説明

多層のプラスチック容器

本発明は、熱可塑性のプラスチックから成る多層のプラスチック容器であって、液状の充填物、特に燃焼可能であるが爆発可能な充填物を貯蔵しかつ運搬する形式のものに関する。プラスチック容器は少なくとも3つの相上下して重ねられた層から成り、電荷を放電するために導電性の層を有しているこの層は公知の容器では外層として設けられている。充填物をアースするためには付加的な特別な処置が施される必要があった。本発明のプラスチック容器の特徴は新しい構造的な構成に基づき充填物をアースする特別な処置が必要でないことである。何故ならば液状の充填物と接触するもっとも内側の層が新材料(virgin material)から成り、まず第2の、もっとも内側の新材料層により覆われた統合された内側層が適当な添加(例えば導電煤等)で導電性に構成されており、この導電性の層が外に向かって少なくとも1つの導電性ではない層で覆われているが、充填物との摩擦に基づき薄い内側の層に集まった電荷担体は第2の導電性の層により内の、導電性ではない層を通して大きな面に亙って吸収されかつ放電されるからである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に帯電可能ではなくかつ/又は放電するプラスチック容器を製造するための方法及びこの方法に従って製造された多層のプラスチック容器に関する。このプラスチック容器はメタルコンテナ又はファセット又は閉鎖された栓付き樽又は樽蓋と緊締リング閉鎖部とを有する蓋付き樽又は大容積のパレットコンテナの内容器として構成されることができる。
【0002】
従来技術
市場で公知でありかつ爆発保護ゾーンにて使用するため又は燃焼性の充填物で充填するために使用されるシステムにおいて公知であるのは、例えば、プラスチックから多層方法で製造された内容器を有するパレットコンテナである。内容器は導電性かつ/又は恒久的に耐静電的な外層を有し、内容器においては充填物のアースは容器の底領域における適当な処置、例えば金属ねじ又は取出しコックにおける導電性のプラスチックの使用で行なわれる。プラスチックから成る相応の内容器は3層又は6層の共軸押出し法で製造され、約2−3mmの総壁厚さを有している。導電性もしくは恒久的に耐静電性の外層を剥がしたあとに残る絶縁作用を有する残留壁厚さは2mmよりも小さい。
【0003】
電気/電子の領域では関連した専門書と規格(例えばCENELEC TR 50404 10ページ)では繊維結合された導体と関連して2mmちょうどよりも小さい、絶縁作用を有する壁厚が、充填物とグループ11Aと11Bの爆発グループのガスとの相応する放電に際して発火すると想われる、絶縁体の向き合った表面に帯電することを回避するためには十分に確実であると見なされている。
【0004】
爆発保護にて使用するためもしくは発火性の充填物で充填するために構想されかつ使用されている露出したプラスチック構造物、例えば樽又はメタル容器は、同様に主として多層法で製造され、導電性かつ又は恒久的に耐静電的なプラスチック外套を外側層に使用することで大きな効果を挙げている。必要である限り、充填物の電気的なアース接続は、導電性の材料から成るアースエレメントが付加的に設けられることで達成され、例えば導電性のプラスチックから成り、容器内へ挿入された、容器の導電性の外側層と導電的に結合されたポンプ管によって達成される(EP1497188A)。導電性のプラスチック材料から成り、容器壁に設けられたストライプを層ストライプの形式で有している放電可能なプラスチック容器は既に公知である。前記ストライプは導電性の外側層と不動に結合され、その厚さは全体として3層の容器壁に相当している。この場合の欠点は、全容器壁が長手方向で単数又は複数の個所で完全に分断されていることである。導電性のプラスチックストライプを多層の容器壁のプラスチック材料と結合することは、充填された容器に高い機械的な負荷が作用した場合に臨界的な一貫した弱体化部位が生じるからである。容器の総安全性の理由から総壁厚さがはっきりと2mmを超えることが必要であると(8.5kgの栓付き樽の平均的な壁厚さは外套領域では例えば約3−3.5mm)、導電性の外側層に直接的に接触する、最大2.5mmの残った残留厚さを有する、絶縁する(内)層に対する要求は、導電性の材料から成る外側層の相応する厚さでしか達成されない。これには経済的にも機械的な観点からも著しい欠点が伴う。何故ならば一方では導電性のプラスチック(例えば導電煤の添加による)は比較的に高価であり、他方では例えば低温強度に関して著しく材料特性が低下するからである。
【0005】
本発明の課題は爆発保護ゾーンで使用するためと燃焼可能な、爆発グループ11Aと11Bの充填物を充填するためとの多層のプラスチック容器を改良して、その静電気的な適性と改善された機械的な強度とが厚壁の容器の場合にも、つまり壁厚が2mmよりも大きい場合にも良好な経済性を考慮したうえで達成されるようにすることである。
【0006】
本発明の容器は多層容器として有利には膨脹ブロー成形法で製造され、少なくとも1つの、容器体の壁に統合された(内側にある、埋設された)、導電性のプラスチック材料から成り、残った残留壁をそれぞれ2.5mmよりも小さい層厚さを有する少なくとも2つの絶縁作用を有するプラスチック層に分ける層を特徴としている。この層の使用されたプラスチック材料はHDPEプラスチック(High Density Poly Ethylen)から成っている。充填物と接触するHDPEプラスチック層の表面の静電的な帯電は、この内側の、絶縁作用を有しかつ導電性ではないプラスチック層が2.5mmもしくは2mmよりも少ない層厚さを有していると生じないかもしくはごくわずかにしか生じないことが判明した。容器内側に配置された絶縁する層の後ろに大きな面積で、導電性の良いプラスチック層が配置されていることによって、発生する帯電は最短距離(2.5mmよりも小さいか等しい)でそれ自体絶縁するプラスチック層を通して搬送されかつそのすぐ後ろに配置された導電性の層によっていわゆる吸収される。導電性のプラスチック層が十分に負荷を受取りかつ十分に高い電荷担体集中度に達成するとこの電荷担体は少なくとも2.5mmもしくは2mmの層厚さを有する外側の絶縁するプラスチック層を経てプラスチック容器の放電する設置面を介して簡単な形式で地面に放電される。
【0007】
本発明による容器壁においてプラスチック容器の内側の表面の帯電を行なうマイナスに電荷された電子/電荷担体が両方の層の面積の大きいコンタクト/接触面に基づき半径方向できわめて短い距離(2.5mmと等しいか同じである距離)に亙ってHDPE新材から成る層を通して吸引されかつ導電体により受取られかつそこに集められる。内(高)から外(低)への電荷勾配は絶縁する層を通して電荷担体を半径方向で外へ移動させる。導電性のプラスチック層の導電性の特性は導電煤コンパウンドの添加によって調節される。導電煤はきわめて高価であるので導電性のプラスチック層は通常はきわめて薄く構成されている(総壁厚さの5%より小さいか/5%に等しい)。
【0008】
本発明のプラスチック容器を敏感でかつ高価な化学薬品のために使用しようとする場合には、液状の充填物と接触する内側の層がHDPE新材(virgin材料)から成り、第2の、最も内側の新材層により覆われた統合されたHDPE層を適当な添加物(例えば導電煤)によって導電性に構成することが有利である。この場合、前記導電性の層は外に向かって少なくとも別の導電性ではないかもしくは絶縁するHDPE層で覆われている。電気工業のために高感度で高純度の液体を用いる場合には、この充填物と接触する材料層はあらゆる汚染物、例えば触媒及び安定剤もしくは有害な金属イオン等を完全に含んでいない特に純粋なプラスチックから成り、特別な充填物のための高い純度要求を満たすことが有利である。この場合、高純度のプラスチック材料の汚染物としては触媒残留物、充填物、安定化添加剤、酸化防止剤、硬化剤/塑性化剤又はプロセス助成剤、例えばステアレート(stearates)等が挙げられる。
【0009】
本発明の構成では、別の、導電性ではないか絶縁するHDPE層は、幅の狭い、垂直に延在する、導電性のプラスチック材料から成るプラスチックストライプで−層ストライプの形式で−中断されている。このプラスチックストライプは−半径方向で見て−別の、導電性ではないかもしくは絶縁作用を有するHDPE層の厚さしか有せずかつ統合された、導電性のHDPE層と形状接続的にかつ導電的に結合されている。さらにこの場合にはプラスチック容器は中断されていない、つまり一貫した、HDPE新材から成る内側の層を有している。この層は必要な場合にはできるだけ薄く構成され、0.5−1mmの壁厚さしか有しておらず、電荷が良好に吸引され、内の、統合された導電性のプラスチック層により受取られることができる。この統合された、導電性のプラスチック層は、幅の狭い垂直に延在する、導電性のプラスチック材料から成るコンタクトストライプを介して、プラスチック容器の放電する設置面ときわめて導電性が良好に接続される。このコンタクトストライプは方法技術的に公知の層ストライプの形式で外側の、導電性ではないかもしくは絶縁性を有しているHDPE層に挿入されかつ容器の底領域で分離シームまで延在している。
【0010】
容器の放電性をさらに改善するためには容器は別の実施例は4層の壁構造を有している。この場合、第4のプラスチック層はこれまでの3つの層を外から覆いかつ同様に導電性のHDPEプラスチック材料から成っている。これによって、統合された(埋設された)導電性のプラスチック層に集合した電荷は同様に大きな面で、第3の、導電的ではないプラスチック材料から成る層を通して吸引され、プラスチック容器の外側の導電性の層を介して、プラスチック容器の設置面を介して地面に放電される。さらにこの場合には第3の、導電性ではないプラスチック材料から成る層は同様に、導電性のプラスチック材料から成る幅の狭い垂直に延在するプラスチックストライプにより、層ストライプの形式で、中断されている。このプラスチックストライプは−半径方向で見て−導電性ではないかもしくは絶縁作用を有しているHDPE層の厚さしか有しておらず、導体ブリッジとして役立ち、導電性のプラスチック材料から成る統合された内側のプラスチック層を第4の、導電性のプラスチック材料から成る外側の層と直接的に導電的に接続する。
【0011】
集まった電荷担体を統合された内側の導電性のプラスチック層から放出することを促進しかつ加速するためには、本発明による別の実施例では、外側の、導電性のプラスチック層とその後ろにある導電性ではないかもしくは絶縁性のHDPE層とに、少なくとも1つの、幅の狭い垂直に延在する、導電性のプラスチック材料から成るプラスチックストライプが挿入されている。このプラスチックストライプは半径方向で見て、両方の層の厚さしか有しておらず、内側にある、統合された、導電性のHDPE層と形状接続的にかつ導電的に結合されている。圧縮ブロー成形法で一体(単体)に製造されたプラスチック容器は少なくとも3層で、特別な使用例では4層又は7層に構成されかつ以下の層構造を特徴としている。
【0012】
【表1】

【0013】
この場合には敏感な充填物は有利な形式で、導電性のプラスチック層(導電煤を含む)と接触しない。相応する層構造は総壁厚さにおいて生じる、絶縁プラスチック層の最大層厚さが2.5mmの厚さよりも小さく、ひいては露出する表面の臨界的な電気的帯電が阻止されることを保証する。費用の高い導電性のプラスチック材料の消費は該当する層のできるだけ薄い構成によって減じられる。この場合、導電性のプラスチック材料から成るきわめて薄い層は、当該容器の外側における、導電煤を有する砕けやすい厚いプラスチック層よりも著しくフレキシブルであるので、低温強度が著しく改善される。この場合は導電煤の添加は、一般的に公知であるように、導電性のプラスチックの機械的な特性を著しく低下させることに留意されたい。
【0014】
容器内部における電位のある充填物を、内面から外面への直接的な電気的な結合を介してアースするためには、導電性のプラスチック層を用いた構成の本発明による容器はさらに、絶縁するプラスチック層が部分的に導電性のプラスチック材料によって中断されるかもしくは橋絡され、ひいては導電性の層が容器壁の内部で互いに導電結合されていることができる。この局部的な層中断の重要な特徴は層の局部的な中断が他の層又はすべての層に対する半径方向の中断を行なわず、したがって総壁厚さにてはっきりとした一貫した導電的な結合が生じないことである。この有利な構成によって、類似した今日公知である解決策(DE10242955明細書)における割れやすい導電性のプラスチックの一貫した材料集積(半径方向及び軸方向)の形をした機械的な弱化部位が回避されることが保証され、相応に構成された容器の落下強度が著しく改善される。容器壁の導電性ではない絶縁するプラスチック層の内部の局所的に制限されたストライプの構成は、有利には樽長手方向軸線に平行に垂直方向で樽体に亙ってかつ半径方向で容器の下底/上底に亙って行なわれる。又、他の、例えば点状又は螺旋状の構成も導電性のプラスチックストライプを構成するにあたって可能である。局所的な導電性の結合ストライプの数は絶縁する層あたり少なくとも1つ定められている。層あたりさらなる導電性の結合ストライプは問題なく可能であり、方法技術的な変更に応じて使用することができる。
【0015】
局部的な導電性の結合ストライプの位置は、周方向で見て、種々の、互いにずらされて配置された構成のために個々の絶縁する層にて自由に選択可能である。容器壁における樽軸線に対して平行なもしくは垂直なストライプの有利な方法技術的な構成は、型分離継目から約10°ずらされたポジショニングが有利である。適当な相互配置で両方の局部的なストライプは個々の層にて180°互いにずらされて配置される。
【0016】
以下、図面に概略的に示された実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】220IL−リング樽としての本発明のプラスチック容器を示した図。
【図2】導電性の中間層を有する本発明の3層構造を示した図。
【図3】導電性の中間層を有する本発明による4層構造を示した図。
【図4】導電性の中間層を有する本発明による7層構造を示した図。
【図5】導電性の中間層と絶縁層における局部的な導電性のストライプとを有する4層構造を示した図。
【図6】導電性の中間層と絶縁層における局部的な導電性のストライプとを有する7層構造を示した図。
【0018】
本発明のプラスチック容器は例えばカニスタ又はファセットとして、樽蓋と締付け錠とを有する蓋付き樽として又は大容積のパレットコンテナの内容器として構成されていることができる。いずれの場合にもこのようなプラスチック容器は水平に延在する容器上底と容器下底とを有する垂直に延在する容器壁を有している。この場合、少なくとも容器上底もしくは容器蓋にはガス密にかつ液密に閉鎖可能な充填兼排出開口が配置されている。図1には220リットルの栓付き樽が実施例として示され、符号10で示されている。この栓付き樽の平均的な総壁厚さは8.5kgの普通の重量の場合、約3mmから3.5mmまでの外套領域にある。10kgを超える重量を有する220リットルの栓付き樽の重い構造(USヴァージョン)の場合には平均的な総壁厚さは約3.5mmから4.5mmまでである。栓付き樽10の垂直な容器壁には正方形の壁区分が符号"X"で示され、この壁区分の構造は以下の図に種々の変化実施例で詳細に説明されかつ記載されている。内及び/又は外層のためもしくは再生材料(ButzenmaterialもしくはMahlgut)と混合するための新製品(virgin material)としては有利にはHigh Density Poly Ethylen(HD−PE、例えばLupolen 5021 D)又はHigh Molekular Poly Ethylen(HM−PE、例えばLupolen 5261 Z)が使用される。第1実施例の場合には3層壁構造を有する正方形の壁区分"X"が図2に示されている。この場合には内の、充填物と接触する層12はHDPE新製品から、中間の薄い層14は導電煤の添加によって導電性のHD−PEプラスチックから成り、外の層16は同様にHD−PE新製品から、場合によっては混入された、例えば青色の色ピグメントを含むHD−PE新製品から成っている。特に有利な実施例は薄い導電性の内層を有する本発明による4層の壁構造で図3に示されている。充填物と接触する内側の層12は同様に絶縁するプラスチック(HD−PE新製品)から成っている。この内側の層12は約0.5mm(総壁厚さの約45%まで可能である)の層厚さを有している。内側の層12に続く統合された薄い層14は総壁厚さの5%よりも小さい層厚さを有する導電性のHD−PEから成っている。第3の、同様に内側にある層16はプロセス再生剤と絶縁するプラスチック(HD−PE新製品)とから約1.5mmの層厚さでもしくは総壁厚さの約45%の層厚さを有している。外側の第4の層18(プラスチック容器の外側における)は同様に導電性のプラスチック(導電煤を有するHD−PE)から成り、総壁厚さの5%よりも小さいわずかな層厚さを有している。
【0019】
別の構成された実施例は図4に示されている。この場合には壁構造(図3による)は、充填物から、揮発性の成分(例えば炭化水素、酸化水素、アロマ物質等)が逃げることを阻止するために、さらに3つの別の薄い層20,22,24で補完されている。これらの層20,22,24は比較的に薄い導電性の層14と比較的に厚い層16との間に配置されている。この場合、層22は絶縁するバリヤプラスチック(Polyamid PA又はEVOH)から成り、両方の隣接する層20と24は絶縁する付着仲介剤(Admer)から成り、異なるプラスチッ材料(HD−PEとPolyamid PA又はEVOH)の間に材料接続的な結合が得られる。前記異なるプラスチック材料はさもないと付着仲介剤なしで直接的に接触した場合には互いに付着しないものと想われる。この3つの薄層20,22,24の層厚さはそれぞれ総壁厚さの3%にしかならない。EVOH層(Ethyl−Vinyl−Alkohol)は通常ガス及び酸素バリヤ材料として使用された遮断層である。
【0020】
図5に示された実施例は同様に図3のような4層の壁構造である。この場合にはもちろん絶縁するプラスチック層12と18とには少なくとも2つの容器長手方向にもしくは垂直に延在する、導電性のプラスチックから成るストライプ26と28が設けられている。又、例えばそれぞれ2つの前記ストライプが設けられていることもできる。前記ストライプは約10mmから50mmまでの幅(周方向に)を有することができる。このストライプ26と28は一方では液状の充填物と内側の導電の薄層14との間の電気的な接続ブリッジを形成し、他方で内側の導電性の薄層14と導電性の薄層もしくは外層18との間の電気的な接続ブリッジを形成する。この両方の、アースとして用いられるストライプ26と28は、層ストライプの自体公知の形式でホース状の前成形品内に設けられる。この前成形品は周方向分配器もしくは押出し貯蔵ヘッドのリングノズルから押出されかつ圧縮空気でブロー成形型内にて容器としてブロー成形される。自体公知の一貫した、層ストライプのように、半径方向で見て、全壁を貫通する導電性の結合ストライプとは異なって、両方のストライプ26,28は半径方向で見てそれぞれ各容器の壁内に部分的にしか延在しないかもしくは一貫して延在しない。さらに両方のストライプ26と28は互いに側方に間隔をおいてかつプラスチック容器の異なる周方向位置に互いにずらされて配置されていることもできる。
【0021】
少なくとも2つの垂直方向に延在する、周方向に互いに間隔をおいたプラスチックストライプを用いた前記方法の変化実施例は図6に示すように7層の壁構造を有するプラスチック容器のためにも実現することができる。導電性のプラスチックストライプ26はこの場合には厚い導電性ではないプラスチック層12内に延在し、充填物と内側の導電性の薄層14との間の電気的な結合を行なう。これに対しストライプ30は半径方向で層20,22,24と16に亙って延び、これによって、統合された導電性の薄層14と導電性の薄層18との間に電気的なブリッジを形成する。この場合、内にある統合されたHDPE層は少なくとも1つの、最も内側の、充填物と接触する、絶縁するプラスチック(HDPE新製品)から成る層内に挿入された、導電性のプラスチック材料から成るプラスチックストライプを介して、容器内部の充填物と導電結合され、さらに少なくとも1つの別の、残った、内側にある統合された、導電性のHDPE層を外から覆う、導電性ではないプラスチック材料(導電性煤の添加なし)から成る層に挿入された、導電性のプラスチック材料から成る接触ストライプを介して、外側の導電性のプラスチック層と導電的に接続されている。
【0022】
したがって残った絶縁する残留層に同様に統合された局部的な区分との組合わせで、必要な場合には電気的な結合を容器の内表面と外表面との間に構成することができる。この場合、個々の局部的な結合の厚さは、半径方向で見て、容器の総壁厚さよりも小さい。導電性のプラスチック材料から成る完全に一貫したストライプが有利な形式で回避されることによって、さもないと甘受される必要のある低温落下強度の低下は強く回避される。
【0023】
方法技術的には本発明は少なくとも3つの押出機から3つの異なるプラスチック材料を周方向分配器に供給し、その中で少なくとも3層のホース状の前成形品に変形し、この場合、内側層を導電性ではないプラスチック材料(HDPE新製品)から、内側層から覆われる層を導電性のプラスチック材料(例えば導電煤を有するHDPE)から、別の外側層を同様に導電性ではないプラスチック材料(HDPE)から成り、このホース状の前成形品が一般的な形式で適当なブロー成形型内で圧縮空気でプラスチック中空体にブロー成形されることを特徴としている。周方向分配器は付加的に、所望の個所で導電性のプラスチック材料から、導電性ではないプラスチック材料から成る内にある層かつ/又は外にある層に接触ストライプを挿入するために適した手段を備えている。
【符号の説明】
【0024】
10 プラスチック栓付き樽
12 内のHDPE新製品層
14 薄い導電層
16 絶縁するかもしくは導電性ではない層
18 薄い導電層
20 絶縁する付着仲介剤(Admer)
22 絶縁するバリヤプラスチック(PA又はEVOH)
24 絶縁する付着仲介剤
26 導電性プラスチックから成る接触ストライプ
28 導電性プラスチックから成る接触ストライプ
30 導電性プラスチックから成る接触ストライプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の充填物、特に燃焼可能な又は爆発性の充填物を貯蔵しかつ運搬するために使用される熱可塑性のプラスチックから成る多層のプラスチック容器であって、該容器が少なくとも3つの層から成りかつ持続的に静電気が帯電可能ではないかもしくは導電する層を有している形式のものにおいて、前記容器の壁に統合された、導電性及び/又は永久的に耐静電性HDPEプラスチック材料から成る層(14)を有し、該層(14)が残った残留壁を、それぞれ2.5mmの層厚さの、少なくとも2つの絶縁するHDPEプラスチック層(12,16)に分割していることを特徴とする、多層のプラスチック容器。
【請求項2】
液状の充填物と接触する最も内側の層(12)がHDPE−新材料(virgin material)から成り、第2の、最も内側の層(12)によって覆われた統合されたHDPE層(14)が適当な添加物(例えば導電煤体)によって導電性に構成されており、この導電性の層(14)が外へ向かって、少なくとも1つの別の導電性でないか絶縁するHDPE層(16)で覆われている、請求項1記載のプラスチック容器。
【請求項3】
別の、導電性でないかもしくは絶縁するHDPE層(16)が導電性のプラスチック材料から成る幅の狭い垂直に−層ストライプの形式で−延びるプラスチックストライプ(28)によって中断されており、該プラスチックストライプ(28)が−半径方向で見て−別の、導電性ではないかもしくは絶縁するHDPE層(16)の厚さしか有しておらず、統合された、導電性のHDPE層(14)と形状接続的でかつ導電的に結合されている、請求項2記載のプラスチック容器。
【請求項4】
4層の壁構造を有し、第4のプラスチック層(18)がそれまでの3つの層(12,14,16)を外から覆いかつ同様に導電性のHDPEプラスチック材料から成っている、請求項1,2又は3記載のプラスチック容器。
【請求項5】
充填物と接触する最も内側の層(12)が絶縁するプラスチック(HDPE新製品)から成り、かつ2.5mmと等しいか/これよりも小さい(総壁厚さの約45%まで)の厚さを有し、統合された導電性のプラスチック層(14)が総壁厚さの5%と等しいか/これよりも小さい厚さを有し、別の導電性ではないかもしくは絶縁するHDPE層(16)が同様に2.5mmと等しいか/それより小さい(総壁厚さの約45%まで)の厚さを有し、同様に導電性の外側のプラスチック層(18)が総壁厚さの5%と等しいか/それより小さい壁厚さを有している、請求項1,2,3又は4記載のプラスチック容器。
【請求項6】
導電性の外側のプラスチック層(18)とその後ろにある導電性ではないかもしくは絶縁するHDPE層(16)とに、少なくとも1つの、幅の狭い、導電性のプラスチック材料から成る垂直に延びるプラスチックストライプ(28)が挿入されており、該プラスチックストライプ(28)が、半径方向で見て、前記両方の層(16,18)の厚さしか有しておらず、内側に位置する統合された、導電性のHDPE層(14)と形状接続的にかつ導電的に結合されている、請求項1,2,3,4又は5記載のプラスチック容器。
【請求項7】
最も内側の、充填物と接触する、絶縁プラスチック(HDPE新製品)から成る層(12)に、少なくとも1つの、幅の狭い、垂直に延びる、導電性のプラスチック材料から成るプラスチックストライプ(26)が挿入されており、該プラスチックストライプ(26)が、半径方向で見て、前記層(12)の厚さしか有しておらず、内側に位置する、統合された、導電性のHDPE−層(14)と形状接続的にかつ導電的に結合されている、請求項1,2,3,4,5又は6記載のプラスチック容器。
【請求項8】
内側にある統合された導電性のHDPE層(14)とこのHDPE層(14)を覆う導電性ではないかもしくは絶縁するHDPE層(新材料及び/又はRegrind材料から成る)との間に、ポリアミドPA又はEVOHから成るいわゆるバリア層、場合によっては2つのAdmer/付着剤層(20,22,24)が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のプラスチック容器。
【請求項9】
内側にある、導電性のHDPE層(14)が、最も内側にある、充填物と接触する、絶縁プラスチック(HDPE新製品)から成る層(12)に挿入された、導電性のプラスチック材料から成る接触ストリップ(26)を介して容器内部の充填物と導電結合されておりかつ少なくとも1つの別の、内側に位置する統合された導電性のHDPE層(14)を外から覆う、導電性ではないプラスチック材料(導電煤無添加)から成る層(16,20,22,24)に挿入された、導電性のプラスチック材料から成る層(16,20,22,24)を介して外側の、導電性のプラスチック層(16)と導電的に結合されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のプラスチック容器。
【請求項10】
多層のプラスチック容器を製造する方法であって、少なくとも3つの押出機から3つの異なるプラスチック材料を周方向分配器内へ供給し、該周方向分配器内で少なくとも3層のホース形状の前成形品に変形し、その際、内側層を導電性ではないプラスチック材料(HDPE新製品から形成し、内側層により覆われた統合された層が導電性のプラスチック材料(例えば導電煤の添加を有するHDPE))から形成されており、別の外側の層が同様に導電性ではないプラスチック材料(HDPE)から形成されており、前記ホース形状の前成形品が適当なブロー成形型内で圧縮空気でプラスチック中空体に膨らまされることを特徴とする、多層のプラスチック容器を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−537402(P2009−537402A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510352(P2009−510352)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004382
【国際公開番号】WO2007/134781
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(591112326)マウザー−ヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (10)
【氏名又は名称原語表記】Mauser−Werke GmbH 
【住所又は居所原語表記】Schildgesstrasse 71−163, D−50321 Bruehl, Germany
【Fターム(参考)】