説明

変速制御装置

【課題】街中走行から登降坂路走行での広範囲な走行状態において、勾配検出手段等を用いずに適切な走行を提供し、スムーズな走行を可能にした変速制御装置を提供する。
【解決手段】自動変速マップ(230)に基づき複数の変速ギア段を自動的に切り換える変速制御装置(150)であって、自動変速マップ(230)は、ドライブモード用変速マップ(240)とスポーツモード用変速マップ(242)とを有し、ドライブモード用変速マップ(240)は、第1モード用変速マップ(250)と、変速比が低い領域が前記第1モード用変速マップ(250)よりも多く、スポーツモード用変速マップ(242)より少ない第2モード用変速マップ(252)とを有し、第1モード用変速マップ(250)と第2モード用変速マップ(252)とをスロットル開度に基づく加速履歴に基づいて切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示す特許文献1には、1つのレンジに異なる変速マップを持たせ、走行状態に応じてマップを切り換えるという技術がある。例えば、「1」レンジにシフトレバーが固定されている場合に、走行中の勾配を判定し、降坂路では降坂路用マップに自動的に切り換えてしてシフトダウンを許可し、降坂時ではない、つまり、登坂路又は平坦路では、登坂路又は平坦路用マップに自動的に切り換えてシフトアップを許容してシフトレバーを「D」レンジにする必要がない、という技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−210487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、「1」レンジ、「2」レンジにおける変速の場合に特化しており、特に登坂路と降坂炉とが繰り返される道を走行する場合は特に有効である。しかし、「1」レンジ、「2」レンジで継続走行した場合などは、燃費、エンジン騒音などを考慮するとあまり得策ではなく、また、勾配を検出するセンサが必要となるためコストが嵩んでしまう。
【0005】
そこで、本発明は、街中走行から峠道等の登降坂路走行での広範囲な走行状態において、勾配検出手段等を用いずに適切な走行を提供するとともに、煩雑なシフト操作がいらなくなり、且つ、スムーズな走行を可能にした変速制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、少なくとも車速に応じた変速タイミングが設定された自動変速マップ(230)を備え、当該自動変速マップ(230)に基づき複数の変速ギア段を自動的に切り換える変速制御装置(150)であって、前記自動変速マップ(230)は、通常の走行全般に対応するドライブモード用変速マップ(240)と、前記ドライブモード用変速マップ(240)より変速比が低い領域が多く、ドライブモード用変速マップ(240)よりもスポーティな走行に対応するスポーツモード用変速マップ(242)とを有し、前記ドライブモード用変速マップ(240)及び前記スポーツモード用変速マップ(242)のいずれか一方を選択するモード選択手段(220)を備える変速制御装置(150)において、前記ドライブモード用変速マップ(240)は、基本変速マップである第1モード用変速マップ(250)と、前記第1モード用変速マップ(250)よりも変速比が低い領域が多い第2モード用変速マップ(252)とを有し、前記モード選択手段(220)が前記ドライブモード用変速マップ(240)を選択しているときに、前記第1モード用変速マップ(250)と前記第2モード用変速マップ(252)とを、スロットル開度に基づく加速履歴に基づいて切り換えるドライブモード用マップ切換手段(222)とを備え、前記第2モード用変速マップ(252)おける変速比が低い領域は、前記スポーツモード用変速マップ(242)のそれよりも小さいことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の変速制御装置(150)において、車速とスロットル開度に基づいて車両(12)が加速走行領域の走行状態であるかを判別する走行状態判別手段(214)を備え、ドライブモード用マップ切換手段(222)は、前記車両(12)が前記加速走行領域の走行状態に突入した回数をカウントし、第1の所定時間内に所定回数、前記加速走行領域の走行状態に突入した場合は、前記第1モード用変速マップ(250)から前記第2モード用変速マップ(252)に切り換えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の変速制御装置(150)において、前記ドライブモード用マップ切換手段(222)は、前記車両(12)が前記加速走行領域の走行状態に突入してから一定時間内に再び前記加速走行領域の走行状態に突入しなかった場合は、カウントした回数をリセットすることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載の変速制御装置(150)において、前記走行状態判別手段(214)は、さらに、車速とスロットル開度に基づいて前記車両がクルーズ走行領域の走行状態であるか否かを判別し、前記ドライブモード用マップ切換手段(222)は、前記第2モード用変速マップ(252)に切り換えてから、前記車両(12)が第2の所定時間クルーズ走行領域の走行状態である場合は、第1モード用変速マップ(250)に切り換えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の変速制御装置(150)において、モード選択手段(220)は、運転者の手動操作にしたがって、前記ドライブモード用変速マップ(240)及び前記スポーツモード用変速マップ(242)のいずれか一方を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ドライブモード用変速マップが、第1モード用変速マップと第2モード用変速マップを有することにより、広範囲での走行状態を許容することができる。特に、コーナーが連続する峠道などでは、コーナーへ進入する際には速度を減速させ、コーナーを出るときの速度を加速させるので、減速と加速とが所定時間の間で繰り返されるが、このような場合は、第2モード用変速マップが選択されるので、運転者がスポーツモード用変速マップを選択する必要がなくなり、使い勝手が良く、運転が楽になる。また、加減速が少なければ自動的に第1モード用変速マップに切り替わるので運転操作が一層容易になる。さらに、峠道等の登坂がきつい場合などには、スポーツモード用変速マップを選択することで、峠道の状況に合わせた運転者の選択範囲が広くなる。また、運転者の変速操作でマニュアル変速が可能な場合は、さらにライダーが必要に応じて手動で変速ギア段の切り換えを選択できるようなことも組み合わせることができるので、各走行場面での運転者の自由や楽しさがさらに増す。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第1の所定時間内に所定回数、加速走行領域の走行状態に突入するのは、運転者によってスロットル操作が頻繁に行われ、コーナリングを楽しんでいるとき判断できるので、第2モード用変速マップに切り換えることによって、キビキビとした走りを実現することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、加速走行領域の走行状態に突入してから一定時間内に再び加速走行領域の走行状態に突入しなかった場合は、運転者によってスロットル操作が頻繁に行われておらず、コーナリング走行でないと判断できるので、カウントをリセットすることで、第2モード用変速マップへの切り換わりを防止することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、クルーズ走行領域の走行状態が第2の所定時間続く場合は、運転者は、例えば街中等をゆったりと走行していると判断できるので、第1モード用変速マップに切り換えることで、運転者の意思に沿った、走行を行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、運転者の手動操作にしたがって、ドライブモード用変速マップ及びスポーツモード用変速マップのいずれか一方が選択されるので、運転者の意思を確実に認識した場合にスポーツモード用選択マップを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る変速制御装置が搭載される自動二輪車の外観左側面図である。
【図2】図1に示す自動二輪車の要部拡大図である。
【図3】メータ装置の正面図である。
【図4】変速制御装置の構成図である。
【図5】自動変速機制御部及び記憶部の機能ブロック図である。
【図6】走行状態判別マップを示す図である。
【図7】デフォルトモード用変速マップを示す図である。
【図8】クイックモード用変速マップを示す図である。
【図9】スポーツモード用変速マップを示す図である。
【図10】デフォルトモード用変速マップ、クイックモード用変速マップ、及びスポーツモード用変速マップの1速から2速に変速する変速タイミングを示す図である。
【図11】本実施の形態の自動変速モードと手動変速モードの切り換え、及び、ドライブモードの自動変速モードとスポーツモードの自動変速モードとの切り換え、及び、デフォルトモードとクイックモードの切り換えを示す概念図である。
【図12】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図13】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図14】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図15】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図16】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図17】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図18】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図19】手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すフローチャートである。
【図20】デフォルトモードとクイックモードの切り換え動作を示すフローチャートである。
【図21】自動二輪車の走行モードの遷移の一例を示す走行モード遷移図である。
【図22】一定時間内の加速走行領域への突入が連続して3回以上行われたか否かの判断を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る変速制御装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る変速制御装置が搭載される自動二輪車(原動付き自転車も含む)12の外観左側面図である。なお、発明の理解を容易にするために、特に指示のない限り、図1に示す矢印方向を基準として、前後及び上下の方向を説明するとともに、車体に着座した運転者から見た方向を基準として、左右の方向を説明する。
【0019】
自動二輪車(車両)12は、車体を構成する車体フレーム14と、車体フレーム14の前端部に設けられたヘッドパイプ16に回転自在に軸支される左右一対のフロントフォーク18と、フロントフォーク18に取り付けられる前輪(操舵輪)20と、車体フレーム14に支持される自動二輪車12の駆動源であるエンジンと自動変速機とからなるパワーユニット22と、車体フレーム下部のピボット部24に揺動可能に支持されるスイングアーム26と、該スイングアーム26の後端部に取り付けられる後輪(駆動輪)28とを備える。
【0020】
車体フレーム14は、ヘッドパイプ16から斜め下方に延びる一対のメインフレーム30と、メインフレーム30の後部に連接され下方に向かって延出するピボット部24と、メインフレーム30の後部に取り付けられ後斜め上方に延びる左右一対のシートフレーム32とを有する。
【0021】
ヘッドパイプ16の前方には、車体の前方を照射するヘッドライト34が設けられている。ヘッドパイプ16の上方には、前輪20を操舵可能なバー状のハンドル36が取り付けられている。
【0022】
前輪20は、フロントフォーク18の下端部に回転自在に軸支されており、その側面には、前輪20に制動力を当てる前輪ブレーキ装置(ディスクブレーキ)20aが装着されている。また、フロントフォーク18の下端部には、前輪20を上方から覆うフロントフェンダ38が取り付けられている。
【0023】
パワーユニット22は、メインフレーム30とピボット部24によって固定支持されている。スイングアーム26は、ピボット部24から後方に向かって略水平に延び、その後端部には、後輪28が回転可能に軸支されている。後輪28の側面には、後輪28に制動力を与える後輪ブレーキ装置(ディスクブレーキ)28aが装着されている。
【0024】
パワーユニット22の上部には、燃料タンク40が設けられ、シートフレーム32の上方で且つ燃料タンク40の後方に搭乗者を載せるシート42が配設されている。シート42は、運転者が着座するフロントシート42a及びフロントシート42aの後方で同乗者が着座するリアシート42bからなる、いわゆるタンデム型のシートが採用されている。シートフレーム32の後部には、後方に延び、その後部下側から斜め下方に延びるリアフェンダ44が取り付けられている。シート42の後方には、テールランプユニット46が取り付けられている。テールランプユニット46は、ブレーキランプ46a及び後側ウィンカランプ46bを有する。
【0025】
自動二輪車12には、車体の前後方向に向けて車体の意匠(外観)を構成する車体カバー48が取り付けられている。車体カバー48は、車体の前方を覆うフロントカバー50と、ヘッドライト34の両側面から後方向に延在する左右一対のサイドカウル52と、シートフレーム32とともに後上方に延び、シートフレーム32の両側面を覆うリアカウル54とを有している。フロントカバー50の上部には、スクリーン56が設けられ、フロントカバー50の左右に、前側ウィンカランプ58が取り付けられている。
【0026】
図2は、図1に示す自動二輪車12の要部拡大図である。この図は、車体後方且つ上方からハンドル周りを俯瞰したものである。フロントカバー50には、スクリーン56とハンドル36との間に、エンジン回転計(タコメータ)60、車速等を表示する左側液晶パネル62、及び距離計等を備える右側液晶パネル64を有するメータ装置66が取り付けられている。
【0027】
ハンドル36は、左右に延びたハンドル軸68と、ハンドル軸68の左端部に配置された左グリップ70と、ハンドル軸68の右端部に配置された右グリップ72とを有する。右グリップ72は、ハンドル軸68に対して回動(回転)可能であり、加速(エンジン回転数の上昇)を指示するものである。以下、右グリップ72を、スロットルグリップ(アクセルグリップ)とも言う。スロットルグリップ72の車体前方側には、前輪ブレーキレバー74が配設されており、この前輪ブレーキレバー74の基部には、油圧ブレーキシステムの作動油を貯留するリザーブタンク76が取り付けられている。同様に、左グリップ70の車体前方側には、後輪ブレーキレバー78が配設されており、この後輪ブレーキレバー78の基部には、油圧ブレーキシステムの作動油を貯留するリザーブタンク80が取り付けられている。前輪ブレーキレバー74を運転者が操作することで、前輪ブレーキ装置20aが作動し、前輪20に制動力が与えられる。また、後輪ブレーキレバー78を運転者が操作することで、後輪ブレーキ装置28aが作動し、後輪28に制動力が与えられる。
【0028】
ハンドル36の略中央には、メインスイッチ82が設けられており、ハンドル36の右側には、スロットルグリップ72の車体中央側に隣接して、各種電装品操作スイッチを備えるハンドルスイッチ84が取り付けられている。ハンドルスイッチ84には、エンジンストップスイッチ86と、ND切換スイッチ88と、スタータスイッチ90と、及び走行モード切換スイッチ92とが設けられている。
【0029】
走行モード切換スイッチ92は、自動変速モード(ATモード)と手動変速モード(MTモード)との切り換えを行うためのスイッチである。エンジンストップスイッチ86は、前記エンジンの運転を緊急停止させるスイッチである。自動変速モードとは、前記自動変速機の変速ギア段を自動的に切り換えるモードであり、手動変速モードとは、前記自動変速機の変速ギア段を手動で切り換えるモードである。
【0030】
ND切換スイッチ88は、自動二輪車12の停車時において、左方のD側又は右方のN側を押すことで、前記自動変速機の状態をニュートラル「N」状態、ドライブ「D」レンジ状態に切り換えるものである。前記自動変速機の状態がドライブレンジ状態の時に、走行モード切換スイッチ92が操作されると、自動変速モードと手動変速モードとの切り換えが行われる。また、ドライブモードの自動変速モード中に、更に、ND切換スイッチ88のD側を押すと、ドライブモードからスポーツモードに切り換わり、スポーツモードの自動変速モード中に、ND切換スイッチ88のN側を押すと、スポーツモードからドライブモードに切り換わる。ドライブモード及びスポーツモードは、自動変速モードの一種であり、スポーツモードはドライブモードより駆動力を重視した自動変速モードである。スタータスイッチ90は、前記エンジンを始動させるためのスイッチである。
【0031】
ハンドル36の左側には、左グリップ70の車体中央側に接して、各種電装品の操作スイッチを備えるハンドルスイッチ94が取り付けられている。左側のハンドルスイッチ94には、ヘッドライト34の光軸切換スイッチ96と、ホーンスイッチ98と、ウィンカスイッチ100と、自動変速モード中に、前記自動変速機の変速操作を手動で行うシフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104とが設けられている。参照符号106は、トラクションオフスイッチである。なお、自動変速モード中に、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104のいずれかが操作されると、手動変速モードに切り換わる。
【0032】
図3は、メータ装置66の正面図である。メータ装置66は、ハウジング66aに、エンジン回転計60、左側液晶パネル62、右側液晶パネル64が配置されている。左側液晶パネル62及び右側液晶パネル64の下方には、表示の切り換えや表示リセット等を行う操作スイッチ110、112が設けられている。
【0033】
左側液晶パネル62は、自動二輪車12の車速を表示する速度計114と、燃料残量を表示する燃料計116とを備える。右側液晶パネル64には、水温計118及び現在の変速ギア段を表示するギアポジション表示部120の他、複数の表示機能が設けられている。
【0034】
図4は、変速制御装置150の構成図である。吸気管152に設けられたスロットルバルブ(吸入空気量調整手段)154は、エンジン156に吸入される吸入空気量を調整する。吸気管152には、スロットルバルブ154を介してエンジン156の燃焼室に流入する空気に燃料を噴射して混合気を生成するインジェクタ(燃料噴射装置)158が設けられ、エンジン156には、前記燃焼室に流入した混合気を点火する点火プラグ(点火装置)160が設けられている。点火プラグ160が点火を行うことで、前記燃焼室内にある混合気が燃焼し、エンジン156は、燃焼エネルギーを動力に変換する。
【0035】
モータ162は、スロットルバルブ154の開度を調整するものであり、ドライバ164によって駆動される。エンジン156の出力軸であるクランク軸166は、自動変速機(変速機)168を介して後輪28に接続される。自動変速機168は、複数の変速ギア段を有し、車速とスロットル開度とに応じて自動的に変速ギア段を切り換え、伝達された回転力を、変速比(減速比)を変えて後輪28に伝達する。
【0036】
変速制御装置150は、スロットルグリップ72の開度を検出するスロットルグリップ開度センサ(スロットルグリップ開度検出手段)170と、スロットルバルブ154の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)172と、エンジン156のクランク軸166の回転数(エンジン回転数)を検出する回転数センサ174と、自動変速機168のギアポジション(現在の変速ギア段)を検出するギアポジションセンサ176、及び後輪28の回転数を検出することによって自動二輪車12の車速を検出する車速センサ(車速検出手段)178とを有する。スロットルグリップ開度センサ170、スロットル開度センサ172、回転数センサ174、ギアポジションセンサ176、及び車速センサ178が検出した信号は、ECU(制御部)180に送られる。また、ND切換スイッチ88、走行モード切換スイッチ92、シフトアップスイッチ102、及びシフトダウンスイッチ104の操作信号もECU180に送られる。上記した各種センサは、一定の周期で検出する。
【0037】
ECU180は、エンジン156を駆動制御するエンジン制御部182と、自動変速機168を駆動制御する自動変速機制御部184とを有する。記憶部124は、プログラム及びデータ等を記憶する記憶媒体である。ECU180は、メモリ、CPU(コンピュータ)等を有し、該CPUが記憶部124に記憶されたプログラムを読み込むことで、本実施の形態のECU180として機能する。
【0038】
エンジン制御部182は、スロットルグリップ開度センサ170が検出したスロットルグリップ72の開度に応じてスロットル開度を調整するとともに、スロットル開度(又はスロットルグリップ72の開度)と車速センサ178が検出した車速等に基づいて、インジェクタ158の燃料噴射量及び噴射タイミング、点火プラグ160の点火時期を制御して、エンジン回転数を制御する。
【0039】
自動変速機制御部184は、記憶部124に記憶されて複数の変速マップに基づいて、自動変速機168を駆動制御する。
【0040】
図5は、自動変速機制御部184及び記憶部124の構成を示す機能ブロック図である。自動変速機制御部184は、走行モード切換部200と、自動変速モード切換部202を有する。走行モード切換部200(自動変速モード復帰手段)は、手動操作検出部210、手動変速モード切換部212、走行状態判別部214、復帰条件判断部216、及び自動変速モード復帰部218を有し、自動変速モード切換部202は、ドライブ/スポーツモード選択部220と、ドライブモード切換部222とを有する。
【0041】
また、記憶部124は、自動変速マップ230と、走行状態判別マップ232とを有する。自動変速マップ230は、ドライブモード用変速マップ240とスポーツモード用変速マップ242とを有し、ドライブモード用変速マップ240は、更に、デフォルトモード用変速マップ(第1モード用変速マップ)250と、クイックモード用変速マップ(第2モード用変速マップ)252とを有する。
【0042】
図6は、走行状態判別マップ232を示す図である。図6に示すように、走行状態判別マップ232は、スロットル開度と車速とに応じて、加速走行領域と、クルーズ走行領域と、減速走行領域とに区分されている。したがって、走行状態判別マップ232を用いることで、現在のスロットル開度及び車速から、自動二輪車12の走行状態が、加速走行領域、クルーズ走行領域、減速走行領域の何れの走行領域に属する走行状態であるかを判別することが可能となる。
【0043】
図7は、デフォルトモード用変速マップ250を示す図であり、スロットル開度と車速とに応じて、自動変速機168の変速タイミングが設定されている。
【0044】
図7の実線は、変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングを示しており、点線は、変速ギア段が低速側に切り換わる変速タイミングを示している。図7に示すように、変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングとして、1速の変速ギア段から2速の変速ギア段に切り換わる変速タイミング、2速の変速ギア段から3速の変速ギア段に切り換わるタイミング、3速の変速ギア段から4速の変速ギア段に切り換わる変速タイミング、4速の変速ギア段から5速の変速ギア段に切り換わる変速タイミング、及び、5速の変速ギア段から6速の変速ギア段に切り換わる変速タイミングが設定されている。
【0045】
また、変速ギア段が低速側に切り換わる変速タイミングとして、6速の変速ギア段から5速の変速ギア段に切り換わる変速タイミング、5速の変速ギア段から4速の変速ギア段に切り換わるタイミング、4速の変速ギア段から3速の変速ギア段に切り換わる変速タイミング、3速の変速ギア段から2速の変速ギア段に切り換わる変速タイミング、及び、2速の変速ギア段から1速の変速ギア段に切り換わる変速タイミングが設定されている。
【0046】
自動変速機制御部184は、自動変速モードがデフォルトモード(第1モード)の場合は、デフォルトモード用変速マップ250を用いて、自動変速機168を駆動制御して、変速ギア段を自動的に切り換える。
【0047】
図8は、クイックモード用変速マップ252を示す図であり、図7に示すデフォルトモード用変速マップ250と同様に、スロットル開度と車速とに応じて、自動変速機168の変速タイミングが設定されており、図8の実線は、変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングを示しており、点線は、変速ギア段が低速側に切り換わる変速タイミングを示している。
【0048】
クイックモード用変速マップ252は、デフォルトモード用変速マップ250より駆動力を重視した変速マップであり、クイックモード用変速マップ252においては、後述するようにデフォルトモード用変速マップ250よりも変速比が低い領域が多く、これにより、少なくとも変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングが、デフォルトモード用変速マップ250より遅くなる。
【0049】
詳しくは、クイックモード用変速マップ252においては、車速に基づいて変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングが、デフォルトモード用変速マップ250より遅く設定されている。具体的には、変速ギア段が、1速から2速に、2速から3速に、3速から4速に、4速から5速に、5速から6速に切り換わる変速タイミングの車速が、デフォルトモード用変速マップ250よりクイックモード用変速マップ252の方が大きく設定されている。したがって、デフォルトモード用変速マップ250では変速ギア段が高速側(例えば、3速から4速)に切り換わる変速タイミングの車速で自動二輪車12が走行していても、クイックモード用変速マップ252では、変速ギア段が高速側(例えば、3速から4速)に切り換わらず、該車速より早い車速になって初めて、変速ギア段が高速側(例えば、3速から4速)に切り換わるので、変速タイミングがデフォルトモード用変速マップ250より遅くなる。
【0050】
自動変速機制御部184は、自動変速モードがクイックモード(第2モード)の場合は、クイックモード用変速マップ252を用いて、自動変速機168を駆動制御して、変速ギア段を自動的に切り換える。
【0051】
図9は、スポーツモード用変速マップ242を示す図であり、図7に示すデフォルトモード用変速マップ250及び図8に示すクイックモード用変速マップ252と同様に、スロットル開度と車速とに応じて、自動変速機168の変速タイミングが設定されており、図9の実線は、変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングを示しており、点線は、変速ギア段が低速側に切り換わる変速タイミングを示している。
【0052】
スポーツモード用変速マップ242は、クイックモード用変速マップ252より駆動力を重視したスポーティな走行に対応する変速マップであり、スポーツモード用変速マップ242においては、後述するようにクイックモード用変速マップ252よりも変速比が低い領域が多く、これにより、少なくとも変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングが、クイックモード用変速マップ252より遅くなる。
【0053】
詳しくは、スポーツモード用変速マップ242においては、車速に基づいて変速ギア段が高速側に切り換わる変速タイミングが、デフォルトモード用変速マップ250より遅く設定されている。具体的には、変速ギア段が、1速から2速に、2速3速に、3速から4速に、4速から5速に、5速から6速に切り換わる変速タイミングの車速が、クイックモード用変速マップ252よりスポーツモード用変速マップ242の方が大きく設定されている。したがって、クイックモード用変速マップ252では変速ギア段が高速側(例えば、3速から4速)に切り換わる変速タイミングの車速で自動二輪車12が走行していても、スポーツモード用変速マップ242では、変速ギア段が高速側(例えば、3速から4速)に切り換わらず、該車速より速い車速になって初めて、変速ギア段が高速側(例えば、3速から4速)に切り換わるので、変速タイミングがスポーツモード用変速マップ242より遅くなる。
【0054】
自動変速機制御部184は、自動変速モードがスポーツモードの場合は、スポーツモード用変速マップ242を用いて、自動変速機168を駆動制御して、変速ギア段を自動的に切り換える。
【0055】
図10は、デフォルトモード用変速マップ250、クイックモード用変速マップ252、及びスポーツモード用変速マップ242の1速から2速に変速する変速タイミングを示す図である。図10に示すように、クイックモード用変速マップ252は、デフォルトモード用変速マップ250より変速比が低い領域が多く、スポーツモード用変速マップ242は、クイックモード用変速マップより変速比が低い領域が多い。なお、図10では、デフォルトモード用変速マップ250、クイックモード用変速マップ252、及びスポーツモード用変速マップ242の1速から2速に変速する変速タイミングを一例に挙げたが、2速から3速、3速から4速、4速から5速、5速から6速に変速についても同様である。
【0056】
図5の説明に戻り、自動変速機制御部184は、ND切換スイッチ88の操作に応じて、自動変速機168の状態をニュートラル状態とドライブレンジ状態とに切り換える。
【0057】
走行モード切換部200の手動操作検出部(手動操作検出手段)210は、運転者によってシフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104が操作されたか(シフトアップ及びシフトダウンの手動変速操作が行われたか)否かを検出する。詳しくは、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104から操作信号が送られてきた場合は、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104が操作されたと検出する。
【0058】
走行モード切換部200の手動変速モード切換部212は、自動変速機168がドライブレンジ状態で、ドライブモード及びスポーツモードの何れかの自動変速モードに設定されている場合に、走行モード切換スイッチ92、シフトアップスイッチ102、及びシフトダウンスイッチ104の何れかが操作されると、自動変速モードから手動変速モードに切り換える。自動変速機制御部184は、手動変速モードに設定されると、運転者のシフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104の操作に応じて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。したがって、手動変速モードに設定されている場合は、自動的に変速ギア段が切り換わることはない。
【0059】
走行モード切換部200の走行状態判別部(第1走行状態判別手段、第2走行状態判別手段、走行状態判別手段)214は、走行状態判別マップ232を用いて、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104のうち一方が操作されたとき(シフトアップの手動変速操作及びシフトダウンの手動変速操作の一方が行われたとき)のスロットル開度及び車速から、手動操作が行われたときの自動二輪車12の走行状態を判別する。また、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104のうち一方が操作された後のスロットル開度及び車速から、手動操作後の自動二輪車12の走行状態を判別する。
【0060】
例えば、シフトアップスイッチ102又はシフトダウンスイッチ104が操作されたときのスロットル開度及び車速が、走行状態判別マップ232の加速走行領域内にある場合は、自動二輪車12の走行状態は、加速走行領域に属すると判断する。なお、走行状態判別部214は、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104が操作されて手動変速モードに切り換わったときに、自動二輪車12の走行状態を判別し、走行モード切換スイッチ92が操作されて手動変速モードに切り換わったときは、自動二輪車12の走行状態を判別しない。
【0061】
走行モード切換部200の復帰条件判断部(復帰条件判断手段)216は、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104の操作と、走行状態判別部214が判別した手動変速操作時及び手動変速操作後の走行状態とから、自動変速モードへの自動復帰条件が成立したか否かを判断する。なお、復帰条件判断部216は、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104が操作されて手動変速モードに切り換わる場合は、自動復帰条件が成立したか否かを判断し、走行モード切換スイッチ92が操作されて手動変速モードに切り換わる場合、自動復帰条件が成立したか否かを判断しない。
【0062】
走行モード切換部200の自動変速モード復帰部218は、復帰条件判断部216により自動復帰条件が成立したと判断されると、手動変速モードから自動変速モードに自動的に復帰する。このとき、自動変速モード復帰部218は、手動変速モードに切り換わる前の自動変速モードがドライブモードの場合は、ドライブモードの自動変速モードに復帰し、手動変速モードに切り換わる前の自動変速モードがスポーツモードの場合は、スポーツモードの自動変速モードに自動復帰する。つまり、前回の自動変速モードに自動復帰する。また、自動変速モード復帰部218は、手動変速モードに設定されている場合に、走行モード切換スイッチ92が操作されると、手動変速モードから自動変速モードに切り換える。自動変速機制御部184は、自動変速モードに自動復帰すると、自動変速マップ230(ドライブモード用変速マップ240及びスポーツモード用変速マップ242の何れか一方)に基づいて、自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0063】
自動変速モード切換部202のドライブ/スポーツモード選択部(モード選択手段)220は、ND切換スイッチ88の操作に応じて、ドライブモードの自動変速モード及びスポーツモードの自動変速モードの何れか一方を選択する。ドライブ/スポーツモード選択部220は、ドライブモード用変速マップ240を選択することで、ドライブモードの自動変速モードを選択し、スポーツモード用変速マップ242を選択することで、スポーツモードの自動変速モードを選択する。自動変速機制御部184は、ドライブ/スポーツモード選択部220により、ドライブモードの自動変速モードが選択されると、ドライブモード用変速マップ240に基づいて自動変速機168の変速ギア段を自動的に切り換え、ドライブ/スポーツモード選択部220により、スポーツモードの自動変速モードが選択されると、スポーツモード用変速マップ242に基づいて自動変速機168の変速ギア段を自動的に切り換える。
【0064】
自動変速モード切換部202のドライブモード切換部(ドライブモード用マップ切換手段)222は、ドライブ/スポーツモード選択部220によりドライブモードの自動変速モードが選択されている場合に、デフォルトモードとクイックモードとの切り換えを行う。原則として、ドライブモードの自動変速モードが選択されている場合は、デフォルトモードに設定されており、ドライブモード切換部222は、スロットル開度に基づく加速履歴に基づいてデフォルトモードとクイックモードとの切り換えを行う。
【0065】
ドライブモード切換部222は、デフォルトモード用変速マップ250とクイックモード用変速マップ252との選択を切り換えることで、デフォルトモードとクイックモードの切り換えを行う。つまり、ドライブモード切換部222は、クイックモード用変速マップ252を選択することでクイックモードに切り換え、デフォルトモード用変速マップ250を選択することでデフォルトモードに切り換える。
【0066】
図11は、本実施の形態の自動変速モードと手動変速モードの切り換え、及び、ドライブモードの自動変速モードとスポーツモードの自動変速モードとの切り換え、及び、デフォルトモードとクイックモードの切り換えを示す概念図である。
【0067】
ニュートラルとドライブレンジとは、ND切換スイッチ88によって切り換わる。そして、自動変速機168の状態がドライブレンジ状態のときに、走行モード切換スイッチ92が行われることで、走行モード切換部200は、自動変速モードと手動変速モードを切り換える。また、自動変速モードのときに、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104の何れかが操作されると、走行モード切換部200の手動変速モード切換部212は、手動変速モードに切り換える。シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104によって手動変速モードに切り換わった後、自動復帰条件が成立すると、自動変速モード復帰部218は、自動的に自動変速モードに復帰する(切り換える)。ND切換スイッチ88の操作に応じて、自動変速モード切換部202のドライブ/スポーツモード選択部220は、ドライブモードの自動変速モード及びスポーツモードの自動変速モードの何れか一方を選択することで切り換える。ドライブモードの自動変速モードのときは、原則としてデフォルトモードに設定されており、ドライブモード切換部222は、スロットル開度に基づく加速履歴に基づいてデフォルトモードとクイックモードを自動的に切り換える。
【0068】
次に、変速制御装置150の動作を図12〜図20に示すフローチャートに従って説明する。図12〜図18は、手動変速モードから自動変速モードに自動復帰する動作を示すものであり、図20は、デフォルトモードとクイックモードの切り換えの動作を示すフローチャートである。
【0069】
まず、図12〜図19のフローチャートと図21の走行モードの遷移の一例を示す走行モード遷移図を用いて自動変速モードへの自動復帰の動作について説明する。自動二輪車12が自動変速モードで運転されているときに、手動操作検出部210は、運転者によりシフトアップスイッチ102が操作されたか否かを判断する(ステップS1)。
【0070】
ステップS1で、シフトアップスイッチ102が操作されたと(シフトアップ操作が行われたと)判断すると、手動変速モード切換部212は、自動変速モードから手動変速モードに切り換える(ステップS2)。手動変速モードに切り換わると、自動変速機制御部184は、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104の操作に応じて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。ここで、ステップS1でシフトアップスイッチ102の操作が検出されて手動変速モードに切り換わったので、自動変速機制御部184は、ステップS1で検出されたシフトアップスイッチ102の操作に応じて自動変速機168の変速ギア段を1段シフトアップさせる。
【0071】
次いで、走行状態判別部214は、シフトアップ操作(シフトアップの手動操作)時の自動二輪車12の走行状態を判別する(ステップS3)。走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて、シフトアップ操作時のスロットル開度と車速とから、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態を判別する。このスロットル開度は、スロットル開度センサ172によって検出され、車速は車速センサ178によって検出される。
【0072】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属するか否かを判断する(ステップS4)。つまり、シフトアップ操作時のスロットル開度及び車速が加速走行領域内にあるか否かを判断する。即ち、ステップS3で判別された自動二輪車12の走行状態が、加速走行領域の走行状態であるか否かを判断する。
【0073】
ステップS4で、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて現在の自動二輪車12の走行状態を判別する(ステップS5)。つまり、現在のスロットル開度及び車速とから、現在の自動二輪車12の走行状態を判別する。
【0074】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS6)。つまり、現在のスロットル開度及び車速が走行状態判別マップ232の加速走行領域内にあるか否かを判断する。即ち、ステップS5によって直近に判別した自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0075】
ステップS6で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後に走行状態が一旦加速走行領域の走行状態から外れたか否かを判断する(ステップS7)。具体的には、前回判別したシフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属しない場合は、一旦加速走行領域の走行状態から外れたと判断する。
【0076】
ステップS7で、シフトアップ操作後に自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態から外れることなく、継続して加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度(変速タイミング)に達したか否かを判断する(ステップS8)。
【0077】
ステップS8の判断で用いる自動変速マップ230は、前回の自動変速モードで用いられていた自動変速マップ230を用いる。例えば、前回の自動変速モードがスポーツモードの自動変速モードの場合は、スポーツモード用変速マップ242を用い、前回の自動変速モードがドライブモードの自動変速モードの場合は、ドライブモード用変速マップ240を用いる。このとき、前回の自動変速モードがドライブモードの自動変速モードであって、デフォルトモードの場合は、デフォルトモード用変速マップ250を用い、クイックモードの場合は、クイックモード用変速マップ252を用いる。
【0078】
ステップS8で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していないと判断すると、ステップS5に戻る。
【0079】
一方、ステップS7で、シフトアップ操作後に自動二輪車12の走行状態が一旦加速走行領域から外れたと判断すると、ステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0080】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時に加速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後に、クルーズ走行領域又は減速走行領域に属する走行状態になった後に、加速走行領域に属する走行状態になった場合は、自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0081】
シフトアップ操作時に加速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後に自動二輪車12の走行状態が一旦加速走行領域の走行状態から外れた後、加速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はキックダウンを行いたいと考えられるので、自動変速モードに自動復帰する。これにより、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいてキックダウンを実行することが可能となり、運転者の強い加速要求に即座に応えることができる。
【0082】
一方、ステップS8で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達したと判断すると、ステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいてシフトアップする車速及びスロットル開度に達しているので、自動変速モードに自動復帰すると、自動変速機制御部184は、自動変速機168の変速ギア段をシフトアップさせる。
【0083】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後も継続して加速走行領域の走行状態のまま、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速機168が自動変速マップ230に基づいてシフトアップする車速及びスロットル開度に達した場合は、自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0084】
シフトアップ操作時に加速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後に継続して加速走行領域の走行状態である場合は、運転者は緩やかな加速を行いたいと考えられるので、現在の車速及びスロットル開度が、シフトアップする車速及びスロットル開度になるまで自動変速モードに復帰しないので、キックダウンが実行されることがなく、緩やかな加速を実現しながら自動変速モードに復帰させることができる。
【0085】
ステップS6で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態でないと判断すると、図13のステップS21に進み、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する。つまり、ステップS5で、直近に判別した自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0086】
ステップS21で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間(第4所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS22)。なお、クルーズ用所定時間は、記憶部124に記憶されている。
【0087】
ステップS22で、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過していないと判断すると、復帰条件判断部216は、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度(変速タイミング)に達したか否かを判断する(ステップS23)。ステップS23の判断で用いる自動変速マップ230は、前回の自動変速モードで用いられていた自動変速マップ230を用いる。
【0088】
ステップS23で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していないと判断すると、図12のステップS5に戻る。
【0089】
一方、ステップS22で、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過したと判断した場合は、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ用所定時間継続してクルーズ走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0090】
また、ステップS23で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達したと判断した場合は、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。ここで、車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいてシフトアップする車速及びスロットル開度に達しているので、自動変速モードに自動復帰すると、自動変速機制御部184は、自動変速機168の変速ギア段をシフトアップさせる。
【0091】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態で、且つ、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達した場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0092】
シフトアップ操作時に加速走行領域の走行状態であって、その後、クルーズ走行領域状態の走行状態になった場合は、運転者はシフトアップ操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行いたいと考えられるので、クルーズ走行領域の走行状態がクルーズ用所定時間継続するまでは、又は、現在の車速及びスロットル開度が、シフトアップする車速及びスロットル開度になるまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトアップ操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行うことができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0093】
一方、ステップS21で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態でないと判断すると、つまり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域に属する走行状態である場合は、復帰条件判断部216は、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間(第2所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS24)。なお、減速用所定時間は、記憶部124に記憶されている。
【0094】
ステップS24で、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過していないと判断すると、図12のステップS5に戻り、ステップS24で減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過したと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0095】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が、減速用所定時間継続して減速走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0096】
シフトアップ操作時に加速走行領域の走行状態であって、その後、減速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はシフトアップ操作後の変速ギア段で減速走行を行いたいと考えられるので、減速走行領域の走行状態が減速用所定時間継続するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトアップ操作後の変速ギア段で減速走行することができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0097】
図12のステップS4で、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態でないと判断すると、図14のステップS31に進み、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する。つまり、ステップS3で直近に判別した走行状態が、クルーズ走行領域の走行状態であるか否かを判断する。
【0098】
ステップS31で、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて現在の走行状態を判別する(ステップS32)。つまり、現在のスロットル開度及び車速とから、現在の自動二輪車12の走行状態を判別する。
【0099】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS33)。つまり、現在のスロットル開度及び車速が走行状態判別マップ232の加速走行領域内にあるか否かを判断する。即ち、直近のステップS32で判別した自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0100】
ステップS33で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0101】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時にクルーズ走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後に加速走行領域の走行状態になった場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0102】
シフトアップ操作時にクルーズ走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後に加速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はキックダウンを行いたいと考えられるので、自動変速モードに自動復帰する。これにより、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいてキックダウンを実行することが可能となり、運転者の強い加速要求に即座に応えることができる。
【0103】
一方、ステップS33で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態でないと判断すると、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS34)。つまり、ステップS32で直近に判別した自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0104】
ステップS34で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後にクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間(第4所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS35)。
【0105】
ステップS35で、シフトアップ操作後にクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過していないと判断すると、復帰条件判断部216は、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度(変速タイミング)に達したか否かを判断する(ステップS36)。ステップS36の判断で用いる自動変速マップ230は、前回の自動変速モードで用いられていた自動変速マップ230を用いる。
【0106】
ステップS36で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していないと判断すると、ステップS32に戻る。
【0107】
一方、ステップS35で、シフトアップ操作後にクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過したと判断した場合は、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0108】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ用所定時間継続してクルーズ走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0109】
また、ステップS36で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達したと判断した場合は、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。ここで、車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいてシフトアップする車速及びスロットル開度に達しているので、自動変速モードに自動復帰すると、自動変速機制御部184は、自動変速機168の変速ギア段をシフトアップさせる。
【0110】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態で、且つ、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達した場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0111】
シフトアップ操作時にクルーズ走行領域の走行状態であって、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態の場合は、運転者はシフトアップ操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行いたいと考えられるので、クルーズ走行領域の走行状態がクルーズ用所定時間経過するまでは、又は、現在の車速及びスロットル開度が、シフトアップする車速及びスロットル開度となるまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトアップ操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行うことができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0112】
ステップS34で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態でないと判断すると、つまり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域に属する場合は、復帰条件判断部216は、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間(第2所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS37)。
【0113】
ステップS37で、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過していないと判断すると、ステップS32に戻り、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過したと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0114】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が、減速用所定時間継続して減速走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0115】
シフトアップ操作時にクルーズ走行領域の走行状態であって、その後、減速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はシフトアップ操作後の変速ギア段で減速走行を行いたいと考えられるので、減速走行領域の走行状態が減速用所定時間経過するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトアップ操作後の変速ギア段で減速走行することができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0116】
一方、ステップS31で、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態でないと判断すると、つまり、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域に属する走行状態である場合は、図15のステップS41に進み、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて現在の自動二輪車12の走行状態を判別する。つまり、現在のスロットル開度及び車速とから、現在の自動二輪車12の走行状態を判別する。
【0117】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS42)。つまり、ステップS42で直近に判別した自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0118】
ステップS42で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0119】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時に減速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後に加速走行領域の走行状態になった場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0120】
シフトアップ操作時に減速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後に加速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はキックダウンを行いたいと考えられるので、自動変速モードに自動復帰する。これにより、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいてキックダウンを実行することが可能となり、運転者の強い加速要求に応えることができる。
【0121】
ステップS42で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態でないと判断すると、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS43)。つまり、ステップS41で直近に判別した自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0122】
ステップS43で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間(第4所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS44)。
【0123】
ステップS44で、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過していないと判断すると、復帰条件判断部216は、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度(変速タイミング)に達したか否かを判断する(ステップS45)。ステップS45の判断で用いる自動変速マップ230は、前回の自動変速モードで用いられていた自動変速マップ230を用いる。
【0124】
ステップS45で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していないと判断すると、ステップS41に戻る。
【0125】
一方、ステップS44で、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過したと判断した場合は、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0126】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ用所定時間継続してクルーズ走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0127】
また、ステップS45で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達したと判断した場合は、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。ここで、車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいてシフトアップする車速及びスロットル開度に達しているので、自動変速モードに自動復帰すると、自動変速機制御部184は、自動変速機168の変速ギア段をシフトアップさせる。
【0128】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態で、且つ、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達した場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0129】
シフトアップ操作時に減速走行領域の走行状態であって、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態の場合は、運転者はシフトアップ操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行いたいと考えられるので、クルーズ走行領域の走行状態がクルーズ用所定時間経過するまでは、又は、現在の車速及びスロットル開度が、シフトアップする車速及びスロットル開度となるまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトアップ操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行うことができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0130】
ステップS43で、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態でないと判断すると、つまり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域に属する走行状態である場合は、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作後に減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間(第2所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS46)。
【0131】
ステップS46で、シフトアップ操作後に減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過していないと判断すると、復帰条件判断部216は、現在の車速が強制シフトダウン車速を下回ったか否かを判断する(ステップS47)。ステップS47で、現在の車速が強制シフトダウン車速を下回っていないと判断すると、ステップS41に戻る。
【0132】
ステップS46で、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過したと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0133】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が、減速用所定時間継続して減速走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0134】
シフトアップ操作時に減速走行領域の走行状態であって、シフトアップ操作後の走行状態が減速走行領域の走行状態の場合は、運転者はシフトアップ操作後の変速ギア段で減速走行を行いたいと考えられるので、減速走行領域の走行状態が減速用所定時間経過するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトアップ操作後の変速ギア段で減速走行することができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0135】
一方、ステップS47で、現在の車速が強制シフトダウン車速を下回ったと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。つまり、復帰条件判断部216は、シフトアップ操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態であり、シフトアップ操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態で、車速が強制シフトダウン車速を下回った場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0136】
図12のステップS1で、自動二輪車12が自動変速モードで走行しているときに、運転者によりシフトアップスイッチ102が操作されていないと判断すると、図16のステップS61に進み、手動操作検出部210は、運転者によりシフトダウンスイッチ104が操作されたか否かを判断する。
【0137】
ステップS61で、シフトダウンスイッチ104が操作されていないと判断すると図12のステップS1に戻り、シフトダウンスイッチ104が操作されたと(シフトダウン操作が行われたと)判断すると、手動変速モード切換部212は、自動変速モードから手動変速モードに切り換える(ステップS62)。手動変速モードに切り換わると、自動変速機制御部184は、シフトアップスイッチ102及びシフトダウンスイッチ104の操作に応じて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。ここで、ステップS61でシフトダウンスイッチ104の操作が検出されて手動変速モードに切り換わったので、自動変速機制御部184は、ステップS61で検出されたシフトダウンスイッチ104の操作に応じて自動変速機168の変速ギア段を1段シフトダウンさせる。
【0138】
次いで、走行状態判別部214は、シフトダウン操作(シフトダウンの手動操作)時の自動二輪車12の走行状態を判別する(ステップS63)。走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて、シフトダウン操作時のスロットル開度と車速とから、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態を判別する。このスロットル開度は、スロットル開度センサ172によって検出され、車速は車速センサ178によって検出される。
【0139】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属するか否かを判断する(ステップS64)。つまり、シフトダウン操作時のスロットル開度及び車速が加速走行領域内にあるか否かを判断する。即ち、ステップS63で判別された自動二輪車12の自動二輪車12の走行状態が、加速走行領域の走行状態であるか否かを判断する。
【0140】
ステップS64で、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて現在の走行状態を判別する(ステップS65)。つまり、現在のスロットル開度及び車速とから、現在の自動二輪車12の走行状態を判別する。
【0141】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS66)。つまり、現在のスロットル開度及び車速が走行状態判別マップ232の加速走行領域内にあるか否かを判断する。即ち、直近のステップS65によって判別した自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0142】
ステップS66で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、加速走行領域に属する走行状態になってからギア別加速用所定時間(第1所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS67)。
【0143】
ギア別加速用所定時間とは、各変速ギア段に応じて定められた加速用の所定時間であり、復帰条件判断部216は、現在の自動変速機168の変速ギア段に応じたギア別加速用所定時間を用いて判断する。例えば、現在の自動変速機168の変速ギア段が3速の場合は、該3速に応じて定められたギア別加速用所定時間を用いて判断する。このギア別加速用所定時間は、記憶部124に記憶されており、低速用の変速ギア段(1速に近い)ほど時間が長い。現在の変速ギア段は、ギアポジションセンサ176によって検出される。
【0144】
ステップS67で、加速走行領域に属する走行状態になってからギア別加速用所定時間が経過していないと判断するとステップS65に戻り、加速走行領域に属する走行状態になってからギア別加速用所定時間が経過したと判断すると、復帰条件判断部216は、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度(変速タイミング)に達したか否かを判断する(ステップS68)。ステップS68の判断で用いる自動変速マップ230は、前回の自動変速モードで用いられていた自動変速マップ230を用いる。
【0145】
ステップS68で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していないと判断するとステップS65に戻る。
【0146】
一方、ステップS68で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していると判断すると、図12のステップS9の進み、自動変速モードに自動復帰する。車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいてシフトアップする車速及びスロットル開度に達しているので、自動変速モードに自動復帰すると、自動変速機制御部184は、自動変速機168の変速ギア段をシフトアップさせる。
【0147】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が、ギア別加速用所定時間継続して加速走行領域の走行状態であり、且つ、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達した場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0148】
シフトダウン操作時に加速走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態の場合は、運転者はシフトダウンさせることで強い加速を要求していると考えられ、加速走行領域の走行状態でギア別加速用所定時間が経過し、現在の車速及びスロットル開度が、シフトアップする車速及びスロットル開度になると、初めて自動変速モードに復帰してシフトアップするので、直ぐにシフトアップされて強い加速が継続しないということを防止することができ、運転者の強い加速要求に応えることができる。また、ギア別加速用所定時間が、低速用の変速ギア段程時間が短いので、低速ギア程強い加速を要求しているという運転者の期待に応えることができる。
【0149】
ステップS66で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態でないと判断すると、図17のステップS71に進み、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する。つまり、ステップS65で直近に判別した自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0150】
ステップS71で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間(第3所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS72)。
【0151】
ステップS72で、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過していないと判断すると図16のステップS65に戻り、ステップS72でクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過したと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0152】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ用所定時間継続してクルーズ走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0153】
シフトダウン操作時に加速走行領域の走行状態であって、その後、クルーズ走行領域状態の走行状態になった場合は、運転者はシフトダウン操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行いたいと考えられるので、クルーズ走行領域の走行状態がクルーズ用所定時間継続するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトダウン操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行うことができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0154】
一方、ステップS71で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態でないと判断した場合、つまり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域に属する走行状態である場合は、復帰条件判断部216は、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間(第2所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS73)。
【0155】
ステップS73で、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過していないと判断すると、図16のステップS65に戻り、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過したと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0156】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が、減速用所定時間継続して減速走行領域の走行状態である場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0157】
シフトダウン操作時に加速走行領域の走行状態であって、その後、減速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はシフトダウン操作後の変速ギア段で減速走行を行いたいと考えられるので、減速走行領域の走行状態が減速用所定時間継続するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトダウン操作後の変速ギア段で減速走行することができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0158】
図16のステップS64で、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態でないと判断すると、図18のステップS81に進み、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する。つまり、図16のステップS63で判別した走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0159】
ステップS81で、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて現在の走行状態を判別する(ステップS82)。つまり、現在のスロットル開度及び車速とから、現在の自動二輪車12の走行状態を判別する。
【0160】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS83)。つまり、ステップS82で直近に判別した自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0161】
ステップS83で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、加速走行領域に属する走行状態になってからギア別加速用所定時間(第1所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS84)。
【0162】
ステップS84で、加速走行領域に属する走行状態になってからギア別加速用所定時間が経過していないと判断するとステップS82に戻る。一方、ステップS84で、加速走行領域に属する走行状態になってからギア別加速用所定時間が経過したと判断すると、復帰条件判断部216は、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度(変速タイミング)に達したか否かを判断する(ステップS85)。ステップS85の判断で用いる自動変速マップ230は、前回の自動変速モードで用いられていた自動変速マップ230を用いる。
【0163】
ステップS85で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していないと判断するとステップS82に戻る。
【0164】
一方、ステップS85で、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達していると判断すると、図12のステップS9の進み、自動変速モードに自動復帰する。車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいてシフトアップする車速及びスロットル開度に達しているので、自動変速モードに自動復帰すると、自動変速機制御部184は、自動変速機168の変速ギア段をシフトアップさせる。
【0165】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が、ギア別加速用所定時間継続して加速走行領域の走行状態であり、且つ、現在の車速及びスロットル開度が、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168がシフトアップする車速及びスロットル開度に達した場合は、自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0166】
シフトダウン操作時にクルーズ走行領域の走行状態であって、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域の走行状態の場合は、運転者はシフトダウンさせることで強い加速を要求していると考えられ、加速走行領域の走行状態でギア別加速用所定時間が経過し、現在の車速及びスロットル開度が、シフトアップする車速及びスロットル開度になると、初めて自動変速モードに復帰してシフトアップするので、直ぐにシフトアップされて強い加速が継続しないということを防止することができ、運転者の強い加速要求に応えることができる。
【0167】
一方、ステップS83で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行状態に属する走行状態でないと判断すると、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS86)。つまり、ステップS82で直近に判別した自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であるかを判断する。
【0168】
ステップS86で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後にクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間(第3所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS87)。
【0169】
ステップS87で、シフトダウン操作後にクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過していないと判断するとステップS82に戻り、シフトダウン操作後にクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過した判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0170】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ用所定時間継続してクルーズ走行領域の走行状態である場合は、自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0171】
シフトダウン操作時にクルーズ走行領域の走行状態であって、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域状態の走行状態の場合は、運転者はシフトダウン操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行いたいと考えられるので、クルーズ走行領域の走行状態がクルーズ用所定時間継続するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトダウン操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行うことができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0172】
一方、ステップS86で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態に属しないと判断した場合、つまり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態に属する場合は、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後に減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間(第2所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS88)。
【0173】
ステップS88で、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過していないと判断すると、ステップS82に戻り、減速走行領域に属する走行状態になってから減速用所定時間が経過したと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0174】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が、減速用所定時間継続して減速走行領域の走行状態である場合は、自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0175】
シフトダウン操作時にクルーズ走行領域の走行状態であって、その後、減速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はシフトダウン操作後の変速ギア段で減速走行を行いたいと考えられるので、減速走行領域の走行状態が減速用所定時間継続するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトダウン操作後の変速ギア段で減速走行することができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0176】
ステップS81で、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態でないと判断すると、つまり、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域に属する走行状態である場合は、図19のステップS100に進み、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて現在の走行状態を判別する。つまり、現在のスロットル開度及び車速とから、現在の自動二輪車12の走行状態を判別する。
【0177】
次いで、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS101)。つまり、ステップS100で直近に判別した走行状態が加速走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する。
【0178】
ステップS101で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態であると判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0179】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時に減速走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後に加速走行領域の走行状態になった場合は、自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0180】
シフトダウン操作時に減速走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後に加速走行領域の走行状態になった場合は、運転者はキックダウンを行いたいと考えられるので、自動変速モードに自動復帰する。これにより、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいてキックダウンを実行することが可能となり、運転者の強い加速要求に応えることができる。
【0181】
一方、ステップS101で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が加速走行領域に属する走行状態でないと判断すると、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する(ステップS102)。つまり、ステップS100で直近に判別した走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であるか否かを判断する。
【0182】
ステップS102で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域に属する走行状態であると判断すると、シフトダウン操作後にクルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間(第3所定時間)が経過したか否かを判断する(ステップS103)。
【0183】
ステップS103で、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過していないと判断するとステップS100に戻り、クルーズ走行領域に属する走行状態になってからクルーズ用所定時間が経過した判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0184】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ用所定時間継続してクルーズ走行領域の走行状態である場合は、自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0185】
シフトダウン操作時に減速走行領域の走行状態であって、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域状態の走行状態の場合は、運転者はシフトダウン操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行いたいと考えられるので、クルーズ走行領域の走行状態がクルーズ用所定時間継続するまでは、自動変速モードに自動復帰しないので、シフトダウン操作後の変速ギア段でクルーズ走行を行うことができる。また、自動変速機168の変速ギア段が煩雑に切り換わることがなく、煩雑な変速による違和感を運転者に与えなくて済む。
【0186】
一方、ステップS102で、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態に属しないと判断した場合、つまり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態に属する場合は、復帰条件判断部216は、現在の車速が強制シフトダウン車速を下回ったか否かを判断する(ステップS104)。
【0187】
ステップS104で、現在の車速が強制シフトダウン車速を下回っていないと判断するとステップS100に戻り、現在の車速が強制シフトダウン車速を下回ったと判断すると、図12のステップS9に進み、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。自動変速モード復帰後は、自動変速機制御部184は、自動変速マップ230に基づいて自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0188】
つまり、復帰条件判断部216は、シフトダウン操作時の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態であり、シフトダウン操作後の自動二輪車12の走行状態が減速走行領域の走行状態で、車速が強制シフトダウン車速を下回った場合は自動復帰条件が成立したと判断し、自動変速モード復帰部218は、自動変速モードに自動復帰する。
【0189】
以上のように、シフトアップ及びシフトダウンの手動変速操作と、手動変速操作時及び手動変速操作後の走行状態とから、自動変速モードへの自動復帰条件が成立したか否かを判断し、自動復帰条件が成立した場合は自動変速モードに自動復帰するので、運転者の走行要求に沿って自動変速モードに自動復帰することができ、運転者に違和感を与えることなく自動変速モードに自動復帰することができる。
【0190】
次に、図20を用いてデフォルトモードとクイックモードの切り換え動作について説明する。
【0191】
図20に示す動作は、自動二輪車12のドライブモードの自動変速モードで走行しているときに、所定の周期で実行する。ドライブモード切換部222は、クイックモード切換条件が成立しているか否かを判断している(ステップS121)。クイックモード切換条件が成立していない場合は、現在は、ドライブモードの自動変速モードはデフォルトモードに設定されており、クイックモード切換条件が成立している場合は、クイックモードに設定されている。
【0192】
ステップS121で、クイックモード切換条件が成立していないと判断すると(現在は、デフォルトモードであると判断すると)、ドライブモード切換部222は、自動二輪車12が加速走行領域の走行状態に突入したか否かを判断する(ステップS122)。つまり、現在の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ走行領域の走行状態若しくは減速走行領域の走行状態から加速走行領域の走行状態に突入したか(切り換わったか)否かを判断する。具体的には、走行状態判別部214が所定の周期で自動二輪車12の走行状態を判別し、該判別結果に基づいて加速走行領域の走行状態に突入したか否かを判断する。なお、走行状態判別部214は、走行状態判別マップ232を用いて、現在のスロットル開度及び車速とから走行状態を判別することは言うまでもない。
【0193】
ステップS122で、加速走行領域の走行状態に突入していないと判断すると、処理が終了し、加速走行領域の走行状態に突入したと判断すると、ドライブモード切換部222は、一定時間(例えば、5秒)内の加速走行領域への突入が連続して3回(所定回数)以上行われたか否かを判断する(ステップS123)。つまり、加速走行領域の走行状態に突入した後、一旦、加速走行領域の走行状態から外れ、一定時間内に再び加速走行領域の走行状態に突入したという動作が連続して行われ、加速走行領域に突入した回数が3回以上である否かを判断する。
【0194】
詳しく説明すると、加速走行領域の走行状態に突入→加速走行領域の走行状態から外れた→前回加速走行領域の走行状態に突入したタイミングから一定時間内に再び加速走行領域の走行状態に突入→加速走行領域の走行状態から外れた→前回加速走行領域の走行状態に突入したタイミングから一定時間内に再び加速走行領域の走行状態に突入した場合は、一定時間内の加速走行領域への突入が連続して3回以上行われたと判断する。
【0195】
詳しくは、図22に示すように、ドライブモード切換部222は、自動二輪車12が加速走行領域の走行状態に突入した回数をカウントするともに、加速走行領域の走行状態に突入してから一定時間内に再び自動二輪車12が加速走行領域の走行状態に突入しなかった場合は、カウントした回数をリセット(つまり、零)にする。そして、カウントした回数が3以上であると、ドライブモード切換部222は、一定時間内の加速走行領域への突入が連続して3回以上行われたと判断する。
【0196】
つまり、ドライブモード切換部222が、一定時間内の加速走行領域への突入が連続して3回以上行われたと判断するためには、少なくとも第1の所定時間(一定時間×2)内に3回以上、加速走行領域の走行状態に突入する必要があり、且つ、加速走行領域の走行状態に突入したタイミングの前後の間隔が一定時間以内である必要がある。一定時間内の加速走行領域への突入が連続して3回以上行われる場合としては、例えば、運転者がスロットルグリップ72を開いたり閉じたりと短時間の間に連続して操作している場合が考えられる。なお、ステップS123では、3回以上、一定時間内の加速走行領域への突入が連続して行われたか否かを判断するようにしたが、2以上の所定回数であればよい。
【0197】
ステップS123で、一定時間内の加速走行領域への突入が連続して3回以上行われていないと判断すると処理を終了し、一定時間内の加速走行領域への突入が連続して3回以上行われたと判断すると、ドライブモード切換部222は、クイックモード切換条件が成立したと判断する(ステップS124)。
【0198】
次いで、ドライブモード切換部222は、ドライブモードの自動変速モードを、デフォルトモードからクイックモードに自動的に切り換えて(ステップS125)、処理を終了する。このとき、ドライブモード切換部222は、デフォルトモード用変速マップ250からクイックモード用変速マップ252に自動的に切り換えることで、デフォルトモードからクイックモードに自動的に切り換える。これにより、自動変速機制御部184は、ドライブモードの自動変速モードが選択されている場合は、クイックモード用変速マップ252を用いて、自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0199】
コーナーが連続する峠道などでは、コーナーへ進入する際に速度を減速させ、コーナーを出るときに速度を加速させるので、スロットルグリップ72の操作が頻繁に行われて、減速と加速とが所定時間の間で繰り返されるので、自動二輪車12が峠道等を走行しているときには、ステップS123で、一定時間内の加速走行領域の走行状態に突入する回数が連続して3回以上行われたと判断して、ステップS125で、駆動力が重視されたクイックモードに自動的に切り換わるので、運転者がスポーツモードを選択する必要がなくなり、使い勝手が良く、運転が楽になるとともに、キビキビとした走りを実現することができる。
【0200】
加速走行領域の走行状態に突入してから一定時間内に再び加速走行領域に突入しなかた場合は、スロットルグリップ72の操作が頻繁に行われておらず、コーナリング走行でないと考えることができるので、カウンタをリセットすることで、クイックモードへの切り換わりを防止することができる。
【0201】
一方、ステップS121で、クイックモード切換条件が成立していると判断すると、現在の自動二輪車12の走行状態が、クルーズ走行領域の走行状態であるか否かを判断する(ステップS126)。つまり、走行状態判別部214が所定の周期で自動二輪車12の走行状態を判別し、該判別結果に基づいて、現在の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であるか否かを判断する。
【0202】
ステップS126で、現在の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態でないと判断すると処理を終了し、現在の自動二輪車12の走行状態がクルーズ走行領域の走行状態であると判断すると、ドライブモード切換部222は、クルーズ走行領域の走行状態が第2の所定時間(例えば、8秒)継続したか否かを判断する(ステップS127)。
【0203】
ステップS127で、クルーズ走行領域の走行状態が第2の所定時間継続していないと判断すると処理を終了し、クルーズ走行領域の走行状態が第2の所定時間継続したと判断すると、ドライブモード切換部222は、デフォルトモード切換条件が成立したと判断する(ステップS128)。
【0204】
次いで、ドライブモード切換部222は、ドライブモードの自動変速モードを、クイックモードからデフォルトモードに自動的に切り換えて(ステップS129)、処理を終了する。このとき、ドライブモード切換部222は、クイックモード用変速マップ252からデフォルトモード用変速マップ250に自動的に切り換えることで、クイックモードからデフォルトモードに自動的に切り換える。これにより、自動変速機制御部184は、ドライブモードの自動変速モードが選択されている場合は、デフォルトモード用変速マップ250を用いて、自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0205】
クルーズ走行領域の状態が第2の所定時間継続する場合は、運転者は、例えば、街中等をゆったりと走行していると判断できるので、デフォルトモードに自動的に切り換えることで、運転者の意思に沿った走行を行うことができる。
【0206】
なお、運転者のND切換スイッチ88によりスポーツモードが指示されると、ドライブ/スポーツモード選択部220は、スポーツモード用変速マップ242を選択することで、スポーツモードの自動変速モードを選択する。これにより、運転者の意思を確実に認識した場合にスポーツモードを選択することができる。なお、スポーツモードの自動変速モードが選択されている場合は、自動変速機制御部184は、スポーツモード用変速マップ242を用いて、自動変速機168の変速ギア段を切り換える。
【0207】
以上のように、ドライブモードの自動変速モードが選択(設定)されているときは、スロットル開度に基づく加速履歴に基づいて、デフォルトモードとクイックモードを切り換えるので、街中走行から峠道等の登降坂路走行での広範囲な走行状態において、勾配検出手段等を用いずに適切な走行を提供することができ、且つ、煩雑なシフト操作がいらなくなり、且つ、スムーズな走行を実現することができる。
【0208】
なお、上記実施の形態では、1つの走行状態判別マップ232を備え、走行状態判別部214を、該1つの走行状態判別マップ232を用いて自動二輪車12の走行状態を判別するようにしたが、変速ギア段別に走行状態判別マップ232を備えてもよい。この場合は、走行状態判別部214は、現在の自動変速機168の変速ギア段に対応する走行状態判別マップ232を用いて、自動二輪車12の走行状態を判別してもよい。これにより、自動二輪車12の走行状態の判別を向上させることができる。
【0209】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定されて解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0210】
12…自動二輪車 22…パワーユニット
70…左グリップ 72…スロットルグリップ
88…ND切換スイッチ 92…走行モード切換スイッチ
102…シフトアップスイッチ 104…シフトダウンスイッチ
124…記憶部 154…スロットルバルブ
156…エンジン 158…インジェクタ
160…点火プラグ 166…クランク軸
168…自動変速機 170…スロットルグリップ開度センサ
172…スロットル開度センサ 174…回転数センサ
176…ギアポジションセンサ 178…車速センサ
180…ECU 182…エンジン制御部
184…自動変速機制御部 200…走行モード切換部
202…自動変速モード切換部 210…手動操作検出部
212…手動変速モード切換部 214…走行状態判別部
216…復帰条件判断部 218…自動変速モード復帰部
220…ドライブ/スポーツモード選択部 222…ドライブモード切換部
230…自動変速マップ 232…走行状態判別マップ
240…ドライブモード用変速マップ 242…スポーツモード用変速マップ
250…デフォルトモード用変速マップ 252…クイックモード用変速マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車速に応じた変速タイミングが設定された自動変速マップ(230)を備え、当該自動変速マップ(230)に基づき複数の変速ギア段を自動的に切り換える変速制御装置(150)であって、前記自動変速マップ(230)は、通常の走行全般に対応するドライブモード用変速マップ(240)と、前記ドライブモード用変速マップ(240)より変速比が低い領域が多く、ドライブモード用変速マップ(240)よりもスポーティな走行に対応するスポーツモード用変速マップ(242)とを有し、前記ドライブモード用変速マップ(240)及び前記スポーツモード用変速マップ(242)のいずれか一方を選択するモード選択手段(220)を備える変速制御装置(150)において、
前記ドライブモード用変速マップ(240)は、基本変速マップである第1モード用変速マップ(250)と、前記第1モード用変速マップ(250)よりも変速比が低い領域が多い第2モード用変速マップ(252)とを有し、
前記モード選択手段(220)が前記ドライブモード用変速マップ(240)を選択しているときに、前記第1モード用変速マップ(250)と前記第2モード用変速マップ(252)とを、スロットル開度に基づく加速履歴に基づいて切り換えるドライブモード用マップ切換手段(222)とを備え、
前記第2モード用変速マップ(252)おける変速比が低い領域は、前記スポーツモード用変速マップ(242)のそれよりも小さい
ことを特徴とする変速制御装置(150)。
【請求項2】
請求項1に記載の変速制御装置(150)において、
車速とスロットル開度に基づいて車両(12)が加速走行領域の走行状態であるかを判別する走行状態判別手段(214)を備え、
ドライブモード用マップ切換手段(222)は、前記車両(12)が前記加速走行領域の走行状態に突入した回数をカウントし、第1の所定時間内に所定回数、前記加速走行領域の走行状態に突入した場合は、前記第1モード用変速マップ(250)から前記第2モード用変速マップ(252)に切り換える
ことを特徴とする変速制御装置(150)。
【請求項3】
請求項2に記載の変速制御装置(150)において、
前記ドライブモード用マップ切換手段(222)は、前記車両(12)が前記加速走行領域の走行状態に突入してから一定時間内に再び前記加速走行領域の走行状態に突入しなかった場合は、カウントした回数をリセットする
ことを特徴とする変速制御装置(150)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の変速制御装置(150)において、
前記走行状態判別手段(214)は、さらに、車速とスロットル開度に基づいて前記車両がクルーズ走行領域の走行状態であるか否かを判別し、
前記ドライブモード用マップ切換手段(222)は、前記第2モード用変速マップ(252)に切り換えてから、前記車両(12)が第2の所定時間クルーズ走行領域の走行状態である場合は、第1モード用変速マップ(250)に切り換える
ことを特徴とする変速制御装置(150)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の変速制御装置(150)において、
モード選択手段(220)は、運転者の手動操作にしたがって、前記ドライブモード用変速マップ(240)及び前記スポーツモード用変速マップ(242)のいずれか一方を選択する
ことを特徴とする変速制御装置(150)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−68247(P2013−68247A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206086(P2011−206086)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】