説明

多段スイッチ

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される多段スイッチに関し、押圧による押込み量を反映した多様な操作を行いうるものを提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチ回路となるプッシュスイッチ22がONした後さらに操作板32が下方へ変位したことを電界の放射および吸収により検出する変位検出回路281を設けるもので、変位検出回路281により操作板32の押込み量を検出することが出来るため、押込み量を反映した多様な操作を行いうる多段スイッチ40を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられる多段スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のカーナビゲーションシステムやオーディオシステムなどの操作には、パネルの上面等に表示された複数のスイッチ部を押圧操作する多段スイッチをステアリングホイールなどに取り付けられたものが広く用いられている。
【0003】
このような従来の多段スイッチについて、図7および図8を用いて説明する。
【0004】
図7は従来の多段スイッチの断面図、図8は同分解斜視図であり、同図において、配線基板1上面には、マイコンなどの制御回路2、LEDなどの発光素子3、プッシュスイッチ4が実装され、配線基板1上下面の配線により発光素子3、プッシュスイッチ4が制御回路2に接続されている。
【0005】
また、配線基板1上方に樹脂製の保持板5が設けられ、保持板5の上方に同じく樹脂製の可動板6が配置されている。そして、配線基板1、保持板5、可動板6は、下カバー7上に配置される。
【0006】
ここで、保持板5には複数の貫通孔5Aが、可動板6にも貫通した透過窓6Aが設けられ、発光素子3からの光が通過するよう構成されている。
【0007】
また、棒状の軸8が可動板6の一端に挿入され、下カバー7に設けられた軸受7Aに軸8の両端が保持され、可動板6が軸8を支点として傾動可能に構成されている。また、この可動板6の傾動によりプッシュスイッチ4が押圧され、ON/OFFの切替が可能な構成となっている。
【0008】
そして、可動板6に設けられた透過窓6Aの上方にタッチセンサ9が配置され、タッチセンサ9の上方には表示板10が配置される。なお、このタッチセンサ9から延出した配線ケーブル9Aは配線基板1の制御回路2に接続され、制御回路2でタッチセンサ9が操作者に押圧検知されたことを検知可能なよう構成されている。
【0009】
また、表示板10には複数の操作部10Aが設けられると共に、操作部10Aの近傍には透光部10Bが設けられている。
【0010】
そして、上カバー11が表示板10を孔部11Aから露出させるよう覆って、多段スイッチ15が構成されている。
【0011】
このように構成された多段スイッチ15は車両のステアリングホイール(図示せず)上面に表示板10を露出させて配置されると共に、車両のエアコンやオーディオシステムを制御する制御機器(図示せず)に接続される。
【0012】
そして、操作者が表示板10上の複数の操作部10Aから一つを触れるように操作すると、タッチセンサ9の押圧位置を制御回路2が検出すると共に、制御回路2が操作した操作部10Aに対応した発光素子3を発光し、操作した操作部10A近傍の透光部10Bが発光する。そして、さらに操作者が表示板10を押し込むと、可動板6が傾動し、プッシュスイッチ4がONして、制御回路2は、多段スイッチ15に接続された制御機器に操作した操作部9Aに対応した信号を出力する。
【0013】
つまり、多段スイッチ15は操作部10Aに接触すると検出されるタッチセンサ9と、更に押し込んでONするプッシュスイッチ4で二段のスイッチを構成しており、一つのタッチセンサ9と一つのプッシュスイッチ4を用いた簡易な構成で複数の操作部10Aのいずれが押圧操作されたか検知可能なものであった。
【0014】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−135059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記従来の多段スイッチ15においては、タッチセンサ9とプッシュスイッチ4を用い、二段階の押圧状態を検出することが出来たが、多段スイッチ15に接続される制御機器の機能は複雑になってきており、従来の多段スイッチ15では、制御機器に対し多様な制御をさせることが困難になってきている、という課題があった。
【0017】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、押圧による押込み量を反映した多様な操作を行いうる多段スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0019】
本発明の請求項1記載の発明は、スイッチ回路がONした後さらに操作板が下方へ変位したことを電界の放射および吸収により検出する変位検出回路を設けるもので、変位検出回路により操作板の押込み量を検出することが出来るため、押込み量を反映した多様な操作を行いうる多段スイッチを提供することができるという作用を有する。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、電界の吸収を検出する補正電極をさらに備え、制御回路が変位検出回路で吸収された電界の量を補正電極で吸収した電界の量で補正し、操作板の変位を認識するもので、多段スイッチ外部からの電磁ノイズの影響を低減することが出来るため、検出精度の高い多段スイッチを提供することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、押圧による押込み量を反映した多様な操作を行いうる多段スイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による多段スイッチの分解斜視図
【図2】同多段スイッチの断面図
【図3】同多段スイッチの動作状態を示す断面図
【図4】同多段スイッチの動作状態を示す断面図
【図5】表示機器の画面図
【図6】本発明の一実施の形態による多段スイッチの上面図
【図7】従来の多段スイッチの断面図
【図8】同多段スイッチの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0024】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0025】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による多段スイッチの分解斜視図、図2は同断面図であり、同図において、上下面に配線パターンが形成された略円形の配線基板21の上面には、略中央にプッシュスイッチ22が配置され、プッシュスイッチ22を挟んで左右に固定電極23A、補正電極23Bが配置されている。なお、プッシュスイッチ22は特許請求の範囲に記載したスイッチ回路の一形態である。
【0027】
ここで、プッシュスイッチ22は押圧すると節度感が生じてONし、離すとOFFに自動復帰するスイッチである。また、固定電極23A、補正電極23Bは共に円形の電極を環状の電極で囲んで形成されている。
【0028】
また、配線基板21の下面にはマイコン等の半導体素子で構成された制御回路24が配置され、制御回路24の左側にコネクタ25が配置されている。そして、これらのプッシュスイッチ22、固定電極23A、補正電極23B、コネクタ25は配線基板21の配線パターンを介して制御回路24に電気的に接続されている。
【0029】
そして下面開口の円柱箱状の固定カバー26は、同じく下面開口の円柱箱状の可動カバー27に嵌合し、さらに電極基板28が可動カバー27に対し一体となり、可動カバー27と電極基板28が、固定カバー26上で上下動可能なように構成されている。
【0030】
ここで、固定カバー26は、左右側面に断面視台形状に突出したガイド部26Aを備えており、それぞれのガイド部26Aの上面には角孔26Bが設けられている。また、固定カバー26の上面の中央に円孔26Cが、円孔26Cの右側に角孔26Dが設けられている。
【0031】
また、可動カバー27の内壁の左右両端にはガイド部26Aと対向して、ガイド溝27Aが設けられている。さらに固定カバー26と嵌合させた際に左右の角孔26Bの上方に相当する位置に角孔27Bが設けられている。そして、可動カバー27の内側に、略中央に設けられた円柱状に突出した押圧部27Cが、押圧部27Cの右方には略直方体状に内側に突出した突部27Dが設けられている。
【0032】
また、電極基板28は、中央に略円形のセンサ部28Aを、その左右に帯状の配線部28B、28Cを備えたフレキシブルプリント基板である。ここで、配線部28Bの先端には複数の端子が露出した端子部28Dを備えている。また、配線部28Cの先端には可動電極28Eが、センサ部28Aの上面には角形の複数の電極28Fが格子状に設けられている。そして、可動電極28E、複数の電極28Fは電極基板28内の配線を介して、端子部28Dの複数の端子にそれぞれ接続されている。なお、電極28Fは、特許請求の範囲に記載した位置検出回路の一形態である。
【0033】
そして、可動カバー27のガイド溝27Aを固定カバー26のガイド部26Aにスライドさせ、可動カバー27と固定カバー26を組み合わせる。ここで、押圧部27Cが円孔26Cに、突部27Dが角孔26Dに挿入される。
【0034】
また、配線部28Bが角孔27B、角孔26Bを貫通して固定カバー26内部に挿入されると共に、その先端の端子部28Dが配線基板21下面のコネクタ25に挿入される。さらに、配線部28Cも角孔27B、角孔26Bを貫通して固定カバー26内部に挿入される。
【0035】
さらに、係止部材29は、断面が略コの字状で絶縁樹脂などを材料としており、可動電極28Eの下方から突部27Dに嵌合され、可動電極28Eを突部27Dに固定している。
【0036】
ここで、可動電極28Eは、固定電極23Aの上方に配置される。そして、可動電極28Eと固定電極23Aから静電式の変位検出回路281が構成されている。
【0037】
また、略円柱形状で弾性を備えた弾性板30はプッシュスイッチ22と押圧部27Cの間に挟みこまれて配置される。
【0038】
そして、これらが上面開口で円柱箱状の下カバー31内に挿入され、略円形の操作板32で、電極基板28を可動カバー27に固定して多段スイッチ40が構成されている。
【0039】
つまり、操作者が操作板32を押圧すると、可動カバー27が下に移動し、押圧部27Cが弾性板30を介してプッシュスイッチ22を押圧し、プッシュスイッチ22がONすることが可能なように構成されている。
【0040】
また、操作者がさらに操作板32を押圧すると、弾性板30が圧縮され、可動電極28Eがさらに固定電極23Aに近づくよう構成されている。また、ここで、操作板32への押圧力が無くなると、弾性板30が元の厚みに戻り、操作板32が押圧前の位置に自動復帰するよう構成されている。
【0041】
このように構成された多段スイッチ40は、車両のステアリングホイール(図示せず)に、操作板32を上面に露出させて配置される。そして、車両のディスプレイ装置(図示せず)、空調制御機器(図示せず)、オーディオ装置(図示せず)などに接続され、操作者は多段スイッチ40を操作して空調制御機器や、オーディオ装置などに所望の動作をさせるものとなっている。
【0042】
ここで、図2〜図4の断面図を用いて、多段スイッチ40の動作について説明する。
【0043】
まず、図2は多段スイッチ40を押圧していないときの断面図で、同図において弾性板30は押圧部27Cとプッシュスイッチ22の間に挟まれ、プッシュスイッチ22はOFFの状態になっている。
【0044】
そして、制御回路24はプッシュスイッチ22がOFFの状態であることを検出している。
【0045】
次に、図3の断面図を用いて、操作板32の点Aの位置が押圧された際の多段スイッチ40の動作を説明する。
【0046】
まず、操作者が操作板32の点Aの位置に指で接触すると、格子状に配列された電極28Fそれぞれで放射および吸収された電界により、指が検出され、点Aの位置を電極28Fに電気的に接続された制御回路24が認識する。なお、操作者が操作板32に接触しただけで、点Aの認識が行われ、特に操作板32を押圧する必要はない。
【0047】
なお、操作者が操作板32上で指を接触しながらスライドした場合には、格子状に配列された電極28Fそれぞれから放射された電界により、スライド後の指の位置が順次、制御回路24により認識される。これにより、操作者が操作板32上で行った操作が制御回路24により認識される。
【0048】
次に、操作者が操作板32の点Aの位置に指を接触したまま、操作板32を押圧して押し込むと、可動カバー27が固定カバー26に対し、ガイド部26Aがガイド溝27Aにガイドされ、下方に移動する。
【0049】
ここで、弾性板30の反発力は、プッシュスイッチ22の復帰力より大きくなるよう、予め弾性板30の材料あるいは構造が決定されている。これにより、操作板32が押圧された当初の弾性板30の厚みの変位は小さく、プッシュスイッチ22が押圧されてONする。そして、プッシュスイッチ22がONしたことは制御回路24により認識される。
【0050】
また、突部27Dの下端に配置された可動電極28Eは、可動カバー27の下方への移動に従って下方に移動し、固定電極23Aとの間隔が小さくなる。ここで、固定電極23Aからは電界が放射および吸収されており、可動電極28Eとの間隔が小さくなったことを固定電極23Aに接続された制御回路24が吸収した電界から認識する。
【0051】
さらに、図4の断面図を用いて、図3の断面図の状態から、操作板32の点Aの位置を押圧した際の多段スイッチ40の動作を説明する。
【0052】
ここで、操作者が指で操作板32の点Aの位置を弾性板30の反発力より強い力でさらに押圧すると、弾性板30が押圧部27Cとプッシュスイッチ22の間で圧縮される。
【0053】
そして、可動カバー27が固定カバー26に対し、ガイド部26Aがガイド溝27Aにガイドされ、さらに下方に移動する。これに伴い、可動電極28Eは固定電極23Aに接近し、制御回路24が認識する。
【0054】
ここで、制御回路24は、可動電極28Eと固定電極23Aとの間の距離が小さくなるほど、固定電極23Aが吸収する電界が小さくなるため、可動電極28Eと固定電極23Aの接近度合いを多段階で認識する。このため、例えば制御回路24には、内部にROMやRAMなどの不揮発性の記憶素子が設けられ、この記憶素子に、可動電極28Eと固定電極23Aとの間の距離に対応した電界の吸収量に対しての閾値が記憶されている。そして制御回路24で記憶素子に保存された閾値と固定電極23Aで検出した電界の吸収量を比較し、可動電極28Eと固定電極23Aとの間の距離を多段階で検出する。
【0055】
また、多段スイッチ40の外部から車両の電磁ノイズを受けた場合には、固定電極23Aから電磁ノイズが吸収されることがある。固定電極23Aから吸収される電磁ノイズが大きい場合には、制御回路24で検出する可動電極28Eと固定電極23Aとの間の距離に誤差が生じる。
【0056】
そこで、補正電極23Bが吸収する電界の量を制御回路24は検出する。ここで、補正電極23Bと固定電極23Aが受ける電磁ノイズの影響は、ほぼ同等であるので、固定電極23Aが吸収した電界の量を補正電極23Bが吸収した電界の量で補正することにより、多段スイッチ40の外部から受ける車両の電磁ノイズの影響を減少させている。
【0057】
そして、図4の状態から、操作者が点Aの位置を押圧している指を離すと、弾性板30の反発力により図2の状態に復帰する。
【0058】
このような動作を行う多段スイッチ40は、例えば車両のカーナビゲーションシステム、オーディオシステム、空調システムなどの操作に用いられる。図5の画像図で示すのは、多段スイッチ40が接続されたカーナビゲーションシステムの液晶ディスプレイなどの表示装置の表示の一例である。同図は、操作者が車両を運転して向かおうとする目的地の設定画面となる目的地入力表示41を示している。
【0059】
同図において、目的地入力表示41には、例えば「ひらがな」などの入力可能な文字を示す複数の入力ボタン42が所定の順序で並んで表示される。また、矢印などの形状のカーソル43が入力ボタン42に重ねて表示される。そして、入力表示部44には、操作者が多段スイッチ40を操作することによりカーソル43が移動し、選択が確定した入力ボタン42に対応した文字が表示される。
【0060】
ここで、操作者が多段スイッチ40を用いて、所望の入力ボタン42の選択を確定するには下記の操作1、操作2の二通りの操作方法がある。
【0061】
まず操作1について説明すると、例えば操作者が操作板32上を指で接触し、指をその位置から右にスライドさせると、それに伴い、カーソル43も右に移動する。同様に、カーソル43を移動させたい方向に、操作者が指をスライドさせると、それに伴いカーソル43が移動する。
【0062】
操作者は、所望の入力ボタン42の位置にカーソル43を移動することで、入力する文字を選択できる。そして、操作者が操作板32を指で押し込むと、可動カバー27が下方に移動し、プッシュスイッチ22がONすると共にプッシュスイッチ22による節度感が生じる。
【0063】
そして、操作者が操作板32から指を離すとプッシュスイッチ22がOFFし、これにより入力する文字が確定し、入力表示部44に入力される。
【0064】
次に操作2について説明するが、この操作2ではプッシュスイッチ22をONさせた後に、操作板32を更に押し込んで、カーソル43を移動する点が操作1と異なる。
【0065】
ここで、図6の上面図で示すように、例えば操作者が操作板32の中央Bより右寄りの点Cの位置を指で押圧すると、制御回路24が点Cの位置を検出する。ここで、操作者が操作板32を押し込むと、プッシュスイッチ22がONすると共に節度感が生じる。なお、プッシュスイッチ22がONするまでは、操作者が指をスライドさせなければカーソル43は移動しない。
【0066】
そして、プッシュスイッチ22がONした状態で、さらに操作者が操作板32を押し込むと、可動電極28Eと固定電極23Aとの間の距離が可動カバー27の下方向への移動に伴い小さくなる。そして、可動電極28Eと固定電極23Aとの間の距離を多段階で制御回路24が認識し、可動電極28Eと固定電極23Aとの間の距離が近づくほど、速い移動速度で右方向へカーソル43が移動する。
【0067】
なお、ここで右方向へカーソル43が移動するのは、操作者が押圧した位置が操作板32の中央Bより右寄りの点Cの位置であるからで、例えば操作板32の中央Bより前寄りの点Dの位置であればカーソル43は上方向に移動し、左後ろ寄りの点Eの位置であればカーソル43は左下方向に移動する。
【0068】
そして、操作者が入力したい文字に対応した入力ボタン42が選択されるようカーソル43を移動し、操作板32から指を離すと、プッシュスイッチ22がOFFすることにより、入力する文字が確定し、入力表示部44に入力される。
【0069】
つまり、操作2によれば、操作板32の押圧位置に従って、表示画面上でカーソル43が移動し、操作板32の押圧による下方への変位量が大きくなればなるほど速くカーソル43が移動する。
【0070】
また、プッシュスイッチ22がONした際に節度感が生じるので、操作者はさらに操作板32を押し込むことによりカーソル43が移動することを認識できるため、確実な操作が可能となる。
【0071】
すなわち、多段スイッチ40を用いることにより、操作1および操作2の二通りの操作が可能になり、従来に比べ多様な操作が可能なものとなっている。
【0072】
なお、多段スイッチ40を構成する各部品の材料として、固定カバー26、可動カバー27、係止部材29、下カバー31、操作板32は、絶縁樹脂を材料とするのが好ましく、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂、ポリアセタール、ポリメタクリル酸メチル樹脂などが適している。
【0073】
また、弾性板30はゴムなどの弾性を備えた材料で形成されても良いし、バネなどで構成することも可能である。
【0074】
また、前記説明によれば、位置検出回路として、電界の放射および吸収により指などを検出する静電式の電極28Fを一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、磁界により位置を検知する導磁式の検出回路や、抵抗膜式の検出回路によっても発明の実施は可能である。
【0075】
さらに、スイッチ回路として、プッシュスイッチ22を例にとり説明したが、操作板32の変位を検出し、節度感を生じるものであれば置き換え可能であり、例えばスライド式のスイッチでも良い。
【0076】
また、変位検出回路281は、固定電極23Aから電界を放射し、同じく固定電極23Aで電界の吸収も行うものとして説明したが、可動電極28Eで電界の放射および吸収を行うように構成することも可能で、また、電界の放射、吸収を固定電極23Aと可動電極28Eで別々に行うものとしても良い。
【0077】
さらに、固定電極23Aや補正電極23Bの構成として円形の電極を環状の電極で囲んで形成されるものとして説明したが、形状は、電界の放射あるいは吸収が可能であれば、どのような形状でも本発明の実施は可能である。
【0078】
このように本実施の形態によれば、スイッチ回路となるプッシュスイッチ22がONした後さらに操作板32が下方へ変位したことを電界の放射および吸収により検出する変位検出回路281を設けるもので、変位検出回路281により操作板32の押込み量を検出することが出来るため、押込み量を反映した多様な操作を行いうる多段スイッチ40を提供することができる。
【0079】
また、電界の吸収を検出する補正電極23Bをさらに備え、制御回路24が変位検出回路281で吸収された電界の量を補正電極23Bで吸収した電界の量で補正し、操作板32の変位を認識するもので、多段スイッチ40外部からの電磁ノイズの影響を低減することが出来るため、検出精度の高い多段スイッチ40を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明による多段スイッチは、押圧による押込み量を反映した多様な操作を行いうるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0081】
21 配線基板
22 プッシュスイッチ
23A 固定電極
23B 補正電極
24 制御回路
25 コネクタ
26 固定カバー
26A ガイド部
26B、26D 角孔
26C 円孔
27 可動カバー
27A ガイド溝
27B 角孔
27C 押圧部
27D 突部
28 電極基板
28A センサ部
28B、28C 配線部
28D 端子部
28E 可動電極
28F 電極
29 係止部材
30 弾性板
31 下カバー
32 操作板
40 多段スイッチ
41 目的地入力表示
42 入力ボタン
43 カーソル
44 入力表示部
281 変位検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作板と、前記操作板の二次元の接触位置を検出する位置検出回路と、前記操作板の下方への変位をON/OFFの切替で検出するスイッチ回路と、前記スイッチ回路がONした後さらに操作板が下方へ変位したことを電界の放射および吸収により検出する変位検出回路と、前記位置検出回路と前記スイッチ回路と前記変位検出回路に電気的に接続された制御回路とを備えた多段スイッチ。
【請求項2】
電界の吸収を検出する補正電極をさらに備え、制御回路が変位検出回路で吸収された電界の量を前記補正電極で吸収した電界の量で補正し、操作板の変位を認識する請求項1に記載の多段スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−134030(P2012−134030A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285596(P2010−285596)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】