説明

多板クラッチ用のディスクとその製造方法

本発明は、ディスク(19)及びその製造方法に関する。ディスクの摩擦を防ぐために、はすば歯車(30a、30b)が提供され、歯付きホイール対が同歯車装置で追加的に得られるように駆動装置の形式で具化される。シャフトのはすば歯車がディスクギヤの縁部領域を押しつぶすのを防止するために、ディスクの歯は、それらが前記はすば歯車に水平に作用するような形状にされる。1つの想定される用途は、一体伝動ラインの動力断接要素/センタデフの組み合わせシステムであり、動力断接要素の動作は主にディスクの歯とシャフトとの間の遊びの欠如に依存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段による多板クラッチのディスクと、請求項8に記載のその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図4の例示的実施形態はすでに動力断接要素として設計される多板クラッチを有する総輪駆動用ドライブトレインを示す。同特許文献1の図6の例示的実施形態は、トランスファクラッチとして設計される多板クラッチを示す。
【0003】
非特許文献1において、粘性クラッチとして設計される多板クラッチが示されている。この多板クラッチにおいて、ディスクは、それらの内縁部に歯を供えており、これらの歯は自動車の外歯付き伝動シャフトへの回転固定式の強制係止接続をもたらす。
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 273 473 A2号明細書
【非特許文献1】2003年2月12日付け、mot、第5巻、97ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多板クラッチの回転方向の遊びを僅少に保つことと、このような多板クラッチの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴によって、及び請求項1に従属する請求項8に記載の製造方法によってそれぞれ達成される。
【0007】
特に有利な方法において、多板クラッチ用の本発明によるディスクは、所定トルクピークにおいて多板クラッチの滑りが望まれる全てのセクターに動力断接要素として使用されても良い。そのような動力断接要素によって、多板クラッチに接続される構成要素は、過負荷の結果生じる損傷から保護できる。動力断接要素が自動車で使用されると、明らかに不快となる動力断接は、自動車の乗員から遠ざけられる。多板クラッチは、特に欧州特許出願公開第1 273 473 A2号明細書による動力断接要素として、又は欧州特許出願公開第1 238 847 A2号明細書による温度依存スリップトルクを有する動力断接要素として設計されても良い。これら2つの明細書の内容は、この明細書に包含されるものと考えられる。正確に規定されたスリップトルク及び動力断接要素の操作性には、ディスクと、それらのディスクを収容する回転体の位置決め歯との間の回転方向の遊びが僅かであることが重要である。理想的な場合、回転方向に遊びがない。技術的な問題で起こるこの回転方向の遊びは、かなりの程度まで、ディスクの歯と回転体の位置決め歯との間に形成する歯の遊びによる。本発明による多板クラッチ内の位置決め歯は、はす歯として設計されるので、はす歯上の縁部の線状接触が、構造に関わる厚みの板材から単に打ち抜かれるだけであるディスクに起こる。これらの縁部は、一方向の回転でのトルク伝達中に押しつぶされることになるので、永久塑性変形の結果、回転方向の遊びの許容範囲を超えることになり、動力断接要素の正確に規定された機能は、この許容範囲内である回転方向の遊びによって確保される。この不都合な効果は、動力断接要素が両方向の回転でトルクを伝達する場合には二倍になるので、ディスクの歯の縁部が両面で駆動される。この場合、動力断接要素は完全に故障してしまうことさえある。
【0008】
本発明によれば、特に有利な方法において、歯は回転体のはす歯と平面接触する。伝達されることになるトルクは、したがって、より大面積に分布されるので、ディスクの材料及びはす歯付き回転体の材料における両者の応力は僅かとなる。この場合、平面接触を可能にする考え得る形状の全てが可能となる。ここで特に有利であるのはディスクの歯のねじれである。しかしながら、歯を斜めに削成することも同様に可能である。材料の応力が平面接触の結果として僅かであるので、塑性変形が全く、特にディスクで起こらない。したがって、歯の遊びは、弾性回復後も一定のままであり、動力断接要素の機能性が、はす歯の利点にもかかわらず完全に確保される。
【0009】
歯とはす歯との間の平面接触は、特に歯幅全体にわたり行われる。この場合、歯面全体がはす歯と接触する必要はない。歯面の一区画が、はす歯と―特に全歯幅にわたり―平面接触状態となれば十分である。しかしながら、全歯面の平面接触は、ディスクの材料の特に低応力の利点につながる。
【0010】
特に有利な方法において、ディスクの歯元の応力はそこに提供された凹所によって防ぐことができる。凹所の半径の最適値を見つけることが必要である。この場合、歯先から歯元までの歯のねじれ角度は100%から0%まで振れても良い。ねじれ角度は均一に又は不均一に振れても良い。
【0011】
特に有利な方法において、欧州特許出願公開第1 273 473 A2号明細書による動力断接要素は、総輪駆動用ドライブトレインに使用できる。この場合、動力断接要素の働きは、プッシュプル変更中及びプルプッシュ変更中の動力断接を防止することである。本発明の特に有利な構成において、動力断接要素のディスクの歯は、回転体の駆動歯に回転固定式に噛み合う。この歯は次に、例えば総輪駆動用ドライブトレインの駆動トルクを伝達する他のギヤと噛み合う。駆動歯ははす歯として本発明により設計されるので、これは、関連の歯対用のはす歯には典型的な次の利点によって達成される:
−荷重下での均一の伝動を行うための高負担能力及び周速度、及び
−平滑な運動。
【0012】
ディスクの歯を収容するための駆動歯の使用の結果、個別の位置決め歯がディスクに不要となるので、製造及び費用に関する利点が得られる。
【0013】
総輪駆動用ドライブトレインで使用されると、本発明によるディスク又は多板クラッチは必ずしも動力断接要素として使用される必要がなく、むしろ欧州特許出願公開第1 273 473 A2号明細書の図6による制御可能なトランスファクラッチして設計されても良い。
【0014】
さらに、多板クラッチは、総輪駆動用ドライブトレインのセンタデフのセンタデフロックとして設計されても良い。センタデフのこのようなセンタデフロックは、例えばオフロード使用又は滑りやすい路面走行時に、前車軸と後車軸との間の剛結スルードライブを得るために三部材遊星伝動装置の2つのプラネット部材を接続する。特に有利な方法において、前車軸及び後車軸への駆動力配分は、このようなセンタデフロックの場合無段階に調整可能となる。このために、2つのプラネット部材間の多板クラッチ内で摩擦伝達された駆動トルクはディスクの接触圧力によって無段階に変更される。特に有利な方法において、このような無段階に調整可能なセンタデフロックは二重の機能となり、追加的に動力断接要素として設計できる。
【0015】
はす歯の結果として、回転方向により、軸方向の力が一方又は他方の軸方向のディスクに加えられる。例えば、多板クラッチが皿ばねによって一方の軸方向側から他方の軸方向側の固定隣接部に弾性的に押し付けられる場合、回転方向は多板クラッチのディスク間に異なる圧力を生成させる。弾性圧力手段の構造により、多板クラッチによって伝達できる最大トルクは、したがって、回転方向の関数として設定できる。動力断接要素を利用するには、このことは、プッシュプル変更中、多板クラッチがプルプッシュ変更中と異なる動力断接の大きさで滑ることを意味する。しかしながら、一方の軸方向側の弾性手段が極めて堅い、すなわち実質的に柔軟でないように設計される場合、多板クラッチの特性は実質的に両回転方向で同じになる。
【0016】
請求項8は、本発明によるディスクの製造方法を示す。この場合、ディスクの歯は、それらがこのディスクに割り当てられた回転体のはす歯の歯と平面接触する位置となるように曲げられる。この場合の曲げは、歯中心軸回りに行われることが好ましい。他の製造方法と比べて、曲げは、都合よく、材料を全く取り除く必要のない非常に費用効果の高い方法である。
【0017】
請求項10及び12は、材料の塑性変形後の弾性回復を製造工程において考慮に入れている製造方法の特に有利な構成を示す。
【0018】
本発明の他の利点は他の請求項、説明及び図面から得られる。
【0019】
本発明を総輪駆動用ドライブトレインに使用される例示的実施形態を参考にして以下で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、長手方向に装備された自動車用の総輪駆動用ドライブトレインの一部を示す。自動変速機1に加えて、総輪駆動用ドライブトレインは、装備状態で自動車の後部に向く伝動出力シャフト2を有する。この伝動出力シャフト2はセンタデフ3の入力シャフト6を形成する。
【0021】
自動変速機1は、横出力7用の一体形成された軸受ハウジング5を備えた変速機ハウジング4を有するので、自動変速機1は総輪駆動タイプへの「追加方式」に従って費用効果的に高く使用できる。
【0022】
このような総輪駆動タイプにおいて、純粋の後輪駆動タイプと比べて延長された変速機出力シャフト2又は入力シャフト6は、駆動トルクの第1の分が後車軸変速機に伝達されるようにセンタデフ3と後駆動カルダンシャフトを介して後車軸変速機のピニオンシャフト(さらに詳細に図示せず)に接続される。駆動トルクの第2の分は、
− センタデフ3、
− 駆動ピニオン8、
− 出力ピニオン9、
− 横出力7のカルダンシャフト10、及び
− 前車軸変速機のベベルピニオンシャフト(さらに詳細に図示せず)
を介して入力シャフト6によって前車軸に伝達される。
【0023】
センタデフ3によって、出力トルクを前車軸変速機及び後車軸変速機に分配でき、さらに速度差を補正できる。
【0024】
横出力7のカルダンシャフト10は、ドライブトレインの長手方向軸11に対し約8゜の角度だけ水平方向に回転される。横出力7のカルダンシャフト10は、ドライブトレインの長手方向軸11に対し約4゜の角度だけ垂直方向に回転される。
【0025】
横出力7は、2つのギヤによって、正確には駆動ピニオン8と駆動ピニオン8と噛み合う出力ピニオン9とによって、形成される。駆動ピニオン8は、センタデフ3のサンギヤと一体に設計される中空シャフト12に回転固定式に接続される。伝動出力シャフト2及び入力シャフト6はこの中空シャフト12内部を通っている。出力ピニオン9は、軸受ハウジング5内にx状に配置した規定のテーパ付きころ軸受によって取り付けられる基本的には中空の外歯付きシャフトである。
【0026】
水平角度及び垂直角度(さらに詳細に図示せず)を付与するために、カルダンシャフト10は、自在継手によって出力ピニオン9の半径方向内部に自在に配置される。さらに、走行方向の前部、すなわち、その他端において、カルダンシャフト10は他の自在継手によって前車軸変速機のベベルピニオンシャフトに自在に連結される。
【0027】
総輪駆動用ドライブトレインにおいて、駆動ピニオン8とそれと噛み合う出力ピニオン9とは、それぞれすぐばかさ歯車として設計される。カルダンシャフト10は、走行方向の右手にある駆動機関(さらに詳細に図示せず)側に配置される。
【0028】
さらに、総輪駆動用ドライブトレインはセンタデフ3用の制御可能なデフロック13を有し、このデフロック13は、動力断接要素又はフリクションクラッチとして追加的に設計される。デフロック13は、自動変速機1と駆動ピニオン8との間にその自動変速機1に直接隣接して配置される。
【0029】
デフロック13は多板クラッチ14を有し、それによって
− 中空シャフト12又は
− 中空差動歯車装置3のサンギヤ又は
− 駆動ピニオン8を回転固定式に又は摩擦トルク伝達方式で
− 伝動出力シャフト2又は
− 入力シャフト6又は
− センタデフ3のリングギヤに摩擦連結できる。
【0030】
デフロック13の2つのクラッチ半分割部15、16の間で伝達される摩擦トルクを調整するために、2つのクラッチ半分割部15、16は、環状調整ピストン17によって互いに軸方向に押圧できる。この場合、調整ピストン17は、変速機ハウジング4の一方の側と、第1のクラッチ半分割15のディスク18上の軸方向転がり接触軸受を介して他方の側とで軸方向に支えられる。前方に向く方向に交互に軸方向にこのディスク18の次に来るのは、2つのクラッチ半分割部15、16の他方のディスクであり、隣接ディスク20は第2のクラッチ半分割部16の最後のディスク19に隣接し、この隣接ディスク20は支持ポット21に軸方向に当接し、この支持ポット21はスプラインシャフトの歯によって回転固定式に変速機出力シャフト2に接続される。この支持ポットは、回転体21として設計され、変速機出力シャフト2の段で軸方向前方に向く方向に支えられるので、調整ピストン17の係合が解除されると、デフロック13の全ディスクは変速機ハウジング4と変速機出力シャフト2との間の力の流れが抑止される。変速機出力シャフト2への回転固定式接続用のスプラインシャフト内歯95に加えて、支持ポット21は第2のクラッチ半分割部16のディスクへの回転固定式及び軸方向可動接続用の内歯94を有する。このために、第2のクラッチ半分割部16のディスクは、それらの外縁領域において、支持ポット21の内歯に噛み合う外歯を有する。支持ポット21の内歯は、はす歯として設計される。第2の連結半分割部16のディスクの外歯の歯はこのはす歯と平面接触している。このために、これらのディスクの歯は、図4に見られるディスクのものと同様にそれらの歯の中心軸回りに77.7゜の角度だけねじれている。
【0031】
内縁領域において、第1のクラッチ半分割部15のディスクは、スプラインシャフトの歯によって回転固定式に中空シャフト12の前端部に配置される外部はす歯付きソケット22に強制係止してトルクを伝達する内歯を有する。ソケット22は、回転体を形成し、軸方向係止リングで変速機出力シャフト2の前端部における一方の側で支えられる。他方の側で、ソケット22は、駆動ピニオン8を担持するテーパ付きころ軸受の軸受内部リングで支えられる。ソケット22の外歯ははす歯として設計される。第1のクラッチ半分割部15のディスクの内歯の歯は、このはす歯と平面接触している。このために、歯は図2〜4に見られるように設計される。
【0032】
図2は、互いに同じように設計される、第1のクラッチ半分割部15のディスクの例としての1つのディスク19を示す。半径方向外部には環状摩擦表面が両面に提供され、オイルガイド溝を有する。半径方向中心領域において、ディスクは、周方向湾曲細長穴を有する。内歯は内縁領域に配置され、その歯はねじれている。
【0033】
図3はディスクの細部を示す。図4はドライブトレインの長手方向軸11又はドライブトレインの長手方向軸11と一致する回転軸99から見た内歯の歯の図を示す。この場合の歯は歯中心軸98回りにねじられるので、角度α=77.7が歯先端部の側縁部において回転軸99と接線97との間で画定される。その結果、歯面30a、30bは外部はす歯付きソケット22の歯面と平面接触する。したがって、ソケット22のはす歯は、αに対応する角度を有するので、ディスク19の歯の歯面30a、30bはソケット22のはす歯の歯面と平行に延びる。
【0034】
第2のクラッチ半分割部16のディスクは、第1のクラッチ半分割部と同様に対応して適合、及び設計される。重要な違いは、歯がディスクの外縁部にあることだけである。特に、第2のクラッチ半分割部のディスクの外歯の歯のねじれは、ディスク19の内歯のねじれに対応する。
【0035】
図5は、内歯付きディスク100を基準にしたディスクの歯の代替構成の細部を示す。この場合、円形凹所104が、それぞれ2つの歯101間の歯元に提供される。ここでは、各歯は段102に至るまでは中心軸198回りに前記77.7゜だけねじられ、その段102から凹所104が拡がる。ねじれの角度はゆえにこの点から連続的に減少するので、凹所104の根元103においてはもはやいかなるねじれもない。つまり、ディスク100の半径方向外部環状領域の表面は回転軸に対して垂直又は90゜をなす。取り付けた状態において、段102に至る歯面だけがはす歯付きシャフト又は第1の例示的実施形態によるソケット22の外歯と接触する。ディスクの作動中のトルク伝達時の高応力は、凹所104の半径長で緩やかに低減されるので、応力亀裂が歯元で起こらない。
【0036】
図1による例示的実施形態の多板クラッチは、追加的に動力断接要素として設計される。このような動力断接要素は、独国特許第101 11257.2に記載のように、プルプッシュ変更やプッシュプル変更時に動力断接を緩和する。クラッチ半分割部15、16の互いに対する接触圧力が調整ピストン17によって自在に設定できるという事実のため、動力断接要素の滑りトルクもまた自在に選択可能である。例えば、滑りトルクは、自動車運転者がボタン「オフロード」又は「冬季」を押したかどうかにより設定できる。同様に滑りトルクは、車速、現在伝動比の関数として又は自動車が雨で濡れた路面を検出するかどうかにより設定できる。特に、滑りトルクの無段階の設定が可能である。
【0037】
図6は、他の例示的構成における、動力断接要素213を有するセンタデフ203を有する総輪駆動用ドライブトレインを示す。センタデフロックはこの例示的構成には提供されないが、そのようなセンタデフロックは、動力断接要素213と同領域にあるいは図1による設置に従って提供される。以下の説明において、図1による第1の例示的構成と基本的に同構造のものである構成要素についてはさらに詳述しない。センタデフ203のサンギヤ250は3つの機能がある。サンギヤ250は、
− センタデフ203から前車軸用の駆動トルクの一部を受け、
− 動力断接要素213の内部ディスク218の内歯を、この内歯の歯がサンギヤ250の駆動はす歯294と平面接触するように、収容し、
− 駆動ピニオン251用の軸方向ストッパを形成する。
【0038】
半径方向外部領域において、内部ディスク218は予め圧縮応力を掛けた皿ばね299によって外部ディスク219に対して予め軸方向に圧縮応力が掛けられる。この場合、内部ディスク218は、サンギヤ250に対して回転固定式及び軸方向可動にされるが、外部ディスク219はセンタデフ203のプラネットキャリヤ252に対して回転固定式及び軸方向可動にされる。このために、外部ディスク219の外歯はプラネットキャリヤ252の内歯と噛み合う。この接続は、平歯として或いははす歯として設計されても良く、はす歯の場合の外部ディスク219の歯はプラネットキャリヤ252の内部はす歯と平面接触する。前記予め圧縮応力を掛けた皿ばね299も欧州特許出願公開第1 238 847 A2号明細書にしたがって設計されても良いので、動力断接要素の滑りトルクは温度依存的となる。特に内部ディスク218は図5による凹所を有するように設計されても良い。
【0039】
変速機は任意の所望変速機であっても良い。例えば、それは:
− 遊星自動変速機、
− 自動副軸変速機、
− ツインクラッチ変速機、
− 手動式変速機、
− 無段変速機、又は
− トロイダル変速機であっても良い。
【0040】
本発明によるディスクはセンタデフに限定されない。これらのディスクは、なかでも、後車軸及び/又は前車軸のデフのデフロックに使用するのにも適している。本発明によるディスクは、例えば、遊星自動変速機又はツインクラッチ変速機のような、自動変速機の多板クラッチ/ブレーキにも適している。本発明によるディスクは、例えば無段変速機の、バックギヤ用の遊星逆転セットにも同様に使用される。
【0041】
しかしながら、非公告独国特許第101 11 257.2号明細書に記載されるように、多板クラッチは温度の関数として動力断接を抑止する動力断接要素として設計されても良い。
【0042】
カルダンシャフトは継手のない側方シャフトとして構成されても良い。
【0043】
回転体は必ずしも回転対称である必要もなく、クラッチにおいて、2つのクラッチ半分割部の間での相対的回転だけが機能するのに不可欠であるので、むしろ他の所望形状を有しても良い。なかでも、2つのクラッチ半分割部の一方が、例えば、ハウジングに固定されたブレーキ構成要素のような、静止構成要素である場合、回転対称の形状はゆえに無くても良い。
【0044】
ディスク又は多板クラッチは目的とした自動車での使用に限定されない。他の分野、特に機械製造での使用も考えられる。例えば、工作機械又は製造機械の変速機又はフリクションクラッチへの使用も考えられる。
【0045】
説明した実施形態は単に例示的な構成である。説明した特徴の組み合わせは、異なる実施形態でも同様に可能である。本発明に属する装置部品の、他の特徴、特に説明しなかった特徴は、図面に示された装置部品の配置から収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】多板クラッチを有するセンタデフロックを備えた総輪駆動用ドライブトレインを示す。
【図2】多板クラッチ内に使用されるディスクを示す。
【図3】図2の細部IIIを示す。
【図4】ディスクの歯付き内縁部の図を示す。
【図5】内歯付きディスクを基準にしたディスクの歯の代替構成の細部を示す。
【図6】動力断接要素を有するセンタデフロックを備えた総輪駆動用ドライブトレインの他の例示的構成を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁部領域に歯を有し、その歯を用いて強制係止して回転体(ソケット22、サンギヤ250)の歯(94、294)にトルクを伝達できる、多板クラッチ(13、213)用のディスク(18、218)であって、
前記歯が前記回転体(ソケット22、サンギヤ250)のはす歯と平面接触して配置されることを特徴とする多板クラッチ用ディスク。
【請求項2】
前記回転体(サンギヤ250)の前記はす歯が駆動歯(294)であることを特徴とする請求項1に記載の多板クラッチ用ディスク。
【請求項3】
前記歯が前記ディスク(18、218)の内歯の縁部領域に配置され、同内歯が外部はす歯付きシャフト(ソケット22、サンギヤ250)に強制係止してトルクを伝達することを特徴とする請求項1あるいは2のいずれかに記載の多板クラッチ用ディスク。
【請求項4】
凹所(104)が前記ディスク(100)の前記歯間に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多板クラッチ用ディスク。
【請求項5】
ねじれの角度が歯の先端から前記凹所(104)まで延びることを特徴とする請求項4に記載の多板クラッチ用ディスク。
【請求項6】
前記ディスク(18、218)が自動車のトランスファケース(センタデフ3、203)の、又は差動歯車システムの3つのセンタデフ部品(サンギヤ又はプラネットキャリヤ又はリングギヤ)の2つを接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の多板クラッチ用ディスク。
【請求項7】
前記多板クラッチが動力断接要素(213)を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の多板クラッチ用ディスク。
【請求項8】
前記歯が曲げられる請求項1〜7のいずれか一項に記載のディスクの製造方法。
【請求項9】
前記ディスクの前記歯が2つの対応するダイ間に前記ディスクを押し付けることによって曲げられ、同ダイが前記ディスクのねじれ角にプレス成形するための成形部分を有することを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記成形部分が前記ディスクのねじれ角よりも大きな角度を有することを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ディスクのねじれ角は、打ち抜きディスクがはす歯付きツールを介して引き抜かれることによって付与されることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ツールのはす歯のねじれ角が前記ディスクのねじれの角度のねじれ角よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−533913(P2007−533913A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520757(P2006−520757)
【出願日】平成16年7月17日(2004.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008001
【国際公開番号】WO2005/012750
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】