多孔性固体亜鉛電極およびその作製方法
制御された幾何学的形状と多孔度分布を有する電極を形成するために、物理的に安定なウール・マスに圧縮された特定の亜鉛のフィラメント、ファイバ、スレッド、またはストランドを備える、アルカリ−亜鉛電池や、亜鉛−空気電池、燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極が提供される。異なる密度化は、良好な構造完全性や、機械的強度、電気化学的振舞い、導電率について、リブ、境界、格子、またはタブを組み込む。圧縮シートを型でプレスすること、または丸めることはまた、大きなアノード/カソード境界面積および複雑な幾何学的形状を有するアノードも提供する。制御された寸法および組成のフィラメントは、溶融亜鉛合金からスピン形成することによって作製されることが好ましい。そのようなアノードは、破損しにくく、長い貯蔵寿命を有し、高率放電の応用分野において使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛がアノード材料であり、かつ亜鉛アノードの性能が重要な基準である電池、燃料電池、エネルギー貯蔵材料、材料、電極製造プロセス、その他の応用など、電気化学デバイスの分野に関する。より具体的には、本発明は、制御された幾何学的形状と多孔度分布を有する物理的に安定なマスに圧縮された亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで形成されたアルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、燃料電池の多孔性固体亜鉛電極に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛電池や燃料電池の製造業者は、これらの電気化学エネルギー・デバイスの性能について絶えず改善を追及している。長い放電寿命(高容量)、電解質の漏れに対する長貯蔵寿命耐性、製造の容易さなど、所望の電池性能の特性について不可能な代償を払わずに、より高い電力を提供することができる電池に対する要求がいっそう高まっている。アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、燃料電池についてより良好な亜鉛微粒子材料を開発することが、産業界において絶えず試行されてきた。合金の組成を変化させるために、あるいは亜鉛のリボン、もしくはフレーク、またはワイヤなどの異なる形態の微粒子を使用するために、粒子のサイズ分布を改善することが試行されてきた。また、アノードとカソードの間の境界面積を増大させることも試行されてきた。
【0003】
アルカリ電池のアノードの亜鉛材料は、3つの基本的な次元形態において、すなわち、球、立方体などのゼロ次元(x、y、zの寸法がほぼ同じである)、またはファイバやワイヤなどの1次元(3つの寸法の1つが、他の2つの寸法より著しく大きい)、さらにはシートなどの2次元(1つの寸法が、他の2つの寸法より著しく小さい)において構築されてきた。ゼロ次元材料(霧化または電気めっきによって作製される)としての亜鉛粉末、1次元材料(押出し、ミリング、鋳造、電気めっきを含む異なる方法によって作製することができる針、ウール、ワイヤ、フィラメントを含む)としての亜鉛ファイバや、2次元材料(固体のディスク、フレーク、リボン、シート、さらに圧延と鋳造を含む異なる方法で作製することができる穿孔シートと膨張シートを含む)としての亜鉛シートが、産業界では開発されてきた。亜鉛アノードが電池または燃料電池において十分に機能するために必要な固体で多孔性の空間分布を得るために、異なる方法を使用して、3つの異なる次元タイプの材料を処理することができる。
【0004】
システムの観点から、アノードとカソードの寸法、形状、アノード/カソードの境界面積、セパレータ材料、電解質の量と組成、集電体の材料と設計、電極の特性は、電池や燃料電池の性能にすべて非常に重要である。これらは、適切に設計することが必要である。電極の特性に関して、重要なパラメータには、比表面積(単位重量あたりの物理的表面積全体として定義される、m2/g)、有効表面積(電気化学的に活性である表面積の量)、表面活性、多孔度、導電率、機械安定性がある。これらの特性の多くは、電池の設計と材料の特徴によって決定される空間の所与の容積における固体と孔空間によって決定される。
【0005】
異なる形態の材料は、比表面積、有効表面積、表面活性、多孔度、導電率、機械安定性について異なる値のセットを有する。所与の設計の電池においてよく機能する亜鉛の粉末は、これらのパラメータの組合せ効果の結果である。これらのパラメータのわずかに1つまたは2つのみの制御では、アノードは、電池において十分に機能することはできない。たとえば、同じ比表面積について、異なる粒子分布の粉末は、米国特許第6284410 A1号に開示されているように、異なる放電性能を有することがある。1つの電池設計においてよく機能する粉末が、他の電池設計ではよく機能しないことがある。このため、異なるアルカリ電池や亜鉛−空気電池に使用される亜鉛粉末が連続的に開発されてきた。
【0006】
電極材料の有効表面積の制御は、電池の設計において決定的に重要である。一般的に、粒子のサイズが小さくなると、表面積は大きくなる。大きな表面積は、高い活性を有し、したがって高い電池電力をもたらす。しかし、非常に大きな表面積を有する亜鉛アノードは、電解質において亜鉛が腐食するために過剰な気体発生を生じることがあるので、欠点ともなる。市場においてアルカリ電池の作製に使用される亜鉛粉末は、通常は0.01m2/gと0.1m2/gの間である特定の範囲の表面積を有する。最近の米国特許第6521378号において示されているように、アルカリ電池の電力を増大させるために、より微細な亜鉛微粒子、すなわちより大きな表面積を使用する傾向があった。
【0007】
亜鉛アノードの多孔度(電解質によって占められる亜鉛微粒子間の空間)の制御は、他の重要な考慮事項である。所与の電池設計について、ある範囲の好ましい多孔度が存在し、特定の形態の亜鉛微粒子材料で作製されたアノードは、これらの条件において最適に機能する。霧化された亜鉛粉末を使用するアルカリ電池では、亜鉛アノードの最低容積パーセントは、正の電極の電気化学出力率を整合させ、かつ亜鉛アノードの電気コンダクタンスを維持するように、十分な粒子から粒子および粒子から電流の収集器接点を提供するために(たとえば、米国特許第6221527号参照)、亜鉛アノード・ペースト(亜鉛粉末、KOH、付加物、ゲル化剤を含む)の28%より少なくない。この量より下では、電圧は不安定性になり、電池の性能は、衝撃と振動に対して鋭敏になる。一方、アノードの亜鉛粉末容積が50%より高いなど高過ぎる場合、亜鉛の酸化物、水酸化物、ある程度の元素の亜鉛の混合物である溶解産物と電解質を貯蔵する粒子との間に十分な空間が存在しない。
【0008】
電解質と混合される前の、アルカリ電池の応用分野において使用される亜鉛粉末は、通常、3g/cm3から3.5g/cm3の濃度を有し、これは、亜鉛容積の約42%から50%、多孔度の50%から58%である。通常は約70%であるアルカリ・セルが十分に機能するために必要な多孔度に到達するために、製造業者は、通常、亜鉛粒子が密に実装されず、電解質ゲルにおいていくらか懸濁されるように、亜鉛粉末と電解質の混合物を作製するためにゲル化剤を使用する。しかし、所与の粉末(粒子のある形状と粒子サイズ分布)に対して、粒子間の電気接点を失わずに粒子を懸濁させることができるごく狭い範囲が存在する。
【0009】
表面活性は、所与の性能条件下における放電率と、アイドル条件下における気体発生率を決定する。亜鉛の表面活性は、1セットの電気化学特性に関係し、これは、Zhangによって十分に文書化され(Corrosion and Electrochemistry of Zinc、Plenum Publishers、1996年)、その内容は参照によって本明細書に組み込まれている。高ドレイン応用分野について設計された電池は、高い放電率を可能にするが、低い気体発生率を有する表面活性を有する材料を有することが望ましい。アルカリ電池と燃料電池において使用される市販の亜鉛粉末は、通常、所望の表面活性を得るために、様々な組成に合金化される。合金化に加えて、表面活性は、電解質における腐食阻害剤、亜鉛微粒子の表面処置などを追加することによって制御することも可能である。
【0010】
アノードの物理的安定性は、電池の設計における他の考慮事項である。物理体として霧化粉末は、一般に、液体のように振る舞い、自蔵形態にはない。霧化粉末は、重力の影響下において流動する傾向がある。ゲルの使用は、粒子を互いに対して、および集電体に対して不動にするのを助けるように作用し、したがって、信頼性のある電池性能に本質的なある程度の機械的安定性をアノードに提供する。
【0011】
特定の応用分野において電池の所望の性能を有するために、霧化粉末から作製された亜鉛アノードに対して、上述されたパラメータの組合せ効果が存在する。霧化粉末から作製されたアノードでは、電池の所望の性能に必要な多孔度を提供するために、ゲル化が必要である。しかし、ゲル化により粒子の接続性が低下し、したがってアノードの導電率が低下するので、ゲル化の量と、したがって多孔度の制御の程度は限定される。さらに、ゲル化は、亜鉛粉末粒子のある程度の不動化を提供するが、ゲル化したアノードは、依然としてペーストであり、固体と同じ機械的完全性を有していない。したがって、霧化粉末から作製された電池アノードは、亜鉛粒子間の良好な導電率を維持しながら多孔度と表面積に対して独立して制御することを見込まないので、亜鉛アノードに潜在するエネルギーの最適な使用を達成しない。
【0012】
ゼロ次元材料としての亜鉛粉末は、通常、霧化プロセスによって作製され、市販されているアルカリ電池と亜鉛−空気電池のアノードを作製する主な材料であった。亜鉛粉末は、電池において機能することができるアノードを作製するためにゲル化を必要とする。しかし、ゲル化したアノードは、ゲル化していない材料と比較してより低い導電率を有し、粒子間の電気接点を失わない状態では、限定された機械的完全性と多孔度に対する限定された制御範囲を有する。したがって、霧化粉末によって作製されたアノードは、亜鉛金属の潜在的なエネルギーの最適利用を可能にしない。多くの従来の技術を特許文献において見ることができ、新しい特許が連続的に認可されている。たとえば、米国特許第6521378 B2号は、亜鉛ベース粒子の多モード分布を有する粉末を使用する亜鉛アノードの作製を開示する。WO 01/56098 A2は、粉末粒子の凝集物を作製するために低溶融金属結合剤を使用する亜鉛粒子凝集物の作製を開示する。米国特許第6284410号と米国出願2003/0203281 A1は、高放電率下において性能を向上させるために、霧化粉末の粒子分布の関連制御を示す。
【0013】
KOH電解質において電気めっきすることにより作製された亜鉛粉末が、電池と燃料電池の応用分野においてアノードを作製するために使用されてきた。通常は樹枝状結晶の形態にある粉末は、一般に非常に高い比表面積を有する。
【0014】
電気めっきされた粉末を使用するアルカリZn−Ag電池が、ミサイルやロケットを発射する電力源など、多くの軍事応用分野において使用されてきた[Zinc−Silver Oxide Batteries、Ed.By Flecher&Lander、1971年、John Wiley&Sons]。より最近では、電気めっきされた亜鉛樹枝状結晶材料が、車両の電力源に適用されている。たとえば、米国特許第5599637号や第5206096号は、電気バスに機械式燃料補給可能な亜鉛−空気燃料電池のアノードを作製するために、電気めっきされた亜鉛樹枝状結晶材料を使用する分野を教示している。同様のタイプの材料が、電力電気自転車の機械式燃料補給可能亜鉛−空気燃料電池のアノードを作製するために使用されている(Powerzinc Inc.のウエブ・ページを参照されたい)。機械式燃料補給可能な電池と燃料電池では、放電した亜鉛アノードは、電池から物理的に取り外され、新規のアノードによって置き換えられる。
【0015】
しかし、大きな表面積はまた、KOH溶液におけるアノードの高い腐食率をも意味し、したがってアノードは、長期の貯蔵には適していない。またアノードは、固体の形態であるが、限定された強度を有し、かつ機械応力下において破損する傾向があるプレートに樹枝状結晶亜鉛をプレスすることによって作製される。さらにまた、アノードを作製するために電気めっきを使用することにより、機械的補給可能亜鉛−空気燃料電池の経済的な動作が限定される。
【0016】
電池のアノードを作製するためのファイバ、針、ウール、またはリボンなどの材料の1次元形態は、1974年という早い時期に文書化されている[Kordesch、Batteries、Volume 1 Manganese Dioxide]。アノードを作製するために繊維材料を使用することにより、ゲル化剤を必要とせずに、すべての亜鉛ファイバの導電率を維持しながら、広範囲にわたって表面積と多孔度を独立して制御することが可能になる。繊維材料で作製された固体電極の利点は、個々のファイバが多くの他のファイバと物理的に結合し、かつ固体形態として共に連結されることである。次いで、密度と多孔度は、機械プレス下における繊維材料の閉込め度によって制御される。
【0017】
電池アノードとしてファイバ、針、ウール、またはリボンの1次元形態の亜鉛を使用することについて、多くの従来の開示がある。たとえば、米国特許第3853625号は、電池アノードを作製するために電気めっきによって作製された亜鉛フィラメントを使用することを開示している。米国特許第5584109号は、筒状にされて押し出された金属ファイバで作製された電極を開示している。米国特許第6221527 B1号は、電池アノードとして使用される亜鉛リボンを開示している。米国出願2002/0142202 A1は、電気化学電池の電極を開示している。電極は、電子を電気化学電池の電解質に伝達するように構成された導電性材料からなる複数のファイバを備える。米国出願2003/0170543 A1は、亜鉛電池アノードを作製するために機械ミリングによって作製されたファイバの使用を開示している。これらの特許や刊行物の開示は、1次元形態を示すが、実際の電池におけるこれらの材料で作製されたアノードの使用を示さず、実際に使用可能な材料や処理手順を示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
いくつかの従来の技術はまた、アノードを作製するために2次元形態の亜鉛材料(シート、フレークなど)を使用することも開示する。たとえば、米国特許第4226920号は、膨張されて織られた金属亜鉛メッシュを最終的な円筒の形態とサイズに丸めることによってアノードを作製することを教示する。そのようなアノードの放電性能は、その時点では従来のセルと比較すると利点を示すが、それにもかかわらず、現在の商用電池の性能に大きく劣る。WO 01/24292 A1は、電池のアノードの作製についてゲル化剤でコーティングされた丸い亜鉛フレークを開示している。この開示は、商用的には実用的でないが、その理由は、そのようなアノードを作製する処理ステップは、複雑でしたがってコストがかかるからである。米国特許第6673494号は、アノードを作製するために膨張メッシュを使用することを開示しているが、そのようなアノードが向上した性能を提供することができるかについて示していない。米国特許第6022639号は、高性能電池を作製するために亜鉛フレークを使用することを開示している。それにもかかわらず、アノードの多孔度と機械的完全性を制御するためにゲルを使用することは、依然として必要である。
【0019】
フレークやシートの材料は、電気化学反応に利用可能な表面積である有効表面積に関して欠点を有する。電気化学反応は、重なり金属シート間のギャップの場合のように、電流の流れる経路が狭いときにはいつでも停滞する。個々のシートやフレークが互いに重なる傾向があるので、表面積の著しいパーセンテージが、これらの材料との反応には利用不可能になる。したがって、そのような材料の有効表面積は、一般に、フレークまたはシートの材料の比表面積よりはるかに小さくなる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える、アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極に関する。この開示では、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループは、「ウール材料」またはウール亜鉛材料と呼ぶことが可能である。いくつかの実施態様では、電極は、その領域にわたって一様な密度分布を有することが可能である。密度は、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲にあることが可能である。密度は、1g/cm3から3g/cm3の範囲にあることが可能であることが好ましい。
【0021】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドがより密ではなく圧縮された他の領域より、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドがより密に圧縮された領域が存在することが可能である。
【0022】
電極において、より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有することが可能である。より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有することが可能である。好ましくは、より密に圧縮された領域は3.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、1g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有することが可能である。
【0023】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが密に圧縮される領域は、格子状網を形成することが可能であり、より密ではなく圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、密に圧縮された格子状網間の空間を占有することが可能である。
【0024】
電極において、集電体を、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル、チタン、マグネシウム、またはこれらの材料の合金など、導電性材料で作製することが可能である。導電性材料は、銀、錫、または銅でめっきまたはクラッドすることが可能である。導電性材料は、電極と同じファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで作製することが可能であり、格子状網の自然なまたは連続的な延長とすることができる。集電体は、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループにおいて埋め込む。
【0025】
電極において、電極は、その周囲に密な境界または縁プレートを有する。格子状網を有する電極は、プレートまたは円筒の形態にある。
【0026】
電極において、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、多孔性固体アノードを形成するために、型に圧縮することが可能である。型は、特定の断面幾何学的形状を有する中空内部を有し、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、内部によって特定の幾何学的形状の多孔固体に形成する。型の中空内部は、円筒の形状であり、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、中空円筒内部によって多孔性固体円筒に形成する。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、所望の直径の円筒に後に丸めることが可能であるシートに圧縮される。
【0027】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、スピン形成、機械加工、押出し、霧化、鋳造、その他の適切な方法によって作製することが可能である。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの表面は、非一様とする、または滑らかにしない。亜鉛、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの周囲断面形状は、ほぼ半円の形状である。
【0028】
電極において、電極は、取外し可能電流コネクタを含む。集電体は、亜鉛で形成する。集電体は、めっきすることが可能である。
【0029】
アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極では、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループは、制御された幾何学的形状と多孔度分布を有する物理的に安定なマスに圧縮する。電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、セパレータ材料の上にプレスする。
【0030】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの公称直径は、5μmと1000μmの間であり、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの長さは、その直径の少なくとも10倍とする。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、Bi、In、Ca、Al、Mg、Ga、Sn、Pb、Cdからなるグループから選択された1つまたは複数の金属と合金化する。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの形成に使用される亜鉛は、1ppmから3000ppmのBi、好ましくは100ppmから1000ppmのBi、または1ppmから3000ppmのIn、好ましくは100ppmから1000ppmのIn、あるいは1ppmから3000ppmのBiおよび1ppmから3000ppmのIn、好ましくは100ppmから1000ppmのBiおよび100ppmから1000ppmのInと合金化する。
【0031】
亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランド間にポアと空間を有する非織り亜鉛ウールに圧縮される。電極において、亜鉛ウールは、裏打ち材料のシートと共にプレスされる。裏打ち材料は、紙、布、マット、メッシュからなるグループから選択される。
【0032】
電極は、プレートの形態でより密な領域の格子状網を有する。代替として、電極は、アルカリ電池または空気−亜鉛電池に組み込まれる円筒の形態にある。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、ファイバ間に空間を有する非織り亜鉛ウールとして収集する。
【0033】
亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、多孔性固体アノードを形成するために型に圧縮される。型の内部は、特定の断面形状を有し、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、型の内部の形状と一致する形状を有する多孔性固体アノードを形成するために型の内部に圧縮される。
【0034】
本発明はまた、5μmと1,000μmの間の公称直径、および公称直径の少なくとも10倍の長さを有する亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える多孔性固体亜鉛電極を形成する方法にも関し、亜鉛を、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドに変換する装置を使用して、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを形成することであり、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのパイルを形成するために、装置から取り出されて一領域に収集されることと、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮されることとを備える。装置は、溶融亜鉛バスと回転ナイフを使用して、スピン形成することを含む。
【0035】
方法において、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、50μmと300μmの間の公称直径、および公称直径より少なくとも100倍長い長さを有する。装置は、溶融亜鉛に部分的に浸漬され、かつ空気ジェットまたはブラシによってホイールから取り出されるファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを形成するノッチ・ホイールとする。
【0036】
方法において、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、いくつかの領域において他の領域においてより密に圧縮される多孔性マスに圧縮される。代替として、多孔性マスは、一様な密度を有する多孔性シートに圧縮される。圧縮されたシートは、裏打ち材料に添付する。多孔性シートと裏打ち材料は、セパレータ材料、カソード、および保護メッシュと接合され、次いで円筒形態の電気化学デバイスにおいて使用するためにアノード−カソード・アセンブリに丸められる。電気化学デバイスは、アルカリ電池とする。
【0037】
方法において、ノッチ・ホイールは、30度未満の角度を有する先細り縁、および20μmと200μmの間の先端幅を有する。ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを取り出すために、空気ジェットを使用することができ、空気ジェットのノズルは、ホイールが溶融バスの外部にスピンする際、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドをホイールの縁から取り出すために、ホイールより上に配置する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図面は、本発明の特定の実施形態を示すが、本発明の精神または範囲を制約すると全く解釈されるべきではない。
【0039】
以下の記述にわたって、本発明のより完全な理解を提供するために、特定の詳細が述べられる。しかし、本発明は、これらの詳細を有さずに実施することができる。周知の要素は、本発明を不必要にあいまいにするのを避けるために、詳細には図示または記述されない。したがって、明細書と図面は、制約的ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。
【0040】
本発明は、亜鉛電池と燃料電池、具体的にはアルカリ電池、亜鉛−空気電池、機械式燃料補給可能燃料電池について、高い性能を有する多孔性固体亜鉛アノードの新規な構造を提供することである。とりわけ、本発明により構築されるアノードは、主なアルカリ−亜鉛電池や亜鉛−空気電池において使用されるとき、高い電力や、良好な機械安定性、電池製造の複雑さの低減を提供する。本発明により構築されるアノードは、機械式燃料補給可能な亜鉛電池と燃料電池に対して、高い容量や、高い電力、良好な機械安定性、より長い貯蔵寿命、経済的な動作モードの組合せを提供する。
【0041】
一実施形態において、本発明は、良好な導電率や、機械安定性、固体と孔の空間の制御された分布、いくつかの場合における一様な密度、その他の場合における密な領域とより密でない領域を有すると共に有効表面積を有する、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで構築された多孔性固体電極に関する。本発明による多孔性固体亜鉛アノードは、所望の性能を有するアルカリ電池や、亜鉛−空気電池、燃料電池に使用することができる。
【0042】
広範な態様において、本発明は、制御された幾何学的形状と多孔度分布を有する固体形態に圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える、アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極に関する。ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループは、いくつかの場合、「ウール材料」またはウール亜鉛材料、あるいはその変形形態と呼ぶことがある。
【0043】
アルカリ−亜鉛電池において使用される本発明によるアノードは、高率放電容量に対して向上した性能を提供することができる。ウール亜鉛アノードは、アノードを作製するためにゲル化剤を使用する必要性を排除する。ゲル化剤は霧化亜鉛粉末に必要なので、ゲル化剤を排除することにより、材料と製造プロセスのコストが低減される。さらに、本発明による亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで作製されたアノードにより、大きなアノード/カソード境界面積を有するより複雑な幾何学的形状を構築することが可能になる。
【0044】
モバイル電力応用分野の機械式燃料補給可能亜鉛−空気燃料電池においてそのような亜鉛アノードを使用することにより、アノードの機械的完全性が提供され、腐食による貯蔵中の容量の損失が最小限に抑えられる。そのようなアノードにより、電池の製造や電池の使用において、より簡単なビジネス動作モデルを使用することができる。振動または曲げに由来する機械的応力のために容易に破損することがある電気めっき樹枝状結晶材料で作製されたアノードとは異なり、本発明による繊維亜鉛材料から作製されたアノードは、破損せずに曲げすることができる。また亜鉛がゆっくり腐食し、限定された時間長のみ貯蔵することができる電気めっきスラリから作製されたアノードとは異なり、本発明による多孔性固体亜鉛アノードは、容量を顕著に失わずに、無限の時間長、電解質のない条件において貯蔵することができる。アノードが使用される前に電解質を追加することができる。これにより、アノードが使用される地理的領域の近くに亜鉛スラリ(亜鉛樹枝状結晶、KOH、水の混合物)を作製する電気めっきプラントを構築する必要性が排除される。したがって、本発明によるアノードを使用することにより、ビジネス動作モデルを簡単にして、ビジネス動作のコスト全体を下げることができる。
【0045】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、アノード領域の残りより高い密度に圧縮された格子および/またはタブ(集電体として)を有するアルカリ−亜鉛電池と機械式燃料補給可能亜鉛−空気電池または燃料電池のアノードを構築することができる。したがって、密な格子を有して本発明によるウール亜鉛材料で作製されたアノードは、アノードのより良好な機械的応力と導電率を提供する。格子と集電体との間の連続性は、アノードの導電率全体の向上を提供する。集電体として亜鉛を使用することは、異なる金属接点間において生じる電気化学的腐食を回避するという追加の利点を有する。また、アノードの放電後、リサイクルのために集電体を分離する必要性も排除する。
【0046】
本発明の重要な特徴は、固体の形態や、固体と孔の空間分布、ウール材料(ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドからなる)のファイバ密度と物理的寸法の組合せ効果を組み込むとともに、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの作製に使用される亜鉛または亜鉛合金の化学組成の組合せ効果を組み込むアノードの開発である。この主要な新規な要素には、1)安定な物理的形態、高い放電容量、高い電力密度を提供する固有の1セットの構造的かつ化学的特徴を有するアノード、2)制御された物理的かつ化学的特徴を有する溶融亜鉛からスピン形成されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドからなるウール材料から作製されるアノード、3)電池と燃料電池において使用することができるように、そのようなアノードを構築する方法がある。
【0047】
図面を参照すると、図1a、1bは、本発明により構築することができる多孔性固体亜鉛電極の2つの例示的な形態を示す。図1(a)は、細長い4つの丸い側面の非円筒アノード10の透視図を示す。図1(b)は、格子状パターンの密な領域30と格子間のより密でない領域40を有する平面亜鉛アノード20の正面図を示す。集電体50が上部に配置され、また、プレートの本体と同じウール材料とプレスされ、アノード20の本体の自然部分である。図1(a)および(b)に示されるアノードの2つの形態は、限定ではなく例示であり、本発明の多様性を示すことを意図することを理解されたい。本発明の基本的な原理を採用し、かつ本発明の目的を達成するすべての考慮可能なアノードの形態が、本発明の範囲内にある。
【0048】
図2は、本発明の一態様による、電池応用分野の亜鉛アノードのゼロ次元形態、1次元形態、2次元形態の材料について、アノードの多孔度と形状を制御する3つの通常の処理方法を示す。具体的には、図2は、粉末100(ゼロ次元)、ファイバ105(1次元)、シート110(2次元)を処理する3つの方法を示す。プロセス100において、アノードとして使用される粉末112は、多孔度が制御され114、次いでアノードの形状が、アノード空洞によって制御される116。プロセス105において、ファイバ118は、束化、ダイにおけるプレス、または融合を含む処理によって、アノードの多孔度と形状が制御される120。プロセス110において、シート122は、アノードの多孔度と形状が、丸め、折りたたみ、またはスタック化によって直接制御される126。
【0049】
本発明において開示される多孔性固体電極(本明細書ではウール材料またはウール亜鉛材料あるいはSPEと呼ばれることもある)は、図2のプロセス105に示されるように、ゲル化剤を使用することを必要とせずに、電極材料の電気接続性を維持しながら、広範囲にわたって表面積と多孔度を独立して制御することをができる。図3は、繊維ウール亜鉛材料のマスの概略的図示を示す。図3に示す140などのウール亜鉛材料で作製された固体電極の利点は、ウール142の各ファイバ、フィラメント、ストランド、またはスレッドが、いくつかの他のウールのファイバ、フィラメント、ストランド、またはスレッドと物理的に接続され、かつ固体形態として共に連結されることである。次いで、密度と多孔度は、一様に、または本明細書において記述されるように密なパターンとより密ではないパターンで、機械プレス下においてウール材料の閉込め度によって制御される。これは、47%から94%が3.8g/cm3〜0.46g/cm3の密度に対応する状態で、表1に示すように広範囲の多孔度を有する固体で導電性の亜鉛アノードを製作することを見込む。
【0050】
【表1】
【0051】
一態様において、本発明は、電池または燃料電池の性能と経済性を著しく向上させるために、亜鉛アノードの微粒子の接続性や、電極の導電率、多孔度、表面積、機械安定性、形態因子(形状および寸法)を独立して制御する問題を解決することである。
【0052】
図4は、霧化亜鉛粉末とウール繊維亜鉛材料から作製された多孔性固体電極について、多孔度と有効表面積の密度との関係のグラフ表示を示す。図において提供される粒子サイズの値は、粉末とウールの公称平均値である。粉末とファイバの単位容積あたりの対応する表面積は、球状粉末粒子と円筒ファイバの幾何学的形状の計算に基づく。
【0053】
同様の平均物理寸法の実際の材料の単位容積あたりの表面積値は、材料の特定のサイズ分布や微細表面テキスチャのために著しく異なる可能性がある。多孔性は、亜鉛粉末とウール材料の密度を測定することによって決定された。表面積は、粉末粒子に対しては球形を、ウールに対しては円筒形を想定して計算された。実際の表面積は、一般に、個々の粒子の不規則な形状とウールの表面の粗さのためにより大きくなる。
【0054】
具体的には、図4は、単位容積における材料の有効表面積として確定される表面積密度、およびアノードによって占められる全空間における非固体容積のパーセンテージとして確定される多孔度の観点で、本発明による霧化粉末と多孔性固体電極(SPE)の制御の比較を示す。霧化亜鉛粉末では、多孔度は、表面積と共にごくわずかにしか変化しない。3つの異なるサイズの亜鉛粒子の混合物であるグラフ上で「mix(混合物)」と表されるデータ点は、非混合粒子より低い多孔度を有する。これは妥当であるが、その理由は、混合粉末では、より大きな粒子間のより大きな空間は、より小さい粒子によって充填される傾向があり、したがってより密な本体を作製するからである。一方、固体ウール多孔性電極では、多孔度は、表面積と共に広範囲にわたって変化することがあり、同様に重要なことに、表面積と多孔度の両方が、固体アノードのウール・ファイバの直径を変化させることによって、広範囲にわたって変化することがある。粉末混合物のゲル化形態である中実3角形の点は、非ゲル化粉末(中空3角形の点)よりはるかに高い多孔度を有するが、本発明による多孔性固体ウール・ファイバ電極によって達成可能であるものより依然としてはるかに小さいことに留意されたい。
【0055】
図5は、霧化亜鉛粉末と多孔性固体電極の多孔度と表面密度の設計において確率のドメインのグラフ表示を示す。図4のデータを使用して、図5は、電池アノードの設計において達成することができる多孔度と表面積密度の範囲の観点で、従来の霧化粉末に対する多孔性固体電極の利点を示す。実線斜線点領域によって表される上部ドメインは、ゲルを有するまたは有さない霧化粉末では不可能である。
【0056】
アノードの性能は、このアノードと電池の作製に関与する様々な材料や処理パラメータの組合せ効果の結果であるので、1セットの材料と処理条件が、材料の実際の有用性を示すためにあらゆる繊維材料について開発されなければならない。たとえば、粉末について述べることができることと同様に、同じ比表面積または多孔度を有する2つの異なる繊維材料が、他の材料および処理条件に応じて、非常に異なる性能を有することがある。本発明は、本発明により構築されたスピン形成亜鉛ウールを使用して、従来の亜鉛粉末アノードのような優れた性能を有するアノードを作製することができることを示す。
【0057】
既存の電池の実施に対する本発明の主な実際上の利点は、高率放電条件下において、より良好な電極導電率と機械安定性や、多孔性固体空間のより良好な分布、有効表面積と向上した電池性能を達成するために、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの圧縮されたスピン形成亜鉛ウールを使用して多孔性固体アノードを作製する方法とプロセスの一体的手法およびシステム制御の開発である。
【0058】
ウール繊維亜鉛材料は、ダイを用いてまたは用いずに、電池または燃料電池の特定の設計に所望される密度、多孔度、表面積を有するシート、プレート、または円筒形態に、あるいはあらゆる他の考慮可能な実用的な形態にプレスすることができる。シートの形態はさらに、所望の寸法に切断し、最終的な形状とサイズにスタック化または丸めることもできる。図6は、第1に亜鉛繊維ウールを型にプレスし、第2にまずシートを作製し、次いでシートを所望の直径に丸めることによって、多孔性固体アノードを作製する実質的に2つの異なる代替方式を概略的に示す。図6からわかるように、ウール亜鉛ファイバ192は、ロール196を成型するように、型194に押しつけてプレスする。代替として、ウール亜鉛ファイバ192は、ロール196を形成するために、200に示すように丸められる一様な密度のマット198にプレスする。次いで、製作されたシート、プレート、円筒、または他の形態は、設計された電池と応用分野に対して、特定のサイズまたは形状に適合するように、アノードに分割する。
【0059】
成型を使用することにより、より複雑な幾何学的形状のアノードを作製することが可能になった。複雑な幾何学的形状のアノードを使用するセルの設計は、従来の設計と比較して、より大きなアノード/カソード境界面積を提供する。図7は、電池240のカソード230の内部に形成された適合モード空洞200に挿入することができる非円筒幾何学的形状の亜鉛アノード210の概略的例示を示す。異なる形態の型を使用することによって、他の形態のアノードを構築することができる。
【0060】
機械式燃料補給可能電池または燃料電池の応用分野では、本発明による好ましい実施は、ウール繊維亜鉛材料を一様または非一様な密度の特定の密度分布の固体プレートにプレスする。アノードの機械安定性を向上させるために、いくつかの場合、集電体としてのタブを含めて、狭い領域の格子を図8に示す非格子領域より著しく高い密度にプレスすることが好ましい。図8は、図1(b)と同様であるが、密なファイバ領域の対角格子パターン310と、高密度集電体340に接続された密な境界330によって封入された中間低密度領域320とを有する亜鉛アノード300の正面図と断面図を詳細に示す。図8に示すアノードは、機械式燃料補給可能亜鉛電池と燃料電池に適している。集電体340を含むプレートの格子領域全体は、格子310が強く、かつより低い密度領域320の残りが電解質を貯蔵するために高い多孔度を有するように、アノード領域の残りより著しく密である。より密な領域310(すなわち格子および集電体)の密度は、亜鉛のバルク密度である7.13g/cm3と同程度に高くすることができる。より密な格子310は、アノード300により機械的な強度を提供するだけでなく、より良好な導電率もこのアノードに提供するが、その理由は、密な亜鉛格子310は、アノード表面全体にわたって分布し、かつ集電体340との電気的連続性を有するからである。格子開口の数、サイズ、形状は、アノードの設計と性能の用件に応じて変化させる。同様に、格子の厚さと密度は、アノードに必要な機械的強度と電気コンダクタンスに応じて変化させることができる。より密な領域を有するプレートは、一様な密度を有する領域より強いが、一様な密度を有するプレートは、本発明の範囲から排除されないことに留意されたい。密な格子パターンのウール材料を有するそのようなアノード・プレートは、後に図19に示すように破損せずに曲げることができる。
【0061】
固体アノードの平均密度は、1g/cm3〜3g/cm3(一般的な範囲は0.5g/cm3〜6.3g/cm3)の範囲にあることが好ましい。電極では、より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有する。より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から3g/cm3.の範囲の密度を有する。より密に圧縮された領域は、3.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、1g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有することが好ましい。これは、溶融亜鉛からスピン形成されたウール材料をプレスすることによって作製される。図9は、3つの異なるウール亜鉛材料(a)、(b)、(c)の個々のストランド(ファイバ)の断面図を示す。図からわかるように、亜鉛ウールは、非一様な表面を有し、ほぼ半円であり(断面はある程度半月の形状である)、好ましくは40μm〜130μm(一般的な範囲は15μm〜300μm)の公称直径を有し、かつ5mm〜65mm(一般的な範囲は2mm〜500mm)の長さを有する。半月の中央の厚さは、ある程度変化させることが可能であり、表面は、凝固プロセスの結果である結晶粒のあるテキスチャを有する。したがって、単一ファイバの実際の表面積は、一般に、平滑表面を有する幾何学的形態から計算されるものより大きい。
【0062】
上述されたように、本発明によるウール亜鉛材料は、溶融亜鉛からスピン形成することによって製造することができる。図10は、溶融亜鉛バス420からスピン形成することによってウール亜鉛ファイバ410を作製する装置400の概略図を示す。ノッチされた鋳造ナイフ430は、冷却水が凝固熱を除去するために通過する中空ステンレス・シャフト440の上に取り付けられる。シャフト440は、一連のナイフ430を有することが理解されるであろう。しかし、この議論では1つのみが述べられる。ナイフ430が回転し、空気ノズル450によって取り出される亜鉛ストランド410をスピン形成する。ナイフ430は、先鋭な縁460を有する。
【0063】
図11は、亜鉛バス420からウール亜鉛ストランド410を形成するための円形ナイフ430の正面図と断面図の詳細な概略図を示す。ナイフ430は、その周囲に分布したノッチ470を有する。ナイフ縁の厚さは、10μm〜50μmの間(一般的には5μm〜200μm)であり、縁に対する先細り角度θは、図11に示すように30°未満である。ナイフの上部に位置する空気ノズル450は、ナイフ430の縁から亜鉛のストランドまたはファイバ410を取り出すためのものである。図示されていないが、亜鉛ストランド410は、コンベヤ・ベルトの上に降下し、コンベヤ・ベルトは、一様に分布したウール材料のスタックを形成するためにストランド(ファイバ)を収集する収集器に亜鉛ストランド410を搬送する。ウール材料のスタックは、それがある厚さまたは重量に到達した後に取り外される。収集器は、ウールの一様な装填を保証するために、x方向、y方向の両方において水平に移動することができる。溶融亜鉛バス420の温度は、一般に430℃〜650℃(好ましくは450℃〜550℃)である。回転する1つまたは複数のナイフが直列に取り付けられている場合、そのrpmは、一般に250と2000の間(好ましくは300rpmと500rpmの間)である。
【0064】
電池において使用される亜鉛アノードは、腐食抵抗と放電電流密度に関して性能を向上させるために、様々な金属と合金にすることができる。これらの合金化元素には、非限定的に、Bi、In、Ca、Al、Mg、Ga、Sn、Pb、Cdがある。ポリマー・ファイバや水吸収ペレットなどの他の材料が、亜鉛ファイバと混合され、所望の効果を達成するように固体形態にプレスされる。
【0065】
本発明の他の実施形態では、亜鉛は、放電のための高い表面活性とするために、1ppm〜3000ppmのBi、好ましくは100ppm〜1000ppmのBiと合金化される。亜鉛はまた、1ppm〜3000ppmのIn、好ましくは100〜1000ppmのIn、あるいは1ppm〜3000ppmのInと1ppm〜3000ppmのBi、好ましくは100ppm〜1000ppmのInと100ppm〜1000ppmのBiと合金化することもできる。これらの合金で作製された亜鉛ウールは、高い放電電流下において良好な表面活性を有することが判明している。また、そのような合金で作製されたウール材料は、低い気体発生率を有する。
【0066】
本発明により作製された亜鉛は、多くの形態や変形形態を有することができる。アノードは、図12に示すように集電体として、固体またはメッシュの金属のストリップ、あるいは部分的にストリップで部分的にメッシュの材料を含む。図12は、3つの異なる設計の集電体(a)、(b)、(c)、すなわち穿孔タブ、フォーク、矩形メッシュを有する多孔性固体アノードの3つの概略図を示す。集電体を作製するために使用される金属は、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル、チタン、マグネシウム、これらの金属の合金とすることができる。これらはまた、良好な導電率のために銀、錫、または銅などの他の金属でさらにめっきまたは被覆することもできる。
【0067】
他の形態の集電体を使用することもできる。金属のストリップまたはメッシュは、それがアノード本体に完全に埋め込まれ、かつソケットをその上部に有し、それにより別の電流コネクタを挿入できるように設計する(電流コネクタの雄部分は、電池のカバーに添付される)。図13(a)と(b)は、2つ異なる埋め込まれた集電体の設計の概略図を示す。具体的には、図13(a)は、アノード530の埋込み金属ソケット520にはめ込まれる集電体510を有するセル・カバー500を示す。図13(b)は、アノードの一部を形成する亜鉛格子550に埋め込まれた亜鉛シートまたはメッシュ540を示す。集電体の埋込み部分は、亜鉛で作製することができ、それにより、銅などの他の金属と接触することによる亜鉛アノードのあらゆる直流電気腐食を回避し、集電体を除去することを必要とせずに、集電体を含む放電アノードを再処理することが可能になる。
【0068】
他の実施形態では、アノードは、中央から縁まで、上部から底部まで、または図14に示すように選択領域において、変化する密度とすることができる。具体的には、図14は、変化する材料密度を有するアノードを示す。すなわち、(a)では、アノード・プレート600の縁または境界610は内部620より密であり、(b)では、アノード・プレート630の上部の密度は底部640より密ではなく、(c)では、アノードの接続領域650は離散パッチ660より密である。図14に示す3つの構成は、単なる例示であり、本発明の範囲内の他の構成が特定の応用分野に適していることが理解されるであろう。そのような構成により、アノードは、向上した性能特性を有することが可能になる。たとえば、アノードは、機械安定性をアノードに与えるが、電解質を貯蔵するためにより高い多孔度のより低い密度の中央領域をも設けるために、中央より密な縁を有することができる(a)。上部から底部の密度の変化(b)は、上部から底部に電解質の密度または温度が変化する状況におけるアノード設計の可能性を提供する。(c)では、アノードに設けた離散領域660を有する高密度領域650の分布により、アノードに強度の分布を与えることが可能になる。アノードを作製する好ましい手法は、より密ではないプレートに密な格子を有することである。個々の格子のサイズは、変化することが可能であり、格子の境界は、特定の設計によることが必要であるか、またはない。より密な境界または格子を有する固体アノードにより、アノードは、大きな平均多孔度を有し、同時に機械的に強くすることができる。
【0069】
本発明により作製されたアノードは、電池作製ラインに直接含むことができ、あるいは電池セパレータで包み梱包し、次いで将来の使用のために貯蔵する、または電池もしくは燃料電池に配置するために、異なる位置に搬送することができる。
【0070】
アノードを、電池に配置する前に、25%と45%の間の濃度の通常はKOHである電解質に浸漬してもよい。または代替として、アノードを、電解質を電池に装填する前に、電池に配置することができる。KOHの電解質はまた、所望であればゲル化剤で厚くすることも可能である。
【0071】
本発明によるウール亜鉛材料は、ウール亜鉛材料が固体アノード表面から落下するのを防止するために、プラスチック・メッシュまたはクロスでプレスする。セパレータ材料のシートも、ウール亜鉛アノード表面の上にプレスすることが可能であり、これにより、セルの組立て中の単純化が可能になる。
【0072】
本発明によるウール亜鉛繊維材料で作製された多孔性固体亜鉛アノードは、図15に示すアノードとカソードのアセンブリを作製するために、他の実施形態において使用する。図15からわかるように、金属メッシュ700、カソード710、セパレータ720、アノード730、絶縁材料740で作製された層状複合物が、円筒750に丸められ、次いで中空電池ケース760に挿入される。そのような事例では、ウール亜鉛アノード730の密度は、その領域にわたって一般に一様である。そのようなアセンブリは、大きなアノード/カソード境界面積を有し、したがって、円筒設計のアルカリ電池に高い放電電力を提供することができる。
【0073】
スピン形成とは別に、繊維亜鉛材料は、本明細書において開示されるように、多孔性固体ウール亜鉛電極を作製するために、機械加工などの他の方法によって作製することができる。
【0074】
アノード集電体(任意の形態の)を、アノードが電池に装備される前に、アノードに装備することができる。または集電体を、アノードが電池に挿入された後に、アノードに挿入してもよい。集電体は、ウール亜鉛繊維材料で作製される電極の機械的完全性を向上させるように作用する。集電体は、アノードの適切または最適な性能/メッシュ重量比を提供する膨張亜鉛メッシュの設計で構築することができる。
【実施例1】
【0075】
主な電池製造業者によって市販されている商用アルカリC電池のグループが、2010の満了日で互いに3週間以内に購入された。当初の商用電池は上部から切断され、亜鉛アノード・ペースト(亜鉛粉末とKOHゲル)は除去された。4つの多孔性固体アノードの重量は、10.20gと12gの間であった。試験セルに追加された電解質は、8.4gの35%KOHであった。固体電極が、プラスチック・ウール・メッシュの層の上の亜鉛ウールを、幅が37mm、長さが90mm、厚さが約2mmのシートにまずプレスすることによって形成された。ファブリック・メッシュの層は、亜鉛ウールのシートが約15mmの直径に丸められるとき、破損した亜鉛ウールがステップ中に電極から落下するのを防止できた。丸められたアノードは、セパレータの部品に巻かれ、セルの空洞に挿入された。使用されたウールは、500ppmのBiとの合金であり、約70μmの平均直径と1.8cmの公称長さのほぼ丸い断面を有していた。放電は、約22℃の室温において1Aの一定電流で実施された。
【0076】
この例は、当初の市販の電池セルの上にわたって多孔性固体亜鉛電極を使用する電池セルの放電性能の向上を示す。この特定のセットの実験条件では、図16に示すように、20%程度の向上が達成された。特に図16は、当初の無変更商用Cセル422と、本発明による多孔性固体ウール亜鉛アノードが装備された商用Cセルについて、平均放電エネルギーを示す。図からわかるように、多孔性固体ウール亜鉛アノードを有するセルは、性能が20%優れていた。
【実施例2】
【0077】
この例は、亜鉛−空気セルについて多孔性固体ウール亜鉛電極の適用を示す。この試験では、多孔性固体ウール亜鉛電極は、重量が9.7gであり、500ppmのBiと合金化された亜鉛ウールと共にプレスされた4.5cm×6.5cm×0.3cmの寸法を有するプレートである。電極は、1.1g/cm3の密度と84.7%の多孔度を有していた。アノードは、所内作製セルにおいて12.8gの35%KOHに完全に浸漬された。図17は、1Aの一定電流における多孔性固体亜鉛アノードを有する亜鉛−空気セルの放電曲線のグラフ表示を示す。1Aの一定電流における多孔性固体電極の放電を有する図17に示すように、0.8Vの電圧のカット・オフまでの全放電時間は7.2時間であり、それにより7.2Ahの容量を与えた。亜鉛についての理論値は、0.82Ah/gである。したがって、材料の使用効率は91%であった。
【実施例3】
【0078】
この例は、多様な範囲の材料、処理、アノード設計の条件下における多孔性固体ウール亜鉛電極の性能の向上をさらに示す。商用セルは、2010の満了日で主な電池製造業者によって供給され、購入の4週間以内に試験された。この例では、当初の商用セルは上部から切断され、亜鉛アノード・ペースト(亜鉛粉末とKOHゲル)が除去された。4つの多孔性固体アノードの重量は、9.9gと10.9gの間の範囲にあった。電解質は、35%KOHであり、7.5gから8.3gの量が試験セルに追加された。使用された繊維ウールは、亜鉛とBi、または亜鉛とIn、あるいは亜鉛とBiとInの合金であり、平均直径が約70μmで公称長さが1.8cmのほぼ丸い断面を有していた。放電は1Aの一定電流と220℃の室温において実施された。1つのアノードは、ウール材料を型でプレスすることによって作製された。他のアノードは、プレス・シートから丸められた。
【0079】
以下の表2は、本発明により準備された多孔性固体電極が、広範な条件下において商用セルより放電エネルギーが12%〜24%だけ優れていることを示す。
【0080】
【表2】
【実施例4】
【0081】
図18に示すこの例は、3つの設計のアノード・プレート、すなわち(a)密な対角格子プレート、(b)密な縁プレート、(c)一様なプレートの機械強度に対するアノード境界の変化する密度と狭い領域の格子の効果を示す。機械強度試験は、13×9cmの寸法と4.5mmの厚さを有するプレートを含んでおり、このプレートは、各プレートの5cmが表面の縁の上にわたって吊り下がる状態で、平坦表面の上に配置された。重力によって生じる自然な曲げによる垂直距離は、機械強度を評価するために「曲げ」として測定された。
【0082】
図19は、(a)180°の曲げ、または(b)90°の曲げを受けた多孔性固体アノード・プレートに対して実施された曲げ試験の概略図を示す。ウール繊維亜鉛材料で作製されたプレートは、破損せずに90度または180度まで数回曲げることができることが判明した。一方、電気めっきされた亜鉛粉末材料(図示せず)などの粉末材料で作製されたプレートは、わずかに数度の曲げで破損することがわかった。
【実施例5】
【0083】
図20に示すこの例は、アルカリ・セルにおける多孔性固体ウール亜鉛アノードの性能に対する合金化の効果を示す。図20は、純粋なウール亜鉛材料で作製されたアノードと、500ppmのBiと合金化されたウール亜鉛材料で作製されたアノードの比較放電エネルギーを示す。試験条件は、例1の試験条件と同じであった。図からわかるように、アノードの放電性能は、500ppmのBiを追加することにより、純粋なウール亜鉛アノードと比較して著しく向上した。
【実施例6】
【0084】
図21は、ウール亜鉛材料と電気めっき樹枝状結晶亜鉛粉末の気体発生試験の比較結果をグラフで示す。3グラムの各材料が、35mlの35%KOHに24時間配置された。電解質内で亜鉛が腐食することによる水素気体の量が測定された。図からわかるように、亜鉛ウールの気体発生率は、電気めっき亜鉛粉末の気体発生率より300%を超えて小さかった。
【0085】
圧延電極の処理性と強度を向上させ、かつファイバが落下するのを防止するために、亜鉛ファイバ・ウールは、図22に示すようにセパレータとファブリック・メッシュの層の上にプレスすることができる。図22は、裏打ち材料812とウール亜鉛808の薄いシートから多孔性固体亜鉛シートまたはプレート810を作製する概略図を示す。たとえば、裏打ち材料812は、プラスチックまたは布などの許容可能な材料で作製されたメッシュまたはファブリックとすることができる。セパレータの層の上にあるシートの場合、セパレータは、シートを強くし、取り扱いや丸めのプロセスを容易にするだけでなく、従来の電池アセンブリにおいて通例である、セパレータで包むステップも無くすことができる。アノードは、電池に配置する前に、25%volから45%volの濃度の通常はKOHである電解質に浸漬することができ、または、電解質を電池に装填する前に電池に装備することができる。
【0086】
プロセス
スピン形成された金属ウールを使用して多孔性固体電極を作製する通常のプロセス全体が、図23に示す概略的ブロック図に示されている。図23は、金属ウールから多孔性固体電極を製作するプロセスのステップと選択肢を概略的に示す。溶融亜鉛942が、944において繊維材料946にスピン鋳造される。次いで、分配とプレス・ステージ948を通過し、多孔性固体シート、ロッド、またはプレート950に形成される。そこから、電池製作ライン958に直接送ることができ、またはステーション954においてセパレータで包むことができる。代替として、950から最終的なサイズと形態ステーション952に進み、次いでセパレータ954で包むことができる。
【0087】
以上の開示を考慮すると当業者には明らかであるように、本発明の精神または範囲から逸脱せずに、本発明の実施について多くの変更および修正が可能である。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項によって確定される主題により解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1a】本発明により構築された多孔性固体亜鉛電極の例示的な形態を示す図である。
【図1b】本発明により構築された多孔性固体亜鉛電極の例示的な形態を示す図である。
【図2】電池の応用分野について異なる形態の材料を使用して亜鉛アノードの多孔度と形状を制御する3つの通常の処理方法を示す図である。
【図3】繊維ウール亜鉛材料のマスを概略的に示す図である。
【図4】霧化亜鉛粉末とウール亜鉛材料から作製された多孔性固体電極の多孔度と有効表面積の密度の関係を示すグラフである。
【図5】霧化亜鉛粉末と多孔性固体電極について、多孔度と表面密度の設計における確率のドメインを示すグラフである。
【図6】型を使用して材料を最終的な円筒の形態とサイズに形成することによって、またはウール材料をシートもしくはプレートにプレスし、次いでシートを円筒の最終的な形態とサイズに丸めることによって、ウール亜鉛材料の円筒多孔性固体電極を形成する2つの代替プロセスを示す概略図である。
【図7】従来のアルカリ電池において適用される円筒ではない幾何学的形状の亜鉛アノードを概略的に示す図である。
【図8】高密度領域および低密度領域の格子パターンを有するように形成された多孔性固体亜鉛アノードの正面図および断面図である。
【図9】3つの異なるウール亜鉛材料の個々のファイバの断面図である。
【図10】溶融亜鉛バスからスピン形成することによってウール亜鉛繊維材料を製造する装置および方法を概略的に示す図である。
【図11】溶融亜鉛からウール亜鉛繊維材料を形成するための円形ノッチ・ナイフの正面図および断面図の詳細を概略的に示す図である。
【図12】異なる設計の集電体を有する多孔性固体アノードを示す3つの概略図である。
【図13】2つの異なる埋込み集電体構造を示す概略図である。
【図14】アノード・プレートの縁が内部より密である、可変亜鉛繊維材料密度を有するアノードを示す例示的な概略図(a)、アノード・プレートの上部が底部とは異なる密度である、可変亜鉛繊維材料密度を有するアノードを示す例示的な概略図(b)、アノード・プレートの接続領域が離散パッチより密である、可変亜鉛繊維材料密度を有するアノードを示す例示的な概略図(c)である。
【図15】円筒設計のアルカリ電池について、大きなアノード/カソード境界面積を有する丸め円筒アノード/カソード・アセンブリを作製するプロセスの概略図である。
【図16】商用Cセルおよび本発明による多孔性固体亜鉛アノードを装備した変更された商用Cセルについて、放電結果の比較を示すグラフである。
【図17】1Aの一定電流における多孔性固体亜鉛アノードを有する亜鉛−空気セルの放電曲線を示すグラフである。
【図18】各プレートの5cmが表面の縁の上にわたって延びる、平坦表面の上に配置された13×9cmの寸法および4.5mmの厚さを有するプレートの3つの実施形態について、機械強度の試験を概略的に示す図である。
【図19】180°の曲げを受けた多孔性固体アノード・プレートの曲げ試験を示す概略図(a)、90°の曲げを受けた多孔性固体アノード・プレートの曲げ試験を示す概略図(b)である。
【図20】純粋なウール亜鉛材料で構築されたアノードと、500ppmのBiと合金化されたウール亜鉛材料で構築されたアノードの放電エネルギーの比較を示すグラフである。
【図21】ウール亜鉛材料と電気めっきされた亜鉛粉末の気体発生試験の比較結果を示すグラフである。3グラムの各材料が、35mlの35%KOHに24時間配置され、電解質において亜鉛が腐食する結果である水素気体の量が測定された。
【図22】裏打ち材料の薄いシートを有する多孔性固体亜鉛シートを作製する概略を示す図である。
【図23】金属ウールで多孔性固体電極を製作するステップと選択肢を概略的に示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛がアノード材料であり、かつ亜鉛アノードの性能が重要な基準である電池、燃料電池、エネルギー貯蔵材料、材料、電極製造プロセス、その他の応用など、電気化学デバイスの分野に関する。より具体的には、本発明は、制御された幾何学的形状と多孔度分布を有する物理的に安定なマスに圧縮された亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで形成されたアルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、燃料電池の多孔性固体亜鉛電極に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛電池や燃料電池の製造業者は、これらの電気化学エネルギー・デバイスの性能について絶えず改善を追及している。長い放電寿命(高容量)、電解質の漏れに対する長貯蔵寿命耐性、製造の容易さなど、所望の電池性能の特性について不可能な代償を払わずに、より高い電力を提供することができる電池に対する要求がいっそう高まっている。アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、燃料電池についてより良好な亜鉛微粒子材料を開発することが、産業界において絶えず試行されてきた。合金の組成を変化させるために、あるいは亜鉛のリボン、もしくはフレーク、またはワイヤなどの異なる形態の微粒子を使用するために、粒子のサイズ分布を改善することが試行されてきた。また、アノードとカソードの間の境界面積を増大させることも試行されてきた。
【0003】
アルカリ電池のアノードの亜鉛材料は、3つの基本的な次元形態において、すなわち、球、立方体などのゼロ次元(x、y、zの寸法がほぼ同じである)、またはファイバやワイヤなどの1次元(3つの寸法の1つが、他の2つの寸法より著しく大きい)、さらにはシートなどの2次元(1つの寸法が、他の2つの寸法より著しく小さい)において構築されてきた。ゼロ次元材料(霧化または電気めっきによって作製される)としての亜鉛粉末、1次元材料(押出し、ミリング、鋳造、電気めっきを含む異なる方法によって作製することができる針、ウール、ワイヤ、フィラメントを含む)としての亜鉛ファイバや、2次元材料(固体のディスク、フレーク、リボン、シート、さらに圧延と鋳造を含む異なる方法で作製することができる穿孔シートと膨張シートを含む)としての亜鉛シートが、産業界では開発されてきた。亜鉛アノードが電池または燃料電池において十分に機能するために必要な固体で多孔性の空間分布を得るために、異なる方法を使用して、3つの異なる次元タイプの材料を処理することができる。
【0004】
システムの観点から、アノードとカソードの寸法、形状、アノード/カソードの境界面積、セパレータ材料、電解質の量と組成、集電体の材料と設計、電極の特性は、電池や燃料電池の性能にすべて非常に重要である。これらは、適切に設計することが必要である。電極の特性に関して、重要なパラメータには、比表面積(単位重量あたりの物理的表面積全体として定義される、m2/g)、有効表面積(電気化学的に活性である表面積の量)、表面活性、多孔度、導電率、機械安定性がある。これらの特性の多くは、電池の設計と材料の特徴によって決定される空間の所与の容積における固体と孔空間によって決定される。
【0005】
異なる形態の材料は、比表面積、有効表面積、表面活性、多孔度、導電率、機械安定性について異なる値のセットを有する。所与の設計の電池においてよく機能する亜鉛の粉末は、これらのパラメータの組合せ効果の結果である。これらのパラメータのわずかに1つまたは2つのみの制御では、アノードは、電池において十分に機能することはできない。たとえば、同じ比表面積について、異なる粒子分布の粉末は、米国特許第6284410 A1号に開示されているように、異なる放電性能を有することがある。1つの電池設計においてよく機能する粉末が、他の電池設計ではよく機能しないことがある。このため、異なるアルカリ電池や亜鉛−空気電池に使用される亜鉛粉末が連続的に開発されてきた。
【0006】
電極材料の有効表面積の制御は、電池の設計において決定的に重要である。一般的に、粒子のサイズが小さくなると、表面積は大きくなる。大きな表面積は、高い活性を有し、したがって高い電池電力をもたらす。しかし、非常に大きな表面積を有する亜鉛アノードは、電解質において亜鉛が腐食するために過剰な気体発生を生じることがあるので、欠点ともなる。市場においてアルカリ電池の作製に使用される亜鉛粉末は、通常は0.01m2/gと0.1m2/gの間である特定の範囲の表面積を有する。最近の米国特許第6521378号において示されているように、アルカリ電池の電力を増大させるために、より微細な亜鉛微粒子、すなわちより大きな表面積を使用する傾向があった。
【0007】
亜鉛アノードの多孔度(電解質によって占められる亜鉛微粒子間の空間)の制御は、他の重要な考慮事項である。所与の電池設計について、ある範囲の好ましい多孔度が存在し、特定の形態の亜鉛微粒子材料で作製されたアノードは、これらの条件において最適に機能する。霧化された亜鉛粉末を使用するアルカリ電池では、亜鉛アノードの最低容積パーセントは、正の電極の電気化学出力率を整合させ、かつ亜鉛アノードの電気コンダクタンスを維持するように、十分な粒子から粒子および粒子から電流の収集器接点を提供するために(たとえば、米国特許第6221527号参照)、亜鉛アノード・ペースト(亜鉛粉末、KOH、付加物、ゲル化剤を含む)の28%より少なくない。この量より下では、電圧は不安定性になり、電池の性能は、衝撃と振動に対して鋭敏になる。一方、アノードの亜鉛粉末容積が50%より高いなど高過ぎる場合、亜鉛の酸化物、水酸化物、ある程度の元素の亜鉛の混合物である溶解産物と電解質を貯蔵する粒子との間に十分な空間が存在しない。
【0008】
電解質と混合される前の、アルカリ電池の応用分野において使用される亜鉛粉末は、通常、3g/cm3から3.5g/cm3の濃度を有し、これは、亜鉛容積の約42%から50%、多孔度の50%から58%である。通常は約70%であるアルカリ・セルが十分に機能するために必要な多孔度に到達するために、製造業者は、通常、亜鉛粒子が密に実装されず、電解質ゲルにおいていくらか懸濁されるように、亜鉛粉末と電解質の混合物を作製するためにゲル化剤を使用する。しかし、所与の粉末(粒子のある形状と粒子サイズ分布)に対して、粒子間の電気接点を失わずに粒子を懸濁させることができるごく狭い範囲が存在する。
【0009】
表面活性は、所与の性能条件下における放電率と、アイドル条件下における気体発生率を決定する。亜鉛の表面活性は、1セットの電気化学特性に関係し、これは、Zhangによって十分に文書化され(Corrosion and Electrochemistry of Zinc、Plenum Publishers、1996年)、その内容は参照によって本明細書に組み込まれている。高ドレイン応用分野について設計された電池は、高い放電率を可能にするが、低い気体発生率を有する表面活性を有する材料を有することが望ましい。アルカリ電池と燃料電池において使用される市販の亜鉛粉末は、通常、所望の表面活性を得るために、様々な組成に合金化される。合金化に加えて、表面活性は、電解質における腐食阻害剤、亜鉛微粒子の表面処置などを追加することによって制御することも可能である。
【0010】
アノードの物理的安定性は、電池の設計における他の考慮事項である。物理体として霧化粉末は、一般に、液体のように振る舞い、自蔵形態にはない。霧化粉末は、重力の影響下において流動する傾向がある。ゲルの使用は、粒子を互いに対して、および集電体に対して不動にするのを助けるように作用し、したがって、信頼性のある電池性能に本質的なある程度の機械的安定性をアノードに提供する。
【0011】
特定の応用分野において電池の所望の性能を有するために、霧化粉末から作製された亜鉛アノードに対して、上述されたパラメータの組合せ効果が存在する。霧化粉末から作製されたアノードでは、電池の所望の性能に必要な多孔度を提供するために、ゲル化が必要である。しかし、ゲル化により粒子の接続性が低下し、したがってアノードの導電率が低下するので、ゲル化の量と、したがって多孔度の制御の程度は限定される。さらに、ゲル化は、亜鉛粉末粒子のある程度の不動化を提供するが、ゲル化したアノードは、依然としてペーストであり、固体と同じ機械的完全性を有していない。したがって、霧化粉末から作製された電池アノードは、亜鉛粒子間の良好な導電率を維持しながら多孔度と表面積に対して独立して制御することを見込まないので、亜鉛アノードに潜在するエネルギーの最適な使用を達成しない。
【0012】
ゼロ次元材料としての亜鉛粉末は、通常、霧化プロセスによって作製され、市販されているアルカリ電池と亜鉛−空気電池のアノードを作製する主な材料であった。亜鉛粉末は、電池において機能することができるアノードを作製するためにゲル化を必要とする。しかし、ゲル化したアノードは、ゲル化していない材料と比較してより低い導電率を有し、粒子間の電気接点を失わない状態では、限定された機械的完全性と多孔度に対する限定された制御範囲を有する。したがって、霧化粉末によって作製されたアノードは、亜鉛金属の潜在的なエネルギーの最適利用を可能にしない。多くの従来の技術を特許文献において見ることができ、新しい特許が連続的に認可されている。たとえば、米国特許第6521378 B2号は、亜鉛ベース粒子の多モード分布を有する粉末を使用する亜鉛アノードの作製を開示する。WO 01/56098 A2は、粉末粒子の凝集物を作製するために低溶融金属結合剤を使用する亜鉛粒子凝集物の作製を開示する。米国特許第6284410号と米国出願2003/0203281 A1は、高放電率下において性能を向上させるために、霧化粉末の粒子分布の関連制御を示す。
【0013】
KOH電解質において電気めっきすることにより作製された亜鉛粉末が、電池と燃料電池の応用分野においてアノードを作製するために使用されてきた。通常は樹枝状結晶の形態にある粉末は、一般に非常に高い比表面積を有する。
【0014】
電気めっきされた粉末を使用するアルカリZn−Ag電池が、ミサイルやロケットを発射する電力源など、多くの軍事応用分野において使用されてきた[Zinc−Silver Oxide Batteries、Ed.By Flecher&Lander、1971年、John Wiley&Sons]。より最近では、電気めっきされた亜鉛樹枝状結晶材料が、車両の電力源に適用されている。たとえば、米国特許第5599637号や第5206096号は、電気バスに機械式燃料補給可能な亜鉛−空気燃料電池のアノードを作製するために、電気めっきされた亜鉛樹枝状結晶材料を使用する分野を教示している。同様のタイプの材料が、電力電気自転車の機械式燃料補給可能亜鉛−空気燃料電池のアノードを作製するために使用されている(Powerzinc Inc.のウエブ・ページを参照されたい)。機械式燃料補給可能な電池と燃料電池では、放電した亜鉛アノードは、電池から物理的に取り外され、新規のアノードによって置き換えられる。
【0015】
しかし、大きな表面積はまた、KOH溶液におけるアノードの高い腐食率をも意味し、したがってアノードは、長期の貯蔵には適していない。またアノードは、固体の形態であるが、限定された強度を有し、かつ機械応力下において破損する傾向があるプレートに樹枝状結晶亜鉛をプレスすることによって作製される。さらにまた、アノードを作製するために電気めっきを使用することにより、機械的補給可能亜鉛−空気燃料電池の経済的な動作が限定される。
【0016】
電池のアノードを作製するためのファイバ、針、ウール、またはリボンなどの材料の1次元形態は、1974年という早い時期に文書化されている[Kordesch、Batteries、Volume 1 Manganese Dioxide]。アノードを作製するために繊維材料を使用することにより、ゲル化剤を必要とせずに、すべての亜鉛ファイバの導電率を維持しながら、広範囲にわたって表面積と多孔度を独立して制御することが可能になる。繊維材料で作製された固体電極の利点は、個々のファイバが多くの他のファイバと物理的に結合し、かつ固体形態として共に連結されることである。次いで、密度と多孔度は、機械プレス下における繊維材料の閉込め度によって制御される。
【0017】
電池アノードとしてファイバ、針、ウール、またはリボンの1次元形態の亜鉛を使用することについて、多くの従来の開示がある。たとえば、米国特許第3853625号は、電池アノードを作製するために電気めっきによって作製された亜鉛フィラメントを使用することを開示している。米国特許第5584109号は、筒状にされて押し出された金属ファイバで作製された電極を開示している。米国特許第6221527 B1号は、電池アノードとして使用される亜鉛リボンを開示している。米国出願2002/0142202 A1は、電気化学電池の電極を開示している。電極は、電子を電気化学電池の電解質に伝達するように構成された導電性材料からなる複数のファイバを備える。米国出願2003/0170543 A1は、亜鉛電池アノードを作製するために機械ミリングによって作製されたファイバの使用を開示している。これらの特許や刊行物の開示は、1次元形態を示すが、実際の電池におけるこれらの材料で作製されたアノードの使用を示さず、実際に使用可能な材料や処理手順を示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
いくつかの従来の技術はまた、アノードを作製するために2次元形態の亜鉛材料(シート、フレークなど)を使用することも開示する。たとえば、米国特許第4226920号は、膨張されて織られた金属亜鉛メッシュを最終的な円筒の形態とサイズに丸めることによってアノードを作製することを教示する。そのようなアノードの放電性能は、その時点では従来のセルと比較すると利点を示すが、それにもかかわらず、現在の商用電池の性能に大きく劣る。WO 01/24292 A1は、電池のアノードの作製についてゲル化剤でコーティングされた丸い亜鉛フレークを開示している。この開示は、商用的には実用的でないが、その理由は、そのようなアノードを作製する処理ステップは、複雑でしたがってコストがかかるからである。米国特許第6673494号は、アノードを作製するために膨張メッシュを使用することを開示しているが、そのようなアノードが向上した性能を提供することができるかについて示していない。米国特許第6022639号は、高性能電池を作製するために亜鉛フレークを使用することを開示している。それにもかかわらず、アノードの多孔度と機械的完全性を制御するためにゲルを使用することは、依然として必要である。
【0019】
フレークやシートの材料は、電気化学反応に利用可能な表面積である有効表面積に関して欠点を有する。電気化学反応は、重なり金属シート間のギャップの場合のように、電流の流れる経路が狭いときにはいつでも停滞する。個々のシートやフレークが互いに重なる傾向があるので、表面積の著しいパーセンテージが、これらの材料との反応には利用不可能になる。したがって、そのような材料の有効表面積は、一般に、フレークまたはシートの材料の比表面積よりはるかに小さくなる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える、アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極に関する。この開示では、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループは、「ウール材料」またはウール亜鉛材料と呼ぶことが可能である。いくつかの実施態様では、電極は、その領域にわたって一様な密度分布を有することが可能である。密度は、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲にあることが可能である。密度は、1g/cm3から3g/cm3の範囲にあることが可能であることが好ましい。
【0021】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドがより密ではなく圧縮された他の領域より、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドがより密に圧縮された領域が存在することが可能である。
【0022】
電極において、より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有することが可能である。より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有することが可能である。好ましくは、より密に圧縮された領域は3.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、1g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有することが可能である。
【0023】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが密に圧縮される領域は、格子状網を形成することが可能であり、より密ではなく圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、密に圧縮された格子状網間の空間を占有することが可能である。
【0024】
電極において、集電体を、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル、チタン、マグネシウム、またはこれらの材料の合金など、導電性材料で作製することが可能である。導電性材料は、銀、錫、または銅でめっきまたはクラッドすることが可能である。導電性材料は、電極と同じファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで作製することが可能であり、格子状網の自然なまたは連続的な延長とすることができる。集電体は、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループにおいて埋め込む。
【0025】
電極において、電極は、その周囲に密な境界または縁プレートを有する。格子状網を有する電極は、プレートまたは円筒の形態にある。
【0026】
電極において、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、多孔性固体アノードを形成するために、型に圧縮することが可能である。型は、特定の断面幾何学的形状を有する中空内部を有し、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、内部によって特定の幾何学的形状の多孔固体に形成する。型の中空内部は、円筒の形状であり、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、中空円筒内部によって多孔性固体円筒に形成する。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、所望の直径の円筒に後に丸めることが可能であるシートに圧縮される。
【0027】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、スピン形成、機械加工、押出し、霧化、鋳造、その他の適切な方法によって作製することが可能である。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの表面は、非一様とする、または滑らかにしない。亜鉛、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの周囲断面形状は、ほぼ半円の形状である。
【0028】
電極において、電極は、取外し可能電流コネクタを含む。集電体は、亜鉛で形成する。集電体は、めっきすることが可能である。
【0029】
アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極では、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループは、制御された幾何学的形状と多孔度分布を有する物理的に安定なマスに圧縮する。電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、セパレータ材料の上にプレスする。
【0030】
電極において、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの公称直径は、5μmと1000μmの間であり、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの長さは、その直径の少なくとも10倍とする。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、Bi、In、Ca、Al、Mg、Ga、Sn、Pb、Cdからなるグループから選択された1つまたは複数の金属と合金化する。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの形成に使用される亜鉛は、1ppmから3000ppmのBi、好ましくは100ppmから1000ppmのBi、または1ppmから3000ppmのIn、好ましくは100ppmから1000ppmのIn、あるいは1ppmから3000ppmのBiおよび1ppmから3000ppmのIn、好ましくは100ppmから1000ppmのBiおよび100ppmから1000ppmのInと合金化する。
【0031】
亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランド間にポアと空間を有する非織り亜鉛ウールに圧縮される。電極において、亜鉛ウールは、裏打ち材料のシートと共にプレスされる。裏打ち材料は、紙、布、マット、メッシュからなるグループから選択される。
【0032】
電極は、プレートの形態でより密な領域の格子状網を有する。代替として、電極は、アルカリ電池または空気−亜鉛電池に組み込まれる円筒の形態にある。亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、ファイバ間に空間を有する非織り亜鉛ウールとして収集する。
【0033】
亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、多孔性固体アノードを形成するために型に圧縮される。型の内部は、特定の断面形状を有し、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、型の内部の形状と一致する形状を有する多孔性固体アノードを形成するために型の内部に圧縮される。
【0034】
本発明はまた、5μmと1,000μmの間の公称直径、および公称直径の少なくとも10倍の長さを有する亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える多孔性固体亜鉛電極を形成する方法にも関し、亜鉛を、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドに変換する装置を使用して、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを形成することであり、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのパイルを形成するために、装置から取り出されて一領域に収集されることと、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮されることとを備える。装置は、溶融亜鉛バスと回転ナイフを使用して、スピン形成することを含む。
【0035】
方法において、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、50μmと300μmの間の公称直径、および公称直径より少なくとも100倍長い長さを有する。装置は、溶融亜鉛に部分的に浸漬され、かつ空気ジェットまたはブラシによってホイールから取り出されるファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを形成するノッチ・ホイールとする。
【0036】
方法において、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドは、いくつかの領域において他の領域においてより密に圧縮される多孔性マスに圧縮される。代替として、多孔性マスは、一様な密度を有する多孔性シートに圧縮される。圧縮されたシートは、裏打ち材料に添付する。多孔性シートと裏打ち材料は、セパレータ材料、カソード、および保護メッシュと接合され、次いで円筒形態の電気化学デバイスにおいて使用するためにアノード−カソード・アセンブリに丸められる。電気化学デバイスは、アルカリ電池とする。
【0037】
方法において、ノッチ・ホイールは、30度未満の角度を有する先細り縁、および20μmと200μmの間の先端幅を有する。ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを取り出すために、空気ジェットを使用することができ、空気ジェットのノズルは、ホイールが溶融バスの外部にスピンする際、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドをホイールの縁から取り出すために、ホイールより上に配置する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図面は、本発明の特定の実施形態を示すが、本発明の精神または範囲を制約すると全く解釈されるべきではない。
【0039】
以下の記述にわたって、本発明のより完全な理解を提供するために、特定の詳細が述べられる。しかし、本発明は、これらの詳細を有さずに実施することができる。周知の要素は、本発明を不必要にあいまいにするのを避けるために、詳細には図示または記述されない。したがって、明細書と図面は、制約的ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。
【0040】
本発明は、亜鉛電池と燃料電池、具体的にはアルカリ電池、亜鉛−空気電池、機械式燃料補給可能燃料電池について、高い性能を有する多孔性固体亜鉛アノードの新規な構造を提供することである。とりわけ、本発明により構築されるアノードは、主なアルカリ−亜鉛電池や亜鉛−空気電池において使用されるとき、高い電力や、良好な機械安定性、電池製造の複雑さの低減を提供する。本発明により構築されるアノードは、機械式燃料補給可能な亜鉛電池と燃料電池に対して、高い容量や、高い電力、良好な機械安定性、より長い貯蔵寿命、経済的な動作モードの組合せを提供する。
【0041】
一実施形態において、本発明は、良好な導電率や、機械安定性、固体と孔の空間の制御された分布、いくつかの場合における一様な密度、その他の場合における密な領域とより密でない領域を有すると共に有効表面積を有する、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで構築された多孔性固体電極に関する。本発明による多孔性固体亜鉛アノードは、所望の性能を有するアルカリ電池や、亜鉛−空気電池、燃料電池に使用することができる。
【0042】
広範な態様において、本発明は、制御された幾何学的形状と多孔度分布を有する固体形態に圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える、アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極に関する。ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループは、いくつかの場合、「ウール材料」またはウール亜鉛材料、あるいはその変形形態と呼ぶことがある。
【0043】
アルカリ−亜鉛電池において使用される本発明によるアノードは、高率放電容量に対して向上した性能を提供することができる。ウール亜鉛アノードは、アノードを作製するためにゲル化剤を使用する必要性を排除する。ゲル化剤は霧化亜鉛粉末に必要なので、ゲル化剤を排除することにより、材料と製造プロセスのコストが低減される。さらに、本発明による亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで作製されたアノードにより、大きなアノード/カソード境界面積を有するより複雑な幾何学的形状を構築することが可能になる。
【0044】
モバイル電力応用分野の機械式燃料補給可能亜鉛−空気燃料電池においてそのような亜鉛アノードを使用することにより、アノードの機械的完全性が提供され、腐食による貯蔵中の容量の損失が最小限に抑えられる。そのようなアノードにより、電池の製造や電池の使用において、より簡単なビジネス動作モデルを使用することができる。振動または曲げに由来する機械的応力のために容易に破損することがある電気めっき樹枝状結晶材料で作製されたアノードとは異なり、本発明による繊維亜鉛材料から作製されたアノードは、破損せずに曲げすることができる。また亜鉛がゆっくり腐食し、限定された時間長のみ貯蔵することができる電気めっきスラリから作製されたアノードとは異なり、本発明による多孔性固体亜鉛アノードは、容量を顕著に失わずに、無限の時間長、電解質のない条件において貯蔵することができる。アノードが使用される前に電解質を追加することができる。これにより、アノードが使用される地理的領域の近くに亜鉛スラリ(亜鉛樹枝状結晶、KOH、水の混合物)を作製する電気めっきプラントを構築する必要性が排除される。したがって、本発明によるアノードを使用することにより、ビジネス動作モデルを簡単にして、ビジネス動作のコスト全体を下げることができる。
【0045】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、アノード領域の残りより高い密度に圧縮された格子および/またはタブ(集電体として)を有するアルカリ−亜鉛電池と機械式燃料補給可能亜鉛−空気電池または燃料電池のアノードを構築することができる。したがって、密な格子を有して本発明によるウール亜鉛材料で作製されたアノードは、アノードのより良好な機械的応力と導電率を提供する。格子と集電体との間の連続性は、アノードの導電率全体の向上を提供する。集電体として亜鉛を使用することは、異なる金属接点間において生じる電気化学的腐食を回避するという追加の利点を有する。また、アノードの放電後、リサイクルのために集電体を分離する必要性も排除する。
【0046】
本発明の重要な特徴は、固体の形態や、固体と孔の空間分布、ウール材料(ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドからなる)のファイバ密度と物理的寸法の組合せ効果を組み込むとともに、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの作製に使用される亜鉛または亜鉛合金の化学組成の組合せ効果を組み込むアノードの開発である。この主要な新規な要素には、1)安定な物理的形態、高い放電容量、高い電力密度を提供する固有の1セットの構造的かつ化学的特徴を有するアノード、2)制御された物理的かつ化学的特徴を有する溶融亜鉛からスピン形成されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドからなるウール材料から作製されるアノード、3)電池と燃料電池において使用することができるように、そのようなアノードを構築する方法がある。
【0047】
図面を参照すると、図1a、1bは、本発明により構築することができる多孔性固体亜鉛電極の2つの例示的な形態を示す。図1(a)は、細長い4つの丸い側面の非円筒アノード10の透視図を示す。図1(b)は、格子状パターンの密な領域30と格子間のより密でない領域40を有する平面亜鉛アノード20の正面図を示す。集電体50が上部に配置され、また、プレートの本体と同じウール材料とプレスされ、アノード20の本体の自然部分である。図1(a)および(b)に示されるアノードの2つの形態は、限定ではなく例示であり、本発明の多様性を示すことを意図することを理解されたい。本発明の基本的な原理を採用し、かつ本発明の目的を達成するすべての考慮可能なアノードの形態が、本発明の範囲内にある。
【0048】
図2は、本発明の一態様による、電池応用分野の亜鉛アノードのゼロ次元形態、1次元形態、2次元形態の材料について、アノードの多孔度と形状を制御する3つの通常の処理方法を示す。具体的には、図2は、粉末100(ゼロ次元)、ファイバ105(1次元)、シート110(2次元)を処理する3つの方法を示す。プロセス100において、アノードとして使用される粉末112は、多孔度が制御され114、次いでアノードの形状が、アノード空洞によって制御される116。プロセス105において、ファイバ118は、束化、ダイにおけるプレス、または融合を含む処理によって、アノードの多孔度と形状が制御される120。プロセス110において、シート122は、アノードの多孔度と形状が、丸め、折りたたみ、またはスタック化によって直接制御される126。
【0049】
本発明において開示される多孔性固体電極(本明細書ではウール材料またはウール亜鉛材料あるいはSPEと呼ばれることもある)は、図2のプロセス105に示されるように、ゲル化剤を使用することを必要とせずに、電極材料の電気接続性を維持しながら、広範囲にわたって表面積と多孔度を独立して制御することをができる。図3は、繊維ウール亜鉛材料のマスの概略的図示を示す。図3に示す140などのウール亜鉛材料で作製された固体電極の利点は、ウール142の各ファイバ、フィラメント、ストランド、またはスレッドが、いくつかの他のウールのファイバ、フィラメント、ストランド、またはスレッドと物理的に接続され、かつ固体形態として共に連結されることである。次いで、密度と多孔度は、一様に、または本明細書において記述されるように密なパターンとより密ではないパターンで、機械プレス下においてウール材料の閉込め度によって制御される。これは、47%から94%が3.8g/cm3〜0.46g/cm3の密度に対応する状態で、表1に示すように広範囲の多孔度を有する固体で導電性の亜鉛アノードを製作することを見込む。
【0050】
【表1】
【0051】
一態様において、本発明は、電池または燃料電池の性能と経済性を著しく向上させるために、亜鉛アノードの微粒子の接続性や、電極の導電率、多孔度、表面積、機械安定性、形態因子(形状および寸法)を独立して制御する問題を解決することである。
【0052】
図4は、霧化亜鉛粉末とウール繊維亜鉛材料から作製された多孔性固体電極について、多孔度と有効表面積の密度との関係のグラフ表示を示す。図において提供される粒子サイズの値は、粉末とウールの公称平均値である。粉末とファイバの単位容積あたりの対応する表面積は、球状粉末粒子と円筒ファイバの幾何学的形状の計算に基づく。
【0053】
同様の平均物理寸法の実際の材料の単位容積あたりの表面積値は、材料の特定のサイズ分布や微細表面テキスチャのために著しく異なる可能性がある。多孔性は、亜鉛粉末とウール材料の密度を測定することによって決定された。表面積は、粉末粒子に対しては球形を、ウールに対しては円筒形を想定して計算された。実際の表面積は、一般に、個々の粒子の不規則な形状とウールの表面の粗さのためにより大きくなる。
【0054】
具体的には、図4は、単位容積における材料の有効表面積として確定される表面積密度、およびアノードによって占められる全空間における非固体容積のパーセンテージとして確定される多孔度の観点で、本発明による霧化粉末と多孔性固体電極(SPE)の制御の比較を示す。霧化亜鉛粉末では、多孔度は、表面積と共にごくわずかにしか変化しない。3つの異なるサイズの亜鉛粒子の混合物であるグラフ上で「mix(混合物)」と表されるデータ点は、非混合粒子より低い多孔度を有する。これは妥当であるが、その理由は、混合粉末では、より大きな粒子間のより大きな空間は、より小さい粒子によって充填される傾向があり、したがってより密な本体を作製するからである。一方、固体ウール多孔性電極では、多孔度は、表面積と共に広範囲にわたって変化することがあり、同様に重要なことに、表面積と多孔度の両方が、固体アノードのウール・ファイバの直径を変化させることによって、広範囲にわたって変化することがある。粉末混合物のゲル化形態である中実3角形の点は、非ゲル化粉末(中空3角形の点)よりはるかに高い多孔度を有するが、本発明による多孔性固体ウール・ファイバ電極によって達成可能であるものより依然としてはるかに小さいことに留意されたい。
【0055】
図5は、霧化亜鉛粉末と多孔性固体電極の多孔度と表面密度の設計において確率のドメインのグラフ表示を示す。図4のデータを使用して、図5は、電池アノードの設計において達成することができる多孔度と表面積密度の範囲の観点で、従来の霧化粉末に対する多孔性固体電極の利点を示す。実線斜線点領域によって表される上部ドメインは、ゲルを有するまたは有さない霧化粉末では不可能である。
【0056】
アノードの性能は、このアノードと電池の作製に関与する様々な材料や処理パラメータの組合せ効果の結果であるので、1セットの材料と処理条件が、材料の実際の有用性を示すためにあらゆる繊維材料について開発されなければならない。たとえば、粉末について述べることができることと同様に、同じ比表面積または多孔度を有する2つの異なる繊維材料が、他の材料および処理条件に応じて、非常に異なる性能を有することがある。本発明は、本発明により構築されたスピン形成亜鉛ウールを使用して、従来の亜鉛粉末アノードのような優れた性能を有するアノードを作製することができることを示す。
【0057】
既存の電池の実施に対する本発明の主な実際上の利点は、高率放電条件下において、より良好な電極導電率と機械安定性や、多孔性固体空間のより良好な分布、有効表面積と向上した電池性能を達成するために、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの圧縮されたスピン形成亜鉛ウールを使用して多孔性固体アノードを作製する方法とプロセスの一体的手法およびシステム制御の開発である。
【0058】
ウール繊維亜鉛材料は、ダイを用いてまたは用いずに、電池または燃料電池の特定の設計に所望される密度、多孔度、表面積を有するシート、プレート、または円筒形態に、あるいはあらゆる他の考慮可能な実用的な形態にプレスすることができる。シートの形態はさらに、所望の寸法に切断し、最終的な形状とサイズにスタック化または丸めることもできる。図6は、第1に亜鉛繊維ウールを型にプレスし、第2にまずシートを作製し、次いでシートを所望の直径に丸めることによって、多孔性固体アノードを作製する実質的に2つの異なる代替方式を概略的に示す。図6からわかるように、ウール亜鉛ファイバ192は、ロール196を成型するように、型194に押しつけてプレスする。代替として、ウール亜鉛ファイバ192は、ロール196を形成するために、200に示すように丸められる一様な密度のマット198にプレスする。次いで、製作されたシート、プレート、円筒、または他の形態は、設計された電池と応用分野に対して、特定のサイズまたは形状に適合するように、アノードに分割する。
【0059】
成型を使用することにより、より複雑な幾何学的形状のアノードを作製することが可能になった。複雑な幾何学的形状のアノードを使用するセルの設計は、従来の設計と比較して、より大きなアノード/カソード境界面積を提供する。図7は、電池240のカソード230の内部に形成された適合モード空洞200に挿入することができる非円筒幾何学的形状の亜鉛アノード210の概略的例示を示す。異なる形態の型を使用することによって、他の形態のアノードを構築することができる。
【0060】
機械式燃料補給可能電池または燃料電池の応用分野では、本発明による好ましい実施は、ウール繊維亜鉛材料を一様または非一様な密度の特定の密度分布の固体プレートにプレスする。アノードの機械安定性を向上させるために、いくつかの場合、集電体としてのタブを含めて、狭い領域の格子を図8に示す非格子領域より著しく高い密度にプレスすることが好ましい。図8は、図1(b)と同様であるが、密なファイバ領域の対角格子パターン310と、高密度集電体340に接続された密な境界330によって封入された中間低密度領域320とを有する亜鉛アノード300の正面図と断面図を詳細に示す。図8に示すアノードは、機械式燃料補給可能亜鉛電池と燃料電池に適している。集電体340を含むプレートの格子領域全体は、格子310が強く、かつより低い密度領域320の残りが電解質を貯蔵するために高い多孔度を有するように、アノード領域の残りより著しく密である。より密な領域310(すなわち格子および集電体)の密度は、亜鉛のバルク密度である7.13g/cm3と同程度に高くすることができる。より密な格子310は、アノード300により機械的な強度を提供するだけでなく、より良好な導電率もこのアノードに提供するが、その理由は、密な亜鉛格子310は、アノード表面全体にわたって分布し、かつ集電体340との電気的連続性を有するからである。格子開口の数、サイズ、形状は、アノードの設計と性能の用件に応じて変化させる。同様に、格子の厚さと密度は、アノードに必要な機械的強度と電気コンダクタンスに応じて変化させることができる。より密な領域を有するプレートは、一様な密度を有する領域より強いが、一様な密度を有するプレートは、本発明の範囲から排除されないことに留意されたい。密な格子パターンのウール材料を有するそのようなアノード・プレートは、後に図19に示すように破損せずに曲げることができる。
【0061】
固体アノードの平均密度は、1g/cm3〜3g/cm3(一般的な範囲は0.5g/cm3〜6.3g/cm3)の範囲にあることが好ましい。電極では、より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有する。より密に圧縮された領域は、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、0.5g/cm3から3g/cm3.の範囲の密度を有する。より密に圧縮された領域は、3.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有することが可能であり、より密ではなく圧縮された領域は、1g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有することが好ましい。これは、溶融亜鉛からスピン形成されたウール材料をプレスすることによって作製される。図9は、3つの異なるウール亜鉛材料(a)、(b)、(c)の個々のストランド(ファイバ)の断面図を示す。図からわかるように、亜鉛ウールは、非一様な表面を有し、ほぼ半円であり(断面はある程度半月の形状である)、好ましくは40μm〜130μm(一般的な範囲は15μm〜300μm)の公称直径を有し、かつ5mm〜65mm(一般的な範囲は2mm〜500mm)の長さを有する。半月の中央の厚さは、ある程度変化させることが可能であり、表面は、凝固プロセスの結果である結晶粒のあるテキスチャを有する。したがって、単一ファイバの実際の表面積は、一般に、平滑表面を有する幾何学的形態から計算されるものより大きい。
【0062】
上述されたように、本発明によるウール亜鉛材料は、溶融亜鉛からスピン形成することによって製造することができる。図10は、溶融亜鉛バス420からスピン形成することによってウール亜鉛ファイバ410を作製する装置400の概略図を示す。ノッチされた鋳造ナイフ430は、冷却水が凝固熱を除去するために通過する中空ステンレス・シャフト440の上に取り付けられる。シャフト440は、一連のナイフ430を有することが理解されるであろう。しかし、この議論では1つのみが述べられる。ナイフ430が回転し、空気ノズル450によって取り出される亜鉛ストランド410をスピン形成する。ナイフ430は、先鋭な縁460を有する。
【0063】
図11は、亜鉛バス420からウール亜鉛ストランド410を形成するための円形ナイフ430の正面図と断面図の詳細な概略図を示す。ナイフ430は、その周囲に分布したノッチ470を有する。ナイフ縁の厚さは、10μm〜50μmの間(一般的には5μm〜200μm)であり、縁に対する先細り角度θは、図11に示すように30°未満である。ナイフの上部に位置する空気ノズル450は、ナイフ430の縁から亜鉛のストランドまたはファイバ410を取り出すためのものである。図示されていないが、亜鉛ストランド410は、コンベヤ・ベルトの上に降下し、コンベヤ・ベルトは、一様に分布したウール材料のスタックを形成するためにストランド(ファイバ)を収集する収集器に亜鉛ストランド410を搬送する。ウール材料のスタックは、それがある厚さまたは重量に到達した後に取り外される。収集器は、ウールの一様な装填を保証するために、x方向、y方向の両方において水平に移動することができる。溶融亜鉛バス420の温度は、一般に430℃〜650℃(好ましくは450℃〜550℃)である。回転する1つまたは複数のナイフが直列に取り付けられている場合、そのrpmは、一般に250と2000の間(好ましくは300rpmと500rpmの間)である。
【0064】
電池において使用される亜鉛アノードは、腐食抵抗と放電電流密度に関して性能を向上させるために、様々な金属と合金にすることができる。これらの合金化元素には、非限定的に、Bi、In、Ca、Al、Mg、Ga、Sn、Pb、Cdがある。ポリマー・ファイバや水吸収ペレットなどの他の材料が、亜鉛ファイバと混合され、所望の効果を達成するように固体形態にプレスされる。
【0065】
本発明の他の実施形態では、亜鉛は、放電のための高い表面活性とするために、1ppm〜3000ppmのBi、好ましくは100ppm〜1000ppmのBiと合金化される。亜鉛はまた、1ppm〜3000ppmのIn、好ましくは100〜1000ppmのIn、あるいは1ppm〜3000ppmのInと1ppm〜3000ppmのBi、好ましくは100ppm〜1000ppmのInと100ppm〜1000ppmのBiと合金化することもできる。これらの合金で作製された亜鉛ウールは、高い放電電流下において良好な表面活性を有することが判明している。また、そのような合金で作製されたウール材料は、低い気体発生率を有する。
【0066】
本発明により作製された亜鉛は、多くの形態や変形形態を有することができる。アノードは、図12に示すように集電体として、固体またはメッシュの金属のストリップ、あるいは部分的にストリップで部分的にメッシュの材料を含む。図12は、3つの異なる設計の集電体(a)、(b)、(c)、すなわち穿孔タブ、フォーク、矩形メッシュを有する多孔性固体アノードの3つの概略図を示す。集電体を作製するために使用される金属は、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル、チタン、マグネシウム、これらの金属の合金とすることができる。これらはまた、良好な導電率のために銀、錫、または銅などの他の金属でさらにめっきまたは被覆することもできる。
【0067】
他の形態の集電体を使用することもできる。金属のストリップまたはメッシュは、それがアノード本体に完全に埋め込まれ、かつソケットをその上部に有し、それにより別の電流コネクタを挿入できるように設計する(電流コネクタの雄部分は、電池のカバーに添付される)。図13(a)と(b)は、2つ異なる埋め込まれた集電体の設計の概略図を示す。具体的には、図13(a)は、アノード530の埋込み金属ソケット520にはめ込まれる集電体510を有するセル・カバー500を示す。図13(b)は、アノードの一部を形成する亜鉛格子550に埋め込まれた亜鉛シートまたはメッシュ540を示す。集電体の埋込み部分は、亜鉛で作製することができ、それにより、銅などの他の金属と接触することによる亜鉛アノードのあらゆる直流電気腐食を回避し、集電体を除去することを必要とせずに、集電体を含む放電アノードを再処理することが可能になる。
【0068】
他の実施形態では、アノードは、中央から縁まで、上部から底部まで、または図14に示すように選択領域において、変化する密度とすることができる。具体的には、図14は、変化する材料密度を有するアノードを示す。すなわち、(a)では、アノード・プレート600の縁または境界610は内部620より密であり、(b)では、アノード・プレート630の上部の密度は底部640より密ではなく、(c)では、アノードの接続領域650は離散パッチ660より密である。図14に示す3つの構成は、単なる例示であり、本発明の範囲内の他の構成が特定の応用分野に適していることが理解されるであろう。そのような構成により、アノードは、向上した性能特性を有することが可能になる。たとえば、アノードは、機械安定性をアノードに与えるが、電解質を貯蔵するためにより高い多孔度のより低い密度の中央領域をも設けるために、中央より密な縁を有することができる(a)。上部から底部の密度の変化(b)は、上部から底部に電解質の密度または温度が変化する状況におけるアノード設計の可能性を提供する。(c)では、アノードに設けた離散領域660を有する高密度領域650の分布により、アノードに強度の分布を与えることが可能になる。アノードを作製する好ましい手法は、より密ではないプレートに密な格子を有することである。個々の格子のサイズは、変化することが可能であり、格子の境界は、特定の設計によることが必要であるか、またはない。より密な境界または格子を有する固体アノードにより、アノードは、大きな平均多孔度を有し、同時に機械的に強くすることができる。
【0069】
本発明により作製されたアノードは、電池作製ラインに直接含むことができ、あるいは電池セパレータで包み梱包し、次いで将来の使用のために貯蔵する、または電池もしくは燃料電池に配置するために、異なる位置に搬送することができる。
【0070】
アノードを、電池に配置する前に、25%と45%の間の濃度の通常はKOHである電解質に浸漬してもよい。または代替として、アノードを、電解質を電池に装填する前に、電池に配置することができる。KOHの電解質はまた、所望であればゲル化剤で厚くすることも可能である。
【0071】
本発明によるウール亜鉛材料は、ウール亜鉛材料が固体アノード表面から落下するのを防止するために、プラスチック・メッシュまたはクロスでプレスする。セパレータ材料のシートも、ウール亜鉛アノード表面の上にプレスすることが可能であり、これにより、セルの組立て中の単純化が可能になる。
【0072】
本発明によるウール亜鉛繊維材料で作製された多孔性固体亜鉛アノードは、図15に示すアノードとカソードのアセンブリを作製するために、他の実施形態において使用する。図15からわかるように、金属メッシュ700、カソード710、セパレータ720、アノード730、絶縁材料740で作製された層状複合物が、円筒750に丸められ、次いで中空電池ケース760に挿入される。そのような事例では、ウール亜鉛アノード730の密度は、その領域にわたって一般に一様である。そのようなアセンブリは、大きなアノード/カソード境界面積を有し、したがって、円筒設計のアルカリ電池に高い放電電力を提供することができる。
【0073】
スピン形成とは別に、繊維亜鉛材料は、本明細書において開示されるように、多孔性固体ウール亜鉛電極を作製するために、機械加工などの他の方法によって作製することができる。
【0074】
アノード集電体(任意の形態の)を、アノードが電池に装備される前に、アノードに装備することができる。または集電体を、アノードが電池に挿入された後に、アノードに挿入してもよい。集電体は、ウール亜鉛繊維材料で作製される電極の機械的完全性を向上させるように作用する。集電体は、アノードの適切または最適な性能/メッシュ重量比を提供する膨張亜鉛メッシュの設計で構築することができる。
【実施例1】
【0075】
主な電池製造業者によって市販されている商用アルカリC電池のグループが、2010の満了日で互いに3週間以内に購入された。当初の商用電池は上部から切断され、亜鉛アノード・ペースト(亜鉛粉末とKOHゲル)は除去された。4つの多孔性固体アノードの重量は、10.20gと12gの間であった。試験セルに追加された電解質は、8.4gの35%KOHであった。固体電極が、プラスチック・ウール・メッシュの層の上の亜鉛ウールを、幅が37mm、長さが90mm、厚さが約2mmのシートにまずプレスすることによって形成された。ファブリック・メッシュの層は、亜鉛ウールのシートが約15mmの直径に丸められるとき、破損した亜鉛ウールがステップ中に電極から落下するのを防止できた。丸められたアノードは、セパレータの部品に巻かれ、セルの空洞に挿入された。使用されたウールは、500ppmのBiとの合金であり、約70μmの平均直径と1.8cmの公称長さのほぼ丸い断面を有していた。放電は、約22℃の室温において1Aの一定電流で実施された。
【0076】
この例は、当初の市販の電池セルの上にわたって多孔性固体亜鉛電極を使用する電池セルの放電性能の向上を示す。この特定のセットの実験条件では、図16に示すように、20%程度の向上が達成された。特に図16は、当初の無変更商用Cセル422と、本発明による多孔性固体ウール亜鉛アノードが装備された商用Cセルについて、平均放電エネルギーを示す。図からわかるように、多孔性固体ウール亜鉛アノードを有するセルは、性能が20%優れていた。
【実施例2】
【0077】
この例は、亜鉛−空気セルについて多孔性固体ウール亜鉛電極の適用を示す。この試験では、多孔性固体ウール亜鉛電極は、重量が9.7gであり、500ppmのBiと合金化された亜鉛ウールと共にプレスされた4.5cm×6.5cm×0.3cmの寸法を有するプレートである。電極は、1.1g/cm3の密度と84.7%の多孔度を有していた。アノードは、所内作製セルにおいて12.8gの35%KOHに完全に浸漬された。図17は、1Aの一定電流における多孔性固体亜鉛アノードを有する亜鉛−空気セルの放電曲線のグラフ表示を示す。1Aの一定電流における多孔性固体電極の放電を有する図17に示すように、0.8Vの電圧のカット・オフまでの全放電時間は7.2時間であり、それにより7.2Ahの容量を与えた。亜鉛についての理論値は、0.82Ah/gである。したがって、材料の使用効率は91%であった。
【実施例3】
【0078】
この例は、多様な範囲の材料、処理、アノード設計の条件下における多孔性固体ウール亜鉛電極の性能の向上をさらに示す。商用セルは、2010の満了日で主な電池製造業者によって供給され、購入の4週間以内に試験された。この例では、当初の商用セルは上部から切断され、亜鉛アノード・ペースト(亜鉛粉末とKOHゲル)が除去された。4つの多孔性固体アノードの重量は、9.9gと10.9gの間の範囲にあった。電解質は、35%KOHであり、7.5gから8.3gの量が試験セルに追加された。使用された繊維ウールは、亜鉛とBi、または亜鉛とIn、あるいは亜鉛とBiとInの合金であり、平均直径が約70μmで公称長さが1.8cmのほぼ丸い断面を有していた。放電は1Aの一定電流と220℃の室温において実施された。1つのアノードは、ウール材料を型でプレスすることによって作製された。他のアノードは、プレス・シートから丸められた。
【0079】
以下の表2は、本発明により準備された多孔性固体電極が、広範な条件下において商用セルより放電エネルギーが12%〜24%だけ優れていることを示す。
【0080】
【表2】
【実施例4】
【0081】
図18に示すこの例は、3つの設計のアノード・プレート、すなわち(a)密な対角格子プレート、(b)密な縁プレート、(c)一様なプレートの機械強度に対するアノード境界の変化する密度と狭い領域の格子の効果を示す。機械強度試験は、13×9cmの寸法と4.5mmの厚さを有するプレートを含んでおり、このプレートは、各プレートの5cmが表面の縁の上にわたって吊り下がる状態で、平坦表面の上に配置された。重力によって生じる自然な曲げによる垂直距離は、機械強度を評価するために「曲げ」として測定された。
【0082】
図19は、(a)180°の曲げ、または(b)90°の曲げを受けた多孔性固体アノード・プレートに対して実施された曲げ試験の概略図を示す。ウール繊維亜鉛材料で作製されたプレートは、破損せずに90度または180度まで数回曲げることができることが判明した。一方、電気めっきされた亜鉛粉末材料(図示せず)などの粉末材料で作製されたプレートは、わずかに数度の曲げで破損することがわかった。
【実施例5】
【0083】
図20に示すこの例は、アルカリ・セルにおける多孔性固体ウール亜鉛アノードの性能に対する合金化の効果を示す。図20は、純粋なウール亜鉛材料で作製されたアノードと、500ppmのBiと合金化されたウール亜鉛材料で作製されたアノードの比較放電エネルギーを示す。試験条件は、例1の試験条件と同じであった。図からわかるように、アノードの放電性能は、500ppmのBiを追加することにより、純粋なウール亜鉛アノードと比較して著しく向上した。
【実施例6】
【0084】
図21は、ウール亜鉛材料と電気めっき樹枝状結晶亜鉛粉末の気体発生試験の比較結果をグラフで示す。3グラムの各材料が、35mlの35%KOHに24時間配置された。電解質内で亜鉛が腐食することによる水素気体の量が測定された。図からわかるように、亜鉛ウールの気体発生率は、電気めっき亜鉛粉末の気体発生率より300%を超えて小さかった。
【0085】
圧延電極の処理性と強度を向上させ、かつファイバが落下するのを防止するために、亜鉛ファイバ・ウールは、図22に示すようにセパレータとファブリック・メッシュの層の上にプレスすることができる。図22は、裏打ち材料812とウール亜鉛808の薄いシートから多孔性固体亜鉛シートまたはプレート810を作製する概略図を示す。たとえば、裏打ち材料812は、プラスチックまたは布などの許容可能な材料で作製されたメッシュまたはファブリックとすることができる。セパレータの層の上にあるシートの場合、セパレータは、シートを強くし、取り扱いや丸めのプロセスを容易にするだけでなく、従来の電池アセンブリにおいて通例である、セパレータで包むステップも無くすことができる。アノードは、電池に配置する前に、25%volから45%volの濃度の通常はKOHである電解質に浸漬することができ、または、電解質を電池に装填する前に電池に装備することができる。
【0086】
プロセス
スピン形成された金属ウールを使用して多孔性固体電極を作製する通常のプロセス全体が、図23に示す概略的ブロック図に示されている。図23は、金属ウールから多孔性固体電極を製作するプロセスのステップと選択肢を概略的に示す。溶融亜鉛942が、944において繊維材料946にスピン鋳造される。次いで、分配とプレス・ステージ948を通過し、多孔性固体シート、ロッド、またはプレート950に形成される。そこから、電池製作ライン958に直接送ることができ、またはステーション954においてセパレータで包むことができる。代替として、950から最終的なサイズと形態ステーション952に進み、次いでセパレータ954で包むことができる。
【0087】
以上の開示を考慮すると当業者には明らかであるように、本発明の精神または範囲から逸脱せずに、本発明の実施について多くの変更および修正が可能である。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項によって確定される主題により解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1a】本発明により構築された多孔性固体亜鉛電極の例示的な形態を示す図である。
【図1b】本発明により構築された多孔性固体亜鉛電極の例示的な形態を示す図である。
【図2】電池の応用分野について異なる形態の材料を使用して亜鉛アノードの多孔度と形状を制御する3つの通常の処理方法を示す図である。
【図3】繊維ウール亜鉛材料のマスを概略的に示す図である。
【図4】霧化亜鉛粉末とウール亜鉛材料から作製された多孔性固体電極の多孔度と有効表面積の密度の関係を示すグラフである。
【図5】霧化亜鉛粉末と多孔性固体電極について、多孔度と表面密度の設計における確率のドメインを示すグラフである。
【図6】型を使用して材料を最終的な円筒の形態とサイズに形成することによって、またはウール材料をシートもしくはプレートにプレスし、次いでシートを円筒の最終的な形態とサイズに丸めることによって、ウール亜鉛材料の円筒多孔性固体電極を形成する2つの代替プロセスを示す概略図である。
【図7】従来のアルカリ電池において適用される円筒ではない幾何学的形状の亜鉛アノードを概略的に示す図である。
【図8】高密度領域および低密度領域の格子パターンを有するように形成された多孔性固体亜鉛アノードの正面図および断面図である。
【図9】3つの異なるウール亜鉛材料の個々のファイバの断面図である。
【図10】溶融亜鉛バスからスピン形成することによってウール亜鉛繊維材料を製造する装置および方法を概略的に示す図である。
【図11】溶融亜鉛からウール亜鉛繊維材料を形成するための円形ノッチ・ナイフの正面図および断面図の詳細を概略的に示す図である。
【図12】異なる設計の集電体を有する多孔性固体アノードを示す3つの概略図である。
【図13】2つの異なる埋込み集電体構造を示す概略図である。
【図14】アノード・プレートの縁が内部より密である、可変亜鉛繊維材料密度を有するアノードを示す例示的な概略図(a)、アノード・プレートの上部が底部とは異なる密度である、可変亜鉛繊維材料密度を有するアノードを示す例示的な概略図(b)、アノード・プレートの接続領域が離散パッチより密である、可変亜鉛繊維材料密度を有するアノードを示す例示的な概略図(c)である。
【図15】円筒設計のアルカリ電池について、大きなアノード/カソード境界面積を有する丸め円筒アノード/カソード・アセンブリを作製するプロセスの概略図である。
【図16】商用Cセルおよび本発明による多孔性固体亜鉛アノードを装備した変更された商用Cセルについて、放電結果の比較を示すグラフである。
【図17】1Aの一定電流における多孔性固体亜鉛アノードを有する亜鉛−空気セルの放電曲線を示すグラフである。
【図18】各プレートの5cmが表面の縁の上にわたって延びる、平坦表面の上に配置された13×9cmの寸法および4.5mmの厚さを有するプレートの3つの実施形態について、機械強度の試験を概略的に示す図である。
【図19】180°の曲げを受けた多孔性固体アノード・プレートの曲げ試験を示す概略図(a)、90°の曲げを受けた多孔性固体アノード・プレートの曲げ試験を示す概略図(b)である。
【図20】純粋なウール亜鉛材料で構築されたアノードと、500ppmのBiと合金化されたウール亜鉛材料で構築されたアノードの放電エネルギーの比較を示すグラフである。
【図21】ウール亜鉛材料と電気めっきされた亜鉛粉末の気体発生試験の比較結果を示すグラフである。3グラムの各材料が、35mlの35%KOHに24時間配置され、電解質において亜鉛が腐食する結果である水素気体の量が測定された。
【図22】裏打ち材料の薄いシートを有する多孔性固体亜鉛シートを作製する概略を示す図である。
【図23】金属ウールで多孔性固体電極を製作するステップと選択肢を概略的に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える、アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極。
【請求項2】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、ある領域において他の領域より密に圧縮される方式で前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを圧縮することによって創出された領域において変化する密度分布を有する請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記より密に圧縮された領域が、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有し、より密ではなく圧縮された領域が、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有する請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記より密に圧縮された領域が、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有し、より密ではなく圧縮された領域が、0.5g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有する請求項2に記載の電極。
【請求項5】
前記より密に圧縮された領域が、3.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有し、より密ではなく圧縮された領域が、1g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有する請求項2に記載の電極。
【請求項6】
亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記グループが、物理的に安定で物理的に連続するマスに圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、前記マスにわたって一様な密度を有するマスに圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項8】
電極が、その領域にわたって一様な密度分布を有し、前記密度が、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲にある請求項1に記載の電極。
【請求項9】
電極が、その領域にわたって一様な密度を有し、前記密度が、1g/cm3から3g/cm3の範囲にある請求項1に記載の電極。
【請求項10】
ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記より密に圧縮された領域が格子状網を形成し、より密ではなく圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、圧縮された格子状網間の空間を占める請求項2に記載の電極。
【請求項11】
導電性材料で作製された集電体を含む請求項1に記載の電極。
【請求項12】
前記導電性材料が、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル、チタン、マグネシウム、またはこれらの金属の合金である請求項11に記載の電極。
【請求項13】
前記導電性材料が、銀、錫、または銅でめっきまたは被覆される請求項11に記載の電極。
【請求項14】
前記集電体が、前記格子状網の連続的な延長を形成する圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで作製される請求項11に記載の電極。
【請求項15】
前記集電体が、電極の本体に埋め込まれる請求項11に記載の電極。
【請求項16】
電極が、その周囲に密な境界を有する請求項1に記載の電極。
【請求項17】
前記格子状網を有する電極が、プレートの形態にある請求項10に記載の電極。
【請求項18】
前記プレートが、機械式燃料補給可能亜鉛−空気電池または燃料電池に組み込まれるように適合される請求項17に記載の電極。
【請求項19】
電極が、円筒の形態である請求項1に記載の電極。
【請求項20】
前記円筒が、アルカリ亜鉛または亜鉛−空気電池に組み込まれるように適合される請求項19に記載の電極。
【請求項21】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、多孔性固体アノードを形成するように型に圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項22】
前記型が、特定の断面形状である中空内部を有し、前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、前記中空内部の形状と一致する形状である多孔性固体アノードを形成するように前記中空内部に圧縮される請求項21に記載の電極。
【請求項23】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、シートに圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項24】
前記シートが、円筒に丸められる請求項23に記載の電極。
【請求項25】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、スピン形成、機械加工、押出し、霧化、または鋳造によって作製される請求項1に記載の電極。
【請求項26】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、250rpmと2000rpmの間のrpmで回転する回転ナイフを使用して、430℃〜650℃の間の温度を有する溶融亜鉛のバスからスピン形成することによって作製される請求項25に記載の電極。
【請求項27】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記表面が、非一様であり、滑らかではない請求項1に記載の電極。
【請求項28】
前記亜鉛、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記断面周囲の形状が、ほぼ部分円の形状にある請求項1に記載の電極。
【請求項29】
電極が、取外し可能電流コネクタを含む請求項11に記載の電極。
【請求項30】
前記集電体が、亜鉛で形成される請求項11に記載の電極。
【請求項31】
前記のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、プラスチック・メッシュまたは布と共にプレスされる請求項1に記載の電極。
【請求項32】
前記のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、セパレータ材料と共にプレスされる請求項1に記載の電極。
【請求項33】
前記亜鉛が、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドに形成される前に、Bi、In、Ca、Al、Mg、Ga、Sn、Pb、とCdからなるグループから選択された1つまたは複数の金属と合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項34】
亜鉛が、1ppmから3000ppmのBiと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項35】
亜鉛が、100ppmから1000ppmのBiと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項36】
亜鉛が、1ppmから3000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項37】
亜鉛が、100ppmから1000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項38】
亜鉛が、1ppmから3000ppmのBiと1ppmから3000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項39】
亜鉛が、100ppmから1000ppmのBiと100ppmから1000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項40】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの公称直径が、5μmと1000μmの間であり、前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの長さが、前記直径の少なくとも10倍である請求項1に記載の電極。
【請求項41】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、裏打ち材料のシートと共にプレスされる請求項1に記載の電極。
【請求項42】
前記裏打ち材料が、紙、布、マット、またはメッシュからなるグループから選択される請求項41に記載の電極。
【請求項43】
5μmと1,000μmの間の公称直径を有し、かつ前記直径の少なくとも10倍の長さを有する亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える多孔性固体亜鉛電極を形成する方法であって、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドに、亜鉛を変換する装置を使用して、亜鉛のファイバ、フィラメント、またはスレッドを形成するステップと、かつ亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドがパイルを形成するために前記装置から取り出されて一領域に収集され、かつその亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮するステップとを含む、方法。
【請求項44】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、50μmと300μmの間の公称直径と、前記公称直径の少なくとも100倍の長さを有する請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記装置が、溶融亜鉛に部分的に浸漬されるノッチ・ホイールであり、空気ジェットまたはブラシによって前記ホイールから取り出される、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを形成する請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、ある領域において他の領域より密に圧縮される多孔性マスに圧縮される請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、一様な密度を有する多孔性シートに圧縮される請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記圧縮されたシートが、裏打ち材料に添付される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記多孔性シートと前記裏打ち材料が、セパレータ材料、カソード、保護メッシュに接合され、次いで、電気化学デバイスの円筒形態において使用されるアノード−カソード・アセンブリに丸められる請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記電気化学デバイスが、アルカリ電池である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ホイールが、30度未満の角度を有する先細り縁と、20μm200μmの間の先端幅を有する請求項45に記載の方法。
【請求項52】
空気ジェットが、前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを取り出すために使用され、前記空気ジェットのノズルが、前記ホイールより上に位置し、前記ホイールが前記溶融バスの外部にスピンする際、前記ホイールの縁から前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを取り出される請求項45に記載の方法。
【請求項1】
制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える、アルカリ−亜鉛電池、亜鉛−空気電池、または燃料電池において使用される多孔性固体亜鉛電極。
【請求項2】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、ある領域において他の領域より密に圧縮される方式で前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを圧縮することによって創出された領域において変化する密度分布を有する請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記より密に圧縮された領域が、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有し、より密ではなく圧縮された領域が、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有する請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記より密に圧縮された領域が、2.5g/cm3から7.13g/cm3の範囲の密度を有し、より密ではなく圧縮された領域が、0.5g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有する請求項2に記載の電極。
【請求項5】
前記より密に圧縮された領域が、3.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲の密度を有し、より密ではなく圧縮された領域が、1g/cm3から3g/cm3の範囲の密度を有する請求項2に記載の電極。
【請求項6】
亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記グループが、物理的に安定で物理的に連続するマスに圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、前記マスにわたって一様な密度を有するマスに圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項8】
電極が、その領域にわたって一様な密度分布を有し、前記密度が、0.5g/cm3から6.3g/cm3の範囲にある請求項1に記載の電極。
【請求項9】
電極が、その領域にわたって一様な密度を有し、前記密度が、1g/cm3から3g/cm3の範囲にある請求項1に記載の電極。
【請求項10】
ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記より密に圧縮された領域が格子状網を形成し、より密ではなく圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、圧縮された格子状網間の空間を占める請求項2に記載の電極。
【請求項11】
導電性材料で作製された集電体を含む請求項1に記載の電極。
【請求項12】
前記導電性材料が、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル、チタン、マグネシウム、またはこれらの金属の合金である請求項11に記載の電極。
【請求項13】
前記導電性材料が、銀、錫、または銅でめっきまたは被覆される請求項11に記載の電極。
【請求項14】
前記集電体が、前記格子状網の連続的な延長を形成する圧縮されたファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドで作製される請求項11に記載の電極。
【請求項15】
前記集電体が、電極の本体に埋め込まれる請求項11に記載の電極。
【請求項16】
電極が、その周囲に密な境界を有する請求項1に記載の電極。
【請求項17】
前記格子状網を有する電極が、プレートの形態にある請求項10に記載の電極。
【請求項18】
前記プレートが、機械式燃料補給可能亜鉛−空気電池または燃料電池に組み込まれるように適合される請求項17に記載の電極。
【請求項19】
電極が、円筒の形態である請求項1に記載の電極。
【請求項20】
前記円筒が、アルカリ亜鉛または亜鉛−空気電池に組み込まれるように適合される請求項19に記載の電極。
【請求項21】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、多孔性固体アノードを形成するように型に圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項22】
前記型が、特定の断面形状である中空内部を有し、前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、前記中空内部の形状と一致する形状である多孔性固体アノードを形成するように前記中空内部に圧縮される請求項21に記載の電極。
【請求項23】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、シートに圧縮される請求項1に記載の電極。
【請求項24】
前記シートが、円筒に丸められる請求項23に記載の電極。
【請求項25】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、スピン形成、機械加工、押出し、霧化、または鋳造によって作製される請求項1に記載の電極。
【請求項26】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、250rpmと2000rpmの間のrpmで回転する回転ナイフを使用して、430℃〜650℃の間の温度を有する溶融亜鉛のバスからスピン形成することによって作製される請求項25に記載の電極。
【請求項27】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記表面が、非一様であり、滑らかではない請求項1に記載の電極。
【請求項28】
前記亜鉛、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの前記断面周囲の形状が、ほぼ部分円の形状にある請求項1に記載の電極。
【請求項29】
電極が、取外し可能電流コネクタを含む請求項11に記載の電極。
【請求項30】
前記集電体が、亜鉛で形成される請求項11に記載の電極。
【請求項31】
前記のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、プラスチック・メッシュまたは布と共にプレスされる請求項1に記載の電極。
【請求項32】
前記のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、セパレータ材料と共にプレスされる請求項1に記載の電極。
【請求項33】
前記亜鉛が、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドに形成される前に、Bi、In、Ca、Al、Mg、Ga、Sn、Pb、とCdからなるグループから選択された1つまたは複数の金属と合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項34】
亜鉛が、1ppmから3000ppmのBiと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項35】
亜鉛が、100ppmから1000ppmのBiと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項36】
亜鉛が、1ppmから3000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項37】
亜鉛が、100ppmから1000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項38】
亜鉛が、1ppmから3000ppmのBiと1ppmから3000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項39】
亜鉛が、100ppmから1000ppmのBiと100ppmから1000ppmのInと合金化される請求項1に記載の電極。
【請求項40】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの公称直径が、5μmと1000μmの間であり、前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドの長さが、前記直径の少なくとも10倍である請求項1に記載の電極。
【請求項41】
前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、裏打ち材料のシートと共にプレスされる請求項1に記載の電極。
【請求項42】
前記裏打ち材料が、紙、布、マット、またはメッシュからなるグループから選択される請求項41に記載の電極。
【請求項43】
5μmと1,000μmの間の公称直径を有し、かつ前記直径の少なくとも10倍の長さを有する亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドのグループを備える多孔性固体亜鉛電極を形成する方法であって、亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドに、亜鉛を変換する装置を使用して、亜鉛のファイバ、フィラメント、またはスレッドを形成するステップと、かつ亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドがパイルを形成するために前記装置から取り出されて一領域に収集され、かつその亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを制御された幾何学的形状と密度分布を有するマスに圧縮するステップとを含む、方法。
【請求項44】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、50μmと300μmの間の公称直径と、前記公称直径の少なくとも100倍の長さを有する請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記装置が、溶融亜鉛に部分的に浸漬されるノッチ・ホイールであり、空気ジェットまたはブラシによって前記ホイールから取り出される、ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを形成する請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、ある領域において他の領域より密に圧縮される多孔性マスに圧縮される請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記亜鉛のファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドが、一様な密度を有する多孔性シートに圧縮される請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記圧縮されたシートが、裏打ち材料に添付される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記多孔性シートと前記裏打ち材料が、セパレータ材料、カソード、保護メッシュに接合され、次いで、電気化学デバイスの円筒形態において使用されるアノード−カソード・アセンブリに丸められる請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記電気化学デバイスが、アルカリ電池である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ホイールが、30度未満の角度を有する先細り縁と、20μm200μmの間の先端幅を有する請求項45に記載の方法。
【請求項52】
空気ジェットが、前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを取り出すために使用され、前記空気ジェットのノズルが、前記ホイールより上に位置し、前記ホイールが前記溶融バスの外部にスピンする際、前記ホイールの縁から前記ファイバ、フィラメント、スレッド、またはストランドを取り出される請求項45に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2008−518408(P2008−518408A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538222(P2007−538222)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001585
【国際公開番号】WO2006/047852
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507143691)テクコミンコ・メタルズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001585
【国際公開番号】WO2006/047852
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507143691)テクコミンコ・メタルズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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