説明

変性性組織障害をMPTの阻害により防止するための薬剤としてのフェニル置換マレイミド

本発明は、式(I)


(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ及び(C−C)ハロアルコキシを表す。)の化合物の、変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患、特に糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎、より詳細には糖尿病性網膜症等の糖尿病性血管疾患、多発性硬化症等の神経変性障害を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における使用を開示する。更なる目的は、薬剤として使用するための式(I)の選択された個々の化合物の群であり及び新規な化合物としての式(I)の選択された個々の化合物の別の群である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性性組織障害を特徴とする、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(Mitochondrial permeability transition pore:PTP)の開口により引き起こされる疾患を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するための、細胞におけるMPTPの開口を阻害する化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的背景
ミトコンドリア膜透過性遷移(MPT)は、約1500Da未満の分子質量の溶質に対するミトコンドリア内膜の透過性の急激な上昇と、その結果生じるミトコンドリアの膨張及びシトクロムCの放出である。MPTを惹起する鍵となるミトコンドリアのメカニズムは、依然として全分子成分が完全に同定されていない高コンダクタンスの内膜チャネルである透過性遷移孔(permeability transition pore:PTP)の開口である(Forte, M.; Bernardi, P. Genetic dissection of the permeability transition pore. J. Bioenerg. Biomembr., 2005, 37, 121-8)。
【0003】
PTPの開口状態は、プロトンの電気化学的勾配を消失させてCa2+の放出及びATP加水分解を引き起こす及び浸透圧による膨張の潜在的原因である。これは、次に内膜のアンフォールディング(unfolding)及び外膜の破裂、それに続くプロアポトーシス膜間タンパク質の細胞質ゾル内への放出を引き起こし得る。PTPの開閉状態は、様々な部位にて作用する複数のエフェクタによって調節され、これらの部位の多くは、細胞死の各種モデルにおいて含意された条件及びメディエータの影響を受ける(Bernardi, P. Mitochondrial transport of cations: Channels, exchangers and permeability transition. Physiol. Rev., 1999, 79, 1127-1155)。そのため、PTP開口は、細胞死を促進する1つのミトコンドリア介在性メカニズムである。
【0004】
プラグラム細胞死(アポトーシス)は、多細胞生物に不可欠な過程であり、アポトーシスの生理学的速度が、正常な発達及び組織の再生を制御する。しかしながら、アポトーシスの速度上昇が、過剰な細胞損失及び組織変性を特徴とする多くの病態に見られる。多数の細胞ストレスが、ミトコンドリアに機能的及び構造的変化を引き起こし、これらの変化が、細胞死を通して、組織のホメオスタシス及び機能性に影響を及ぼす(Green, D.R.; Kroemer, G. The pathophysiology of mitochondrial cell death, Science, 2004, 305, 626-629)。幹細胞区画におけるアポトーシス速度の上昇は、組織の再生に影響し、加齢を加速させる一方で、機能性細胞質量の減少は、組織の性能を直接的に損なう(Pelicci, P.G. Do tumor-suppressive mechanisms contribute to organism aging by inducing stem cell senescence? J. Clin. Invest., 2004, 113, 4-7)。
【0005】
ミトコンドリアは、アポトーシスの誘発において中心的な役割を果たす。アポトーシスの最中において最も重要なミトコンドリアの事象は、この細胞小器官の構造的及び機能的な再構築と、それに続くミトコンドリアの膜間腔から細胞質ゾル内へのアポトーシスを誘導するタンパク質(apoptogenic protein)の放出である。これらのタンパク質は、シトクロムC、Smac/DIABLO、AIF、Omi/HtrA2を含む。更に、PTPの開口が、アポトーシスへの関与における初期の事象であり得ることを示唆する有力な証拠が存在する。
【0006】
多くの疾患の病因論において、ミトコンドリアがアポトーシスにおいて果たす役割は十分に確立されており、心筋梗塞、腎虚血、1型及び2型糖尿病又は神経変性障害の最中に観察される病理的ストレス状態に典型的なアポトーシス率の上昇は、ミトコンドリア膜透過性遷移及びミトコンドリアの完全性の喪失と常に相関関係にある。これらの疾患状態の多くは、MPT及びアポトーシスの誘発因子として知られる活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)の著しい増加によって特徴付けられる。
【0007】
MPTPの開口によって起こる最も重要な疾患の幾つかが、以下に挙げられる。
【0008】
心筋梗塞
虚血性心疾患において、連続的な虚血・再潅流事象が起こると、壊死及び/又はアポトーシスによる心筋の細胞死がもたらされる及び心筋梗塞においてPTP及びミトコンドリアの膨張が果たす役割は、既に実証されている(Solaini, G.; Harris, D.A. Biochemical dysfunction in heart mitochondria exposed to ischemia and reperfusion. Biochem. J., 2005, 390, 377-394)。Ca2+調節の崩れ及び低酸素・高酸素間での遷移の結果としてのROSの産生による心筋細胞におけるミトコンドリア完全性の崩壊が、心筋梗塞の最中のアポトーシスの主な原因である(Di Lisa, F.; Bernardi, P. Mitochondria and ischemia-reperfusion injury of the heart: Fixing a hole. Cardiovasc. Res., 2006, 70, 2, 191-199)。更に、PTPの既知の阻害物質であるシクロスポリンA(CsA)は、実験的低酸素状態及び再潅流の後のヒト心房組織において基礎心筋収縮機能の回復を改善すると判明している。
【0009】
神経疾患及び脳卒中
PTP及びミトコンドリアの膨張は、変性疾患に続く神経細胞死、脳損傷が起き易い条件(高血糖症、低血糖症、脳卒中、虚血、外傷)の多く及び実験的癲癇にも関連している(Pordan, J.; Cena, V.; Prehn, J.H. Mitochondrial control of neuron death and its role in neurodegenerative disorders. J. Physiol. Biochem., 2003, 59, 129-141; Li, P.A.; Uchino, H.; Elmer, E.; Siesjo, B.K. Amelioration by cyclosporin A of brain damage following 5 or 10 min of ischemia in rats subjected to preischemic hyperglycaemia, Brain Res., 1997, 753, 133-140; Folbergrova, J.; Li, P.A.; Uchino, H.; Smith, M.L.; Siesjo, B.K. Changes in the bioenergetic state of rat hippocampus during 2.5 min of ischemia, and prevention of cell damage by cyclosporin A in hyperglycaemic subjects. Exp. Brain Res., 1997, 114, 44-50; Friberg, H.; Ferrand-Drake, M.; Bengtsson, F.; Halestrap, A.P.; Wieloch, T. Cyclosporin A, but not FK 506, protects mitochondria and neurons against hypoglycaemic damage and implicates the mitochondrial peameability transition in cell death. J. Neurosci., 1998, 18, 5151-5159; Sims, N.R. and Anderson M.F. Mitochondrial contributions to tissue damage in stroke. Neurochem Int., 2002, 40, 511-26; Stavrovskaya I.G.; Narayanan M.V.; Zhang W.; Krasnikov B.F.; Heemskerk J.; Young S.S.; Blass J.P.; Brown A.M.; Beal M.F.; Friedlander R.M.; Kristal B.S. Clinically approved heterocyclics act on a mitochondrial target and reduce stroke-induced pathology. J Exp Med., 2004, 200, 211-22; Matsumoto, S.; Friberg, H.; Ferrand-Drake, M.; Wieloch, T. Blockade of the mitochondrial permeability transition pore diminishes infarct size in the rat after transient middle cerebral artery occlusion. J. Cereb. Blood Flow Metab., 1999, 19, 736-741 Scheff, S.W.; Sullivan P. G. Cyclosporin A significantly ameliorates cortical damage following experimental traumatic brain injury in rodents. J. Neurotrauma, 1999, 16, 783-792; Kudin, A. P.; Debska-Vielhaber, G.; Vielhaber, S.; Elger, CE.; Kunz, W. S. The mechanism of neuroprotection by topiramate in an animal model of epilepsy. Epilepsia, 2004, 45, 1478-1487)。アルツハイマー病に関与するβ−アミロイドタンパク質は、神経細胞死に繋がる酸化ストレス及びミトコンドリアの損傷を誘発し、このことは、ミトコンドリアの機能不全が疾患の進行に関連していることを示している(Abramov, A. Y.; Canevari, L.; Duchen, M. R. Beta-amyloid peptides induce mitochondrial dysfunction and oxidative stress in astrocytes and death of neurons through activation of NADPH oxidase. J. Neurosci., 2004, 24, 565-575)。加えて、パーキンソン病においてドーパミン作動性細胞で起こる大規模なアポトーシスは、MTPと因果関係がある(Fiskum, G.; Starkov A.; Polster, B. M.; Chinopoulos, C. Mitochondrial mechanisms of neural cell death and neuroprotective interventions in Parkinson's disease. Ann. N. Y. Acad. Sci. 2003, 991, 111-119)。更に、MPTに繋がるミトコンドリアの機能不全は、ハンチントン病及び筋萎縮性側索硬化症における特徴である(Tang, T. S.; Slow, E.; Lupu, V.; Stavrovskaya, I. G.; Sugimori, M.; Llinas, R.; Kristal, B.S.; Hayden, M.R.; Bezprozvanny, I. Disturbed Ca2+ signaling and apoptosis of medium spiny neurons in Huntington's disease. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2005, 102, 2602-2607; Kirkinezos, I. G.; Hernandez, D.; Bradley, W. G.; Moraes, CT. An ALS mouse model with a permeable blood-brain barrier benefits from systemic cyclosporine A treatment. J. Neurochem., 2004, 88, 821-826)。
【0010】
糖尿病
1型及び2型糖尿病を含む糖尿病は、幾つかのメカニズムによって損傷及び細胞死を誘発する。何よりも、高血糖それ自体が、多様な組織並びに腎臓、内皮及び網膜細胞培養物内において、細胞を直接的に殺すことができる(Allen, D.A.; Yaqoob, M.M.; Harwood, S.M. Mechanisms of high glucose-induced apoptosis and its relationship to diabetic complications. J. Nutri. Biochem., 2005, 16, 705-713)。糖尿病性網膜症(Diabetic retinopathy:DR)は、糖尿病性血管障害の罹患率を大きく引き上げる末梢微小血管合併症の1つである。網膜血管新生に繋がるこの進行性の病気は、若年の患者の失明で最も一般的な原因であり、先進国において臨床的に極めて重要である。
【0011】
DRは、毛細血管周皮細胞の損失、進行性の毛細管の閉鎖、毛細管瘤及び網膜浮腫を特徴とする初期の前増殖期(非増殖性網膜症(background retinopathy))から始まる。これに続く、血管の閉塞による網膜虚血(又は低酸素症)が、異常な網膜血管の増殖の引き金となる。新生血管は網膜の内表面に沿って及び/又は硝子体腔内へと伸び、網膜剥離及び網膜出血につながり得る。この段階は、増殖性糖尿病性網膜症(proliferative diabetic retinopathy:PDR)として知られている。高血糖性ストレスは、PDRにおける重要な因子と見なされているが、これは高血糖性ストレスが、血管新生に繋がる網膜細胞による血管内皮増殖因子(vascular endothelium growth factor:VEGF)の産生の上昇を誘発し、ミトコンドリアに影響を与える細胞の酸化障害を引き起こす。このことから、酸化ストレス等のメカニズムが、発病の連鎖における主な役割を果たしていると思われる。糖尿病で多量に生成されるROSは、PDRに関係する、病理学的な細胞内経路の殆どを始動でき得る及びROSは、糖尿病誘発性虚血に続く再潅流において網膜にて産生されることが実証されている。加えて、ROSは、微小血管周皮細胞の損失、つまり非増殖性糖尿病性網膜症の初期変化の1つに関与している。最近の報告は、過酸化水素又は紫外線(UV)(共にROSの供給源である)に曝露されると、網膜周皮細胞がアポトーシスにより死ぬことを実証した。最後に、酸化ストレスも、未熟児網膜症(ROP)の発生及び進行と相関関係があった。未熟な網膜は、比較的低レベルの抗酸化物質(ヘム・オキシゲナーゼ1及びカタラーゼ等)を含有している。高濃度の酸素が送り込まれると、ROSが生成され、とりわけ、虚血、ひいてはROPの発症と同時に生物活性イソプロスタンの産生を促進する。
【0012】
先天性ジストロフィ
組織の機能不全及び不安定さに関連した遺伝性障害は、しばしばアポトーシスの速度の上昇を特徴とする。実際に、MPTが、幾つかの遺伝性ミオパチーにおける筋細胞の喪失に原因として関与していることが判明している。特に、CsA治療でPTPを阻害することにより、筋線維の変性が軽減され、マウスにおけるコラーゲンVI型ミオパチーが治癒することが示されている(Irwin, W.A.; Bergamin, N.; Sabatelli, P.; Reggiani, C; Megighian, A.; Merlini, L.; Braghetta, P.; Columbaro, M.; Volpin, D.; Bressan, G.M.; Bernardi, P.; Bonaldo, P. Mitochondrial dysfunction and apoptosis in myopathic mice with collagen VI deficiency. Nat. Genet., 2003, 35, 367-371)。
【0013】
肝炎
肝臓は、化学的な毒物、起炎因子又はウィルス等の異なる作因によって損傷され得る。いかなる場合でも、肝細胞は、MPTによって引き起こされる大規模なアポトーシスを経る(Haouzi, D.; Cohen, I.; Vieira, H. L.; Poncet, D.; Boya, P.; Castedo, M.; Vadrot, N.; Belzacq, A.S.; Fau, D.; Brenner, C; Feldmann, G.; Kroemer, G. Mitochondrial permeability transition as a novel principle of hepatorenal toxicity in vivo. Apoptosis., 2002, 7, 395-405; Shirakata, Y.; Koike, K. Hepatitis B virus X protein induces cell death by causing loss of mitochondrial membrane potential. J. Biol. Chem., 2003, 278, 22071-22078)。更に、マウスをCsAで治療してPTPの開口を阻害することにより、TNF−α−依存性急性肝炎のラットモデルにおいて肝臓の損傷が大きく軽減されることが報告されている(Soriano, M.E.; Nicolosi, L.; Bernardi P. Desensitization of the permeability transition pore by cyclosporine A prevents activation of the mitochondrial apoptotic pathway and liver damage by tumour necrosis factor-alpha. J. Biol. Chem., 2004, 279, 36803-36808)。更に、PTPの阻害物質としてのチアゾール誘導体は、肝硬変を予防又は治療するための薬剤として有用であることが報告されている(Auget, M. et al., WO03009843)。
【0014】
つまり、ミトコンドリア膜透過性遷移は、変性性組織障害を特徴とする、多種多様な疾患状態におけるアポトーシスのメカニズムに関わっていることが判明している。従って、MPTを薬理学的に阻害することが、心筋梗塞、(例えば、外傷及び自己免疫反応による)神経疾患及び脳卒中、糖尿病性網膜症等の糖尿病及び糖尿病性合併症、先天性ジストロフィ並びに肝炎を含む広い範囲の疾患の予防及び治療にとって重要なアプローチとなる(Kroemer, G. The mitochondrial permeability transition pore complex as a pharmacological target. Curr. Med. Chem., 2003, 10, 1469-1472; Mattson, M.P.; Kroemer, G. Mitochondria in cell death: novel targets for neuroprotection and cardioprotection. Trends Mol. Med., 2003, 9, 196-205)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第3009843号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Forte, M.; Bernardi, P. Genetic dissection of the permeability transition pore. J. Bioenerg. Biomembr., 2005, 37, 121-8
【非特許文献2】Bernardi, P. Mitochondrial transport of cations: Channels, exchangers and permeability transition. Physiol. Rev., 1999, 79, 1127-1155
【非特許文献3】Green, D.R.; Kroemer, G. The pathophysiology of mitochondrial cell death, Science, 2004, 305, 626-629
【非特許文献4】Pelicci, P.G. Do tumor-suppressive mechanisms contribute to organism aging by inducing stem cell senescence? J. Clin. Invest., 2004, 113, 4-7
【非特許文献5】Solaini, G.; Harris, D.A. Biochemical dysfunction in heart mitochondria exposed to ischemia and reperfusion. Biochem. J., 2005, 390, 377-394
【非特許文献6】Di Lisa, F.; Bernardi, P. Mitochondria and ischemia-reperfusion injury of the heart: Fixing a hole. Cardiovasc. Res., 2006, 70, 2, 191-199
【非特許文献7】Pordan, J.; Cena, V.; Prehn, J.H. Mitochondrial control of neuron death and its role in neurodegenerative disorders. J. Physiol. Biochem., 2003, 59, 129-141
【非特許文献8】Li, P.A.; Uchino, H.; Elmer, E.; Siesjo, B.K. Amelioration by cyclosporin A of brain damage following 5 or 10 min of ischemia in rats subjected to preischemic hyperglycaemia, Brain Res., 1997, 753, 133-140
【非特許文献9】Folbergrova, J.; Li, P.A.; Uchino, H.; Smith, M.L.; Siesjo, B.K. Changes in the bioenergetic state of rat hippocampus during 2.5 min of ischemia, and prevention of cell damage by cyclosporin A in hyperglycaemic subjects. Exp. Brain Res., 1997, 114, 44-50
【非特許文献10】Friberg, H.; Ferrand-Drake, M.; Bengtsson, F.; Halestrap, A.P.; Wieloch, T. Cyclosporin A, but not FK 506, protects mitochondria and neurons against hypoglycaemic damage and implicates the mitochondrial peameability transition in cell death. J. Neurosci., 1998, 18, 5151-5159
【非特許文献11】Sims, N.R. and Anderson M.F. Mitochondrial contributions to tissue damage in stroke. Neurochem Int., 2002, 40, 511-26
【非特許文献12】Stavrovskaya I.G.; Narayanan M.V.; Zhang W.; Krasnikov B.F.; Heemskerk J.; Young S.S.; Blass J.P.; Brown A.M.; Beal M.F.; Friedlander R.M.; Kristal B.S. Clinically approved heterocyclics act on a mitochondrial target and reduce stroke-induced pathology. J Exp Med., 2004, 200, 211-22
【非特許文献13】Matsumoto, S.; Friberg, H.; Ferrand-Drake, M.; Wieloch, T. Blockade of the mitochondrial permeability transition pore diminishes infarct size in the rat after transient middle cerebral artery occlusion. J. Cereb. Blood Flow Metab., 1999, 19, 736-741
【非特許文献14】Scheff, S.W.; Sullivan P. G. Cyclosporin A significantly ameliorates cortical damage following experimental traumatic brain injury in rodents. J. Neurotrauma, 1999, 16, 783-792
【非特許文献15】Kudin, A. P.; Debska-Vielhaber, G.; Vielhaber, S.; Elger, CE.; Kunz, W. S. The mechanism of neuroprotection by topiramate in an animal model of epilepsy. Epilepsia, 2004, 45, 1478-1487
【非特許文献16】Abramov, A. Y.; Canevari, L.; Duchen, M. R. Beta-amyloid peptides induce mitochondrial dysfunction and oxidative stress in astrocytes and death of neurons through activation of NADPH oxidase. J. Neurosci., 2004, 24, 565-575
【非特許文献17】Fiskum, G.; Starkov A.; Polster, B. M.; Chinopoulos, C. Mitochondrial mechanisms of neural cell death and neuroprotective interventions in Parkinson's disease. Ann. N. Y. Acad. Sci. 2003, 991, 111-119
【非特許文献18】Tang, T. S.; Slow, E.; Lupu, V.; Stavrovskaya, I. G.; Sugimori, M.; Llinas, R.; Kristal, B.S.; Hayden, M.R.; Bezprozvanny, I. Disturbed Ca2+ signaling and apoptosis of medium spiny neurons in Huntington's disease. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2005, 102, 2602-2607
【非特許文献19】Kirkinezos, I. G.; Hernandez, D.; Bradley, W. G.; Moraes, CT. An ALS mouse model with a permeable blood-brain barrier benefits from systemic cyclosporine A treatment. J. Neurochem., 2004, 88, 821-826
【非特許文献20】Allen, D.A.; Yaqoob, M.M.; Harwood, S.M. Mechanisms of high glucose-induced apoptosis and its relationship to diabetic complications. J. Nutri. Biochem., 2005, 16, 705-713
【非特許文献21】Irwin, W.A.; Bergamin, N.; Sabatelli, P.; Reggiani, C; Megighian, A.; Merlini, L.; Braghetta, P.; Columbaro, M.; Volpin, D.; Bressan, G.M.; Bernardi, P.; Bonaldo, P. Mitochondrial dysfunction and apoptosis in myopathic mice with collagen VI deficiency. Nat. Genet., 2003, 35, 367-371
【非特許文献22】Haouzi, D.; Cohen, I.; Vieira, H. L.; Poncet, D.; Boya, P.; Castedo, M.; Vadrot, N.; Belzacq, A.S.; Fau, D.; Brenner, C; Feldmann, G.; Kroemer, G. Mitochondrial permeability transition as a novel principle of hepatorenal toxicity in vivo. Apoptosis., 2002, 7, 395-405
【非特許文献23】Shirakata, Y.; Koike, K. Hepatitis B virus X protein induces cell death by causing loss of mitochondrial membrane potential. J. Biol. Chem., 2003, 278, 22071-22078
【非特許文献24】Soriano, M.E.; Nicolosi, L.; Bernardi P. Desensitization of the permeability transition pore by cyclosporine A prevents activation of the mitochondrial apoptotic pathway and liver damage by tumour necrosis factor-alpha. J. Biol. Chem., 2004, 279, 36803-36808
【非特許文献25】Kroemer, G. The mitochondrial permeability transition pore complex as a pharmacological target. Curr. Med. Chem., 2003, 10, 1469-1472
【非特許文献26】Mattson, M.P.; Kroemer, G. Mitochondria in cell death: novel targets for neuroprotection and cardioprotection. Trends Mol. Med., 2003, 9, 196-205
【発明の概要】
【0017】
発明の要旨のまとめ
本発明の主な目的は、式(I)
【0018】
【化1】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ若しくは(C−C)アルコキシによって置換される。)、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ又は(C−C)ハロアルコキシを示す。)の化合物を、変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製に使用することに関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、化合物1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンについてのROPアッセイの結果を示す。
【図2】図2は、化合物1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンについてのEAEアッセイの結果を示す。
【0020】
化学的背景
上記の式(I)の範囲に含まれる幾つかの化合物は、科学及び/又は特許文献に記載されている。これまでに開示された化合物の限定的な一覧が、以下に報告される。
【0021】
M.Augustinら(Zeitschrift fur Chemie, 1975, 15(3), 102)は、アリール無水マレイン酸と一置換アニリンとの反応について記載している。具体的には、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−クロロフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、3−(4−ブロモフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−メトキシフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ビス−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(4−メチルフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオンが記載されている。
【0022】
A.P.Molchanovら(Russian Journal of Organic Chemistry(Zhurnal Organicheskoi Khimiiの翻訳文), 2002, 36(8), 1139)は、ジアゾ酢酸エステルとマレイミドとの反応について記載している。具体的には、以下の化合物:1−(4−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(4−メトキシフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオンが挙げられれる。
【0023】
G.K.Almstrom(Journal of the Chemical Society, Abstracts, 1916, 110(I), 568)は、1,3−ジフェニル−ピロール−2,5−ジオン及び1−(4−ブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンの合成について記載している。
【0024】
O.Kwonら(J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 13402)は、29400種から成るライブラリの合成における1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンの使用について記載している。
【0025】
K.F.Hebenbrock(Liebigs Ann. Chem, 1978, 2, 320)は、1−アリール−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピロリジン−2,5−ジオン誘導体の調製及び反応性の研究のための試薬としての1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンを開示している。
【0026】
A.P.Molchanovら(Russian Journal of Organic Chemistry(Zhurnal Organicheskoi Khimiiの翻訳文), 2002, 38(2), 259)は、ジフェニルジアゾメタンと、マレイン酸及びイタコン酸の置換イミドとの反応について記載している。具体的には、1−(2−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオンが挙げられている。
【0027】
S.Umioら(JP43029950)は、殺菌剤として有用なフェニルマレイミドの合成を開示している。具体的には、1−フェニル−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−フェニル−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンの合成が記載されている。
【0028】
M.Articoら(Farmaco, 1971, 26, 411)は、抗菌性を有するマレイミドの合成について記載している。具体的には、1−(4−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンの合成が記載されている。
【0029】
H.Yukiら(Chemical & Pharmaceutical Bulletin, 1967, 15(8), 1101)は、抗ウィルス特性を有する化合物の合成について記載している。具体的には、1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ビス−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−エトキシフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−エトキシフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−エトキシフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−フェニル−3−(3,4−ジクロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−フェニル−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−メチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ビス−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(4−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオンの合成が開示されている。
【0030】
A.Fujinamiら(US3743654)は、殺菌剤としてのマレイミド誘導体の合成について記載している。具体的には、1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−(2−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3,5−ジブロモ−フェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンの合成が記載されている。
【0031】
更に別の化合物が、ケミカル・アブストラクト・データベースにおいて開示されている。このような誘導体は、例えば、1−(2−クロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−2−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ブロモフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−ブロモフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−ヨードフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2,3−ジメチル−フェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−メトキシフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオンである。
【0032】
更に別の化合物が市販されている。このような誘導体は、例えば、1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオンである。
【0033】
上記にて引用された従来技術により既知の、式(I)の化合物の幾つかは、薬理活性を有していると報告されている。
【0034】
例えば、以下の活性が報告されている:抗菌薬としての1−(4−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、抗ウィルス剤としての1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン及び1,3−ビス−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、殺菌剤としての1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−(2−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,5−ジブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン。
【0035】
発明者の知識の及ぶ限り、上記にて引用された従来技術において開示された、式(I)の化合物の幾つかについて、第三者によって薬理活性は触れられていない。
【0036】
前述の化合物の例は、以下の:1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ジフェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンである。
【0037】
上記の式(I)の化合物の更に別の群は、新規であると見なされる。
【0038】
これらの化合物の例は、以下の:1−(3−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ヨードフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ビス−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンである。
【0039】
発明の要旨
上記を踏まえ、本発明の第1の目的は、式(I)
【0040】
【化2】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ及び(C−C)ハロアルコキシを示す。)の化合物を、特に糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎である変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製に使用することに関する。
【0041】
より詳細には、上記のMPTP疾患は、好ましくは1型及び2型糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患及び脳卒中を含み、より好ましくは、前述のMPTP疾患は、糖尿病性網膜症等の糖尿病性血管疾患及び多発性硬化症等の神経変性障害を含む。
【0042】
本発明の更なる目的は、糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎を含む変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患を、このような疾患を患っている哺乳動物に、上記で定義されたような式(I)の化合物を有効量にて投与することにより予防及び/又は治療するための方法を提供することである。
【0043】
本発明のある態様により、上記にて定義されたような変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するための好ましい式(I)の化合物の群は、式(I)(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ及び(C−C)ハロアルコキシを示す。)の化合物によって代表される。
【0044】
本発明の別の態様により、上記にて定義されたような変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患を予防及び/又は治療するための薬剤を製造するためのより一層好ましい式(I)の化合物は、式(I)(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、CF、CCl、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、OCF、OCHF及びOCHFを示す。)の化合物によって代表される。
【0045】
本願において、用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含むことが意図されている。
【0046】
本願において、用語「(C−C)アルキル」、「(C−C)ハロアルキル」、「(C−C)アルコキシ」、「(C−C)ハロアルコキシ」、「(C−C)アルキル」、「(C−C)ハロアルキル」、「(C−C)アルコキシ」及び「(C−C)ハロアルコキシ」は、分岐鎖及び直鎖の両方のアルキル鎖を含むことが意図されている。
【0047】
上記ラジカルの分岐アルキル部分は、1つ以上の不斉炭素原子を含有し得、エナンチオマー及び/又はジアステレオ異性体が生じ得る。「立体異性体」という用語は、本願において、空間における炭素原子の構成だけが異なる、個々の分子の異性体全てを意図している。この用語は、エナンチオマー及びジアステレオ異性体を含む。
【0048】
本発明は、式(I)の化合物の考えられ得る全ての立体異性体(単一の異性体及びラセミ体を含むこれらの混合物の両方として)を含む。これらの化合物の結晶形の幾つかは、多形体として存在し得、これらも本発明に含まれる。これらの化合物の幾つかは、水によって溶媒和されているため、これらも又、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0049】
上述したように、発明者の知識が及ぶ限り、一般式(I)の範囲内に含まれる既知の化合物の幾つかについては薬理活性も医療利用も過去に開示されていないため、本発明の詳細な目的は、薬剤として使用するための、1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ジフェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンから成る群から選択される化合物に関する。
【0050】
本発明の更に詳細な目的は、1−(3−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ヨードフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ビス−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンから成る群から選択される新規な化合物に関する。
【0051】
上記の式(I)の化合物のMPTPの阻害物質としての生物活性並びに変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患を予防及び/又は治療する薬剤を製造するためのその使用は、一連の試験管内及び生体内アッセイを通して実証されており、このアッセイは、ミトコンドリアの試験管内アッセイ及び2種の生体内マウスモデル(糖尿病性網膜症の未熟児網膜症(ROP)モデル及び多発性硬化症のモデルとしての実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis:EAE))を含む。
【0052】
本発明の式(I)の化合物は、式(II)
【0053】
【化3】

(式中、R及びRは、上記の定義を有する。)のアニリンと、式(III)
【0054】
【化4】

(式中、R及びRは、上記の定義を有する。)の化合物との反応によって得ることができ得る。
【0055】
上記の式(II)の化合物は、市販されている又は当業者に既知の方法によって簡単に合成でき得る。
【0056】
上記の式(III)の化合物は、市販されている及び/又は式(IV)
【0057】
【化5】

(式中、R及びRは、上記の定義を有する。)の化合物から合成でき得る。
【0058】
このような反応は、例えば、還流する硫酸の存在下で、酢酸中にて行うことができ得る。
【0059】
式(IV)の化合物は、式(V)
【0060】
【化6】

(式中、R及びRは、上記の定義を有する。)の出発物質とグリオキシル酸との反応によって得られる。
【0061】
このような反応は、通常、室温にてメタノール中で、炭酸カリウムの存在下で2時間以内で行われる。
【0062】
上記の式(V)の化合物は、市販されている又は式(VI)
【0063】
【化7】

(式中、R及びRは、上記の定義を有する。)のブロモベンジル誘導体とKCNとの反応によって簡単に合成することができ得る。
【0064】
本発明による薬剤の製造に使用される式(I)の化合物は、通常、意図された目的を達成するのに適した医薬組成物中に組み入れられる。
【0065】
従って、この化合物は、上記の医薬組成物に、疾患を予防又は治療するのに有効な量にて含有させられる。通常、この化合物は、哺乳類(例えば、ヒト)に1日に体重1キロ当たり0.1〜100mgの投与量にて投与され得るが、各個体にとっての最適な範囲は、当該分野における技術範囲内で求められる。
【0066】
本発明による式(I)の化合物を投与するのに有用な医薬組成物は、経口、直腸、皮下、静脈、筋肉、腹腔、経皮、経粘膜(頬側、舌下、経尿道及び直腸を含む)、局所、吸入及び眼球経路(眼球インプラント、薬剤貯留型インプラント(reservoir implant)及び硝子体内投与等の注射治療を含む)又は他の投与経路を用いた形態である。
【0067】
経口により投与でき得る調合物は、通常、錠剤、糖衣錠及びカプセル等の固形物並びにシロップ、エマルション及び懸濁液等の液状物の両方の形態である。
【0068】
この固形物は、活性化合物と共に、適切な賦形剤及び助剤を含有しており、賦形及び助剤はたとえば、入党、ブドウ糖、ショ糖、セルロース調合物及びリン酸カルシウム等の充填剤、トウモロコシでんぷん、ジャガイモでんぷん、米でんぷん、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、アラビアゴム及びポリビニルピロリドン等のバインダ、シリカ、タルク、ステアリン酸及び/又はそのマグネシウム及びカルシウム塩並びにポリエチレングリコール等の滑剤、でんぷん、寒天、アルギン酸又はその塩、デンプングリコール酸ナトリウム及び架橋ポリビニルピロリドン等の崩壊剤である。染料、沸騰剤、湿潤剤を前述の固形調合物に添加してもよく、これらの固形調合物は、それ自体が既知であるやり方、例えば、活性化合物を固形賦形剤と混合し、得られる混合物を粉砕し、必要なら適切な助剤を添加した後にこの細粒を錠剤、糖衣錠又はカプセルに加工することにより製造され得る。糖衣又はフィルムコーティング工程も、前述の固形物の製造に応用され得る。
【0069】
固形経口製剤は、慣用のやり方、例えば腸溶コーティングを錠剤及び顆粒に塗布することにより調製でき得る徐放性製剤の形態でもあり得る。
【0070】
シロップは、ショ糖、グリセリン、マンニトール及び/又はソルビトール等の担体を含有し得る。
【0071】
懸濁液及びエマルションは、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコール等の担体を含有し得る。
【0072】
直腸内投与に適した医薬調合物、例えば坐薬は、活性化合物を、天然又は合成トリグリセリド、ココアバター、ポリエチレングリコール、パラフィン炭化水素、ポリオキシエチレン、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤及びレシチン等の坐薬基剤と共に含有している。
【0073】
皮下及び筋肉内投与に適した非経口製剤は、水溶液及び適当な油系担体中の活性化合物である懸濁液を含む。適した油系担体は、脂肪油(例えば、ゴマ油、オリーブオイル)、合成脂肪酸エステル、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、トリグリセリド及びポリエチレングリコール等の親油性のビヒクルを含む。
【0074】
水性懸濁注射液は、増粘物質、例えばソルビトール、デキストラン及びカルボキシメチルセルロースナトリウムも含有し得る。
【0075】
静脈内注射又は注入のための調合物は、通常、担体として滅菌水を、好ましくは無菌等張生理食塩水の形態で含有している。
【0076】
本発明の化合物は、経皮放出を介して投与されてもよい。通常の経皮製剤は、クリーム、オイル、ローション若しくはペースト等の慣用の水性及び非水性媒体を含む又は膜若しくは薬用プラスター剤として提供でき得る。ある実施形態において、本発明の化合物は、皮膚に付着する感圧プラスター剤中に分散させられる。この製剤は、化合物を皮膚を介してプラスター剤から患者に拡散させることができる。皮膚を介して薬物を徐放させるために、天然ゴム及びシリコンが、感圧接着剤として使用でき得る。
【0077】
本発明の化合物は、局所的にも投与でき得る。局所製剤は、例えば、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、溶液、ペースト等を含み得る並びに/又はリポソーム、ミセル及び/又は微粒子を含有するように調製され得る。医薬製剤の分野において周知であるように、軟膏は、通常、ワセリン又は他の石油誘導体を基剤とした半固形の調合物である。軟膏の例は、油性の軟膏基剤、例えば、植物油、動物から得た脂肪及び石油から得られた半固形炭化水素、乳化可能な軟膏基剤、例えば、ヒドロキステアリンスルフェート、無水ラノリン及び親水性ワセリン、乳剤性軟膏基剤、例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン及びステアリン酸並びに様々な分子量のポリエチレングリコールから調製された水溶性軟膏基剤を含む(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Twentieth Ed., Lippincott Williams & Willcins: Philadelphia, 2000を参照のこと)。同じく当業者に周知であるクリームは、粘性のある液体又は半固形のエマルションであり、油相、乳化剤及び水相を含有する。油相は、一般に、ワセリン及びセチル又はステアリルアルコール等の脂肪アルコールから構成される。水相は、通常、湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤から選択される。単相ゲルは有機高分子を含有し、有機高分子は、通常は水性であるが好ましくはアルコールを含有し、場合によって油分も含有する液状担体全体に実質的に均一に分散させられている。好ましいゲル化剤は、架橋アクリル酸重合体(「カルボマー」重合体、例えばCarbopolの商標で商業的に入手され得るカルボキシポリアルキレン等)である。ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体及びポリビニルアルコール等の親水性重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びメチルセルロース等のセルロース重合体、トラガカントゴム及びキサンタンゴム等のゴム、アルギン酸ナトリウム並びにゼラチンも好ましい。均一なゲルを調製するために、アルコール若しくはグリセリン等の分散剤が添加でき得る又はゲル化剤を、研和(trituration)、機械的混合及び/若しくは攪拌により分散させることができ得る。
【実施例】
【0078】
一般法
市販の試薬及び溶媒(HPLCグレード)は、更に精製されることなく使用された。
【0079】
H−NMRスペクトルは、Bruker 400MHz AV分光計、Bruker DPX 250MHz分光計又はBruker DPX 360MHz分光計上で重水素化溶媒中で記録された。ここにおいて報告される化学シフト(δ)は、100万分の1で示される。薄層クロマトグラフィ(thin−layer chromatography:TLC)分析は、Kieselgel 60 F254(Merck)プレートを用いて行われ、UV光を用いて可視化された。
【0080】
分析HPLC−MSは、Agilent HP1100、Waters 600又はWaters 1525LCシステム上にて、逆相Hypersil BDS C18カラム(5μm、2.1x50mm)を用いて、勾配0〜95% B(A=水/0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、B=アセトニトリル/0.1%TFA)にて2.10分に亘って、流量=1.0ml/分で行われた。UVスペクトルは、215nmにて、Gilson G1315Aダイオード・アレイ検出装置、G1214A単一波長UV検出装置、Waters 2487二波長UV検出装置、Waters 2488二波長UV検出装置又はWaters 2996ダイオード・アレイUV検出装置を用いて記録された。質量スペクトルは、範囲m/z150〜850に亘って、1秒あたり2走査又は1.2秒あたり1走査のサンプリングレートにて、Z型スプレーインターフェースを備えたMicromass LCT又はZ型スプレー若しくはMUXインターフェースを備えたMicromass LCTを用いて得られた。データは、OpenLynx及びOpenlynx Browserソフトウェアを用いて統合及び報告された。実施例32及び47の化合物については、HPLC−MSは、Agirent HP1100システム上にて、逆相Waters Xterra MS C8カラム(3.5μm、2.1x50mm)を用いて、勾配0〜95% B(A=水/0.1%ギ酸、B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)にて7.0分に亘って、流量=0.6ml/分で行われた。UVスペクトルは、215nmにて、Waters 2996ダイオード・アレイUV検出装置を用いて記録された。質量スペクトルは、範囲m/z150〜1000に亘って、1秒あたり2走査のサンプリングレートにて、Waters ZQ質量分析計を用いて得られた。データは、OpenLynx及びOpenlynx Browserソフトウェアを用いて統合及び報告された。
【0081】
実施例1:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
【0082】
【化8】

【0083】
段階A:3−シアノ−3−(3−メチルフェニル)アクリル酸カリウム
メタノール(500ml)中の(3−メチルフェニル)−アセトニトリル(21.6ml、165mmol)の攪拌溶液に、グリオキシル酸水和物(22.7g、247mmol)及び炭酸カリウム(57.0g、412mmol)が添加された。この反応混合物は、室温にて2時間に亘って攪拌され、続いて3時間に亘って還流させられた。沈殿物は濾別され、メタノール(300ml)及びジクロロメタン(DCM、300ml)で洗浄され、次に空気の吸引により乾燥させられた。所望の生成物は、白色の固形物として得られ、この固形物は、更に精製されることなく次の段階において使用された。
収率:43g
質量スペクトル(ES−MS(+ve))188[M(遊離酸)+H]+、保持時間1.82分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.45−7.32(2H、m)、7.30(1H、t)、7.15(1H、d)、7.05(1H、s)、2.29(3H、s)
【0084】
段階B:(3−メチルフェニル)−フラン−2,5−ジオン
濃硫酸(2ml)を含有する88%ギ酸(14ml)中の3−シアノ−3−(3−メチルフェニル)アクリル酸カリウム(0.69g、3mmol)の懸濁液は、出発物質が消費されるまで還流下で攪拌され、LC−MSによって監視された。反応混合物は室温にまで冷却され、氷/水中に注がれた。得られた沈殿物は濾過により回収され、水(15ml)、ヘプタン(15ml)により洗浄され、空気乾燥させられた。
収率:270mg(48%)
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.94−7.85(2H、m)、7.72(1H、s)、7.51−7.39(2H、m)、2.40(3H、s)
【0085】
段階C:1−(3−クロロフェニル)−(3−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
酢酸(5ml)中の(3−メチルフェニル)−フラン−2,5−ジオン(265mg、1.41mmol)の室温の攪拌溶液に、3−クロロアニリン(149μl、1.41mmol)が添加された。反応混合物は還流するまで加熱され、3時間に亘って攪拌された。反応混合物は、室温にまで冷却された。生成された沈殿物は濾過され、水(15ml)中に再懸濁させられ、濾過により回収された。沈殿物は、水(10ml)、ヘプタン(10ml)で洗浄され、空気の吸引とそれに続く高真空によって乾燥させられた。
収率:160mg(38%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))298[M+H]+、保持時間2.52分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.70−7.61(2H、m)、7.35−7.10(6H、m及び1H、s)、2.15(3H、s)
【0086】
実施例2〜42は、特に指定がない限り、要求された出発物質(段階A)及び適当なアニリン(段階C)を用いてスキーム1に記載の手順に従って調製された。収率は、特に指定がない限り、スキーム1における段階Cについて報告された。
【0087】
実施例2:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
段階A:3−シアノ−3−(4−フルオロフェニル)アクリル酸カリウム
反応は、室温で3時間に亘って行われた。
収率:2.2g(38%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))192[M(遊離酸)+H]+、保持時間1.72分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.69−7.60(2H、m)、7.32−7.22(2H、m)、7.03(1H、s)
【0088】
段階B:3−(4−フルオロフェニル)−フラン−2,5−ジオン
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.38−8.21(2H、m)、7.90(1H、s)、7.68−7.52(2H、m)
【0089】
段階C:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:200mg(85%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))302[M+H]+、保持時間2.44分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.13−8.00(2H、m)、7.50−7.39(3H、m及び1H、s)、7.38−7.28(3H、m)
【0090】
実施例3:1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:230mg(92%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))320[M+H]+、保持時間2.52分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.22−8.12(2H、m)、7.75(1H、d)、7.65(1H、t)、7.53(1H、s)、7.50−40(3H、m)
【0091】
実施例4:1,3−ビス−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。濾過により回収された固形物は、メタノール(5ml)で更に研和された。
収率:207mg(93%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))286[M+H]+、保持時間2.35分、98%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.23−8.10(2H、m)、7.51−7.30(6H、m及び1H、s)
【0092】
実施例5:1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:181mg(81%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))286[M+H]+、保持時間2.37分、98%UV
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):8.21−8.05(2H、m)、7.61−7.20(6H、m及び1H、s)
【0093】
実施例6:1−(2−メトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。濾過により回収された固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:132mg(57%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))298[M+H]、保持時間2.30分、97%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.24−8.17(2H、m)、7.56−7.42(3H、m及び1H、s)、7.37(1H、dd)、7.25(1H、dd)、7.13(1H、dt)、3.81(3H、s)
【0094】
実施例7:1−(2−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:195mg(88%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))286[M+H]、保持時間2.34分、99%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.11−8.04(2H、m)、7.53−725(6H、m及び1H、s)
【0095】
実施例8:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
【0096】
濾過により回収された固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:186mg(71%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))377[M+H+MeCN]、保持時間2.49分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.22−8.12(2H、m)、7.85(1H、s)、7.80−7.71(3H、m)、7.52(1H、s)、7.48−7.39(2H、m)
【0097】
実施例9:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
段階A:3−シアノ−3−(3−フルオロフェニル)−アクリル酸カリウム
反応は、室温で行われた。
収率:5.7g
質量スペクトル(ES−MS(+ve))192[M(遊離酸)+H]+、保持時間1.72分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.55−7.38(3H、m)、7.27−7.20(1H、m)、7.15(1H、s)
【0098】
段階B:3−(3−フルオロフェニル)−フラン−2,5−ジオン
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.92−7.79(2H、m及び1H、s)、7.69−7.58(1H、m)、7.51−7.39(1H、m)
【0099】
段階C:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:210mg(89%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))302[M+H]+、保持時間2.45分、95%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.14−8.03(2H、m)、7.80−7.64(4H、m及び1H、s)、7.61−7.51(2H、m)
【0100】
実施例10:1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:182mg(73%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))320[M+H]+、保持時間2.54分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.09−7.99(2H、m)、7.80(1H、m)、7.75−7.65(2H、m及び1H、s)、7.60−7.55(2H、m)
【0101】
実施例11:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
段階A:3−(4−ブロモフェニル)−3−シアノ−アクリル酸カリウム
反応は、室温で行われた。
収率:11.0g(精製されず)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))252、254 [M(遊離酸)+H]+、保持時間2.01分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.49−7.40(2H、m)、7.39−7.30(2H、m)、6.97(1H、s)
【0102】
段階B:3−(4−ブロモフェニル)−フラン−2,5−ジオン
収率:5.4g(2段階後84%)
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.02−7.96(2H、m)、7.85−7.75(2H、m及び1H、s)
【0103】
段階C:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
残留物を熱いメタノールにより研和すると、掲題の化合物が得られた。
収率:49mg(37%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))、イオン化なし、保持時間2.57分、97%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.10−8.00(2H、m)、7.88−7.70(2H、m)、7.60−7.45(3H、m及び1H、s)、7.40−7.35(1H、m)
【0104】
実施例12:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
段階A:3−(3−ブロモフェニル)−3−シアノ−アクリル酸カリウム
反応は、室温で行われた。
収率:12.5g
質量スペクトル(ES−MS(+ve))252、254[M(遊離酸)+H]+、保持時間1.98分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.58(1H、t)、7.47−7.38(2H、m)、7.23(1H、t)、7.04(1H、s)
【0105】
段階B:3−(3−ブロモフェニル)−フラン−2,5−ジオン
収率:4.7g(2段階後73%)
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.23(1H、s)、8.00(1H、d)、7.84(1H、s)、7.79(1H、d)、7.55(1H、t)
【0106】
段階C:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。残留物を熱いメタノールで研和すると、掲題の化合物が得られた。
収率:45mg(31%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))、イオン化なし、保持時間2.56分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):8.30(1H、s)、8.15−8.02(1H、m)、7.80−7.70(1H、m)、7.60(1H、s)、7.58−7.46(5H、m)、7.45−7.30(1H、m)
【0107】
実施例13:1−(3−クロロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
段階A:3−シアノ−3−(2−フルオロフェニル)−アクリル酸カリウム
反応は、室温で行われた。
収率:9g
質量スペクトル(ES−MS(+ve))192[M(遊離酸)+H]+、保持時間1.81分、97%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.28−7.15(2H、m)、7.10−7.01(2H、m)、6.68(1H、s)
【0108】
段階B:3−(2−フルオロフェニル)−フラン−2,5−ジオン
収率:2.1g(2段階後30%)
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.11−8.00(1H、m)、7.70−7.60(1H、m)、7.52(1H、s)、7.50−7.35(2H、m)
【0109】
段階C:1−(3−クロロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:725mg(92%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))302[M+H]+、保持時間2.45分、99%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.12−8.05(1H、m)、7.68−7.37(7H、m)、7.30(1H、s)
【0110】
実施例14:1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:725mg(87%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))320[M+H]+、保持時間2.46分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.11−8.00(1H、m)、7.79−7.70(1H、m)、7.69−7.55(2H、m)、7.52−7.38(3H、m)、7.30(1H、s)
【0111】
実施例15:1−(3−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:310mg(39%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))280[M+H]+、保持時間2.13分、96%UV
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):8.13−8.02(2H、m)、7.60−7.51(3H、m)、7.47(1H、s)、7.44−7.38(1H、m)、7.03−6.93(3H、m)、3.79(3H、s)
【0112】
実施例16:1−(3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:497mg(65%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))268[M+H]+、保持時間2.16分、94%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.10−8.03(2H、m)、7.61−7.51(4H、m)、7.50(1H、s)、7.36−7.24(3H、m)
【0113】
実施例17:1−(4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(7ml)から更に再結晶化させられた。
収率:106mg(14%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))268[M+H]、保持時間2.33分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.96−7.89(2H、m)、7.45−7.37(3H、m)、7.36−7.28(1H、s及び2H、m)、7.27−7.17(2H、m)
【0114】
実施例18:1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(7ml)から更に再結晶化させられた。
収率:474mg(58%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))286[M+H]、保持時間2.38分、98%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.13−8.03(2H、m)、7.68−7.48(5H、m及び1H、s)、7.39−7.27(1H、m)
【0115】
実施例19:1−(3−ヨードフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
収率:830mg(77%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))376[M+H]+、保持時間2.28分、94%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.04−8.02(2H、m)、7.82(1H、s)、7.79(1H、d)、7.58−7.51(3H、m)、7.50−7.43(2H、m)、7.32(1H、t)
【0116】
実施例20:1−(3−ブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:420mg(45%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))328、330[M+H]+、保持時間2.25分、93%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.05−8.03(2H、m)、7.69(1H、s)、7.64(1H、d)、7.58−7.43(6H、m)
【0117】
実施例21:1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:500mg(52%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))334[M+H]+、保持時間2.28分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.10−8.03(2H、m)、7.69−7.64(1H、t)、7.58−7.53(3H、m)、7.52−7.49(3H、m)、7.43(1H、d)
【0118】
実施例22:1−(3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
固形物は、ヘプタン(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:310mg(41%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))264[M+H]+、保持時間2.46分、97%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.02−7.97(2H、m)、7.49−7.44(3H、m)、7.40(1H、s)、7.33(1H、m)、7.20−7.09(1H、m)、2.29(3H、s)
【0119】
実施例23:1−(2−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
収率:716mg(88%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))283[M+H]+、保持時間2.38分、92%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.11−8.03(2H、m)、7.71(1H、d)、7.62−7.51(7H、m)
【0120】
実施例24:1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
収率:805mg(81%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))346、348[M+H]+、保持時間2.54分、97%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.10−8.03(2H、m)、7.88(1H、t)、7.58−7.52(4H、m)、7.50(1H、s)、7.29(1H、d)
【0121】
実施例25:1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
収率:780mg(91%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))298、300[M+H]+、保持時間2.55分、88%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.10−8.02(2H、m)、7.57−7.46(6H、m)、7.31(1H、d)、2.38(3H、s)
【0122】
実施例26:1−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
収率:850mg(99%)
質量スペクトル(ES−MS (+ve) )300、302[M+H]+、保持時間2.21分、90%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):10.40(1H、s)、8.09−8.01(2H、m)、7.45−7.49(3H、m)、7.33(1H、s)、7.31−7.29(1H、m)、7.09−7.02(1H、m)、6.98−6.92(1H、m)
【0123】
実施例27:1−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:397mg(82%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))282[M+H]+、保持時間2.46分、91%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.13−8.04(2H、m)、7.61−7.57(3H、m)、7.51(1H、s)、7.38(1H、d)、7.34−7.29(2H、m)、2.32(3H、s)
【0124】
実施例28:1−(2−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:408mg(89%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))268[M+H]、保持時間2.32分、90%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.09−8.02(2H、m)、7.58−7.48(5H、m及び1H、s)、7.47−7.40(1H、m)、7.39−7.32(1H、m)
【0125】
実施例29:1−(2,3−ジメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:355mg(74%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))278[M+H]+、保持時間2.46分、88%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.21−8.15(2H、m)、7.69−7.63(3H、m)、7.61(1H、s)、7.40(1H、d)、7.33(1H、t)、7.25(1H、d)、2.44(3H、s)、2.12(3H、s)
【0126】
実施例30:1−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:409mg(81%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))294[M+H]+、保持時間2.39分、86%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.96−7.89(2H、m)、7.43−7.38(3H、m)、7.33(1H、s)、7.06(1H、d)、6.82−6.80(1H、m)、6.75−6.71(1H、m)、3.64(3H、s)、1.95(3H、s)
【0127】
実施例31:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:439mg(80%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))318[M+H]+、保持時間2.46分、98%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.07−8.01(2H、m)、7.82(1H、s)、7.79−7.70(3H、m)、7.52−7.49(3H、m)、7.48(1H、s)
【0128】
実施例32:1−(3−クロロフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:54mg(46%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))344[M+H]+、保持時間4.84分、87%UV(7分LC−MS法)
H−NMR(d−DMSO、360MHz):7.87(1H、dd)、7.71(1H、d)、7.65−7.53(3H、m)、7.50−7.45(1H、m及び1H、s)、7.19(1H、d)、3.91(3H、s)、3.90(3H、s)
【0129】
実施例33:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:139mg(82%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))348[M+H]、保持時間2.50分、90%UV
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):8.10(2H、d)、7.90−7.70(4H、m)、7.39(1H、s)、7.10(2H、d)、3.85(3H、s)
【0130】
実施例34:1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:95mg(65%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))298[M+H]、保持時間2.35分、92%UV
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):8.10(2H、d)、7.51−7.28(4H、m及び1H、s)、7.11(2H、d)、3.86(3H、s)
【0131】
実施例35:1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:280mg(91%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))316[M+H]、保持時間2.40分、97%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.14(2H、d)、7.71−7.58(2H、m)、7.40(1H、s)、7.38−7.32(1H、m)、7.16(2H、d)、3.89(3H、s)
【0132】
実施例36:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:92mg(67%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve)300[M+H]+、保持時間2.22分、94%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):10.30(1H、s)、8.00(2H、d)、7.56−7.45(3H、m)、7.40(1H、d)、7.24(1H、s)、6.91(2H、d)
【0133】
実施例37:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
段階A:3−シアノ−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−アクリル酸カリウム
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:15.5g
質量スペクトル(ES−MS(+ve))222[M(遊離酸)+H]、保持時間1.74分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):7.28−7.10(4H、m)、3.96(3H、s、Me)
【0134】
段階B:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−フラン−2,5−ジオン
収率:1.7g(2段階後32%)
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):8.00−7.90(2H、m)、7.65(1H、s、アルケンCH)、7.38(1H、t)、3.94(3H、s、Me)
【0135】
段階C:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:132mg(59%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))、イオン化なし、保持時間4.87分、97%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.02−7.94(2H、m)、7.58−7.46(3H、m)、7.44−7.32(1H、s及び2H、m)、3.93(3H、s、Me)
【0136】
実施例38:1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。固形物は、メタノール(5ml)から更に再結晶化された。
収率:131mg(55%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))、イオン化なし、保持時間2.46分、89%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.02−7.94(2H、m)、7.70(1H、dd)、7.59(1H、t)7.48−7.42(1H、m及び1H、s)、7.35(1H、t)、3.93(3H、s)
【0137】
実施例39:1−(2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。固形物は、DCM/ヘプタンの1:1混合物(5ml)から更に再結晶化させられた。
収率:120mg(15%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))280[M+H]、保持時間4.47分、98%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.09−8.01(2H、m)、7.57−7.51(3H、m)、7.50−7.43(1H、m及び1H、s)、7.31(1H、dd)、7.19(1H、dd)、7.06(1H、dt)、3.75(3H、s)
【0138】
実施例40:1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。固形物は、メタノール(5ml)で更に研和された。
収率:74mg(43%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))298[M+H]、保持時間2.32分、88%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.09−8.01(2H、m)、7.58−7.50(3H、m)、7.47(1H、s、アルケンCH)、7.39(1H、dd)、7.13(1H、dd)、6.92(1H、dt)、3.77(3H、s、Me)
【0139】
実施例41:1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−(4−フルロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。固形物は、メタノール(5ml)により更に研和された。
収率:123mg(68%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))316[M+H]、保持時間4.58分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):8.18−8.10(2H、m)、7.47(1H、s)、7.45−7.35(3H、m)、7.13(1H、dd)、6.92(1H、dt)、3.77(3H、s、Me)
【0140】
実施例42:1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
掲題の化合物は、実施例2に記載の手順に従って調製された。
収率:123mg(58%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))316[M+H]、保持時間4.68分、100%UV
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):8.05−7.95(2H、m)、7.64−7.50(1H、m)、7.45(1H、s)、7.42−7.23(4H、m)、3.94(3H、s)
【0141】
実施例43:1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
三臭化ホウ素(52.5ml、0.55mmol)は、室温のジクロロメタン(5ml)中の1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン(実施例39、175mg、0.53mmol)の溶液に窒素下にて滴下添加された。溶液は、6時間に亘って室温にて攪拌された。次に、反応物は、氷水(5ml)中に注がれ、更に30分に亘って攪拌された。生成物は濾別され、水(10ml)で洗浄され、吸引により乾燥させられた。
収率:123mg(73%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))318[M+H]、保持時間4.42分、99%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):10.84(1H、s)、7.94(1H、dd)、7.85(1H、dd)、7.58−7.46(3H、m)、7.42−7.36(1H、m)、7.33(1H、s)、7.09(1H、t)
【0142】
実施例44〜47は、要求されたメトキシ誘導体から開始して、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンについての実施例43に記載の手順に従って調製された。
【0143】
実施例44:1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
固形物は、メタノール(2ml)から更に再結晶化させられた。
収率:22mg(46%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))、イオン化なし、保持時間4.46分、89%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):10.84(1H、s)、7.94(1H、dd)、7.85(1H、dd)、7.69(1H、dd)、7.58(1H、t)、7.49−7.41(1H、m)、7.34(1H、s)、7.09(1H、t)
【0144】
実施例45:1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:21mg(49%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))、イオン化なし、保持時間4.22分、90%UV
H−NMR(d−DMSO、400MHz)δ(ppm):10.83(1H、s)、7.95(1H、dd)、7.85(1H、dd)、7.60−7.51(1H、m)、7.37−7.22(3H、m及び1H、s)、7.09(1H、t)
【0145】
実施例46:1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:116mg(56%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))、イオン化なし、保持時間4.24分、98%UV
H−NMR(d−DMSO、250MHz)δ(ppm):10.30(1H、s)、8.00(2H、d)、7.70−7.50(2H、m)、7.35−7.22(1H、m及び1H、s)、6.92(2H、d)
【0146】
実施例47:1−(3−クロロフェニル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン
収率:23mg(57%)
質量スペクトル(ES−MS(+ve))316[M+H]+、保持時間4.23分、96%UV(7分LC−MS法)
H−NMR(d−DMSO、400MHz):9.95(2H、broad s)、7.70−7.48(5H、m)、7.44−7.39(1H、m)、7.17(1H、s)、6.89(1H、d)
【0147】
以下の化合物は、市販されている又は文献に記載されている。
【0148】
実施例48:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン(Augustin, M.; Koehler, M. Synthesis of 2-aryl maleimides. Zeitschrift fur Chemie, 1975, 15(3), 102) 。
【0149】
実施例49:1,3−ジフェニルピロール−2,5−ジオン(Almstrom, G.K. Some derivatives of pyrrole. III. Journal of the Chemical Society, Abstracts (1916), 110(1), 568)。
【0150】
実施例50:1−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン(Yuki, H.; Yamamoto, T.; Tohira, Y.; Aoki, B.; Aoki, B.; Kano, T.; Yamazaki, T. Antiviral agents. II. Synthesis and biological activity of maleimide derivatives. Chemical & Pharmaceutical Bulletin (1967), 15(8), 1101-1106)。
【0151】
実施例51:1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン(Hebenbrock, K.F. Preparation and reaction of l-aryl-3-hydroxy-3-methyl-2, 5-pyrrolidinediones. Justus Liebigs Annalen der Chemie 1978, (2), 320-336)。
【0152】
実施例52:1−(4−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン(Artico, M.; Filacchioni, G.; Nacci, V.; Chimenti, F. Synthesis of pyrrolnitrin analogs. III. Preparation and antibacterial properties of 1, 3-diaryl-substituted maleimides. Farmaco, Edizione Scientifica 1971, 26(5), 411-423)。
【0153】
実施例53:1−(3−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、Chemical Block:A0846/0039618、モスクワ、ロシア
【0154】
実施例54:1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、Chemical Block:A1495/0065580
【0155】
実施例55:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、Chembridge:5630429、サンディエゴ、米国
【0156】
実施例56:1,3−ビス−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、Chembridge:5633406
【0157】
実施例57:1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン(Augustin, M.; Koehler, M. Synthesis of 2-aryl maleimides. Zeitschrift fur Chemie, 1975, 15(3), 102)。
【0158】
実施例58:1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、Maybridge:S12623、ティンタジェル(Tintagel)、英国
【0159】
実施例59:1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、Maybridge:S13120、ティンタジェル、英国
【0160】
実施例60:1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、Chembridge:5632689、サンディエゴ、米国
【0161】
実施例61:1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、Maybridge:S09209、ティンタジェル、英国
【0162】
実施例62:1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、Chembridge:5628990、サンディエゴ、米国
【0163】
実施例63:1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、Maybridge:S09579、ティンタジェル、英国
【0164】
ミトコンドリア試験管内アッセイ:方法及び結果
ミトコンドリア試験管内アッセイは、ミトコンドリア細胞小器官の特性に基づいており、この特性により、還元的試験管内細胞系においてミトコンドリアの機能を調べることができる。ミトコンドリア内での工程の多くを、様々な組織から得られる単離されたミトコンドリアの懸濁液内で調査することができる。
【0165】
単離されたミトコンドリアがカルシウムを外部から取り込む能力は、ミトコンドリアの完全性及び機能の直接的な尺度である。実際に、MPTは、細胞小器官の構造がで無傷であることを必要とする特殊なチャネルを介してカルシウムを汲み上げるミトコンドリアの能力を損なう。このアッセイは、この現象を利用することにより、本発明の化合物が単離されたミトコンドリアにおいてMPTを干渉する能力を評価する。
【0166】
マウスの肝臓からのミトコンドリアの調達
ミトコンドリアは、体重20〜25gの雄の129系又はC57/B6系マウスの肝臓から調達された。マウスは、頚椎脱臼により屠殺された。肝臓が取り出され、氷冷された0.25Mショ糖、10mMトリスHCl、0.1mMエチレン−ビス(オキソエチレンニトリロ)四酢酸中(EGTA)(pH7.4)中に置かれた。肝臓は、氷冷された溶媒で3〜4回すすがれ、ハサミで細分化され、氷水浴内に維持された手動式ポッター(Potter)型ホモジナイザに通された。ホモジネートは、肝臓1つあたり50mlに希釈され、破壊されていない細胞及び核は、4℃に維持されたBeckman AvantiTM J−25冷却遠心機内で900xgにての10分に亘る遠心分離により沈殿させられた。上清は慎重にデカントされ、同じ遠心分離機内で7000xgにて10分間に亘って遠心分離された。上清は廃棄され、ミトコンドリアペレットは、氷冷された分離培地に慎重に再懸濁させられ、上記のように遠心分離された。得られたミトコンドリアペレットは、少量の氷冷された分離培地に再懸濁させられ、氷上で保存された。ミトコンドリアのタンパク質含有量は、ビウレット反応により求められた。
【0167】
カルシウム保持能(Calcium Retention Capacity:CRC)
ミトコンドリアのCa2+保持能(CRC)は、Ca2+を取り込んだ後にミトコンドリアがPTPを開口する傾向についての精度の高い尺度である。ミトコンドリアは、その内膜に存在するCa2+単輸送体によりCa2+を双方向に透過させることができるため、ミトコンドリアの膜電位(ΔΨm)は、ミトコンドリアのマトリクス内におけるCa2+の蓄積と、その結果としてのCa2+勾配に関与している。ΔΨmの低下(PTP開口中のHの流入によって引き起こされる脱分極等)は、ミトコンドリア内空間とミトコンドリア外空間との間でのCa2+の再分布に至ると予想され、その際、Ca2+は、ミトコンドリア膜を通る使用可能な経路の全てを利用する。
【0168】
ミトコンドリア調製物のCRCは、蛍光Ca2+指示薬であるカルシウムグリーン5N(励起−発光:505−535nm)の存在下で、マグネチック・スターラー及び25℃に設定された温度制御装置を備えたPerkin−Elmer LS55分光蛍光計を用いて蛍光分析により評価された(Ichas, F.; Jouaville, L.S.; Mazat, J.P. Mitochondria are excitable organelles capable of generating and conveying electrical and calcium signal. Cell., 1997, 89, 1145-1153)。カルシウムグリーン5Nは、膜を透過しない蛍光プローブであり、ミトコンドリア懸濁液に添加することにより、ミトコンドリア外部の培地中のCa2+の存在を検出することができる。ミトコンドリアには、1分間隔で10μMのCa2+パルスが負荷された。これらの条件下で、ミトコンドリアは、PTPの開口により急激なCa2+放出が起こるまでの間、活発にCa2+を取り込み及び保持した。PTPの開口に必要なカルシウムパルスの数(カルシウムの最終濃度)が、ミトコンドリアのCRCである。従って、このCa2+負荷試験計画は、PTPの開口を測定するための簡便で感度の高いアッセイであり、本発明の化合物がPTPの開口を阻害する能力を評価するために用いられる。本発明の化合物は、カルシウムパルスの供給が開始される1分前にミトコンドリア溶液に直接添加され、PTPを開口させるのに必要とされたカルシウムパルスの数が求められた。本発明の化合物の存在下でミトコンドリアの膨張を惹起するのに必要なカルシウムの量(カルシウムパルスの数から計算される)と本発明の化合物の不在下でミトコンドリアの膨張を惹起するのに必要なカルシウムの量との比が、本発明の化合物の予防効果の尺度である。この値はCRC有効性と称され、本発明の幾つかの化合物から得られた結果が、表1に報告されている。
【0169】
【表1】

【0170】
ROPアッセイ:方法及び結果
網膜血管新生が、虚血誘発性網膜血管新生のマウス未熟児網膜症(ROP)モデルにおいて評価された。げっ歯類において、網膜の血管形成は、一般に、生後14日目(P14)までに完了する。生後2週目の間に酸素治療を行うと、視神経乳頭付近の未熟な網膜血管の閉塞が部分的に引き起こされ、続く深網膜層における血管の発達が阻害される。酸素治療を停止すると、網膜の虚血は異常な血管増殖、すなわち網膜血管新生を引き起こす。
【0171】
生後7日目(P7)で、マウスの新生児は、酸素供給保温器(oxygen incubator)内で5日間に亘って75%のOに曝露された。二酸化炭素のラットの網膜への影響を回避するために(Holmes, J.M.; Zhang, S.; Leske, D.A.; Lanier, W.L. Carbon dioxide-induced retinopathy in the neonatal rat. Curr. Eye Res., 1998, 17, 608-616)、CO吸収剤が、保温器内に置かれた(Sodasorb、GRACE、エペルノン、フランス)。酸素濃度は、酸素モニタ(Miniox III、Catalyst Research、メリーランド)によって監視された。大気中(21%O)で飼育されたマウスの子供が、対照群であった。
【0172】
12日目(P12)に、マウスは酸素曝露室から出され、ハミルトン(Hamilton)シリンジを用いて本発明の化合物又はビヒクル溶液が、硝子体内に注射された。ROP及び対照群の両方から数匹のマウスが無作為に選ばれ、麻酔をかけられ、次に左心室を介してPBS(Sigma Chemical Co.、セントルイス、ミズーリ)中のフルオレセインイソチオシアネート・デキストラン(2x106分子量)(50mg/ml)1mlが潅流させられた。各群の残りのマウスは、大気中にて更に5日間に亘って(P17)飼育され、次に上述されたようにフルオロセインを潅流させられた。潅流後、眼球が摘出され、次に4%パラホルムアルデヒド中で24時間に亘って4℃にて固定された。角膜、水晶体及び硝子体を外科的に除去し、網膜を丁寧に切開し、周辺網膜を切除し、グリセロール−ゼラチンを用いてプレパラート上に平らに載せた。プレパラート上に平らに載せられた網膜は、蛍光顕微鏡(Zeiss Axioplan 2、ソーンウッド、ニューヨーク)によって画像撮影され、コンピュータ画像処理(KS300、Kontron Electronik GmbH、ドイツ)により、網膜の画像が捉えられた。
【0173】
ROPに罹り易くさせた2つのマウス新生児群は、生後12日目に、DMSOに溶解させられた実施例63の化合物1−(3−クロロフェニル)3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン又はDMSO(ビヒクル)だけを、硝子体中における化合物の最終濃度が約1又は2又は4mMとなるように注射された。
【0174】
生後17日目での蛍光血管造影(Fluorangiographic)分析は、本発明の化合物による処理によって血管新生が大幅に軽減されたことを示した。
【0175】
生後17日目に同じ群から得た眼球を固定し、切片を作成し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色して、発達した内皮細胞の量を測定した。下のグラフは、各自4匹の異なるマウスを含む4つの実験代表群の1つから得られた、1切片あたりの内皮細胞の平均数を報告している(図1)。
【0176】
上記の化合物による処理は、ROP誘発試験後における眼球に存在する内皮細胞の数を大幅に低下させており、血管造影によって確認されたことを裏付けている。
【0177】
EAEアッセイ:方法及び結果
実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis:EAE)は、恐らく、中枢神経系(CNS)の脱髄疾患(多発性硬化症(MS)等)を研究するのに最適の動物モデルである。初期の古典的な研究時から、EAEは、CNS内での自己抗原に対しての免疫応答のメカニズムを分析したり、自己免疫疾患を治療するための新しい治療法を試験するのに有益なツールであった。げっ歯類は、EAEに罹患しやすい。種、抗原及び感作のモードに応じ、EAEは、単相性の急性の経過又は慢性の再発型となり得、ヒト多発性硬化症に似た、主として進行型の経過を辿る場合さえある。EAEの急性モデルではより迅速な実験及び観察が可能だが、慢性モデルでは、予防的治療対治療としての治療等の広範に亘った観察が可能である。
【0178】
生後7週間のC57ブラック/6N系の雌のマウスは、リン酸緩衝液及びフロイントアジュバント中に溶解させられた結核菌(mycobacterium tuberculosis)とミエリン・オリゴデンドロサイト・グリコプロテイン(MOG)のシーケンス35aa〜55aaのペプチドとのエマルションにより免疫を付与された。マウスは、全部で0.3mlのエマルションを3つの異なる部位から皮下注入された。免疫付与後すぐに、マウスは、0.1mlの百日咳毒素(550ng/μl)を静注された。免疫付与から48時間後、マウスは、百日咳毒素の2回目の負荷試験を受けた。このモデルは過去に記載されており(Furlan, R.; Brambilla, E.; Sanvito, F.; Roccatagliata, L.; Olivieri, S.; Bergami, A.; Pluchino, S.; Uccelli, A.; Comi, G.; Martino, G. Vaccination with amyloid-beta peptide induces autoimmune encephalomyelitis in C57/BL6 mice. Brain, 2003, 126, 285-291)、10日〜12日目での発症、3〜4日中の急激な進行及び臨床スコアが安定したままの安定期とを特徴とする。
【0179】
免疫付与から4日後、マウス群は、5mg/kgの実施例63の化合物1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンを毎日腹腔内注入された。
【0180】
免疫付与から10日目から、体重の減少及び運動機能異常について毎日マウスを評価した。
【0181】
ノンパラメトリックなスケールを用いて、EAEの臨床症状を評価した。スコアは、以下のパラメータに従って割り振られた。0=健康、1=弱々しい又は弛緩した尾、2=不安定な歩行(運動失調)、後肢の不全麻痺又は緩慢な正向反射、3=不全対麻痺、完全な後肢麻痺、4=前肢を含む不全対麻痺、5=瀕死又は死亡。
【0182】
2つのマウス群の観察から得られたノンパラメトリック試験の平均スコアが、以下に報告される。実施例63の1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンを用いた治療は、疾患の発現を大いに予防した。EAEに罹り易くさせたマウスの約30%もが20日後にアート(art)不全麻痺を発現した一方で、本発明の化合物で治療したマウスは1匹たりともこの疾患の同様の徴候を示さなかった(図2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の、
【化9】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ及び(C−C)ハロアルコキシを表す。)ラセミ体を含む、単一の立体異性体又はこれの混合物としての化合物の、
変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患、特に糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するための使用。
【請求項2】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、I型及びII型糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患並びに脳卒中から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項3】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、糖尿病性血管疾患及び神経変性障害から選択される、請求項1及び2のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項4】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、糖尿病性網膜症又は多発性硬化症である、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項5】
、R、R及びRが、それぞれ独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ及び(C−C)ハロアルコキシを表す。)ラセミ体を含む、単一の立体異性体又はこれの混合物としての化合物の、
変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患、特に糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
、R、R及びRが、それぞれ独立して水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、CF、CCl、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、OCF、OCHF及びOCHFを表す。)ラセミ体を含む、単一の立体異性体又はこれの混合物としての式(I)の化合物の、
変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患、特に糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎を予防及び/又は治療するための薬剤を調製するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
式(I)の化合物が、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンから成る群から選択される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
式(I)の化合物が、1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオンである、請求項7に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
薬剤として使用するための、1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ジフェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンから成る群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
1−(3−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ヨードフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−クロロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(2,3−ジメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−メチルフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ブロモフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−フルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ビス−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(2−メトキシフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンから成る群から選択される、請求項1に記載の式(I)化合物。
【請求項11】
1−(3−クロロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(3−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3−(2−フルオロフェニル)−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−ブロモフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−メチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−3−フェニル−ピロール−2,5−ジオン及び1−(3−クロロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−ピロール−2,5−ジオンから成る群から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
薬剤として使用するための請求項10及び11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患、特に糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎を予防及び/又は治療するための薬剤を製造するための、請求項9から11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、I型及びII型糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患並びに脳卒中から選択される、請求項13に記載の化合物の使用。
【請求項15】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、糖尿病性血管疾患及び神経変性障害から選択される、請求項13及び14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、糖尿病性網膜症又は多発性硬化症である、請求項15に記載の化合物の使用。
【請求項17】
変性性組織障害を特徴とする、MPTPの開口から起こる疾患、特に糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患、脳卒中、心筋梗塞、先天性ジストロフィ及び肝炎を、このような疾患を患っている哺乳動物に、式(I)
【化10】

(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルキル(この(C−C)アルキルは、場合によってヒドロキシ又は(C−C)アルコキシによって置換される。)、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ及び(C−C)ハロアルコキシを表す。)ラセミ体を含む、単一の立体異性体又はその混合物としての化合物の有効量を投与することにより予防及び/又は治療するための方法。
【請求項18】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、I型及びII型糖尿病、糖尿病性合併症、神経疾患並びに脳卒中から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、糖尿病性血管疾患及び神経変性障害から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
変性性組織障害を特徴とする前記疾患が、糖尿病性網膜症又は多発性硬化症である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−507599(P2010−507599A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533679(P2009−533679)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008238
【国際公開番号】WO2008/067863
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509116820)コンジエニア・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (1)
【Fターム(参考)】