説明

変動負荷用電力変換

1以上の変動負荷(132,134)への電力を効率よく変換する電力変換ユニット(100)と変換方法がここに開示されている。第1の形態を有する電力が1以上の変動負荷に接続された1以上の電力変換ユニット(PCUs)(122,124,126)に供給される。PCUsは、電力を第1の形態から、供給先のシステム(120)で用いるのに適切な他の形態に変換する。前記変動負荷の負荷要求予測の少なくとも一部に基づき、電力消費が減少している間不要なPCUsを停止し、又は、電力消費が増加している間必要なPCUsを作動させて、損失となる電力を最小限にしながら、適切な時間に1以上の負荷に十分な電力を供給するようPCUsの動作を制御する。加えて、負荷要求の一次的な変動予測の少なくとも一部に基づき、電力消費の一時的な増加期間、1以上の変動負荷にエネルギーを追加するために出力電圧を増加し、又は電力消費の一時的な減少期間、出力電圧を減少したりして、負荷要求の一時的な変化に先立ってPCUはその出力電圧を変化させることができる。本発明は、レーダーシステム内で電力を配分するために用いたときに特に有益である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力変換システムに関し、具体的にはレーダーアンテナシステム用電力変換に関する。
【背景技術】
【0002】
システムに供給する電力を適切に管理、すなわち調整し配電することは、しばしばその電力供給先のシステムの運転にとって重要なこととなる。しかしながら、このようなシステムにおける電力を管理することには非常に多くの困難があり問題を複雑にしている。一例として、このような電力供給先のシステムの多くは、供給される電力に対して異なった形態を要求する構成要素を有することである。ある構成要素は交流(AC)電力を必要とする一方、他は直流(DC)電力を必要とすることがあり、電圧、電流、及び/又は、周波数に対する要求も電力供給先における構成要素が違えば異なることがある。もうひとつの厄介な問題は、このような電力供給先ではしばしば要求電力が変動することであり、そのため、従来の電源管理及び配電システムでは適切な量の電力を供給することが難しくなっている。
【0003】
電源管理はレーダーアンテナシステムにおいて特に重要であり、さらなる困難さと制約が出てくる。例えば、異なった電力の形態を必要とするのに加えて、アクティブアパチャーアレーレーダーシステム(Active Aperture Array radar system)のような多くのレーダーアンテナシステムでは、長いパルスの期間中に、一時的な、又は、急激に増加する、又は、「パルス」のハイデューティスキャンモード(high duty scan mode)が存在する。その結果、レーダーアンテナの要求負荷量が実質的にかつしばしば変動する。同様に、レーダーアンテナシステムが一般に使われる環境上の理由で、電源の変動に整合させるために、電力供給システムの性能と可搬性についてさらなる配慮がなされる。同様に、赤外線サイン(infrared signature)を最小限とする必要性のような防衛上の観点から、レーダーアンテナシステムはしばしばこれらの電力供給システムに対して一定の要求を課す。
【0004】
従って、様々な電源管理システムがこれらの一部又は全ての困難を克服するために開発されてきた。しかしながら、これらの既知のシステムには様々な制約がある。一例として、これらの既知のシステムは、供給先のシステムで使われる全ての電力を供給する単一の電源を有する。このような構成は、単一の電源が喪失したときに対応できるものではなく、従って冗長性がない。これに対して、いくつかの既知の電源管理/配電システムには第1の電源に並列につないだ第2の電源が含まれている。この構成には冗長性があるものの、制限も有している。両方の電源を同時に運転する場合は電力/燃料コスト、及び/又は、運転コストの増大につながり、あるいは、同時に1つの電源だけを運転する場合は、浪費が最小限となるが、故障や修理/保守の必要性から一方の電源から他の電源に切り替えるときに何がしかの中断期間を必要とする。結局、電力供給システムの電力供給能力の低下により、一般に、レーダーアンテナシステムの性能が低下することになる。
【0005】
既知の電源管理システムにおける他の制限は、負荷変動により引き起こされる。従来の電源管理システムは一般に全負荷で電力を供給する、それゆえ、供給先のシステムにおいて負荷が低いとき無駄な電力を使うこととなる。例えば、多くのレーダーアンテナシステムは大部分の時間は軽負荷状態で運転し、未確認物体を検知したときなど、非常時にのみ全負荷で運転する。従って、このような短い高負荷期間に電源を供給するために、レーダーアンテナ電力供給システムは、レーダーアンテナシステムに全負荷を供給するのに適した電力を連続的に供給しているので、軽負荷時はかなりの量の電力を無駄に使っている。
【0006】
さらに、多くの既知の電源管理システムでは、交流(AC)電力から直流(DC)電力への変換のような、第1の形態の電力から第2の形態の電力へ変換する電力変換器を採用している。これらの電力変換器は一般に1以上の電源から第1の形態の電力を受け取り、電力を変換し、変換した電力をシステムの構成要素に供給する。例えば、多くのAC−DC変換器は一般的なフロントエンドを有し、AC主電源は一般に50ヘルツ(Hz)と60ヘルツの間の85ボルトAC(VAC)から265VACの間である。これらの型式のAC−DC変換器は低リップルのDC電源をDC−DC変換器に供給するために、一般にAC入力を整流し、静電容量のフィルター通す。
【0007】
しかしながら、これらの既知の変換器には数々の制限事項がある。一例として、これらの既知の変換器は一般的に深刻な高調波電流を有しているのでミリタリー標準(MIL−STD)1399に適合しない。さらに、DC−DC変換器に供給される高電圧DC母線は普通調整されていないので線電圧と共に変動し、従って、DC−DC変換器に2:1の範囲で動作するための負荷が加えられる。さらに、これらの既知のAC−DC変換器はしばしばライン制御され(line regulated)、変圧器の巻き数比により整流器の出力において比較的高い電圧を必要とする。このライン制御の必要性から、ショットキーダイオードの電圧ドロップを最低限に抑える出力状態の最適化が妨げられ、その結果、最適効率より低くなり他に比べて高い電力の損失を招く。
【0008】
多くの比較的低電圧の既知の電力変換器における他の制限事項としては、力率制御(PFC)がないことである。PFCが欠如しているため、電力回路が最適な性能を達成することが妨げられ、電力変換器と共に接続されている負荷の決定的な仕様を満足することが妨げられる。昇圧型又は反転型のフロントエンドは比較的高い中間電圧を生成するために用いることができるので、高電圧(普通300VAC以上)のAC−DC変換器にはPFCを比較的容易に導入することができる。しかし、この高いレベルの中間電圧を低DC出力電圧に変換するために最も普通に用いられる方法には、AC−DC変換器に直列にDC−DC変換器を接続することが含まれるので、それにより、複雑さ、コスト、及び電力変換器における電力の損失が増加する。
【0009】
加えて、既知の電力変換器は、負荷からの要求負荷量の変化のような負荷の影響に関連して出力電圧を変化させることに対応していない。同様に、既知の電力変換器は、一般に大きな負荷要求が来る前にそれに対する準備を行うことができない。その結果、単一の電力変換器を最大要求負荷量に見合った量の電力を連続的に供給するようにしたり、複数の電力変換器を最大要求負荷量に見合ったトータル量の電力を連続的に供給するようにしたりするが、どちらの場合も電力損失がある。あるいは、既知の電力変換器を平均的な電力要求量にのみ対応させることもできる。その結果、平均要求負荷量を超えた大きな付加がかかったとき負荷に関する予期せぬ運転状態が起こるかもしれない。既知の電力変換器のさらなる制限事項としては、DC入力から必要とするDC出力を発生させることができないこと、及び、変換器の状態として組み込み型テスト(BIT)又は組み込み型テスト機器(BITE)情報ではなく、故障信号のみ組み込むことができるという点である。
【0010】
さらに、多くの電源管理システム、特にレーダーシステムにおいて、1以上の負荷に対して1つの制御された電圧を供給する電圧制御装置を用いている。しかしながら、負荷電力消費量の一時的な増大、又は「パルス」を補償するために、これらの電圧制御装置はしばしば電圧制御装置の入力と出力の両方に大きな静電容量(例えばキャパシター)を設け、このように一時的に電力消費量が増大したときに、蓄えたエネルギーを供給する。負荷の電力消費が増大に対する補償として役に立ち、電圧制御装置の「脱落(dropping out)」を防止するのに役立つのではあるが、これらの比較低容量の大きなキャパシターはこれらを導入したときに場所をとること及びコストがかかることからしばしば邪魔な存在となる。
【0011】
これらのキャパシターの大きさと価格については、入力と出力の両方にキャパシターを持つ数千もの電圧制御装置をしばしば用いるレーダーシステムにおいて特に著しい。結果として、キャパシターの大きさがレーダーアンテナアセンブリーの大きさに大きく関係し、先に説明したように、大きなレーダーシステムに比べて小さなレーダーシステムのほうがしばしば顕著な優位性を持つ。同様に、レーダーシステムの注文者/運転者は一般に製造コストを最小にし、レーダーシステムの赤外線サインを最小にすることを追求するのにかかわらず、大きなキャパシターはしばしばより高価であり、しばしばより熱を発生する
従って、変化する負荷への電力管理を改善するシステム及び/又は方法は有益である。
【発明の開示】
【0012】
添付図面は本発明をより理解するためにあり、本明細書の一部として組み込まれる。この図面は本発明のいくつかの実施例を図示するものであり、本文と共に本発明の本質の説明に供される。本図面及び詳細な説明から、本発明には他の実施形態、目的、長所、及び利点も存在することが明らかである。
【0013】
変動負荷に用いる電力変換ユニットにおいて、本発明の一実施の形態に従って電力変換ユニットが提供される。電力変換ユニットは、入力と出力を有しAC電圧を中間的なDC電圧に変換するようになっているAD−DC変換器と、該AD−DC変換器の出力に電気的に接続された入力と前記変動負荷に電気的に接続された出力とを有するDC−DC変換器を具備し、該DC−DC変換器は前記中間的なDC電圧を出力DC電圧に変換するようになっている。電力変換ユニットはさらに、電力変換回路と電気的に通信を行う制御装置を具備し、該制御装置は、前記変動負荷に関する情報の少なくとも一部に基づき出力DC電圧を第1の電圧から第2の電圧に変換するようになっている。
【0014】
電力管理システムにおいて、本発明のもう1つの実施の形態に従って、第1の形態の電力から第2の形態の電力に変換し、該第2の形態の電力を少なくとも1つの変動負荷に供給するための装置が提供される。該装置は、第1の形態の電力から第2の形態の電力に変換するようになっている電力変換回路と、少なくとも1つの変動負荷の要求負荷における予測される変動の少なくとも一部に基づき前記少なくとも1つの電力変換回路の出力電圧を制御する手段とを具備する。
【0015】
本発明のさらにもう1つの実施の形態において、少なくとも1つの電力変換ユニットを用いて変動負荷に電力を供給する方法が提供される。該方法は、第1の期間に、前記変動負荷の負荷要求に基づく第1の電圧を有する電力を、少なくとも1つの電力変換ユニットから前記変動負荷に供給するステップと、前記第1の期間に続く第2の期間に起こる変動負荷の要求負荷の変動予測の少なくとも一部に基づき第2の電圧を決定するステップとを具備する。本方法はさらに、少なくとも前記第2の期間より前で前記第1の期間より後の第3の期間に、前記第2の電圧を持つ電力を一時的に前記変動負荷に供給するステップを具備する。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施の形態における1つの利点には、予測負荷要求を見越しておき、それに応じて適切な量の電力を供給することが含まれる。本発明の他の利点には、負荷の要求電力に応じて電力変換器を作動させ停止させることで電力の損失を最小にすることが含まれる。さらに他の利点として、電力変換ユニットの寿命が改善される点が含まれる。
【0017】
本発明のさらなる特徴と利点は、以下の説明で述べられ、本説明から明らかにされ、あるいは、本発明の実施により理解されるであろう。本発明の目的と他の利点は、記載の説明及び特許請求の範囲並びに添付図に特に指摘したシステム及び方法により実現及び達成されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜図8は、1以上の変動負荷への電力の効率的な管理のシステム及び方法を示している。少なくとも1つの実施形態において、1以上の変動負荷に接続された1以上の電力変換ユニット(PCUs)に第1の形態を持つ電力が供給される。このPCUsは、第1の形態の電力から、供給先のシステムの構成要素により用いられるのに適した他の形態の電力に変換するのに適合している。この変換動作には、単相または三相のAC電力からDC電力への変換、DC電力からAC電力への変換、振幅の大きな電圧から振幅の小さな電圧への変換、高電圧DC(HVDC)電力から低電圧DC(LVDC)への変換等を含めることができる。少なくとも1つの実施の形態において、電力制御モジュールは、1以上の変動負荷における現在と将来の負荷要求の監視に適合している。この負荷要求に基づき、電力制御モジュールは1以上のPCUsの動作を制御する。供給先のシステムの負荷要求が減少した場合、電力制御モジュールは1以上のPCUsを停止又はラインから切り離すことができる。あるいは、負荷要求が増大した場合、電力制御モジュールは1以上のPCUsを作動又はラインに組み込むことができる。「停止」の用語は、ここで用いられている通り、PCUが1以上の変動負荷にそれ以降実質的に電力を供給しないようにPCUを動作させることを言う。この動作には、PCUが停止し、PCU自身からの電力の引き出しを最小限にしたり、あるいは、PCUをスタンバイモードに切り替え、「ターンオフ」している間PCUの動作を最小限にしたりするような、PCUの完全な動作停止が含まれる。一方、「作動」の用語は、ここで用いられている通り、接続された1以上の変動負荷に出力電力を、PCUから提供させることを言う。これには、スタンバイモードから完全運転モードにPCUを切り替える信号を送ること、PCUをラインに復帰させるために電力をPCUに供給すること、その他が含まれる。
【0019】
さらに、少なくとも1つの実施の形態において、電力制御モジュールは、変動負荷における電力消費の一時的な変動予測に基づき、さらなる電力を供給するために又は利用可能な電力量を減少させるために1以上のPCUsにその出力を変化させるよう指令する。例えば、予測負荷要求の増加に先行して1以上のPCUsは、1以上の変動負荷又はPCUと1以上の変動負荷との間の中間媒体に電力を追加するために、出力電圧を「急増」させることができる。さらに、一実施の形態において、制御された電圧をPCUから1以上の変動負荷に供給するために1以上の電圧制御装置が用いられる。この場合、この電圧制御装置には、PCUの出力に接続された入力キャパシターが含まれる。出力電圧の急増によりPCUから電力が追加される結果、電力消費が一時的に増大したときの電力を供給するために以前のシステムに比べて小さな入力静電容量素子を電圧制御装置に組み込むことができる。同様に、少なくとも1つの実施の形態において、引き出す電力の増加又は増加が予想される期間電圧ドロップを最小限にするために、同じように電圧制御装置の出力電圧が急増するので、1以上の電圧制御装置に比較的小さな静電容量素子を組み込むことができる。
【0020】
「急増」させる、「急増」させられる、及びこれと同様の用語は、ここで用いられている通り、PCU又は電圧制御装置の出力電圧の大きさを必要に応じて増加させることを言う。例えば、ある場合は、PCU又は電圧制御装置は負の電圧レベルを持つ出力電圧を1以上の変動負荷に供給することもある。従って、変動する負荷又は中間媒体に直接電力を追加するために、出力電圧の大きさが急増し、このため、出力電圧をよりマイナスにする。急増させるときに出力電圧の大きさを増加するには様々な方法で行われる。例えば、1つの実施の形態において、電圧は最初の電圧から要求される電圧へとほぼ瞬時に増加する。しかしながら、変動負荷を有する多くのシステムにおいて、このような電圧の急激な増加はシステムの動作に思わぬ影響を与えることがしばしばある。従って、当業者によく知られている通り、特定の用途に応じて比較的ゆっくりと出力電圧の大きさを増加することができる。変動負荷の負荷要求の一時的な減少予測に先行してPCUの出力電圧の大きさを減少させることができるのは評価すべきことである。従って、本発明の思想又は技術的範囲を逸脱することなくここに記載された指針を用いて、PCUの出力電圧の大きさを増加することにより電力消費の一時的な増大を補償する機能を組み込むことができる。
【0021】
本発明は、レーダーシステムのレーダーアンテナアセンブリーは可能な限り占有面積を小さくし、及び/又は、可能な限り赤外線サインを小さくすべきであるという一般的な要求事項のみならず、相当量の電力消費の変動がそのようなシステムに表れるという理由で、レーダーアンテナシステムに導入されるときに特に有効である。図5〜図8は、レーダーアンテナシステムにおける本発明の実施例を示す。
【0022】
レーダーアンテナシステムにおける本発明の典型的な実施例をここに詳細に述べるが、本発明はこのようなシステムに限定されるものではなく、変動負荷要求を持つ様々なシステムや装置に導入することができる。例えば、マイクロプロセッサとバンクの負荷要求が全体として計算処理過程でしばしば変動する、マルチタスクのマイクロプロセッサの大きなバンクへの電力を管理するために導入してもよい。マイクロプロセッサのバンクへの電力管理システムは、1以上のマイクロプロセッサの動作が一時的に活発化することに先行して個々のPCUに出力電圧を急増させるか、あるいは、マイクロプロセッサのバンクの公称要求電力が変化したとき、PCUの一部を作動/停止させるよう指令を出すようにする。同様に、本発明は、ディジタル通信装置、温度制御回路、及び負荷が変動する及び/又は負荷が急速に変化する多くの他のシステムに用いることができる。
【0023】
ここで図1を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施の形態による効率的な電力の管理システムが示されている。図示の通り、システム100は、電力ゲートウェイ110、供給先のシステム120、及び演算処理アセンブリー130を有する。電力ゲートウェイ110は、電源112,114のような少なくとも1つの電源と電力制御モジュール(PCM)116とを有する。供給先のシステム120は1つ以上の電力制御ユニット(PCUs)122〜126と1つ以上の変動負荷132,134とを有する。PCUs122〜126と負荷132,134の数量及び配置は説明の目的のために示されたものである。本発明に従い、どんな数量のPCUsあらゆる数量の変動負荷に電力を供給するために用いることができる。
【0024】
システム100は、少なくとも1つの実施の形態にいて、電力ゲートウェイ110から供給先のシステム120の負荷132,134へ電力を整えて供給するために用いられる。電力ゲートウェイ110で電力が作られ、電力伝達媒体126を介して供給先のシステム120に供給され、そして供給先のシステム120で消費される。電力伝達媒体126として、銅やアルミニウムのような導体からなるケーブルや電線のような電気エネルギーを伝達するのに適したあらゆる媒体が含まれる。電気エネルギーを伝達する仕組みは多数あり本技術分野の通常の知識を有する者にはよく知られている。
【0025】
電力ゲートウェイ110は、1以上の電源112,114を用いて供給先のシステム120で消費する電力を発生させることができる。電源112,114には、ディーゼル発電機、水力発電機、風力タービン、ガスタービン、ソーラーパネル、原子炉、燃料電池、その他のような様々な電力発生装置が含まれる。電源112,114から生じた電力を用いる代わりに、又は、それに加えて、電力ゲートウェイ110は供給先のシステム120に電力を供給するために外部供給電源118を用いることができる。例えば、電力ゲートウェイ110は、従来の商用又は産業用配電システム又は配電網のような地上の電力源(外部供給電源118の一実施の形態)に接続し、この地上からの電力源から供給された電力を用いて通常運転時に供給先のシステム120に電力を供給することができる。しかしながら、外部供給電源118が喪失又は異常となったとき、電力ゲートウェイ110は、ディーゼル発電機のような2つの交流電源112,114から供給される電力に切り替えるようにすることができる。
【0026】
供給先のシステム120が受け取った電力は、一実施の形態において、電力変換ユニット(PCUs)122〜126に入る。各PCUは、電力ゲートウェイ110からの電力を変換し、変換された電力を負荷132,134の1つ又は両方に供給するようになっている。負荷132,134は、供給先のシステム120の1以上の電気機械要素に対応する変動負荷を意味する。例えば、負荷132,134は、モータ、サーボ、電気回路その他からの要求電力を意味する。少なくとも1つの実施の形態において、1以上のPCUs122〜126は、供給された電力を第1の形態から第2の形態に変換する。例えば、供給先のシステム120に供給する電力には三相交流(AC)電力が含まれるが負荷132,134は直流(DC)電力を消費するようになっている。この場合、PCUs122〜126には、元の形態(三相AC電力)から負荷132,134で使うのに役に立つ形態(DC電力)に変換するAC−DC変換器が含まれる。PCUs122〜126には、付加的に供給された電力の電圧を降下又は上昇させるためにDC−DC変換器を含ませることができる。様々なPCUの実施の形態について図8を参照して以下に詳細を説明する。
【0027】
図1に示すように、PCUs122,124は負荷132に電力を供給しPCU126は負荷134に電力を供給する。複数のPCUsを単一の負荷に電力を供給するのに適合させることができる。負荷132が2キロワット(kW)の最大電力消費量をもち、各PCUは例えば最大1kWの電力を供給するようになっているとする、そうすると、合わせて2kWの電力を負荷132に供給するためにPCU122とPCU124とは並列に接続される。同様に、複数のPCUは冗長性を持たせるために用いることができる。例えば、もし負荷132が1kWの電力を消費し、PCUs122,124の各々が1kWの電力を供給する能力があるとすると、PCUs122,124の内の1つが故障しても負荷132に供給する電力が不足することはない。
【0028】
図1では、PCUs122〜126から供給される電力が異なる負荷に供給されるような1つの実施の形態が示されているが、他の実施の形態においては、PCUs122〜126から供給される電力は統合され必要に応じて負荷132,134に供給される。例えば、1kWを供給することが可能なPCUs122〜126を、全部で3kWを供給する母線に並列に接続することができる。必要に応じてこの母線から全電力の一部が負荷132,134の各々に供給される。
【0029】
供給先のシステムの運転状態が変化するとき、供給先のシステムの負荷要求も変化することは正しく認識しなければならない。例えば、サーボや環境調整ユニットの起動、無線信号の送信、その他により、供給先のシステムの電源消費は、一定の形であるいは外見上はランダムな形で増減する。その結果、多くの既知の電源管理システムでは一般に、供給先のシステムの全運転期間における供給先のシステムで消費する全電力容量に等しい量の電力を供給する。電力供給と電力回路の効率が悪いので、供給先のシステムが全容量で運転していない期間電力が無駄に使われる。さらに、常に全容量の電力を供給することは、おそらくシステム100の全て又は一部の部品の寿命(平均故障間隔又はMTBF)を縮めるであろう。
【0030】
電力の損失を防止するために、少なくとも1つの実施の形態において、電力ゲートウェイ110には、供給先のシステム120への電力供給を管理するようにした電力制御モジュール(PCM)116が含まれる。PCM116には、マイクロコントローラー、プログラマブルロジック装置、プログラマブルロジックコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、個別ロジック、マイクロプロセッサにより実行されるソフトウエア又はファームウエア等のような様々な制御機構又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0031】
供給先のシステム120への電力供給を管理するために、PCM116は、供給先のシステム120の電力消費を監視し、電力ゲートウェイ110の動作のみならず、PCUs122〜126の変換動作も制御することにより供給先のシステム120へ電力消費に比例した量の電力を供給するようにすることができる。図2及び図3を参照して続いて説明するように、PCM116は、PCUs122〜126に1以上の電圧レベルで電力を供給するよう指令することで、PCUs122〜126の変換動作を制御することができる。あるいは、変換動作の制御には、供給先のシステム120での消費電力の増加/減少に応じて、1以上のPCUs122〜126を作動/停止させることが含まれる。電力消費が少ない期間PCUを停止することで、PCUの部品における漏れ電流のようなPCUのアイドル運転の結果発生する間接的な電力消費が削除又は最小限に抑えられるので、電力供給システムの効率が向上する。
【0032】
加えて、PCM116は、1つ又は両方の負荷132,134による電力消費の一時的な増加が発生する前にPCUs122〜126により供給される電圧を急増させることによりPCUs122〜126の変換動作を制御することができる。この電圧の急増分は、負荷の入力における静電容量素子にさらなるエネルギーを蓄えるために用いられる。静電容量素子に追加されたエネルギーは負荷での電力消費の差し迫った又は予測される一時的増加を補うために用いられる。例えば、(サーボが作動した時のような)ある時限の1ミリセカンド(ms)後、供給先のシステム120の電力消費が顕著に増加する場合、1ミリセカンド後、負荷132,134の電力消費が増加するとき、入力キャパシターに蓄えられた付加的なエネルギーと連動してPCUs122〜126の出力電力が増加した電力消費を十分まかなえるように、負荷132,134の入力キャパシターに蓄えられた電荷を増やすためにある時限に先立って一定量出力電圧を増加させるようPCM116はPCUs122〜126に指令することができる。
【0033】
一実施の形態において、供給先のシステム120における負荷要求の表示は演算処理アセンブリー130によりPCM116に提供される。図示の実施の形態において、演算処理アセンブリー130には供給先のシステム120の中央制御要素が含まれる。従って、少なくとも1つの実施の形態において、演算処理アセンブリー130は供給先のシステム120の将来の動作に関する情報を提供する。例えば、演算処理アセンブリー130は、サーボモータが1ミリセカンド後に動作することを判断することができる。この認識に基づき、演算処理アセンブリー130は差し迫ったあるいは予測されるサーボモータの動作を示す情報をPCM116に送ることができる。次いで、この情報を用いてPCM116は、電圧を増加したりPCUを追加起動させたりすることで、サーボモータの起動に起因する供給先のシステム120の負荷要求の増加に備えて供給先のシステム120への電力供給を増加させるようPCUs122〜126に指令する。
【0034】
同様に、供給先のシステム120の予測負荷要求は、供給先のシステム120の計画的な運転から判断することができる。例えば、演算処理アセンブリー130に供給先のシステム120の運転の制御に用いられる1以上のソフトウエア/ハードウエアプログラムを実行するようにさせることもできる。この場合、演算処理アセンブリー130はプログラムを分析して、負荷要求の変化及び/又は変化の大きさのタイミングを判断するようにすることもできる。この情報を用いて、演算処理アセンブリー130は供給先のシステム120の将来的な負荷要求を表すデータをPCM116に送ることができ、そして、PCM116はこの将来の運転に基づき供給先のシステム120の将来的な負荷要求を予測することができる。あるいは、演算処理アセンブリー130は供給先のシステム120の将来的な負荷要求を表すデータをPCM116に送ることができ、そして、PCM116はPCUs122〜126に予測どおりに電力を供給するようにさせることができる。
【0035】
供給先のシステム120の将来的な負荷要求を判断するために演算処理アセンブリー130から供給される情報よりむしろ、ある実施の形態においては、実績データ又は傾向などを分析することで得た型にはまったパターンや順序に基づき、PCM116は供給先のシステム120の将来的な負荷要求を予測する。例えば、供給先のシステム120における負荷要求が本質的に周期的又は順序的である場合、PCM116は、周期/順序中のどの位置に供給先のシステム120があるのかを判断することができ、周期/順序中の次の位置から予測される負荷要求を判断することができる。あるいは、負荷132,134における電力消費の変化が比較的遅い実施の形態において、PCM116は負荷132,134における電力消費を監視してそれに従いPCUs122〜126の変換動作を調整することができる。例えば、負荷要求が第1の閾値を超えて増加したとPCM116が判断したとき、PCM116は、供給先のシステム120へ供給する電力量を増加させるためにそれまで停止していたPCUを作動させることができる。負荷要求が第2の閾値以下に下がったとき、PCM116は、電力消費の減少に応答して供給先のシステム120に供給する電力を減少させるためにそれまで作動していたPCUを停止することができ、これにより、必要ではないPCUの作動により間接的なエネルギーコストとして浪費されるエネルギーが減少する。
【0036】
図2を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施の形態による、変動負荷への効率的な電力供給の典型的な仕組みが示されている。先に説明したように、図1のPCM116のような電力制御モジュール(PCM)は、負荷の電力消費の変化に比例して変動負荷に電力を供給するように1以上の電力変換ユニット(PCUs)の変換動作を制御するために用いられる。グラフ210は、図1の供給先のシステム120のような、変動する負荷要求を持つ供給先のシステムによる典型的な消費電力を時間経過と共に表示したものである。この典型的な表示によれば、供給先のシステムはフェーズ1及びフェーズ4で3kWの電力を消費し、フェーズ2で2kWの電力を消費し、フェーズ3で1kWの電力を消費する。
【0037】
既知の配電システムは全体として少なくとも3kWの電力をこの4つのフェーズにおいて出力でき、その結果、フェーズ2とフェーズ3で電力の無駄が発生する。しかし、本発明の少なくとも1つの実施の形態によれば、フェーズ1〜4の期間、各フェーズでの電力消費に対応して供給先のシステムに電力を供給するように、PCMは、供給先のシステムに接続されたPCUs122〜128を制御する。図示したとおり、1つの実施の形態において、PCMは、電力供給を受ける装置の対応するフェーズでの負荷要求をあらかじめ判断する。この負荷要求に基づいて、PCMは、そのフェーズにおける負荷要求に適する電力出力を持つようにPCUs122〜128のいくつかをフェーズ毎に選定することができる。各フェーズの開始時、PCMは選択されなかったPCUsを停止することができ、これにより電力の無駄を最小限にすることができる。逆に言えば、PCMは、いくつかのPCUsから選択されたPCUsに供給先のシステムへ電源供給を行うために作動し続けるよう指令する。作動し続けるよう選択されたPCUsの数には、負荷要求に必要なPCUsの数を超える付加的なPCUsを含めてもよく、これにより、1以上のPCUsが故障した場合の冗長性が保たれる。あるいは、少なくとも1つの実施の形態において、PCUsは比較的急速にライン上から外れるようになされる。従って、それまで停止していたPCUを、故障したPCUを補うため又は電力消費の予測される増加を補うために起動させる。
【0038】
以下の説明において、各PCUs122〜128は1kWの電力を発生することができ、PCUs122〜128は供給先のシステムト並列に接続されていると仮定する。フェーズ1の期間、PCMはPCUs122〜128に作動し続けるよう指令し、その結果、供給先のシステムに最大4kWの電力供給が可能となる。フェーズ1では供給先のシステムにおける(線210で示される)負荷要求は3kWに過ぎず、供給可能な電力は4kWなので、PCUs122〜128の内の1つが故障しても供給可能な全電力が3kW以下に下がることがない。フェーズ2では、供給先のシステムにおける負荷要求が2kWに下がる。従って、PCMはフェーズ2の期間PCU128に停止するよう指令する。その結果、フェーズ2の期間、供給可能な全電力は3kWに低下するが、PCUs122〜126の内の1つの故障に対応できる冗長性は維持している。フェーズ3の期間、電力消費はさらに1kWに低下する。このフェーズでは、PCMはフェーズ3の期間PCU126に停止するように指令し、PCU128にフェーズ3の期間も停止続けるよう指令する。その結果、フェーズ3の期間、1kWの電力消費に対して供給可能な全電力は2kWとなり、PCUs122〜124の内の1つが故障しても必要な1kWの電力を供給できる。フェーズ4の期間、供給先のシステムの負荷要求は再び3kWに増加するので、PCMはPCUsを再び作動させ供給可能な全電力を再び4kWにし、PCUs122〜128の内の1つが故障しても供給先のシステムの運転に影響がないようにする。冗長性が必要ないのなら、電力の無駄をさらに減少させるために付加的なPCUsのいくつかを停止させることもできる。
【0039】
供給先のシステムにおける電力消費の変動に応じて1以上のPCUs122〜128を作動/停止させることにより、PCM116は、不必要なPCUsの作動の結果発生する間接的な電力消費を減らすことができる。加えて、供給先のシステムの通常運転中は停止しているPCUを1以上のPCUが故障のとき起動させることができる。例えば、もしフェーズ3の期間に、PCUs122が故障したとすると、それまで停止していたPCUs126を故障したPCUs122に代わって起動させることができ、これにより、供給先のシステムの要求電力を超えて追加のPCUが作動するので冗長性が維持される。さらに、PCM116は、電力供給のためにPCUを追加する必要があるときに全てのPCUsが運転可能なようにするためのみならず、PCUsの運転寿命を長くするために、作動するPCUと停止するPCUとを交互に入れ替えるようにさせることもできる。
【0040】
ここで図3〜4Bを参照すると、本発明の少なくとも1つの実施の形態による、消費電力の予測される一時的な変化に先立ってPCUの変換動作を制御する典型的な仕組みが示されている。先に説明したように、電力制御モジュール(PCM)116は、一実施の形態において、特定の時点又は特定の期間での供給先のシステムにおける将来の負荷要求をあらかじめ判断し、そして適切な電力を供給するために1以上のPCUの出力をあらかじめ調整する。
【0041】
以下に詳述するように、少なくとも1つの実施の形態において、PCUの出力は電圧制御装置410(図4)に供給され、そして、電圧制御装置410からの制御された電圧出力は負荷に供給される。負荷において一時的に電力消費が増加する期間中、既知のシステム中の電圧制御装置の出力は相当な電圧低下を露呈する。この電圧低下を最小限に抑えるために、これらの既知のシステムは一般に電圧制御装置の入力と出力とに大きな静電容量素子又は静電容量回路網を装備し、蓄えられたエネルギーを供給することで電力消費の一時的な増加時の電圧低下を最小限にしている。しかしながら、これらの静電容量素子/回路網は通常比較的大きく、その結果、そのような電圧制御装置を組み込んだ既知のシステムの寸法及びコストを増大させてしまう。しかし、電力消費の一時的な増加に先立って電圧制御装置410の入力キャパシター412に供給する電圧を増加させることで、電圧を一定に維持した場合に貯蔵されるエネルギーよりも大きな付加的なエネルギーを入力キャパシター412に貯蔵することができる。入力キャパシター412のような静電容量素子に貯蔵されるエネルギーは、一般に静電容量素子両端の電圧の2乗に比例するので、PCUの出力電圧の比較的軽微な増加で必要な負荷エネルギーの貯蔵が達成できることは評価すべきことである。
【0042】
同様に、電圧制御装置410の出力に接続された出力キャパシター414に蓄えることのできる電荷を増加させるために、電圧制御装置410の出力電圧を増加することができる。PCMは、負荷における一時的な電力の増加に先立って、電圧制御装置410にその出力電圧を急増させるよう指令することができる。その結果、より小さな出力キャパシター414を用いることができ、それにより、電圧制御装置410の寸法及び/又はコストを低減することができる。PCUの電圧の急増と同様に、電圧制御装置410は、予測される電力消費の増加を予見又は算定し、それに応じて出力電圧を急増させるために、実績データ、あらかじめ定めたパターン、又は(PCU、PCM、又は演算処理アセンブリー130のような)他の構成要素からの入力を用いることができる。
【0043】
電力消費の予測される一時的な変化に先んじてPCU122の出力電圧を変化させる典型例を説明するために、図3のグラフ310に、電圧制御装置410に接続された負荷132の電力消費の典型的なプロット(電力プロット302)に重ね合わせたPCU122の典型的な電圧出力のプロット(電圧プロット304)が示されている。グラフ310の縦座標は時間を表し横座標は電圧プロット304の電圧の大きさと電力プロット302の消費電力を表す。この例において、3つの期間での一時的な「パルス」である負荷132の消費電力はここでは電力パルス332〜336と称する。この電力パルス332〜336を補償するために、PCM116は、本実施の形態において、PCU122に電力パルス332〜336に応じた多数の電圧パルス322〜326を発生させるよう指令する。説明を容易にするために電力パルス332〜336と電圧パルス322〜326とは実質的に方形波として図3に描かれているが、電力パルス332〜336と電圧パルス322〜326とは、正弦波、ノコギリ波、及び不規則な形態を含むどんな形のものでもよいことに注意すべきである。同様に、電圧パルス322〜326は電力パルス332〜336の形と比べて同様の形でも異なった形でもよい。
【0044】
時刻312aにおいて、時刻312bから始まる変動負荷132(例えば電力パルス332)での電力消費の一時的な増加(増加強度306)に先立って差電圧308(電圧パルス322で示される)だけ増加させるようPCM116はPCU122に指令する。先に説明したとおり、一実施の形態において、PCM116は演算処理アセンブリー130からの入力に基づき変動する負荷の将来の要求負荷を予測する。例えば、演算処理アセンブリー130は時刻312bに先立ってPCM116に信号を送ることができ、この信号には差し迫った又は予測されるパルス322の発生が示されている。この信号に基づき、PCU122の変換動作が時刻312aにおいて差電圧308だけ増加するようPCM116は指令をだす。同様に、他の実施の形態において、PCM116が分かっている順序又は周期に基づきPCM116はパルス322の発生を予測することができる。例えば、パルス332〜336は周期的な形態で起こることがあり、どこで供給先のシステムの運転がこの周期のどこなのかを判断することで、PCM116は次のパルスがいつ発生するかを予測することができ、先行する電圧パルス322〜326でそれに応じることができる。
【0045】
電圧パルス322の急増の始まり(時刻312a)と電力パルス332(時刻312b)の始まりとの差は、PCM116からの指令に対するPCU122の応答時間、入力キャパシター412の充電速度、電力消費の上昇速度、PCU122における出力電圧の上昇速度、その他のような多くの要素に基づくことができる。例えば、入力キャパシター412は、比較的長く続く電力パルス332に先立ち貯蔵されているエネルギーをかなり増やす必要があるかもしれない。従って、入力キャパシター412に最大電荷を貯蔵させるためには、出力電圧を急増させる時(時刻312a)は電力消費の増大が始まる時(時刻312b)よりかなり早くなるかもしれない。あるいは、もし電圧パルス322の急増が比較的速くおこり、電圧の差308が比較的小さければ、時刻312aと時刻312bとの差は小さくても又は無くてもよい。
【0046】
図示された実施の形態において、少なくとも電力消費(例えば電力パルス332)の一時的な増加が続いている期間、PCU122の出力電圧(例えば電圧パルス322)の増加が継続する。電力消費の一時的な増加は電力パルス332について時刻314aで終わるときに、PCM116は時刻314bまでに出力電圧が元の電圧レベルに戻るようPCU122に指令することができる。電圧パルス322の開始時と同様に、電圧パルス322の終了のタイミングも多くの要素に基づくことができる。例えば、従来のアプローチにおいて、電力パルス332の終了(時刻314a)に続いて電圧パルス322が終了するように、少なくとも電力パルス332の継続中は、電圧パルス322は継続する。しかし、損失エネルギーを最小限にするために、電力パルス332が消える前又は消えると同時に電圧パルス322を通常のレベルに急減させることができる。
【0047】
電力パルス332に比べて相当長い継続時間を電圧パルス322が保持することは有効である一方、他の実施の形態において、(時刻312aにおける)出力電圧の急増とその後出力電圧を通常レベルへ戻す時(時刻314a)との時間差は、電力パルス332の継続時間(時刻312bから314aまで)と比べて比較的小さい。例えば、PCU122の出力電圧は時刻312aで急増し、そして直ちに急減する。多くの理由でこのような継続時間の短いパルス322が用いられる。例えば、強度306の増加と比べて電圧の差308は比較的大きくなるかも知れず、それにより比較的短い時間に入力キャパシター412へ比較的大きな電荷のチャージを行う。
【0048】
変動負荷の電力消費の一時的な変動は正方向であるだけでなく負方向である場合もあり、正方向又は負方向の一時的な変動はしばしば相対的であることはありがたいことである。説明のために、50%の負荷サイクルを持つ方形波で表現される電力消費のプロットを考える。この場合、電力消費は最低電力消費レベルと比較して一時的に上昇することが繰り返されること、又は、最高電力消費レベルと比較して一時的に減少することが繰り返されることを考慮するべきである。正方向であろうと負方向であろうと、本発明の実施形態は電力消費における一時的な変化を補償するために用いることができる。例えば、PCU122は、負荷132の予測された負荷要求の減少に先立って出力電圧を下げるようにすることができる。この場合、出力電圧を下げることで入力キャパシター410に貯蔵された電荷を減らすことができ、多くの型式のキャパシターは貯蔵した電荷量に比例した寄生的な電力損失を持つので、電力消費の一時的な減少の期間、入力キャパシター410に貯蔵された電荷を減らすことで入力キャパシター410の寄生的な損失を最小限にすることができる。同様に電圧制御装置410の制御された出力電圧410は、負荷132の予測された電力消費の減少に先立って下げることができる。説明を簡単にするために、電力消費の一時的な変化が電力消費の一時的な増加である実施形態を図示する。しかしながら、本発明の実施形態は、電力の一時的な変化には、ここに提供された指針を用いることで、電力消費の一時的な減少も含めることができる。
【0049】
図4Aと図4Bとは制御された電力を変動負荷に供給する典型例を示す。図示の通り、PCU122からの電力は、電圧制御装置410を経由して負荷132(この例ではRF送受信モジュール)に供給される。少なくとも1つの実施例において、入力キャパシター412と出力キャパシター414とはそれぞれ電圧制御装置410の入力と出力に置かれる。キャパシター412,414は、単一のキャパシター、キャパシターの回路網、その他のような本技術分野における通常の知識を有するものに知られたあらゆる静電容量素子又はエネルギー貯蔵装置を表す。
【0050】
この場合、負荷132は図4BのRF出力波形420で示したようなRFエネルギーをパルスで伝送するようにされている。変動負荷を有する既知の電力管理システムは一般に、電圧ドロップの可能性を最小限にするためのみならず、負荷での電力消費の一時的な、及び/又は、急激な増加に先立ち適切な量のエネルギーを貯蔵するために、電圧制御装置の入力と出力に比較的大容量のキャパシターを用いる。しかしながら、比較的大容量のキャパシターを用いることにはいくつかの欠点がある。一例として、大容量のキャパシターは相当な空間を必要とする。空間が貴重な供給先のシステムにおいて、大容量のキャパシターを用いることは忌避される。同様に、大容量のキャパシターは、寄生抵抗に起因する電力損失のような好ましくない回路のアーティファクトが小容量のキャパシターの場合より大きな強度で生じる。加えて、大容量のキャパシターは一般に、同じ型式ならば小容量のキャパシターより値段が高い。
【0051】
しかしながら、PCU122の出力電圧の急増、及び/又は、電圧制御装置410の出力電圧の急増の結果キャパシター412,414に貯蔵された付加的なエネルギーがあるので、容量の小さい、及び/又は、低価格のキャパシター412,414を、既知のシステムに用いられる大容量の静電容量素子と等価な量のエネルギーを貯蔵するために用いることができる。従って、一般に、入力キャパシター412と出力キャパシター414とを収容するためにより少ない空間しか必要とせず、小容量のキャパシター412,414を組み込むために少ないコストしか必要とせず、キャパシター412,414として小容量のキャパシターを用いることで損失が少なくなる。
【0052】
負荷132で消費される電力が一時的に増加するのに先立ちPCU122の出力電圧を急増させることにより生じた、静電容量の削減、及び/又は、キャパシター412の物理的大きさの削減を説明するために、図4Bは、レーダーアセンブリーにおけるPCU122の典型的な実施を示すものである。この例では、負荷132は、ラジオ周波数(RF)エネルギーを出力するようにした送信/受信モジュールを示し、RF出力波形420として図示した通り、RF出力はパルスとして一時的に急激に変化する。電圧出力波形222Aは、負荷132のRF出力(波形420)から得られる、既知の電力変換ユニットの一般的な出力電圧を表し、電圧出力222Bは、負荷132のRF出力から得られる電圧急増能力を有するPCU122の出力電圧の典型例を表す。
【0053】
この例では、負荷132の入力インピーダンスは20オーム、PCU122の公称出力電圧は42ボルト、そして電圧制御装置410の作動可能な最低入力電圧は41.5ボルトであると仮定している。また、RF出力(波形420)のパルス幅は600ミリセカンド(us)であるとし、これはRF出力パルスが出力している間、キャパシター412の最低限必要な放電時間(t)であることしていることも仮定している。キャパシター412が時間tにわたって放電したときのキャパシター412の最初の電圧(Vc=42)に対する最終電圧(Vo=41.5)の関係を示す式EQ.1に基づき、キャパシター412のキャパシタンスと最初の電圧と最終電圧との関係を示す式EQ.2が得られる。
【数1】

【数2】

【0054】
先に仮定した値(Vo=41.5V、Vc=42V、R=20Ω、t=60us)を用い、EQ.2を使って計算した入力キャパシター412の必要なキャパシタンスは、RF出力パルスに先立つ電圧急増がないとき2505マイクロファラッド(uF)である。しかし、本例において、PCU122がRF出力パルスに先立って出力電圧を46ボルト(すなわちVc=46)に急増させていると仮定すると、入力キャパシターの必要なキャパシタンスの計算値は、EQ.2を用いて330uF、すなわち、電圧急増が無かったときに必要なキャパシタンスのほんの約13パーセントである。キャパシターの物理的な大きさは一般にそのキャパシタンスにおおむね比例するから、電圧急増を用いるとして組み込まれた入力キャパシター412は、本例では、既知のシステムにおいて必要とする入力キャパシターの約8分の1の大きさとなる。同様に、同じ形式のキャパシターの価格もそのキャパシタンスに関係するから、入力キャパシター412を組み込むときの価格も同様に減少する。特に、数千のTR(負荷132)と入力キャパシター及び出力キャパシターをもつ電圧制御装置410とが組み込まれているレーダーシステムのような、多数の電圧制御装置が組み込まれているときに、このような大きさと価格の節約は顕著なものとなる。負荷132の電力消費の一時的な増加に先立って電圧制御装置410の出力電圧を急増させることにより、同様にして、出力キャパシター414の必要なキャパシタンスも削減することができる。
【0055】
本発明は、変動負荷を持つ多くのタイプのシステムにおける電力を管理するのに用いられるが、本発明はレーダーにおける電力の管理に適用するときに特に有利であり、さらにアクティブアパチャーアレー(AAA)レーダーシステムに用いたとき特に有利となる。レーダーアセンブリーは一般に、これらの多くの典型的な変動負荷を持つシステムに加えられる制限のみならず、さらに厳しい制限がある。例えば、スペースは多くの電力管理システムにおいて考慮しなければならないが、多くのレーダーシステムの環境と運転条件とにより、レーダーアセンブリーの大きさを最小限にすることは、レーダーアセンブリーをまともに運転する上での決定的な要因となっている。同様に、レーダーシステムはしばしば、赤外線エネルギーの放出を最小限にするというような特別な要求を持ち、これは電力供給システムの設計時に特別な考慮をさらに要求するものである。レーダーシステムに用いられたときに本発明の少なくとも1つの実施の形態により提供される利点は図5〜8に関連して示されている。
【0056】
図5を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施の形態によるアクティブアパチャーアレー(AAA)レーダーシステムにおける電力供給のためのシステムが示されている。レーダーシステム500には、電力ゲートウェイ510(図1の電力ゲートウェイ110に類似)、レーダーアセンブリー520(図1のレーダーアセンブリー520に類似)、及び演算処理アセンブリー530(図1の演算処理アセンブリー130に類似)が含まれる。レーダーシステム500にさらに、例えば、1以上のデコイ540を含む他の構成要素を含めることができる。
【0057】
図6を参照して以下に詳細を説明する電力ゲートウェイ510は、外部電源(外部電源118)から電力を受け取り、電力の発生、及び/又は、電力の処理を行うことでレーダーシステム500全体にわたって電力を供給する。図示の実施の形態において、電力ゲートウェイ510は、電力伝達媒体502,504を用いてそれぞれレーダーアセンブリー520とデコイ540に、例えば、3キロボルト(kV)3相50ヘルツ(Hz)の形で電力を供給するようになっている。電力ゲートウェイ510はさらに、電力伝達媒体506,508を介してそれぞれレーダーアセンブリー520と演算処理アセンブリー530に、例えば、230/400V3相50Hzの形で電力を供給するようになっている。あるいは、電力ゲートウェイ510は、例えば、ACの形態からHVDCの形態に変換し、電力伝達媒体512を介してHVDC電力をレーダーアセンブリーに供給するようにさせることもできる。電力伝達媒体502〜508,512には、当業者によく知られた導電ケーブルのような電気エネルギーを伝達するあらゆる媒体が含まれる。
【0058】
レーダーアセンブリー520には、アンテナペデスタル522、スリップリングアセンブリー524、及びアンテナアレーアセンブリー526が含まれる。アンテナアレーアセンブリー526には、レーダーに使用するためにRFエネルギーを送信及び受信する複数の送信/受信モジュールと、電磁波伝送の結果を処理するレーダー信号処理装置、及びその他の装置が含まれる。一実施の形態において、アンテナペデスタル522には、電力伝達媒体504,506を介して入力電力を分配する機能のみならず、アンテナアレーアセンブリー526を回転させる機能も含まれる。スリップリングアセンブリー524には、アンテナアレーアセンブリー526と、アンテナアレーアセンブリー526が回転するときにアンテナペデスタル522及びアンテナアレーアセンブリー526の間で1以上の接続を可能とするアンテナペデスタル522とを仲立ちするスリップリングが含まれる。演算処理アセンブリー530は、レーダーアセンブリー520の動作を制御するようになっている。演算処理アセンブリー530は、一実施の形態において、さらに通信インターフェースとして用いられ、レーダーシステム500に遠隔からアクセス、及び/又は制御することができる。例えば、一実施の形態において、演算処理アセンブリー530は、レーダーアセンブリー520の構成部品から組み込みテスト(BIT)データを受け取るようになっている。同様に、演算処理アセンブリー530はPCMによる分析のために電力ゲートウェイ510にBITデータを提供する。デコイ540には、本技術分野の当業者に知られた様々なレーダーデコイが含まれる。
【0059】
本技術分野の当業者は、レーダーシステム特にアクティブアパチャーアレー(AAA)レーダーシステムが一般的に変動電力要求を持つことを知るだろう。例えば、スキャニングの受動的又は非活動的期間において、レーダーシステムは一般に、長い高負荷パルスモード(「フェンスモード」として知られている)期間よりはるかに少ない電力しか消費しない。負荷要求が変動するのに加えて、多くのレーダーシステムは可動式となっているため、可搬式の電源又は異なった電力特性を持つ様々な電源に切り替わる能力を要求する。従って、可搬式電源の寸法/重量を最小限にするために、及び/又は、商用電源からのレーダーシステムを運転するコストを最小限にするためにレーダーシステムの電源消費を最小限にすることがしばしば要求される。そこで、図1のシステム10に関して説明したように、電力ゲートウェイ510は、レーダーシステム500の変動負荷要求に基づいて、電力を発生し、電力の状態を整え、そして/又は、レーダーアセンブリー520及び演算処理アセンブリー530に電力を供給し、余剰電力の発生を最小限にする。発生/供給された電力と消費された電力との差は、ある期間ある負荷要求を満足するために必要ではないと判断されるレーダーシステム中の1以上の電力変換ユニット(PCUs)を停止することで、最小限にすることができる。同様に、図3,4を参照して説明したように、アンテナアレーアセンブリー526の送信/受信モジュールに接続された電圧制御装置に使われる全ての静電容量素子への付加的なエネルギーを供給するためにレーダーシステム500の電力消費の一時的な増加に先立って、1以上のPCsの出力電圧を急増させることができる。
【0060】
説明すると、レーダーシステム500は隣接する国と自国の国境又は国境への通路を細かく調べるために用いることができる。この場合、自国の領空を細かく調べる必要は無く、隣国の領空又は国境への通路だけを細かく調べればよい。従って、レーダーシステム500の電力要求は、アンテナアレーアセンブリー526が回転するときどこを向いているかにより、変化する。その結果、回転に基づきレーダーシステム500により消費される電力に周期的な増加と減少が現れる。レーダーシステム500により消費される電力を最小限にするために、レーダーシステム500の電力要素に用いられる1以上のPCUsを低電力消費期間に停止しておき、高電力消費期間に作動させておくことができる。
【0061】
同様に、隣国の領空を細かく調べている間は、アンテナアレーアセンブリー526がRFエネルギーの形でエネルギーを伝送し、その結果を処理するので、アンテナアレーアセンブリー526の電力消費は繰り返し変動する。従って、図3と4を参照して先に説明したように、電力消費の増加を補うためにレーダーシステム500のPCUsは、電力消費の増加に先立ち出力電圧を急増させる。
【0062】
図6を参照すると、電力ゲートウェイ510が本発明の少なくとも1つの実施の形態に従って詳細に描かれている。電力ゲートウェイ510は、少なくとも1つの環境調整ユニット(ECU)602、1以上のディーゼル発電機604、入力電力盤610、一次電力切換器/接触器612、サージプロテクター614、電磁妨害(EMI)フィルター616、昇圧変圧器618、出力電力盤620、入力/出力(I/O)624、及び電力制御モジュール(PCM)626(図1のPCMに類似)を具備する。電力ゲートウェイ510も、AC電力をHVDC電力又はLVDC電力に変換するためのAD−DC変換器619を具備する。
【0063】
一実施の形態において、外部電源118は入力電力盤610を経由して電力ゲートウェイ510に電力を供給する。他の実施の形態において、電力は並列に接続されたディーゼル発電機の1つ又は両方で発生する。あるいは、電力ゲートウェイ510は、外部電源118から供給された電力と内部で発生した電力とを組み合わせて用いることもできる。一次電力切換器/接触器612は、外部電源118とディーゼル発電機604から供給された電力とを切換えるために用いることができる。例えば、一次電力切換器/接触器612には、電源のオンとオフの切換、及び/又は、外部電源118とディーゼル発電機との間での切換のためのヒューズ付きナイフスイッチが含まれる。切換時損傷をさけるためディーゼル発電機604の適切な相回転、周波数、及び電圧を確保するための手段を執ることが好ましい。一実施の形態においては、一次電力切換器/接触器612は有線又は無線により制御される。
【0064】
供給された/発電された電力はサージプロテクター614を経由してEMIフィルター616に提供される。サージプロテクター614は、一実施の形態において、ディーゼル発電機604で発電された又は外部電源118の過渡電圧からレーダーシステム500を保護するように作られている。同様にサージプロテクター614はかなりの過渡電圧を誘導する落雷から守るように作られている。EMIフィルター616は、あらゆる形式の電磁妨害により誘導されるノイズを減少又は削除する用に作られている。EMIフィルター616は、世界的な商用企画又はミリタリー企画(mil−spec)に適合することが好ましい。
【0065】
EMIフィルター616の出力は、昇圧変圧器のような変圧器618に供給することができ、出力するために電圧が上昇する。図示の実施の形態に関して、外部電源118が230/400ボルト3相50HzAC電源として入力され、ディーゼル発電機604は、例えば、120/208ボルト3相50HzAC電力を発電する。どちらの場合も、昇圧変圧器618は3kV3相信号を50Hz又は60Hzで作るために電圧を昇圧する。一実施の形態において、昇圧変圧器618は一時側に複数のタップを持つY−Δ変圧器を含むことが好ましい。二次側にΔを用いることにより、レーダーシステムの人員を保護するとともに、レーダーシステム500を負荷(すなわちレーダーアセンブリー520)における偶発的な接地から保護することができる。
【0066】
他のレーダーシステム500に供給するべき電圧を変圧器618により昇圧する目的は、スリップリングアセンブリー524に流れる電流を減少させるためであり、このことにより、スリップリングアセンブリー524が必要とする寸法/重量/価格を低減することができる。同様に、電力ゲートウェイ510とレーダーアセンブリー520との間の電流を減少させることができ、これにより、電力ケーブルの重量と価格を低減することができる。
【0067】
電圧を上げることは防御上の利点もある。電圧を上昇することにより電力ケーブルを通る電流が減少するので、電力ケーブルの赤外線(IR)サインを減少させることができ、レーダーシステム500と同様に電力ケーブルも、ミサイルや誘導爆弾のような赤外線攻撃兵器に検知される可能性も小さくなる。あるいは、AC−DC変換器619をレーダーアセンブリー520に供給された電力をAC形態からDC形態に変換するために用いられる。従って、力率制御(PFC)を行う構成要素やAC/DC変換を行う構成要素がレーダーアセンブリー520から省略することができ、レーダーアセンブリー520の重量を削減することができる。
【0068】
昇圧変圧器618の出力、及び/又は、AC−DC変換器619の出力はレーダーシステム500の残りの部分に電力を供給するための出力電力盤620に供給される。出力電力盤620は、レーダーシステム500の残りの部分に電力を供給するための仲立ちとしての役割を果たす。少なくとも1つの実施の形態において、ディーゼル発電機604及び/又は外部電源118から供給される電力の一部は昇圧変圧器618及び/又はAC−DC変換器619をバイパスして、配電のために元々の形態で(フィルターを通した後)直接出力電力盤620に提供される。
【0069】
少なくとも一実施の形態において、電力制御モジュール(PCM)626(図1のPCM116に類似)は、レーダーシステム500全体に電力を供給するだけでなく、電力ゲートウェイ510の動作の知的制御を行うようになっている。PCM626には、プロセッサーにより実行されるソフトウエア又はファームウエア、マイクロコントローラー、個別ロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレー、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はこれらの組み合わせのような、さまざまなプロセッサー/制御素子又は装置が含まれる。ここに記載された指針を用いて、この技術分野で通常の知識を有するものは適切なPCMを開発することができる。レーダーシステム500の残りの部分からPCM626への入力及びPCM626からレーダーシステム500の残りの部分への出力は、例えば、すべての入力信号及び出力データ信号への接続ポイントとして使われるI/O信号盤624を経由して、伝送される。
【0070】
電力ゲートウェイ510の構成要素及びレーダーアセンブリー520の他の構成要素からのさまざまな入力に基づき、PCM626は、外部電源118の監視(電圧、周波数、及び/又は、位相)、外部電源118の状態の判断、発電機604の状態の判断、ECU602の状態の判断、その他を含む多くの監視機能を行う。1つの実施の形態において、この情報は、組み込み型テスト(BIT)又は組み込み型テスト機器(BITE)データとしてPCMに供給される。監視入力を用いて、PCM626は、故障が発生したときの一次電力切換器/接触器612の解放、外部電源118とディーゼル発電機604からの電力との切換、レーダーシステム500の負荷要求に基づく1以上のディーゼル発電機604の運転/停止、及びBITデータ又はBITEデータのプロセッサアセンブリー530への提供のような電力ゲートウェイ510の構成要素の様々な運転を制御することができる。電力ゲートウェイ510の動作の制御に加えて、少なくとも1つの実施の形態において、PCM626は、先に詳細を説明したとおり、レーダーアセンブリー520に電力を提供するために用いられる1以上のPCUsの変換動作を制御する。
【0071】
図7を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施の形態によるレーダーアセンブリー520が示されている。レーダーアセンブリー520は、スリップリングアセンブリー524を介してアンテナアレーアセンブリー526と接続されているアンテナペデスタル522を具備する。アンテナペデスタル522は、入力電力盤710(図6の入力電力盤610に類似)、電力配電盤(PDP)712、I/O信号盤702(図6のI/O信号盤624に類似)、サーボモータ制御装置716、サーボモータ720、及びロータリーカップラー722とを具備する。アンテナアレーアセンブリー526は、アレーインターフェース724、(降圧変圧器のような)変圧器726、レーダー信号処理装置728、受信器/エキサイター730、アンテナアレー冷却モジュール732、データ取り出し734、二次監視レーダー(SSR)トランシーバー736、SSRアンテナ738、及びアンテナアレー776を具備する。アンテナアレー776は、電力供給アセンブリー778、制御アセンブリー790、及び1以上の送信/受信モジュールからなる送信/受信(TR)モジュールアセンブリー792を具備する。
【0072】
レーダーアセンブリー520は、レーダーアセンブリー520の1以上の構成部品に電力を供給するためにさらに複数の電力変換ユニット(PCUs)742〜748,750〜770を具備する。図示の実施の形態を参照して、アンテナアレーアセンブリー526は、アレーインターフェース724に接続されたPCU742と、レーダー信号処理装置728に接続されたPCU744と、受信器/エキサイター730に接続されたPCU746と、アンテナアレー冷却モジュール732に接続されたPCU748とを具備する。同様にアンテナアレー776の電力供給アセンブリー778は複数のPCUs750〜770を具備する。
【0073】
電力ゲートウェイ510からの電力は、図5と図6を参照して先に説明したとおり、出力電力盤620から、フィーダー504,506及び/または512を経由して送り出され、入力電力盤710を経由してレーダーアセンブリー520に入る。1つの実施の形態において、3kV3相50HzAC信号(フィーダー504)の形態の電力と230/400ボルト3相50HzAC信号(フィーダー506)の形態の電力とがレーダーアセンブリー520に供給されることを思い出してもらいたい。入力電力信号は、次に、PDP712に供給され、そこで選択された形態の電力がレーダーアセンブリー520の対応する構成部品に供給される。PDP712には、本技術分野の通常の知識を有するものに知られた一般的なPDPが含まれ、PCPは、接触器、非常停止スイッチ、及びサーボモータ制御装置716への電流遮断器を具備することが好ましい。
【0074】
PDP712を経由して電力ゲートウェイ510から供給される230/400VACは、サーボモータ制御装置716に供給され、演算処理アセンブリー530(I/O信号盤624を経由して供給される)からの入力として用いられ、サーボモータ720を用いてアンテナアレーアセンブリー526のアジマスの位置決めを行う。電力ゲートウェイ510からの3KV電力信号は、例えば、スリップリングアセンブリー524を経由して、アンテナアレーアセンブリー526の降圧変圧器726に供給される。1つの実施の形態において、電力ゲートウェイ510とレーダーアセンブリー520との間の電流及び/又はIRサインを最小限にするために供給電圧を上昇させる目的で昇圧変圧器618を使ったことを思い出してもらいたい。従って、1つの実施の形態において、PCUs742〜748及び750〜770への入力として電圧を降圧するために降圧変圧器726が用いられる。降圧変圧器726は、2次側に複数のタップを持つΔ−Y結線の変圧器を含むことが好ましい。好ましい実施の形態において、降圧変圧器726入力電圧を約50Hzの3kVAC信号から約50又は60Hzの230/400VAC信号に降圧する。降圧変圧器726の出力は、対応する構成部品に電力を供給するためにPCUs742〜748,750〜770に供給される。あるいは、レーダーアセンブリー520が伝達媒体512を経由してHVDCを受け取るようにしてもよい。従って、変圧器726を省略することができ、HVDCが直接PCUs742〜748,750〜770に供給されるので、レーダーアセンブリー520の重量が変圧器726の分だけ減少する。
【0075】
PCUs742〜748,750〜770は、少なくとも1つの実施の形態において、降圧変圧器の出力電力をAC形態からDC形態に変換するために用いられる。この変換については、図8を参照して詳細に説明する。あるいは、HVDC又はLVDC電力が供給される場合は、PCUsは高電圧DC形態から低電圧DC形態の電力に変換するために用いることができる。
【0076】
少なくとも1つの実施の形態において、電力供給アセンブリー778は制御アセンブリー790を経由してTRモジュールアセンブリー792に電力を供給する。TRモジュールアセンブリー792は、受信器/エキサイターモジュール730からの命令によりレーダーとしての目的のために高周波信号を送信及び受信するために、複数の送信/受信モジュールを具備する。先に説明したとおり、レーダーシステム500の電力要求はレーダーシステム500のスキャンモードにより変化する。一般に、レーダーシステム500のようなレーダーシステムにより消費される電力の多くは、高周波信号の伝送によるものである。これらの高周波信号が変化するタイミング、期間、及びそのレベルがしばしば変動するので、TRモジュールアセンブリー792の電力要求も又変化する。その結果、TRモジュールアセンブリー792は、図1の負荷132,134に類似する変動負荷とみなすことができる。
【0077】
レーダーシステム500による無駄な電力消費を最小限にするために、少なくとも1つの実施の形態において、その要求電力に釣り合った電力をTRモジュールアセンブリー792に供給するために複数のPCUs750〜770を用いる。例示した実施の形態において、TRモジュールアセンブリー792のTRモジュールは、+43VDC,+12VDC,−12VDC,+6VDC,及び−6VDCの5個の別個の電圧を必要とする。PCUs750〜770の出力電力は、バス毎に異なった電圧レベルの1つの電力を運ぶバス780〜788を介して、制御アセンブリー790に供給される。図示した実施の形態において、バス780は43VDCで電力を供給し、バス782は12VDCで電力を供給し、バス784は6VDCで電力を供給し、バス786は−12VDCで電力を供給し、そしてバス788は−6VDCで電力を供給する。少なくとも1つの実施の形態において、バス780〜788は、バス自身で消費される熱と電力を最小限にするために低インピーダンスバスを具備する。PCM626、演算処理アセンブリー530、及び/又は、レーダーアセンブリー520の他の構成部品から、制御アセンブリー790及び/又はTRモジュールアセンブリー792に制御信号を送るためにデータバス794を用いることもできる。同様にデータバス794は、TRモジュールアセンブリー792と制御アセンブリー790とからのBIT/BITEデータを演算処理アセンブリー530及び/又はPCM626に送るために用いることもできる。
【0078】
要求される電圧でPCUs750〜770からバス780〜788に電力を供給するために、電力供給アセンブリー778は様々な方法を用いることができる。1以上のPCUs750〜770を特定のバスに割り当て、それに合わせてPCUの電圧を設定することもできる。例えば、PCUs750〜754は、バス780に並列に接続し公称出力電圧を43Vに設定し、PCUs750,758はバス782に並列に接続し公称電圧を12Vに設定する等のことができる。複数のPCUを並列にすることは、PCUsの内の1つが故障したときの冗長性を提供する。あるいは、各PCUがある電圧を持ち、対応するバスに要求される電圧を供給するために直列に接続することもできる。しかしながら、これは、直列接続されたPCUが故障したとき冗長性を制限してしまう。本技術分野の通常の知識を有するものは、PCUs750〜770から制御アセンブリー790へバス780〜788を経由して電力を供給する他の方法を構築することができるであろう。
【0079】
一実施の形態において、制御アセンブリー790は、TRモジュールアセンブリー792の1以上のTRモジュールに制御された電圧で電力を供給するための複数の電圧制御装置410(図4)を具備する。電圧制御装置410は、冗長性を実現するために電力供給アセンブリー778内で並列に接続することができ、1以上の電圧制御装置が故障したときに短絡が発生するのを防ぐために各電圧制御装置410の出力にダイオードを置くことができる。電圧制御装置410は低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータを有することが好ましい。LDO電圧レギュレータは、電力供給アセンブリー778内で使用したとき、低ドロップアウト電圧、広い帯域幅、速い過渡応答、比較的低い出力リップル、のような利点があり、LDO電圧レギュレータは、小さな足跡(すなわち、寸法が小さい)でしばしば比較的重量も軽い。
【0080】
設計によっては、ハイスキャンモードにおいて電磁波信号を伝送するときにTRモジュールにより必要とされるような高電力出力の期間に電圧の減少を最小限にするために、LDO電圧レギュレータは入力と出力に大容量のキャパシターを用いる。しかしながら、少なくとも1つの実施の形態において小容量の入力キャパシター412と出力キャパシター414を電圧制御装置410に使用し、一時的に電力の消費が増加する前及びこの増加している期間、PCUから入力キャパシター412に供給する出力電圧の強さを増加することにより、及び/又は、電圧制御装置410からキャパシター414への出力電圧を増加することにより、電圧の減少を最小限にする。制御アセンブリー790の電圧制御装置410に増加した入力を供給するために、電力消費の増加に先立って1以上のPCUs750〜770はその出力電圧を増加させ、これにより電圧制御装置410に接続された1以上のバス780〜788の電圧レベルを増加させる。例えば、PCUs758,760をバス784に並列に接続することができる。バス784は、この場合、通常負荷モードの期間は6VDCを供給する。しかし、高負荷スキャンサイクルに先立ち、電力消費の増加に対する準備のためPCUs758,760の出力電圧は9VDCに増加する。その結果、バス784の電圧レベルは6Vから9Vに増加する。バスにおいて電圧が増加することにより、バス784に接続された電圧制御装置410の入力キャパシター412に電荷が追加的に蓄えられ、それによって、TRモジュールの電力消費が増加している期間それに対応する追加的なエネルギーが供給される。同様に、電圧の増加とそれによりもたらされる電圧制御装置410の入力キャパシター412に蓄えられた追加的な電荷とにより、電力消費の増加期間における電圧の減少を最小限にし又は防止することができる。
【0081】
同様に、TRモジュールでの一時的な電力消費の増加に先立ち、出力キャパシター414の追加的な電荷を供給するために、同じ様に電圧制御装置410の制御出力電圧を急増させることができる。かくして、電圧制御装置410への入力電圧と電圧制御装置410からの出力電圧の両方を急増させることにより、電圧制御装置410のキャパシター412,414に追加的な電圧を蓄える結果となり、予測される電力消費の増加に先立って蓄えられる電荷を積み増すためのこの電位により、一般的な配電システムと比較して小容量のキャパシターを用いることができるようになる。
【0082】
先に説明したように、TRモジュールアセンブリー792のTRモジュールは、一般に変動する負荷要求を持つ。動作が活発でないときTRモジュールアセンブリー792の電力消費を最小限にするために、1以上のPCUs750〜770を電力消費が増加するまで停止させることができる。例えば、3個のPCUs750〜754がバス780に並列に接続され、各PCUは最大1kWの電力を供給するものと仮定する。TRモジュールアセンブリー792がバス780を介して1kWの電力しか消費しないとき、例えば、PCU754を停止し、それにより、2個の残りのPCUs750,752により1Xの冗長性を維持した状態で、さもなければ空運転していたPCU754での間接的な電力消費を減少させることができる。
【0083】
少なくとも1つの実施例において、PCUs750〜770及び/またはPCUs742〜748の動作はPCM626により制御される。この場合、PCM626はレーダーアセンブリー520の状態を監視し、レーダーアセンブリー520の現在及び/又は将来の電力要求を判断することができる。この電力消費のデータは、レーダーアセンブリー520の制御に用いられる演算処理アセンブリー530から提供されることがある。あるいは、電力消費のデータは、レーダーアセンブリー520の1以上の構成要素により提供されるBITデータから得ることができる。この電力消費のデータに基づいて、PCM626はPCUに、動作、停止、出力電圧の急増、急減、その他をさせるよう制御する。例えば、PCM626は、所定の時刻にレーダーシステム500の電力消費を判断し、その時刻における電力消費に対応させるのに必要な最低数のPCUsを起動させる。
【0084】
電力消費の増加が検出されたとき、PCM626は、PCUsを起動させ、あるいは、その後電力消費が減少した場合は、PCM626は、必要に応じてそれまで動作中であった1以上のPCUsを停止させることができる。同様に、一時的な電力消費の増加が迫ってきたことを知ると、PCM626は、1以上のPCUs750〜770に出力電圧を急増させるよう指令することができ、これにより、1以上のバス780〜788の電圧の大きさを増加することができる。さらに、あるPCUは特定のバス専用にしてもよい、一方、専用/非専用PCUsにより分けられた複数のグループに接続して1以上の他のPCUsは複数のバスに接続できるようにしてもよい。
【0085】
レーダーシステム500のPCMとPCUsとの間でデータ又は信号を伝達するために、様々な機構のうちのどんなものを用いてもよい。例えば、デジタルデータをPCM626からアンテナペデスタル522へ、I/O信号盤624,702を経由して送り、次いで、スリップリング524を経由して電力供給アセンブリー778に送ることができる。あるいは、制御データを、無線トランシーバーを介してPCM626と電力供給アセンブリー778との間で伝送することができる。本発明の思想と技術的範囲を逸脱することなく、制御データとBITデータとをPCUs750〜770とPCM626との間で伝送する他の方法を用いてもよい。
【0086】
レーダーアセンブリー520のPCUsは、少なくとも1つの実施の形態において、同じ製造元で作られ、これにより標準化と互換性を得ることが可能となる。例えば、PCU742が故障したとすると、最低限の改造で他のPCUに置き換えることができる。同様に、冗長性を備えさせるために、複数のPCUsを構成部品に接続することができる。PCUから電源供給されていたレーダーアセンブリー520の種々の構成部品が異なった要求入力電圧を持つことができる点は理解すべきである。例えば、受信器/エキサイター730は24Vの入力電圧を必要とするのに対して、レーダー信号処理装置728は6Vの入力電圧のみを必要とするかもしれない。同様に、PCU750は43ボルトバス(バス780)に接続されるのに対して、PCU760は6ボルトバス(バス784)に接続されるかもしれない。
【0087】
従って、少なくとも1つの実施の形態において、システム500内のPCUの配置又は用途によりPCUの出力電圧が設定される。レーダーシステム500内の配置に基づいてPCUの出力電圧を設定するために、種々の機構のうちのどんなものを用いてもよい。この機構には、具体的な位置でPCUを接続する前に手動で電圧を設定することが含まれる。もう1つの機構には、レーダーシステム500の特定の位置でPCUと接続する標準的なインターフェースを用いることが含まれる。この場合、標準的なインターフェースは、PCU上のインターフェースのアドレスピンに対応して接続するための複数のアドレスピンを具備することができる。PCUの出力電圧は、複数のアドレスピン上に表示された値に基づくことができる。例えば、標準的なインターフェースに電圧アドレスピンが含まれ、その各々が「高」電圧出力又は「低」電圧出力を持つとすると、このアドレスピンは合わせて、8(2)の異なった値を持つことができる。そして、PCUは、アドレスピン上の電圧により表示される値に応じた出力電圧を決定するためにメモリ位置に蓄えられたターブルを参照することができる。
【0088】
例えば、1つの実施の形態において、PCUは標準的な構成とすることができる。この場合、電力を供給するために用いるPCUを用いるレーダーシステム500の位置には、PCUと接続する標準的なインターフェースを具備することができる。このインターフェースは、このインターフェースに接続されたPCUへの要求される出力電圧を表示する機構を具備してもよい。これらの機構は、システム内のインターフェースの位置に基づき様々な電圧を持つインターフェースのピンの組を含むことができる。PCUがインターフェースに接続されたとき、このPCUはピンの電圧レベルを検出し、ピンの電圧から値を決定し、テーブル内の対応する出力電圧を検索する。テーブルから出力電圧を決定した後、PCUは、この決定した値に出力電圧を設定する。例えば、互換性のあるCPUが受信器/エキサイター730に接続されているとき、受信器/エキサイター730とのインターフェースは、+6VDCの要求される出力電圧に対応して、電圧順序が低、高、低(又は101)の3本のピンを持つことができる。従って、PCUは値101に対応する出力電圧をテーブルから探し出すことができる。
【0089】
テーブルから対応する出力電圧(+6VDC)を見つけた後、PCUはその出力を+6VDCに設定する。逆に、PCUがバス780に対応するインターフェースを介してバス780に接続されている場合、要求される出力電圧+43VDCに対応して、3本のピンのインターフェースは高、高、低(又は110)の電圧順序を持つことができる。このピン電圧順序を用いて、PCUはテーブルから要求される出力電圧を決定し、それに従って+43VDCの出力電圧に設定する。PCUが最初に設置されたときデータバスを介してPCM626に信号を送るPCUを、他の機構では具備することになる。PCUが接続されているインターフェースに関連するソースアドレスのような、PCUにより送られた信号の特性に基づき、PCM626はPCUに要求される出力電圧を決定し、データバスを介してPCUに電圧を表示する信号を送る。PCUの位置に基づくPCUの出力電圧を設定するどんな機構も、本発明に基づき導入することができる。
【0090】
ここで図8を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施の形態による電力変換ユニット(PCU)800の模範的な実施の形態の詳細が示されている。先に説明したとおり、少なくとも1つの実施の形態において、PCU800は、高圧AC電力又はDC電力のような最初の形態を持つ電力を受け取り、その電力を低圧DC電力のような第2の形態を持つ電力に変換し、この第2の形態を持つ電力を、直接又は電圧制御装置410のような媒体を介して、負荷に供給するようになっている。付加的に、少なくとも1つの実施の形態では、PCU800は、PCU800に接続された負荷により消費される電力が一時的に増加するのに先行して出力電圧を急増させるようになっている。PCU800はまた、負荷に電力を供給する必要がなくなったとき停止し、負荷要求が増加に応答して停止状態から動作状態にすることもできる。
【0091】
1つの実施例では、PCU800は、PCUを標準化するために、6UVMEカードのような標準のバーサモジュールヨーロッパ(VME)に適するようになっている。PCU800を標準化することで、1つのCPUは、配電システム内の複数のPCU位置のどこにでも、及び、多くの異なったシステムのどれにでも用いることができる。加えて、予備のPCUsとして必要とされる最小限の(LRU)型式の数を減らすことができる。同様に、標準化により一般にPCUのライフサイクルコストを減らし、一般にシステムの効率と信頼性を大きく向上させ、保守を容易にする。
【0092】
PCU800は、1つの実施の形態において、電力変換回路872と電力変換回路872の動作を監視し制御するようになっているPCU制御装置870を具備する。電力変換回路872は、1つの実施の形態において、AC−DC変換器854、DC−DC変換器856、及び出力フィルター858を具備する。図8に示した実施の形態において、AC−DC変換器854は、三相AC電圧を受け取りこの三相電圧をDC電圧に変換する全波整流器を具備する。DC−DC変換器856は、1つの実施の形態において、DC電圧を降圧するために「H」ブリッジトポロジーを具備する。次に、変換されたDC電力は出力フィルター858でフィルターされて電圧制御装置410のような負荷への仲介装置又は負荷に出力電圧として入力される。
【0093】
AC電圧の形態で電力を受け取りこの信号をDC電圧に変換するようになっているのに加えて、電力変換回路872は、1つの実施の形態において、DC入力850,852を経由して高レベルのDC電圧を受信するようにもなっている。そして電力変換回路872は、DC−DC変換器856にてDC電圧をより低いDC電圧レベルに降圧し、出力フィルター858を用いてDC電圧信号をフィルターし、電力変換回路872の出力においてより低いDC電圧を供給する。この場合、PCU800は、AC形態又はDC形態のような様々な形態の電力に変換でき、それにより、様々な電源からの電力の形態を受け入れることが可能となるようにする一般的なフロントエンドを提供する。PCU800は特定のAC電圧範囲に制限されないが、1つの実施の形態において、PCU800は、0−1000VACの範囲のAC電圧を持つ電力を受け取り変換することが好ましく、200−500VACの範囲がより好ましく、220−440VACの範囲が最も好ましい。同様に、PCU800はどんな周波数の電力も受け取るようにすることができるが、少なくとも1つの実施の形態において、PCU800は、50Hzから60Hzの周波数範囲の入力電力を持つAC電力入力を処理するようになっている。同様に、PCU800は第1の形態のDC電圧を持つ電力を受け取り、第2の形態のDC電圧を持つ電力に変換するようにできる。例えば、1つの実施の形態において、PCUは、好ましくは0から1000VDCの範囲、より好ましくは約200から約500VDCの範囲、最も好ましくは約220−440VDCの範囲のDC電圧を有する電力を、好ましくは0から1000VDCの範囲、より好ましくは約0から100VDCの範囲、最も好ましくは約0から50VDCの範囲のDC電圧を有する電力に変換することができる。1つの実施の形態において、2004の米海軍DC地区電力分配(ZWD)予測に対応するようになっている。
【0094】
PCU制御装置870は、1以上のマイクロコントローラー、マイクロプロセッサ、プログラマブルロジック装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、個別回路部品、その他又はこれらの組み合わせのような様々な制御装置及び/又は演算処理装置を具備する。1つの実施の形態において、PCU制御装置870は、PCU800が接続されている負荷により効率よく電力が分配されるようにPCU800の変換動作を制御するために、電力変換回路872を監視及び/又は制御する。従って、PCU制御装置870は、電力変換回路872の動作を監視するために電力変換回路872からの複数の入力を具備し、電力変換回路872の動作を制御するために電力変換回路872への複数の出力を具備することができる。PCU制御装置870におけるこれらの入力と出力の典型的な実施例は以下の通りである。
【0095】
AC−DC変換と力率調整:1つの実施の形態において、PCU制御装置870は、入力802〜806を介して電力変換回路872に入力する三相AC電力入力の各ラインの入力電圧を監視するようになっている。同様に、3つの入力電流も入力808〜812を介して監視することができる。計測した電圧/電流に基づき、PCU制御装置870は週出力814〜824を介して全波整流器のゲートを制御することができる。PCU制御装置870は、入力電力の均等な供給を確保するようゲートを制御するようにできる。同様に、PCU制御装置870は、入力電圧と入力電流との位相差が、例えば1度のような、要求される角度より小さくなるようにゲートを制御するようにできる。その結果、PCU制御装置870は、例えば位相角が1度以下で力率(PF)が0.9以上となるような一定の力率(PF)を確保するようにできる。要求される機能と動作を達成させるために、物理的及び電気的に知られた観点から、ソフトウエアのコード、アルゴリズム、等を作ってもよい。
【0096】
DC−DC変換:1つの実施の形態において、PCU制御装置870は、入力848を介してAC−DC変換器854の高電圧レールを監視するようになっている。この計測した電圧を用いて、PCU制御装置870は、ゲートを適当にオン・オフすることでHブリッジのゲートへの出力828〜834を介してDC−DC変換器856のHブリッジの動作を制御することができる。同様に、PCU制御装置870は、出力836,838に接続されたゲートへ信号を供給することで同期された整流ができるようにされる。HブリッジトポロジーがDC−DC変換器856として示されているが、本発明の精神と技術的範囲を逸脱することなしに他の変換トポロジーを用いてもよい。
【0097】
出力バスへの接続と出力バスからの切り離し:1つの実施の形態において、出力840,842を介して出力ゲートを制御することで出力バスへの電力変換回路の接続と切り離しを行うようPCU制御装置870は制御するようになっている。PCU800が動作中で負荷に電力を供給しているとき、PCU制御装置870は、バスと電力変換回路872とを接続させることで、出力840,842を介して出力フィルター858の出力ゲートを駆動することができる。しかし、PCU800が電力を供給するために用いられていないとき、PCU制御装置870が出力バスから引き出す電流を削減するためにPCU制御装置870を切り離すことができる。
【0098】
電圧オン/オフ:先に説明したように、PCMは、不要な又は空運転中のPCUsでの電力消費を削減するために1以上のPCUsを停止することができる。従って、1つの実施の形態において、PCMは入力864を介してPCU制御装置870に信号を送る。例えば、PCUを起動させ動作中を示す高信号を維持させていることを示すためにPCUが停止するまで、PCMは動作中を示す高信号を入力864にもたらすことができる。あるいは、入力864の信号パルスにより状態をオンからオフ、及びその逆に切り換えることができる。PCU800がオフになると、出力バスからPCU800を切り離すために出力840,842を介してPCU制御装置870は出力ゲートを閉めることができる。同様に、出力814〜824を介して、PCU制御装置870は全波整流器の1以上の入力ゲートを閉めることができ、それによりPCU800を入力電力供給から切り離す。さらに、より融通の利く出力電圧の制御を行うためにパルス幅変調の仕組みを組み込むことができる。
【0099】
同期化:並列に接続された複数のPCUsで電流を確実に共有させるために、PCU800は同期入力876を介して共有信号を受信することができる。この共有信号を用いてPCU800は、適切に電流出力を増加又は減少させるためにその設定値を調整することができる。
【0100】
出力電圧の設定:先に説明した通り、電力分配システム内のPCU800の位置又は応用例に基づき、PCU800の出力電圧を制御することができる。この場合、PCU制御装置870は、電圧アドレス入力862を介して要求される出力電圧の表示を受け取ることができる。説明すると、PCU744を図7のレーダー信号処理装置728と接続するためのインターフェースのようなPCUとシステムに接続するために用いるインターフェースは、PCU744と接続する3本のピンを有する。この3本のピンはおのおの高電圧レベルと低電圧レベルを持つことができ、2進数で8(2)通りの組み合わせが可能となる。この8通りの可能性があるピン電圧組み合わせにより、3本のピンで表現される電圧レベルに対応して8個の電圧レベルが可能性となる。PCU744のPCU制御装置870は、PCU744のレーダー信号処理装置728に供給すべき出力電圧を決定するためにどのピンがどんな電圧を持つかを決定することができる。従って、ピンの電圧は、ランダムアクセスメモリーにおける具体的なアドレスにアクセスする方法と同様の方法を用いることができる。実際に1つの実施の形態において、PCU800は、電気的消去可能プログラマブルメモリ(EPROM)のようなメモリに出力電圧値のテーブルを具備する。従って、電圧アドレス入力862を介してPCU制御装置870にある値が伝送されたとき、PCU制御装置870は、テーブル内で対応する出力電圧を調べ、電力変換回路872を制御して電力変換回路872の出力でその出力電圧を生成する。
【0101】
電圧急増:先に説明した通り、少なくとも1つの実施の形態において、PCU800は、電力消費の一時的な増加に先だってその出力電圧を急増させるようになっている。従って、PCMは、PCU制御装置870のプレトリガー入力866を用いて出力電圧を急増させるようにPCU800に信号を送ることができる。1つの実施の形態において、PCU制御装置870は、プレトリガー入力866にて信号を受信したとき、所定の電圧まで電力変換回路872の出力電圧を急増させる。あるいは、PCMは、プレトリガー入力866を介して要求される電圧の表示を提供することで、電力変換回路872が要求する急増電圧を表示することができる。
【0102】
制御/BIT:少なくとも1つの実施の形態において、PCU制御装置870は、PCU800又はPCU800に接続されたシステムに損傷を与えないように、電力変換回路872の1以上の電圧又は/電流を監視することができる。PCU制御装置870は、入力802〜806を介して入力電圧を、及び/又は、入力808〜812を介して入力電流を監視することができる。入力電圧又は入力電流が電力変換回路872の動作範囲外に出た場合、PCU制御装置870はPCU800を停止させ、PCMに、故障出力874を介するなどして、PCMに故障の信号を送る。同様に、入力844を用いて出力電圧を監視し、出力電圧が要求される出力電圧又は最適な出力電圧の120パーセントであるというように、出力電圧が要求される電圧からある値以上外れた場合、PCU800を停止することで過電圧保護(OVP)を提供することができる。次に、PCU制御装置870は故障出力874を介して過電圧状態をPCMに送る。同様に、PCU制御装置870は、出力電流が、電流入力826を用いてHブリッジの電流を監視するなどして、出力電流が要求される出力電流をある値だけ超えた場合に過電流保護(OCP)を提供するために出力電流を監視することができる。
【0103】
OVP及びOCPに加えて、1つの実施の形態において、PCU制御装置870は、PCU872の温度を示す温度検出装置(図示せず)からの入力に基づいて最大動作温度を超えるPCU800の温度をPCU制御装置870が検出したとき、PCU800を停止することで、過温度保護(OTP)をPCU制御装置870は提供することができる。この故障は、故障出力874を介してPCMに送られる。さらに、PCU制御装置870は、「しゃっくり(Hiccup)」モードを導入することで短絡に対する保護を行うことができるようになっており、このモードにより、一定時間以上(例えば5秒以上)持続する短絡が検出されたとき、PCU制御装置870は、電力変換回路872を停止させる。PCU制御装置870は、電力変換回路872の停止状態を一定時間保持し、その後電力変換回路872へ電力を送り短絡を監視する。もし短絡がまだ存在する場合は、停止/起動サイクルを繰り返す。もし、停止/起動サイクルを一定の数繰り返しても短絡が続く場合、PCU制御装置870は電力変換回路872を無期限に停止し、故障出力874を用いて停止状態をPCMに通知する。
【0104】
PCUを行う電力分配システムに存在する故障の診断を補助するために、1つの実施の形態において、PCU制御装置870は複数のBITを記入するBITレジスター(図示せず)を具備する。故障がPCU制御装置870により検出されるたびに、その故障はBITレジスターに保存される。従って、どんな故障が発生したのかを判断するために、技術者は、PCU制御装置870のBITレジスターにアクセスすることができ、PCUに接続しているPCU及び/又はシステムの動作に関する問題の原因を判定するためにこのデータを用いることができる。BITレジスターには、PCM、保守用パーソナルコントローラ、その他によりアクセスすることができる。
【0105】
PCU800は、電力の分配効率を改善するのに加えて、PCU800自身の効率を改善し、及び/又は、電力分配システムの保護をもたらす設計的な特徴を付加することができる。例えば、1つの実施の形態においてPCU800のプレーナー磁気は、DC−DC変換器856のHブリッジと出力フィルター858の出力表示が同じ時期コア上になるように構成され、それにより磁気損失を減少させる。同様に、HブリッジとDC−DC変換器856の出力整流器のスイッチング損失はゼロ電圧/ゼロ電流スイッチングを導入することで減少させることができる。同様に、1つの実施の形態において、AC−DC変換器854とDC−DC変換器856を同じ場所に配置し、それにより、2つの反感期間における損失を減少させ、2つの変換器間の比較的大容量のキャパシターバンクの必要性を減少させる。さらに、1つの実施の形態において、PCU800の一部又は全部の構成部品を、一般に低い「オン」抵抗及び高い電流容量を持つシリコンカーバイド(SiC)部品を用いて組み立てる。同様に、少なくとも1つの実施の形態において、PCU800は力率制御(PFC)に使えるようになっていて、それにより、価格、寸法、及びPCU800の1以上の構成部品の重量を削減するとともに、整流器の要求逆電圧を削減し小さなインダクターの使用を可能とする。他の改良のみならずこのような改良の結果、1つの実施の形態において、PCU800は、冷却空気のみを必要とし、寸法、価格、及びPCU800の電力消費を削減する。
【0106】
ここに開示された発明の詳細な説明と手順とに基づき、本技術分野の通常の知識を有するものは、本発明の利点を用いた他の実施の形態を容易に想到できるであろう。図と詳細な説明は典型例として考えるべきであり、従って、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲及びその均等事項によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
本発明の目的と利点は、添付図と共に以下の詳細な説明から本技術分野の通常の技術を有する者にとって明らかであろう。添付図において同様の要素に対して同様の符号がつけられている。
【図1】本発明の少なくとも1つの実施の形態による典型的な電源管理システムを示す概略図である。
【図2】本発明の少なくとも1つの実施の形態による、供給先のシステムの変動する負荷要求に応答して供給先のシステムに供給する電力量を制御する典型的な機構を示す概略図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの実施の形態による、変動する負荷による電力消費の増加に先行して、電力変換器から供給される出力電圧を増加させる典型的な機構を示す概略図である。
【図4A】本発明の少なくとも1つの実施の形態による、変動する負荷による電力消費の増加に先行して、電力変換器から供給される出力電圧を増加させる典型的な機構を示す概略図である。
【図4B】本発明の少なくとも1つの実施の形態による、図3及び図4Aに示した機構の典型的な動作を示す概略図である。
【図5】本発明の少なくともひとつの実施の形態による、レーダーアンテナシステムでの使用に適合させた典型的な電源管理システムを示す概略図である。
【図6】本発明の少なくともひとつの実施の形態による、図5のレーダーアンテナシステムの電力ゲートウェイを示す概略図である。
【図7】本発明の少なくともひとつの実施の形態による、図5のレーダーアンテナシステムのレーダーアンテナアセンブリーを示す概略図である。
【図8】本発明の少なくともひとつの実施の形態による電力変換ユニットの典型的な実施例を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動負荷で使用するために電力を変換する電力変換ユニットであって、
入力と出力を有しAC電圧を中間的なDC電圧に変換するようになっているAD−DC変換器と、
該AD−DC変換器の出力に電気的に接続された入力と前記変動負荷に電気的に接続された出力とを有するDC−DC変換器であって、前記中間的なDC電圧を出力DC電圧に変換するようになっているDC−DC変換器と、
を有する電力変換回路と、
電力変換回路と電気的に通信を行う制御装置であって、前記変動負荷に関する情報の少なくとも一部に基づき前記出力DC電圧を第1の電圧から第2の電圧に変換するようになっている、制御装置と、
を具備する電力変換ユニット。
【請求項2】
前記変動負荷に関する前記情報は前記変動負荷の負荷要求の変動予測を表す請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項3】
前記変動予測は、前記変動負荷の前記負荷要求の実績分析と、前記変動負荷に関して検出された状態と、前記変動負荷の作動に関する一連の指令のうちの1つ以上の少なくとも一部に基づくものである、請求項2に記載の電力変換ユニット。
【請求項4】
前記負荷要求の前記変動予測が前記負荷要求の増加予測を含むとき、前記第2の電圧は前記第1の電圧より大きく、
前記負荷要求の前記変動予測が前記負荷要求の減少予測を含むとき、前記第2の電圧は前記第1の電圧よりさい、
請求項2に記載の電力変換ユニット。
【請求項5】
前記電力変換回路は、前記制御装置が受信した動作信号の少なくとも一部に基づいて前記電力変換回路を作動と停止の内の1つ又は両方を行うようになっている、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項6】
前記電力変換回路はさらに、DC−DC変換器の出力に電気的に接続された入力を持つ出力フィルターと、前記変動負荷に電気的に接続された出力とを具備し、前記出力フィルターは、前記変動負荷に出力する前に出力DC電圧を整えるようになっている、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項7】
前記DC−DC変換器はさらに、入力DC電圧を有する電力を受け取る入力を具備し、前記DC−DC変換器はさらに、前記入力DC電圧を前記出力DC電圧に変換するようになっている、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項8】
前記入力DC電圧の大きさは約0ボルトから約1000ボルトの間である、請求項7に記載の電力変換ユニット。
【請求項9】
前記入力DC電圧の大きさは約0ボルトから約500ボルトの間である、請求項7に記載の電力変換ユニット。
【請求項10】
前記入力DC電圧の大きさは約220ボルトから約450ボルトの間である、請求項7に記載の電力変換ユニット。
【請求項11】
前記電圧制御装置はさらに、前記電力変換回路の運転から得られたテストデータを保存するようになっている記憶装置を具備する、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項12】
前記AC電圧には三相AC電圧が含まれ、前記制御装置は、前記AD−DC変換器の前記入力に電気的に接続された複数の三相電圧入力と、複数の三相電流入力とを具備し、前記制御装置はさらに、前記複数の入力電圧の入力を用いて前記入力三相AD電圧を監視し、前記複数の入力電流の入力を用いて前記入力三相AD電電流を監視するようになっている、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項13】
前記制御装置はさらに、AC電圧とAC電流の少なくとも一部に基づき力率調整を行うために前記AD−DC変換器を制御するようになっている、請求項12に記載の電力変換ユニット。
【請求項14】
前記制御装置は、出力DC電圧に対する要求電圧を表す電圧番地情報を受け取るようになっている、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項15】
前記要求電圧は、電力管理システム中の前記電力変換ユニットの位置に少なくとも一部は基づいている、請求項14に記載の電力変換ユニット。
【請求項16】
前記制御装置はさらに、前記変動負荷への要求電圧を有する前記出力DC電圧を提供するようになっている、請求項14に記載の電力変換ユニット。
【請求項17】
前記制御装置はさらに、前記要求電圧を表す一連の電圧を複数のピンから受け取るようになっているインターフェースを具備する、請求項14に記載の電力変換ユニット。
【請求項18】
前記制御装置はさらに、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレー、プログラマブルロジック装置、特定用途向け集積回路、又は個別ロジックを具備する、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項19】
前記AD−DC変換器は整流器を具備する、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項20】
前記整流器には、三相全波整流器が含まれる、請求項19に記載の電力変換ユニット。
【請求項21】
前記DC−DC変換器は、Hブリッジトポロジーを具備する、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項22】
前記出力DC電圧の大きさは約0ボルトから約1000ボルトの間である、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項23】
前記出力DC電圧の大きさは約0ボルトから約100ボルトの間である、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項24】
前記出力DC電圧の大きさは約0ボルトから約50ボルトの間である、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項25】
前記電力変換ユニットは、レーダーシステムに用いるようになっている、請求項1に記載の電力変換ユニット。
【請求項26】
電力管理システムにおける、第1の形態を有する電力を第2の形態を有する電力に変換し、前記第2の形態を有する電力を少なくとも1つの変動負荷に供給する装置であって、
第1の形態を有する電力を第2の形態を有する電力に変換するようになっている電力変換回路と、
前記少なくとも1つの変動負荷の負荷要求の変動予測の少なくとも一部に基づいて前記電力変換回路の出力電圧を制御する手段と、
を具備する、装置。
【請求項27】
前記出力電圧を制御する手段は、
前記負荷要求の前記変動予測が前記負荷要求の増加予測を含むとき、出力電圧の大きさを増加する手段と、
前記負荷要求の前記変動予測が前記負荷要求の減少予測を含むとき、出力電圧の大きさを減少させる手段と、
を具備する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記負荷要求の変動予測を予測する手段をさらに含む、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記予測手段は、前記変動負荷の前記負荷要求の実績分析と、前記変動負荷に関して検出された状態と、前記変動負荷の作動に関する一連の指令のうちの1つ以上の少なくとも一部に基づき前記変動予測を予測するようになっている、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記負荷要求が第1のレベル以上に増加したとき、前記電力変換回路を作動させる手段と、
前記負荷要求が第1のレベルより小さい第2のレベル以下に減少したとき、前記電力変換回路を停止させる手段と、
をさらに具備する、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記電力変換回路はさらに、前記第2の形態と第1の電圧を有する電力を、前記第2の形態で、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を有する電力に変換するようになっている、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記電力変換回路の過電圧保護を行う手段をさらに含む、請求項26に記載の装置。
【請求項33】
前記電力変換回路の加熱防止を行う手段をさらに含む、請求項26に記載の装置。
【請求項34】
前記変換回路の運転に関する情報を発生する手段と、
以降のアクセスのためのテスト情報を少なくとも1つ保存する手段と、
をさらに具備する、請求項26に記載の装置。
【請求項35】
前記第1の形態を有する電力には三相AC電力が含まれ、前記第2の形態を有する電力には出力DC電圧を有するDC電力が含まれる、請求項26に記載の装置。
【請求項36】
前記電力変換回路は、
前記三相AC電力を中間的なDC電圧を有する電力に変換するようになっているAD−DC変換器と、
前記AD−DC変換器と電気的に接続され、前記中間的なDC電圧を有する電力を出力DC電圧を有する電力に変換するようになっている、DC−DC変換器と、
を具備する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記電力変換回路はさらに、DC−DC変換器に電気的に接続され、前記出力DC電圧を整えるようになっている出力フィルターを具備する、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記第1の形態を有する電力には、入力DC電圧を有するDC電力が含まれ、前記第2の形態を有する電力には、前記入力DC電圧とは異なる出力DC電圧を有するDC電力が含まれる、請求項26に記載の装置。
【請求項39】
前記電力変換回路は、前記入力DC電圧を有する電力を前記出力DC電圧有する電力に変換するようになっているDC−DC変換器を具備する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
力率調整を実行するための手段をさらに具備する、請求項26に記載の装置。
【請求項41】
少なくとも1つの電力変換ユニットを用いて、変動負荷に電力を供給する方法であって、
第1の期間に、前記変動負荷の負荷要求に基づく第1の電圧を有する電力を、前記少なくとも1つの電力変換ユニットから前記変動負荷に供給するステップと、
前記第1の期間に続く第2の期間に起こる変動負荷の要求負荷の変動予測の少なくとも一部に基づき第2の電圧を決定するステップと、
少なくとも前記第2の期間より前で前記第1の期間より後の第3の期間に、前記第2の電圧を持つ電力を一時的に前記変動負荷に供給するステップと、
を具備する、方法。
【請求項42】
前記負荷要求において、変動予測を予測するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記変動予測は、前記変動負荷の前記負荷要求の実績分析と、前記変動負荷に関して検出された状態と、前記変動負荷の作動に関する一連の指令のうちの1つ以上の少なくとも一部に基づき予測される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記負荷要求の前記変動予測が前記負荷要求の増加予測を含むとき、前記第2の電圧は前記第1の電圧より大きく、
前記負荷要求の前記変動予測が前記負荷要求の減少予測を含むとき、前記第2の電圧は前記第1の電圧よりさい、
請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの電力変換ユニットにおいて、第1の形態を有する電力を第2の形態を有する電力に変換するステップと、
前記第2の形態を有する電力を前記少なくとも1つの電力変換ユニットから前記変動負荷に提供するステップとをさらに具備する請求項41に記載の方法。

【公表番号】特表2007−529187(P2007−529187A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534514(P2006−534514)
【出願日】平成15年9月15日(2003.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/028866
【国際公開番号】WO2004/030189
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(597076152)アイティーティー マニュファクチュアリング エンタープライズィズ インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】ITT Manufacturing Enterprises Inc.
【住所又は居所原語表記】1105 North Market Street Suite 1217 Wilmington Delaware 19801 United States of America
【Fターム(参考)】