説明

多連カートリッジ用の分配装置

雌ネジ(24)と相補的ネジ山(22)を有する回転可能な部分(4)とを有するカートリッジ(8)を収容するためのハウジング(2)を備える多連カートリッジ又はシリンジ用の分配装置。これら2つの部分は、その相互の回転により、回転可能な部分が分配方向にハウジングに対して連続的に変位することができるように協働する。ハウジングは、2つの隣接する収納容器(14,25)を有するカートリッジを収容するように構成され、回転可能な部分(4)の推力は、圧力を全然解放しないで多重ラム(10)に伝達される。この装置により、高圧の下、正確に計量しながら小さな手動力でカートリッジから粘度の高い材料でも分配することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文記載のネジ山と相補的ネジ山を有する回転可能な部分とを有するカートリッジを収容するためのハウジングを備える多連カートリッジ用の分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE−101 28 611 A1号に、2つの同心状に配置された収納容器と内側ラム及び外側ラム部分を有するラムを備える回転可能な部分とを有するこのタイプの分配装置が開示されている。外側ラム部分は、ネジ山を有している。
【0003】
CH−322 201号にも、複数の収納容器が同心状に配置され、分配ピストンのロッドのうちの1つが、内部収納筒体の中央部分に対応するネジ部と協働するネジ部を備える分配装置が開示されている。
【0004】
他にも、米国特許出願第2003/0089743 A1号、米国特許出願第22002/0166878 A1号、DE 101 28 611 A1号及び米国特許第4,623,337号のように、ハウジングの一部が、医薬品の材料及び類似の材料を押し出すための他の部分に対して回転する多数の分配装置が使用されている。しかし、これらすべての従来技術の文献が開示している分配装置は、1成分カートリッジ又はシリンジしか含んでいない。この場合は、解決すべき問題は遥かに簡単である。
【0005】
米国特許第3,952,920号及びEP 0 621 083 A1号に、ネジ山付き分配作動部分及び2つの隣接する収納筒体を有する分配装置が開示されている。この場合、中央のネジ山付き棒はラム上に位置している。この分配装置は、医療用には使用することができないし、殺菌するのが非常に難しい。
【0006】
さらに、例えば、米国特許第5,535,922号のように、ガンのように設計されている2成分材料を分配するための二重カートリッジ用の手動分配装置も市販されている。レバー伝達機構の戻り動作中、二重ラムは解放され、カートリッジの全圧力が解放され、それにより、材料の流れが中断する。それ故、骨セメントの塗布の際に特に有利である正確に計量した塗布を行うことは不可能である。さらに、非常に粘度の高い材料の場合には、高い逓倍比が必要となり、そのため複雑な機構が必要となるか、又は大きな力を加えなければならないために、このような装置は種々の制限を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来技術の背景において、本発明の1つの目的は、構造が簡単で、比較的小さな手動力で粘度の高い材料を分配することができ、医療用途に適している少なくとも2つの隣接する収納容器を有する多連カートリッジ又は多連シリンジに適しているネジ送り分配装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下に、例示としての実施形態の図面を参照しながら本発明についてさらに詳細に説明する。
【0009】
【図1】本発明による分配装置の斜視図である。
【図2】図1の分配装置及び二重カートリッジの個々の要素の分解図である。
【図3】図1の装置の縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿って切断した断面図である。
【実施例1】
【0010】
図を見れば分かるように、本発明による分配装置の原理は、相互に回転する2つの部分の相互貫通に基づいていて、それにより連続的にかつ正確に計量し供給することができる。以下の説明において、例示としての実施形態の「二重カートリッジ」という用語は、多連カートリッジ又はシリンジを意味する。この点に関して、当業者であれば、3つ以上の収納容器の場合には、対応する数のピストン及びラムを使用しなければならないことを理解することができるだろう。
【0011】
図1は、ハウジング2と、その把持部3と、回転ローブ5を備える回転可能な部分4とを備える分配装置1を示す。図2にもこれらの部材を示す。この場合、従来のミキサ6及び従来のクロージャキャップ7は分配端部のところに位置する。ハウジング2と回転可能な部分4の間には、ピストン9及び二重ラム10を含む二重カートリッジ8が配置されている。
【0012】
さらに、図1及び図2において、ハウジング2の入口側上のハウジング部11上に目盛12が付けられ、確実に回転しながらしっかりと把持するために、ハウジング2の把持部3には隆起部13が設けられている。
【0013】
カートリッジ8は、それぞれが同じ直径を有する2つの隣接する収納筒体14及び15を有する。しかし、収納筒体は、それぞれ、異なる直径又は容積を有することもできる。カートリッジは、さらに、2つの出口16及び17と、バヨネットソケット18とを備える。図1及び図3を見れば分かるように、バヨネットソケット18は、ハウジング2の把持部上の対応する形状のバヨネット補強部材19上に位置する。
【0014】
図3を見れば、回転可能な部分4は、本質的に、雄ネジ22を有する内筒21と、円筒状の外側スリーブ20とから構成されることがわかるだろう。スリーブ20の出口側上の端部23は、分配した量を示すためのハウジング2上の目盛12と協働するインジケータ縁部としての働きをする。
【0015】
図3は、さらに、ハウジング2のハウジング部11が、回転可能な部分の内筒21上の雄ネジ22と協働する雌ネジ24を備えることを示している。回転可能な部分から二重ラムへの力の伝達は、二重ラム10のスラストプレート28の中央部分の対応する球状の軸受面27と協働する中央に配置されている球状の軸受面26を有する回転可能な部分4の分配側上のベアリング25により行われる。この装置により、小さなトルクだけが確実にスラストプレートに伝達される。このトルクは、スラストプレート28上の2つの対応するカム30が案内されるハウジング部11内の2つの案内溝29(図4参照)により吸収される。スラストプレート29が変位することができるように、雌ネジは、溝31の形をしている2つの対向する通路を有する。
【0016】
図3は、装置が分配の用意ができている状態の図2の要素を示す。ネジ山により力を伝達することにより、大きな力を加えなくても粘度の高い材料を分配することができ、ラムから圧力が完全に解放されるのを避けることができ、そのため材料の流れが中断するのを避けることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多連カートリッジ又はシリンジ用の分配装置であって、ネジ山と相補的ネジ山を有する回転可能な部分とを有する多連カートリッジ又はシリンジを収容するためのハウジングを備え、これら2つの部分が、その相互の回転により、前記回転可能な部分が分配方向に前記ハウジングに対して連続的に変位することができるように協働し、前記ハウジング(2)が、少なくとも2つの隣接する収納容器(14,25)を有するカートリッジ又はシリンジ(8)を収容するように構成されることと、前記回転可能な部分(4)の推力が、前記多連カートリッジ又はシリンジの前記収納容器(14,15)内をスライドする多重ラム(10)に伝達されることとを特徴とする分配装置。
【請求項2】
前記回転可能な部分(4)が、本質的に、外側スリーブ(20)と雄ネジ(22)を有する内筒(21)とから構成され、前記雄ネジ(22)が、前記ハウジング(2)内の対応する雌ネジ(24)と協働することを特徴とする、請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
前記回転可能な部分(4)は、前記多重ラム(10)のスラストプレート(28)上で動作する中央に配置されるベアリング(25)を、その出口側上に設置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分配装置。
【請求項4】
前記スラストプレート(28)が、前記ハウジング内に回転できないように案内されることを特徴とする、請求項3に記載の分配装置。
【請求項5】
前記回転可能な部分(4)上の前記ベアリング(25)が、前記スラストプレート上の対応する球状の軸受面(27)に対応する球状の軸受面(26)を有することを特徴とする、請求項3又は4に記載の分配装置。
【請求項6】
前記スラストプレート(28)が、前記ハウジング内の各案内溝(29)内に案内される2つのカム(30)を有することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項7】
前記多連カートリッジ又はシリンジが、その出口端部のところに、前記ハウジングの前記出口端部のところのバヨネット補強部材(19)上に位置するバヨネットスロット(18)を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項8】
前記多連カートリッジ又はシリンジの前記ハウジング(2)が、分配した量を示すために、前記回転可能な部分(4)の前記スリーブ(20)の前縁部(23)と協働する目盛(12)を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分配装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−543683(P2009−543683A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519772(P2009−519772)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000330
【国際公開番号】WO2008/009143
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(507123729)メッドミックス システムズ アーゲー (24)
【Fターム(参考)】