説明

外科用のリン酸カルシウムをベースとする水硬セメント

水硬セメントはA)リン酸カルシウムの粉末粒子を含む第一成分、及びB)水を含む第二成分を含む外科用のリン酸カルシウムをベースとする。前記リン酸カルシウムは無水の、無定形リン酸カルシウム(ACP)を含み、前記ACPは500℃以上で合成されたリン酸カルシウムを微粉砕することにより得られる。本発明のセメントは従来技術のリン酸カルシウムセメントと較べて非常に速く凝結するという利点を有する。凝結反応は極めて速く終了されるが、反応の初期の部分は既知のセメントと同じ速度で進行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前文に記載の外科用のリン酸カルシウムをベースとする水硬セメントに関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸カルシウムセメント(CPC)は水と反応して新しいリン酸カルシウム化合物、一般にアパタイトを生成する一種又は数種のリン酸カルシウム粉末の混合物である。これらの化学反応により、水性ペーストの硬化がある。生体内(in vivo)の研究はCPCが一般に生体適合性であり、骨誘導性(osteoconductive)であり、かつ若干生体吸収性であることを示していた。それ故、CPCは医療業界の大きくかつ成長している重要な主題であった。
【0003】
幾つかの製品が市場に導入されていた。しかしながら、これらの製品の全てが幾つかの欠点を有する。主な欠点はアパタイトセメントの遅い凝結反応である。所謂凝結時間(ペーストが部分的に硬くなるまでの時間)は短く、例えば、5-10分であり得るが、その反応が終了されるまでの時間は典型的には24時間よりも長い。幾つかの方法が凝結時間を調節するために存在する(以下を参照のこと)。しかしながら、今まで、全凝結反応を促進する二つの方法があるにすぎない。第一の方法は出発成分(例えば、リン酸三カルシウム粉末)の平均粒子サイズを減少することである。原則として、粒子サイズが小さい程、凝結反応が速い。しかしながら、粒子の減少は達成し難いことがある(特に1マイクロメートル以下の直径について)。第二の方法は無定形相が得られるまで粉末を微粉砕することである(“無定形リン酸カルシウム、ACP”)。このようなセメントのためのACPの使用が既に提案されていたが、このACPは、即ち、粉末/液体について1:1の重量比の、α-TCPの湿式微粉砕により得られていた。この微粉砕方法に使用される補助液体が有機溶媒であるので、医療用途及び商業用途についてかなりの欠点がある:(i)微粉砕操作のコストが増大され、(ii)エコロジー上の負担が一層高く、(iii)溶媒が微粉砕中に分解し、それ故、除去し難い有機残渣をもたらし、(iv)磨耗重量分率が増大され、生体適合性の問題のリスクが強く増大される。所謂ACPが過去の文献に記載されていた。しかしながら、この化合物は水溶液中の沈殿により得られ、典型的には結合水を含む。本明細書では、ACPは沈殿により得られないが、高い強さで長時間にわたってリン酸カルシウム粉末、例えば、アルファ-リン酸三カルシウム、ベータ-リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム及びオキシアパタイトを微粉砕することにより得られる。
【0004】
“微粉砕されたACP”の形態は走査電子顕微鏡(SEM)により観察して“沈殿ACP”の形態とは非常に異なる。後者の化合物は良く特定された形状(例えば、針状体、板状体)を有するが、一方、微粉砕された化合物はそれ程特定されず/特定されない形状(殆ど丸形)を有する。更に、“微粉砕されたACP”は400℃で良く特定された転移温度を有し(β-TCPへの変換)、一方、“沈殿ACP”は650℃でα-TCPに変換される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、上記欠点の一部又は全部を解消又は軽減するリン酸カルシウムセメントを提供することが望ましいであろう。更に詳しくは、本発明は現在知られている配合物よりも速く硬化し、それ故、セメント移植後の最初の分及び時間で機械的破損のリスクを低減する組成物を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は請求項1の特徴を示すセメントで、課された問題を解決する。
【0007】
本発明のセメントは従来技術のリン酸カルシウムセメントと較べて非常に速く凝結するという利点を有する。その反応の初期の部分は既知のセメントと同じ速度で進行するが、凝結反応が極めて速く終了される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好ましくは、4種のリン酸カルシウム化合物が無定形リン酸カルシウム(ACP)相を生成するのに使用し得る。
a)α-リン酸三カルシウム〔α-TCP;Ca3(PO4)2〕、
b)β-リン酸三カルシウム〔β-TCP;Ca3(PO4)2〕、
c)オキシアパタイト〔(OXA);Ca10(PO4)6O〕、
d)リン酸四カルシウム〔TetCP;Ca4(PO4)2O〕。
これらの4種の化合物は高温(少なくとも500℃)でのみ得られ、例えば、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)のようなヒドロキシル基(OH)を含まない。結果として、これらの化合物の微粉砕から生成されたACPは完全に無水である。
【0009】
前記ACPはリン酸カルシウム100重量%と較べて20重量%以下の非水性補助微粉砕液体の存在下で一種以上の上記の4種の化合物の微粉砕により得られることが好ましい。補助微粉砕溶媒はアルコール、好ましくはエタノール、又はイソプロパノール(これは凝集を防止するという利点を有する)であってもよい。
【0010】
更なる実施態様において、前記リン酸カルシウムは、前記ACPに加えて、下記のリスト:リン酸一カルシウム(MCP;Ca(H2PO4)2)、リン酸一カルシウム一水和物(MCPM;Ca(H2PO4)2・H2O)、リン酸二カルシウム(DCP;CaHPO4)、リン酸二カルシウム二水和物(DCPD;CaHPO4・2H2O)、リン酸八カルシウム(OCP;Ca8H2(PO4)6.5H2O)、カルシウム不足ヒドロキシアパタイト(CDHA;Ca9(HPO4)(PO4)5OH)、ヒドロキシアパタイト(HA;Ca10(PO4)6(OH)2)、ベータ-リン酸三カルシウム(b-TCP;Ca3(PO4)2)、オキシアパタイト(OXA;Ca10(PO4)6O)、リン酸四カルシウム(TTCP;Ca4(PO4)2O)、及びα-リン酸三カルシウムからの一種又は数種のその他のリン酸カルシウムを含む。
【0011】
更なる実施態様において、前記無定形リン酸カルシウム(ACP)が全第一成分の少なくとも50重量%の量、好ましくは全第一成分の少なくとも80重量%、典型的には少なくとも90重量%の量で存在する。
【0012】
更なる実施態様において、前記第一成分が或る量の硫酸カルシウム二水和物(CSD)を含む。
【0013】
更なる実施態様において、本セメントが前記硫酸カルシウム二水和物(CSD)の合計量の10%より多い硫酸カルシウム半水和物(CSH)を含まない。
【0014】
別の実施態様において、前記第一成分が或る量の硫酸カルシウム半水和物(CSH)を含む。この硫酸カルシウム半水和物(CSH)の量が前記硫酸カルシウム二水和物(CSD)の5%より少ないことが好ましい。
【0015】
好ましい実施態様において、硫酸カルシウム半水和物(CSH)が本セメント中に実質的に検出し得ない。
【0016】
別の実施態様において、前記第一成分の粉末粒子が20μm未満、好ましくは10μm未満の平均直径を有する。典型的には、この平均粒子直径が1μmであるように選ばれる。
【0017】
本セメントの凝結時間がセメントの重要な性質である。この凝結時間があまりにも早い場合、外科医はそれが硬くなるまでにセメントを使用する時間を有しない。凝結時間があまりにも長い場合、外科医は彼/彼女が傷を閉じることができるまで待たなければならない。それ故、中間の凝結時間が望ましい。1〜20分を含む値が良好な範囲である。好ましい値は2〜15分の範囲、更に詳しくは5〜12分の範囲である。
【0018】
好ましい実施態様において、前記2種のセメント成分の少なくとも一つが凝結調節剤を含み、凝結調節剤は凝結促進剤又は凝結遅延剤である。凝結時間を促進するのに非常に有効な方法は混合液体中の大濃度のリン酸イオン及び/又はカルシウムイオンを有することである(アパタイトに向けての溶液の初期飽和の強化)。これは二つの方法により起こり得る:(i)可溶性リン酸塩及び/又はカルシウム塩がセメント配合物中に粉末として添加される。混合溶液との接触後に、リン酸塩及び/又はカルシウム塩が溶解し、それ故、その化学反応を促進する。(ii)可溶性リン酸塩及び/又はカルシウム塩が混合液体に予備溶解される。可溶性リン酸塩の例はNa2HPO4、NaH2PO4、K2HPO4、KH2PO4、NH4H2PO4、CaCl2である。
【0019】
前記混合液体中の典型的な濃度は0.01〜1.00Mの範囲、好ましくは0.1〜0.3Mの範囲である。凝結反応を促進するための別の方法はアパタイト結晶成長のための核を添加することである。何とならば、この凝結反応の核形成工程が制限因子であるからである。典型的には、アパタイト結晶、好ましくはカルシウム不足ヒドロキシアパタイト又はヒドロキシアパタイト粉末が使用し得る。少量(数重量%)が凝結時間を著しく減少するのに充分である。
【0020】
前記凝結時間があまりにも短い場合、種々の凝結添加剤が凝結時間を増大するのに添加し得る。典型例はアパタイト結晶の核形成及び/又は成長を抑制する化合物である。普通の例はピロリン酸イオン、クエン酸イオン、及び/又はマグネシウムイオンである。一つの特に重要な化合物は炭酸カルシウム(CC;CaCO3)である。炭酸イオンは人骨中に存在する。更に、炭酸イオンは、おそらくアパタイト結晶成長の抑制により、アパタイト結晶のサイズを減少することができる。
【0021】
a-TCPのCa/Pモル比は1.5である。結果として、a-TCPの微粉砕から得られたACPのCa/Pモル比がまた1.5である。セメント凝結後のこの比の変化は溶解性の変化ひいては吸収速度の変化と関連していると予想される。この比を変更するのに容易な方法は下記のリスト:リン酸一カルシウム(MCP;Ca(H2PO4)2;Ca/P=0.5)、リン酸一カルシウム一水和物(MCPM;Ca(H2PO4)2・H2O;Ca/P=0.5)、リン酸二カルシウム(DCP;CaHPO4;Ca/P=1.0)、リン酸二カルシウム二水和物(DCPD;CaHPO4・2H2O;Ca/P=1.0)、リン酸八カルシウム(OCP;Ca8H2(PO4)6.5H2O;Ca/P=1.33)、カルシウム不足ヒドロキシアパタイト(CDHA;Ca9(HPO4)(PO4)5OH;Ca/P=1.50)、アルファ-リン酸三カルシウム(a-TCP;Ca3(PO4)2;Ca/P=1.50)、ベータ-リン酸三カルシウム(b-TCP;Ca3(PO4)2;Ca/P=1.50)、ヒドロキシアパタイト(HA;Ca10(PO4)6(OH)2;Ca/P=1.67)、オキシアパタイト(OXA;Ca10(PO4)6O)、リン酸四カルシウム(TTCP;Ca4(PO4)2O)からの一種又は数種のリン酸カルシウムを添加することである。この比を変更するための別の方法はCSH又はCSDを添加することである。同時に、CSH又はCSDの添加はアパタイトの付加的な沈殿(CSH又はCSDの生体中での溶解中)を可能にし、それ故、大きい機械的性質、及び一層低い多孔性をもたらすであろう。アパタイト結晶はCSH又はCSDの溶解中に放出されたカルシウムイオン及び体液中に存在するリン酸イオンから沈殿される。
【0022】
同様の組み合わせがb-TCP(Ca/P=1.5)、OXA(オキシアパタイト;Ca/P=1.67)及びTetCP(Ca/P=2.0)の微粉砕から得られたACPでつくられる。
【0023】
近年、骨多孔症による破損の発生が著しく増大していた。適切な治癒の欠如及び老人の増加する数を考慮すると、この傾向が続くと予想される。骨多孔症による破損はしばしば非常に修復し難い。何とならば、骨が非常に弱いからである。それ故、ねじを挿入して骨合成板を保持することは可能ではない。その問題を解決する方法はリン酸カルシウムセメントを骨多孔症の骨に注入してそれを強化することである。骨の周囲の組織へのセメントの溢出を防止するために、セメントを視覚化することが非常に重要である。最も容易な方法は、例えば、造影剤(contrasting agents)により、セメントの放射線不透過を増大することである。
【0024】
Ta、Ti、又はW(とりわけ)の金属粉末が使用し得る。更に、金属酸化物又は塩、例えば、二酸化チタン又は硫酸バリウムが使用し得る。しかしながら、特に粒子が異物巨大細胞のサイズ以下のサイズを有する場合、部分生体吸収性セメント中にこのような粉末を使用することは望ましくないかもしれない。ヨウ素化合物の如き、液体薬剤を使用することが好ましい。例としてはイオパミドール、イオヘキソール及びイオトロランである。
【0025】
骨多孔症の骨へのCPCの注入はセメントが良く注入可能である場合にのみ可能である。しばしば、CPCは良く注入できない。その理由はあまりにも大きい平均粒子サイズ及び所謂フィルタープレシングをもたらす、混合液体のあまりにも低い粘度である:圧力がセメントペーストに適用される場合(例えば、セメント注入中)、液相及び固相が分離される。その問題を解決する最も容易な方法は、例えば、少量の多糖を混合液体に添加することにより、この混合液体の粘度を増大することである。使用し得る典型的なポリマーはヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、ヘパラン硫酸塩、ヘパリン、デキストラン、アルギン酸塩、ケラタン硫酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キサンタンガム、グアーガム、カラゲナンである。最も重要な化合物は医療用途について既に公認されたもの、例えば、ヒアルロン酸塩化合物である。典型的な濃度は1%w/w付近である。
【0026】
前記混合液体の粘度は(先に見られたように)フィルタープレシングを防止するのに重要である。このセメントペーストの粘度がまた非常に重要な因子である。このセメント粘度は血液の如き、体液とのあまりにも早い混合を防止するために充分に高くあるべきである。体液との混合はセメント凝結を妨げ、それ故、合併症をもたらし得る。このペースト粘度がまた骨強化(骨へのセメントの注入)中のセメント溢出を防止するのに非常に重要である。粘度が大きい程、溢出のリスクが低い。それ故、このセメント粘度は1Pa sより大きく、好ましくは10Pa s又は更には100Pa sより上であるべきである。
【0027】
前記セメントペーストの粘度は明らかに粉末対液体(P/L)比に依存する。P/L比の増大はセメント粘度の増大をもたらす。このP/L比があまりにも高い場合、混合液体の量は異なる固体粒子間の全ての細孔を充満し、ひいてはセメントペーストを生成するのにあまりにも低い。前記混合液体の容積(VL)は0.5VT<VL<10VT(式中、VTはセメントペーストの粉末体積である)の範囲であるべきである。更に典型的な値は1.0VT<VL,2.5VTの範囲である。体積は真の体積(見掛体積ではない)、即ち、材料の密度により割られた重量を意味する。
【0028】
CPC粒子はそれらが巨大孔、即ち、直径50-100μmより大きい孔(その中で、血管及び骨細胞が成長することができる)を有しないという欠点を有する。
【0029】
結果として、前記生体吸収はセメントバルク中のいずれでもなく1層ずつ起こる。これを防止するために、生体吸収性又は生分解性顆粒、特にCSH顆粒及びCSD顆粒が前記セメントペーストに添加し得る。移植後、CSHは最初にCSDに変換されるであろう。次いで、CSH変換から生成されたCSD顆粒及びCSD顆粒が溶解し、それ故、空の孔を残すであろう。典型的には、これらの顆粒、例えば、CSH顆粒又はCSD顆粒は、100〜500μmの範囲の平均サイズを有するべきである。
【0030】
セメント構造中に巨大孔を作り出す異なる方法は気泡をセメントペーストに混入することである。この混入は表面張力活性剤(tensioactive agent)を添加することにより促進し得る。表面張力活性剤はまた不十分な水溶性の造影剤、例えば、有機ヨウ素化合物(上記を参照のこと)をセメントペーストに混入するのに使用し得る。この表面張力活性剤はセメントの前記3成分の一つ、好ましくは第三成分に混入されてもよく、ドクセートナトリウム(C20H37NaO7S)、ラウリル硫酸ナトリウム(C12H25NaO4S)、ステアリン酸(C17H35COOH)、アルキルジメチル(フェニルメチル)アンモニウムクロリド〔CAS登録番号8001-54-5〕、ベンゼトニウムクロリド(C27H42ClNO2)、セトリミド(C17H38BrN)、グリセリンモノオレエート(C21H40O4)、ポリソルベート20(C58H114O26)、ポリソルベート21(C26H50O10)、ポリソルベート40(C62H122O26)、ポリソルベート60(C64H126O26)、ポリソルベート61(C32H62O10)、ポリソルベート65(C100H194O28)、ポリソルベート80(C64H124O26)、ポリソルベート81(C34H64O11)、ポリソルベート85(C100H188O28)、ポリソルベート120(C64H126O26)、ポリビニルアルコール((C2H4O)n)、ソルビタンジ-イソステアレート(C42H80O7)、ソルビタンジオレエート(C42H76O7)、ソルビタンモノイソステアレート(C24H46O6)、ソルビタンモノラウレート(C18H34O6)、ソルビタンモノオレエート(C24H44O6)、ソルビタンモノパルミテート(C22H42O6)、ソルビタンモノステアレート(C24H46O6)、ソルビタンセスキ-イソステアレート(C33H63O6.5)、ソルビタンセスキオレエート(C33H63O6.5)、ソルビタンセスキステアレート(C33H63O6.5)、ソルビタントリ-イソステアレート(C33H63O6.5)、ソルビタントリオレエート(C33H63O6.5)、ソルビタントリステアレート(C33H63O6.5)、グリセリルモノオレエート(C21H40O4)、イソプロピルミリステート(C17H34O2)、イソプロピルパルミテート(C19H38O2)、ラノリン〔CAS登録番号8006-54-0〕、ラノリンアルコール〔CAS登録番号8027-33-6〕、含水ラノリン〔CAS登録番号8020-84-6〕、レシチン〔CAS登録番号8002-43-5〕、中間鎖トリグリセリド(登録番号なし)、モノエタノールアミン(C2H7NO)、オレイン酸(C17H33COOH)、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル〔CAS登録番号9004-95-9〕、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル〔CAS登録番号9005-00-9〕、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル〔CAS登録番号9002-92-0〕、ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル〔CAS登録番号9004-98-2〕、ポリエトキシル化ヒマシ油〔CAS登録番号61791-12-6〕、ポリオキシル40ステアレート(C98H196O42)、ポリオキシル50ステアレート(C118H236O52)、トリエタノールアミン(C6H15NO3)、アニオン性乳化ワックス〔CAS登録番号8014-38-8〕、ノニオン性乳化ワックス〔CAS登録番号977069-99-0〕、及びドデシル硫酸ナトリウム(NaC12H25SO4)の群から選ばれることが好ましい。
【0031】
実にしばしば、骨欠陥は外傷のイベントのためではなく、疾患、例えば、骨の腫瘍又は感染症のためである。これらの場合、薬物、特に医薬活性物質又は生理学上活性な物質、好ましくは抗生物質、坑炎症薬、坑癌薬、ペプチド、及びタンパク質、例えば、成長因子を混入することが重要であろう。
【0032】
本発明を特徴づける新規性の種々の特徴がこの開示に添えられ、その一部を形成する特許請求の範囲に特別に指摘される。本発明、その操作上の利点及びその使用により達成された特別な目的の一層良好な理解のために、実施例及び本発明の好ましい実施態様が説明され、記載される記述事項が参考にされるべきである。
【実施例1】
【0033】
α-TCP粉末をプラネタリーミル中で400RPMで4時間にわたって乾式微粉砕した(ZrO2ビーズ、ZrO2容器)。この得られるACP粉末はXRD(リイトベルド(Rietveld)精密分析)によれば87%純粋であり、残りはα-TCPであった。X線蛍光分析(XRF)を使用して、0.001%のZrO2が得られるACP粉末中に見られた。セメントを生成するために、ACP粉末10gを0.15MのNa2HPO43.5mLと30秒混合した(ビーカー及びスパチュラを使用して)。得られるペーストは室温(22±2℃)で5.6±0.9分(平均に関する信頼区間95%)の凝結時間を有していた。このセメントを37℃で1時間、3時間、6時間及び24時間にわたってリン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)中でインキュベートし、機械的に試験した。湿潤圧縮強度の有意差が種々のエージング条件の間で見られなかった。この平均値は21±3MPa(平均に関する信頼区間95%;1時間、3時間、6時間及び24時間で得られた結果の平均)であった。次いでこれらのサンプルを乾燥させ、XRDにより分析した。これらのサンプルのいずれもがα-TCP又はACP残渣を含んでいなかった。
【実施例2】
【0034】
β-TCP粉末を5重量%のイソプロパノール(粉末100g、エタノール5g)とともにプラネタリーミル中で400RPMで6時間にわたって微粉砕した(ZrO2ビーズ、ZrO2容器)。この得られるACP粉末を100℃で3時間乾燥させた。得られる粉末はXRD(リイトベルド精密分析)によれば82%純粋であり、残りはβ-TCPであった。0.003%のZrO2が得られるACP粉末中に見られた(XRF)。セメントを生成するために、ACP粉末10g及びMCPM0.2gを0.15MのNa2HPO43.5mLと30秒混合した(ビーカー及びスパチュラを使用して)。この得られるペーストは室温(22±2℃)で7.8±1.2分(平均に関する信頼区間95%)の凝結時間を有していた。このセメントを37℃で1時間、3時間、6時間及び24時間にわたってリン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)中でインキュベートし、機械的に試験した。圧縮強度が3時間、6時間及び24時間と較べて1時間後に有意に低かった。この平均値は1時間後に15±5MPaその後に25±3MPa(平均に関する信頼区間95%;3時間、6時間及び24時間で得られた結果の平均)であった。次いでこれらのサンプルを乾燥させ、XRDにより分析した。全てのサンプルがβ-TCP残渣を含んでいた。1時間インキュベートされたサンプルは若干のACP残渣を含んでいた(リイトベルド精密分析)。
【実施例3】
【0035】
α-TCP粉末をプラネタリーミル中で400RPMで4時間にわたって乾式微粉砕した(ZrO2ビーズ、ZrO2容器)。この得られるACP粉末はXRD(リイトベルド精密分析)によれば87%純粋であり、残りはα-TCPであった。0.001%のZrO2が得られるACP粉末中に見られた(XRD)。セメントを生成するために、ACP粉末10g及びK2HPO4粉末0.4gを1重量%のヒアルロン酸ナトリウム溶液4.0mLと30秒混合した(ビーカー及びスパチュラを使用して)。この得られるペーストは室温(22±2℃)で11.1±1.5分(平均に関する信頼区間95%)の凝結時間を有していた。これらのセメントサンプルを37℃で24時間にわたってリン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)中でインキュベートし、機械的に試験した。この圧縮強度は17±4MPa(平均に関する信頼区間95%)であった。次いでこれらのサンプルを乾燥させ、XRDにより分析した。これらのサンプルは100%のカルシウム不足ヒドロキシアパタイトからなることが明らかであった。これらのセメントペーストの一部を混合の開始後2分、3分、4分又は6分で37℃でシリンジ及びカニューレでリン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)に注入した。これらのペーストのいずれもが凝結中に分解しなかった。硬いブロックを得た。
【実施例4】
【0036】
α-TCP粉末をプラネタリーミル中で400RPMで4時間にわたって乾式微粉砕した(ZrO2ビーズ、ZrO2容器)。初期及び最終のSSA値は夫々0.6±0.1m2/g及び2.7±0.3m2/gであった。この得られるACP粉末はXRD(リイトベルド精密分析)によれば87%純粋であった。残りはα-TCPからなった。0.001%のZrO2が得られるACP粉末中に見られた(XRD)。セメントを生成するために、ACP粉末10g及びK2HPO4粉末0.4gを2重量%のヒアルロン酸ナトリウム溶液2.0mL及びヨウ素化合物(ウルトラビスト300)2.0mLと30秒混合した(ビーカー及びスパチュラを使用して)。この得られるペーストは室温(22±2℃)で8.1±1.3分(平均に関する信頼区間95%)の凝結時間を有していた。これらのセメントサンプルを37℃で24時間にわたってリン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)中でインキュベートし、機械的に試験した。この圧縮強度は18±4MPa(平均に関する信頼区間95%)であった。次いでこれらのサンプルを乾燥させ、XRDにより分析した。これらのサンプルは100%のカルシウム不足ヒドロキシアパタイトからなることが明らかであった。
【実施例5】
【0037】
β-TCPをプラネタリーミル中で400RPMで6時間にわたって別々に乾式微粉砕した(ZrO2ビーズ、ZrO2容器)。この得られるACP粉末はXRD(リイトベルド精密分析)によれば82%純粋であり、残りはβ-TCPであった。0.003%のZrO2が得られるACP粉末中に見られた(XRD)。セメントを生成するために、b-TCP微粉砕から得られたACP粉末6.3g及びTTCP3.7gを3重量%のヒアルロン酸ナトリウムゲル1.0mL及びヨウ素化合物(ウルトラビスト)4.0mLと30秒混合した(ビーカー及びスパチュラを使用して)。この得られるペーストは室温(22±2℃)で10.1±2.0分(平均に関する信頼区間95%)の凝結時間を有していた。これらのセメントサンプルを37℃で24時間にわたってリン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)中でインキュベートし、機械的に試験した。この圧縮強度は12±3MPa(平均に関する信頼区間95%)であった。次いこれらのでサンプルを乾燥させ、XRDにより分析した。これらのサンプルは100%のヒドロキシアパタイトからなった。
【実施例6】
【0038】
オキシアパタイト粉末をプラネタリーミル中で400RPMで12時間にわたって2重量%のエタノール(HA100gについてエタノール2g)とともに微粉砕した(ZrO2ビーズ、ZrO2容器)。この得られるACP粉末は3.3m2/gのSSAを有し、XRD(リイトベルド精密分析)によれば93%純粋であり、残りはHAであった。0.014%のZrO2が得られるACP粉末中に見られた(XRD)。セメントを生成するために、エマルション(セメント中の空気)が得られるまでACP粉末45g及びCDHA粉末5gを0.01重量%のポリエトキシレートヒマシ油溶液30mLとともに激しく撹拌した(2000RPMで撹拌棒で)。この得られるペーストを金型に注入した。室温(22±2℃)で20分後に、リン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)10mLをセメント-空気混合物の上部に注ぎ、金型を蓋で覆った。このペーストを37℃で24時間インキュベートした。24時間後、これらのサンプルを金型から出し、一定重量に達するまで空気中で乾燥させた。この得られるブロックの多孔度は88体積%であった。この平均巨大孔直径(光学顕微鏡から推定して)は230マイクロメートルであった。この圧縮強度は低く、即ち、1.6±0.3MPa(平均に関する信頼区間95%)であった。次いでこれらのサンプルを乾燥させ、XRDにより分析した。かなりのACP残渣が同定し得なかった(リイトベルド精密分析)。
【実施例7】
【0039】
TetCP粉末をプラネタリーミル中で400RPMで3時間にわたって乾式微粉砕した(ZrO2ビーズ、ZrO2容器)。この得られるACP粉末はXRD(リイトベルド精密分析)によれば73%純粋であり、残りはTetCPであった。X線蛍光分析(XRF)を使用して、0.004%のZrO2が得られるACP粉末中に見られた。セメントを生成するために、ACP粉末10g及びリン酸二カルシウム(CaHPO4)3.72gを0.05MのNa2HPO44.5mLと30秒混合した(ビーカー及びスパチュラを使用して)。この得られるペーストは室温(22±2℃)で11.3±2.1分(平均に関する信頼区間95%)の凝結時間を有していた。このセメントを37℃で1時間、3時間、6時間及び24時間にわたってリン酸塩緩衝剤溶液(pH7.4)中でインキュベートし、機械的に試験した。この湿潤圧縮強度の有意差が種々のエージング条件の間で見られなかった。この平均値は33±3MPa(平均に関する信頼区間95%;1時間、3時間、6時間及び24時間で得られた結果の平均)であった。次いでこれらのサンプルを乾燥させ、XRDにより分析した。これらのサンプルは純粋なヒドロキシアパタイトからなった。3時間以上で得られたサンプルのいずれもが検出可能な量のTetCP残渣又はACP残渣を含んでいなかった。少量のTetCPを1時間で検出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)リン酸カルシウムの粉末粒子を含む第一成分、及び
B)水を含む第二成分
を含む外科用のリン酸カルシウムをベースとする水硬セメントであって、
C)前記リン酸カルシウムが無水の、無定形リン酸カルシウム(ACP)を含み、
D)前記ACPが500℃以上で合成されたリン酸カルシウムを微粉砕することにより得られ、
E)前記ACPが水と反応することが可能であり、これにより硬化されたセメントを製造し、かつ
F) 前記第一成分の比表面積(SSA)が0.05〜10.00m2/gの範囲であることを特徴とする水硬セメント。
【請求項2】
前記ACPが100重量%のリン酸カルシウムと較べて20重量%以下の非水性補助微粉砕液体の存在下で
a)α-リン酸三カルシウム〔α-TCP;Ca3(PO4)2〕、
b)β-リン酸三カルシウム〔β-TCP;Ca3(PO4)2〕、
c)オキシアパタイト〔(OXA);Ca10(PO4)6O〕、
d)リン酸四カルシウム〔TetCP;Ca4(PO4)2O〕、
の群から選ばれた一種以上の物質の微粉砕により得られることを特徴とする、請求項1に記載の水硬セメント。
【請求項3】
前記補助微粉砕溶媒がアルコール、好ましくはエタノール、又はイソプロパノールであることを特徴とする、請求項2に記載のセメント。
【請求項4】
前記ACPに加えて、前記セメントが下記のリスト:リン酸一カルシウム(MCP;Ca(H2PO4)2)、リン酸一カルシウム一水和物(MCPM;Ca(H2PO4)2・H2O)、リン酸二カルシウム(DCP;CaHPO4)、リン酸二カルシウム二水和物(DCPD;CaHPO4・2H2O)、リン酸八カルシウム(OCP;Ca8H2(PO4)6.5H2O)、カルシウム不足ヒドロキシアパタイト(CDHA;Ca9(HPO4)(PO4)5OH)、ヒドロキシアパタイト(HA;Ca10(PO4)6(OH)2)、ベータ-リン酸三カルシウム(b-TCP;Ca3(PO4)2)、オキシアパタイト(OXA;Ca10(PO4)6O)、リン酸四カルシウム(TTCP;Ca4(PO4)2O)、及びα-リン酸三カルシウムからの一種又は数種のその他のリン酸カルシウムを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項5】
前記無定形リン酸カルシウム(ACP)が全第一成分の少なくとも50重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項6】
前記無定形リン酸カルシウム(ACP)が全第一成分の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%の量で存在することを特徴とする、請求項5に記載のセメント。
【請求項7】
前記第一成分が或る量の硫酸カルシウム二水和物(CSD)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項8】
セメントが前記硫酸カルシウム二水和物(CSD)の合計量の10%より多い硫酸カルシウム半水和物(CSH)を含まないことを特徴とする、請求項7に記載のセメント。
【請求項9】
前記第一成分が或る量の硫酸カルシウム半水和物(CSH)を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項10】
前記硫酸カルシウム半水和物(CSH)の量が前記硫酸カルシウム二水和物(CSD)の5%より少ないことを特徴とする、請求項9に記載のセメント。
【請求項11】
前記硫酸カルシウム半水和物(CSH)がセメント中に実質的に検出し得ないことを特徴とする、請求項10に記載のセメント。
【請求項12】
前記第一成分の粉末粒子が20μm未満、好ましくは10μm未満の平均直径を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項13】
前記二つのセメント成分の少なくとも一つが凝結調節剤を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項14】
前記セメント成分の少なくとも一つが凝結促進剤を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項15】
前記第一成分が凝結促進剤を含むことを特徴とする、請求項14に記載のセメント。
【請求項16】
前記凝結促進剤がアパタイト粉末であることを特徴とする、請求項14又は15に記載のセメント。
【請求項17】
前記凝結促進剤がカルシウム不足ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイト粉末であることを特徴とする、請求項14又は15に記載のセメント。
【請求項18】
前記凝結促進剤が水溶性カルシウム塩、好ましくは塩化カルシウムであることを特徴とする、請求項14又は15に記載のセメント。
【請求項19】
前記第二成分が凝結促進剤を含むことを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項20】
前記凝結促進剤が溶解されたカルシウム塩、好ましくは塩化カルシウムであることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項21】
前記凝結調節剤が凝結遅延剤であることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項22】
前記第一成分又は第二成分が凝結遅延剤を含むことを特徴とする、請求項1から21のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項23】
前記凝結遅延剤がクエン酸イオン、ピロリン酸イオン、炭酸イオン又はマグネシウムイオンの群から選ばれることを特徴とする、請求項21又は22に記載のセメント。
【請求項24】
37℃におけるセメントペーストの凝結時間が2〜15分を含むことを特徴とする、請求項1から23のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項25】
37℃におけるセメントペーストの凝結時間が5〜12分を含むことを特徴とする、請求項24に記載のセメント。
【請求項26】
前記3成分を混合することにより得られたセメントペーストのCa/Pモル比が1.5より大きいことを特徴とする、請求項1から25のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項27】
前記セメントのCa/Pモル比が1.667に等しいことを特徴とする、請求項26に記載のセメント。
【請求項28】
前記セメントのCa/Pモル比が1.667より大きいことを特徴とする、請求項26に記載のセメント。
【請求項29】
前記セメントのCa/Pモル比が2.0以上であることを特徴とする、請求項26に記載のセメント。
【請求項30】
前記成分の少なくとも一つが放射線造影剤を含むことを特徴とする、請求項1から29のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項31】
前記放射線造影剤が固体化合物であることを特徴とする、請求項30に記載のセメント。
【請求項32】
前記固体放射線造影剤が粒子形態で存在し、それにより前記粒子が10マイクロメートルより大きく、更に好ましくは20マイクロメートルより大きい直径を有することを特徴とする、請求項31に記載のセメント。
【請求項33】
前記放射線造影剤が、好ましくはタンタル、タングステン又はチタンの、金属粉末であることを特徴とする、請求項31又は32に記載のセメント。
【請求項34】
前記放射線造影剤がセラミック粉末、好ましくは硫酸バリウム又は二酸化チタンであることを特徴とする、請求項31又は32に記載のセメント。
【請求項35】
前記放射線造影剤が液体化合物、好ましくはヨウ素化合物であることを特徴とする、請求項30に記載のセメント。
【請求項36】
前記放射線造影剤が有機ヨウ素化合物、好ましくはイオパミドール(C17H22I3N3O8)、イオヘキソール(C19H26I3N3O9)、又はイオトロラン(C37H48I6N6O18)であることを特徴とする、請求項35に記載のセメント。
【請求項37】
前記3成分の一つ、好ましくは第三成分が、セメントレオロジーを調節するための添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から36のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項38】
前記第三成分がセメントレオロジーを調節するための添加剤を含むことを特徴とする、請求項37に記載のセメント。
【請求項39】
前記セメントレオロジーを調節するのに使用される添加剤が多糖誘導体、好ましくはヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、ヘパラン硫酸塩、ヘパリン、デキストラン、アルギン酸塩、ケラタン硫酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キサンタンガム、グアーガム、又はカラゲナンの群から選ばれることを特徴とする、請求項37又は38に記載のセメント。
【請求項40】
前記セメントレオロジーを調節するのに使用される添加剤がヒアルロン酸及び/又はその塩の一種であることを特徴とする、請求項37又は38に記載のセメント。
【請求項41】
前記セメントレオロジーを調節するのに使用される添加剤の濃度が第三成分の、1重量%より大きく、好ましくは2重量%より大きいことを特徴とする、請求項37から40のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項42】
前記第三成分の体積VLが0.5VT<VL<10.0VT(式中、VTは第一成分及び第二成分の合計粉末体積である)の範囲であることを特徴とする、請求項1から41のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項43】
前記第三成分の体積VLが1.0VT<VL<2.5VT(式中、VTは第一成分及び第二成分の合計粉末体積である)の範囲であることを特徴とする、請求項42に記載のセメント。
【請求項44】
前記セメントの第一成分又は第二成分が更に顆粒を含んでもよく、その直径が前記第一成分の前記粉末粒子の平均直径よりも少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍大きいことを特徴とする、請求項1から43のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項45】
前記顆粒が100μm〜500μmの範囲の平均直径を有することを特徴とする、請求項44に記載のセメント。
【請求項46】
前記顆粒がリン酸カルシウム、CSH、CSD、ポリマー、塩化ナトリウム、バイオガラス又は糖、好ましくはグルコース、フラクトース、及びマンノースからつくられることを特徴とする、請求項44又は45に記載のセメント。
【請求項47】
前記3成分の一種以上が医薬上又は生理学上活性な物質、好ましくは抗生物質、坑炎症薬、骨多孔症に対する薬物、抗癌薬、ペプチド、プロトン-ポンプインヒビター及びタンパク質、例えば、成長因子を含むことを特徴とする、請求項1から46のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項48】
前記3成分の一つ、好ましくは第三成分が、好ましくはドクセートナトリウム(C20H37NaO7S)、ラウリル硫酸ナトリウム(C12H25NaO4S)、ステアリン酸(C17H35COOH)、アルキルジメチル(フェニルメチル)-アンモニウムクロリド〔CAS登録番号8001-54-5〕、ベンゼトニウムクロリド(C27H42ClNO2)、セトリミド(C17H38BrN)、グリセリンモノオレエート(C21H40O4)、ポリソルベート20(C58H114O26)、ポリソルベート21(C26H50O10)、ポリソルベート40(C62H122O26)、ポリソルベート60(C64H126O26)、ポリソルベート61(C32H62O10)、ポリソルベート65(C100H194O28)、ポリソルベート80(C64H124O26)、ポリソルベート81(C34H64O11)、ポリソルベート85(C100H188O28)、ポリソルベート120(C64H126O26)、ポリビニルアルコール((C2H4O)n)、ソルビタンジ-イソステアレート(C42H80O7)、ソルビタンジオレエート(C42H76O7)、ソルビタンモノイソステアレート(C24H46O6)、ソルビタンモノラウレート(C18H34O6)、ソルビタンモノオレエート(C24H44O6)、ソルビタンモノパルミテート(C22H42O6)、ソルビタンモノステアレート(C24H46O6)、ソルビタンセスキ-イソステアレート(C33H63O6.5)、ソルビタンセスキオレエート(C33H63O6.5)、ソルビタンセスキステアレート(C33H63O6.5)、ソルビタントリ-イソステアレート(C33H63O6.5)、ソルビタントリオレエート(C33H63O6.5)、ソルビタントリステアレート(C33H63O6.5)、グリセリルモノオレエート(C21H40O4)、イソプロピルミリステート(C17H34O2)、イソプロピルパルミテート(C19H38O2)、ラノリン〔CAS登録番号8006-54-0〕、ラノリンアルコール〔CAS登録番号8027-33-6〕、含水ラノリン〔CAS登録番号8020-84-6〕、レシチン〔CAS登録番号8002-43-5〕、中間鎖トリグリセリド(登録番号なし)、モノエタノールアミン(C2H7NO)、オレイン酸(C17H33COOH)、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル〔CAS登録番号9004-95-9〕、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル〔CAS登録番号9005-00-9〕、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル〔CAS登録番号9002-92-0〕、ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル〔CAS登録番号9004-98-2〕、ポリエトキシル化ヒマシ油〔CAS登録番号61791-12-6〕、ポリオキシル40ステアレート(C98H196O42)、ポリオキシル50ステアレート(C118H236O52)、トリエタノールアミン(C6H15NO3)、アニオン性乳化ワックス〔CAS登録番号8014-38-8〕、ノニオン性乳化ワックス〔CAS登録番号977069-99-0〕、及びドデシル硫酸ナトリウム(NaC12H25SO4)の群から選ばれた、表面張力活性剤を含むことを特徴とする、請求項1から47のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項49】
前記第一成分の比表面積(SSA)が1.5〜3.5m2/gの範囲であることを特徴とする、請求項1から48のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項50】
前記セメントのセメント粘度がセメント混合の開始の1分後に、400s-1のせん断速度で1Pa sより大きいことを特徴とする、請求項1から50のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項51】
前記セメントのセメント粘度がセメント混合の開始の1分後に、400s-1のせん断速度で10Pa sより大きいことを特徴とする、請求項50に記載のセメント。
【請求項52】
前記セメントのセメント粘度がセメント混合の開始の1分後に、400s-1のせん断速度で100Pa sより大きいことを特徴とする、請求項51に記載のセメント。
【請求項53】
成分“a)”が更に水溶性リン酸塩を含み、かつ成分“b)”がポリマー、好ましくはヒアルロン酸ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項52に記載のセメント。
【請求項54】
前記2成分の混合物の凝結時間が2〜15分、好ましくは5〜12分であることを特徴とする、請求項1から53のいずれか1項に記載のセメント。
【請求項55】
前記2成分の混合物が動物又はヒトの骨欠陥に注入され、生体内で凝結されることを特徴とする、請求項1から54のいずれか1項に記載のセメントの使用。
【請求項56】
請求項1から54のいずれか1項に記載の前記2成分が一緒に混合され、硬化させられることを特徴とする、一時的骨置換材料としてのアパタイトの混合物の製造方法。
【請求項57】
アパタイトを含むことを特徴とする、請求項56に記載の方法により得られた一時的骨置換材料。
【請求項58】
前記アパタイトマトリックス中に埋め込まれたCSDを含むことを特徴とする、請求項57に記載の一時的骨置換材料。
【請求項59】
生体内移植体のための請求項1から54のいずれか1項に記載のセメントを硬化することにより得られた顆粒又はブロック。

【公表番号】特表2007−527753(P2007−527753A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502160(P2007−502160)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000134
【国際公開番号】WO2005/084726
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(500156058)
【氏名又は名称原語表記】DR. H.C. ROBERT MATHYS STIFTUNG
【住所又は居所原語表記】Bischmattstrasse 12, Postfach, CH−2544 Bettlach, Switzerland
【Fターム(参考)】