説明

多原色変換

本方法は、入力原色RI、GI、BIの3個の値(ri、gi、bi)により定義される入力画素IPiを、表示装置DDの画素PIiのN個のサブ画素SPiを駆動するためのN個の駆動値DSiへと変換する。N個の駆動値DSiはこれら駆動値が生じる有効範囲VRを持つ。N個のサブ画素SPiは、N色の表示原色DPiにより定義される光を発し、該N色の表示原色のうち少なくとも4色が独立したものである。M色の結果の表示原色RDiが用いられ(10)、結合された表示原色CDiへと結合されたN色の表示原色DPiのうちの表示原色の群が、結合された表示原色CDiにより置き換えられる。M色の結果の表示原色RDiについての結果の駆動値DRiを得るために、入力画素IPiに対して第1の多原色変換MPC1が実行される(11)。M個の結果の駆動値DRiが有効範囲VR内の値を持つか否かがチェックされる。M色の結果の表示原色RDiの少なくとも1つの結果の駆動値DRiが有効範囲VR外の値を持つ場合には、本方法は、有効範囲VR外である結果の駆動値DRiに固定値FViを割り当て(12)、N色の表示原色DPiからK色を選択する(13)。該選択は、N色の表示原色DPiのうち、結合された表示原色CDiへと結合された表示原色であるが、有効範囲VR外である結果の駆動値DRiと関連する表示原色DPiではない表示原色を含む。整数Kは3よりも大きい。最後に本方法は、N色の表示原色DPiのうちの原色が第1の多原色変換MPC1において結合された表示原色CDiへと結合されるという制約CO2の下で、第2の多原色変換を実行する(14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3色の入力原色の3個の値により定義される入力画素を、表示装置の画素のN個のサブ画素を駆動するためのN個の画素駆動値へと変換する方法、及び、該方法を実行するためのソフトウェアプログラムに関する。本発明は更に、3色の入力原色の3個の値により定義される入力画素を、表示装置の画素のN個のサブ画素を駆動するためのN個の画素駆動値へと変換するための変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開WO95/10160は、3色のシステム原色を用いて符号化された送信されたカラービデオ信号を受信し、4色の表示原色を用いた装置上での表示のために該信号を復号化する、ビデオ表示装置を開示している。該4色の表示原色は、該4色の表示原色のうちの他の2つの組み合わせとして表現され得る表示原色がないという点で独立したものであり、斯くして四辺形を定義する。第3及び第4の表示原色の線形結合である、第5の、仮想表示原色(imaginary display primary)が決定される。ここで、該四辺形は、それぞれが第1と第4と第5、第1と第5と第2、及び第2と第5と第3の表示原色により定義される、3組の三つ組(triad)に分けられる。受信されたビデオ信号は、それぞれが各三つ組のためのものである3つの行列演算ユニットにより復号化され、第1乃至第4の表示原色のための駆動信号を算出する。各画素について、4原色表示装置を駆動するために、負の表示駆動信号を生成しない行列演算ユニット出力が選択される。斯くして、入力信号の特定の入力画素について、入力画素色を表示することを可能とする三つ組が選択される。
【0003】
該先行技術の一実施例において、以下のステップが実行される。最初に、第3及び第4の表示原色の線形結合として第5の表示原色が決定される。第2に、第1、第2及び第5の表示原色を有する表示原色の三つ組を用いて、第1、第2及び第5の表示原色を生成するための信号が算出される。第3に、これら算出された信号が全てゼロ又は正である場合には、表示原色駆動信号を形成するために第1及び第2の表示原色についての信号が利用され、第5の表示原色についての信号を用いて第3及び第4の表示原色についての駆動信号が算出され、第3及び第4の表示原色についての駆動信号をこれら原色間の線形な関係に基づいて算出する。第4に、第1の表示原色について算出された信号が負である場合、表示原色駆動信号が最初に算出され、これら信号が全てゼロか又は正である場合には、算出された第2及び第4の表示原色駆動信号が、第1の表示原色駆動信号の所定の倍数の付加により修正され、第1の表示原色信号がゼロに設定される。第2の表示原色について算出された信号が負である場合にも、同様の手法がとられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
該先行技術においては、三つ組を生成することが可能となるように第5の原色が導入される。該三つ組のそれぞれにおける計算は単純である。なぜなら、各三つ組において、3つの原色入力信号が、3つの原色表示信号へと確定的に変換されるからである。しかしながら、該先行技術の手法は、異なる三つ組間の境界に不連続が生じ得るという欠点を持つ。以下、多原色なる語が用いられる場合には、3色よりも多い表示原色が存在することを示す。
【0005】
本発明の目的は、三つ組の境界における不連続を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、請求項1に記載の方法を提供する。本発明の第2の態様は、請求項11に記載の変換器を提供する。本発明の第3の態様は、請求項12に記載のコンピュータプログラムを提供する。有利な実施例は従属請求項において定義される。
【0007】
本発明の第1の態様による方法は、3色の入力原色の3個の値により定義される入力画素を、表示装置の出力画素のN個のサブ画素を駆動するためのN個の駆動値へと変換する。Nは、3よりも大きい整数である。入力信号は、表示装置のそれぞれの画素に表示される必要がある入力画素のシーケンスを有する。入力信号の入力画素は、3色の入力原色に関して定義される。表示画素は、N(>3)色の独立した表示原色により定義される光を発する、N(>3)個のサブ画素を有する。更には言及しないが、表示画素は、従属する表示原色を持つ更なるサブ画素を有しても良い。説明を容易にするため、以下、画素の全てのサブ画素が独立した表示原色を持つことが仮定される。斯くして、入力画素の3色の入力原色の寄与を定義する3個の値が、表示画素のN個のサブ画素についてのN個の駆動値へと変換される。
【0008】
N個の駆動値は全て、これら値が有効となる範囲である、同一の有効範囲を持つ。全ての実用的な実装において、これら駆動値は、限られた範囲内の値しか持てない。例えば、アナログ実装においては、生成され得る電圧は、利用される電源電圧により制限される。ディジタル実装においては、これら値は、ディジタル語を表すために利用されるビットの数により制限される。該制限された範囲が有効範囲となるように定義される。なぜなら、有効範囲外の駆動電圧は、実用的な実装では生成され得ないからである。以下、有効範囲は、境界値を含んで0から1までの範囲に正規化される。
【0009】
本方法は、N色の表示原色の代わりに、M色の結果の表示原色を利用する。ここで、Mは整数Nよりも小さな整数である。M色の結果の表示原色は、N色の表示原色のうちのそれぞれを、結合された表示原色へと結合して、該結合された表示原色により結合された表示原色を置き換えることにより得られる。該結合された表示原色は、結合された表示原色の線形結合として生成されても良い。M色の結果の表示原色は予め保存されたものであっても良いし、又は本方法のステップにより決定されても良い。
【0010】
次いで、3つの原色入力信号を、M色の表示原色についてのM個の結果の原色駆動値へと変換するため、多原色変換が入力画素に適用される。次いで、M個の結果の駆動値が有効範囲内の値を持つか否かがチェックされる。結果の駆動値の全てが有効範囲内である場合には、M色の結果の表示原色が、入力画素の色を表現するために利用されることができる。N色の表示原色を駆動するためのN個の表示駆動値は、結合された表示原色を生成するために利用された結合比に基づいて、M個の結果の原色駆動値から導出される。表示原色の結果の駆動値が有効範囲外の値を持つ場合には、以下のステップが実行される。最初に、有効範囲外である結果の駆動値に対して、固定値が割り当てられる。1つよりも多い結果の駆動値が有効範囲外の値を持つ場合には、これら駆動値のうちの少なくとも1つに、固定値が割り当てられる。第2に、N色の表示原色から、K(3<K<N)色が選択される。該選択は、N個の表示原色のうち、結合された表示原色に結合されたものであるが、有効範囲外である結果の駆動値と関連した表示原色ではないものを含む。K色の選択された表示原色は、入力画素の色の表現が可能となるように選択される。入力画素は、選択された表示原色による色域内にある。3からKへの多原色変換(更に議論される第3のステップ)の後にのみ、入力色がこれらK色の原色により表現され得るかが明らかとなることは、留意されるべきである。第3に、第1の多原色変換において結合された表示原色へと結合されたN色の表示原色のそれぞれが等しい駆動値を持つという制約の下で、第2の多原色変換が実行される。しかしながら、例えばOLEDディスプレイについての最小劣化制約のような、他のいずれの制約も適用可能であり得る。
【0011】
多原色変換は、3色の入力原色に関して定義された入力画素を、K色の仮想的な表示原色に関連したK(3よりも大きい)個の駆動値へと変換するため、制約を適用することが可能である。K色の仮想的な表示原色は、実際の表示原色と、実際の表示原色の結合とを有し得る。斯かる3からKへの多原色変換は、欧州特許出願番号05102641.7に記載されたように、ルックアップテーブルを利用することなく、効率的に実行されることができる。3からKへの多原色変換は、K=4である場合に、特に効率的である。
【0012】
該制約が等しい駆動値制約である場合、多原色変換は、3からKへの多原色変換のためにとり得る全ての方法のうちから1つが選択され、それにより、関連する表示原色が結合されているために同一又は略同一の駆動値を持っていた駆動値が、M個の結果の表示原色により生成される色域の境界を越えて同一の値を保つことをもたらす。斯くして、表示原色の結合の特定の選択において、特定の色域に帰着する。入力画素が該色域内ではあるが該色域の境界に近い色を持つ場合には、全ての結合された表示原色の駆動値が既知となる。該結合が、全ての寄与する表示原色が同じ重みを持つ線形結合である場合には、これらの駆動値は略同一となる。他の入力画素が、前述した入力画素の色に近い色であるが前述した色域のすぐ外にある色を持つ場合には、この最新の色が表現され得るように、表示原色の新たなセット(現実の及び/又は結合された)が選択される必要がある。利用される表示原色の異なるセットのため、更なる制約が利用されない場合には、不連続が生じ得る。確定的な3からKへの多原色変換においては、制約を適用することが可能である。従って、この手法は、三つ組の色域の境界に対して異なる側にある非常に類似した色について、アーティファクトを引き起こし得る。本発明によれば、他の三つ組ではなく四辺形が選択される。この場合、3から4への多原色変換が必要とされ、ここでは多くのとり得る方法から最適な方法を見つけ出すために有用な制約を入力することが可能である。不連続を防ぐために非常に有用な制約は、結合された実際の表示原色の駆動値に対する等駆動制約である。前述したように、特定の原色(又は結合された原色)又は原色の群について最適な方法を提供する他の制約が、同様に不連続を防ぐ。
【0013】
一実施例においては、M個の結果の表示原色は更に、更なる結合された表示原色へと結合されたN色の表示原色のうちの原色の別の群を有する。多原色変換においては、結合されたN色の表示原色のうちの原色が、更なる結合された表示原色により置き換えられ、3から4への多原色変換を容易化する。N色の表示原色からの4色の選択は、更なる結合された表示原色を含む。この手法は、6色よりも多い表示原色が存在する場合に、特に適切である。ここで、N色の表示原色のうち2色よりも多い原色が1つの群に結合される必要があるか、又は、結合された表示原色の更なる群が利用される必要がある。一実施例においては、最も近い2つの表示原色のみが常に、結果の色域を可能な限り大きく保つためにグループ化される。
【0014】
一実施例においては、正確に4色の結果の表示原色が利用される。4色の結果の表示原色は、少なくとも1つの群におけるN色の表示原色の幾つかを結合することにより得られる。第1の多原色変換はここでは、同一の結合された表示原色に寄与する表示原色が等しい駆動値を持つという制約の下で実行される。斯くして、ここでは、第1及び第2の多原色変換の両方が等しい駆動値制約を利用し、それにより隣接するサブ色域の境界での不連続を更に低減する。ここでもまた、他のいずれの制約が利用されても良いことは、留意されるべきである。
【0015】
一実施例においては、表示フィールドが、第1の表示原色を持つ第1のフレームと、
第2の表示原色を持つ第2のフレームとのシーケンスを有する。第1の表示原色及び第2の表示原色は、N色の表示原色を形成する。通常、表示フィールドは、表示画素の対応するマトリクスに表示されるべき入力画素のシーケンスを有する。又は換言すれば、入力画素のフィールドは、表示画素の完全なマトリクスに表示されるべき入力色を有する。例えばLCD装置においては、フレーム毎に異なる光源を用いることにより或いはフレーム毎にバックライトユニットにより発せられる光のスペクトルを変化させることにより、又はフレーム毎に異なる色フィルタを用いることにより、異なる表示フレームについて異なる原色が得られ得る。ここでは、クロストークをも防止するためには、多原色変換の間に等しい駆動制約を実装することが可能であることが一層重要である。
【0016】
一実施例においては、第1の表示原色の数は、第2の表示原色の数に等しい。M=N/2色の結果の表示原色が、種々のフレームからN色の表示原色のN/2個の再隣接対を結合することにより、N色の表示原色を置き換える。斯くして、種々のフレームから2つの再隣接表示原色が単一の結合された表示原色へと結合される。この手法は、とり得る大きな色域に、結合された表示原色を供給する。
【0017】
一実施例においては、Nが6に等しく、3色の結果の結合された表示原色が、6色の表示原色を置き換える。第1に言及された多原色変換は、以下のステップにより先行される。最初に、多原色変換が、入力画素を3色の結合された表示原色についての3個の駆動値へと変換する。第2に、チェック処理が該3個の駆動値が有効範囲内の値を持つか否かを決定する。該3個の駆動値のうち少なくとも1つが有効な値を持たない場合には、該無効な駆動値に固定値が割り当てられ、6色の表示原色のうち4色が選択される。該選択は、該無効な駆動値に関連する表示原色を含まない。該4色の選択された表示原色は、多原色変換が適用された後に入力画素の色の表示を可能とするように選択される。
【0018】
一実施例においては、有効範囲外の駆動値に対して、有効範囲の最も近い境界値が前記固定値として割り当てられる。
【0019】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】3原色入力信号を多原色駆動信号へと変換するための変換器を備えたディスプレイ機器を模式的に示す。
【図2】3原色入力信号を多原色駆動信号へと変換するための変換器の実施例のブロック図を模式的に示す。
【図3】5色の独立した表示原色により生成される色域の例を模式的に示す。
【図4】スペクトル順次ディスプレイの1つのフィールドを模式的に示す。
【図5】3原色入力信号を2倍の3色表示原色へと変換するための変換器の実施例のブロック図を模式的に示す。
【図6】スペクトル順次ディスプレイの2倍の3色表示原色により生成される色域の例を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
異なる図面において同一の参照番号を持つアイテムは、同一の構造的な特徴及び同一の機能を持つものであるか、又は同一の信号である点に留意されたい。斯かるアイテムの機能及び/又は構造が説明されている場合には、詳細な説明において繰り返しの説明は必要ない。
【0022】
図1は、3原色入力信号を多原色駆動信号へと変換するための変換器を備えたディスプレイ機器を模式的に示す。該ディスプレイ機器は、変換器1及び表示装置DDを有する。
【0023】
表示装置DDは、N個のサブ画素SPiを有する画素PIiを有する。明確さのため、1つの画素PIiのみが示されている。通常、表示装置は、画像を表示することが可能であり、マトリクス状の構造で配置された複数の画素PIiを有する。インデクスiは、一般に複数のこれらアイテムについて、先行する文字により示されるアイテムを示すために用いられることに留意されたい。例えば、画素PIiは画素PIのうちのいずれか1つであるか、又は全般的に画素PIを指す。画素PIiのサブ画素SPiは、表示原色DPiを形成する異なる光を発する。サブ画素SPiのそれぞれは、画素駆動値DSiにより駆動される。図示される例においては、画素PIiはN(6に等しい)個のサブ画素SPiを有し、従って6個の画素駆動値DSiが必要とされる。
【0024】
入力信号は、画素PIi毎にN個の画素駆動値DSiへと変換される必要のある3色の入力原色RI、GI及びBIの3つの値ri、gi及びbiにより定義される、入力画素IPiを有する。先行技術においては、該変換は直接に実行され得、大きな記憶容量(ルックアップテーブル)又は大量の計算を必要とする困難な多原色変換を必要とする。代替としては、国際特許出願公開WO95/10160に開示されるように、表示原色DPiによる出力色域が三つ組に分割され、入力色が有効な駆動値で表現されることができる三つ組が選択される。しかしながら、この手法は、異なる三つ組における類似する色の間で不連続を引き起こし得る。
【0025】
本発明においては、変換器1がN色の表示原色DPiを処理してM個の駆動値DRiのうちの、表示原色DPiの数Nよりも小さい幾つかを提供し、斯くして3色の入力原色RI、GI及びBIからM個の駆動値DRiへの多原色変換を実行する必要がある。M個の駆動値DRiは、N個の画素駆動値DSiへと変換される必要がある。変換器1の動作は、他の図面を参照しながらより詳細に説明される。
【0026】
図2は、3原色入力信号を多原色駆動信号へと変換するための変換器の実施例のブロック図を模式的に示す。変換器1は、選択ユニット10と、MPC1とも呼ばれる多原色変換器11と、チェック及び割り当てユニット12と、選択ユニット13と、MPC2とも呼ばれる多原色変換器14と、ドライバ18と、を有する。
【0027】
選択ユニット10は、N色の表示原色DPi及びN色の表示原色DPiから生成された結合された原色のサブセットを含む、M色の結果の表示原色RDiを供給する。Mは、整数Nよりも小さい整数である。M色の結果の表示原色RDiのうち少なくとも1つは、N色の表示原色DPiのうちの特定のものを、結合された表示原色CDiへと結合することにより得られる。斯かる結合された表示原色CDiは、N色の表示原色DPiのうち少なくとも2つの結合である。結合された表示原色CDiへと結合された表示原色DPiは、結合された表示原色CDiにより置き換えられる。結合された表示原色CDiは、結合された表示原色DPiの線形結合として生成されても良い。M色の結果の表示原色RDiは、選択ユニット10のメモリに予め記憶されていても良いし、又は表示原色DPiから選択ユニット10により決定されても良い。斯くして選択ユニット10は、多原色変換11において利用される表示原色DPiの量を、NからMへと減少させる。しかしながら、独立した表示原色DPiについては、結果の表示原色RDiによる色域は、現実の表示原色DPiとも呼ばれる表示原色DPiによる色域よりも小さい。
【0028】
次いで、多原色変換器11は、入力画素IPiに対して多原色変換MPC1を実行し、3原色入力画素IPiを、M色の結果の表示原色RDiのためのM個の結果の駆動値DRiへと変換する。該多原色変換器11は、3原色入力画素IPiを、3個以上の結果の駆動値DRiへと変換しても良い。結果の駆動値DRiの数が3よりも大きい場合には、該変換は制約CO1の下で実行される。例えば、該制約は等輝度制約であっても良いし、又は結合された表示原色DPiについての等駆動値制約であっても良い。しかしながら、多原色変換11においては、駆動値DRiについてのいずれの所望の制約CO1が利用されても良い。
【0029】
次いで、チェック及び割り当てユニット12が、M個の結果の駆動値DRiが有効範囲VR内の値を持つか否かをチェックする。全ての結果の駆動値DRiが有効範囲VR内である場合には、処理されている入力画素IPiの色を表現するためにM色の結果の表示原色RDiが用いられることができる。M個の有効な駆動値からN色の現実の表示原色のN個の駆動値を得るため、結合比が利用される。N個の駆動値が決定されると、入力色についての3からNへの変換が準備状態となる。しかしながら、M色の原色RDiのうちの少なくとも1つの結果の駆動値DRiが有効範囲VR外の値を持つ場合には、以下のステップが実行される。
【0030】
最初に、チェック及び割り当てユニット12が、有効範囲VR外の結果の駆動値DRiに対して固定値FViを割り当て、表示原色の修正されたセットDPi'に帰着する。固定値FViが結合された駆動値に割り当てられる場合には、結合比を用いて、結合された全ての駆動値に固定値が自動的に割り当てられる。
【0031】
第2に、選択ユニット13が、表示原色DPi'のうち、駆動値が固定値FViを持つような表示原色DPiを有さないサブセットRDi'を選択する(選択ユニット10と同様に)。チェック及び割り当てユニット12が、表示原色DPi'の限られたセットのみを供給するか全ての表示原色DPi及びどれが選択可能ではないかを示す情報を供給するかは、本発明には重要ではない。図2に示された例においては、サブセットRDi'は、表示原色DPi'から選択された(現実の)及び/又は生成された(結合された)ちょうど4色の表示原色を有する。選択されたRDi'は、結合された表示原色CDiへと結合されたものであるが、有効範囲VR外である結果の駆動値DRiに関連する表示原色DPiではない、N色の表示原色DPiのうちの原色を含む。該4色の選択された表示原色RDi'は、入力画素IPiの色の表現が可能であるように選択される。換言すれば、入力画素IPiは、該選択された4色の表示原色RDi'による色域内にある。RDi'が入力色を表現できるか否かは予め知られないことに留意されたい。第2の多原色変換MPC2が実行された後にのみ、いずれかの駆動値DRi'が負であるか否かが既知となる。このことは、原色DPi'の種々の(又は全ての)とり得る結合を試み、多原色変換MPC2の後の結果に基づいて最良の結果を選択する、繰り返しアルゴリズムが利用されても良い理由である。
【0032】
第3に、多原色変換器14が、第1の多原色変換11が最小限に異なる(好適には等しい)駆動値を持つか又は最小限に異なる輝度を持つ前に結合された表示原色CDiへと結合されたN色の表示原色DPiのうちの原色という制約CO2の下で、多原色変換MPC2を実行する。多原色変換14は3色の入力原色RI、GI及びBIに関して定義された入力画素IPiを、4色の表示原色RDi'に関連する4個の駆動値DRi'に変換するため、制約CO2を適用することが可能である。4色の表示原色RDi'は、現実の表示原色DPiと、現実の表示原色DPiの結合CDiとを有しても良い。斯かる3から4への多原色変換MPC2は、ルックアップテーブルの使用なく効率的に実行されることができ、欧州特許出願番号05102641.7に記載されている。
【0033】
該制約CO2の使用は、3から4への原色変換のためのとり得る全ての方法のうちから、関連する表示原色が結合されているために略同一の又は同一の駆動値を持つ駆動値DRi'が、M色の選択された表示原色DPi'により生成される色域の境界を越えて可能な限り同一の値を保つような方法が選択される。斯くして、表示原色DPiの結合CDiの特定の選択において、特定の色域に帰着する。入力画素IPiが該色域内ではあるが該色域の境界に近い色を持つ場合には、全ての結合された表示原色CDiの駆動値DRi'が既知である。該結合が、結合された表示原色CDiに対する全ての寄与する表示原色DPiが同じ重みを持つ線形結合である場合には、これらの駆動値は略同一である。他の入力画素IPiが前述した入力画素IPiの色に近いが前述した色域のすぐ外にある色を持つ場合には、表示原色の新たなセット(現実のDPi及び/又は結合されたCDi)が、該後者の言及された色が表現され得るように選択される必要がある。後者の言及された色のために必要とされる表示原色DPiの異なるセットのため、更なる制約CO2が利用されない場合には、不連続が生じ得る。確定的な3から3への原色変換においては、制約を適用することが可能である。従って、該先行技術の手法は、三つ組の色域の境界の両側にある非常に類似した色に対してアーティファクトを生じ得る。本発明によれば、別の三つ組が選択されるのではなく、四辺形が選択される。ここで、多原色変換MPC2のためにとり得る多くの方法のなかから最適な方法を定義するために結合された現実の表示原色DPiの駆動値についての制約CO2を入力することが可能な3から4への原色変換が必要とされる。
【0034】
図2に示された例においては、表示画素は、4色の表示原色DPiを形成する4個のサブ画素を持ち、従って3から4への多原色変換MPC2が必要とされる。画素がN個のサブ画素を持つ場合(NはN色の独立した表示画素を表す)、3からNへの多原色変換MPC2が必要とされる。制約CO2は、他のいずれの適切な制約であっても良い。
【0035】
結果の駆動値DRiのうち1つよりも多い値が有効範囲VR外である場合には、以下により、有効範囲外の各駆動値DRiについて割り当て12、選択13及び実行14が繰り返し実行される繰り返しアルゴリズムが実装されても良い。有効範囲VR外の結果の駆動値DRiに対して固定値FViを割り当てる(12)。N色の表示原色DPiからK個の原色を選択する(13)。ここで該選択は、結合された表示原色CDiへと結合された表示原色DPiであるが、有効範囲VR外の該繰り返しについて選択された結果の駆動値DRiに関連する表示原色DPiではない原色を含む。等駆動値又は等輝度制約CO2を用いて第2の多原色変換を実行し、駆動値DRi'を得る。
【0036】
変換器は更に、駆動値DRi'間の差又は結合された原色CDiへと結合された表示原色の輝度間の差を決定し、最小の差をもたらす有効範囲外の駆動値DRiに関連する駆動値DRi'を選択する、決定ブロック15を有する。
【0037】
駆動器18は、4個の駆動値DRi'を受信し、N個の駆動値DSiを画素PIiのN個のサブ画素SPiへと供給する。駆動器18は更に、結合された表示原色CDiへと結合された別個の表示原色DPiの正しい駆動値DSiを算出することが可能となるように、駆動値DSiがこれら駆動値が有効範囲VR内にないために有効範囲VR内の固定値FViを得るための情報であり、表示原色DPiがどのように結合されたかに関する情報を受信する。
【0038】
図3は、5色の独立した表示原色により生成される色域の例を、模式的に示す。該5色の独立した表示原色は、DP1、DP2、DP3、DP4及びDP5である。表示原色DP2とDP3とは、結合された表示原色CDiへと結合される。図示される実施例においては、表示原色CDiは、線DP2及びDP3を、2つの等しい部分に分割する。色域G1は表示原色DP1、CDi、DP4及びDP5により定義され、色域G2は表示原色DP1、DP2及びCDiにより定義され、色域G3は表示原色DP3、DP4及びCDiにより定義される。結合された表示原色CDiもまた表示原色と呼ばれるが、現実の表示原色ではない点に留意されたい。更に、色域G1は、表示原色DP2とDP3とが等しい駆動値を持つ場合に生じることに留意されたい。
【0039】
以下、図2に示された回路の動作が、図3に示された表示原色の例に基づいて説明される。選択ユニット10は、5色の表示原色DP1乃至DP5から、本例においてはDP1、CDi、DP4及びDP5である4色の結果の表示原色RDiを生成する。多原色変換器11は、3色の入力原色RI、GI、BIについて定義された入力画素IPiを、現実の表示原色DP1、DP4及びDP5並びに結合された表示原色CDiである4色の結果の表示原色RDiの4個の駆動値DRiへと変換する。チェック及び割り当てユニット12は、4個の駆動値DRiの全てについて、これら駆動値が有効範囲VR内にあるか否か、又は換言すれば、これら駆動値が実際の実装において有効な値を持つか否かをチェックする。入力画素IP1について、4個の駆動値DRiが全て有効な値を持つ場合には、多原色変換器11により供給される駆動値DRiは、表示原色DP2とDP3との間の結合比(重み)に関する情報を用いる駆動器18に供給されることができる。しかしながら、この状況は、本発明に対して更に重要ではない。
【0040】
本発明は、現在の入力画素IPiが色域G1内にないが、例えば入力画素IP2が色域G3内にある状況に、どのように対処するかに向けたものである。ここで、先行技術に対する違いが議論される。ここで、ユニット12は例えば、表示原色DP1についての駆動値が負であることを検出し、有効範囲内の固定値FViを表示原色DP1に割り当てる。一実施例においては、固定値FViは、表示原色DP1についての駆動値が負である場合にはゼロに等しく、表示原色DP1についての駆動値が1よりも大きい場合には1に等しい。ユニット12は、実際には有効値を持たない関連する駆動値DRiの1つが選択ユニット13によりもはや選択可能ではない表示原色DPiである表示原色DPi'の修正されたセットを供給する。該1つはセットDPi'に含められなくても良いし、又はもはや選択可能ではないという指示と共に含められても良い。駆動値DRiの1つよりも多くが有効範囲VR外の値を持つ場合には、これら駆動値DRiのうち全て又は選択されたものが、固定値FViを得る。有効範囲内の異なる5個の駆動値DRiは、等しい又は異なる固定値FViを得ても良い。
【0041】
一実施例においては、1つよりも多い駆動値が有効範囲外である場合に、繰り返しの手法が用いられる。該繰り返しアルゴリズムは、固定値を1つのみの無効値に割り当て、無効値を持つ他の原色を選択ユニット13において選択する。多原色変換MPC2の後、最適さの尺度が評価され、該特定の選択について保存されても良い。2回目の繰り返しにおいて、無効値を持つ別の原色に対して固定値が割り当てられ、選択ユニット13は原色の異なるサブセットを選択する。多原色変換MPC2の後、最適さの第2の尺度が保存される、等する。全ての繰り返しの後、最良の最適さの尺度を与える選択及び固定原色が、変換の結果として選択される。
【0042】
選択ユニット13は、セットDPi'中の選択可能なものから、ちょうど4色の表示原色RDi'のサブセットRDi'を選択する。色の表示原色RDi'は、表示原色DPi'から選択される(現実の)及び/又は生成される(結合される)。選択RDi'は、結合された表示原色CDiへと結合されたN色の表示原色DPiのうちの原色を含むが、有効範囲VR外である結果の駆動値DRiに関連する表示原色DP1は含まない。4色の選択された表示原色RDi'は、入力画素IP2の色の表現が可能となるように選択される。斯くして、図3に示される例においては、4色の選択される表示原色RDi'は、DP2、DP3、DP4及びDP5である。しかしながら、通常は選択された表示原色RDi'は色を表示することを可能とする正しい原色であることは前もっては(多原色変換MPC2を実行する前には)知られないため、通常は、以上に説明された繰り返しアルゴリズムが利用される。
【0043】
多原色変換器14は、第1の多原色変換11の前に結合された表示原色CDiへと結合されたN色の表示原色のうちの原色DP2及びDP3が等しい駆動値を持つか若しくは最小の差を持つという制約CO2、又は結果の輝度が等しいか若しくは最小の差を持つという制約CO2の下で、多原色変換を実行する。本例においては、4色の表示原色RDi'が全て現実の表示原色DPiであるが、他の例においては、4色の選択された表示原色RDi'において現実の表示原色DPiの1つ以上の結合CDiが存在しても良い。多原色変換器14は、4色の選択された表示原色RDi'についての駆動値DRi'を供給する。
【0044】
駆動器18は、4個の駆動値DRi'を受信し、N個の駆動値DSiを画素PIiのN個のサブ画素SPiに供給する。4色の選択された原色のセット中の現実の表示原色DPiの駆動値DSiは、対応するサブ画素SPiを駆動するために直接利用されることができる。本例においては、このことは、4色の選択された原色の全てである。選択された原色のセット中に結合された表示原色CDiが存在する場合には、結合された表示原色DPiの値が算出されることができる。なぜなら、結合のために利用されたアルゴリズムが既知であるからである。図示された実施例においては、結合された原色DPiについての駆動値DSiは、結合された原色CDiについての駆動値DRi'に等しくなり得る。駆動器18は更に、有効範囲VR内にないために駆動値DSiが固定値FViを得るために基づく情報を受信する。
【0045】
図4は、スペクトル順次ディスプレイの1つのフィールドを模式的に示す。例えば、スペクトル順次ディスプレイは、2つのフレームFR1及びFR2を有する1つのフィールドFIの間に、各画像を表示する。例えばフィールドFIの繰り返し速度は60Hzであり、フレーム繰り返し速度は120Hzである。2つのフレームF1及びFR2の間の表示原色DPiは、表示可能な全体の閾値を拡大するために、異なる。
【0046】
例えば、2倍のフレームレートで駆動されることができる、従来のRGB表示パネルが利用されても良い。変更されたバックライトは、2つのタイプの蛍光ランプ又はLEDを有する。フレームFR1の間、ランプの一方のタイプが、表示パネルの色フィルタと共に、3色の表示原色DPiの第1のセットを生成する。フレームFR2の間、ランプの他方のタイプが、表示パネルの色フィルタと共に、3色の表示原色DPiの第2のセットを生成する。斯くして、拡大された閾値が、3色の表示原色DPiの2倍の組み合わせ、即ち6色の表示原色DPiにより定義される。
【0047】
スペクトル順次ディスプレイのための本発明による手法の一例が、図5に示されたブロック図及び図6に示された3色の表示原色の2つの群に関して説明される。
【0048】
図5は、3原色入力信号を、スペクトル順次ディスプレイの2倍の3色表示原色へと変換するための変換器の実施例のブロック図を模式的に示す。
【0049】
図6は、スペクトル順次ディスプレイの2倍の3色表示原色により生成される色域の例を模式的に示す。フレームFR1の間、色域は表示原色DP1、DP2及びDP3により定義され、フレームFR2の間、色域は表示原色DP4、DP5及びDP6により定義される。
【0050】
選択ユニット10は、6色の表示原色DP1乃至DP6から、本例においては結合された表示原色CD1、CD2及びCD3である3色の結果の表示原色RDiを生成する。結合された表示原色CD1は、表示原色DP1とDP4との結合であり、結合された表示原色CD2は、表示原色DP2とDP5との結合であり、結合された表示原色CD3は、表示原色DP3とDP6との結合である。図示される本例においては、結合された表示原色CDiは、結合されるべき表示原色DPiの平均となるように選択される。斯くして、結果の表示原色CD1、CD2及びCD3である、同一の表示原色RDiが、フレームFR1及びFR2の両方の間に選択される。従って、選択される表示原色RDiが、結合された表示原色CD1、CD2及びCD3により定義される色域をカバーする。
【0051】
多原色変換器12は、3色の入力原色RI、GI及びBIに関して定義された入力画素IPiを、結合された表示原色CD1、CD2及びCD3である3色の結果の表示原色RDiの3個の駆動値DRiへと変換する。斯くしてここでは、多原色変換器11は、3から3への原色変換を実行する。チェック及び割り当てユニット12は、3個の駆動値DRiの全てについて、これら値が有効範囲VR内にあるか否かをチェックする。入力画素C1については、3個の駆動値DRiが全て有効な値を持ち、駆動値DRiは駆動器18に直接供給されることができる。
【0052】
しかしながら、現在の入力画素IPiが色域G1内にはないが例えば入力画素C2である場合には、ユニット12は、選択された表示原色CD1についての駆動値DRiが負であることを検出し、有効範囲VR内の固定値FViを結合された表示原色CD1に割り当てる。一実施例においては、固定値FViは、表示原色CD1についての駆動値が負である場合にはゼロに等しく、表示原色CD1についての駆動値が1よりも大きい場合には1である。ユニット12は、実際には有効値を持たない関連する駆動値DRiの1つが選択ユニット13によりもはや選択可能ではない表示原色DPiである表示原色DPi'の修正されたセットを供給する。斯くして本例においては、表示原色CD1に関連するDP1及びDP4が、もはや選択可能ではない。なぜなら、これらは例えばゼロである固定値FViを得ているからである。
【0053】
選択ユニット13は、セットDPi'中の選択可能な原色から、ちょうど4色の表示原色RDi'のサブセットを選択する。フレームFR1、FR2毎に3色の原色を持つスペクトル順次ディスプレイの本例において残される選択RDi'のための可能性は、4色の原色DP2、DP5、DP3及びDP6のみである。斯くして、ここでもまた、選択RDi'は、結合された表示原色CD2及びCD3へと結合されたN色の表示原色DPiの原色を含むが、有効範囲VRi外である結果の駆動値DRiに関連する表示原色DP1及びDP4を含まない。本例においては、入力画素C2の色の表現が可能となるように、4色の選択される表示原色RDi'が自動的に選択される。
【0054】
多原色変換器14は、第1の多原色変換11が等しい駆動値を持つ前に、N色の表示原色の対DP2及びDP3並びにDP3及びDP6がそれぞれ結合された表示原色CD2及びCD3へと結合されるという制約CO2の下で、多原色変換を実行する。代替として、制約CO2は、駆動値間の差が最小であること、又は表示原色DPiに関連するサブ画素SPiの結果の輝度の差が最小であることであっても良い。本例においては、4色の表示原色RDi'は全て現実の表示原色DPiであるが、3色よりも多い表示原色がフレームFR1、FR2毎に存在する他の例においては、現実の表示原色DPiの1つ以上の組み合わせが、4色の表示原色RDi'に存在しても良い。多原色変換器11は、4色の選択された表示原色RDi'についての駆動値DRi'を供給する。ここでもまた、他のいずれの制約CO2が適用されても良い。例えば、最小劣化制約CO2が、結合された表示原色CDiにより定義される色域の内と外とで劣化が同等となるようにサブ画素の駆動が選択されるようにしても良い。斯くして、制約CO2の利用は、該色域の境界における不連続を改善する。
【0055】
駆動器18は、4個の駆動値DRi'を受信し、画素PIiの3個のサブ画素SPiに、2倍の3個の駆動値DSiを供給する。4色の選択された原色のセット中の現実の表示原色DPiの駆動値DSiは、対応するサブ画素SPiを駆動するために直接利用されても良い。選択された画素の該セットにおいて結合された表示原色CDiが存在する場合には、該結合された表示原色CDiへと結合された表示原色DPiの値は、結合のために利用されたアルゴリズムを用いることにより算出されることができる。図示される例においては、結合された表示原色DPiについての駆動値DSiは、結合された原色CDiについての駆動値DSiと等しくなり得る。駆動器18は更に、有効範囲VR内にないために駆動値DSiが固定値FViを得るために基づく情報を受信する。
【0056】
該スペクトル順次ディスプレイにおいては、原色が同じ色フィルタに対応する対に結合される。図5及び6に関して議論された例は、例えば画素PIi毎に4個以上のサブ画素SPiを持つスペクトル順次ディスプレイにおけるような、3つよりも多い対が利用される場合にも利用されることができる。加えて、又は代替として、フィールド毎に2個よりも多いフレームが存在しても良い。例えば、フィールドが、それぞれが3色の表示原色により定義された3個のフレームを有する場合、3個の異なる色域を定義する全体で9色の原色が存在する。
【0057】
フレームFR1及びFR2の継続時間(例えば8.3ms)に対して表示画素PIiの応答が比較的遅い場合(例えば5ms)、異なるフレームFR1、FR2における画素間のクロストークが、ちらつきとして生じる。斯くして、異なるフレームにおける対の表示原色DPiについての駆動値DSi間の差を可能な限り小さく保つことが重要である。それ故、本発明の一実施例においては、等駆動値制約CO2の下、3から4への多原色変換14が利用される。又は代替として、制約CO2は、駆動値間の差が最小となるべきであるというものであっても良い。入力画素IPiの色が再生され得る、全ての対の駆動値DSi間の差が最小となる6色の表示原色DPiのうちの4色の選択を、アルゴリズムが探す。結合された表示原色CD1、CD2及びCD3により定義される色域内で、これら対の表示原色DPiについての駆動値DSiは等しい。従って、色の大半は、これら対について等しい駆動値で再生され得る。非常に明るい色及び/又は非常に彩度が高い色のみが、結合された表示原色CDiにより再生されることができない。斯かる色については、これら対の駆動値をこれら色に対しても可能な限り等しく保つために、最小差又は等駆動制約の下で、以上に説明された3から4への原色変換が実行される。
【0058】
この手法は、クロストークを除去するのみならず、動きアーティファクトをも減少させる。2つのフレームFR1及びFR2は時間的に離れており、動き補償が実装されない場合には同一の空間情報を担持する。このことは、観測者の網膜上の異なる位置における2つのフレームの出現に帰着し得る。或る対の駆動値間の差が大きい場合には、動きアーティファクトが明らかに可視となる。該アーティファクトは、対の駆動値が等しい又は略等しい場合に、あまり不快なものではなくなる。該手法は、高価な動き推定を不必要にし得る。
【0059】
該スペクトル順次ディスプレイの6色の表示原色DPi(3色の2倍)について、以下の式により色変換が定義される。ここで、いずれかのXYZ色が、6色の原色DP1乃至DP6の6色の原色駆動信号により生成される。変換行列t11乃至t36は、6色の表示原色DP1乃至DP6の色座標を含む。
【数1】

【0060】
6色の表示原色DP1乃至DP6の値が決定される必要がある本式は、6個の変数を持つ3個の式のみが利用可能であるため、解かれることができない。しかしながら、表示原色DP1乃至DP6が、
【数2】

のように隣接する表示原色の対へと結合される場合には、3個の変数を持つ以下の3個の式に帰着する。
【数3】

【0061】
ここで、ta11=(t11+t14)/2、ta12=(t12+t15)/2、ta13=(t13+t16)/2、等である。
【0062】
本式は、ta11乃至ta33を有する行列Taの逆行列Ta−1を決定することにより解かれることができる。
【数4】

【0063】
結合された表示原色CD1、CD2及びCD3のいずれかが有効範囲VR外の値を持つ場合には、入力画素IPiの色は、これら3色の表示原色CD1、CD2及びCD3により可能な色域内にない。有効範囲VRは、境界値を含む0乃至1までの範囲に正規化される。負の値については色の彩度が高過ぎ、1よりも大きな値については色が明る過ぎる。解が有効である場合には、DP1=DP4=CD1、DP2=DP5=CD2、及びDP3=DP6=CD3である。解が有効でない場合には、等駆動又は最初差制約の下で3から4への原色変換が適用され、該変換は容易にリアルタイムで実行され得る。
【0064】
以下、CD1<0であること、及びCD1がゼロに固定されることが仮定される。自動的に、DP1及びDP4もゼロである。ここで、4原色系は原色DP2、DP3、DP5及びDP6に帰着し、これらの値は現在の入力画素IPiについて決定される必要がある。
【0065】
単に例として、
d1=(DP2−DP5)、及び
d2=(DP3−DP6)
として定義される差d1及びd2を最小化することにより、最小差制約が実行される。
【0066】
該制約は、欧州特許出願番号05102641.7に開示されたような、4原色系において4個の原色駆動値のうち3個が4番目の値の関数として表現される手法において、利用されることができる。本手法においては、以下が成り立つ。
【数5】

ここで、値CC1、CC2及びCC3は入力サンプルIPiの色により定義され、係数K1、K2及びK3は原色DP2、DP3、DP5及びDP6の座標により定義される。最後の式が差d1及びd2についての式に代入されると、d1及びd2は原色DP6の二次関数を表す。距離d1及びd2の同時の最小化は、2つの放物線d1(DP6)とd2(DP6)との間の交点の探索と見なすことができる。該交点における原色DP6の値は、最適値DP6optと示され、d1(DP6)=d2(DP6)について、
【数6】

である。
【0067】
他の駆動値はここで、原色DP2、DP3及びDP5についての式において、DP6についてのDP6optを代入することにより決定される。最後に、決定されたマッピングP1=0、P2、P3、P4=0、P5及びP6optは、固定値FViに設定されていない表示原色DPiの対の駆動値DSi間の最小差の制約を満たす。
【0068】
例えばCD1<0及びCD3>1のように、結合された原色CDiのうち1つよりも多くが有効範囲VR外である場合には、表示原色DPiを選択するための全ての可能性が試される。例えば、最初に、本アルゴリズムはCD1をゼロに固定し、残りの原色DP2、DP3、DP5及びDP6を用いて3から4への原色変換14を適用する。変換の結果は、駆動値DSiと共に、対の駆動値DRi'間のd1及びd2についての最大の差を提供する。第2に、本アルゴリズムはDP3を1に固定し、原色DP1、DP2、DP4及びDP5について3から4への原色変換14を適用する。ここでもまた、駆動値DSiと、対の駆動値DSiの間の距離が結果として得られる。対の駆動値DSiの間の最小距離をもたらす解が、最適解として選択される。
【0069】
多原色変換のための提案されたアルゴリズムは、多くの用途において利用され得る。本アルゴリズムは、特定の量の原色に制約されるものではなく、いずれの多原色変換にも適用可能である。
【0070】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。
【0071】
本発明はハードウェアに関して説明されたが、議論された機能は全体が又は一部がソフトウェアアルゴリズムによって実行されても良い。ソフトウェアアルゴリズムは、専用のプロセッサ又は適切にプログラムされた汎用プロセッサ上で実行されても良い。
【0072】
請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する(comprise)」及びその語形変化の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」は、複数の斯かる要素の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実装されても良い。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力原色の3個の値により定義される入力画素を、表示装置の画素のN個のサブ画素を駆動するためのN個の駆動値へと変換する方法であって、前記N個の駆動値はこれら駆動値が生じる有効範囲を持ち、前記N個のサブ画素は、N色の表示原色により定義される光を発し、前記N色の表示原色のうち少なくとも4色が独立したものであり、前記方法は、
M色の結果の表示原色を用いるステップであって、結合された表示原色へと結合された前記N色の表示原色のうちの表示原色の群が、前記結合された表示原色により置き換えられるステップと、
前記M色の結果の表示原色についての結果の駆動値を得るために、前記入力画素に対して第1の多原色変換を実行するステップと、
M個の前記結果の駆動値が前記有効範囲内の値を持つか否かをチェックするステップと、
前記M色の結果の表示原色の少なくとも1つの前記結果の駆動値が、前記有効範囲外の値を持つ場合に、
前記有効範囲外である前記結果の駆動値に固定値を割り当てるステップと、
前記N色の表示原色からK色を選択するステップであって、前記選択は、前記N色の表示原色のうち、結合された表示原色へと結合された表示原色であるが、前記有効範囲外である前記結果の駆動値と関連する表示原色ではない表示原色を含み、前記Kは3よりも大きい整数であるステップと、
前記N色の表示原色のうちの原色が前記第1の多原色変換において結合された表示原色へと結合されるという制約の下で、第2の多原色変換を実行するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記第2の多原色変換は、前記第1の多原色変換において結合された表示原色へと結合された前記N色の表示原色のうちの原色が、最小限異なる駆動値を持つ又は最小の異なる輝度をもたらすという制約の下で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記整数Kは4に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記M色の結果の表示原色を用いるステップは、更なる結合された表示原色へと結合された前記N色の表示原色のうちの表示原色の他の群が、前記更なる結合された表示原色により置き換えられ、前記N色の表示原色からの4色の選択が、前記更なる結合された表示原色を選択することを含む、M色の結果の表示原色を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記M色の結果の表示原色を用いるステップは、前記N色の表示原色のうちの幾つかの表示原色を少なくとも1つの群に結合することにより得られる4色の結果の表示原色を利用し、前記第1の多原色変換を実行するステップは、同一の結合された表示原色に寄与する表示原色が最小の異なる駆動値又は最小の異なる輝度をもたらすという制約の下で実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
表示フィールドが、第1の表示原色を持つ第1のフレームと、第2の表示原色を持つ第2のフレームとを有し、前記N色の表示原色が、前記第1の表示原色と前記第2の表示原色とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の表示原色の数は前記第2の表示原色の数と等しく、前記M色の結果の表示原色を用いるステップは、前記N色の表示原色のN/2個の最隣接する対を結合することにより、前記N色の表示原色をN/2色の結果の表示原色により置き換える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記Nは6に等しく、
前記M色の結果の表示原色を用いるステップは、3色の結合された表示原色により前記6個の表示原色を置き換え、
前記第1の多原色変換を実行するステップは、前記入力画素を、前記3色の結合された表示原色についての3個の駆動値に変換し、
前記3個の駆動値が前記有効範囲内の値を持つか否か、及び前記3個の駆動値のうち少なくとも1個が有効値を持たないか否かをチェックし、
有効でない駆動値に対して固定値を割り当て、
前記6色の表示原色から4色を選択し、前記選択は、前記有効でない駆動値に関連する表示原色を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固定値を割り当てるステップは、前記有効範囲の最も近い境界値を、前記有効範囲外の駆動値に割り当てる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記選択するステップはK色の原色を選択し、ここでKは3より大きく且つNから固定値の数を減じたものよりも小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結果の駆動値のうち1つよりも多い駆動値が前記有効範囲外であり、前記割り当てるステップ、前記選択するステップ、及び前記実行するステップは、前記有効範囲外の前記結果の駆動値のそれぞれについて繰り返し実行され、該繰り返しの実行は、
前記有効範囲外である前記結果の駆動値に固定値を割り当て、
前記N色の表示原色からのK色の選択であって、前記表示原色のうち、前記結合された表示原色へと結合された表示原色であるが、当該繰り返しについて前記有効範囲外の選択された結果の駆動値に関連する表示原色ではない表示原色を含む選択を実行し、
前記駆動値を得るために等駆動又は等輝度制約を用いて前記第2の多原色変換を実行し、
結合された原色へと結合された前記表示原色の駆動値間の差を決定し、前記有効範囲外の前記結果の駆動値のそれぞれについて前記割り当てるステップ、前記選択するステップ、及び前記実行するステップを実行した後に、
最小の差をもたらす前記有効範囲外の駆動値に関連する駆動値を選択することによって実行される、請求項1又は10に記載の方法。
【請求項12】
入力原色の3個の値により定義される入力画素を、表示装置の画素のN個のサブ画素を駆動するためのN個の駆動値へと変換するための変換器であって、前記N個の駆動値はこれら駆動値が生じる有効範囲を持ち、前記N個のサブ画素は、N色の表示原色により定義される光を発し、前記N色の表示原色のうち少なくとも4色が独立したものであり、前記変換器は、
M色の結果の表示原色を供給するための選択ユニットであって、結合された表示原色へと結合された前記N色の表示原色のうちの表示原色の群が、前記結合された表示原色により置き換えられる、選択ユニットと、
前記M色の結果の表示原色についての結果の駆動値を得るために、前記入力画素に対して第1の多原色変換を実行するための第1の多原色変換器と、
M個の前記結果の駆動値が前記有効範囲内の値を持つか否かをチェックし、前記M色の結果の表示原色の少なくとも1つの前記結果の駆動値が前記有効範囲外の値を持つ場合に、前記有効範囲外である前記結果の駆動値に固定値を割り当てるための、チェック及び割り当てユニットと、
前記N色の表示原色からK色を選択するための選択ユニットであって、前記選択は、前記N色の表示原色のうち、結合された表示原色へと結合された表示原色であるが、前記有効範囲外である前記結果の駆動値と関連する表示原色ではない表示原色を含み、前記Kは3よりも大きい整数である選択ユニットと、
前記N色の表示原色のうちの原色が前記第1の多原色変換において結合された表示原色へと結合されるという制約の下で、第2の多原色変換を実行するための第2の多原色変換器と、
を有する変換器。
【請求項13】
請求項1に記載の方法のステップをプロセッサが実行することを可能とするコードを有するコンピュータプログラムであって、前記ステップは、
M色の結果の表示原色を用いるステップであって、結合された表示原色へと結合された前記N色の表示原色のうちの表示原色の群が、前記結合された表示原色により置き換えられるステップと、
前記M色の結果の表示原色についての結果の駆動値を得るために、前記入力画素に対して第1の多原色変換を実行するステップと、
M個の前記結果の駆動値が前記有効範囲内の値を持つか否か、及び、前記M色の結果の表示原色の少なくとも1つの前記結果の駆動値が前記有効範囲外の値を持つか否かをチェックするステップと、
前記有効範囲外である前記結果の駆動値に固定値を割り当てるステップと、
前記N色の表示原色からK色を選択するステップであって、前記選択は、前記N色の表示原色のうち、結合された表示原色へと結合された表示原色であるが、前記有効範囲外である前記結果の駆動値と関連する表示原色ではない表示原色を含み、前記Kは3よりも大きい整数であるステップと、
前記N色の表示原色のうちの原色が前記第1の多原色変換において結合された表示原色へと結合されるという制約の下で、第2の多原色変換を実行するステップと、
である、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−532012(P2010−532012A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514220(P2010−514220)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052614
【国際公開番号】WO2009/004562
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】