説明

多層薄膜の膜厚測定方法

【課題】多層薄膜における各層の薄膜の膜厚を短時間にて測定可能とする。
【解決手段】本膜厚測定方法は、膜厚既知の各層薄膜を透過可能な長波長光の光入射に対する光反射率のデータと、膜厚既知の上層側薄膜を透過するが膜厚既知の下層側薄膜に対する光透過度が長波長光に比較して小さい短波長光の光入射に対する光反射率データとを基準データとして持つ第1ステップと、膜厚測定対象となる各薄膜への長波長光の光入射に対する光反射率の測定データを長波長光測定データとして、また上層側薄膜への短波長光の光入射に対する光反射率の測定データを短波長光測定データとして得る第2ステップと、長波長光における基準データと光測定データとの比較、また、短波長光における基準データと測定データとの比較で各層薄膜の膜厚を演算する第3ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属膜、金属酸化膜、金属窒化膜、樹脂膜等の各種薄膜において、膜厚が100nm以下の少なくとも2層以上の薄膜からなる多層薄膜の膜厚測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やFED(フィールドエミッションデバイス)等の各種製造においては、触媒膜や光干渉膜等の薄膜形成技術が用いられている。こうした薄膜形成技術により形成された薄膜の各種特性を検出することで例えば成膜時における各種の不具合の検出が行われている。このような薄膜の各種特性の中でも、膜厚は、薄膜の導電性あるいは絶縁性等に影響を及ぼすため、製品の歩留まりや信頼性を左右する重要な管理項目である。
【0003】
特に0.1μm以下の膜厚の金属薄膜を形成することが工業的に必要となってきているが、このような薄膜では100nm以下の膜厚を高精度に測定できることが必要となり、従来から例えば原子間力顕微鏡(AFM)やX線等を用いたり、あるいは光干渉にて測定することが行われている。
【0004】
しかしながら、原子間力顕微鏡(AFM)やX線等では作業コスト、作業時間、測定精度に課題があり、特に、AFMは膜厚測定対象である薄膜に段差が必要であるから最表面薄膜が平坦であれば膜厚測定はできず、また、X線では真空環境下に膜厚測定対象の試料を配置する必要があり、作業性に課題がある。また、光干渉では膜厚測定対象の試料が透明性または準透明性を有することが必要であり、金属薄膜等の不透明な薄膜に対する膜厚測定には適用することができない。
【0005】
なお、基板上の薄膜の膜厚測定方法には、段差計、表面粗さ計、渦電流膜厚計等の接触式膜厚測定方法、静電容量式膜厚計、蛍光X線膜厚計、光干渉式膜厚計等の非接触式膜厚測定方法、光学顕微鏡、電子顕微鏡等の試料断面を観察する写真法等が挙げられる。
【0006】
接触式膜厚測定方法は、被測定物を傷つけるため、測定に使用された被測定物を製品として使用できないという問題を有しており、写真法も、被測定物の断面を観察する破壊検査であるため、同様の問題を有している。また、膜厚が1μm以下である場合は、接触式膜厚測定法及び写真法のいずれも、測定時又は試料調製時に、接触による弾性変形が発生し、正確な膜厚を測定できない可能性がある。
【0007】
非接触式膜厚測定方法においても、静電容量式膜厚計では、測定精度、測定分解能等に問題があり、蛍光X線膜厚計では、測定できる素材に制約が生じるだけでなく、膜厚が1μm近傍になると、測定精度の問題がある。
【0008】
このため、非接触、非破壊で測定精度の高い測定手法が望まれるが、この対応として、上記光干渉方式の原理を用いた膜厚計が用いられている。光干渉方式は、光学的測定であるから、物理的に接触すること無く、膜厚を測定できる利点を有している。しかしながら、上記したように試料が透明性を有する必要があることに加えて、試料表面が粗い場合、光散乱が多くなり、反射光量が弱くなる。このため、表面状態によっては、必要な測定精度が得られなくなり、測定できなくなる場合もある。
【0009】
以上述べた薄膜の膜厚測定においては、基板上に単層薄膜ではなく2層以上の多層薄膜における各層それぞれの膜厚測定を行うことが必要となってきている。
【0010】
この多層薄膜の膜厚測定方法には各種提案がなされている。例えば特開2005−037315では薄膜に光を照射し、その反射光の干渉現象を利用して薄膜上に塗布された薄膜の膜厚を非接触で測定する多層膜の膜厚測定である。さらに、特開2000−292141では蛍光X線を用いて多層膜構造を解析する方法が提案されている。特開平10−009829では基板上に設けられたそれぞれ光学定数の異なる複数の薄膜からなる多層薄膜の膜厚測定方法が提案されている。これは多層薄膜の分光反射率を測定し、測定結果をあらかじめ定められた標準値と比較し、測定結果と標準値との差異に基づいて各層の膜厚を求める多層薄膜の膜厚を測定するものである。
【0011】
このような多層薄膜の膜厚測定では、近年における多層薄膜の需要増に伴い、非真空環境下で簡便に或る一定の測定精度を保証しつつ各層薄膜の膜厚測定をより短時間で行うことができる方法が求められている。
【特許文献1】特開2005−037315号公報
【特許文献2】特開2000−292141号公報
【特許文献3】特開平10−009829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明により解決すべき課題は、真空環境でない環境下で多層薄膜に対して、各層の薄膜の膜厚を短時間にて測定可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による多層薄膜の膜厚測定方法は、基板上における膜厚測定対象が、光反射特性が相違する上層、下層少なくとも2層からなる多層薄膜に対してそれぞれの膜厚を測定する方法において、膜厚が共に既知である上層、下層両薄膜を透過することが可能な長波長光の光入射に対する光反射率のデータを長波長光基準データとして、また、膜厚既知である上層側薄膜を透過するが膜厚既知である下層側薄膜に対する光透過度が長波長光に比較して小さい短波長光の光入射に対する光反射率のデータを短波長光基準データとして持つ第1ステップと、膜厚測定対象となる上層、下層両薄膜への長波長光の光入射に対する光反射率の測定データを長波長光測定データとして、また上層側薄膜への短波長光の光入射に対する光反射率の測定データを短波長光測定データとして得る第2ステップと、長波長光における上記基準データと測定データとを比較し、また、短波長光における上記基準データと測定データとを比較して上記両薄膜の膜厚を演算する第3ステップと、を含むことを特徴とするものである。
【0014】
長波長光、短波長光における波長の関係は相対的であり、実験等により適宜に決定することができる。
【0015】
本発明によると、各層の薄膜の膜厚が既知である多層薄膜に対する長波長光による光反射率データは、上層、下層両層の薄膜の膜厚に依存して得られる。また、各層の薄膜の膜厚が既知である多層薄膜に対する短波長光による光反射率データは、主として上層側薄膜の膜厚に依存して得られる。
【0016】
したがって、これら両光反射率データは、上層、下層両薄膜の膜厚に対応した基準データとし、各層の膜厚が未知である多層薄膜に対する長波長光と短波長光それぞれによる光反射率の測定データが上記基準データに対応していると、各層の薄膜の膜厚が判る。
【0017】
以上から本発明による膜厚測定方法では、上記第1ステップないし第3ステップだけの測定ステップで実施するものであり、真空環境でない環境下でもって各層薄膜の膜厚の測定を短時間で行うことができる。
【0018】
本発明において、好ましい態様は、上記第1ステップにおける長波長光基準データは、長波長光の光入射に対する膜厚対光反射率の関係により得られる検量線であり、短波長光基準データは、短波長光の光入射に対する膜厚対光反射率の関係により得られる検量線であり、上記第2ステップにおいては、測定した長波長光と短波長光それぞれでの光反射率を上記各検量線に照合することで膜厚測定対象である薄膜の膜厚を測定する、ことである。
【0019】
本発明において、別の好ましい態様は、上記長波長光の波長域を可視光波長以上の波長域として、上記短波長光の波長域を可視光波長未満の波長域とすることである。
【0020】
本発明において、さらに別の好ましい態様は、上記可視光波長未満の波長域を紫外光波長域とすることである。
【0021】
本発明の方法では、上記膜厚測定対象となる薄膜の膜厚を、100nm以下とすることができる。さらには、上記膜厚測定対象となる薄膜の膜厚を、50nm以下、10nm以下、より極端には5nm以下、さらには3nm以下とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、多層薄膜における各層の薄膜の膜厚を短時間にて測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る多層薄膜の膜厚測定方法を説明する。なお、この実施形態ではカーボンナノチューブの触媒材料として基板に生成されるアルミニウム薄膜と鉄薄膜とを一例として挙げるが、もちろん薄膜としては実施形態にはなんら限定されず、例えば、透明材質によるコート層からなる光学系薄膜、光触媒物質を含む光触媒薄膜、磁性体薄膜、静電防止用薄膜、電磁波吸収用薄膜、反射用薄膜等をその他の薄膜の例として挙げることができる。
【0024】
図1は、基板S表面に上層側と下層側とにそれぞれ光反射特性が相違する2つの薄膜Lu,Ldからなる多層薄膜が設けられていて、この多層薄膜における上方から長波長入射光IN1と短波長光IN2とをそれぞれ光入射させ、長波長光IN1による基板表面からの長波長反射光OUT11、下層側薄膜Ldからの長波長反射光OUT12、上層側薄膜Luからの長波長反射光OUT13と、上層側薄膜Luを透過するが下層側薄膜Ldに対する光透過度が長波長光IN1に比較して小さい短波長光IN2による下層側薄膜Ldからの短波長反射光OUT21、上層側薄膜Luからの短波長反射光OUT22とを示す。
【0025】
そして、長波長入射光IN1の光量と、この長波長入射光IN1による長波長反射光OUT11、OUT12、OUT13それぞれの合計長波長反射光OUT1の光量との百分率(%)を長波長光光反射率データとして得る。
【0026】
また、短波長入射光IN2の光量と、この短波長入射光IN2による短波長反射光OUT21、OUT22それぞれの合計短波長反射光OUT2の光量との百分率(%)を短波長光光反射率データとして得る。
【0027】
以下、本実施の形態における膜厚測定方法を説明する。
【0028】
(第1ステップ)
そして、本実施の形態では、図2(a)で示すように基板S上において膜厚が共に既知であるtup,tdownの光反射特性がそれぞれ相違する上層側と下層側両薄膜Lu,Ldを透過することが可能な長波長光の光入射に対する長波長光光反射率データを長波長光基準光反射率データとして得る。また、同様に図2(b)で示すように膜厚が既知のtupである上層側薄膜Luを透過するが膜厚が既知のtdownである下層側薄膜Ldに対する光透過度が長波長光に比較して小さい短波長光の光入射に対する短波長光光反射率データを短波長光基準光反射率データとして得る。
【0029】
この場合、長波長光の波長域は、可視光波長以上の波長域であり、記短波長光の波長域は、可視光波長未満の波長域である、ことが好ましい。短波長光の波長域は、紫外光波長域がより好ましい。
【0030】
さらに上記では、長波長光基準光反射率データ、短波長光基準光反射率データとしては、各種膜厚に対して実施する。例えば、図2(c)で示すように、上層側薄膜Luの膜厚をtup1,tup2,…,tupn、下層側薄膜Ldの膜厚をtdown1,tdown2,…,tdownnで組み合わせる。この組み合わせは、tup1/tdown1,tup2/tdown2,…,tupn/tdownnであり、これら組み合わせにおける長波長光基準光反射率データDL、短波長光基準光反射率データDSとの組み合わせを得る。例えば、tup1/tdown1では(DL1,DS1)、tup2/tdown2では(DL2,DS2)、…、tupn/tdownnでは(DLn,DSn)である。
【0031】
こうした光反射率データは検量線としてデータベースに蓄積する。これら組み合わせは各種考えられ、例えば、tup1に対してtdown1〜tdwonn、tup2に対してtdown1〜tdwonn、…tupnに対してtdown1〜tdwonnがあり、それぞれの組み合わせで長波長光、短波長光を光入射させ、その光反射率データを基準光反射率データとし、長波長光の光入射に対する膜厚対光反射率の関係により得る検量線、短波長光の光入射に対する膜厚対光反射率の関係により得る検量線を長波長光基準光反射率データ、短波長光基準光反射率データとして得ることができる。
【0032】
(第2ステップ)
次いで、図3(a)で示すように膜厚測定対象として膜厚が未知のtupx,txdownの上層側と下層側両薄膜Lu,Ldへの長波長光の光入射に対する光反射率の測定データを長波長光測定光反射率データとして得る。同様に図3(b)で示すように上層側薄膜Luへの短波長光の光入射に対する光反射率の測定データを短波長光測定光反射率データとして得る。この場合、長波長光測定光反射率データと短波長光測定光反射率データをそれぞれ、DLx,DSxとして得ることができる。
【0033】
(第3ステップ)
そして、図4で示すように、長波長光基準光反射率データと長波長光測定光反射率データとを比較し、また、短波長光基準光反射率データと短波長光測定光反射率データとを比較して上記両薄膜Lu,Ldの膜厚tupx,txdownを演算する。この演算においては、第1ステップで得た上層側と下層側薄膜Lu,Ldそれぞれの既知の膜厚の組み合わせtup1/tdown1,tup2/tdown2,…,tupn/tdownnと、長波長光、短波長光光反射率基準データとの関係、tup1/tdown1では(DL1,DS1)、tup2/tdown2では(DL2,DS2)、…、tupn/tdownnでは(DLn,DSn)のデータベースに対して、上記第2ステップで得た長波長光測定光反射率データも短波長光測定光反射率データ(DLx,DSx)に該当するものがあるかどうかを演算し、その結果、例えば、該当するデータが(DL2,DS2)である場合、上層側薄膜Luと下層側薄膜Ldそれぞれの膜厚tupx,txdownは、tup2/tdown2であると演算することができる。
【0034】
この場合、測定した長波長光と短波長光それぞれでの光反射率を上記第2ステップで述べた検量線線に照合することで膜厚測定対象である薄膜の膜厚を測定することができる。
[実験例]
【0035】
薄膜を形成する基板としてシリコン基板を用いた。
【0036】
光反射特性が相違する薄膜として、上層側薄膜Luには、鉄薄膜、下層側薄膜Ldにはアルミニウム薄膜を用いた。
【0037】
長波長光として可視光波長範囲約360nmから830nmのうち800nm波長の可視光、下層薄膜Ldに対する光透過度が上記長波長光に比較して小さい短波長光として360nmより短い波長である紫外光のうち240nm波長の紫外光をそれぞれ用いた。
【0038】
上層側の鉄薄膜の既知膜厚として
tup1=10Å、tup2=40Å、tup3=20Å、tup2=18Å、
下層側のアルミニウム薄膜の既知膜厚として、
tdown1=15Å、tdown2=60Å、tdown3=30Å、tdown4=27Å
その組み合わせは
tup1/tdown1=10/15、
tup2/tdown2=40/60、
tup3/tdown3=20/30、
tup4/tdown4=18/27
である。
【0039】
そして、この組み合わせからなる多層薄膜による光反射率データは、
(tup1/tdown1=10/15)では
長波長光の場合の光反射率データDL1は33.9%、
短波長光の場合の光反射率データDS1は53.7%
(tup2/tdown2=40/60)では
長波長光の場合の光反射率データDL2は51.9%、
短波長光の場合の光反射率データDS2は49.0%
(tup3/tdown3=20/30)では
長波長光の場合の光反射率データDL3は38.3%、
短波長光の場合の光反射率データDS3は47.6%
(tup4/tdown4=18/27)では
長波長光の場合の光反射率データDL4は36.4%、
短波長光の場合の光反射率データDS4は47.7%
である。
【0040】
これを図5(a)で表に、また、図5(b)で検量線として棒グラフで示す。
【0041】
そして、膜厚が未知のtupxである上層側鉄薄膜と、膜厚が未知のtdownxである下層側アルミニウム薄膜との多層薄膜について長波長光による光反射率DLx、短波長光による光反射率DSxを測定できた。
【0042】
この光反射率の測定データ(DLx,DSx)を上記基準データ(DL1,DS1)、(DL2,DS2)、(DL3,DS3)、(DL4,DS4)と比較対照する。この比較対照の結果、(DLx,DSx)が例えば(DL3,DS3)であれば、鉄薄膜の膜厚tupxは、tup3=20nmであり、アルミニウム薄膜の膜厚tdownxはtdown3=30nmであると演算することができた。
【0043】
以上説明したように本実施の形態の測定方法では、図6のフローチャートで示すように、膜厚が共に既知である上層側と下層側両薄膜Lu,Ldを透過することが可能な長波長光の光入射に対する光反射率のデータを長波長光基準データとして、また、膜厚既知である上層側薄膜Luを透過するが膜厚既知である下層側薄膜Ldに対する光透過度が長波長光に比較して小さい短波長光の光入射に対する光反射率のデータを短波長光基準データとして持つ第1ステップと、膜厚測定対象となる上層側と下層側両薄膜Lu,Ldへの長波長光の光入射に対する光反射率の測定データを長波長光測定データとして、また上記上層側薄膜Luへの短波長光の光入射に対する光反射率の測定データを短波長光測定データとして得る第2ステップと、上記長波長光基準データと長波長光測定データとを比較し、また、短波長光基準データと短波長光測定データとを比較して上記両薄膜Lu,Ldの膜厚を演算する第3ステップと、を経て多層薄膜における各層の薄膜Lu,Ldの膜厚を短時間にて測定することができるようになる。
【0044】
なお、本発明における膜厚測定対象となる薄膜の膜厚は、100nm以下を含むことができるが、実験の結果では、上記膜厚測定対象となる薄膜の膜厚を、50nm、10nm、さらに極端には5nm以下、さらには、より極端には3nm以下までとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る多層薄膜への光入射と光出射との関係を示す図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態に係る膜厚測定方法における第1ステップの説明に用いる図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態に係る膜厚測定方法における第2ステップの説明に用いる図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態に係る膜厚測定方法における第3ステップの説明に用いる図である。
【図5】図5は実験により求めた膜厚既知の鉄薄膜とアルミニウム薄膜とによる長波長光、短波長光による光反射率データの測定結果を示す表図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態に係る膜厚測定方法における各ステップをフローチャートで示す図である。
【符号の説明】
【0046】
S 基板
Lu 上層側薄膜
Ld 下層側薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上における膜厚測定対象が、光反射特性が相違する上層側、下層側少なくとも2層からなる多層薄膜に対してそれぞれの膜厚を測定する方法において、
膜厚が共に既知である上層側、下層側両薄膜を透過することが可能な長波長光の光入射に対する光反射率のデータを長波長光基準データとして、また、膜厚既知である上層側薄膜を透過するが膜厚既知である下層側薄膜に対する光透過度が長波長光に比較して小さい短波長光の光入射に対する光反射率のデータを短波長光基準データとして持つ第1ステップと、
膜厚測定対象となる上層側、下層側両薄膜への長波長光の光入射に対する光反射率の測定データを長波長光測定データとして、また上層側薄膜への短波長光の光入射に対する光反射率の測定データを短波長光測定データとして得る第2ステップと、
長波長光における上記基準データと測定データとを比較し、また、短波長光における上記基準データと測定データとを比較して上記両薄膜の膜厚を演算する第3ステップと、
を含むことを特徴とする薄膜膜厚測定方法。
【請求項2】
上記第1ステップにおける長波長光基準データは、長波長光の光入射に対する膜厚対光反射率の関係により得られる検量線であり、短波長光基準データは、短波長光の光入射に対する膜厚対光反射率の関係により得られる検量線であり、
上記第2ステップにおいては、測定した長波長光と短波長光それぞれでの光反射率を上記各検量線に照合することで膜厚測定対象である薄膜の膜厚を測定する、ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜膜厚測定方法。
【請求項3】
上記長波長光の波長域は、可視光波長以上の波長域であり、上記短波長光の波長域は、可視光波長未満の波長域である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜膜厚測定方法。
【請求項4】
上記可視光波長未満の波長域が紫外光波長域である、ことを特徴とする請求項3に記載の薄膜膜厚測定方法。
【請求項5】
上記膜厚測定対象となる薄膜の膜厚は、100nm以下である、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜膜厚測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−250783(P2009−250783A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98969(P2008−98969)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(505044451)ソナック株式会社 (107)
【Fターム(参考)】