外圧に抵抗性の経口オピオイドアゴニスト製剤
【課題】オピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少するのに有用な経口投与形のオピオイドアゴニストの提供。
【解決手段】(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む投与形を開示し、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない経口投与形オピオイドアゴニスト。
【解決手段】(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む投与形を開示し、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない経口投与形オピオイドアゴニスト。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
オピオイドは、オピオイドアゴニストとしても知られるが、これは、アヘンまたはモルヒネ様の特性を示す薬物群である。オピオイドは、主に中程度から強度の鎮痛薬として使用されるが、同様に、眠気、呼吸器抑制、気分の変化、および意識の消失を伴わない意識混濁を含む多くの他の薬理作用を示す。オピオイドは、脳および他の組織中の立体特異的かつ飽和可能な結合部位と相互作用し、アゴニストとして作用する。内因性オピオイド様ペプチドは、疼痛の知覚;運動、気分および挙動、および、神経内分泌学的機能の調節に関連すると推定される中枢神経系の領域に特に存在する。アヘンは、20を超える別個のアルカロイドを含む。モルヒネ、コデインおよびパパベリンがこの群に含まれる。
【0002】
19世紀の中期までに、粗アヘン調製物ではなく、モルヒネなどの純粋なアルカロイドの使用が、医学分野全体に広がり始めた。モルヒネの非経口使用は、粗アヘン調製物よりも、多種多様なやみつきな薬物使用を引き起こす傾向がある。オピオイドに対する耽溺の問題は、耽溺を生じる危険性のない強力な鎮痛薬の探索を促した。1967年までに、研究者は、モルヒネ様薬物、アンタゴニスト、および「混合アゴニスト−アンタゴニスト」と呼ばれるものの間の複雑な相互作用は、オピオイドおよび関連薬物の2つ以上の種類の受容体の存在を仮定することにより説明できると結論づけた。モルヒネ様作用を有する新規な全合成物体の出現により、「オピオイド」なる語は、一般に、オピオイド受容体の数個の亜種のいずれかに立体特異的に結合し、アゴニスト作用を生じる、全ての外来的物質の総称として保持されている。このより深い解明により、薬理科学は前進したが、乱用の危険性のない鎮痛オピオイドは開発されなかった。
【0003】
オピオイドの反復使用による耐性および身体依存の発達の危険性は、全てのオピオイド薬物の特徴的な面であり、心理的依存(すなわち耽溺)が発生する危険性は、医原性耽溺は稀ではあるが、オピオイドを用いた疼痛処置の使用における主な懸念の1つである。オピオイドの使用に関連した別の主な懸念は、疼痛患者からこれらの薬物が、違法目的で、別の人(患者以外)、例えば常用者に流れることである。
【0004】
オピオイドの全体的な乱用の危険性は、いずれか1つの単一の因子によっては確立されない。その代わりに、薬物離脱が薬物探索行動を生じるに十分な苦悩を引き起こす一種の身体依存を生じる薬物の能力;他の薬剤の離脱により引き起こされる離脱症状を抑制する能力;モルヒネおよび他のオピオイドにより生じる陶酔に類似した陶酔を誘導する程度;薬物を、その通常の治療範囲より多く投与した場合に生じる毒性パターン;および、水溶解度などの薬物の身体的特徴を含む、複合因子がある。かかる身体特徴によって、薬物が非経口経路により乱用される可能性があるかどうかを決定し得る。
【0005】
米国では、やみつきな薬物使用者を制御する努力は、やみつきな薬物使用者の疼痛処置におけるオピオイドの使用に対して制限を設けることにより、薬物の入手を制御する努力を含む。実際に、医師は、該薬物に身体依存、すなわち耽溺を発達する素因があると見られる人にさえ、強力なオピオイド鎮痛薬を投与する選択に直前することが多い。この問題を鑑みると、これらの患者には、乱用の危険性のない別の薬物で足りる場合にはオピオイドを投与すべきではなく;さらに、これらの患者には、非経口的に乱用し得る投与形で与えるべきではなく、単にいずれか1回で数日間の供給を与えるべきであることを推奨する。
【0006】
オピオイド使用および依存の少なくとも3つの基本的なパターンを同定した。第一は、薬物使用が、医学的処置に関連して始まり、例えば医師などの合法的起源からその初回供給を得た個人を含む。別のパターンは、実験的または「娯楽」薬物使用から始まり、より徹底的な使用に進行する。第三のパターンは、前のパターンの一方または他方で始まったが、認可耽溺処置プログラムから得た、メサドンなどの経口オピオイドに後に切り替えた使用者を含む。
【0007】
耐性は、同じレベルの鎮痛または陶酔を得るための、ある期間におよびオピオイドの投与量を増加する必要性、または、同じ投与量の反復投与により、鎮痛、陶酔、または他のオピオイド作用の減少が観察されることを意味する。顕著な程度の耐性は、オピオイドの呼吸器抑制、鎮痛、沈静、催吐および陶酔作用へと発達することが判明した。しかし、常用者または疼痛処置の必要な患者において、この耐性が発達し得る速度は、使用パターンに依存する。オピオイドを頻繁に使用する場合、投与量の増加が必要であり得る。耐性は、全てのオピオイドの作用に対して同等または同じ速度で発達せず、呼吸器抑制作用に高度に耐性である使用者さえ、縮瞳および便秘を示し続ける。オピオイドに対する耐性は、主に、離脱症状が終了した時に消失する。
【0008】
身体依存は、オピオイドの反復投与および延長使用時に発達し得る。身体依存は、オピオイド使用停止後に次第に現れるか、または、麻薬性アンタゴニストの投与後に急激に現れる(「急激離脱症状シンドローム(precipitated abstinence syndrome)」と称する)(例えば数分以内)。依存が確立される薬物、並びに使用および投与期間に応じて、離脱の症状は、数および種類、期間および重度が変化する。離脱症候群の最も一般的な症状は、摂食障害、体重減少、瞳孔散大、過度の発汗と交互に生じる悪寒、腹部痙攣、吐気、嘔吐、筋肉痙縮、過敏症、流涙、鼻漏、鳥肌、心拍増加を含む。天然禁断症候群は、典型的には、最後の投与の24〜48時間後に起こり始め、約3日目に最大強度に達し、第三週まで減少し始めないだろう。オピオイドアンタゴニストの投与により生じる禁断症候群の急激な出現は、投与量および具体的なアンタゴニストによって、強度および期間が変化するが、一般に、数分から数時間の範囲である。
【0009】
オピオイドに対する心理的依存(すなわち耽溺)は、陶酔、および、例えば心理社会的経済的プレッシャーからの逃避を達成することに向けた薬物探索行動を特徴とする。常用者は、非医学的目的で、自己危害にも関わらずオピオイドを投与し続ける。
【0010】
以前、当分野では、オピオイド鎮痛薬に関連した乱用の危険性を制御する試みがなされた。例えば、ペンタゾシンとナロキソンの組合せが、サノフィ−ウィントロップからタルウィン(登録商標)Nxとして市販されている米国で入手可能な錠剤に使用されている。タルウィン(登録商標)Nxは、50mgの塩基に同等な塩酸ペンタゾシン、および、0.5mg塩基に同等な塩酸ナロキソンを含む。タルウィン(登録商標)Nxは、中程度から重度の疼痛の緩解に適応されている。この組合せに存在するナロキソンの量は、経口投与する場合に低い活性を示し、ペンタゾシンの薬理作用に最小限にしか干渉しない。しかし、非経口投与したこの量のナロキソンは、麻薬性鎮痛薬に対して顕著なアンタゴニスト作用を示す。従って、ナロキソンの包含は、投与形を可溶化し注射した場合に生じる、誤用形の経口ペンタゾシンを抑制するものである。それ故、この投与量は、以前の経口ペンタゾシン製剤よりも、非経口誤用の危険性が低い。しかし、依然として、経口経路による、例えば、一度に複数の投与量を服用した患者による、患者の誤用および乱用がある。重度の疼痛の管理用の、チリジン(50mg)およびナロキソン(4mg)を含む一定の組合せ療法が、1978年以来、ドイツで入手可能である(ヴァロロン(登録商標)N、ゴエデッケ)。これらの薬物の組合せの理論は、モルヒネ受容体でのナロキソン誘導アンタゴニストによる、効果的な疼痛緩解およびチリジン耽溺の予防である。疼痛の処置用のブプレノルフィンとナロキソンの一定の組合せが、1991年、ニュージーランドに導入された(テムゲシック(登録商標)Nx、レキット&コールマン)。
【0011】
(発明の目的および要約)
本発明の目的は、経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することであり、これは、それに含まれるオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少するのに有用である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態の目的は、経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することであり、これは、オピオイドアゴニストの鎮痛作用に影響を及ぼすことなく、または離脱症状の急激な出現の危険性を受けることなく、オピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少するのに有用である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態の目的は、経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することであり、これは、誤用、乱用または流用に抵抗性であり、ここでの抵抗性は、同時投与したオピオイドアゴニストおよびアンタゴニスト混合物の作用における、個々の患者特異的な差異に依存しない。
【0014】
本発明の好ましい実施形態の目的は、投与形を無傷で経口投与した場合にオピオイドアゴニストの鎮痛効力を変化させないが、オピオイドアゴニストの作用を干渉することにより投与形に外圧を負荷した場合に乱用を予防できる、投与量のオピオイドアンタゴニストと共に、有効投与量のオピオイドアゴニストを含む経口投与形を提供することである。
【0015】
本発明の好ましい実施形態の目的は、経口オピオイド投与形の乱用を防ぐ方法を提供することであり、ここでの投与形はまた、隔離された、例えば、投与量が無傷で投与された場合には生物学的に利用可能ではないが、投与形に外圧を負荷した(tampered)場合には(例えばオピオイド鎮痛薬の投与量を誤用する試みで)生物学的に利用可能である、投与量のオピオイドアンタゴニストを含む。
【0016】
本発明の好ましい実施形態のさらなる目的は、急性または慢性疼痛の管理に使用する目的またはそれに適した経口投与形を提供することであり、オピオイドアゴニストの鎮痛作用の変化は、耐性、身体依存、または、肝代謝または生理における個々のばらつきなどの場合には回避しなければならない。
【0017】
本発明の好ましい実施形態のさらなる目的は、経口、非経口、鼻腔内および/または舌下経路によるその誤用を減少させつつ、経口投与形のオピオイドアゴニストを用いて、ヒト患者の疼痛を処置する方法を提供することである。
【0018】
上記の目的およびその他のいくつかまたは全部は、本発明の実施形態により達成され、これは、一部には、オピオイドアゴニストおよびオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に向けられ、ここでのオピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形(すなわち「隔離」)で存在する。好ましい実施形態において、投与形は、経口的に治療有効量のオピオイドアゴニストを含み、該投与形は、所望の鎮痛作用を与える。オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形で存在するので、投与形を無傷で経口投与した場合にオピオイドアゴニストの鎮痛作用を実質的に遮断せず、オピオイド耐性または依存患者における離脱症状の急激な出現の危険性を課さない。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明の経口投与形は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、外圧後(after tampering)の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。
【0020】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料で個々にコーティングされた多粒子形である。
【0021】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、隔離オピオイドアンタゴニストを含み、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料を含むマトリックスで分散している。
【0022】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、該無傷投与形に含まれるアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。
【0023】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたアンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量より少なく、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該アンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量またはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。好ましくは、外圧を負荷した投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、約0.5mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以上、および/または、無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、約0.125mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以下である。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離ナルトレキソンまたは医薬的に許容可能なその塩を含む経口投与形に関し、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたナルトレキソンの量は0.25mg未満であり、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該ナルトレキソンの量は0.25mgまたはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびナルトレキソンは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。またはこの実施形態において、外圧投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの経口量は、約0.5mgのナルトレキソンまたはそれ以上、および/または、無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は約0.125mgのナルトレキソンまたはそれ以下である。
【0025】
他の実施形態において、本発明は、(i)治療に効果的なオピオイドアゴニスト;および(ii)隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、経口投与1時間後に、該投与形が、約25%以下の該アンタゴニストを放出し、該投与形は鎮痛を与え、放出された該アンタゴニストは鎮痛効力に影響を及ぼさず、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。好ましくは、無傷投与形は、12.5%以下のアンタゴニストを放出する。
【0026】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料で個々にコーティングされた多粒子形(multiparticulates)である。
【0027】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料を含むマトリックスで分散している。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、本発明の無傷投与形は、経口投与1時間後にそれに含まれるいくつかのオピオイドアンタゴニストを放出する、例えば、該投与形は、1時間後に少なくとも0.025mgのナルトレキソンまたは生物学的に同等な投与量の別のアンタゴニストを放出する。これらの実施形態において、投与形は、患者に鎮痛を与え、放出されたアンタゴニストは、鎮痛効力に影響を及ぼさない。これらの実施形態において、投与形は、好ましくは、投与1時間後に0.25mg以上のナルトレキソンを放出しない。これらの実施形態の目的のために、無傷投与形からのナルトレキソンの放出を、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき測定し得る。
【0029】
他の実施形態において、本発明は、実質的に放出不可能な形のオピオイドアゴニストおよびナルトレキソンまたはその塩を含む経口投与形に関し;該アゴニストおよびナルトレキソンは少なくとも部分的に相互分散している。
【0030】
他の実施形態において、本発明は、オピオイドアゴニスト;および実質的に放出不可能な形の経口で生物学的に利用可能なオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、該アゴニストおよびアンタゴニストは少なくとも部分的に相互分散している。
【0031】
アンタゴニストが、隔離材料でコーティングされた多粒子形である本発明の実施形態において、多粒子は、アンタゴニストでコーティングし、材料で上塗りした不活性ビーズ形、または別に、アンタゴニストおよび材料を含む顆粒形であり得る。多粒子は、オピオイドアゴニストを含むマトリックスで分散できるか、または、オピオイドアゴニストと共にカプセルに含めることができる。
【0032】
アンタゴニストが、アンタゴニストの放出を実質的に防ぐ隔離材料を含むマトリックスで分散されている本発明の実施形態において、マトリックスはペレット形であり得る。ペレットは、オピオイドアゴニストを含む別のマトリックスに分散できるか、または、オピオイドアゴニストと共にカプセルに含めることができる。
【0033】
本発明の他の実施形態において、アンタゴニストの一部は、マトリックス中にあり、および/またはアンタゴニストの一部はコーティングされたビーズ中にある。
【0034】
37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づいた、外圧後に投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷投与形から放出された該アンタゴニストの量に関して、上記に開示した約4:1またはそれ以上の比を示す、本発明の特定の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に22.5%以下のアンタゴニストを放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に90%以上のアンタゴニストを放出する。別の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に該アンタゴニストの20%以下を放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に80%以上のアンタゴニストを放出する。別の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に10%以下の該アンタゴニストを放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に40%以上のアンタゴニストを放出する。別の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に該アンタゴニストの5%以下を放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に20%以上のアンタゴニストを放出する。
【0035】
本発明の特定の実施形態において、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づいた、外圧後に投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、10:1またはそれ以上、50:1またはそれ以上、或いは100:1またはそれ以上である。
【0036】
本発明の特定の実施形態において、アンタゴニストはナルトレキソンまたは医薬的に許容可能なその塩である。該実施形態において、無傷投与形は、好ましくは、上記の溶解条件に従って、1時間で、0.25mg未満、好ましくは0.125mg以下のナルトレキソンを放出する。好ましくは、外圧を負荷した投与形は、同じ条件下で、1時間で0.25mg以上のナルトレキソンを放出する。
【0037】
本発明の特定の実施形態において、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づいた、外圧後に投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、10:1またはそれ以上、50:1またはそれ以上、或いは100:1またはそれ以上である。
【0038】
投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで15重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで8重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで3重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで1重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで5重量%未満を放出するように適合している。
【0039】
本発明はまた、本明細書に開示した投与形を使用して、オピオイドアゴニストの乱用を防ぐ方法に関する。該方法は、経口投与形のオピオイドアゴニストを、オピオイドアンタゴニストと共に提供することを含み、ここでのオピオイドアンタゴニストは、消化時に実質的に放出不可能な形であり、投与形の完全性は消化が始まるまで維持されるが、外圧(例えば、圧搾、投与形を破壊する剪断力等、溶媒または45℃以上の温度)にかけられると生物学的に利用可能となる形で存在する。
【0040】
本発明の別の実施形態は、本明細書に開示したような経口投与形を調製することを含む、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用を減少する方法に関する。例えば、該方法は、(i)経口で治療有効量のオピオイドアゴニストおよび(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む投与形を調製することを含む投与形を調製することを含み得、よって、該投与形を無傷で経口投与した場合、該投与形は、所望の鎮痛効果を与え、該アンタゴニストは実質的にオピオイドアゴニストの鎮痛効果を遮断しない。別の実施形態において、オピオイドアゴニストの効果は、該投与形に外圧を負荷する、例えば咀嚼、圧搾または溶媒に溶解し、経口的、鼻腔内、非経口的または舌下投与した場合に少なくとも部分的に遮断される。
【0041】
本発明はまた、本明細書に開示した投与形で疼痛を処置する方法に関する。該方法は、放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形を提供し;そして、無傷経口投与形を経口投与することを含み得る。
【0042】
本発明の別の実施形態は、開示した投与形で疼痛を処置する方法に関する。特定の実施形態において、乱用の危険性の低い投与形で患者の疼痛を処置する方法は、放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形を提供し;そして、経口投与形を経口投与して、最小鎮痛濃度のオピオイドアゴニストよりも高い血漿中アゴニストレベルを提供することを含む。
【0043】
本発明は、本明細書に開示した投与形の調製法にも関する。特定の実施形態において、本発明は、オピオイドアンタゴニストを前処理して、実質的に放出不可能とし;そして、前処理したアンタゴニストを、放出可能な形のオピオイドアゴニストと、放出不可能な形のアンタゴニストの完全性を維持する様式で合わせることを含む、経口投与形の調製法を含む。
【0044】
本発明の特定の実施形態は、アゴニストおよびアンタゴニストが、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、製剤に関する。しかし、特定の実施形態において、アゴニストおよびアンタゴニストは、部分的に相互分散している。
【0045】
「鎮痛効力」なる語は、本発明の目的では、ヒト患者により決定した、耐容可能なレベルの副作用を伴う、疼痛の満足のいく減少または消失として定義する。「実質的にオピオイドアゴニストの鎮痛効果を遮断しない」なる語は、オピオイドアンタゴニストが、投与形を、鎮痛の付与において、治療効力を低くするに十分な程度で、オピオイドアゴニストの効果を遮断しないことを意味する。「離脱症状の急激な出現の危険性」は、製剤の適切な作用が、アゴニストとアンタゴニストの具体的な比、または、いずれかの差次的代謝(differential metabolism)に依存しないことを意味する。
【0046】
「実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニスト」なる語は、オピオイドアゴニストおよびオピオイドアンタゴニストの両方を含む無傷投与形(すなわち外圧を負荷していない)を経口投与した1時間後に放出されない、または、実質的に放出されない、オピオイドアンタゴニストを意味する。本発明の目的では、無傷投与形の経口投与後に放出された量は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への投与形の1時間後の溶解を通して、インビトロで測定し得る。該投与形は、「隔離(sequestered)アンタゴニスト」を含むとも称する。
【0047】
本発明の好ましい実施形態は、オピオイドアンタゴニストの放出を完全に防ぐ形でオピオイドアンタゴニストを含むが、本発明はまた、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストも含む。「実質的に放出されない」なる語は、放出量が影響を受けないか、または、投与形を目的のようにヒトに経口投与した場合の鎮痛効果に有意に影響を及ぼさない限り、少量で放出され得るアンタゴニストを意味する。
【0048】
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、結腸移行の管理に使用する下剤(例えば鉱油)および塩酸欠乏性状態に抵抗性である。
【0049】
特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、外圧を負荷することなく、意図するように経口投与した場合に胃腸管を通るその移行中にアンタゴニストが放出されないかまたは実質的に放出されないような、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を用いて製剤化したオピオイドアンタゴニストを含む。
【0050】
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、経口投与形の機械的、熱的および/または化学的外圧、例えば、圧搾、剪断、粉砕、咀嚼および/または熱(約45℃以上)と組合わせた溶媒中への溶解による外圧に脆弱である。かくして外圧を負荷すると、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの完全性は損なわれ、オピオイドアンタゴニストは放出可能となる。特定の実施形態において、投与形を、咀嚼、圧搾または溶媒中に溶解および加熱し、経口、鼻腔内、非経口または舌下投与した場合、オピオイドの鎮痛または陶酔作用は、減少または消失する。特定の実施形態において、オピオイドアゴニストの効果は、オピオイドアンタゴニストにより少なくとも部分的に遮断される。特定の他の実施形態において、オピオイドアゴニストの効果は、オピオイドアンタゴニストにより実質的に遮断される。
【0051】
「外圧(tampering)」なる語は、投与形の物理特性を変化させる、例えば、持続放出形である場合には即時放出でオピオイドアゴニストを遊離する、または、別の経路、例えば非経口で投与などの不適切な使用に利用可能なオピオイドアゴニストを作成する、機械的、熱的および/または化学的手段による任意の操作を意味する。外圧は、圧搾、剪断、粉砕、咀嚼、溶媒への溶解、加熱(例えば約45℃以上)、またはその任意の組合せにより得る。
【0052】
「少なくとも部分的にオピオイド効果を遮断する」なる語は、本発明の目的では、オピオイドアンタゴニストが、少なくとも有意に、オピオイドアゴニストの陶酔作用を遮断し、これにより、投与形のオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少することを意味すると定義する。
【0053】
本発明の特定の好ましい実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐコーティング中に、オピオイドアンタゴニスト粒子を含む。好ましい実施形態において、コーティングは、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を含む。コーティングは、好ましくは、それに含まれるオピオイドアンタゴニストに非浸透性であり、胃腸系で不溶性であり、従って、投与形を目的のように経口投与した場合にはオピオイドアンタゴニストの放出を実質的に防ぐ。
【0054】
従って、経口投与形を、コーティングの完全性の破損に関して外圧をかけない場合、それに含まれるオピオイドアンタゴニストは、実質的に、胃腸系を通る移行の最初の1時間中には実質的に放出されず、従って、吸収に利用できないだろう。本発明の特定の好ましい実施形態において、疎水性材料は、胃腸液では不溶性であり、オピオイドアンタゴニストに非浸透性である、セルロースポリマーまたはアクリル酸ポリマーを含む。
【0055】
本明細書に使用したようなオピオイドアンタゴニストの「粒子(particles)」なる語は、オピオイドアンタゴニストを含む、顆粒、球状体(spheroids)、ビーズまたはペレットを意味する。特定の好ましい実施形態において、オピオイドアンタゴニスト粒子は、約0.2から2mmの直径であり、より好ましくは約0.5から2mmの直径である。
【0056】
本発明の特定の実施形態において、経口投与形はさらに、放出可能な形のオピオイドアンタゴニストを含み、従って、経口投与した場合には経口投与形から放出でき、オピオイドアゴニストと放出可能な形のオピオイドアンタゴニストの比は、投与形が、経口投与した場合に、鎮痛に効果的であるような比である。例えば、オピオイドアンタゴニストを、実質的にその放出を防ぐコーティングでコーティングし、その後、オピオイドアゴニストと混合し、錠剤に圧縮した場合、特定の量のコーティングが、圧搾し得、よって、オピオイドアンタゴニストが経口投与時に放出される。
【0057】
好ましくは、本発明に有用なオピオイドアゴニストは、モルヒネ、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メサドンおよびその混合物からなる群から選択し得る。本発明に有用なオピオイドアンタゴニストの好ましい例は、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、シクラザシン、レボルファン、医薬的に許容可能なその塩およびその混合物からなる群から選択し得る。
【0058】
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形に存在する、オピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの比は、重量にして、約1:1から約50:1、重量にして好ましくは約1:1から約20:1、または15:1から約30:1である。本出願に使用したようなオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの重量比は、活性成分の重量を意味する。従って、例えば、オピオイドアンタゴニストの重量は、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能とするコーティングまたはマトリックス、または、アンタゴニスト粒子に会合した他の可能な賦形剤の重量を除外する。特定の好ましい実施形態において、比は、重量にして約1:1から約10:1である。オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形にあるので、投与形内の該アンタゴニストの量は、オピオイドアゴニスト/アンタゴニスト組合せ投与形よりも広範に変化し得、ここでは、製剤は、適切な機能に関して差次的代謝または肝クリアランス(hepatic clearance)に依存しないので、両方とも、投与時の放出に利用可能である。安全性のために、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストの量は、投与形に外圧を負荷することにより完全に放出した場合にさえ、ヒトに有害ではないように選択する。
【0059】
本発明の特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、ヒドロコドン、オキシコドンまたは医薬的に許容可能なその塩を含み、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソンおよび医薬的に許容されるその塩を含む。
【0060】
オピオイドアゴニストを実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストと組合せて含む経口投与形は、錠剤またはカプセル剤を含むがこれに限定されない。本発明の投与形は、当業者に公知の任意の所望の医薬的賦形剤を含み得る。経口投与形は、さらに、オピオイドアゴニストの即時放出を提供し得る。特定の実施形態において、本発明の特定の投与形は、それに含まれるオピオイドアゴニストの持続放出を提供する。オピオイドアゴニストの持続放出を提供する経口投与形は、医薬製剤の分野の専門家には公知の調合/製造法に従って、例えば、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含むマトリックスへの持続放出キャリアの取込みを介して;または、オピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含むマトリックスの持続放出コーティングを介して、調製し得る。
【0061】
乱用に抵抗性の投与形の利点は、価値ある鎮痛を提供するが、乱用しがちな、強力なオピオイドアゴニスト(例えばオキシコドンまたはヒドロコドン)の経口投与形について、特に多大である。これは特に、各投与単位中に、特定の期間におよび放出する目的の大量の所望のオピオイドアゴニストを有する、持続放出オピオイドアゴニスト製品に当てはまる。薬物乱用者は、該持続放出製品をとり、製品を圧搾、粉砕、抽出または別の方法で傷害し、投与形の全含量を、即時吸収に利用できるようにする。本発明の投与形の該外圧により、オピオイドアンタゴニストを吸収利用できるようになるので、本発明は、かかる乱用を妨げる手段を提供する。さらに、本発明は、製品を偶発的に咀嚼または圧搾した場合に、正常患者の過剰投与による、オピオイドアゴニストの全用量の「ダンピンク(dumping)」作用の危険性に取り組む。
【0062】
「持続放出」なる語は、本発明の目的では、血中(例えば血漿中)濃度(レベル)を、8から24時間の期間におよび、好ましくは1日2回または1日1回の処方の適応の期間におよび、治療範囲(最小有効鎮痛濃度すなわち「MEAC」)内であるが、毒性レベルより低く維持するような速度での、経口投与形からのオピオイドアゴニストの放出として定義する。
【0063】
本発明は、製品を誤用した場合の、より安全な製品(例えばより呼吸器抑制が少ない)、並びに、乱用の危険性のより少ない製品を提供し得る。
【0064】
特定の実施形態において、2つのオピオイドアゴニストの組合せが製剤に含まれる。さらなる実施形態において、1つ以上のオピオイドアゴニストを含め、さらに非オピオイド薬物も含める。かかる非オピオイド薬物は好ましくは、さらなる鎮痛を与え、これは例えばアスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド抗炎症薬(「NSAID」)、NMDAアンタゴニスト、およびシクロオキシゲナーゼ−II阻害剤(「COX−II阻害剤」)を含む。
【0065】
またさらなる実施形態において、鎮痛以外の所望の作用を与える非オピオイド薬物、例えば鎮咳薬、去痰薬、鬱血除去薬または抗ヒスタミン薬等を含めることができる。
【0066】
本発明の目的では、「オピオイドアゴニスト」なる語は、「オピオイド」または「オピオイド鎮痛薬」なる語と同義語であり、2つ以上のオピオイドアゴニストの組合せを含み、またオピオイド塩基、混合アゴニスト−アンタゴニスト、部分アゴニスト、医薬的に許容可能なその塩、その立体異性体、そのエーテルおよびエステル、およびその混合物も含む。
【0067】
本発明の目的では、「オピオイドアンタゴニスト」なる語は、2つ以上のオピオイドアンタゴニストの組合せを含み、塩基、医薬的に許容可能なその塩、その立体異性体、そのエーテルおよびエステル、並びにその混合物も含む。
【0068】
本明細書に開示の本発明は、開示したオピオイドアゴニストおよびアンタゴニストの全ての医薬的に許容可能なその塩を包含することを意味する。医薬的に許容可能な塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等の金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩を含むがこれに限定されない。
【0069】
本明細書に開示したオピオイドアゴニストおよびアンタゴニストのいくつかは、1つ以上の不斉中心を含み得、従って、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体形を与え得る。本発明はまた、全てのかかる可能な形、並びに、そのラセミおよび分割形およびその混合物を包含すると意味する。本明細書に記載の化合物が、オレフィン二重結合または他の幾何不斉中心を含む場合、特記しない限り、EおよびZ幾何異性体の両方を含むものとする。全ての互変異性体が、同様に本発明に包含されるものとする。
【0070】
本明細書に使用したような「立体異性体」なる語は、空間中のその原子の配向のみが異なる、個々の分子の全ての異性体の総称である。それは、互いに鏡像ではない(ジアステレオマー)2つ以上のキラル中心を有する化合物のエナンチオマーおよび異性体を含む。
【0071】
「キラル中心」なる語は、4つの異なる基が付着している炭素原子を意味する。
【0072】
「エナンチオマー」または「エナンチオ的」なる語は、その鏡像に重ね合わせることができず、従って、光学的に活性である分子を意味し、ここで、エナンチオマーは、一方向に偏光面を回転させ、その鏡像は、逆の方向に偏光面を回転させる。
【0073】
「ラセミ」なる語は、等しい割合のエナンチオマーの混合物を意味し、これは光学的に不活性である。
【0074】
「分割」なる語は、分子の2つのエナンチオマー形の一方の分離または濃縮または枯渇を意味する。
【0075】
本発明はさらに、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少する方法に関する。該方法は、本明細書に記載したような経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することを含む。
【0076】
(発明の詳細な説明)
ミュー、カッパ、およびデルタと称される、少なくとも3つの亜種のオピオイド受容体が存在すると仮定されている。このフレームワーク内で、ミュー受容体は、超脊髄麻酔、呼吸器抑制、陶酔および身体依存の発生に関与すると考えられている。カッパ受容体は、脊髄麻酔、縮瞳、および鎮静の誘導に関与すると考えられている。ガンマ受容体の活性化は、神経不安および幻覚、並びに、呼吸器および血管運動刺激作用を引き起こす。マウス輸精管における、ミュー受容体とは別個で、ガンマと称される受容体が、Lordら、Nature、1977、267、495〜99に記載されている。オピオイドアゴニストは、主にミュー受容体で、より低い程度でカッパ受容体で、そのアゴニスト作用を奏功すると考えられている。1つまたは別の受容体型で部分アゴニストとして作用するようである薬物が数個存在する。該薬物は、天井効果を示す。該薬物は、ナロルフィン、プロピラム、およびブプレノルフィンを含む。さらに他の薬物は、ミュー受容体で競合的アンタゴニストとして作用し、カッパおよびオメガ受容体でその作用を奏功することにより、モルヒネ様薬物の作用を遮断する。アゴニスト−アンタゴニストなる語は、かかる作用機序を記載するために展開する。
【0077】
本発明は、既存の放出制御オピオイド鎮痛薬に対して、鎮痛スペクトルの類似した、誤用、乱用および流用を減少および最小限にするために製剤化された、放出制御オピオイド鎮痛薬に関する。特定の実施形態において、これらの特徴は、独特な放出制御マトリックスにそれ自体が製剤化された、ナルトレキソンHClなどのオピオイドアンタゴニストの包含により付与される。この製剤の特性は、誤用または外圧の条件下でアンタゴニストを遊離するように開発されているが、依然として無視できる量のアンタゴニスト(患者の受ける鎮痛に影響を及ぼさない量)が、処方の使用条件下で放出される。
【0078】
本発明の特定の実施形態において、製剤のアンタゴニスト成分の放出は、無傷製剤から放出した量と比較した、外圧、例えば圧搾または咀嚼後に得られる放出の比に関して表現する。それ故、比は、[圧搾]/[全体]として表現し、この比は、少なくとも4:1またはそれ以上の数の範囲を有することが望ましい(1時間の圧搾放出/1時間の無傷放出)。アンタゴニストがナルトレキソンである場合、無傷投与形は、1時間以内に0.25mg未満、好ましくは0.125mg以下を放出することが好ましく、投与形が圧搾または咀嚼された場合に、0.25mgまたはそれ以上のナルトレキソンが、1時間後に放出される。これらの値の導出を実施例17、18および19に記載する。
【0079】
本発明は、経口投与形に含まれるオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少するのに有用な経口投与形のオピオイドアゴニストを提供する。本発明は、経口で治療有効な量のオピオイドアゴニストを、オピオイドアンタゴニストと組合せて含む、経口投与形を含む。オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形で存在する。
【0080】
特定の好ましい実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、実質的にその放出を防ぐコーティングでコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子を含む。好ましい実施形態において、該コーティングは、アンタゴニスト粒子を囲み、薬物に非浸透性であり、胃腸系に不溶性である。本発明の投与形をヒトに経口投与する場合、オピオイドアンタゴニストは、実質的にコーティングから放出されず、それ故、生体への吸収に利用できない。従って、オピオイドアンタゴニストは、投与形で存在するが、オピオイドアゴニストの鎮痛効力を実質的に遮断しない。しかし、本発明の経口投与形に外圧を負荷して、コーティングの完全性を損なう場合、それに含まれるオピオイドアンタゴニストは利用可能となり、少なくとも部分的にはオピオイドアゴストの効力を遮断するだろう。この特徴により、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用または流用の危険性は減少する。例えば、咀嚼、圧搾、粉砕または熱(例えば約45℃以上から約50℃)を加え溶媒中に溶解することにより、本発明の経口投与形に含まれる薬物を乱用しようと試みた場合、コーティングは傷害し、オピオイドアンタゴニストの遊離をもはや防がないだろう。投与時に、オピオイドアンタゴニストは放出され、オピオイドアゴニストの陶酔作用を有意に遮断する。
【0081】
本発明の特定の実施形態において、オピオイドアゴニストと、コーティングされたオピオイドアンタゴニストの比は、経口投与形が外圧を受けて、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能としているコーティングの完全性を損なう場合、アゴニストの陶酔作用は、ヒト被検者により、経口、非経口、鼻腔内、または舌下で誤用される場合、オピオイドアンタゴニストにより打ち消されるだろう。本発明の特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストの陶酔作用は、非経口または舌下で誤用した場合に、オピオイドアンタゴニストにより打ち消されるだろう。
【0082】
本発明はまた、放出可能な形のオピオイドアンタゴニストを、オピオイドアゴニストおよびコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子と共に含む、経口投与形を含み、アゴニストとコーティングされていないオピオイドアンタゴニストの比は、意図したような経口投与する場合、経口投与形は鎮痛効果があるような比である。
【0083】
本発明の特定の他の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、アンタゴニストを実質的に放出不可能としているマトリックス中に分散されたオピオイドアンタゴニストを含み、ここでのマトリックスは、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を含む。アンタゴニストは、実質的にマトリックスから放出されず、従って、胃腸系を通る移行中の吸収に利用できない。
【0084】
本発明の特定の他の実施形態において、アンタゴニストを実質的に放出不可能とするマトリックス中のオピオイドアンタゴニストは、融解押出(melt-extruded)マトリックスに分散したオピオイドアンタゴニストを含み、該マトリックスは、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を含む。
【0085】
好ましい実施形態において、本発明に有用なオピオイドアゴニストは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デスモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニルおよび誘導体、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、前記のいずれかの混合物、前記のいずれかの塩等を含むがこれに限定されない。特定の実施形態において、記載のオピオイド組成物中のオピオイドアゴニストの量は、約75ngから750mgであり得る。
【0086】
特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、ヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルホン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシモルホン、ブプレノルフィン、フェンタニルおよびその誘導体、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール、またはその塩またはその混合物からなる群から選択する。特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、オキシコドンまたはヒドロコドンである。15mgの投与量のヒドロコドンに比べて、等価な鎮痛投与量のこれらのオピオイドを、以下の表1に示す。
(表1)
表1:等価な鎮痛投与量のオピオイド
オピオイド 計算投与量
オキシコドン 13.5
コデイン 90.0
ヒドロコドン 15.0
ヒドロモルフォン 3.375F
レボルファノール 1.8
メペリジン 135.0
メサドン 9.0
モルヒネ 27.0
ヒドロコドンおよびオキシコドンは、疼痛の管理に効果的であるが、オピオイドに心理的に依存しているか、または、非治療理由でオピオイドを誤用している個体による、その乱用は増加している。他のオピオイドでの以前の実験により、オピオイドを、特に悪化した常用者である患者において麻薬性アンタゴニストと組合せて投与した場合に、乱用の危険性の減少することが実証された。ワインホルドら、非依存ヒトにおける、単独で、または、ナルトレキソンと組合せたブプレノルフィン、Drug and Alcohol Dependence 1992;30:263〜274;メンデルソン・ジェイら、アヘン依存試験志願者におけるブプレノルフィンとナロキソンの相互作用、Clin Pharm Ther.1996;60:105〜114;両方共、参照してここに組み込まれる。しかし、これらの組合せは、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含まない。むしろ、オピオイドアンタゴニストは、経口投与した場合に胃腸系で放出され、ホストが差次的にアゴニストおよびアンタゴニストを代謝する生理機能に依拠して吸収に利用可能となり、アゴニスト作用を打ち消す。
【0087】
ヒドロコドンは、複数の中枢神経系および胃腸の作用をもつ、半合成麻薬性鎮痛薬および鎮咳薬である。化学的には、ヒドロコドンは、4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オンであり、ジヒドロコデイノンとしても知られる。他のオピオイドと同様に、ヒドロコドンは習慣性であり得、モルヒネ型の薬物依存を発生し得る。過剰投与量のヒドロコドンでは、他のアヘン誘導体と同様に、呼吸を抑制する。
【0088】
経口ヒドロコドンも、欧州(ベルギー、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルグ、ノルウェーおよびスイス)で鎮咳剤として入手できる。非経口製剤も、ドイツで、鎮咳剤として入手できる。鎮痛薬として使用するために、酒石酸水素ヒドロコドンは、米国で、中程度または中程度に重度の疼痛の寛解用に、非アヘン薬物と一定の組合せ(すなわち、イブプロフェン、アセトアミノフェン、アスピリン等)としてのみ市販されている。
【0089】
一般的な投与形のヒドロコドンは、アセトアミノフェンと組合せられ、2.5/500mg、5/500mg、7.5/500mgおよび10/500mgのヒドロコドン/アセトアミノフェン錠剤として、UCBファーマ社から米国でロルタブ(登録商標)として市販されている。錠剤はまた、7.5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび650mgのアセトアミノフェン;および7.5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび750mgのアセトアミノフェンの比で入手できる。アスピリンと組合わせたヒドロコドンは、経口投与形で、成人に、疼痛の緩解に必要である、一般に4〜6時間毎に1〜2個の錠剤を投与する。錠剤形は、32mgのカフェインを含む、5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび224mgのアスピリン;または、5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび500mgのアスピリンである。比較的新規な製剤は、酒石酸水素ヒドロコドンおよびイブプロフェンを含む。米国でクロール・ラボラトリーズから市販されているビコプロフェン(登録商標)は、7.5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび200mgのイブプロフェンを含む錠剤である。本発明は、アンタゴニストを実質的に放出不可能な形とするコーティングでコーティングしたオピオイドアンタゴニスト粒子を含む、かかる全ての製剤を包含するものとする。
【0090】
オキシコドンは、化学的には4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オンとしても知られるが、これは基本的な治療作用が鎮痛であるオピオイドアゴニストである。オキシコドンの他の治療効果は、抗不安、陶酔およびリラックス感を含む。その鎮痛作用の正確な機序は不明であるが、オピオイド様活性を有する内因性化合物の特異的CNSオピオイド受容体が、脳および脊髄全体において同定され、この薬物の鎮痛効果に役割を果たす。
【0091】
オキシコドンは、米国で、例えばオキシコンチン(登録商標)として、パーデュー・ファーマL.P.から、10mg、20mg、40mgまたは80mgの塩酸オキシコドンを含む経口投与用の放出制御錠剤として、オキシIR(登録商標)としてパーデュー・ファーマL.P.から、5mgの塩酸オキシコドンを含む即時放出カプセル剤として市販されている。本発明は、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能な形で含む、かかる全ての製剤を包含するものとする。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明のオピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナルメフェン、シクラザシン、レバロルファンおよびその混合物を含む。特定の好ましい実施形態において、オピオイドアンタゴニストはナロキソンまたはナルトレキソンである。特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストの量は、約10ngから275mgであり得る。
【0093】
ナロキソンは、アゴニスト作用のほとんどない、オピオイドアンタゴニストである。12mgのナロキソンの皮下投与量により、識別可能な主観的な作用は全く生じず、24mgのナロキソンはほんの僅かな眠気を引き起こす。ヒトに筋肉内または静脈内投与した少量(0.4〜0.8mg)のナロキソンは、モルヒネ様オピオイドアゴニストの作用を予防または迅速に逆転し得る。1mgの静注のナロキソンが、25mgのヘロインの作用を完全に遮断すると報告されている。ナロキソンの作用は、静脈内投与後ほぼ即座に見られる。薬物は経口投与後に吸収されるが、肝臓を通る初回通過で急速に不活性形へと代謝されると報告され、よって、非経口投与した場合よりも有意に低い強度を有すると報告されている。1gより多い経口投与量が、24時間未満でほぼ完全に代謝されると報告されている。舌下投与したナロキソンの25%が吸収されると報告されている。ワインバーグら、選択したオピオイド鎮痛薬の舌下吸収、Clin Pharmacol Ther.(1988)44:335〜340。
【0094】
他のオピオイドアンタゴニスト、例えばシクラゾシンおよびナルトレキソン(両方共、窒素上にシクロプロピルメチル置換基を有する)は、経口経路により、その多くの効力を保持し、その作用時間は、はるかに長く、経口投与後24時間に近い。
【0095】
以前にオピオイドに耽溺した患者の処置において、ナルトレキソンを、オピオイドアゴニストの陶酔作用を予防するために、大量の経口投与量(100mg以上)で使用した。ナルトレキソンは、デルタ部位よりも、ミュー部位で、強力で選択的な遮断作用を奏功すると報告されている。ナルトレキソンは、オピオイドアゴニスト特性の全くないオキシモルフォンの合成同属体として知られ、オキシモルフォンの窒素原子上に位置するメチル基をシクロプロピルメチル基で置換することにより、オキシモルフォンとは構造が異なる。ナルトレキソンの塩酸塩は、約100mg/ccまで水に溶ける。ナルトレキソンの薬理および薬物動態特性を、複数の動物および臨床試験で評価した。例えば、ゴンザレスJPら、ナルトレキソン:その薬物動態および薬物速度特性、並びに、オピオイド依存管理における治療効力の総説、Drugs 1988;35:192〜213(参照してここに組み込まれる)参照。経口投与後、ナルトレキソンは、急速に吸収され(1時間以内に)、5〜40%の範囲の経口バイオアベイラビリティーを有する。ナルトレキソンのタンパク質結合は、約21%であり、単回投与後の分布容量は、16.1L/kgである。
【0096】
ナルトレキソンは、錠剤形(レビア(登録商標)、デュポン)で、アルコール依存の処置および外的に投与したオピオイドの遮断用に市販されている。例えばレビア(塩酸ナルトレキソン錠剤)参照。米国医薬品便覧第51版、モントバレ、NJ「医学経済学」1997;51:957〜959。50mgのレビア(登録商標)の投与量は、24時間までに25mg静注投与したヘロインの薬理作用を遮断する。
【0097】
モルヒネ、ヘロインまたは他のオピオイドを慢性的に同時投与した場合、ナルトレキソンは、オピオイドへの身体依存の発生を遮断することが知られている。ナルトレキソンがヘロインの作用を遮断する方法は、オピオイド受容体で競合的に結合することによると考えられている。ナルトレキソンは、オピオイドの作用の完全な遮断により、麻薬性耽溺を処置するのに使用されている。麻薬性耽溺におけるナルトレキソンの最も成功裏な使用は、挙動制御または他の服薬遵守増強法を含む包括的職業的またはリハビリプログラムの一部として、良好な予後を有する麻薬性常用者に対してであることが判明した。ナルトレキソンによる麻薬依存の処置では、患者は、少なくとも7〜10日間オピオイドがないことが望ましい。該目的での、初回投与量のナルトレキソンは、典型的には約25mgであり、離脱症状の兆候が出現しない場合には、投与量は、1日あたり50mgまで増加し得る。50mgの1日投与量が、非経口投与オピオイド作用の適切な臨床遮断を行なうと考えられる。ナルトレキソンはまた、社会的および心理療法を用いる補助剤として、アルコール依存症の処置に使用されている。
【0098】
本発明の特定の実施形態において、経口投与形のオピオイドアゴニストと実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの比は、オピオイドアゴニストの作用が、投与形が咀嚼、圧搾または溶媒に溶解および加熱され、経口、鼻腔内、非経口または舌下投与した場合に、少なくとも部分的に遮断されるような比である。本発明の経口投与形は、意図したように適切に投与した場合、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出しないので、該アンタゴニストの量は、経口投与時に胃腸系に放出されて利用可能である場合よりも、広範に変化し得る。安全性の理由から、実質的に放出不可能な形で存在するアンタゴニストの量は、完全に放出された場合でさえヒトに有害でないべきである。当業者は過度の実験を行なうことなく、具体的なオピオイドアゴニストとアンタゴニストの比を決定できる。
【0099】
本発明の特定の実施形態において、オピオイドアゴニストと、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストの比は、重量にして約1:1から約50:1、好ましくは重量にして約1:1から約20:1である。特定の好ましい実施形態において、比は重量にして約1:1から約10:1である。本発明の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、オキシコドンまたはヒドロコドンを含み、約15〜45mgの量で存在し、オピオイドアンタゴニストはナルトレキソンを含み、約0.5〜5mgで存在する。
【0100】
本発明の経口投与形は、さらに、オピオイドアゴニストおよびアンタゴニストに加えて、1つ以上の薬物を含み得、これは相乗的に作用してもしなくてもよい。従って、特定の実施形態において、オピオイドアンタゴニストに加えて、2つのオピオイドアゴニストの組合せを投与形に含め得る。例えば、投与形は、半減期、溶解度、強度などの異なる特性を有する2つのオピオイドアゴニスト、および前記のいずれかの組合せを含み得る。またさらなる実施形態において、1つ以上のオピオイドアゴニストが含まれ、オピオイドアンタゴニストに加えて、さらなる非オピオイド薬物も含まれる。かかる非オピオイド薬物は、好ましくは、追加の鎮痛を与え、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン;非ステロイド抗炎症薬(「NSAID」)、例えばイブプロフェン、ケトプロフェン等;N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニスト、例えばモルフィナン、例えばデキストロメトルファンまたはデキストルファン、またはケタミン;シクロオキシゲナーゼ−II阻害剤(「COX−II阻害剤」);および/またはグリシン受容体アンタゴニストを含む。
【0101】
本発明の特定の好ましい実施形態において、本発明により、NSAIDまたはCOX−2阻害剤などの追加の非オピオイドアゴニストの包含により、より少ない投与量のオピオイド鎮痛薬を使用できる。より少量の一方または両方の薬物の使用により、ヒトにおける効果的な疼痛管理に伴う副作用は減少する。
【0102】
適切な非ステロイド抗炎症剤は、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプフェン、カプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカムまたはイソキシカム等を含む。これらの薬物の有用な投与量は、当業者に公知である。
【0103】
N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニストは、当分野で公知であり、例えば、デキストロメトルファンまたはデキストロルファンなどのモルフィナン、ケタミン、d−メサドンまたは医薬的に許容可能なその塩を包含する。本発明の目的では、「NMDAアンタゴニスト」なる語はまた、GM1またはGT1bなどのガングリオシド、トリフルオペラジンなどのフェノチアジン、またはN−(6−アミノセキシル)−5−クロロ−1−ナフタレンスルホンアミドなどのナフタレンスルホンアミドなどの、NMDA−受容体活性化の主要な細胞内結果を遮断する、薬物を包含すると判断される。これらの薬物は、米国特許第5,321,012号および第5,556,838号(両方共マイヤーら)に、モルヒネ、コデイン等の麻薬性鎮痛薬などの耽溺性薬物への耐性および/または依存の発達を阻害し、米国特許第5,502,058号(マイヤーら)に慢性疼痛を処置すると記載され、これらの文献は全部、参照してここに組み込まれる。NMDAアンタゴニストは、これらのマイヤーらの特許に記載のように、単独で、または、リドカインなどの局所麻酔薬と組合せて含め得る。
【0104】
グリシン受容体アンタゴニストの使用による慢性疼痛の処置および該薬物の同定は、本明細書に参考として取込んだ、米国特許第5,514,680号(ウェーバーら)に記載されている。
【0105】
COX−2阻害剤が当分野で報告され、多くの化学構造が、シクロオキシゲナーゼ−2の阻害を引き起こすことが知られている。COX−2阻害剤は、例えば、米国特許第5,616,601号;第5,604,260号;第5,593,994号;第5,550,142号;第,5,536,752号;第5,521,213号;第5,475,995号;第5,639,780号;第5,604,253号;第5,552,422号;第5,510,368号;第5,436,265号;第5,409,944号;および第5,130,311号(これは全部、参照してここに組み込まれる)に記載されている。特定の好ましいCOX−2阻害剤は、セレコキシブ(SC−58653)、DUP−697、フロスリド(CGP−28238)、メロキシカム、6−メトキシ−2ナフチル酢酸(6−MNA)、MK−966(Vioxxとしても知られる)、ナブメトン(6−MNAのプロドラッグ)、ニメスリド、NS−398、SC−5766、SC−58215、T−614;またはその組合せを含む。体重1kgあたり1日あたり約0.005mgから約140mgの次元のCOX−2阻害剤の投与量レベルを、オピオイド鎮痛薬と組合せると治療に有効である。別法として、患者1人あたり1日あたり約0.25mgから約7gのCOX−2阻害剤を、オピオイド鎮痛薬と組合せて投与する。
【0106】
またさらなる実施形態において、鎮痛以外の所望の作用を与える非オピオイド薬物、例えば鎮咳薬、去痰薬、抗鬱血薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬等を含めることができる。
【0107】
実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの調製
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、該アンタゴニストを、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料と合わせることにより調製し得る。例えば、オピオイドアンタゴニスト粒子は、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐコーティングでコーティングし得、該コーティングは、疎水性材料(群)を含んでいる。別の例は、アンタゴニストを、実質的に放出不可能とするマトリックスで分散されたオピオイドアンタゴニストであり、該マトリックスは、疎水性材料(群)を含んでいる。特定の実施形態において、医薬的に許容可能な疎水性材料は、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート(低、中または高の分子量)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートおよびセルローストリアセテートからなる群から選択したセルロースポリマーを含む。エチルセルロースの例は、44から55%のエトキシ含量を有するものである。エチルセルロースは、アルコール溶液形で使用し得る。特定の他の実施形態において、疎水性材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸またはポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマーを含む。
【0108】
特定の実施形態において、疎水性材料は、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースエステルエーテル、およびセルロースからなる群から選択したセルロースポリマーを含み得る。セルロースポリマーは、0より大きく、3以下の、無水グルコース単位での、置換度(D.S.)を有する。置換度により、置換基により置換されたセルロースポリマーを含む無水グルコース単位上に存在する、ヒドロキシル基の平均数を意味する。代表的な材料は、セルロースアクリレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジ、およびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジ、およびトリセルロースアロイレート、並びに、モノ、ジ、およびトリセルロースアルケニレートからなる群から選択したポリマーを含む。例示的なポリマーは、D.S.および21%までのアセチル含量を有するセルロースアセテート;32から39.8%までのアセチル含量を有するセルロースアセテート;1から2のD.S.および21から35%までのアセチル含量を有するセルロースアセテート;2から3のD.S.および35から44.8%のアセチル含量を有するセルロースアセテートを含む。
【0109】
より具体的なセルロースポリマーは、1.8のD.S.および39.2から45までのプロピル含量および2.8から5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースプロピオネート;1.8のD.S.、13から15%のアセチル含量および34から39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2から29%のアセチル含量、17から53%のブチリル含量、および0.5から4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2.9から3のD.S.を有するセルローストリアシレート、例えばセルローストリアセテート、セルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリスクシネート、およびセルローストリオクタノエート;2.2から2.6のD.S.を有するセルロースジアシレート、例えばセルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジペンタノエート、およびセルロースのコエステル、例えばセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートオクタノエートブチレート、およびセルロースアセテートプロピオネートを含む。
【0110】
実質的に放出不可能な形の、オピオイドアンタゴニストの調製に有用な、追加のセルロースポリマーは、アセトアルデヒドルジメチルセルロースアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートメチルカルバメート、およびセルロースアセテートジメチルアミノセルロースアセテートを含む。
【0111】
実質的に放出不可能な形の、オピオイドアンタゴニストの調製に有用な、アクリル酸ポリマーは、使用したアクリル酸およびメタクリル酸モノマーの1モルあたり、0.02から0.03モルのトリ(低級アルキル)アンモニウム基を含む、アクリル酸およびメタクリル酸エステルから合成されたコポリマー(例えば、アクリル酸低級アルキルエステルおよびメタクリル酸低級アルキルエステルのコポリマー)を含むアクリルレジンを含むがこれに限定されない。適切なアクリルレジンの例は、ローム・ファーマGmbHが製造し、オイドラギット(登録商標)RS商標名で販売のポリマーである。オイドラギットRS30Dが好ましい。オイドラギット(登録商標)RSは、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MM)およびトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド(TAM)の水不溶性ポリマーであり、TAMと残りの成分(EAおよびMM)のモル比は、1:40である。オイドラギット(登録商標)RSなどのアクリルレジンは、水性懸濁液の形で使用し得る。
【0112】
本発明の特定の実施形態において、アクリル酸ポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択し得る。
【0113】
実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、アンタゴニストを実質的に放出不可能な形にするコーティングでコーティングしたオピオイドアンタゴニスト粒子を含み、セルロースポリマーまたはアクリル酸ポリマーをコーティング組成物の調製に使用する場合、適切な可塑剤、例えばアセチルトリエチルシトレートおよび/またはアセチルトリブチルシトレートも、ポリマーと混合し得る。コーティングはまた、コーティング分野で公知である、着色剤、タルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムなどの添加剤を含み得る。
【0114】
コーティング組成物は、それを、当分野で公知の適切な噴霧装置を使用して、粒子上に噴霧することにより、オピオイドアンタゴニストに適用し得る。例えば、下方から注入した、空気ジェットがコーティング材料を流動化し、不溶性ポリマーコーティングを噴霧している間に乾燥を行なう、ウスター流動床系を使用し得る。コーティングの厚さは、使用する具体的なコーティング組成物の特徴に依存する。しかし、本発明の具体的な投与形に必要な具体的なコーティングの最適な厚さを慣用的な実験により決定することは当業者の十分能力内である。
【0115】
実質的に放出不可能な形の、オピオイドアンタゴニストの調製に有用な医薬的に許容可能な疎水性材料は、ポリ(乳酸/グリコール酸)(「PLGA」)、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、ポリサッカリド、タンパク質性ポリマー、ポリエステル、ポリジオキサノン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリホスホエステル、或いは、これらのいずれかの混合物またはブレンドを含む、生分解性ポリマーを含む。
【0116】
特定の実施形態において、生分解性ポリマーは、約2,000から約500,000ダルトンの分子量を有する、ポリ(乳酸/グリコール酸)、すなわち乳酸とグリコール酸のコポリマーを含む。乳酸とグリコール酸の比は、約100:0から約25:75であり、乳酸とグリコール酸の比は65:35が好ましい。
【0117】
ポリ(乳酸/グリコール酸)は、米国特許第4,293,539号(ルドウィッグら)に示した手順により調製し得、この開示は全体を参照してここに組み込まれる。簡潔には、ルドウィッグは、容易に除去可能な重合触媒(例えば、ダウエックスHCR−W2−Hなどの強酸イオン交換レジン)の存在下で、乳酸とグリコール酸の縮合により、コポリマーを調製する。触媒の量は、重合に重要ではないが、典型的には、合わせた乳酸およびグリコール酸の総重量に対して、重量にして約0.01から約20部である。重合反応は、溶媒を用いずに、約100℃から約250℃の温度で、約48から約96時間、好ましくは水および副生成物の除去を容易にするために減圧下で実施し得る。その後、ポリ(乳酸/グリコール酸)は、ジクロロメタンまたはアセトンなどの有機溶媒中の融解反応混合物をろ過し、その後、触媒をろ過して除去することにより回収する。
【0118】
一旦、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストが調製されると、当分野で公知の慣用的な賦形剤と共に、オピオイドアゴニストと合わせて、本発明の経口投与形を調製し得る。
【0119】
本発明の特定の好ましい実施形態において、経口投与形は、カプセル剤または錠剤である。錠剤として製剤化した場合、オピオイドアンタゴニストおよびアゴニストを、錠剤の製造に適した、1つ以上の不活性で無毒性の賦形剤と合わせ得る。該賦形剤は、例えば、ラクトースなどの不活性希釈剤;造粒および崩壊剤、例えばコーンスターチ;結合剤、例えばスターチ;および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含む。
【0120】
本発明の経口投与形は、それに含まれるオピオイドアゴニストの即時放出を提供するように製剤化し得る。しかし、本発明の他の実施形態において、経口投与形は、オピオイドアゴニストの持続放出を与える。
【0121】
特定の実施形態において、オピオイドアゴニストの持続放出を与える経口投与形は、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを、アゴニストおよび所望の医薬賦形剤と混合し、錠剤を与え、その後、錠剤を持続放出錠剤コーティングでコーティングすることにより調製し得る。
【0122】
本発明の特定の実施形態において、持続放出オピオイドアゴニスト錠剤は、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを、持続放出特性を有する錠剤を提供するマトリックス中のオピオイドアンタゴニストと混合することにより調製し得る。
【0123】
本発明に従って持続放出経口投与形を調製する詳細な説明を以下に示す。
【0124】
オピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む、放出制御投与形の調製
オピオイドアゴニストと実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの組合せは、当業者に公知の任意の適切な錠剤、コーティング錠剤または多粒子製剤で、放出制御または持続経口製剤として製剤化し得る。持続放出投与形は、任意選択で、オピオイドアゴニストおよび利用不可能な形のオピオイドアンタゴニストと共に、マトリックスに取込まれた持続放出キャリアを含み得えるか、または、持続放出コーティングとして適用し得る。
【0125】
オピオイドアゴニストがヒドロコドンを含む実施形態において、持続放出経口投与形は、1投与量あたり、約8mgから約50mgのヒドロコドンという鎮痛投与量を含み得る。ヒドロモルホンが治療に有効なオピオイドである持続放出経口投与形では、それは、約2mgから約64mgの塩酸ヒドロモルホンの量で含まれる。別の実施形態において、オピオイドアゴニストはモルヒネを含み、本発明の持続放出経口投与形は、重量にして、約2.5mgから約800mgのモルヒネを含む。さらに別の実施形態において、オピオイドアゴニストはオキシコドンを含み、持続放出経口投与形は、約2.5mgから約800mgのオキシコドンを含む。特定の好ましい実施形態において、持続放出経口投与形は、約20mgから約30mgのオキシコドンを含む。放出制御オキシコドン製剤は、当分野で公知である。以下の文書は、本明細書に記載の本発明に使用するに適した、種々の放出制御オキシコドン製剤、および、その製造プロセスを記載する:米国特許第5,266,311号;第5,549,912号;第5,508,042号;および第5,656,295号。オピオイドアゴニストは、トラマドールを含み得、持続放出経口投与形は、1投与単位あたり、約25mgから約800mgのトラマドールを含み得る。投与形は、2つ以上のオピオイドアゴニストを含み得、実質的に等価な治療効果を提供する。別法として、投与形は、本発明に有用なモル等量のオピオイドアゴニストの他の塩を含み得る。
【0126】
本発明の1つの好ましい実施形態において、持続放出投与形は、オピオイドアゴニストを含む該粒子を含み、該粒子は、0.1mmから約2.5mm、好ましくは約0.5mmから約2mmの直径を有する。
【0127】
オピオイドアゴニスト粒子は、好ましくは、水性媒体中で持続した速度で、オピオイドアゴニストの放出の可能な材料でコーティングしたフィルムである。フィルムコートは、他の記載の特性と組合せて、所望のインビトロ放出速度を達成するように選択する。本発明の持続放出コーティング製剤は、なだらかで秀麗な強力な連続フィルムを生成でき、色素および他のコーティング添加剤を支持でき、無毒性、不活性で、結び目がないものとすべきである。
【0128】
オピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能なオピオイドアンタゴニストを含む投与形は、任意選択で、オピオイドアゴニストの調節または製剤の保護に適した1つ以上の材料でコーティングし得る。1つの実施形態において、コーティングは、例えば、胃液に暴露された場合に、pH依存性またはpH独立的放出が可能となるように施す。pH依存的コーティングは、胃または小腸などの胃腸(GI)管の所望の領域でオピオイドの放出を行ない、患者に、少なくとも約8時間、好ましくは約12時間から約24時間の間、鎮痛を提供できる、吸収プロファイルが提供される。pH独立的コーティングが望ましい場合、コーティングは、例えば胃腸管で環境液体中のpH変化に関係なく、オピオイドの最適な放出を達成するように設計されている。それは、例えば胃などの胃腸管の1つの所望の領域で、投与量の一部を放出し、例えば小腸などの胃腸管の別の領域で投与量の残りを放出する組成物を製剤化することが可能である。
【0129】
製剤を得るために、pH依存的コーティングを利用した、本発明に記載の製剤はまた、反復作用の効果を付与し得、これにより非保護の薬物は腸溶性コーティングされ、胃で放出され、一方、腸溶性コーティングにより保護された残りは、胃腸管のさらに下部で放出される。pH依存的であるコーティングは、本発明に従って使用し得、これはシェラック、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメタクリル酸エステルコポリマー、ゼイン等を含む。
【0130】
特定の好ましい実施形態において、オピオイド鎮痛薬(COX−2阻害剤を含むまたは含まない)を含む基質(例えば錠剤コアビーズ、マトリックス粒子)を、(i)アルキルセルロース;(ii)アクリル酸ポリマー;または(iii)その混合物から選択した疎水性材料でコーティングする。コーティングは、有機または水性溶液または分散液の形で適用し得る。コーティングは、所望の持続放出プロファイルを得るために、約2から約25%の基質の重量増となるように適用し得る。分散水から得たコーティングは、本発明の譲受人に譲渡され、本明細書に参考として取込んだ、詳細に米国特許第5,273,760号および第5,286,493号に記載されている。
【0131】
本発明に従って使用し得る、持続放出製剤およびコーティングの他の例は、その全体を参照してここに組み込まれ、譲受人の米国特許第5,324,351号;第5,356,467号、および第5,472,712号を含む。
【0132】
アルキルセルロースポリマー
セルロース系の材料およびポリマー(アルキルセルロースを含む)は、本発明によるビーズをコーティングするために十分に適する疎水性材料をもたらす。単に例として、1つの好ましいアルキルセルロース系ポリマーはエチルセルロースであるが、当業者は、本発明による疎水性ビーズの全体または一部として、他のセルロースポリマーおよび/またはアルキルセルロースポリマーを単独で、または任意の組合せで容易に用いることができることを理解する。
【0133】
エチルセルロースの市販されている水性分散物の1つがアクアコート(登録商標)(FMC Corp.、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、米国)である。アクアコート(登録商標)は、水と混和しない有機溶媒にエチルセルロースを溶解し、これを水に界面活性剤および乳化剤の存在下で乳化することによって調製される。サブミクロンの液滴を得るためにホモジネーションした後、有機溶媒を減圧下で除き、擬似ラテックス(pseudolatex)を形成させる。可塑剤は製造段階の擬似ラテックスには配合されない。したがって、これをコーティング物として使用する前には、アクアコート(登録商標)を適切な可塑剤と使用前に十分に混合することが必要である。
【0134】
エチルセルロースの別の水性分散物がシュアリース(Surelease)(登録商標)(Colorcon,Inc.、ウエストポイント、ペンシルバニア州、米国)として市販されている。この製品は、製造プロセス途中の分散物に可塑剤を配合することによって調製される。ポリマー、可塑剤(セバシン酸ジブチル)および安定化剤(オレイン酸)の融解物が均質な混合物として調製され、その後、基体に直接塗布することができる水性分散物を得るためにアルカリ性溶液で希釈される。
【0135】
アクリルポリマー
本発明の他の好ましい実施形において、徐放性コーティング物を含む疎水性材料は医薬的に許容可能なアクリルポリマーであり、これには、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(無水メタクリル酸)およびメタクリル酸グリシジルコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
いくつかの好ましい実施形において、アクリルポリマーは、1つ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーから構成される。様々なアンモニオメタクリレートコポリマーがこの分野では十分に知られており、四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの完全重合したコポリマーとして、NF XVIIに記載されている。
【0137】
望ましい溶解プロフィルを得るためには、四級アンモニウム基対中性(メタ)アクリルエステルのモル比が異なるなどの異なる物理的性質を有する2つ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを配合することが必要になる場合がある。
【0138】
ある種のメタクリル酸エステル型ポリマーが、本発明に従って使用され得るpH依存性コーティング物を調製するために有用である。例えば、一群のコポリマーがメタクリル酸ジエチルアミノエチルおよび他の中性メタクリルエステルから合成されており、これらは、メタクリル酸コポリマーまたはポリマー状メタクリレートとしても知られており、Rohm Tech,Inc.から得られるオイドラギット(Eudragit)(登録商標)として市販されている。7つの異なるタイプのオイドラギット(登録商標)が存在する。例えば、オイドラギット(登録商標)Eは、酸性媒体に膨潤して溶解するメタクリル酸コポリマーの一例である。オイドラギット(登録商標)Lは、約pH<5.7では膨潤せず、約pH>6で可溶性であるメタクリル酸コポリマーである。オイドラギット(登録商標)Sは、約pH<6.5では膨潤せず、約pH>7で可溶性である。オイドラギット(登録商標)RLおよびオイドラギット(登録商標)RSは水膨潤性であり、これらのポリマーにより吸収される水の量はpH依存的である。しかし、オイドラギット(登録商標)RLおよびオイドラギット(登録商標)RSがコーティングされた投与形はpH非依存的である。
【0139】
いくつかの好ましい実施形において、アクリルコーティング物は、Rohm Pharmaからオイドラギット(登録商標)RL30Dおよびオイドラギット(登録商標)RS30Dの商品名でそれぞれ市販されている2つのアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。オイドラギット(登録商標)RL30Dおよびオイドラギット(登録商標)RS30Dは、四級アンモニウム基の含有量が低いアクリルエステルおよびメタクリルエステルのコポリマーであり、アンモニウム基対残留中性(メタ)アクリルエステルのモル比が、オイドラギット(登録商標)RL30Dでは1:20であり、オイドラギット(登録商標)RS30Dでは1:40である。平均分子量は約150,000である。RL(高透過性)およびRS(低透過性)のコード標示はこれらの薬剤の透過性性質を示している。オイドラギット(登録商標)RL/RSの混合物は水および消化液に不溶である。しかし、この混合物から形成されたコーティング物は水溶液および消化液において膨潤可能であり、透過可能である。
【0140】
本発明のオイドラギット(登録商標)RL/RS分散物は、望ましい溶解プロフィルを有する持続放出性配合物を最終的に得るために、任意の所望する比率で一緒に混合され得る。望ましい持続放出性配合物は、例えば、100%オイドラギット(登録商標)RL、50%オイドラギット(登録商標)RLおよび50%オイドラギット(登録商標)RS、ならびに10%オイドラギット(登録商標)RL:90%オイドラギット(登録商標)RSに由来する緩速性コーティング物から得ることができる。当然のことではあるが、当業者は、例えば、オイドラギット(登録商標)Lなどの他のアクリルポリマーもまた使用できることを認識する。
【0141】
可塑剤
コーティング組成物が疎水性材料の水性分散物を含む本発明の様々な実施形では、効果的な量の可塑剤を疎水性材料の水性分散物に含ませることにより、持続放出性コーティング物の物理的性質がさらに改善される。例えば、エチルセルロースは比較的高いガラス転移温度を有し、かつ通常のコーティング条件のもとでは柔軟性の薄膜を形成しないので、エチルセルロースのコーティング物を含有する持続放出性コーティング物に可塑剤を配合し、その後、これをコーティング材料として使用することが好ましい。一般に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、薄膜形成剤の濃度に基づいて、例えば、最も多くの場合には薄膜形成剤の約1重量パーセントから約50重量パーセントである。しかしながら、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液および塗布方法を用いて慎重に試験した後に適正に決定され得るだけである。
【0142】
エチルセルロースに対する適切な可塑剤の例には、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンなどの水不溶性可塑剤が含まれるが、他の水不溶性可塑剤(アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ひまし油など)が使用できることが考えられる。クエン酸トリエチルが、本発明のエチルセルロースの水性分散物に対する特に好ましい可塑剤である。
【0143】
本発明のアクリルポリマーに対する適切な可塑剤の例には、クエン酸トリエチルNF XVI、クエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジブチル、およびおそらくは1,2−プロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。オイドラギット(登録商標)RL/RSラッカー溶液などのアクリル薄膜から形成された薄膜の弾性を増強させるために好適であることが証明されている他の可塑剤には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ひまし油およびトリアセチンが含まれる。クエン酸トリエチルが、本発明のエチルセルロースの水性分散物に対する特に好ましい可塑剤である。
【0144】
少量のタルクを添加することは、水性分散物の加工中の粘着傾向を低下させ、そして研磨材として作用することがさらに見出されている。
【0145】
コーティングビーズの調製方法
疎水性の徐放性コーティング材料を使用して、オピオイドアゴニストが既にコーティングされているヌ・パリエル(nu pariel)18/20ビーズなどの不活性な薬学的ビーズをコーティングした場合、多数の得られた固体の徐放性ビーズは、その後、実質的な放出不可能形のオピオイドアンタゴニストとともにゼラチンカプセルに入れることができる。この投与形は、摂取され、そして周りの液体(例えば、胃液または溶解媒体)が接触したときに、オピオイドアゴニストの効果的な制御された放出用量をもたらす。
【0146】
本発明の徐放性ビーズ配合物は、例えば、摂取されて、胃液にさらされ、その後、腸液にさらされたときに、オピオイドアゴニストをゆっくり放出する。本発明の配合物の徐放性プロフィルは、例えば、疎水性材料による上塗り量を変化させることによって、可塑剤が疎水性材料に添加される方法を変えることによって、疎水性材料に対する可塑剤の量を変化させることによって、さらなる成分または賦形剤を含ませることによって、製造方法を変えることなどによって変化させることができる。最終的な製造物の溶解プロフィルはまた、例えば、緩速性(retardant)コーティング物の厚さを増減させることによって変えることができる。
【0147】
オピオイドアゴニストがコーティングされた球状体またはビーズは、例えば、薬物を水に溶解し、その後、Wuster不活性を使用して、溶液を基体(例えば、ヌ・パリエル18/20ビーズ)にスプレーすることによって調製することができる。必要な場合には、ビーズに対するオピオイドの結合を助けるために、かつ/または溶液を着色するなどのために、ビーズをコーティングする前に、さらなる成分もまた加えることができる。例えば、着色剤(例えば、オパドライ(登録商標)、これはColorcon,Inc.から市販されている)とともに、または着色剤を伴うことなく、ヒドロキシプロピルメチルロースなどを含む製造物を溶液に加え、そして溶液を(例えば、約1時間)混合して、その後、この溶液をビーズに塗布することができる。得られたコーティング済みの基体(この例では、ビーズ)は、その後、必要な場合には、治療的に活性な薬剤を疎水性の徐放性コーティング物から隔てるためにバリア剤を上塗りすることができる。適切なバリア剤の一例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むバリア剤である。しかし、この分野で知られている薄膜形成剤はどれも使用することができる。バリア剤は最終製品の溶解速度を変化させないことが好ましい。
【0148】
ビーズは、その後、疎水性材料の水性分散物を上塗りすることができる。疎水性材料の水性分散物は、好ましくは、効果的な量の可塑剤、例えば、クエン酸トリエチルをさらに含む。エチルセルロースの事前配合された水性分散物、例えば、アクアコート(登録商標)またはシュアリース(登録商標)などを使用することができる。シュアリース(登録商標)が使用される場合、可塑剤を別個に加える必要はない。あるいは、アクリルポリマーの事前配合された水性分散物、例えば、オイドラギット(登録商標)などを使用することができる。
【0149】
本発明のコーティング溶液は、好ましくは、薄膜形成剤、可塑剤および溶媒系(すなわち、水)に加えて、気品さおよび製品の区別をもたらす着色剤を含有する。着色剤は、疎水性材料の水性懸濁物の代わりに、またはそれに加えて、治療的に活性な薬剤の溶液に加えることができる。例えば、着色は、剪断とともに水溶性ポリマー溶液に着色を施し、その後、可塑化アクアコート(登録商標)に対して低剪断を使用することによって、アルコールまたはプロピレングリコールに基づく有色分散物、粉砕されたアルミニウムレーキ、および二酸化チタンなどの乳白剤の使用を介してアクアコート(登録商標)に施すことができる。あるいは、本発明の配合物を着色する適切な方法はどれも使用することができる。配合物を着色するために適切な成分として、アクリルポリマーの水性分散物が使用される場合には、二酸化チタンおよび有色顔料(酸化鉄顔料など)が挙げられる。しかしながら、顔料の配合はコーティング物の緩速作用を増大させることがある。
【0150】
可塑化された疎水性材料は、この分野で知られている任意の適切なスプレー装置を使用してスプレーすることによって治療的に活性な薬剤を含む基体に塗布することができる。好ましい方法では、Wurster流動床システムが使用される。この場合、アクリルポリマーのコーティング物がスプレーされながら、下部から注入されるエアージェットにより、コア材料が流動化され、そして乾燥が行われる。好ましくは、コーティングされた材料が水性溶液(例えば、胃液)にさらされたときに前記治療的に活性な薬剤の所定の制御された放出を得るために十分な量の疎水性材料が、治療的に活性な薬剤の物理的特性、可塑剤の配合様式などを考慮に入れて塗布される。疎水性材料がコーティングされた後、オパドライ(登録商標)などの薄膜形成剤のさらなる上塗りが、必要な場合にはビーズに塗布される。この上塗りは、施される場合には、ビーズの凝集を実質的に低下させるために施される。
【0151】
本発明の徐放性配合物からの治療的に活性な薬剤の放出は、1つ以上の放出調節剤を添加することによって、あるいはコーティング物により1つ以上の通路を提供することによってさらに影響を受けることがあり、すなわち、所望する速度に調節することができる。水溶性材料に対する疎水性材料の比率は、他の因子の中でも、必要とされる放出速度、および選択された材料の溶解性特性によって決定される。
【0152】
細孔形成剤として機能する放出調節剤は有機系または無機系であってもよく、これには、使用環境において溶解し、抽出され、またはコーティング物から溶出可能な材料が含まれる。このような細孔形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの1つ以上の疎水性材料を含むことができる。
【0153】
本発明の持続放出性コーティング物はまた、デンプンおよびガムなどの侵食促進剤を含むことができる。
【0154】
本発明の持続放出性コーティング物はまた、使用環境においてマイクロ細孔の薄層を作製するために有用な材料、例えば、カルボナート基がポリマー鎖に存在する炭酸の線状ポリエステルから構成されるポリカーボナートなどを含むことができる。
【0155】
放出調節剤はまた半透過性のポリマーを含むことができる。
【0156】
いくつかの好ましい実施形において、放出調節剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸金属塩、および前記のいずれかの混合物から選択される。
【0157】
本発明の持続放出性コーティング物はまた、少なくとも1つの経路またはオリフィスなどを含む出口手段を含むことができる。このような経路は、米国特許第3,845,770号、第3,916,889号、第4,063,064号および第4,088,864号(これらすべては参照してここに組み込まれる)に開示される方法のような方法によって形成させることができる。このような経路は、円形、三角形、四角形、楕円形、不規則形、その他などの任意の形状を有することができる。
【0158】
マトリックス配合物
本発明の他の実施形において、徐放性配合物は、上記に示されるような徐放性コーティング物を有するマトリックスによって達成される。本発明はまた、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされた、オピオイドアゴニストの粒子およびオピオイドアンタゴニストの粒子を含む持続放出錠剤を含む。この場合、アゴニストおよびアンタゴニストは、オピオイドアゴニストのインビトロ溶解速度を好ましい範囲内でもたらし、かつオピオイドアゴニストをpH依存的またはpH非依存的な様式で放出する徐放性マトリックスに分散されている。徐放性マトリックスに含ませるために適切な材料は、マトリックスを形成させるために使用される方法に依存する。
【0159】
例えば、マトリックスは、オピオイドアゴニストおよび実質的な放出不可能形のコーティングされたオピオイドアンタゴニストに加えて、下記を含むことができる:
親水性材料および/または疎水性材料、例えば、ガム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、タンパク質由来材料(この列挙は排他的であることを意味しない)、そしてオピオイドの制御された放出をもたらし得る任意の医薬的に許容可能な疎水性材料または親水性材料を本発明に従って使用することができる。
【0160】
消化性の長鎖(C8〜C50、特にC12〜C40)の置換炭化水素または非置換炭化水素、例えば、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、ミネラルオイルおよび植物油およびワックスならびにステアリルアルコールなど;そしてポリアルキレングリコール。
【0161】
これらのポリマーの中で、アクリルポリマー、特にオイドラギット(登録商標)RSPO(セルロースエーテル)、特にヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシアルキルセルロースが好ましい。経口投与形は、少なくとも1つの親水性材料または疎水性材料を1%〜80%(重量比)含有することができる。
【0162】
疎水性材料が炭化水素である場合、炭化水素は、好ましくは、25℃から90℃の間の融点を有する。長鎖炭化水素材料の中で、脂肪族アルコールが好ましい。経口投与形は、少なくとも1つの消化性の長鎖炭化水素を60%(重量比)まで含有することができる。
【0163】
好ましくは、経口投与形は、少なくとも1つのポリアルキレングリコールを60%(重量比)まで含有することができる。
【0164】
疎水性材料は、好ましくは、アルキルセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマー、セラック、ゼイン、水素化ひまし油、水素化植物油、またはこれらの混合物からなる群から選択される。本発明のいくつかの好ましい実施形において、疎水性材料は、医薬的に許容可能なアクリルポリマーであり、これには、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミノコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(無水メタクリル酸)、およびメタクリル酸グリシジルコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形において、疎水性材料は、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)などの材料、および前記の混合物から選択される。
【0165】
好ましい疎水性材料は水に不溶性であるが、多少なりとも顕著な親水性傾向および/または疎水性傾向を有する。好ましくは、本発明において有用な疎水性材料は、融点が約30℃から約200℃であり、好ましくは約45℃から約90℃である。具体的には、疎水性材料は、天然または合成されたワックス、脂肪族アルコール(ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコールまたは好ましくはセトステアリルアルコールなど)、脂肪酸(これには、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド)が含まれるが、これらに限定されない)、水素化脂肪、炭化水素、ノーマルワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ならびに炭化水素骨格を有する疎水性材料および親水性材料を含むことができる。適切なワックスには、例えば、蜂ロウ、グリコワックス、カスターワックスおよびカルナウバワックスが含まれる。本発明の目的のためには、ワックス様材料が、通常は室温で固体であり、かつ約30℃〜約100℃の融点を有する任意の材料として定義される。
【0166】
本発明に従って使用され得る適切な疎水性材料には、消化性の長鎖(C8〜C50、特にC12〜C40)の置換炭化水素または非置換炭化水素、例えば、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、ミネラルオイルおよび植物油、ならびに天然ワックスおよび合成ワックスなどが含まれる。25℃から90℃の融点を有する炭化水素が好ましい。長鎖炭化水素材料の中で、脂肪族アルコールがいくつかの実施形では好ましい。経口投与形は、少なくとも1つの消化性の長鎖炭化水素を60%(重量比)まで含有することができる。
【0167】
好ましくは、2つ以上の疎水性材料の組合せがマトリックス配合物に含まれる。さらなる疎水性材料が含まれる場合、さらなる疎水性材料は、好ましくは、天然および合成されたワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール、ならびにこれらの混合物から選択される。例として、蜜ロウ、カルナウバワックス、ステアリン酸およびステアリルアルコールが挙げられる。この列挙は排他的であることを意味しない。
【0168】
1つの特に適切なマトリックスは、少なくとも1つの水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも1つのC12〜C36(好ましくはC14〜C22)脂肪族アルコール、および必要な場合には少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含む。少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースは、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および特にヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシ(C1〜C6)アルキルセルロースである。本発明の経口投与形における少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースの量は、必要とされるオピオイド放出の正確な速度によって特に決定される。少なくとも1つの脂肪族アルコールは、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールまたはステアリルアルコールであり得る。しかし、本発明の経口投与形の特に好ましい実施形では、少なくとも1つの脂肪族アルコールはセチルアルコールまたはセトステアリルアルコールである。本発明の経口投与形における少なくとも1つの脂肪族アルコールの量は、上記のように、必要とされるオピオイド放出の正確な速度によって決定される。少なくとも1つの脂肪族アルコールの量はまた、少なくとも1つのポリアルキレングリコールが経口投与形に存在するか、または存在しないかにも依存する。少なくとも1つのポリアルキレングリコールが存在しない場合、経口投与形は、好ましくは、少なくとも1つの脂肪族アルコールを20%および50%の間(重量比)含有する。少なくとも1つのポリアルキレングリコールが経口投与形に存在する場合、少なくとも1つの脂肪族アルコールおよび少なくとも1つのポリアルキレングリコールを組み合わせた量は、好ましくは、投与量全体の20%および50%の間(重量比)を構成する。
【0169】
1つの実施形において、例えば、少なくとも1つの脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールに対する少なくとも1つのヒドロキシセルロースまたはアクリル樹脂の比率により、配合物からのオピオイドの放出速度が相当の程度で決定される。少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロース対少なくとも1つの脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールの比率は1:2および1:4の間が好ましく、1:3および1:4の間の比率が特に好ましい。
【0170】
少なくとも1つのポリアルキレングリコールは、例えば、ポリプロピレングリコールであり得るが、好ましいものはポリエチレングリコールであり得る。少なくとも1つのポリアルキレングリコールの数平均分子量は、1,000および15,000の間が好ましく、特に1,500および12,000の間が好ましい。
【0171】
別の適切な徐放性マトリックスは、アルキルセルロース(特に、エチルセルロース)、C12〜C36脂肪族アルコール、および必要な場合にはポリアルキレングリコールを含む。
【0172】
別の好ましい実施形において、マトリックスは、少なくとも2つの疎水性材料の医薬的に許容可能な組合せを含む。
【0173】
上記の成分に加えて、徐放性マトリックスはまた、他の材料、例えば、製薬分野では通常的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、芳香剤および滑剤を適切な量で含むことができる。
【0174】
マトリックス型ビーズの調製方法
本発明による固体の徐放性経口投与形の調製を容易にするために、当業者に知られているマトリックス配合物の調製方法はどれは使用することができる。例えば、マトリックスへの配合は、例えば、(a)少なくとも1つの水溶性ヒドロキシアルキルセルロースおよびオピオイドまたはオピオイド塩を含む顆粒を形成し、(b)ヒドロキシアルキルセルロース含有顆粒を少なくとも1つのC12〜C36脂肪族アルコールと混合し、(c)必要な場合には、顆粒を圧縮成形および成形することによって行うことができる。好ましくは、顆粒は、水を用いてヒドロキシアルキルセルロース/オピオイドを湿式造粒することによって形成される。このプロセスの特に好ましい実施形において、湿式造粒工程のときに添加される水の量は、好ましくは、オピオイドの乾燥重量の1.5倍および5倍の間であり、特に1.75倍および3.5倍の間である。
【0175】
さらに別の代わりの実施形では、活性な成分と一緒に、球状化剤を、球状体を形成させるために球状化することができる。微結晶セルロースが好ましい。適切な微結晶セルロースは、例えば、アビセル(Avicel)PH101(商標、FMC Corporation)として販売されている材料である。そのような実施形において、活性な成分および球状化剤に加えて、球状体は結合剤をも含有することができる。適切な結合剤、例えば、低粘度の水溶性ポリマーなどが、製薬分野の当業者には十分に知られている。しかし、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性のヒドロキシ低級アルキルセルロースが好ましい。さらに(または、代替として)、球状体は、水に不溶性のポリマー、特に、アクリルポリマー、アクリルコポリマー(メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマーなど)またはエチルセルロースを含有することができる。そのような実施形では、持続放出コーティング物は、(a)ワックス(単独もしくは脂肪族アルコールとの混合)、または(b)セラックもしくはゼインなどの疎水性材料を一般に含む。
【0176】
融解押出マトリックス
持続放出性マトリックスはまた、経口投与されたときに胃腸系に放出されるために、十分な量のオピオイドアンタゴニストが利用できるような程度でマトリックスの調製時に添加されたオピオイドアンタゴニストの実質的な放出不可能な形の一体性が、使用される技術により損なわれない限り、様々な融解造粒技術または融解押出技術によって調製することができる。あるいは、融解押出工程をオピオイドアゴニストとともに行い、アゴニストの持続放出性粒子を製造することができ、その後、この粒子を、オピオイドアンタゴニストの実質的な放出不可能な形と組み合わせることができる。一般に、融解造粒技術は、通常は固体である疎水性材料(例えば、ワックス)を融解し、これに粉末化薬物を配合することを伴う。持続放出性投与形を得るために、さらなる疎水性材料(例えば、エチルセルロースまたは水不溶性アクリル樹脂)を融解ワックスの疎水性材料に配合しなければならないことがある。融解造粒技術により調製された持続放出性配合物の様々な例が米国特許第4,861,598号(本発明の出願人により出願され、その全体が参照してここに組み込まれる)に見出される。
【0177】
さらなる疎水性材料は、1つ以上の水不溶性のワックス様熱可塑性材料よりも疎水性が小さい1つ以上のワックス様熱可塑性材料と混合されるかもしれない1つ以上の水不溶性のワックス様熱可塑性材料を含むことができる。一定した放出を達成するために、配合物中の個々のワックス様材料は、初期放出段階のときに胃腸液において実質的に非分解性で、不溶性でなければならない。有用な水不溶性ワックス様材料は、約1:5,000(w/w)未満の水溶性を有するワックス様材料であり得る。
【0178】
上記の成分に加えて、持続放出性マトリックスはまた、他の材料、例えば、製薬分野では通常的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、芳香剤および滑剤を適切な量で含むことができる。これらのさらなる材料の量は、所望する配合物に所望する効果をもたらすのに十分なほどである。
【0179】
上記の成分に加えて、融解押出された多粒子を含む持続放出性マトリックスはまた、他の材料、例えば、製薬分野では通常的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、芳香剤および滑剤を適切な量で、所望する場合には粒状物の約50重量%までの量で含むことができる。
【0180】
経口投与形を配合するために使用され得る医薬的に許容可能なキャリアおよび賦形剤の具体的な例が、Handbook of Pharmaceutical Excipients(アメリカ薬剤師会(1986)、これは参照してここに組み込まれる)に記載されている。
【0181】
融解押出多粒子
本発明による適切な融解押出マトリックスの調製は、例えば、オピオイド鎮痛剤を少なくとも1つの疎水性材料および好ましくはさらなる疎水性材料と一緒に混合して、均質な混合物を得る工程を含みむことができる。その後、この均質な混合物は、これを押出成形するために十分に混合物を少なくとも柔らかくするのに十分な温度に加熱される。得られた均質な混合物は、その後、ストランドを得るために押し出される。押出物は、好ましくは、この分野で知られているいずれかの手段によって冷却され、多粒子に切断される。ストランドは冷却され、多粒子に切断される。その後、多粒子は、アンタゴニストを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子と混合され、そしてユニット量に分割される。押出物は、好ましくは、直径が約0.1mmから約5mmであり、そして約8時間から約24時間の期間にわたってオピオイドアゴニストの持続した放出をもたらす。
【0182】
本発明の融解押出物を調製するために必要に応じて使用されるプロセスは、疎水性材料、治療的に活性な薬剤、および必要に応じて使用される結合剤を直接計量して押出機に入れること;均質な混合物加熱すること;均質な混合物を押出、それによりストランドを形成させること;均質な混合物を含有するストランドを冷却すること;約0.1mmから約12mmのサイズを有する粒子にストランドを切断すること;および粒子と、コーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子とを一緒にし、それらをユニット量に分割することを含む。本発明のこの局面では、相対的に連続した製造法が実現される。
【0183】
押出機の開口部または出口ポートの直径はまた、押し出されたストランドの厚さを変化させるために調節することができる。さらに、押出機の出口ポートは円形である必要はなく、細長い形状、矩形などにすることができる。押し出されるストランドは、ホットワイヤカッター、ギロチンなどを使用して粒子にまで小さくすることができる。
【0184】
融解押出された多粒子システムは、押出機の出口オリフィスに依存して、例えば、顆粒、球状体またはペレットの形にすることができる。本発明の目的のために、用語「融解押出された多粒子」および用語「融解押出された多粒子システム」および用語「融解押出された粒子」は、好ましくは、一定範囲内の類似したサイズおよび/または形状を有し、かつ1つ以上の活性な薬剤と、好ましくは本明細書中に記載されるような疎水性材料を含む1つ以上の賦形剤とを含有する多数のユニット物を示すものとする。これに関して、融解押出された多粒子は、長さが約0.1mmから約12mmの範囲であり、直径が約0.1mmから約5mmである。また、融解押出された多粒子はこのサイズ範囲内の任意の幾何学的形状であり得ることを理解しなければならない。あるいは、押出物は単に、球状化工程を必要とすることなく、所望する長さに切断し、そして治療的に活性な薬剤のユニット量に分割することができる。
【0185】
1つの好ましい実施形において、経口投与形は、融解押出された多粒子の効果的な量がカプセルに含まれるように調製される。例えば、多数の融解押出された多粒子を、摂取され、そして胃液が接触したときに効果的な持続した放出量をもたらすのに十分な量でゼラチンカプセルに入れることができる。
【0186】
別の好ましい実施形において、適切な量の多粒子の押出物は、コーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子と一緒にされ、そして標準的な技術を使用する従来的な錠剤化装置を使用して経口用錠剤に圧縮成形される。錠剤(圧縮成形物および鋳型成形物)、カプセル(ハードゼラチンおよびソフトゼラチン)およびピルを作製するための技術および組成物はまたRemington’s Pharmaceutical Sciences(編者:アーサー・オソル、1553〜1593(1980)、これは参照してここに組み込まれる)に記載されている。
【0187】
さらに別の好ましい実施形では、上記にさらに詳しく記載された米国特許第4,957,681号(クリメッシュら)(これはこれにより参照してここに組み込まれる)に示されるように、コーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子が押出処理中に加えられ、そして押出物を錠剤に成形することができる。
【0188】
必要な場合には、持続放出性の融解押出された多粒子システムまたは錠剤は、上記に記載される持続放出性コーティング物などの持続放出性コーティング物をコーティングすることができ、あるいはゼラチンカプセルは、上記に記載される持続放出性コーティング物などの持続放出性コーティング物をさらにコーティングすることができる。そのようなコーティング物は、好ましくは、約2パーセントから約30パーセントの重量増大レベルを得るために十分な量の疎水性材料を含むが、上塗りは、中でも、利用された特定のオピオイド鎮痛剤化合物の物理的性質、および所望する放出速度に依存してそれよりも大きくすることができる。
【0189】
本発明の融解押出されたユニット投与形は、上記に開示された治療的に活性な薬剤の1つまたは複数を含有する融解押出された多粒子の組合せをカプセル化前にさらに含むことができる。さらに、ユニット投与形はまた、治療効果を促進させるために、一定量の即時放出されるオピオイドアゴニストを含むこともできる。即時放出されるオピオイドアゴニストは、例えば、別個のペレットとしてゼラチンカプセルに配合することができ、または投与形(例えば、徐放性コーティングまたはマトリックス型)を調製した後に多粒子の表面にコーティングすることができる。本発明のユニット投与形はまた、所望する効果を達成するために、徐放性ビーズおよびマトリックス多粒子の組合せを含有することができる。
【0190】
本発明の持続放出性配合物は、好ましくは、例えば、摂取され、そして胃液にさらされ、その後、腸液にさらされたときに、オピオイドアゴニストをゆっくり放出する。本発明の融解押出された配合物の持続放出プロフィルは、例えば、緩速剤(すなわち、疎水性材料)の量を変化させることによって、疎水性材料に対する可塑剤の量を変化させることによって、さらなる成分または賦形剤を含ませることによって、製造方法を変えることなどによって変化させることができる。
【0191】
本発明の他の実施形において、融解押出物が、オピオイドアゴニスト粒子および/またはコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子を含むことなく調製され、そしてこれらはその後で押出物に加えられる。そのような配合物は、オピオイドアゴニストの遅い放出をもたらすために、典型的には、薬物が、押出されたマトリックス材料と混合され、その後、混合物が錠剤化される。そのような配合物は、例えば、配合物に含まれる治療的に活性な薬剤が、疎水性材料および/または緩速剤材料を柔らかくするために必要とされる温度に対して敏感であり得る場合には好都合であり得る。
【0192】
好適な実施態様の詳細な説明
下記の実施例は本発明の様々な局面を例示する。下記の実施例は、いずれにおいても請求項を決して限定するように解釈されるものではない。
【0193】
実施例1
実施例1では、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンHCl)の実質的な放出不可能な形が、このアンタゴニストを実質的に放出不可能にするコーティング物をナルトレキソン粒子にコーティングすることによって調製される。
【0194】
配合:
【0195】
成分 量/ユニット(mg)
負荷
ナルトレキソンHCl 5.0
球状糖(30/35メッシュ) 50.0
オパドライ・ホワイトY−5−7068 2.5
精製水 42.5*
上塗り
オパドライ・ホワイトY−5−7068 3.02*
精製水 17.11*
放出不可能コーティング物
(オピオイドアンタゴニストを
実質的に放出不可能にするために)
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 12.10
クエン酸トリエチル 2.42
タルク 4.84
精製水 49.21*
上塗り
オパドライ・ホワイトY−5−7068 4.12
精製水 23.35*
合計 84.0
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0196】
方法:
1.溶液調製 ナルトレキソンHClを精製水に溶解する。溶解したら、オパドライ・ホワイトを加えて、均一な分散物が得られるまで混合を続ける。
2.負荷 流動床コーティング装置を使用して上記分散物を球状糖に塗布する。3.上塗り オパドライ・ホワイトを精製水に分散させることによって上塗り溶液を調製する。流動床コーティング装置を使用して、この分散物を、ナルトレキソンHClが負荷された球状糖に塗布する。
4.緩速剤コーティング オイドラギットRS30D、クエン酸トリエチル、タルクおよび精製水を混合することによって放出不可能コーティング物の溶液を調製する。流動床コーティング装置を使用して、この分散物を、負荷および上塗りされた球状糖に塗布する。
5.上塗り オパドライ・ホワイトを精製水に分散させることによって別の上塗り溶液を調製する。流動床コーティング装置を使用して、この分散物を、放出不可能のコーティングされたナルトレキソン球状物に塗布する。
6.キュア処理 球状物を45℃で約48時間キュア処理する。
【0197】
実施例2
実施例2では、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンHCl)の実質的な放出不可能な形がナルトレキソンHCl含有顆粒として調製される。この顆粒は、このアンタゴニストを実質的に放出不可能にするマトリックスに分散されたナルトレキソンHClから構成される。
【0198】
配合:
【0199】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 5.0
リン酸二カルシウム 53.0
ポリ(DI−ラクチド−Co−グリコリド) 12.0
ポリマー(PLGA)
MW〜100,000
酢酸エチル
合計 70.0
*PLGAポリマーを塗布するためのビヒクルとして使用される。
【0200】
方法:
1.溶液調製 混合によってPLGAを酢酸エチルに溶解する。
2.造粒 ナルトレキソンHClおよびリン酸二カルシウムを流動床コーティング装置に入れ、上記溶液をスプレーすることによって造粒する。
【0201】
実施例3
実施例3では、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンHCl)の実質的な放出不可能な形がナルトレキソンHClの押出成形ペレットとして調製される。
【0202】
配合:
【0203】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 5.0
オイドラギットRSPO 180.0
ステアリルアルコール 55.0
合計 240.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ナルトレキソンHCl、オイドラギットおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
【0204】
実施例4
ナルトレキソンHClビーズを含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0205】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHClビーズ(実施例1) 84.0
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オドライ・レッド 10.0
精製水 56.7
合計 314.0
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0206】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0207】
実施例5
ナルトレキソンHCl造粒物を含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0208】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2)70.0
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オパドライ・レッド 10.0
精製水 56.7*
合計 300.0
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0209】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0210】
実施例6
ナルトレキソンHClビーズを含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0211】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 59.25
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHClビーズ(実施例1) 84.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 215.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0212】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0213】
実施例7
ナルトレキソンHCl造粒物を含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0214】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 59.25
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2) 70.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 201.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0215】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0216】
実施例8
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを含むヒドロモルホンHCl徐放性錠剤
配合:
【0217】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.5
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 240.0
(実施例3)
ハードゼラチンカプセル -
合計 360.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび240mgのナルトレキソンHClペレット(実施例3から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0218】
実施例9
ナルトレキソンHClビーズを含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0219】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHClビーズ 84.0
(実施例1)
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オパドライ・レッド 10.0
精製水 56.7*
合計 314
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0220】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0221】
実施例10
ナルトレキソンHCl造粒物を含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0222】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHCl造粒物 70.0
(実施例2)
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オパドライ・レッド 10.0
精製水 56.7*
合計 300.5
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0223】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0224】
実施例11
ナルトレキソンHClビーズを含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0225】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 58.75
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHClビーズ(実施例1) 84.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 215.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0226】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0227】
実施例12
ナルトレキソンHCl造粒物を含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0228】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 58.75
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2) 70.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 201.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0229】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0230】
実施例13
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを含むヒドロモルホンHCl徐放性錠剤
配合:
【0231】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.0
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 240.0
(実施例3)
ハードゼラチンカプセル -
合計 360.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120.0mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび240mgのナルトレキソンHClペレット(実施例3から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0232】
実施例14
徐放性オキシコドン塩酸塩10mg錠−有機合成されたオキシコドン塩酸塩(10mg/錠剤)およびスプレー乾燥ラクトース(71.25mg/錠剤)を適切なサイズの混合機に移し、約6分間混合する。オイドラギット(登録商標)RSPM粉末(6mg/錠剤)をエタノールに分散させる。粉末を混合しながら、粉末を分散物とともに造粒し、湿った粒状物が形成されるまで混合を続ける。造粒終了点に達するために必要ならば、エタノールをさらに加える。造粒物を流動床乾燥機に移し、30℃で乾燥し、その後、12メッシュの篩いに通す。残りのオイドラギット(登録商標)RSPM粉末(9mg/錠剤)を、90部のエタノールおよび10部の精製水からなる溶媒に分散させて、流動床造粒機/乾燥機において30℃で顆粒にスプレーする。次に、顆粒を12メッシュに篩いに通す。ステアリルアルコール(25mg/錠剤)を約60℃〜70℃で融解する。温かい顆粒を混合機に戻す。混合しながら、融解したステアリルアルコールを加える。コーティングされた顆粒を混合機から取り出し、冷却する。その後、12メッシュの篩いに通す。次に、顆粒を、ナロキソンを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされたナロキソン粒子(錠剤あたり約1mg〜5mg)、および薬学的に望ましい錠剤化賦形剤(例えば、タルクおよびステアリン酸マグネシウム)とを適切な混合機で混合して、錠剤に圧縮成形する。
【0233】
ナロキソン粒子は、直径が約0.5mmから2mmである。ナロキソンを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされたナロキソン粒子は、水に不溶性で、かつナロキソンに対して不透過性であるセルロースポリマーまたはアクリルポリマーを含むコーティング組成物をナロキソン粒子にスプレーすることによって調製することができる。適切な粒子として、ナロキソンを含む顆粒、ペレット、球状体またはビーズが挙げられる。粒子がビーズまたはペレットである場合、それらは、ナロキソンを溶液に溶解し、それを不活性なペレットまたはビーズにスプレーすることによって調製することができる。
【0234】
好ましくは、コーティング組成物はオイドラギット(登録商標)RSを含み、オイドラギット(登録商標)RSは、水性懸濁物の形で、そして可塑剤(例えば、アセチルトリエチルシトラートおよび/またはアセチルトリブチルシトラートなど)と組み合わせて使用することができる
好ましくは、コーティング組成物はオイドラギット(登録商標)RSを含み、オイドラギット(登録商標)RSは、水性懸濁物の形で、そして可塑剤(例えば、アセチルトリエチルシトラートおよび/またはアセチルトリブチルシトラートなど)と組み合わせて使用することができる
実施例15
疼痛を処置する方法
本発明による経口投与形は、疼痛を緩和させるために患者に投与することができる。本発明による経口投与形は、経口的に効果的な量のオピオイドアゴニストと、実質的に放出不可能にされているオピオイドアンタゴニストとを含むことができる。
【0235】
経口投与形が経口投与され、疼痛治療が必要な患者の胃腸管に送達されたとき、オピオイドアゴニストが通常の消化中の経口投与形から放出され、これにより痛覚消失が患者にもたらされる。しかし、オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能にされているので、オピオイドアンタゴニストが胃腸系を移動しているときには実質的に放出されない。好ましくは、アンタゴニストの実質的な放出不可能な形は、遅れた結腸移動または無塩酸症状態を管理するために使用される緩下薬(ミネラルオイル)に対して耐性である。(例えば、機械的な攪拌、加熱または溶媒への溶解によって)アンタゴニストに変化を及ぼすことなく、指示されたように経口投与形を服用する患者は、オピオイドアゴニストの鎮痛有効性がアンタゴニストによって低下または消失するように、オピオイドアンタゴニストが配合物の投与中の任意の時間に十分な量で吸収される。すなわち、(そのまま経口投与されたときに)投与形から放出され、そして胃腸管から吸収され、患者の体内に蓄積するオピオイドアンタゴニストの量は、投与形に含まれるオピオイドアゴニストの用量の鎮痛効力に対する著しい影響または変化を生じさせるレベルにまで上昇しない。
【0236】
実施例16
オピオイドアゴニストの乱用を防止する方法
本発明による経口投与形は、それに含有されるオピオイドアゴニストの潜在的な乱用を防止するために使用することができる。本発明による経口投与形は、オピオイドアンタゴニストとともにオピオイドアゴニストを含む。オピオイドアンタゴニストは、消化中は実質的に放出不可能である形で存在する。したがって、経口投与形が、変化を受けることなく、意図されたように経口的に胃腸管に送達された場合、アンタゴニストは、胃腸系に放出されることが実質的に妨げられる。しかし、経口投与形が、例えば、機械的な攪拌(例えば、破砕、剪断、摩砕)、熱(例えば、45℃を越える温度、好ましくは45℃および50℃の間の温度)、または(加熱しながら、または加熱することなく)溶媒への投与形の溶解によって変化を受けた場合、投与形はオピオイドアンタゴニストによって汚染され、このオピオイドアンタゴニストが、オピオイドの効果を弱めるように利用される。したがって、投与形がかみ砕かれ、破砕され、加熱され、または溶媒に溶解され、その後、経口的、鼻腔内、非経口的または舌下に投与された場合、オピオイドアゴニストの効果は、少なくとも一部がオピオイドアンタゴニストによって阻止される。
【0237】
実施例17
このヒトでの研究では、12名のモルヒネ依存者を、0.25mgから8mgの範囲にある用量のナルトレキソンと同時にヒドロコドン即時放出錠剤を投与した後に生じる薬物使用中止について評価した。実験法は、ナルトレキソンの用量を上昇させながらの単純盲検一用量のプラセボ対照試験であった。研究薬剤を投与した後、乱用傾向および薬物使用中止の主観的および生理学的な測定を、ナルトレキソン用量の32倍の範囲にわたって行った。データは、1mgのナルトレキソン用量において、オピオイド依存者は、プラセボとの組合せに対してアゴニストとのつながりをほとんど示さず、そして50%の最大禁断症状スコアをもたらす血漿中濃度を達成したことを示唆している。
【0238】
実施例18
本実施例は、12名のメタドン依存者において即時放出ナルトレキソンにより誘導される薬物使用中止の閾値を調べる、ランダム化された二重盲検プラセボ対照試験であった。この研究は現在進行中であるが、中間分析では、0.5mgのナルトレキソンがこの集団における薬物使用中止の徴候および症状を誘発できたことを示している。これの研究により、オピオイド依存者において禁断症状を誘発させるために必要とされるナルトレキソンの用量は0.25mgおよび1mgの間にあることが示唆される。
【0239】
実施例19
本実施例は、16名の正常患者における15mgのヒドロコドンの主観的および生理学的な効果についてナルトレキソンの影響を調べる、ランダム化された単純盲検一用量プラセボ対照の10ウエイ試験である。ナルトレキソンの用量は0.4mgから12.8mgの範囲であった。この研究において、0.4mgのナルトレキソンは、瞳孔縮小を含む、ヒドロコドンの中枢神経的に媒介されるオピオイドの作用のいくつかを中和することができた。このデータに基づいて、0.25mg未満のナルトレキソンの実質的にさらに少ない用量は、同時に投与されたアゴニストの拮抗作用を少しだけ示す。このことは、0.25mgが投与されている実施例17における被験者では薬物使用中止の徴候が認められないことよって裏付けられる。
【0240】
実施例17、18および19に関する臨床データにより、0.125mgのナルトレキソンの生物利用可能な即時放出量(または徐放性投与形からの等価な即時放出)は痛覚消失に何ら著しい程度にまで影響を及ぼさず、一方、生物利用性薬物のより大きな即時放出(0.25mg以上)は何らかの大きな影響を及ぼすことが示唆される。これらの臨床データは、オピオイドマトリックスへのナルトレキソンの負荷が、本実施例の場合には1:15から1:30のナルトレキソン(mg)/ヒドロコドン(mg)の比率であること、そして変化型(tampered)/無傷型の放出比が少なくとも4:1であり、好ましくはそれよりも大きいことを示している。あるいは、0.25mg未満のナルトレキソンが無傷な投与形から放出され、そして0.25mg以上のナルトレキソンが破砕した投与形から放出されていることが明らかにされ得る。
【0241】
実施例20
ナルトレキソンHClビーズ
配合:
【0242】
成分 量/ユニット(mg)
工程1.
薬物成層 ナルトレキソンHCl 0.6
ノンパレイユビーズ 61.4
(30/35メッシュ)
オパドライ・クリア 0.6
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水
工程2.
アニオン性 オイドラギットL30D(乾燥) 6.3
ポリマー層
クエン酸トリブチル 1.6
タルク 3.1
水(処理後に蒸発する)
工程3.
持続放出層 オイドラギットRS30D(乾燥) 17.9
クエン酸トリブチル 4.5
タルク 8.8
水(処理後に蒸発する)
工程4.
シール層 オパドライ・クリア 3.2
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水(処理後に蒸発する)
合計(乾燥基準) 108
ビーズ製造手順
1.ナルトレキソンHClおよびオパドライ・クリアを水に溶解する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいてこの薬物溶液をノンパレイユビーズにスプレーする。
2.オイドラギットL30D、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物を薬物負荷ビーズにスプレーする。
3.オイドラギットRS30D、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物をビーズにスプレーする。
4.オパドライ・クリアを水に溶解する。流動床コーターにおいてこの溶液をビーズにスプレーする。
5.ビーズを60℃で24時間キュア処理する。
【0243】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:1時間のSGF/その後SIF
分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果および考察:
ビーズ(108mg)は下記の溶解結果を有することが見出された:
【0244】
時間(時間) 1 2 4 12 24 36
溶解した平均% nd nd nd nd 6.0 10.0
nd=検出されず
これらの溶解結果は、ナルトレキソンHClのわずかに約10%のナルトレキソンHCl(0.06mg)のみが溶解浴において36時間後に放出されたことを示している。これらのビーズは、壊れずに経口摂取された場合には生物利用性ではない。
【0245】
ナルトレキソンHClは非常に水溶性である。ナルトレキソンHClは、水性薄膜コーティング処理(工程3)のときに持続放出性薄膜を通って移動しやすい。移動がこのコーティング工程のときに生じる場合、薄膜は溶解時に多孔性になり、薬物放出速度が比較的速くなる。アニオン性コーティング物(工程2)は、プロトン化したナルトレキソンHCl塩との水不溶性複合体層を形成し、薬物が次の持続放出性コーティング物を通って移動することを防止する。
【0246】
壊れたビーズの溶解
シミュレートされた変化過程
約108mgのナルトレキソンビーズを乳鉢および乳棒で粉砕して、溶解研究用の粉末にした。
【0247】
製造方法−上記と同じ
結果および考察:
壊れたビーズ(108mg)は下記の溶解結果を有することが見出された:
【0248】
時間(時間) 0.25 0.5 1
溶解した平均% 91 100 104
したがって、1時間において、無傷のビーズからは検出可能なNTXが放出されていないが、破砕されたときには、NTXのすべて、すなわち、0.6mgが放出されていることを認めることができる。これは、図1にグラフで示されている。したがって、1時間における破砕型/無傷型の比率は100:0であり、これは、実施例17、18および19から結論されているように、>4:1の基準よりも大きい。
【0249】
実施例21
ナルトレキソンビーズを含むオキシコドンIRカプセル
配合:
【0250】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
薬物成層 オキシコドンHCl 5.0
ノンパレイユビーズ 1.25
(30/35メッシュ)
ヒドロキシプロピルメチル 54.35
セルロース
(HPMC)
水(処理後に蒸発する)
工程2.
薄膜層 オパドライ・バタースコッチ 1.9
水(処理後に蒸発する)
工程3.
カプセル化 オキシIRビーズ(工程2) 62.5
ナルトレキソンビーズ(実施例20)* 108
*オキシIRビーズを隠すために、ナルトレキソンビーズは、実施例20の工程4におけるシール層としてオパドライ・バタースコッチを使用する必要がある。
【0251】
製造手順
1.オキシコドンHClおよびHPMCを水に溶解する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいてこの薬物溶液をノンパレイユビーズにスプレーする。
2.着色されたオパドライを水に溶解する。流動床コーターにおいて薬物負荷ビーズを薄膜コーティングする。
3.等量のオキシIRビーズおよびナルトレキソンビーズを混合する。ハードゼラチンカプセルで包む。
【0252】
実施例22
ナルトレキソンビーズを含む硫酸モルヒネ徐放性カプセル
配合:
【0253】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
薬物成層 硫酸モルヒネ 60.0
ラクトース粉 12.0
オイドラギットRS30D 2.0
ポビドン 3.5
ヌパレイルPG30/35 16.8
オパドライ・ブルー 4.9
水
工程2.
徐放性層 MSIRビーズ(工程1) 99.2
オイドラギットRS30D 4.712
オイドラギットRL30D 0.248
クエン酸トリエチル 0.992
タルク 1.884
オパドライ・ブルー 5.639
水
工程3.
カプセル化 MSCRビーズ(上記) 212
ナルトレキソンビーズ 108
(実施例20)*
*MSCRビーズを隠すために、ナルトレキソンビーズは、実施例22の工程4におけるシール層としてオパドライ・ブルーを使用する必要がある。
【0254】
製造手順
1.ポビドンおよびオイドラギットRS30Dを水に溶解する。硫酸モルヒネおよびラクトースを混合する。
2.ビーズをローター処理機に入れる。薬物粉末混合物および結合剤溶液をビーズにスプレーする。
3.ローター処理機において上記ビーズを薄膜コーティングする。
4.オイドラギットRS30D、RL30D、クエン酸トリエチル、タルクおよびクエン酸トリエチルを水に分散する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいて上記ビーズをコーティングする。
5.ビーズ(MSCRビーズ)をキュア処理する。
6.等量のMSCRビーズおよびナルトレキソンビーズを混合する。ハードゼラチンカプセルで包む。
【0255】
実施例23
ナルトレキソンHClの押出成形ペレット
配合:
【0256】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 2.0
オイドラギットRSPO 88.0
ステアリルアルコール 15.0
ステアリン酸 15.0
ブチル化ヒドロキシトルエン 1.0
(BHT)
合計 121.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを粉砕機に通す。
2.混合 ナルトレキソンHCl、オイドラギット、粉砕されたステアリルアルコール、ステアリン酸およびBHTをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用して1mmのペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
【0257】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:1時間のSGF/その後SIF
4.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果:
【0258】
時間(時間) 1 2 4 8 12 24 36
溶解した平均% 1.3 2.6 2.9 3.6 4.0 5.2 6.2
シミュレートされた変化過程
ナルトレキソンペレットを乳鉢および乳棒で粉砕して、溶解研究用の粉末にした。
【0259】
製造方法:上記と同じ
結果:
【0260】
時間(時間) 1
溶解した平均% 33.5
したがって、無傷のペレットの放出は、1時間で0.026mgであり、破砕されたときには1時間で0.67mgである。破砕型対無傷型のこの比率もまた4:1よりも大きい。これは、図2にグラフで示されている。
【0261】
実施例24
ナルトレキソンHClの押出成形ペレット
配合:
【0262】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 2.0
オイドラギットRSPO 96.0
ステアリルアルコール 22.0
二塩基性リン酸カルシウム 6.0
ブチル化ヒドロキシトルエン 1.0
(BHT)
合計 127.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを粉砕機に通す。
2.混合 ナルトレキソンHCl、オイドラギット、粉砕されたステアリルアルコール、二塩基性リン酸カルシウムおよびBHTをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
【0263】
製造方法
4.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
5.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
6.媒体:1時間のSGF/その後SIF
7.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果:
【0264】
時間(時間) 1 2 4 8 12 24 36
溶解した平均% 3.1 5.9 8.9 12.2 14.7 19.9 24.6
シミュレートされた変化過程
ナルトレキソンペレットを乳鉢および乳棒で粉砕して、溶解研究用の粉末にした。
【0265】
製造方法:上記と同じ
結果:
【0266】
時間(時間) 1
溶解した平均% 36.4
したがって、無傷のペレットの放出は、1時間で0.062mgであり、破砕されたときには1時間で0.728mgである。破砕型対無傷型のこの比率もまた4:1よりも大きい。これは、図24にグラフで示されている。
【0267】
実施例25
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを含む考えられるヒドロモルホンHCl CRカプセル
配合:
【0268】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.5
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 121.0
(実施例23)
ハードゼラチンカプセル -
合計 241.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび121mgのナルトレキソンペレット(実施例23から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0269】
実施例26
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを有する考えられるヒドロモルホンHCl CRカプセル
配合:
【0270】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.5
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 127.0
(実施例24)
ハードゼラチンカプセル -
合計 247.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび127mgのナルトレキソンペレット(実施例24から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0271】
実施例27A
ナルトレキソンCRビーズ
ナルトレキソン徐放性ビーズが開発されており、これはオピオイド徐放性造粒物に配合することができ、その後、混合物は錠剤に圧縮成形される。オキシコドンHClの徐放性造粒物が、一例としてナルトレキソンビーズとともに使用される。
【0272】
配合27A
【0273】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
薬物成層 ナルトレキソンHCl 3.3
ノンパレイユビーズ 95.0
(14/18メッシュ)
プラスドンC30 1.5
タルク 0.2
水
工程2.
シール層 オパドライ・クリア 5.0
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水
工程3.
持続放出層 オイドラギットRS30D 17.63
(乾燥)
クエン酸トリブチル 3.53
ツイーン80 0.04
タルク 8.81
水
工程4.
シール層 オパドライ・クリア 5.0
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水
合計 140
ビーズ製造手順
1.ナルトレキソンHClおよびHPMCを水に溶解する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいてこの薬物溶液をノンパレイユビーズにスプレーする。
2.オイドラギットL、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物を薬物負荷ビーズにスプレーする。
3.オイドラギットRS、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物をビーズにスプレーする。
4.HPMCを水に溶解する。流動床コーターにおいてこの溶液をビーズにスプレーする。
5.ビーズを60℃で24時間キュア処理する。
【0274】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:1時間のSGF/その後SIF
4.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果および考察:
無傷のビーズからのナルトレキソンの溶解
【0275】
時間(時間) 1 4 8 12 24 36
溶解した平均% 2 2 4 5 6 33
破砕ビーズからのナルトレキソンの溶解
【0276】
時間(時間) 1
溶解した平均% 100
配合27B オキシ/NX CR錠剤
【0277】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
造粒 オキシコドンHCl 10.0
スプレー乾燥ラクトース 69.25
ポビドン 5.0
オイドラギットRS30D 10.0
(乾燥)
トリアセチン 2.0
ステアリルアルコール 25.0
タルク 2.5
マグネシウム 1.25
工程2.
混合錠剤 オキシコンチン造粒物 125
(上記)
ナルトレキソンCRビーズ 140
(配合27A)
製造手順(オキシ/NX CR錠剤)
1.流動床造粒機を使用して、オイドラギット/トリアセチン分散物をオキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンにスプレーする。
2.造粒物を取り出して、粉砕機に通す。
3.ステアリルアルコールを融解し、粉砕された造粒物に、粉砕機を使用して加える。冷却する。
4.冷却された造粒物を粉砕機に通す。
5.混合機を使用して、造粒物をタルクおよびステアリン酸マグネシウムで滑沢化する。
6.ナルトレキソンビーズを上記造粒物と混合し、錠剤に圧縮成形する。
【0278】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:900mlのpH6.5のリン酸塩緩衝液
4.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
オキシ/NX CR錠剤は下記の溶解結果を有することが見出された:
無傷の錠剤からのナルトレキソンの溶解
【0279】
時間(時間) 1 4 8 12 24 36
溶解した平均% 1 3 9 15 25 36
破砕錠剤からのナルトレキソンの溶解
【0280】
時間(時間) 1
溶解した平均% 95
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】図1は、実施例20の結果のグラフ表示である。
【図2】図2は、実施例23の結果のグラフ表示である。
【図3】図3は、実施例24の結果のグラフ表示である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
オピオイドは、オピオイドアゴニストとしても知られるが、これは、アヘンまたはモルヒネ様の特性を示す薬物群である。オピオイドは、主に中程度から強度の鎮痛薬として使用されるが、同様に、眠気、呼吸器抑制、気分の変化、および意識の消失を伴わない意識混濁を含む多くの他の薬理作用を示す。オピオイドは、脳および他の組織中の立体特異的かつ飽和可能な結合部位と相互作用し、アゴニストとして作用する。内因性オピオイド様ペプチドは、疼痛の知覚;運動、気分および挙動、および、神経内分泌学的機能の調節に関連すると推定される中枢神経系の領域に特に存在する。アヘンは、20を超える別個のアルカロイドを含む。モルヒネ、コデインおよびパパベリンがこの群に含まれる。
【0002】
19世紀の中期までに、粗アヘン調製物ではなく、モルヒネなどの純粋なアルカロイドの使用が、医学分野全体に広がり始めた。モルヒネの非経口使用は、粗アヘン調製物よりも、多種多様なやみつきな薬物使用を引き起こす傾向がある。オピオイドに対する耽溺の問題は、耽溺を生じる危険性のない強力な鎮痛薬の探索を促した。1967年までに、研究者は、モルヒネ様薬物、アンタゴニスト、および「混合アゴニスト−アンタゴニスト」と呼ばれるものの間の複雑な相互作用は、オピオイドおよび関連薬物の2つ以上の種類の受容体の存在を仮定することにより説明できると結論づけた。モルヒネ様作用を有する新規な全合成物体の出現により、「オピオイド」なる語は、一般に、オピオイド受容体の数個の亜種のいずれかに立体特異的に結合し、アゴニスト作用を生じる、全ての外来的物質の総称として保持されている。このより深い解明により、薬理科学は前進したが、乱用の危険性のない鎮痛オピオイドは開発されなかった。
【0003】
オピオイドの反復使用による耐性および身体依存の発達の危険性は、全てのオピオイド薬物の特徴的な面であり、心理的依存(すなわち耽溺)が発生する危険性は、医原性耽溺は稀ではあるが、オピオイドを用いた疼痛処置の使用における主な懸念の1つである。オピオイドの使用に関連した別の主な懸念は、疼痛患者からこれらの薬物が、違法目的で、別の人(患者以外)、例えば常用者に流れることである。
【0004】
オピオイドの全体的な乱用の危険性は、いずれか1つの単一の因子によっては確立されない。その代わりに、薬物離脱が薬物探索行動を生じるに十分な苦悩を引き起こす一種の身体依存を生じる薬物の能力;他の薬剤の離脱により引き起こされる離脱症状を抑制する能力;モルヒネおよび他のオピオイドにより生じる陶酔に類似した陶酔を誘導する程度;薬物を、その通常の治療範囲より多く投与した場合に生じる毒性パターン;および、水溶解度などの薬物の身体的特徴を含む、複合因子がある。かかる身体特徴によって、薬物が非経口経路により乱用される可能性があるかどうかを決定し得る。
【0005】
米国では、やみつきな薬物使用者を制御する努力は、やみつきな薬物使用者の疼痛処置におけるオピオイドの使用に対して制限を設けることにより、薬物の入手を制御する努力を含む。実際に、医師は、該薬物に身体依存、すなわち耽溺を発達する素因があると見られる人にさえ、強力なオピオイド鎮痛薬を投与する選択に直前することが多い。この問題を鑑みると、これらの患者には、乱用の危険性のない別の薬物で足りる場合にはオピオイドを投与すべきではなく;さらに、これらの患者には、非経口的に乱用し得る投与形で与えるべきではなく、単にいずれか1回で数日間の供給を与えるべきであることを推奨する。
【0006】
オピオイド使用および依存の少なくとも3つの基本的なパターンを同定した。第一は、薬物使用が、医学的処置に関連して始まり、例えば医師などの合法的起源からその初回供給を得た個人を含む。別のパターンは、実験的または「娯楽」薬物使用から始まり、より徹底的な使用に進行する。第三のパターンは、前のパターンの一方または他方で始まったが、認可耽溺処置プログラムから得た、メサドンなどの経口オピオイドに後に切り替えた使用者を含む。
【0007】
耐性は、同じレベルの鎮痛または陶酔を得るための、ある期間におよびオピオイドの投与量を増加する必要性、または、同じ投与量の反復投与により、鎮痛、陶酔、または他のオピオイド作用の減少が観察されることを意味する。顕著な程度の耐性は、オピオイドの呼吸器抑制、鎮痛、沈静、催吐および陶酔作用へと発達することが判明した。しかし、常用者または疼痛処置の必要な患者において、この耐性が発達し得る速度は、使用パターンに依存する。オピオイドを頻繁に使用する場合、投与量の増加が必要であり得る。耐性は、全てのオピオイドの作用に対して同等または同じ速度で発達せず、呼吸器抑制作用に高度に耐性である使用者さえ、縮瞳および便秘を示し続ける。オピオイドに対する耐性は、主に、離脱症状が終了した時に消失する。
【0008】
身体依存は、オピオイドの反復投与および延長使用時に発達し得る。身体依存は、オピオイド使用停止後に次第に現れるか、または、麻薬性アンタゴニストの投与後に急激に現れる(「急激離脱症状シンドローム(precipitated abstinence syndrome)」と称する)(例えば数分以内)。依存が確立される薬物、並びに使用および投与期間に応じて、離脱の症状は、数および種類、期間および重度が変化する。離脱症候群の最も一般的な症状は、摂食障害、体重減少、瞳孔散大、過度の発汗と交互に生じる悪寒、腹部痙攣、吐気、嘔吐、筋肉痙縮、過敏症、流涙、鼻漏、鳥肌、心拍増加を含む。天然禁断症候群は、典型的には、最後の投与の24〜48時間後に起こり始め、約3日目に最大強度に達し、第三週まで減少し始めないだろう。オピオイドアンタゴニストの投与により生じる禁断症候群の急激な出現は、投与量および具体的なアンタゴニストによって、強度および期間が変化するが、一般に、数分から数時間の範囲である。
【0009】
オピオイドに対する心理的依存(すなわち耽溺)は、陶酔、および、例えば心理社会的経済的プレッシャーからの逃避を達成することに向けた薬物探索行動を特徴とする。常用者は、非医学的目的で、自己危害にも関わらずオピオイドを投与し続ける。
【0010】
以前、当分野では、オピオイド鎮痛薬に関連した乱用の危険性を制御する試みがなされた。例えば、ペンタゾシンとナロキソンの組合せが、サノフィ−ウィントロップからタルウィン(登録商標)Nxとして市販されている米国で入手可能な錠剤に使用されている。タルウィン(登録商標)Nxは、50mgの塩基に同等な塩酸ペンタゾシン、および、0.5mg塩基に同等な塩酸ナロキソンを含む。タルウィン(登録商標)Nxは、中程度から重度の疼痛の緩解に適応されている。この組合せに存在するナロキソンの量は、経口投与する場合に低い活性を示し、ペンタゾシンの薬理作用に最小限にしか干渉しない。しかし、非経口投与したこの量のナロキソンは、麻薬性鎮痛薬に対して顕著なアンタゴニスト作用を示す。従って、ナロキソンの包含は、投与形を可溶化し注射した場合に生じる、誤用形の経口ペンタゾシンを抑制するものである。それ故、この投与量は、以前の経口ペンタゾシン製剤よりも、非経口誤用の危険性が低い。しかし、依然として、経口経路による、例えば、一度に複数の投与量を服用した患者による、患者の誤用および乱用がある。重度の疼痛の管理用の、チリジン(50mg)およびナロキソン(4mg)を含む一定の組合せ療法が、1978年以来、ドイツで入手可能である(ヴァロロン(登録商標)N、ゴエデッケ)。これらの薬物の組合せの理論は、モルヒネ受容体でのナロキソン誘導アンタゴニストによる、効果的な疼痛緩解およびチリジン耽溺の予防である。疼痛の処置用のブプレノルフィンとナロキソンの一定の組合せが、1991年、ニュージーランドに導入された(テムゲシック(登録商標)Nx、レキット&コールマン)。
【0011】
(発明の目的および要約)
本発明の目的は、経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することであり、これは、それに含まれるオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少するのに有用である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態の目的は、経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することであり、これは、オピオイドアゴニストの鎮痛作用に影響を及ぼすことなく、または離脱症状の急激な出現の危険性を受けることなく、オピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少するのに有用である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態の目的は、経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することであり、これは、誤用、乱用または流用に抵抗性であり、ここでの抵抗性は、同時投与したオピオイドアゴニストおよびアンタゴニスト混合物の作用における、個々の患者特異的な差異に依存しない。
【0014】
本発明の好ましい実施形態の目的は、投与形を無傷で経口投与した場合にオピオイドアゴニストの鎮痛効力を変化させないが、オピオイドアゴニストの作用を干渉することにより投与形に外圧を負荷した場合に乱用を予防できる、投与量のオピオイドアンタゴニストと共に、有効投与量のオピオイドアゴニストを含む経口投与形を提供することである。
【0015】
本発明の好ましい実施形態の目的は、経口オピオイド投与形の乱用を防ぐ方法を提供することであり、ここでの投与形はまた、隔離された、例えば、投与量が無傷で投与された場合には生物学的に利用可能ではないが、投与形に外圧を負荷した(tampered)場合には(例えばオピオイド鎮痛薬の投与量を誤用する試みで)生物学的に利用可能である、投与量のオピオイドアンタゴニストを含む。
【0016】
本発明の好ましい実施形態のさらなる目的は、急性または慢性疼痛の管理に使用する目的またはそれに適した経口投与形を提供することであり、オピオイドアゴニストの鎮痛作用の変化は、耐性、身体依存、または、肝代謝または生理における個々のばらつきなどの場合には回避しなければならない。
【0017】
本発明の好ましい実施形態のさらなる目的は、経口、非経口、鼻腔内および/または舌下経路によるその誤用を減少させつつ、経口投与形のオピオイドアゴニストを用いて、ヒト患者の疼痛を処置する方法を提供することである。
【0018】
上記の目的およびその他のいくつかまたは全部は、本発明の実施形態により達成され、これは、一部には、オピオイドアゴニストおよびオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に向けられ、ここでのオピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形(すなわち「隔離」)で存在する。好ましい実施形態において、投与形は、経口的に治療有効量のオピオイドアゴニストを含み、該投与形は、所望の鎮痛作用を与える。オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形で存在するので、投与形を無傷で経口投与した場合にオピオイドアゴニストの鎮痛作用を実質的に遮断せず、オピオイド耐性または依存患者における離脱症状の急激な出現の危険性を課さない。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明の経口投与形は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、外圧後(after tampering)の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。
【0020】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料で個々にコーティングされた多粒子形である。
【0021】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、隔離オピオイドアンタゴニストを含み、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料を含むマトリックスで分散している。
【0022】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、該無傷投与形に含まれるアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。
【0023】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたアンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量より少なく、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該アンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量またはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。好ましくは、外圧を負荷した投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、約0.5mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以上、および/または、無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、約0.125mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以下である。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離ナルトレキソンまたは医薬的に許容可能なその塩を含む経口投与形に関し、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたナルトレキソンの量は0.25mg未満であり、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該ナルトレキソンの量は0.25mgまたはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびナルトレキソンは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。またはこの実施形態において、外圧投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの経口量は、約0.5mgのナルトレキソンまたはそれ以上、および/または、無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は約0.125mgのナルトレキソンまたはそれ以下である。
【0025】
他の実施形態において、本発明は、(i)治療に効果的なオピオイドアゴニスト;および(ii)隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、よって、経口投与1時間後に、該投与形が、約25%以下の該アンタゴニストを放出し、該投与形は鎮痛を与え、放出された該アンタゴニストは鎮痛効力に影響を及ぼさず、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない。好ましくは、無傷投与形は、12.5%以下のアンタゴニストを放出する。
【0026】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料で個々にコーティングされた多粒子形(multiparticulates)である。
【0027】
他の実施形態において、本発明は、(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料を含むマトリックスで分散している。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、本発明の無傷投与形は、経口投与1時間後にそれに含まれるいくつかのオピオイドアンタゴニストを放出する、例えば、該投与形は、1時間後に少なくとも0.025mgのナルトレキソンまたは生物学的に同等な投与量の別のアンタゴニストを放出する。これらの実施形態において、投与形は、患者に鎮痛を与え、放出されたアンタゴニストは、鎮痛効力に影響を及ぼさない。これらの実施形態において、投与形は、好ましくは、投与1時間後に0.25mg以上のナルトレキソンを放出しない。これらの実施形態の目的のために、無傷投与形からのナルトレキソンの放出を、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき測定し得る。
【0029】
他の実施形態において、本発明は、実質的に放出不可能な形のオピオイドアゴニストおよびナルトレキソンまたはその塩を含む経口投与形に関し;該アゴニストおよびナルトレキソンは少なくとも部分的に相互分散している。
【0030】
他の実施形態において、本発明は、オピオイドアゴニスト;および実質的に放出不可能な形の経口で生物学的に利用可能なオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形に関し、該アゴニストおよびアンタゴニストは少なくとも部分的に相互分散している。
【0031】
アンタゴニストが、隔離材料でコーティングされた多粒子形である本発明の実施形態において、多粒子は、アンタゴニストでコーティングし、材料で上塗りした不活性ビーズ形、または別に、アンタゴニストおよび材料を含む顆粒形であり得る。多粒子は、オピオイドアゴニストを含むマトリックスで分散できるか、または、オピオイドアゴニストと共にカプセルに含めることができる。
【0032】
アンタゴニストが、アンタゴニストの放出を実質的に防ぐ隔離材料を含むマトリックスで分散されている本発明の実施形態において、マトリックスはペレット形であり得る。ペレットは、オピオイドアゴニストを含む別のマトリックスに分散できるか、または、オピオイドアゴニストと共にカプセルに含めることができる。
【0033】
本発明の他の実施形態において、アンタゴニストの一部は、マトリックス中にあり、および/またはアンタゴニストの一部はコーティングされたビーズ中にある。
【0034】
37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づいた、外圧後に投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷投与形から放出された該アンタゴニストの量に関して、上記に開示した約4:1またはそれ以上の比を示す、本発明の特定の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に22.5%以下のアンタゴニストを放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に90%以上のアンタゴニストを放出する。別の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に該アンタゴニストの20%以下を放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に80%以上のアンタゴニストを放出する。別の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に10%以下の該アンタゴニストを放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に40%以上のアンタゴニストを放出する。別の実施形態において、無傷投与形は、1時間後に該アンタゴニストの5%以下を放出し、外圧を負荷した投与形は、1時間後に20%以上のアンタゴニストを放出する。
【0035】
本発明の特定の実施形態において、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づいた、外圧後に投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、10:1またはそれ以上、50:1またはそれ以上、或いは100:1またはそれ以上である。
【0036】
本発明の特定の実施形態において、アンタゴニストはナルトレキソンまたは医薬的に許容可能なその塩である。該実施形態において、無傷投与形は、好ましくは、上記の溶解条件に従って、1時間で、0.25mg未満、好ましくは0.125mg以下のナルトレキソンを放出する。好ましくは、外圧を負荷した投与形は、同じ条件下で、1時間で0.25mg以上のナルトレキソンを放出する。
【0037】
本発明の特定の実施形態において、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づいた、外圧後に投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、10:1またはそれ以上、50:1またはそれ以上、或いは100:1またはそれ以上である。
【0038】
投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで15重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで8重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで3重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで1重量%未満を放出するように適合している。投与形の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、36時間後にインビボで5重量%未満を放出するように適合している。
【0039】
本発明はまた、本明細書に開示した投与形を使用して、オピオイドアゴニストの乱用を防ぐ方法に関する。該方法は、経口投与形のオピオイドアゴニストを、オピオイドアンタゴニストと共に提供することを含み、ここでのオピオイドアンタゴニストは、消化時に実質的に放出不可能な形であり、投与形の完全性は消化が始まるまで維持されるが、外圧(例えば、圧搾、投与形を破壊する剪断力等、溶媒または45℃以上の温度)にかけられると生物学的に利用可能となる形で存在する。
【0040】
本発明の別の実施形態は、本明細書に開示したような経口投与形を調製することを含む、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用を減少する方法に関する。例えば、該方法は、(i)経口で治療有効量のオピオイドアゴニストおよび(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む投与形を調製することを含む投与形を調製することを含み得、よって、該投与形を無傷で経口投与した場合、該投与形は、所望の鎮痛効果を与え、該アンタゴニストは実質的にオピオイドアゴニストの鎮痛効果を遮断しない。別の実施形態において、オピオイドアゴニストの効果は、該投与形に外圧を負荷する、例えば咀嚼、圧搾または溶媒に溶解し、経口的、鼻腔内、非経口的または舌下投与した場合に少なくとも部分的に遮断される。
【0041】
本発明はまた、本明細書に開示した投与形で疼痛を処置する方法に関する。該方法は、放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形を提供し;そして、無傷経口投与形を経口投与することを含み得る。
【0042】
本発明の別の実施形態は、開示した投与形で疼痛を処置する方法に関する。特定の実施形態において、乱用の危険性の低い投与形で患者の疼痛を処置する方法は、放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形を提供し;そして、経口投与形を経口投与して、最小鎮痛濃度のオピオイドアゴニストよりも高い血漿中アゴニストレベルを提供することを含む。
【0043】
本発明は、本明細書に開示した投与形の調製法にも関する。特定の実施形態において、本発明は、オピオイドアンタゴニストを前処理して、実質的に放出不可能とし;そして、前処理したアンタゴニストを、放出可能な形のオピオイドアゴニストと、放出不可能な形のアンタゴニストの完全性を維持する様式で合わせることを含む、経口投与形の調製法を含む。
【0044】
本発明の特定の実施形態は、アゴニストおよびアンタゴニストが、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、製剤に関する。しかし、特定の実施形態において、アゴニストおよびアンタゴニストは、部分的に相互分散している。
【0045】
「鎮痛効力」なる語は、本発明の目的では、ヒト患者により決定した、耐容可能なレベルの副作用を伴う、疼痛の満足のいく減少または消失として定義する。「実質的にオピオイドアゴニストの鎮痛効果を遮断しない」なる語は、オピオイドアンタゴニストが、投与形を、鎮痛の付与において、治療効力を低くするに十分な程度で、オピオイドアゴニストの効果を遮断しないことを意味する。「離脱症状の急激な出現の危険性」は、製剤の適切な作用が、アゴニストとアンタゴニストの具体的な比、または、いずれかの差次的代謝(differential metabolism)に依存しないことを意味する。
【0046】
「実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニスト」なる語は、オピオイドアゴニストおよびオピオイドアンタゴニストの両方を含む無傷投与形(すなわち外圧を負荷していない)を経口投与した1時間後に放出されない、または、実質的に放出されない、オピオイドアンタゴニストを意味する。本発明の目的では、無傷投与形の経口投与後に放出された量は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への投与形の1時間後の溶解を通して、インビトロで測定し得る。該投与形は、「隔離(sequestered)アンタゴニスト」を含むとも称する。
【0047】
本発明の好ましい実施形態は、オピオイドアンタゴニストの放出を完全に防ぐ形でオピオイドアンタゴニストを含むが、本発明はまた、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストも含む。「実質的に放出されない」なる語は、放出量が影響を受けないか、または、投与形を目的のようにヒトに経口投与した場合の鎮痛効果に有意に影響を及ぼさない限り、少量で放出され得るアンタゴニストを意味する。
【0048】
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のアンタゴニストは、結腸移行の管理に使用する下剤(例えば鉱油)および塩酸欠乏性状態に抵抗性である。
【0049】
特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、外圧を負荷することなく、意図するように経口投与した場合に胃腸管を通るその移行中にアンタゴニストが放出されないかまたは実質的に放出されないような、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を用いて製剤化したオピオイドアンタゴニストを含む。
【0050】
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、経口投与形の機械的、熱的および/または化学的外圧、例えば、圧搾、剪断、粉砕、咀嚼および/または熱(約45℃以上)と組合わせた溶媒中への溶解による外圧に脆弱である。かくして外圧を負荷すると、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの完全性は損なわれ、オピオイドアンタゴニストは放出可能となる。特定の実施形態において、投与形を、咀嚼、圧搾または溶媒中に溶解および加熱し、経口、鼻腔内、非経口または舌下投与した場合、オピオイドの鎮痛または陶酔作用は、減少または消失する。特定の実施形態において、オピオイドアゴニストの効果は、オピオイドアンタゴニストにより少なくとも部分的に遮断される。特定の他の実施形態において、オピオイドアゴニストの効果は、オピオイドアンタゴニストにより実質的に遮断される。
【0051】
「外圧(tampering)」なる語は、投与形の物理特性を変化させる、例えば、持続放出形である場合には即時放出でオピオイドアゴニストを遊離する、または、別の経路、例えば非経口で投与などの不適切な使用に利用可能なオピオイドアゴニストを作成する、機械的、熱的および/または化学的手段による任意の操作を意味する。外圧は、圧搾、剪断、粉砕、咀嚼、溶媒への溶解、加熱(例えば約45℃以上)、またはその任意の組合せにより得る。
【0052】
「少なくとも部分的にオピオイド効果を遮断する」なる語は、本発明の目的では、オピオイドアンタゴニストが、少なくとも有意に、オピオイドアゴニストの陶酔作用を遮断し、これにより、投与形のオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少することを意味すると定義する。
【0053】
本発明の特定の好ましい実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐコーティング中に、オピオイドアンタゴニスト粒子を含む。好ましい実施形態において、コーティングは、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を含む。コーティングは、好ましくは、それに含まれるオピオイドアンタゴニストに非浸透性であり、胃腸系で不溶性であり、従って、投与形を目的のように経口投与した場合にはオピオイドアンタゴニストの放出を実質的に防ぐ。
【0054】
従って、経口投与形を、コーティングの完全性の破損に関して外圧をかけない場合、それに含まれるオピオイドアンタゴニストは、実質的に、胃腸系を通る移行の最初の1時間中には実質的に放出されず、従って、吸収に利用できないだろう。本発明の特定の好ましい実施形態において、疎水性材料は、胃腸液では不溶性であり、オピオイドアンタゴニストに非浸透性である、セルロースポリマーまたはアクリル酸ポリマーを含む。
【0055】
本明細書に使用したようなオピオイドアンタゴニストの「粒子(particles)」なる語は、オピオイドアンタゴニストを含む、顆粒、球状体(spheroids)、ビーズまたはペレットを意味する。特定の好ましい実施形態において、オピオイドアンタゴニスト粒子は、約0.2から2mmの直径であり、より好ましくは約0.5から2mmの直径である。
【0056】
本発明の特定の実施形態において、経口投与形はさらに、放出可能な形のオピオイドアンタゴニストを含み、従って、経口投与した場合には経口投与形から放出でき、オピオイドアゴニストと放出可能な形のオピオイドアンタゴニストの比は、投与形が、経口投与した場合に、鎮痛に効果的であるような比である。例えば、オピオイドアンタゴニストを、実質的にその放出を防ぐコーティングでコーティングし、その後、オピオイドアゴニストと混合し、錠剤に圧縮した場合、特定の量のコーティングが、圧搾し得、よって、オピオイドアンタゴニストが経口投与時に放出される。
【0057】
好ましくは、本発明に有用なオピオイドアゴニストは、モルヒネ、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メサドンおよびその混合物からなる群から選択し得る。本発明に有用なオピオイドアンタゴニストの好ましい例は、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、シクラザシン、レボルファン、医薬的に許容可能なその塩およびその混合物からなる群から選択し得る。
【0058】
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形に存在する、オピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの比は、重量にして、約1:1から約50:1、重量にして好ましくは約1:1から約20:1、または15:1から約30:1である。本出願に使用したようなオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの重量比は、活性成分の重量を意味する。従って、例えば、オピオイドアンタゴニストの重量は、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能とするコーティングまたはマトリックス、または、アンタゴニスト粒子に会合した他の可能な賦形剤の重量を除外する。特定の好ましい実施形態において、比は、重量にして約1:1から約10:1である。オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形にあるので、投与形内の該アンタゴニストの量は、オピオイドアゴニスト/アンタゴニスト組合せ投与形よりも広範に変化し得、ここでは、製剤は、適切な機能に関して差次的代謝または肝クリアランス(hepatic clearance)に依存しないので、両方とも、投与時の放出に利用可能である。安全性のために、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストの量は、投与形に外圧を負荷することにより完全に放出した場合にさえ、ヒトに有害ではないように選択する。
【0059】
本発明の特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、ヒドロコドン、オキシコドンまたは医薬的に許容可能なその塩を含み、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストは、ナロキソン、ナルトレキソンおよび医薬的に許容されるその塩を含む。
【0060】
オピオイドアゴニストを実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストと組合せて含む経口投与形は、錠剤またはカプセル剤を含むがこれに限定されない。本発明の投与形は、当業者に公知の任意の所望の医薬的賦形剤を含み得る。経口投与形は、さらに、オピオイドアゴニストの即時放出を提供し得る。特定の実施形態において、本発明の特定の投与形は、それに含まれるオピオイドアゴニストの持続放出を提供する。オピオイドアゴニストの持続放出を提供する経口投与形は、医薬製剤の分野の専門家には公知の調合/製造法に従って、例えば、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含むマトリックスへの持続放出キャリアの取込みを介して;または、オピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含むマトリックスの持続放出コーティングを介して、調製し得る。
【0061】
乱用に抵抗性の投与形の利点は、価値ある鎮痛を提供するが、乱用しがちな、強力なオピオイドアゴニスト(例えばオキシコドンまたはヒドロコドン)の経口投与形について、特に多大である。これは特に、各投与単位中に、特定の期間におよび放出する目的の大量の所望のオピオイドアゴニストを有する、持続放出オピオイドアゴニスト製品に当てはまる。薬物乱用者は、該持続放出製品をとり、製品を圧搾、粉砕、抽出または別の方法で傷害し、投与形の全含量を、即時吸収に利用できるようにする。本発明の投与形の該外圧により、オピオイドアンタゴニストを吸収利用できるようになるので、本発明は、かかる乱用を妨げる手段を提供する。さらに、本発明は、製品を偶発的に咀嚼または圧搾した場合に、正常患者の過剰投与による、オピオイドアゴニストの全用量の「ダンピンク(dumping)」作用の危険性に取り組む。
【0062】
「持続放出」なる語は、本発明の目的では、血中(例えば血漿中)濃度(レベル)を、8から24時間の期間におよび、好ましくは1日2回または1日1回の処方の適応の期間におよび、治療範囲(最小有効鎮痛濃度すなわち「MEAC」)内であるが、毒性レベルより低く維持するような速度での、経口投与形からのオピオイドアゴニストの放出として定義する。
【0063】
本発明は、製品を誤用した場合の、より安全な製品(例えばより呼吸器抑制が少ない)、並びに、乱用の危険性のより少ない製品を提供し得る。
【0064】
特定の実施形態において、2つのオピオイドアゴニストの組合せが製剤に含まれる。さらなる実施形態において、1つ以上のオピオイドアゴニストを含め、さらに非オピオイド薬物も含める。かかる非オピオイド薬物は好ましくは、さらなる鎮痛を与え、これは例えばアスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド抗炎症薬(「NSAID」)、NMDAアンタゴニスト、およびシクロオキシゲナーゼ−II阻害剤(「COX−II阻害剤」)を含む。
【0065】
またさらなる実施形態において、鎮痛以外の所望の作用を与える非オピオイド薬物、例えば鎮咳薬、去痰薬、鬱血除去薬または抗ヒスタミン薬等を含めることができる。
【0066】
本発明の目的では、「オピオイドアゴニスト」なる語は、「オピオイド」または「オピオイド鎮痛薬」なる語と同義語であり、2つ以上のオピオイドアゴニストの組合せを含み、またオピオイド塩基、混合アゴニスト−アンタゴニスト、部分アゴニスト、医薬的に許容可能なその塩、その立体異性体、そのエーテルおよびエステル、およびその混合物も含む。
【0067】
本発明の目的では、「オピオイドアンタゴニスト」なる語は、2つ以上のオピオイドアンタゴニストの組合せを含み、塩基、医薬的に許容可能なその塩、その立体異性体、そのエーテルおよびエステル、並びにその混合物も含む。
【0068】
本明細書に開示の本発明は、開示したオピオイドアゴニストおよびアンタゴニストの全ての医薬的に許容可能なその塩を包含することを意味する。医薬的に許容可能な塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等の金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等のアミノ酸塩を含むがこれに限定されない。
【0069】
本明細書に開示したオピオイドアゴニストおよびアンタゴニストのいくつかは、1つ以上の不斉中心を含み得、従って、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体形を与え得る。本発明はまた、全てのかかる可能な形、並びに、そのラセミおよび分割形およびその混合物を包含すると意味する。本明細書に記載の化合物が、オレフィン二重結合または他の幾何不斉中心を含む場合、特記しない限り、EおよびZ幾何異性体の両方を含むものとする。全ての互変異性体が、同様に本発明に包含されるものとする。
【0070】
本明細書に使用したような「立体異性体」なる語は、空間中のその原子の配向のみが異なる、個々の分子の全ての異性体の総称である。それは、互いに鏡像ではない(ジアステレオマー)2つ以上のキラル中心を有する化合物のエナンチオマーおよび異性体を含む。
【0071】
「キラル中心」なる語は、4つの異なる基が付着している炭素原子を意味する。
【0072】
「エナンチオマー」または「エナンチオ的」なる語は、その鏡像に重ね合わせることができず、従って、光学的に活性である分子を意味し、ここで、エナンチオマーは、一方向に偏光面を回転させ、その鏡像は、逆の方向に偏光面を回転させる。
【0073】
「ラセミ」なる語は、等しい割合のエナンチオマーの混合物を意味し、これは光学的に不活性である。
【0074】
「分割」なる語は、分子の2つのエナンチオマー形の一方の分離または濃縮または枯渇を意味する。
【0075】
本発明はさらに、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少する方法に関する。該方法は、本明細書に記載したような経口投与形のオピオイドアゴニストを提供することを含む。
【0076】
(発明の詳細な説明)
ミュー、カッパ、およびデルタと称される、少なくとも3つの亜種のオピオイド受容体が存在すると仮定されている。このフレームワーク内で、ミュー受容体は、超脊髄麻酔、呼吸器抑制、陶酔および身体依存の発生に関与すると考えられている。カッパ受容体は、脊髄麻酔、縮瞳、および鎮静の誘導に関与すると考えられている。ガンマ受容体の活性化は、神経不安および幻覚、並びに、呼吸器および血管運動刺激作用を引き起こす。マウス輸精管における、ミュー受容体とは別個で、ガンマと称される受容体が、Lordら、Nature、1977、267、495〜99に記載されている。オピオイドアゴニストは、主にミュー受容体で、より低い程度でカッパ受容体で、そのアゴニスト作用を奏功すると考えられている。1つまたは別の受容体型で部分アゴニストとして作用するようである薬物が数個存在する。該薬物は、天井効果を示す。該薬物は、ナロルフィン、プロピラム、およびブプレノルフィンを含む。さらに他の薬物は、ミュー受容体で競合的アンタゴニストとして作用し、カッパおよびオメガ受容体でその作用を奏功することにより、モルヒネ様薬物の作用を遮断する。アゴニスト−アンタゴニストなる語は、かかる作用機序を記載するために展開する。
【0077】
本発明は、既存の放出制御オピオイド鎮痛薬に対して、鎮痛スペクトルの類似した、誤用、乱用および流用を減少および最小限にするために製剤化された、放出制御オピオイド鎮痛薬に関する。特定の実施形態において、これらの特徴は、独特な放出制御マトリックスにそれ自体が製剤化された、ナルトレキソンHClなどのオピオイドアンタゴニストの包含により付与される。この製剤の特性は、誤用または外圧の条件下でアンタゴニストを遊離するように開発されているが、依然として無視できる量のアンタゴニスト(患者の受ける鎮痛に影響を及ぼさない量)が、処方の使用条件下で放出される。
【0078】
本発明の特定の実施形態において、製剤のアンタゴニスト成分の放出は、無傷製剤から放出した量と比較した、外圧、例えば圧搾または咀嚼後に得られる放出の比に関して表現する。それ故、比は、[圧搾]/[全体]として表現し、この比は、少なくとも4:1またはそれ以上の数の範囲を有することが望ましい(1時間の圧搾放出/1時間の無傷放出)。アンタゴニストがナルトレキソンである場合、無傷投与形は、1時間以内に0.25mg未満、好ましくは0.125mg以下を放出することが好ましく、投与形が圧搾または咀嚼された場合に、0.25mgまたはそれ以上のナルトレキソンが、1時間後に放出される。これらの値の導出を実施例17、18および19に記載する。
【0079】
本発明は、経口投与形に含まれるオピオイドアゴニストの乱用の危険性を減少するのに有用な経口投与形のオピオイドアゴニストを提供する。本発明は、経口で治療有効な量のオピオイドアゴニストを、オピオイドアンタゴニストと組合せて含む、経口投与形を含む。オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能な形で存在する。
【0080】
特定の好ましい実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、実質的にその放出を防ぐコーティングでコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子を含む。好ましい実施形態において、該コーティングは、アンタゴニスト粒子を囲み、薬物に非浸透性であり、胃腸系に不溶性である。本発明の投与形をヒトに経口投与する場合、オピオイドアンタゴニストは、実質的にコーティングから放出されず、それ故、生体への吸収に利用できない。従って、オピオイドアンタゴニストは、投与形で存在するが、オピオイドアゴニストの鎮痛効力を実質的に遮断しない。しかし、本発明の経口投与形に外圧を負荷して、コーティングの完全性を損なう場合、それに含まれるオピオイドアンタゴニストは利用可能となり、少なくとも部分的にはオピオイドアゴストの効力を遮断するだろう。この特徴により、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用または流用の危険性は減少する。例えば、咀嚼、圧搾、粉砕または熱(例えば約45℃以上から約50℃)を加え溶媒中に溶解することにより、本発明の経口投与形に含まれる薬物を乱用しようと試みた場合、コーティングは傷害し、オピオイドアンタゴニストの遊離をもはや防がないだろう。投与時に、オピオイドアンタゴニストは放出され、オピオイドアゴニストの陶酔作用を有意に遮断する。
【0081】
本発明の特定の実施形態において、オピオイドアゴニストと、コーティングされたオピオイドアンタゴニストの比は、経口投与形が外圧を受けて、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能としているコーティングの完全性を損なう場合、アゴニストの陶酔作用は、ヒト被検者により、経口、非経口、鼻腔内、または舌下で誤用される場合、オピオイドアンタゴニストにより打ち消されるだろう。本発明の特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストの陶酔作用は、非経口または舌下で誤用した場合に、オピオイドアンタゴニストにより打ち消されるだろう。
【0082】
本発明はまた、放出可能な形のオピオイドアンタゴニストを、オピオイドアゴニストおよびコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子と共に含む、経口投与形を含み、アゴニストとコーティングされていないオピオイドアンタゴニストの比は、意図したような経口投与する場合、経口投与形は鎮痛効果があるような比である。
【0083】
本発明の特定の他の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、アンタゴニストを実質的に放出不可能としているマトリックス中に分散されたオピオイドアンタゴニストを含み、ここでのマトリックスは、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を含む。アンタゴニストは、実質的にマトリックスから放出されず、従って、胃腸系を通る移行中の吸収に利用できない。
【0084】
本発明の特定の他の実施形態において、アンタゴニストを実質的に放出不可能とするマトリックス中のオピオイドアンタゴニストは、融解押出(melt-extruded)マトリックスに分散したオピオイドアンタゴニストを含み、該マトリックスは、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料を含む。
【0085】
好ましい実施形態において、本発明に有用なオピオイドアゴニストは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デスモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニルおよび誘導体、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、前記のいずれかの混合物、前記のいずれかの塩等を含むがこれに限定されない。特定の実施形態において、記載のオピオイド組成物中のオピオイドアゴニストの量は、約75ngから750mgであり得る。
【0086】
特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、ヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルホン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシモルホン、ブプレノルフィン、フェンタニルおよびその誘導体、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール、またはその塩またはその混合物からなる群から選択する。特定の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、オキシコドンまたはヒドロコドンである。15mgの投与量のヒドロコドンに比べて、等価な鎮痛投与量のこれらのオピオイドを、以下の表1に示す。
(表1)
表1:等価な鎮痛投与量のオピオイド
オピオイド 計算投与量
オキシコドン 13.5
コデイン 90.0
ヒドロコドン 15.0
ヒドロモルフォン 3.375F
レボルファノール 1.8
メペリジン 135.0
メサドン 9.0
モルヒネ 27.0
ヒドロコドンおよびオキシコドンは、疼痛の管理に効果的であるが、オピオイドに心理的に依存しているか、または、非治療理由でオピオイドを誤用している個体による、その乱用は増加している。他のオピオイドでの以前の実験により、オピオイドを、特に悪化した常用者である患者において麻薬性アンタゴニストと組合せて投与した場合に、乱用の危険性の減少することが実証された。ワインホルドら、非依存ヒトにおける、単独で、または、ナルトレキソンと組合せたブプレノルフィン、Drug and Alcohol Dependence 1992;30:263〜274;メンデルソン・ジェイら、アヘン依存試験志願者におけるブプレノルフィンとナロキソンの相互作用、Clin Pharm Ther.1996;60:105〜114;両方共、参照してここに組み込まれる。しかし、これらの組合せは、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含まない。むしろ、オピオイドアンタゴニストは、経口投与した場合に胃腸系で放出され、ホストが差次的にアゴニストおよびアンタゴニストを代謝する生理機能に依拠して吸収に利用可能となり、アゴニスト作用を打ち消す。
【0087】
ヒドロコドンは、複数の中枢神経系および胃腸の作用をもつ、半合成麻薬性鎮痛薬および鎮咳薬である。化学的には、ヒドロコドンは、4,5−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オンであり、ジヒドロコデイノンとしても知られる。他のオピオイドと同様に、ヒドロコドンは習慣性であり得、モルヒネ型の薬物依存を発生し得る。過剰投与量のヒドロコドンでは、他のアヘン誘導体と同様に、呼吸を抑制する。
【0088】
経口ヒドロコドンも、欧州(ベルギー、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルグ、ノルウェーおよびスイス)で鎮咳剤として入手できる。非経口製剤も、ドイツで、鎮咳剤として入手できる。鎮痛薬として使用するために、酒石酸水素ヒドロコドンは、米国で、中程度または中程度に重度の疼痛の寛解用に、非アヘン薬物と一定の組合せ(すなわち、イブプロフェン、アセトアミノフェン、アスピリン等)としてのみ市販されている。
【0089】
一般的な投与形のヒドロコドンは、アセトアミノフェンと組合せられ、2.5/500mg、5/500mg、7.5/500mgおよび10/500mgのヒドロコドン/アセトアミノフェン錠剤として、UCBファーマ社から米国でロルタブ(登録商標)として市販されている。錠剤はまた、7.5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび650mgのアセトアミノフェン;および7.5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび750mgのアセトアミノフェンの比で入手できる。アスピリンと組合わせたヒドロコドンは、経口投与形で、成人に、疼痛の緩解に必要である、一般に4〜6時間毎に1〜2個の錠剤を投与する。錠剤形は、32mgのカフェインを含む、5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび224mgのアスピリン;または、5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび500mgのアスピリンである。比較的新規な製剤は、酒石酸水素ヒドロコドンおよびイブプロフェンを含む。米国でクロール・ラボラトリーズから市販されているビコプロフェン(登録商標)は、7.5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび200mgのイブプロフェンを含む錠剤である。本発明は、アンタゴニストを実質的に放出不可能な形とするコーティングでコーティングしたオピオイドアンタゴニスト粒子を含む、かかる全ての製剤を包含するものとする。
【0090】
オキシコドンは、化学的には4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オンとしても知られるが、これは基本的な治療作用が鎮痛であるオピオイドアゴニストである。オキシコドンの他の治療効果は、抗不安、陶酔およびリラックス感を含む。その鎮痛作用の正確な機序は不明であるが、オピオイド様活性を有する内因性化合物の特異的CNSオピオイド受容体が、脳および脊髄全体において同定され、この薬物の鎮痛効果に役割を果たす。
【0091】
オキシコドンは、米国で、例えばオキシコンチン(登録商標)として、パーデュー・ファーマL.P.から、10mg、20mg、40mgまたは80mgの塩酸オキシコドンを含む経口投与用の放出制御錠剤として、オキシIR(登録商標)としてパーデュー・ファーマL.P.から、5mgの塩酸オキシコドンを含む即時放出カプセル剤として市販されている。本発明は、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能な形で含む、かかる全ての製剤を包含するものとする。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明のオピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナルメフェン、シクラザシン、レバロルファンおよびその混合物を含む。特定の好ましい実施形態において、オピオイドアンタゴニストはナロキソンまたはナルトレキソンである。特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストの量は、約10ngから275mgであり得る。
【0093】
ナロキソンは、アゴニスト作用のほとんどない、オピオイドアンタゴニストである。12mgのナロキソンの皮下投与量により、識別可能な主観的な作用は全く生じず、24mgのナロキソンはほんの僅かな眠気を引き起こす。ヒトに筋肉内または静脈内投与した少量(0.4〜0.8mg)のナロキソンは、モルヒネ様オピオイドアゴニストの作用を予防または迅速に逆転し得る。1mgの静注のナロキソンが、25mgのヘロインの作用を完全に遮断すると報告されている。ナロキソンの作用は、静脈内投与後ほぼ即座に見られる。薬物は経口投与後に吸収されるが、肝臓を通る初回通過で急速に不活性形へと代謝されると報告され、よって、非経口投与した場合よりも有意に低い強度を有すると報告されている。1gより多い経口投与量が、24時間未満でほぼ完全に代謝されると報告されている。舌下投与したナロキソンの25%が吸収されると報告されている。ワインバーグら、選択したオピオイド鎮痛薬の舌下吸収、Clin Pharmacol Ther.(1988)44:335〜340。
【0094】
他のオピオイドアンタゴニスト、例えばシクラゾシンおよびナルトレキソン(両方共、窒素上にシクロプロピルメチル置換基を有する)は、経口経路により、その多くの効力を保持し、その作用時間は、はるかに長く、経口投与後24時間に近い。
【0095】
以前にオピオイドに耽溺した患者の処置において、ナルトレキソンを、オピオイドアゴニストの陶酔作用を予防するために、大量の経口投与量(100mg以上)で使用した。ナルトレキソンは、デルタ部位よりも、ミュー部位で、強力で選択的な遮断作用を奏功すると報告されている。ナルトレキソンは、オピオイドアゴニスト特性の全くないオキシモルフォンの合成同属体として知られ、オキシモルフォンの窒素原子上に位置するメチル基をシクロプロピルメチル基で置換することにより、オキシモルフォンとは構造が異なる。ナルトレキソンの塩酸塩は、約100mg/ccまで水に溶ける。ナルトレキソンの薬理および薬物動態特性を、複数の動物および臨床試験で評価した。例えば、ゴンザレスJPら、ナルトレキソン:その薬物動態および薬物速度特性、並びに、オピオイド依存管理における治療効力の総説、Drugs 1988;35:192〜213(参照してここに組み込まれる)参照。経口投与後、ナルトレキソンは、急速に吸収され(1時間以内に)、5〜40%の範囲の経口バイオアベイラビリティーを有する。ナルトレキソンのタンパク質結合は、約21%であり、単回投与後の分布容量は、16.1L/kgである。
【0096】
ナルトレキソンは、錠剤形(レビア(登録商標)、デュポン)で、アルコール依存の処置および外的に投与したオピオイドの遮断用に市販されている。例えばレビア(塩酸ナルトレキソン錠剤)参照。米国医薬品便覧第51版、モントバレ、NJ「医学経済学」1997;51:957〜959。50mgのレビア(登録商標)の投与量は、24時間までに25mg静注投与したヘロインの薬理作用を遮断する。
【0097】
モルヒネ、ヘロインまたは他のオピオイドを慢性的に同時投与した場合、ナルトレキソンは、オピオイドへの身体依存の発生を遮断することが知られている。ナルトレキソンがヘロインの作用を遮断する方法は、オピオイド受容体で競合的に結合することによると考えられている。ナルトレキソンは、オピオイドの作用の完全な遮断により、麻薬性耽溺を処置するのに使用されている。麻薬性耽溺におけるナルトレキソンの最も成功裏な使用は、挙動制御または他の服薬遵守増強法を含む包括的職業的またはリハビリプログラムの一部として、良好な予後を有する麻薬性常用者に対してであることが判明した。ナルトレキソンによる麻薬依存の処置では、患者は、少なくとも7〜10日間オピオイドがないことが望ましい。該目的での、初回投与量のナルトレキソンは、典型的には約25mgであり、離脱症状の兆候が出現しない場合には、投与量は、1日あたり50mgまで増加し得る。50mgの1日投与量が、非経口投与オピオイド作用の適切な臨床遮断を行なうと考えられる。ナルトレキソンはまた、社会的および心理療法を用いる補助剤として、アルコール依存症の処置に使用されている。
【0098】
本発明の特定の実施形態において、経口投与形のオピオイドアゴニストと実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの比は、オピオイドアゴニストの作用が、投与形が咀嚼、圧搾または溶媒に溶解および加熱され、経口、鼻腔内、非経口または舌下投与した場合に、少なくとも部分的に遮断されるような比である。本発明の経口投与形は、意図したように適切に投与した場合、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出しないので、該アンタゴニストの量は、経口投与時に胃腸系に放出されて利用可能である場合よりも、広範に変化し得る。安全性の理由から、実質的に放出不可能な形で存在するアンタゴニストの量は、完全に放出された場合でさえヒトに有害でないべきである。当業者は過度の実験を行なうことなく、具体的なオピオイドアゴニストとアンタゴニストの比を決定できる。
【0099】
本発明の特定の実施形態において、オピオイドアゴニストと、実質的に放出不可能な形で存在するオピオイドアンタゴニストの比は、重量にして約1:1から約50:1、好ましくは重量にして約1:1から約20:1である。特定の好ましい実施形態において、比は重量にして約1:1から約10:1である。本発明の好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、オキシコドンまたはヒドロコドンを含み、約15〜45mgの量で存在し、オピオイドアンタゴニストはナルトレキソンを含み、約0.5〜5mgで存在する。
【0100】
本発明の経口投与形は、さらに、オピオイドアゴニストおよびアンタゴニストに加えて、1つ以上の薬物を含み得、これは相乗的に作用してもしなくてもよい。従って、特定の実施形態において、オピオイドアンタゴニストに加えて、2つのオピオイドアゴニストの組合せを投与形に含め得る。例えば、投与形は、半減期、溶解度、強度などの異なる特性を有する2つのオピオイドアゴニスト、および前記のいずれかの組合せを含み得る。またさらなる実施形態において、1つ以上のオピオイドアゴニストが含まれ、オピオイドアンタゴニストに加えて、さらなる非オピオイド薬物も含まれる。かかる非オピオイド薬物は、好ましくは、追加の鎮痛を与え、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン;非ステロイド抗炎症薬(「NSAID」)、例えばイブプロフェン、ケトプロフェン等;N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニスト、例えばモルフィナン、例えばデキストロメトルファンまたはデキストルファン、またはケタミン;シクロオキシゲナーゼ−II阻害剤(「COX−II阻害剤」);および/またはグリシン受容体アンタゴニストを含む。
【0101】
本発明の特定の好ましい実施形態において、本発明により、NSAIDまたはCOX−2阻害剤などの追加の非オピオイドアゴニストの包含により、より少ない投与量のオピオイド鎮痛薬を使用できる。より少量の一方または両方の薬物の使用により、ヒトにおける効果的な疼痛管理に伴う副作用は減少する。
【0102】
適切な非ステロイド抗炎症剤は、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプフェン、カプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカムまたはイソキシカム等を含む。これらの薬物の有用な投与量は、当業者に公知である。
【0103】
N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体アンタゴニストは、当分野で公知であり、例えば、デキストロメトルファンまたはデキストロルファンなどのモルフィナン、ケタミン、d−メサドンまたは医薬的に許容可能なその塩を包含する。本発明の目的では、「NMDAアンタゴニスト」なる語はまた、GM1またはGT1bなどのガングリオシド、トリフルオペラジンなどのフェノチアジン、またはN−(6−アミノセキシル)−5−クロロ−1−ナフタレンスルホンアミドなどのナフタレンスルホンアミドなどの、NMDA−受容体活性化の主要な細胞内結果を遮断する、薬物を包含すると判断される。これらの薬物は、米国特許第5,321,012号および第5,556,838号(両方共マイヤーら)に、モルヒネ、コデイン等の麻薬性鎮痛薬などの耽溺性薬物への耐性および/または依存の発達を阻害し、米国特許第5,502,058号(マイヤーら)に慢性疼痛を処置すると記載され、これらの文献は全部、参照してここに組み込まれる。NMDAアンタゴニストは、これらのマイヤーらの特許に記載のように、単独で、または、リドカインなどの局所麻酔薬と組合せて含め得る。
【0104】
グリシン受容体アンタゴニストの使用による慢性疼痛の処置および該薬物の同定は、本明細書に参考として取込んだ、米国特許第5,514,680号(ウェーバーら)に記載されている。
【0105】
COX−2阻害剤が当分野で報告され、多くの化学構造が、シクロオキシゲナーゼ−2の阻害を引き起こすことが知られている。COX−2阻害剤は、例えば、米国特許第5,616,601号;第5,604,260号;第5,593,994号;第5,550,142号;第,5,536,752号;第5,521,213号;第5,475,995号;第5,639,780号;第5,604,253号;第5,552,422号;第5,510,368号;第5,436,265号;第5,409,944号;および第5,130,311号(これは全部、参照してここに組み込まれる)に記載されている。特定の好ましいCOX−2阻害剤は、セレコキシブ(SC−58653)、DUP−697、フロスリド(CGP−28238)、メロキシカム、6−メトキシ−2ナフチル酢酸(6−MNA)、MK−966(Vioxxとしても知られる)、ナブメトン(6−MNAのプロドラッグ)、ニメスリド、NS−398、SC−5766、SC−58215、T−614;またはその組合せを含む。体重1kgあたり1日あたり約0.005mgから約140mgの次元のCOX−2阻害剤の投与量レベルを、オピオイド鎮痛薬と組合せると治療に有効である。別法として、患者1人あたり1日あたり約0.25mgから約7gのCOX−2阻害剤を、オピオイド鎮痛薬と組合せて投与する。
【0106】
またさらなる実施形態において、鎮痛以外の所望の作用を与える非オピオイド薬物、例えば鎮咳薬、去痰薬、抗鬱血薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬等を含めることができる。
【0107】
実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの調製
本発明の特定の実施形態において、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、該アンタゴニストを、1つ以上の医薬的に許容可能な疎水性材料と合わせることにより調製し得る。例えば、オピオイドアンタゴニスト粒子は、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐコーティングでコーティングし得、該コーティングは、疎水性材料(群)を含んでいる。別の例は、アンタゴニストを、実質的に放出不可能とするマトリックスで分散されたオピオイドアンタゴニストであり、該マトリックスは、疎水性材料(群)を含んでいる。特定の実施形態において、医薬的に許容可能な疎水性材料は、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート(低、中または高の分子量)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートおよびセルローストリアセテートからなる群から選択したセルロースポリマーを含む。エチルセルロースの例は、44から55%のエトキシ含量を有するものである。エチルセルロースは、アルコール溶液形で使用し得る。特定の他の実施形態において、疎水性材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸またはポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマーを含む。
【0108】
特定の実施形態において、疎水性材料は、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースエステルエーテル、およびセルロースからなる群から選択したセルロースポリマーを含み得る。セルロースポリマーは、0より大きく、3以下の、無水グルコース単位での、置換度(D.S.)を有する。置換度により、置換基により置換されたセルロースポリマーを含む無水グルコース単位上に存在する、ヒドロキシル基の平均数を意味する。代表的な材料は、セルロースアクリレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジ、およびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジ、およびトリセルロースアロイレート、並びに、モノ、ジ、およびトリセルロースアルケニレートからなる群から選択したポリマーを含む。例示的なポリマーは、D.S.および21%までのアセチル含量を有するセルロースアセテート;32から39.8%までのアセチル含量を有するセルロースアセテート;1から2のD.S.および21から35%までのアセチル含量を有するセルロースアセテート;2から3のD.S.および35から44.8%のアセチル含量を有するセルロースアセテートを含む。
【0109】
より具体的なセルロースポリマーは、1.8のD.S.および39.2から45までのプロピル含量および2.8から5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースプロピオネート;1.8のD.S.、13から15%のアセチル含量および34から39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2から29%のアセチル含量、17から53%のブチリル含量、および0.5から4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2.9から3のD.S.を有するセルローストリアシレート、例えばセルローストリアセテート、セルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリスクシネート、およびセルローストリオクタノエート;2.2から2.6のD.S.を有するセルロースジアシレート、例えばセルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジペンタノエート、およびセルロースのコエステル、例えばセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートオクタノエートブチレート、およびセルロースアセテートプロピオネートを含む。
【0110】
実質的に放出不可能な形の、オピオイドアンタゴニストの調製に有用な、追加のセルロースポリマーは、アセトアルデヒドルジメチルセルロースアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートメチルカルバメート、およびセルロースアセテートジメチルアミノセルロースアセテートを含む。
【0111】
実質的に放出不可能な形の、オピオイドアンタゴニストの調製に有用な、アクリル酸ポリマーは、使用したアクリル酸およびメタクリル酸モノマーの1モルあたり、0.02から0.03モルのトリ(低級アルキル)アンモニウム基を含む、アクリル酸およびメタクリル酸エステルから合成されたコポリマー(例えば、アクリル酸低級アルキルエステルおよびメタクリル酸低級アルキルエステルのコポリマー)を含むアクリルレジンを含むがこれに限定されない。適切なアクリルレジンの例は、ローム・ファーマGmbHが製造し、オイドラギット(登録商標)RS商標名で販売のポリマーである。オイドラギットRS30Dが好ましい。オイドラギット(登録商標)RSは、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MM)およびトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド(TAM)の水不溶性ポリマーであり、TAMと残りの成分(EAおよびMM)のモル比は、1:40である。オイドラギット(登録商標)RSなどのアクリルレジンは、水性懸濁液の形で使用し得る。
【0112】
本発明の特定の実施形態において、アクリル酸ポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択し得る。
【0113】
実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストは、アンタゴニストを実質的に放出不可能な形にするコーティングでコーティングしたオピオイドアンタゴニスト粒子を含み、セルロースポリマーまたはアクリル酸ポリマーをコーティング組成物の調製に使用する場合、適切な可塑剤、例えばアセチルトリエチルシトレートおよび/またはアセチルトリブチルシトレートも、ポリマーと混合し得る。コーティングはまた、コーティング分野で公知である、着色剤、タルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムなどの添加剤を含み得る。
【0114】
コーティング組成物は、それを、当分野で公知の適切な噴霧装置を使用して、粒子上に噴霧することにより、オピオイドアンタゴニストに適用し得る。例えば、下方から注入した、空気ジェットがコーティング材料を流動化し、不溶性ポリマーコーティングを噴霧している間に乾燥を行なう、ウスター流動床系を使用し得る。コーティングの厚さは、使用する具体的なコーティング組成物の特徴に依存する。しかし、本発明の具体的な投与形に必要な具体的なコーティングの最適な厚さを慣用的な実験により決定することは当業者の十分能力内である。
【0115】
実質的に放出不可能な形の、オピオイドアンタゴニストの調製に有用な医薬的に許容可能な疎水性材料は、ポリ(乳酸/グリコール酸)(「PLGA」)、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、ポリサッカリド、タンパク質性ポリマー、ポリエステル、ポリジオキサノン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリホスホエステル、或いは、これらのいずれかの混合物またはブレンドを含む、生分解性ポリマーを含む。
【0116】
特定の実施形態において、生分解性ポリマーは、約2,000から約500,000ダルトンの分子量を有する、ポリ(乳酸/グリコール酸)、すなわち乳酸とグリコール酸のコポリマーを含む。乳酸とグリコール酸の比は、約100:0から約25:75であり、乳酸とグリコール酸の比は65:35が好ましい。
【0117】
ポリ(乳酸/グリコール酸)は、米国特許第4,293,539号(ルドウィッグら)に示した手順により調製し得、この開示は全体を参照してここに組み込まれる。簡潔には、ルドウィッグは、容易に除去可能な重合触媒(例えば、ダウエックスHCR−W2−Hなどの強酸イオン交換レジン)の存在下で、乳酸とグリコール酸の縮合により、コポリマーを調製する。触媒の量は、重合に重要ではないが、典型的には、合わせた乳酸およびグリコール酸の総重量に対して、重量にして約0.01から約20部である。重合反応は、溶媒を用いずに、約100℃から約250℃の温度で、約48から約96時間、好ましくは水および副生成物の除去を容易にするために減圧下で実施し得る。その後、ポリ(乳酸/グリコール酸)は、ジクロロメタンまたはアセトンなどの有機溶媒中の融解反応混合物をろ過し、その後、触媒をろ過して除去することにより回収する。
【0118】
一旦、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストが調製されると、当分野で公知の慣用的な賦形剤と共に、オピオイドアゴニストと合わせて、本発明の経口投与形を調製し得る。
【0119】
本発明の特定の好ましい実施形態において、経口投与形は、カプセル剤または錠剤である。錠剤として製剤化した場合、オピオイドアンタゴニストおよびアゴニストを、錠剤の製造に適した、1つ以上の不活性で無毒性の賦形剤と合わせ得る。該賦形剤は、例えば、ラクトースなどの不活性希釈剤;造粒および崩壊剤、例えばコーンスターチ;結合剤、例えばスターチ;および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含む。
【0120】
本発明の経口投与形は、それに含まれるオピオイドアゴニストの即時放出を提供するように製剤化し得る。しかし、本発明の他の実施形態において、経口投与形は、オピオイドアゴニストの持続放出を与える。
【0121】
特定の実施形態において、オピオイドアゴニストの持続放出を与える経口投与形は、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを、アゴニストおよび所望の医薬賦形剤と混合し、錠剤を与え、その後、錠剤を持続放出錠剤コーティングでコーティングすることにより調製し得る。
【0122】
本発明の特定の実施形態において、持続放出オピオイドアゴニスト錠剤は、実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを、持続放出特性を有する錠剤を提供するマトリックス中のオピオイドアンタゴニストと混合することにより調製し得る。
【0123】
本発明に従って持続放出経口投与形を調製する詳細な説明を以下に示す。
【0124】
オピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む、放出制御投与形の調製
オピオイドアゴニストと実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストの組合せは、当業者に公知の任意の適切な錠剤、コーティング錠剤または多粒子製剤で、放出制御または持続経口製剤として製剤化し得る。持続放出投与形は、任意選択で、オピオイドアゴニストおよび利用不可能な形のオピオイドアンタゴニストと共に、マトリックスに取込まれた持続放出キャリアを含み得えるか、または、持続放出コーティングとして適用し得る。
【0125】
オピオイドアゴニストがヒドロコドンを含む実施形態において、持続放出経口投与形は、1投与量あたり、約8mgから約50mgのヒドロコドンという鎮痛投与量を含み得る。ヒドロモルホンが治療に有効なオピオイドである持続放出経口投与形では、それは、約2mgから約64mgの塩酸ヒドロモルホンの量で含まれる。別の実施形態において、オピオイドアゴニストはモルヒネを含み、本発明の持続放出経口投与形は、重量にして、約2.5mgから約800mgのモルヒネを含む。さらに別の実施形態において、オピオイドアゴニストはオキシコドンを含み、持続放出経口投与形は、約2.5mgから約800mgのオキシコドンを含む。特定の好ましい実施形態において、持続放出経口投与形は、約20mgから約30mgのオキシコドンを含む。放出制御オキシコドン製剤は、当分野で公知である。以下の文書は、本明細書に記載の本発明に使用するに適した、種々の放出制御オキシコドン製剤、および、その製造プロセスを記載する:米国特許第5,266,311号;第5,549,912号;第5,508,042号;および第5,656,295号。オピオイドアゴニストは、トラマドールを含み得、持続放出経口投与形は、1投与単位あたり、約25mgから約800mgのトラマドールを含み得る。投与形は、2つ以上のオピオイドアゴニストを含み得、実質的に等価な治療効果を提供する。別法として、投与形は、本発明に有用なモル等量のオピオイドアゴニストの他の塩を含み得る。
【0126】
本発明の1つの好ましい実施形態において、持続放出投与形は、オピオイドアゴニストを含む該粒子を含み、該粒子は、0.1mmから約2.5mm、好ましくは約0.5mmから約2mmの直径を有する。
【0127】
オピオイドアゴニスト粒子は、好ましくは、水性媒体中で持続した速度で、オピオイドアゴニストの放出の可能な材料でコーティングしたフィルムである。フィルムコートは、他の記載の特性と組合せて、所望のインビトロ放出速度を達成するように選択する。本発明の持続放出コーティング製剤は、なだらかで秀麗な強力な連続フィルムを生成でき、色素および他のコーティング添加剤を支持でき、無毒性、不活性で、結び目がないものとすべきである。
【0128】
オピオイドアゴニストおよび実質的に放出不可能なオピオイドアンタゴニストを含む投与形は、任意選択で、オピオイドアゴニストの調節または製剤の保護に適した1つ以上の材料でコーティングし得る。1つの実施形態において、コーティングは、例えば、胃液に暴露された場合に、pH依存性またはpH独立的放出が可能となるように施す。pH依存的コーティングは、胃または小腸などの胃腸(GI)管の所望の領域でオピオイドの放出を行ない、患者に、少なくとも約8時間、好ましくは約12時間から約24時間の間、鎮痛を提供できる、吸収プロファイルが提供される。pH独立的コーティングが望ましい場合、コーティングは、例えば胃腸管で環境液体中のpH変化に関係なく、オピオイドの最適な放出を達成するように設計されている。それは、例えば胃などの胃腸管の1つの所望の領域で、投与量の一部を放出し、例えば小腸などの胃腸管の別の領域で投与量の残りを放出する組成物を製剤化することが可能である。
【0129】
製剤を得るために、pH依存的コーティングを利用した、本発明に記載の製剤はまた、反復作用の効果を付与し得、これにより非保護の薬物は腸溶性コーティングされ、胃で放出され、一方、腸溶性コーティングにより保護された残りは、胃腸管のさらに下部で放出される。pH依存的であるコーティングは、本発明に従って使用し得、これはシェラック、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメタクリル酸エステルコポリマー、ゼイン等を含む。
【0130】
特定の好ましい実施形態において、オピオイド鎮痛薬(COX−2阻害剤を含むまたは含まない)を含む基質(例えば錠剤コアビーズ、マトリックス粒子)を、(i)アルキルセルロース;(ii)アクリル酸ポリマー;または(iii)その混合物から選択した疎水性材料でコーティングする。コーティングは、有機または水性溶液または分散液の形で適用し得る。コーティングは、所望の持続放出プロファイルを得るために、約2から約25%の基質の重量増となるように適用し得る。分散水から得たコーティングは、本発明の譲受人に譲渡され、本明細書に参考として取込んだ、詳細に米国特許第5,273,760号および第5,286,493号に記載されている。
【0131】
本発明に従って使用し得る、持続放出製剤およびコーティングの他の例は、その全体を参照してここに組み込まれ、譲受人の米国特許第5,324,351号;第5,356,467号、および第5,472,712号を含む。
【0132】
アルキルセルロースポリマー
セルロース系の材料およびポリマー(アルキルセルロースを含む)は、本発明によるビーズをコーティングするために十分に適する疎水性材料をもたらす。単に例として、1つの好ましいアルキルセルロース系ポリマーはエチルセルロースであるが、当業者は、本発明による疎水性ビーズの全体または一部として、他のセルロースポリマーおよび/またはアルキルセルロースポリマーを単独で、または任意の組合せで容易に用いることができることを理解する。
【0133】
エチルセルロースの市販されている水性分散物の1つがアクアコート(登録商標)(FMC Corp.、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、米国)である。アクアコート(登録商標)は、水と混和しない有機溶媒にエチルセルロースを溶解し、これを水に界面活性剤および乳化剤の存在下で乳化することによって調製される。サブミクロンの液滴を得るためにホモジネーションした後、有機溶媒を減圧下で除き、擬似ラテックス(pseudolatex)を形成させる。可塑剤は製造段階の擬似ラテックスには配合されない。したがって、これをコーティング物として使用する前には、アクアコート(登録商標)を適切な可塑剤と使用前に十分に混合することが必要である。
【0134】
エチルセルロースの別の水性分散物がシュアリース(Surelease)(登録商標)(Colorcon,Inc.、ウエストポイント、ペンシルバニア州、米国)として市販されている。この製品は、製造プロセス途中の分散物に可塑剤を配合することによって調製される。ポリマー、可塑剤(セバシン酸ジブチル)および安定化剤(オレイン酸)の融解物が均質な混合物として調製され、その後、基体に直接塗布することができる水性分散物を得るためにアルカリ性溶液で希釈される。
【0135】
アクリルポリマー
本発明の他の好ましい実施形において、徐放性コーティング物を含む疎水性材料は医薬的に許容可能なアクリルポリマーであり、これには、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(無水メタクリル酸)およびメタクリル酸グリシジルコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
いくつかの好ましい実施形において、アクリルポリマーは、1つ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーから構成される。様々なアンモニオメタクリレートコポリマーがこの分野では十分に知られており、四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの完全重合したコポリマーとして、NF XVIIに記載されている。
【0137】
望ましい溶解プロフィルを得るためには、四級アンモニウム基対中性(メタ)アクリルエステルのモル比が異なるなどの異なる物理的性質を有する2つ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを配合することが必要になる場合がある。
【0138】
ある種のメタクリル酸エステル型ポリマーが、本発明に従って使用され得るpH依存性コーティング物を調製するために有用である。例えば、一群のコポリマーがメタクリル酸ジエチルアミノエチルおよび他の中性メタクリルエステルから合成されており、これらは、メタクリル酸コポリマーまたはポリマー状メタクリレートとしても知られており、Rohm Tech,Inc.から得られるオイドラギット(Eudragit)(登録商標)として市販されている。7つの異なるタイプのオイドラギット(登録商標)が存在する。例えば、オイドラギット(登録商標)Eは、酸性媒体に膨潤して溶解するメタクリル酸コポリマーの一例である。オイドラギット(登録商標)Lは、約pH<5.7では膨潤せず、約pH>6で可溶性であるメタクリル酸コポリマーである。オイドラギット(登録商標)Sは、約pH<6.5では膨潤せず、約pH>7で可溶性である。オイドラギット(登録商標)RLおよびオイドラギット(登録商標)RSは水膨潤性であり、これらのポリマーにより吸収される水の量はpH依存的である。しかし、オイドラギット(登録商標)RLおよびオイドラギット(登録商標)RSがコーティングされた投与形はpH非依存的である。
【0139】
いくつかの好ましい実施形において、アクリルコーティング物は、Rohm Pharmaからオイドラギット(登録商標)RL30Dおよびオイドラギット(登録商標)RS30Dの商品名でそれぞれ市販されている2つのアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。オイドラギット(登録商標)RL30Dおよびオイドラギット(登録商標)RS30Dは、四級アンモニウム基の含有量が低いアクリルエステルおよびメタクリルエステルのコポリマーであり、アンモニウム基対残留中性(メタ)アクリルエステルのモル比が、オイドラギット(登録商標)RL30Dでは1:20であり、オイドラギット(登録商標)RS30Dでは1:40である。平均分子量は約150,000である。RL(高透過性)およびRS(低透過性)のコード標示はこれらの薬剤の透過性性質を示している。オイドラギット(登録商標)RL/RSの混合物は水および消化液に不溶である。しかし、この混合物から形成されたコーティング物は水溶液および消化液において膨潤可能であり、透過可能である。
【0140】
本発明のオイドラギット(登録商標)RL/RS分散物は、望ましい溶解プロフィルを有する持続放出性配合物を最終的に得るために、任意の所望する比率で一緒に混合され得る。望ましい持続放出性配合物は、例えば、100%オイドラギット(登録商標)RL、50%オイドラギット(登録商標)RLおよび50%オイドラギット(登録商標)RS、ならびに10%オイドラギット(登録商標)RL:90%オイドラギット(登録商標)RSに由来する緩速性コーティング物から得ることができる。当然のことではあるが、当業者は、例えば、オイドラギット(登録商標)Lなどの他のアクリルポリマーもまた使用できることを認識する。
【0141】
可塑剤
コーティング組成物が疎水性材料の水性分散物を含む本発明の様々な実施形では、効果的な量の可塑剤を疎水性材料の水性分散物に含ませることにより、持続放出性コーティング物の物理的性質がさらに改善される。例えば、エチルセルロースは比較的高いガラス転移温度を有し、かつ通常のコーティング条件のもとでは柔軟性の薄膜を形成しないので、エチルセルロースのコーティング物を含有する持続放出性コーティング物に可塑剤を配合し、その後、これをコーティング材料として使用することが好ましい。一般に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、薄膜形成剤の濃度に基づいて、例えば、最も多くの場合には薄膜形成剤の約1重量パーセントから約50重量パーセントである。しかしながら、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液および塗布方法を用いて慎重に試験した後に適正に決定され得るだけである。
【0142】
エチルセルロースに対する適切な可塑剤の例には、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンなどの水不溶性可塑剤が含まれるが、他の水不溶性可塑剤(アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ひまし油など)が使用できることが考えられる。クエン酸トリエチルが、本発明のエチルセルロースの水性分散物に対する特に好ましい可塑剤である。
【0143】
本発明のアクリルポリマーに対する適切な可塑剤の例には、クエン酸トリエチルNF XVI、クエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジブチル、およびおそらくは1,2−プロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。オイドラギット(登録商標)RL/RSラッカー溶液などのアクリル薄膜から形成された薄膜の弾性を増強させるために好適であることが証明されている他の可塑剤には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ひまし油およびトリアセチンが含まれる。クエン酸トリエチルが、本発明のエチルセルロースの水性分散物に対する特に好ましい可塑剤である。
【0144】
少量のタルクを添加することは、水性分散物の加工中の粘着傾向を低下させ、そして研磨材として作用することがさらに見出されている。
【0145】
コーティングビーズの調製方法
疎水性の徐放性コーティング材料を使用して、オピオイドアゴニストが既にコーティングされているヌ・パリエル(nu pariel)18/20ビーズなどの不活性な薬学的ビーズをコーティングした場合、多数の得られた固体の徐放性ビーズは、その後、実質的な放出不可能形のオピオイドアンタゴニストとともにゼラチンカプセルに入れることができる。この投与形は、摂取され、そして周りの液体(例えば、胃液または溶解媒体)が接触したときに、オピオイドアゴニストの効果的な制御された放出用量をもたらす。
【0146】
本発明の徐放性ビーズ配合物は、例えば、摂取されて、胃液にさらされ、その後、腸液にさらされたときに、オピオイドアゴニストをゆっくり放出する。本発明の配合物の徐放性プロフィルは、例えば、疎水性材料による上塗り量を変化させることによって、可塑剤が疎水性材料に添加される方法を変えることによって、疎水性材料に対する可塑剤の量を変化させることによって、さらなる成分または賦形剤を含ませることによって、製造方法を変えることなどによって変化させることができる。最終的な製造物の溶解プロフィルはまた、例えば、緩速性(retardant)コーティング物の厚さを増減させることによって変えることができる。
【0147】
オピオイドアゴニストがコーティングされた球状体またはビーズは、例えば、薬物を水に溶解し、その後、Wuster不活性を使用して、溶液を基体(例えば、ヌ・パリエル18/20ビーズ)にスプレーすることによって調製することができる。必要な場合には、ビーズに対するオピオイドの結合を助けるために、かつ/または溶液を着色するなどのために、ビーズをコーティングする前に、さらなる成分もまた加えることができる。例えば、着色剤(例えば、オパドライ(登録商標)、これはColorcon,Inc.から市販されている)とともに、または着色剤を伴うことなく、ヒドロキシプロピルメチルロースなどを含む製造物を溶液に加え、そして溶液を(例えば、約1時間)混合して、その後、この溶液をビーズに塗布することができる。得られたコーティング済みの基体(この例では、ビーズ)は、その後、必要な場合には、治療的に活性な薬剤を疎水性の徐放性コーティング物から隔てるためにバリア剤を上塗りすることができる。適切なバリア剤の一例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むバリア剤である。しかし、この分野で知られている薄膜形成剤はどれも使用することができる。バリア剤は最終製品の溶解速度を変化させないことが好ましい。
【0148】
ビーズは、その後、疎水性材料の水性分散物を上塗りすることができる。疎水性材料の水性分散物は、好ましくは、効果的な量の可塑剤、例えば、クエン酸トリエチルをさらに含む。エチルセルロースの事前配合された水性分散物、例えば、アクアコート(登録商標)またはシュアリース(登録商標)などを使用することができる。シュアリース(登録商標)が使用される場合、可塑剤を別個に加える必要はない。あるいは、アクリルポリマーの事前配合された水性分散物、例えば、オイドラギット(登録商標)などを使用することができる。
【0149】
本発明のコーティング溶液は、好ましくは、薄膜形成剤、可塑剤および溶媒系(すなわち、水)に加えて、気品さおよび製品の区別をもたらす着色剤を含有する。着色剤は、疎水性材料の水性懸濁物の代わりに、またはそれに加えて、治療的に活性な薬剤の溶液に加えることができる。例えば、着色は、剪断とともに水溶性ポリマー溶液に着色を施し、その後、可塑化アクアコート(登録商標)に対して低剪断を使用することによって、アルコールまたはプロピレングリコールに基づく有色分散物、粉砕されたアルミニウムレーキ、および二酸化チタンなどの乳白剤の使用を介してアクアコート(登録商標)に施すことができる。あるいは、本発明の配合物を着色する適切な方法はどれも使用することができる。配合物を着色するために適切な成分として、アクリルポリマーの水性分散物が使用される場合には、二酸化チタンおよび有色顔料(酸化鉄顔料など)が挙げられる。しかしながら、顔料の配合はコーティング物の緩速作用を増大させることがある。
【0150】
可塑化された疎水性材料は、この分野で知られている任意の適切なスプレー装置を使用してスプレーすることによって治療的に活性な薬剤を含む基体に塗布することができる。好ましい方法では、Wurster流動床システムが使用される。この場合、アクリルポリマーのコーティング物がスプレーされながら、下部から注入されるエアージェットにより、コア材料が流動化され、そして乾燥が行われる。好ましくは、コーティングされた材料が水性溶液(例えば、胃液)にさらされたときに前記治療的に活性な薬剤の所定の制御された放出を得るために十分な量の疎水性材料が、治療的に活性な薬剤の物理的特性、可塑剤の配合様式などを考慮に入れて塗布される。疎水性材料がコーティングされた後、オパドライ(登録商標)などの薄膜形成剤のさらなる上塗りが、必要な場合にはビーズに塗布される。この上塗りは、施される場合には、ビーズの凝集を実質的に低下させるために施される。
【0151】
本発明の徐放性配合物からの治療的に活性な薬剤の放出は、1つ以上の放出調節剤を添加することによって、あるいはコーティング物により1つ以上の通路を提供することによってさらに影響を受けることがあり、すなわち、所望する速度に調節することができる。水溶性材料に対する疎水性材料の比率は、他の因子の中でも、必要とされる放出速度、および選択された材料の溶解性特性によって決定される。
【0152】
細孔形成剤として機能する放出調節剤は有機系または無機系であってもよく、これには、使用環境において溶解し、抽出され、またはコーティング物から溶出可能な材料が含まれる。このような細孔形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの1つ以上の疎水性材料を含むことができる。
【0153】
本発明の持続放出性コーティング物はまた、デンプンおよびガムなどの侵食促進剤を含むことができる。
【0154】
本発明の持続放出性コーティング物はまた、使用環境においてマイクロ細孔の薄層を作製するために有用な材料、例えば、カルボナート基がポリマー鎖に存在する炭酸の線状ポリエステルから構成されるポリカーボナートなどを含むことができる。
【0155】
放出調節剤はまた半透過性のポリマーを含むことができる。
【0156】
いくつかの好ましい実施形において、放出調節剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸金属塩、および前記のいずれかの混合物から選択される。
【0157】
本発明の持続放出性コーティング物はまた、少なくとも1つの経路またはオリフィスなどを含む出口手段を含むことができる。このような経路は、米国特許第3,845,770号、第3,916,889号、第4,063,064号および第4,088,864号(これらすべては参照してここに組み込まれる)に開示される方法のような方法によって形成させることができる。このような経路は、円形、三角形、四角形、楕円形、不規則形、その他などの任意の形状を有することができる。
【0158】
マトリックス配合物
本発明の他の実施形において、徐放性配合物は、上記に示されるような徐放性コーティング物を有するマトリックスによって達成される。本発明はまた、オピオイドアンタゴニストを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされた、オピオイドアゴニストの粒子およびオピオイドアンタゴニストの粒子を含む持続放出錠剤を含む。この場合、アゴニストおよびアンタゴニストは、オピオイドアゴニストのインビトロ溶解速度を好ましい範囲内でもたらし、かつオピオイドアゴニストをpH依存的またはpH非依存的な様式で放出する徐放性マトリックスに分散されている。徐放性マトリックスに含ませるために適切な材料は、マトリックスを形成させるために使用される方法に依存する。
【0159】
例えば、マトリックスは、オピオイドアゴニストおよび実質的な放出不可能形のコーティングされたオピオイドアンタゴニストに加えて、下記を含むことができる:
親水性材料および/または疎水性材料、例えば、ガム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、タンパク質由来材料(この列挙は排他的であることを意味しない)、そしてオピオイドの制御された放出をもたらし得る任意の医薬的に許容可能な疎水性材料または親水性材料を本発明に従って使用することができる。
【0160】
消化性の長鎖(C8〜C50、特にC12〜C40)の置換炭化水素または非置換炭化水素、例えば、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、ミネラルオイルおよび植物油およびワックスならびにステアリルアルコールなど;そしてポリアルキレングリコール。
【0161】
これらのポリマーの中で、アクリルポリマー、特にオイドラギット(登録商標)RSPO(セルロースエーテル)、特にヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシアルキルセルロースが好ましい。経口投与形は、少なくとも1つの親水性材料または疎水性材料を1%〜80%(重量比)含有することができる。
【0162】
疎水性材料が炭化水素である場合、炭化水素は、好ましくは、25℃から90℃の間の融点を有する。長鎖炭化水素材料の中で、脂肪族アルコールが好ましい。経口投与形は、少なくとも1つの消化性の長鎖炭化水素を60%(重量比)まで含有することができる。
【0163】
好ましくは、経口投与形は、少なくとも1つのポリアルキレングリコールを60%(重量比)まで含有することができる。
【0164】
疎水性材料は、好ましくは、アルキルセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマー、セラック、ゼイン、水素化ひまし油、水素化植物油、またはこれらの混合物からなる群から選択される。本発明のいくつかの好ましい実施形において、疎水性材料は、医薬的に許容可能なアクリルポリマーであり、これには、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミノコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(無水メタクリル酸)、およびメタクリル酸グリシジルコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。他の実施形において、疎水性材料は、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)などの材料、および前記の混合物から選択される。
【0165】
好ましい疎水性材料は水に不溶性であるが、多少なりとも顕著な親水性傾向および/または疎水性傾向を有する。好ましくは、本発明において有用な疎水性材料は、融点が約30℃から約200℃であり、好ましくは約45℃から約90℃である。具体的には、疎水性材料は、天然または合成されたワックス、脂肪族アルコール(ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコールまたは好ましくはセトステアリルアルコールなど)、脂肪酸(これには、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド)が含まれるが、これらに限定されない)、水素化脂肪、炭化水素、ノーマルワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ならびに炭化水素骨格を有する疎水性材料および親水性材料を含むことができる。適切なワックスには、例えば、蜂ロウ、グリコワックス、カスターワックスおよびカルナウバワックスが含まれる。本発明の目的のためには、ワックス様材料が、通常は室温で固体であり、かつ約30℃〜約100℃の融点を有する任意の材料として定義される。
【0166】
本発明に従って使用され得る適切な疎水性材料には、消化性の長鎖(C8〜C50、特にC12〜C40)の置換炭化水素または非置換炭化水素、例えば、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、ミネラルオイルおよび植物油、ならびに天然ワックスおよび合成ワックスなどが含まれる。25℃から90℃の融点を有する炭化水素が好ましい。長鎖炭化水素材料の中で、脂肪族アルコールがいくつかの実施形では好ましい。経口投与形は、少なくとも1つの消化性の長鎖炭化水素を60%(重量比)まで含有することができる。
【0167】
好ましくは、2つ以上の疎水性材料の組合せがマトリックス配合物に含まれる。さらなる疎水性材料が含まれる場合、さらなる疎水性材料は、好ましくは、天然および合成されたワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール、ならびにこれらの混合物から選択される。例として、蜜ロウ、カルナウバワックス、ステアリン酸およびステアリルアルコールが挙げられる。この列挙は排他的であることを意味しない。
【0168】
1つの特に適切なマトリックスは、少なくとも1つの水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも1つのC12〜C36(好ましくはC14〜C22)脂肪族アルコール、および必要な場合には少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含む。少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースは、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および特にヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシ(C1〜C6)アルキルセルロースである。本発明の経口投与形における少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロースの量は、必要とされるオピオイド放出の正確な速度によって特に決定される。少なくとも1つの脂肪族アルコールは、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールまたはステアリルアルコールであり得る。しかし、本発明の経口投与形の特に好ましい実施形では、少なくとも1つの脂肪族アルコールはセチルアルコールまたはセトステアリルアルコールである。本発明の経口投与形における少なくとも1つの脂肪族アルコールの量は、上記のように、必要とされるオピオイド放出の正確な速度によって決定される。少なくとも1つの脂肪族アルコールの量はまた、少なくとも1つのポリアルキレングリコールが経口投与形に存在するか、または存在しないかにも依存する。少なくとも1つのポリアルキレングリコールが存在しない場合、経口投与形は、好ましくは、少なくとも1つの脂肪族アルコールを20%および50%の間(重量比)含有する。少なくとも1つのポリアルキレングリコールが経口投与形に存在する場合、少なくとも1つの脂肪族アルコールおよび少なくとも1つのポリアルキレングリコールを組み合わせた量は、好ましくは、投与量全体の20%および50%の間(重量比)を構成する。
【0169】
1つの実施形において、例えば、少なくとも1つの脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールに対する少なくとも1つのヒドロキシセルロースまたはアクリル樹脂の比率により、配合物からのオピオイドの放出速度が相当の程度で決定される。少なくとも1つのヒドロキシアルキルセルロース対少なくとも1つの脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールの比率は1:2および1:4の間が好ましく、1:3および1:4の間の比率が特に好ましい。
【0170】
少なくとも1つのポリアルキレングリコールは、例えば、ポリプロピレングリコールであり得るが、好ましいものはポリエチレングリコールであり得る。少なくとも1つのポリアルキレングリコールの数平均分子量は、1,000および15,000の間が好ましく、特に1,500および12,000の間が好ましい。
【0171】
別の適切な徐放性マトリックスは、アルキルセルロース(特に、エチルセルロース)、C12〜C36脂肪族アルコール、および必要な場合にはポリアルキレングリコールを含む。
【0172】
別の好ましい実施形において、マトリックスは、少なくとも2つの疎水性材料の医薬的に許容可能な組合せを含む。
【0173】
上記の成分に加えて、徐放性マトリックスはまた、他の材料、例えば、製薬分野では通常的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、芳香剤および滑剤を適切な量で含むことができる。
【0174】
マトリックス型ビーズの調製方法
本発明による固体の徐放性経口投与形の調製を容易にするために、当業者に知られているマトリックス配合物の調製方法はどれは使用することができる。例えば、マトリックスへの配合は、例えば、(a)少なくとも1つの水溶性ヒドロキシアルキルセルロースおよびオピオイドまたはオピオイド塩を含む顆粒を形成し、(b)ヒドロキシアルキルセルロース含有顆粒を少なくとも1つのC12〜C36脂肪族アルコールと混合し、(c)必要な場合には、顆粒を圧縮成形および成形することによって行うことができる。好ましくは、顆粒は、水を用いてヒドロキシアルキルセルロース/オピオイドを湿式造粒することによって形成される。このプロセスの特に好ましい実施形において、湿式造粒工程のときに添加される水の量は、好ましくは、オピオイドの乾燥重量の1.5倍および5倍の間であり、特に1.75倍および3.5倍の間である。
【0175】
さらに別の代わりの実施形では、活性な成分と一緒に、球状化剤を、球状体を形成させるために球状化することができる。微結晶セルロースが好ましい。適切な微結晶セルロースは、例えば、アビセル(Avicel)PH101(商標、FMC Corporation)として販売されている材料である。そのような実施形において、活性な成分および球状化剤に加えて、球状体は結合剤をも含有することができる。適切な結合剤、例えば、低粘度の水溶性ポリマーなどが、製薬分野の当業者には十分に知られている。しかし、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性のヒドロキシ低級アルキルセルロースが好ましい。さらに(または、代替として)、球状体は、水に不溶性のポリマー、特に、アクリルポリマー、アクリルコポリマー(メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマーなど)またはエチルセルロースを含有することができる。そのような実施形では、持続放出コーティング物は、(a)ワックス(単独もしくは脂肪族アルコールとの混合)、または(b)セラックもしくはゼインなどの疎水性材料を一般に含む。
【0176】
融解押出マトリックス
持続放出性マトリックスはまた、経口投与されたときに胃腸系に放出されるために、十分な量のオピオイドアンタゴニストが利用できるような程度でマトリックスの調製時に添加されたオピオイドアンタゴニストの実質的な放出不可能な形の一体性が、使用される技術により損なわれない限り、様々な融解造粒技術または融解押出技術によって調製することができる。あるいは、融解押出工程をオピオイドアゴニストとともに行い、アゴニストの持続放出性粒子を製造することができ、その後、この粒子を、オピオイドアンタゴニストの実質的な放出不可能な形と組み合わせることができる。一般に、融解造粒技術は、通常は固体である疎水性材料(例えば、ワックス)を融解し、これに粉末化薬物を配合することを伴う。持続放出性投与形を得るために、さらなる疎水性材料(例えば、エチルセルロースまたは水不溶性アクリル樹脂)を融解ワックスの疎水性材料に配合しなければならないことがある。融解造粒技術により調製された持続放出性配合物の様々な例が米国特許第4,861,598号(本発明の出願人により出願され、その全体が参照してここに組み込まれる)に見出される。
【0177】
さらなる疎水性材料は、1つ以上の水不溶性のワックス様熱可塑性材料よりも疎水性が小さい1つ以上のワックス様熱可塑性材料と混合されるかもしれない1つ以上の水不溶性のワックス様熱可塑性材料を含むことができる。一定した放出を達成するために、配合物中の個々のワックス様材料は、初期放出段階のときに胃腸液において実質的に非分解性で、不溶性でなければならない。有用な水不溶性ワックス様材料は、約1:5,000(w/w)未満の水溶性を有するワックス様材料であり得る。
【0178】
上記の成分に加えて、持続放出性マトリックスはまた、他の材料、例えば、製薬分野では通常的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、芳香剤および滑剤を適切な量で含むことができる。これらのさらなる材料の量は、所望する配合物に所望する効果をもたらすのに十分なほどである。
【0179】
上記の成分に加えて、融解押出された多粒子を含む持続放出性マトリックスはまた、他の材料、例えば、製薬分野では通常的である希釈剤、滑沢剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、芳香剤および滑剤を適切な量で、所望する場合には粒状物の約50重量%までの量で含むことができる。
【0180】
経口投与形を配合するために使用され得る医薬的に許容可能なキャリアおよび賦形剤の具体的な例が、Handbook of Pharmaceutical Excipients(アメリカ薬剤師会(1986)、これは参照してここに組み込まれる)に記載されている。
【0181】
融解押出多粒子
本発明による適切な融解押出マトリックスの調製は、例えば、オピオイド鎮痛剤を少なくとも1つの疎水性材料および好ましくはさらなる疎水性材料と一緒に混合して、均質な混合物を得る工程を含みむことができる。その後、この均質な混合物は、これを押出成形するために十分に混合物を少なくとも柔らかくするのに十分な温度に加熱される。得られた均質な混合物は、その後、ストランドを得るために押し出される。押出物は、好ましくは、この分野で知られているいずれかの手段によって冷却され、多粒子に切断される。ストランドは冷却され、多粒子に切断される。その後、多粒子は、アンタゴニストを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子と混合され、そしてユニット量に分割される。押出物は、好ましくは、直径が約0.1mmから約5mmであり、そして約8時間から約24時間の期間にわたってオピオイドアゴニストの持続した放出をもたらす。
【0182】
本発明の融解押出物を調製するために必要に応じて使用されるプロセスは、疎水性材料、治療的に活性な薬剤、および必要に応じて使用される結合剤を直接計量して押出機に入れること;均質な混合物加熱すること;均質な混合物を押出、それによりストランドを形成させること;均質な混合物を含有するストランドを冷却すること;約0.1mmから約12mmのサイズを有する粒子にストランドを切断すること;および粒子と、コーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子とを一緒にし、それらをユニット量に分割することを含む。本発明のこの局面では、相対的に連続した製造法が実現される。
【0183】
押出機の開口部または出口ポートの直径はまた、押し出されたストランドの厚さを変化させるために調節することができる。さらに、押出機の出口ポートは円形である必要はなく、細長い形状、矩形などにすることができる。押し出されるストランドは、ホットワイヤカッター、ギロチンなどを使用して粒子にまで小さくすることができる。
【0184】
融解押出された多粒子システムは、押出機の出口オリフィスに依存して、例えば、顆粒、球状体またはペレットの形にすることができる。本発明の目的のために、用語「融解押出された多粒子」および用語「融解押出された多粒子システム」および用語「融解押出された粒子」は、好ましくは、一定範囲内の類似したサイズおよび/または形状を有し、かつ1つ以上の活性な薬剤と、好ましくは本明細書中に記載されるような疎水性材料を含む1つ以上の賦形剤とを含有する多数のユニット物を示すものとする。これに関して、融解押出された多粒子は、長さが約0.1mmから約12mmの範囲であり、直径が約0.1mmから約5mmである。また、融解押出された多粒子はこのサイズ範囲内の任意の幾何学的形状であり得ることを理解しなければならない。あるいは、押出物は単に、球状化工程を必要とすることなく、所望する長さに切断し、そして治療的に活性な薬剤のユニット量に分割することができる。
【0185】
1つの好ましい実施形において、経口投与形は、融解押出された多粒子の効果的な量がカプセルに含まれるように調製される。例えば、多数の融解押出された多粒子を、摂取され、そして胃液が接触したときに効果的な持続した放出量をもたらすのに十分な量でゼラチンカプセルに入れることができる。
【0186】
別の好ましい実施形において、適切な量の多粒子の押出物は、コーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子と一緒にされ、そして標準的な技術を使用する従来的な錠剤化装置を使用して経口用錠剤に圧縮成形される。錠剤(圧縮成形物および鋳型成形物)、カプセル(ハードゼラチンおよびソフトゼラチン)およびピルを作製するための技術および組成物はまたRemington’s Pharmaceutical Sciences(編者:アーサー・オソル、1553〜1593(1980)、これは参照してここに組み込まれる)に記載されている。
【0187】
さらに別の好ましい実施形では、上記にさらに詳しく記載された米国特許第4,957,681号(クリメッシュら)(これはこれにより参照してここに組み込まれる)に示されるように、コーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子が押出処理中に加えられ、そして押出物を錠剤に成形することができる。
【0188】
必要な場合には、持続放出性の融解押出された多粒子システムまたは錠剤は、上記に記載される持続放出性コーティング物などの持続放出性コーティング物をコーティングすることができ、あるいはゼラチンカプセルは、上記に記載される持続放出性コーティング物などの持続放出性コーティング物をさらにコーティングすることができる。そのようなコーティング物は、好ましくは、約2パーセントから約30パーセントの重量増大レベルを得るために十分な量の疎水性材料を含むが、上塗りは、中でも、利用された特定のオピオイド鎮痛剤化合物の物理的性質、および所望する放出速度に依存してそれよりも大きくすることができる。
【0189】
本発明の融解押出されたユニット投与形は、上記に開示された治療的に活性な薬剤の1つまたは複数を含有する融解押出された多粒子の組合せをカプセル化前にさらに含むことができる。さらに、ユニット投与形はまた、治療効果を促進させるために、一定量の即時放出されるオピオイドアゴニストを含むこともできる。即時放出されるオピオイドアゴニストは、例えば、別個のペレットとしてゼラチンカプセルに配合することができ、または投与形(例えば、徐放性コーティングまたはマトリックス型)を調製した後に多粒子の表面にコーティングすることができる。本発明のユニット投与形はまた、所望する効果を達成するために、徐放性ビーズおよびマトリックス多粒子の組合せを含有することができる。
【0190】
本発明の持続放出性配合物は、好ましくは、例えば、摂取され、そして胃液にさらされ、その後、腸液にさらされたときに、オピオイドアゴニストをゆっくり放出する。本発明の融解押出された配合物の持続放出プロフィルは、例えば、緩速剤(すなわち、疎水性材料)の量を変化させることによって、疎水性材料に対する可塑剤の量を変化させることによって、さらなる成分または賦形剤を含ませることによって、製造方法を変えることなどによって変化させることができる。
【0191】
本発明の他の実施形において、融解押出物が、オピオイドアゴニスト粒子および/またはコーティングされたオピオイドアンタゴニスト粒子を含むことなく調製され、そしてこれらはその後で押出物に加えられる。そのような配合物は、オピオイドアゴニストの遅い放出をもたらすために、典型的には、薬物が、押出されたマトリックス材料と混合され、その後、混合物が錠剤化される。そのような配合物は、例えば、配合物に含まれる治療的に活性な薬剤が、疎水性材料および/または緩速剤材料を柔らかくするために必要とされる温度に対して敏感であり得る場合には好都合であり得る。
【0192】
好適な実施態様の詳細な説明
下記の実施例は本発明の様々な局面を例示する。下記の実施例は、いずれにおいても請求項を決して限定するように解釈されるものではない。
【0193】
実施例1
実施例1では、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンHCl)の実質的な放出不可能な形が、このアンタゴニストを実質的に放出不可能にするコーティング物をナルトレキソン粒子にコーティングすることによって調製される。
【0194】
配合:
【0195】
成分 量/ユニット(mg)
負荷
ナルトレキソンHCl 5.0
球状糖(30/35メッシュ) 50.0
オパドライ・ホワイトY−5−7068 2.5
精製水 42.5*
上塗り
オパドライ・ホワイトY−5−7068 3.02*
精製水 17.11*
放出不可能コーティング物
(オピオイドアンタゴニストを
実質的に放出不可能にするために)
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 12.10
クエン酸トリエチル 2.42
タルク 4.84
精製水 49.21*
上塗り
オパドライ・ホワイトY−5−7068 4.12
精製水 23.35*
合計 84.0
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0196】
方法:
1.溶液調製 ナルトレキソンHClを精製水に溶解する。溶解したら、オパドライ・ホワイトを加えて、均一な分散物が得られるまで混合を続ける。
2.負荷 流動床コーティング装置を使用して上記分散物を球状糖に塗布する。3.上塗り オパドライ・ホワイトを精製水に分散させることによって上塗り溶液を調製する。流動床コーティング装置を使用して、この分散物を、ナルトレキソンHClが負荷された球状糖に塗布する。
4.緩速剤コーティング オイドラギットRS30D、クエン酸トリエチル、タルクおよび精製水を混合することによって放出不可能コーティング物の溶液を調製する。流動床コーティング装置を使用して、この分散物を、負荷および上塗りされた球状糖に塗布する。
5.上塗り オパドライ・ホワイトを精製水に分散させることによって別の上塗り溶液を調製する。流動床コーティング装置を使用して、この分散物を、放出不可能のコーティングされたナルトレキソン球状物に塗布する。
6.キュア処理 球状物を45℃で約48時間キュア処理する。
【0197】
実施例2
実施例2では、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンHCl)の実質的な放出不可能な形がナルトレキソンHCl含有顆粒として調製される。この顆粒は、このアンタゴニストを実質的に放出不可能にするマトリックスに分散されたナルトレキソンHClから構成される。
【0198】
配合:
【0199】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 5.0
リン酸二カルシウム 53.0
ポリ(DI−ラクチド−Co−グリコリド) 12.0
ポリマー(PLGA)
MW〜100,000
酢酸エチル
合計 70.0
*PLGAポリマーを塗布するためのビヒクルとして使用される。
【0200】
方法:
1.溶液調製 混合によってPLGAを酢酸エチルに溶解する。
2.造粒 ナルトレキソンHClおよびリン酸二カルシウムを流動床コーティング装置に入れ、上記溶液をスプレーすることによって造粒する。
【0201】
実施例3
実施例3では、オピオイドアンタゴニスト(ナルトレキソンHCl)の実質的な放出不可能な形がナルトレキソンHClの押出成形ペレットとして調製される。
【0202】
配合:
【0203】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 5.0
オイドラギットRSPO 180.0
ステアリルアルコール 55.0
合計 240.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ナルトレキソンHCl、オイドラギットおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
【0204】
実施例4
ナルトレキソンHClビーズを含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0205】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHClビーズ(実施例1) 84.0
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オドライ・レッド 10.0
精製水 56.7
合計 314.0
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0206】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0207】
実施例5
ナルトレキソンHCl造粒物を含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0208】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2)70.0
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オパドライ・レッド 10.0
精製水 56.7*
合計 300.0
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0209】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0210】
実施例6
ナルトレキソンHClビーズを含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0211】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 59.25
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHClビーズ(実施例1) 84.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 215.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0212】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0213】
実施例7
ナルトレキソンHCl造粒物を含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0214】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 59.25
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2) 70.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 201.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0215】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0216】
実施例8
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを含むヒドロモルホンHCl徐放性錠剤
配合:
【0217】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.5
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 240.0
(実施例3)
ハードゼラチンカプセル -
合計 360.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび240mgのナルトレキソンHClペレット(実施例3から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0218】
実施例9
ナルトレキソンHClビーズを含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0219】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHClビーズ 84.0
(実施例1)
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オパドライ・レッド 10.0
精製水 56.7*
合計 314
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0220】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0221】
実施例10
ナルトレキソンHCl造粒物を含む重酒石酸ヒドロコドン徐放性錠剤
【0222】
成分 量/ユニット(mg)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0
ステアリルアルコール 44.0
無水リン酸二カルシウム(粉末化) 62.0
微結晶セルロース 62.0
ベヘン酸グリセリル 20.0
ナルトレキソンHCl造粒物 70.0
(実施例2)
ステアリン酸マグネシウム 2.0
オパドライ・レッド 10.0
精製水 56.7*
合計 300.5
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0223】
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを振動粉砕機に通す。
2.混合 重酒石酸ヒドロコドン、粉砕されたステアリルアルコール、無水リン酸二カルシウム、微結晶セルロースおよびベヘン酸グリセリルをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られた高温物をコンベア上に集める。
4.冷却 押出物をコンベア上で冷却する。
5.粉砕 冷却された押出物を、振動粉砕機を使用して粉砕する。
6.混合 粉砕された押出物、ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られるもの)およびステアリン酸マグネシウムを混合する。
7.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
8.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0224】
実施例11
ナルトレキソンHClビーズを含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0225】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 58.75
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHClビーズ(実施例1) 84.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 215.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0226】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHClビーズ(実施例1から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0227】
実施例12
ナルトレキソンHCl造粒物を含むオキシコドンHCl徐放性錠剤
【0228】
成分 量/ユニット(mg)
オキシコドンHCl 20.00
スプレー乾燥ラクトース 58.75
ポビドン 5.00
オイドラギットRS30D(乾燥重量) 10.00
トリアセチン 2.00
ステアリルアルコール 25.00
タルク 2.50
ステアリン酸マグネシウム 1.25
ナルトレキソンHCl造粒物(実施例2) 70.00
オパドライ・ピンク 6.00
精製水 34.00*
合計 201.00
*残留水分として生成物に残留するだけである。
【0229】
方法:
1.溶液調製 混合によってオイドラギットをトリアセチンで可塑化する。
2.造粒 オキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンを流動床造粒機に入れ、上記溶液を加える。
3.粉砕 造粒物を回転式インペラーミルに通す。
4.乾燥 水分含有量が高すぎる場合には造粒物を乾燥する。
5.ろう引き ステアリルアルコールを融解し、融解したステアリルアルコールを混合下で造粒物に加えることによって上記造粒物をろう引きする。
6.冷却 ろう引きされた造粒物を流動乾燥機で冷却する。
7.粉砕 冷却されたろう引き造粒物を回転式インペラーミルに通す。
8.混合 粉砕されたろう引き造粒物、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびナルトレキソンHCl造粒物(実施例2から得られたもの)を混合する。
9.圧縮成形 得られた造粒物を、錠剤プレス機を使用して圧縮成形する。
10.コーティング オパドライを精製水に分散することによって薄膜コーティング溶液を調製し、これを錠剤コアに塗布する。
【0230】
実施例13
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを含むヒドロモルホンHCl徐放性錠剤
配合:
【0231】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.0
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 240.0
(実施例3)
ハードゼラチンカプセル -
合計 360.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120.0mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび240mgのナルトレキソンHClペレット(実施例3から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0232】
実施例14
徐放性オキシコドン塩酸塩10mg錠−有機合成されたオキシコドン塩酸塩(10mg/錠剤)およびスプレー乾燥ラクトース(71.25mg/錠剤)を適切なサイズの混合機に移し、約6分間混合する。オイドラギット(登録商標)RSPM粉末(6mg/錠剤)をエタノールに分散させる。粉末を混合しながら、粉末を分散物とともに造粒し、湿った粒状物が形成されるまで混合を続ける。造粒終了点に達するために必要ならば、エタノールをさらに加える。造粒物を流動床乾燥機に移し、30℃で乾燥し、その後、12メッシュの篩いに通す。残りのオイドラギット(登録商標)RSPM粉末(9mg/錠剤)を、90部のエタノールおよび10部の精製水からなる溶媒に分散させて、流動床造粒機/乾燥機において30℃で顆粒にスプレーする。次に、顆粒を12メッシュに篩いに通す。ステアリルアルコール(25mg/錠剤)を約60℃〜70℃で融解する。温かい顆粒を混合機に戻す。混合しながら、融解したステアリルアルコールを加える。コーティングされた顆粒を混合機から取り出し、冷却する。その後、12メッシュの篩いに通す。次に、顆粒を、ナロキソンを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされたナロキソン粒子(錠剤あたり約1mg〜5mg)、および薬学的に望ましい錠剤化賦形剤(例えば、タルクおよびステアリン酸マグネシウム)とを適切な混合機で混合して、錠剤に圧縮成形する。
【0233】
ナロキソン粒子は、直径が約0.5mmから2mmである。ナロキソンを実質的に放出不可能にするコーティング物がコーティングされたナロキソン粒子は、水に不溶性で、かつナロキソンに対して不透過性であるセルロースポリマーまたはアクリルポリマーを含むコーティング組成物をナロキソン粒子にスプレーすることによって調製することができる。適切な粒子として、ナロキソンを含む顆粒、ペレット、球状体またはビーズが挙げられる。粒子がビーズまたはペレットである場合、それらは、ナロキソンを溶液に溶解し、それを不活性なペレットまたはビーズにスプレーすることによって調製することができる。
【0234】
好ましくは、コーティング組成物はオイドラギット(登録商標)RSを含み、オイドラギット(登録商標)RSは、水性懸濁物の形で、そして可塑剤(例えば、アセチルトリエチルシトラートおよび/またはアセチルトリブチルシトラートなど)と組み合わせて使用することができる
好ましくは、コーティング組成物はオイドラギット(登録商標)RSを含み、オイドラギット(登録商標)RSは、水性懸濁物の形で、そして可塑剤(例えば、アセチルトリエチルシトラートおよび/またはアセチルトリブチルシトラートなど)と組み合わせて使用することができる
実施例15
疼痛を処置する方法
本発明による経口投与形は、疼痛を緩和させるために患者に投与することができる。本発明による経口投与形は、経口的に効果的な量のオピオイドアゴニストと、実質的に放出不可能にされているオピオイドアンタゴニストとを含むことができる。
【0235】
経口投与形が経口投与され、疼痛治療が必要な患者の胃腸管に送達されたとき、オピオイドアゴニストが通常の消化中の経口投与形から放出され、これにより痛覚消失が患者にもたらされる。しかし、オピオイドアンタゴニストは、実質的に放出不可能にされているので、オピオイドアンタゴニストが胃腸系を移動しているときには実質的に放出されない。好ましくは、アンタゴニストの実質的な放出不可能な形は、遅れた結腸移動または無塩酸症状態を管理するために使用される緩下薬(ミネラルオイル)に対して耐性である。(例えば、機械的な攪拌、加熱または溶媒への溶解によって)アンタゴニストに変化を及ぼすことなく、指示されたように経口投与形を服用する患者は、オピオイドアゴニストの鎮痛有効性がアンタゴニストによって低下または消失するように、オピオイドアンタゴニストが配合物の投与中の任意の時間に十分な量で吸収される。すなわち、(そのまま経口投与されたときに)投与形から放出され、そして胃腸管から吸収され、患者の体内に蓄積するオピオイドアンタゴニストの量は、投与形に含まれるオピオイドアゴニストの用量の鎮痛効力に対する著しい影響または変化を生じさせるレベルにまで上昇しない。
【0236】
実施例16
オピオイドアゴニストの乱用を防止する方法
本発明による経口投与形は、それに含有されるオピオイドアゴニストの潜在的な乱用を防止するために使用することができる。本発明による経口投与形は、オピオイドアンタゴニストとともにオピオイドアゴニストを含む。オピオイドアンタゴニストは、消化中は実質的に放出不可能である形で存在する。したがって、経口投与形が、変化を受けることなく、意図されたように経口的に胃腸管に送達された場合、アンタゴニストは、胃腸系に放出されることが実質的に妨げられる。しかし、経口投与形が、例えば、機械的な攪拌(例えば、破砕、剪断、摩砕)、熱(例えば、45℃を越える温度、好ましくは45℃および50℃の間の温度)、または(加熱しながら、または加熱することなく)溶媒への投与形の溶解によって変化を受けた場合、投与形はオピオイドアンタゴニストによって汚染され、このオピオイドアンタゴニストが、オピオイドの効果を弱めるように利用される。したがって、投与形がかみ砕かれ、破砕され、加熱され、または溶媒に溶解され、その後、経口的、鼻腔内、非経口的または舌下に投与された場合、オピオイドアゴニストの効果は、少なくとも一部がオピオイドアンタゴニストによって阻止される。
【0237】
実施例17
このヒトでの研究では、12名のモルヒネ依存者を、0.25mgから8mgの範囲にある用量のナルトレキソンと同時にヒドロコドン即時放出錠剤を投与した後に生じる薬物使用中止について評価した。実験法は、ナルトレキソンの用量を上昇させながらの単純盲検一用量のプラセボ対照試験であった。研究薬剤を投与した後、乱用傾向および薬物使用中止の主観的および生理学的な測定を、ナルトレキソン用量の32倍の範囲にわたって行った。データは、1mgのナルトレキソン用量において、オピオイド依存者は、プラセボとの組合せに対してアゴニストとのつながりをほとんど示さず、そして50%の最大禁断症状スコアをもたらす血漿中濃度を達成したことを示唆している。
【0238】
実施例18
本実施例は、12名のメタドン依存者において即時放出ナルトレキソンにより誘導される薬物使用中止の閾値を調べる、ランダム化された二重盲検プラセボ対照試験であった。この研究は現在進行中であるが、中間分析では、0.5mgのナルトレキソンがこの集団における薬物使用中止の徴候および症状を誘発できたことを示している。これの研究により、オピオイド依存者において禁断症状を誘発させるために必要とされるナルトレキソンの用量は0.25mgおよび1mgの間にあることが示唆される。
【0239】
実施例19
本実施例は、16名の正常患者における15mgのヒドロコドンの主観的および生理学的な効果についてナルトレキソンの影響を調べる、ランダム化された単純盲検一用量プラセボ対照の10ウエイ試験である。ナルトレキソンの用量は0.4mgから12.8mgの範囲であった。この研究において、0.4mgのナルトレキソンは、瞳孔縮小を含む、ヒドロコドンの中枢神経的に媒介されるオピオイドの作用のいくつかを中和することができた。このデータに基づいて、0.25mg未満のナルトレキソンの実質的にさらに少ない用量は、同時に投与されたアゴニストの拮抗作用を少しだけ示す。このことは、0.25mgが投与されている実施例17における被験者では薬物使用中止の徴候が認められないことよって裏付けられる。
【0240】
実施例17、18および19に関する臨床データにより、0.125mgのナルトレキソンの生物利用可能な即時放出量(または徐放性投与形からの等価な即時放出)は痛覚消失に何ら著しい程度にまで影響を及ぼさず、一方、生物利用性薬物のより大きな即時放出(0.25mg以上)は何らかの大きな影響を及ぼすことが示唆される。これらの臨床データは、オピオイドマトリックスへのナルトレキソンの負荷が、本実施例の場合には1:15から1:30のナルトレキソン(mg)/ヒドロコドン(mg)の比率であること、そして変化型(tampered)/無傷型の放出比が少なくとも4:1であり、好ましくはそれよりも大きいことを示している。あるいは、0.25mg未満のナルトレキソンが無傷な投与形から放出され、そして0.25mg以上のナルトレキソンが破砕した投与形から放出されていることが明らかにされ得る。
【0241】
実施例20
ナルトレキソンHClビーズ
配合:
【0242】
成分 量/ユニット(mg)
工程1.
薬物成層 ナルトレキソンHCl 0.6
ノンパレイユビーズ 61.4
(30/35メッシュ)
オパドライ・クリア 0.6
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水
工程2.
アニオン性 オイドラギットL30D(乾燥) 6.3
ポリマー層
クエン酸トリブチル 1.6
タルク 3.1
水(処理後に蒸発する)
工程3.
持続放出層 オイドラギットRS30D(乾燥) 17.9
クエン酸トリブチル 4.5
タルク 8.8
水(処理後に蒸発する)
工程4.
シール層 オパドライ・クリア 3.2
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水(処理後に蒸発する)
合計(乾燥基準) 108
ビーズ製造手順
1.ナルトレキソンHClおよびオパドライ・クリアを水に溶解する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいてこの薬物溶液をノンパレイユビーズにスプレーする。
2.オイドラギットL30D、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物を薬物負荷ビーズにスプレーする。
3.オイドラギットRS30D、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物をビーズにスプレーする。
4.オパドライ・クリアを水に溶解する。流動床コーターにおいてこの溶液をビーズにスプレーする。
5.ビーズを60℃で24時間キュア処理する。
【0243】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:1時間のSGF/その後SIF
分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果および考察:
ビーズ(108mg)は下記の溶解結果を有することが見出された:
【0244】
時間(時間) 1 2 4 12 24 36
溶解した平均% nd nd nd nd 6.0 10.0
nd=検出されず
これらの溶解結果は、ナルトレキソンHClのわずかに約10%のナルトレキソンHCl(0.06mg)のみが溶解浴において36時間後に放出されたことを示している。これらのビーズは、壊れずに経口摂取された場合には生物利用性ではない。
【0245】
ナルトレキソンHClは非常に水溶性である。ナルトレキソンHClは、水性薄膜コーティング処理(工程3)のときに持続放出性薄膜を通って移動しやすい。移動がこのコーティング工程のときに生じる場合、薄膜は溶解時に多孔性になり、薬物放出速度が比較的速くなる。アニオン性コーティング物(工程2)は、プロトン化したナルトレキソンHCl塩との水不溶性複合体層を形成し、薬物が次の持続放出性コーティング物を通って移動することを防止する。
【0246】
壊れたビーズの溶解
シミュレートされた変化過程
約108mgのナルトレキソンビーズを乳鉢および乳棒で粉砕して、溶解研究用の粉末にした。
【0247】
製造方法−上記と同じ
結果および考察:
壊れたビーズ(108mg)は下記の溶解結果を有することが見出された:
【0248】
時間(時間) 0.25 0.5 1
溶解した平均% 91 100 104
したがって、1時間において、無傷のビーズからは検出可能なNTXが放出されていないが、破砕されたときには、NTXのすべて、すなわち、0.6mgが放出されていることを認めることができる。これは、図1にグラフで示されている。したがって、1時間における破砕型/無傷型の比率は100:0であり、これは、実施例17、18および19から結論されているように、>4:1の基準よりも大きい。
【0249】
実施例21
ナルトレキソンビーズを含むオキシコドンIRカプセル
配合:
【0250】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
薬物成層 オキシコドンHCl 5.0
ノンパレイユビーズ 1.25
(30/35メッシュ)
ヒドロキシプロピルメチル 54.35
セルロース
(HPMC)
水(処理後に蒸発する)
工程2.
薄膜層 オパドライ・バタースコッチ 1.9
水(処理後に蒸発する)
工程3.
カプセル化 オキシIRビーズ(工程2) 62.5
ナルトレキソンビーズ(実施例20)* 108
*オキシIRビーズを隠すために、ナルトレキソンビーズは、実施例20の工程4におけるシール層としてオパドライ・バタースコッチを使用する必要がある。
【0251】
製造手順
1.オキシコドンHClおよびHPMCを水に溶解する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいてこの薬物溶液をノンパレイユビーズにスプレーする。
2.着色されたオパドライを水に溶解する。流動床コーターにおいて薬物負荷ビーズを薄膜コーティングする。
3.等量のオキシIRビーズおよびナルトレキソンビーズを混合する。ハードゼラチンカプセルで包む。
【0252】
実施例22
ナルトレキソンビーズを含む硫酸モルヒネ徐放性カプセル
配合:
【0253】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
薬物成層 硫酸モルヒネ 60.0
ラクトース粉 12.0
オイドラギットRS30D 2.0
ポビドン 3.5
ヌパレイルPG30/35 16.8
オパドライ・ブルー 4.9
水
工程2.
徐放性層 MSIRビーズ(工程1) 99.2
オイドラギットRS30D 4.712
オイドラギットRL30D 0.248
クエン酸トリエチル 0.992
タルク 1.884
オパドライ・ブルー 5.639
水
工程3.
カプセル化 MSCRビーズ(上記) 212
ナルトレキソンビーズ 108
(実施例20)*
*MSCRビーズを隠すために、ナルトレキソンビーズは、実施例22の工程4におけるシール層としてオパドライ・ブルーを使用する必要がある。
【0254】
製造手順
1.ポビドンおよびオイドラギットRS30Dを水に溶解する。硫酸モルヒネおよびラクトースを混合する。
2.ビーズをローター処理機に入れる。薬物粉末混合物および結合剤溶液をビーズにスプレーする。
3.ローター処理機において上記ビーズを薄膜コーティングする。
4.オイドラギットRS30D、RL30D、クエン酸トリエチル、タルクおよびクエン酸トリエチルを水に分散する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいて上記ビーズをコーティングする。
5.ビーズ(MSCRビーズ)をキュア処理する。
6.等量のMSCRビーズおよびナルトレキソンビーズを混合する。ハードゼラチンカプセルで包む。
【0255】
実施例23
ナルトレキソンHClの押出成形ペレット
配合:
【0256】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 2.0
オイドラギットRSPO 88.0
ステアリルアルコール 15.0
ステアリン酸 15.0
ブチル化ヒドロキシトルエン 1.0
(BHT)
合計 121.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを粉砕機に通す。
2.混合 ナルトレキソンHCl、オイドラギット、粉砕されたステアリルアルコール、ステアリン酸およびBHTをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用して1mmのペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
【0257】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:1時間のSGF/その後SIF
4.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果:
【0258】
時間(時間) 1 2 4 8 12 24 36
溶解した平均% 1.3 2.6 2.9 3.6 4.0 5.2 6.2
シミュレートされた変化過程
ナルトレキソンペレットを乳鉢および乳棒で粉砕して、溶解研究用の粉末にした。
【0259】
製造方法:上記と同じ
結果:
【0260】
時間(時間) 1
溶解した平均% 33.5
したがって、無傷のペレットの放出は、1時間で0.026mgであり、破砕されたときには1時間で0.67mgである。破砕型対無傷型のこの比率もまた4:1よりも大きい。これは、図2にグラフで示されている。
【0261】
実施例24
ナルトレキソンHClの押出成形ペレット
配合:
【0262】
成分 量/ユニット(mg)
ナルトレキソンHCl 2.0
オイドラギットRSPO 96.0
ステアリルアルコール 22.0
二塩基性リン酸カルシウム 6.0
ブチル化ヒドロキシトルエン 1.0
(BHT)
合計 127.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを粉砕機に通す。
2.混合 ナルトレキソンHCl、オイドラギット、粉砕されたステアリルアルコール、二塩基性リン酸カルシウムおよびBHTをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
【0263】
製造方法
4.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
5.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
6.媒体:1時間のSGF/その後SIF
7.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果:
【0264】
時間(時間) 1 2 4 8 12 24 36
溶解した平均% 3.1 5.9 8.9 12.2 14.7 19.9 24.6
シミュレートされた変化過程
ナルトレキソンペレットを乳鉢および乳棒で粉砕して、溶解研究用の粉末にした。
【0265】
製造方法:上記と同じ
結果:
【0266】
時間(時間) 1
溶解した平均% 36.4
したがって、無傷のペレットの放出は、1時間で0.062mgであり、破砕されたときには1時間で0.728mgである。破砕型対無傷型のこの比率もまた4:1よりも大きい。これは、図24にグラフで示されている。
【0267】
実施例25
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを含む考えられるヒドロモルホンHCl CRカプセル
配合:
【0268】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.5
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 121.0
(実施例23)
ハードゼラチンカプセル -
合計 241.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび121mgのナルトレキソンペレット(実施例23から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0269】
実施例26
ナルトレキソンHClの押出成形ペレットを有する考えられるヒドロモルホンHCl CRカプセル
配合:
【0270】
成分 量/ユニット(mg)
ヒドロモルホンHCl 12.0
オイドラギットRSPO 76.5
エチルセルロース 4.5
ステアリルアルコール 27.0
ナルトレキソンHClペレット 127.0
(実施例24)
ハードゼラチンカプセル -
合計 247.0
方法:
1.粉砕 ステアリルアルコールのフレークを衝撃粉砕機に通す。
2.混合 ヒドロモルホンHCl、オイドラギット、エチルセルロースおよび粉砕されたステアリルアルコールをツインシェル混合機で混合する。
3.押出 混合物を二軸スクリュー押出機に連続的に供給し、得られたストランドをコンベア上に集める。
4.冷却 ストランドをコンベア上で冷却する。
5.ペレット化 冷却されたストランドを、ペレタイザーを使用してペレットに切断する。
6.選別 ペレットを選別して、所望する篩い部分を集める。
7.カプセル化 120mgの押出成形されたヒドロモルホンHClペレットおよび127mgのナルトレキソンペレット(実施例24から得られたもの)をハードゼラチンカプセルに詰める。
【0271】
実施例27A
ナルトレキソンCRビーズ
ナルトレキソン徐放性ビーズが開発されており、これはオピオイド徐放性造粒物に配合することができ、その後、混合物は錠剤に圧縮成形される。オキシコドンHClの徐放性造粒物が、一例としてナルトレキソンビーズとともに使用される。
【0272】
配合27A
【0273】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
薬物成層 ナルトレキソンHCl 3.3
ノンパレイユビーズ 95.0
(14/18メッシュ)
プラスドンC30 1.5
タルク 0.2
水
工程2.
シール層 オパドライ・クリア 5.0
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水
工程3.
持続放出層 オイドラギットRS30D 17.63
(乾燥)
クエン酸トリブチル 3.53
ツイーン80 0.04
タルク 8.81
水
工程4.
シール層 オパドライ・クリア 5.0
(ヒドロキシプロピルメチル
セルロース)
水
合計 140
ビーズ製造手順
1.ナルトレキソンHClおよびHPMCを水に溶解する。Wurster不活性を用いて流動床コーターにおいてこの薬物溶液をノンパレイユビーズにスプレーする。
2.オイドラギットL、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物を薬物負荷ビーズにスプレーする。
3.オイドラギットRS、クエン酸トリブチルおよびタルクを水に分散する。流動床コーターにおいてこの分散物をビーズにスプレーする。
4.HPMCを水に溶解する。流動床コーターにおいてこの溶液をビーズにスプレーする。
5.ビーズを60℃で24時間キュア処理する。
【0274】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:1時間のSGF/その後SIF
4.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
結果および考察:
無傷のビーズからのナルトレキソンの溶解
【0275】
時間(時間) 1 4 8 12 24 36
溶解した平均% 2 2 4 5 6 33
破砕ビーズからのナルトレキソンの溶解
【0276】
時間(時間) 1
溶解した平均% 100
配合27B オキシ/NX CR錠剤
【0277】
成分 量/ユニット*(mg)
工程1.
造粒 オキシコドンHCl 10.0
スプレー乾燥ラクトース 69.25
ポビドン 5.0
オイドラギットRS30D 10.0
(乾燥)
トリアセチン 2.0
ステアリルアルコール 25.0
タルク 2.5
マグネシウム 1.25
工程2.
混合錠剤 オキシコンチン造粒物 125
(上記)
ナルトレキソンCRビーズ 140
(配合27A)
製造手順(オキシ/NX CR錠剤)
1.流動床造粒機を使用して、オイドラギット/トリアセチン分散物をオキシコドンHCl、スプレー乾燥ラクトースおよびポビドンにスプレーする。
2.造粒物を取り出して、粉砕機に通す。
3.ステアリルアルコールを融解し、粉砕された造粒物に、粉砕機を使用して加える。冷却する。
4.冷却された造粒物を粉砕機に通す。
5.混合機を使用して、造粒物をタルクおよびステアリン酸マグネシウムで滑沢化する。
6.ナルトレキソンビーズを上記造粒物と混合し、錠剤に圧縮成形する。
【0278】
製造方法
1.装置−米国薬局方タイプII(パドル)、37℃で75rpm
2.サンプリング時間:1、2、4、8、12、24、36
3.媒体:900mlのpH6.5のリン酸塩緩衝液
4.分析方法:高速液体クロマトグラフィー
オキシ/NX CR錠剤は下記の溶解結果を有することが見出された:
無傷の錠剤からのナルトレキソンの溶解
【0279】
時間(時間) 1 4 8 12 24 36
溶解した平均% 1 3 9 15 25 36
破砕錠剤からのナルトレキソンの溶解
【0280】
時間(時間) 1
溶解した平均% 95
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】図1は、実施例20の結果のグラフ表示である。
【図2】図2は、実施例23の結果のグラフ表示である。
【図3】図3は、実施例24の結果のグラフ表示である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項2】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料で個々にコーティングされた多粒子形である、前記経口投与形。
【請求項3】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料を含むマトリックスに分散している、前記経口投与形。
【請求項4】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、該無傷投与形に含まれるアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項5】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたアンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量より少なく、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該アンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量またはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項6】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離ナルトレキソンまたは医薬的に許容可能なその塩を含む経口投与形であって、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたナルトレキソンの量は0.25mg未満であり、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該ナルトレキソンの量は0.25mgまたはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびナルトレキソンは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項7】
(i)治療に有効なオピオイドアゴニスト;および(ii)隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、経口投与1時間後に、該投与形が、該アンタゴニストの25%以下を放出し、該投与形は鎮痛を与え、放出された該アンタゴニストは鎮痛効力に影響を及ぼさず、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項8】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料で個々にコーティングされた多粒子形である、前記経口投与形。
【請求項9】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料を含むマトリックスで分散している、前記経口投与形。
【請求項10】
前記の比は、10:1またはそれ以上である、請求項1から4記載の経口投与形。
【請求項11】
前記の比は、50:1またはそれ以上である、請求項1から4記載の経口投与形。
【請求項12】
前記の比は、100:1またはそれ以上である、請求項1から4記載の経口投与形。
【請求項13】
前記の無傷投与形は、1時間で少なくとも0.025mgのナルトレキソンを放出する、請求項6記載の経口投与形。
【請求項14】
前記の無傷投与形は、1時間で、少なくとも0.025mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量のアンタゴニストを提供する、請求項1から5および7から9記載の経口投与形。
【請求項15】
前記の外圧を負荷した投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.5mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以上である、請求項5記載の経口投与形。
【請求項16】
前記の無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.125mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以下である、請求項5および15記載の経口投与形。
【請求項17】
前記の外圧を負荷した投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.5mgのナルトレキソンまたはそれ以上である、請求項6記載の経口投与形。
【請求項18】
前記の無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.125mgのナルトレキソンまたはそれ以下である、請求項6および17記載の経口投与形。
【請求項19】
オピオイドアゴニストは、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、ヒドロコドン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシモルフォン、ブプレノルフィン、フェンタニル、およびその誘導体、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール、その医薬的に許容される塩およびその混合物からなる群から選択する、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項20】
オピオイドアゴニストは、オキシコドン、ヒドロコドンおよび医薬的に許容されるその塩からなる群から選択する、請求項19記載の経口投与形。
【請求項21】
オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、シクラゾシン、レバロルファン、医薬的に許容されるその塩およびその混合物からなる群から選択する、請求項1から5および7から9記載の経口投与形。
【請求項22】
オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、医薬的に許容されるその塩およびその混合物からなる群から選択する、請求項21記載の経口投与形。
【請求項23】
オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソンまたは医薬的に許容されるその塩を含む、請求項22記載の経口投与形。
【請求項24】
材料は、胃腸管で不溶性であり、コーティング内に含まれるオピオイドアンタゴニストに非浸透性である、セルロースポリマーまたはアクリル酸ポリマーを含む、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項25】
セルロースポリマーは、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、およびその混合物からなる群から選択する、請求項24記載の経口投与形。
【請求項26】
アクリル酸ポリマーは、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択する、請求項24記載の経口投与形。
【請求項27】
投与形は、オピオイドアゴニストの持続放出を与える、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項28】
投与形は、持続放出錠剤または持続放出カプセル剤である、請求項27記載の経口投与形。
【請求項29】
前記の多粒子は、該アンタゴニストでコーティングし、該材料で上塗りした不活性ビーズ形である、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項30】
前記の多粒子は、該アンタゴニストおよび該材料を含む顆粒形である、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項31】
前記の多粒子は、該オピオイドアゴニストを含むマトリックスで分散している、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項32】
前記の多粒子は、該オピオイドアゴニストと共にカプセルに含まれている、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項33】
前記のマトリックスは、ペレット形である、請求項3および9記載の経口投与形。
【請求項34】
前記のペレットは、該オピオイドアゴニストを含むマトリックスで分散している、請求項33記載の経口投与形。
【請求項35】
前記のペレットは、該オピオイドアゴニストと共にカプセルに含まれている、請求項33記載の経口投与形。
【請求項36】
前記の外圧は圧搾による、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項37】
前記の外圧は、該アゴニストが即時に放出されるような様式である、請求項27記載の経口投与形。
【請求項38】
前記の外圧は、アゴニストを、不適切な使用に利用可能とするためのものである、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項39】
前記のアンタゴニストは、アゴニストにより提供される鎮痛に有意に影響を及ぼさない、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項40】
該オピオイドアゴニストを請求項1から9記載の投与形に取込むことを含む、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用を減少させる方法。
【請求項41】
(a)オピオイドアゴニスト:および(b)実質的に放出不可能な形のナルトレキソンを含む投与形であって、該アゴニストおよびナルトレキソンは少なくとも部分的に相互分散している、前記投与形。
【請求項42】
オピオイドアゴニストは、オキシコドン、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、その塩またはその混合物である、請求項41記載の投与形。
【請求項43】
オピオイドアゴニストは塩酸オキシコドンである、請求項42記載の投与形。
【請求項44】
オピオイドアゴニストは酒石酸水素ヒドロコドンである、請求項42記載の投与形。
【請求項45】
オピオイドアゴニストは塩酸ヒドロモルホンである、請求項42記載の投与形。
【請求項46】
ナルトレキソンの少なくとも一部はマトリックス中にある、請求項41記載の投与形。
【請求項47】
ナルトレキソンの少なくとも一部は、コーティングされたビーズ中にある、請求項41記載の投与形。
【請求項48】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、36時間後にインビボで15重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項49】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、36時間後にインビボで8重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項48記載の投与形。
【請求項50】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、36時間後にインビボで1重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項49記載の投与形。
【請求項51】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、1時間後にインビボで3重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項52】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、1時間後にインビボで1.0重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項53】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、1時間後にインビボで0.5重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項54】
(a)オピオイドアゴニスト;および(b)実質的に放出不可能な形の経口で生物学的に利用可能なオピオイドアンタゴニストを含む、投与形。
【請求項55】
アゴニストおよびアンタゴニストは、少なくとも部分的に相互分散している、請求項54記載の投与形。
【請求項56】
経口で生物学的に利用可能なアンタゴニストはナルトレキソンまたはその塩である、請求項54記載の投与形。
【請求項57】
オピオイドアゴニストは、オキシコドン、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、或いは、その塩またはその混合物である、請求項54記載の投与形。
【請求項58】
アンタゴニストの少なくとも一部はマトリックス中にある、請求項54記載の投与形。
【請求項59】
アンタゴニストの少なくとも一部はコーティングされたビーズ中にある、請求項54記載の投与形。
【請求項60】
オピオイドアンタゴニストを前処理して、それを実質的に放出不可能とし;前処理したアンタゴニストを、放出可能な形のオピオイドアゴニストと合わせることを含む、経口投与形の調製法。
【請求項61】
ヒト患者に、請求項1から9、41または54記載の投与形を投与することを含む、疼痛の処置法。
【請求項1】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項2】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料で個々にコーティングされた多粒子形である、前記経口投与形。
【請求項3】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、外圧後の該投与形から放出されたアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ隔離材料を含むマトリックスに分散している、前記経口投与形。
【請求項4】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニストおよび(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、該無傷投与形に含まれるアンタゴニストの量と、無傷な該投与形から放出された該アンタゴニストの量の比は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形のインビトロでの1時間後の溶解に基づき、約4:1またはそれ以上であり、ここでの該アゴニストおよびアンタゴニストは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項5】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたアンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量より少なく、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該アンタゴニストの量は、0.25mgナルトレキソンに生物学的同等な量またはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項6】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)投与形を無傷で投与した場合には実質的に放出されない隔離ナルトレキソンまたは医薬的に許容可能なその塩を含む経口投与形であって、よって、1時間後に該無傷投与形から放出されたナルトレキソンの量は0.25mg未満であり、外圧後に該投与形から1時間後に放出された該ナルトレキソンの量は0.25mgまたはそれ以上であり、該放出は、37℃で75rpmでUSPII型(パドル)装置を使用して模擬胃液900ml中への該投与形の1時間後の溶解に基づき、該アゴニストおよびナルトレキソンは、相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項7】
(i)治療に有効なオピオイドアゴニスト;および(ii)隔離オピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、経口投与1時間後に、該投与形が、該アンタゴニストの25%以下を放出し、該投与形は鎮痛を与え、放出された該アンタゴニストは鎮痛効力に影響を及ぼさず、該アゴニストおよびアンタゴニストは相互分散し、互いに2つの異なる層に単離しない、前記経口投与形。
【請求項8】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料で個々にコーティングされた多粒子形である、前記経口投与形。
【請求項9】
(i)放出可能な形のオピオイドアゴニスト;および(ii)実質的に放出不可能な形のオピオイドアンタゴニストを含む経口投与形であって、該アンタゴニストは、実質的にアンタゴニストの放出を防ぐ材料を含むマトリックスで分散している、前記経口投与形。
【請求項10】
前記の比は、10:1またはそれ以上である、請求項1から4記載の経口投与形。
【請求項11】
前記の比は、50:1またはそれ以上である、請求項1から4記載の経口投与形。
【請求項12】
前記の比は、100:1またはそれ以上である、請求項1から4記載の経口投与形。
【請求項13】
前記の無傷投与形は、1時間で少なくとも0.025mgのナルトレキソンを放出する、請求項6記載の経口投与形。
【請求項14】
前記の無傷投与形は、1時間で、少なくとも0.025mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量のアンタゴニストを提供する、請求項1から5および7から9記載の経口投与形。
【請求項15】
前記の外圧を負荷した投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.5mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以上である、請求項5記載の経口投与形。
【請求項16】
前記の無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.125mgのナルトレキソンに生物学的に同等な量またはそれ以下である、請求項5および15記載の経口投与形。
【請求項17】
前記の外圧を負荷した投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.5mgのナルトレキソンまたはそれ以上である、請求項6記載の経口投与形。
【請求項18】
前記の無傷投与形から1時間後に放出されたアンタゴニストの量は、0.125mgのナルトレキソンまたはそれ以下である、請求項6および17記載の経口投与形。
【請求項19】
オピオイドアゴニストは、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、ヒドロコドン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、オキシモルフォン、ブプレノルフィン、フェンタニル、およびその誘導体、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール、その医薬的に許容される塩およびその混合物からなる群から選択する、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項20】
オピオイドアゴニストは、オキシコドン、ヒドロコドンおよび医薬的に許容されるその塩からなる群から選択する、請求項19記載の経口投与形。
【請求項21】
オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、シクラゾシン、レバロルファン、医薬的に許容されるその塩およびその混合物からなる群から選択する、請求項1から5および7から9記載の経口投与形。
【請求項22】
オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、医薬的に許容されるその塩およびその混合物からなる群から選択する、請求項21記載の経口投与形。
【請求項23】
オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソンまたは医薬的に許容されるその塩を含む、請求項22記載の経口投与形。
【請求項24】
材料は、胃腸管で不溶性であり、コーティング内に含まれるオピオイドアンタゴニストに非浸透性である、セルロースポリマーまたはアクリル酸ポリマーを含む、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項25】
セルロースポリマーは、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、およびその混合物からなる群から選択する、請求項24記載の経口投与形。
【請求項26】
アクリル酸ポリマーは、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択する、請求項24記載の経口投与形。
【請求項27】
投与形は、オピオイドアゴニストの持続放出を与える、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項28】
投与形は、持続放出錠剤または持続放出カプセル剤である、請求項27記載の経口投与形。
【請求項29】
前記の多粒子は、該アンタゴニストでコーティングし、該材料で上塗りした不活性ビーズ形である、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項30】
前記の多粒子は、該アンタゴニストおよび該材料を含む顆粒形である、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項31】
前記の多粒子は、該オピオイドアゴニストを含むマトリックスで分散している、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項32】
前記の多粒子は、該オピオイドアゴニストと共にカプセルに含まれている、請求項2および8記載の経口投与形。
【請求項33】
前記のマトリックスは、ペレット形である、請求項3および9記載の経口投与形。
【請求項34】
前記のペレットは、該オピオイドアゴニストを含むマトリックスで分散している、請求項33記載の経口投与形。
【請求項35】
前記のペレットは、該オピオイドアゴニストと共にカプセルに含まれている、請求項33記載の経口投与形。
【請求項36】
前記の外圧は圧搾による、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項37】
前記の外圧は、該アゴニストが即時に放出されるような様式である、請求項27記載の経口投与形。
【請求項38】
前記の外圧は、アゴニストを、不適切な使用に利用可能とするためのものである、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項39】
前記のアンタゴニストは、アゴニストにより提供される鎮痛に有意に影響を及ぼさない、請求項1から9記載の経口投与形。
【請求項40】
該オピオイドアゴニストを請求項1から9記載の投与形に取込むことを含む、経口投与形のオピオイドアゴニストの乱用を減少させる方法。
【請求項41】
(a)オピオイドアゴニスト:および(b)実質的に放出不可能な形のナルトレキソンを含む投与形であって、該アゴニストおよびナルトレキソンは少なくとも部分的に相互分散している、前記投与形。
【請求項42】
オピオイドアゴニストは、オキシコドン、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、その塩またはその混合物である、請求項41記載の投与形。
【請求項43】
オピオイドアゴニストは塩酸オキシコドンである、請求項42記載の投与形。
【請求項44】
オピオイドアゴニストは酒石酸水素ヒドロコドンである、請求項42記載の投与形。
【請求項45】
オピオイドアゴニストは塩酸ヒドロモルホンである、請求項42記載の投与形。
【請求項46】
ナルトレキソンの少なくとも一部はマトリックス中にある、請求項41記載の投与形。
【請求項47】
ナルトレキソンの少なくとも一部は、コーティングされたビーズ中にある、請求項41記載の投与形。
【請求項48】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、36時間後にインビボで15重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項49】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、36時間後にインビボで8重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項48記載の投与形。
【請求項50】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、36時間後にインビボで1重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項49記載の投与形。
【請求項51】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、1時間後にインビボで3重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項52】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、1時間後にインビボで1.0重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項53】
実質的に放出不可能な形のナルトレキソンは、1時間後にインビボで0.5重量%未満のナルトレキソンを放出するように適合している、請求項41記載の投与形。
【請求項54】
(a)オピオイドアゴニスト;および(b)実質的に放出不可能な形の経口で生物学的に利用可能なオピオイドアンタゴニストを含む、投与形。
【請求項55】
アゴニストおよびアンタゴニストは、少なくとも部分的に相互分散している、請求項54記載の投与形。
【請求項56】
経口で生物学的に利用可能なアンタゴニストはナルトレキソンまたはその塩である、請求項54記載の投与形。
【請求項57】
オピオイドアゴニストは、オキシコドン、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、或いは、その塩またはその混合物である、請求項54記載の投与形。
【請求項58】
アンタゴニストの少なくとも一部はマトリックス中にある、請求項54記載の投与形。
【請求項59】
アンタゴニストの少なくとも一部はコーティングされたビーズ中にある、請求項54記載の投与形。
【請求項60】
オピオイドアンタゴニストを前処理して、それを実質的に放出不可能とし;前処理したアンタゴニストを、放出可能な形のオピオイドアゴニストと合わせることを含む、経口投与形の調製法。
【請求項61】
ヒト患者に、請求項1から9、41または54記載の投与形を投与することを含む、疼痛の処置法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−158592(P2012−158592A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32017(P2012−32017)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【分割の表示】特願2001−557561(P2001−557561)の分割
【原出願日】平成13年2月8日(2001.2.8)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【分割の表示】特願2001−557561(P2001−557561)の分割
【原出願日】平成13年2月8日(2001.2.8)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】
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