変位量計測装置、及び、変位量計測装置の姿勢角決定方法
【課題】高速な振動現象の下にあっても、エンジンマウントのマウント軸として配設されるボルトの中心の3軸並進量、及び、該ボルトの2軸回転量を高精度に算出することができる、変位量計測装置、及び、変位量計測装置の姿勢角決定方法を提供する。
【解決手段】エンジンマウント10のマウント軸であるボルト12の両端に固定した、半径が既知である2個の球体13・13の変位を、それぞれについて3箇所ずつレーザー変位計31〜33、34〜36で計測する球体変位計測工程と、球体変位計測工程で計測した球体13・13の変位結果に基づいて、球体13・13の中心I・Jの3次元座標X1・X2をそれぞれ算出する座標算出工程と、座標算出工程で算出した2個の3次元座標X1・X2に基づいて、ボルト12の中心Kの3軸並進量、及び、ボルト12の2軸回転量θ・φを算出するマウント軸変位算出工程とを備える。
【解決手段】エンジンマウント10のマウント軸であるボルト12の両端に固定した、半径が既知である2個の球体13・13の変位を、それぞれについて3箇所ずつレーザー変位計31〜33、34〜36で計測する球体変位計測工程と、球体変位計測工程で計測した球体13・13の変位結果に基づいて、球体13・13の中心I・Jの3次元座標X1・X2をそれぞれ算出する座標算出工程と、座標算出工程で算出した2個の3次元座標X1・X2に基づいて、ボルト12の中心Kの3軸並進量、及び、ボルト12の2軸回転量θ・φを算出するマウント軸変位算出工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位量計測装置、及び、変位量計測装置の姿勢角決定方法に関し、より詳しくは、エンジンマウントの変位量の計測において計測精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの重量を支えるとともに、エンジンからボデーへの振動の伝達を防ぎ、また路面からの入力やエンジン自体が発生するトルク反力によってエンジン本体の姿勢が変化しないようにするため、エンジンをボデーに固定する際にエンジンマウントが用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
前記エンジンマウントは車両のNVH(騒音・振動・ハーシュネス)に大きな影響を与えるため、エンジンマウントがボデーに与えるボデー伝達力を評価することが重要となる。そして、前記ボデー伝達力は、エンジンマウントの動バネ係数と、エンジンマウントの変形量(エンジンマウントの中心の変位量)を計測することによって求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−17877号公報
【特許文献2】特開平6−122325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術における、エンジンマウントの変位量を計測する方法について、図14及び図15を用いて説明する。
図14は従来技術に係る第一のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図である。図14に示す如く、本方法においては、エンジンマウント本体である防振弾性体に配設される、エンジンマウントのマウント軸であるボルトの上方及び側方に、前記ボルトの軸心に直交する方向(図14中のx軸方向及びy軸方向)にポテンショメータ型の直線変位計を2個配設し、前記直線変位計から延出させたプローブを前記ボルトに当接させる。そして、前記直線変位計で前記ボルトの変位量を計測することにより、エンジンマウントの変位量を計測するのである。
【0006】
しかし、前記方法によれば、エンジンマウントにおけるマウント軸の2次元変位(図14中のx軸方向及びy軸方向の変位)しか計測することができず、また前記マウント軸のねじれ(こじり変形)を計測することもできない。さらに計測の応答性も低いため、高速な振動現象を捉えることはできなかった。
【0007】
図15は従来技術に係る第二のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図である。図15(a)に示す如く、本方法においては、エンジンマウントに加速度ピックアップを配設し、該加速度ピックアップでエンジンマウントの変位時における加速度を計測し、該加速度を二回積分することによってエンジンマウントの変位量を求めるのである。なお、図15(a)は、前記エンジンマウントがエンジンから加わる力によって変形したことにより軸心が傾いた状態を示している。
【0008】
しかし、前記方法によれば加速度から変位を求めるため、図15(b)に示す如く、数値積分を二回行う際の積分誤差が時間の経過とともに増大し、高精度な変位を求めることができなかった。
【0009】
そこで本発明では、上記現状に鑑み、高速な振動現象の下にあっても、エンジンマウントのマウント軸として配設されるボルトの中心の3軸並進量、及び、該ボルトの2軸回転量を高精度に算出することができる、変位量計測装置、及び、変位量計測装置の姿勢角決定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、車両のエンジンルームの内部に、平行線表示手段を用いて姿勢角が決定されることにより配設され、投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置であって、前記基準面が水平となるように位置決めされた後、前記平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線が、前記基準面上に表示され、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定されるものである。
【0012】
請求項2においては、前記平行線表示手段は、前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備えるものである。
【0013】
請求項3においては、前記平行線表示手段は、前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示するものである。
【0014】
請求項4においては、前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線が、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定されるものである。
【0015】
請求項5においては、車両のエンジンルームの内部に配設され、投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置の姿勢角決定方法であって、前記基準面が水平となるように位置決めした後、平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線を、前記基準面上に表示し、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定するものである。
【0016】
請求項6においては、前記平行線表示手段は、前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備えるものである。
【0017】
請求項7においては、前記平行線表示手段は、前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示するものである。
【0018】
請求項8においては、前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線として、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
本発明により、高速な振動現象の下にあっても、エンジンマウントのマウント軸として配設されるボルトの中心の3軸並進量、及び、該ボルトの2軸回転量を高精度に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は計測対象であるエンジンマウントを示した図、(b)はエンジンマウントのマウント軸であるボルトを示した図。
【図2】第一実施形態に係る変位量計測装置の概要を示した図。
【図3】同じく変位量計測装置の計測面を示した図。
【図4】同じく変位量計測装置の基準面を示した図。
【図5】同じく変位量計測装置を配置する車両を示した斜視図。
【図6】同じく変位量計測装置を配置する車両を示した側面図。
【図7】同じく変位量計測装置を配置する車両を示した正面図。
【図8】(a)は第一実施形態に係る変位量計測装置を配置する際の基準面を示した平面図、(b)は第二実施形態に係る変位量計測装置を配置する際の基準面を示した平面図。
【図9】第一実施形態に係る変位量計測方法のフローチャートを示した図。
【図10】同じく変位量計測方法の座標算出工程について示した図。
【図11】同じく座標算出工程について示した図。
【図12】同じくエンジンマウントのボルトの変位状態を示した図。
【図13】同じくエンジンマウントの変位量計測方法のマウント軸変位算出工程について示した図。
【図14】従来技術に係る第一のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図。
【図15】従来技術に係る第二のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0023】
[変位量計測装置39]
図1(a)に示す如く、変位量計測装置39(図2参照)の計測対象であるエンジンマウント10は、主に、車両V(図5から図7参照)のエンジンルーム内部においてボデーに配設されるブラケット21と、該ブラケット21に設置される防振弾性体11と、エンジンマウント10の固定用のマウント軸であって、前記防振弾性体11の軸心部分に挿入されるボルト12と、で構成されている。そして、前記ボルト12と、図示しないエンジンに配設されたブラケットとが連結されることにより、エンジンがボデーに支持されるのである。このような構成により、エンジンマウント10を介してボデーがエンジンの重量を支えるとともに、エンジンからボデーへの振動の伝達を防ぎ、また路面からの入力やエンジン自体が発生するトルク反力によってエンジン本体の姿勢が変化しないようにしている。なお、図1(a)は、前記エンジンマウント10がエンジンから加わる力によって変形したことにより、ボルト12の軸心が傾いた状態を示している。
【0024】
そして、本実施形態においては、図1(a)に示す如く、前記ボルト12の両端のそれぞれに、半径r0(図11参照)が既知である球体13・13が1個ずつ、2個固定されている。詳細には、図1(b)に示す如く、ボルト頭部側、ナット側のそれぞれに、ボルト12の軸心の延長線上に前記球体13・13の中心I・Jが位置するように、軸心方向視においてボルト頭部及びナットの径と略同径の球体13・13が溶接等により固定されるのである。
なお、本実施形態においては、前記球体13については完全な球体を用いているが、該球体13は半径r0が既知であればよく、半球等で代替することも可能である。
【0025】
次に、本発明の第一実施形態に係る変位量計測装置39について、図2を用いて説明をする。図2以下の各図においては、説明の便宜上、前記ボルト12は軸心を上下方向に向けた状態で図示するものとする。
図2に示す如く、変位量計測装置39は、球体13・13の第1から第6の変位量計測装置である第1レーザー変位計31・第2レーザー変位計32・・・第6レーザー変位計36と、座標算出手段及びマウント軸変位算出手段である制御装置38と、を備える。
【0026】
具体的には、前記第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33、及び、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36はそれぞれの3個が1組となって、それぞれの球体13・13について3箇所の球体表面の変位を計測するのである。即ち、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33は互いに平行となる照射方向へ計測光を照射し、前記計測光が前記球体13の表面と交差する点である計測点A〜Cの位置を、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が計測するのである。
同様に、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36についても互いに平行となる照射方向へ計測光を照射し、前記計測光が球体13の表面と交差する点である計測点D〜Fの位置を、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36が計測するのである。これにより、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33、及び、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36がそれぞれの前記球体13・13の変位を計測するように構成されている。
【0027】
一方、前記制御装置38は、前記第1レーザー変位計31〜第6レーザー変位計36のそれぞれと電気的に接続されており、前記第1レーザー変位計31〜第6レーザー変位計36で計測された前記球体13・13の変位結果を入力可能に構成されている。
また、前記制御装置38は、入力機能、表示機能、記憶機能、通信機能、及び、各種の演算機能等を備えている。そして、前記演算機能は後述するように、前記変位結果に基づいて前記球体13・13の中心I・Jのそれぞれの3次元座標Q1・Q2をそれぞれ算出する座標算出手段、及び、該座標算出手段で算出された2個の3次元座標Q1・Q2に基づいて、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出するマウント軸変位算出手段を備えるのである。
【0028】
次に、前記第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33(以下、適宜総称してレーザー変位計30とする)における具体的な構成について、図3及び図4を用いて説明する。なお、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36については、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33と同様に構成されているものとし、その説明を省略する。
【0029】
図3に示す如く、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33は、それぞれが略直方体形状に形成されている。そして、一方の側の面に第1計測面31α〜第3計測面33α(以下、適宜総称して計測面31α〜33αとする)が形成されている。また、計測面31α〜33αと反対側の面には後述する第1基準面31β〜第3基準面33β(以下、適宜総称して基準面31β〜33βとする)が形成されている。さらに、レーザー変位計30は計測面31α〜33αが球体13側と対向するように配設されるのである。
【0030】
また、該第1計測面31α〜第3計測面33αの長手方向の一端側にそれぞれの第1投光部31a〜第3投光部33aが、他端側にそれぞれの第1受光部31b〜第3受光部33bが配設されている。そして、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が組み合わされることにより、それぞれの第1計測面31α〜第3計測面33αが同一平面をなすように構成されているのである。
【0031】
さらに、それぞれの第1投光部31a〜第3投光部33aが、球体13に第1計測光Ra1〜第3計測光Ra3を照射する。そして、それぞれの第1受光部31b〜第3受光部33bが、前記球体13の計測点A〜Cで反射した前記第1計測光Ra1〜第3計測光Ra3の第1反射光Rb1〜第3反射光Rb3を受光することにより、前記球体13の変位量を計測するように構成されているのである。
【0032】
本実施形態に係るレーザー変位計30においては、第1レーザー変位計31に配設される第1投光部31aと、第2レーザー変位計32に配設される第2投光部32aと、が隣接し、かつ、第1レーザー変位計31に配設される第1受光部31bと、第2レーザー変位計32に配設される第2受光部32bと、が隣接するように、第1レーザー変位計31と第2レーザー変位計32とが近接して配置されている。さらに、第3レーザー変位計33に配設される第3投光部33aが、第1投光部31a及び第2投光部32aに対して等距離に近接して位置し、かつ、第3レーザー変位計33に配設される第3受光部33bが、第1投光部31a及び第2投光部32aの双方から等距離に離れて位置するように、第3レーザー変位計33と、第1レーザー変位計31及び第2レーザー変位計32と、が近接して配置されているのである。つまり、3個の第1投光部31a〜第3投光部33aの間隔が略均等になるように、それぞれの第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が配置されている。
【0033】
即ち、本実施形態においては図3に示す如く、第1レーザー変位計31及び第2レーザー変位計32の第1計測面31α及び第2計測面32αが同じ方向を向くように並べて配置される。そして、第3レーザー変位計33の第3投光部33a側の端面が、第1レーザー変位計31及び第2レーザー変位計32における第1投光部31a及び第2投光部32a側の端面と当接し、かつ、第3計測面33αが第1計測面31α及び第2計測面32αと同じ方向を向くように、第3レーザー変位計33が配置されるのである。
【0034】
一方、図4に示す如く、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33における球体13側と反対側、即ち計測面31α〜33αと反対側に位置する面には、第1基準面31β〜第3基準面33β(基準面31β〜33β)が形成されている。そして、基準面31β〜33βには、一本の基準線L1が設けられている。本実施形態においては、第1基準面31βと第2基準面32βとの間、及び、第3基準面33βの短手方向略中央部に、それぞれの第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33の長手方向に基準線L1が設けられている。なお、該基準線L1は互いに平行であれば複数本設けることも可能である。
【0035】
次に、レーザー変位計30を車両Vに配設する方法について、図5から図8を用いて説明する。
図5から図7に示す如く、レーザー変位計30は車両Vのエンジンルームの内部に、後述する平行線表示手段を用いて姿勢角が決定されることにより、図示しない固定用治具を介して配設される。具体的には、まず、図示しない水準器により、基準面31β〜33βが水平となるように、即ち基準面31β〜33βが鉛直方向に対して垂直となるように位置決めされる。より詳細には、基準面31β〜33βが水平となった状態で、固定用治具により鉛直軸を中心として回転可能に配設されるのである。
【0036】
次に、平行線表示手段により、基準面31β〜33βに平行線Le1が表示される(図8参照)。
平行線表示手段は、具体的には図5から図7に示す如く、互いに平行となるように延出された長尺部材である、同じ長さの左アーム部材53L・右アーム部材53Rと、左右アーム部材53L・53Rにおけるそれぞれの他端を相互に連結した長尺部材である水平部材55と、水平部材55に配設された平行光照射手段であるレーザープロジェクター61と、を主な要素として構成されている。左右アーム部材53L・53Rは、車両Vの左右両側で対向するホイール(本実施形態においては、左フロントホイールWL・右フロントホイールWR)におけるそれぞれの中心にその一端が固定されている。
【0037】
より詳細には、左アーム部材53L及び右アーム部材53Rは、左右のフロントホイールWL・WRに対して、それぞれ左右の取付治具51L・51Rを介して固定される。
即ち、左取付治具51LはV字状に折れ曲がった平板部材であり、左フロントホイールWLのボルト孔のうち、2個と対向する位置に固定孔を有している。そして、この固定孔を介して左フロントホイールWLにボルト51a・51aを螺入させることにより、図6及び図7に示す如く左取付治具51Lを左フロントホイールWLに固定するのである。また、左取付治具51Lは、左フロントホイールWLに固定した際に、左フロントホイールWLの中心位置と対向する位置に中心孔を有している。換言すれば、左取付治具51Lは左フロントホイールWLに対して相対的に回転して取付けられても、中心孔は左フロントホイールWLの中心位置と対向するように構成されているのである。そして、左アーム部材53Lを貫通したボルト53aを中心孔に螺入させることにより、左アーム部材53Lの一端を左フロントホイールWLの中心位置に固定するのである。同様に、右アーム部材53Rの一端を右フロントホイールWRの中心位置に固定するのである。
【0038】
本実施形態においては、左アーム部材53L及び右アーム部材53Rはその軸心が鉛直方向を向くように配設される。具体的には錘等を用いて、それぞれが鉛直となるように左右のフロントホイールWL・WRに配設されるのである。そして、水平部材55が、左右アーム部材53L・53Rにおける上端を相互に連結して配設される。即ち、水平部材55は、左右のフロントホイールWL・WRにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線LCと平行となるように、水平に配設されるのである。なお、左アーム部材53L及び右アーム部材53Rは平行に配設されていればよく、その軸心方向は鉛直方向に限定されるものではない。
【0039】
そして、レーザープロジェクター61により、照射光Laが照射される。具体的には照射光Laは、その走査面が中心線LCに対して平行となるように照射される。換言すれば、レーザープロジェクター61は水平部材55の軸心に対して平行となる走査面で照射光Laを照射するのである。
そして、該照射光Laが前記基準面31β〜33βに投射されることにより、前記走査面と前記基準面31β〜33βとの交線が、平行線Le1として基準面31β〜33βに表示される(図8(a)参照)。このとき、基準面31β〜33βは水平状態を維持しているため、平行線Le1は水平部材55の軸心及び中心線LCに対して平行となるのである。
【0040】
なお、本実施形態においては、左右アーム部材53L・53Rや水平部材55、レーザープロジェクター61等を用いて1本の平行線Le1を基準面31β〜33βに表示する構成としたが、平行線Le1の本数や表示方法は上記の構成に限定するものではない。即ち、複数の平行線Le1を表示する方法や、別の方法でレーザープロジェクター61を配設して平行線Le1を表示する方法、治具等を用いて基準面31β〜33βに平行線Le1を表示する方法等でも差し支えない。
【0041】
上記の如く平行線Le1が基準面31β〜33βに表示された状態において、図8(a)に示す如く、基準面31β〜33βの基準線L1と、平行線Le1と、の方向が同一となるように、基準面31β〜33βの水平方向姿勢、即ちレーザー変位計30の水平方向の車両Vに対する向きを定めるのである。即ち、基準線L1は中心線LCに対して平行であるため、基準線L1と平行線Le1との方向を同一とすることにより、レーザー変位計30の長手方向が車両Vの進行方向に対して直交するように方向を定めることができるのである。これにより、車両Vに対する計測面31α〜33αの姿勢角が決定されるのである。なお、図8(a)においては、基準線L1と平行線Le1とは平行となるように基準面31β〜33βの方向が定められているが、基準線L1と平行線Le1が一致する(同一線となる)ように基準面31β〜33βの方向を定めても差し支えない。
さらに、他のレーザー変位計についても、球体13ごとに同様に配設するのである。
【0042】
上記の如くレーザー変位計30を車両Vに配設することにより、変位量計測装置39による計測精度を向上させることができる。即ち、水準器で基準面31β〜33βが水平となるように配設するとともに、基準線L1と平行線Le1との方向を同一とすることにより、レーザー変位計30と車両Vとの計測軸(x軸、y軸、z軸の3軸)の方向を一致させることができるのである。これにより、変位量計測装置39による変位量計側において、レーザー変位計30が車両Vに対して角度がずれて配設されることによる角度誤差をなくすことができるのである。
【0043】
図8(b)は第二実施形態に係る変位量計測装置を配置する際の基準面31β〜33βを示している。本実施形態に係る変位量計測装置は、前記第一実施形態の構成に加え、基準面31β〜33βに、基準線L1と直交する、2本の直交基準線L2・L3が設けられている。
【0044】
そして、レーザープロジェクター61が、第一実施形態と同様に、中心線LCに対して平行となる平行走査面で平行照射光Laを照射し、平行照射光Laを基準面31β〜33βに投射することにより、基準面31β〜33βの上における平行走査面と基準面31β〜33βとの交線が平行線Le1として表示される。さらに、レーザープロジェクター61が、中心線LCに対して直交する二つの直交走査面で直交照射光Lb・Lcを照射し、直交照射光Lb・Lcを基準面31β〜33βに投射することにより、基準面31β〜33βの上における直交走査面と基準面31β〜33βとの交線が、平行線Le1に対して直交する直交線Le2・Le3が表示される。
【0045】
その後、図8(b)に示す如く、基準面31β〜33βの基準線L1と、平行線Le1と、の方向が同一となるとともに、直交基準線L2・L3と、直交線Le2・Le3と、の方向が同一となるように、基準面31β〜33βの水平方向姿勢、即ちレーザー変位計30の水平方向の車両Vに対する向きを定めるのである。なお、本実施形態においては、基準線L1と平行線Le1が一致し(同一線となり)、直交基準線L2・L3と直交線Le2・Le3が一致するように基準面31β〜33βの方向を定めている。
【0046】
上記の如くレーザー変位計30を車両Vに配設することにより、変位量計測装置39による計測精度をさらに向上させることができる。即ち、水準器で基準面31β〜33βを水平となるように配設し、基準線L1と平行線Le1との方向を同一とするとともに、直交基準線L2・L3と直交線Le2・Le3との方向を同一とすることにより、レーザー変位計30と車両Vとの計測軸(x軸、y軸、z軸の3軸)の方向を一致させ易くすることができるのである。換言すれば、レーザー変位計30を車両Vに配設する際に、平行線Le1だけでなく、直交線Le2・Le3を用いて方向を定めることにより、レーザー変位計30の方向を合わせ易くしているのである。
【0047】
[エンジンマウントの変位量計測方法]
次に、本発明に係るエンジンマウントの変位量計測方法について、図9から図13を用いて説明する。なお、本発明に係るエンジンマウントの変位量計測方法の概要については、本願出願人により既に特許出願がなされている(特願2009−10434号)。
【0048】
図9に示す如く、本実施形態に係るエンジンマウントの変位量計測方法は、エンジンマウント10のマウント軸として配設されるボルト12の両端に、それぞれ1個ずつ固定した2個の球体13・13の変位を、それぞれの球体13・13について3箇所ずつ第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36で計測する、球体変位計測工程(図9中のステップS1)と、前記球体変位計測工程で計測した前記球体13・13の変位結果に基づいて、前記球体13・13の中心I・Jの3次元座標Q1・Q2をそれぞれ算出する、座標算出工程(図9中のステップS2〜ステップS7)と、座標算出工程で算出した2個の3次元座標Q1・Q2に基づいて、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出する、マウント軸変位算出工程(図9中のステップS8)と、を備える。
【0049】
それぞれの工程について、以下に具体的に説明する。
まず、球体変位計測工程では、前記の如く、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が一方の球体13の表面における計測点A〜Cの変位を、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36が他方の球体13の表面における計測点D〜Fの変位を計測する。そして、それぞれのレーザー変位計31〜36で計測された計測点A〜Fの変位量を制御装置38に出力し、該制御装置38はそれぞれのレーザー変位計31〜36の出力を取得するのである(ステップS1)。
【0050】
次に、座標算出工程では、前記演算機能が、それぞれのレーザー変位計31〜36で計測された、計測点A〜C、D〜Fの変位を、X軸、Y軸、Z軸からなるセンサ座標系から見た3次元座標X1〜X3、X4〜X6へと座標変換する(ステップS2)。
具体的には、図10に示す如く、計測点A〜Cの変位量に基づいて座標X1(xa、ya、za)〜X3(xc、yc、zc)を算出するのである。同様に他方の計測点D〜Fについても、同様に3次元座標X4(xd、yd、zd)〜X6(xf、yf、zf)を算出するのである。
【0051】
さらに、座標算出工程では、前記演算機能が、前記座標X1〜X3、X4〜X6に基づいて、図11に示した3個の計測点A〜Cのそれぞれを通る円の中心Lの3次元座標P1を算出する。(ステップS3)。
詳細には、3個の計測点A〜Cの座標X1〜X3が判明すれば、幾何学的に計測点A〜Cの何れにも等距離に位置する点の座標を求めることで、計測点A〜Cを通る円の中心Lの座標P1(xp1、yp1、zp1)を求めることが可能となる。これにより、前記演算機能が前記座標X1〜X3に基づいて計測点A〜Cを通る円の中心Lの座標P1を算出するのである。また、図示しない他方の球体13についても、同様に計測点D〜Fを通る円の中心Mの3次元座標P2(xp2、yp2、zp2)を算出するのである。
【0052】
さらに、前記演算機能が幾何学的に、前記中心L・Mと計測点A〜C・D〜Fの何れかとの距離を算出することにより、前記2個の円の半径r1・r2を算出する(ステップS4)。
【0053】
さらに、前記演算機能が幾何学的に、前記球体13・13の中心I・Jと、前記3個の計測点A〜C・D〜Fで決まる平面との距離k1・k2を算出する(ステップS5)。
詳細には、前記球体13・13の半径r0が既知であるため、図11に示す如く、該半径r0と、前記円の半径r1・r2と、前記平面との距離k1・k2との三辺で形成される直角三角形において三平方の定理を利用することにより、前記平面との距離k1・k2を算出するのである。
【0054】
さらに、前記演算機能が幾何学的に、前記3個の計測点A〜C・D〜Fで決まる平面の垂直方向ベクトルnを算出する(ステップS6)。
【0055】
さらに、座標算出工程では、前記演算機能が、前記2個の円の中心座標P1・P2、平面との距離k1・k2、及び前記垂直方向ベクトルnに基づいて前記球体13・13の中心I・Jの3次元座標Q1・Q2を算出する(ステップS7)。
詳細には、図11に示す如く、前記2個の円の中心L・Mを起点として、前記垂直方向ベクトルnの方向に距離k1・k2だけ移動した点が前記球体13・13の中心I・Jとなるため、前記演算機能が球体13・13の中心Iの3次元座標Q1・Q2を算出するのである。
【0056】
次に、マウント軸変位算出工程では、前記演算機能が、前記3次元座標Q1・Q2に基づいて、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出する(ステップS8)。
具体的には、図12に示す如く、前記中心I・Jの中点がボルト12の中心Kとなるため、前記演算機能が、前記3次元座標Q1・Q2に基づいてボルト12の中心Kの3次元座標O(xo、yo、zo)を算出するのである。そして、前記3次元座標OのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれの変位量を算出することにより、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量を算出するのである。
さらに、図13に示す如く、前記中心I・Jの3次元座標Q1・Q2、及び、ボルト12の中心Kの3次元座標Oに基づいて、Z軸を中心としたX軸からのボルト12の回転角θ、及び、Z軸からの傾きφを算出することにより、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出するのである。
【0057】
前記のように構成することにより、高速な振動現象の下にあっても、エンジンマウント10のマウント軸として配設されるボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、該ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を高精度に算出することができる。
具体的には、第1レーザー変位計31〜第6レーザー変位計36で計測された前記球体13・13の変位結果に基づいてボルト12の中心Kの3軸並進量、及び、該ボルト12の2軸回転量を算出する構成としているため、マウント軸のねじれ(こじり変形)を計測することができ、さらに計測の応答性を高めることが可能となるのである。また、本実施形態に係るエンジンマウントの変位量計測方法は数値積分を用いないため積分誤差が発生せず、該積分誤差による精度の低下を防ぐことができるのである。
【0058】
上記の如く変位量を計測するにあたり、レーザー変位計30を車両Vに配設する際に、レーザー変位計30と車両Vとの計測軸(x軸、y軸、z軸の3軸)の方向を一致させる構成としている。このため、レーザー変位計30を設置する際の車両Vとの角度のずれによる角度誤差が発生することを防止できるのである。
従って、高速な振動現象下における、エンジンマウント10のマウント軸として配設されるボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、該ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を、より高精度に算出することが可能となるのである。
【符号の説明】
【0059】
10 エンジンマウント
11 防振弾性体
12 ボルト
13 球体
30 レーザー変位計
31 第1レーザー変位計
32 第2レーザー変位計
33 第3レーザー変位計
61 レーザープロジェクター
V 車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位量計測装置、及び、変位量計測装置の姿勢角決定方法に関し、より詳しくは、エンジンマウントの変位量の計測において計測精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの重量を支えるとともに、エンジンからボデーへの振動の伝達を防ぎ、また路面からの入力やエンジン自体が発生するトルク反力によってエンジン本体の姿勢が変化しないようにするため、エンジンをボデーに固定する際にエンジンマウントが用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
前記エンジンマウントは車両のNVH(騒音・振動・ハーシュネス)に大きな影響を与えるため、エンジンマウントがボデーに与えるボデー伝達力を評価することが重要となる。そして、前記ボデー伝達力は、エンジンマウントの動バネ係数と、エンジンマウントの変形量(エンジンマウントの中心の変位量)を計測することによって求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−17877号公報
【特許文献2】特開平6−122325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術における、エンジンマウントの変位量を計測する方法について、図14及び図15を用いて説明する。
図14は従来技術に係る第一のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図である。図14に示す如く、本方法においては、エンジンマウント本体である防振弾性体に配設される、エンジンマウントのマウント軸であるボルトの上方及び側方に、前記ボルトの軸心に直交する方向(図14中のx軸方向及びy軸方向)にポテンショメータ型の直線変位計を2個配設し、前記直線変位計から延出させたプローブを前記ボルトに当接させる。そして、前記直線変位計で前記ボルトの変位量を計測することにより、エンジンマウントの変位量を計測するのである。
【0006】
しかし、前記方法によれば、エンジンマウントにおけるマウント軸の2次元変位(図14中のx軸方向及びy軸方向の変位)しか計測することができず、また前記マウント軸のねじれ(こじり変形)を計測することもできない。さらに計測の応答性も低いため、高速な振動現象を捉えることはできなかった。
【0007】
図15は従来技術に係る第二のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図である。図15(a)に示す如く、本方法においては、エンジンマウントに加速度ピックアップを配設し、該加速度ピックアップでエンジンマウントの変位時における加速度を計測し、該加速度を二回積分することによってエンジンマウントの変位量を求めるのである。なお、図15(a)は、前記エンジンマウントがエンジンから加わる力によって変形したことにより軸心が傾いた状態を示している。
【0008】
しかし、前記方法によれば加速度から変位を求めるため、図15(b)に示す如く、数値積分を二回行う際の積分誤差が時間の経過とともに増大し、高精度な変位を求めることができなかった。
【0009】
そこで本発明では、上記現状に鑑み、高速な振動現象の下にあっても、エンジンマウントのマウント軸として配設されるボルトの中心の3軸並進量、及び、該ボルトの2軸回転量を高精度に算出することができる、変位量計測装置、及び、変位量計測装置の姿勢角決定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、車両のエンジンルームの内部に、平行線表示手段を用いて姿勢角が決定されることにより配設され、投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置であって、前記基準面が水平となるように位置決めされた後、前記平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線が、前記基準面上に表示され、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定されるものである。
【0012】
請求項2においては、前記平行線表示手段は、前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備えるものである。
【0013】
請求項3においては、前記平行線表示手段は、前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示するものである。
【0014】
請求項4においては、前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線が、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定されるものである。
【0015】
請求項5においては、車両のエンジンルームの内部に配設され、投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置の姿勢角決定方法であって、前記基準面が水平となるように位置決めした後、平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線を、前記基準面上に表示し、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定するものである。
【0016】
請求項6においては、前記平行線表示手段は、前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備えるものである。
【0017】
請求項7においては、前記平行線表示手段は、前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示するものである。
【0018】
請求項8においては、前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線として、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
本発明により、高速な振動現象の下にあっても、エンジンマウントのマウント軸として配設されるボルトの中心の3軸並進量、及び、該ボルトの2軸回転量を高精度に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は計測対象であるエンジンマウントを示した図、(b)はエンジンマウントのマウント軸であるボルトを示した図。
【図2】第一実施形態に係る変位量計測装置の概要を示した図。
【図3】同じく変位量計測装置の計測面を示した図。
【図4】同じく変位量計測装置の基準面を示した図。
【図5】同じく変位量計測装置を配置する車両を示した斜視図。
【図6】同じく変位量計測装置を配置する車両を示した側面図。
【図7】同じく変位量計測装置を配置する車両を示した正面図。
【図8】(a)は第一実施形態に係る変位量計測装置を配置する際の基準面を示した平面図、(b)は第二実施形態に係る変位量計測装置を配置する際の基準面を示した平面図。
【図9】第一実施形態に係る変位量計測方法のフローチャートを示した図。
【図10】同じく変位量計測方法の座標算出工程について示した図。
【図11】同じく座標算出工程について示した図。
【図12】同じくエンジンマウントのボルトの変位状態を示した図。
【図13】同じくエンジンマウントの変位量計測方法のマウント軸変位算出工程について示した図。
【図14】従来技術に係る第一のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図。
【図15】従来技術に係る第二のエンジンマウントの変位量計測方法について示した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0023】
[変位量計測装置39]
図1(a)に示す如く、変位量計測装置39(図2参照)の計測対象であるエンジンマウント10は、主に、車両V(図5から図7参照)のエンジンルーム内部においてボデーに配設されるブラケット21と、該ブラケット21に設置される防振弾性体11と、エンジンマウント10の固定用のマウント軸であって、前記防振弾性体11の軸心部分に挿入されるボルト12と、で構成されている。そして、前記ボルト12と、図示しないエンジンに配設されたブラケットとが連結されることにより、エンジンがボデーに支持されるのである。このような構成により、エンジンマウント10を介してボデーがエンジンの重量を支えるとともに、エンジンからボデーへの振動の伝達を防ぎ、また路面からの入力やエンジン自体が発生するトルク反力によってエンジン本体の姿勢が変化しないようにしている。なお、図1(a)は、前記エンジンマウント10がエンジンから加わる力によって変形したことにより、ボルト12の軸心が傾いた状態を示している。
【0024】
そして、本実施形態においては、図1(a)に示す如く、前記ボルト12の両端のそれぞれに、半径r0(図11参照)が既知である球体13・13が1個ずつ、2個固定されている。詳細には、図1(b)に示す如く、ボルト頭部側、ナット側のそれぞれに、ボルト12の軸心の延長線上に前記球体13・13の中心I・Jが位置するように、軸心方向視においてボルト頭部及びナットの径と略同径の球体13・13が溶接等により固定されるのである。
なお、本実施形態においては、前記球体13については完全な球体を用いているが、該球体13は半径r0が既知であればよく、半球等で代替することも可能である。
【0025】
次に、本発明の第一実施形態に係る変位量計測装置39について、図2を用いて説明をする。図2以下の各図においては、説明の便宜上、前記ボルト12は軸心を上下方向に向けた状態で図示するものとする。
図2に示す如く、変位量計測装置39は、球体13・13の第1から第6の変位量計測装置である第1レーザー変位計31・第2レーザー変位計32・・・第6レーザー変位計36と、座標算出手段及びマウント軸変位算出手段である制御装置38と、を備える。
【0026】
具体的には、前記第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33、及び、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36はそれぞれの3個が1組となって、それぞれの球体13・13について3箇所の球体表面の変位を計測するのである。即ち、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33は互いに平行となる照射方向へ計測光を照射し、前記計測光が前記球体13の表面と交差する点である計測点A〜Cの位置を、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が計測するのである。
同様に、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36についても互いに平行となる照射方向へ計測光を照射し、前記計測光が球体13の表面と交差する点である計測点D〜Fの位置を、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36が計測するのである。これにより、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33、及び、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36がそれぞれの前記球体13・13の変位を計測するように構成されている。
【0027】
一方、前記制御装置38は、前記第1レーザー変位計31〜第6レーザー変位計36のそれぞれと電気的に接続されており、前記第1レーザー変位計31〜第6レーザー変位計36で計測された前記球体13・13の変位結果を入力可能に構成されている。
また、前記制御装置38は、入力機能、表示機能、記憶機能、通信機能、及び、各種の演算機能等を備えている。そして、前記演算機能は後述するように、前記変位結果に基づいて前記球体13・13の中心I・Jのそれぞれの3次元座標Q1・Q2をそれぞれ算出する座標算出手段、及び、該座標算出手段で算出された2個の3次元座標Q1・Q2に基づいて、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出するマウント軸変位算出手段を備えるのである。
【0028】
次に、前記第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33(以下、適宜総称してレーザー変位計30とする)における具体的な構成について、図3及び図4を用いて説明する。なお、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36については、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33と同様に構成されているものとし、その説明を省略する。
【0029】
図3に示す如く、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33は、それぞれが略直方体形状に形成されている。そして、一方の側の面に第1計測面31α〜第3計測面33α(以下、適宜総称して計測面31α〜33αとする)が形成されている。また、計測面31α〜33αと反対側の面には後述する第1基準面31β〜第3基準面33β(以下、適宜総称して基準面31β〜33βとする)が形成されている。さらに、レーザー変位計30は計測面31α〜33αが球体13側と対向するように配設されるのである。
【0030】
また、該第1計測面31α〜第3計測面33αの長手方向の一端側にそれぞれの第1投光部31a〜第3投光部33aが、他端側にそれぞれの第1受光部31b〜第3受光部33bが配設されている。そして、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が組み合わされることにより、それぞれの第1計測面31α〜第3計測面33αが同一平面をなすように構成されているのである。
【0031】
さらに、それぞれの第1投光部31a〜第3投光部33aが、球体13に第1計測光Ra1〜第3計測光Ra3を照射する。そして、それぞれの第1受光部31b〜第3受光部33bが、前記球体13の計測点A〜Cで反射した前記第1計測光Ra1〜第3計測光Ra3の第1反射光Rb1〜第3反射光Rb3を受光することにより、前記球体13の変位量を計測するように構成されているのである。
【0032】
本実施形態に係るレーザー変位計30においては、第1レーザー変位計31に配設される第1投光部31aと、第2レーザー変位計32に配設される第2投光部32aと、が隣接し、かつ、第1レーザー変位計31に配設される第1受光部31bと、第2レーザー変位計32に配設される第2受光部32bと、が隣接するように、第1レーザー変位計31と第2レーザー変位計32とが近接して配置されている。さらに、第3レーザー変位計33に配設される第3投光部33aが、第1投光部31a及び第2投光部32aに対して等距離に近接して位置し、かつ、第3レーザー変位計33に配設される第3受光部33bが、第1投光部31a及び第2投光部32aの双方から等距離に離れて位置するように、第3レーザー変位計33と、第1レーザー変位計31及び第2レーザー変位計32と、が近接して配置されているのである。つまり、3個の第1投光部31a〜第3投光部33aの間隔が略均等になるように、それぞれの第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が配置されている。
【0033】
即ち、本実施形態においては図3に示す如く、第1レーザー変位計31及び第2レーザー変位計32の第1計測面31α及び第2計測面32αが同じ方向を向くように並べて配置される。そして、第3レーザー変位計33の第3投光部33a側の端面が、第1レーザー変位計31及び第2レーザー変位計32における第1投光部31a及び第2投光部32a側の端面と当接し、かつ、第3計測面33αが第1計測面31α及び第2計測面32αと同じ方向を向くように、第3レーザー変位計33が配置されるのである。
【0034】
一方、図4に示す如く、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33における球体13側と反対側、即ち計測面31α〜33αと反対側に位置する面には、第1基準面31β〜第3基準面33β(基準面31β〜33β)が形成されている。そして、基準面31β〜33βには、一本の基準線L1が設けられている。本実施形態においては、第1基準面31βと第2基準面32βとの間、及び、第3基準面33βの短手方向略中央部に、それぞれの第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33の長手方向に基準線L1が設けられている。なお、該基準線L1は互いに平行であれば複数本設けることも可能である。
【0035】
次に、レーザー変位計30を車両Vに配設する方法について、図5から図8を用いて説明する。
図5から図7に示す如く、レーザー変位計30は車両Vのエンジンルームの内部に、後述する平行線表示手段を用いて姿勢角が決定されることにより、図示しない固定用治具を介して配設される。具体的には、まず、図示しない水準器により、基準面31β〜33βが水平となるように、即ち基準面31β〜33βが鉛直方向に対して垂直となるように位置決めされる。より詳細には、基準面31β〜33βが水平となった状態で、固定用治具により鉛直軸を中心として回転可能に配設されるのである。
【0036】
次に、平行線表示手段により、基準面31β〜33βに平行線Le1が表示される(図8参照)。
平行線表示手段は、具体的には図5から図7に示す如く、互いに平行となるように延出された長尺部材である、同じ長さの左アーム部材53L・右アーム部材53Rと、左右アーム部材53L・53Rにおけるそれぞれの他端を相互に連結した長尺部材である水平部材55と、水平部材55に配設された平行光照射手段であるレーザープロジェクター61と、を主な要素として構成されている。左右アーム部材53L・53Rは、車両Vの左右両側で対向するホイール(本実施形態においては、左フロントホイールWL・右フロントホイールWR)におけるそれぞれの中心にその一端が固定されている。
【0037】
より詳細には、左アーム部材53L及び右アーム部材53Rは、左右のフロントホイールWL・WRに対して、それぞれ左右の取付治具51L・51Rを介して固定される。
即ち、左取付治具51LはV字状に折れ曲がった平板部材であり、左フロントホイールWLのボルト孔のうち、2個と対向する位置に固定孔を有している。そして、この固定孔を介して左フロントホイールWLにボルト51a・51aを螺入させることにより、図6及び図7に示す如く左取付治具51Lを左フロントホイールWLに固定するのである。また、左取付治具51Lは、左フロントホイールWLに固定した際に、左フロントホイールWLの中心位置と対向する位置に中心孔を有している。換言すれば、左取付治具51Lは左フロントホイールWLに対して相対的に回転して取付けられても、中心孔は左フロントホイールWLの中心位置と対向するように構成されているのである。そして、左アーム部材53Lを貫通したボルト53aを中心孔に螺入させることにより、左アーム部材53Lの一端を左フロントホイールWLの中心位置に固定するのである。同様に、右アーム部材53Rの一端を右フロントホイールWRの中心位置に固定するのである。
【0038】
本実施形態においては、左アーム部材53L及び右アーム部材53Rはその軸心が鉛直方向を向くように配設される。具体的には錘等を用いて、それぞれが鉛直となるように左右のフロントホイールWL・WRに配設されるのである。そして、水平部材55が、左右アーム部材53L・53Rにおける上端を相互に連結して配設される。即ち、水平部材55は、左右のフロントホイールWL・WRにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線LCと平行となるように、水平に配設されるのである。なお、左アーム部材53L及び右アーム部材53Rは平行に配設されていればよく、その軸心方向は鉛直方向に限定されるものではない。
【0039】
そして、レーザープロジェクター61により、照射光Laが照射される。具体的には照射光Laは、その走査面が中心線LCに対して平行となるように照射される。換言すれば、レーザープロジェクター61は水平部材55の軸心に対して平行となる走査面で照射光Laを照射するのである。
そして、該照射光Laが前記基準面31β〜33βに投射されることにより、前記走査面と前記基準面31β〜33βとの交線が、平行線Le1として基準面31β〜33βに表示される(図8(a)参照)。このとき、基準面31β〜33βは水平状態を維持しているため、平行線Le1は水平部材55の軸心及び中心線LCに対して平行となるのである。
【0040】
なお、本実施形態においては、左右アーム部材53L・53Rや水平部材55、レーザープロジェクター61等を用いて1本の平行線Le1を基準面31β〜33βに表示する構成としたが、平行線Le1の本数や表示方法は上記の構成に限定するものではない。即ち、複数の平行線Le1を表示する方法や、別の方法でレーザープロジェクター61を配設して平行線Le1を表示する方法、治具等を用いて基準面31β〜33βに平行線Le1を表示する方法等でも差し支えない。
【0041】
上記の如く平行線Le1が基準面31β〜33βに表示された状態において、図8(a)に示す如く、基準面31β〜33βの基準線L1と、平行線Le1と、の方向が同一となるように、基準面31β〜33βの水平方向姿勢、即ちレーザー変位計30の水平方向の車両Vに対する向きを定めるのである。即ち、基準線L1は中心線LCに対して平行であるため、基準線L1と平行線Le1との方向を同一とすることにより、レーザー変位計30の長手方向が車両Vの進行方向に対して直交するように方向を定めることができるのである。これにより、車両Vに対する計測面31α〜33αの姿勢角が決定されるのである。なお、図8(a)においては、基準線L1と平行線Le1とは平行となるように基準面31β〜33βの方向が定められているが、基準線L1と平行線Le1が一致する(同一線となる)ように基準面31β〜33βの方向を定めても差し支えない。
さらに、他のレーザー変位計についても、球体13ごとに同様に配設するのである。
【0042】
上記の如くレーザー変位計30を車両Vに配設することにより、変位量計測装置39による計測精度を向上させることができる。即ち、水準器で基準面31β〜33βが水平となるように配設するとともに、基準線L1と平行線Le1との方向を同一とすることにより、レーザー変位計30と車両Vとの計測軸(x軸、y軸、z軸の3軸)の方向を一致させることができるのである。これにより、変位量計測装置39による変位量計側において、レーザー変位計30が車両Vに対して角度がずれて配設されることによる角度誤差をなくすことができるのである。
【0043】
図8(b)は第二実施形態に係る変位量計測装置を配置する際の基準面31β〜33βを示している。本実施形態に係る変位量計測装置は、前記第一実施形態の構成に加え、基準面31β〜33βに、基準線L1と直交する、2本の直交基準線L2・L3が設けられている。
【0044】
そして、レーザープロジェクター61が、第一実施形態と同様に、中心線LCに対して平行となる平行走査面で平行照射光Laを照射し、平行照射光Laを基準面31β〜33βに投射することにより、基準面31β〜33βの上における平行走査面と基準面31β〜33βとの交線が平行線Le1として表示される。さらに、レーザープロジェクター61が、中心線LCに対して直交する二つの直交走査面で直交照射光Lb・Lcを照射し、直交照射光Lb・Lcを基準面31β〜33βに投射することにより、基準面31β〜33βの上における直交走査面と基準面31β〜33βとの交線が、平行線Le1に対して直交する直交線Le2・Le3が表示される。
【0045】
その後、図8(b)に示す如く、基準面31β〜33βの基準線L1と、平行線Le1と、の方向が同一となるとともに、直交基準線L2・L3と、直交線Le2・Le3と、の方向が同一となるように、基準面31β〜33βの水平方向姿勢、即ちレーザー変位計30の水平方向の車両Vに対する向きを定めるのである。なお、本実施形態においては、基準線L1と平行線Le1が一致し(同一線となり)、直交基準線L2・L3と直交線Le2・Le3が一致するように基準面31β〜33βの方向を定めている。
【0046】
上記の如くレーザー変位計30を車両Vに配設することにより、変位量計測装置39による計測精度をさらに向上させることができる。即ち、水準器で基準面31β〜33βを水平となるように配設し、基準線L1と平行線Le1との方向を同一とするとともに、直交基準線L2・L3と直交線Le2・Le3との方向を同一とすることにより、レーザー変位計30と車両Vとの計測軸(x軸、y軸、z軸の3軸)の方向を一致させ易くすることができるのである。換言すれば、レーザー変位計30を車両Vに配設する際に、平行線Le1だけでなく、直交線Le2・Le3を用いて方向を定めることにより、レーザー変位計30の方向を合わせ易くしているのである。
【0047】
[エンジンマウントの変位量計測方法]
次に、本発明に係るエンジンマウントの変位量計測方法について、図9から図13を用いて説明する。なお、本発明に係るエンジンマウントの変位量計測方法の概要については、本願出願人により既に特許出願がなされている(特願2009−10434号)。
【0048】
図9に示す如く、本実施形態に係るエンジンマウントの変位量計測方法は、エンジンマウント10のマウント軸として配設されるボルト12の両端に、それぞれ1個ずつ固定した2個の球体13・13の変位を、それぞれの球体13・13について3箇所ずつ第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36で計測する、球体変位計測工程(図9中のステップS1)と、前記球体変位計測工程で計測した前記球体13・13の変位結果に基づいて、前記球体13・13の中心I・Jの3次元座標Q1・Q2をそれぞれ算出する、座標算出工程(図9中のステップS2〜ステップS7)と、座標算出工程で算出した2個の3次元座標Q1・Q2に基づいて、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出する、マウント軸変位算出工程(図9中のステップS8)と、を備える。
【0049】
それぞれの工程について、以下に具体的に説明する。
まず、球体変位計測工程では、前記の如く、第1レーザー変位計31〜第3レーザー変位計33が一方の球体13の表面における計測点A〜Cの変位を、第4レーザー変位計34〜第6レーザー変位計36が他方の球体13の表面における計測点D〜Fの変位を計測する。そして、それぞれのレーザー変位計31〜36で計測された計測点A〜Fの変位量を制御装置38に出力し、該制御装置38はそれぞれのレーザー変位計31〜36の出力を取得するのである(ステップS1)。
【0050】
次に、座標算出工程では、前記演算機能が、それぞれのレーザー変位計31〜36で計測された、計測点A〜C、D〜Fの変位を、X軸、Y軸、Z軸からなるセンサ座標系から見た3次元座標X1〜X3、X4〜X6へと座標変換する(ステップS2)。
具体的には、図10に示す如く、計測点A〜Cの変位量に基づいて座標X1(xa、ya、za)〜X3(xc、yc、zc)を算出するのである。同様に他方の計測点D〜Fについても、同様に3次元座標X4(xd、yd、zd)〜X6(xf、yf、zf)を算出するのである。
【0051】
さらに、座標算出工程では、前記演算機能が、前記座標X1〜X3、X4〜X6に基づいて、図11に示した3個の計測点A〜Cのそれぞれを通る円の中心Lの3次元座標P1を算出する。(ステップS3)。
詳細には、3個の計測点A〜Cの座標X1〜X3が判明すれば、幾何学的に計測点A〜Cの何れにも等距離に位置する点の座標を求めることで、計測点A〜Cを通る円の中心Lの座標P1(xp1、yp1、zp1)を求めることが可能となる。これにより、前記演算機能が前記座標X1〜X3に基づいて計測点A〜Cを通る円の中心Lの座標P1を算出するのである。また、図示しない他方の球体13についても、同様に計測点D〜Fを通る円の中心Mの3次元座標P2(xp2、yp2、zp2)を算出するのである。
【0052】
さらに、前記演算機能が幾何学的に、前記中心L・Mと計測点A〜C・D〜Fの何れかとの距離を算出することにより、前記2個の円の半径r1・r2を算出する(ステップS4)。
【0053】
さらに、前記演算機能が幾何学的に、前記球体13・13の中心I・Jと、前記3個の計測点A〜C・D〜Fで決まる平面との距離k1・k2を算出する(ステップS5)。
詳細には、前記球体13・13の半径r0が既知であるため、図11に示す如く、該半径r0と、前記円の半径r1・r2と、前記平面との距離k1・k2との三辺で形成される直角三角形において三平方の定理を利用することにより、前記平面との距離k1・k2を算出するのである。
【0054】
さらに、前記演算機能が幾何学的に、前記3個の計測点A〜C・D〜Fで決まる平面の垂直方向ベクトルnを算出する(ステップS6)。
【0055】
さらに、座標算出工程では、前記演算機能が、前記2個の円の中心座標P1・P2、平面との距離k1・k2、及び前記垂直方向ベクトルnに基づいて前記球体13・13の中心I・Jの3次元座標Q1・Q2を算出する(ステップS7)。
詳細には、図11に示す如く、前記2個の円の中心L・Mを起点として、前記垂直方向ベクトルnの方向に距離k1・k2だけ移動した点が前記球体13・13の中心I・Jとなるため、前記演算機能が球体13・13の中心Iの3次元座標Q1・Q2を算出するのである。
【0056】
次に、マウント軸変位算出工程では、前記演算機能が、前記3次元座標Q1・Q2に基づいて、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出する(ステップS8)。
具体的には、図12に示す如く、前記中心I・Jの中点がボルト12の中心Kとなるため、前記演算機能が、前記3次元座標Q1・Q2に基づいてボルト12の中心Kの3次元座標O(xo、yo、zo)を算出するのである。そして、前記3次元座標OのX軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれの変位量を算出することにより、前記ボルト12の中心Kの3軸並進量を算出するのである。
さらに、図13に示す如く、前記中心I・Jの3次元座標Q1・Q2、及び、ボルト12の中心Kの3次元座標Oに基づいて、Z軸を中心としたX軸からのボルト12の回転角θ、及び、Z軸からの傾きφを算出することにより、前記ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を算出するのである。
【0057】
前記のように構成することにより、高速な振動現象の下にあっても、エンジンマウント10のマウント軸として配設されるボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、該ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を高精度に算出することができる。
具体的には、第1レーザー変位計31〜第6レーザー変位計36で計測された前記球体13・13の変位結果に基づいてボルト12の中心Kの3軸並進量、及び、該ボルト12の2軸回転量を算出する構成としているため、マウント軸のねじれ(こじり変形)を計測することができ、さらに計測の応答性を高めることが可能となるのである。また、本実施形態に係るエンジンマウントの変位量計測方法は数値積分を用いないため積分誤差が発生せず、該積分誤差による精度の低下を防ぐことができるのである。
【0058】
上記の如く変位量を計測するにあたり、レーザー変位計30を車両Vに配設する際に、レーザー変位計30と車両Vとの計測軸(x軸、y軸、z軸の3軸)の方向を一致させる構成としている。このため、レーザー変位計30を設置する際の車両Vとの角度のずれによる角度誤差が発生することを防止できるのである。
従って、高速な振動現象下における、エンジンマウント10のマウント軸として配設されるボルト12の中心Kの3軸並進量(3次元座標Oの変位量)、及び、該ボルト12の2軸回転量(θ、φ)を、より高精度に算出することが可能となるのである。
【符号の説明】
【0059】
10 エンジンマウント
11 防振弾性体
12 ボルト
13 球体
30 レーザー変位計
31 第1レーザー変位計
32 第2レーザー変位計
33 第3レーザー変位計
61 レーザープロジェクター
V 車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームの内部に、平行線表示手段を用いて姿勢角が決定されることにより配設され、
投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、
前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置であって、
前記基準面が水平となるように位置決めされた後、
前記平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線が、前記基準面上に表示され、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定される、
ことを特徴とする、変位量計測装置。
【請求項2】
前記平行線表示手段は、
前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の変位量計測装置。
【請求項3】
前記平行線表示手段は、
前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、
前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、
前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の変位量計測装置。
【請求項4】
前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線が、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定される、
ことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の変位量計測装置。
【請求項5】
車両のエンジンルームの内部に配設され、
投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、
前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置の姿勢角決定方法であって、
前記基準面が水平となるように位置決めした後、
平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線を、前記基準面上に表示し、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定する、
ことを特徴とする、変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【請求項6】
前記平行線表示手段は、
前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備える、
ことを特徴とする、請求項5に記載の変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【請求項7】
前記平行線表示手段は、
前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、
前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、
前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【請求項8】
前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線として、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定する、
ことを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【請求項1】
車両のエンジンルームの内部に、平行線表示手段を用いて姿勢角が決定されることにより配設され、
投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、
前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置であって、
前記基準面が水平となるように位置決めされた後、
前記平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線が、前記基準面上に表示され、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定される、
ことを特徴とする、変位量計測装置。
【請求項2】
前記平行線表示手段は、
前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の変位量計測装置。
【請求項3】
前記平行線表示手段は、
前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、
前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、
前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の変位量計測装置。
【請求項4】
前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線が、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢が定められることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角が決定される、
ことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の変位量計測装置。
【請求項5】
車両のエンジンルームの内部に配設され、
投光部と受光部とを有する計測面と、前記計測面に対して所定の位置に配設されるとともに一本又は平行な複数本の基準線が設けられる基準面と、を備え、
前記投光部が、前記エンジンルーム内におけるエンジンマウントのマウント軸に配設された計測対象物に計測光を照射し、前記受光部が、前記計測対象物で反射した前記計測光の反射光を受光することにより、前記計測対象物の変位量を計測する、変位量計測装置の姿勢角決定方法であって、
前記基準面が水平となるように位置決めした後、
平行線表示手段により、前記車両の左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心を結んだ中心線に対して平行となる平行線を、前記基準面上に表示し、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるように前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定する、
ことを特徴とする、変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【請求項6】
前記平行線表示手段は、
前記中心線に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、平行光照射手段を備える、
ことを特徴とする、請求項5に記載の変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【請求項7】
前記平行線表示手段は、
前記車両の、左右両側で対向するホイールにおけるそれぞれの中心位置にその一端を固定し、互いに平行となるように延出した、同じ長さの2本のアーム部材と、
前記それぞれのアーム部材における他端を相互に連結した水平部材と、を備え、
前記平行光照射手段は、前記水平部材に配設され、該水平部材の軸心に対して平行となる走査面で照射光を照射し、該照射光を前記基準面に投射することにより、前記走査面と前記基準面との交線を前記平行線として表示する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【請求項8】
前記基準面上には、前記基準線と直交する、一本又は平行な複数本の直交基準線が設けられ、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して平行となる平行走査面で平行照射光を照射し、前記平行照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記平行走査面と前記基準面との交線が前記平行線として表示され、
前記平行光照射手段が、前記中心線に対して直交する直交走査面で直交照射光を照射し、前記直交照射光を前記基準面に投射することにより、前記基準面上における前記直交走査面と前記基準面との交線として、前記平行線に対して直交する直交線として表示され、
前記一本又は平行な複数本の基準線と、前記平行線と、の方向が同一となるとともに、前記一本又は平行な複数本の直交基準線と、前記直交線と、の方向が同一となるように、前記基準面の水平方向姿勢を定めることにより、前記車両に対する前記計測面の姿勢角を決定する、
ことを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の変位量計測装置の姿勢角決定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−169652(P2011−169652A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31703(P2010−31703)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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