説明

多流路切替弁

【課題】部品交換の必要がないか、或いは、部品交換の頻度が極めて少なく、又、交換作業も容易な多流路切替弁を提供する。
【解決手段】多流路切替弁1は、複数の液体試料容器に接続可能とされる複数の流通路2(2a〜2f)が形成されたハウジング3と、ハウジング3に形成され、複数の流通路2(2a〜2f)の開口部が開口するハウジング弁穴4と、ハウジング弁穴4に配置された弁体10と、を有する。複数の流通路2(2a〜2f)のハウジング弁穴4に開口する開口部はハウジング弁穴4の軸線方向にて互いに異なる位置にて開口している。ハウジング流通路2(2a〜2f)、弁体10に形成した流路13、14を介して流動する流体試料は、弁体10に設けた弁蓋31を押圧して流通路を開口して流出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば試薬混合測定装置などにて種々の液体試料をサンプリングし、試薬と混合するために使用する多流路切替弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の液体試料をサンプリングして試薬と混合する混合装置に使用する多流路切替弁としては、例えば特許文献1に記載するようなロータリバルブが広く使用されている。
【0003】
つまり、本願添付の図5に示すように、ロータリバルブ100は、複数の接続ポート101(101a、101b、101c、101d)を備え、容器102(102a、102b)から液体試料を吸引するための複数の吸引流路103(103a、103b)、分析部104に液体試料を供給するための供給流路103d、廃液を排出するドレイン流路103cが接続されている。また、ロータリーバルブ100には各接続ポート101(101a、101b、101c、101d)と切り替え自在に接続される共通流路103eが設けられており、そして、液体試料などの注入、注出を行うためにマイクロシリンジ105が中心接続ポート101eに接続されている。また、ロータリバルブ100の流路切り替え動作及びマイクロシリンジのプランジャーの上下動はモータ(図示せず)にて行われる。
【0004】
しかしながら、上記構成のロータリバルブ100は次のような問題を有していた。
(1)摺動部に試料中の固形物を挟み込むことがあり、これによってシール面を損傷する。また、使用によりシール面が摩滅する。従って、頻繁に部品の交換が必要となる。
(2)多流路切り替えに際しての流路ジャンプは通過流路中の試料の混合が避けられないので、複数流路の切り替え順序の変更が必要となった場合には、接続配管の変更が必要となる。
(3)試料、試薬が共通流路に残るために、残留液体の追い出し機構が必要となる。
(4)切り替えのためモータ駆動部が必要であり、又、シール面は精密仕上げを必要とする。
【特許文献1】特開平10−153532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、従来のロータリバルブが有した上記諸問題を解決した多流路切替弁を提供することであり、部品交換の必要がないか、或いは、部品交換の頻度が極めて少なく、又、交換作業も容易な多流路切替弁を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、接続配管の変更を必要とすることなく複数流路の切り替え順序を簡単に変更することが可能な多流路切替弁を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、残留液体の追い出し機構を必要としない多流路切替弁を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、流路切り替えのためのモータ駆動部を必要とせず、また、シール面は精密仕上げする必要もない多流路切替弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は本発明に係る多流路切替弁にて達成される。要約すれば、本発明は、複数の液体試料容器に接続可能とされる複数の流通路が形成されたハウジングと、前記ハウジングに形成され、前記複数の流通路の開口部が開口するハウジング弁穴と、前記ハウジング弁穴に配置された弁体と、を有し、前記複数の流通路の前記ハウジング弁穴に開口する前記開口部は前記ハウジング弁穴の軸線方向にて互いに異なる位置にて開口している多流路切替弁であって、
前記弁体は、
(a)前記ハウジング弁穴の内径より小さい外径とされる弁軸と、
(b)前記弁軸の軸線方向一端側から他端側へと軸線方向に延在して前記弁軸の中央部に形成された弁部材取付孔と、
(c)前記弁軸の軸線方向一端側から他端側へと軸線方向に延在し、前記弁軸の一端側で開口し、他端側で閉鎖した、前記弁部材取付孔より前記弁軸の半径方向外方に複数形成された軸方向弁軸流路と、
(d)前記複数のハウジング流通路の前記ハウジング弁穴に開口した各開口部に対応する前記弁軸の軸線方向の異なる位置にて、前記弁軸の外周から半径方向に向けて形成され、前記軸方向弁軸流路のいずれかに連通する半径方向弁軸流路と、
(e)前記弁軸の外周面と前記ハウジング弁穴内周面とにより形成される空間部に、前記複数のハウジング流通路の前記ハウジング弁穴に開口した前記開口部と、この開口部に対応した前記弁軸の半径方向弁軸流路とが連通する環状閉空間を複数形成するために、前記弁軸の外周面と前記ハウジング弁穴内周面との間に配置されたシール部材と、
(f)前記弁軸の前記一端側にて開口している前記軸方向弁軸流路の全ての開口部を液密に閉鎖する弾性の弁蓋を備え、前記弁部材取付孔に取り付けられた弁部材と、
を有し、前記ハウジング流通路、前記環状閉空間、前記半径方向弁軸流路、及び前記軸方向弁軸流路を介して流動する流体試料により前記弁蓋を押圧して前記軸方向弁軸流路の開口部を開口して流出可能としたことを特徴とする多流路切替弁である。
【0010】
本発明の一実施態様によれば、前記弁軸は、前記シール部材が設置される環状溝部が前記弁軸の軸線方向に複数形成され、前記溝部と溝部との間の前記弁軸の外周面に前記半径方向弁軸流路の開口部が開口している。
【0011】
他の実施態様によれば、前記弁部材は、前記弁蓋と一体に形成され、前記弁部材取付孔内へと延在した弁支持軸を備えており、前記弁支持軸は、前記弁蓋に隣接す部分が弁支持軸より大きく膨出した支持部とされ、前記弁部材取付孔の取付部に着座される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の多流路切替弁は、
(1)部品交換の必要がないか、或いは、部品交換の頻度が極めて少なく、又、交換作業が容易である。
(2)接続配管の変更を必要とすることなく複数流路の切り替え順序を簡単に変更することが可能である。
(3)残留液体の追い出し機構を必要としない。
(4)流路切り替えのためのモータ駆動部を必要とせず、また、シール面を精密仕上げする必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る多流路切替弁を図面に則して更に詳しく説明する。
【0014】
実施例1
図1〜図3を参照して、本発明に係る多流路切替弁の一実施例を説明する。
【0015】
本実施例によると、多流路切替弁1は、複数の試料容器から液体試料を供給するために各流体試料容器に接続可能とされた流通路2(2a〜2f)が複数形成されたハウジング3と、このハウジング3に形成された弁穴4に液密に配置される弁体10とを有する。本実施例では、多流路切替弁1は、図示するように、第1〜第6流通路2a〜2fの6つの流通路を有するものとして説明するが、これに限定されるものではない。又、ハウジング3は、円筒形状とすることもできるが、その他任意の形状とし得る。
【0016】
ハウジング3に形成された各流通路2の一端開口部21(21a〜21f)はハウジング3の弁穴4に開口しており、又、他端開口部(図示せず)は、試料容器に接続可能とされる。
【0017】
本実施例では、第1〜第6流通路2a〜2fは、図1(a)に示すように、弁穴4の両側に対向してハウジング3の両側に3つずつ、即ち、一側に開口部21(21a、21c、21e)、他側に開口部21(21b、21d、21f)が開口するように形成されているが、片側に全ての流通路2の開口部21が開口するように形成しても良い。ただ、各流通路2の弁穴4への開口部21は、弁穴4の軸線方向に沿って互いに異なる位置に配置されている。本実施例では、各開口部21、21間は、等距離(L)とされるが、これに限定されるものではない。
【0018】
次に、ハウジング弁穴4に設置される弁体10について説明する。
【0019】
本実施例にて、弁体10は、ハウジング弁穴4の内径より小さい外径とされる弁軸11を有する。弁軸11は、その中央部に、弁軸11の軸線方向一端側11aから他端側11bへと、図1では下方端端から上方端側へと、軸線方向に延在して弁部材取付孔12が形成される。この弁部材取付孔12には、後述するように、弁部材30が交換自在に取り付けられる。
【0020】
また、弁軸11には、弁軸11の軸線方向一端側11aから他端側11bへと軸線方向に延在して、弁部材取付孔12より弁軸11の半径方向外方に位置して軸方向弁軸流路13(13a〜13f)が複数、本実施例では6つの流路が形成される(図3参照)。また、本実施例では、軸方向弁軸流路13(13a〜13f)は、図3に示すように、弁部材取付孔12と同中心にて、円周方向に均等に配分して設けられているが、これに限定されるものではない。また、軸方向弁軸流路13は、弁軸11の一端側、即ち、下方端側11aで開口し、他端側11bで閉鎖した構成とされる。
【0021】
更に、弁軸11には、弁軸11の軸線方向の異なる位置にて、弁軸11の外周から中心部に向けて半径方向に半径方向弁軸流路14(14a〜14f)が形成される。各半径方向弁軸流路14は、軸方向弁軸流路13のいずれかに、本実施例では、軸方向弁軸流路14a、14b、14c、14d、14e、14fがそれぞれ軸方向弁軸流路13a、13b、13c、13d、13e、13fに連通する。また、半径方向弁軸流路14(14a〜14f)の弁軸外周面に開口した開口部は、上記複数のハウジング流通路2のハウジング弁穴4に開口した各開口部21(21a〜21f)に対応している。
【0022】
また、本実施例によれば、弁軸11の外周面とハウジング弁穴内周面との間には、空間部が形成されているが、この空間部において、各ハウジング流通路2のハウジング弁穴4に開口した開口部21(21a〜21f)と、この開口部21(21a〜21f)に対応した対応の半径方向弁軸流路13(13a〜13f)とが連通する環状閉空間S(Sa〜Sf)を複数形成するために、弁軸11の外周面とハウジング弁穴内周面との間にシール部材15が設けられる。
【0023】
本実施例によれば、弁軸11には、上記半径方向弁軸流路14(14a〜14d)の弁軸外周面に開口した開口部を挟んで軸線方向上下位置に、例えばOリング或いはUリングなどとされるシール部材15を設置するための環状溝部16が形成される。即ち、本実施例では7つの溝部16が形成される。従って、本実施例によれば、各溝部16の間には、軸線方向に沿って弁軸の外周面、即ち、突起部17が形成されることとなる。
【0024】
上述のように、本実施例では、溝部16は、弁軸の外周面に形成されているが、場合によっては、ハウジング弁穴4の内周面に形成することも可能である。
【0025】
また、本実施例では、弁軸11の各端部11a、11bには、即ち、図1(a)にて、下方端部11aには、溝部16に隣接して、後述の弁部材30のための弁座18が形成される。又、上方端部11bには、雄ねじ部19が形成され、この雄ねじ部19を利用して、弁体10がハウジング3或いは他の部材に螺着される。
【0026】
本実施例によると、上述のように、弁軸11の中央部には、軸線方向に弁部材取付孔12が形成されるが、この弁部材取付孔12は、弁座18に隣接した下方端部12aにおいて内径が小さくされており、後述の弁部材30の取付部12bを構成している。
【0027】
一方、弁部材30は、本実施例では、図1及び図2にて理解されるように、円盤状の弁蓋31と、弁蓋31と一体に形成され弁部材取付孔内へと延在した弁支持軸32とを備えており、弁支持軸32は、弁蓋31に隣接する部分が弁支持軸32より大きく膨出した支持部33とされる。この支持部33は、弁部材取付孔12の取付部12bに弾発的に着座される。
【0028】
本実施例にて、弁部材30は、弾性体にて一体に成形される。従って、弁部材30を弁軸11に取り付ける際には、弁支持軸32及び支持部33を変形させながら、弁部材取付孔12の小径部12aより弁部材取付孔12内へと押し込み、円盤状の弁蓋31を弁座18に密着させることによって達成される。このような弾性を有した弁部材30は、ニトリルゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴムなどにて作製することができる。
【0029】
更に、上述のように、弁軸11には、弁部材取付孔12と同中心にて、軸線方向に6つの軸線方向弁軸流路13が形成されているが、各軸線方向弁軸流路13は、一端開口部が弁軸11の一端、即ち、弁座18に開口しており、他端は、それぞれ異なる第1〜第6突起部17にまで延在して半径方向弁軸流路14(14a〜14f)に連通している。
【0030】
上記構成の弁体10は、ハウジング弁穴4内へと挿入され、各突起部17がそれぞれハウジング3の流通路開口部21に対応するように配置される。従って、弁軸11の外周面とハウジング弁穴内周面との間に形成された空間部に、弁軸11の外周面と、ハウジング弁穴内周面と、シール部材15と、によって環状空間Sが複数形成される。各環状空間S(Sa〜Sf)は互いに分離された閉空間とされる。各環状閉空間S(Sa〜Sf)において、ハウジング流通路2(2a〜2f)のハウジング弁穴4に開口した開口部21(21a〜21f)と、この開口部21(21a〜21f)に対応した対応の半径方向弁軸流路14(14a〜14f)とが連通する。それによって、ハウジング流通路2(2a〜2f)と、弁軸11に形成された流通路、即ち、半径方向弁軸流路14(14a〜14f)及び軸線方向弁軸流路13(13a〜13f)とが個々に分離された状態にて連通する。
【0031】
次に、上記構成とされる本実施例の多流路切替弁1の作動について説明する。
【0032】
ハウジング3の各流通路2は、それぞれ、図示してはいないが、第1〜第6試料を貯留する容器に、ポンプ、バルブなどを介して接続されている。
【0033】
今、第1の試料が、第1試料用ポンプを駆動し、バルブを開とすることによりハウジング3の第1の流通路2aを介して多流路切替弁1へと供給されたとする。第1の試料は、第1の流通路2aから、弁穴4の内周面と、第1及び第2シール部材15、15と、突起部17とにより画成された環状閉空間Saへと流入する。これにより、第1試料は、突起部17の半径方向弁軸流路14a及び軸方向弁軸流路13aを通り弁蓋31にて閉鎖された開口部へと至る。
【0034】
弁蓋31は、第1試料の圧力により、図1(b)に示すように、局部的に押圧され、変形する。これによって、第1試料のための軸方向弁軸流路13aの開口部が開口され、第1試料は混合容器(図示せず)へと流出する。
【0035】
第1試料用ポンプの駆動を停止するか、或いは、バルブを閉とすることにより第1試料の供給が停止されると、弁蓋31は、弾性力により、図1(a)に示すように、閉鎖位置へと戻り、流通路開口部を閉鎖する。即ち、本実施例の弁部材30は、逆止弁としての機能をなす。
【0036】
他の第2〜第6試料に関しても同じようにして、混合容器内へと試料を供給することができる。
【0037】
本実施例では、ポンプを作動させないか、バルブを閉とすることにより、その試料を混合容器内へと供給するのを停止することができる。
【0038】
本実施例の多流路切替弁1は、シール面を精密仕上げする必要はない。又、摺動部品を必要としないので、部品交換の必要は全くない。また、弁部材30が劣化したとしても、部品交換の頻度は極めて少なく、又、上述のように弁部材30の弁軸11への取り付け、取り外しは容易であり、交換作業は極めて短時間ですむ。
【0039】
又、本実施例の多流路切替弁1によれば、単に、ポンプ或いはバルブの作動順序を変更することによって、複数の流通路2を自在に変更することができる。接続配管の変更は全く必要としない。また、流路切り替えのためのモータなどは必要ない。
【0040】
更に、本実施例の多流路切替弁1は、弁蓋31が各軸方向弁軸流路13の出口開口部を閉鎖しており、各液体試料は個々の独立した流通路にて混合容器へと供給されるので、従来のロータリバルブなどで存在していたデッドボリュームは存在しない。従って、試料の混合を防止するために弁内の残留液体を追い出すといったことは必要ではなく、残留液体の追い出し機構は不要である。
【0041】
実施例2
図4に、本発明に係る多流路切替弁1を試薬混合測定装置50に適用した場合の概略構成を示す。
【0042】
試薬混合測定装置50は、光学セルユニット51を備えたシリンジポンプ52を有する。シリンジポンプ52は、シリンダ53とプランジャ54とを有する。
【0043】
本実施例にて、多流路切替弁1は、シリンダ53の下方端に一体的に形成された柱状ハウジング3に設置される。本実施例の多流路切替弁1は、実施例1の多流路切替弁1と同様の構成とされる。
【0044】
ただ、本実施例では、多流路切替弁1は、図1(a)に示す状態とは異なり、弁蓋31が上方に位置し、雄ねじ部19が下方に位置するようにして、即ち、実施例1の多流路切替弁1を上下転倒させた態様で取り付けられている。
【0045】
プランジャ54は、駆動手段としてのパルスモータMにて駆動され、図4にて上下方向に移動される。また、光学セルユニット51は、発光部51aと受光部51bとがシリンダ53の外側にて直径方向に対向して配置され、シリンダ53内に吸引された試料、試薬の混合物を光学的に測定する。
【0046】
本実施例では、図示するように、ハウジング1の各流通路2、即ち、第1〜第6流通路2a〜2fには、それぞれ、第1〜第6バルブ55(55a〜55f)を介して第1〜第6の試料(又は試薬)容器56(56a〜56f)が接続されている。
【0047】
今、例えば第1の試料のバルブ55aを開とし、シリンジモータMを所定量だけ駆動すると、プランジャ54が上方へと所定量だけ移動し、その吸引力により、多流路切替弁1にて第1の試料の流通路を閉鎖していた弁蓋31が開となり、それによって、実施例1にて説明したと同様に、第1の試料がハウジング3の第1の流通路2a、そして、多流路切替弁1の環状空間Sa、半径方向弁軸流路14a及び軸方向弁軸流路13aを介して多流路切替弁1内を流動し、第1試料が所定の量だけ計量された状態でシリンダ53内へと供給される。
【0048】
残りの第2〜第5試料に関しても、予め設定された順序にて各バルブ55が開とされ、シリンジモータMを所定量だけ駆動してプランジャ54が上方へと所定量だけ移動することにより、上記と同様に所定の試料が、所定量だけ計量されてシリンダ53内へと供給される。これによって、シリンダ53内に所望の試料、試薬が所定の量にて混合され、貯留される。
【0049】
所定の試料、試薬混合が達成された後、光学セルユニット51により混合試料の比色測定が行われる。
【0050】
測定が終了すると、シリンジモータMを駆動してプランジャ54を下方へと移動させ、シリンダ53内の液体試料がドレイン管路57及びバルブ58を介して廃液タンク59に排出される。このとき、多流路切替弁1の弁蓋31が開となることはなく、廃液がいずれかの試料と混合することはない。
【0051】
本実施例における多流路切替弁1も又、実施例1と同様の構成とされており、同様の作用効果を達成し得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る多流路切替弁の一実施例の構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る多流路切替弁の一実施例の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る多流路切替弁の一実施例の構成を示す図1(a)の線A−Aに取った横断面図である。
【図4】本発明に係る多流路切替弁を装着した試薬混合測定装置に一実施例の概略構成を示す図である。
【図5】従来のロータリバルブを説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 多流路切替弁
2(2a〜2f) ハウジング流通路
3 ハウジング
4 ハウジング弁穴
10 弁体
11 弁軸
12 弁部材取付孔
13(13a〜13f) 軸方向弁軸流路
14(14a〜14f) 半径方向弁軸流路
15 シール部材
16 環状溝部
17 突起部
18 弁座
30 弁部材
31 弁蓋
32 弁支持軸
33 支持部
50 試薬混合測定装置
55(55a〜55f) 液体試料容器
S(Sa〜Sa) 環状閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体試料容器に接続可能とされる複数の流通路が形成されたハウジングと、前記ハウジングに形成され、前記複数の流通路の開口部が開口するハウジング弁穴と、前記ハウジング弁穴に配置された弁体と、を有し、前記複数の流通路の前記ハウジング弁穴に開口する前記開口部は前記ハウジング弁穴の軸線方向にて互いに異なる位置にて開口している多流路切替弁であって、
前記弁体は、
(a)前記ハウジング弁穴の内径より小さい外径とされる弁軸と、
(b)前記弁軸の軸線方向一端側から他端側へと軸線方向に延在して前記弁軸の中央部に形成された弁部材取付孔と、
(c)前記弁軸の軸線方向一端側から他端側へと軸線方向に延在し、前記弁軸の一端側で開口し、他端側で閉鎖した、前記弁部材取付孔より前記弁軸の半径方向外方に複数形成された軸方向弁軸流路と、
(d)前記複数のハウジング流通路の前記ハウジング弁穴に開口した各開口部に対応する前記弁軸の軸線方向の異なる位置にて、前記弁軸の外周から半径方向に向けて形成され、前記軸方向弁軸流路のいずれかに連通する半径方向弁軸流路と、
(e)前記弁軸の外周面と前記ハウジング弁穴内周面とにより形成される空間部に、前記複数のハウジング流通路の前記ハウジング弁穴に開口した前記開口部と、この開口部に対応した前記弁軸の半径方向弁軸流路とが連通する環状閉空間を複数形成するために、前記弁軸の外周面と前記ハウジング弁穴内周面との間に配置されたシール部材と、
(f)前記弁軸の前記一端側にて開口している前記軸方向弁軸流路の全ての開口部を液密に閉鎖する弾性の弁蓋を備え、前記弁部材取付孔に取り付けられた弁部材と、
を有し、前記ハウジング流通路、前記環状閉空間、前記半径方向弁軸流路、及び前記軸方向弁軸流路を介して流動する流体試料により前記弁蓋を押圧して前記軸方向弁軸流路の開口部を開口して流出可能としたことを特徴とする多流路切替弁。
【請求項2】
前記弁軸は、前記シール部材が設置される環状溝部が前記弁軸の軸線方向に複数形成され、前記溝部と溝部との間の前記弁軸の外周面に前記半径方向弁軸流路の開口部が開口していることを特徴とする請求項1の多流路切替弁。
【請求項3】
前記弁部材は、前記弁蓋と一体に形成され、前記弁部材取付孔内へと延在した弁支持軸を備えており、前記弁支持軸は、前記弁蓋に隣接す部分が弁支持軸より大きく膨出した支持部とされ、前記弁部材取付孔の取付部に着座されることを特徴とする請求項1又は2の多流路切替弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−132596(P2006−132596A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319889(P2004−319889)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】