多層プリント配線板及びその部品実装方法
【課題】部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板及びその実装方法を提供すること
【解決手段】表面側及び裏面側の両方又は片方に、電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成し、第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田、第2半田、第3半田の順番となっているとき、融点温度の高い方から順番に電子部品等を半田付けする。更に、この際、半田バンプの体積が大きい方を先に半田付けすることが好ましい。
【解決手段】表面側及び裏面側の両方又は片方に、電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成し、第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田、第2半田、第3半田の順番となっているとき、融点温度の高い方から順番に電子部品等を半田付けする。更に、この際、半田バンプの体積が大きい方を先に半田付けすることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板及びその部品実装方法に関し、更に具体的には、複数の部品を実装するための多層プリント配線板及びその部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高性能化への要求と、表面実装技術の進展により、プリント配線板の両面に部品を実装する方式(両面実装方式)の多層プリント配線板が普及している。両面実装方式の多層プリント配線板に関して、例えば、本出願人は、下記特許文献1を出願している。
【特許文献1】特開2001-339006「多層プリント配線板」(公開日 2001年12月7日) 特許文献1の図9及びこれに関連する明細書の記載(段落0055)には、多層プリント配線板10の表面にICチップ90とチップコンデンサ120が半田実装され、裏面に導電性接続ピン180が半田実装されている。ここで、表面に実装されるICチップ90を接続するための半田バンプ176には、Sn/Pb,Sn/Ag又はSn/Ag/Cuが用いられ、その融点は190〜220°Cの間であり、リフロー温度は200〜230°Cの間とされている。これに対して、表面に実装されるチップコンデンサ120及び裏面に実装される導電性接続ピン180を接続するための半田186には、いずれも融点が247〜254°CのSn/Sb半田(図11のNo.2参照)を用いている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示するような多種類の部品を実装する多層プリント配線板に於いて、更に部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブル(リペア作業)の容易な多層プリント配線板の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板を提供することを目的とする。
【0005】
更に、本発明は、部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板の部品実装方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的に鑑みて、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田及び第3半田の融点が夫々異なっている。
【0007】
更に、上記多層プリント配線板では、前記第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田の融点の順番とすることもできる。
【0008】
更に、上記多層プリント配線板では、各半田の融点差は、10°C以上、40°C以下とすることもできる。
【0009】
更に、上記多層プリント配線板では、各半田の融点差は、25°C以上とすることもできる。
【0010】
更に、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、搭載電子部品等に対応してその体積が異なっている。
【0011】
更に、上記多層プリント配線板では、前記半田バンプは、フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積と非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積の比は、1:2〜1:4とすることができる。
【0012】
更に、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重に対応して形成されている。
【0013】
更に、上記多層プリント配線板では、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的大きければ前記半田バンプの体積は比較的大きく、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さければ前記半田バンプの体積は比較的小さくすることもできる。
【0014】
更に、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点が夫々異なっている。
【0015】
更に、上記多層プリント配線板では、前記第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田、第4半田の融点の順番としてもよい。
【0016】
更に、本発明に係る多層プリント配線板の部品実装方法は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成し、第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田、第2半田、第3半田の順番となっているとき、融点温度の高い方から順番に電子部品等を半田付けする。
【0017】
更に、本発明に係る多層プリント配線板の部品実装方法は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する前記半田バンプの体積は比較的小さく、非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積は比較的大きいとき、半田バンプの体積が大きい方を先に半田付けすることもできる。
【0018】
更に、本発明に係る多層プリント配線板の部品実装方法は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さ方を先に半田付けをする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、更に部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板を提供することができる。
【0020】
更に、本発明によれば、更に部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板の部品実装方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る多層プリント配線板及びその部品実装方法の実施形態の一例に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同じ要素に対しては同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0022】
本実施形態は、多層プリント配線板に電子部品等を実装する方式に特徴を有する。以下に説明する実装方式は、部品実装面に関する事項を除き、任意の多層プリント配線板に対して適用可能である。従って、本発明に直接関係する事項以外の多層プリント配線板の一般的事項に関しては、簡単に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、第1実施形態に係る多層プリント配線板10の構成の一例を示す図であり、図2は、この多層プリント配線板10に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【0024】
図1に示すように、多層プリント配線板10では、コア基板30内にスルーホール導体36が形成され、該コア基板30の両面(表面,裏面)には、導体回路34が夫々形成されている。
【0025】
更に、コア基板30の上には、バイアホール導体60及び導体回路58が形成された下層側層間樹脂絶縁層50が配設されている。更に、この下層側層間樹脂絶縁層50の上には、バイアホール導体160及び導体回路158が形成された上層側層間樹脂絶縁層150が配設されている。更に、この上層側層間樹脂絶縁層150の上には、ソルダーレジスト層70が配設されている。しかし、多層プリント配線板10は、部品実装面に関する事項を除き、任意の多層プリント配線板であってよい。
【0026】
表面側及び裏面側のソルダーレジスト層70には開口70U及び70Dが、夫々形成されている。表面側の左右両端の各2個の開口70Uには半田バンプ96が形成され、真ん中の4個の開口70Uには半田バンプ76が形成されている。一方、裏面側の6個の開口70Dには半田バンプ86が形成されている。
【0027】
図2に示すように、表面側の半田バンプ76を介して、フリップチップ接続方式である表面実装型部品(例えば、IC)90が搭載される。半田バンプ96を介して、フリップチップ接続以外の接続方式(非フリップチップ接続。例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ)120が搭載される。一方、裏面側の半田バンプ86を介して、この多層プリント配線板10を、マザーボードのピンコネクタ(図示せず。)に挿入し嵌合接続する導電性接続ピン80が搭載される。図2では、フリップチップ接続の部品が1種類及び非フリップチップ接続の部品が2種類の形態が図示されている。しかし、基板表面側及び裏面側に実装する部品の種類及び部品個数は、図2に示す種類や個数に限定されない。
【0028】
第1実施形態は、次の観点から、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する。
(1)半田の融点、
(2)半田バンプの体積(熱容量)、
(3)電子部品等の形態及び実装方式、
先ず、(1)の半田の融点の観点から、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0029】
半田の融点に関して、図6Aを参照されたい。ここには、所望の半田融点を示す半田組成の一例を表示する。第1半田は、その融点が232〜260°Cの範囲になるように選定され、第2半田は、その融点が208〜230°Cの範囲になるように選定され、第3半田は、その融点が183〜200°Cの範囲になるように選定されている。即ち、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲、の順番となっている。第1〜3半田の融点範囲は、いずれも相互に重なっていない。
【0030】
各融点の範囲の差は、低温側融点では、第3半田と比較して第2半田は25°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は24°C高くなっている。高温側融点では、第3半田と比較して第2半田は30°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は30°C高くなっている。
【0031】
第1〜3半田の具体例として、ここでは3つの例を挙げる。なお、これらの組成の各半田は例示であって、融点範囲が相互に重ならない3グループの任意の半田を使用できることを承知されたい。
【0032】
例1では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.5wt%の銀とから成る「Sn/3.5Ag半田」、及び第3半田として、92wt%のスズと3.5wt%の銀と0.5wt%のビスマスと4wt%のインジウムとから成る「Sn-3.5Ag-0.5Bi-4In半田」の組み合わせが使用できる。
【0033】
例2では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、99.3wt%のスズと0.3wt%の銅とから成る「Sn/0.7Cu半田」、及び第3半田として、63wt%のスズと37wt%の鉛とから成る「Sn/37Pb半田」の組み合わせが使用できる。
【0034】
例3では、第1半田として、90wt%のスズと10wt%のアンチモンとから成る「Sn/10Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.0wt%の銀と0.5wt%の銅から成る「Sn/3.0Ag/0.5Cu半田」、及び第3半田として、89wt%のスズと8wt%の亜鉛と3wt%のビスマスとから成る「Sn-8Zn-3Bi半田」の組み合わせが使用できる。
【0035】
上述したように、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲、の順番となっており、これらの融点範囲はいずれも相互に重ならない。更に、例1〜3のいずれの組み合わせでも、各半田の融点差(第1半田の融点−第2半田の融点,第2半田の融点−第3半田の融点)は10〜40°Cが好ましい。なお、融点差が10°C以上あれば、実装済みの半田が溶融することはない。但し、本発明者の経験上、融点差が25°C未満の場合には実装済み半田が軟化する可能性があり、一方、40°Cを超えると高温融点の半田を使用した部品実装時に、多層プリント配線板に対して熱的損傷(ダメージ)を与える可能性がある。所望の半田の融点は、半田を構成する組成を変更したり、各組成の分量を変更することで、実現することができる。
【0036】
従って、部品実装時に、第1半田、第2半田、第3半田の順番に半田を半田付けすることにより、第2半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田は溶融せず、第3半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田及び第2半田は溶融しない。
【0037】
図2に示す多層プリント配線板で説明すると、チップコンデンサ120搭載用半田バンプ96に第1半田を使用し、導電性接続ピン80搭載用の半田バンプ86に第2半田を使用し、IC90搭載用半田バンプ76に第3半田を使用して、コンデンサ120の実装後に導電性接続ピン80を実装し、更にその後にIC90を実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0038】
次に、(2)の半田バンプの体積(熱容量)の観点から、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0039】
図6Aには種々の組成の半田が例示されている。しかし、いずれも近似する金属であり、夫々の半田バンプの熱伝導係数はほぼ同じと考えられることより、夫々の半田バンプの熱容量(換言すれば、半田バンプ全体が溶融する迄の時間)は各半田バンプの体積に比例し、体積が大きければ溶融しにくく(溶融に比較的長時間を要し)、体積が小さければ溶融しやすく(溶融が比較的短時間で済むように)なる。
【0040】
従って、同じような融点の半田を使用する場合には、先に体積の大きな半田バンプを半田付けし、後で体積の小さな半田バンプを半田付けすることにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0041】
図2に示す多層プリント配線板に実装されている部品を例にとって説明すると、同じような融点の半田を使用する場合、チップコンデンサ120搭載用半田バンプ96の体積と比較して、IC90搭載用半田バンプ76の体積は相対的に小さい。従って、コンデンサ120を実装後にIC90実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりする可能性が小さくなる。
【0042】
更に、異なる融点の半田を使用する場合、即ち、半田バンプの体積(熱容量)の観点に半田の融点の観点を組み合わせて、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0043】
3種以上の半田で複数の部品を実装する場合、特に考慮しなければならないのが、第1半田の融点、第1半田で部品を実装する時間、実装済みの部品がその後の他の部品の実装の際に位置ズレ、落下、接続不良が発生するかどうかである。第1半田の融点や第1半田で部品を実装する時間は、プリント配線板が曝露される最高温度とその時間に影響するからである。また、実装済みの部品が、その後の他の部品の実装の際に、不具合を発生するかどうかは、第2半田の実装まで考慮すればよい。なぜなら、例えば、第1半田と第3半田の融点差(或いは、後述の第2実施形態で説明する第2半田と第4半田の融点差)が比較的大きいからである。
【0044】
従って、第1〜3半田を例にとって、各半田を、比較的体積の大きな半田(大半田)若しくは比較的体積の小さな半田(小半田)とした場合の特徴を、表1に記載する。
【0045】
【表1】
【0046】
先ず、表1のNo.1〜3の比較的大きい体積(熱容量)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する場合について説明する。図2に示すように、フリップチップ接続方式の表面実装型部品(例えば、IC90)のランド92と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158とは、半田バンプ76を介して接続される。IC90の実装エリア内に、この接続ポイント数(即ち、IC90のランド92及びプリント配線板10のランド158の各個数)は、2,000〜30,000箇所と比較的多数あるため、半田バンプ76の体積は比較的小さいものである。
【0047】
一方、同じ実装面にある非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ120)の端子122と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158とは、半田バンプ96を介して接続される。この接続ポイント数は、2箇所と比較的少数であるため、半田バンプ96の体積は比較的大きいものである。本発明者の経験上、好ましくは、半田バンプ76と半田バンプ96の体積比は、1:2〜1:4程度となっている。
【0048】
従って、表1のNo.1〜3に記載するように、2種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と1種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、非フリップチップ部品→非フリップチップ部品→フリップチップ部品の順で実装すると、No.1に記載する特徴が得られ、非フリップチップ部品→フリップチップ部品→非フリップチップ部品の順で実装すると、No.2に記載する特徴が得られる。また、1種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と2種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、非フリップチップ部品→フリップチップ部品→フリップチップ部品の順で実装すると、No.3に記載する特徴が得られる。
【0049】
次に、表1のNo.4〜6の比較的小さい体積(熱容量)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する場合について説明する。この場合には、熱容量の比較的小さなIC90搭載用半田バンプ76に比較的融点の高い半田(第1半田)を使用し、熱容量の比較的大きなチップコンデンサ120搭載用半田バンプ96に比較的融点の低い半田(第2半田又は第3半田)を使用して、IC90をコンデンサ120より先に実装する。
【0050】
IC90を多層プリント配線板10に接続する半田バンプ76は熱容量が比較的小さいため短時間で溶融することが可能であり、多層プリント配線板10が第1半田の高い溶融温度に曝される時間を短縮できる。
【0051】
従って、表1のNo.4〜6に記載するように、2種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と1種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、フリップチップ部品→非フリップチップ部品→非フリップチップ部品の順で実装すると、No.4に記載する特徴が得られる。また、1種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と2種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、フリップチップ部品→非フリップチップ部品→フリップチップ部品の順で実装すると、No.5に記載する特徴が得られ、フリップチップ部品→フリップチップ部品→非フリップチップ部品の順で実装すると、No.6に記載する特徴が得られる。
【0052】
次に、(3)の電子部品等の形態及び実装方式に関して説明する。
【0053】
図2に示すように、フリップチップ接続方式の表面実装型部品(例えば、IC90)のランド92と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158との接続ポイント数は、2,000〜30,000箇所と比較的多数ある。一方、同じ実装面にある非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ120)の端子122と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158との接続ポイント数は、2箇所と比較的少数である。一般に、これら搭載電子部品の重量の相違があっても、部品重量の差に比較して接続ポイントの差は非常に大きいものである。従って、接続ポイント当たりの部品重量(即ち、部品荷重/接続ポイント)は、チップコンデンサ120に比較してIC90の場合には非常に軽いことが分かる。
【0054】
従って、同じような融点の半田を使用する場合、多層プリント配線板10に複数の種類の電子部品等を実装するとき、先に接続ポイント当たりの荷重の軽い電子部品等を実装し、後で接続ポイント当たりの荷重の重い電子部品等を実装することことにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分にかかる荷重は比較的少ないため、接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0055】
図2に示す多層プリント配線板で説明すると、チップコンデンサ120の接続ポイント当たりの荷重と比較して、IC90の接続ポイント当たりの荷重は相対的に小さい。従って、IC90を実装後にチップコンデンサ120を実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0056】
反対に、接続ポイント当たりの荷重が大きい部品を先に実装し、後で接続ポイント当たりの荷重が小さい部品を実装してもよい。このようにすると、接続ポイント数が多い部品のリワーカブルが容易になる。また、接続ポイント数の多い部品の位置ズレが発生し難くなる。更に、電子部品等の形態及び実装方式と半田バンプの体積(熱容量)と関係を考察する。
【0057】
電子部品等の形態及び実装方式の観点に半田の融点の観点を組み合わせて、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合には、次のようになる。
(i)接続ポイント当たりの荷重が大きい箇所(即ち、比較的大きい体積)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する。先に半田付けした融点の高い半田バンプが、その後に融点の低い半田バンプを溶融する際に容易に再溶融せず、接続不良・位置ズレ等を起こさないようにするためである。
(ii)接続ポイント当たりの荷重が小さい箇所(即ち、比較的小さい体積)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する。多層プリント配線板が高温に曝される時間を出来るだけ短縮して、熱的損傷を最小限にするためである。
【0058】
上述したように、(1)の半田の融点、(2)の半田バンプの体積(熱容量)、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式のいずれかの観点から、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。更に、(2)の半田バンプの体積(熱容量)の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。具体的には、これらの実装方式は、多層プリント配線板と電子部品等の特定の組み合わせに対して個別的に決定する。
【0059】
[第2の実施形態]
図3は、第2実施形態に係る多層プリント配線板40の構成の一例を示す図であり、図4は、この多層プリント配線板40に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【0060】
図3の多層プリント配線板40は、図1の多層プリント配線板10と実質的に同じであるので、コア基板30,導体回路34,下層側層間樹脂絶縁層50,上層側層間樹脂絶縁層150及びソルダーレジスト層70を一枚の基板として表示する。
【0061】
表面側及び裏面側のソルダーレジスト層(図示省略)には複数個の開口(図示省略)が形成され、表面側の左右両端の各2個の開口には半田バンプ96が形成され、真ん中の10個の開口には半田バンプ76が形成されている。一方、裏面側の真ん中の中央の8個の開口には半田バンプ106が形成され、その両端の各2個の開口には半田バンプ116が形成されている。
【0062】
図4に示すように、表面側の半田バンプ76を介して、フリップチップ接続方式である表面実装型部品(例えば、IC)90が搭載される。更に、半田バンプ96を介して、非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ)121Uが搭載される。一方、裏面側の半田バンプ106を介して、フリップチップ接続方式である表面実装型部品(例えば、メモリ)81が搭載される。更に、半田バンプ116を介して、非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ)121Mが搭載される。図4では、フリップチップ接続の部品が2種類及び非フリップチップ接続の部品が2種類の形態が図示されている。しかし、基板表面及び裏面の実装する部品の種類及び部品個数は、図4に示す種類や個数に限定されない。例えば、片面に4種類の部品を実装したり、或いは一方の面に3種類の部品を他方の面に1種類の部品を実装してもよい。
【0063】
第2実施形態は、第1実施形態と同様に、多層プリント配線板40に電子部品等を搭載する際の次の事項を問題とする。
(1)半田の融点、
(2)半田バンプの体積(熱容量)、
(3)電子部品等の形態及び実装方式、
先ず、(1)の半田の融点の観点から、多層プリント配線板40に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0064】
半田の融点に関して、図6Bを参照されたい。ここには、所望の半田融点を示す半田組成の一例を表示してある。第1半田は、その融点が232〜260°Cの範囲になるように選定され、第2半田は、その融点が208〜230°Cの範囲になるように選定され、第3半田は、その融点が183〜200°Cの範囲になるように選定され、第4半田は、その融点が138〜160°Cの範囲になるように選定されている。即ち、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲>第4半田の融点範囲、の順番となっている。第1〜4半田の融点範囲は、いずれも相互に重なっていない。
【0065】
各融点範囲の差は、低温側融点では、第4半田と比較して第3半田は45°C高く、更に第3半田と比較して第2半田は25°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は24°C高く、なっている。高温側融点では、第4半田と比較して第3半田は40°C高く、更に第3半田と比較して第2半田は30°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は30°C高く、なっている。
【0066】
第1〜4半田の組み合わせとして、ここでは3つの例を挙げる。なお、これらの組成の各半田は例示であって、融点範囲が相互に重ならない4グループの任意の半田を使用できることを承知されたい。
【0067】
例1では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.5wt%の銀とから成る「Sn/3.5Ag半田」、第3半田として、92wt%のスズと3.5wt%の銀と0.5wt%のビスマスと4wt%のインジウムとから成る「Sn-3.5Ag-0.5Bi-4In半田」及び第4半田として、42wt%のスズと58wt%のビスマスとから成る「Sn/58Bi半田」の組み合わせが使用できる。
【0068】
例2では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、99.3wt%のスズと0.3wt%の銅とから成る「Sn/0.7Cu半田」、第3半田として、63wt%のスズと37wt%の鉛とから成る「Sn/37Pb半田」及び第4半田として、100wt%のインジウムから成る「In半田」の組み合わせが使用できる。
【0069】
例3では、第1半田として、90wt%のスズと10wt%のアンチモンとから成る「Sn/10Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.0wt%の銀と0.5wt%の銅から成る「Sn/3.0Ag/0.5Cu半田」、第3半田として、89wt%のスズと8wt%の亜鉛と3wt%のビスマスとから成る「Sn-8Zn-3Bi半田」及び第4半田として、80wt%のインジウムと15wt%の鉛と5wt%の銀とから成る「80In/15Pb/5Ag半田」の組み合わせが使用できる。
【0070】
上述したように、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲>第4半田の融点範囲、の順番となっており、これらの融点範囲はいずれも相互に重ならない。更に、例1〜4のいずれの組み合わせでも、融点差が10°C以上あれば、実装済みの半田が溶融することはない。但し、本発明者の経験上、融点差が25°C未満の場合には実装済み半田が軟化する可能性があり、一方、40°Cを超えると高温融点の半田を使用した部品実装時に、多層プリント配線板40に対して熱的損傷(ダメージ)を与える可能性がある。
【0071】
従って、部品実装時に、第1半田、第2半田、第3半田、第4半田の順番に半田を半田付けすることにより、第2半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田は溶融せず、第3半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田及び第2半田は溶融せず、第4半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田,第2半田及び第3半田は溶融しない。
【0072】
図4に示す多層プリント配線板40では、第1半田から成るチップコンデンサ121U搭載用半田バンプ96と、第2半田から成るIC90搭載用半田バンプ76と、第3半田から成るメモリ81搭載用の半田バンプ106と、第4半田から成るチップコンデンサ121M搭載用半田バンプ116とを用いることにより、コンデンサ121Uを実装後にIC90実装し、その後にメモリ81を実装し、その後にチップコンデンサ121Mを実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板40から脱落したりすることはない。
【0073】
次に、半田バンプの体積(熱容量)の観点及び電子部品等の形態及び実装方式の観点に関しては、第1実施形態で説明した考え方をそのまま適用できる。第1実施形態で説明したように、3種以上の半田で複数の部品を実装する場合、特に考慮しなければならないのが、最も高い第1半田の融点温度、第1半田で部品を実装する時間、実装済みの部品がその後の他の部品の実装の際に位置ズレ、落下、接続不良が発生するかどうかである。その理由は、第1半田の融点や第1半田で部品を実装する時間は、プリント配線板が曝露される最高温度とその時間に影響するからである。
【0074】
上述したように、(1)の半田の融点、(2)の半田バンプの体積(熱容量)、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式のいずれかの観点から、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。更に、(2)の半田バンプの体積(熱容量)の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。具体的には、これらの実装方式は、多層プリント配線板と電子部品等の特定の組み合わせに対して個別的に決定する。
【0075】
図5は、図4に示す部品実装された多層プリント配線板40の利用例を示す図である。図5に示す多層プリント配線板(パッケージPK)40には、表面側にIC(フリップチップ接続方式表面実装型部品)90と、IC90を取り囲むようにヒートシンク(接着剤で基板に接続)95と、チップコンデンサ(非フリップチップ接続方式表面実装型部品)121Uが実装され、裏面側には半導体素子直前電圧調整器(IVR die フリップチップ接続方式表面実装型部品)81と、チップコンデンサ(非フリップチップ接続方式表面実装型部品)121Mとが実装されている。
【0076】
別途、部品実装されたマザーボード50には、マザーボード用二次電圧調整器(Secondary MB VR)170と、半田バンプ86を介して複数本の接続ピン85を保持する接続ピン保持体86と、チップコンデンサ121Dとが実装されている。
【0077】
その後、部品実装された多層プリント配線板40の裏面側に対して、部品実装されたマザーボード50を位置決めして、接続ピン85をパッケージ40の導体回路に対して圧接して完成する。
【0078】
図5の利用例では、外部からの第1の電圧(例えば、100V)をマザーボード50の入口でマザーボード用二次電圧調整器170により第2の電圧(例えば、9〜12V)に降圧して、第2の電圧をマザーボード50及びパッケージ40内を通し、半導体素子直前電圧調整器81により第3の電圧(IC供給電圧。例えば0.8〜3.0V)に降圧してIC90に供給している。
【0079】
従来は、マザーボード50の入口で第3の電圧(0.8〜3.0V)に降圧して、第3の電圧をマザーボード50及びパッケージ40内を通してIC90に供給していた。これと比較して、図5の利用例では、パッケージ40に対して上述の部品実装方法を利用することにより、比較的高い第2の電圧をマザーボード50及びパッケージ40内に通すことが可能となり、外部からの電磁波の影響を受けにくくして電子機器の高速化が図れる。
【0080】
[プリント配線板の製造例]
上記第1及び第2の実施形態で用いた多層プリント配線板の製造方法の一例に関して、簡単に説明する。多層プリント配線板の製造方法としては、めっきスルーホール法と新方式プロセス法が知られている。新方式プロセス法としては、めっき法ビルドアップ法,導電ペースト法ビルドアップ法,ビルドアップ転写法,転写法,柱状めっきビルドアップ法,一括積層法等がある。更に、めっき法ビルドアップ法に関しても、材料と穴明け法により、樹脂付銅箔方式,熱硬化性樹脂方式,感光性絶縁樹脂方式等に分類される。ここでは、本出願人が、比較的多く採用しているめっき法ビルドアップ法の熱硬化性樹脂方式に沿って説明する。
【0081】
図7Aに示すように、コア基板を用意する。このコア基板は、めっきスルーホール法によって製造される。ガラス布エポキシ樹脂銅張積層板又はガラス布高耐熱樹脂銅張積層板に内層導体パターンを形成し、これを必要枚数用意し、プリプレグという接着シートで積層接着し、1枚の板にする。これに穴明けを行い、穴内の壁面、表面にめっきスルーホール法でめっきを行い、内外導体層を接続する。その後、表面パターンを作成して、コア基板は製造される。
【0082】
図7Bに示すように、コア基板の上に絶縁層を形成する。この絶縁層は、液状のものをコーティングするか、フィルム状のものを加熱し真空で圧着するラミネート法で形成する。
【0083】
図7Cに示すように、絶縁層にレーザで穴を明けを行う。
【0084】
図7Dに示すように、穴内面及び絶縁層表面に対して無電界銅メッキを析出して導通化する。このとき、めっきの密着性を向上させるため、穴内面及び絶縁層表面を粗面化処理する。
【0085】
図7Eに示すように、表面側の導体パターン形成を行う。導体パターン形成の形成は、電解銅メッキを全面に行うパネルめっきを行い、銅メッキの上面にエッチングレジストを形成し、その後エッチングにより導体パターンを形成する(サブトラクティブ法)。なお、その他の方法、例えば、セミアディティブ法,フルアディティブ法等を用いることもできる。
【0086】
図7Fに示すように、同様に裏面側の導体パターン形成を行う。この段階で、1層の導体パターンが形成されるので、図7B〜図7Fの工程を所望の回数だけ繰り返す。
【0087】
図7Gに示すように、ここでは図7B〜図7Fの工程を更に一回繰り返すことにより、多層プリント配線板を製造している。所望により、最外層にソルダーレジスト層(図示せず。)を形成してもよい。なお、図7A〜Gでは明かでないが、最外層の導体パターンは、第1及び第2の実施形態で説明したパターンに適合して形成されている。
【0088】
[実施形態の利点・効果]
(1)本実施形態によれば、多層プリント配線板の表面側及び裏面側の両面又は片面に対して、異なる接続方式(フリップチップと非フリップチップ)の電子部品等を実装することができる。
(2)本実施形態によれば、半田の融点、の半田バンプの体積(熱容量)、又はの電子部品等の形態及び実装方式のいずれかの観点から、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定することができる。
(3)本実施形態によれば、半田バンプの体積(熱容量)の相違に加えて、半田の融点を加味して、又は電子部品等の形態及び実装方式の相違に加えて、半田の融点を加味して、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定することができる。
【0089】
[変形例等]
以上、本発明に係る多層プリント配線板及びその部品実装方法の実施形態に関して説明したが、これらは例示であって、本発明はこれに限定されない。本発明は、当業者が日常的になしえる追加・変更・削除を含むものである。
【0090】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、第1実施形態に係る多層プリント配線板の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1の多層プリント配線板に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【図3】図3は、第2実施形態に係る多層プリント配線板の構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3の多層プリント配線板に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【図5】図5は、図4の多層プリント配線板の利用例を説明する図である。
【図6A】図6Aは、所望の半田融点を示す半田組成の一例を例示する図表である。ここで、第1〜3半田と3種の異なる融点の組み合わせ例を例示する。
【図6B】図6Bは、所望の半田融点を示す半田組成の一例を例示する図表である。ここで、第1〜4半田と4種の異なる融点の組み合わせ例を例示する。
【図7A】図7Aに示すように、多層プリント配線板の製造工程におけるコア基板を用意する処理工程を説明する図である。
【図7B】図7Bに示すように、コア基板の上に絶縁層を形成する処理工程を説明する図である。
【図7C】図7Cに示すように、絶縁層にレーザで穴を明けを行う処理工程を説明する図である。
【図7D】図7Dに示すように、穴内面及び絶縁層表面に対して無電界銅メッキを析出して導通化する処理工程を説明する図である。
【図7E】図7Eに示すように、表面及び裏面の導体パターン形成を行う処理工程を説明する図である。
【図7F】図7Fに示すように、同様に裏面側の導体パターン形成を行う処理工程を説明する図である。
【図7G】図7Gに示すように、ここでは図7B〜図7Fの工程を更に一回繰り返すことにより、多層プリント配線板を製造している。
【符号の説明】
【0092】
10:多層プリント配線板、 30:コア基板、 36:スルーホール導体、 34:導体回路、 40:基板,多層プリント配線板、 50:下層側層間樹脂絶縁層、 58:導体回路、 60:バイアホール導体、 70:ソルダーレジスト層、 70U,70D:開口、 76:半田バンプ、 80:導電性接続ピン、 86:半田バンプ、 90:フリップチップ接続方式の表面実装部品,IC、 96:半田バンプ、 106:半田バンプ、 116:半田バンプ、 120,120U,120M:非フリップチップ接続方式の表面実装部品,チップコンデンサ、 150:上層側層間樹脂絶縁層、 158:導体回路、 160:バイアホール導体、
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント配線板及びその部品実装方法に関し、更に具体的には、複数の部品を実装するための多層プリント配線板及びその部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高性能化への要求と、表面実装技術の進展により、プリント配線板の両面に部品を実装する方式(両面実装方式)の多層プリント配線板が普及している。両面実装方式の多層プリント配線板に関して、例えば、本出願人は、下記特許文献1を出願している。
【特許文献1】特開2001-339006「多層プリント配線板」(公開日 2001年12月7日) 特許文献1の図9及びこれに関連する明細書の記載(段落0055)には、多層プリント配線板10の表面にICチップ90とチップコンデンサ120が半田実装され、裏面に導電性接続ピン180が半田実装されている。ここで、表面に実装されるICチップ90を接続するための半田バンプ176には、Sn/Pb,Sn/Ag又はSn/Ag/Cuが用いられ、その融点は190〜220°Cの間であり、リフロー温度は200〜230°Cの間とされている。これに対して、表面に実装されるチップコンデンサ120及び裏面に実装される導電性接続ピン180を接続するための半田186には、いずれも融点が247〜254°CのSn/Sb半田(図11のNo.2参照)を用いている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示するような多種類の部品を実装する多層プリント配線板に於いて、更に部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブル(リペア作業)の容易な多層プリント配線板の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板を提供することを目的とする。
【0005】
更に、本発明は、部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板の部品実装方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的に鑑みて、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田及び第3半田の融点が夫々異なっている。
【0007】
更に、上記多層プリント配線板では、前記第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田の融点の順番とすることもできる。
【0008】
更に、上記多層プリント配線板では、各半田の融点差は、10°C以上、40°C以下とすることもできる。
【0009】
更に、上記多層プリント配線板では、各半田の融点差は、25°C以上とすることもできる。
【0010】
更に、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、搭載電子部品等に対応してその体積が異なっている。
【0011】
更に、上記多層プリント配線板では、前記半田バンプは、フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積と非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積の比は、1:2〜1:4とすることができる。
【0012】
更に、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重に対応して形成されている。
【0013】
更に、上記多層プリント配線板では、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的大きければ前記半田バンプの体積は比較的大きく、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さければ前記半田バンプの体積は比較的小さくすることもできる。
【0014】
更に、本発明に係る多層プリント配線板は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点が夫々異なっている。
【0015】
更に、上記多層プリント配線板では、前記第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田、第4半田の融点の順番としてもよい。
【0016】
更に、本発明に係る多層プリント配線板の部品実装方法は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成し、第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田、第2半田、第3半田の順番となっているとき、融点温度の高い方から順番に電子部品等を半田付けする。
【0017】
更に、本発明に係る多層プリント配線板の部品実装方法は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する前記半田バンプの体積は比較的小さく、非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積は比較的大きいとき、半田バンプの体積が大きい方を先に半田付けすることもできる。
【0018】
更に、本発明に係る多層プリント配線板の部品実装方法は、表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法であって、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さ方を先に半田付けをする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、更に部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板を提供することができる。
【0020】
更に、本発明によれば、更に部品実装が容易であり、作業能率に優れ、或いはリワーカブルの容易な多層プリント配線板の部品実装方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る多層プリント配線板及びその部品実装方法の実施形態の一例に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同じ要素に対しては同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0022】
本実施形態は、多層プリント配線板に電子部品等を実装する方式に特徴を有する。以下に説明する実装方式は、部品実装面に関する事項を除き、任意の多層プリント配線板に対して適用可能である。従って、本発明に直接関係する事項以外の多層プリント配線板の一般的事項に関しては、簡単に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、第1実施形態に係る多層プリント配線板10の構成の一例を示す図であり、図2は、この多層プリント配線板10に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【0024】
図1に示すように、多層プリント配線板10では、コア基板30内にスルーホール導体36が形成され、該コア基板30の両面(表面,裏面)には、導体回路34が夫々形成されている。
【0025】
更に、コア基板30の上には、バイアホール導体60及び導体回路58が形成された下層側層間樹脂絶縁層50が配設されている。更に、この下層側層間樹脂絶縁層50の上には、バイアホール導体160及び導体回路158が形成された上層側層間樹脂絶縁層150が配設されている。更に、この上層側層間樹脂絶縁層150の上には、ソルダーレジスト層70が配設されている。しかし、多層プリント配線板10は、部品実装面に関する事項を除き、任意の多層プリント配線板であってよい。
【0026】
表面側及び裏面側のソルダーレジスト層70には開口70U及び70Dが、夫々形成されている。表面側の左右両端の各2個の開口70Uには半田バンプ96が形成され、真ん中の4個の開口70Uには半田バンプ76が形成されている。一方、裏面側の6個の開口70Dには半田バンプ86が形成されている。
【0027】
図2に示すように、表面側の半田バンプ76を介して、フリップチップ接続方式である表面実装型部品(例えば、IC)90が搭載される。半田バンプ96を介して、フリップチップ接続以外の接続方式(非フリップチップ接続。例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ)120が搭載される。一方、裏面側の半田バンプ86を介して、この多層プリント配線板10を、マザーボードのピンコネクタ(図示せず。)に挿入し嵌合接続する導電性接続ピン80が搭載される。図2では、フリップチップ接続の部品が1種類及び非フリップチップ接続の部品が2種類の形態が図示されている。しかし、基板表面側及び裏面側に実装する部品の種類及び部品個数は、図2に示す種類や個数に限定されない。
【0028】
第1実施形態は、次の観点から、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する。
(1)半田の融点、
(2)半田バンプの体積(熱容量)、
(3)電子部品等の形態及び実装方式、
先ず、(1)の半田の融点の観点から、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0029】
半田の融点に関して、図6Aを参照されたい。ここには、所望の半田融点を示す半田組成の一例を表示する。第1半田は、その融点が232〜260°Cの範囲になるように選定され、第2半田は、その融点が208〜230°Cの範囲になるように選定され、第3半田は、その融点が183〜200°Cの範囲になるように選定されている。即ち、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲、の順番となっている。第1〜3半田の融点範囲は、いずれも相互に重なっていない。
【0030】
各融点の範囲の差は、低温側融点では、第3半田と比較して第2半田は25°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は24°C高くなっている。高温側融点では、第3半田と比較して第2半田は30°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は30°C高くなっている。
【0031】
第1〜3半田の具体例として、ここでは3つの例を挙げる。なお、これらの組成の各半田は例示であって、融点範囲が相互に重ならない3グループの任意の半田を使用できることを承知されたい。
【0032】
例1では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.5wt%の銀とから成る「Sn/3.5Ag半田」、及び第3半田として、92wt%のスズと3.5wt%の銀と0.5wt%のビスマスと4wt%のインジウムとから成る「Sn-3.5Ag-0.5Bi-4In半田」の組み合わせが使用できる。
【0033】
例2では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、99.3wt%のスズと0.3wt%の銅とから成る「Sn/0.7Cu半田」、及び第3半田として、63wt%のスズと37wt%の鉛とから成る「Sn/37Pb半田」の組み合わせが使用できる。
【0034】
例3では、第1半田として、90wt%のスズと10wt%のアンチモンとから成る「Sn/10Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.0wt%の銀と0.5wt%の銅から成る「Sn/3.0Ag/0.5Cu半田」、及び第3半田として、89wt%のスズと8wt%の亜鉛と3wt%のビスマスとから成る「Sn-8Zn-3Bi半田」の組み合わせが使用できる。
【0035】
上述したように、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲、の順番となっており、これらの融点範囲はいずれも相互に重ならない。更に、例1〜3のいずれの組み合わせでも、各半田の融点差(第1半田の融点−第2半田の融点,第2半田の融点−第3半田の融点)は10〜40°Cが好ましい。なお、融点差が10°C以上あれば、実装済みの半田が溶融することはない。但し、本発明者の経験上、融点差が25°C未満の場合には実装済み半田が軟化する可能性があり、一方、40°Cを超えると高温融点の半田を使用した部品実装時に、多層プリント配線板に対して熱的損傷(ダメージ)を与える可能性がある。所望の半田の融点は、半田を構成する組成を変更したり、各組成の分量を変更することで、実現することができる。
【0036】
従って、部品実装時に、第1半田、第2半田、第3半田の順番に半田を半田付けすることにより、第2半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田は溶融せず、第3半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田及び第2半田は溶融しない。
【0037】
図2に示す多層プリント配線板で説明すると、チップコンデンサ120搭載用半田バンプ96に第1半田を使用し、導電性接続ピン80搭載用の半田バンプ86に第2半田を使用し、IC90搭載用半田バンプ76に第3半田を使用して、コンデンサ120の実装後に導電性接続ピン80を実装し、更にその後にIC90を実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0038】
次に、(2)の半田バンプの体積(熱容量)の観点から、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0039】
図6Aには種々の組成の半田が例示されている。しかし、いずれも近似する金属であり、夫々の半田バンプの熱伝導係数はほぼ同じと考えられることより、夫々の半田バンプの熱容量(換言すれば、半田バンプ全体が溶融する迄の時間)は各半田バンプの体積に比例し、体積が大きければ溶融しにくく(溶融に比較的長時間を要し)、体積が小さければ溶融しやすく(溶融が比較的短時間で済むように)なる。
【0040】
従って、同じような融点の半田を使用する場合には、先に体積の大きな半田バンプを半田付けし、後で体積の小さな半田バンプを半田付けすることにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0041】
図2に示す多層プリント配線板に実装されている部品を例にとって説明すると、同じような融点の半田を使用する場合、チップコンデンサ120搭載用半田バンプ96の体積と比較して、IC90搭載用半田バンプ76の体積は相対的に小さい。従って、コンデンサ120を実装後にIC90実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりする可能性が小さくなる。
【0042】
更に、異なる融点の半田を使用する場合、即ち、半田バンプの体積(熱容量)の観点に半田の融点の観点を組み合わせて、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0043】
3種以上の半田で複数の部品を実装する場合、特に考慮しなければならないのが、第1半田の融点、第1半田で部品を実装する時間、実装済みの部品がその後の他の部品の実装の際に位置ズレ、落下、接続不良が発生するかどうかである。第1半田の融点や第1半田で部品を実装する時間は、プリント配線板が曝露される最高温度とその時間に影響するからである。また、実装済みの部品が、その後の他の部品の実装の際に、不具合を発生するかどうかは、第2半田の実装まで考慮すればよい。なぜなら、例えば、第1半田と第3半田の融点差(或いは、後述の第2実施形態で説明する第2半田と第4半田の融点差)が比較的大きいからである。
【0044】
従って、第1〜3半田を例にとって、各半田を、比較的体積の大きな半田(大半田)若しくは比較的体積の小さな半田(小半田)とした場合の特徴を、表1に記載する。
【0045】
【表1】
【0046】
先ず、表1のNo.1〜3の比較的大きい体積(熱容量)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する場合について説明する。図2に示すように、フリップチップ接続方式の表面実装型部品(例えば、IC90)のランド92と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158とは、半田バンプ76を介して接続される。IC90の実装エリア内に、この接続ポイント数(即ち、IC90のランド92及びプリント配線板10のランド158の各個数)は、2,000〜30,000箇所と比較的多数あるため、半田バンプ76の体積は比較的小さいものである。
【0047】
一方、同じ実装面にある非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ120)の端子122と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158とは、半田バンプ96を介して接続される。この接続ポイント数は、2箇所と比較的少数であるため、半田バンプ96の体積は比較的大きいものである。本発明者の経験上、好ましくは、半田バンプ76と半田バンプ96の体積比は、1:2〜1:4程度となっている。
【0048】
従って、表1のNo.1〜3に記載するように、2種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と1種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、非フリップチップ部品→非フリップチップ部品→フリップチップ部品の順で実装すると、No.1に記載する特徴が得られ、非フリップチップ部品→フリップチップ部品→非フリップチップ部品の順で実装すると、No.2に記載する特徴が得られる。また、1種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と2種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、非フリップチップ部品→フリップチップ部品→フリップチップ部品の順で実装すると、No.3に記載する特徴が得られる。
【0049】
次に、表1のNo.4〜6の比較的小さい体積(熱容量)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する場合について説明する。この場合には、熱容量の比較的小さなIC90搭載用半田バンプ76に比較的融点の高い半田(第1半田)を使用し、熱容量の比較的大きなチップコンデンサ120搭載用半田バンプ96に比較的融点の低い半田(第2半田又は第3半田)を使用して、IC90をコンデンサ120より先に実装する。
【0050】
IC90を多層プリント配線板10に接続する半田バンプ76は熱容量が比較的小さいため短時間で溶融することが可能であり、多層プリント配線板10が第1半田の高い溶融温度に曝される時間を短縮できる。
【0051】
従って、表1のNo.4〜6に記載するように、2種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と1種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、フリップチップ部品→非フリップチップ部品→非フリップチップ部品の順で実装すると、No.4に記載する特徴が得られる。また、1種類の非フリップチップ部品(大半田使用)と2種類のフリップチップ部品(小半田使用)を実装する際、フリップチップ部品→非フリップチップ部品→フリップチップ部品の順で実装すると、No.5に記載する特徴が得られ、フリップチップ部品→フリップチップ部品→非フリップチップ部品の順で実装すると、No.6に記載する特徴が得られる。
【0052】
次に、(3)の電子部品等の形態及び実装方式に関して説明する。
【0053】
図2に示すように、フリップチップ接続方式の表面実装型部品(例えば、IC90)のランド92と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158との接続ポイント数は、2,000〜30,000箇所と比較的多数ある。一方、同じ実装面にある非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ120)の端子122と、多層プリント配線板10のランド(導体回路)158との接続ポイント数は、2箇所と比較的少数である。一般に、これら搭載電子部品の重量の相違があっても、部品重量の差に比較して接続ポイントの差は非常に大きいものである。従って、接続ポイント当たりの部品重量(即ち、部品荷重/接続ポイント)は、チップコンデンサ120に比較してIC90の場合には非常に軽いことが分かる。
【0054】
従って、同じような融点の半田を使用する場合、多層プリント配線板10に複数の種類の電子部品等を実装するとき、先に接続ポイント当たりの荷重の軽い電子部品等を実装し、後で接続ポイント当たりの荷重の重い電子部品等を実装することことにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分にかかる荷重は比較的少ないため、接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0055】
図2に示す多層プリント配線板で説明すると、チップコンデンサ120の接続ポイント当たりの荷重と比較して、IC90の接続ポイント当たりの荷重は相対的に小さい。従って、IC90を実装後にチップコンデンサ120を実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板から脱落したりすることはない。
【0056】
反対に、接続ポイント当たりの荷重が大きい部品を先に実装し、後で接続ポイント当たりの荷重が小さい部品を実装してもよい。このようにすると、接続ポイント数が多い部品のリワーカブルが容易になる。また、接続ポイント数の多い部品の位置ズレが発生し難くなる。更に、電子部品等の形態及び実装方式と半田バンプの体積(熱容量)と関係を考察する。
【0057】
電子部品等の形態及び実装方式の観点に半田の融点の観点を組み合わせて、多層プリント配線板10に対する電子部品等の実装を決定する場合には、次のようになる。
(i)接続ポイント当たりの荷重が大きい箇所(即ち、比較的大きい体積)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する。先に半田付けした融点の高い半田バンプが、その後に融点の低い半田バンプを溶融する際に容易に再溶融せず、接続不良・位置ズレ等を起こさないようにするためである。
(ii)接続ポイント当たりの荷重が小さい箇所(即ち、比較的小さい体積)の半田バンプを比較的融点の高い半田で構成する。多層プリント配線板が高温に曝される時間を出来るだけ短縮して、熱的損傷を最小限にするためである。
【0058】
上述したように、(1)の半田の融点、(2)の半田バンプの体積(熱容量)、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式のいずれかの観点から、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。更に、(2)の半田バンプの体積(熱容量)の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。具体的には、これらの実装方式は、多層プリント配線板と電子部品等の特定の組み合わせに対して個別的に決定する。
【0059】
[第2の実施形態]
図3は、第2実施形態に係る多層プリント配線板40の構成の一例を示す図であり、図4は、この多層プリント配線板40に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【0060】
図3の多層プリント配線板40は、図1の多層プリント配線板10と実質的に同じであるので、コア基板30,導体回路34,下層側層間樹脂絶縁層50,上層側層間樹脂絶縁層150及びソルダーレジスト層70を一枚の基板として表示する。
【0061】
表面側及び裏面側のソルダーレジスト層(図示省略)には複数個の開口(図示省略)が形成され、表面側の左右両端の各2個の開口には半田バンプ96が形成され、真ん中の10個の開口には半田バンプ76が形成されている。一方、裏面側の真ん中の中央の8個の開口には半田バンプ106が形成され、その両端の各2個の開口には半田バンプ116が形成されている。
【0062】
図4に示すように、表面側の半田バンプ76を介して、フリップチップ接続方式である表面実装型部品(例えば、IC)90が搭載される。更に、半田バンプ96を介して、非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ)121Uが搭載される。一方、裏面側の半田バンプ106を介して、フリップチップ接続方式である表面実装型部品(例えば、メモリ)81が搭載される。更に、半田バンプ116を介して、非フリップチップ接続方式(例えば、端子接続)である表面実装型部品(例えば、チップコンデンサ)121Mが搭載される。図4では、フリップチップ接続の部品が2種類及び非フリップチップ接続の部品が2種類の形態が図示されている。しかし、基板表面及び裏面の実装する部品の種類及び部品個数は、図4に示す種類や個数に限定されない。例えば、片面に4種類の部品を実装したり、或いは一方の面に3種類の部品を他方の面に1種類の部品を実装してもよい。
【0063】
第2実施形態は、第1実施形態と同様に、多層プリント配線板40に電子部品等を搭載する際の次の事項を問題とする。
(1)半田の融点、
(2)半田バンプの体積(熱容量)、
(3)電子部品等の形態及び実装方式、
先ず、(1)の半田の融点の観点から、多層プリント配線板40に対する電子部品等の実装を決定する場合について説明する。
【0064】
半田の融点に関して、図6Bを参照されたい。ここには、所望の半田融点を示す半田組成の一例を表示してある。第1半田は、その融点が232〜260°Cの範囲になるように選定され、第2半田は、その融点が208〜230°Cの範囲になるように選定され、第3半田は、その融点が183〜200°Cの範囲になるように選定され、第4半田は、その融点が138〜160°Cの範囲になるように選定されている。即ち、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲>第4半田の融点範囲、の順番となっている。第1〜4半田の融点範囲は、いずれも相互に重なっていない。
【0065】
各融点範囲の差は、低温側融点では、第4半田と比較して第3半田は45°C高く、更に第3半田と比較して第2半田は25°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は24°C高く、なっている。高温側融点では、第4半田と比較して第3半田は40°C高く、更に第3半田と比較して第2半田は30°C高く、更に第2半田と比較して第1半田は30°C高く、なっている。
【0066】
第1〜4半田の組み合わせとして、ここでは3つの例を挙げる。なお、これらの組成の各半田は例示であって、融点範囲が相互に重ならない4グループの任意の半田を使用できることを承知されたい。
【0067】
例1では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.5wt%の銀とから成る「Sn/3.5Ag半田」、第3半田として、92wt%のスズと3.5wt%の銀と0.5wt%のビスマスと4wt%のインジウムとから成る「Sn-3.5Ag-0.5Bi-4In半田」及び第4半田として、42wt%のスズと58wt%のビスマスとから成る「Sn/58Bi半田」の組み合わせが使用できる。
【0068】
例2では、第1半田として、95wt%のスズと5wt%のアンチモンとから成る「Sn/5Sb半田」、第2半田として、99.3wt%のスズと0.3wt%の銅とから成る「Sn/0.7Cu半田」、第3半田として、63wt%のスズと37wt%の鉛とから成る「Sn/37Pb半田」及び第4半田として、100wt%のインジウムから成る「In半田」の組み合わせが使用できる。
【0069】
例3では、第1半田として、90wt%のスズと10wt%のアンチモンとから成る「Sn/10Sb半田」、第2半田として、96.5wt%のスズと3.0wt%の銀と0.5wt%の銅から成る「Sn/3.0Ag/0.5Cu半田」、第3半田として、89wt%のスズと8wt%の亜鉛と3wt%のビスマスとから成る「Sn-8Zn-3Bi半田」及び第4半田として、80wt%のインジウムと15wt%の鉛と5wt%の銀とから成る「80In/15Pb/5Ag半田」の組み合わせが使用できる。
【0070】
上述したように、温度の高い方から、第1半田の融点範囲>第2半田の融点範囲>第3半田の融点範囲>第4半田の融点範囲、の順番となっており、これらの融点範囲はいずれも相互に重ならない。更に、例1〜4のいずれの組み合わせでも、融点差が10°C以上あれば、実装済みの半田が溶融することはない。但し、本発明者の経験上、融点差が25°C未満の場合には実装済み半田が軟化する可能性があり、一方、40°Cを超えると高温融点の半田を使用した部品実装時に、多層プリント配線板40に対して熱的損傷(ダメージ)を与える可能性がある。
【0071】
従って、部品実装時に、第1半田、第2半田、第3半田、第4半田の順番に半田を半田付けすることにより、第2半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田は溶融せず、第3半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田及び第2半田は溶融せず、第4半田の溶融時に(それより融点の高い)第1半田,第2半田及び第3半田は溶融しない。
【0072】
図4に示す多層プリント配線板40では、第1半田から成るチップコンデンサ121U搭載用半田バンプ96と、第2半田から成るIC90搭載用半田バンプ76と、第3半田から成るメモリ81搭載用の半田バンプ106と、第4半田から成るチップコンデンサ121M搭載用半田バンプ116とを用いることにより、コンデンサ121Uを実装後にIC90実装し、その後にメモリ81を実装し、その後にチップコンデンサ121Mを実装する。これにより、先に実装した電子部品等の半田付け部分が再溶融して接続不良を起こしたり、位置ズレを起こしたり、多層プリント配線板40から脱落したりすることはない。
【0073】
次に、半田バンプの体積(熱容量)の観点及び電子部品等の形態及び実装方式の観点に関しては、第1実施形態で説明した考え方をそのまま適用できる。第1実施形態で説明したように、3種以上の半田で複数の部品を実装する場合、特に考慮しなければならないのが、最も高い第1半田の融点温度、第1半田で部品を実装する時間、実装済みの部品がその後の他の部品の実装の際に位置ズレ、落下、接続不良が発生するかどうかである。その理由は、第1半田の融点や第1半田で部品を実装する時間は、プリント配線板が曝露される最高温度とその時間に影響するからである。
【0074】
上述したように、(1)の半田の融点、(2)の半田バンプの体積(熱容量)、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式のいずれかの観点から、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。更に、(2)の半田バンプの体積(熱容量)の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、又は(3)の電子部品等の形態及び実装方式の相違に加えて(1)の半田の融点を加味して、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定する。具体的には、これらの実装方式は、多層プリント配線板と電子部品等の特定の組み合わせに対して個別的に決定する。
【0075】
図5は、図4に示す部品実装された多層プリント配線板40の利用例を示す図である。図5に示す多層プリント配線板(パッケージPK)40には、表面側にIC(フリップチップ接続方式表面実装型部品)90と、IC90を取り囲むようにヒートシンク(接着剤で基板に接続)95と、チップコンデンサ(非フリップチップ接続方式表面実装型部品)121Uが実装され、裏面側には半導体素子直前電圧調整器(IVR die フリップチップ接続方式表面実装型部品)81と、チップコンデンサ(非フリップチップ接続方式表面実装型部品)121Mとが実装されている。
【0076】
別途、部品実装されたマザーボード50には、マザーボード用二次電圧調整器(Secondary MB VR)170と、半田バンプ86を介して複数本の接続ピン85を保持する接続ピン保持体86と、チップコンデンサ121Dとが実装されている。
【0077】
その後、部品実装された多層プリント配線板40の裏面側に対して、部品実装されたマザーボード50を位置決めして、接続ピン85をパッケージ40の導体回路に対して圧接して完成する。
【0078】
図5の利用例では、外部からの第1の電圧(例えば、100V)をマザーボード50の入口でマザーボード用二次電圧調整器170により第2の電圧(例えば、9〜12V)に降圧して、第2の電圧をマザーボード50及びパッケージ40内を通し、半導体素子直前電圧調整器81により第3の電圧(IC供給電圧。例えば0.8〜3.0V)に降圧してIC90に供給している。
【0079】
従来は、マザーボード50の入口で第3の電圧(0.8〜3.0V)に降圧して、第3の電圧をマザーボード50及びパッケージ40内を通してIC90に供給していた。これと比較して、図5の利用例では、パッケージ40に対して上述の部品実装方法を利用することにより、比較的高い第2の電圧をマザーボード50及びパッケージ40内に通すことが可能となり、外部からの電磁波の影響を受けにくくして電子機器の高速化が図れる。
【0080】
[プリント配線板の製造例]
上記第1及び第2の実施形態で用いた多層プリント配線板の製造方法の一例に関して、簡単に説明する。多層プリント配線板の製造方法としては、めっきスルーホール法と新方式プロセス法が知られている。新方式プロセス法としては、めっき法ビルドアップ法,導電ペースト法ビルドアップ法,ビルドアップ転写法,転写法,柱状めっきビルドアップ法,一括積層法等がある。更に、めっき法ビルドアップ法に関しても、材料と穴明け法により、樹脂付銅箔方式,熱硬化性樹脂方式,感光性絶縁樹脂方式等に分類される。ここでは、本出願人が、比較的多く採用しているめっき法ビルドアップ法の熱硬化性樹脂方式に沿って説明する。
【0081】
図7Aに示すように、コア基板を用意する。このコア基板は、めっきスルーホール法によって製造される。ガラス布エポキシ樹脂銅張積層板又はガラス布高耐熱樹脂銅張積層板に内層導体パターンを形成し、これを必要枚数用意し、プリプレグという接着シートで積層接着し、1枚の板にする。これに穴明けを行い、穴内の壁面、表面にめっきスルーホール法でめっきを行い、内外導体層を接続する。その後、表面パターンを作成して、コア基板は製造される。
【0082】
図7Bに示すように、コア基板の上に絶縁層を形成する。この絶縁層は、液状のものをコーティングするか、フィルム状のものを加熱し真空で圧着するラミネート法で形成する。
【0083】
図7Cに示すように、絶縁層にレーザで穴を明けを行う。
【0084】
図7Dに示すように、穴内面及び絶縁層表面に対して無電界銅メッキを析出して導通化する。このとき、めっきの密着性を向上させるため、穴内面及び絶縁層表面を粗面化処理する。
【0085】
図7Eに示すように、表面側の導体パターン形成を行う。導体パターン形成の形成は、電解銅メッキを全面に行うパネルめっきを行い、銅メッキの上面にエッチングレジストを形成し、その後エッチングにより導体パターンを形成する(サブトラクティブ法)。なお、その他の方法、例えば、セミアディティブ法,フルアディティブ法等を用いることもできる。
【0086】
図7Fに示すように、同様に裏面側の導体パターン形成を行う。この段階で、1層の導体パターンが形成されるので、図7B〜図7Fの工程を所望の回数だけ繰り返す。
【0087】
図7Gに示すように、ここでは図7B〜図7Fの工程を更に一回繰り返すことにより、多層プリント配線板を製造している。所望により、最外層にソルダーレジスト層(図示せず。)を形成してもよい。なお、図7A〜Gでは明かでないが、最外層の導体パターンは、第1及び第2の実施形態で説明したパターンに適合して形成されている。
【0088】
[実施形態の利点・効果]
(1)本実施形態によれば、多層プリント配線板の表面側及び裏面側の両面又は片面に対して、異なる接続方式(フリップチップと非フリップチップ)の電子部品等を実装することができる。
(2)本実施形態によれば、半田の融点、の半田バンプの体積(熱容量)、又はの電子部品等の形態及び実装方式のいずれかの観点から、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定することができる。
(3)本実施形態によれば、半田バンプの体積(熱容量)の相違に加えて、半田の融点を加味して、又は電子部品等の形態及び実装方式の相違に加えて、半田の融点を加味して、多層プリント配線板の半田バンプの組成、形状、部品実装の順序等を決定することができる。
【0089】
[変形例等]
以上、本発明に係る多層プリント配線板及びその部品実装方法の実施形態に関して説明したが、これらは例示であって、本発明はこれに限定されない。本発明は、当業者が日常的になしえる追加・変更・削除を含むものである。
【0090】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、第1実施形態に係る多層プリント配線板の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1の多層プリント配線板に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【図3】図3は、第2実施形態に係る多層プリント配線板の構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3の多層プリント配線板に電子部品等を実装した状態を示す図である。
【図5】図5は、図4の多層プリント配線板の利用例を説明する図である。
【図6A】図6Aは、所望の半田融点を示す半田組成の一例を例示する図表である。ここで、第1〜3半田と3種の異なる融点の組み合わせ例を例示する。
【図6B】図6Bは、所望の半田融点を示す半田組成の一例を例示する図表である。ここで、第1〜4半田と4種の異なる融点の組み合わせ例を例示する。
【図7A】図7Aに示すように、多層プリント配線板の製造工程におけるコア基板を用意する処理工程を説明する図である。
【図7B】図7Bに示すように、コア基板の上に絶縁層を形成する処理工程を説明する図である。
【図7C】図7Cに示すように、絶縁層にレーザで穴を明けを行う処理工程を説明する図である。
【図7D】図7Dに示すように、穴内面及び絶縁層表面に対して無電界銅メッキを析出して導通化する処理工程を説明する図である。
【図7E】図7Eに示すように、表面及び裏面の導体パターン形成を行う処理工程を説明する図である。
【図7F】図7Fに示すように、同様に裏面側の導体パターン形成を行う処理工程を説明する図である。
【図7G】図7Gに示すように、ここでは図7B〜図7Fの工程を更に一回繰り返すことにより、多層プリント配線板を製造している。
【符号の説明】
【0092】
10:多層プリント配線板、 30:コア基板、 36:スルーホール導体、 34:導体回路、 40:基板,多層プリント配線板、 50:下層側層間樹脂絶縁層、 58:導体回路、 60:バイアホール導体、 70:ソルダーレジスト層、 70U,70D:開口、 76:半田バンプ、 80:導電性接続ピン、 86:半田バンプ、 90:フリップチップ接続方式の表面実装部品,IC、 96:半田バンプ、 106:半田バンプ、 116:半田バンプ、 120,120U,120M:非フリップチップ接続方式の表面実装部品,チップコンデンサ、 150:上層側層間樹脂絶縁層、 158:導体回路、 160:バイアホール導体、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田及び第3半田の融点が夫々異なっている、多層プリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載の多層プリント配線板において、
前記第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田の融点の順番となっている、多層プリント配線板。
【請求項3】
請求項1に記載の多層プリント配線板において、
各半田の融点差は、10°C以上、40°C以下である、多層プリント配線板。
【請求項4】
請求項3に記載の多層プリント配線板において、
各半田の融点差は、25°C以上である、多層プリント配線板。
【請求項5】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、搭載電子部品等に対応してその体積が異なっている、多層プリント配線板。
【請求項6】
請求項5に記載の多層プリント配線板において、
前記半田バンプは、フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積と非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積の比は、1:2〜1:4である、多層プリント配線板。
【請求項7】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重に対応して形成されている、多層プリント配線板。
【請求項8】
請求項7に記載の多層プリント配線板において、
搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的大きければ前記半田バンプの体積は比較的大きく、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さければ前記半田バンプの体積は比較的小さい、多層プリント配線板。
【請求項9】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点が夫々異なっている、多層プリント配線板。
【請求項10】
請求項9に記載の多層プリント配線板において、
前記第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田、第4半田の融点の順番となっている、多層プリント配線板。
【請求項11】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法において、
前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成し、第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田、第2半田、第3半田の順番となっているとき、
融点温度の高い方から順番に電子部品等を半田付けする、多層プリント配線板の部品実装方法。
【請求項12】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法において、
フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する前記半田バンプの体積は比較的小さく、非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積は比較的大きいとき、
半田バンプの体積が大きい方を先に半田付けする、多層プリント配線板の部品実装方法。
【請求項13】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法において、
搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さ方を先に半田付けをする、多層プリント配線板の部品実装方法。
【請求項1】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田及び第3半田の融点が夫々異なっている、多層プリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載の多層プリント配線板において、
前記第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田の融点の順番となっている、多層プリント配線板。
【請求項3】
請求項1に記載の多層プリント配線板において、
各半田の融点差は、10°C以上、40°C以下である、多層プリント配線板。
【請求項4】
請求項3に記載の多層プリント配線板において、
各半田の融点差は、25°C以上である、多層プリント配線板。
【請求項5】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、搭載電子部品等に対応してその体積が異なっている、多層プリント配線板。
【請求項6】
請求項5に記載の多層プリント配線板において、
前記半田バンプは、フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積と非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積の比は、1:2〜1:4である、多層プリント配線板。
【請求項7】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重に対応して形成されている、多層プリント配線板。
【請求項8】
請求項7に記載の多層プリント配線板において、
搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的大きければ前記半田バンプの体積は比較的大きく、搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さければ前記半田バンプの体積は比較的小さい、多層プリント配線板。
【請求項9】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板であって、
前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田のいずれから形成され、第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点が夫々異なっている、多層プリント配線板。
【請求項10】
請求項9に記載の多層プリント配線板において、
前記第1半田、第2半田、第3半田及び第4半田の融点は、温度の高い方から、第1半田の融点、第2半田の融点、第3半田、第4半田の融点の順番となっている、多層プリント配線板。
【請求項11】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法において、
前記半田バンプは、各々、第1半田、第2半田及び第3半田のいずれから形成し、第1半田、第2半田及び第3半田の融点は、温度の高い方から、第1半田、第2半田、第3半田の順番となっているとき、
融点温度の高い方から順番に電子部品等を半田付けする、多層プリント配線板の部品実装方法。
【請求項12】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法において、
フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する前記半田バンプの体積は比較的小さく、非フリップチップ接続型の表面実装部品を実装する半田バンプの体積は比較的大きいとき、
半田バンプの体積が大きい方を先に半田付けする、多層プリント配線板の部品実装方法。
【請求項13】
表面側及び裏面側の両方又は片方に電子部品等実装用の複数個の半田バンプが形成された多層プリント配線板の部品実装方法において、
搭載電子部品等の接続ポイント当たりの部品荷重が比較的小さ方を先に半田付けをする、多層プリント配線板の部品実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【公開番号】特開2007−258489(P2007−258489A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81664(P2006−81664)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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