説明

外装葺板

【課題】部材点数を少なくして施工時間の短縮を図り得る外装葺板1Aを提供する。
【解決手段】個別外装葺板10Aの両側端部には、上側が開口され最側端壁11a・11aが垂直に垂下するコの字部11・11が形成され、コの字部11・11には、斜め下内に向けて折曲された葺板被挟持係止部12・12が形成されている。隣接する個別外装葺板10A・10Aは、最側端壁11a・11a同士が互いに突き合わされている。1枚板からなるキャップ20Aは、各側端22・22に向けて、最側端壁11a・11a同士が互いに突き合わされたコの字部11・11の開口11c・11cを覆う位置まで延びた後、裏側に180度折り返され、さらに下方に折曲されて2つの葺板被挟持係止部12・12を弾性的に挟持し、かつキャップ20Aの上側への移動を阻止するように葺板被挟持係止部12・12に係止されるキャップ挟持被係止部23・23を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各側端部同士を互いに対向させて並べて配設した複数の個別外装葺板と、該個別外装葺板の側端部同士間に嵌め込まれたキャップとからなる屋根材又は外壁材として使用される外装葺板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各側端部同士を互いに対向させて並べて配設した複数の個別外装葺板と、該個別外装葺板の側端部同士間に嵌め込まれたキャップとからなる屋根材又は外壁材として使用される外装葺板では、例えば、特許文献1に開示されたものが存在する。
【0003】
上記特許文献1に開示された縦葺屋根板の接続構造は、図15に示すように、屋根下地材101上に隠し樋102を介して隣接配置される屋根板110・110の端部同士が係止金具120にて接続され、屋根板110・110の端部同士間にキャップ130が嵌め込まれるようになっている。
【0004】
詳細には、野地板103上の隠し樋102の両側に、係止部121と受け片122とをそれぞれ有する係止金具120・120を止め具104・104にて固定する。係止金具120・120は隠し樋102とは別体にて短尺物に構成されることによって屋根板110・110同士間の間隔に合わせて任意に調整でき、また、通し吊子に比して小型軽量で屋根上でも容易に取り付けられるものとなっている。
【0005】
さらに、係止金具120の係止部121に屋根板110の被係止部111を係合させ、屋根板110・110の端部同士間にキャップ130を嵌め込む。受け片122・122の上にはポリスチレンフォームからなるバックアップ材124・124を載置して野地板103との間に断熱空気層125・125を形成し、結露防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−159271号公報(1998年6月16日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の外装葺板では、以下の問題点を有している。
【0008】
すなわち、特許文献1に開示された縦葺屋根板の接続構造では、屋根板110・110を屋根下地材101に固定するために、隠し樋102と、2つの係止金具120・120と、キャップ130とを必要としている。
【0009】
したがって、部材点数が多い。例えば、特許文献1に開示されたキャップ130は、屋根板110・110の端部同士間において凹部となる位置に設けられているので、この凹部への雨水の浸入を容認しており、その結果、隠し樋102が必須の部材となっている。また、係止金具120・120についても、2つの部材からなっている。
【0010】
この結果、部材点数が多いことにより、現場施工に際して時間がかかるという問題点を有している。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、部材点数を少なくして現場での施工時間の短縮を図り得る外装葺板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の外装葺板は、上記課題を解決するために、各側端部同士を互いに対向させて並べて配設した複数の個別外装葺板と、該個別外装葺板の側端部同士間に嵌め込まれたキャップとからなる外装葺板において、上記個別外装葺板における両方の側端部には、上側が開口されかつ最側端壁が垂直に垂下する上側開口凹部がそれぞれ形成されており、かつ上記上側開口凹部の最側端頂部から該上側開口凹部の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部がそれぞれ形成され、隣接する上記個別外装葺板は、上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされていると共に、上記キャップは、1枚の板にて形成され、該板の中央からそれぞれ側端に向けて、上記上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされた個別外装葺板における該上側開口凹部の開口を覆う位置まで少なくとも延びた後、裏側に180度折り返され、さらに下方に折曲されて上記2つの葺板被挟持係止部を弾性的に挟持し、かつ該キャップの上側への移動を阻止するように上記葺板被挟持係止部に係止されるキャップ挟持被係止部を備えてなることを特徴としている。
【0013】
上記の発明によれば、外装葺板は、個別外装葺板及びキャップのみによって構成されているので、部材点数が非常に少ない。
【0014】
ここで、本発明の外装葺板における個別外装葺板同士を接続する場合には、隣接する個別外装葺板における上側開口凹部の最側端壁同士を互いに突き合わせる。このとき、上側開口凹部の最側端壁は、いずれも個別外装葺板の表面に対して垂直に垂下しているので、両者を密着して接触させることができる。
【0015】
次に、キャップを個別外装葺板の側端部同士間に上側から嵌め込む。ここで、キャップを嵌め込むに際して、個別外装葺板における両方の側端部には、上側開口凹部がそれぞれ形成されており、かつ上記上側開口凹部の最側端頂部から該上側開口凹部の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部がそれぞれ形成されている。一方、キャップは、上記2つの葺板被挟持係止部を弾性的に挟持し、かつ該キャップの上側への移動を阻止するように上記葺板被挟持係止部に係止されるキャップ挟持被係止部を備えている。
【0016】
このため、キャップを下方へ押し下げることによって、キャップ挟持被係止部にて2つの葺板被挟持係止部を弾性的に容易に挟持して嵌め込むことができる。また、キャップの上側への移動を阻止するようにキャップ挟持被係止部が個別外装葺板の葺板被挟持係止部に係止するので、キャップは外れない。
【0017】
ここで、キャップは、1枚の板にて形成され、該板の中央からそれぞれ側端に向けて、上記上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされた個別外装葺板における該上側開口凹部の開口を覆う位置まで少なくとも延びた後、裏側に180度折り返されてなっている。このため、キャップは、個別外装葺板における上側開口凹部の開口を完全に覆っている。したがって、雨水が、上側開口凹部内に侵入することがない。この結果、特許文献1に必要であった隠し樋が不要となる。尚、仮に、雨水が上側開口凹部内に侵入したとしても、侵入量は僅かであり、かつ個別外装葺板の上側開口凹部が樋の役目を果たすので問題はない。
【0018】
尚、個別外装葺板を支持固定する場合には、例えば、上側開口凹部にて、釘や木ねじ等の固定部材にて固定することができる。上側開口凹部はキャップにて隠されており、かつ雨水も浸入しないので、外観及び防水の点での問題はない。
【0019】
したがって、部材点数を少なくして現場での施工時間の短縮を図り得る外装葺板を提供することができる。
【0020】
また、本発明の外装葺板では、前記個別外装葺板の中央部には、凹部が形成されており、上記凹部には、ソーラーパネルが敷設されると共に、前記キャップは、前記板の中央からそれぞれ側端に向けて、前記上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされた個別外装葺板における該上側開口凹部の開口を覆う位置を超えて上記ソーラーパネルの端部まで延びて該ソーラーパネルを係止した後、裏側に180度折り返されていることが好ましい。
【0021】
これにより、本発明の外装葺板にソーラーパネルを取り付けることができる。また、外装葺板へのソーラーパネルの取り付けに際しては、まず、個別外装葺板の中央部に形成された凹部にソーラーパネルを敷設する。ここで、本発明では、キャップは、前記板の中央からそれぞれ側端に向けて、前記上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされた個別外装葺板における該上側開口凹部の開口を覆う位置を超えて上記ソーラーパネルの端部まで延びて該ソーラーパネルを係止した後、裏側に180度折り返されている。
【0022】
したがって、ソーラーパネルは、その端部にてキャップにより係止される。そして、キャップは、ソーラーパネルを係止した後、裏側に180度折り返され、さらに、下方に折曲されてキャップ挟持被係止部にて葺板被挟持係止部に係止される。したがって、ソーラーパネルは、個別外装葺板に支持固定されるキャップにて支持固定される。この結果、ソーラーパネルを容易に支持固定することができる。
【0023】
本発明の外装葺板では、前記隣接する個別外装葺板における両方の側端部の間には、下地に固定されかつ個別外装葺板を支持する吊り子が設けられていると共に、上記吊り子は、断面逆T字状に形成され、断面逆T字の底板部が固定部材にて上記下地に固定されると共に、断面逆T字の立ち上げ部の頂部には、上記個別外装葺板における上側開口凹部の最側端頂部から該上側開口凹部の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部に沿うように折曲自在に設けられた吊り子係止部を備えていることが好ましい。
【0024】
これにより、吊り子は下地に固定されかつ個別外装葺板を支持するので、吊り子を用いて個別外装葺板を支持固定することができる。
【0025】
ここで、吊り子にて個別外装葺板を支持固定する場合には、吊り子における断面逆T字の底板部にて木ねじ等の固定部材を用いて下地に固定する。次いで、吊り子における断面逆T字の立ち上げ部の両側から該立ち上げ部を挟むようにして、隣接する上記個別外装葺板における上側開口凹部の最側端壁同士を互いに突き合わせる。その後、吊り子における断面逆T字の立ち上げ部の頂部に形成された吊り子係止部を、個別外装葺板における上側開口凹部の最側端頂部から該上側開口凹部の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部に沿うように折曲する。
【0026】
したがって、吊り子にて個別外装葺板を支持固定することができる。ここで、吊り子は1つの部材からなっているので、2つの部材からなっているのに比べて部材点数が増加し過ぎることはない。さらに、吊り子での個別外装葺板への支持固定も極めて容易である。
【0027】
尚、特許文献1においては、係止金具を2つに分けている理由として、屋根板同士間の間隔に合わせて任意に調整可能とするためとしている。しかし、本発明では、個別外装葺板は、上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされているので、個別外装葺板同士間の間隔は一定であり、吊り子を2つの部材とする必要がない。
【発明の効果】
【0028】
本発明の外装葺板は、以上のように、個別外装葺板における両方の側端部には、上側が開口されかつ最側端壁が垂直に垂下する上側開口凹部がそれぞれ形成されており、かつ上記上側開口凹部の最側端頂部から該上側開口凹部の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部がそれぞれ形成され、隣接する上記個別外装葺板は、上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされていると共に、上記キャップは、1枚の板にて形成され、該板の中央からそれぞれ側端に向けて、上記上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされた個別外装葺板における該上側開口凹部の開口を覆う位置まで少なくとも延びた後、裏側に180度折り返され、さらに下方に折曲されて上記2つの葺板被挟持係止部を弾性的に挟持し、かつ該キャップの上側への移動を阻止するように上記葺板被挟持係止部に係止されるキャップ挟持被係止部を備えてなるものである。
【0029】
それゆえ、部材点数を少なくして施工時間の短縮を図り得る外装葺板を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明における外装葺板の実施の一形態を示すものであり、隣接する個別外装葺板の接続部分の構成を示す断面図である。
【図2】上記外装葺板における全体構成を示す斜視図である。
【図3】上記個別外装葺板の構成を示す断面図である。
【図4】上記隣接する個別外装葺板の側端部同士間に嵌め込まれるキャップの構成を示す断面図である。
【図5】上記個別外装葺板における変形例の構成を示す断面図である。
【図6】上記変形例の構成の個別外装葺板を用いた場合の隣接する個別外装葺板の接続部分の構成を示す断面図である。
【図7】上記個別外装葺板における他の変形例の構成を示す断面図である。
【図8】本発明における外装葺板の他の実施の形態を示すものであり、第3凹部にソーラーパネルが敷設された個別外装葺板を示す断面図である。
【図9】上記外装葺板における、隣接する個別外装葺板の接続部分の構成を示す断面図である。
【図10】本発明における外装葺板のさらに他の実施の形態を示すものであり、実施の形態1に記載の個別外装葺板に適用される吊り子を用いる場合の隣接する個別外装葺板の接続部分の構成を示す断面図である。
【図11】(a)は上記吊り子の構成を示す正面図であり、(b)は上記吊り子の構成を示す側面図である。
【図12】第3凹部にソーラーパネルが敷設された個別外装葺板の裏面に貼着されたバックアップ材の構成を示す正面図である。
【図13】実施の形態2に記載の第3凹部にソーラーパネルが敷設された個別外装葺板に適用される吊り子を用いる場合の隣接する個別外装葺板の接続部分の構成を示す断面図である。
【図14】(a)は上記吊り子の構成を示す正面図であり、(b)は上記吊り子の構成を示す側面図である。
【図15】従来の外装葺板の構成を示すものであり、隣接する個別外装葺板における接続部分の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0032】
本実施の形態の外装葺板1Aは、屋根材又は外壁材に使用できるものであり、図2に示すように、各側端部同士を互いに対向させて並べて配設した複数の個別外装葺板10A…と、該個別外装葺板10A…の側端部同士間に嵌め込まれたキャップ20Aとからなっている。
【0033】
上記外装葺板1Aの個別外装葺板10Aは、図3に示すように、1枚のフラットな鋼板にて形成されており、両方の側端部には、上側が開口された上側開口凹部としての例えば断面コの字状となるコの字部11・11がそれぞれ形成されている。上記個別外装葺板10Aの寸法は、例えば、働き幅が、約450mmであり、長さは屋根の長さや外壁の高さに応じて数mから数10mまで随時決定することができる。尚、本実施の形態では、上側開口凹部としての例えば断面コの字状となるコの字部11・11が設けられているが、本発明においては、必ずしもこれに限らない。すなわち、上側開口凹部は、個別外装葺板10Aにおいて上側が開口され、かつ最側端壁11a・11aが垂直に垂下する凹部であればよく、例えば逆直角三角形や4分の1円等の形状であってもよい。
【0034】
上記コの字部11には、最側端頂部11bから該コの字部11の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部12が形成されている。この葺板被挟持係止部12は、詳細には、コの字部11の内部へ斜め下に向けて折曲された斜め下折曲部12aと、この斜め下折曲部12aの先端からU字状に裏面側に曲げられたU字部12bとからなっている。
【0035】
次に、キャップ20Aは、図4に示すように、1枚の鋼板にて形成され、該鋼板の中央21からそれぞれ側端22に向けて延びた後、裏側に180度折り返されている。そして、鋼板の中央21の近くまで戻った後、さらに下方に折曲されて上記コの字部11・11の葺板被挟持係止部12・12に係止されるキャップ挟持被係止部23・23を備えている。
【0036】
上記のキャップ20Aの側端22は、後述する図1に示すように、コの字部11・11の最側端壁11a・11a同士が互いに突き合わされた個別外装葺板10Aにおける該コの字の開口11c・11cを覆う位置まで少なくとも延びた後、裏側に180度折り返されたものとなっている。裏側に180度折り返された部分には、止水シール材24・24が貼着されている。
【0037】
上記キャップ挟持被係止部23は、詳細には、図4に示すように、側端22にて裏側に180度折り返されて鋼板の中央21の近くまで戻った後、さらに下方に折曲された下方垂下部23aと、その下方垂下部23aの先端から中央21に向かうS字部23bとからなっている。したがって、図1に示すように、キャップ20Aを下方へ押し下げることによって、キャップ挟持被係止部23・23にて2つの葺板被挟持係止部12・12を弾性的に容易に挟持できる。また、キャップ20Aの上側への移動を阻止するようにキャップ挟持被係止部23が個別外装葺板10A・10Aの葺板被挟持係止部12・12に係止する。具体的には、キャップ挟持被係止部23のS字部23bが葺板被挟持係止部12のU字部12bにて、キャップ20Aの上側への移動を阻止する。この結果。キャップ20Aは外れない。尚、キャップ20Aのキャップ挟持被係止部23・23は、鋼板の弾性力にて2つの葺板被挟持係止部12・12を弾性的に挟持しており、かつU字部12b及びS字部23bは曲線にて形成されているので、弾性力に抗して無理に外せば、キャップ20Aを外すことも可能である。
【0038】
上記構成の外装葺板1Aにおける施工方法について、説明する。
【0039】
まず、外装葺板1における個別外装葺板10A・10A同士を接続する場合には、隣接する個別外装葺板10A・10Aにおけるコの字部11・11の最側端壁11a・11a同士を互いに突き合わせる。このとき、コの字部11・11の最側端壁11a・11aは、いずれも個別外装葺板10Aの表面に対して垂直に垂下しているので、両者を密着して接触させることができる。
【0040】
次に、キャップ20Aを個別外装葺板10A・10Aの側端部同士間に上側から嵌め込む。ここで、キャップ20Aを嵌め込むに際して、個別外装葺板10Aにおける両方の側端部には、上側に開口11c・11cを有する断面コの字状となるコの字部11・11がそれぞれ形成されており、かつコの字部11・11の最側端頂部11b・11bから該コの字部11・11の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部12・12がそれぞれ形成されている。一方、キャップ20Aは、下方に折曲されて上記葺板被挟持係止部12・12に係止されるキャップ挟持被係止部23・23を備えている。
【0041】
このため、キャップ20Aを下方へ押し下げることによって、キャップ挟持被係止部23・23にて2つの葺板被挟持係止部12・12を弾性的に容易に挟持して嵌め込むことができる。また、キャップ20Aの上側への移動を阻止するようにキャップ挟持被係止部23が個別外装葺板10A・10Aの葺板被挟持係止部12・12に係止するので、キャップ20Aは外れない。
【0042】
ここで、本実施の形態では、キャップ20Aは、1枚の鋼板にて形成され、該鋼板の中央21からそれぞれ側端22・22に向けて、コの字部11・11の最側端壁11a・11a同士が互いに突き合わされた個別外装葺板10A・10Aにおける該コの字部11・11の開口11c・11cを覆う位置まで少なくとも延びた後、裏側に180度折り返されてなっている。このため、キャップ20Aは、個別外装葺板10A・10Aにおけるコの字部11・11の開口11c・11cを完全に覆っている。したがって、雨水が、コの字部11・11内に侵入することがない。この結果、従来必要であった隠し樋が不要となる。仮に、雨水がコの字部11・11内に侵入したとしても、侵入量は僅かであり、かつ個別外装葺板10A・10Aのコの字部11・11が樋の役目を果たすので問題はない。
【0043】
尚、個別外装葺板10A・10Aを支持固定する場合には、例えば、コの字部11・11にて、図示しない釘や木ねじ等の固定部材にて固定することができる。コの字部11・11は、キャップ20Aにて隠されており、かつ雨水も浸入しないので、外観及び防水の点での問題はない。
【0044】
このように、本実施の形態の外装葺板1Aは、個別外装葺板10A…及びキャップ20Aのみによって構成されているので、部材点数が非常に少ない。
【0045】
したがって、部材点数を少なくして現場での施工時間の短縮を図り得る外装葺板1Aを提供することができる。
【0046】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、個別外装葺板10Aは、コの字部11・11までフラットに形成されていたが、特にこれに限定するものではなく、図5に示すように、コの字部11・11の直前に第1凹部10a・10aを形成することが可能である。これにより、図6に示すように、キャップ20Aの側端22を、第1凹部10aの内部に納まるようにすることができる。これによって、個別外装葺板10Aとキャップ20Aとを同一平面上となるようにすることができ、外装葺板1Aの全面をフラットに形成することが可能である。
【0047】
また、図7に示すように、個別外装葺板10Aの中央に第2凹部10bを形成することが可能である。これにより、個別外装葺板10Aの剛性を高めることが可能となる。
【0048】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図8及び図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
本実施の形態の外装葺板1Bは、前記実施の形態1における外装葺板1Aの個別外装葺板10Aの構成に加えて、図8に示すように、個別外装葺板10Bには、ソーラーパネル31が敷設される凹部としての第3凹部10cが形成されている点が異なっている。
【0050】
すなわち、上記外装葺板1Bは、図8に示すように、個別外装葺板10Bの中央部に第3凹部10cが形成されており、第3凹部10cには、ソーラーパネル31が敷設されるようになっている。
【0051】
そして、本実施の形態のキャップ20Bは、図9に示すように、板の中央21からそれぞれ側端22側端に向けて、コの字部11・11の最側端壁11a・11a同士が互いに突き合わされた個別外装葺板10B・10Bにおける該コの字の開口11c・11cを覆う位置を超えてソーラーパネル31・31の端部まで延びて該ソーラーパネル31・31を係止した後、裏側に180度折り返されている。
【0052】
これにより、本実施の形態の外装葺板1Bにソーラーパネル31を取り付けることができる。
【0053】
上記構成の外装葺板1Bへのソーラーパネル31の取り付けに際しては、まず、個別外装葺板10Bの中央部に形成された第3凹部10cにソーラーパネル31を敷設する。ここで、本実施の形態では、キャップ20Bは、板の中央21からそれぞれ側端22・22に向けて、コの字部11・11の最側端壁11a・11a同士が互いに突き合わされた個別外装葺板10B・10Bにおける該コの字の開口11c・11cを覆う位置を超えてソーラーパネル31の端部まで延びて該ソーラーパネル31・31を係止した後、裏側に180度折り返されている。
【0054】
したがって、ソーラーパネル31・31は、その端部にてキャップ20Bにより係止される。そして、キャップ20Bは、ソーラーパネル31・31を係止した後、裏側に180度折り返され、さらに、下方に折曲されてキャップ挟持被係止部23・23にて葺板被挟持係止部12・12に係止される。このため、ソーラーパネル31・31は、個別外装葺板10B・10Bに支持固定されるキャップ20Bにて支持固定される。この結果、ソーラーパネル31・31を容易に支持固定することができる。
【0055】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図10〜図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
本実施の形態の外装葺板1Cは、前記実施の形態1の外装葺板1A及び実施の形態2の外装葺板1Bの構成に加えて、個別外装葺板10A又は個別外装葺板10Bの下地への支持固定に吊り子を使用している点が異なっている。
【0057】
最初に、前記実施の形態1に記載の外装葺板1Aにおいて、吊り子を使用する場合について説明する。
【0058】
すなわち、本実施の形態の外装葺板1Cでは、図10に示すように、隣接する個別外装葺板10A・10Aにおける両方の側端部の間に、図示しない屋根下地又は外壁下地等の下地に固定されかつ個別外装葺板10A・10Aを支持する吊り子40Aを設ける。尚、下地は、例えば、野地板、垂木、鉄骨母屋を含む母屋等である。
【0059】
上記吊り子40Aは、図11(a)(b)に示すように、断面逆T字状に形成され、底板部41と立ち上げ部42Aとからなっている。上記立ち上げ部42Aの頂部には、吊り子係止部43・44・44が折曲自在に設けられている。この吊り子係止部43・44・44は、一枚の板にて形成された立ち上げ部42Aの頂部に切込みを入れて3つの折曲自在の舌片を形成し、中央の吊り子係止部43は、予めU字状に折曲し、両端の吊り子係止部44・44は、立ち上げ部42Aに対して鈍角となるように吊り子係止部43とは反対側に予め折曲されている。すなわち、これら吊り子係止部43・44・44は、個別外装葺板10A・10Aにおけるコの字部11・11の最側端頂部11b・11bから該コの字部11・11の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部12・12に沿うように折曲自在に設けられてなっている。
【0060】
上記構成の吊り子40Aを用いて個別外装葺板10A・10Aを支持固定する場合には、図10に示すように、吊り子40Aにおける断面逆T字の底板部41にて木ねじ等の固定部材Fを用いて図示しない下地に固定する。次いで、吊り子40Aにおける断面逆T字の立ち上げ部42Aの両側から該立ち上げ部42Aを挟むようにして、隣接する個別外装葺板10A・10Aにおけるコの字部11・11の最側端壁11a・11a同士を互いに突き合わせる。その後、吊り子40Aにおける断面逆T字の立ち上げ部42Aの頂部に形成された吊り子係止部43・44・44を、個別外装葺板10A・10Aにおけるコの字部11・11の最側端頂部11b・11bから該コの字部11・11の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部12・12に沿うように折曲する。
【0061】
これにより、吊り子40Aにて個別外装葺板10A・10Aを支持固定することができる。
【0062】
次に、前記実施の形態2の外装葺板1Bにおいて、吊り子を使用する場合について説明する。
【0063】
すなわち、前記実施の形態2の外装葺板1Bにおいては、図12に示すように、個別外装葺板10Bの第3凹部10cにはソーラーパネル31が敷設されている。ソーラーパネル31の下部には、太陽電池セル31aが設けられている。この場合、個別外装葺板10B・10Bがソーラーパネル31・31の重量に耐えるように、個別外装葺板10Bの下側には、バックアップ材32が一般的に設けられる。このバックアップ材32は、断熱材としても機能させるために、例えば、耐熱発泡スチロール等の材料からなっており、個別外装葺板10Bの裏面に貼着されている。そして、このバックアップ材32は、個別外装葺板10B・10Bのコの字部11・11も支持できるように、上側両端部が階段状に切り欠かれた切り欠き部32a・32aを有している。
【0064】
その結果、図13に示すように、コの字部11・11の下側にもバックアップ材32が存在しており、バックアップ材32の下面32b・32bと個別外装葺板10B・10Bのコの字部11・11における最側端頂部11b・11bとの高さが、前記図10に示す場合と比べて高くなる。
【0065】
そこで、本実施の形態の外装葺板1Cでは、前記図10に示す吊り子40Aにおける立ち上げ部42Aよりも高い高さを有する立ち上げ部42Bを備えた吊り子40Bを使用している。
【0066】
この吊り子40Bは、図14(a)(b)にも示すように、前記図11(a)(b)に示す吊り子40Aにおける立ち上げ部42Aよりも高い高さを有する立ち上げ部42Bを備えている以外は、吊り子40Aと同じ構成である。
【0067】
上記構成の吊り子40Bを用いて個別外装葺板10B・10Bを支持固定する場合には、図13に示すように、吊り子40Bにおける断面逆T字の底板部41にて木ねじ等の固定部材Fを用いて図示しない下地に固定する。次いで、吊り子40Bにおける断面逆T字の立ち上げ部42Bの両側から該立ち上げ部42Bを挟むようにして、隣接する個別外装葺板10B・10Bにおけるコの字部11・11の最側端壁11a・11a同士、バックアップ材32・32同士を互いに突き合わせる。その後、吊り子40Bにおける断面逆T字の立ち上げ部42Bの頂部に形成された吊り子係止部43・44・44を、個別外装葺板10B・10Bにおけるコの字部11・11の最側端頂部11b・11bから該コの字部11・11の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部12・12に沿うように折曲する。
【0068】
これにより、吊り子40Bにて個別外装葺板10B・10Bを支持固定することができる。
【0069】
その後、実施の形態1及び実施の形態2にて説明したように、キャップ20Aを上側から被せればよい。
【0070】
このように、本実施の形態の外装葺板1Cでは、吊り子40A又は吊り子40Bを使用して、個別外装葺板10A又は個別外装葺板10Bを下地に支持固定する。したがって、個別外装葺板10A又は個別外装葺板10Bに孔を開けないで固定できるので、防水が完全となる。また、吊り子40A又は吊り子40Bでの個別外装葺板10A又は個別外装葺板10Bへの支持固定も極めて容易である。さらに、吊り子40A及び吊り子40Bは、1つの部材からなっているので、2つの部材からなっているのに比べて部材点数が増加し過ぎることはない。尚、特許文献1においては、係止金具を2つに分けている理由として、屋根板同士間の間隔に合わせて任意に調整可能とするためとしている。しかし、本実施の形態では、個別外装葺板10A又は個別外装葺板10Bは、コの字部11・11の最側端壁11a・11a同士が互いに突き合わされているので、個別外装葺板10A・10A同士間の間隔又は個別外装葺板10B・10B同士間の間隔は一定であり、吊り子40A及び吊り子40Bを2つの部材とする必要がない。
【0071】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、各側端部同士を互いに対向させて並べて配設した複数の個別外装葺板と、該個別外装葺板の側端部同士間に嵌め込まれたキャップとからなる外装葺板に関するものであり、屋根材又は外壁材に利用可能である。また、ソーラーパネルを設けた外装葺板にも利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1A 外装葺板
1B 外装葺板
1C 外装葺板
10A 個別外装葺板
10B 個別外装葺板
10a 第1凹部
10c 第3凹部(凹部)
11 コの字部(上側開口凹部)
11a 最側端壁
11b 最側端頂部
11c 開口
12 葺板被挟持係止部
12a 斜め下折曲部
12b U字部
20A キャップ
20B キャップ
21 中央
22 側端
23 キャップ挟持被係止部
23a 下方垂下部
23b S字部
24 止水シール材
31 ソーラーパネル
32 バックアップ材
40A 吊り子
40B 吊り子
41 底板部
42A 立ち上げ部
42B 立ち上げ部
43・44 吊り子係止部
F 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各側端部同士を互いに対向させて並べて配設した複数の個別外装葺板と、該個別外装葺板の側端部同士間に嵌め込まれたキャップとからなる外装葺板において、
上記個別外装葺板における両方の側端部には、上側が開口されかつ最側端壁が垂直に垂下する上側開口凹部がそれぞれ形成されており、かつ上記上側開口凹部の最側端頂部から該上側開口凹部の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部がそれぞれ形成され、
隣接する上記個別外装葺板は、上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされていると共に、
上記キャップは、1枚の板にて形成され、該板の中央からそれぞれ側端に向けて、上記上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされた個別外装葺板における該上側開口凹部の開口を覆う位置まで少なくとも延びた後、裏側に180度折り返され、さらに下方に折曲されて上記2つの葺板被挟持係止部を弾性的に挟持し、かつ該キャップの上側への移動を阻止するように上記葺板被挟持係止部に係止されるキャップ挟持被係止部を備えてなることを特徴とする外装葺板。
【請求項2】
前記個別外装葺板の中央部には、凹部が形成されており、
上記凹部には、ソーラーパネルが敷設されると共に、
前記キャップは、前記板の中央からそれぞれ側端に向けて、前記上側開口凹部の最側端壁同士が互いに突き合わされた個別外装葺板における該上側開口凹部の開口を覆う位置を超えて上記ソーラーパネルの端部まで延びて該ソーラーパネルを係止した後、裏側に180度折り返されていることを特徴とする請求項1記載の外装葺板。
【請求項3】
前記隣接する個別外装葺板における両方の側端部の間には、下地に固定されかつ個別外装葺板を支持する吊り子が設けられていると共に、
上記吊り子は、断面逆T字状に形成され、断面逆T字の底板部が固定部材にて上記下地に固定されると共に、断面逆T字の立ち上げ部の頂部には、上記個別外装葺板における上側開口凹部の最側端頂部から該上側開口凹部の内部へ斜め下に向けて折曲された葺板被挟持係止部に沿うように折曲自在に設けられた吊り子係止部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の外装葺板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−241648(P2011−241648A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116502(P2010−116502)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(598042275)株式会社 セキノ興産 (15)
【Fターム(参考)】