説明

大型タイヤ加硫機における作業台

【課題】作業者のモールドの交換作業の安全性及び作業性を向上させた大型タイヤ加硫機における作業台を提供する。
【解決手段】大型タイヤ加硫機1は、二分割された上モールド2aと下モールド2bとを備え、上モールド2aは上部フレーム3にボルト等の締結部材4により取付けられている。上部フレーム3の両側面は、ベース台5に取付けられた旋回アーム6a,6bに支持され、上部フレーム3の背面側の側面に一体的に取付けられてモールドの交換作業時に作業者が乗る作業台7は、ベースプレート8の周囲に安全柵9が立設され、安全柵9の端末部と上部には、上部フレーム3の背面側にボルト等により固定する取付けフレーム10が一体的に設けられている。大型タイヤ加硫機1の側部には、作業台7上に作業者が出入りする柵で仕切られた通路11が設置され、安全柵9に設けた扉には安全センサが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大型タイヤ加硫機における作業台に係わり、更に詳しくは上下に二分割された上モールドと下モールドとを備え、前記上モールドの交換時に、上部フレームに支持された上モールドを後方に旋回させて作業台上にて交換作業を行う大型タイヤ加硫機における作業台において、作業者の安全性及び作業性を向上させた大型タイヤ加硫機における作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建設車輛用タイヤ等の大型タイヤを加硫する大型タイヤ加硫機は、上下に二分割された上モールドと下モールドとを備え、前記上モールドの交換時に、上部フレームに支持された上モールドを後方に旋回させる。その後、作業者がタイヤ加硫機後方に移動して平面的に設置された作業台上にて上部フレームに取付けられた上モールドの複数本の固定ボルトを緩め、モールドの入れ替え後に、再び固定ボルトを締め付け固定する作業を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
然しながら、大型タイヤ加硫機、特にモールドの交換時に、上部フレームに支持された上モールドを後方に旋回させる、所謂チルトバック式のタイヤ加硫機では、タイヤ加硫機の所謂、ドームと呼称される上モールド部分が後方に大きく旋回しながら倒れ込むため、作業台とのスペースが確保することが出来ず、このため平面的な作業台の周囲には安全柵等が設置することが困難であった。従って、モールドの交換時には、注意して作業を行う必要があり、特に大型タイヤ加硫機におけるモールドの交換作業には、作業者の安全性に問題があった。
【特許文献1】特開平5−193875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、大型タイヤ加硫機における作業台にて作業者のモールドの交換作業の安全性及び作業性を向上させた大型タイヤ加硫機における作業台を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記目的を達成するため、作業台を上部フレームの側面に一体的に取付けたことを要旨とするものである。
【0006】
ここで、前記作業台の周囲に安全柵を設け、また作業台上の作業者を感知して上モールドの旋回動作を不能にする安全センサを設けるものである。
【0007】
このように、作業台を上部フレームの側面に一体的に取付けたことにより、作業台にて作業者のモールドの交換作業の安全性及び作業性を向上させることが出来るものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、上記のように作業台を上部フレームの側面に一体的に取付けたので、以下のような優れた効果を奏するものである。
【0009】
(a).上モールドの取付け位置に対して適正な位置関係の作業台を確保することが出来、モールドの交換作業の安全性及び作業性を向上させることができる。
(b).従来では、固定状態の作業台で上モールドが移動して来るため、転落防止等の安全柵を設置することが出来なかったが、この発明では上記のように作業台を上部フレームの側面に一体的に取付けるため、安全柵を設置することが可能となり作業者の安全性を確保することが出来る。
(c).加硫機が誤作動した場合でも、上モールドを取付けた上部フレームと共に作業台が移動するので、作業スペースを確保でき、作業者等の怪我や災害を未然に防止することが出来る。
(d).更に、安全センサを設けることで、作業台上に作業者がいた場合には加硫機が作動せず、安全性を更に高めることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、この発明を実施した大型タイヤ加硫機を背面側から見た作業台の斜視図、図2はモールドの交換時に、上部フレームに支持された上モールドを後方に旋回させた時の作業台の斜視図、図3はこの発明を実施した大型タイヤ加硫機の側面図、図4は図3のA−A矢視側面図を示し、大型タイヤ加硫機1は、上下に二分割された上モールド2aと下モールド2bとを備え、前記上モールド2aは、上部フレーム3(トップリングとも呼称される)に複数本のボルト等の締結部材4により取付けられている。
【0012】
前記上部フレーム3の両側面は、ベース台5に図示しない駆動モータを介して旋回可能に取付けられた旋回アーム6a,6bに支持され、また上部フレーム3の背面側の側面には、モールドの交換作業時に作業者が乗る作業台7が一体的に取付けられている。
【0013】
前記作業台7は、ベースプレート8の周囲に安全柵9が立設され、安全柵9の端末部と上部には、前記上部フレーム3の背面側にボルト10a等により固定する取付けフレーム10が一体的に設けられている。また大型タイヤ加硫機1の側部には、作業台7上に作業者が出入りする柵11aで仕切られた通路11が設置され、安全柵9に設けた扉には、図示しない安全センサが設けられている。
【0014】
以上のように、この発明の実施形態では大型タイヤ加硫機1の作業台7を上部フレーム3の側面に一体的に取付けたので、上モールド2aの取付け位置に対して適正な位置関係の作業台7を確保することが出来、特に上モールド2aの交換作業の安全性及び作業性を向上させることができるものである。
【0015】
また、この発明の作業台7は、上記のように上部フレーム3の側面に一体的に取付けるため、作業台7の周縁部に所定の高さの安全柵9を設置することが可能となり、作業者の安全性を確保することが出来る。また、作業台7は加硫機が誤作動して上モールド2aが旋回しても、上モールド2aを取付けた上部フレームと共に移動するので、作業者が挟まれないスペースを確保でき、作業者等の怪我や災害を未然に防止することが出来る。
【0016】
更に、作業台7に設けた扉等に、作業台7上の作業者を感知して上モールド2aの旋回動作を不能にする安全センサを設けることで、作業台7のベースプレート8上に作業者がいた場合には加硫機が作動せず、安全性を更に高めることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明を実施した大型タイヤ加硫機を背面側から見た作業台の斜視図である。
【図2】モールドの交換時に、上部フレームに支持された上モールドを後方に旋回させた時の作業台の斜視図である。
【図3】この発明を実施した大型タイヤ加硫機の側面図である。
【図4】図3のA−A矢視側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 大型タイヤ加硫機
2a 上モールド
2b 下モールド
3 上部フレーム
4 締結部材
5 ベース台
6a,6b 旋回アーム
7 作業台
8 ベースプレート
9 安全柵
10 取付けフレーム
10a ボルト
11 通路
11a 柵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に二分割された上モールドと下モールドとを備え、前記上モールドの交換時に、上部フレームに支持された上モールドを後方に旋回させて作業台上にて交換作業を行う大型タイヤ加硫機における作業台において、
前記作業台を上部フレームの側面に一体的に取付けたことを特徴とする大型タイヤ加硫機における作業台。
【請求項2】
前記作業台の周囲に安全柵を設けた請求項1に記載の大型タイヤ加硫機における作業台。
【請求項3】
前記作業台上の作業者を感知して前記上モールドの旋回動作を不能にする安全センサを設けた請求項2に記載の大型タイヤ加硫機における作業台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−296479(P2008−296479A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145769(P2007−145769)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】