説明

多層回路基板の製造方法

【課題】多層回路基板の各層の配線パターンを位置精度よく容易に製造すること。
【解決手段】A.内層材の導体配線回路形成と同時に積層体と内層基板を電気的に接続するためのビアホール形成用のアライメントマークを少なくとも1つ形成する工程、B.導体配線回路上に積層体を積層する際、アライメントマークが露出するよう積層体を積層する工程と、C.内層材に形成されたアライメントマークの少なくとも1つをアライメントとして使用し、積層体にビアホールを形成する工程、D.積層体に形成されたビアホールの少なくとも1つをアライメントとして使用し、導体配線回路を形成し、さらに導体配線回路形成と同時に、その導体配線回路上にさらに積層される積層体と電気的に接続するためのビアホール形成用のアライメントマークを内層基板上に少なくとも1つ形成する工程、E.B〜Dの工程を必要な配線の層数となるまで繰り返す工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド等の樹脂からなる絶縁層及び導体層を含む積層体を貼り合わせることにより、多層化する多層回路基板の製造方法、多層回路基板を用いた半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽薄化、高機能化の要求に伴い、半導体の高密度集積化や動作クロックの高速化が進んでいる。一方、半導体を搭載する半導体パッケージやプリント配線板においても、高密度化、小型化、高速化等が望まれており、配線回路パターンの微細化、コア基材の軽薄化や絶縁層の低誘電率化等の開発が進んでいる。例えば、配線回路では、サブトラクティブ法からセミアディティブ法へ移行することで20μm以下の配線幅が可能となっている。このように、半導体の進捗とともに回路基板においても、高密度化、多層化、高伝送化を目指した開発が行われている状況にある。
【0003】
また、このような回路基板の多層化技術として、いわゆるビルドアップ法が一般的に知られており、内層コア基板に外層として絶縁樹脂層及び導体層を交互に1層ずつ積層し、ブラインドビアにより内層の回路パターンと外層の回路パターンを電気的に接続させる技術である。この場合、ビアホールの形成方法は非感光性絶縁樹脂にレーザを用いてビアホールを形成する方法と感光性絶縁樹脂を用いるフォトビアの2つに大別できる。
【0004】
また、このようなビルドアップ法において、内層の回路パターンのランド部に対する外層のビアホール形成は位置合わせを精度良く行う必要がある。特に、高密度化が進むにつれて、位置合わせ精度はますます厳しくなることは明白である。したがって、上記の位置合わせをより精度良く行うために、いくつかの発明や考案が開示されている。
【0005】
例えば一例として、内層回路基板に形成されたアライメントマークが被覆しないように、絶縁層、導体層の順で外層を積層し、内層回路基板に形成されたアライメントマークを基準としてビアホール及び外層回路パターンを形成することが容易なビルドアップ多層回路基板の製造方法が開示されている(例えば特許文献1「多層回路配線板の製造方法」参照)。
これによれば、内層回路基板の端部に金型により打ち抜かれた貫通孔を形成し、内層基板上に作製するビアホール及び導体回路パターン、さらに、内層回路基板の表裏に逐次積み上げられる積層体上に作製するビアホール及び導体回路パターンの形成に、貫通孔をアライメントマークとして使用することを特徴としている。上記の方法により、回路の密度を高めることができ、位置誤差の蓄積が発生せず、内層回路配線と外層回路配線の位置合わせ精度が高められ、良好な層間接続が可能である(特許文献1)。
【0006】
さらに、他の方法として、「回路基板製造用基板、回路基板及び多層配線板並びに回路基板製造用基板のビアホールの形成方法」という名称で、外層のブラインドビアホールと内層のボトムランドとの位置あわせを高精度に行うことが可能なビルドアップ法による回路基板製造用のビアホールの形成方法が提案されている。
これによれば、内層回路基板にアライメントマークと補助アライメントマークを形成し、補助アライメントマークが露出するように絶縁層と導体層を積層する。その後、補助アライメントマークを使用し、アライメントマーク上部の絶縁層と導体層をレーザ光により除去する。アライメントマークは導体回路形成領域に形成するため、位置合わせの基準がビアホールに近くなるため、より位置制度に優れたビアホールを形成することが可能となる(特許文献2)。
【0007】
また、他の方法として、「多層配線基板の製造方法及び半導体パッケージ並びに長尺配線基板」という名称で、内層回路基板に対し、積層する回路パターンの位置を精度良く形成できることが可能なビルドアップ法による多層配線基板の製造方法が提案されている。
これによれば、第1の積層体に回路パターンと共に第1のアライメントマークを形成し、第1の積層体に第1のアライメントが露出するように第2の積層体を積層した後、第1のアライメントを使用して第2の積層体上に第2のビアアライメント及びビアホールを形成し、第2のアライメントを使用して第2の積層体に回路パターンを形成することを特徴としている。上記の方法により、下層で形成されたアライメントマークを使用して、上層のビアホールを形成し、そのビアホールをアライメントマークとして上層の回路パターンを形成するので、既に形成された回路パターンに対し、次の層の回路パターンの位置を精度良く形成することが可能である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−71749号公報
【特許文献2】特開2003−243781号公報
【特許文献3】特開2007−299842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された発明において、あらかじめ内層基材に作製されたスルーホールは積層するたびに回路パターン及びビアホールを形成するためのアライメントマークとして使用されるので、回路パターン形成時のエッチングに晒される回数が多くなる。そのため、スルーホールのエッジ部の銅箔が過剰にエッチングされてしまい、形状が崩れることにより加工装置におけるアライメント認識時に誤認識が発生してしまい、位置精度が低下してしまうという課題があった。
特許文献2に開示された発明において、アライメントマークを絶縁層と導体層で一度覆うため、レーザ光によりその上部を除去しアライメントマークを露出するという工程が加わることで、製造プロセスが複雑化するという課題があった。
【0010】
また、特許文献3に開示された発明において、下層に作製されたアライメントマークを露出するように積層を行っていくために、積層数が多くなるほどに積層体の幅(搬送方向に対して垂直方向の長さ)を徐々に狭めることが必要となる。そのため、多層回路基板として使用できる有効面積が多層化するほど狭くなり、積層数に制限がある、かつ、生産性低下という課題があった。
【0011】
本発明は上記の点に対処してなされたものであり、高多層化が進んだ多層回路基板において、内層回路基板上に作製されたアライメントマークを使用して、内層回路基板に積層される積層体(上層)のビアホールと内層(下層)の回路パターンのランド部との位置合わせ精度を高精度に行うことができ、かつ、同じ幅を持つ積層体を貼り合わせても、上層のビアホールと下層のボトムランドとの位置合わせ精度を高精度に保つことが可能な高多層回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の多層回路基板の製造方法は、絶縁層の両面に導体を有する内層材においてフィルドビアにより導体間を電気的に接続し、前記導体から導体配線回路を形成した内層基板上に、絶縁層及び導体層を含む積層体を内層基板の片面、もしくは両面に積層した後、前記積層体にビアホール及び導体配線回路を形成してなる多層回路基板の製造方法であって、次の工程を含むことを特徴とする。
A.前記内層材の導体配線回路形成と同時に前記積層体と前記内層材を電気的に接続するためのビアホール形成用のアライメントマークを少なくとも1つ形成する工程。
B.前記導体配線回路上に前記積層体を積層する際、前記アライメントマークが露出するよう積層体を積層する工程。
C.内層材に形成された前記アライメントマークの少なくとも1つをアライメントとして使用し、前記積層体にビアホールを形成する工程。
D.前記積層体に形成されたビアホールの少なくとも1つをアライメントとして使用し、導体配線回路を形成し、さらに導体配線回路形成と同時に、その導体配線回路上にさらに積層される積層体と電気的に接続するためのビアホール形成用のアライメントマークを内層基板上に少なくとも1つ形成する工程。
E.前記B〜Dの工程を必要な配線の層数となるまで繰り返す工程。
このような多層回路基板の製造方法によれば、内層基材上に配線回路パターンが形成されると同時に第1の積層体上のビアホール加工に使用する第1のアライメントマークが内層基材上に作製されるため、内層基板上に形成された回路パターンと第1の積層体上のビアホールは良好な位置精度で作製されることが可能となる。さらに、第N(N=自然数とする)の積層体に配線回路パターンが形成されると同時に第N+1の積層体上のビアホール加工に使用する第N+1のアライメントマークが内層基板上に作製されるため、第Nの積層体に形成された回路パターンと第N+1の積層体上のビアホールは良好な位置精度で作製されることが可能となる。
また、このような多層回路基板の製造方法では、導体配線回路上に積層体を積層したときに内層基板上のアライメントパターンマークを露出させることで、積層体にビアホールを精度良く形成することを可能としている。また、積層体上に形成した導体配線回路上にさらに積層体を積層する場合、それ以前の積層体と同等もしくはそれ以上の幅を有する積層体が使用できることを可能となる。
また、このような多層回路基板の製造方法では、積層体に形成されたビアホールの少なくとも1つをアライメントマークとして使用し導体配線回路を形成するため、ビアホールの位置に合わせた導体配線回路を形成することが出来る。
【0013】
また、本発明において、前記内層基板の導体配線回路の形成時において、内層基板に積層される積層体を第1の積層体としたとき、第1の積層体上に積層される第2の積層体から最外層の積層体のビアホール形成用のアライメントマークが配置される領域の導体層を予め除去し、絶縁層を露出し、さらに第N(N=自然数とする)の積層体の導体配線回路の形成時において、第N+2の積層体から最外層の積層体のビアホール形成用のアライメントマークが配置される領域の導体層を予め除去し、絶縁層を露出することを特徴とする。
これは、第2から最外層のアライメントマークが配置される内層基板の領域はフィルドビア形成時にメッキ工程に晒される回数が多く、導体厚が不安定となることを防ぐためである。
このような多層回路基板の製造方法では、内層基板に形成される第2から最外層のアライメントマークが形成されることが可能とし、かつ、マーク形状が変形することを防ぎ、第2以上の積層体上にビアホール加工を実施する際、アライメントマークの認識が高精度で行われることを可能となる。
【0014】
また、本発明において、前記内層基板、及び前記積層体がテープ状の長尺基板により供給され、リール・ツー・リール方式によって、内層基板上に逐次積層体を積層することを特徴する多層回路基板の製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多層回路基板を製造する過程で、逐次内層基板に積層される積層体上におけるビアホールの加工の位置決めに、内層基板に形成されたアライメントマークを用いるため、同じ幅を有する積層基材を逐次積層して高多層回路基板を作製することが可能となる。また、各層ごとにアライメントマークが作製されるため、各層に作製されるビアホールと導体配線回路パターンの位置及び下層の配線回路パターンに対する上層のビアホールの位置が精度よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る長尺回路基板を示す平面図である。
【図2】図1に示す長尺回路基板の構成を示す図1のY−Y断面図である。
【図3】(a)から(d)は多層回路基板の製造方法を示す図であり、内層基板にアライメントマークを形成する工程を説明する平面図である。
【図4】長尺配線基板の平面図であり、本発明を活用した際に考えられる製造方法の一例を示す平面図である。
【図5】(a)から(e)は多層回路基板の製造方法を説明する断面図である。
【図6】(f)から(h)は多層回路基板の製造方法を説明する断面図である。
【図7】(i)から(j)は多層回路基板の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。
図1は長尺回路基板にて、シート状の内層基材にシート状の第2の積層体を積層した状態を示す平面図である。なお、図中の矢線で示す直交するX方向とY方向とは、それぞれ長尺回路基板の長さ方向(図中横方向)と、長尺配線基板の幅方向(図中上下方向)とする。また、図2は図1の長尺回路基板を幅方向に切断したときの断面図(図1のYY線断面図)である。
【0018】
まず、内層基材Aは、図2に示すように、可撓性を有する絶縁層3の両面にそれぞれ導体層2a、2bを形成して構成されており、導体配線回路パターン2a、2bが形成されている。この回路パターン2a、2bはビアホール4により電気的な接続が成される。内層基材AのY方向における両端部には、表面から裏面に貫通する孔1a及び1bが形成されており、少なくとも多層回路基板22のX方向の中心を通りY方向に延在する線上に貫通孔1aが形成されている。
例えば、図1では多層回路基板22のX方向中心を通りY方向に延在する線上に貫通孔1aが形成され、多層回路基板22の中心を基準にして点対称な位置に貫通孔1bが形成されている。
アライメントマーク6aは、内層基材Aの回路パターン形成時に多層回路基板22の中心を基準にして点対称な位置に形成される。さらに、アライメントマーク11aは第1の積層体上Baの回路パターン形成時に多層回路基板22の中心を基準にして点対称な位置に形成される。なお、下層面側のアライメント6b及び11bは上述した上層面側と同様に形成される。
【0019】
内層基材Aの両面に積層される積層体Ba、Bbは、可撓性を有する絶縁層7a、7b及び導体層8a、8bより構成されており、導体層8a、8bは回路パターンが形成されている。また、積層体Ba、Bbにはそれぞれビアホール9a、9bが作製され、ホール内部に金属が充填されており、回路パターン8a、8bと内層基材Aの回路パターン2a、2bはそれぞれ電気的な接続が成されている。表裏の積層体Ba、Bbのアライメントマーク10a、10bは、ビアホール9a、9bを形成すると同時に、積層体Ba、Bbを貫通させたものであり、多層回路基板22のX方向の中心を通Y方向に延在する線上に形成されている。また、アライメントマーク11a、11bは、積層体Ba、Bbの回路パターン形成時に多層回路基板22の中心を基準にして点対称な位置に、あらかじめ内層基材Aの導体層2a、2bをエッチング等により除去し、絶縁層3を露出させた領域5a、5b上に形成される。
【0020】
積層体Ba、Bbにそれぞれ積層される積層体Ca、Cbは、可撓性を有する絶縁層12a、12b及び導体層13a、13bより構成されており、導体層13a、13bは回路パターンが形成されている。また、積層体Ca、Cbはビアホール14a、14bが作製され、ホール内部に金属が充填されており、回路パターン13a、13bと積層体Ba、Bbの回路パターン8a、8bは電気的な接続が成されている。
表裏の積層体Ca、Cbのアライメントマーク15a、15bは、ビアホール14a、14bを形成すると同時に、積層体Ca、Cbを貫通させたものであり、多層回路基板22のX方向の中心を通りY方向に延在する線上に形成されている。また、アライメントマーク16a、16bは、積層体Ca、Cbの回路パターン形成時に多層回路基板22の中心を基準にして点対称な位置に、あらかじめ内層基材Aの導体層2a、2bをエッチング等により除去し、絶縁層3を露出させた領域5a、5b上に形成される。
【0021】
積層体Ca、Cbにそれぞれ積層される積層体Da、Dbは、可撓性を有する絶縁層17a、17b及び導体層18a、18bより構成されており、導体層18a、18bは回路パターンが形成されている。また、積層体Da、Dbはビアホール19a、19bが作製され、ホール内部に金属が充填されており、回路パターン19a、19bと積層体Ca、Cbの回路パターン13a、13bは電気的な接続が成されている。
両面の積層体Da、Dbのアライメントマーク20a、20bは、ビアホール19a、19bを形成すると同時に、積層体Da、Dbを貫通させたものであり、多層回路基板22のX方向の中心を通りY方向に延在する線上に形成されている。
なお、図2において、内層基板の回路パターン2a、2b、積層体Ba、Bbの回路パターン9a、9b、積層体Ca、Cbの回路パターン13a、13b、積層体Da、Dbの回路パターン18a、18bは異なるパターンで形成されてもよい。
【0022】
多層回路基板22は、Y方向で最も内側に形成されたアライメントマーク20a、20bよりも内側の矩形の領域であり、長尺回路基板から個片化して使用される。
【0023】
次に、多層回路基板22の製造方法について説明する。
初めに、内層基板Aの加工を行う。図3に示すように、内層基板Aの両面に回路パターン2a、2b形成するためのアライメントマークの作製を行う。金型を用いた打ち抜き加工により、内層基板Aを貫通する貫通孔1a形成し、これをアライメントマークとして使用する。また、同時に貫通孔1bを形成し、内層基板Aの両面の配線回路パターンの導通をとるビアホール4を形成するためのアライメントマークとして使用する。
【0024】
貫通孔1bを用いて、内層基板Aにビアホール4を形成し、メッキによりビアホール4内に金属を充填させ両面の導通をとった後、貫通孔1aを用いて回路パターン2a、2bを形成する。同時に、内層基板Aの両面に積層体Ca、Cbの加工時に使用するアライメントマーク11a、11b、積層体Da、Dbの加工時に使用するアライメントマーク16a、16bが形成される領域5a、5bには絶縁層3が露出するように、導体層2a、2bを除去する。これは、後に形成されるアライメントマーク11a、11b、16a、16bの形状が崩れることを防止するために行う。
【0025】
内層基板Aのビアホール加工及びパターン回路形成が完成した後、絶縁層7及び導体層8から成る積層体Ba、Bbを、内層基材Aに形成されたアライメントマーク6a、6bが露出するようにそれぞれ表裏に積層する。アライメントマーク6a、6bにより、積層体Ba、Bbにビアホール9a、9bを形成すると同時に、積層体Ba、Bbの回路パターン形成用アライメントマーク10a、10bを形成する。ビアホールを加工した後、メッキによりビアホール9a、9bに金属を充填させ積層体Bと内層基材Aとの導通をとる。その際、絶縁層3が露出していた領域5a、5bにおいてもメッキが施されており、積層体Ba、Bbと同じ導体厚となる。
【0026】
積層体上Ba、Bbの回路パターンの形成は、アライメントマーク10a、10bを使用して行う。アライメントマーク10a、10bは積層体Ba、Bbのビアホール加工によりそれぞれ形成されているため、回路パターン8a、8bとビアホール9a、9bの位置精度は良い。さらに、ビアホール9a、9bの加工はアライメントマーク6a、6bを使用しており、アライメントマーク6a、6bは内層基材Aの回路パターン形成と同時に形成されている。ゆえに、積層体Ba、Bbにそれぞれ形成されたビアホール9a、9bと内層基材Aの回路パターン2の位置精度も良好である。
一方、回路パターン8a、8bを形成すると同時に、後の積層体にビアホール加工での位置合わせとして使用するアライメントを形成する領域5a、5bの銅箔をエッチングし、絶縁層3を露出させる。そして、領域5a、5b内にアライメントマーク6a、6bと重ならないようにアライメントマーク11a、11bの形成を行う。アライメントマーク11a、11bはそれぞれ領域5a、5b内であればどこに形成してもよいが、X方向に対してアライメントマーク6a、6bの隣に形成することが好ましい。
【0027】
積層体Ba、Bbのビアホールの加工及び配線回路パターンの形成が完成した後、絶縁層12a、12b及び導体層13a、13bから成る積層体Ca、Cbを、内層基材Aに形成されたアライメントマーク11a、11bが露出するようにそれぞれ表裏に積層する。アライメントマーク11a、11bより、積層体Ca、Cbにビアホール14a、14bを形成する。ビアホールを加工した後、両面にメッキを施し、ビアホール14a、14bに金属を充填させ積層体Ca、Cbと積層体Ba、Bbとの導通をとる。ここで、アライメントマーク11a、11bはアライメントマーク6a、6bの隣に形成されていることから、積層体Ba、Bbと同じ幅のものを使用することができる。
【0028】
積層体上Ca、Cbの回路パターンの形成は、アライメントマーク15a、15bを使用して行う。アライメントマーク15a、15bは積層体Ca、Cbのビアホール加工によりそれぞれ形成されているため、回路パターン13a、13bとビアホール14a、14bの位置精度は良い。
【0029】
さらに、ビアホール14a、14bの加工はアライメントマーク11a、11bを使用しており、アライメントマーク11a、11bは積層体Ba、Bbの回路パターン形成と同時に形成されている。ゆえに、積層体Ca、Cbにそれぞれ形成されたビアホール14a、14bと積層体Ba、Bbの回路パターン8a、8bの位置精度も良好である。
一方、回路パターン13a、13bを形成すると同時に、領域5a、5b内にアライメントマーク6a、6bと重ならないようにアライメントマーク16a、16bの形成を行う。アライメントマーク16a、16bはそれぞれ領域5a、5b内であればどこに形成してもよいが、X方向に対してアライメントマーク6a、6b、11a、11bの隣に形成することが好ましい。
【0030】
積層体Ca、Cbのビアホールの加工及び配線回路パターンの形成が完成した後、絶縁層17a、17b及び導体層18a、18bから成る積層体Da、Dbを、内層基材Aに形成されたアライメントマーク16a、16bが露出するようにそれぞれ表裏に積層する。アライメントマーク16a、16bより、積層体Da、Dbにビアホール19a、19bを形成する。ビアホールを加工した後、両面にメッキを施し、ビアホール19a、19bに金属を充填させ積層体Da、Dbと積層体Ca、Cbとの導通をとる。ここで、アライメントマーク16a、16bはアライメントマーク6a、6bの隣に形成されていることから、積層体Ba、Bb、Ca、Cbと同じ幅のものを使用することができる。
【0031】
積層体Da、Dbの回路パターンの形成は、それぞれアライメントマーク20a、20bを使用して行う。アライメントマーク20a、20bは積層体Ca、Cbのビアホール加工により形成されているため、回路パターン18a、18bとビアホール19a、19bのそれぞれの位置精度は良い。さらに、ビアホール19a、19bの加工はアライメントマーク18a、18bを使用しており、アライメントマーク16a、16bは積層体Ca、Cbの回路パターン形成と同時に形成されている。ゆえに、積層体Da、Dbに形成されたビアホール19a、19bと積層体Ca、Cbの回路パターン13a、13bの位置精度もそれぞれ良好である。
【0032】
各積層体のビアホールの加工を行うめのアライメントマークを形成する内層基板の領域5a、5bは、あらかじめ絶縁層3を露出させた領域を作製しておくことにより、積層体Ba、Bbの導体厚以下の導体層を得ることが出来る。よって、積層体Ba、Bbの回路パターンを形成すると同時にアライメントマーク11a、11bを、積層体Ca、Cbの回路パターンを形成すると同時にアライメントマーク16a、16bを形成することが可能となる。一方で、本発明における絶縁層3を露出した領域5a、5bが形成しない場合、領域5a、5bは積層体Ba、Bb、Ca、Cbの導体厚よりも厚い導体層が形成されるため、積層体Ba、Bb、Ca、Cbの回路パターンを形成すると同時のアライメントマーク11a、11b、16a、16bの形成は困難になる。
よって、本発明では、アライメントマーク形状崩れを起こさずに、内層基材にアライメントマークを形成することが出来る。さらに、積層体の幅を狭めることなく積層することが可能となり、製品部として使用できる有効領域を維持することができるために、積層数を増やした場合でも図4に示すように多層回路基板22を効率良く生産することが可能となる。また、常に下層の回路パターン時に形成されたアライメントマークを使用して、上層のビアホールの加工を行うため、上下層の回路パターンを正確に接続することが出来る。
【0033】
なお、内層基板A上に積層する絶縁層フィルム7a、7b及び導体層フィルム8a、8bからなる積層体の上下方向幅は特に限定されるものでなく、内層基材Aの上下方向幅の両端部に形成されるアライメントマークが被覆しないように積層すればよい。
回路パターンを形成するときや、ビアホールを加工するときに使用するアライメントマークは、任意の形状のものを使用でき、例えば、円形、ドーナツ型、四角型、井形等、中心部又は特定位置部分が確認できる形状であれば良い。特に、円形、ドーナツ型が好ましい。
アライメントマークの形成方法は、フォトリソ法、孔あけ加工法等を使用できる。フォトリソ法としては、フォトレジストによるアライメントマークの形成や、アディティブ法、セミアディティブ法、サブトラクティブ法によるアライメントマーク形成方法が挙げられる。この方式では、アライメントマークの形状を任意に設計することが可能である。また、工程によっては、回路パターンとアライメントマークを同時に形成することも可能であり、この場合には工程数を削減できる。孔あけ加工は、ドリル加工、レーザ加工又は金型による打ち抜き加工等が挙げられるが、アライメントマークとなる孔の形状は円形に限定される。
多層回路基板22の製造方法は、枚葉の内層基板に限定されるものでなく、テープ状のフレキシブル基板を用いたロール・ツー・ロールの連続生産方法にも適用できる。
多層回路基板22は、回路パターンが上下4層の場合であるが、上下5層、6層等のさらに高多層の回路基板にも広く適用することが可能である。
(実施例1)
【0034】
次に、図5、図6及び図7を参照して、本発明による多層回路基板の製造方法の実施例について説明する。
図5(a)に示すように、テープ状の両面銅箔付ポリイミド基材(絶縁層3としてポリイミドに、導体層2a、2bの銅箔を両面に貼り付けた内層基材A)に、金型にて打ち抜き加工を施し、貫通孔であるスルーホール1を形成し、ビアホール加工及び回路パターン形成のアライメントとした。
【0035】
スルーホールアライメント1を基準として位置合わせを行い、銅箔からポリイミドと下側の銅箔の境界までレーザ照射を施し、ビアホール4を形成した。その後、メッキを行い、ビアホール内をメッキで充填するフィルドビアとし、導体層2aと2bの電気的な接続を行った。内層基材Aの表面に回路パターン形成用のポジ型レジストを塗布し、スルーホールアライメント1とフォトマスクのアライメントの位置合わせを行った。その後、一括現像により感光性樹脂の露光された部分を除去し、エッチング液によりエッチングレジストが除去され、露出した銅箔に化学的なエッチングを施し、不要となるエッチングレジストを剥離し、図5(b)に示すように導体層2a、2bに回路パターンを形成した。これと同時に、積層体Ba及びBbのビアホール加工に使用するアライメントマーク6a、6bを作製し、さらに、後の積層体にビアホール加工での位置合わせとして使用するアライメントを形成する領域5a、5bは銅箔をエッチングし、絶縁層3を露出させた状態にした。
【0036】
内層基材Aの回路パターン形成後、それぞれ積層体であるテープ状の片面銅箔付ポリイミド基材Ba及びBbをラミネートにて積層を行った。その際、内層基材Aの両面に作製したアライメントマーク6a、6bが被覆しないようにした。次に、アライメントマーク6a、6bを基準として位置合わせを行い、積層体Ba、Bbの銅箔からポリイミドと内層基材の銅箔の境界までレーザ照射を施し、図5(c)に示すようにビアホール9a、9bを形成した。同時に、積層体Ba及びBbにレジスト回路パターンを形成するために使用するビアアライメント10a、10bを形成した。
【0037】
図5(d)に示すように、メッキを行い、ビアホール9a、9bはビアホール内をメッキで充填するフィルドビアとし、内層基材Aとの電気的な接続を行った。そして、積層体Ba、Bbの表面に回路パターン形成用のポジ型レジストを塗布し、ビアアライメント10a、10bとフォトマスクのアライメントの位置合わせを行った。その後、一括現像により感光性樹脂の露光された部分を除去し、エッチング液によりエッチングレジストが除去され、露出した銅箔に化学的なエッチングを施し、不要となるエッチングレジストを剥離し、図5(e)に示すように導体層8a、8bに回路パターンを形成した。これと同時に、積層体Ca、Cbのビアホール加工に使用するアライメントマーク11a、11bを作製し、さらに、後の積層体にビアホール加工での位置合わせとして使用するアライメントを形成する領域5a、5bは銅箔をエッチングし、絶縁層3を露出させた状態にした。
【0038】
積層体Ba、Bbの回路パターン形成後、それぞれ積層体であるテープ状の片面銅箔付ポリイミド基材Ca及びCbをラミネートにて積層を行った。その際、内層基材Aの両面に作製したアライメントマーク11a、11bが被覆しないように、かつ、積層体Ba、Bbと同じ幅の片面銅箔付ポリイミド基材を使用した。次に、アライメントマーク11a、11bを基準として位置合わせを行い、積層体Ca、Cbの銅箔からポリイミドと積層体Ba、Bbの銅箔の境界までレーザ照射を施し、図6(f)に示すように、ビアホール14a、14bを形成した。同時に、積層体Ca、Cbにレジスト回路パターンを形成するために使用するビアアライメント15a、15bを形成した。
メッキを行い、ビアホール14a、14bはビアホール内をメッキで充填するフィルドビアとし、積層体Ba及びBbとの導通をとる。積層体Ca及びCbの表面に回路パターン形成用のポジ型レジストを塗布し、積層体Ca、Cbのそれぞれにおいて、ビアアライメント15a、15bとフォトマスクのアライメントの位置合わせを行った。その後、一括現像により感光性樹脂の露光された部分を除去し、エッチング液によりエッチングレジストが除去され、露出した銅箔に化学的なエッチングを施し、不要となるエッチングレジストを剥離し、図6(g)に示すように導体層13a、13bに回路パターンを形成した。これと同時に、積層体Da、Dbのビアホール加工に使用するアライメントマーク16a、16bを作製した。
【0039】
積層体Ca、Cbの回路パターン形成後、それぞれ積層体であるテープ状の片面銅箔付ポリイミド基材Da、Dbをラミネートにて、積層を行った。その際、内層基材Aの両面に作製したアライメントマーク16a、16bが被覆しないように、かつ、積層体Ca、Cbと同じ幅の片面銅箔付ポリイミド基材を使用した。次に、アライメントマーク16a、16bを基準として位置合わせを行い、積層体Da、Dbの銅箔からポリイミドと積層体Ca、Cbの銅箔の境界までレーザ照射を施し、図6(h)に示すように、ビアホール19a及び19bを形成した。同時に、積層体Da、Dbにレジスト回路パターンを形成するために使用するビアアライメント20a、20bを形成した。
メッキを行い、ビアホール19a、19bはビアホール内をメッキで充填するフィルドビアとし、積層体Ba、Bbとの導通をとる。積層体Da、Dbの表面に回路パターン形成用のポジ型レジストを塗布し、積層体Da、Dbのそれぞれにおいて、ビアアライメント20a、20bとフォトマスクのアライメントの位置合わせを行った。その後、一括現像により感光性樹脂の露光された部分を除去し、エッチング液によりエッチングレジストが除去され、露出した銅箔に化学的なエッチングを施し、不要となるエッチングレジストを剥離し、図7(i)に示すように導体層18a、18bに回路パターンを形成した。
【0040】
図7(j)に示すように、最外層Daは半導体チップとの接続、最外層Dbはプリント配線板との接続されるため、最外層Da、Dbの回路パターン上に開口パッドが形成されるようにソルダーレジストパターン21a、21bを形成した。以上より、積層方向に上下に4層ずつ、合計8層の配線構造を有する長尺回路基板が完成した。この値に所定の位置で個片化すると、多層回路を有する半導体パッケージ22が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように、本発明の請求項1及び請求項6に記載された発明は、ビルドアップによる多層回路基板製造方法として、多層プリント配線板や半導体パッケージのような少なくとも絶縁層の表裏に配線パターンを有する2層以上の多層回路を有する長尺回路基板を製造する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1a、1b……貫通孔(スルーホールアライメント)、
2a、2b……導体層もしくは導体配線回路(内層基材上)、
3、7a、7b、12a、12b、17a、17b……絶縁層、
4、9a、9b、14a、14b、19a、19b……ビアホール、
5a、5b……絶縁層が露出される領域、
6a、6b……アライメントマーク(第1の積層体上のビアホール加工用アライメントマーク)、
8a、8b……導体層もしくは導体配線回路(第1の積層体上)、
10a、10b……ビアホール(第1の積層体上の回路パターン形成用アライメントマーク)、
11a、11b……アライメントマーク(第2の積層体上のビアホール加工用アライメントマーク)、
13a、13b……導体層もしくは導体配線回路(第2の積層体上)、
15a、15b……ビアホール(第2の積層体上の回路パターン形成用アライメントマーク)、
16a、16b……アライメントマーク(第3の積層体上のビアホール加工用アライメントマーク)、
18a、18b……導体層もしくは導体配線回路(第3の積層体上)、
20a、20b……ビアホール(第3の積層体上の回路パターン形成用アライメントマーク)、
21a、21b……ソルダーレジスト、
22……多層回路基板、
A……内層基板、
Ba、Bb……第1の積層体、
Ca、Cb……第2の積層体、
Da、Db……第3の積層体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層の両面に導体を有する内層材において、フィルドビアにより導体間を電気的に接続し、前記導体から導体配線回路を形成した内層基板上に、絶縁層及び導体層を含む積層体を内層基板の片面、もしくは両面に積層した後、前記積層体にビアホール及び導体配線回路を形成してなる多層回路基板の製造方法であって、次の工程を含むことを特徴とする多層回路基板の製造方法。
A.前記内層材の導体配線回路形成と同時に前記積層体と前記内層基板を電気的に接続するためのビアホール形成用のアライメントマークを少なくとも1つ形成する工程。
B.前記導体配線回路上に前記積層体を積層する際、前記アライメントマークが露出するよう積層体を積層する工程。
C.前記内層材に形成された前記アライメントマークの少なくとも1つをアライメントとして使用し、前記積層体にビアホールを形成する工程。
D.前記積層体に形成されたビアホールの少なくとも1つをアライメントとして使用し、導体配線回路を形成し、さらに導体配線回路形成と同時に、その導体配線回路上にさらに積層される積層体と電気的に接続するためのビアホール形成用のアライメントマークを内層基板上に少なくとも1つ形成する工程。
E.前記B〜Dの工程を必要な配線の層数となるまで繰り返す工程。
【請求項2】
前記内層基板の導体配線回路の形成時において、内層基板に積層される積層体を第1の積層体としたとき、第1の積層体上に積層される第2の積層体から最外層の積層体のビアホール形成用のアライメントマークが配置される領域の導体層を予め除去し、絶縁層を露出し、さらに第N(N=自然数とする)の積層体の導体配線回路の形成時において、第N+2の積層体から最外層の積層体のビアホール形成用のアライメントマークが配置される領域の導体層を予め除去し、絶縁層を露出することを特徴とする請求項1記載の多層回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記内層基板、前記積層体がテープ状の長尺基板により供給されるリール・ツー・リール方式によって、内層基板上に逐次積層体を貼り合わせることを特徴する請求項1記載の多層回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−225973(P2010−225973A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73338(P2009−73338)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】