説明

塗布装置

【課題】 撮像手段の主走査方向の移動時に周期性振動が発生した場合においても、正確に塗布軌跡を測定することができ、これによりノズルの位置調整を正確に実行することが可能な塗布装置を提供する。
【解決手段】 塗布軌跡を撮像する撮像部は、その主走査方向の撮像中心位置が塗布軌跡T1、T2、T3、T4の周期性振動の周期Sの半分だけ離隔した位置となるように配置され、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の周期性振動の1周期のほぼ全域の領域を撮像する一対のCCDカメラ90a、90bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有機EL表示装置用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、PDP用ガラス基板、太陽電池用基板、電子ペーパ用基板あるいは半導体製造装置用マスク基板等の基板に塗布液を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高分子有機EL(Electro Luminescence)材料を用いたアクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置を製造するときには、ガラス基板に対して、TFT(Thin Film Transistor)回路の形成工程、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)電極の形成工程、隔壁の形成工程、正孔輸送材料を含む流動性材料の塗布工程、加熱処理による正孔輸送層の形成工程、有機EL材料を含む流動性材料の塗布工程、加熱処理による有機EL層の形成工程、陰極の形成工程、および、絶縁膜の形成による封止工程が順次実行される。
【0003】
このような有機EL表示装置の製造時に、正孔輸送材料を含む流動性材料や有機EL材料を含む流動性材料等の塗布液を基板に塗布する塗布装置として、塗布液を連続的に吐出する複数のノズルを、基板に対して主走査方向および副走査方向に相対移動することにより、基板上の塗布領域に塗布液をストライプ状に塗布する装置が知られている。
【0004】
また、特許文献1には、複数のノズルを有する塗布ヘッドを主走査方向に往復移動するヘッド移動機構として、主走査方向に伸びるガイド部に係合しつつガイド部との間にエアを噴出することにより、非接触状態にてガイド部に支持されるスライダを採用したものが提案されている。この特許文献1に記載された塗布装置においては、スライダにエア供給管を介してエアが供給される。また、このスライダに取り付けられる塗布ヘッドにおける複数のノズルには、塗布液貯留部と接続された可撓性の塗布液供給管を介して塗布液が供給される。
【0005】
ところで、このような塗布装置においては、複数のノズルのノズルピッチを、正確に調整する必要がある。このため、特許文献2には、ノズルを主走査方向に移動させながら塗布液を連続して吐出することにより塗布軌跡を形成し、この塗布軌跡をCCDカメラ等の撮像手段で撮像し、撮像された塗布軌跡のピッチに基づいてノズル間の距離を調整するようにした塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−131735号公報
【特許文献2】特開2009−109446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図14および図15は、複数のノズルにより塗布液を塗布した後の塗布軌跡を示す模式図である。
【0008】
これらの図においては、4個のノズルN1、N2、N3、N4を使用して塗布液を塗布し、4本の塗布軌跡T1、T2、T3、T4を形成した状態を模式的に示している。これらの図において左右方向はノズルN1、N2、N3、N4が往復移動する主走査方向であり、上下方向は基板が移動する副走査方向である。また、4個のノズルN1、N2、N3、N4は、その主走査方向のピッチがQとなり、副走査方向のピッチがPとなるように、傾斜配置されている。また、これらの図において、符号90は、塗布軌跡T1、T2、T3、T4を撮像するためのCCDカメラを示している。
【0009】
ところで、4個のノズルN1、N2、N3、N4を備えた塗布ヘッドを主走査方向に移動させたときには、塗布ヘッドが一定の周期で振動することが本発明の発明者により見いだされている。このため、4個のノズルN1、N2、N3、N4を備えた塗布ヘッドを主走査方向に移動させて4本の塗布軌跡T1、T2、T3、T4を形成した場合には、その塗布動作中に周期がSである周期性振動が発生する。従って、4本の塗布軌跡T1、T2、T3、T4は、周期Sを有する波形状となる。そして、4本の塗布軌跡T1、T2、T3、T4は、4個のノズルN1、N2、N3、N4の主走査方向のピッチQだけ、主走査方向に互いにずれた位置に配置されることになる。
【0010】
このため、このようにして形成された塗布軌跡T1、T2、T3、T4をCCDカメラ90により撮像することにより、その撮像領域における塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置の平均値を、図14において破線で示すように、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置と認定した場合には、CCDカメラ90の塗布軌跡T1、T2、T3、T4に対する主走査方向の位置によって、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置に副走査方向の誤差が生ずる。
【0011】
従って、このようにして認定した塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置に基づいて4個のノズルN1、N2、N3、N4の副走査方向の位置を認定した場合には、図15に示す位置に、4個のノズルN1、N2、N3、N4が配置されていると認識される。そのため、この情報に基づいて4個のノズルN1、N2、N3、N4の位置を調整した場合には、これらの副走査方向の位置を正しい位置に調整することが不可能となる。
【0012】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、撮像手段の主走査方向の移動時に周期性振動が発生した場合においても、正確に塗布軌跡を測定することができ、これによりノズルの位置調整を正確に実行することが可能な塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、基板に塗布液を塗布する塗布装置であって、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板に対して塗布液を吐出するノズルと、前記ノズルを、基板の表面に対して平行な主走査方向に往復移動させる主走査方向移動機構と、前記基板保持部を、前記主走査方向と直交し、かつ、基板の表面に対して平行な副走査方向に、前記ノズルに対して相対的に移動させる副走査方向移動機構と、前記主走査方向移動機構により前記ノズルを主走査方向に移動させながら当該ノズルから塗布液を連続して吐出することにより形成された塗布軌跡を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像した塗布軌跡の画像から、塗布軌跡の前記副走査方向の位置を判定する判定手段と、を備え、前記撮像手段は、前記塗布軌跡の周期性振動の1周期のほぼ全域の領域を撮像することとを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記撮像手段は、その主走査方向の撮像中心位置が、前記塗布軌跡の周期性振動の周期の半分だけ離隔した位置となるように配置された一対のカメラを備える。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記撮像手段は、前記塗布軌跡の周期性振動の1周期の全域を撮像する単一のカメラを備える。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記判定手段は、前記撮像手段におけるカメラにより撮像した画像の前記塗布軌跡の位置の平均値を、塗布軌跡の位置と判定する。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記ノズルは、前記主走査方向および前記副走査方向に関して等間隔に複数個配設されており、前記カメラは、前記複数のノズルにより形成された複数の塗布軌跡を同時に撮像する。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記判定手段により判定した複数の塗布軌跡の位置のピッチに基づいて、前記複数のノズルの前記副走査方向のピッチを調整するノズルピッチ調整機構をさらに備える。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記撮像手段は、前記主走査方向移動機構によるノズルの移動ストロークの両端部付近に一対配設されており、これら一対の撮像手段におけるカメラにより撮像され、前記判定手段により判定された塗布軌跡の位置から、これら一対の撮像手段におけるカメラの位置を調整する。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の発明において、前記主走査方向移動機構は、前記主走査方向に延びるガイド部材と、このガイド部材に係合しつつガイド部材との間に気体を噴出することにより非接触状態で前記ガイド部材に支持されるスライダとを有する非接触移動機構から構成される。
【0021】
請求項9に記載の発明は、基板に塗布液を塗布する塗布装置であって、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板に平行な副走査方向および基板に平行でこの副走査方向と直交する主走査方向に関して、各々等間隔に配設され、前記基板に対して塗布液を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルを、主走査方向に往復移動させる主走査方向移動機構と、前記基板保持部を、前記副走査方向に、前記複数のノズルに対して相対的に移動させる副走査方向移動機構と、前記主走査方向移動機構により前記複数のノズルを主走査方向に移動させながら当該複数のノズルから塗布液を連続して吐出することにより形成された複数の塗布軌跡を各々撮像する、複数のカメラを備えた撮像手段と、前記撮像手段における各カメラにより撮像した各塗布軌跡の画像から、各塗布軌跡の前記副走査方向の位置を判定する判定手段と、を備え、前記撮像手段における各カメラは、前記副走査方向に対しては、前記複数のノズルの副走査方向の間隔に対応する距離だけ互いに離隔した領域を撮像し、前記主走査方向に対しては、前記複数のノズルの主走査方向の間隔、あるいはこの前記複数のノズルの主走査方向の間隔に前記塗布軌跡の周期性振動の振幅Sの整数倍の距離を加算した距離に対応する距離だけ互いに離隔した領域を撮像する、ことを特徴とする塗布装置。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記判定手段は、前記撮像手段における各カメラにより撮像した画像の前記塗布軌跡の位置の平均値を、塗布軌跡の位置と判定する。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記判定手段により判定した複数の塗布軌跡の位置のピッチに基づいて、前記複数のノズルの前記副走査方向のピッチを調整するノズルピッチ調整機構をさらに備える。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の発明において、前記主走査方向移動機構は、前記主走査方向に延びるガイド部材と、このガイド部材に係合しつつガイド部材との間に気体を噴出することにより非接触状態で前記ガイド部材に支持されるスライダとを有する非接触移動機構から構成される。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、ノズルの主走査方向の移動時に周期性振動が発生した場合においても、正確に塗布軌跡を測定することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、その主走査方向の撮像中心位置が塗布軌跡の周期性振動の周期の半分だけ離隔した位置となるように配置された一対のカメラにより塗布軌跡を撮像することから、撮像手段による撮像領域が、塗布軌跡の周期性振動の周期に比べて小さい場合においても、正確に塗布軌跡を測定することが可能となる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、塗布軌跡の周期性振動の1周期の全域を撮像する単一のカメラより塗布軌跡を撮像することから、簡易な構成により、正確に塗布軌跡を測定することが可能となる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、撮像手段におけるカメラにより撮像した画像の前記塗布軌跡の位置の平均値を塗布軌跡の位置と判定することから、塗布軌跡の位置の判定を容易に実行することが可能となる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、カメラにより複数のノズルにより形成された複数の塗布軌跡を同時に撮像することにより、複数の塗布軌跡の位置の判定を正確に実行することが可能となる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、複数の塗布軌跡の位置のピッチに基づいて複数のノズルの副走査方向のピッチを調整することが可能となる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、主走査方向移動機構によるノズルの移動ストロークの両端部付近に配設された一対の撮像手段により撮像された塗布軌跡の位置から、これら一対の撮像手段におけるカメラの位置を調整することが可能となる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、非接触移動機構を使用したときに特有の主走査方向の移動時における周期性振動が発生した場合においても、正確に塗布軌跡を測定することが可能となる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、複数のノズルの主走査方向の移動時に周期性振動が発生した場合においても、正確に塗布軌跡を測定することができる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、撮像手段におけるカメラにより撮像した画像の前記塗布軌跡の位置の平均値を塗布軌跡の位置と判定することから、塗布軌跡の位置の判定を容易に実行することが可能となる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、複数の塗布軌跡の位置のピッチに基づいて複数のノズルの副走査方向のピッチを調整することが可能となる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、非接触移動機構を使用したときに特有の主走査方向の移動時における周期性振動が発生した場合においても、正確に塗布軌跡を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係る塗布装置の平面図である。
【図2】この発明に係る塗布装置の正面図である。
【図3】ヘッド移動機構21におけるスライダ31付近の断面図である。
【図4】試験塗布ステージ部16の側面から見た断面図である。
【図5】試験塗布ステージ部16の正面から見た断面図である。
【図6】この発明に係る塗布装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の第1実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。
【図8】撮像部15の副走査方向の位置を調整するラインアライメント動作を説明する概要図である。
【図9】従来の塗布装置によるラインアライメント動作を説明する概要図である。
【図10】この発明の第2実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。
【図11】この発明の第3実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。
【図12】この発明の第4実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。
【図13】この発明の第5実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。
【図14】従来の塗布装置において、複数のノズルにより塗布液を塗布した後の塗布軌跡を示す模式図である。
【図15】従来の塗布装置において、複数のノズルにより塗布液を塗布した後の塗布軌跡を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る塗布装置の平面図であり、図2はその正面図である。
【0039】
この塗布装置は、矩形状のガラス基板100に対して塗布液を塗布するためのものである。より詳細には、この塗布装置は、アクティブマトリックス駆動方式の有機EL(Electro Luminescence)表示装置用のガラス基板100に、揮発性の溶媒(本実施の形態では、芳香族の有機溶媒の1つである4−メチルアニソール)、および、発光材料としての有機EL材料を含む塗布液を塗布するためのものである。
【0040】
この塗布装置は、ガラス基板100を移動させるための基板移動機構11を備える。この基板移動機構11は、図2に示すように、ガラス基板100をその裏面から保持する基板保持部10を有する。この基板保持部10は、一対のレール12に沿って移動する基台13と、この基台13上に配設された回転台14とにより支持されている。このため、この基板保持部10は、図1に示すY方向に、ガラス基板100の表面と平行に移動可能となっている。このY方向は、後述する塗布ヘッド20の往復移動方向である主走査方向(図1におけるX方向)と直交する方向である。以下、このY方向を「副走査方向」とも呼称する。また、この基板保持部10は、鉛直方向(図1におけるZ方向)を向く軸を中心に、回転可能となっている。
【0041】
この基板保持部10は、ガラス基板100を下側から加熱するヒータをその内部に備える。このガラス基板100の表面には、それぞれがX方向に伸びる複数の塗布領域が、Y方向に、例えば100〜150μmのピッチにて配列形成されている。この塗布領域は、例えば、X方向に配置された隔壁などによって形成されている。
【0042】
また、この塗布装置は、ガラス基板100上に形成された、図示しないアライメントマークを撮像して検出するとともに、後述する塗布軌跡を撮像するための左右一対の撮像部15を備える。この一対の撮像部15には、各々、後述するように、塗布軌跡に発生する周期性振動の1周期のほぼ全域の領域を撮像することが可能な一対のCCDカメラ90a、90b(これらを総称する場合にはCCDカメラ90と呼称する)を備える。これらのCCDカメラ90a、90bの配置関係等については、後程詳細に説明する。
【0043】
また、この塗布装置は、塗布軌跡の試験的な塗布に使用される左右一対の試験塗布ステージ部16を備える。この試験塗布ステージ部16の構成についても、後程詳細に説明する。
【0044】
基板保持部10に保持されたガラス基板100の表面に向けて塗布液を吐出する塗布ヘッド20は、ヘッド移動機構21により、一対のガイド部22に沿って、ガラス基板100表面に平行な主走査方向(図1におけるX方向)に往復移動される。この塗布ヘッド20には、同一種類の塗布液を連続的に吐出するための複数のノズル23が配設されている。図1および図2では図示の都合上、5個のノズル23のみを図示しているが、ノズル23の個数は、さらに多数でもよく、また、1個であってもよい。
【0045】
塗布ヘッド20は、後述するエア供給管および複数の塗布液供給管をひとまとめにした供給管群26を介して、塗布液貯留部24およびエア供給源25と接続されている。塗布ヘッド20の往復移動方向(X方向)に関して基板保持部10の両側には、塗布ヘット20におけるノズル23からの塗布液を受ける2つの受液部17、18が配設されている。また、塗布ヘッド20の往復移動方向(X方向)に関して一方の受液部18の側方には、上述した複数のノズル23の副走査方向のピッチを調整するためのノズルピッチ調整機構19が配設されている。
【0046】
図3は、ヘッド移動機構21におけるスライダ31付近の断面図である。
【0047】
図1に示すヘッド移動機構21におけるガイド部材22には、スライダ31が摺動可能に配設されている。このスライダ31には、ガイド部材22が貫通する貫通孔32が形成されている。このスライダ31には、図1に示すように、供給管群26に含まれるエア供給管を介して、エア供給源25から一定圧力のエアが供給される。このため、図3に示すように、貫通孔32の内周面とガイド部22の外周面との間にエアが噴出される。図3では、エアの噴出方向を符号A1を付す矢印にて示している。これにより、スライダ31がガイド部22に非接触状態にて係合しつつ、主走査方向に移動可能に支持される。
【0048】
図1を参照して、一対のガイド部材22の両端部付近には、Z軸方向を向く軸を中心に回転可能な一対のプーリ33が配設されている。この一対のプーリ33には、無端状の同期ベルト34が巻回されている。スライダ31の一端は、この同期ベルト34に固定されている。一方、スライダ31の他端には、上述した塗布ヘッド20が固定されている。このため、図示しないモータの駆動により同期ベルト34を時計回りあるいは反時計回りに回転されることにより、塗布ヘッド20を(−X)方向または(+X)方向に往復移動させることができる。このとき、上述した気体の作用により、スライダ31をガイド部材22に対して非接触状態で支持することができるので、塗布ヘッド20の往復移動を、高速かつ滑らかなものとすることが可能となる。
【0049】
この塗布装置においては、このヘッド移動機構21が、塗布ヘッド20を主走査方向に移動させる主走査方向移動機構となり、基板移動機構11が、基板保持部を副走査方向に移動させる副走査方向移動機構となる。この塗布装置においては、塗布ヘッド20の主走査方向への移動が完了する毎に、ガラス基板100を副走査方向に移動させることにより、ガラス基板100の表面の塗布領域に対して塗布液の塗布を実行する。なお、塗布ヘッド20の主走査時には、受液部17、18の近傍にて加速または減速が完了し、ガラス基板100の上方においては、塗布ヘッド20は、例えば、毎秒3〜5m程度の一定速度で移動する。
【0050】
図4は、上述した塗布軌跡の試験的な塗布に使用される左右一対の試験塗布ステージ部16のうちの一方を示す側面から見た断面図であり、図5は、その正面から見た断面図である。なお、図4においては、樹脂テープ41を一部省略して図示している。
【0051】
この試験塗布ステージ部16は、塗布ヘッド20により樹脂テープ41上に塗布液を試験的に塗布して塗布軌跡を形成し、この塗布軌跡を撮像部15により撮像してこの塗布軌跡の位置を測定するものである。この試験塗布ステージ部16は、図4および図5に示すように、基板移動機構11のレール12に摺動可能に取り付けられるスライダ42と、このスライダ42上に固定されたハウジング43とを備える。
【0052】
このハウジング43内には、新しい樹脂テープ41を供給する巻き出しローラ44と、塗布液が塗布された樹脂テープ41を巻き取る巻き取りローラ45と、これらの巻き出しローラ44および巻き取りローラ45の間において、試験塗布が実行される樹脂テープ41の部位を保持するテープ保持部46とが配設される。図4に示すように、巻き取りローラ45は、モータ52の駆動により回転するウォームギア51に連結されている。このため、モータ52の駆動により、樹脂テープ41は巻き出しローラ44から巻き出され、巻き取りローラ45に巻き取られる。
【0053】
図5に示すように、巻き取りローラ45に巻き取られた樹脂テープ41の量は、センサ48により検出される。また、巻き出しローラ44から巻き出される樹脂テープ41の終端は、センサ47により検出される。
【0054】
この試験塗布ステージ部16におけるテープ保持部46に保持された樹脂テープ41には、塗布ヘッド20により塗布液が塗布され、塗布軌跡が形成される。この塗布軌跡は、後述する撮像部15におけるCCDカメラ90により撮像される。使用に供された樹脂テープ41は、巻き取りローラ45により巻き取られ、回収される。
【0055】
図6は、この発明に係る塗布装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【0056】
この塗布装置は、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM36と、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM37と、論理演算を実行するCPU38とから成る制御部39を備える。この制御部39は、インターフェース40を介して、上述した塗布ヘッド20、ノズルピッチ調整機構19、ノズル移動機構21および基板移動機構11と接続されている。また、この制御部39は、インターフェース40を介して、CCDカメラ90により撮像した画像を処理するための画像処理部35と接続されている。なお、この画像処理部35および制御部29は、CCDカメラ90により撮像した塗布軌跡の画像から塗布軌跡の副走査方向の位置を判定する判定手段として機能する。
【0057】
次に、この発明の特徴部分である塗布ヘッド20における複数のノズル23と、撮像部15におけるCCDカメラ90との関係について説明する。図7は、この発明の第1実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。なお、図7においては、説明の便宜上、複数のノズル23のうちの4個のノズルN1、N2、N3、N4のみを図示している。
【0058】
図7に示すように、塗布ヘッド20における複数のノズルN1、N2、N3、N4は、主走査方向および前記副走査方向に関して等間隔に配置されている。これらのノズルN1、N2、N3、N4における主走査方向のピッチはQであり、副走査方向のピッチはPとなっている。この塗布ヘッド20が主走査方向に移動しながら、上述した樹脂テープ41に向けて塗布液を吐出した場合には、樹脂テープ41の表面に図7に示すような4本の塗布軌跡T1、T2、T3、T4が形成される。
【0059】
上述したように、塗布ヘッド20を主走査方向に移動させたときには、塗布ヘッド20が一定の周期で振動することが本発明の発明者により見いだされている。このような現象は、この発明の実施形態のように、ガイド部材22に係合しつつガイド部材22との間に気体を噴出することにより非接触状態でガイド部材22に支持されるスライダ31を使用した場合に、特に顕著となる。そして、このときの振動の周期は、塗布ヘッド20の移動範囲において常に略一定の周期Sとなる。
【0060】
このため、この発明に係る塗布装置においては、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の周期性振動の1周期Sのほぼ全域の領域を撮像する一対のCCDカメラ90a、90bを使用している。これらのCCDカメラ90a、90bは、図7に示すように、その主走査方向の撮像中心位置が、塗布軌跡の周期性振動の周期Sの半分だけ離隔した位置となるように配置されている。これらのCCDカメラ90a、90bは、その撮像面が塗布軌跡と近接する位置に配置されている。そして、これらのCCDカメラ90a、90bは、4個のノズルN1、N2、N3、N4により形成された4本の塗布軌跡T1、T2、T3、T4を同時に撮像する構成となっている。また、この塗布装置においては、図7において破線で示すように、一対のCCDカメラ90a、90bにより撮像した画像の塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置の平均値を、塗布軌跡の位置と判定する構成となっている。
【0061】
このような構成を有する一対のCCDカメラ90a、90bを備えた撮像部15により樹脂テープ41の表面に形成された塗布軌跡T1、T2、T3、T4を撮像した場合には、CCDカメラ90a、90bが塗布軌跡T1、T2、T3、T4の周期性振動の1周期Sのほぼ全域の領域を、塗布軌跡T1、T2、T3、T4に近接した位置から撮像することから、4本の塗布軌跡T1、T2、T3、T4が4個のノズルN1、N2、N3、N4の主走査方向のピッチQだけ主走査方向に互いにずれた位置に配置されていた場合においても、CCDカメラ90a、90bの主走査方向の位置に関わらず、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の副走査方向の位置を正確に判定することが可能となる。
【0062】
このため、図14および図15に記載した従来技術のように、CCDカメラ90の主走査方向の位置によって塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置に副走査方向の誤差が生ずるという現象を有効に防止することができる。従って、この判定結果に基づいて4個のノズルN1、N2、N3、N4の主走査方向の位置を調整した場合には、これらの4個のノズルN1、N2、N3、N4の主走査方向の位置を正しい位置に調整することが可能となる。
【0063】
なお、この実施形態に係るCCDカメラ90a、90bのかわりに、3個以上のCCDカメラを主走査方向に列設した構成を採用してもよい。また、CCDカメラ90a、90bのうちのいずれか一方のみを配設し、その一方のCCDカメラにより塗布軌跡T1、T2、T3、T4を撮像した後、そのCCDカメラを他方のCCDカメラの位置に移動させ、そこでさらに塗布軌跡T1、T2、T3、T4を撮像することにより、上述した実施形態に係る一対のCCDカメラ90a、90bと同様の作用効果を得てもよい。
【0064】
上述したCCDカメラ90a、90bを備えた撮像部15は、図1に示すように、ガラス基板100の相対移動方向の両側に一対配設されており、また、試験塗布ステージ部16もガラス基板100の相対移動方向の両側に一対配設されている。このため、これらの左右一対の撮像部15および試験塗布ステージ部16を利用して、CCDカメラ90a、90bを備えた撮像部15の副走査方向の位置を調整するラインアライメントを実行することが可能となる。
【0065】
図8は、撮像部15の副走査方向の位置を調整するラインアライメント動作を説明する概要図であり、図9は、従来の塗布装置によるラインアライメント動作を説明する概要図である。
【0066】
図8に示すように、基板保持部10により保持されたガラス基板100の移動方向両側の一端から他端まで塗布軌跡T1を形成した場合には、その塗布軌跡T1の両端付近の塗布軌跡T1の副走査方向の位置を左右一対のCCDカメラ90a、90bで撮影し、その塗布軌跡T1の副走査方向の位置(一対のCCDカメラ90a、90bにより撮像した画像の前記塗布軌跡の位置の平均値)を一対のCCDカメラ90a、90bによる副走査方向の撮像領域の中心位置と一致させることにより、撮像部15の副走査方向の位置を調整するラインアライメント動作を行うことができる。
【0067】
このため、この塗布装置においては、塗布ヘッド20を一方の試験塗布ステージ部16から他方の試験塗布ステージ部16まで移動させて、左右一対の試験塗布ステージ部16における樹脂テープ41に塗布軌跡T1を形成したのち、これらの塗布軌跡T1を左右一対の撮像部15における一対のCCDカメラ90a、90bにより撮像することで、CCDカメラ90a、90bを備えた左右一対の撮像部15自体の副走査方向の位置を調整するラインアライメントを実行することが可能となる。
【0068】
このラインアライメントを行う場合に、CCDカメラ90a、90bが塗布軌跡T1、T2、T3、T4の周期性振動の1周期Sのほぼ全域の領域を撮像する構成であることから、図8に示すように、一対の撮像部15におけるCCDカメラ90a、90b間の距離L2が塗布軌跡T1の周期性振動の1周期Sの整数倍となっていない場合においても、塗布軌跡T1の副走査方向の位置を正確に測定して、ラインアライメントを正確に実行することが可能となる。なお、図8における符号L1は、塗布領域全域を示している。
【0069】
これに対して、図9に示すように、単一のCCDカメラ90により塗布軌跡T1の周期性振動の1周期Sの一部のみを撮像した場合には、CCDカメラ90間の距離L2が塗布軌跡T1の周期性振動の1周期Sの整数倍となっていない場合には、塗布軌跡T1の副走査方向の位置を正確に測定することができず、ラインアライメントを正確に実行することが不可能となる。
【0070】
なお、図9に示す構成において、CCDカメラ90間の距離L2を塗布軌跡T1の周期性振動の1周期Sの整数倍に予め設定することは不可能ではない。しかしながら、一対のCCDカメラ90間には複数周期の振動が配置されることになる。このため、この周期Sがわずかに変化した場合であっても、CCDカメラ90による周期性振動の周期Sの測定値位置が大幅に変化することから、CCDカメラ90間の距離L2を塗布軌跡T1の周期性振動の1周期Sの整数倍に予め設定したとしても、正確なラインアライメントを実行することは不可能となる。
【0071】
次に、上述した塗布装置による、塗布ヘッド20における複数のノズル23の副走査方向の位置のアライメント動作と塗布液の塗布動作について説明する。
【0072】
アライメントを行う場合においては、塗布ヘッド20と一対の試験塗布ステージ部16との副走査方向の位置が一致した状態で塗布ヘッド20を主走査方向に移動させ、一対の試験塗布ステージ部16における樹脂テープ41に図7に示す塗布軌跡T1、T2、T3、T4を形成する。
【0073】
次に、一対の試験塗布ステージ部16と一対の撮像部15とを対向配置し、各撮像部15におけるCCDカメラ90a、90bにより樹脂テープ41上に形成された塗布軌跡T1、T2、T3、T4を撮像する。そして、一対の撮像部15のうちのいずれか一方の撮像部15による撮像結果に基づいて塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置を判定する。また、必要に応じ、一対の撮像部15による撮像結果に基づいて塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置を判定し、これを上述したラインアライメントに利用する。
【0074】
そして、塗布ヘッド20を、ノズルピッチ調整機構19と対向する位置まで移動させ、このノズルピッチ調整機構19により、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の位置データに基づいて各ノズル23の位置を調整する。
【0075】
以上の動作が終了すれば、塗布液の塗布を開始する。この場合においては、最初に、ガラス基板100が基板保持部10に保持される。そして、撮像部15によりガラス基板100に形成されたアライメントマークを検出し、その検出結果に基づいて基板保持部10が移動および回転し、ガラス基板100が図1において実線にて示す塗布開始位置に配置される。この状態において、塗布ヘッド20における複数のノズル23から塗布液の吐出が開始されるとともに、ヘッド移動機構21により塗布ヘッド20が主走査方向に移動される。
【0076】
そして、複数のノズル23のそれぞれからガラス基板100の表面に向けて塗布液が一定の流量にて連続的に吐出されるとともに、塗布ヘッド20が主走査方向に連続的に一定の速度にて移動し、ガラス基板100の塗布領域の複数の線状領域に塗布液がストライプ状に塗布される。そして、塗布ヘッド20が図1および図2中に二点鎖線にて示す受液部18と対向する待機位置まで移動することにより、塗布液によるストライプ状のパターンが形成される。塗布ヘッド20が待機位置まで移動すると、基板移動機構11が駆動され、ガラス基板100が基板保持部10と共に副走査方向に移動する。このとき、塗布ヘッド20では、複数のノズル23から受液部18に向けて塗布液が連続的に吐出されている。
【0077】
以上のような動作を必要な塗布動作が完了するまで継続する。そして、ガラス基板100が塗布終了位置まで移動すると、複数のノズル23からの塗布液の吐出が停止され、塗布装置によるガラス基板100に対する塗布液の塗布動作が終了する。塗布が終了したガラス基板100は、他の塗布装置等に搬送され、この塗布装置により塗布された塗布液以外の他の2色の塗布液が塗布される。そして、ガラス基板100に対して所定の塗布工程が行われた後、他の部品と組み合わされて有機EL表示装置が製造される。
【0078】
次に、この発明の他の実施形態について説明する。図10は、この発明の第2実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。なお、上述した第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
上述した第1実施形態においては、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の周期性振動の1周期Sのほぼ全域の領域を撮像することができる、その主走査方向の撮像中心位置が塗布軌跡の周期性振動の周期Sの半分だけ離隔した位置となるように配置された一対のCCDカメラ90a、90bを使用している。これに対して、この第2実施形態においては、前記塗布軌跡の周期性振動の1周期の全域を撮像する単一のCCDカメラ90cを備えている。この第2実施形態においても、CCDカメラ90cの主走査方向の位置に関わらず、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の副走査方向の位置を正確に判定することが可能となる。
【0080】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図11は、この発明の第3実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。なお、上述した第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
この第3実施形態は、上述した第1実施形態における一対のCCDカメラ90a、90bのかわりに、その主走査方向の撮影領域のみが狭くなった一対のCCDカメラ90d、90eを使用している。これらのCCDカメラ90d、90eの主走査方向の撮像中心位置は、塗布軌跡の周期性振動の周期Sの半分だけ離隔した位置となるように配置されている。
【0082】
この第3実施形態においても、CCDカメラ90d、90eの主走査方向の撮像中心位置は、塗布軌跡の周期性振動の周期Sの半分だけ離隔した位置となるように配置されていることから、これらのCCDカメラ90d、90eの主走査方向の位置に関わらず、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の副走査方向の位置を正確に判定することが可能となる。
【0083】
次にこの発明のさらに他の実施形態について説明する。図12は、この発明の第4実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。なお、上述した第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
この第4実施形態は、上述した第1実施形態における一対のCCDカメラ90a、90bのかわりに、各塗布軌跡T1、T2、T3、T4に対応するCCDカメラ90f、90g、90h、90iを使用している。そして、CCDカメラ90f、90g、90h、90iは、副走査方向に対しては複数のノズルN1、N2、N3、N4の副走査方向の間隔Pに対応する距離だけ互いに離隔した領域(すなわち、互いにPだけ離隔した領域)を撮像し、主走査方向に対しては複数のノズルN1、N2、N3、N4の主走査方向の間隔Qに対応する距離だけ互いに離隔した領域(すなわち、互いにQだけ離隔した領域)を撮像する構成となっている。
【0085】
この第4実施形態においても、CCDカメラ90f、90g、90h、90iの主走査方向の位置に関わらず、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の副走査方向の位置を正確に判定することが可能となる。
【0086】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図13は、この発明の第5実施形態に係る複数のノズルおよび塗布軌跡と、CCDカメラとの関係を示す説明図である。なお、上述した第4実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0087】
上述した第4実施形態においては、CCDカメラ90f、90g、90h、90iは、副走査方向に対しては複数のノズルN1、N2、N3、N4の副走査方向の間隔Pに対応する距離だけ互いに離隔した領域を撮像し、主走査方向に対しては複数のノズルN1、N2、N3、N4の主走査方向の間隔Qに対応する距離だけ互いに離隔した領域を撮像する構成となっている。これに対して、この第5実施形態においては、CCDカメラ90j、90k、90l、90mは、主走査方向に対して、複数のノズルN1、N2、N3、N4の主走査方向の間隔Qに対応する距離に塗布軌跡の周期性振動の振幅Sの整数倍の距離を加算した距離だけ互いに離隔した領域を撮像する構成となっている。
【0088】
すなわち、CCDカメラ90jとCCDカメラ90kとの撮像位置の主走査方向の間隔D2は、ノズルN1とノズルN2との主走査方向の間隔Qに周期性振動の振幅Sの2倍の距離を加算した距離となっており、CCDカメラ90jとCCDカメラ90lとの撮像位置の主走査方向の間隔D3は、ノズルN1とノズルN3との主走査方向の間隔2Qに周期性振動の振幅Sの−1倍の距離を加算した距離(Sを減算した距離)となっており、CCDカメラ90jとCCDカメラ90mとの撮像位置の主走査方向の間隔D4は、ノズルN1とノズルN4との主走査方向の間隔3Qに周期性振動の振幅Sの1倍の距離を加算した距離となっている。
【0089】
この第5実施形態においても、CCDカメラ90j、90k、90l、90mの主走査方向の位置に関わらず、塗布軌跡T1、T2、T3、T4の副走査方向の位置を正確に判定することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
10 基板保持部
11 基板移動機構
12 レール
13 基台
14 回転台
15 撮像部
16 試験塗布ステージ部
17 受液部
18 受液部
19 ノズルピッチ調整機構
20 塗布ヘッド
21 ヘッド移動機構
22 ガイド部
23 ノズル
24 塗布液貯留部
25 エア供給源
31 スライダ
32 貫通孔
33 プーリ
34 同期ベルト
35 画像処理部
39 制御部
42 スライダ
43 ハウジング
41 樹脂テープ
44 巻き出しローラ
45 巻き取りローラ
90 CCDカメラ
100 ガラス基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に塗布液を塗布する塗布装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に対して塗布液を吐出するノズルと、
前記ノズルを、基板の表面に対して平行な主走査方向に往復移動させる主走査方向移動機構と、
前記基板保持部を、前記主走査方向と直交し、かつ、基板の表面に対して平行な副走査方向に、前記ノズルに対して相対的に移動させる副走査方向移動機構と、
前記主走査方向移動機構により前記ノズルを主走査方向に移動させながら当該ノズルから塗布液を連続して吐出することにより形成された塗布軌跡を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像した塗布軌跡の画像から、塗布軌跡の前記副走査方向の位置を判定する判定手段と、
を備え、
前記撮像手段は、前記塗布軌跡の周期性振動の1周期のほぼ全域の領域を撮像することとを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記撮像手段は、その主走査方向の撮像中心位置が、前記塗布軌跡の周期性振動の周期の半分だけ離隔した位置となるように配置された一対のカメラを備える塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の塗布装置において、
前記撮像手段は、前記塗布軌跡の周期性振動の1周期の全域を撮像する単一のカメラを備える塗布装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の塗布装置において、
前記判定手段は、前記撮像手段におけるカメラにより撮像した画像の前記塗布軌跡の位置の平均値を、塗布軌跡の位置と判定する塗布装置。
【請求項5】
請求項4に記載の塗布装置において、
前記ノズルは、前記主走査方向および前記副走査方向に関して等間隔に複数個配設されており、
前記カメラは、前記複数のノズルにより形成された複数の塗布軌跡を同時に撮像する塗布装置。
【請求項6】
請求項5に記載の塗布装置において、
前記判定手段により判定した複数の塗布軌跡の位置のピッチに基づいて、前記複数のノズルの前記副走査方向のピッチを調整するノズルピッチ調整機構をさらに備える塗布装置。
【請求項7】
請求項4に記載の塗布装置において、
前記撮像手段は、前記主走査方向移動機構によるノズルの移動ストロークの両端部付近に一対配設されており、これら一対の撮像手段におけるカメラにより撮像され、前記判定手段により判定された塗布軌跡の位置から、これら一対の撮像手段におけるカメラの位置を調整する塗布装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の塗布装置において、
前記主走査方向移動機構は、前記主走査方向に延びるガイド部材と、このガイド部材に係合しつつガイド部材との間に気体を噴出することにより非接触状態で前記ガイド部材に支持されるスライダとを有する非接触移動機構から構成される塗布装置。
【請求項9】
基板に塗布液を塗布する塗布装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に平行な副走査方向および基板に平行でこの副走査方向と直交する主走査方向に関して、各々等間隔に配設され、前記基板に対して塗布液を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルを、主走査方向に往復移動させる主走査方向移動機構と、
前記基板保持部を、前記副走査方向に、前記複数のノズルに対して相対的に移動させる副走査方向移動機構と、
前記主走査方向移動機構により前記複数のノズルを主走査方向に移動させながら当該複数のノズルから塗布液を連続して吐出することにより形成された複数の塗布軌跡を各々撮像する、複数のカメラを備えた撮像手段と、
前記撮像手段における各カメラにより撮像した各塗布軌跡の画像から、各塗布軌跡の前記副走査方向の位置を判定する判定手段と、
を備え、
前記撮像手段における各カメラは、前記副走査方向に対しては、前記複数のノズルの副走査方向の間隔に対応する距離だけ互いに離隔した領域を撮像し、前記主走査方向に対しては、前記複数のノズルの主走査方向の間隔、あるいはこの前記複数のノズルの主走査方向の間隔に前記塗布軌跡の周期性振動の振幅Sの整数倍の距離を加算した距離に対応する距離だけ互いに離隔した領域を撮像する、
ことを特徴とする塗布装置。
【請求項10】
請求項9に記載の塗布装置において、
前記判定手段は、前記撮像手段における各カメラにより撮像した画像の前記塗布軌跡の位置の平均値を、塗布軌跡の位置と判定する塗布装置。
【請求項11】
請求項9に記載の塗布装置において、
前記判定手段により判定した複数の塗布軌跡の位置のピッチに基づいて、前記複数のノズルの前記副走査方向のピッチを調整するノズルピッチ調整機構をさらに備える塗布装置。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の塗布装置において、
前記主走査方向移動機構は、前記主走査方向に延びるガイド部材と、このガイド部材に係合しつつガイド部材との間に気体を噴出することにより非接触状態で前記ガイド部材に支持されるスライダとを有する非接触移動機構から構成される塗布装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−206716(P2011−206716A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77980(P2010−77980)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】