説明

大容積のプラズマチャンバにおいて低電力パルスプラズマを使用するポリマー層のコーティング

ポリマー物質を基体上に堆積させる方法であって、上記方法は、気体状態における有機モノマー物質をプラズマ堆積チャンバ中に導入することと、上記チャンバ内でグロー放電に点火することと、高周波数電圧をパルス磁場として、0.001〜500w/mの電力で、ポリマー層を基体の表面上に形成させるために十分な時間、加えることとを含む。この方法は、特にモノマー物質がハロアルキル化合物を含有する場合に、撥油および撥水コーティングを製造するために特に好適である。本発明の方法を実施するために特に用いられる装置も記載され、特許を請求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面のコーティング、特に撥油および撥水性表面の製造、ならびにこれにより得られるコーティングされた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な表面の撥油および撥水処理は、広く用いられている。例えば、保存性を改善するか、あるいは汚染を防止または抑制するために、このような特性を、金属、ガラス、セラミック、紙、ポリマーなどの固体表面に付与することが望ましい。
【0003】
このようなコーティングを必要とする具体的な基体は、織物、特にアウトドア用衣類用途、スポーツウェア、レジャーウェアおよび軍事用途である。その処理は一般的に、フルオロポリマーを生地の表面中に組み入れるか、またはさらに詳細には生地の表面上に固定することを必要とする。撥油および撥水性の程度は、利用可能な空間中に適合させることができるフルオロカーボン基または部分の数および長さに応じて決まる。このような部分の濃度が高いほど、仕上げの撥水性が高い。
【0004】
しかしながら、ポリマー化合物は基体と耐久性結合を形成できなければならない。撥油および撥水織物加工は一般に、水性エマルジョンの形態において織物に加えられるフルオロポリマーに基づく。この処理は単に繊維を非常に薄い、液体防止フィルムでコーティングするだけなので、織物は通気性で空気を透過できる状態である。これらの仕上げ処理を耐久性にするために、フルオロポリマー処理剤を繊維に結合させる架橋樹脂と同時に加える場合がある。洗濯およびドライクリーニングに対して良好なレベルの耐久性をこのようにして得ることができるが、架橋樹脂はセルロース系繊維を著しく傷め、材料の機械的強度を低下させ得る。撥油および撥水性織物を製造するための化学的方法は、例えば、国際公開第97/13024号パンフレットおよび英国特許第1,102,903号明細書またはM.Lewinら、「繊維科学および技術のハンドブック(Handbook of Fibre Science and Technology)」、Marcel and Dekker Inc.,New York(1984)第2巻、パートB、第2章に開示されている。
【0005】
プラズマ堆積技術は、様々な表面上にポリマーコーティングを堆積させるために広く用いられている。この技術は、従来の湿式化学法に比べてほとんど廃棄物を生じない、クリーンな乾式技術と認識されている。この方法を用いて、プラズマを有機分子から発生させ、これを電場に付す。これを基体の存在下で行う場合、プラズマ中の化合物のラジカルおよび分子は、気相において重合し、基体上で成長するポリマーフィルムと反応する。従来のポリマー合成は、モノマー種と強力な類似性を有する繰り返し単位を含有する構造を生成する傾向にあるが、プラズマを用いて生じるポリマーネットワークは非常に複雑である。
【0006】
国際公開第98/58117号パンフレットは、プラズマ堆積プロセスを用いて表面上に重合されるモノマー不飽和有機化合物、特に不飽和ハロカーボンを用いた、表面上の撥油または撥水コーティングの形成を記載している。このプロセスは良好な撥油および撥水コーティングを製造し、これは470cmの小規模ユニットを用いて示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ほとんどの商業的用途に関して、さらに大規模な製造ユニットが必要とされる。しかしながら、初期の試みにより、さらに大きなチャンバ中で、小規模ユニットにおいて使用される条件を繰り返すことによっては、満足のいく結果が得られないことが明らかになった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従って、ポリマー物質を基体上に堆積させる方法が提供され、この方法は、気体状態におけるモノマー物質をプラズマ堆積チャンバ中に導入することと、上記チャンバ内でグロー放電に点火することと、パルス磁場として、0.001〜500w/mの電力で、ポリマー層を基体の表面上に形成させるために十分な時間、電圧を加えることと、を含む。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「気体状態において」という表現は、単独または混合物のいずれかである気体または蒸気、ならびにエアゾルを指す。
【0010】
これらの状態は、大きなチャンバ、たとえば、プラズマ領域が500cmより大きな、たとえば0.5m以上、たとえば0.5m〜10m、好適には約1mの容積を有するチャンバ内で、均一な厚さの良好な品質の撥油および撥水表面を堆積させるために特に好適である。このようにして形成される層は、通常の洗浄プロセスの間、良好な機械的強度を有し、所定の位置にとどまっている。
【0011】
良好な結果をもたらす電力、特に電力密度は、この種類のプロセスにおいて通常用いられるものよりも低い。これは全く予想外である。特に、電力は、0.001〜100w/m、好適には0.01〜10w/mで加えられる。
【0012】
チャンバの寸法は、処理される特定の基体に適合するように選択されるが、一般に、上記の容積を有するプラズマ領域に適合するために、適度に大きなサイズのものである。たとえば、一般に立方体のチャンバが広範囲におよぶ用途に好適であるが、必要ならば、たとえば基体が一般に、木材、反物などの特性を有する場合、細長いかまたは長方形のチャンバを構築することができる。シート材料は、「ロール・ツー・ロール(roll to roll)」配列を用いて処理することができる。
【0013】
チャンバは、バッチプロセスを可能にするために密封可能な容器であってもよいし、あるいは連続プロセスにおいて使用可能にするために、基体の入口および出口を含んでもよい。特に後者の場合、チャンバ内にプラズマ放電を生成させるために必要な圧力条件は、たとえば「ホイッスリングリーク(whistling leak)」を伴う装置について一般的であるように、高圧ポンプを用いて維持される。
【0014】
特に、モノマー物質は、国際公開第98/58117号パンフレットに記載されているような物質である。特に、少なくともその一部が好ましくはハロゲンにより置換されている炭素原子鎖を含む有機化合物を含む。
【0015】
特に化合物は不飽和であり、従って、反応してポリマー化合物を形成することができる、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む。好ましくは、化合物は少なくとも1つの二重結合を含む。
【0016】
「鎖」とは、炭素原子が直鎖または分岐鎖を形成することを意味する。好適には、鎖は環状ではない。本発明の方法において用いられる化合物は、少なくとも1つのこのような鎖を含む。好適な鎖は、3〜20個の炭素原子、さらに好適には6〜12個の炭素原子を有する。
【0017】
前記方法において用いられるモノマー化合物は、鎖内に二重結合または三重結合を含んでよく、従ってそれぞれアルケンまたはアルキンを含む。あるいは、化合物は、直接的に、あるいは官能基、例えばエステルまたはスルホンアミド基によるかのいずれかで不飽和部分に結合した置換基として、任意にハロゲンにより置換されていてもよいアルキル鎖を含むことができる。
【0018】
本明細書において用いられる場合、「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。特に好ましいハロ基はフルオロである。「アリール」なる用語は、芳香族環状基、たとえばフェニルまたはナフチル、特にフェニルを指す。「アルキル」なる用語は、炭素原子の直鎖または分岐鎖であって、好適には最大20個の炭素原子の長さのものを指す。「アルケニル(alkenyl)」なる用語は、好適には2〜20個の炭素原子を有する直線状または分岐不飽和鎖を指す。
【0019】
鎖が非置換アルキルまたはアルケニル基を含むモノマー化合物は、撥水性であるコーティングを製造するのに好適である。これらの鎖における水素原子の少なくともいくつかを少なくともいくつかのハロゲン原子と置換することにより、コーティングにより撥油性が付与され得る。
【0020】
このようにして、好ましい態様において、モノマー化合物はハロアルキル部分を含むか、またはハロアルケニルを含む。従って、好ましくは、本発明の方法において用いられるプラズマは、モノマー不飽和ハロアルキル含有有機化合物を含む。
【0021】
本発明のプロセスにおいて用いられるモノマー有機化合物の例は、式(I)の化合物であって、
【化2】

式中、R、RおよびRは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたは任意にハロで置換されていてもよいアリールから選択され、ここで、R、RまたはRの少なくとも1つは水素であるとし、RはX−R基であり、式中、Rはアルキルまたはハロアルキル基であり、Xは結合であるか式−C(O)O(CHY−基であって、式中、nは1〜10の整数であり、Yは結合またはスルホンアミド基であるとするか、または−(O)(O)(CH−基であって、式中、Rは任意にハロで置換されていてもよいアリールであり、pは0または1であり、qは0または1であり、tは0または1〜10の整数であり、ただし、qが1である場合、tは0以外であるとする。
【0022】
好適には、R、R、RおよびRのハロアルキル基は、フルオロアルキル基である。アルキル鎖は、直鎖であるかまたは分岐鎖であってもよく、環状部分を含むことができる。
【0023】
に関して、アルキル鎖は好適には2以上の炭素原子、好適には2〜20個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を含む。
【0024】
、RおよびRに関して、アルキル鎖は一般に1〜6個の炭素原子を有するのが好ましい。
【0025】
好ましくは、Rはハロアルキルであり、さらに好ましくはペルハロアルキル基、特に式C2m+1(式中、mは1以上、好適には1〜20、好ましくは6〜12、例えば8または10の整数である)のペルフルオロアルキル基である。
【0026】
、RおよびRの好適なアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する。
【0027】
しかしながら好ましくは、R、RおよびRの少なくとも1つは水素であり、好ましくはR、RおよびRはすべて水素である。
【0028】
Xが−C(O)O(CHY−である場合、nは好適なスペーサー基を提供する整数である。特に、nは1〜5、好ましくは約2である。
【0029】
Yの好適なスルホンアミド基は、式N(R)SO(式中、Rは水素またはアルキル、例えばC1−4アルキル、特にメチルまたはエチルである)のものを含む。
【0030】
一具体例において、式(I)の化合物は、式(II)の化合物であって、
CH=CH−R (II)
式中、Rは式(I)に関して前記定義のとおりである。
【0031】
式(II)の化合物において、式(I)のXは結合である。
【0032】
しかしながら、好ましい実施形態において、式(I)の化合物は式(III)のアクリレートであって、
CH=CRC(O)O(CH (III)
式中、nおよびRは式(I)に関連して定義されたとおりであり、Rは水素、C1−10アルキル、またはC1−10ハロアルキルである。特に、Rは水素またはC1−6アルキル、例えばメチルである。式(III)の化合物の具体例は、式(IV)の化合物であって、
【化3】

式中、Rは前記定義のとおり、特に水素であり、xは1〜9の整数、例えば4〜9であり、好ましくは7である。この場合、式(IV)の化合物は、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートである。
【0033】
本発明のプロセスにおいてこれらの化合物を用いて、良好な疎水性および疎油性値を有するコーティングが得られる。これらの性質は、「3M試験法」、たとえば、3M撥油性試験I((3M Test Methods、1988年10月1日)、および撥水性試験(3M撥水性試験II、水/アルコール液滴試験、3M Test 1、3M Test Methods、1998年10月1日)を用いて試験することができる。これらの試験は、次のことを測定することにより、あらゆる種類の織物上のフルオロケミカル仕上げ剤を検出するために設計されている。
(a)水およびイソプロピルアルコールの混合物を使用した耐水性汚染性、
(b)選択された、異なる表面張力の炭化水素液体による濡れに対する織物の耐性。
【0034】
他の因子、たとえば織物の構造、織物の種類、染料、他の仕上げ処理剤なども汚れ耐性に影響を及ぼすので、これらの試験は、水性または油性物質による汚れに対する織物の耐性の絶対測定値をもたらすことを目的としない。しかしながら、これらの試験は、様々な仕上げを比較するために用いることができる。撥水性試験は、3滴の、特定の比率(体積基準)の水およびイソプロピルアルコールからなる標準試験液体を、プラズマ重合した表面上に置くことを含む。10秒後に3滴中2滴が織物を濡らさないならば、表面はこの液体をはじくと見なされる。これから、撥水性評点は、イソプロピルアルコールの比率が高い試験液体が試験に合格するとされる。撥油性試験の場合、3滴の炭化水素液体をコーティングされた表面上に置く。30秒後に、液体−織物界面で織物の浸透または濡れが起こらず、また3滴のうち約2滴でウィッキングが顕著でないならば、試験は合格である。
【0035】
撥油性評価は、織物表面を濡らさない最高数の試験液体であるとされる(ここにおいて、数の増大は、炭化水素鎖および表面張力の減少に対応する)。
【0036】
これらの試験を用いて得られる結果は、基体の性質、特に基体の粗さによって多様であるが、本発明の方法により得られるある生成物は、大規模製造により、最大10の疎水性値および8の疎油性値を達成した。実際、あるコーティングされた物質は、通常の3M基準を超える疎油性の程度を示すヘプタンおよびペンタンに対して撥水性を示す。
【0037】
式(I)の他の化合物は、重合の分野においてよく知られているスチレン誘導体である。
【0038】
本発明の方法における使用に好適なプラズマは、非平衡プラズマ、たとえば、ラジオ波(Rf)、マイクロ波または直流(DC)により生成するものを包含する。これらは当該分野でよく知られているように、大気圧または大気圧以下で操作することができる。しかしながら、特に、これらはラジオ波(Rf)により生成する。
【0039】
プラズマチャンバに供給されるガスは、モノマー化合物単独の蒸気を含むことができるが、好ましくは、これはキャリアガス、特にヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスと組み合わせられる。特に、ヘリウムは、モノマーのフラグメント化を最小限に抑えるので、好ましいキャリアガスである。
【0040】
モノマーガスとキャリアガスの比は、好適には100:1〜1:100の範囲、たとえば、10:1〜1:100、特に約1:1〜1:10、たとえば、約1:5である。これは、本発明の方法により必要とされる高い流量を達成するのに役立つ。好適には、気体または気体混合物は、少なくとも1標準立方センチメートル/分(sccm)の速度、好ましくは1〜100sccmの範囲で供給される。
【0041】
気体は、好適には、排出ポンプの結果、チャンバ内の圧力が低下した結果として、チャンバ中に吸い出されるか、またはチャンバ中にポンプで注入される。
【0042】
重合は、好適には式(I)の化合物の蒸気をチャンバ中で使用して行われ、上記チャンバは、0.01〜300ミリバール、好適には約80〜100ミリバールの圧力に維持される。
【0043】
グロー放電は、高周波数電圧、たとえば13.56MHzを加えることにより点火される。これは、好適には、電極を用いて加えられ、この電極は、チャンバの内部にあっても、外部にあってもよいが、大きなチャンバの場合、好ましくは内部にある。
【0044】
加えられた磁場は、好適には、パルス磁場として加えられると、最大500W、好適には約40Wのものである。パルスは、非常に低い平均電力を生じる配列、たとえば、タイムオン:タイムオフの比が1:500〜1:1000の範囲である配列において加えられる。このような配列の具体例は、電力が20マイクロ秒の間オンになり、1000マイクロ秒乃至20000マイクロ秒の間オフになる配列である。このようにして得られる典型的な平均電力は、0.04Wである。
【0045】
磁場は、式(I)の化合物および基体などの性質に応じて、好適には30秒〜90分間、好ましくは、5〜60分間加えられる。
【0046】
式(I)の化合物のプラズマ重合は、特に、従来使用されていたよりもずっと低い平均電力で、高度にフッ素化されたコーティングの堆積をもたらすことが判明しており、このコーティングは、大規模で製造された場合でも、高レベルの疎水性および疎油性を示す。加えて、コーティング層において式(I)の化合物の構造が高度に保持され、これは、その高度に反応しやすい二重結合による、アルケンモノマー、たとえば、フルオロアルケンモノマーの直接重合によるものである。
【0047】
特に、前記式(III)の化合物の重合の場合、低電力パルスプラズマ重合により、よく接着したコーティングが得られ、これは優れた撥水性および撥油性を示すことが注目されてきた。さらに、コーティングは良好で均一な厚さのものである。
【0048】
構造保持のレベルが高いことは、負荷サイクルオフタイムの間に起こるフリーラジカル重合により、およびオンタイム中のフラグメント化が少ないことによる。
【0049】
気体は、好適には温度勾配によりチャンバに供給される。たとえば、気体は、ガスサプライからプラズマチャンバへ至る加熱されたパイプに沿ってポンプで注入される。パイプは好適には、使用されるモノマーの性質に応じて、チャンバに入る気体の温度が30〜60℃であるように加熱される。特に、チャンバに入る気体の温度は、サプライを出る気体よりも高く、好ましくは約10℃高い。サプライは、好適には周囲温度、または若干高い温度、たとえば、30℃に維持され、これも関与するモノマーの性質に依存する。
【0050】
このようにして供給パイプおよびチャンバの加熱を使用して、本出願者らは、モノマー蒸気が効率よくチャンバ中に輸送され、一旦チャンバ中に入ると、流動状態のままであることを見いだした。これは、モノマーの有効な堆積および重合につながり、配管の「コールドスポット」において起こり得るあらゆる気体の凝縮を最小限に抑える。チャンバの加熱は、エッチ生成物を流動性に保ち、チャンバから排出させることができるように、プラズマエッチングプロセスにおいて従来使用されていたが、このようなプロセスは、本発明においては必要とされず、従って、加熱が好ましいことは意外である。
【0051】
前記方法において用いられる新規装置は、本発明のさらなる態様を形成する。特に、装置は、プラズマ堆積チャンバ、気体形態のモノマーをチャンバ中に供給するために配列されたポンピングシステム、チャンバ内でプラズマに点火するように配列された少なくとも2つの電極、およびチャンバ内のプラズマ領域内で0.001〜500w/mの電力でプラズマを生じるように電極に供給された電力をパルス化するためにプログラムされた電力制御手段を含む。
【0052】
ポンピングシステムは、好適には大量の蒸気をチャンバ中に供給できるものであり、この蒸気がチャンバ中で最低の適切な滞留時間とどまることを確実にして、所望の効果を得るものである。これは、一連のポンプ、および大伝導性パイプを含み得る。ポンピングシステムは、必要に応じて、ガスをチャンバから外へくみ出して空気を排出するため、および/または圧力を低下させるために、配列することもできる。
【0053】
特定の実施形態において、ポンピングシステムは2つのポンプを含む。第一のポンプ、すなわちルートポンプは、好適には高容積ポンプであり、水蒸気または他の汚染物質を含むあらゆる蒸気をチャンバから排気するために配列される。チャンバのサイズを配慮しながら、これを効率よく、適切な時間内で行うために、ポンプはチャンバ近くに適切に配置され、直線状で可能な限り大きな直径の1本のパイプにより、チャンバに連結される。バルブをパイプ中に設けて、チャンバが排気されたら、密封できるようにする。
【0054】
第二のポンプは、好適には低容積ポンプ、例えば、ドライロータリーポンプである。これは、第一ポンプと同じ開口部によりチャンバに適切に連結される。これは、任意のキャリアガスと共にモノマーをチャンバ中に好適な速度で抜き取り、チャンバ内でガスの所望の圧力および滞留時間を維持することができるように配列される。
【0055】
ポンピング手段は、適切に炉に排出し、ここで任意の残存するモノマーまたはフラグメントは、ガスが安全に大気中に出る前に焼却される。
【0056】
好ましくは、装置はさらに、チャンバの加熱手段を含む。これらはチャンバの壁と一体になっていても良いし、あるいはチャンバを取り巻くケーシング中に存在してもよい。これらは電気素子、または再循環され、加熱されたオイルで充填された素子(好適には温度コントローラーの制御下)を含み、所望の温度がチャンバ内で確実に維持されるようにすることができる。
【0057】
好ましくは、さらに、装置はモノマーの容器を含み、この容器は、適切なパイプおよびバルブの配列によりチャンバに連結される。好ましくは、容器はヒーターを備え、このヒーターは、必要に応じて、チャンバ中に導入される前に、モノマーが周囲温度以上に加熱されることを可能にする。好ましくは、容器、容器からチャンバへと至るパイプおよびチャンバそれ自体は、全て加熱され、加熱手段は、モノマーの経路に沿って増加する温度勾配をもたらすために配列される。
【0058】
キャリアガスサプライは、必要に応じて、容器に連結することができ、このサプライからのガスは、チャンバ中へのガスの十分な流れを生成させて、所望の結果を得るために、必要に応じて容器中に侵入することができる。
【0059】
バッチプロセスにおける使用に際して、コーティングされる物品はチャンバ中に導入される。特定の実施形態において、これらは撥水性および/または撥油性コーティングが加えられた既製の衣類である。製造において使用される織物ではなく、仕上げ処理された衣類にポリマーを堆積させることにより、他の方法ではコーティングされないままであるジッパー、ファスナーおよび縫い目などの部分を包含する「全面的な」コーティングが得られる。
【0060】
例えばポンプ一式、特に装備されている場合はラージルートポンプ(large roots pump)を使用して、次にチャンバを排気させる。チャンバが排気されたら、好適には加温されたモノマー蒸気を容器からチャンバ中へ供給する。これは、例えば、第二のポンプを用いて、液体モノマーの供給が保持されている容器からくみ出すことにより達成される。この容器は、好適には、モノマーの気化を引き起こすために十分な温度に加熱される。
【0061】
好ましくは、容器からチャンバへと至るパイプおよび導管も加熱可能である。これは、モノマーがフィードパイプ中での凝縮により失われないことを確実にすることができることを意味する。
【0062】
所望により、キャリアガス(アルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガスであってよく、好ましくはヘリウムである)を、チャンバを通って供給して、チャンバ内でモノマーの所望の濃度および容量均一性を達成するために十分なガス流を提供することができる。
【0063】
あるいは、モノマー蒸気を容器から抜き取り、続いてキャリアガスと混合することができる。好ましくは、混合前に、モノマー蒸気に液体/蒸気流コントローラーを通過させる。この配列は、より制御可能な混合を可能にして、所望のキャリアガス:モノマー比を達成する。加えて、モノマーの環境、特に温度は、流れの要件と独立して制御することができる。さらに、反応性モノマーは、好適には不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で容器中に貯蔵される。好適には、容器は、窒素が大気圧より高くなるように加圧されて、容器から低圧のチャンバ中へのモノマー蒸気の流れを補助する。
【0064】
グロー放電を次にチャンバ内で、例えば、13.56MHzなどの高周波数電圧を加えることにより点火する。その後、電力を前記のようにパルス化して、低い平均電力を生成させる。その結果、モノマーは活性化されるようになり、基体の表面上に付着し、その上にポリマー層が蓄積する。本発明の方法において用いられる低電力で、不飽和モノマーは高い構造的一体性を有する均一な層を形成する。この効果は、使用されるモノマーの性質に依存するが、前記の具体例は、優れた疎水性および/または疎油性をもたらすことができる。
【0065】
本発明を、一例として添付の概略図を参照して、具体的に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
図1における装置は、プラズマチャンバ(1)を含むプロセスシステムを示す。再循環され加熱されたオイルで充填された加熱素子は、プラズマチャンバ(1)の外壁中に組み入れられる。チャンバ内の温度は、熱電対(図示せず)により測定可能であり、この情報はヒーターを制御するために供給され、必要とされる温度がプラズマチャンバ(1)内で維持される。プラズマチャンバ内にはさらに、一対の対面する電極が設けられ、これらは、その間に約1mのプラズマ領域を画定する。電極は、制御可能で、プログラム可能な、好適な電源に連結される。
【0067】
バルブ(5)を組み入れたモノマーデリバリーパイプ(3)は、プラズマチャンバ(1)中に供給される。モノマーの密封可能なチャンバ(7)は、パイプ(3)の末端に設けられる。チャンバ(7)内には、支持体(9)が配置され、その上に、モノマー(13)の開放容器(11)を配置することができる。チャンバ(7)には、チャンバ(7)の周りに広がる、制御可能なヒーター、例えばバンドヒーター(15)が設けられる。
【0068】
加えて、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガスのサプライ(17)が、チャンバ(7)に、パイプ(19)により連結され、このパイプ中には、バルブ(21)およびマニュアルバルブ(23)が、マスフローコントローラー(25)とともに設けられている。ガスサプライは制御可能であり、ディスプレイ(27)により観察することができる。
【0069】
プラズマチャンバ(1)は、図2に概略図で表されたポンプ配列を備えている。これは、チャンバを排気するために配列された、ルートおよびロータリーポンプの組み合わせを含む。ルートポンプ(29)は、パイプ(31)によりプラズマチャンバに連結され、このパイプは好ましくは直線状であり、可能な限り大きな直径を有する。この場合は、パイプの直径は160mmである。これを確実にすることにより、パイプ(31)中の屈曲が無く、伝導性損失を最小限に抑えることができる。遮断バルブ(33)をパイプ(31)中に設けて、プラズマチャンバからポンプ(29)を分離する。
【0070】
低容積ロータリーポンプ(35)も提供され、これは、自動圧力制御(APC)バルブ(39)および遮断バルブ(41)を備えた、より小さなパイプ(37)、例えば直径63mmのパイプにより、バルブ(33)の下流のパイプ(31)に連結可能である。柔軟性バイパスパイプ(43)もバルブ(45)を備え、これはルートポンプ(29)をロータリーポンプ(35)と直接連結する。
【0071】
最後に、炉(47)をロータリーポンプ(35)の下流に設け、これは、システムの外へ排出されるあらゆるガスを焼却するために設けられる。
【0072】
図示されたルートおよびロータリーポンプの組み合わせは、350m/時のオーダーの全体的なポンピング速度を提供し、これにより、プラズマチャンバの迅速なポンプダウンが可能になる。
【0073】
別の配列を図3に示す。この図において、チャンバ(1)内の電極(2)を示す。これらはRF発生器(4)に、RFマッチングユニット(6)により電気的に接続される。RF発生器(4)は、前記のようなRF磁場においてパルスを生成させるために設定される関数発生器(8)により制御される。RFマッチングユニットは、チャンバ(1)内でのパルシングを、発生器(4)内で生じたものと確実に一致させる。
【0074】
この例において、ポンプシステムは、ルートポンプ(29)およびロータリーポンプ(35)が、図2の実施形態のバルブ41および45の代わりに、1つの3−ウェイプロセス/粗選択バルブ(40)により相互連結している点で若干異なる。プロセス圧制御バルブ(39)を含むパイプ(37)も、このバルブに連結する。その結果、コンビネーションルートおよびロータリーポンプを用いて、図1および図2に関連して既に記載したのと概して同じようにして、プロセスチャンバ(1)を介してガスを抜き取り、炉(47)へとガスを排出させることができる。チャンバ内からのガスの迅速な排気は、バルブ33および40を開放し、ポンプ(29)および、必要ならばさらにポンプ(35)を操作することにより、行うことができる。しかしながら、バルブ(33)を閉鎖し、バルブ(40)を調整することにより、また、バルブ(39)が開いた場合にパイプ(37)からガスをくみ出すポンプ(35)の使用により生じる、チャンバを通る、より制御されたガスの流れにより、ルートポンプ(29)をシステムから隔離することができる。
【0075】
この装置において、モノマーフィード配列もまた、より制御可能にするために変更することができる。特に、独立したモノマー処理ユニット(10)が提供される。これは、モノマー貯蔵容器(12)を含み、この中でモノマーを制御された環境条件下に保持することができる。例えば、モノマーを暗所で、適切なガスサプライ(14)から供給される窒素などの不活性ガスの雰囲気下に保持することができる。これらの条件は、モノマーが時期尚早に重合する機会を最小限に抑える。
【0076】
モノマーは、貯蔵容器(12)から外部へ、モノマー容器(11)(この例においては図示せず)から下方へと至るパイプ(16)を通って供給することができる。この流れは、貯蔵容器内の不活性ガスの圧力を大気圧よりも若干高く維持して、圧力差を生じさせることにより補助することができる。窒素ブリードバルブ(32)もシステム中に提供される。
【0077】
パイプ(16)は好適には、温度制御されたガスユニット(20)内に含まれる、液体/蒸気流コントローラー(18)中へモノマーを運ぶ。任意の凝縮したモノマーが蒸発し、必要とされる濃度で蒸気がバルブ(22)を通ってコントローラーから出て、ガスインジェクタユニット(24)に入ることを確実にするために、コントローラー(18)内の温度を観測および制御する。
【0078】
ユニット内で、モノマー蒸気を、ヘリウムマスフローコントローラー(26)により適切なサプライ(17)からインジェクタユニット(24)中に供給される、必要とされる量のキャリアガス、例えばヘリウムと混合する。バルブ(28、30)は、必要に応じて、ヘリウムサプライ(17)を隔離するために使用できる。コントローラー(26)の温度は、所望の混合物を得るために適切な圧力のガスがインジェクタユニット(24)に供給されるように、独立して制御することができる。インジェクタユニット(24)中で生成した混合物は、チャンバ(1)中に、図1に関連して記載したものと同様にして、バルブ(5)により閉鎖可能なパイプ(3)により供給される。
【実施例】
【0079】
図1および図2の装置のプラズマチャンバ内で、電極間、したがってプラズマ領域内に枕カバーを吊した。さらに、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート(10g)のサンプルを、モノマーチャンバ(7)内の容器(11)中に入れた。このときに、バルブ5、21、23および33を閉じる。
【0080】
次に、バルブ33および45を開け、ポンプ29、35を操作してチャンバの外へ空気を抜き取ることにより、プラズマチャンバを迅速に(5分以内)排気して、2×10−3バールの圧力にした。バルブ33および45を閉じることにより、ロータリーポンプ35を次にシステムから遮断した。
【0081】
次にプラズマチャンバを、プロセスチャンバ(1)の壁面中のヒーターにより加熱し、40〜50℃の間、特に50℃の温度を維持した。
【0082】
同様に、バンドヒーター15を操作して、モノマーチャンバ7を45℃に加熱し、この温度に維持した。
【0083】
次にバルブ39および41をバルブ21および23と同様に開放し、ロータリーポンプ35を60sccmの速度で操作することにより、サプライ(17)からのヘリウムガスをチャンバ(7)中に抜き取った。モノマーを通り過ぎる際、ヘリウムガスは、モノマー蒸気をプラズマチャンバへ運ぶキャリアとして作用する。
【0084】
2分間で残存する空気がシステムからパージされ、その後、チャンバ内で所望の圧力に達し、RFプラズマが電極間で点火された。電源をパルス化して、電力が20マイクロ秒の間オンになり、20000マイクロ秒の間オフになるようにした。
【0085】
プラズマチャンバを通って抜き取られたガスは、パイプ37およびポンプ35を通って、300℃に維持された炉47へ入った。
【0086】
30分後、バルブ39および41を閉じて、ポンプ35を遮断し、システムを乾燥窒素でベントした。枕カバーを取り出し、3M撥油性試験I(3M Test Methods、1988年10月1日)および撥水性試験(3M撥水性試験II、水/アルコール液滴試験、3M Test 1、3M Test Methods、1998年10月1日)を用いて、撥油性および撥水性を試験した。結果は、通常の洗濯機で洗濯した後でさえ、10の疎水性値および8の疎油性値であった。
【0087】
対照的に、同様の条件下、200ワットのRF電力を13.56MHzで連続して加えて処理された枕カバーは、容易にこすり落とされるコーティングを生成した。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態において使用できるモノマーサプライシステムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態において使用できるポンピングシステムの概略図である。
【図3】本発明の一実施形態において使用できる別の装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー物質を基体上に堆積させる方法であって、前記方法が、モノマー物質を気体状態においてプラズマ堆積チャンバ中に導入することと、前記チャンバ内でグロー放電に点火することと、パルス磁場として、0.001〜500w/mの電力で、ポリマー層を基体の表面上に形成させるために十分な時間、電圧を加えることを含む、方法。
【請求項2】
チャンバ内のプラズマ領域が0.5m以上の体積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電力が0.001〜100w/mで加えられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電力が0.04〜100w/mで加えられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
モノマー物質が、任意にハロゲンにより置換されていてもよい炭素原子の鎖を含む不飽和有機化合物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
モノマー物質が式(I)の化合物であって、
【化1】

式中、R、RおよびRが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたは任意にハロで置換されていてもよいアリールから選択され、ここで、R、RまたはRの少なくとも1つが水素であるとし、RがX−R基であり、式中、Rがアルキルまたはハロアルキル基であり、Xが結合であるか、式−C(O)O(CHY−基であって、式中、nが1〜10の整数であり、Yが結合またはスルホンアミド基であるとするか、または−(O)(O)(CH−基であって、式中、Rが任意にハロで置換されていてもよいアリールであり、pが0または1であり、qが0または1であり、tが0または1〜10の整数であり、ただし、qが1である場合、tが0以外であるとする、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物が式(III)のアクリレートであって、
CH=CRC(O)O(CH (III)
式中、nおよびRが請求項6において定義されたとおりであり、Rが水素またはC1−6アルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(III)のアクリレートが1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
気体状態のモノマー化合物がキャリアガスとの組み合わせにおいてチャンバに供給される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
キャリアガスがヘリウムである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
気体状物質が、1分あたり少なくとも1標準立方センチメートル(sccm)の速度でチャンバに供給される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
チャンバ中の式(I)の化合物の蒸気が0.01〜300ミリバールの圧力に維持される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電力が配列内でパルス化され、ここにおいて電力が20マイクロ秒の間オンになり、1000マイクロ秒乃至20000マイクロ秒の間オフになる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ガスが温度勾配に沿ってチャンバに供給される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
堆積プロセスの間、チャンバが加熱される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマー物質を基体上に堆積させる装置であって、前記装置が、プラズマ堆積チャンバと、チャンバ内のプラズマを点火するように配列された少なくとも2つの電極と、モノマーガスをチャンバ中に供給するように配列されたポンプシステムと、チャンバ内のプラズマゾーン内で0.001〜500w/mの電力でプラズマを生成させるように電極に供給された電力をパルス化するようにプログラムされた電力制御手段とを含む、装置。
【請求項17】
チャンバの加熱手段をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
チャンバに連結されたモノマーの容器をさらに含む、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
加熱手段が、前記容器と前記チャンバ間に増大する温度勾配を形成するように配置される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
実質的に図面に関連して前述の通りである、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
実質的に実施例に関連して前述の通りである、ポリマー物質を基体上に堆積させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−529308(P2007−529308A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503409(P2007−503409)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001017
【国際公開番号】WO2005/089961
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】