能な垂直支持部材16の上端部に取り付けられている。また、図示しないY方向駆動機構によってノズル13と一体にY方向に移動するようにもなっている。
【0040】
なお、モジュールM1〜M5ごとに、ノズル13、ノズルスキャンアーム14、垂直支持部材16よりなる組が、例えばレジスト、BARC、TARC(Top Anti-Reflective Coating)、SC(Immersion Top Coat)、SOG(Spin On Glass)等の使用する薬液の種類に対応して設けられている。図2に示す例では、ノズル13、ノズルスキャンアーム14、垂直支持部材16よりなる組が、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)ではBARCに対応し、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)ではレジストに対応し、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)では第1の現像液に対応し、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)では第2の現像液に対応して、設けられている。
【0041】
また、そのモジュールで複数の種類の薬液を用いる場合には、それぞれの種類の薬液に対応し、複数のノズル13が設けられていてもよい。図1に、ノズル13、ノズルスキャンアーム14、垂直支持部材16よりなる組が2組設けられている例を示す。
【0042】
加熱処理モジュールHPは、複数の加熱処理モジュールHPが上下に重ねて配置されている。加熱処理モジュールHPは、加熱処理室21、熱板22を有する。加熱処理室21は、図2に示すように、加熱処理室21の内部に熱板22を収容している。熱板22は、図1及び図2に示すように、例えば厚みのある円盤形状を有し、熱板22内には、例えば図示しないヒータが内蔵されている。このヒータによって熱板22は、所定の加熱温度例えば130℃に昇温できる。熱板22の中央付近には、図示しない昇降可能な支持ピンが設けられており、この支持ピンによって、熱板22とウェハ搬送アーム3又は後述するウェハ搬送アーム4との間でウェハWの受け渡しを行うことができる。
【0043】
ウェハ搬送アーム3は、モジュールM1〜M5と加熱処理モジュールHPとの間に設けられている。ウェハ搬送アーム3は、搬送路3a上をX方向に沿って移動可能に設けられている。ウェハ搬送アーム3は、モジュールM1〜M5の及び加熱処理モジュールHPの配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動可能であり、モジュールM1〜M5及び加熱処理モジュールHPに対して選択的にアクセスできるように構成されている。従って、ウェハ搬送アーム3は、モジュールM1〜M5、及び後述する加熱処理モジュールHPとの間でウェハWを受け渡し可能に設けられている。
【0044】
なお、塗布現像処理ブロックB3には、平面視でX方向の手前側及び奥側、あるいはZ方向の上側及び下側等の空いたスペースに、塗布現像処理ブロックB3の各塗布処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室CHMが設けられてもよい。また、ケミカル室CHMの代わりに、電気制御回路等を収めた電装室が設けられてもよい。
【0045】
また、塗布現像処理ブロックB3とインターフェイスブロックB4との間には、ウェハWに洗浄処理を行うためのスピン洗浄ユニットSRS、浸漬洗浄ユニットPIR、スクラバーSCR、又は裏面スクラバーBSTを備えたリンス洗浄ブロックB3´が設けられてもよい。
【0046】
インターフェイスブロックB4は、冷却処理モジュールCPL1、CPL2、バッファモジュールBUF3、BUF4、周辺露光装置WEE、ウェハ搬送アーム4を有する。
【0047】
冷却処理モジュールCPL1、CPL2、バッファモジュールBUF3、BUF4は、上下に重ねて配置される。冷却処理モジュールCPL1、CPL2は、塗布現像処理ブロックB3の各加熱処理モジュールHPで加熱処理が行われたウェハWを冷却処理する。バッファモジュールBUF3、BUF4は、インターフェイスブロックB4の冷却処理モジュールCPL1、CPL2、周辺露光装置WEEでの処理が行われたウェハWを一時的に格納するためのものである。バッファモジュールBUF3は、周辺露光装置WEE、図示しない露光装置B5に搬入されるウェハWを一旦格納するイン用バッファモジュールである。バッファモジュールBUF4は、露光装置B5から搬出されたウェハWを一旦格納するアウト用バッファユニットである。また、周辺露光装置WEEは、塗布処理モジュールで薬液を塗布する塗布処理がされたウェハの周辺部分を露光する周辺露光処理を行う。
【0048】
ウェハ搬送アーム4は、搬送路4a上をX方向に沿って移動可能に設けられている。ウェハ搬送アーム4は、Z方向(鉛直方向)にも移動自在であり、塗布処理ブロックB3の加熱処理モジュールHP、インターフェイスブロックB4のバッファモジュールBUF3、BUF4、冷却処理モジュールCPL1、CPL2、周辺露光装置WEEに対して選択的にアクセスできるように構成されている。ウェハ搬送アーム4は、加熱処理モジュールHP、冷却処理モジュールCPL1、CPL2、バッファモジュールBUF3、BUF4、周辺露光装置WEEの間でウェハWを受け渡す。また、ウェハ搬送アーム4は、バッファモジュールBUF3からウェハWを図示しない露光装置B5に受け渡し、露光が行われたウェハWを、図示しない露光装置B5からバッファモジュールBUF4に受け渡す。
【0049】
次に、塗布現像装置におけるウェハWの流れについて説明する。始めに、前半(後述するフローA)の処理が行われる。
【0050】
先ず外部からフープFOUPがキャリアブロックB1のカセット載置台CSにキャリアとして搬入され、ウェハ搬送アーム1によりフープFOUP内からウェハWが順次取り出される。ウェハWは、ウェハ搬送アーム1から受け渡しユニットTRS1に順次受け渡され、ウェハ搬送アーム2により塗布現像処理ブロックB3内のモジュールM1〜M3に順次搬送される。搬送されたウェハWは、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理、及びインターフェイスブロックB4のウェハ搬送アーム4により搬送され冷却処理モジュールCPL1、CPL2で行われる冷却処理も含め、一連の処理が行われる。モジュールM1、M2で一連の処理が行われたウェハWは、ウェハ搬送アーム4により周辺露光装置WEEに順次搬送され周辺露光が行われる。周辺露光が行われたウェハWは、ウェハ搬送アーム4により図示しない露光装置B5に順次搬送されて、露光が行われる。
【0051】
露光が行われたウェハWは、インターフェイスブロックB4のウェハ搬送アーム4によりモジュールM4に順次搬送される。搬送されたウェハWは、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理も含め、一連の現像処理が行われる。モジュールM4で一連の現像処理が行われたウェハWは、バッファブロックB2のウェハ搬送アーム2によりバッファモジュールBUF1、BUF2に一時的に格納される。
【0052】
バッファモジュールBUF1、BUF2に一時的に格納されたウェハWは、後述するようにモジュールM4における前半(フローA)の処理が終了した後、後半(フローB)の処理が行われる。
【0053】
ウェハWは、ウェハ搬送アーム2により塗布現像処理ブロックB3内のモジュールM5に順次搬送され、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理も含め、一連の現像処理が行われる。その後、ウェハWは、ウェハ搬送アーム2によりモジュールM3に順次搬送される。搬送されたウェハWは、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理、及びインターフェイスブロックB4のウェハ搬送アーム4により搬送され冷却処理モジュールCPL1、CPL2で行われる冷却処理も含め、一連の処理が行われる。その後、ウェハWは、ウェハ搬送アーム2によりモジュールM4に順次搬送され、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理も含め、一連の現像処理が行われる。モジュールM4で一連の現像処理が行われたウェハWは、バッファブロックB2のウェハ搬送アーム2によりキャリアブロックB1のカセット載置台CSのキャリアであるフープFOUPに戻される。
【0054】
すなわち、本実施の形態に係る塗布現像装置は、キャリアブロックB1にキャリア(フープFOUP)により搬入された基板を処理モジュール(モジュールM1、M2)に受け渡し、処理モジュール(モジュールM1、M2)にてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックB4を介して露光装置に搬送し、インターフェイスブロックB4を介して戻ってきた露光後の基板を処理モジュール(モジュールM3〜M5)にて現像処理を含めた処理を行い、キャリアブロックB1に受け渡すものである。
【0055】
次に、図3から図4Cを参照し、本実施の形態に係る塗布現像方法について説明する。
【0056】
図3は、本実施の形態に係る塗布現像方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図4Aから図4Cは、本実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図である。
【0057】
なお、図4A(a)から図4B(d)、及び図4C(e)から図4C(g)は、それぞれステップS11からステップS14、ステップS16からステップS18が行われた後の基板表面の構造を示す。また、図4A(a)から図4C(g)において、紙面右側に各工程が行われるモジュール又は装置の符号が記載されている。
【0058】
本実施の形態に係る塗布現像方法は、図3に示すように、BARC塗布処理工程(ステップS11)、レジスト塗布処理工程(ステップS12)、露光工程(ステップS13)、第1の現像処理工程(ステップS14)、格納工程(ステップS15)、第2の現像処理工程(ステップS16)、塗布処理工程(ステップS17)及び第3の現像処理工程(ステップS18)を含む。このうち、BARC塗布処理工程(ステップS11)から第1の現像処理工程(ステップS14)までが、前半の第1の工程(フローA)である。また、第2の現像処理工程(ステップS16)から第3の現像処理工程(ステップS18)までが、後半の第2の工程(フローB)である。
【0059】
なお、本実施の形態に係る塗布現像方法は、キャリアブロックB1にキャリア(フープFOUP)により搬入された基板を処理モジュール(モジュールM1、M2)に受け渡し、処理モジュール(モジュールM1、M2)にてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックB4を介して露光装置に搬送し、インターフェイスブロックB4を介して戻ってきた露光後の基板を処理モジュール(モジュールM3〜M5)にて現像処理を含めた処理を行い、キャリアブロックB1に受け渡すものである。
【0060】
始めに、ステップS11のBARC塗布処理工程を行う。ステップS11では、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)によりウェハ上の下地膜31上に、BARCを塗布し、反射防止膜32を形成する。ステップS11が行われた後のウェハ表面の構造を、図4A(a)に示す。
【0061】
次に、ステップS12のレジスト塗布処理工程を行う。ステップS12では、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)により、反射防止膜32上に、レジストを塗布する。ステップS12が行われた後のウェハ表面の構造を、図4A(b)に示す。
【0062】
ステップS12では、次いで、塗布されたレジストをプリベークして溶剤を蒸発させ、固化させることでレジスト膜33を形成する。レジストの一例は化学増幅型レジストである。化学増幅型レジストの一例は、例えば、光が照射されることで、溶剤に対して可溶な可溶化物質を発生させるレジストである。具体的な一例として、本例では、光酸発生材(PhotoAcid Generator:PAG)を含有し、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を光源に用いた露光に対応可能な化学増幅型レジストを用いた。PAGは光が当たると酸を発生する。酸は、レジストに含まれたアルカリ不溶性保護基と反応し、アルカリ不溶性保護基をアルカリ可溶性基(可溶化物質)に変化させる。上記反応の一例は、酸触媒反応である。
【0063】
次に、ステップS13の露光工程を行う。ステップS13では、ウェハを塗布現像装置のインターフェイスブロックB4側に設けられている露光装置EXPに搬送し、露光装置EXPにより、レジスト膜33の選択された部分を露光する工程である。ステップS13の工程が行われた後のウェハ表面の構造を、図4A(c)に示す。
【0064】
ステップS13では、図4A(c)に示すように、レジスト膜33の選択された部分を露光し、アルカリ性の溶剤(現像液)に対して可溶な可溶化物質を選択的に発生させる。本例のレジストは、PAGを含有した化学増幅型レジストである。また、露光処理後、レジスト膜33中に発生した酸を活性化させ、アルカリ不溶性保護基のアルカリ可溶性基(可溶化物質)への変化を促すために、熱処理(Post Exposure Bake:PEB)を行う。このように、可溶化物質を選択的に発生させることで、レジスト膜33中に、例えば、アルカリ性の溶剤(現像液)に対して可溶な可溶層33a及び不溶な不溶層33bのパターンよりなる露光パターンを得る。
【0065】
次に、ステップS14の第1の現像処理工程を行う。ステップS14では、ウェハを塗布現像装置に戻し、モジュールM4(第1の現像液モジュールDEV)により、第1の現像液を用いた第1の現像処理を行って、露光パターンに応じたレジストパターン33cを形成する。ステップS14の工程が行われた後のウェハ表面の構造を、図4B(d)に示す。
【0066】
ステップS14では、露光パターンが形成されたレジスト膜33から可溶層33aを除去し、露光パターンに応じたレジストパターン33cを形成する。本例では、ウェハを回転させた状態で、露光パターンが形成されたレジスト膜33上に、アルカリ性の溶剤(現像液)を供給することにより、可溶層33aを除去した。これにより、不溶層33bよりなるレジストパターン33cが形成される。次いで、必要ならば、レジストパターン33cを硬化させるために、ポストベークを行う。ステップS14を行った後のレジストパターン33cの線幅はCDintである。
【0067】
次に、ステップS15の格納工程を行う。ステップS15では、第1の現像処理工程を行った基板を、一時的にバッファモジュールBUFに格納する。
【0068】
次に、ステップS16の第2の現像処理工程を行う。ステップS16では、格納工程の後、バッファモジュールBUFから取り出したウェハに、モジュールM5(第2の現像液モジュールSR)により、第2の現像液を用いた第2の現像処理を行って、レジストパターン33cから中間露光領域33dを除去する。ステップS16を行った後のウェハ表面の構造を、図4B(e)に示す。
【0069】
第1の現像処理工程を行った後のレジスト膜33の側面には、可溶であるはずの領域にも関わらず可溶化が完全に進まない、又は不溶であるはずの領域にも関わらずわずかな可溶性基が発生する、といった可溶層33aと不溶層33bとの中間的な性質をもつ領域を生じてしまう。このような領域を、以下中間露光領域33dと呼ぶ。中間露光領域33dを生ずる原因として、例えば、半導体装置の微細化が進むにつれ、露光される領域と露光されない領域との境界に充分な露光量のコントラストを確保することが難しくなってきていることが挙げられる。
【0070】
ステップS16で用いる第2の現像液は、第1の現像液よりも高温又は高濃度にすることができる。例えば、第2の現像液の温度を23℃以上50℃以下、第2の現像液現像液の濃度を2.38%以上15%以下とすることができる。更に、現像時間を20sec以上300sec以下とし、現像処理を行うことによって、中間露光領域33dを除去する。中間露光領域33dを除去することにより、第1の現像処理工程を行った後のレジストパターン33cの線幅CDintよりも細い線幅CDを有するレジストパターン33cを形成することができる。
【0071】
フローAを順次行う25枚の基板よりなる基板群L1の最後の基板W25に第1の現像処理工程(ステップS14)を行った後、直ぐに基板群L1の最初の基板W1に、後述する第3の現像処理工程(ステップS18)を行うことができるようにする。従って、最後の基板W25に行う第1の現像処理工程(ステップS14)が終了する前に、最初の基板W1に行う第2の現像処理工程(ステップS16)を開始する。
【0072】
具体的には、図6を用いて後述するように、最後の基板W25に行う第1の現像処理工程が終了する時点よりも、一枚の基板に第2の現像処理工程及び塗布処理工程を行う合計時間Δtだけ先行して、最初の基板W1に行う第2の現像処理工程を開始する。
【0073】
次に、ステップS17の塗布処理工程を行う。ステップS17では、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)により、レジストパターン33c上に、レジストパターン33cを可溶化する反応物質として酸を塗布する工程である。ステップS17が行われた後のウェハ表面の構造を、図4B(f)に示す。
【0074】
ステップS17では、レジストパターン33cに、レジストパターン33cを可溶化する反応物質である酸を含む溶液35を塗布する。酸を含む溶液の一例としては、例えば、TARC(Top Anti-Reflection Coating)を用いることができる。また、ステップS17では、反応物質である酸を含む溶液35を塗布した後、所定の熱処理条件で熱処理を行い、レジストパターン33c内に反応物質である酸を拡散させてもよい。
【0075】
ステップS17では、レジストパターン33c内に反応物質である酸を拡散させて、レジストパターン33cの表面に新たな可溶層33eを形成する。レジストパターン33cが形成されているウェハWを、塗布現像装置の加熱モジュールPEB等を用いて熱処理してもよい。熱処理により、レジストパターン33c内に拡散した酸(H)を活性化することができ、不溶層33bから新たな可溶層33eへの変化を促進することができる。不溶層33bから新たな可溶層33eへの変化の一例は、例えば、アルカリ不溶性保護基からアルカリ可溶性基(可溶化物質)への、酸(H)を触媒成分とした変化である。
【0076】
なお、熱処理温度が高すぎると、パターン崩れやパターン倒れの要因となるので、ベーク温度には上限が設定されることが好ましい。熱処理温度の上限は、レジストパターン33cを構成するレジストの種類に応じて変わるが、本実施の形態に示す一例では、110℃とすることができる。また、好ましい熱処理温度は、50℃から180℃である。
【0077】
次に、ステップS18の第3の現像処理工程を行う。ステップS18では、モジュールM4(第1の現像液モジュールDEV)により、第1の現像液を用いて新たな可溶層33eが形成されたレジストパターン33cから新たな可溶層33eを除去する。ステップS18を行った後のウェハ表面の構造を、図4C(g)に示す。
【0078】
ステップS18では、新たな可溶層33eが形成されたレジストパターン33c上に、アルカリ性の溶剤である第1の現像液を供給することで、新たな可溶層33eを除去する。また、ステップS18を行った後、必要ならば、レジストパターン33cを硬化させるために、ポストベークを行う。
【0079】
本実施の形態によれば、図4B(d)に示す第1の現像処理工程の後に、図4B(e)に示す中間露光領域33dを除去する工程(第2の現像処理工程)、図4B(f)に示すレジストパターン33cの表面に新たな可溶層33eを形成する工程(塗布処理工程)、及び図4C(g)に示す新たな可溶層33eを除去する工程(第3の現像処理工程)を行う。中間露光領域33d及び新たな可溶層33eを除去することにより、第1の現像工程を行った後のレジストパターン33cの線幅CDintよりも細い線幅CDfnlを有するレジストパターン33cを形成することができる。
【0080】
次に、図5及び図6を参照し、本実施の形態に係る塗布現像装置を用いて複数の基板を連続して塗布現像処理する方法について説明する。
【0081】
図5は、本実施の形態に係る塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。図6は、本実施の形態に係る塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【0082】
図2を簡略化して示した図5に示すように、本実施の形態に係る塗布現像装置では、下から上へ、順に、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)が重ねて配置されている。
【0083】
また、図5に示すように、本実施の形態に係る塗布現像装置は、液処理ブロックB3とキャリアブロックB1との間に設けられたバッファブロックB2に、ウェハを一時的に格納するバッファモジュールBUFを有する。従って、塗布処理モジュールの近くにバッファモジュールが設けられている。
【0084】
図5及び図6に示すように、本実施の形態では、25枚のウェハW1〜W25よりなるロットL1が投入され、前半の第1の工程(フローA)及び後半の第2の工程(フローB)が行われる。
【0085】
前半の第1の工程(フローA)において、投入ロットL1の各ウェハWは、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)に順次搬送され、順次BARC塗布処理される。順次BARC塗布処理された各ウェハWは、直接又はバッファモジュールBUFを介し、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)に順次搬送され(搬送T1)、順次レジスト塗布処理される。レジスト塗布処理された各ウェハWは、直接又はバッファモジュールBUFを介し、露光が行われ、露光が行われた後、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)に搬送され、第1の現像処理が行われる。
【0086】
このように第1の現像処理が行われ、第1の工程(フローA)が行われたウェハは、第2の工程(フローB)を開始するまで一時的にバッファモジュールBUFに格納される(搬送T2)。
【0087】
一方、後半の第2の工程(フローB)において、バッファモジュールBUFに格納されている各ウェハWは、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)に順次搬送され(搬送T2)、順次第2の現像処理が行われる。第2の現像処理が行われたウェハWは、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)に搬送され(搬送T3)、反応物質である酸の塗布処理が行われる。反応物質である酸の塗布処理が行われたウェハWは、直接又はバッファモジュールBUFを介し、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)に搬送され(搬送T4)、第3の現像処理が行われる。
【0088】
次に、図6のタイムチャートを参照し、本実施の形態に係る塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおける複数のウェハの処理状態を説明する。
【0089】
本実施の形態では、複数のウェハよりなる投入ロットを投入し、投入ロットの各ウェハについて前述した塗布現像方法を行う場合、図3に示す前半の第1の工程(フローA)と、後半の第2の工程(フローB)とに分けて行う。
【0090】
なお、以下の説明では、各塗布処理モジュールで塗布処理が行われた後、適宜行われる加熱処理、及び冷却処理する処理工程については、説明を省略する。
【0091】
本実施の形態に係る塗布現像方法では、フープFOUPに格納された複数例えば25枚よりなるロットL1を投入し、投入ロットL1の各ウェハW(W1、W2、W3、・・・W25)に順次第1の工程(フローA)を行ってバッファモジュールBUFに格納する。また、第1の工程(フローA)と第2の工程(フローB)とで共通して使用するモジュールであるモジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)における処理については、以下のようにする。すなわち、最後のウェハW25に対する第1の工程(フローA)における第1の現像処理工程(ステップS14)が終了した後、直ぐに、最初のウェハW1に対する第2の工程(フローB)における第3の現像処理工程(ステップS18)を開始することができるようにする。従って、最後のウェハW25に行う第1の現像処理工程(ステップS14)が終了する前に、バッファモジュールBUFから最初のウェハW1を取り出し、第2の現像処理工程(ステップS16)を開始する。
【0092】
始めに第1の工程(フローA)を行う。まず、25枚のウェハWについて、W1、W2、W3、・・・W25の順に、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)によるBARC塗布処理工程を順次行う。BARC塗布処理工程が行われた各ウェハWは、1枚ずつウェハ搬送アーム2によりモジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)に順次搬送され(搬送T1)、W1、W2、W3、・・・W25の順に、レジスト塗布処理工程が順次行われる。モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)でレジスト塗布処理工程が行われるタイミングは、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt1の分だけ順次遅れる。
【0093】
モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)でレジスト塗布処理工程が行われた各ウェハWは、露光装置EXPで露光が順次行われる。露光装置で露光が行われるタイミングは、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt2の分だけ順次遅れる。
【0094】
以後、同様にして、各ウェハW(W1、W2、W3・・・W25)は、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)に順次搬送され、処理時間Δt3の分だけ順次遅れて処理が行われる。そして、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)における第1の現像処理工程まで行われた後、バッファモジュールBUFに順次格納される(搬送T2)。
【0095】
次に、バッファモジュールBUFに格納されたウェハWに対し、後半の第2の工程(フローB)を行う。このとき、第2の工程(フローB)のモジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)における第2の現像処理工程は、時間Δt4の分だけ順次遅れて行われる。また、最初のウェハW1に対する第2の現像処理工程を、最後のウェハW25に対する第1の現像処理工程が終了する前に開始することができる。
【0096】
これは、バッファモジュールBUFがモジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)及びモジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)の近くに設けられており、バッファモジュールBUFと、モジュールM4及びモジュールM5との間で、一つのウェハ搬送アーム2により直接ウェハWを受け渡すことができるためである。
【0097】
モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)で第2の現像処理工程が行われた各ウェハは、1枚ずつウェハ搬送アーム2によりモジュールM3(塗布処理モジュールSC)に搬送され、塗布処理工程が行われる。モジュールM3(塗布処理モジュールSC)で塗布処理工程が行われるタイミングは、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt5の分だけ順次遅れる。
【0098】
以後、同様にして、各ウェハW(W1、W2、W3・・・W25)は、モジュールM3(塗布処理モジュールSC)における塗布処理工程が行われた後、時間Δt6の分だけ順次遅れて、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)における第3の現像処理工程が行われる。また、その後、各ウェハWは、キャリアブロックB1のフープFOUPに格納される。
【0099】
一方、従来の塗布現像装置では、塗布処理モジュールの近くにバッファモジュールが設けられていない。ここでは、図7及び図8を参照し、従来の塗布現像装置を用いて複数の基板を連続して塗布現像処理する方法について比較して説明する。
【0100】
図7は、従来の塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。図8は、従来の塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【0101】
図7に示すように、比較例としての現像処理システムでは、下から上へ、順に、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)、モジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)が重ねて配置されている。
【0102】
しかし、比較例としての塗布現像装置は、液処理ブロックB3とキャリアブロックB1との間に設けられたバッファブロックB2に、ウェハを一時的に格納するバッファモジュールを有していない。従って、比較例としての塗布現像装置において、第1の工程が終了したウェハは、キャリアブロックB1のフープFOUPに戻して格納される。
【0103】
ここで、図8のタイミングチャートを参照し、比較例としての塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおける複数のウェハの処理状態を説明する。
【0104】
比較例でも、複数のウェハについて前述した塗布現像方法を行う場合、前半の第1の工程と、後半の第2の工程とに分けて行う。
【0105】
なお、比較例の説明においても、各塗布処理モジュールで塗布処理が行われた後、適宜行われる加熱処理、及び冷却処理する処理工程については、説明を省略する。
【0106】
まず、フープFOUPに格納された複数例えば25枚よりなるウェハW(W1、W2、W3、・・・W25)に順次第1の工程(フローA)を行うのは、本実施の形態と同様である。モジュールM2、EXP、M4が、それぞれモジュールM1、M2、EXPよりも、それぞれ時間Δt1、Δt2、Δt3の分だけ順次遅れるのは、本実施の形態と同様である。ただし、比較例では、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)における第1の現像処理工程が行われた後、各ウェハW(W1、W2、W3・・・W25)は、フープFOUPまで戻され、順次格納される(搬送T2´)。
【0107】
次に、フープFOUPに格納されたウェハW(W1、W2、W3・・・W25)に対し、後半の第2の工程(フローB)を行う。しかしながら、比較例では、最後のウェハW25について第1の現像処理工程が終了した後でなければ、ウェハをフープFOUPからモジュールM3(スリミングコート塗布処理モジュールSC)に搬送し(搬送T2´)、第2の現像処理工程を開始することができない。折り返して供給するモジュールの処理を待たせるためのバッファモジュールがないため、各ウェハWをFOUPまで戻す必要があるからである。
【0108】
従って、比較例において第2の工程であるフローBを開始できるタイミングは、本実施の形態において第2の工程であるフローBを開始できるタイミングに比べて、図8に示すΔtだけ遅くなる。すなわち、バッファモジュールBUFを有する本実施の形態では、バッファモジュールBUFを有していない比較例に比べ、ロットL1の全てのウェハW(W1、W2、W3・・・W25)を処理する処理時間(TAT)は、Δtの時間だけ短くなる。
【0109】
ここで、Δtは、モジュールM5(第2の現像処理モジュールSR)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt5、モジュールM3(塗布処理モジュールSC)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt6を用いて、Δt=Δt5+Δt6とすることができる。
【0110】
次に、図9を参照し、本実施の形態に係る塗布現像装置及び塗布現像方法を用いて、複数の基板(ウェハ)よりなる複数の基板群(ロット)を処理するときに、処理時間(TAT)を更に短縮することができる効果について説明する。
【0111】
図9は、2つのロットL1及びL2の各ウェハについて本実施の形態に係る塗布現像方法及び従来の塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状況を説明するタイムチャートである。2つのロットL1及びL2のそれぞれは、25枚のウェハW(W1、W2、W3・・・W25)よりなる。
【0112】
図9において、中央よりも左側は、バッファモジュールBUFを用いて先行処理を行う方式であり、第2の工程(フローB)の一部を第1の工程(フローA)が全て終了する前に先行して開始する本実施の形態に係る塗布現像方法を示す。また、図9において、中央よりも右側は、フローごとにウェハをFOUPに戻す方式であり、第2の工程(フローB)を、第1の工程(フローA)が全て終了してから開始する従来の塗布現像方法を示す。
【0113】
図9に示すように、第1のロットL1の最後のウェハW25に行う第2の工程(フローB)が終了する時点を比較すると、本実施の形態に係る方法では、従来の方法に比べてウェハ3枚分先行して終了することができる。また、第2のロットL2の最後のウェハW25に行う第2の工程(フローB)が終了する時点を比較すると、本実施の形態に係る方法では、従来の方法に比べてウェハ10枚分先行して終了することができる。同様にして、投入ロットの数が多くなるほど、すなわち処理するウェハの枚数が多くなるほど、本実施の形態に係る方法では、従来の方法に比べて処理時間(TAT)を短縮することができる。
【0114】
本実施の形態によれば、上下に重ねて配置された塗布処理ユニット及び現像処理ユニットの近くにバッファユニットを設け、前半の第1の工程が終了したウェハを、後半の第2の工程を開始するモジュールの近くに設けられたバッファユニットに一時的に格納する。これにより、後半の第2の工程を開始するときに、前半の第1の工程が全ての基板について終了する前に、その複数の基板の一部の基板について後半の第2の工程を先行して開始することができる。また、ロット終了時又は各処理工程の終了時にフープFOUPまでウェハを戻す必要がないため、ウェハ処理ルートを最短にすることができる。従って、処理時間(TAT)を短縮することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図10から図16を参照し、第2の実施の形態に係る加熱処理装置について説明する。
【0115】
本実施の形態に係る塗布現像装置及び塗布現像方法は、第1の工程(フローA)及び第2の工程においてモジュールM3を共有する点で、第1の実施の形態に係る塗布現像装置及び塗布現像方法と相違する。
【0116】
図10は、本実施の形態に係る塗布現像装置の構成を示す概略正面図である。
【0117】
本実施の形態に係る塗布現像装置は、キャリアブロックB1、バッファブロックB2及びインターフェイスブロックB4については、検査ブロックB1´、疎水化/熱処理ブロックB2´も含め、第1の実施の形態と同様である。また、塗布現像処理ブロックB3についても、モジュールM3、M4、M5を除き、第1の実施の形態と同様である。
【0118】
本実施の形態では、モジュールM3は、トップコートを塗布処理することができるとともに、レジストを可溶化する反応物質である酸を塗布処理することができる。すなわち、モジュールM3は、トップコート塗布処理モジュールTCである。また、モジュールM4を第1の現像処理モジュールDEV1とし、モジュールM5を第2の現像処理モジュールDEV2とする。
【0119】
なお、本実施の形態では、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)は、本発明における塗布処理モジュールに相当し、第1の液処理モジュールに相当する。また、本実施の形態では、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV1)は、本発明における第1の現像処理モジュールに相当し、第2の液処理モジュールに相当する。また、本実施の形態では、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)は、本発明における第2の現像処理モジュールに相当し、第3の液処理モジュールに相当する。また、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)においてレジストの塗布処理が行われた基板表面を被覆するトップコートを塗布処理するための薬液は、本発明における第1の薬液に相当する。また、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)において用いるレジストを可溶化する反応物質である酸は、本発明に係る塗布現像装置における第2の薬液に相当し、本発明に係る塗布現像方法における第3の薬液に相当する。また、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV1)において用いる第1の現像液は、本発明に係る塗布現像装置における第3の薬液に相当し、本発明に係る塗布現像方法における第2の薬液に相当する。また、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)において用いる第2の現像液は、本発明における第4の薬液に相当する。
【0120】
また、第1の実施の形態と同様に、モジュールM1〜M5は、バッファモジュールBUF1、BUF2とモジュールM1〜M5との間で、一つの基板搬送アームであるウェハ搬送アーム2により直接ウェハを受け渡すことができればよい。従って、第1の実施の形態と同様に、モジュールM1〜M5を上下に重ねて配置する場合に限られず、水平面内に並べて配置する等の種々の配置をとることができる。
【0121】
また、モジュールM1、M2、M4及びM5は略同様の構成であり、第1の実施の形態で説明した構成と同様である。
【0122】
一方、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)は、第1の実施の形態と相違し、トップコートを塗布処理するための薬液、及びレジストを可溶化する反応物質に対応し、図1を用いて前述したように、ノズル13、ノズルスキャンアーム14、垂直支持部材16よりなる組が2組設けられている。
【0123】
加熱処理モジュールHP、ウェハ搬送アーム3は、第1の実施の形態と同様にすることができる。また、ケミカル室、電装室及びリンス洗浄ブロックB3´の設置についても、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0124】
次に、塗布現像装置におけるウェハWの流れについて説明する。先ず外部からフープFOUPがキャリアブロックB1のカセット載置台CSにキャリアとして搬入され、ウェハ搬送アーム1によりフープFOUP内からウェハWが取り出される。ウェハWは、ウェハ搬送アーム1から受け渡しユニットTRS1に受け渡され、ウェハ搬送アーム2により塗布現像処理ブロックB3内のモジュールM1〜M3に順次搬送される。搬送されたウェハWは、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理、及びインターフェイスブロックB4のウェハ搬送アーム4により搬送され冷却処理モジュールCPL1、CPL2で行われる冷却処理も含め、一連の処理が行われる。モジュールM1〜M3で一連の処理が行われたウェハWは、ウェハ搬送アーム4により周辺露光装置WEEに搬送され周辺露光が行われる。周辺露光が行われたウェハWは、ウェハ搬送アーム4により図示しない露光装置B5に搬送されて、露光が行われる。
【0125】
露光が行われたウェハWは、インターフェイスブロックB4のウェハ搬送アーム4によりモジュールM4、M5に順次搬送される。搬送されたウェハWは、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理も含め、一連の現像処理が行われる。モジュールM4、M5で一連の現像処理が行われたウェハWは、バッファブロックB2のウェハ搬送アーム2によりバッファモジュールBUF1、BUF2に一時的に格納される。
【0126】
バッファモジュールBUF1、BUF2に一時的に格納されたウェハWは、後述するようにモジュールM3における前の処理が終了した後、ウェハ搬送アーム2により塗布現像処理ブロックB3内のモジュールM3に再び搬送される。搬送されたウェハWは、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理、及びインターフェイスブロックB4のウェハ搬送アーム4により搬送され冷却処理モジュールCPL1、CPL2で行われる冷却処理も含め、一連の処理が行われる。その後、ウェハWは、ウェハ搬送アーム2によりモジュールM4に搬送される。搬送されたウェハWは、適宜ウェハ搬送アーム3により搬送され加熱処理モジュールHPで行われる加熱処理も含め、一連のスリミング処理が行われる。モジュールM4で一連のスリミング処理が行われたウェハWは、バッファブロックB2のウェハ搬送アーム2によりキャリアブロックB1のカセット載置台CSのキャリアであるフープFOUPに戻される。
【0127】
すなわち、本実施の形態に係る塗布現像装置も、第1の実施の形態と同様に、キャリアブロックB1にキャリア(フープFOUP)により搬入された基板を処理モジュール(モジュールM1〜M3)に受け渡し、処理モジュール(モジュールM1〜M3)にてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックB4を介して露光装置に搬送し、インターフェイスブロックB4を介して戻ってきた露光後の基板を処理モジュール(モジュールM4、M5)にて現像処理してキャリアブロックB1に受け渡すものである。
【0128】
次に、図11から図12Cを参照し、本実施の形態に係る塗布現像方法について説明する。
【0129】
図11は、本実施の形態に係る塗布現像方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図12Aから図12Cは、本実施の形態に係る塗布現像方法の各工程における基板表面の構造を模式的に示す断面図である。
【0130】
なお、図12A(a)から図12B(f)、及び図12C(g)及び図12C(h)は、それぞれステップS21からステップS26、ステップS28及びステップS29が行われた後の基板表面の構造を示す。また、図12A(a)から図12C(h)において、紙面右側に各工程が行われるモジュール又は装置の符号が記載されている。
【0131】
本実施の形態に係る塗布現像方法は、図11に示すように、BARC塗布処理工程(ステップS21)、レジスト塗布処理工程(ステップS22)、トップコート塗布処理工程(ステップS23)、露光工程(ステップS24)、第1の現像処理工程(ステップS25)、第2の現像処理工程(ステップS26)、格納工程(ステップS27)、酸塗布処理工程(ステップS28)及び第3の現像処理工程(ステップS29)を含む。このうち、BARC塗布処理工程(ステップS21)から第2の現像処理工程(ステップS26)までが、前半の第1の工程(フローA)である。また、酸塗布処理工程(ステップS28)及び第3の現像処理工程(ステップS29)が、後半の第2の工程(フローB)である。
【0132】
なお、本実施の形態に係る塗布現像方法は、キャリアブロックB1にキャリア(フープFOUP)により搬入された基板を処理モジュール(モジュールM1〜M3)に受け渡し、処理部にてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックB4を介して露光装置に搬送し、インターフェイスブロックB4を介して戻ってきた露光後の基板を処理モジュール(モジュールM4、M5)にて現像処理してキャリアブロックB1に受け渡すものである。
【0133】
始めに、ステップS21のBARC塗布処理工程を行う。ステップS21は、第1の実施の形態に係るステップS11と同様にすることができる。ステップS21が行われた後のウェハ表面の構造を、図12A(a)に示す。
【0134】
次に、ステップS22のレジスト塗布処理工程を行う。ステップS22は、第1の実施の形態に係るステップS12と同様にすることができる。ステップS22が行われた後のウェハ表面の構造を、図12A(b)に示す。
【0135】
次に、ステップS23のトップコート塗布処理工程を行う。ステップS23では、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)により、レジスト膜33上に、トップコートを形成するための薬液を塗布し、トップコート膜34を形成する。ステップ13が行われた後のウェハ表面の構造を、図12(c)に示す。トップコート膜34は、レジスト膜33の表面に撥水性の機能を付与するために、レジスト膜33を被覆するように形成する。ただし、トップコート膜34は、レジスト膜33の表面を薄く被覆しているため、図12B(d)以降の図において、図示を省略する。
【0136】
次に、ステップS24の露光工程を行う。ステップS24は、第1の実施の形態に係るステップS13と同様にすることができる。ステップS24の工程が行われた後のウェハ表面の構造を、図12B(d)に示す。
【0137】
次に、ステップS25の第1の現像処理工程を行う。ステップS25は、第1の実施の形態に係るステップS14と同様にすることができる。ステップS25の工程が行われた後のウェハ表面の構造を、図12B(e)に示す。
【0138】
次に、ステップS26の第2の現像処理工程を行う。ステップS26は、第1の実施の形態に係るステップS15と同様にすることができる。ステップS26を行った後のウェハ表面の構造を、図12B(f)に示す。ステップS26で用いる第2の現像液を、第1の現像液よりも高温又は高濃度にすることができることも、第1の実施の形態と同様である。
【0139】
次に、ステップS27の格納工程を行う。ステップS27では、第2の現像処理工程を行った基板を、複数の基板(ウェハ)よりなる基板群(ロット)の全ての基板(ウェハ)についてステップS23のトップコート塗布処理工程が終了するまで一時的にバッファモジュールに格納する。
【0140】
次に、ステップS28の酸塗布処理工程を行う。ステップS28では、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)により、レジストパターン33c上に、レジストパターン33cを可溶化する反応物質として酸を塗布する工程である。ステップS28が行われた後のウェハ表面の構造を、図12C(g)に示す。
【0141】
ステップS28では、レジストパターン33cに、レジストパターン33cを可溶化する反応物質である酸を含む溶液35を塗布する。酸を含む溶液の一例としては、第1の実施の形態と同様に、例えば、TARCを用いることができる。具体的には、レジストパターン33c上に、反応物質、例えば、酸(H)を含む溶液35を塗布する。また、ステップS28では、反応物質である酸を含む溶液35を塗布した後、所定の熱処理条件で熱処理を行い、レジストパターン33c内に反応物質である酸を拡散させてもよい。また、レジストパターン33c内に反応物質である酸を拡散させて、レジストパターン33cの表面に新たな可溶層33eを形成できる点、熱処理温度の上限及び好ましい熱処理温度は、第1の実施の形態と同様である。
【0142】
次に、ステップS29の第1のスリミング処理工程を行う。ステップS29は、第1の実施の形態に係るステップS18と同様にすることができる。ステップS29を行った後のウェハ表面の構造を、図12C(h)に示す。
【0143】
本実施の形態によっても、図12B(e)に示す第1の現像処理工程の後に、図12B(f)に示す中間露光領域33dを除去する工程(第2の現像処理工程)、図12C(g)に示す新たな可溶層33eを形成する工程(酸塗布処理工程)、及び図12C(h)に示す新たな可溶層33eを除去する工程(第3の現像処理工程)を行う。中間露光領域33d及び新たな可溶層33eを除去することにより、第1の現像工程を行った後のレジストパターン33cの線幅CDintよりも細い線幅CDfnlを有するレジストパターン33cを形成することができる。
【0144】
次に、図13及び図14を参照し、本実施の形態に係る塗布現像装置を用いて複数の基板を連続して塗布現像処理する方法について説明する。
【0145】
図13は、本実施の形態に係る塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。図14は、本実施の形態に係る塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【0146】
図10を簡略化して示した図13に示すように、本実施の形態に係る塗布現像装置では、下から上へ、順に、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV1)、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)が重ねて配置されている。
【0147】
また、図13に示すように、本実施の形態に係る塗布現像装置は、液処理ブロックB3とキャリアブロックB1との間に設けられたバッファブロックB2に、ウェハを一時的に格納するバッファモジュールBUFを有する。従って、塗布処理モジュールの近くにバッファモジュールが設けられている。
【0148】
図13及び図14に示すように、本実施の形態では、25枚のウェハW1〜W25よりなるロットL1が投入され、前半の第1の工程(フローA)及び後半の第2の工程(フローB)が行われる。
【0149】
前半の第1の工程(フローA)において、投入ロットL1の各ウェハWは、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)に順次搬送され、順次BARC塗布処理される。順次BARC塗布処理された各ウェハWは、直接又はバッファモジュールBUFを介し、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)に順次搬送され(搬送T1)、順次レジスト塗布処理される。レジスト塗布処理された各ウェハWは、直接又はバッファモジュールBUFを介し、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)に順次搬送され(搬送T2)、順次トップコート塗布処理される。トップコート塗布処理された各ウェハWは、露光が行われ、露光が行われた後、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV1)に順次搬送され、順次第1の現像処理が行われる。第1の現像処理が行われたウェハWは、直接又はバッファモジュールBUFを介し、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)に順次搬送され(搬送T3)、順次第2の現像処理が行われる。
【0150】
このように第2の現像処理が行われ、第1の工程(フローA)が行われたウェハは、第2の工程(フローB)を開始するまで一時的にバッファモジュールBUFに格納される(搬送T4)。
【0151】
一方、後半の第2の工程(フローB)において、バッファモジュールBUFに格納されている各ウェハWは、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)に順次搬送され(搬送T4)、順次酸の塗布処理(酸塗布処理)が行われる。酸塗布処理が行われたウェハWは、直接又はバッファモジュールBUFを介し、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV)に搬送され、第3の現像処理が行われる。
【0152】
次に、図14のタイムチャートを参照し、本実施の形態に係る塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおける複数のウェハの処理状態を説明する。
【0153】
本実施の形態では、複数のウェハよりなる投入ロットを投入し、投入ロットの各ウェハについて前述した塗布現像方法を行う場合、図11に示す前半の第1の工程(フローA)と、後半の第2の工程(フローB)とに分けて行う。
【0154】
なお、以下の説明では、各塗布処理モジュールで塗布処理が行われた後、適宜行われる加熱処理、及び冷却処理する処理工程については、説明を省略する。
【0155】
本実施の形態に係る塗布現像方法では、フープFOUPに格納された複数例えば25枚よりなるロットL1を投入し、投入ロットL1の各ウェハW(W1、W2、W3、・・・W25)に順次第1の工程(フローA)を行ってバッファモジュールBUFに格納する。また、第1の工程(フローA)と第2の工程(フローB)とで共通して使用するモジュールであるモジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)における処理については、以下のようにする。すなわち、最後のウェハW25に対する第1の工程(フローA)におけるトップコート塗布処理工程(ステップS23)が終了した後、直ぐに、最初のウェハW1に対する第2の工程(フローB)における酸塗布処理工程(ステップS28)を開始する。
【0156】
始めに第1の工程(フローA)を行う。まず、25枚のウェハWについて、W1、W2、W3、・・・W25の順に、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)によるBARC塗布処理工程を順次行う。BARC塗布処理工程が行われた各ウェハWは、1枚ずつウェハ搬送アーム2によりモジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)に順次搬送され(搬送T1)、W1、W2、W3、・・・W25の順に、レジスト塗布処理工程が順次行われる。モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)でレジスト塗布処理工程が行われるタイミングは、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt1の分だけ順次遅れる。
【0157】
モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)でレジスト塗布処理工程が行われた各ウェハWは、1枚ずつウェハ搬送アーム2によりモジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)に順次搬送され(搬送T2)、トップコート塗布処理工程が順次行われる。モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)でトップコート塗布処理工程が行われるタイミングは、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt2の分だけ順次遅れる。
【0158】
以後、同様にして、各ウェハW(W1、W2、W3・・・W25)は、露光装置EXPで露光が行われた後、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV1)、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)に順次搬送され、それぞれ時間Δt3、Δt4の分だけ順次遅れて処理が行われる。そして、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)における第2の現像処理工程まで行われた後、バッファモジュールBUFに順次格納される(搬送T4)。
【0159】
次に、バッファモジュールBUFに格納されたウェハWに対し、後半の第2の工程(フローB)を行う。このとき、第2の工程(フローB)のモジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)における酸塗布処理工程は、時間Δt5の分だけ順次遅れて行われる。また、最初のウェハW1に対する酸塗布処理工程を、最後のウェハWに対するトップコート塗布処理工程が終了した後であれば、最後のウェハWに対する第2の現像処理工程が終了する前に開始することができる。
【0160】
これは、バッファモジュールBUFがモジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)及びモジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)の近くに設けられており、バッファモジュールBUFと、モジュールM3及びモジュールM5との間で、一つのウェハ搬送アーム2により直接ウェハWを受け渡すことができるためである。
【0161】
モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)で酸塗布処理工程が行われた各ウェハは、1枚ずつウェハ搬送アーム2によりモジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV1)に搬送され、第3の現像処理工程が行われる。モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV2)で第3の現像処理工程が行われるタイミングは、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)において1枚のウェハを処理する処理時間Δt6の分だけ順次遅れる。その後、各ウェハW(W1、W2、W3・・・W25)は、キャリアブロックB1のフープFOUPに格納される。
【0162】
一方、従来の塗布現像装置では、塗布処理モジュールの近くにバッファモジュールが設けられていない。ここでは、図15及び図16を参照し、従来の塗布現像装置を用いて複数の基板を連続して塗布現像処理する方法について比較して説明する。
【0163】
図15は、従来の塗布現像装置の構成を模式的に示す概略正面図である。図16は、従来の塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおけるウェハの処理状態を説明するタイムチャートである。
【0164】
図15に示すように、比較例としての現像処理システムでは、下から上へ、順に、モジュールM4(第1の現像処理モジュールDEV1)、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)、モジュールM1(BARC塗布処理モジュールBOT)、モジュールM2(レジスト塗布処理モジュールCOT)、モジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)が重ねて配置されている。
【0165】
しかし、比較例としての塗布現像装置は、液処理ブロックB3とキャリアブロックB1との間に設けられたバッファブロックB2に、ウェハを一時的に格納するバッファモジュールを有していない。従って、比較例としての塗布現像装置において、第1の工程が終了したウェハは、キャリアブロックB1のフープFOUPに戻して格納される。
【0166】
ここで、図16のタイミングチャートを参照し、比較例としての塗布現像方法を行う際の、各モジュールにおける複数のウェハの処理状態を説明する。
【0167】
比較例でも、複数のウェハについて前述した塗布現像方法を行う場合、前半の第1の工程と、後半の第2の工程とに分けて行う。
【0168】
なお、比較例の説明においても、各塗布処理モジュールで塗布処理が行われた後、適宜行われる加熱処理、及び冷却処理する処理工程については、説明を省略する。
【0169】
まず、フープFOUPに格納された複数例えば25枚よりなるウェハW(W1、W2、W3、・・・W25)に順次第1の工程(フローA)を行うのは、本実施の形態と同様である。モジュールM2〜M5が、それぞれモジュールM1〜M4よりも、それぞれ時間Δt1〜Δt4の分だけ順次遅れるのは、本実施の形態と同様である。ただし、比較例では、モジュールM5(第2の現像処理モジュールDEV2)における第2の現像処理工程が行われた後、各ウェハW(W1、W2、W3・・・W25)は、フープFOUPまで戻され、順次格納される(搬送T4´)。
【0170】
次に、フープFOUPに格納されたウェハW(W1、W2、W3・・・W25)に対し、後半の第2の工程(フローB)を行う。しかしながら、比較例では、最後のウェハW25について第2の現像処理工程が終了した後でなければ、ウェハをフープFOUPからモジュールM3(トップコート塗布処理モジュールTC)に搬送し(搬送T4´)、酸塗布処理工程を開始することができない。折り返して供給するモジュールの処理を待たせるためのバッファモジュールがないため、各ウェハWをFOUPまで戻す必要があるからである。
【0171】
従って、比較例において第2の工程であるフローBを開始できるタイミングは、本実施の形態において第2の工程であるフローBを開始できるタイミングに比べて、図16に示すΔtだけ遅くなる。すなわち、バッファモジュールBUFを有する本実施の形態では、バッファモジュールBUFを有していない比較例に比べ、ロットL1の全てのウェハW(W1、W2、W3・・・W25)を処理する処理時間(TAT)は、Δtの時間だけ処理時間(TAT)が短くなる。
【0172】
本実施の形態でも、上下に重ねて配置された塗布処理ユニット及び現像処理ユニットの近くにバッファユニットを設け、前半の第1の工程が終了したウェハを、後半の第2の工程を開始するモジュールの近くに設けられたバッファユニットに一時的に格納する。これにより、後半の第2の工程を開始するときに、前半の第1の工程が全ての基板について終了する前に、その複数の基板の一部の基板について後半の第2の工程を先行して開始することができる。また、ロット終了時又は各処理工程の終了時にフープFOUPまでウェハを戻す必要がないため、ウェハ処理ルートを最短にすることができる。従って、処理時間(TAT)を短縮することができる。
【0173】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0174】
また、本発明は、塗布現像装置のみならず、基板洗浄装置、成膜装置、エッチング装置その他の各種装置に適用することが可能である。また、本発明は、半導体基板、ガラス基板その他の各種基板を搬送する工程を含む装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0175】
2 ウェハ搬送アーム
BUF、BUF1、BUF2 バッファモジュール
COT 塗布処理モジュール(レジスト塗布処理モジュール)
DEV、DEV1 第1の現像処理モジュール
FOUP フープ
M1〜M5 モジュール
SC スリミングコート塗布処理モジュール(塗布処理モジュール)
SR、DEV2 第2の現像処理モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像装置において、
第1の薬液を用いて前記各基板に順次第1の液処理を行い、前記第1の液処理を行った前記各基板に、再び前記第1の薬液を用いて順次第2の液処理を行う第1の液処理モジュールと、
前記第1の液処理を行った後、前記第2の液処理を行う前の前記各基板を、順次一時的に格納するバッファモジュールと、
前記バッファモジュールから取り出した後、前記第2の液処理を行う前の前記各基板に、第2の薬液を用いて順次第3の液処理を行う第2の液処理モジュールと
を有し、
前記基板群の最後の基板に前記第1の液処理を行った後、直ぐに前記基板群の最初の基板に前記第2の液処理を行うことができるように、前記最後の基板に行う前記第1の液処理が終了する前に、前記最初の基板に行う前記第3の液処理を開始することを特徴とする塗布現像装置。
【請求項2】
前記バッファモジュールは、該バッファモジュールと前記第1の液処理モジュールとの間で、一つの基板搬送アームにより前記各基板が受け渡されることを特徴とする請求項1に記載の塗布現像装置。
【請求項3】
前記第3の液処理を行った後、前記第2の液処理を行う前の前記各基板に、第3の薬液を用いて順次第4の液処理を行う第3の液処理モジュールを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗布現像装置。
【請求項4】
前記第1の液処理モジュールは、第1の現像処理モジュールであり、
前記第2の液処理モジュールは、第2の現像処理モジュールであり、
前記第3の液処理モジュールは、塗布処理モジュールであり、
前記第1の薬液は、第1の現像液であり、
前記第2の薬液は、前記第1の現像液よりも高温又は高濃度の第2の現像液であり、
前記第3の薬液は、レジストを可溶化する酸であることを特徴とする請求項3に記載の塗布現像装置。
【請求項5】
キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像装置において、
第1の薬液を用いて前記各基板に順次第1の液処理を行い、前記第1の液処理を行った前記各基板に、再び第2の薬液を用いて順次第2の液処理を行う第1の液処理モジュールと、
前記第1の液処理を行った前記各基板に、第3の薬液を用いて順次第3の液処理を行う第2の液処理モジュールと、
前記第3の液処理を行った後、前記第2の液処理を行う前の前記各基板を、前記基板群の最後の基板に行う前記第1の液処理が終了するまで、順次一時的に格納するバッファモジュールと
を有することを特徴とする塗布現像装置。
【請求項6】
キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像方法において、
前記基板群の一の基板に、第1の液処理モジュールにより第1の薬液を用いて液処理を行う第1の液処理工程と、
前記第1の液処理工程を行った前記一の基板を、一時的にバッファモジュールに格納する格納工程と、
前記格納工程の後、前記バッファモジュールから取り出した前記一の基板に、第2の液処理モジュールにより第2の薬液を用いて液処理を行う第2の液処理工程と、
前記第2の液処理工程を行った前記一の基板に、再び前記第1の液処理モジュールにより前記第1の薬液を用いて液処理を行う第3の液処理工程と
を有し、
前記基板群の最後の基板に前記第1の液処理工程を行った後、直ぐに前記基板群の最初の基板に前記第3の液処理工程を行うことができるように、前記最後の基板に行う前記第1の液処理工程が終了する前に、前記最初の基板に行う前記第2の液処理工程を開始することを特徴とする塗布現像方法。
【請求項7】
前記バッファモジュールは、該バッファモジュールと前記第1の液処理モジュールとの間で、一つの基板搬送アームにより前記一の基板が受け渡されることを特徴とする請求項6に記載の塗布現像方法。
【請求項8】
前記第2の液処理工程を行った後、前記第3の液処理工程を行う前の前記一の基板に、第3の液処理モジュールにより第3の薬液を用いて液処理を行う第4の液処理工程を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の塗布現像方法。
【請求項9】
前記第1の液処理モジュールは、第1の現像処理モジュールであり、
前記第2の液処理モジュールは、第2の現像処理モジュールであり、
前記第3の液処理モジュールは、塗布処理モジュールであり、
前記第1の薬液は、第1の現像液であり、
前記第2の薬液は、前記第1の現像液よりも高温又は高濃度の第2の現像液であり、
前記第3の薬液は、レジストを可溶化する酸であることを特徴とする請求項8に記載の塗布現像方法。
【請求項10】
キャリアブロックにキャリアにより搬入された複数の基板よりなる基板群の各基板を順次処理モジュールに受け渡し、前記処理モジュールにてレジスト膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の各基板を前記処理モジュールにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡すことにより、前記基板群の各基板を順次液処理する塗布現像方法において、
前記基板群の一の基板に、第1の液処理モジュールにより第1の薬液を用いて液処理を行う第1の液処理工程と、
前記第1の液処理工程を行った前記一の基板に、第2の液処理モジュールにより第2の薬液を用いて液処理を行う第2の液処理工程と、
前記第2の液処理工程を行った前記一の基板を、前記基板群の最後の基板に行う前記第1の液処理工程が終了するまで一時的にバッファモジュールに格納する格納工程と、
前記格納工程の後、前記バッファモジュールから取り出した前記一の基板に、再び前記第1の液処理モジュールにより第3の薬液を用いて液処理を行う第3の液処理工程と
を有することを特徴とする塗布現像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−82352(P2011−82352A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233583(P2009−233583)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】