説明

多数のポリカーボネイトフィルムをラミネートする方法および装置

【課題】簡便な方法で良好なフィルム積層体を提供する。
【解決手段】 第1のフィルムを第2のフィルムに溶媒溶接するフィルム溶接装置が設けられている。フィルム溶接装置は、第1のフィルムを支持するように構成された可動支持面、第1のフィルムに対して第2のフィルムを押すように構成された押圧ローラ、および第1のフィルムと第2のフィルムとの間に溶媒を排出するように構成された溶媒ディスペンサを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム接合の分野に関する。特に本発明は、複数のポリカーボネイトフィルムを互いに接合する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネイトをポリカーボネイトあるいは他の基材に接合する代替的な方法が、現在フォトニクス産業において用いられている。エポキシおよびシリコーンといった幅広い範囲の接着剤製品がオプティクス産業用に開発されている。バリスティックガラス産業では、ガラスにポリカーボネイトを接合するのにウレタンも用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、少なくとも上記問題および/あるいは欠点を解決し、少なくとも以下に述べる利点を提供することである。特に本発明の目的は、簡便な方法で良好なフィルム積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、フィルム積層体は溶媒溶接技術を用いて作製される。このような積層体の一例はポリカーボネイトリターダ積層体である。溶媒は、高い引張強さを提供するものが開示され、基材間の光学的な界面を効果的に解消する。その結果、内部反射のないモノリシック構造が得られる。
【0005】
本発明のさらなる目的は、適切な動作時間を提供する溶媒の類を特定することである。典型的な溶媒はフィルムを一緒にまとめて効果的に溶接し、リターダの光学特性に重大な影響を及ぼすことなくモノリシック構造を提供する。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、少量の高価ではない溶媒を用い、クリーニングプロセスが不要であり、硬化プロセスが不要であり、またオートクレーブのような泡を除去するための長い後処理(感圧性接着剤について要求される)が不要な製造工程を特定することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、光学的に高いレベルの性能をもたらすプロセスを提供することである。多層の溶媒溶接された積層体では、基材間での鏡面反射および濁りは極めて低レベルであり、スループットを最大とし、かつ迷光を最小限とする。これに対して、許容レベルの性能を得るために、接着剤は基材によくマッチした屈折率を有する必要がある。
【0008】
また本発明のプロセスは、波面収差の少ない積層体を提供する。層間に実質的な光学的厚みを有する接着剤が存在しなければ、積層体を通過する光が最小限の収差しか有さないことが保証される。基材が十分に質の良いものであるとすると、10層から20層の積層体はフリースタンディングモードで使用し得るほど十分にフラットであり、堅い。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、耐久性の高いリターダ積層体を作製することである。リターダと接着剤とを交互に重ねた層ではなくポリカーボネイトのみを使う場合には、基材との接着剤融和性の問題と同様、基本的な接着剤の仕様もたいして重要ではない。接着剤を使用場合に留意する点には、粘着力、光学的透明性(典型的には青色光の吸収による)、照明により黄色になる傾向、濁り、屈折率、堅さ(すなわち、フィルム上のストレス)、環境的な特性、硬化するプロセス、および粘度が含まれる。これらのカテゴリーのそれぞれにおける要件のために、使用可能な製品の数は大きく減り、最終製品としての積層体についての条件を満足する製品がない場合もある。
【0010】
本発明では、基材間に他の物質がなければ、相互接着、熱膨張係数の差、および接着剤の基材を攻撃する(ひびを生じさせたり、割れさせたりする)傾向に関して留意する必要がなくなる。接着促進剤による処理やコロナ処理のような適度な接合強度を得るための表面処理もまた不要になる。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、第1のフィルム、および第1のフィルムに溶媒溶接されている第2のフィルムを有するフィルム積層体を提供することである。
【0012】
加えて本発明は、第1のフィルムを第2のフィルムに溶媒溶接するフィルム溶接装置を提供することを目的とする。この装置は、第1のフィルムを支持するように構成された可動支持面、第2のフィルムを第1のフィルムに対して押す押圧ローラ、および第1および第2のフィルムの間に溶媒を放出する溶媒ディスペンサを有している。
【0013】
さらに本発明は、第1のフィルムおよび第2のフィルムからフィルム積層体を製造する方法を提供することを目的とする。この方法は、第1のフィルムを支持する工程と、第1のフィルムに対して第2のフィルムを押す工程と、第2のフィルムを溶媒で第1のフィルムに溶媒溶接する工程とを包含する。
【0014】
本発明のさらなる効果、目的および特徴は、これより後の明細書に部分的に述べられており、また部分的にはこれより後の説明により当業者に明らかとなるであろうし、あるいは本発明の実施により得られこともある。本発明の目的および効果は、添付の特許請求の範囲の記載により実現され、得られる。
【0015】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【発明の効果】
【0016】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、簡便な方法で良好なフィルム積層体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
本発明はフィルム積層体に一般的に適用可能であるが、リターダフィルムの積層体に係る例を参照しながら本発明を説明する。
【0019】
リターダ積層体には、いくつものアプリケーションがあり、無色の複合リターダ、無色のローテータ、LCD補償、カラー偏光板、パッシブカラーフィルタ(RGB、CMY、カラー強調、およびカラーバランス)、シーケンシャルカラーフィルタ、積層パネル反射型/透過型ディスプレイ、および、フィルタリング偏光制御、偏光分散補償、ならびに遠距離通信分野においてゲインをフラットにするアプリケーション等を含むが、これらには限定されない。リターダ積層体を組み立てる1つの方法は、感圧型接着剤を使うことである。しかしながら、概して感圧型接着剤は、積層体を組み立てるのに最も安価な方法ではない。さらに感圧型接着剤は、その必要不可欠な機能には固有ではない数多くの問題をもたらし得る。
【0020】
感圧型接着剤は、およそ1.44から1.48の屈折率のアクリルである。ポリカーボネイトリターダフィルムは、通常1.59から1.60の屈折率を有する。この結果、付加されるそれぞれのフィルムは、約0.4%のパワー損失が生じる2つの界面を作り出すことになる。16層を含む積層体は単純反射による損失が6.2%になり、46層を有するシーケンシャルカラーフィルタでは損失は16.8%になる。これらの数値は、感圧型接着剤および基材の相対分散に依存して波長とともに変動し得る。
【0021】
反射に加えて、感圧型接着剤の不均質はいずれも濁りを生じさせ、これが損失を著しく増やしたり、偏光の程度を著しく低下させたりし得る。青色周波数域では、アスラミネート(as-laminated)フィルムは反射損失に匹敵する散乱成分を有し得る。オートクレーブは泡を除去するには有用であるが、大抵の場合著しい濁りが残る。反射やランダムな散乱による迷光は、数多くの方法で光学系の性能を低下させ得る。第1に、このような損失はどれもシステムのスループットに影響を与える。反射モードのシステムでは、分散された裏面反射もコントラストやダイナミックレンジを減らし得る。いくつかの層の積層体では多重反射による前方への光漏れが実際にはかなりになる。約10%(例えば20のフィルムでそれぞれが1/2%)の結合された第1反射が生じるとすると、屈折された10%のうちの10%の前方への反射が透過コントラストにおける損失の実質1%分に寄与する。
【0022】
例えば日東電工製の圧力感応型接着材料のような直視型アプリケーション用の圧力感応型接着材料の環境的な仕様は、投射型システムで用いられる圧力感応型材料よりも厳しくない。前者は、湿度、および湿度/温度という一般的な投射環境のテストを含まない。これとして、投射型で用いられる二軸延伸フィルムポリカーボネイト(NRZ)製品は接着剤なしで提供されなければならず、また、より耐性の高い接着剤が塗布されなければならない。現在、Polatechnoのような極めて少数のベンダーから提供される感圧型接着剤は、投射型の環境的な要件には適合しているようである。
【0023】
感圧型接着剤の他の効果は、各接着層の実質光学厚さに関連する。感圧型接着剤の厚さの不均一は、層の数とともに増える損失とともに、蓄積された波面の質の損失を生じ得る。
【0024】
最適なLCD補償のスキームは、低いF数で高いコントラストを提供するために連続した構造を必要とする。このような構造のかなり良好な近似は、少ない枚数のリターダフィルムを用いて達成され得る。しかし、液晶ポリマーフィルムの利用可能性を考えると、ポリカーボネイト補償スキームは同様のレベルの性能を得るためにはより洗練されていなければならない。このようなものとして、低損失、低コストで耐久性のある、積層リターダシステムを製造する方法が必要である。溶媒溶接は部分的なアセンブリをラミネートする魅力的な方法であり、これは外部の圧力感応型接着層とともに装置製造業者(偏光板を含む)に供給され得る。
【0025】
補償に加えて、色を生成するためにリターダフィルムを用いる数多くの新しいディスプレイのモードがある。反射モード積層パネルディスプレイは、ここにその全てが援用される米国特許5,990,996号に記載されているディスプレイのように、LCDパネルのどちらかの側に、それぞれのリターダが1つの加法の原色帯で動作するリターダ積層体を挿入することによって作製することができる。圧力感応型接着層のそれぞれからの反射は、得られることのできるコントラスト比を著しく減少させる。対照的に、溶媒溶接によって提供される屈折率がマッチした積層体は、得られるコントラスト比を大幅に向上させることができる。
【0026】
シーケンシャル投射システムでは、ここにその全てが援用される米国特許第5,990,996号に記載されているスイッチのような液晶ベースのカラースイッチが、回転フィルターホイールの性能に匹敵する性能(>90%)を提供しなければならない。このような装置は全体の性能を得るためにほぼ50枚のフィルムを有し得る。感圧型接着剤を用いると、そのフィルタはフィルタホイールとは競合し得ない。これは、LCセルを切り替えるのに必要な透明導電体からの不可避の損失を無視している。したがって溶媒溶接は、ゼロ反射積層体を提供するのに経済的に許容できる技術である。
【0027】
図1は、溶媒溶接によって作製されるフィルム積層体を示す。本例におけるフィルム積層体10は、第2のフィルム30に溶媒溶接された第1のフィルム20を含んでいる。図1および続く説明の大半は2枚のフィルムしか含まないフィルム積層体に関連しているが、いかなる実用的な枚数のフィルムを有するフィルム積層体をも作製することができることを理解されたい。例えば、図2は5枚のフィルム、すなわち、第1のフィルム20、第2のフィルム30、第3のフィルム31、第4のフィルム32、および第5のフィルム33を有するフィルム積層体10'を示す。
【0028】
2枚のフィルムを一緒に溶接するために多くの溶媒を用いることができるが、ストレスによるカールや濁りのない光学的接合(ひび/割れ目のない)を生じ、引張強さが高く、まだらやテクスチャー(ともにリタデーションおよび波面収差における)がなく、かつリタデーションにおけるリラクゼーションが顕著ではない溶媒が好ましい。溶媒の他の望ましい特徴は、健康に対する害が少なく、貯蔵および扱いに莫大なインフラストラクチャを必要としないことである。望ましい特性を有する溶媒における2番目の考慮事項は、単に焼くことによって完全なラミネートから余剰溶媒を容易に除去することができることである。
【0029】
結果として得られるフィルム積層体に影響を及ぼすパラメータの例は次のとおりである。すなわち、(1)溶媒のタイプおよび純度、(2)溶媒のショットサイズ、(3)溶媒の希釈タイプおよび濃度、(4)固形物(溶媒へのドーピング)のパーセンテージ/タイプ、(5)ラミネーションレート、(6)ラミネートローラの圧力、(7)ラミネートローラの直径、および(8)ラミネートローラの硬度である。
【0030】
溶媒溶接されたリターダフィルム積層体を作製する方法の例には、シングルローラシステムおよびダブルローラシステムが含まれる。シングルローラシステムの例を図3、図4および図5に示す。図6はダブルローラシステムの例を示す。シングルローラシステムでは、1つのローラが、フィルム積層体の蓄積を含むテーブルにフィルムを挟んでいる。ダブルローラシステムでは、1つのローラが移動され、2番目のローラは、例えばエアシリンダを用いて、ローラを一緒に挟んでいる。
【0031】
ダブルローラシステムを用いて、いくつかの溶媒を使用した2層のポリカーボネイトラミネーションの実験を日東電工製のフィルムを用いて行った。接合がゼロ希釈度/固体で形成されなかったために、溶媒が捨てられた例もいくつかあった。また溶媒がフィルムに接触すると光学特性に対して重大なダメージが生じた例もあった。このような溶媒は、動作時間を増加させるように希釈/固体が添加されれば、まだ使用可能であると考えられる。さらに他の例では、希釈されていない溶媒によって、リタデーションにおけるリラクゼーションがほとんどない強固な接合を得るような適切な動作時間が得られた。
【0032】
脂肪族炭化水素、アルコール、芳香族炭化水素、塩素化フルオロカーボン、アミン、エーテル、エステル、およびケトンを含むがこれらには限られないいくつかのファミリーの溶媒が考えられた。上記考察に基づくと、ケトンおよびエステルが好ましいと考えられた。
【0033】
メチルアミルケトン(MAK)およびメチルイソブチルケトン(MiBK)のようなより長鎖のケトンは、リタデーションにおける損失がほとんどなく、ラミネーションレートにも相対的に無反応である。他の溶媒であるMCL−9(メチルプロピルケトン、つまりMPK)は、リタデーションにおいてより顕著なリラクゼーションを生じ、相対的にアグレッシブである。また、MPKによるラミネートが最もまだらを示す。強固な接合を生じさせる他の溶媒には、アセトンおよびメチルエチルケトン(MEK)が含まれる。これらの両溶媒はよりアグレッシブであり、露出後にリタデーションの急速なリラクゼーションが見られる。さらに、長鎖ケトンよりも不均一をより形成しやすい傾向が見られる。引張強さは、これらの溶媒の両方とも高かった。エステル族の溶媒は望ましい特性を示す。エチルアセテートは強固な接合を形成するが、著しいリラクゼーションを示す。
【0034】
薄膜干渉ではなく偏光を利用して色分離を行うリターダ積層体は、ここにその全てを援用する米国特許5,751,384号に記載されている。ラミネートされた多層ポリカーボネイトフィルム(6〜20)は、理論的には損失がなく、優れた色特性をもたらすユニットを形成する。
【0035】
例として、図3に示すのと同様のカスタムシングルローラ溶媒溶接ラミネータを用いて16層の積層体を作製する。使用する溶媒はMAK(メチルアミルケトン)である。リターダは日東電工製のポリカーボネイトフィルムであり、広視野角884nm(NRZ)フィルムである。リターダは、ポリカーボネイト基材のどちらかの側に保護粘着マスクを備えた状態で供給される。積層体のそれぞれの層は約60ミクロンの厚さであり、442nmで2つのフルウェーブの額面上のリタデーションを有する。実際の平均値は440nmで計測され、1.5nmの標準偏差を有している。ラミネーションサイズのフィルム片は、35x40cmのダイカットシートあるいはロールから、適切な角度でカットされる。この角度は、信号処理アルゴリズムに基づいてカスタムソフトウェアを用いて生成される。材料の無駄を最小限にする積層体のデザイン(延伸に対して平行/垂直な小さな角度)は、生成される多くのデザインから選択される。
【0036】
ラミネーションサイズのフィルム片が一旦カットされて整理されると、粘着シートを除去する前あるいは後に、くずを取り除くために洗浄される。その後、クリーンなシートが溶媒溶接装置に入れられる。本例においては、ラミネートの寸法は65mmx165mmであり、角はフィルムのそりを防ぐために各シートでカットされている。溶媒の1回の付与量(ショットサイズ)は、MAK約0.0133ccである。ローラ圧は30psiであり、ローラ径は0.75"、ローラのジュロメータは55Shore Dである。
【0037】
図3は、溶接された積層体を縦方向に移動するフィルム溶接装置12の例を示す。フィルム溶接装置12において、可動支持面35は第1のフィルム20を支持しており、第2のフィルム30は第1のフィルム20に溶媒溶接される。第1のフィルム20は可動支持面35上に直接置かれることもできるし、複数のフィルムの上方のフィルム上に置かれることもできる。可動支持面35は、本例では堅いプレートであり、フィルム20(あるいは複数のフィルム)は縦方向に往復し、押圧ローラ50は縦方向においては静止したままであり、横方向に第2のフィルム30を第1のフィルム20に対して押す。第2のフィルム30は、フィルムデリバリー装置40によって押圧ローラ50まで搬送される。溶媒70は溶媒ディスペンサ80から第1のフィルム20上に放出される。可動支持面35が図3において下方向に動くと、第2のフィルム30はフィルムデリバリーシステム40によって押圧ローラ50に搬送される。ローラポジショナ60によって押圧ローラ50を通して横方向の圧力が第2のフィルム30に与えられる。溶媒70は、第2のフィルム30が第1のフィルム20に対して押されるコンタクトポイント(ニップ)90で第1のフィルム20上に放出されてもよいし、コンタクトポイント90から離れた第1のフィルム20上のある位置で放出されてもよい。
【0038】
好ましい実施形態においては、第2のフィルム30の溶接に必要な溶媒70の全てが第1のフィルム20上に1ショットで置かれ、溶媒だめ85を形成する。その後、可動支持面35の動きは所定の期間遅らされ、溶媒70が適切な時間第1のフィルム20と反応することができるように、所定のレートで進行する。下で論じるように、適切な遅延時間および移動レートは、溶媒がいかに積極的に第1のフィルム20を溶かすかに依存する。
【0039】
他の実施形態においては、可動支持面が動くとき、溶媒70は連続的に分配される。これらの実施形態では、可動支持面の移動レートおよび溶媒が出されるコンタクトポイント90からの距離は、溶媒がいかに積極的に第1のフィルム20を溶かすかに依存する。
【0040】
図3に示す例では、積層体を蓄積する支持面35として光学的にフラットなガラスプレートが用いられる。ガラスプレートは真空によって一次元DCサーボモータ移動ステージ36に保持されている。ローラマウント65は、溶接されるべき2つのフィルムを一緒にプレスするために用いられる押圧ローラ50を保持する。ローラマウント65は、ガラスプレートによって保持されているフィルムの表面から(あるいは第1のフィルムがガラスプレートに溶媒溶接されていればガラスプレート自体から)離れるように押圧ローラ50がわずかに動くことができるように、横方向の移動のためにマウントされている。このわずかな横方向の変位により、溶媒は放出された後にニップを横切って均一に広がることができる。
【0041】
積層体の波面収差は、フィルムがガラスプレートと第1のフィルムとの間にあるときは問題とならない。例えば、第1のフィルムをガラスプレートに保持し、第1層上の粘着シートをそのままにしておく弱い感圧型接着剤は波面の質を劣化させる。これらの問題を解決するために、第1のフィルムはガラスプレートに直接溶媒溶接される。プレートへの接着力は、続くラミネーション中に積層体の下に溶媒がしみださず、しかし積層体の完成後に積層体が容易に除去されることを確実にするのに十分である。積層体の作製が完了すると、ガラスプレートへの真空状態はカットされ、ガラスプレートと積層体とが取り除かれ、新しいクリーンなガラスプレートが挿入される。積層体はガラスプレートから容易に剥離され、焼くことにより溶媒を除去すべくオーブンに搬送される。使用されたガラスプレートは洗浄され、再度使用される。
【0042】
第1のフィルムの後、保護シートが次のフィルムの片側あるいは両側から取り除かれる。溶接中に次のフィルムの裏面に粘着マスクを残したままにしておく動機は、それを、擦り剥け、あるいは押圧ローラ上の残留溶媒から保護するためである。しかしながら、マスクの均一性、および付与されている質に依存して、溶接中にプリントスルーがフィルム上で生じ得る。例えば、マスクとフィルムとの間の空気の泡は、局所的な溶媒の分散および/または圧力分散を変化させ得る。不均一さのイメージは、フィルム上にプリントされ得、反射の際あるいは偏光ライトボックス内の色調の変化として明らかに視認することができる。好ましい溶接装置は、セルフクリーニング押圧ローラを有し、かつ/またはフィルム積層体の上から出てくる残留溶媒をなくならせる。
【0043】
図3に示される例では、フィルムデリバリー装置40が縦方向からおよそ45度の角度で、溶接されるべきフィルムを供給するように移動ステージ36と対向して取り付けられている。ローディング中には基準ガイド43がデリバリー装置40上に配置される。基準ストップ45はガラスプレートの直下に設けられている。理想的には、基準ストップ45の位置は開始位置で押圧ローラ50の軸と一致し、押圧ローラ50がシートの始めを押すことを可能にすることによって溶接開始時の歩留まりを最大にする。溶接装置が動作すると、フィルムを保持すべく真空状態に切り替えられ、ガイド43が引っ込められる。そして押圧ローラ50はフィルムの底をガラスプレート(支持面35)に対してはさみつける。
【0044】
溶媒ディスペンサを保持するアーム(例えばEFDによる)は、針75をニップの中心に位置させる。エアシリンダが針75をニップに押しやり、所定量の溶媒70が溶媒だめ85としてフィルム間(あるいは第1のフィルムとガラスプレートとの間)に放出される。溶媒が放出されると、第2のフィルム30がフィルムデリバリー装置40に対してスライドすることができるように、フィルムデリバリー装置40への真空状態はオフに切り替えられる。そして針75は、溶接の前に取り除かれる。溶媒70がニップをまたいで広がっていく所定の遅延時間の後、移動ステージ36は下方に移動し、ガラスプレート上の位置に保持されている第1のフィルム20に対してフィルムを押し付けている押圧ローラ50を超えて第2のフィルム30を引っぱり、その結果第2のフィルム30が第1のフィルム20に溶接される。遅延時間が長いと、溶媒だめ85にさらされるフィルムへのダメージがより大きくなる。フィルムデリバリー装置40の200〜500ミクロン上方に取り付けられているガイド42は、第2のフィルム30が押圧ローラ50の周りを移動する際に、第2のフィルム30を下方に保持する。ガイド42が取り付けられる位置がニップに近ければ近いほど、第2のフィルム30がガイド42から離れるのが遅くなる。第2のフィルム30が接合終了時にガイド42から離れるのが早すぎると、不均一あるいは不完全な溶接のために歩留まりは著しく低下し得る。
【0045】
溶接の終わりには、押圧ローラ50は引っ込められ、ローラマウント65が積層体から遠ざかるように動く。移動ステージ36が開始位置に戻ると、ロードサイクルが再び始まる。1つの溶接を完了するまでのサイクル時間は、本例では30秒を下回る。
【0046】
16層の積層を完了した後、ガラスプレートは溶接装置から除かれ、積層体はガラスプレートから剥がされる。そして積層体は、全ての残留溶媒を取り去るべく50度で1時間焼かれる。その後、積層体は光学的な質をテストされる。このテストには、例えば、スループット、ハーフパワーポイント、および補色スペクトルのそれぞれについてストップ帯域の光学的密度が含まれる。
【0047】
本発明の他の実施形態は、ほとんど溶接長/幅に制限がなく、溶媒の制御の度合いが高い好ましい大容量溶接装置である。このような装置の例を図4に示す。溶接部は、縦方向よりも横方向に動作させる方が好ましい。原則的に、フロントエンドフィルムの操作の多くは、単一のツールに組み合わせることができる。実用的な見地から、タスクを分離し、マニュアル操作と自動化された操作との様々な組み合わせを利用することがコスト的に有利であろう。いずれにせよ、プロセスのある一部分として、溶媒溶接を用いて多層の積層体を形成するようにリターダフィルムを急速に組み合わせるツールが含まれる。このツールは、ラミネーションのために矩形のシートを単に適切な角度に回転してもよいし、既に適切な角度にカットされた矩形のシートを受け入れてもよい。材料をロールから直接供給すればよいので、前者が最も単純である。しかし、産物として得られるのは事実上シートの全部分が重なる領域であり、これは比較的低くなり得る。
【0048】
搬入されるシートをカットし、あらかじめ整理し、粘着シートを除いておき、事前に洗浄しておくと、大容量溶接部の機能は、ある軸に沿って材料を繰り返し溶接するということになる。溶接時に粘着シートがローラ側に残っている場合には、自動化された粘着シート除去も組み込まれ得る。また、積層体作製の終わりには、新しいラミネーションプレートへの交換が、中断時間を最小限にするために自動化され得る。溶接部へのシートの供給は完全に自動化することができる。押圧ローラ50が引っ込められると、ベンディングガイド42は実質的にシートを底で曲げる。これにより、押圧ローラ50が下方に移動するときにシートは多層の部分には容易に挟まれ得る。押圧ローラ50が下方に動くと、可動支持面35(移動ステージに取り付けられている)が動き始める。おそらく、例えばインクジェットプリンタのヘッドの技術に基づいている連続溶媒ディスペンサ80'、溶媒のしみだし、細かい霧状のスプレイ、あるいはアプリケータ上のロールにより、ラミネートの長さ/幅を比較的大きくすることができる。ディスペンサ80'は、物理的には十分に押圧ローラ50に近いので、溶媒のダメージによって強いられる動作時間におけるいかなる制限にも対応することができる。これは放出ヘッドの物理的な寸法に影響を及ぼし得る。ラミネーションが完了すると、押圧ローラ50は引っ込められ、ステージは開始位置に戻り、新しいシートが溶接部に供給される。
【0049】
図5は本発明の他の溶接装置の例を示している。図5では、溶接装置14が第2のフィルム30を供給ロール100から供給ローラ110を通して実質的に横方向に供給する。供給ローラ110は第2のフィルム30に適度な張力を与え得る。図5には供給ロール100を示しているが、既にカットされた第2のフィルム30もまた図5に示す装置とともに用いられ得る。溶媒70は溶媒ディスペンサ80"によって第1のフィルム20に塗布される。
【0050】
図6は、ダブルローラ溶接装置16を示している。ダブルローラ溶接装置16において、図3、4および5に示した実施形態で用いられた支持面35の代わりに、支持ローラ37が用いられる。支持ローラ37は、押圧ローラ50が第2のフィルム30に圧力を与えて第1のフィルム20に押し付ける間に、第1のフィルム20を横方向に移動する駆動ローラである。溶媒70は、溶媒ディスペンサ80"によって第1のフィルム20に塗布される。図6には、フィルム積層体が横方向に移動するように配置された押圧ローラ50および支持ローラ37を示しているが、ローラ50および支持ローラ37は、図3に示すようにフィルム積層体が縦方向に移動するように配置されてもよいことを理解されたい。
【0051】
図7は、感圧型接着剤を用いて組み合わせた16層の積層体の出力を測定した結果を示す。図8は、同じく16層の積層体ではあるが、本発明による溶媒溶接を用いて組み合わせた積層体の出力の測定結果を示す。図7と図8とを比べると、溶媒溶接によって得られる透過の増加の例がわかる。
【0052】
上述した溶接装置において、溶媒だめ中の溶媒は、溶接長に沿ってリターダンスの小さなシフトを生じ得る。この作用は、原則的に、ラミネーション中の速度プロファイルを制御することで補償することができる(つまり開始時にラミネーションレートをより大きくする)。
【0053】
溶接プロセスからのリタデーションにおける小さいが制御されたリラクゼーションにより、製造上の許容誤差をある程度制御することができる。任意のフィルムのリタデーションの平均値における許容誤差が過剰である場合、溶接プロセスにおけるわずかな調整を、溶接されたリタデーション値の調整に用いることができる。このような方法は、カラー偏光板のハーフパワーポイントに関する厳しい仕様を提供するには有益であり得る。
【0054】
リタデーションの微調整を行う他の方法は、ラミネーション中にフィルムに面内ストレスを与え、それにより新しいリタデーション値で動かなくすることである。このような方法は、フィルムに張力が与えられている間に結合が即座に形成される溶媒溶接によく適合する。このようなプロセスにおいて、引っぱる方向はラミネーションの方向と同様であることが好ましいことに留意されたい。
【0055】
様々なファクターが溶接プロセスからの最大歩留まりに影響する。入ってくるリターダシートは、まずリタデーション値および均一性を調べられなければならない。粘着シートを除去した後に欠陥/含有物の調査も行われなければならない。リターダ積層体は、ダイカットシートあるいはロールのいずれかから作製される。原料が1つの寸法のみに限定されるので、歩留まりには後者が好ましい。典型的には、最終パーツは矩形であり、積層体はエッジに対してシステム内で好ましい向きを有する。これにより、歩留まりを最大にするためにシートをカットする際の任意のバイアス角の選択を排除する。この制約があるときは、歩留まりを最大にする第1のステップは、エッジに平行に群にされた小さい角度を有するデザインを選択することである。多くの場合、信号処理デザインソフトウェアは、同じインパルス応答を有するいくつものデザインを生成する。これらは幾何学的な歩留まりにしたがって整理される。幾何学的な歩留まりは、ラミネーションの細片がクロスウェブ方向に対して角度をなすように切断されるときに生じる根本的な損失に関係する。
【0056】
用いられている溶接プロセスに応じて、フィルムの切断はダイカッター、フラットベッドカッター、ロータリーカッター、あるいはスリッティングナイフを用いて行うことができる。これらのうちの1番目は専用のツーリングを有しており、2番目は新しいデザイン用に容易にプログラムすることができる。フラットベッドカッターは、ラミネーションサイズのフィルム片を直接カットし、より洗練されたカット(整合されたカット、リーダー)、およびシートをラベルすることができる。ロータリーカッターは連続切断から矩形のシートを作成する。細片はまず適当な角度に切断され、続いて必要であれば90度に切断される。実質的にダウンウェブであるカットには、スリッティングが好ましい。
【0057】
まず、幅Sのロールから幅wの細片がクロスウェブ方向に対して角度θでクロスウェブにカットされると仮定する。幾何学的な損失に関連する歩留まりは次式で与えられる。
【数1】

【0058】
これは幅広ウェブ、狭いラミネーション細片、および小さな角度を必要とする。角度が増えると、細片の使用可能な長さが増えるが、必要とされるリーダーもまた大きくなる。クロスウェブ方向あたりの小さな角度のときの歩留まりは、ダウンウェブ方向あたりの小さな角度のときの歩留まりとほぼ同じである。
【0059】
細片をカットした後、最小のラミネーション長は次式で与えられる。
【数2】

これは、細片の対角線が次式の角度でクロスウェブ方向に平行であるときに得られる。
【数3】

【0060】
これがラミネーション長として選択されると、この角度でカットされていない積層体のほかの全てのシートについて損失が生じる。この損失は、もしデザインが大きな角度のいくつかのフィルムを必要としているのであれば重大である。しかしながら、ラミネーション長の損失は、細片の長さがラミネーション長の整数倍であるような角度の全てについてはゼロである。
【0061】
損失の他の考えられる原因は、溶接ステップに関連する。溶接開始時のダメージは静止している溶媒だめから生じ得、溶接終了時のダメージはフィルムがガイドから離れるのが早すぎるときに生じる。エッジに沿った小さなダメージでさえも、各溶接の後に残る余剰溶媒から生じ得る。
【0062】
他の幾何学的な損失は、フィルム間の移行に起因する。この損失は、各角度で切断されたフィルムの数に逆比例し、したがって比較的小さい。さらに、移行による損失をより減少させるために、デザインがカットのために整理され得る。例えば、6.5°、−1.5°、5.4°、5.8°、−7.8°、20.0°、−12.0°、10.5°の角度を有するリターダ積層体デザインは、フィルムがカットのために扇状配置、すなわち1.5°、5.4°、5.8°、6.5°、7.8°、10.5°、12.0°、20.0°にレイアウトされるときに最小の損失を有する。ポリカーボネイトには感圧型接着剤は事前には塗布されていないので、フィルムはめくることができ、したがって角度の1つの符号のみを切断すればよい。1つのフィルムから次に行く際の移行損失は次式で与えられる。
【数4】

【0063】
約100個のラミネーション細片をそれぞれの角度にカットし、デザインを注意深く選択し、カットシーケンスを上述のようにしてレイアウトすると、この損失は非常に小さくなる。
【0064】
残る損失はダイカットの最後の部分に関連する。最小のダイカットの損失を有するパーツを整数個作製するようにラミネーション幅を選択するものと仮定する。ダイカットパーツは、その後、他の損失の代表的なものである欠陥の有無を調べられる。ダイカッターに代えてギロチンカッターを用いてもよく、これによると一連の一次元カットから矩形片が形成される。欠陥は、ラミネーション中のフィルム間にはさまるくずや、おそらく溶媒のはねに関連する。
【0065】
生成物に影響を与え得る他のステップには、パッケージング(ガラスへのマウント)やポリマーの反射防止コーティングが含まれる。ディップコーティングのような低温プロセスは、高品質の反射防止コーティングを作製することができ、十分な堅さの積層体をフリースタンディングモードで使用することを可能にする。
【0066】
ガラスへのマウントは、実質的にガラスとポリカーボネイト基材の中間の屈折率を有し、吸収や濁りのない接着剤を(理想的には)必要とする。この接着剤は(おそらく接着促進剤とともに)両基材に対して良好に接着しなければならない。接着剤は、(エラストマーのように)低ストレスでなければならず、プロセスは積層体を最後にストレスにさらさないようでなければならない。また結合は、接着剤が基材の熱膨張係数の差に起因するいかなるストレスを引き受けるのに十分な厚さでなければならない。差応力は、ARガラス/接着剤/PC積層体/接着剤/ARガラスのサンドイッチ構造を形成することで解消することができる。
【0067】
これまで説明した実施の形態および効果は例示的なものにすぎず、本発明を限定するべきものではない。本教示は他のタイプの装置にも容易に適用することができる。本発明の記載は例としての説明を意図しており、請求の範囲の範囲を限定するものではない。当業者には、多くの代替、改変および変形が明らかであろう。例えば、本発明はポリカーボネイトリターダ積層体の溶媒溶接を例に記載されているが、本発明は、いかなるタイプのポリカーボネイトフィルム、特に光学的なアプリケーションにおいて使用され得るポリカーボネイトフィルムを溶媒溶接するのに用いることができる。さらに、本発明は、他のタイプのフィルムを、溶接されるそのタイプのフィルムに適した溶媒を用いて溶媒溶接するのに使用することもできる。請求の範囲において、機能表現は記載された機能を行うものとしてここで説明された構造、および構成上の等価物だけではなく等価な構成を包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるフィルム積層体の一例を示す。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるフィルム積層体の第2の例を示す。
【図3】本発明の第2の実施の形態によるフィルム溶接装置および方法の一例を示す。
【図4】本発明の第3の実施の形態によるフィルム溶接装置および方法の一例を示す。
【図5】本発明の第4の実施の形態によるフィルム溶接装置および方法の一例を示す。
【図6】本発明の第5の実施の形態によるフィルム溶接装置および方法の一例を示す。
【図7】感圧型接着剤を用いて組み合わされたフィルム積層体の出力を測定した結果を示すグラフ。
【図8】本発明の実施の形態による,溶媒溶接により組み合わされたフィルム積層体の出力を測定した結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0069】
10、10' フィルム積層体
12、14、16 溶接装置
20 第1のフィルム
30 第2のフィルム
31 第3のフィルム
32 第4のフィルム32
33 第5のフィルム33
35 可動支持面
36 移動ステージ
37 支持ローラ
40 フィルムデリバリー装置
42 ガイド
43 基準ガイド
45 基準ストップ
50 押圧ローラ
65 ローラマウント
70 溶媒
75 針
80、80'、80" 溶媒ディスペンサ
85 溶媒だめ
90 ニップ
100 供給ロール
110 供給ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフィルムと、
前記第1のフィルムに溶媒溶接された第2のフィルムと
を備えているフィルム積層体。
【請求項2】
前記第1のフィルムは半透過フィルムであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体。
【請求項3】
前記第1のフィルムはポリカーボネイトフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体。
【請求項4】
前記第1のフィルムは光学フィルムであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体。
【請求項5】
前記第1のフィルムはリターダフィルムであることを特徴とする請求項4に記載のフィルム積層体。
【請求項6】
前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムはポリカーボネイトリターダフィルムであることを特徴とする請求項5に記載のフィルム積層体。
【請求項7】
前記第1のフィルム、前記第2のフィルムおよび前記フィルム積層体は光学特性を有しており、
前記第1のフィルムの前記光学特性は溶接前に第1のプレ溶接値を有し、
前記第2のフィルムの前記光学特性は溶接前に第2のプレ溶接値を有し、
前記フィルム積層体の前記光学特性は溶接後にポスト溶接値を有し、
前記ポスト溶接値は、前記第1のプレ溶接値と前記第2のプレ溶接値との和に実質的に等しいことを特徴とする請求項4に記載のフィルム積層体。
【請求項8】
前記光学特性はリターダンスであることを特徴とする請求項7に記載のフィルム積層体。
【請求項9】
前記光学特性は低波面収差であることを特徴とする請求項7に記載のフィルム積層体。
【請求項10】
前記光学特性は光効率であることを特徴とする請求項7に記載のフィルム積層体。
【請求項11】
前記第1のフィルムは、ケトンおよびエステルの一方によって前記第2のフィルムに溶媒溶接されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体。
【請求項12】
前記第1のフィルムは、メチルアミルケトンおよびメチルイソブチルケトンのいずれかひとつによって前記第2のフィルムに溶媒溶接されていることを特徴とする、請求項11に記載のフィルム積層体。
【請求項13】
第1のフィルムを第2のフィルムに溶媒溶接するフィルム溶接装置であって、
前記第1のフィルムを支持するための支持面と、
前記第1のフィルムに対して前記第2のフィルムを押すための押圧ローラと、
前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとの間に溶媒を放出する溶媒ディスペンサと、
を備えており、前記支持面および前記押圧ローラの一方は、前記支持面および前記押圧ローラの他方に対して移動可能であることを特徴とするフィルム溶接装置。
【請求項14】
前記溶媒ディスペンサは、前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムの間のコンタクトポイントに近接して前記溶媒を放出するように構成されており、前記コンタクトポイントは、前記押圧ローラが前記第2のフィルムを前記第1のフィルムに対して押す位置であることを特徴とする請求項13に記載のフィルム溶接装置。
【請求項15】
前記支持面はプレートの表面であることを特徴とする請求項13に記載のフィルム溶接装置。
【請求項16】
前記プレートは前記第1のフィルムを確実に保持するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のフィルム溶接装置。
【請求項17】
前記プレートは、取り外し可能に前記プレートに溶媒溶接されている前記第1のフィルムによって、前記第1のフィルムを確実に保持するように構成されることを特徴とする請求項16に記載のフィルム溶接装置。
【請求項18】
前記支持面は溶接中に横方向に動くことを特徴とする請求項13に記載のフィルム溶接装置。
【請求項19】
前記支持面の移動の速度は可変に制御されていることを特徴とする請求項13に記載のフィルム溶接装置。
【請求項20】
前記支持面の移動の前記速度は、前記溶媒の塗布レートの変動を補償するように制御されることを特徴とする請求項19に記載のフィルム溶接装置。
【請求項21】
前記第1のフィルムへの前記溶媒溶接中に前記第2のフィルムに張力を付与するテンショナーをさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載のフィルム溶接装置。
【請求項22】
前記第2のフィルムは前記押圧ローラに実質的に横方向に供給されることを特徴とする請求項13に記載のフィルム溶接装置。
【請求項23】
前記溶媒ディスペンサは、前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムの間のコンタクトポイントに近接して前記溶媒を放出するように構成されており、前記コンタクトポイントは前記押圧ローラが前記第1のフィルムに対して前記第2のフィルムを押す位置であることを特徴とする請求項15に記載のフィルム溶接装置。
【請求項24】
前記溶媒ディスペンサは、1ショットで前記溶媒を放出するように構成されており、前記支持面および前記押圧ローラの相対移動は、前記溶媒が放出された後、所定の期間遅延されることを特徴とする請求項15に記載のフィルム溶接装置。
【請求項25】
前記溶媒ディスペンサは前記溶接中に前記溶媒を連続して放出するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のフィルム溶接装置。
【請求項26】
前記支持面および前記押圧ローラの相対移動の速度は、可変に制御されることを特徴とする請求項15に記載のフィルム溶接装置。
【請求項27】
前記相対移動の前記速度は、前記溶媒の塗布レートの変動を補償するように制御されていることを特徴とする請求項26に記載のフィルム溶接装置。
【請求項28】
前記第1のフィルムに対する前記溶媒溶接中に前記第2のフィルムに張力を付与するテンショナーをさらに備えていることを特徴とする請求項15に記載のフィルム溶接装置。
【請求項29】
前記支持面は支持ローラの表面であることを特徴とする請求項13に記載のフィルム溶接装置。
【請求項30】
前記支持面および前記押圧ローラの相対移動の速度は可変に制御されることを特徴とする請求項29に記載のフィルム溶接装置。
【請求項31】
前記相対移動の前記速度は、前記溶媒の塗布レートの変動を補償するように制御されることを特徴とする請求項30に記載のフィルム溶接装置。
【請求項32】
前記第1のフィルムに対する前記溶媒溶接中に前記第2のフィルムに張力を付与するテンショナーをさらに備えていることを特徴とする請求項29に記載のフィルム溶接装置。
【請求項33】
前記溶媒ディスペンサは、前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムの間のコンタクトポイントに近接して前記溶媒を放出するように構成されており、前記コンタクトポイントは前記押圧ローラが前記第1のフィルムに対して前記第2のフィルムを押す位置であることを特徴とする請求項29に記載のフィルム溶接装置。
【請求項34】
前記溶媒ディスペンサは、前記溶媒を1ショットで放出し、前記支持面と前記押圧ローラとの相対移動は、前記溶媒が放出されたあと所定期間遅延されることを特徴とする請求項29に記載のフィルム溶接装置。
【請求項35】
前記溶媒ディスペンサは、溶接中に前記溶媒を連続して放出することを特徴とする請求項29に記載のフィルム溶接装置。
【請求項36】
第1のフィルムおよび第2のフィルムからフィルム積層体を製造する方法であって、
前記第1のフィルムを支持する工程と、
前記第1のフィルムに対して前記第2のフィルムを押す工程と、
前記第1のフィルムに前記第2のフィルムを溶媒を用いて溶媒溶接する工程とを備えるフィルム積層体製造方法。
【請求項37】
前記溶媒は、前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムの間のコンタクトポイントに近接して放出され、前記コンタクトポイントは、前記第2のフィルムが前記第1のフィルムに対して押される位置であることを特徴とする請求項36に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項38】
前記第1のフィルムはプレートの表面に支持されることを特徴とする請求項36に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項39】
前記第1のフィルムは前記プレートによって確実に保持されることを特徴とする請求項38に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項40】
前記第1のフィルムは前記プレートに取り外し可能に溶媒溶接されていることによって確実に保持されることを特徴とする請求項39に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項41】
前記溶媒は前記第1のフィルム上に1ショットで放出され、前記プレートは溶接中に前記プレートの移動が前記溶媒の放出後所定期間遅延されるように移動可能であることを特徴とする請求項38に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項42】
前記溶媒は溶接中に連続して放出されることを特徴とする請求項38に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項43】
前記第2のフィルムは押圧ローラによって前記第1のフィルムに対して押されることを特徴とする請求項36に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項44】
前記第1のフィルムおよび前記押圧ローラの一方は、溶接中に前記第1のフィルムおよび前記押圧ローラの他方に対して横方向に移動することを特徴とする請求項43に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項45】
前記溶媒は前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムの間のコンタクトポイントに近接して放出され、前記コンタクトポイントは前記第2のフィルムが前記第1のフィルムに対して押される位置であることを特徴とする請求項44に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項46】
溶媒溶接中の前記相対的な移動の速度は可変であり、清書されていることを特徴とする請求項44に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項47】
溶媒溶接中の前記相対的な移動の前記速度は、前記溶媒の塗布レートの変動を補償するように制御されることを特徴とする請求項46に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項48】
前記第1のフィルムに対する前記溶媒溶接中に、前記第2のフィルムに張力を付与する工程をさらに備える請求項44に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項49】
前記第1のフィルムは溶接中に前記押圧ローラに対して縦方向に移動することを特徴とする請求項43に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項50】
前記溶媒は前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムの間のコンタクトポイントに近接するように放出され、前記コンタクトポイントは前記第1のフィルムに対して前記第2のフィルムが押される位置であることを特徴とする請求項49に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項51】
溶媒溶接中の前記押圧ローラに対する前記第1のフィルムの移動の速度は可変に制御されることを特徴とする請求項49に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項52】
溶媒溶接中の前記押圧ローラに対する前記第1のフィルムの移動の前記速度は、前記溶媒の塗布レートの変動を補償するように制御されることを特徴とする請求項51に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項53】
前記第1のフィルムに対する溶媒溶接中に前記第2のフィルムに張力を付与する工程をさらに備えることを特徴とする請求項49に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項54】
前記第1のフィルムに対する溶媒溶接中に前記第2のフィルムに張力を付与する工程をさらに備えることを特徴とする請求項36に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項55】
前記第1のフィルムは支持ローラの表面に支持されることを特徴とする請求項36に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項56】
前記第2のフィルムは押圧ローラによって前記第1のフィルムに対して押されることを特徴とする請求項55に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項57】
前記溶媒は前記第1のフィルムおよび前記第2のフィルムの間のコンタクトポイントに近接するように放出され、前記コンタクトポイントは前記第2のフィルムが前記第1のフィルムに対して押される位置であることを特徴とする請求項55に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項58】
前記溶媒は前記第1のフィルム上に1ショットで放出され、前記支持ローラの前記表面は、前記支持ローラの前記表面の動きが前記溶媒の放出後所定期間遅延されるように移動可能であることを特徴とする請求項55に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項59】
前記溶媒は溶接中連続して放出されることを特徴とする請求項55に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項60】
溶媒溶接中の前記第1のフィルムの動きの速度は可変に制御されることを特徴とする請求項55に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項61】
溶媒溶接中の前記第1のフィルムの動きの前記速度は、前記溶媒の塗布レートの変動を補償するように制御されることを特徴とする請求項60に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項62】
前記第1のフィルムへの溶媒溶接中に前記第2のフィルムの張力を付与する工程をさらに包含することを特徴とする請求項55に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項63】
前記第2のフィルムは前記押圧ローラにシートとして供給されることを特徴とする請求項36に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項64】
前記第2のフィルムはリターダフィルムであり、フィルムのむだは、所望の溶接方向と前記シートの端との間のオフセット角を最小にする積層体デザインを選択することによって減少されることを特徴とする請求項63に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項65】
前記第2のフィルムは軸を有するフィルムロールから前記ローラに供給されることを特徴とする請求項36に記載のフィルム積層体製造方法。
【請求項66】
前記第2のフィルムはリターダフィルムであり、フィルムのむだは、所望の溶接方向と前記フィルムロールの前記軸に対して垂直な方向との間のオフセット角を最小にする積層体デザインを選択することによって減少されることを特徴とする請求項65に記載のフィルム積層体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−261277(P2007−261277A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136538(P2007−136538)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【分割の表示】特願2001−69415(P2001−69415)の分割
【原出願日】平成13年3月12日(2001.3.12)
【出願人】(500530580)カラーリンク, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】