説明

外部寄生虫感染を処置するための方法及び組成物

【課題】患者の外部寄生虫を殺すための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】外部寄生虫を殺すのに有効なミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステルとシロキサン(たとえば、デカシクロメチコン)とを含有する組成物。本組成物は、メクチン及び/またはマイシンと、S−メソプレンとを含むことができる。本組成物は、頭ジラミ、ノミ、コロモジラミ、毛ジラミ、寄生ダニ、マダニ及び植物寄生虫などのヒト、動物及び植物を悩ませる種々の外部寄生虫に対して有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に外部寄生虫を殺すための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
頭ジラミの感染は、毎年、世界中で6〜1200万もの人々に影響を及ぼす、なかなか解決されない問題である。この問題は、特に3才から10才の就学前児童及び小学生と、殆どの場合に感染するその家族とに流行している。頭ジラミ感染は、一般的な頭ジラミ、ペディキュラス・ヒューマヌス・カピティス(Pediculus humanus capitis)によって生じ、通常、頭皮の痒みを引き起こす。シラミがヒト血液を採ると、頭皮に外傷をもたらし、首や脇の下の腺が腫れたり、他の症状を引き起こしたりすることがある。感染は社会に負の影響があるため、頭ジラミ感染は深刻な問題を引き起こす。コロモジラミもヒトにとって厄介であり、発疹性または流行性チフス及び回帰熱などの特定の疾患の病毒媒介昆虫であるというさらなる危険性を伴う。
【0003】
これらの感染症を処置するために種々の組成物が市販されており、これらは一般的に局所適用治療をとる。これらの多くの処置の殆どが、強い薬剤である殺虫剤を使用するので、毒性の問題を引き起こす。ノミは使用した殺虫剤に対して耐性となることもあるので、組成物はやがてその有効性を失うことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、患者の外部寄生虫を殺すための組成物及び方法を提供する。最も好ましい態様において、前記患者はヒトであり、前記外部寄生虫はシラミ、ノミ及びマダニである。一態様において、本組成物はシラミを殺すのに十分量の脂肪酸エステルを含み、前記脂肪酸エステルは係る処置に有効な唯一の薬剤として存在する。一態様において、前記脂肪酸はミリスチン酸のエステル、たとえばミリスチン酸イソプロピルである。別の態様において、本組成物は、シロキサン、たとえばデカ-シクロメチコン(シリコーン)も含むことができる。最も好ましい態様において、本組成物はミリスチン酸イソプロピルとデカシクロメチコンの両方を含み、外部寄生虫を殺すのに十分量の他の薬剤を含まない。他の態様において、本組成物はメクチン(たとえばイベルメクチン)及び/またはマイシン(たとえばミルベマイシン)も含み得る。さらなる態様において、本組成物は外部寄生虫の卵を殺すのに有効なS-メソプレンなどのセスキテルペン類、または幼若ホルモン類似体(たとえばヒドロプレン、フェノキシクラブ及びピリプロキシフェン)も含む。
【0005】
好ましい態様において、本組成物は、頭ジラミに感染している人の頭皮に適用すべく配合し、処置した人に一定の期間、残ったままである。本組成物は好ましくは、約5〜15分間、好ましくは約10分間、処置した領域に残って、存在するシラミ及びその卵を1時間以内で殺す効果がある。他の側面において、本組成物、方法及び使用は、ノミに感染した室内ペットまたは農作物の昆虫感染を処置するために有効である。
【0006】
「患者」なる用語は、ヒト、植物及び哺乳類を包含する。「哺乳類」なる用語はヒトを含み、哺乳綱のメンバーである動物も包含する。この用語は、通常ヒトであるが、イヌ、ネコ、フェレット、ウサギ、アレチネズミ及びモルモット等のペットも包含する。哺乳類としては、ウシ、ブタ、ヒツジ及びウマなどの家畜も包含する。殆どの毛皮をもった動物はノミ及びマダニに感染することがあろうが、ブタ、ウマ及びウシもシラミに感染することもある[たとえばブタに感染するヘマトピヌス・スース(Haematopinus suis)並びに、ウマ及び牛に感染する他のヘマトピヌス種]。これらの感染は全て、本明細書中に記載の組成物で治療可能である。局所適用とは、組成物を処置する患者の外部、たとえば外側の皮膚、毛髪、毛皮または群葉(foliage)に適用することを意味する。この適用としては、手動の適用、または種々の自動化手段、たとえば処置患者に噴霧若しくは塗布、または他の手段が挙げられるが、これらに限定されない。「脂肪酸エステル」なる用語は、脂肪酸に結合した有機分子から構成されるエステル、たとえばミリスチン酸イソプロピルを意味する。脂肪酸としては、加水分解によって脂肪から誘導され、6〜22個の炭素原子をもつ任意の酸を指す。エステルとは、カルボン酸の-OH基が-ORによって置き換わった(Rはアルキル基である)、カルボン酸の機能的誘導体である。「薬剤:agent」なる用語は、任意の化合物、組成物または化学物質を意味する。「殺すのに十分量」またはシラミ若しくは他の外部寄生虫を殺すのに「有効」なる用語は、存在するシラミまたは外部寄生虫の少なくとも75%を、本組成物に10分間暴露した後の24時間以内に殺すことを意味する。他の態様において、処置患者に存在するシラミまたは外部寄生虫の少なくとも90%若しくは少なくとも95%若しくは少なくとも98%若しくは少なくとも99%若しくはまさに100%を、本組成物に10分間暴露した後の24時間以内に殺す。他の態様において、殺したシラミまたは他の外部寄生虫の割合は、本組成物に10分間暴露して1時間後に評価することができる。一態様において、実施例で記載するインビトロ試験を使用して、「十分な量」または化合物が「有効」であるか否かを決定することができる。さらに別の態様において、暴露時間を増やして、シラミ、ノミまたは他の外部寄生虫の所定の殺虫割合を達成することができる。たとえば存在する外部寄生虫の95%を15分間の暴露、または30分の暴露、または45分間の暴露後の24時間以内に殺すことができる。シロキサンは、Si-O-Si結合、すなわちシリカに知見される主な化学結合を持つ化合物である。「感染」なる用語は、処置ターゲットであるシラミ、ノミ、マダニまたは他の外部寄生虫の存在を意味する。外部寄生虫または害虫(ペスト:pest)としては、頭ジラミ、コロモジラミ[たとえば、ペディュラス・ヒューマヌス(Pediculus humanus)]、毛ジラミ[たとえばフチラス・プビス(Phthirus pubis)]、ダニ(寄生ダニ)、ノミ及びマダニなどが挙げられるが、これらに限定されない。ターゲットの外部寄生虫の卵の存在も、感染の構成要素となる。
【0007】
本発明の方法は、外部寄生虫が存在する哺乳類の領域に、本発明の組成物を局所適用することを含む。上記の如く、本組成物は、一定時間、ターゲット領域と接触させたままにするのが好ましい。種々の態様において、処置表面を洗浄することなどによって、局所適用後、少なくとも10分間または30分間または1時間、処置した領域に水溶液を適用しないようにする。種々の態様において、メクチン及び/またはマイシンは、ピレスロイド類、有機リン酸エステル類、たとえばマラチオン及びジアジノン、ピロール類またはより一般に、アゾール類、グルホサート、ニコチノイド類及びトリアジン類などの別の化合物で置換することができる。
【0008】
毛皮をもつ哺乳類の外部寄生虫感染を処置するための、薬剤の製造法も提供する。これらの方法は、上記組成物を含有する薬剤を提供することを含む。組成物の新規使用法も提供する。本薬剤は、哺乳類のノミ、シラミ、マダニ及び他の害虫を殺すために有用であり、本発明の組成物を含む。本発明は、シラミ、ノミ、マダニまたは他の外部寄生虫がいる哺乳類の領域にイベルメクチンを含有する組成物を局所適用することにより、哺乳類の外部寄生虫感染を処置する方法も提供する。本組成物は、本発明の組成物のいずれであってもよく、またはイベルメクチン及び任意の適切なキャリヤであってもよい。
【0009】
上記の本発明の概要は非限定的であり、本発明の他の特徴及び好都合な点は、以下の好ましい態様の詳細な記載、並びに請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、哺乳類の外部寄生虫を処置するのに有用な組成物を提供する。本出願人は、脂肪酸エステル単独、好ましくはミリスチン酸イソプロピルだけで外部寄生虫を殺す効果があることを意外にも知見した。本出願人は、シリコーン類(たとえばシクロメチコン)、特にデカシクロメチコンも外部寄生虫を殺す能力があることを意外にも知見した。かくして、これらのどちらかまたはいずれもを、シラミ、ノミ、マダニ及び他の外部寄生虫を殺すのに有効量で組成物中に配合して、本目的に有効な組成物とすることができる。ミリスチン酸イソプロピルは、特に有効な脂肪酸エステルであることが知見された。しかし最も好ましい態様では、ミリスチン酸イソプロピルとデカシクロメチコンのいずれをも含む。これらの組成物は、非常に有効で、均一に塗布し、迅速に乾燥すること、哺乳類に対する毒性が低いこと、及びべたべたも脂っこいテクスチャーも持たないことにより、毛髪及び皮膚に適合性であることの有利な点の意外且つ非常に適切な組み合わせを提供する。従って、本組成物は、適用が扱いにくく且つ不便であること、不快なにおいを放つこと、有効性が低いこと、また実質的に哺乳類に毒性があることの、従来、利用可能であった組成物の欠点を排除する。かくして、本発明の組成物はヒト患者に就寝前に適用し、本明細書の実施例に示したように、シラミ及び他の外部寄生虫を殺す高い効率を提供することができる。処置患者が家畜またはペットの場合には、従来利用可能であった組成物は有効性が低く、毒性が高いか、処置患者のコートまたは毛皮に適用する場合に気に障ったり、とても不愉快であったり、動物で使用するのに実際的でなくしてしまう。本発明の組成物は、迅速に乾燥し、均一に塗布し、毒性が低いので、動物に簡便に適用することができ、組成物は動物に不快感を与えたり、組成物を取り除くために努力したり、動物が組成物で家具を汚すことはないだろう。処置患者には外部寄生虫によって生じた頭皮または身体の咬傷及び外傷があり、アルコールを含有する組成物を塗布すると痛みや不快感を伴うので、本組成物はアルコールを含まないのが好ましい。かくして、最も好ましい態様では、本組成物は脂肪族アルコール類も他のアルコール類も含まない。
【0011】
本発明はさらに、長期間接触させるために適用し得る組成物の利点を提供する。毒性があるため、塗布数分以内に処置面を洗い流さなければならない多くの現在利用可能な組成物と異なり、本発明の組成物は、所望により数時間まで、たとえば5分間、10分間、15分間、5〜15分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、さらには24時間、処置面に残したままにしておくことができる。本組成物は哺乳類に対する毒性が低いため、本組成物は数時間まで処置面に残しておくことができるが、特にヒトの場合には、本組成物は約10分間、処置面に残してから洗い流すのが好ましい。
【0012】
他のシロキサン類も本発明で有用である。シロキサン類は、好ましくは、迅速に乾燥し、均一に塗布して、べたべたした残渣を残さない、揮発性、環式の非ポリマー性シリコーンである。本発明の種々の態様で使用が知見されるシロキサン類の例としては、オクタメチルシクロメチコン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、ジメチコン、アモジメチコン、たとえばトリメチルシリルアモジメチコン、ポリシラノール、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、ジメチコノール、ジメチコンコポリオール、セテアリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及びデカメチルシクロペンタシロキサンが挙げられる。これらはデカシクロメチコンの代用品として種々の態様で有用であるか、これに加えて使用する。
【0013】
同様に、他の脂肪酸エステルも本発明で有用である。かくして、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、アラキドン酸エステル、ベヘン酸エステル及びリグノセリン酸エステル、不飽和結合を有する脂肪酸エステル、たとえばパルミトレエート、オレエート、リノレエート、リノレネート、及びアラキドネートもミリスチン酸エステルの代用品として本発明で有用であるか、ミリスチン酸エステルに加えて使用する。一つ以上の不飽和結合を含有する脂肪酸エステル、たとえばリノール酸、リノレン酸、パルミトイレイン酸、アラキドン酸などの1、2または3個の不飽和結合を含有する脂肪酸も本発明で考えられる。本発明での使用に好ましいエステルとしては、アルキルエステル類及びアルコールエステル類が挙げられる。好ましいエステルとしては、イソプロピルエステル、メチルエステル、エチルエステル、及びプロピルエステルが挙げられる。本発明は、外部寄生虫が存在する患者の領域にこれらのシロキサンの一種以上を局所投与することによって、処置患者のシラミ、ノミ、マダニ及び他の外部寄生虫を殺す方法も提供する。シロキサンは、存在する外部寄生虫を殺すのに十分な量で提供する。
【0014】
本発明の組成物に他の化合物を配合することができる。たとえば、外部寄生虫(たとえばシラミ及びノミ)の卵を殺すセスキテルペン類(好ましくはS-メソプレン)を配合して、処置する人に存在するかもしれない卵も殺すことによって本組成物の効力を高めることができる。S-メソプレン若しくは別の種のセスキテルペンまたは幼若ホルモン類似体を添加すると、卵を殺し易くするので、有効な治療を容易にし、且つ患者を繰り返し処置する必要性が排除できる。セスキテルペンを含む好ましい態様では、本組成物は脂肪酸エステル及び/またはシロキサンと前記セスキテルペンとを含み、存在するノミまたはシラミを殺すのに十分な量の他の薬剤を含まない。酸は配合物のpHを低下させ易くするために配合物に配合するのが望ましく、これによって毛髪または皮膚に固定化した卵を除去し易くなる。pHが約4に到達するまで配合物に酸を添加することができる。乳酸、希酢酸または氷酢酸、コハク酸などの有機酸は、この目的に有用な無害な酸である。希塩酸も使用することができる。他の態様において、本組成物は酸を含まないか、1.0%未満の酸を含む。
【0015】
本発明者は、局所適用した際に、イベルメクチンが頭ジラミとその卵を殺し得ることを意外にも知見した。かくして本発明は、処置すべき領域にイベルメクチンを含有する組成物を局所適用することによって、外部寄生虫(たとえばシラミ及びノミ)を処置する組成物及び方法を提供する。一態様において、本組成物はイベルメクチンを含み、存在する外部寄生虫を殺すのに十分な量の他の薬剤を含まない。当業者は、種々の化合物がこのイベルメクチンのキャリヤとして作用し得ることを理解するだろう。イベルメクチンは、本発明の組成物のいずれにも含めることができる。たとえば、イベルメクチンは、脂肪酸、シロキサンとセスキテルペンの一種以上と一緒に組成物に配合することができ、本組成物は、存在する外部寄生虫を殺すのに十分な量の追加の薬剤を含まない。
【0016】
本発明及び方法は、ペットのノミ及びマダニ感染を処置するのにも有用である。これらの方法を使用して、任意の哺乳類のペット(たとえばイヌまたはネコ)を処置することができる。本組成物は、極めて簡単に均一に塗布でき、急速に乾燥する。かくして、これらは非常に効果的に且つ、処置動物に対して殆どまたは全く不快感を与えずに都合良く使用することができる。本方法及び組成物を使用して、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどの家畜のノミ及びマダニなどの外部寄生虫を処置するのにも使用することができる。当業者は、動物は主にノミ及びマダニに感染するが、ブタ及び他の家畜もマダニ及びシラミに感染[ヘマトピヌス種(Haematopinus spp)としても公知]することがあり、本組成物が両方に対して有効であることを理解するだろう。
【0017】
本発明は、植物及び農作物での植物の寄生虫感染を処置するのにも有用である。本発明は、特に温室において有用であり、ここでは植物はそれぞれ、本発明の組成物で処置して、アブラムシ、またはホワイトフライ(white fly)、クモの子供及び他の吸血昆虫(sucking insect)等の他の植物の寄生虫を壊滅させることができる。他の好ましい用途としては、群葉が被害を受けていないことが特に重要な高価な若しくは鑑賞用植物、または被害を受けなければより好ましい結実植物が挙げられる。そのような被害は、群葉で乾燥する化学殺虫剤またはシラミ撲滅剤を適用する結果、または植物の寄生虫活動の結果であることが多い。本方法は、処置すべき植物に本発明の組成物を局所適用することを含む。本発明の組成物は、処置植物に有害な作用を与えない。本発明の種々の態様において、他の活性化合物の添加と共に、キャリヤとしてシロキサンと脂肪酸エステルとを含む組成物を使用するのが望ましい。本シロキサン及び脂肪酸エステル組成物は、迅速に乾燥し、容易に且つ均一に塗布する望ましい特性をもち、且つ農作物、群葉にも果実にもヤケさせたり損傷を与えたりもしないので、この組成物は殺菌剤、殺虫剤または除草剤のキャリヤとして有用である。水に溶解性でない農薬、特に殺菌剤、除草剤及び殺虫剤は、本発明を使用して好都合に適用することができる。たとえば、ピレトロイド類、有機リン酸エステル類、たとえばマラチオン及びジアジノン、ピロール類またはより通常にはアゾール類、グリフォセート、ニコチノイド類及びトリアジン類は、本発明の組成物を使用して適用することができる。
【0018】
家畜に適用する場合には、本組成物は、処置動物に刺激を与える溶媒は含まない。ペルメトリン、マクロライド類、たとえばイベルメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、アバメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、マイシン類、たとえばミルベマイシン及び殺菌剤、たとえばアゾール類は、キャリヤ及び展着剤としてシロキサン及び脂肪酸エステルと一緒に適用することができる。アゾール類としては、イミダゾール類及びトリアゾール類が挙げられる。イミダゾール類としては、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、エコナゾール及びスルコナゾールが挙げられる。トリアゾール類としては、イトラコナゾール及びフルコナゾールが挙げられる。
【0019】
本発明の組成物において、約50%の脂肪酸エステルと約50%のシロキサン(w/w)との混合物が好ましい。しかし、成分の実際量は実質的には変動し得る。たとえば、本組成物は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%の脂肪酸エステルと、残余のシロキサンとを含むことができる。あるいは、本組成物は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%のシロキサンと、残余の脂肪酸エステルとを含むことができる。シロキサンの好ましい量は、45%〜55%(w/w)、40%〜60%w/w、30%〜70%(w/w)、25%〜70%(w/w)、及び35%〜65%(w/w)も挙げられる。脂肪酸エステルは、65%または75%未満で且つ20%、25%、または35%を超えて、最も好ましくは約50%±5%(w/w)または約49.5%w/wで存在するのが好ましい。他の好ましい脂肪酸エステル量としては、約40%〜約60%または約25%〜65%または45%〜55%、30%〜70%、35%〜65%、25%〜65%、または25%〜70%(w/w)が挙げられる。シロキサンの好ましい量は、25%〜75%または30%〜70%または35%〜65%または40%〜60%であり、最も好ましくは約50%または49.5%である。一態様において、本組成物は、約50%のミリスチン酸イソプロピルと約50%のシロキサンとを含み、他の成分を含まない。S-メソプレン、イベルメクチンまたは農薬などの追加の成分が望ましい態様では、シロキサン及び/または脂肪酸エステルを減じて、これらを所望の割合で配合することができる。S-メソプレンを組成物に配合する場合、約0.02%〜約2.0%またはそれ以上で配合することができるが、約0.2%(w/w)または0.4%(w/w)または0.6%(w/w)または0.8%(w/w)で配合するのが好ましい。イベルメクチンを配合する場合、約0.02%〜約1.0%で配合するのが望ましく、約0.2%で配合するのが好ましい。
【0020】
他の態様では、脂肪酸エステルは医薬的に許容可能なキャリヤと一緒に組成物に配合する。シロキサンは均一に塗布し、迅速に乾燥し、哺乳類に対する毒性が低く、外部寄生虫を殺すために、脂肪酸エステルと相乗効果的に作用すると考えられているので、シロキサンが好ましいキャリヤであるが、当業者は、他の医薬的に許容可能なキャリヤも有用であることを理解するだろう。これらの態様において、脂肪酸エステルを上記濃度で使用し、組成物の残余は、所望により一種以上のキャリヤまたは他の成分である。
【0021】
本発明は、外部寄生虫感染を処置するためのキットも提供する。種々の態様において、本キットは、パッケージまたは他のエンクロージャに本発明の組成物を含む。他の態様において、本キットはさらに、毛髪から外部寄生虫(たとえばシラミ)とその卵を除去し易くする「シラミ卵コーム:nit comb」を含める。この[シラミ卵コーム]は、毛髪に通すことによって毛髪を整える通常のクシである。たとえばLICEMEISTER(登録商標:National Pediculosis Association,Inc., Newton, MA)、ACU-MED(登録商標)Lice Comb(Health Enterprises, N.Attleboro, MA)、MEDI-SWEEP Lice Comb(Classic Products, Oxnard, CA)は、このキットに含めるシラミコームの好ましい態様である。パッケージはボックスであるか、またはキットを取り囲む単なるラッピング(好ましくはプラスチック)であってもよい。コームはパッケージ内で提供するのが好ましいが、パッケージの外側であってもよい。他の態様において、本キットは蛍光染料などのマーカーまたはシャワーキャップを含む。好ましい態様において、本キットは、外部寄生虫を殺すためにキットに含まれる部材の使用法を記載した取扱説明書も含む。
【0022】
本発明のさらなる態様を以下の実施例に記載する。
実施例1−配合物
本発明の最も好ましい配合物は、シクロメチコンとミリスチン酸イソプロピルの50:50(w/w)混合物から構成される。種々の態様において、イベルメクチンとS-メソプレンの添加が望ましい態様に関しては、イベルメクチンを約0.2%(w/w)、及び/またはS-メソプレンを約0.8%(w/w)で添加することができる。当業者は、本明細書中に記載の量は、かなり変動することができ、組成物はその所望の特性を保持することを理解するだろう。たとえばシクロメチコンは、ST-シクロメチコン-5 NF(商標)(DOW CORNING:登録商標、Midland, Michigan)であるのが好ましい。
【0023】
ST-シクロメチコン5-NF(商標)は、95%を超えて存在するデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)から主に構成される、無色透明、揮発性のポリジメチルシロキサンである。オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)は、ST-シクロメチコン5(商標)中、1%未満の値で存在する。他のタイプのシロキサンは、異なる組成である。たとえばシクロメチコン344流体(DOW CORNING:登録商標)は、高い割合のオクタメチルシクロメチコンを含み、低粘度のポリジメチルシクロシロキサン流体である。本発明において、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)の使用が好ましく、少なくとも30%、35%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%のデカメチルシクロペンタシロキサンの濃度でシロキサン中に存在するのが最も好ましい。このデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)は、外部寄生虫を殺すのに特に好ましいシロキサンであることが判明した。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、このデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)は脂肪酸エステル、特にミリスチン酸イソプロピルと相乗作用があり、高い外部寄生虫殺害力及び特性をもつ組成物となると考えられる。
【0024】
ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、NFは、経験式:C17H34O2及び分子量270.51の1-メチルエチルテトラデカノエートとして化学的に公知である。これは、ミリスチン酸とプロパン-2-オールとのエステル化により製造する(ミリスチン酸のイソプロピルエステル)。
【0025】
ミリスチン酸エステルのみを含むこれらの態様において、ミリスチン酸エステルは100%で使用するか、またはシロキサン以外の別の所望のキャリヤと混合することができる。適切なキャリヤは、当業者に公知である。キャリヤの例としては、エタノール、ポリオール、アルコール、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、ひまし油、綿実油、アセトン、クロロホルム、及び酢酸エチルが挙げられる。
【0026】
本発明は、本明細書中に記載した理由に関して望ましくない化学薬品及び試薬の配合の必要性を排除する。かくして、最も好ましくは、本組成物は以下のいずれの化合物も含まない:ピレトリン、ピレスロイド、ペルメトリン、リンデン、マラチオン、カルバリル、カルバリルマラチオン、フェノスリン、スピノシン、植物油[たとえばゲネラ・サルビア(genera Salvia)、アルテミシア(Artemisia)、シトラス(Citrus)、ビャクシン(Juniperus)、ローリエ(Laurus)、ミリスティカ(Myristica)、オレガノ(Origanum)、パイパー(Pyper)またはアロイジア(Aloysia)]、アニス油、ティーツリーオイル、レモン油、アーモンド油、ココアバター、シオブローマ油、芳香族油、硬化獣脂(hydrogenated animal fat)及び硬化植物油、ポリアルコールのエステル類、糖脂肪酸エステル(たとえば蔗糖、フルクトース、マルトース、ラクトース並びに他の単糖類及び二糖類のエステル)、1-[N-(ハロ-3-ピリジルメチル)-N-メチルアミノ-1-アルキルアミノ-2-ニトロエチレン誘導体、ニコチン作動性アセチルコリン・レセプター・アゴニストまたはアンタゴニスト、シトロネラル、シトロネロール、シトロネリル、ラクトペルオキシダーゼ、チオシアネート、ヨウ素、過酸化水素供給源、フェニルC2-6アルカノール類、フェニルC2-6ジオール類、C2-8アルキレンジオール、アルコール類、たとえば非揮発性脂肪族アルコール[たとえばC12-16アルコール、セテリルアルコール(ceterylalcohol)、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラノリンアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール]、脂肪族アルコール類(たとえばプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブチルアルコール、ペンタノール、オクタノール、エタノール)、アニオン性またはカチオン性界面活性剤(たとえばラウリル硫酸ナトリウムまたはアンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウムまたはアンモニウム、四級アンモニウム塩、たとえば米国特許第5,288,483号に列記されているもの、アニオン性界面活性剤、たとえば米国特許第6,342,482号に列記されているもの、獣脂プロパンジアンモニウムジクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、脂肪アミン)、水酸化アンモニウム、他のアニオン性薬剤、グリセリルエステル類(たとえばモノ-、ジ-及びトリグリセリド)、パラベン類、たとえばメチルパラベン、プロピルパラベン、及びブチルパラベン、アルキレングリコール類(たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレンオキシド類、ポリオール類(たとえばグリセロール)、両性薬剤(たとえばナトリウム3-ドデシルアミノプロピオネート、ナトリウム3-ドデシルアミノプロパンスルホネート、N-アルキルタウリン)、両性イオン性界面活性剤(たとえば脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物、ベタイン)、並びに非-イオン性界面活性剤(たとえばアルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとエチレンジアミン生成物との反応生成物との縮合物、8〜18個の炭素原子を持つ脂肪族アルコールの縮合生成物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド)、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ナトリウムビス-(2-エチルヘキシル)、スルホスクシネート、ブチレングリコールジステアレート、ポリソルベート80、トコフェロール、グリセリルエステル(たとえばモノ-、ジ-及びトリグリセリド)、ポリアルキレングリコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ソルビタン、蔗糖、クエン酸、クエン酸、酢酸、ラウロアンフォグリシネート、PEG-150ジステアレート、クオタニウム15、ベンズイミダゾール、デメカリウムの酸塩、エコチオパート、エドロフォニウム、ネオスチグミン、ピリドスチグミン・アンベノニウム、及びイソフルオロフェート、ジエチルトルアミド、ピペロナール、アルキルセルロース、亜鉛2-ピリジンチオール1-オキシド、セルロース誘導体、獣脂、ラード、料理用脂、バター及び羊毛脂。好ましい態様において、本組成物は、10%若しくは5%若しくは2%若しくは1%未満の水を含むか、または水を含まない非水配合物である。しかし他の態様では、上記成分のいずれかをいくらかの量で配合して特定の目的に合わせることができ、たとえばこれらの成分のいずれかの10%未満若しくは5%未満若しくは3%未満若しくは2%未満若しくは1%未満若しくは0.5%未満若しくは0.25%未満若しくは0.1%未満若しくは0.05%未満若しくは0.025%未満若しくは0.01%未満若しくは0.005%(w/w)を所望により配合することができる。
【0027】
以下に、本発明の好ましい組成物を製造するための好ましい手順を示す。この態様において、本発明の組成物は、以下のものを含むよう製造した:ST-シクロメチコン5、NF(商標)49.5%、ミリスチン酸イソプロピル、NF49.5%、イベルメクチン0.2%、S-メソプレン0.8%。
【0028】
ST-シクロメチコン-5(商標)及びミリスチン酸イソプロピルを、空気駆動式混合シャフト及び羽根を備えたスチール製混合容器内で混合した。イベルメクチンは、シクロメチコンとミリスチン酸イソプロピルとを混合している渦の中に添加した。30℃で熱を適用し、30分間、混合を継続してイベルメクチンを溶解した。熱源を取り除き、(態様によって望ましい場合には)S-メソプレンを、混合を継続しながら添加した。全体を低速〜中速で15〜20分間撹拌して、空気の混入を防いだ。生成物は、包装するまで調整室温15〜30℃で、封止カバーステンレススチール貯蔵タンク中で貯蔵することができる。
【0029】
実施例2−シラミを殺すための組成物の評価手順
この態様においては、実施例1の配合物のシラミ撲滅剤の有効性を、成体シラミ、ペディキュロス・ヒューマヌス・ヒューマヌス(Pediculous humanus humanus)に対して試験した。この手順を使用して、頭ジラミ、ノミ、マダニまたは任意の外部寄生虫に対して組成物の有効性を試験することができる。以下の記載において、「異常:morbid」とは、処置1時間後、シラミが熱に向かって動くことができないことを意味する。寄生虫は調子が悪いが、死ぬとは限らず、24時間以内に通常の挙動まで回復するかもしれない。「瀕死の:moribund」なる用語は、寄生虫が、処置24時間後、熱(そして餌)に向かって動くことができず、死にかけていることを意味する。
【0030】
25匹のシラミでそれぞれ4回、および対照について5回試験した。20-メッシュのついた底部にふるいのついたプラスチックまたはガラスバイアルを浸漬容器として使用した。プラスチック棒でできたプランジャーと、円形のスクリーンをバイアルの内側にはめ込んだ。
【0031】
雄雌混合の25匹の成体シラミを試験容器の底部に入れた。ふるいの付いたプランジャーを挿入して、シラミが表面に浮かないようにした。試験すべきシラミ撲滅剤を100-mlビーカーに入れ、このビーカーを32℃に保持した水浴に導入した。試験容器を100-mlビーカー中のシラミ撲滅剤に入れ、シラミを1、4または10分間、シラミ撲滅剤中に保持した。この試験容器は所望の浸漬期間終了時に除去した。
【0032】
試験容器を32℃で、蒸留水を含むビーカーに浸漬し、容器をかき混ぜた。1分たったら容器を取り出し、ウォーターボトルから蒸留水のストリーム(32℃)で緩やかにシラミを洗浄した。このシラミを清潔な布パッチに移し、次いでこれをペトリ皿に入れた。シラミの入ったペトリ皿を31.7℃及び60%相対湿度でインキュベートした。
【0033】
1時間後、観察して皿を取り替えた。プレート上のきれいな布の上に布をシラミに置いて、観察した。次いでこのプレートをスライドウォーマー(37℃)に入れて、シラミを引きつけるための熱源を発生させた。死亡または異常ではないシラミは、5分以内に下方のパッチ(すなわち熱に向かって)移動した。適当な間隔で観察を繰り返した。
【0034】
実施例3−外部寄生虫における組成物の作用
上記手順を使用して、以下の観察を記録した。10分間、シクロメチコン[Dow Corning 344(登録商標)流体]とミリスチン酸イソプロピルとの組成物(50/50w/w)にコロモジラミを暴露すると、1時間以内に死んだシラミは約52%であり、24時間後のシラミの死亡率は99%を超えていた。
【0035】
10分間、100%シクロメチコン[Dow Corning 344(登録商標)流体]の組成物にコロモジラミを暴露すると、1時間後のシラミの罹患率は100%であり、24時間後のシラミの死亡率は約16%であった。
【0036】
10分間、100%ST-シクロメチコン5(商標)の組成物にコロモジラミを暴露すると、1時間後の罹患率は100%であり、24時間後のシラミの死亡率は約79%であった。
【0037】
100%ミリスチン酸イソプロピルの組成物に10分間、コロモジラミを暴露すると、1時間後の死亡率は約82%であり、残余のシラミは異常であった。24時間後、死亡率は100%であった。
【0038】
全てのアッセイに関して、対照の死亡率は15%であり、対照組成物は水であった。
【0039】
実施例4−殺卵性配合物
この実施例では、配合物中に殺卵剤を配合した態様について、配合物を試験した。殺卵剤の有効性は、孵化(hatchまたはeclose)しない卵の割合で算定されるだけではなく、胚発生の段階において幼虫のさらなる分化が化合物の作用で停止することにより算定することができる。自然死亡率は、各発生段階で等しい数の生存不可能な卵または幼虫を引き起こすはずであるが、これは大きなサイズの母集団でのみ明らかとなるであろう。
【0040】
この態様において、イベルメクチンを、ST-シクロメチコン5、ミリスチン酸イソプロピル(49.9/49.9)とS-メソプレンを0.2%含む配合物に0.2%で配合した。シラミの卵をこの配合物に10分間接触させると、卵の約44%が死に、このことは卵が孵化できなかったか、または幼虫が出現(emergent)段階で死んだことを意味する。死んだ卵の90%近くは、発生の初期または後期で制止した(出現段階ではなく)。10分間の暴露後の24時間で、全てのシラミが死んだ。「初期段階」とは、幼虫の可視的分化がないことを意味する。「後期段階」とは、卵の絨毛膜を通して目のスポット及び/または手足が目に見えることを意味する。「出現段階」とは、完全に形成した幼虫が出現の過程で目に見えるが、卵とまだ切り離されていないことを意味する。
【0041】
実施例5−マダニ
ST-シクロメチコン-5(商標)とミリスチン酸イソプロピル(50/50)、イベルメクチン0.20%、及びS-メソプレン0.2%を含有する本発明の組成物を使用した。24匹のR.sanguineusマダニを、シラミ撲滅剤ディップ中に、10分間浸漬し(対照として水を使用)、軽くたたいて乾燥させた。1時間及び24時間で、生存しているマダニと死んだマダニの数を数えた。配合物に10分間暴露することによって、1時間以内に100%のマダニが死んだが、対照群のマダニは1匹も死ななかった。
【0042】
本明細書中に例示的に記載した本発明は、本明細書中で具体的に開示されていない単数または複数の要素、単数または複数の制限の非存在下で実施することができる。使用してきた用語及び表現は、記載目的のためであって限定するものではなく、そのような用語及び記載の使用においては、前掲及び記載の特徴またはその一部の等価物を除外することを意図するものではなく、請求された本発明の範囲内で種々の変形が可能であることが理解されよう。かくして、本発明を好ましい態様及び任意選択の特徴によって具体的に開示してきたが、当業者は、本明細書中に開示の概念の変形及び変化が可能であり、そのような変形及び変化は、添付の請求の範囲によって定義された本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0043】
本明細書中で記載または引用した文献、特許及び特許出願並びに他の全ての書類及び電子的に利用可能な情報の内容は、個々それぞれの発表が参照によって取り込まれるべく具体的且つ個別的に示されたのと同程度に、その全体が本明細書の一部として引用される。出願人は、全ての文献、特許、特許出願または他の書類からの全ての材料及び情報を本出願に物理的に組み入れる権利をもつ。
【0044】
本明細書中に例示的に記載した本発明は、本明細書で具体的に開示していない単数または複数の要素、単数または複数の制限の非存在下で実施することができる。かくして、「含む」、「包含する」、「含有する」などの用語は、包括的且つ非限定的に読むべきである。さらに、使用してきた用語及び表現は、記載目的のためであって限定するものではなく、そのような用語及び記載の使用においては、前掲及び記載の特徴またはその一部の等価物を除外することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内で種々の変形が可能であることは理解されよう。かくして、本発明を好ましい態様及び任意選択の特徴によって具体的に開示してきたが、当業者は、本明細書中で具体化された概念の変形及び変化が可能であり、そのような変形及び変化は、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0045】
本明細書において、本発明を総称的且つ一般的に記載してきた。一般的開示の中に含まれるより狭い種及び下位分類も、本発明の一部を形成する。これには、抽出された物質が具体的に本明細書中で列挙されるか否かにかかわらず、属から任意の主題を除く但し書きや消極的限定を有する本発明の一般的な記述も含まれる。
【0046】
さらに、本発明の特徴または側面がマーカッシュグループで説明される場合には、当業者は、本発明がマーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはサブグループに関しても記載されると認識するだろう。
【0047】
他の態様は、以下の請求の範囲内に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の外部寄生虫を殺す方法であって、脂肪酸エステルを含む組成物を、外部寄生虫が存在する患者の領域に局所投与することを含み、ここで前記脂肪酸エステルは、25%w/w〜70%w/wの量で提供され、ここで前記組成物は、存在する外部寄生虫を殺すのに有効量の他の薬剤を含まない、前記方法。
【請求項2】
前記外部寄生虫が、シラミ、マダニ及びノミからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が哺乳類である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記哺乳類がヒトであり、及び前記外部寄生虫が頭ジラミである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物がさらにシロキサンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記シロキサンが、デカシクロメチコン、オクタメチルシクロメチコン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、及びシクロヘキサシロキサンからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シロキサンがデカシクロメチコンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脂肪酸エステルが、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル及びステアリン酸エステルからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シロキサンがデカシクロメチコンであり、及び前記脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルである、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物がさらにS-メソプレンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記外部寄生虫が、コロモジラミ、毛ジラミ、寄生ダニ及びマダニからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記哺乳類がヒトであり、及び前記外部寄生虫が頭ジラミである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
患者の外部寄生虫を殺す方法であって、
少なくとも30%w/wのシロキサン;
脂肪酸エステル;及び
メクチン及び/またはマイシンを含む組成物を、外部寄生虫が存在する患者の領域に局所投与することを含み、ここで前記シロキサン、脂肪酸エステル、及びメクチン及び/またはマイシンは存在する外部寄生虫を殺すのに十分な量で提供され;及び、前記組成物は、存在する外部寄生虫を殺すのに有効量の他の薬剤を含まない、前記方法。
【請求項15】
前記外部寄生虫が、シラミ、マダニ及びノミからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が哺乳類である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記哺乳類がヒトであり、及び前記外部寄生虫が頭ジラミである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シロキサンが、デカシクロメチコン、オクタメチルシクロメチコン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、及びシクロヘキサシロキサンからなる群から選択され;及び
前記脂肪酸エステルが、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル及びステアリン酸エステルからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記シロキサンがデカシクロメチコンであり、前記脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルであり、25%w/w〜70%w/wの濃度で提供され、前記メクチンがイベルメクチンであり、前記マイシンがミルベマイシンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物がさらにS-メソプレンを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記外部寄生虫が、コロモジラミ、毛ジラミ、及び寄生ダニからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記哺乳類がヒトであり、及び前記外部寄生虫が頭ジラミである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
患者の外部寄生虫を殺すための薬剤の製造法であって、外部寄生虫の存在する患者の領域に薬剤を投与するときに25%w/w〜70%w/wの濃度及び外部寄生虫を殺すのに十分な量で脂肪酸エステルを含む薬剤を提供することを含み、ここで前記薬剤は、治療している患者に局所適用するときに外部寄生虫を殺すのに有効な他の薬剤を含まない、前記方法。
【請求項24】
前記外部寄生虫が、シラミ、マダニ及びノミからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記患者が哺乳類である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記哺乳類がヒトであり、及び前記外部寄生虫が頭ジラミである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤がさらにシロキサンを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記シロキサンが、デカ-シクロメチコン、オクタ-メチルシクロメチコン、シクロ-テトラシロキサン、シクロ-ペンタシロキサン、及びシクロ-ヘキサシロキサンからなる群から選択され、前記脂肪酸エステルが、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、及びステアリン酸エステルからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記シロキサンがデカシクロメチコンであり、及び前記脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記脂肪酸がミリスチン酸イソプロピルである、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物がさらにメクチン及び/またはマイシンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物がさらにS-メソプレンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
脂肪酸エステルと少なくとも20%のシロキサンとを含む、外部寄生虫を殺すための組成物であって、前記組成物が、存在する外部寄生虫を殺すのに有効量の他の薬剤を含まない、前記組成物。
【請求項34】
前記脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルである、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも80%のデカシクロメチコンを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記脂肪酸エステルが45%w/w〜55%w/wで存在するミリスチン酸イソプロピルであり、及び前記シロキサンが45%w/w〜55%w/wで存在する、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
前記シロキサンが少なくとも80%のデカシクロメチコンを含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
さらにメクチン及び/またはマイシンを含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項39】
さらにS-メソプレンを含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項40】
外部寄生虫感染を処置するためのキットであって、少なくとも70%w/w未満の量で存在する脂肪酸エステルおよびシロキサンを含む組成物と、外部寄生虫を殺すためにキットに含まれる部材の使用法を記載した指示書とを含み、ここで前記組成物は、存在する外部寄生虫を殺すのに有効量の他の薬剤を含まないことを特徴とする前記キット。
【請求項41】
前記シロキサンがシクロメチコンであり、前記脂肪酸エステルがミリスチン酸イソプロピルである、請求項39に記載のキット。
【請求項42】
前記組成物がさらにメクチン及び/またはマイシンを含む、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
さらにS-メソプレンを含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
シラミ卵コームをさらに含む、請求項40に記載のキット。

【公開番号】特開2011−16806(P2011−16806A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170399(P2010−170399)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【分割の表示】特願2004−500768(P2004−500768)の分割
【原出願日】平成15年4月14日(2003.4.14)
【出願人】(504403264)ピードモント ファーマシューティカルズ エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】