説明

外装パネル用役物の構造

【課題】外壁本体の入隅部において一対の外装パネルの端部を確実且つ容易に所定位置に装着できる外装パネル用役物の構造を提供する。
【解決手段】外装パネル用役物10は、建築物の外壁本体11の入隅部に取付けられる一対の外装パネル12の端部12aを覆う役物で長尺のベカバー材13とース材14で構成される。カバー材13の断面形状は対称形で一対の脚部13gを形成しその先端部に爪部13hが形成される。ベース材14の断面形状は対称形で、脚部13gを挿入するための凹部16と外壁本体11に固着される開度θ4=90度の一対の固着部14dが、固着部14dの一端部14eに立設する垂直板14fと固着部14dに平行な平行板14gを介して凹部16の両開口端部14cに連結される。凹部16の開口端部14cに内部側に向けて爪部13hを係止する突起14hを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁本体の入隅に設ける一対の外装パネルの端部を覆う外装パネル用役物の構造に関し、特に、外装パネル端部の差込位置が確実且つ容易に判断できる外装パネル用役物の構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外壁本体の隅部に外装パネルとして設ける場合に、一対の外装パネルの端部を覆う外装パネル用役物はベース材とカバー材で構成され、ベース材にカバー材を確実且つ容易に装着できる構造が求められていた。
【0003】
このような外装パネル用役物として特許文献1の記載が知られている。特許文献1によれば、図4に示すように、出隅用の外装パネル用役物はカバー材3とベース材4で構成される。カバー材3の表面化粧部31には、出隅に対応できるように直角コーナー部313を設けるとともに、ベース材4にも出隅に対応できるように直角コーナー部43が設けられ、カバー材3の表面化粧部31の裏面の両端には、その長さ方向に沿って防水パッキンPが延設されている。また、ベース材4にはカバー材3の左係止片321と係合する係合片41および右係止片331と係合する係合片42とがそれぞれの壁部41a、42aに設けられ、係合片41、42の間には嵌合部40が形成されている。
【0004】
このため、カバー材3の左右の脚部32、33をバネ弾性による反発力に抗して一体的にベース材4の嵌合部40に嵌合して弾接させるとともに、左右一対の係止片321、331を左右一対の係合片41、42に各々係合させることにより、外装パネルの両端部を外装パネル用役物で確実に取付けることができる。
【特許文献1】特開2005−126988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図5に示すように、上記の出隅用の外装パネル用役物の壁部41a、42aと左右一対の係合片41、42と左右一対の係止片321、331の形状を用いて、カバー材3aとベース材4aを入隅用に改良して適用することができる。この場合、一方の外装パネルSの端部S1の差込位置が明確でないので端部S1と壁部41aとの間に隙間が生じ、他方の外装パネルSの端部S1が壁部42aに当接する状態に外装パネルSが取付けられることがある。この場合、カバー材3aは片方の壁部41aを挟み込むような状態に挿入されるので左右一対の係止片321、331を左右一対の係合片41、42に係合することができないという問題があった。
【0006】
また、図6に示すように、両方の外装パネルSの端部S1の差込位置が分かりにくいため端部S1が壁部41a、壁部42aに当接する位置に取付けられると、一対の外装パネルS間の隙間が狭くなるため係止片321、331が挿入できないため係合片41、42に係合することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は外壁本体の入隅部において一対の外装パネルの端部を確実且つ容易に所定位置に装着できる外装パネル用役物の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、建築物の外壁本体の入隅に設けられる一対の外装パネルの端部を覆うベース材とカバー材から成る長尺の外装パネル用役物の構造であって、前記カバー材の断面形状は対称形で、略直角に中央部で折曲がる一対の第一表面部と、この第一表面部の両端部で折返し前記第一表面部の裏面に沿う第二表面部と、前記第二表面部の前記中央部近傍から互いに鋭角で延設する一対の脚部と、この一対の脚部の先端部から互いに離反する方向に折返して成る爪部と、が連続して形成され、前記ベース材の断面形状は対称形で、前記爪部を挿入する凹部とこの凹部の両端部に連結して前記外壁本体に固着される一対の固着部とから成り、前記凹部の開口端部の内部側に前記爪部を係止する突起を備え、前記開口端部と前記固着部は前記固着部に垂直な垂直板を介して連結されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、前記ベース材の断面形状は対称形で、前記爪部を挿入する凹部とこの凹部の両端部に連結して前記外壁本体に固着される一対の固着部とから成り、前記凹部の開口端部の内部側に前記爪部を係止する突起を備え、前記開口端部と前記固着部は前記固着部に垂直な垂直板を介して連結されるので、一対の外装パネルの端部を垂直板にそれぞれ当接することで容易且つ確実に外装パネルの所定の取付位置を確定することができる。このため、凹部の両端部に不要な力が係らず凹部の形状が変化しないので前記カバー材を前記ベース材に確実に取付できるので施工性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0011】
<外装パネル用役物の構造の構成>
図1、図2、図3に示すように、本発明の外装パネル用役物10は、建築物の外壁本体11の入隅部に胴縁11aを介して取付けられる一対の外装パネル12の端部12aを覆う役物で、長尺のカバー材13とベース材14で構成される。
【0012】
カバー材13の断面形状は対称形で、一対の第一表面部13aは外壁本体11に平行と成るように中央部13bで開度θ1=90度で折曲がり、この第一表面部13aの両端部13cで折返し第一表面部13aの裏面に沿って第二表面部13dが形成される。より詳しくは、第一表面部13aの中央部13bと端部13c間は幅K1で、第一表面部13aと第二表面部13dは端部13cから長さK2の位置13eで角度θ2=10度で折れ曲がる傾斜部13fを備え、この傾斜部13fに防水用のパッキン材15が固着される。
【0013】
第二表面部13dは中央部13b近傍から一対の脚部13gを互いの脚部13g間の開度θ3=略20度の鋭角で形成し、その先端部に互いに離反する方向に折返して爪部13hが形成される。
【0014】
ベース材14の断面形状は対称形で、カバー材13の脚部13gを挿入するための凹部16が底辺14aと両側辺14bで矩形状に形成される。この凹部16の両開口端部14cに外壁本体11に固着される開度θ4=90度の一対の固着部14dが、固着部14dの一端部14eに立設する垂直板14fと固着部14dに平行な平行板14gを介して連結される。凹部16の開口端部14cに内部側に向けてカバー材13の爪部13hを係止する突起14hを備える。ベース材14の固着部14dは釘等の固着具17を用いて外壁本体11に固着される。
【0015】
カバー材13は鋼板による板金加工で連続的に一体形成される。ベース材14は鋼板による板金加工で爪部15bを除いて連続的に一体形成した後に爪部15bを別途形成するか、爪部15bの部分を折り重ねることで連続的に一体形成される。
【0016】
そして、ベース材14は薄板鋼板の両表面にアルミ・亜鉛合金メッキが施され、カバー材13は両表面にアルミ・亜鉛合金メッキが施された薄板鋼板に、さらに表面側にフッ素樹脂塗装、裏面側にポリエステル樹脂塗装が施された材料が用いられる。
【0017】
外装パネル12は断熱性、遮音性等を目的として、断熱材を図示しない薄肉の金属板で被覆してなる厚さH1=21mmの金属サイディングが用いられる。複数の外装パネル12は外壁本体11の下から上に向かって順番に横張りで組付ける場合と左右方向に縦張りで取付ける場合とがある。外装パネル用役物10の取付時に、必要によりパッキン材15と別途に図示しないシール材を用いて防水対策が施される。なお、胴縁11aが使用されない場合もある。
【0018】
<外装パネル用役物の構造の作用>
上記のように、ベース材14の開口端部14cと固着部14dは固着部14dの一端部14eに立設する垂直板14fと固着部14dに平行な平行板14gを介して連結される。このため、外装パネル12を外壁本体11に沿わせてベース材14に位置決めする際に、外装パネル12の端部12aを垂直板14f位置に合わせるだけで容易に位置決めすることができる。つまり、垂直板14fの存在によって外装パネル12の端部12aが垂直板14fに当接したという感触が作業者に確実に伝わるので余分な力で垂直板14fを押込みすぎて凹部16の形状が変化することも無く最適な取付位置の確定が容易にできるので取付作業の効率と施工性が向上する。
【0019】
脚部13gの爪部13hが係止される状態が目視できなくても、脚部13gは平行板14gによって凹部16の一側辺14bに跨がることもなく凹部16内に確実に挿入できて、挿入後は脚部13gの弾力で凹部16の両側辺14bに当接するので爪部13hが突起14hによって確実に係止される。
【0020】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0021】
たとえば、ベース材14の開口端部14cと固着部14dを垂直板14fと平行板14gを介して連結する代わりに、開口端部14cと固着部14dを斜板によって直接連結しても構わない。この場合でも、斜板の存在によって外装パネル12の端部12aが固着部14dの一端部14eにおける斜板と当接したという感触が作業者に確実に伝わるので同様の効果が得られる。また、カバー材13の開度θ1は入隅の実角度に応じて90度以外の角度にも対応できる。カバー材13とベース材14はアルミ材や樹脂材でも形成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における、建築物の外壁本体11の入隅部に設ける一対の外装パネル12の端部12aを覆うカバー材13とベース材14から成る外装パネル用役物10の断面図である。
【図2】本発明の実施形態における、カバー材13の断面図である。
【図3】本発明の実施形態における、ベース材14の断面図である。
【図4】従来の、建築物の外壁本体に設けられる一対の外装パネルSの端部を覆うカバー材3とベース材4から成る外装パネル用役物の断面図である。
【図5】従来の他の建築物の外壁本体に設けられる一対の外装パネルSの端部S1を覆うカバー材3aとベース材4aから成る外装パネル用役物の断面図で、一方の外装パネルSの端部S1が壁部42aに近接した状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す従来の他の外装パネル用役物で、両方の外装パネルSの端部S1が壁部41a、42aに近接した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 外装パネル用役物
11 外壁本体
12 外装パネル
12a 端部
13 カバー材
13g 脚部
13h 爪部
14 ベース材
14c 開口端部
14d 固着部
14e 一端部
14f 垂直板
14g 平行板
14h 突起
16 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の外壁本体の入隅に設けられる一対の外装パネルの端部を覆うベース材とカバー材から成る長尺の外装パネル用役物の構造であって、
前記カバー材の断面形状は対称形で、略直角に中央部で折曲がる一対の第一表面部と、この第一表面部の両端部で折返し前記第一表面部の裏面に沿う第二表面部と、前記第二表面部の前記中央部近傍から互いに鋭角で延設する一対の脚部と、この一対の脚部の先端部から互いに離反する方向に折返して成る爪部と、が連続して形成され、
前記ベース材の断面形状は対称形で、前記爪部を挿入する凹部とこの凹部の両端部に連結して前記外壁本体に固着される一対の固着部とから成り、前記凹部の開口端部の内部側に前記爪部を係止する突起を備え、前記開口端部と前記固着部は前記固着部に垂直な垂直板を介して連結されることを特徴とする外装パネル用役物の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−7301(P2010−7301A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165867(P2008−165867)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】