天然保存料および抗菌剤
本発明は、サトウキビ由来の抽出物を含む保存料および抗菌剤に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存料および抗菌剤に関する。特に、本発明は、食品、化粧品、調合薬および他の類似の組成物を保存するために使用できる、サトウキビ由来の抽出物から誘導される保存料、ならびに口腔衛生用品において使用できるサトウキビ由来の抽出物から誘導される抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、文書、記録もしくは知識項目について言及または議論する場合、このような言及もしくは議論は、そのような文書、記録もしくは知識項目またはこれらの任意の組み合わせが、優先日で公に入手可能であるか、公表されているか、一般常識の一部であるか、または本明細書が関連する問題を解決する試みに関係することが知られていることを承認するものではない。
【0003】
保存料
保存料は、微生物増殖もしくは望ましくない化学変化による分解を防止するために、食品、調合薬、生物試料、木材などの製品に添加される、天然もしくは合成の化学物質である。
【0004】
食品保存は、その可食性および栄養価を持続させるような方法で食品を処理し、取り扱うプロセスである。主な試みは、腐敗を停止または大幅に遅らせて、食品経由の病気を予防することである(例えば、塩漬、冷却、調理により)。しかし、一部の方法は、良性の細菌、酵母または真菌を利用して、特定の質を高め、食品を保存する(例えば、チーズ、ワイン)。栄養価、食感、および風味を維持または付与することが、食品としての価値を維持するのに重要であるが、これは、文化に依存した決定要因である。というのは、ある文化で人間向きの食品として適するものが、別の文化では適さない可能性があるからである。
【0005】
保存は、通常、細菌、真菌および他の微生物の増殖の防止、ならびに酸敗臭の原因となる脂肪の酸化の遅延を含む。これはまた、食品の調理中に起こり得る自然熟成および変色を抑制し、たとえばリンゴを切ったときに褐変を起こす、リンゴにおける酵素的褐変反応を抑制するプロセスも包含する。一部の保存法では、微生物での再汚染を予防するために処理後に食品を密封する必要があり、乾燥などの他の方法では、食品を、特別な収納法を用いないで長期間保存することが可能である。
【0006】
これらのプロセスを応用する一般的な方法としては、乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、冷凍処理、真空パック、缶詰化、シロップ漬け、砂糖の結晶化、食品照射、保存料もしくは二酸化炭素などの不活性ガスの添加が挙げられる。食品の保存に役立つだけでなく、風味も加える他の方法としては、酢漬け、塩漬、燻製、シロップまたはアルコール漬け、砂糖の結晶化および半発酵が挙げられる。
【0007】
防腐性食品添加物を、単独または他の食品保存法と組み合わせて用いることができる。保存料は、細菌および真菌の増殖を抑制する抗菌性保存料、または食品構成成分の酸化を抑制する酸素吸収剤などの抗酸化物質であってよい。一般的な抗菌性保存料としては、プロピオン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸塩(二酸化硫黄、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなど)およびEDTA二ナトリウムが挙げられる。一般的な抗酸化物質としては、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)およびBHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)が挙げられる。他の保存料としては、ホルムアルデヒド(通常は、溶液)、グルタルアルデヒド(殺虫)、エタノールおよびメチルクロロイソチアゾリノンが挙げられる。多くの人工食品添加物(保存料を含む)の効用および安全性は、食品科学および毒物学を専攻する大学研究者および規制者間での議論のテーマである。
【0008】
抗酸化物質は、獣肉、鶏肉、脂肪、油、マーガリン、魚、海産物および焼いた食品を包含するが、これらに限定されない広範囲の食品で、油脂またはこれらの酸化生成物の分解を抑制するために用いられる。市場では、合成保存料、たとえばBHTおよびBHAが現在多数を占めている。これらは、天然保存料、たとえばローズマリー、茶抽出物、トコフェロールおよびアスコルビン酸塩に取って代わられ始めている。しかし、天然保存料は高価である可能性があり、このために食品におけるより広範な使用が抑制され、引き続き合成保存料が使用されることになる。
【0009】
抗菌剤は現在、製品の保存寿命を延長するため、製品の安全性を改善するため、製品の品質を維持するため、加工費を減少させるため、および複雑なサプライチェーンにおいて世界的に製品を流通させる能力を増大させるために、食品産業で保存料としても用いられる。合成添加剤の使用についての消費者の懸念のために、合成抗菌剤の市場は衰退し、天然抗菌剤に取って代わられつつある。
【0010】
天然物質、たとえば塩、砂糖、酢、および珪藻土も、伝統的な保存料として使用されている。もう1つ別の保存料群は、切断後に代謝し続ける果実および野菜中の酵素を標的とする。たとえば、レモンまたは柑橘類果汁由来のクエン酸およびアスコルビン酸は、切断されたリンゴおよびジャガイモの表面を褐変させる酵素フェノラーゼの作用を抑制できる。
【0011】
酸敗臭
酸敗化は、加水分解もしくは酸化、または両方による脂肪、油および他の脂質の分解である。加水分解は、グリセリド中のグリセロール骨格から脂肪酸鎖を分断する。これらの遊離脂肪酸は、その後さらに自動酸化を受ける可能性がある。酸化は主に、フリーラジカル媒介性のプロセスによって不飽和脂肪のために起こる。これらの化学プロセスは、酸敗した食品および油中に反応性の高い分子を生成させ、これらの分子は不快かつ有害な臭気および風味が生じる原因となる。これらの化学プロセスは、食品中の栄養素を破壊する可能性もある。ある条件下では、酸敗臭、およびビタミンの破壊は、非常に急速に起こる。
【0012】
脂肪性物質が空気にさらされると、その不飽和成分はヒドロペルオキシドに変化し、これは分解して揮発性アルデヒド、エステル、アルコール、ケトン、および炭化水素になり、その一部はいやな臭いがする。バターは前記プロセスおよび加水分解によって酸敗し、揮発性かつ悪臭を有する酸、特に酪酸を放出する。飽和脂肪、たとえば牛脂は酸化に対して耐性であり、常温ではほとんど酸敗しない。
【0013】
脂肪酸化を促進する要因としては、微量金属(鉄、亜鉛等)、塩、光、水、細菌、およびカビが挙げられる。香辛料、たとえばセージおよびローズマリーを使用すること、および油脂を酸素またはフリーラジカルにほとんどさらされない冷暗所で保存することによって、脂肪酸化を遅らせることができる。その理由は、熱および光が、脂肪の酸素との反応速度を加速するからである。
【0014】
抗酸化物質は、酸化による酸敗臭の発生を遅らせるために、脂肪を含む食品に添加されることが多い。天然の抗酸化物質としては、フラボノイド、ポリフェノール、アスコルビン酸(ビタミンC)およびトコフェロール(ビタミンE)が挙げられる。合成抗酸化物質としては、BHA、BHT、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸プロピル(没食子酸プロピルとしても知られる)およびエトキシキンが挙げられる。天然の抗酸化物質は、短命の傾向があり、したがって、より長い保存寿命が好ましい場合には、合成の抗酸化物質が使用される。脂肪内の直接抗酸化における水溶性抗酸化物質の有効性は限られているが、食品の水様性部分を移動するフリーラジカルの妨害に有益である。
【0015】
天然の抗酸化物質
昨今の合成保存料の一部は、呼吸器または他の健康問題の原因となることが証明されているので、物議を醸すようになってきている。いくつかの研究は、合成保存料および人工着色料が、患者におけるADD&ADHDの症状を悪化させることを指摘している。いくつかの主要な研究は、学校給食プログラムから保存料を含む人工成分を排除した場合に、非ADD生徒の大集団において、知的学習能力が増大し、規律上の問題が減少したことを指摘している。食品または医薬中のアレルギー誘発性保存料は、感受性個体において、応急処置をしないと数分以内で死に至ることが多いアナフィラキシーショックを引き起こす可能性がある。
【0016】
したがって、現在、天然の抗酸化物質を使用する傾向がある。植物は植物化学物質を含み、その多くは、抗酸化特性を有することが知られている。ポリフェノールは、フラボノイド、アントシアニンおよびフェノール酸をはじめとする植物化学物質群の一般名であり、広範囲の植物中に天然に存在する。ほとんどは有色であり、果実および植物の他の部分において見られる色の原因となる。これらの生物活性は、主に抗酸化物質としてであり、微生物による組織の損傷および浸潤から植物を保護するのに役立つ。
【0017】
植物フェノール成分に関する文献はたくさんあり、異なる植物種に関連するさまざまなポリフェノールは十分に特徴づけられ、研究されてきた。このような多くのポリフェノール摂取の生理的効果も臨床的に調べられ、抗酸化活性を示すだけでなく、抗炎症性および血管拡張性も示すことが判明している。
【0018】
一般的に消費される食品、たとえばコーヒー、茶、ココア(チョコレート)、赤ワイン、ベリー類(ブルーベリー、ブラックベリー、イチゴ)および果実(マンゴスチン、ノニ、ザクロ、アサイ、ブドウ)は、その高い抗酸化レベルおよび健康促進特性が立証され、市販されている。
【0019】
一般的に、植物および植物製品は、動物性食品よりも遙かに高い抗酸化物質含有量を有する。ある香辛料、ベリー類、果実、ナッツ類、チョコレート含有製品、野菜および穀類は、食物抗酸化物質の良好な供給源である。さらに、コーヒー、緑茶および紅茶、赤ワインならびに様々なベリーおよび果汁飲料は、抗酸化物質の良好な供給源である。
【0020】
前記供給源の多くから得られる抗酸化物質シロップおよび粉末は、現在、広範囲の食品系で使用される食品成分および添加物として提供されている。高ポリフェノール抗酸化物質シロップおよび粉末(たとえば、South AustraliaのTarac Technologiesから得られるブドウ由来のVinlifeおよびCalifornia, USAから得られるポリフェノール成分)は、チョコレート(Cocoa Farm,Melbourne Australia)、ココア飲料、茶およびアイスクリーム(Wendy’s Vinlife Ice Cream,Australia)などの製品にする方法を見いだしつつある。しかし、これらの食品成分は、通常、食品の抗酸化物質含有量を増大させて、有益な健康効果を得るために使用され、食品保存料として使用されていない。
【0021】
サトウキビは、ポリフェノールおよび有益な特性を有する他の植物化学物質を含むことが知られている。これらの特性に関する刊行物の例としては、国際特許出願番号WO2005/117608、PCT/AU2006/000769およびPCT/AU2007/001382が挙げられる。しかし、これらの文書は、サトウキビの淡色(low color)抽出物の食品保存料としての使用を開示していない。
【0022】
多くのサトウキビ製品の抗酸化活性は、Payet等、“Comparison of the Concentrations of Phenolic Constituents in Cane Sugar Manufacturing Products with their Antioxidant Activities” J Agric Food Chem,2006,54,7270−7276で測定されている。この文書は、抗酸化活性が、Maillard反応生成物の効果および着色剤の大幅な増加によるものであるという仮説を立てている。濃い色(high color)の保存料は食品添加物としての使用が限定される。サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0023】
日本国特許公開番号2001−112439は、メラノイジンを含むブラウンシュガーからの抽出物が、抗酸化効果を有し、体脂肪を減少させ、皮膚の状態を改善するために使用できることを開示している。しかし、メラノイジンは、砂糖およびアミノ酸が(Maillard反応によって)高温および低水分活性で結合する場合に形成される、褐色の高分子量異種ポリマーである。抽出物は、したがって色が濃く、これにより食品添加物としての使用が限定される。抽出物はさらに、強烈な風味も有し、このことによって食品添加物としてのその使用がさらに限定される。サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0024】
日本国特許公開番号2002−161046は、抗酸化特性を有するポリフェノールをサトウキビの穂から抽出できることを開示している。サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0025】
日本国特許公開番号2001−200250は、食品保存料として使用できる、抗酸化特性を有するサトウキビ抽出物を開示している。しかし、サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0026】
天然の抗酸化物質、たとえばローズマリー、茶抽出物、トコフェロールおよびアスコルビン酸塩は、現在、食品を保存するために使用されているが、これらの天然の抗酸化物質は高価である傾向にある。トコフェロールも、疎水性であるので実用上の問題がある。アスコルビン酸塩は、食品に酸味を加えるので、実用上の問題がある。
【0027】
抗菌剤
微生物を殺すかまたは抑制する薬剤は、殺菌剤、消毒剤または抗生物質に分類できる。抗生物質は、ある微生物によって生成される分子であって、他の微生物を殺す(殺菌)か、または抑制する(静菌)ものである。消毒剤および殺菌剤は、商業的に調製された化学物質であり、これらの違いは、消毒剤は粘膜表面に少なくとも短時間さらすことができ、殺菌剤は害を及ぼす可能性があるので、さらすべきでないことである。
【0028】
ADA学術評議会(ADA’s Council on Scientific Affairs)は、他のADAが容認した製品、たとえばプラークおよび歯肉炎の予防および軽減を助けることができる抗菌マウスリンスおよび練り歯磨きならびにフッ素入り練り歯磨き単独によって得られる以上の虫歯に対する保護を提供できるフッ素入りマウスリンスの口腔衛生上利点に注目している。
【0029】
リンスは、一般的に、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration(FDA))によって次のいずれかに分類される。化粧品、治療薬、またはこれら2つの組み合わせである。美容的リンスは、歯磨き前または歯磨き後に食べかすを除去するのに役立ち、一時的に口臭を抑制し、口中細菌を減少させ、快い風味で口をリフレッシュさせる市販品(OTC)である。治療的リンスは、これらの美容的対応物の利点を有するだけでなく、ある口腔疾患から保護するのに役立つ追加の活性成分も含む。治療的リンスは、FDAによって規制され、米国歯科医師会(ADA)によって任意に認可されている。
【0030】
ほとんどのマウスリンスは、最低限でも、口をさっぱりさせ、口臭を3時間まで抑える有効な経口消毒剤である。しかしこれらは、虫歯、歯肉炎(歯肉組織の炎症)および歯周病予防にある程度しか有効でない。しかし、フッ化物を含む治療的虫歯予防リンスは、虫歯原因菌の50%超までと闘うことが臨床的に証明されている。ほとんどの虫歯予防リンスはフッ化ナトリウムを含み、これは、過剰に摂取したり、または飲み込んだりした場合、時間がたつとフッ化物毒性につながる可能性がある。
【0031】
ほとんどの市販のマウスリンスは、次のような5つの標準的成分を含む:
・活性細菌と闘う成分、たとえば第4アンモニウム化合物、ホウ酸および安息香酸、フェノール化合物;
・矯味矯臭剤、たとえばサッカリンまたはグリセリン;
・快い味覚を提供し、組織を収縮させるための塩化亜鉛などの収斂剤;
・18〜26パーセントの範囲のエチルアルコール;および
・水。
【0032】
リンスは、酸性度を減少させ、粘液性フィルムを溶解させ、軟組織痛を軽減するために、緩衝液を含むこともできる。虫歯予防リンスは、通常、FDAの承認に基づき、0.05パーセントのフッ化ナトリウム、または0.1パーセントのフッ化スズを含む。
【0033】
プラーク防止用リンス中の活性成分は様々である。あるリンスは、クロルヘキシジン(現在試験されている最も有効なプラークと闘う薬剤、処方箋によってのみ入手可能である)、重金属塩またはハーブ抽出物、たとえば赤根草由来の血根草を含む。
【0034】
抗菌マウスリンスおよび練り歯磨きは、細菌数を減少させ、歯周(歯肉)疾患の初期可逆的形態である歯肉炎の原因となり得る歯垢における細菌活性を抑制する。ADAが承認した抗菌マウスリンスおよび練り歯磨きは、プラークおよび歯肉炎における著しい軽減を証明することによって、これらの主張を立証した。抗菌マウスウォッシュの活性物質濃度は、細菌に対して迅速な致死効果をもたらしてマウスウォッシュを感染状態で有用にすることができる、決定された最小阻止濃度より十分過剰であることが多い。
【0035】
しかし、多くの人々は、毒性および歯に対する被害に関する懸念から、市販のマウスウォッシュ製品の使用に慎重である。天然の代替物としては、食塩溶液リンスおよび重炭酸ナトリウム溶液リンスが挙げられる。
【0036】
このように、天然の保存料および抗菌剤の代替源が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】WO2005/117608
【特許文献2】PCT/AU2006/000769
【特許文献3】PCT/AU2007/001382
【特許文献3】日本国特許公開番号2001−112439
【特許文献4】日本国特許公開番号2002−161046
【特許文献5】日本国特許公開番号2001−200250
【非特許文献】
【0038】
【非特許文献1】Payet等、“Comparison of the Concentrations of Phenolic Constituents in Cane Sugar Manufacturing Products with their Antioxidant Activities” J Agric Food Chem,2006,54,7270−7276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
糖液および他のサトウキビ加工製品は、典型的にはポリフェノール、多糖類、ペプチドおよびタンパク質、ミネラル、有機酸、ならびに単糖類および二糖類を含む植物化学物質の複雑な混合物である。本発明は、食品保存料および抗菌剤特性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を提供する。特に、サトウキビ由来の淡色抽出物は、高い抗酸化活性を有し、このことによって、油脂またはそれらの酸化生成物の分解を抑制するために、そして抗菌剤として有用となることが意外にも判明した。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の第1の態様によって、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を含む保存料を提供する。
【0041】
本発明の第2の態様によって、食品、化粧品または調合薬を保存する方法であって、前記食品、化粧品または調合薬に、有効な保存量の、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を添加するステップを含む方法を提供する。
【0042】
本発明のこの態様で使用される淡色抽出物は、抗酸化特性と抗菌特性との両方を提供する。以前は、これらの効果を得るために、異なる保存料を使用していた。
【0043】
「淡色」という用語は、本明細書において用いる場合、750nmで測定した場合に約0.010以下の吸光度値を有するサトウキビ由来の抽出物を意味する。
【0044】
「高抗酸化性」という用語は、本明細書において用いられる場合、実施例4で記載するようにして試験した場合に少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、サトウキビ由来の抽出物を意味する。好ましくは、サトウキビ由来の抽出物は、0.99〜6g/lカテキン当量;さらに好ましくは4〜5g/lカテキン当量の抗酸化レベルを有する。
【0045】
本発明の第3の態様によって、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の、食品、化粧品または調合薬における抗酸化物質としての使用を提供する。
【0046】
本発明のこの態様は、費用効率の高い、抗酸化物質の豊富な供給源であり、食品産業によって現在用いられている高価な合成の抗酸化物質の代わりに使用できる抽出物を使用する。
【0047】
本発明の第4の態様によって、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の、食品、化粧品または調合薬における抗菌剤としての使用を提供する。
【0048】
本発明のこの態様は、ポリフェノール含有量が高く、世界的な食品産業による天然の抗菌剤に対する高まる需要に応えるために使用できる抽出物を使用する。加えて、本発明の抽出物は、現在使用されている抗菌剤よりも価格優位性を有する可能性が高い。
【0049】
「有効保存量」という用語は、油脂の酸敗化の最小化もしくは実質的な抑制(抗酸化特性)および/または微生物増殖の最小化もしくは実質的な抑制(抗菌性)を行う量を意味する。使用される具体的な量は、特定の組成物および所望の保存寿命に依存する。典型的には、使用される量は、全組成物の0.0001〜5重量%の範囲であり、さらに典型的には0.01〜2.5%である。
【0050】
本発明の保存料を、直接、さらに修飾することなく、混合、注入、注射、ブレンド、分散、コンチング、乳化、浸漬、噴霧、凝集および混練などの技術によって、食品、化粧品または調合薬(腸および非経口製品)中に組み込むことができる。
【0051】
本発明の第5の態様によって、口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための方法であって、治療有効量の、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を口腔衛生用品に添加するステップを含む方法を提供する。
【0052】
「治療有効量」という用語は、本明細書において用いられる場合、口腔中の微生物増殖の最小化もしくは実質的な抑制および/または殺菌を行う量を意味する。典型的には、使用される量は、全組成物の0.0001〜5重量%の範囲、さらに典型的には0.01〜2.5%である。
【0053】
「口腔衛生用品」という用語は、本明細書において用いられる場合、練り歯磨き、マウスウォッシュ(マウスリンス)、およびチューインガムなどの歯垢除去製品を包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0054】
本発明の第6の態様によって、口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための口腔衛生用品における治療有効量の高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の使用を提供する。
【0055】
本発明で使用される抽出物は、サトウキビ粉砕プロセス、砂糖を製造するためのサトウキビ精製プロセス、およびサトウキビ生成物を用いた他のプロセス、たとえばラム酒製造の一部としての糖液からのエタノール製造をはじめとするサトウキビ由来の任意の生成物から誘導することができる。抽出物は、原料、製造過程の生成物、副生成物、最終生成物および廃棄物流れから誘導することができる。たとえば、サトウキビ抽出物は、未加工のサトウキビ汁、透明化汁および濃縮汁シロップ、糖蜜、糖液(第1ミルまたは精製装置から得られる)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、バイオダンダー、田畑の廃棄物、新しょう先端、パルプ、茎剥離物(cane stripping)、髄、再生抽出物(中和および非中和)ならびに粉砕汚泥(mill mud)のフィード流れから誘導できる。好ましくは、抽出物は糖液由来である。
【0056】
本発明で使用される抽出物の物理的特性は、これらの全体的な化学組成に依存するであろう。適用される加工方法に応じて、蒸発化させることによって抽出物を濃縮して、シロップを生成させることができる。あるいは別法として、抽出物を完全に乾燥させて、粉末を得ることができる。異なる物理的性質を有する抽出物を調製するこの能力は、抽出物の商業的有用性を増大させる。それらの物理的特性および化学組成に応じて、抽出物は様々な使用に適している。たとえば、食品産業の要件は、化粧品産業の要件とは非常に異なる可能性がある。
【0057】
本明細書において用いられる場合、「食品」という用語は、任意の可食生成物、たとえばこれらに限定されないが、菓子類、サプリメント、スナック(甘味および風味)、ココアおよびコーヒーを含む食品、フレーバー、飲料(インスタント飲料、プレミックスを包含する)、栄養補給食品、栄養補助食品ならびに動物の健康および栄養摂取に使用されるサプリメントを包含する配合物、乳製品、たとえば、乳、ヨーグルト、アイスクリーム、焼いた製品、および食品調味料、ならびに動物飼料を包含する。
【0058】
本発明の保存料を、制限なく以下のものを含む食品中に組み入れることができる。
・乳製品−たとえばチーズ、バター、乳および他の乳飲料、スプレッドおよび乳製品ミックス、アイスクリームおよびヨーグルト;
・脂肪性製品−たとえばマーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、調理用油および揚げ油ならびにドレッシング;
・穀類系製品−これらの品物が調理されているか、焼かれているか、または他の処理をされているかに関わらず、穀物を含む(たとえば、パンおよびパスタ);
・菓子類−たとえばチョコレート、キャンディー、チューインガム、デザート、非乳製品トッピング、ソルベ、アイシングおよび他のフィリング;
・粉末、プレミックス、ジュース、エネルギーバー、アイソトニックドリンクおよびゼラチン、デンプン系またはペクチンゼリーを含むスポーツ栄養製品;
・飲料−ホットまたはコールド(コーヒー、茶、ココア、穀物、チコリおよび他の植物抽出物系飲料)、アルコールまたはノンアルコールに関わらず、コーラおよび他のソフトドリンク、ジュース、栄養補助食品、インスタントプレミックスおよび食事代用飲料を含む;ならびに
・様々な製品−卵および卵製品、加工食品、たとえばスープ、出来あいのパスタを含む。
【0059】
本発明で使用する抽出物の調製法
本発明で使用する抽出物は、サトウキビ製品、好ましくは甘蔗糖精製プロセスから得られる糖液由来である。抽出物は、サトウキビ製品から、次のような様々な方法、または方法の組み合わせによって得ることができる。
・非水性または水性溶媒を用いた溶媒抽出および向流抽出;
・サイズ排除処理法、たとえばゲル透過クロマトグラフィーまたは限外濾過による、特定の分子量範囲内にある成分の分離;および
・クロマトグラフィー技術またはイオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーおよびpHの段階的増加もしくはエタノールなどの溶媒を使用した分画溶出を用いたイオン交換クロマトグラフィーなどの技術の組み合わせを用いた低分子量および高分子量成分の分離。
【0060】
抽出物を、標準的技術、たとえば精密濾過、逆浸透、真空蒸発ならびに凍結乾燥、噴霧乾燥およびトンネル乾燥によってさらに処理することができる。
【0061】
抽出物調製法の例は、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1からの実施3についてのA420および抗酸化物質を示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図2】実施例1からの実施3についてのA420および全フェノール成分を示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図3】実施例1からの実施3についてのA420およびスクロースを示すBio−Gel P−2上の糖液のゲル濾過を示す図である。
【図4】実施例1からの実施3についてのA420およびグルコース+フルクトースを示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図5】Bio−Gel P−2上で得られる糖液のフラクション(実施例1からのプール1〜5)の写真である。
【図6】実施例1からのギ酸塩/アセトニトリル緩衝液pH5.0およびTris HCl緩衝液pH7.5を用いたA420特性を示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図7】実施例4から得られる96穴プレートマップを示す。
【図8】実施例4から得られる未加工吸光度値A750を示す。
【図9】実施例4から得られる補正した吸光度値を示す。
【図10】実施例4から得られる糖液原料希釈物およびフラクション3〜23の96穴プレートのマップを示す。
【図11】図11のマップの750nmでの吸光度値を示す。
【図12】実施例4から得られるクロマトグラムである。
【図13】実施例4から得られるカテキン標準曲線を示す図である。
【図14】実施例4から得られるフラクション3〜26の各フラクションのカテキン当量で表した全ポリフェノール成分を示す図である(誤差±2SD)。
【図15】実施例4から得られるフラクション3〜26を示す、各プレートのカテキン当量で表した全ポリフェノールを示す図である(誤差±2SD)。
【図16】実施例4から集めた有色フラクションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実施例
本発明の様々な実施形態/態様を、以下の非制限的実施例に関連して記載する。
【0064】
略称のリスト
BDL 検出可能なレベル未満
CE カテキン当量
DW 乾燥重量
GAE 没食子酸当量
GI 血糖インデックス
ICまたはICUMSA 国際砂糖分析法統一委員会(International Commision for Uniform Methods of Sugar Analysis)
MF 精密濾過
N/D 検出せず
N/T 試験せず
【実施例1】
【0065】
この実施例は、本発明で使用できる抽出物を生成させるためのゲル浸透の使用を調べる。
【0066】
方法
Bio−Gel P−2カラム上での分取ゲル濾過を用いて、100〜1800ダルトン(Da)の分子量範囲の希釈糖液(50%w/v)を分画した。6回のクロマトグラフィー実施から得られる5の分子量フラクションをプールし、凍結乾燥した。フラクションを、抗酸化活性、全フェノール成分、HPLC特性および糖について分析した。
【0067】
糖液を、ゲル濾過緩衝液(10%アセトニトリルを含む20mMギ酸アンモニウムpH5.0)中で50%(w/v)に希釈し、6000g、10℃で1時間遠心分離した。上清を、1.6μmのGF/Aフィルター(Whatman)を通して濾過し、ゲル濾過クロマトグラフィーで使用するために30mlのアリコートで、−80℃で凍結した。
【0068】
ゲル濾過
ガラス製カラム(26mm×1000mm)に、Bio−Gel P−2(BioRad,USA)を910mmの床高さまで60ml/時の流速で充填した。床を、室温、30ml/時で、10%アセトニトリルを含む20mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)中で平衡化した。希釈した糖液(20ml、50%w/v)をカラムにかけ、5mlフラクションを集めた。合計120mlの希釈された糖液について6回ゲル濾過を行った。最初の3回の実施から得られたフラクションを色(A420)、全フェノール成分および抗酸化活性について分析した。最後の3回の実施については、抗酸化性分析を省略した。1回につき約20の試験管を秤量し、1g/mlの密度を用いて平均フラクション体積を決定することによって、重量測定法でフラクション体積を決定した。
【0069】
ゲル濾過カラムを3つの標準:スクロース(360kDa)、NADH(663kDa)およびビタミンB12(1355kDa)を用いて調整した。各標準についての分配係数(KDa)を、KDa=Ve−Vo/Vt−Voとして計算した。ウシ血清アルブミンを用いて空隙容量を決定した。Bio−Gel P−2の分画範囲は、100〜1800Da(BioRad)である。
【0070】
凍結乾燥バルクフラクション:各ゲル濾過実施について、個々のフラクションを色(A420)特性、全フェノール成分および抗酸化性にしたがって5つの主なフラクションでプールした。各実施についてプールしたフラクションを表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
6回のゲル濾過実施の後、各プール(プール1〜5)内の6の試料を合わせた。10mlの試料をそれぞれの最終プールから採取し、残りを凍結乾燥した。
【0073】
色(A420):ゲル濾過フラクションを超純水(Arium Model 611,Sartorius)で希釈し、吸光度を、Heliosλ(Unicam)分光光度計で、420nmで読み取った。
【0074】
全フェノール成分:全フェノール成分を、Folin−Ciocalteu熱量測定法(Kimら、2003)によって決定した。75mm試験管中、50μLの希釈した試料に、650μLの脱イオン水を添加した。希釈していないFolin−Ciocalteu試薬(50μL)を各試験管に添加した。溶液を混合し、5分間室温で静置させた。最後に、500μLの7%Na2CO3を反応溶液と混合し、室温で90分後に750nmでの吸光度を読み取った。全フェノール成分含有量を、希釈していない試料1mlあたりのカテキン当量(μg)で表した。カテキン標準を0〜250μg/mlの範囲で調製した。
【0075】
抗酸化活性:最初に、等しい体積の14mMのABTS(2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩)および4.9mMの過硫酸カリウムを含む基質を調製し、暗所、室温で一夜保存した。分析前に、この溶液を超純水で約60倍に希釈し、734nmでの吸光度が0.99〜1.01になるように調節した。ABTS基質(1ml)を、水浴中、75mm試験管中で、26℃で5分間プレインキュベートし、50uLの試料または標準を添加した。溶液を混合し、26℃で45分間保持し、吸光度を734nmで測定した。抗酸化活性を、希釈していない試料1mlあたりの没食子酸当量(μg)で表した。没食子酸標準を0〜25μg/mlの範囲で調製した。
【0076】
RP−HPLC特性:システム制御装置(Model SCL−10AVP)、複式ポンプ(Model LC10−AD)、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器(Model SPD−M10AVP)ならびにデータ取得および分析のためのClass Vpバージョン6.14ソフトウェアを備えたShimadzuシステムで糖液抽出物の定性的フィンガープリントを得た。試料(10μL)を30℃で、30×4.6mmのLuna 3μm C18(2)カラム(Phenomenex)上で溶出させた。流速は1.5ml/分であった。移動相は:相A、0.1%(v/v)水中トリフルオロ酢酸(TFA)および相B、0.085%TFA中60%アセトニトリルであった。勾配特性は、5〜35%Bで12分間;35〜100%Bで1分間、および100%Bで3分間、100〜5%Bで0.3分間および5%Bで4.7分間再平衡化であった。溶出されたピークを、4nm波長ごとに、214、254、280、340および400nmの各チャンネルで200〜400nmの吸光度スペクトルを測定するPDA検出器によって検出し、214nmのクロマトグラムを定期的に記録した。ゲル濾過試料を5つの凍結乾燥されたプールから調製し、等濃度の全フェノール成分(1mlあたり1mgのカテキン当量)を含んでいた。ゲル濾過に使用した糖液試料は、2mgCE/mlを含んでいた。
【0077】
糖分析:単糖類および二糖類をシステム制御装置(Model SCL−10AVP)、ポンプ(Model LC−10ADVP)、屈折率検出器(Model RID−10A)およびClass Vp6.12ソフトウェアを備えたShimadzuシステムを用いる逆相HPLCによって分析した。試料(10uL)を、40℃で作動させた5μmのLC−NH2 Supelcosilカラム(250mm×4.6mm、Phenomenex)中に注入した。移動相は、85%アセトニトリルであり、流速は1ml/分であった。試料を20分間定組成溶出し、2連で分析した。グルコース、フルクトースおよびスクロースの標準曲線を、0.3〜1.2mg/mlの範囲で、同じ重量濃度の各糖を含む4つの標準溶液を用いて調製した。3連注射液を各標準溶液について調製した。
【0078】
SDS−PAGE:SDS−PAGEによる電気泳動を、mini−Protean II slab−gel system(BioRad)を用いて12%アクリルアミドゲル上で実施した。ゲル濾過から凍結乾燥された試料を水中に溶解させ(200mg/ml)、30ulを等体積のローディング緩衝液中で消化させた。15ulの体積(1.5mgの固体)をゲル上にかけた。ブロモフェノールブルー色素先端がゲルの底部に到達したら、電気泳動を停止させた。ゲルを0.25%クマシーブルー中で染色し、デスクトップスキャナー(ScanJet 5400C,Hewlett Packard)でスキャンした。
【0079】
結果
Bio−Gel P−2の較正:
Bio−Gel P−2カラム上で分子量を決定するための較正曲線を作成した。
【0080】
ゲル濾過特性
糖液(実施3)からの色(A420)、抗酸化性および全フェノール成分についてのゲル濾過特性を図1および2に示す。A420色特性は、カラムの空隙容量付近のピークおよびフラクション62の鋭いピーク(MW832Da)を示した。吸光度はその後徐々にベースラインまで減少した。抗酸化物質および全フェノール成分の特性は互いにぴったりと一致した。最初の2つの抗酸化物質/フェノール成分ピークは、A420ピークと同時に溶出した。しかし、フラクション80(MW352)のブロードな抗酸化物質/フェノール成分ピークは、色ピークと一致しなかった。フラクション69〜100を含むこのピークは、135〜599Daの分子量範囲を有し、淡色フラボノイドとポリフェノール酸との混合物であり得る。
【0081】
スクロースおよび単糖類(グルコース+フルクトース)の特性を図3および4にそれぞれ示す。カラムは、スクロースおよび単糖類を部分的に分割することができた。スクロースは、抗酸化ピークの前縁(プレフラクション80)で、単糖類は後縁(ポストフラクション80)で溶出した。したがって、淡色抗酸化物質ピークは、糖液のすべての単糖を含む。
【0082】
淡色抗酸化生成物が必要とされる膜濾過用途に関して、600Daを下まわる分子量領域を標的とする必要がある。糖からの抗酸化物質の分離は、イオン排除クロマトグラフィーによってできるはずである。
【0083】
バルクゲル濾過プール
6回のゲル濾過実施のそれぞれについて5つのプールを解凍し、合わした後、凍結乾燥した。図5は、凍結乾燥前の合わしたプール(プール1〜5)の色を示す。プール1および2はどちらも非常に暗い色であり、プール1は少し濁り、プール2は半透明であった。プール3〜5は、明褐色から淡黄色までの色の低下を示す。
【0084】
表2は、凍結乾燥前の合わしたプールの組成および各プールの平均分子量範囲を示す。質量計算から、淡色抗酸化物質/フェノール成分ピーク(図1および2)は、それぞれ、49%の抗酸化活性および50%のフェノール成分を含んでいた。空隙容量で溶出する暗色ピーク(プール1)は、14%の抗酸化活性を含み、暗色の鋭いピーク(プール2)は、28%含んでいた。カラムからの抗酸化活性の回収率は、70%であった。
【0085】
【表2】
ロード糖液の組成:合計固形分=35.6g/100ml;A420=43.7;全フェノール成分=10340μg/ml;抗酸化活性=3390μg/ml。
【0086】
6回の実施についての糖液の合計体積=120ml。
【0087】
表3は、凍結乾燥後の合わしたプールの組成を示す。物理的性質に関して、プール1は、綿毛状生成物であり、硬い歯ごたえのある食感を有するプール2とはかなり異なっていた。プール3および4は歯ごたえがあり、吸湿性であり、それぞれ71%および64%の糖を含んでいた。プール5は暗色かつ粘着性であり、乾燥トレイから取り出すのが困難で、その結果、相当量の生成物の損失となった。固体基準(GAE(mg)/固体(g))で、凍結乾燥に際して抗酸化活性が著しく失われた(プール2(26%)およびプール5(34%))。
【0088】
【表3】
ロード糖液の組成:合計固形分=35.6g/100ml;A420=43.7;全フェノール成分=10340μg/ml;抗酸化活性=3390μg/ml。
【0089】
6回の実施についての糖液の合計体積=120ml.
RP−HPLC特性:凍結乾燥されたゲル濾過プールの逆相HPLC特性(特性b〜f)を調べた。プールを特性化するために使用できる全ての特性間で著しい違いがあった。プール1は、微小ピークが1つだけの、徐々に上昇する形状を示した。おそらく、この試料は、HPLCカラムによって別個のピークに分割できない異種ポリマー物質を含んでいるのであろう。プール2は、636〜1377Daの分子量範囲を表し、暗褐色物質の鋭いピークを含む。このプールは、1分未満で溶出する、最も親水性の高い物質、および勾配で十分に分割された多くのピークを示す。プール3および4は、淡色抗酸化物質ピークを表し、それぞれの形状間で相当の違いを示した。プール5は、低分子量フェノール酸およびカラムと弱く結合し、分子量に応じて溶出されない高分子量化合物を含む可能性がある、ある範囲のピークを示した。このプール中の親水性物質の割合は低く、その結果、形状の疎水性領域でより高いピーク高さが得られた。糖液ロード試料によって、一部のピークはプール中のある分子量範囲まで適合することが可能になり、またどの糖液ピークがゲルと弱く結合し、プール5中に溶出されるかを示す。すべての試料は、14.5分で顕著なピークを示し、このピークはクロマトグラフィーに関連せず、実施の最後でカラムからすべての結合した物質を除去するためのアセトニトリルフラッシュを表す。興味深いことに、糖液中のより疎水性の高い物質を表すこのピークは、プールの分子量とともに減少した。
【0090】
SDS−PAGE:凍結乾燥されたプールの変性電気泳動を用いて、抽出物中のタンパク質を検出した。抽出物において、14kDa超ではタンパク質のバンドは見られなかった。プール1(レーン2)で、色素前面付近で若干の染色が観察されたが、これが着色したタンパク質であるか、またはむらのある色素前面からの残留クマシーブルーであるかは、明らかではない。低分子量ポリペプチド(<10kDa)の検出には、Tris−Tricine緩衝液を含む16%ゲルが必要である。
【0091】
結論
ゲル濾過特性は、420nmで測定される暗色糖液着色剤が、カラムの空隙容量(>1800Da)および832Daで溶出したことを示していた。抗酸化活性および全フェノール成分はこれら2つの色ピークと同時溶出した。ブロードな抗酸化物質/フェノール成分ピークは135から599kDaの間で溶出したが、色ピークとは関連しなかった。この抗酸化性ピークは、スクロースおよび単糖類のすべてを含んでいた。これは、49%の溶出された抗酸化活性および50%の全フェノール成分を含んでいた。したがって、糖液の暗色着色剤を除去すると、生成物の抗酸化活性がほぼ半分になるであろう。空隙容量付近で溶出する暗色ポリマー物質は、14%の溶出された抗酸化活性を含んでいた。
【0092】
凍結乾燥されたゲル濾過プールの量は、0.5gから18gまでさまざまで、2つのプールについて得られた多量の物質は、砂糖を含んでいた。抗酸化活性の回収率は、凍結乾燥されたプールのうちの3つでは92%を上回ったが、プール2および5で抗酸化活性の有意な損失が見られた。
【0093】
凍結乾燥されたプールのHPLCフィンガープリントは、試料を特性化するために使用できる明白な差異を示した。変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるタンパク質分析は、すべての凍結乾燥された試料において14kDa超ではタンパク質が存在しないことを示した。プール1は、色素前面付近でわずかなタンパク質染色を示した。これは、加水分解性タンニンと関連した結合タンパク質であり得る。
【0094】
凍結乾燥された試料を続いて、多糖類およびポリフェノール特性化、ならびに腸酵素を阻害するこれらの能力について分析する。
【0095】
この実施例は、糖液のゲル濾過によって得られる色特性が緩衝液のpHおよび/または組成に依存し、本発明のあまり着色していない高抗酸化物質抽出物を生成させることができることを証明する。pH7.5では、暗色物のほとんどは空隙容量で溶出し、一方、pH5.0では、第2の暗色ピークがさらに低分子量で観察された。pH5.0緩衝液は10%アセトニトリルを含み、これはゲルの浸透性における変化の一因となり得る。
【0096】
このような淡色高抗酸化物質抽出物は、GIを低下させるための食品添加物として有用であり、発癌性を減少させ、身体組成を変え、食品の色もしくは感覚刺激特性に支障を与えない有用な抗酸化物質または抗菌剤である。さらに、本発明の淡色抽出物は、薬学的応用、特に色および苦味が重要な問題である場合に有用である。
【実施例2】
【0097】
この実施例は、実施例1から得られるプール1〜4のポリフェノール成分組成をさらに調べる。この実施例は、ダンダー抽出物のポリフェノール含有量も示す。
【0098】
方法
溶媒抽出:各試料のアリコート(約200mg)を、酸性(pH1.6)にしておいた水(10ml)中に溶解させた。混合物を次に酢酸エチルで抽出し(3×15ml)、溶媒を真空下で蒸発させ(40℃)、混合物を水性メタノール(1:1、2ml)で復元した後、HPLC分析した。
【0099】
HPLC分析:2つの高圧LC−10ADVPポンプ、SIL−10ADVPオートサンプラー(250μlサンプリングループ)、CTO−1−ADVPカラムオーブンおよびSPD−M10ADVPフォトダイオードアレイ検出器を備えたShimadzuシステム(Shimadzu Inc.,Rydalmere,NSW,Australia)を用いて、HPLCを実施した。ポリフェノールの分離に使用したカラムは、Luna C18(内径4.6mm×長さ250mm、粒径5μm、Phenomenex、Lane Cove,NSW,Australia)であった。分離に使用した移動相は、1ml.min−1の流速下で、2%水中酢酸(A)および0.5%アセトニトリル:水(1:1)中酢酸(B)であった。直線的勾配:10〜100%Bを用いて検体を59分にわたって溶出させ、さらに5分間100%Bであった。280、320および370nmで検出を行った。これらの溶出時間(および特徴的なUV特性)を真正標準(Sigma−Aldrich,Castle−Hill,NSW,Australia)と比較することによって、検体を同定した。
【0100】
結果および考察
3つの特定波長(280nm、320nmおよび370nm)のうちの1つに関して最大UV吸光度に基づいて各化合物を定量した。それぞれ、シリンガ酸、p−クマル酸およびケルセチンの較正曲線から、これらの波長に基づいた定量化を得た。HPLC−DADによって試料において同定された8化合物のレベルを以下に記載する(表4)。
【0101】
【表4】
【0102】
試料は全て、様々なレベルのシリンガ酸を含み、シリンガ酸はほとんどの試料において主たる化合物であった。エピカテキンはほとんどの試料において存在することが判明した。
【0103】
【表5】
【0104】
前記表5から、全試料は280nmで最大吸収を示す高濃度の成分を有し、それに続いて320nm、次いで370nmでほとんどを吸収する成分を有することがわかる。このことは、試料では、フェノール酸が多数を占めることを意味する。
【0105】
結論
HPLC−DADによって分析した試料において、8つのフェノール化合物を同定した。これらの試料の高いフェノール成分含有量は、食品または調合薬の保存料としての使用に適切であることを示す。
【実施例3】
【0106】
この実施例は、糖液抽出物の抗酸化能を緑茶抽出物(現在、食品抗酸化物質として使用)と比較する。
【0107】
物質および方法
試料調製:試料を粉砕し、約50mgを5mlのメタノール中に可溶化した。試料をボルテックスし、30分間超音波処理し、そして5分間遠心分離した(1900RCF)。上清を集め、乾固させた。試料をメタノール中に10mg/mlで再溶解させた。緑茶および糖液抽出物は水溶性であった。
【0108】
活性酸素吸収能力(ORAC)分析:この研究で用いるORAC分析は、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)によって37℃で誘発されるペルオキシルラジカルに対して、試験試料中の抗酸化物質除去活性を測定した。
【0109】
フルオレセインを蛍光プローブとして使用した。親水性ORAC値を試料について決定した。
【0110】
AWA(アセトン:水:酢酸;70:29.5:0.5)を用いた連続希釈(×4)においてORAC法を用いて、4連で、試料に関連する濃度から出発し、初期スクリーンから得られる近似された抗酸化能力に応じて、抽出物/試料を分析した。緑茶抽出物を正の対照として用い、試料調製法どおりに抽出物を調製した。
【0111】
メタノール性緑茶抽出物を正の対照として用い、同様にリン酸塩緩衝液(pH7.4)中に可溶化させた。
【0112】
ビタミンEの水溶性類似体であるトロロックスを参考標準として使用した。AWA中、100μM、50μM、25μM、および12.5μMで調製したトロロックス標準から、トロロックス標準曲線を作成した。
【0113】
簡単に説明すると、20μLの試料/標準/対照/ブランク(AWA)、10μLのフルオレセイン(6.0×10−7M)、および170μLのAAPH(20mM)を各ウェルに添加した。ローディング直後に、37℃に事前にセットされたプレートリーダーにプレートを移し、1分間隔で35回蛍光を測定した。蛍光測定値は、溶媒ブランクウェルを基準とした。トロロックス濃度と、フルオレセイン減衰曲線下の正味面積との間の回帰式を用いて最終ORAC値を計算し、試料1gあたりのトロロックス当量(TE)(マイクロモル)として表した。
【0114】
結果および考察
各生成物から得られる収率を表6に記載する。
【0115】
【表6】
【0116】
抗酸化能力:メタノール性抽出物を生成させることによって調製した試料の抗酸化能力を表7に示す。糖液抽出物は最大の抗酸化能力を示し、試料抽出物が生成した場合は4395マイクロモルTE/試料のORAC値であり、試料緩衝液中に直接溶解させる場合は、5020マイクロモルTE/試料であった(表8)。両方の値は、対応する緑茶抽出物よりも有意に高かった。
【0117】
【表7】
値は、平均±平均の標準誤差である。
【0118】
【表8】
値は、平均±平均の標準誤差である。
【0119】
この実施例は、糖液由来の抽出物が、緑茶などの現在市販されている天然の食品抗酸化物質よりも高いORAC活性を有する有効な抗酸化物質であることを明確にする。このことは、本発明にしたがって製造される抽出物が食品および調合薬において抗酸化物質および抗菌剤として有用であり得ることを示す。
【実施例4】
【0120】
この実施例は、淡色食品抗酸化物質を製造するための、糖液フラクション全体にわたるポリフェノール化合物の分布対色を調べる。
【0121】
方法
試薬:
・フォリン・シオカルトー試薬(非希釈)
・7%炭酸ナトリウム(無水)
・カテキン標準(1mg/ml)
96穴プレートについて、次の標準および試料を調製した。
・14μlの希釈試料または標準を試験管に添加する。
・182μlの超純水を添加し、混合する。
・14μlのフォリン・シオカルトー試薬を添加する。
・混合し、5分間静置する。
・140μlの7%炭酸ナトリウムを添加する。
・混合し、90分間室温で静置する。
・λ750nmで読み取る。炭酸ナトリウム添加後90±5分で試験管を読み取る。
【0122】
フェノール成分分析の標準曲線:1mg/mlのカテキンの凍結標準。標準希釈物を次のようにして調製した:
【0123】
【表9】
【0124】
試料:実験のために選択した試料は、次のゲル浸透から得られるフラクション3〜26であった。
・糖液を、0.1M塩化ナトリウム溶液中で1:4の比で希釈した。
・0.35mlの試料を注入し、P2ゲル中を0.35ml/分で流し、3mlのフラクションを集める。
・フラクションを、分析前36時間、4℃で保存した。
・フラクションを室温にし、ボルテックスによって混合した後、サンプリングした。
・カテキン標準を含む96穴プレート上で試料を試験した。
・各混合ステップは、マイクロプレートリーダー中に存在する混合機構を用いて行った。
・BioRad Model 680XRマイクロプレートリーダーを用い、750nmフィルターを用いたシングルリーディングモードで終点機能を用いて、プレートを読み取った。
【0125】
結果および考察
2つの「未加工データ」記録を、2回目の読み取りの前の予備の時間によって、試料において有意な変化があるかどうかを確かめるために比較した。吸光度測定値は極めて接近しているので、結果は正確であると思われる。
【0126】
結果を図7〜16および表10〜14に記載する。
【0127】
プレートマップおよび吸光度測定値は図7〜9に示す。図7中、ブランク(Blk)、カテキン標準(CS...)およびフラクション試料(F)はすべて3連で、空のウェルを「Emp」によって表示する。図9は、補正された吸光度値を示し、ブランクを求め、標準および試料から差し引く。
【0128】
得られたカテキン標準曲線は、R2値が0.999であるならば、非常に直線的である(表10および図13を参照)。
【0129】
【表10】
【0130】
【表11】
【0131】
誤差として±2SDでフラクションのカテキン当量をプロットするには、各3連の吸光度をカテキン当量に換算し、これらの数値のSDを用いて誤差を表す必要がある。
【0132】
表11の値をこの目的のために再計算し、またF14rep1およびF18rep2値は顕著な誤差であるので、これらも計算から除外した。
【0133】
【表12】
【0134】
プレートを2回再生して、これが結果の正確な表示であることを確認する。
【0135】
【表13】
【0136】
【表14】
【0137】
試料を3連で試験し、各プレートはそれ自身のカテキン標準基準曲線を有していた。図9は、各プレートから得られる各フラクションのポリフェノール結果をプロットし、分析の精度を確認する。
【0138】
フラクションのそれぞれの±2SD誤差に関して、著しい範囲外の結果はない。これは、CV(%)値によってわかるように、各フラクションの3連での吸光度測定値が完全に正確でなくても、分析が比較的正確であることを示す。
【0139】
フラクションの吸光度を、0.35mlの試料に関して、750nmでマイクロプレートリーダーを用いて分析した。図10は、糖液原材料希釈液およびフラクション3〜23の96穴プレートのマップを示す。(図10中:ND−希釈せず、D1:2−2希釈液中の1つ、F−フラクション数、Emp−空ウェル。)図11は、図10におけるマップの750nmでの吸光度値を示す。
【0140】
図12は、前記実験のクロマトグラムを示す。オレンジ色、紫色、緑色および青色の微量物質は、それぞれλ405nm、350nm、280nmおよび214nmを示す。集めたフラクションを上軸に示す
【0141】
【表15】
【0142】
この波長(750nm)で、フラクション8以降は0.010より低い吸光度を有し、「淡色」と見なされる。
【0143】
図15中、フラクション12は、カテキン当量に関してかなり高いポリフェノール含有量をもたらし、このフラクションはまた図12中のλ280nm波形上のショルダーピークと一致することがわかる。図12中のフラクション12のλ405nm波形はかなり低く、淡色であることを示す。フラクションのこのような色の違いは、図16で見ることができる。
【0144】
結論
「高抗酸化物質」であると見なされるフラクションは、これらの分析条件下で、50μg/ml以上のカテキン当量のポリフェノール含有量を含んでいた。
【0145】
「淡色」と見なされるフラクションは、これらの分析条件下で0.010以下の吸光度測定値を有していた。
【0146】
この750nm波長をポリフェノール反応に使用した。フラクションの実際の色の吸光度は、415nmでより良好に分析される。その理由は、色がこの波長でより多くのエネルギーを吸収し、フラクション間の差に対してより感受性になるからである。しかし、750nmでの測定によって、色測定の有用な表示が得られる。
【0147】
この実験は、ある範囲の淡色高抗酸化物質フラクションを糖液から単離できることを証明する。図16は、対照(糖液)と比較した、淡色フラクションの一部を示す。いずれの淡色試料も顕著な臭いを有さない。淡色高抗酸化物質フラクションは、色が薄いために、最終食品の感覚刺激性を損なうことなく様々な用途で用いることができる。
【実施例5】
【0148】
本発明の虫歯の治療もしくは予防および口腔衛生の方法で使用される練り歯磨きを次のようにして調製した:
【0149】
【表16】
【0150】
淡色高抗酸化物質糖液抽出物を、若干褐色がかった水溶性自由流動性粉末として供給した。Aの成分を合し、Bの品目をすべてAに添加し、均一になるまで70℃で混合した。Cを次いで添加し、均一になるまで混合した。最後に、Dを均一になるまで混合しながらゆっくりと添加した。適量のクエン酸でpH5.9〜6.3にした。
【実施例6】
【0151】
0.3%モノフルオロリン酸ナトリウムを添加した前記実施例5の子供用練り歯磨き
【実施例7】
【0152】
歯を白くする化合物を添加した前記実施例5の練り歯磨き。
【実施例8】
【0153】
この組成物はマウスウォッシュを提供する。
【0154】
【表17】
【実施例9】
【0155】
この組成物は、チューインガムを提供する。
【0156】
【表18】
【実施例10】
【0157】
この組成物は、ソフトゼラチン菓子を提供する。
【0158】
【表19】
【実施例11】
【0159】
この組成物は、風味付けされた水飲料を提供する。
【0160】
【表20】
【0161】
調製:
・50mlの水中で撹拌することによって安息香酸ナトリウムを溶解させる。
・クエン酸溶液および淡色高抗酸化物質糖液抽出物を添加する。
・淡色高抗酸化物質糖液抽出物が溶解するまで撹拌する。
・砂糖を添加し、溶解するまで撹拌し、次いでフレーバーを添加し、ブレンドされるまで撹拌する。
・水を1リットルになるように添加する。
【実施例12】
【0162】
この組成物は、果実ピューレスナックを提供する。
【0163】
【表21】
【0164】
調製法:
・ピューレおよび果汁濃縮物をあわせてブレンドする
・糖液抽出物およびフレーバーを加える。ブレンドされるまで混合する
【実施例13】
【0165】
この組成物は、糖液抗酸化物質が添加された油を提供する。
【0166】
【表22】
【実施例14】
【0167】
この組成物は、シリアルバーを提供する。
【0168】
【表23】
【0169】
調製法:
・淡色高抗酸化性糖液抽出物を脱脂粉乳と合わせ、Hobartミキサー中に入れる。
・米および小麦クリスプを添加し、粉末成分と穏やかに混合する。次いで、果実成分を添加し、混合する。
・グルコースシロップ、転化糖シロップおよびソルビトールシロップを添加し、113℃まで加熱する。次いで、調理プロセスを停止させるために冷水浴中で冷却する。
・パーム核脂肪およびレシチンを水浴中、75℃で溶融させる。
・脂肪混合物をシロップの組み合わせに添加する。
・砂糖、水および塩を混合し、110℃まで加熱する。
・脂肪を砂糖溶液に添加する。
・液体をKenwood型ミキサー中の乾燥成分に添加し、十分に混合する。
・物質を大理石板上に置き、ローラーで所望の厚さに延ばす。物質体を室温まで冷却する。
・一人前の分量に切断し、包装する。
【実施例15】
【0170】
食品腐敗および口腔衛生微生物に対する糖液抽出物ポリフェノール粉末の抗菌活性を決定するため。
【0171】
方法
糖液抽出物ポリフェノール粉末:糖液から得られるポリフェノール粉末(5g)は国際特許出願番号WO2005/117608に記載されているようにHorizon Science Pty Ltdから提供された。
【0172】
細菌株および増殖条件:分析で使用した試験生物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株6571(NCTC−National Collection of Type Cultures,Health Protection Agency Centre for Infection,London,UK)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)ACM969およびプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)ACM4730であり、Australian Collection of Microorganisms(ACM)、University of Queenslandから供給された。試験生物を、Tryptone Soya Yeast Extract Broth(TSYEB)(Oxoid CM129B,Basingstoke,UK)、30g/L;酵母抽出物(Oxoid CM19)、6g/L中で24時間増殖させた。接種物を、540nmでの光学密度(吸光度)を測定することによって定量化し、TSYEBを用いて0.5吸光度に調節した。
【0173】
細菌株の調製および希釈:TSYEBブロス中で試験生物の一夜培養物を22倍に連続希釈(1:1)することによって接種物を調製した。11から22までの希釈液を96穴マイクロタイタープレート上で使用した。希釈をおこなった後、最低希釈液を全試験生物についてPlate Count Agar(Oxoid CM0463)上にプレーティングして、細菌数を確認した。
【0174】
糖液からのポリフェノール粉末の調製:糖液から得られるポリフェノール粉末(0.1g)を10mlのTSYEB中に溶解させた。この溶液を、1%(w/v)の濃度からはじめてTSYEB中で希釈し、0.0005%(w/v)まで希釈した。
【0175】
抗生物質溶液の調製:Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した抗生物質ペニシリンGおよび塩酸オキシテトラサイクリンをこの研究で使用した。ペニシリンGおよびオキシテトラサイクリンそれぞれ0.01gを20mlのTSYEB中に溶解させた。
【0176】
ペニシリンGおよびオキシテトラサイクリンの抗生物質溶液を、0.05%(w/v)の濃度からはじめてTSYEB中で希釈し(1:1)、2.44×10−5%(w/v)まで希釈した。
【0177】
マイクロプレート分析法:二次汚染を防止するためのふたを有する平底96穴無菌マイクロタイタープレート(Sarstedt,Numbrecht,Germany)をこの研究に使用した。各96穴マイクロタイタープレートは、培地のみを含む穴の1列(無菌性および負の対照)を有していた。穴の第1列から3つの列は、1:1希釈度の試験生物を含み(一番右の穴における102cfu/mlに対して一番左の穴における105cfu/mlに等しい細菌対照)、糖液からのポリフェノール溶液は、最高濃度から最低濃度までを含んでいた(1%〜0.0005%w/v)。ポリフェノール溶液と細菌細胞との組み合わせのそれぞれを3連で測定した。次の3列の穴は、同じ数の細菌希釈液を含んでいたが、ポリフェノール溶液は最低濃度から最高濃度までであった(0.0005%〜1%w/v)。ポリフェノール溶液と細菌細胞との組み合わせのそれぞれを3連で測定した。残りの穴は、同じ数の細菌希釈液と増殖培地とポリフェノール溶液とを含み、正の対照と呼んだ。ポリフェノール溶液を含まない正の対照の再現(n=6)を試験生物について別のプレート上で実施した。300μlの穴はそれぞれ、50μlの接種物、150μLのポリフェノール溶液を含んでいた。それぞれの負または無菌対照穴は、200μlのTSYEBブロスを含んでいた。それぞれの正の対照穴は、50μlの接種物、150μlのTSYEBブロスを含んでいた。
【0178】
ペニシリンGおよび塩酸オキシテトラサイクリンを参考標準として使用して、試験生物の感受性を決定し、ポリフェノール溶液の抗菌活性を抗生物質の抗菌活性と比較した。
【0179】
光学密度(OD)を、分光光度計Sunrise−Basic Tecan(Grodig,Austria)、540nmで測定した。インキュベーション前にODを測定したが、これは時間0(T0)での分光光度計測定値を表す。プレートを37℃のインキュベータ中に入れ、22時間インキュベートした。ミュータンス連鎖球菌を37℃で22時間および44時間インキュベートした。プレート中の溶液を、多チャンネルピペットを用いて混合して、22時間(T22)後の分光光度計でのOD測定前のクランピングを防止した。
【0180】
結果の分析:阻害(パーセント)の計算は、Caseyら、2004;Pattonら、2006による研究に基づいた。阻害(パーセント)=1−(OD試験穴/対応する正の対照穴のOD)×100。
・MIC0は、増殖の阻害をもたらさないポリフェノール溶液または抗生物質の最高濃度であり;
・MIC50は、増殖の50%阻害をもたらすポリフェノール溶液または抗生物質の濃度であり;そして
・MIC100は、100%阻害をもたらすポリフェノール溶液または抗生物質の最低濃度である。
【0181】
結果
【表24】
【0182】
【表25】
【0183】
【表26】
【0184】
考察
抗菌活性についてのポリフェノール溶液の予備スクリーニングを黄色ブドウ球菌に対して行った。このスクリーニングによって、使用できるポリフェノール溶液の最高濃度を決定した。1%(w/v)を越える濃度のポリフェノール粉末によって、1より高い光学密度の測定値が得られ、これは分光光度分析について推奨される範囲を超える。ポリフェノール溶液は、MIC0<0.001%、MIC50=0.28%およびMIC100>1%(w/v)で黄色ブドウ球菌に対して阻害を示した。表24を参照。
【0185】
プロテウス・ブルガリスは、食品腐敗生物であり、ポリフェノール溶液に対する阻害を示し、MIC00.02%、MIC50=1%およびMIC100>1%(w/v)であった。表24を参照。ミュータンス連鎖球菌は、22時間で増殖しなかったので、増殖期間を44時間まで延長した。ミュータンス連鎖球菌は、1%で完全な阻害を示し、MIC50は0.5%、MIC0は0.06%(w/v)であった。表24を参照。
【0186】
参考標準として使用する抗生物質は、完全な阻害のためにかなり低い濃度を示すが、異なる試験生物は異なる濃度を必要とした。黄色ブドウ球菌およびミュータンス連鎖球菌は最低濃度のオキシテトラサイクリン(2.44×10−5%w/v)で完全に阻害された。表26参照。これらの2つのグラム陽性生物も、糖液抽出物ポリフェノール粉末によっても阻害された。
【0187】
結論
食品腐敗生物プロテウス・ブルガリスは、糖液抽出物ポリフェノール粉末によって阻害された。
【0188】
ミュータンス連鎖球菌および黄色ブドウ球菌はどちらも病原菌であり、その増殖は、糖液抽出物ポリフェノール粉末によって抑制された。
【0189】
糖液抽出物ポリフェノール粉末による抑制に必要な1%のレベルは、微生物増殖の予防に有用な効果を有する他の植物抽出物と比較して非常に弱いと見なすことができる。この研究で使用したバッチは近年調製されておらず、ポリフェノールは適切な保存をしなければ急速に酸化する傾向があるので、糖液抽出物ポリフェノール粉末の新鮮なバッチによって、さらに良好な結果を得ることができる。
【0190】
この実施例は、濃色糖液抽出物を使用するが、関連するポリフェノールは、本発明の方法で使用される淡色高抗酸化物質抽出物中に存在することが予想される。これらの結果から、サトウキビ由来の淡色高抗酸化物質抽出物は、虫歯形成の抑制および口腔衛生の改善に有用であると推測することができる。
【0191】
参考文献
Casey JT,O’Cleirigh C,Walsh PK,O’Shea DG,Development of a robust microtiter plate−based assay method for assessment of bioactivity,Journal of Microbiological Methods 58(2004)327−334.
Patton T,Barrett J,Brennan J,Moran N,Use of a spectrophotometric bioassay for determination of microbial sensitivity to manuka honey,Journal of Microbiological Methods 64
【0192】
この説明および請求の範囲で使用される場合、「含む」という用語および「含む」という用語の形態は、任意の変形または追加を排除する本発明を限定しない。
【0193】
本発明に対する修正および改善は、当業者には容易に明らかになるであろう。このような修正および改善は、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存料および抗菌剤に関する。特に、本発明は、食品、化粧品、調合薬および他の類似の組成物を保存するために使用できる、サトウキビ由来の抽出物から誘導される保存料、ならびに口腔衛生用品において使用できるサトウキビ由来の抽出物から誘導される抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、文書、記録もしくは知識項目について言及または議論する場合、このような言及もしくは議論は、そのような文書、記録もしくは知識項目またはこれらの任意の組み合わせが、優先日で公に入手可能であるか、公表されているか、一般常識の一部であるか、または本明細書が関連する問題を解決する試みに関係することが知られていることを承認するものではない。
【0003】
保存料
保存料は、微生物増殖もしくは望ましくない化学変化による分解を防止するために、食品、調合薬、生物試料、木材などの製品に添加される、天然もしくは合成の化学物質である。
【0004】
食品保存は、その可食性および栄養価を持続させるような方法で食品を処理し、取り扱うプロセスである。主な試みは、腐敗を停止または大幅に遅らせて、食品経由の病気を予防することである(例えば、塩漬、冷却、調理により)。しかし、一部の方法は、良性の細菌、酵母または真菌を利用して、特定の質を高め、食品を保存する(例えば、チーズ、ワイン)。栄養価、食感、および風味を維持または付与することが、食品としての価値を維持するのに重要であるが、これは、文化に依存した決定要因である。というのは、ある文化で人間向きの食品として適するものが、別の文化では適さない可能性があるからである。
【0005】
保存は、通常、細菌、真菌および他の微生物の増殖の防止、ならびに酸敗臭の原因となる脂肪の酸化の遅延を含む。これはまた、食品の調理中に起こり得る自然熟成および変色を抑制し、たとえばリンゴを切ったときに褐変を起こす、リンゴにおける酵素的褐変反応を抑制するプロセスも包含する。一部の保存法では、微生物での再汚染を予防するために処理後に食品を密封する必要があり、乾燥などの他の方法では、食品を、特別な収納法を用いないで長期間保存することが可能である。
【0006】
これらのプロセスを応用する一般的な方法としては、乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、冷凍処理、真空パック、缶詰化、シロップ漬け、砂糖の結晶化、食品照射、保存料もしくは二酸化炭素などの不活性ガスの添加が挙げられる。食品の保存に役立つだけでなく、風味も加える他の方法としては、酢漬け、塩漬、燻製、シロップまたはアルコール漬け、砂糖の結晶化および半発酵が挙げられる。
【0007】
防腐性食品添加物を、単独または他の食品保存法と組み合わせて用いることができる。保存料は、細菌および真菌の増殖を抑制する抗菌性保存料、または食品構成成分の酸化を抑制する酸素吸収剤などの抗酸化物質であってよい。一般的な抗菌性保存料としては、プロピオン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸塩(二酸化硫黄、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなど)およびEDTA二ナトリウムが挙げられる。一般的な抗酸化物質としては、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)およびBHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)が挙げられる。他の保存料としては、ホルムアルデヒド(通常は、溶液)、グルタルアルデヒド(殺虫)、エタノールおよびメチルクロロイソチアゾリノンが挙げられる。多くの人工食品添加物(保存料を含む)の効用および安全性は、食品科学および毒物学を専攻する大学研究者および規制者間での議論のテーマである。
【0008】
抗酸化物質は、獣肉、鶏肉、脂肪、油、マーガリン、魚、海産物および焼いた食品を包含するが、これらに限定されない広範囲の食品で、油脂またはこれらの酸化生成物の分解を抑制するために用いられる。市場では、合成保存料、たとえばBHTおよびBHAが現在多数を占めている。これらは、天然保存料、たとえばローズマリー、茶抽出物、トコフェロールおよびアスコルビン酸塩に取って代わられ始めている。しかし、天然保存料は高価である可能性があり、このために食品におけるより広範な使用が抑制され、引き続き合成保存料が使用されることになる。
【0009】
抗菌剤は現在、製品の保存寿命を延長するため、製品の安全性を改善するため、製品の品質を維持するため、加工費を減少させるため、および複雑なサプライチェーンにおいて世界的に製品を流通させる能力を増大させるために、食品産業で保存料としても用いられる。合成添加剤の使用についての消費者の懸念のために、合成抗菌剤の市場は衰退し、天然抗菌剤に取って代わられつつある。
【0010】
天然物質、たとえば塩、砂糖、酢、および珪藻土も、伝統的な保存料として使用されている。もう1つ別の保存料群は、切断後に代謝し続ける果実および野菜中の酵素を標的とする。たとえば、レモンまたは柑橘類果汁由来のクエン酸およびアスコルビン酸は、切断されたリンゴおよびジャガイモの表面を褐変させる酵素フェノラーゼの作用を抑制できる。
【0011】
酸敗臭
酸敗化は、加水分解もしくは酸化、または両方による脂肪、油および他の脂質の分解である。加水分解は、グリセリド中のグリセロール骨格から脂肪酸鎖を分断する。これらの遊離脂肪酸は、その後さらに自動酸化を受ける可能性がある。酸化は主に、フリーラジカル媒介性のプロセスによって不飽和脂肪のために起こる。これらの化学プロセスは、酸敗した食品および油中に反応性の高い分子を生成させ、これらの分子は不快かつ有害な臭気および風味が生じる原因となる。これらの化学プロセスは、食品中の栄養素を破壊する可能性もある。ある条件下では、酸敗臭、およびビタミンの破壊は、非常に急速に起こる。
【0012】
脂肪性物質が空気にさらされると、その不飽和成分はヒドロペルオキシドに変化し、これは分解して揮発性アルデヒド、エステル、アルコール、ケトン、および炭化水素になり、その一部はいやな臭いがする。バターは前記プロセスおよび加水分解によって酸敗し、揮発性かつ悪臭を有する酸、特に酪酸を放出する。飽和脂肪、たとえば牛脂は酸化に対して耐性であり、常温ではほとんど酸敗しない。
【0013】
脂肪酸化を促進する要因としては、微量金属(鉄、亜鉛等)、塩、光、水、細菌、およびカビが挙げられる。香辛料、たとえばセージおよびローズマリーを使用すること、および油脂を酸素またはフリーラジカルにほとんどさらされない冷暗所で保存することによって、脂肪酸化を遅らせることができる。その理由は、熱および光が、脂肪の酸素との反応速度を加速するからである。
【0014】
抗酸化物質は、酸化による酸敗臭の発生を遅らせるために、脂肪を含む食品に添加されることが多い。天然の抗酸化物質としては、フラボノイド、ポリフェノール、アスコルビン酸(ビタミンC)およびトコフェロール(ビタミンE)が挙げられる。合成抗酸化物質としては、BHA、BHT、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸プロピル(没食子酸プロピルとしても知られる)およびエトキシキンが挙げられる。天然の抗酸化物質は、短命の傾向があり、したがって、より長い保存寿命が好ましい場合には、合成の抗酸化物質が使用される。脂肪内の直接抗酸化における水溶性抗酸化物質の有効性は限られているが、食品の水様性部分を移動するフリーラジカルの妨害に有益である。
【0015】
天然の抗酸化物質
昨今の合成保存料の一部は、呼吸器または他の健康問題の原因となることが証明されているので、物議を醸すようになってきている。いくつかの研究は、合成保存料および人工着色料が、患者におけるADD&ADHDの症状を悪化させることを指摘している。いくつかの主要な研究は、学校給食プログラムから保存料を含む人工成分を排除した場合に、非ADD生徒の大集団において、知的学習能力が増大し、規律上の問題が減少したことを指摘している。食品または医薬中のアレルギー誘発性保存料は、感受性個体において、応急処置をしないと数分以内で死に至ることが多いアナフィラキシーショックを引き起こす可能性がある。
【0016】
したがって、現在、天然の抗酸化物質を使用する傾向がある。植物は植物化学物質を含み、その多くは、抗酸化特性を有することが知られている。ポリフェノールは、フラボノイド、アントシアニンおよびフェノール酸をはじめとする植物化学物質群の一般名であり、広範囲の植物中に天然に存在する。ほとんどは有色であり、果実および植物の他の部分において見られる色の原因となる。これらの生物活性は、主に抗酸化物質としてであり、微生物による組織の損傷および浸潤から植物を保護するのに役立つ。
【0017】
植物フェノール成分に関する文献はたくさんあり、異なる植物種に関連するさまざまなポリフェノールは十分に特徴づけられ、研究されてきた。このような多くのポリフェノール摂取の生理的効果も臨床的に調べられ、抗酸化活性を示すだけでなく、抗炎症性および血管拡張性も示すことが判明している。
【0018】
一般的に消費される食品、たとえばコーヒー、茶、ココア(チョコレート)、赤ワイン、ベリー類(ブルーベリー、ブラックベリー、イチゴ)および果実(マンゴスチン、ノニ、ザクロ、アサイ、ブドウ)は、その高い抗酸化レベルおよび健康促進特性が立証され、市販されている。
【0019】
一般的に、植物および植物製品は、動物性食品よりも遙かに高い抗酸化物質含有量を有する。ある香辛料、ベリー類、果実、ナッツ類、チョコレート含有製品、野菜および穀類は、食物抗酸化物質の良好な供給源である。さらに、コーヒー、緑茶および紅茶、赤ワインならびに様々なベリーおよび果汁飲料は、抗酸化物質の良好な供給源である。
【0020】
前記供給源の多くから得られる抗酸化物質シロップおよび粉末は、現在、広範囲の食品系で使用される食品成分および添加物として提供されている。高ポリフェノール抗酸化物質シロップおよび粉末(たとえば、South AustraliaのTarac Technologiesから得られるブドウ由来のVinlifeおよびCalifornia, USAから得られるポリフェノール成分)は、チョコレート(Cocoa Farm,Melbourne Australia)、ココア飲料、茶およびアイスクリーム(Wendy’s Vinlife Ice Cream,Australia)などの製品にする方法を見いだしつつある。しかし、これらの食品成分は、通常、食品の抗酸化物質含有量を増大させて、有益な健康効果を得るために使用され、食品保存料として使用されていない。
【0021】
サトウキビは、ポリフェノールおよび有益な特性を有する他の植物化学物質を含むことが知られている。これらの特性に関する刊行物の例としては、国際特許出願番号WO2005/117608、PCT/AU2006/000769およびPCT/AU2007/001382が挙げられる。しかし、これらの文書は、サトウキビの淡色(low color)抽出物の食品保存料としての使用を開示していない。
【0022】
多くのサトウキビ製品の抗酸化活性は、Payet等、“Comparison of the Concentrations of Phenolic Constituents in Cane Sugar Manufacturing Products with their Antioxidant Activities” J Agric Food Chem,2006,54,7270−7276で測定されている。この文書は、抗酸化活性が、Maillard反応生成物の効果および着色剤の大幅な増加によるものであるという仮説を立てている。濃い色(high color)の保存料は食品添加物としての使用が限定される。サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0023】
日本国特許公開番号2001−112439は、メラノイジンを含むブラウンシュガーからの抽出物が、抗酸化効果を有し、体脂肪を減少させ、皮膚の状態を改善するために使用できることを開示している。しかし、メラノイジンは、砂糖およびアミノ酸が(Maillard反応によって)高温および低水分活性で結合する場合に形成される、褐色の高分子量異種ポリマーである。抽出物は、したがって色が濃く、これにより食品添加物としての使用が限定される。抽出物はさらに、強烈な風味も有し、このことによって食品添加物としてのその使用がさらに限定される。サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0024】
日本国特許公開番号2002−161046は、抗酸化特性を有するポリフェノールをサトウキビの穂から抽出できることを開示している。サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0025】
日本国特許公開番号2001−200250は、食品保存料として使用できる、抗酸化特性を有するサトウキビ抽出物を開示している。しかし、サトウキビの淡色抽出物の食品保存料としての使用については開示されていない。
【0026】
天然の抗酸化物質、たとえばローズマリー、茶抽出物、トコフェロールおよびアスコルビン酸塩は、現在、食品を保存するために使用されているが、これらの天然の抗酸化物質は高価である傾向にある。トコフェロールも、疎水性であるので実用上の問題がある。アスコルビン酸塩は、食品に酸味を加えるので、実用上の問題がある。
【0027】
抗菌剤
微生物を殺すかまたは抑制する薬剤は、殺菌剤、消毒剤または抗生物質に分類できる。抗生物質は、ある微生物によって生成される分子であって、他の微生物を殺す(殺菌)か、または抑制する(静菌)ものである。消毒剤および殺菌剤は、商業的に調製された化学物質であり、これらの違いは、消毒剤は粘膜表面に少なくとも短時間さらすことができ、殺菌剤は害を及ぼす可能性があるので、さらすべきでないことである。
【0028】
ADA学術評議会(ADA’s Council on Scientific Affairs)は、他のADAが容認した製品、たとえばプラークおよび歯肉炎の予防および軽減を助けることができる抗菌マウスリンスおよび練り歯磨きならびにフッ素入り練り歯磨き単独によって得られる以上の虫歯に対する保護を提供できるフッ素入りマウスリンスの口腔衛生上利点に注目している。
【0029】
リンスは、一般的に、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration(FDA))によって次のいずれかに分類される。化粧品、治療薬、またはこれら2つの組み合わせである。美容的リンスは、歯磨き前または歯磨き後に食べかすを除去するのに役立ち、一時的に口臭を抑制し、口中細菌を減少させ、快い風味で口をリフレッシュさせる市販品(OTC)である。治療的リンスは、これらの美容的対応物の利点を有するだけでなく、ある口腔疾患から保護するのに役立つ追加の活性成分も含む。治療的リンスは、FDAによって規制され、米国歯科医師会(ADA)によって任意に認可されている。
【0030】
ほとんどのマウスリンスは、最低限でも、口をさっぱりさせ、口臭を3時間まで抑える有効な経口消毒剤である。しかしこれらは、虫歯、歯肉炎(歯肉組織の炎症)および歯周病予防にある程度しか有効でない。しかし、フッ化物を含む治療的虫歯予防リンスは、虫歯原因菌の50%超までと闘うことが臨床的に証明されている。ほとんどの虫歯予防リンスはフッ化ナトリウムを含み、これは、過剰に摂取したり、または飲み込んだりした場合、時間がたつとフッ化物毒性につながる可能性がある。
【0031】
ほとんどの市販のマウスリンスは、次のような5つの標準的成分を含む:
・活性細菌と闘う成分、たとえば第4アンモニウム化合物、ホウ酸および安息香酸、フェノール化合物;
・矯味矯臭剤、たとえばサッカリンまたはグリセリン;
・快い味覚を提供し、組織を収縮させるための塩化亜鉛などの収斂剤;
・18〜26パーセントの範囲のエチルアルコール;および
・水。
【0032】
リンスは、酸性度を減少させ、粘液性フィルムを溶解させ、軟組織痛を軽減するために、緩衝液を含むこともできる。虫歯予防リンスは、通常、FDAの承認に基づき、0.05パーセントのフッ化ナトリウム、または0.1パーセントのフッ化スズを含む。
【0033】
プラーク防止用リンス中の活性成分は様々である。あるリンスは、クロルヘキシジン(現在試験されている最も有効なプラークと闘う薬剤、処方箋によってのみ入手可能である)、重金属塩またはハーブ抽出物、たとえば赤根草由来の血根草を含む。
【0034】
抗菌マウスリンスおよび練り歯磨きは、細菌数を減少させ、歯周(歯肉)疾患の初期可逆的形態である歯肉炎の原因となり得る歯垢における細菌活性を抑制する。ADAが承認した抗菌マウスリンスおよび練り歯磨きは、プラークおよび歯肉炎における著しい軽減を証明することによって、これらの主張を立証した。抗菌マウスウォッシュの活性物質濃度は、細菌に対して迅速な致死効果をもたらしてマウスウォッシュを感染状態で有用にすることができる、決定された最小阻止濃度より十分過剰であることが多い。
【0035】
しかし、多くの人々は、毒性および歯に対する被害に関する懸念から、市販のマウスウォッシュ製品の使用に慎重である。天然の代替物としては、食塩溶液リンスおよび重炭酸ナトリウム溶液リンスが挙げられる。
【0036】
このように、天然の保存料および抗菌剤の代替源が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】WO2005/117608
【特許文献2】PCT/AU2006/000769
【特許文献3】PCT/AU2007/001382
【特許文献3】日本国特許公開番号2001−112439
【特許文献4】日本国特許公開番号2002−161046
【特許文献5】日本国特許公開番号2001−200250
【非特許文献】
【0038】
【非特許文献1】Payet等、“Comparison of the Concentrations of Phenolic Constituents in Cane Sugar Manufacturing Products with their Antioxidant Activities” J Agric Food Chem,2006,54,7270−7276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
糖液および他のサトウキビ加工製品は、典型的にはポリフェノール、多糖類、ペプチドおよびタンパク質、ミネラル、有機酸、ならびに単糖類および二糖類を含む植物化学物質の複雑な混合物である。本発明は、食品保存料および抗菌剤特性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を提供する。特に、サトウキビ由来の淡色抽出物は、高い抗酸化活性を有し、このことによって、油脂またはそれらの酸化生成物の分解を抑制するために、そして抗菌剤として有用となることが意外にも判明した。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の第1の態様によって、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を含む保存料を提供する。
【0041】
本発明の第2の態様によって、食品、化粧品または調合薬を保存する方法であって、前記食品、化粧品または調合薬に、有効な保存量の、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を添加するステップを含む方法を提供する。
【0042】
本発明のこの態様で使用される淡色抽出物は、抗酸化特性と抗菌特性との両方を提供する。以前は、これらの効果を得るために、異なる保存料を使用していた。
【0043】
「淡色」という用語は、本明細書において用いる場合、750nmで測定した場合に約0.010以下の吸光度値を有するサトウキビ由来の抽出物を意味する。
【0044】
「高抗酸化性」という用語は、本明細書において用いられる場合、実施例4で記載するようにして試験した場合に少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、サトウキビ由来の抽出物を意味する。好ましくは、サトウキビ由来の抽出物は、0.99〜6g/lカテキン当量;さらに好ましくは4〜5g/lカテキン当量の抗酸化レベルを有する。
【0045】
本発明の第3の態様によって、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の、食品、化粧品または調合薬における抗酸化物質としての使用を提供する。
【0046】
本発明のこの態様は、費用効率の高い、抗酸化物質の豊富な供給源であり、食品産業によって現在用いられている高価な合成の抗酸化物質の代わりに使用できる抽出物を使用する。
【0047】
本発明の第4の態様によって、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の、食品、化粧品または調合薬における抗菌剤としての使用を提供する。
【0048】
本発明のこの態様は、ポリフェノール含有量が高く、世界的な食品産業による天然の抗菌剤に対する高まる需要に応えるために使用できる抽出物を使用する。加えて、本発明の抽出物は、現在使用されている抗菌剤よりも価格優位性を有する可能性が高い。
【0049】
「有効保存量」という用語は、油脂の酸敗化の最小化もしくは実質的な抑制(抗酸化特性)および/または微生物増殖の最小化もしくは実質的な抑制(抗菌性)を行う量を意味する。使用される具体的な量は、特定の組成物および所望の保存寿命に依存する。典型的には、使用される量は、全組成物の0.0001〜5重量%の範囲であり、さらに典型的には0.01〜2.5%である。
【0050】
本発明の保存料を、直接、さらに修飾することなく、混合、注入、注射、ブレンド、分散、コンチング、乳化、浸漬、噴霧、凝集および混練などの技術によって、食品、化粧品または調合薬(腸および非経口製品)中に組み込むことができる。
【0051】
本発明の第5の態様によって、口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための方法であって、治療有効量の、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を口腔衛生用品に添加するステップを含む方法を提供する。
【0052】
「治療有効量」という用語は、本明細書において用いられる場合、口腔中の微生物増殖の最小化もしくは実質的な抑制および/または殺菌を行う量を意味する。典型的には、使用される量は、全組成物の0.0001〜5重量%の範囲、さらに典型的には0.01〜2.5%である。
【0053】
「口腔衛生用品」という用語は、本明細書において用いられる場合、練り歯磨き、マウスウォッシュ(マウスリンス)、およびチューインガムなどの歯垢除去製品を包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0054】
本発明の第6の態様によって、口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための口腔衛生用品における治療有効量の高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の使用を提供する。
【0055】
本発明で使用される抽出物は、サトウキビ粉砕プロセス、砂糖を製造するためのサトウキビ精製プロセス、およびサトウキビ生成物を用いた他のプロセス、たとえばラム酒製造の一部としての糖液からのエタノール製造をはじめとするサトウキビ由来の任意の生成物から誘導することができる。抽出物は、原料、製造過程の生成物、副生成物、最終生成物および廃棄物流れから誘導することができる。たとえば、サトウキビ抽出物は、未加工のサトウキビ汁、透明化汁および濃縮汁シロップ、糖蜜、糖液(第1ミルまたは精製装置から得られる)、ゴールデンシロップ、ブラウンシュガー、バガス、バイオダンダー、田畑の廃棄物、新しょう先端、パルプ、茎剥離物(cane stripping)、髄、再生抽出物(中和および非中和)ならびに粉砕汚泥(mill mud)のフィード流れから誘導できる。好ましくは、抽出物は糖液由来である。
【0056】
本発明で使用される抽出物の物理的特性は、これらの全体的な化学組成に依存するであろう。適用される加工方法に応じて、蒸発化させることによって抽出物を濃縮して、シロップを生成させることができる。あるいは別法として、抽出物を完全に乾燥させて、粉末を得ることができる。異なる物理的性質を有する抽出物を調製するこの能力は、抽出物の商業的有用性を増大させる。それらの物理的特性および化学組成に応じて、抽出物は様々な使用に適している。たとえば、食品産業の要件は、化粧品産業の要件とは非常に異なる可能性がある。
【0057】
本明細書において用いられる場合、「食品」という用語は、任意の可食生成物、たとえばこれらに限定されないが、菓子類、サプリメント、スナック(甘味および風味)、ココアおよびコーヒーを含む食品、フレーバー、飲料(インスタント飲料、プレミックスを包含する)、栄養補給食品、栄養補助食品ならびに動物の健康および栄養摂取に使用されるサプリメントを包含する配合物、乳製品、たとえば、乳、ヨーグルト、アイスクリーム、焼いた製品、および食品調味料、ならびに動物飼料を包含する。
【0058】
本発明の保存料を、制限なく以下のものを含む食品中に組み入れることができる。
・乳製品−たとえばチーズ、バター、乳および他の乳飲料、スプレッドおよび乳製品ミックス、アイスクリームおよびヨーグルト;
・脂肪性製品−たとえばマーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、調理用油および揚げ油ならびにドレッシング;
・穀類系製品−これらの品物が調理されているか、焼かれているか、または他の処理をされているかに関わらず、穀物を含む(たとえば、パンおよびパスタ);
・菓子類−たとえばチョコレート、キャンディー、チューインガム、デザート、非乳製品トッピング、ソルベ、アイシングおよび他のフィリング;
・粉末、プレミックス、ジュース、エネルギーバー、アイソトニックドリンクおよびゼラチン、デンプン系またはペクチンゼリーを含むスポーツ栄養製品;
・飲料−ホットまたはコールド(コーヒー、茶、ココア、穀物、チコリおよび他の植物抽出物系飲料)、アルコールまたはノンアルコールに関わらず、コーラおよび他のソフトドリンク、ジュース、栄養補助食品、インスタントプレミックスおよび食事代用飲料を含む;ならびに
・様々な製品−卵および卵製品、加工食品、たとえばスープ、出来あいのパスタを含む。
【0059】
本発明で使用する抽出物の調製法
本発明で使用する抽出物は、サトウキビ製品、好ましくは甘蔗糖精製プロセスから得られる糖液由来である。抽出物は、サトウキビ製品から、次のような様々な方法、または方法の組み合わせによって得ることができる。
・非水性または水性溶媒を用いた溶媒抽出および向流抽出;
・サイズ排除処理法、たとえばゲル透過クロマトグラフィーまたは限外濾過による、特定の分子量範囲内にある成分の分離;および
・クロマトグラフィー技術またはイオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーおよびpHの段階的増加もしくはエタノールなどの溶媒を使用した分画溶出を用いたイオン交換クロマトグラフィーなどの技術の組み合わせを用いた低分子量および高分子量成分の分離。
【0060】
抽出物を、標準的技術、たとえば精密濾過、逆浸透、真空蒸発ならびに凍結乾燥、噴霧乾燥およびトンネル乾燥によってさらに処理することができる。
【0061】
抽出物調製法の例は、国際特許出願番号WO2005/117608およびPCT/AU2007/001382に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施例1からの実施3についてのA420および抗酸化物質を示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図2】実施例1からの実施3についてのA420および全フェノール成分を示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図3】実施例1からの実施3についてのA420およびスクロースを示すBio−Gel P−2上の糖液のゲル濾過を示す図である。
【図4】実施例1からの実施3についてのA420およびグルコース+フルクトースを示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図5】Bio−Gel P−2上で得られる糖液のフラクション(実施例1からのプール1〜5)の写真である。
【図6】実施例1からのギ酸塩/アセトニトリル緩衝液pH5.0およびTris HCl緩衝液pH7.5を用いたA420特性を示すBio−Gel P−2上での糖液のゲル濾過を示す図である。
【図7】実施例4から得られる96穴プレートマップを示す。
【図8】実施例4から得られる未加工吸光度値A750を示す。
【図9】実施例4から得られる補正した吸光度値を示す。
【図10】実施例4から得られる糖液原料希釈物およびフラクション3〜23の96穴プレートのマップを示す。
【図11】図11のマップの750nmでの吸光度値を示す。
【図12】実施例4から得られるクロマトグラムである。
【図13】実施例4から得られるカテキン標準曲線を示す図である。
【図14】実施例4から得られるフラクション3〜26の各フラクションのカテキン当量で表した全ポリフェノール成分を示す図である(誤差±2SD)。
【図15】実施例4から得られるフラクション3〜26を示す、各プレートのカテキン当量で表した全ポリフェノールを示す図である(誤差±2SD)。
【図16】実施例4から集めた有色フラクションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実施例
本発明の様々な実施形態/態様を、以下の非制限的実施例に関連して記載する。
【0064】
略称のリスト
BDL 検出可能なレベル未満
CE カテキン当量
DW 乾燥重量
GAE 没食子酸当量
GI 血糖インデックス
ICまたはICUMSA 国際砂糖分析法統一委員会(International Commision for Uniform Methods of Sugar Analysis)
MF 精密濾過
N/D 検出せず
N/T 試験せず
【実施例1】
【0065】
この実施例は、本発明で使用できる抽出物を生成させるためのゲル浸透の使用を調べる。
【0066】
方法
Bio−Gel P−2カラム上での分取ゲル濾過を用いて、100〜1800ダルトン(Da)の分子量範囲の希釈糖液(50%w/v)を分画した。6回のクロマトグラフィー実施から得られる5の分子量フラクションをプールし、凍結乾燥した。フラクションを、抗酸化活性、全フェノール成分、HPLC特性および糖について分析した。
【0067】
糖液を、ゲル濾過緩衝液(10%アセトニトリルを含む20mMギ酸アンモニウムpH5.0)中で50%(w/v)に希釈し、6000g、10℃で1時間遠心分離した。上清を、1.6μmのGF/Aフィルター(Whatman)を通して濾過し、ゲル濾過クロマトグラフィーで使用するために30mlのアリコートで、−80℃で凍結した。
【0068】
ゲル濾過
ガラス製カラム(26mm×1000mm)に、Bio−Gel P−2(BioRad,USA)を910mmの床高さまで60ml/時の流速で充填した。床を、室温、30ml/時で、10%アセトニトリルを含む20mMギ酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)中で平衡化した。希釈した糖液(20ml、50%w/v)をカラムにかけ、5mlフラクションを集めた。合計120mlの希釈された糖液について6回ゲル濾過を行った。最初の3回の実施から得られたフラクションを色(A420)、全フェノール成分および抗酸化活性について分析した。最後の3回の実施については、抗酸化性分析を省略した。1回につき約20の試験管を秤量し、1g/mlの密度を用いて平均フラクション体積を決定することによって、重量測定法でフラクション体積を決定した。
【0069】
ゲル濾過カラムを3つの標準:スクロース(360kDa)、NADH(663kDa)およびビタミンB12(1355kDa)を用いて調整した。各標準についての分配係数(KDa)を、KDa=Ve−Vo/Vt−Voとして計算した。ウシ血清アルブミンを用いて空隙容量を決定した。Bio−Gel P−2の分画範囲は、100〜1800Da(BioRad)である。
【0070】
凍結乾燥バルクフラクション:各ゲル濾過実施について、個々のフラクションを色(A420)特性、全フェノール成分および抗酸化性にしたがって5つの主なフラクションでプールした。各実施についてプールしたフラクションを表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
6回のゲル濾過実施の後、各プール(プール1〜5)内の6の試料を合わせた。10mlの試料をそれぞれの最終プールから採取し、残りを凍結乾燥した。
【0073】
色(A420):ゲル濾過フラクションを超純水(Arium Model 611,Sartorius)で希釈し、吸光度を、Heliosλ(Unicam)分光光度計で、420nmで読み取った。
【0074】
全フェノール成分:全フェノール成分を、Folin−Ciocalteu熱量測定法(Kimら、2003)によって決定した。75mm試験管中、50μLの希釈した試料に、650μLの脱イオン水を添加した。希釈していないFolin−Ciocalteu試薬(50μL)を各試験管に添加した。溶液を混合し、5分間室温で静置させた。最後に、500μLの7%Na2CO3を反応溶液と混合し、室温で90分後に750nmでの吸光度を読み取った。全フェノール成分含有量を、希釈していない試料1mlあたりのカテキン当量(μg)で表した。カテキン標準を0〜250μg/mlの範囲で調製した。
【0075】
抗酸化活性:最初に、等しい体積の14mMのABTS(2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩)および4.9mMの過硫酸カリウムを含む基質を調製し、暗所、室温で一夜保存した。分析前に、この溶液を超純水で約60倍に希釈し、734nmでの吸光度が0.99〜1.01になるように調節した。ABTS基質(1ml)を、水浴中、75mm試験管中で、26℃で5分間プレインキュベートし、50uLの試料または標準を添加した。溶液を混合し、26℃で45分間保持し、吸光度を734nmで測定した。抗酸化活性を、希釈していない試料1mlあたりの没食子酸当量(μg)で表した。没食子酸標準を0〜25μg/mlの範囲で調製した。
【0076】
RP−HPLC特性:システム制御装置(Model SCL−10AVP)、複式ポンプ(Model LC10−AD)、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器(Model SPD−M10AVP)ならびにデータ取得および分析のためのClass Vpバージョン6.14ソフトウェアを備えたShimadzuシステムで糖液抽出物の定性的フィンガープリントを得た。試料(10μL)を30℃で、30×4.6mmのLuna 3μm C18(2)カラム(Phenomenex)上で溶出させた。流速は1.5ml/分であった。移動相は:相A、0.1%(v/v)水中トリフルオロ酢酸(TFA)および相B、0.085%TFA中60%アセトニトリルであった。勾配特性は、5〜35%Bで12分間;35〜100%Bで1分間、および100%Bで3分間、100〜5%Bで0.3分間および5%Bで4.7分間再平衡化であった。溶出されたピークを、4nm波長ごとに、214、254、280、340および400nmの各チャンネルで200〜400nmの吸光度スペクトルを測定するPDA検出器によって検出し、214nmのクロマトグラムを定期的に記録した。ゲル濾過試料を5つの凍結乾燥されたプールから調製し、等濃度の全フェノール成分(1mlあたり1mgのカテキン当量)を含んでいた。ゲル濾過に使用した糖液試料は、2mgCE/mlを含んでいた。
【0077】
糖分析:単糖類および二糖類をシステム制御装置(Model SCL−10AVP)、ポンプ(Model LC−10ADVP)、屈折率検出器(Model RID−10A)およびClass Vp6.12ソフトウェアを備えたShimadzuシステムを用いる逆相HPLCによって分析した。試料(10uL)を、40℃で作動させた5μmのLC−NH2 Supelcosilカラム(250mm×4.6mm、Phenomenex)中に注入した。移動相は、85%アセトニトリルであり、流速は1ml/分であった。試料を20分間定組成溶出し、2連で分析した。グルコース、フルクトースおよびスクロースの標準曲線を、0.3〜1.2mg/mlの範囲で、同じ重量濃度の各糖を含む4つの標準溶液を用いて調製した。3連注射液を各標準溶液について調製した。
【0078】
SDS−PAGE:SDS−PAGEによる電気泳動を、mini−Protean II slab−gel system(BioRad)を用いて12%アクリルアミドゲル上で実施した。ゲル濾過から凍結乾燥された試料を水中に溶解させ(200mg/ml)、30ulを等体積のローディング緩衝液中で消化させた。15ulの体積(1.5mgの固体)をゲル上にかけた。ブロモフェノールブルー色素先端がゲルの底部に到達したら、電気泳動を停止させた。ゲルを0.25%クマシーブルー中で染色し、デスクトップスキャナー(ScanJet 5400C,Hewlett Packard)でスキャンした。
【0079】
結果
Bio−Gel P−2の較正:
Bio−Gel P−2カラム上で分子量を決定するための較正曲線を作成した。
【0080】
ゲル濾過特性
糖液(実施3)からの色(A420)、抗酸化性および全フェノール成分についてのゲル濾過特性を図1および2に示す。A420色特性は、カラムの空隙容量付近のピークおよびフラクション62の鋭いピーク(MW832Da)を示した。吸光度はその後徐々にベースラインまで減少した。抗酸化物質および全フェノール成分の特性は互いにぴったりと一致した。最初の2つの抗酸化物質/フェノール成分ピークは、A420ピークと同時に溶出した。しかし、フラクション80(MW352)のブロードな抗酸化物質/フェノール成分ピークは、色ピークと一致しなかった。フラクション69〜100を含むこのピークは、135〜599Daの分子量範囲を有し、淡色フラボノイドとポリフェノール酸との混合物であり得る。
【0081】
スクロースおよび単糖類(グルコース+フルクトース)の特性を図3および4にそれぞれ示す。カラムは、スクロースおよび単糖類を部分的に分割することができた。スクロースは、抗酸化ピークの前縁(プレフラクション80)で、単糖類は後縁(ポストフラクション80)で溶出した。したがって、淡色抗酸化物質ピークは、糖液のすべての単糖を含む。
【0082】
淡色抗酸化生成物が必要とされる膜濾過用途に関して、600Daを下まわる分子量領域を標的とする必要がある。糖からの抗酸化物質の分離は、イオン排除クロマトグラフィーによってできるはずである。
【0083】
バルクゲル濾過プール
6回のゲル濾過実施のそれぞれについて5つのプールを解凍し、合わした後、凍結乾燥した。図5は、凍結乾燥前の合わしたプール(プール1〜5)の色を示す。プール1および2はどちらも非常に暗い色であり、プール1は少し濁り、プール2は半透明であった。プール3〜5は、明褐色から淡黄色までの色の低下を示す。
【0084】
表2は、凍結乾燥前の合わしたプールの組成および各プールの平均分子量範囲を示す。質量計算から、淡色抗酸化物質/フェノール成分ピーク(図1および2)は、それぞれ、49%の抗酸化活性および50%のフェノール成分を含んでいた。空隙容量で溶出する暗色ピーク(プール1)は、14%の抗酸化活性を含み、暗色の鋭いピーク(プール2)は、28%含んでいた。カラムからの抗酸化活性の回収率は、70%であった。
【0085】
【表2】
ロード糖液の組成:合計固形分=35.6g/100ml;A420=43.7;全フェノール成分=10340μg/ml;抗酸化活性=3390μg/ml。
【0086】
6回の実施についての糖液の合計体積=120ml。
【0087】
表3は、凍結乾燥後の合わしたプールの組成を示す。物理的性質に関して、プール1は、綿毛状生成物であり、硬い歯ごたえのある食感を有するプール2とはかなり異なっていた。プール3および4は歯ごたえがあり、吸湿性であり、それぞれ71%および64%の糖を含んでいた。プール5は暗色かつ粘着性であり、乾燥トレイから取り出すのが困難で、その結果、相当量の生成物の損失となった。固体基準(GAE(mg)/固体(g))で、凍結乾燥に際して抗酸化活性が著しく失われた(プール2(26%)およびプール5(34%))。
【0088】
【表3】
ロード糖液の組成:合計固形分=35.6g/100ml;A420=43.7;全フェノール成分=10340μg/ml;抗酸化活性=3390μg/ml。
【0089】
6回の実施についての糖液の合計体積=120ml.
RP−HPLC特性:凍結乾燥されたゲル濾過プールの逆相HPLC特性(特性b〜f)を調べた。プールを特性化するために使用できる全ての特性間で著しい違いがあった。プール1は、微小ピークが1つだけの、徐々に上昇する形状を示した。おそらく、この試料は、HPLCカラムによって別個のピークに分割できない異種ポリマー物質を含んでいるのであろう。プール2は、636〜1377Daの分子量範囲を表し、暗褐色物質の鋭いピークを含む。このプールは、1分未満で溶出する、最も親水性の高い物質、および勾配で十分に分割された多くのピークを示す。プール3および4は、淡色抗酸化物質ピークを表し、それぞれの形状間で相当の違いを示した。プール5は、低分子量フェノール酸およびカラムと弱く結合し、分子量に応じて溶出されない高分子量化合物を含む可能性がある、ある範囲のピークを示した。このプール中の親水性物質の割合は低く、その結果、形状の疎水性領域でより高いピーク高さが得られた。糖液ロード試料によって、一部のピークはプール中のある分子量範囲まで適合することが可能になり、またどの糖液ピークがゲルと弱く結合し、プール5中に溶出されるかを示す。すべての試料は、14.5分で顕著なピークを示し、このピークはクロマトグラフィーに関連せず、実施の最後でカラムからすべての結合した物質を除去するためのアセトニトリルフラッシュを表す。興味深いことに、糖液中のより疎水性の高い物質を表すこのピークは、プールの分子量とともに減少した。
【0090】
SDS−PAGE:凍結乾燥されたプールの変性電気泳動を用いて、抽出物中のタンパク質を検出した。抽出物において、14kDa超ではタンパク質のバンドは見られなかった。プール1(レーン2)で、色素前面付近で若干の染色が観察されたが、これが着色したタンパク質であるか、またはむらのある色素前面からの残留クマシーブルーであるかは、明らかではない。低分子量ポリペプチド(<10kDa)の検出には、Tris−Tricine緩衝液を含む16%ゲルが必要である。
【0091】
結論
ゲル濾過特性は、420nmで測定される暗色糖液着色剤が、カラムの空隙容量(>1800Da)および832Daで溶出したことを示していた。抗酸化活性および全フェノール成分はこれら2つの色ピークと同時溶出した。ブロードな抗酸化物質/フェノール成分ピークは135から599kDaの間で溶出したが、色ピークとは関連しなかった。この抗酸化性ピークは、スクロースおよび単糖類のすべてを含んでいた。これは、49%の溶出された抗酸化活性および50%の全フェノール成分を含んでいた。したがって、糖液の暗色着色剤を除去すると、生成物の抗酸化活性がほぼ半分になるであろう。空隙容量付近で溶出する暗色ポリマー物質は、14%の溶出された抗酸化活性を含んでいた。
【0092】
凍結乾燥されたゲル濾過プールの量は、0.5gから18gまでさまざまで、2つのプールについて得られた多量の物質は、砂糖を含んでいた。抗酸化活性の回収率は、凍結乾燥されたプールのうちの3つでは92%を上回ったが、プール2および5で抗酸化活性の有意な損失が見られた。
【0093】
凍結乾燥されたプールのHPLCフィンガープリントは、試料を特性化するために使用できる明白な差異を示した。変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるタンパク質分析は、すべての凍結乾燥された試料において14kDa超ではタンパク質が存在しないことを示した。プール1は、色素前面付近でわずかなタンパク質染色を示した。これは、加水分解性タンニンと関連した結合タンパク質であり得る。
【0094】
凍結乾燥された試料を続いて、多糖類およびポリフェノール特性化、ならびに腸酵素を阻害するこれらの能力について分析する。
【0095】
この実施例は、糖液のゲル濾過によって得られる色特性が緩衝液のpHおよび/または組成に依存し、本発明のあまり着色していない高抗酸化物質抽出物を生成させることができることを証明する。pH7.5では、暗色物のほとんどは空隙容量で溶出し、一方、pH5.0では、第2の暗色ピークがさらに低分子量で観察された。pH5.0緩衝液は10%アセトニトリルを含み、これはゲルの浸透性における変化の一因となり得る。
【0096】
このような淡色高抗酸化物質抽出物は、GIを低下させるための食品添加物として有用であり、発癌性を減少させ、身体組成を変え、食品の色もしくは感覚刺激特性に支障を与えない有用な抗酸化物質または抗菌剤である。さらに、本発明の淡色抽出物は、薬学的応用、特に色および苦味が重要な問題である場合に有用である。
【実施例2】
【0097】
この実施例は、実施例1から得られるプール1〜4のポリフェノール成分組成をさらに調べる。この実施例は、ダンダー抽出物のポリフェノール含有量も示す。
【0098】
方法
溶媒抽出:各試料のアリコート(約200mg)を、酸性(pH1.6)にしておいた水(10ml)中に溶解させた。混合物を次に酢酸エチルで抽出し(3×15ml)、溶媒を真空下で蒸発させ(40℃)、混合物を水性メタノール(1:1、2ml)で復元した後、HPLC分析した。
【0099】
HPLC分析:2つの高圧LC−10ADVPポンプ、SIL−10ADVPオートサンプラー(250μlサンプリングループ)、CTO−1−ADVPカラムオーブンおよびSPD−M10ADVPフォトダイオードアレイ検出器を備えたShimadzuシステム(Shimadzu Inc.,Rydalmere,NSW,Australia)を用いて、HPLCを実施した。ポリフェノールの分離に使用したカラムは、Luna C18(内径4.6mm×長さ250mm、粒径5μm、Phenomenex、Lane Cove,NSW,Australia)であった。分離に使用した移動相は、1ml.min−1の流速下で、2%水中酢酸(A)および0.5%アセトニトリル:水(1:1)中酢酸(B)であった。直線的勾配:10〜100%Bを用いて検体を59分にわたって溶出させ、さらに5分間100%Bであった。280、320および370nmで検出を行った。これらの溶出時間(および特徴的なUV特性)を真正標準(Sigma−Aldrich,Castle−Hill,NSW,Australia)と比較することによって、検体を同定した。
【0100】
結果および考察
3つの特定波長(280nm、320nmおよび370nm)のうちの1つに関して最大UV吸光度に基づいて各化合物を定量した。それぞれ、シリンガ酸、p−クマル酸およびケルセチンの較正曲線から、これらの波長に基づいた定量化を得た。HPLC−DADによって試料において同定された8化合物のレベルを以下に記載する(表4)。
【0101】
【表4】
【0102】
試料は全て、様々なレベルのシリンガ酸を含み、シリンガ酸はほとんどの試料において主たる化合物であった。エピカテキンはほとんどの試料において存在することが判明した。
【0103】
【表5】
【0104】
前記表5から、全試料は280nmで最大吸収を示す高濃度の成分を有し、それに続いて320nm、次いで370nmでほとんどを吸収する成分を有することがわかる。このことは、試料では、フェノール酸が多数を占めることを意味する。
【0105】
結論
HPLC−DADによって分析した試料において、8つのフェノール化合物を同定した。これらの試料の高いフェノール成分含有量は、食品または調合薬の保存料としての使用に適切であることを示す。
【実施例3】
【0106】
この実施例は、糖液抽出物の抗酸化能を緑茶抽出物(現在、食品抗酸化物質として使用)と比較する。
【0107】
物質および方法
試料調製:試料を粉砕し、約50mgを5mlのメタノール中に可溶化した。試料をボルテックスし、30分間超音波処理し、そして5分間遠心分離した(1900RCF)。上清を集め、乾固させた。試料をメタノール中に10mg/mlで再溶解させた。緑茶および糖液抽出物は水溶性であった。
【0108】
活性酸素吸収能力(ORAC)分析:この研究で用いるORAC分析は、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)によって37℃で誘発されるペルオキシルラジカルに対して、試験試料中の抗酸化物質除去活性を測定した。
【0109】
フルオレセインを蛍光プローブとして使用した。親水性ORAC値を試料について決定した。
【0110】
AWA(アセトン:水:酢酸;70:29.5:0.5)を用いた連続希釈(×4)においてORAC法を用いて、4連で、試料に関連する濃度から出発し、初期スクリーンから得られる近似された抗酸化能力に応じて、抽出物/試料を分析した。緑茶抽出物を正の対照として用い、試料調製法どおりに抽出物を調製した。
【0111】
メタノール性緑茶抽出物を正の対照として用い、同様にリン酸塩緩衝液(pH7.4)中に可溶化させた。
【0112】
ビタミンEの水溶性類似体であるトロロックスを参考標準として使用した。AWA中、100μM、50μM、25μM、および12.5μMで調製したトロロックス標準から、トロロックス標準曲線を作成した。
【0113】
簡単に説明すると、20μLの試料/標準/対照/ブランク(AWA)、10μLのフルオレセイン(6.0×10−7M)、および170μLのAAPH(20mM)を各ウェルに添加した。ローディング直後に、37℃に事前にセットされたプレートリーダーにプレートを移し、1分間隔で35回蛍光を測定した。蛍光測定値は、溶媒ブランクウェルを基準とした。トロロックス濃度と、フルオレセイン減衰曲線下の正味面積との間の回帰式を用いて最終ORAC値を計算し、試料1gあたりのトロロックス当量(TE)(マイクロモル)として表した。
【0114】
結果および考察
各生成物から得られる収率を表6に記載する。
【0115】
【表6】
【0116】
抗酸化能力:メタノール性抽出物を生成させることによって調製した試料の抗酸化能力を表7に示す。糖液抽出物は最大の抗酸化能力を示し、試料抽出物が生成した場合は4395マイクロモルTE/試料のORAC値であり、試料緩衝液中に直接溶解させる場合は、5020マイクロモルTE/試料であった(表8)。両方の値は、対応する緑茶抽出物よりも有意に高かった。
【0117】
【表7】
値は、平均±平均の標準誤差である。
【0118】
【表8】
値は、平均±平均の標準誤差である。
【0119】
この実施例は、糖液由来の抽出物が、緑茶などの現在市販されている天然の食品抗酸化物質よりも高いORAC活性を有する有効な抗酸化物質であることを明確にする。このことは、本発明にしたがって製造される抽出物が食品および調合薬において抗酸化物質および抗菌剤として有用であり得ることを示す。
【実施例4】
【0120】
この実施例は、淡色食品抗酸化物質を製造するための、糖液フラクション全体にわたるポリフェノール化合物の分布対色を調べる。
【0121】
方法
試薬:
・フォリン・シオカルトー試薬(非希釈)
・7%炭酸ナトリウム(無水)
・カテキン標準(1mg/ml)
96穴プレートについて、次の標準および試料を調製した。
・14μlの希釈試料または標準を試験管に添加する。
・182μlの超純水を添加し、混合する。
・14μlのフォリン・シオカルトー試薬を添加する。
・混合し、5分間静置する。
・140μlの7%炭酸ナトリウムを添加する。
・混合し、90分間室温で静置する。
・λ750nmで読み取る。炭酸ナトリウム添加後90±5分で試験管を読み取る。
【0122】
フェノール成分分析の標準曲線:1mg/mlのカテキンの凍結標準。標準希釈物を次のようにして調製した:
【0123】
【表9】
【0124】
試料:実験のために選択した試料は、次のゲル浸透から得られるフラクション3〜26であった。
・糖液を、0.1M塩化ナトリウム溶液中で1:4の比で希釈した。
・0.35mlの試料を注入し、P2ゲル中を0.35ml/分で流し、3mlのフラクションを集める。
・フラクションを、分析前36時間、4℃で保存した。
・フラクションを室温にし、ボルテックスによって混合した後、サンプリングした。
・カテキン標準を含む96穴プレート上で試料を試験した。
・各混合ステップは、マイクロプレートリーダー中に存在する混合機構を用いて行った。
・BioRad Model 680XRマイクロプレートリーダーを用い、750nmフィルターを用いたシングルリーディングモードで終点機能を用いて、プレートを読み取った。
【0125】
結果および考察
2つの「未加工データ」記録を、2回目の読み取りの前の予備の時間によって、試料において有意な変化があるかどうかを確かめるために比較した。吸光度測定値は極めて接近しているので、結果は正確であると思われる。
【0126】
結果を図7〜16および表10〜14に記載する。
【0127】
プレートマップおよび吸光度測定値は図7〜9に示す。図7中、ブランク(Blk)、カテキン標準(CS...)およびフラクション試料(F)はすべて3連で、空のウェルを「Emp」によって表示する。図9は、補正された吸光度値を示し、ブランクを求め、標準および試料から差し引く。
【0128】
得られたカテキン標準曲線は、R2値が0.999であるならば、非常に直線的である(表10および図13を参照)。
【0129】
【表10】
【0130】
【表11】
【0131】
誤差として±2SDでフラクションのカテキン当量をプロットするには、各3連の吸光度をカテキン当量に換算し、これらの数値のSDを用いて誤差を表す必要がある。
【0132】
表11の値をこの目的のために再計算し、またF14rep1およびF18rep2値は顕著な誤差であるので、これらも計算から除外した。
【0133】
【表12】
【0134】
プレートを2回再生して、これが結果の正確な表示であることを確認する。
【0135】
【表13】
【0136】
【表14】
【0137】
試料を3連で試験し、各プレートはそれ自身のカテキン標準基準曲線を有していた。図9は、各プレートから得られる各フラクションのポリフェノール結果をプロットし、分析の精度を確認する。
【0138】
フラクションのそれぞれの±2SD誤差に関して、著しい範囲外の結果はない。これは、CV(%)値によってわかるように、各フラクションの3連での吸光度測定値が完全に正確でなくても、分析が比較的正確であることを示す。
【0139】
フラクションの吸光度を、0.35mlの試料に関して、750nmでマイクロプレートリーダーを用いて分析した。図10は、糖液原材料希釈液およびフラクション3〜23の96穴プレートのマップを示す。(図10中:ND−希釈せず、D1:2−2希釈液中の1つ、F−フラクション数、Emp−空ウェル。)図11は、図10におけるマップの750nmでの吸光度値を示す。
【0140】
図12は、前記実験のクロマトグラムを示す。オレンジ色、紫色、緑色および青色の微量物質は、それぞれλ405nm、350nm、280nmおよび214nmを示す。集めたフラクションを上軸に示す
【0141】
【表15】
【0142】
この波長(750nm)で、フラクション8以降は0.010より低い吸光度を有し、「淡色」と見なされる。
【0143】
図15中、フラクション12は、カテキン当量に関してかなり高いポリフェノール含有量をもたらし、このフラクションはまた図12中のλ280nm波形上のショルダーピークと一致することがわかる。図12中のフラクション12のλ405nm波形はかなり低く、淡色であることを示す。フラクションのこのような色の違いは、図16で見ることができる。
【0144】
結論
「高抗酸化物質」であると見なされるフラクションは、これらの分析条件下で、50μg/ml以上のカテキン当量のポリフェノール含有量を含んでいた。
【0145】
「淡色」と見なされるフラクションは、これらの分析条件下で0.010以下の吸光度測定値を有していた。
【0146】
この750nm波長をポリフェノール反応に使用した。フラクションの実際の色の吸光度は、415nmでより良好に分析される。その理由は、色がこの波長でより多くのエネルギーを吸収し、フラクション間の差に対してより感受性になるからである。しかし、750nmでの測定によって、色測定の有用な表示が得られる。
【0147】
この実験は、ある範囲の淡色高抗酸化物質フラクションを糖液から単離できることを証明する。図16は、対照(糖液)と比較した、淡色フラクションの一部を示す。いずれの淡色試料も顕著な臭いを有さない。淡色高抗酸化物質フラクションは、色が薄いために、最終食品の感覚刺激性を損なうことなく様々な用途で用いることができる。
【実施例5】
【0148】
本発明の虫歯の治療もしくは予防および口腔衛生の方法で使用される練り歯磨きを次のようにして調製した:
【0149】
【表16】
【0150】
淡色高抗酸化物質糖液抽出物を、若干褐色がかった水溶性自由流動性粉末として供給した。Aの成分を合し、Bの品目をすべてAに添加し、均一になるまで70℃で混合した。Cを次いで添加し、均一になるまで混合した。最後に、Dを均一になるまで混合しながらゆっくりと添加した。適量のクエン酸でpH5.9〜6.3にした。
【実施例6】
【0151】
0.3%モノフルオロリン酸ナトリウムを添加した前記実施例5の子供用練り歯磨き
【実施例7】
【0152】
歯を白くする化合物を添加した前記実施例5の練り歯磨き。
【実施例8】
【0153】
この組成物はマウスウォッシュを提供する。
【0154】
【表17】
【実施例9】
【0155】
この組成物は、チューインガムを提供する。
【0156】
【表18】
【実施例10】
【0157】
この組成物は、ソフトゼラチン菓子を提供する。
【0158】
【表19】
【実施例11】
【0159】
この組成物は、風味付けされた水飲料を提供する。
【0160】
【表20】
【0161】
調製:
・50mlの水中で撹拌することによって安息香酸ナトリウムを溶解させる。
・クエン酸溶液および淡色高抗酸化物質糖液抽出物を添加する。
・淡色高抗酸化物質糖液抽出物が溶解するまで撹拌する。
・砂糖を添加し、溶解するまで撹拌し、次いでフレーバーを添加し、ブレンドされるまで撹拌する。
・水を1リットルになるように添加する。
【実施例12】
【0162】
この組成物は、果実ピューレスナックを提供する。
【0163】
【表21】
【0164】
調製法:
・ピューレおよび果汁濃縮物をあわせてブレンドする
・糖液抽出物およびフレーバーを加える。ブレンドされるまで混合する
【実施例13】
【0165】
この組成物は、糖液抗酸化物質が添加された油を提供する。
【0166】
【表22】
【実施例14】
【0167】
この組成物は、シリアルバーを提供する。
【0168】
【表23】
【0169】
調製法:
・淡色高抗酸化性糖液抽出物を脱脂粉乳と合わせ、Hobartミキサー中に入れる。
・米および小麦クリスプを添加し、粉末成分と穏やかに混合する。次いで、果実成分を添加し、混合する。
・グルコースシロップ、転化糖シロップおよびソルビトールシロップを添加し、113℃まで加熱する。次いで、調理プロセスを停止させるために冷水浴中で冷却する。
・パーム核脂肪およびレシチンを水浴中、75℃で溶融させる。
・脂肪混合物をシロップの組み合わせに添加する。
・砂糖、水および塩を混合し、110℃まで加熱する。
・脂肪を砂糖溶液に添加する。
・液体をKenwood型ミキサー中の乾燥成分に添加し、十分に混合する。
・物質を大理石板上に置き、ローラーで所望の厚さに延ばす。物質体を室温まで冷却する。
・一人前の分量に切断し、包装する。
【実施例15】
【0170】
食品腐敗および口腔衛生微生物に対する糖液抽出物ポリフェノール粉末の抗菌活性を決定するため。
【0171】
方法
糖液抽出物ポリフェノール粉末:糖液から得られるポリフェノール粉末(5g)は国際特許出願番号WO2005/117608に記載されているようにHorizon Science Pty Ltdから提供された。
【0172】
細菌株および増殖条件:分析で使用した試験生物は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株6571(NCTC−National Collection of Type Cultures,Health Protection Agency Centre for Infection,London,UK)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)ACM969およびプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)ACM4730であり、Australian Collection of Microorganisms(ACM)、University of Queenslandから供給された。試験生物を、Tryptone Soya Yeast Extract Broth(TSYEB)(Oxoid CM129B,Basingstoke,UK)、30g/L;酵母抽出物(Oxoid CM19)、6g/L中で24時間増殖させた。接種物を、540nmでの光学密度(吸光度)を測定することによって定量化し、TSYEBを用いて0.5吸光度に調節した。
【0173】
細菌株の調製および希釈:TSYEBブロス中で試験生物の一夜培養物を22倍に連続希釈(1:1)することによって接種物を調製した。11から22までの希釈液を96穴マイクロタイタープレート上で使用した。希釈をおこなった後、最低希釈液を全試験生物についてPlate Count Agar(Oxoid CM0463)上にプレーティングして、細菌数を確認した。
【0174】
糖液からのポリフェノール粉末の調製:糖液から得られるポリフェノール粉末(0.1g)を10mlのTSYEB中に溶解させた。この溶液を、1%(w/v)の濃度からはじめてTSYEB中で希釈し、0.0005%(w/v)まで希釈した。
【0175】
抗生物質溶液の調製:Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した抗生物質ペニシリンGおよび塩酸オキシテトラサイクリンをこの研究で使用した。ペニシリンGおよびオキシテトラサイクリンそれぞれ0.01gを20mlのTSYEB中に溶解させた。
【0176】
ペニシリンGおよびオキシテトラサイクリンの抗生物質溶液を、0.05%(w/v)の濃度からはじめてTSYEB中で希釈し(1:1)、2.44×10−5%(w/v)まで希釈した。
【0177】
マイクロプレート分析法:二次汚染を防止するためのふたを有する平底96穴無菌マイクロタイタープレート(Sarstedt,Numbrecht,Germany)をこの研究に使用した。各96穴マイクロタイタープレートは、培地のみを含む穴の1列(無菌性および負の対照)を有していた。穴の第1列から3つの列は、1:1希釈度の試験生物を含み(一番右の穴における102cfu/mlに対して一番左の穴における105cfu/mlに等しい細菌対照)、糖液からのポリフェノール溶液は、最高濃度から最低濃度までを含んでいた(1%〜0.0005%w/v)。ポリフェノール溶液と細菌細胞との組み合わせのそれぞれを3連で測定した。次の3列の穴は、同じ数の細菌希釈液を含んでいたが、ポリフェノール溶液は最低濃度から最高濃度までであった(0.0005%〜1%w/v)。ポリフェノール溶液と細菌細胞との組み合わせのそれぞれを3連で測定した。残りの穴は、同じ数の細菌希釈液と増殖培地とポリフェノール溶液とを含み、正の対照と呼んだ。ポリフェノール溶液を含まない正の対照の再現(n=6)を試験生物について別のプレート上で実施した。300μlの穴はそれぞれ、50μlの接種物、150μLのポリフェノール溶液を含んでいた。それぞれの負または無菌対照穴は、200μlのTSYEBブロスを含んでいた。それぞれの正の対照穴は、50μlの接種物、150μlのTSYEBブロスを含んでいた。
【0178】
ペニシリンGおよび塩酸オキシテトラサイクリンを参考標準として使用して、試験生物の感受性を決定し、ポリフェノール溶液の抗菌活性を抗生物質の抗菌活性と比較した。
【0179】
光学密度(OD)を、分光光度計Sunrise−Basic Tecan(Grodig,Austria)、540nmで測定した。インキュベーション前にODを測定したが、これは時間0(T0)での分光光度計測定値を表す。プレートを37℃のインキュベータ中に入れ、22時間インキュベートした。ミュータンス連鎖球菌を37℃で22時間および44時間インキュベートした。プレート中の溶液を、多チャンネルピペットを用いて混合して、22時間(T22)後の分光光度計でのOD測定前のクランピングを防止した。
【0180】
結果の分析:阻害(パーセント)の計算は、Caseyら、2004;Pattonら、2006による研究に基づいた。阻害(パーセント)=1−(OD試験穴/対応する正の対照穴のOD)×100。
・MIC0は、増殖の阻害をもたらさないポリフェノール溶液または抗生物質の最高濃度であり;
・MIC50は、増殖の50%阻害をもたらすポリフェノール溶液または抗生物質の濃度であり;そして
・MIC100は、100%阻害をもたらすポリフェノール溶液または抗生物質の最低濃度である。
【0181】
結果
【表24】
【0182】
【表25】
【0183】
【表26】
【0184】
考察
抗菌活性についてのポリフェノール溶液の予備スクリーニングを黄色ブドウ球菌に対して行った。このスクリーニングによって、使用できるポリフェノール溶液の最高濃度を決定した。1%(w/v)を越える濃度のポリフェノール粉末によって、1より高い光学密度の測定値が得られ、これは分光光度分析について推奨される範囲を超える。ポリフェノール溶液は、MIC0<0.001%、MIC50=0.28%およびMIC100>1%(w/v)で黄色ブドウ球菌に対して阻害を示した。表24を参照。
【0185】
プロテウス・ブルガリスは、食品腐敗生物であり、ポリフェノール溶液に対する阻害を示し、MIC00.02%、MIC50=1%およびMIC100>1%(w/v)であった。表24を参照。ミュータンス連鎖球菌は、22時間で増殖しなかったので、増殖期間を44時間まで延長した。ミュータンス連鎖球菌は、1%で完全な阻害を示し、MIC50は0.5%、MIC0は0.06%(w/v)であった。表24を参照。
【0186】
参考標準として使用する抗生物質は、完全な阻害のためにかなり低い濃度を示すが、異なる試験生物は異なる濃度を必要とした。黄色ブドウ球菌およびミュータンス連鎖球菌は最低濃度のオキシテトラサイクリン(2.44×10−5%w/v)で完全に阻害された。表26参照。これらの2つのグラム陽性生物も、糖液抽出物ポリフェノール粉末によっても阻害された。
【0187】
結論
食品腐敗生物プロテウス・ブルガリスは、糖液抽出物ポリフェノール粉末によって阻害された。
【0188】
ミュータンス連鎖球菌および黄色ブドウ球菌はどちらも病原菌であり、その増殖は、糖液抽出物ポリフェノール粉末によって抑制された。
【0189】
糖液抽出物ポリフェノール粉末による抑制に必要な1%のレベルは、微生物増殖の予防に有用な効果を有する他の植物抽出物と比較して非常に弱いと見なすことができる。この研究で使用したバッチは近年調製されておらず、ポリフェノールは適切な保存をしなければ急速に酸化する傾向があるので、糖液抽出物ポリフェノール粉末の新鮮なバッチによって、さらに良好な結果を得ることができる。
【0190】
この実施例は、濃色糖液抽出物を使用するが、関連するポリフェノールは、本発明の方法で使用される淡色高抗酸化物質抽出物中に存在することが予想される。これらの結果から、サトウキビ由来の淡色高抗酸化物質抽出物は、虫歯形成の抑制および口腔衛生の改善に有用であると推測することができる。
【0191】
参考文献
Casey JT,O’Cleirigh C,Walsh PK,O’Shea DG,Development of a robust microtiter plate−based assay method for assessment of bioactivity,Journal of Microbiological Methods 58(2004)327−334.
Patton T,Barrett J,Brennan J,Moran N,Use of a spectrophotometric bioassay for determination of microbial sensitivity to manuka honey,Journal of Microbiological Methods 64
【0192】
この説明および請求の範囲で使用される場合、「含む」という用語および「含む」という用語の形態は、任意の変形または追加を排除する本発明を限定しない。
【0193】
本発明に対する修正および改善は、当業者には容易に明らかになるであろう。このような修正および改善は、本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高抗酸化物質活性を有する、サトウキビ由来の淡色抽出物を含む保存料。
【請求項2】
高抗酸化物質活性を有する、サトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に、約0.010以下の吸光度値を有し、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項1に記載の保存料。
【請求項3】
食品、化粧品および調合薬を保存する方法であって、前記食品、化粧品または調合薬に、保存有効量の高抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を添加するステップを含む、方法。
【請求項4】
前記有効保存量が、全組成物の0.0001〜5.0重量%の範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記有効保存量が、全組成物の0.01〜2.5重量%の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に、約0.010以下の吸光度値を有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための方法であって、治療有効量の、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を口腔衛生用品に添加するステップを含む方法。
【請求項9】
前記治療有効量が、全組成物の0.0001〜5.0重量%の範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記治療有効量が、全組成物の0.01〜2.5重量%の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に、約0.010以下の吸光度値を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を含む、口腔衛生品。
【請求項14】
高抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に約0.010以下の吸光度値を有し、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項13に記載の口腔衛生品。
【請求項15】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の、食品、化粧品、または医薬品における抗酸化物質および/または抗菌剤としての使用。
【請求項16】
口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための、治療上有効量の、口腔衛生品において高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の使用。
【請求項1】
高抗酸化物質活性を有する、サトウキビ由来の淡色抽出物を含む保存料。
【請求項2】
高抗酸化物質活性を有する、サトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に、約0.010以下の吸光度値を有し、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項1に記載の保存料。
【請求項3】
食品、化粧品および調合薬を保存する方法であって、前記食品、化粧品または調合薬に、保存有効量の高抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を添加するステップを含む、方法。
【請求項4】
前記有効保存量が、全組成物の0.0001〜5.0重量%の範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記有効保存量が、全組成物の0.01〜2.5重量%の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に、約0.010以下の吸光度値を有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための方法であって、治療有効量の、高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を口腔衛生用品に添加するステップを含む方法。
【請求項9】
前記治療有効量が、全組成物の0.0001〜5.0重量%の範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記治療有効量が、全組成物の0.01〜2.5重量%の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に、約0.010以下の吸光度値を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物を含む、口腔衛生品。
【請求項14】
高抗酸化活性を有するサトウキビ由来の前記淡色抽出物が、750nmで測定した場合に約0.010以下の吸光度値を有し、少なくとも約50μg/mlカテキン当量の抗酸化レベルを有する、請求項13に記載の口腔衛生品。
【請求項15】
高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の、食品、化粧品、または医薬品における抗酸化物質および/または抗菌剤としての使用。
【請求項16】
口腔衛生の改善および/または虫歯形成の抑制、治療および/または予防のための、治療上有効量の、口腔衛生品において高い抗酸化活性を有するサトウキビ由来の淡色抽出物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−540566(P2010−540566A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527288(P2010−527288)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001458
【国際公開番号】WO2009/043097
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001458
【国際公開番号】WO2009/043097
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(506381821)ホリズン サイエンス ピーティーワイ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
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