説明

塗装治具及び塗装方法

【課題】塗装装置の変更を必要とせず、パネルの塗装ムラを抑制する。
【解決手段】塗装されるパネル12の搬送方向の前方に塗装治具10が設けられ、搬送ライン28、29をパネル12と一体となり搬送される。塗装治具10は側面視が三角形状とされ、塗装治具10の高さは搬送面からパネル12の塗装面までの高さ、長さは塗装治具10の先端部と液状塗料16の衝突により、上方からカーテン状に流下された液状塗料16の乱れが消滅した時点で、パネル12が液状塗料16を通過する長さとされている。斜面10Cは、塗装面12Uから搬送方向前方に向けて下り勾配とされている。搬送ライン28、29の接合部に設けられた塗装装置40を通過するときに、カーテンフローコーター14から、カーテン状に直下に流下された液状塗料16でパネル12の上面12U(塗装面)が塗装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装治具及び塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル状の被塗装体(以下、パネルと記す。)を塗装する方法の1つに、カーテンフローコーターから液状塗料をカーテン状に流下させておき、パネルを、カーテン状の液状塗料の中を通過させながら塗装する方法がある。この方法で塗装した場合、パネルの先頭部に不均一な塗料の膜(以下、塗装ムラと記す。)が形成される場合がある。
【0003】
これは、カーテン状に流下する液状塗料にパネルの先頭部が突入した際に、液状塗料の流下が一時的に乱され、流れが不均一となること、パネルの先頭部と衝突して飛散した液状塗料の飛散粒子が、パネルの塗装面に落下すること、等に起因するものと考えられる。
【0004】
特に、膜厚を薄くするため搬送ラインの速度を速くした場合や、パネルが厚く、パネルの塗装面が搬送ラインの搬送面から高い位置にある場合に、塗装ムラが発生しやすい。
そこで、パネル先頭部の塗装ムラを解消する技術が提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1によれば、図10に示すように、カーテンフローコーター80の下方で、流下するカーテン状の液状塗料86が衝突する位置にロール88が設けられている。流下した液状塗料86は樋92で回収され、再利用される。
【0006】
ロール88は、パネル82を搬送する搬送ライン84よりもやや下方に設けられている。ロール88の回転軸は、パネル82の搬送方向と直交する方向とされ、搬送ライン84の駆動軸90と同じ方向に回転している。
これにより、ロール88まで流下した液状塗料86は、回転するロール88に牽引されて曲げられ、パネル82の挿入方向から遠ざかる方向に湾曲される。
【0007】
湾曲された状態の液状塗料86にパネル82を挿入することで、液状塗料86の流下の乱れが抑制され、パネル82の先頭部の塗装ムラが抑制される。
しかし、特許文献1は、液状塗料86が流下する位置にロール88を追加し、かつ、ロール88を回転させる必要があり、塗装装置の変更を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−342367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事実に鑑み、塗装装置の変更を必要とせず、パネルの塗装ムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明に係る塗装治具は、搬送ラインで搬送されながら、上方からカーテン状に流下される液状塗料の中を通過する被塗装体の搬送方向前方に設けられ、前記被塗装体の塗装面から前記搬送方向前方に向けて、上面が下り勾配とされていることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、被塗装体の搬送方向前方に塗装治具が設けられている。塗装治具の被塗装体側の上面は、被塗装体側が被塗装体の塗装面とされ、搬送方向前方に向けて下がり勾配とされている。
【0012】
これにより、上方からカーテン状に流下する液状塗料に、塗装治具が被塗装体より先に挿入され、塗装治具との衝突により生じる液状塗料の乱れを、被塗装体が通過する前に解消することができる。また、液状塗料と塗装治具の衝突が、被塗装体の塗装面より低い位置でなされるため、衝突により生じる液状塗料の飛散粒子が、塗装面に付着するのを抑制できる。更に、塗装治具が先端に向けて下り勾配とされているため、塗装治具の移動による空気の乱れが抑制され、塗装治具との衝突時の液状塗料の乱れが低減される。
この結果、塗装装置の変更を必要とせず、被塗装体の塗装ムラを抑制できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の塗装治具において、前記塗装治具には、前記被塗装体を載置する台座が設けられていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、被塗装体を載置する台座が塗装治具に設けられている。これにより、台座に載置した状態で被塗装体を塗装することができ、塗装作業が容易になる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の塗装治具において、前記台座には、前記被塗装体の横方向の移動を抑制する立上げ部が設けられていることを特徴としている。
これにより、搬送時の被塗装体の横方向の移動が抑制され、塗装品質を確保できる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の塗装治具において、前記塗装治具には、前記被塗装体を側面から囲む枠体が設けられていることを特徴としている。
これにより、複数の被塗装体を同じ枠体に収納すれば、枠体内の被塗装体を同時に塗装でき、簡単な構成で塗装効率を向上できる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装治具において、前記塗装治具は、前記塗装治具の搬送方向先端部が、前記搬送ラインの搬送面から、前記塗装面までの高さの1/2より下側に設けられていることを特徴としている。
これにより、塗装治具の搬送方向先端部と液状塗料の衝突が、搬送面から塗装面までの高さの1/2より下側でなされるため、塗装治具の搬送方向先端部との衝突により発生した液体塗料の飛散粒子が、塗装面に付着するのを抑制できる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗装治具において、前記被塗装体がパネルであることを特徴としている。
これにより、パネルを搬送しながら、塗装ムラを抑えて塗装できる。
【0018】
請求項7に記載の発明に係る塗装方法は、被塗装体の塗装面から搬送方向前方に向けて、上面が下り勾配とされている塗装治具を、前記被塗装体の前記搬送方向前方に取付ける工程と、前記塗装治具が取付けられた前記被塗装体を、搬送ラインで搬送しながら上方からカーテン状に流下させた液状塗料の中を通過させる工程と、を有することを特徴としている。
【0019】
これにより、塗装治具の先端部との衝突により生じるカーテン状に流下する液状塗料の乱れを、塗装面が通過するまでに解消させることができる。また、液状塗料と塗装治具の衝突が、塗装面より低い位置でなされるため、衝突により生じる液状塗料の飛散粒子が、塗装面に付着するのを抑制できる。更に、塗装治具が先端に向けて下り勾配とされているため、塗装治具の移動による空気の乱れが抑制され、塗装治具との衝突時の液状塗料の乱れが低減される。
この結果、塗装装置の変更を必要とせず、被塗装体の塗装ムラを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記構成としてあるので、塗装装置の変更を必要とせず、パネルの塗装ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る塗装治具を用いて塗装する場合の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る塗装治具の詳細及び塗装治具を被塗装体に取り付けた状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る塗装治具の効果を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る塗装治具の展開例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る塗装治具の基本構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る塗装治具を用いて塗装する場合の基本構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る塗装治具の基本構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る他の塗装治具の基本構成を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る塗装治具の基本構成を示す図である。
【図10】従来例の塗装方法の基本構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、第1の実施の形態に係る塗装治具10は、塗装されるパネル12の搬送方向(矢印P方向)の前方に設けられ、搬送ライン28、29をパネル12と一体となり搬送される。
【0023】
パネル12は、例えば壁体を構成する樹脂製の平板であり、上面が塗装面とされている。搬送ライン28、29は、それぞれ駆動軸38で同一方向に駆動され、パネル12を矢印Pの方向に搬送する。2つの搬送ライン28、29の接合部には、パネル12を塗装する塗装装置40が設けられている。
【0024】
塗装装置40は、カーテン状の液状塗料の膜を作るカーテンフローコーター14を有している。カーテンフローコーター14は、搬送ライン28、29の上方に設けられ、貯蔵した液状塗料16をカーテン状に直下に流下させる。流下された液状塗料16は樋18で回収され、再利用される。
【0025】
樋18は、2つの駆動軸38の間に設けられ、樋18の上端は搬送ライン28、29より低くされている。これにより、樋18の上をパネル12が通過可能とされ、樋18の上をパネル12が通過するときに、パネル12の上面12U(塗装面)が流下する液体塗料16で塗装される(S面)。
【0026】
図2に示すように、塗装治具10は、パネル12の進行方向の側面12Fに側面10Aを着脱可能に取り付け、一体化されている。取り付け方法としては、両面テープやマグネット等が考えられる。
【0027】
塗装治具10は、木材、樹脂若しくは金属等で側面視が三角に形成されている。塗装治具10Aの高さH1は、パネル12の塗装面までの高さH2と同じ高さとされている。塗装治具10の幅W1は、パネル12の幅W2と同じ幅とされ、パネル12の全幅W2に渡り塗装治具10が取り付けられている。
【0028】
塗装治具10の長さL1は塗装速度により決定される。即ち、塗装治具10の先端部と液状塗料16の衝突により発生した、カーテン状に流下された液状塗料16の乱れが消滅した時点で、パネル12が液状塗料16を通過する長さに設定されている。
【0029】
塗装治具10の底面10Bは、パネル12の底面と同じ高さとされ、塗装治具10の斜面10Cは、塗装面12Uと同じ高さのパネル12側から、搬送方向前方に向けて下り勾配とされている。斜面10Cの先端が底面10Bとなす角度は、塗装治具10の移動による空気の乱れを抑制するために、尖った鋭角となることが望ましい。
なお、塗装治具10は、図2(C)に示すように、上述した外形形状が確保できれば、金属板の折り曲げ等で形成してもよい。
次に、効果について説明する。
【0030】
図3に示すように、塗装治具10を用いない、従来の方法で塗装した場合には、既述した理由によりパネル12の塗装面12Uに、図3(B)に例示する塗装ムラ44を生じていた。
これに対し、塗装治具10を用いることで、図3(C)に示すように、同じ塗装装置40で塗装しても、下記理由により塗装面12Uの塗装ムラを抑制できる。
【0031】
即ち、カーテンフローコーター14により上方からカーテン状に流下される液状塗料16に、塗装治具10の先端部がパネル12より先に挿入される。これにより、塗装治具10の衝突により生じる液状塗料16の乱れを、パネル12が挿入される前に消滅させることができる。
【0032】
また、液状塗料16と塗装治具10の先端部の衝突が、被塗装体12の塗装面12Uより低い位置でなされる。これにより、衝突により生じる液状塗料16の飛散粒子が、パネル12の塗装面12Uに付着するのを抑制できる。
【0033】
また、塗装治具10の先端が鋭角に形成されているため、塗装治具10の移動による空気の乱れが抑制され、塗装治具10との衝突時の液状塗料16の乱れが低減される。
更に、パネル12と接する塗装治具10の側面が、パネル12の塗装面12Uと同じ高さに形成されている。これにより、液状塗料16の塗装治具10からパネル12への移行をスムーズに行うことができる。
【0034】
次に、塗装治具10の展開例について説明する。
今まで、図4(A)に示す、側面視が三角形状を用いて説明した。しかし、この三角形状に限定されることはなく、図4(B)〜(G)に例示する側面視の形状でもよい。
【0035】
図4(B)の塗装治具10は、斜面10Sの後端部に、パネル12の高さで、パネル12側に平面部54を設けた形状である。平面部54により、塗装治具10と液体塗料16との衝突がパネル12から遠い位置で行なわれるため、衝突による液体塗料16の乱れの影響を低減できる。
また、塗装治具10の平面部54と塗装面12Uが、同じ高さで連結されているため、液体塗料16の塗装治具10から塗装面12Uへの移行がスムーズに行なわれる。
【0036】
図4(C)は、塗装治具10の先端部10Sを、塗装面12Uの高さの半分(中心線44)未満の範囲で、パネル12の底面12Bより高くした形状である。これにより、塗装治具10が搬送ライン28、29と接しなくなり、塗装面12Uが、搬送ライン28、29の小さな凹凸による変動を受けにくくなる。
【0037】
図4(D)は、塗装治具10の上面10Cを、下に凸の曲面とした形状である。これにより、塗装治具10と液体塗料16との衝突が低い位置で行なわれる。また、塗装治具10の先端が鋭い鋭角で形成されるため、塗装治具10の移動による空気の乱れを、より抑制できる。更に、衝突した液体塗料16が、下に凸の曲面に沿って下方にスムーズに流されるため、飛散粒子の塗装面12Uへの付着が抑制できる。
【0038】
図4(E)は、塗装治具10の上面10Cを、上に凸の曲面とした形状である。これにより、液体塗料16への挿入初期に、衝突した液体塗料16が曲面に沿って下方に流されるため、飛散粒子の塗装面12Uへの付着が抑制できる。また、塗装治具10の上面10Cと塗装面12Uが、同じ高さで連結されているため、液体塗料16の塗装治具10から塗装面12Uへの移行がスムーズに行なわれる。
【0039】
図4(F)は、塗装治具10の上面10Cの、搬送方向前方への突き出し量を大きくした形状である。これにより、液状塗料16と塗装治具10の先端部10Sの衝突位置がパネル12から遠い位置となり、パネル12の先頭部が液状塗料16に挿入されるまでの時間を大きくできる。この結果、パネル12の搬送時間を早くできる。
また、塗装治具10の先端10Sを鋭い鋭角に形成できるため、塗装治具10の移動による空気の乱れが抑制され、液状塗料16の乱れが低減される。
【0040】
図4(G)は、塗装治具10の上面10Cを、上に凸の曲面及び下に凸の曲面の2つの曲面を組み合わせた形状としたものである。これにより、液状塗料16への挿入初期は、液体塗料16との衝突が低い位置で行われるため、飛散粒子の塗装面12Uへの付着が抑制される。また、塗装治具10と塗装面12Uが、同じ高さで連結されているため、液体塗料16の塗装面12Uへの移行をスムーズにできる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図5に示すように、第3の実施の形態に係る塗装治具30は、塗装されるパネル12を載置する台座24を有している。
台座24の搬送方向前方には、第1の実施の形態で説明した塗装治具10が一体として取り付けられている。このとき、塗装治具10の幅W3は、台座24の幅W4と同じ幅とされ、塗装治具10の高さH3は、載置されたパネル12の塗装面12Uの高さH4と同じとされている。塗装治具10の上面10Cは、塗装面12Uの高さH4から搬送方向前方に向けて下り勾配とされている。
【0042】
図6に示すように、塗装治具30の搬送台座24に載置されたパネル12は、第1の実施の形態で説明した搬送ライン28、29で矢印P方向に搬送される。そして、カーテンフローコーター14からカーテン状に流下される液状塗料16の中を通過するときに塗装される。
【0043】
このとき、塗装治具10が、パネル12より先に液状塗料16に挿入される。
これにより、塗装治具10の先端部との衝突により発生した、カーテン状に流下する液状塗料16の乱れは、パネル26が挿入されるまでに抑制させることができる。
【0044】
また、液状塗料16と塗装治具10の衝突が、台座24に載置されたパネル12の塗装面12Uより低い位置でなされるため、衝突により生じる液状塗料の飛散粒子が、パネル12の塗装面12Uに付着するのを抑制できる。
【0045】
また、塗装治具10は、立ち上がり部42と接する側面の高さが立ち上がり部42と同じ高さに形成されている。これにより、塗装治具10から塗装面12Uへの移行がスムーズとなり、液状塗料16の乱れの発生が抑制される。
【0046】
また、塗装治具10の搬送方向先端部が、立ち上がり部42の半分の高さより下側に設けられている。これにより、液体塗料16と塗装治具10の搬送方向先端部の衝突が低い位置でなされるため、衝突により発生した液体塗料の粒子が、パネル12の塗装面12Uまで飛散して、塗装ムラを発生させるのを抑制できる。
【0047】
なお、塗装治具10の側面視は三角形状で説明したが、図4で例示した他の形状としてもよい。
また、塗装治具10と台座24は、一体として説明したが、別体に製作し塗装時に両面テープやマグネット等の連結手段で連結してもよい。
【0048】
(第3の実施の形態)
図7に示すように、第3の実施の形態に係る塗装治具50は、塗装されるパネル12を載置する台座46を有している。
【0049】
台座46は、第2の実施の形態で説明した台座24の周囲に、塗装するパネル12の移動を抑制する立上げ部42が設けられている。立上げ部42の高さは、パネル12の塗装面12Uと同じ高さが望ましい。
【0050】
これにより、搬送時のパネル12の移動が立上げ部42で抑制され、安定した塗装品質を確保できる。また、複数のパネル12を同じ台座46に収納すれば、台座46内のパネル12を同時に塗装でき、塗装効率を向上できる。
他は、第2の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0051】
なお、図8に示すように、塗装治具50の立上げ部42は、台座46の周囲を連続して囲む構成でなくてもよい。即ち、立上げ部42が、搬送時のパネル12の移動を抑制する位置に設けられていればよい。
【0052】
(第4の実施の形態)
図9に示すように、第4の実施の形態に係る塗装治具52は、塗装されるパネル12を載置する枠体48を有している。
枠体48は、塗装するパネル12の周囲を側面から囲む構成であり、底面には台座が設けられていない。枠体48の高さは、パネル12の塗装面12Uと同じ高さが望ましい。
【0053】
これにより、複数のパネル12を同じ枠体に収納すれば、枠体内のパネル12を同時に塗装でき、簡単な構成で塗装効率を向上できる。
他は、第1〜3の実施の形態と同じであり説明は省略する。
なお、枠体48は、パネル12の周囲を連続して囲む構成でなくてもよい。即ち、枠体48の一部が欠けていても、パネル12の移動を抑制する構成とされていればよい。
【0054】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る塗装方法は、以下の工程に従ってパネル12が塗装される。
まず、塗装治具取付工程を実行する。塗装治具取付工程は、第1の実施の形態で説明したように、パネル12の搬送方向前方に、搬送方向前方に向けて上面10Cが下り勾配とされた塗装治具10を取付ける工程である。詳細な説明は省略する。
【0055】
次に、塗装工程を実行する。塗装工程は、第1の実施の形態で説明したように、塗装治具10が取付けられたパネル12を、搬送ライン28、29で搬送しながら、カーテンフローコーター14からカーテン状に流下させた液状塗料16の中を通過させる工程である。これにより、パネル12の塗装面(上面)が塗装される。詳細な説明は省略する。
【0056】
この結果、塗装治具10との衝突により生じるカーテン状に流下する液状塗料16の乱れが、パネル12の先頭部が通過までに解消され、パネル12の塗装ムラが抑制される。また、液状塗料16と塗装治具10の衝突が、パネル12の塗装面12Uより低い位置でなされるため、衝突により生じる液状塗料16の飛散粒子が、塗装面12Uに付着するのを抑制できる。
なお、塗装治具10は、図4に示す側面視を有するものを使用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 塗装治具
12 パネル(被塗装体)
16 液体塗料
24 台座
28 搬送ライン
29 搬送ライン
30 塗装治具
40 塗装装置
42 立上げ部
48 枠体
50 塗装治具
52 塗装治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインで搬送されながら、上方からカーテン状に流下される液状塗料の中を通過する被塗装体の搬送方向前方に設けられ、前記被塗装体の塗装面から前記搬送方向前方に向けて、上面が下り勾配とされている塗装治具。
【請求項2】
前記塗装治具には、前記被塗装体を載置する台座が設けられている請求項1に記載の塗装治具。
【請求項3】
前記台座には、前記被塗装体の横方向の移動を抑制する立上げ部が設けられている請求項2に記載の塗装治具。
【請求項4】
前記塗装治具には、前記被塗装体を側面から囲む枠体が設けられている請求項1に記載の塗装治具。
【請求項5】
前記塗装治具は、前記塗装治具の搬送方向先端部が、前記搬送ラインの搬送面から前記塗装面までの高さの1/2より下側に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装治具。
【請求項6】
前記被塗装体がパネルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗装治具。
【請求項7】
被塗装体の塗装面から搬送方向前方に向けて、上面が下り勾配とされている塗装治具を、前記被塗装体の前記搬送方向前方に取付ける工程と、
前記塗装治具が取付けられた前記被塗装体を、搬送ラインで搬送しながら上方からカーテン状に流下させた液状塗料の中を通過させる工程と、
を有する塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−147897(P2011−147897A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12169(P2010−12169)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】