説明

多層構造を有する光電子デバイス

ヒドロシロキサンと式Iの構造単位を含むポリフルオレンとの反応から導かれるポリマー組成物を含んでなる光電子デバイス。式中、R1及びR2は独立にアルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルケニル、置換アルキニル、アルキルオキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルケノキシ、置換アルキノキシ又はこれらの組合せであり、Ar1及びAr2は独立にアリール又は置換アリールであり、m及びnは独立に0又は1であり、R1及びR2の少なくとも一方はアルケニル、アルキニル、置換アルケニル又は置換アルキニルである。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造を有する光電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は多層光電子デバイスである。OLEDに関する現在の商業的応用例は、主としてディスプレイ用途のために使用されており、小さい分子を活性材料としている。小分子系OLEDの製造は、蒸着プロセスに大きく依存している。OLEDに関する次の大きな用途空間は一般照明である。一般照明に関する大量/低コスト要件を満たすためには、ロール−トゥ−ロール式の新聞等印刷プロセスのような低コスト製造が必要である。かかるロール−トゥ−ロール製造は溶剤依存プロセスを使用し、したがって小分子は良好な塗膜形成ポリマーで置き換えられる。逐次の溶剤依存堆積段階を使用するプロセスには、層2を適用するために使用する溶剤がポリマー層1を除去するという問題が起こる可能性がある。
【0003】
最初のポリマー系OLEDは、溶剤によるポリマー除去の問題を最小限に抑えるため、陰極、陽極及び発光層に限定された単純な三層デバイスであった。当然、デバイス性能を向上させる必要があり、したがってOLED中に追加の層を設けることが必要となった。
【0004】
追加の層が必要とされる結果、すべての層が溶剤を用いて堆積される場合、下方の層の除去が再び問題となった。複数のポリマー層の溶剤依存堆積を可能にするため、2つの基本的戦略が適用されてきた。一つは、下方の層を除去しない溶剤によって次の層を堆積させるデバイスを設計することができる。その原型例は、ポリスチレンスルホネートをドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT:PSS)からなる正孔注入層が水から適用される場合、9,9−二置換ポリフルオレンのような次の発光層をキシレンのような溶剤から堆積させるというものである。PEDOT:PSSはキシレンによって除去されない。溶剤によって堆積させた複数の層を有するOLEDの製造のための第2の戦略は、次の層の適用前に各層を不溶化することである。第2の戦略は2つのタイプに分類できる。溶剤可溶性の層を、アクリル酸エステルのような架橋性モノマーと組み合わせることができる。次いで、所望の層及びモノマーがモノマーを架橋させる条件(通例は紫外線照射)に暴露される。ポリマー層及びアクリル酸エステルモノマーの照射結果は相互浸透層の形成であり、それが溶剤堆積層を不溶化する。溶剤堆積層を不溶化するための一層エレガントな方法は、所望の層が架橋性部位を含み、追加のモノマーが不要となるようにそれを特注合成することである。溶剤堆積層の堆積後、熱又は光によって層を不溶化する。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/208032号明細書
【特許文献2】米国特許第6255449号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/176915号明細書
【非特許文献1】CHO ET AL:MACROMOLECULES,ACS,WASHINGTON,DC,US,2003,PAGE(S)6704−6710.
【非特許文献2】R.ADVINCUIA:POLYMER PREPRINTS,vol.42,no.2,2001,pages 573−574.
【非特許文献3】PU ET AL:POLYMER,vol.47,no.6,2006,pages 1970−1978.
【非特許文献4】CHUA ET AL:NATURE,vol.434,no.7030,2005,pages 194−199.
【非特許文献5】O.HOFMANN ET AL:MICRO TOTAL ANALYSIS SYSTEMS,vol.2,2004,pages 506−508.
【非特許文献6】CH.J.KELLEY,A.GHIORGHIS AND J.M.KAUFFMAN,J.CHEM.RES.MINIPRINT,vol.12,1997,pages 2701−2733.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、以後の堆積段階のために溶剤堆積層を不溶化できる方法及び組成物に対するニーズは依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、ヒドロシロキサンと下記の式Iを有する構造単位を含むポリフルオレンとの反応から導かれる混成有機−無機ポリマー組成物に関する。
【0007】
【化1】

式中、R1及びR2は独立にアルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルケニル、置換アルキニル、アルキルオキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルケノキシ、置換アルキノキシ又はこれらの組合せであり、Ar1及びAr2は独立にアリール又は置換アリールであり、m及びnは独立に0又は1であり、R1及びR2の少なくとも一方はアルケニル、アルキニル、置換アルケニル又は置換アルキニルである。
【0008】
特定の実施形態では、R2はC3-20アルケニル又はC3-20アルキニル、或いはC3-8アルケニル又はC4-8アルキニルであってよく、R1はC3〜C8アルキルであってよい。他の実施形態では、R1及びR2は共にC3-20アルキニルであってよく、或いはR1及びR2は共にC4-8アルキニルである。例えば、本ポリマー組成物は、下記の構造単位の1種以上を含むポリフルオレンを含むことができる。
【0009】
【化2】

別の態様では、本発明は、式Iの構造単位を導くことができる化合物又はモノマーに関する。かかるモノマーは次式を有する。
【0010】
【化3】

式中、R1a及びR2aは独立にC10-20アルケニル、C3-20アルキニル、C3-20置換アルケニル、C3-20置換アルキニル又はこれらの組合せであり、R1bはアルキル、置換アルキル又はこれらの組合せであり、X1及びX2は独立にハロゲン、スルホネート、ボロン酸又はボロン酸エステルである。
【0011】
特に、R1a及びR2aはC3-20アルキニル又はC4-8アルキニルであってよい。
【0012】
本発明に係る例示的なモノマーには、下記のものがある。
【0013】
【化4】

及び
【0014】
【化5】

2aに関する好ましい置換基には、C3-20アルケニル、C3-20アルキニル、C3-8アルケニル及びC4-8アルキニルがある。R1に関する好ましい置換基はC3〜C8アルキルである。
【0015】
別の態様では、本発明は次式の構造単位を含むポリマーに関する。
【0016】
【化6】

及び/又は
【0017】
【化7】

式中、R1a、R1b及びR2aは上記に定義した通りである。
【0018】
本発明に係る例示的なポリマーは、次式の構造単位を含む。
【0019】
【化8】

及び/又は
【0020】
【化9】

本発明のポリマー組成物中に使用するためのポリフルオレンは、式Iの構造単位に加えて、非置換フルオレニル単位及び/又はアルキルのような飽和基で置換されたフルオレニル単位のような構造単位を含むことができる。他の構造単位は、米国特許第6900285号に記載されているような共役化合物から導くことができる。特に、芳香族第三アミンから導かれた構造単位が使用できる。不飽和モノマーから導かれる構造単位の量は、約0.05〜約50モル%、特に約1〜約25モル%、さらに特に約1〜約10モル%の範囲内にある。
【0021】
かかるポリフルオレンは、適当な二ハロゲン化物と二ボロン酸エステル/二ボロン酸とのスズキカップリング及びヤマモトカップリングをはじめとして、当技術分野で知られているポリフルオレン製造方法によって製造できる。米国特許第5708130号、同第6169163号、同第6512083号及び同第6900285号には、フルオレンサブユニットを含むポリマーの合成が記載されている。
【0022】
2以上の水素原子で置換された任意のシロキサンが使用できる。多くの実施形態では、3以上のヒドロ置換基が存在している。特に、ヒドロシロキサンは次式の構造単位を含むことがある。
【0023】
【化10】

式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は独立にH、C1〜C10アルキル、フェニル又は
【0024】
【化11】

であり、p及びqは独立に0又は1〜100の整数であり、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10の2以上はHである。
【0025】
様々な実施形態では、nは1〜20の整数であり、或いはR3及びR7及び/又はR5はHであり、或いはR9はフェニルであり、或いはR4、R6、R8及びR10はメチルである。本発明のポリマー組成物中に使用できる例示的なヒドロシロキサンには、ヒドリド末端メチルヒドロシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポリマー、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、ヒドリド末端ポリフェニル−(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、ヒドリド末端メチルヒドロシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン−オクチルメチルシロキサンコポリマー及びヒドリドQ樹脂がある。
【0026】
本発明のポリマー組成物中には、所望ならば、ポリフルオレン及びヒドロシロキサンに加えてビニルシロキサンを使用できる。本発明のポリマー組成物中に使用できる例示的なビニルシロキサンには、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン、ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン、ビニル末端ジエチルシロキサン−ジメチルシロキサン、トリメトキシシロキシ末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルQ樹脂及びビニルT構造ポリマーがある。
【0027】
ヒドロシロキサン及びビニルシロキサンの分子量は重要でなく、通例は約200〜約200000ダルトンの範囲内にある。使用されるシロキサンの総量はポリフルオレンに対して約1〜50重量%の範囲内にあり、ヒドロシロキサン中のヒドリドのモル%、ポリマー中の不飽和モノマー由来構造単位のモル%、組成物中のポリマーの量、並びに(ビニルシロキサンを使用する場合には)ビニルシロキサン中のビニル基のモル%及び組成物中のビニルシロキサンの量に依存する。化学量論比は、(ポリマー中及びビニルシロキサン中の不飽和結合を含めた)総不飽和結合約1モルに対してヒドリド約1モル未満から、不飽和結合約1モルに対してヒドリド約4.5モルまで、特に不飽和結合約1モルに対してヒドリド約1.3モルまでの範囲内にある。ヒドロシリル化反応用の触媒には、白金錯体がある。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、有機エレクトロルミネセント層の少なくとも一部として本発明に係るポリマー組成物を含んでなる光電子デバイスに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
有機発光デバイスによって例示される光電子デバイスは、通例は複数の層を含んでなる。かかる層は、最も簡単な場合、陽極層、対応する陰極層、及び前記陽極と前記陰極との間に配設された有機エレクトロルミネセント層を含む。電極間に電圧バイアスを印加した場合、陰極からエレクトロルミネセント層中に電子が注入されると共に、エレクトロルミネセント層から陽極に電子が除去される(又は陽極からエレクトロルミネセント層中に「正孔」が「注入」される)。エレクトロルミネセント層中で正孔が電子と結合して一重項又は三重項励起子を形成するので発光が起こり、一重項励起子が放射崩壊によってエネルギーを環境に伝達することで発光が起こる。本発明に係る光電子デバイスは、本発明のポリマー組成物からなる有機エレクトロルミネセント層を含む。
【0030】
陽極、陰極及び発光材料に加えて有機発光デバイス中に存在し得る他の構成要素には、正孔注入層、電子注入層及び電子輸送層がある。電子輸送層は陰極に接触している必要はなく、多くの場合に電子輸送層は効率的な正孔輸送体でなく、したがってそれは陰極に向かって移動する正孔をブロックするために役立つ。電子輸送層を含む有機発光デバイスの動作中には、電子輸送層中に存在する電荷キャリヤー(即ち、正孔及び電子)の大部分は電子であり、電子輸送層中に存在する正孔及び電子の再結合を通じて発光が起こり得る。有機発光デバイス中に存在し得る追加の構成要素には、正孔輸送層、正孔輸送発光層及び電子輸送発光層がある。
【0031】
有機エレクトロルミネセント層は、動作に際して実質的な濃度の電子及び正孔の両方を含み、励起子生成及び発光のための部位を提供する有機発光デバイス中の層である。正孔注入層は陽極に接触していて陽極からOLEDの内層への正孔注入を促進する層であり、電子注入層は陰極に接触していて陰極からOLED中への電子注入を促進する層であり、電子輸送層は陰極から電荷再結合部位への電子伝導を容易にする層である。電子輸送層は陰極に接触している必要はなく、多くの場合に電子輸送層は効率的な正孔輸送体でなく、したがってそれは陰極に向かって移動する正孔をブロックするために役立つ。電子輸送層を含む有機発光デバイスの動作中には、電子輸送層中に存在する電荷キャリヤー(即ち、正孔及び電子)の大部分は電子であり、電子輸送層中に存在する正孔及び電子の再結合によって発光が起こり得る。正孔輸送層は、OLEDの動作時に陽極から電荷再結合部位への正孔伝導を容易にする層であり、陽極に接触している必要はない。正孔輸送発光層は、OLEDの動作時に電荷再結合部位への正孔伝導を容易にすると共に、電荷キャリヤーの大部分が正孔であり、残留電子との再結合によってばかりでなくデバイス内の他の場所にある電荷再結合ゾーンからのエネルギー伝達によっても発光が起こる層である。電子輸送発光層は、OLEDの動作時に電荷再結合部位への電子伝導を容易にすると共に、電荷キャリヤーの大部分が電子であり、残留正孔との再結合によってばかりでなくデバイス内の他の場所にある電荷再結合ゾーンからのエネルギー伝達によっても発光が起こる層である。
【0032】
陽極として使用するのに適した材料には、四点プローブ技法で測定して約100オーム/平方以上のバルク導電率を有する材料がある。陽極としては、酸化インジウムスズ(ITO)がしばしば使用される。これは、ITOが光の透過に対して実質的に透明であり、したがって電気活性有機層から放出された光の脱出を容易にするからである。陽極層として使用できる他の材料には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウムスズ、酸化アンチモン及びこれらの混合物がある。
【0033】
陰極として使用するのに適した材料には、負電荷キャリヤー(電子)をOLEDの内層に注入できるゼロ原子価金属がある。陰極20として使用するのに適した各種のゼロ原子価金属には、K、Li、Na、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、Au、In、Sn、Zn、Zr、Sc、Y、ランタニド系列の元素、これらの合金及びこれらの混合物がある。陰極層として使用するのに適した合金材料には、Ag−Mg、Al−Li、In−Mg、Al−Ca及びAl−Au合金がある。金属(例えば、カルシウム)又は金属フッ化物(例えば、LiF)の薄層をゼロ原子価金属(例えば、アルミニウム又は銀)の厚い層で被覆したもののような層状の非合金構造物も陰極として使用できる。特に、陰極はただ1種のゼロ原子価金属、とりわけアルミニウム金属から構成できる。
【0034】
正孔注入層に使用するのに適した材料には、3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)及びPEDOTとポリスチレンスルホネート(PSS)とのブレンド(H.C.Stark,Inc.からBAYTRON(登録商標)の商品名で商業的に入手できる)、並びにチエノ[3,4b]チオフェン(TT)モノマーを基材とするポリマー(Air Products Corporation)がある。
【0035】
正孔輸送層に使用するのに適した材料には、1,1−ビス((ジ−4−トリルアミノ)フェニル)シクロヘキサン、N,N′−ビス(4−メチルフェニル)−N,N′−ビス(4−エチルフェニル)−(1,1′−(3,3′−ジメチル)ビフェニル)−4,4′−ジアミン、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N′,N′−2,5−フェニレンジアミン、フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン、トリフェニルアミン、1−フェニル−3−(p−(ジエチルアミノ)スチリル)−5−(p−(ジエチルアミノ)フェニル)ピラゾリン、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン、N,N,N′,N′−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン、銅フタロシアニン、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール、トリアリールジアミン、テトラフェニルジアミン、芳香族第三アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、及び米国特許第6,023,371に開示されているようなポリチオフェンがある。
【0036】
電子輸送層に使用するのに適した材料には、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,1−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー、1,3,4−トリアゾール含有ポリマー、キノキサリン含有ポリマー及びシアノ−PPVがある。
【0037】
発光層に使用するのに適した材料には、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)及びそれのコポリマー(例えば、F8−TFB)のようなエレクトロルミネセントポリマーがある。
【0038】
定義
本発明の文脈中では、アルキルとは、線状、枝分れ又は環状の炭化水素構造及びこれらの組合せを含むものであり、低級アルキル及び高級アルキルを包含する。好ましいアルキル基はC20以下のものである。低級アルキルとは、1〜6の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基をいい、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルを包含する。高級アルキルとは、7以上の炭素原子、好ましくは7〜20の炭素原子を有するアルキル基をいい、n−ヘプチル、s−ヘプチル、t−ヘプチル、オクチル及びドデシルを包含する。シクロアルキルはアルキルの部分集合であり、3〜8の炭素原子を有する環状炭化水素基を包含する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びノルボルニルがある。
【0039】
アリール及びヘテロアリールとは、窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3のヘテロ原子を含む五員若しくは六員の芳香環又はヘテロ芳香環、窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3のヘテロ原子を含む二環式の九員若しくは十員芳香環系又はヘテロ芳香環系、或いは窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3のヘテロ原子を含む三環式の十三員若しくは十四員芳香環系又はヘテロ芳香環系を意味する。六員ないし十四員の芳香族炭素環には、例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン及びフルオレンがあり、五員ないし十員の芳香族複素環には、例えば、イミダゾール、ピリジン、インドール、チオフェン、ベンゾピラノン、チアゾール、フラン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾール及びピラゾールがある。
【0040】
アリールアルキルとは、アリール環に結合したアルキル残基を意味する。その例はベンジル及びフェネチルである。ヘテロアリールアルキルとは、ヘテロアリール環に結合したアルキル残基を意味する。その例はピリジニルメチル及びピリジニルエチルである。アルキルアリールとは、1以上のアルキル基が結合したアリール残基を意味する。その例はトリル及びメシチルである。
【0041】
アルコキシ又はアルコキシルとは、酸素を介して母体構造に結合した、1〜8の炭素原子を有する直鎖、枝分れ又は環状構造の基をいう。その例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ及びシクロヘキシルオキシがある。低級アルコキシとは、1〜4の炭素原子を含む基をいう。アルケノキシ、アルケニルオキシ、アルキノキシ又はアルキニルオキシとは、1以上の二重結合(アルケノキシの場合)又は三重結合(アルキノキシの場合)を含みかつ酸素を介して母体構造に結合した、2〜20の炭素原子を有する直鎖、枝分れ又は環状構造の基をいう。その例には、ビニルオキシ、プロペノキシ(アリルオキシ)、ヘキセノキシ、ペンチノキシ及びシクロヘキセノキシがある。
【0042】
アシルとは、カルボニル官能基を介して母体構造に結合した、1〜8の炭素原子を有する直鎖、枝分れ又は環状構造の基をいい、飽和、不飽和及び芳香族のもの並びにこれらの組合せを包含する。アシル残基中の1以上の炭素は、母体への結合点がカルボニルに保たれる限り、窒素、酸素又は硫黄で置き換えることができる。その例には、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル及びベンジルオキシカルボニルがある。低級アシルとは、1〜4の炭素原子を含む基をいう。
【0043】
複素環とは、1〜2の炭素が酸素、窒素又は硫黄のようなヘテロ原子で置き換えられたシクロアルキル又はアリール残基を意味する。本発明の範囲内に含まれる複素環の例には、ピロリジン、ピラゾール、ピロール、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール(置換基として存在する場合には一般にメチレンジオキシフェニルといわれる)、テトラゾール、モルホリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、ジオキサン及びテトラヒドロフランがある。
【0044】
置換されたとは、特に限定されないがアルキル、アルキルアリール、アリール、アリールアルキル及びヘテロアリールを含む残基において、該残基の3以下のH原子が低級アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボキシ、カルボキシアルコキシ、カルボキサミド、アシルオキシ、アミジノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、OCH(COOH)2、シアノ、第一アミノ、第二アミノ、アシルアミノ、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール又はヘテロアリールオキシで置き換えられたものをいう。
【0045】
ハロアルキルとは、1以上のH原子がハロゲン原子で置き換えられたアルキル残基をいう。ハロアルキルという用語はペルハロアルキルを包含する。本発明の範囲内に含まれるハロアルキル基の例には、CH2F、CHF2及びCF3がある。
【0046】
本明細書中に記載される化合物の多くは、1以上の非対称中心を含むことがあり、したがって鏡像異性体、ジアステレオマー及び他の立体異性体を生じることがある。これらは絶対立体配置の観点から(R)−又は(S)−として定義できる。本発明は、すべてのかかる可能な異性体並びにこれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を包含するものである。光学的に活性の(R)−及び(S)−異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を用いて製造でき、或いは通常の技法を用いて分割できる。本明細書中に記載される化合物がオレフィン性二重結合又は他の幾何学的非対称中心を含む場合には、特記しない限り、かかる化合物はE及びZ幾何異性体の両方を包含するものと想定されている。同様に、すべての互変異性体も包含されるものと想定されている。
【0047】
オキサアルキルとは、1以上の炭素が酸素で置き換えられたアルキル残基をいう。それはアルキル残基を介して母体構造に結合される。その例には、メトキシプロポキシ、3,6,9−トリオキサデシルなどがある。オキサアルキルという用語は、当技術分野で理解されている通りに定義される。即ち、それは酸素が単結合を介して隣接原子に結合し(てエーテル結合を形成し)ている化合物をいい、カルボニル基に見られるように二重結合した酸素を意味しない。同様に、チアアルキル及びアザアルキルとは、1以上の炭素がそれぞれ硫黄又は窒素で置き換えられたアルキル残基をいう。その例には、エチルアミノエチル及びメチルチオプロピルがある。
【実施例】
【0048】
一般的アプローチ
架橋性基を有するポリフルオレンのコポリマーを製造するため、2つの因子間のバランスを決定した。1つのアプローチは、いわゆるF6−F又はF8−Fコポリマーを製造することである。ここで、F6又はF8はジヘキシル又はジオクチルフルオレニル単位であり、Fは9,9−非置換フルオレニル単位である。Pdで触媒されるスズキカップリングによって2,7−ジブロモ及び2,7−ジボロン酸エステル前駆体の混合物から所望のコポリマーを製造したところ、非置換F単位の割合が約50%を超えて増加するのに伴い、低分子量及び低収率のコポリマーが得られた。
【0049】
使用した別の戦略は、可能な場合、適当な9,9−置換モノマーを共重合させることであった。アルキニル置換フルオレン単位の割合が5〜10%を超えた若干の場合には、アルキニル置換モノマーはPdで触媒されるスズキ反応を阻害した。
【0050】
スズキカップリングによって(F6)3.0(F)1.0コポリマー前駆体を製造し、続いて過剰の臭化ヘキシル/1−ブロモ−2−ペンチン混合物又は臭化ヘキシル/臭化アリル混合物と反応させた。9−水素に対して過剰のR−Brは、良好な転化率を得るために望ましい。臭化アルキルを不飽和臭化物(アリル又はアルキン)と混合して使用すれば、9位に一定分布の飽和/不飽和単位を有する最終生成物が得られる(スキーム1)。
【0051】
【化12】

例1:(F6)3.0(F)1.0の合成
【0052】
【化13】

F6B2及びFBr2をAldrich社から入手し、アセトニトリルからの再結晶によって精製した。F6B2は、F6−ビスボロン酸及びエチレングリコールから製造した。生成物をアセトニトリルからの再結晶によって精製した。F6B2(2.5g、4.98mmol)、FBr2(0.81g、2.5mmol)及びF6Br2(1.23g、2.5mmol)をアルゴン下でトルエン(75mL)と混合し、次いでK2CO3(2.75g、20mmol)及び水(10mL)と撹拌混合した。約10分後、Pd(アセテート)2(0.030g、0.13mmol)及びトリ−p−トリルホスフィン(0.14g、0.46mmol)からなる触媒リガンド混合物を添加した。混合物を1晩還流させ、次いで冷却後に、ほぼ等部のセライト(Celite)、ドライエライト(Drierite)及び3−(ジエチレントリアミノ)プロピル官能化シリカからなるプラグを通して内容物を濾過した。揮発分を真空中で除去し、次いで残留物をトルエンに溶解した。メタノールで固体を沈殿させた。トルエン不溶性画分をCH2Cl2に溶解し、メタノール中に沈殿させた。
【0053】
【表1】

例2:(F6)3.0(FR1R2)1.0(R1=アリル、R2=ヘキシル、R1のモル数=R2)の合成
(F6)3.0(F)1.0(0.15g、0.13mmol)を、トルエン(10mL)、Bu4NBr(0.01g)及び50%NaOH(水溶液、10mL)中において臭化ヘキシル(0.21g、1.27mmol)及び臭化アリル(0.16g、1.32mmol)と混合した。内容物を3日間還流させた。水性層をピペットで除去し、次いで上部トルエン層を10mLの水で2回抽出し、次いでトルエン可溶分をメタノール中に注いで固体を得、これを濾別してメタノールで洗浄することで0.080gを得た。1H NMRは、(F6)3.0(F)1.0中の9−水素が消費され、アリルに由来するピークが存在することを示した。
【0054】
例3:(F6)3.0(FR1R2)1.0(R1=アリル、R2=ヘキシル、R1のモル数=2R2)の合成
(F6)3.0(F)1.0(0.1g、0.086mmol)をトルエン(10mL)中において臭化ヘキシル(0.19g、0.0012)及び臭化アリル(0.069g、0.57mmol)と混合し、次いでBu4NBr(0.01g)を50%NaOH(水溶液、10mL)と共に添加した。内容物をアルゴン下で2日間還流させた。冷却後、有機層を水で抽出し、次いでHCl(水溶液)及び水で抽出した。トルエン可溶層をメタノール中に注いで沈殿を得、これを真空乾燥して0.11gを得た。
【0055】
例4:(F6)3.0(FR1R2)1.0(R1=ベンチニル、R2=ヘキシル)の合成
(F6)3.0(F)1.0(0.24g、0.2mmol)を、トルエン(10mL)、Bu4NBr(0.01g)及び50%NaOH(水溶液、10mL)中において臭化ヘキシル(0.33g、2.0mmol)及び1−ブロモ−2−ペンチン(0.29g、1.99mmol)と混合した。内容物を3日間還流させた。水性層をピペットで除去し、次いで上部トルエン層を10mLの水で2回抽出し、次いでトルエン可溶分をメタノール中に注いで固体を得、これを濾別してメタノールで洗浄することで0.010gを得た。1H NMRは9−H共鳴の消失を示した。
【0056】
例5:ジメチルシロキシ−メチルハイドロジェンシロキサンコポリマーを用いたヒドロシリル化による不溶性層
【0057】
【化14】

1mLのキシレン中に(F6)3.0(FR1R2)1.0(R1=アリル、R2=ヘキシル、R1のモル数=2R2)(10mg)の原液を調製した。1インチのスライドガラス上に4つの試料を作製した。第1の試料については、ガラス上に原液を3000rpmでスピンした。第2の試料については、第1の試料と同様にして原液をガラス上にスピンした。両方とも、140℃で15分間ベークした。次いで、第2の試料上にキシレン溶剤をスピンした。ブラックライト分析によれば、第2の試料では第1の試料に比べてポリマーが除去されたことがはっきりと示された。第3及び第4の試料については、同量のキシレン中に同量のフルオレンポリマーを含む原液に、2滴(約0.1g)のGE Silicones 88466(ジメチルシロキサン及びメチルハイドロジェンシロキサンの1:1コポリマー)をGE Silicones 88346(キシレン中のPt−テトラメチルテトラビニルテトラシロキサン錯体)の0.15重量%溶液1滴と共に添加した。第3の試料は、スライドガラス上にこの溶液をスピンし、第1及び第2の試料と同様にしてベークすることで作製した。第4の試料は、ベーキング段階後にキシレン溶剤をスピンした点を除けば、第3の試料と同様であった。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

光学的測定結果によれば、試料1、3及び4は光物理的に同等であるが、試料2は約60%の損失を有することが示された。試料1、3及び4の間の違いは、恐らく、検出されたQE又はODの差よりもむしろ物理的不均質性に原因するものであった。
【0059】
例6:(F8)0.950.05の合成
F6B2(2.5g、5mmol)、F6Br2(2.2g、4.5mmol)及びFBr2(0.16g、0.15mmol)をトルエン(75mL)、Pd(アセテート)2(33mg、0.13mmol)及びトリ−o−トリルホスフィン(0.16g、0.53mmol)と混合した。この溶液をアルゴン下で撹拌し、次いでEt4NOH(20%溶液18.4mL)及び水(18mL)を添加し、24時間撹拌加熱した。この溶液を水、10%HCl、水、飽和NaCl及び水で抽出した。トルエン可溶分をセライト、ドライエライト及び3−(ジエチルトリアミノ)プロピル官能化シリカと共に撹拌し、次いで濾過した。揮発分を真空中で除去して4.48gの粗ポリマー(Mn=12800、Mw=37900)を得た。ポリマーをトルエン及びメタノールで2回再沈殿させることで、Mn=11300及びMw=28500の固体を得た。F8基の第1のメチレン単位に対するF単位の9−Hプロトンの1H NMR積分を行ったところ、これらの単位のモル比は4:96であることが示された。
【0060】
例7:ヤマモトカップリングによる(F8)(F)の合成
【0061】
【化15】

ヤマモト触媒(H.Q.Zhang,Thin Solid Films,477(2005)119)の以下の成分、即ち亜鉛粉末(0.7g、11mmol)、トリフェニルホスフィン(0.75g、2.86mmol)、2,2′−ビピリジン(0.056g、0.36mmol)及びNiCl2(0.046g、0.36mmol)をジメチルホルムアミド(dmf、25mL)中で混合し、アルゴン下で脱気した。次いで、モノマーF8Br2(1g、1.82mmol)及びFBr2(0.91g、1.82mmol)を混合し、この混合物をアルゴン下で撹拌しながら100℃で17時間加熱した。混合物(若干減量)にTHFを添加し、内容物を濾過して触媒を除去した。濾液をメタノール中に注いで緑色の固体生成物を得た。生成物をCH2Cl2及びメタノールで再沈殿させた。1H NMR分析は、FとF8との比が約1:1.2であることを示した。
【0062】
例8:2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキス−5−エニル−フルオレンの製造
2,7−ジブロモフルオレン(5g、15.4mmol)を、相間移動触媒としてのトルエン(50mL)、NaOH(50mL、50%水溶液)及びBu4NBr(0.1g)中で1−ブロモ−5−ヘキセン(7.5g、46.0mmol)と混合した。この混合物を撹拌しながら約100℃で5時間加熱した。有機層を水性層から分離し、10%HClで処理し、次いで水で処理し、MgSO4及びカーボンブラックと共に撹拌した。溶液を濾過し、すべての溶媒を真空中で除去して7.3gの褐色油を得た。
【0063】
例9:2,7−ジブロモ−9,9−ジアリル−フルオレンの製造
2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキス−5−エニル−フルオレンに関して上述したようにして、2,7−ジブロモフルオレン(5g、15.4mmol)を臭化アリル(5.6g、46.2mmol)と混合し、トルエン、NaOH及びBu4NBrと反応させた。7.1gの黄色固体を得た。
【0064】
例10:ジヘキシルフルオレン−ジヘキセニルフルオレン及びジアリルフルオレンのコポリマーの製造
【0065】
【化16】

2,7−エチレングリコレートボロン酸エステル−9,9−ジヘキシルフルオレン(2.5g、5mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキス−5−エニル−フルオレン(0.3g、0.61mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジアリル−フルオレン(0.7g、1.74mmol)及び2,7−ジブロモ−9,9−ヘキシル−フルオレン(1.23g、2.5mmol)を、トルエン(75mL)、Pd(PPh3)4(140mg)及びEt4NOH(25%、10mL)中で混合した。この混合物を撹拌しながら80℃で24時間加熱した。この混合物をセライト、ドライエライト及び3−(ジエチルトリアミノ)プロピル官能化シリカの1:1:1(w/w/w)で濾過した。濾液を真空中で乾固させ、次いで最小量のトルエンに溶解した。トルエン溶液をメタノール中に注いでオレンジ色の固体を得、これを濾過により捕集してメタノールで洗浄した。得られた固体を再沈殿させて2.14gの固体(gpc、Mw=35000、Mn=10600)を得た。
【0066】
例11:9,9−ジアルキニルフルオレンコポリマー及び9,9−ジアルケニルフルオレンコポリマーのヒドロシリル化
白金−イルガフォス(Irgafos)触媒:白金カールシュテット(Karstedt)触媒(Pt0とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、キシレン中5%Pt、0.25g、1.28mmolPt)、ビニル停止ポリジメチルシロキサン(GE 88934、3.3g)及びイルガフォス168(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、Ciba Geigy社、3.31g、5.12mmol)をトルエン(50mL)中で混合し、1晩還流させた。次いで、揮発分を真空中で除去して6.76gの白色油(推定3.7%Pt)を得た。キシレン(50mLメスフラスコ)中に0.135gを含むPt−イルガフォス触媒の原液(0.1mg/mL)を調製した。
【0067】
【化17】

PMV 9925(Gelest社、20g)及びHPM 502(Gelest社、2.8g)を含む原液を調製した。
【0068】
【化18】

PMV/HPM原液(1g)及びPt−イルガフォス触媒(10μL)を(F6)3.0(Fpentyne)1.0フルオレンポリマー(20.7mg)と混合した。重水素化ベンゼン中での加熱後にゲルは生じなかった。(F6)3.0(Fallyl)1.0(19.5mg)を重水素化ベンゼン中で加熱することで実験を繰り返したが、これは加熱後にゲル化してベンゼンに不溶となった。(F8)0.9(Fallyl)0.1(15.1mg)を原液と混合することで実験を繰り返したが、これは重水素化ベンゼン中で加熱することで不溶性ゲルを生じた。1H NMR分析によれば、ゲル化ポリマーを含む溶液中ではビニルが消費されていることが確認された。
【0069】
以上、本明細書中には本発明の若干の特徴のみを例示し説明してきたが、当業者には多くの修正及び変更が想起されるであろう。したがって、特許請求の範囲は本発明の真の技術思想の範囲内に含まれるすべてのかかる修正及び変更を包括するものであることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロシロキサンと以下の式Iの構造単位を含むポリフルオレンとの反応から導かれるポリマー組成物。
【化1】

式中、R1及びR2は独立にアルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルケニル、置換アルキニル、アルキルオキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルケノキシ、置換アルキノキシ又はこれらの組合せであり、Ar1及びAr2は独立にアリール又は置換アリールであり、m及びnは独立に0又は1であり、R1及びR2の少なくとも一方はアルケニル、アルキニル、置換アルケニル又は置換アルキニルである。
【請求項2】
ヒドロシロキサンが次式の構造単位を含む、請求項1記載のポリマー組成物。
【化2】

式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は独立にH、C1〜C10アルキル、フェニル又は以下に示す基であり、p及びqは独立に0又は1〜100の整数であり、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15の2以上はHである。
【化3】

【請求項3】
nが1〜20の整数である、請求項2記載のポリマー組成物。
【請求項4】
3及びR7がHである、請求項2記載のポリマー組成物。
【請求項5】
5がHである、請求項2記載のポリマー組成物。
【請求項6】
9がフェニルである、請求項2記載のポリマー組成物。
【請求項7】
4、R6、R8及びR10がメチルである、請求項2記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ヒドロシロキサンと式Iの構造単位を含むポリフルオレンとビニルシロキサンとの反応から導かれる、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項9】
2がC3-20アルケニルである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項10】
2がC3-20アルキニルである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項11】
2がC3-8アルケニルである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項12】
2がC4-8アルキニルである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項13】
1がC3〜C8アルキルである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項14】
1及びR2がC3-20アルキニルである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項15】
1及びR2がC4-8アルキニルである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項16】
次式の構造単位を含む、請求項1記載のポリマー組成物。
【化4】

【請求項17】
次式の構造単位を含む、請求項1記載のポリマー組成物。
【化5】

【請求項18】
次式の構造単位を含む、請求項1記載のポリマー組成物。
【化6】

【請求項19】
さらに次式の構造単位を含む、請求項18記載のポリマー組成物。
【化7】

【請求項20】
次式の構造単位を含む、請求項1記載のポリマー組成物。
【化8】

【請求項21】
次式の構造単位を含む、請求項1記載のポリマー組成物。
【化9】

【請求項22】
ヒドロシロキサンと下記の式Iを有する構造単位を含むポリフルオレンとの反応から導かれるポリマー組成物を含んでなる光電子デバイス。
【化10】

式中、R1及びR2は独立にアルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルケニル、置換アルキニル、アルキルオキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルケノキシ、置換アルキノキシ又はこれらの組合せであり、Ar1及びAr2は独立にアリール又は置換アリールであり、m及びnは独立に0又は1であり、R1及びR2の少なくとも一方はアルケニル、アルキニル、置換アルケニル又は置換アルキニルである。

【公表番号】特表2009−530485(P2009−530485A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501662(P2009−501662)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/064126
【国際公開番号】WO2007/109518
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】