説明

太陽電池パネルの下層構造、及び太陽電池パネルを含む外装構造

【課題】従来の導入対象でなかった畜舎やプレハブ等の倉庫などにも好適に導入することができる太陽電池パネルの下層構造、及び太陽電池パネルを含む外装構造を提供する。
【解決手段】下地4A上に連続材である保持部材2を固定し、保持部材2に外装材1を取り付け、外装材1を介して太陽電池パネル3Aを敷設する下層構造であって、外装材1は、少なくとも長手方向に沿って被重合部14と、被重合部14に重合する重合部15とを有し、被重合部14は段部141を備え、重合部15は裏面側に折曲した係止部151を備え、保持部材2は、少なくとも下地4Aへの固定部21と、外装材1の段部141を上方から保持する保持部22と、係止部151と係合する被係止部23とを有し、敷設状態にて、被重合部14に重合させた重合部15は、下地面4Aに対して略平行状であって、隣接する重合部15,15が同一レベルに構築される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、十分な取付強度と雨仕舞い性とを備える簡易な外装構造を、太陽電池パネルの下層構造として構築することにより、極めて簡単に太陽電池パネルを取り付けることができ、従来の導入対象でなかった畜舎やプレハブ等の倉庫などにも好適に導入することができる太陽電池パネルの下層構造、及び太陽電池パネルを含む外装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池システムの社会的重要性は広く認識されるに至っているが、実際に太陽電池システムを導入するには、太陽電池パネル自体の仕様等よりも、下地となる屋根面の問題が多い。例えば太陽電池パネルとしては、屋根材自体に太陽電池パネルを一体的に組み込む方法と、屋根面に支持架台などの取付部材を固定してその上に太陽電池パネルを組み付ける方法とが知られている。
【0003】
前記屋根材自体に太陽電池パネルを一体的に組み込む方法は、屋根材を製造する技術と太陽電池パネルを製造する技術とが必要であり、様々な仕様の建物(屋根)に適用することは到底困難であった。
一方、屋根面に支持架台などを固定して太陽電池パネルを組み付ける方法は、下地として強固な屋根構造が必要であり、しかも該屋根構造に固定金具を固定して太陽電池パネルを取り付けるため、雨水等の浸入を防止する雨仕舞い構造も必要となり、構造が複雑化してしまうという問題があった。
【0004】
また、より有効に太陽光発電を行うためには、より多くの枚数の太陽電池パネルを敷設することが必要となるが、実質的に屋根面より狭く設定される割付範囲に対し、実質的にその整数倍の枚数の太陽電池パネルを割り付けるので、太陽電池パネル自体の寸法によっては割付が制限され、実際に太陽電池パネルが敷設される範囲は前記割付範囲よりも更に狭いものとなっていた。さらに、例えば寸法が大きな大面積の太陽電池パネルを使用する場合などには、著しく効率が悪い場合も生じていた。しかも、前述の支持架台を固定する方法では、より高重量の支持架台が必要となるため、屋根面への荷重等の負担が過大となるという問題もあった。また、屋根面自体が狭い小型建造物や既設屋根の強度が脆弱な建造物への適用が検討されたことはなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、太陽電池パネルを簡単に取り付けるための構造について、鋭意研究の末、十分な取付強度と雨仕舞い性とを備える簡易な外装構造を、太陽電池パネルの下層構造として構築することにより、極めて簡単に太陽電池パネルを取り付けることができ、従来の導入対象でなかった畜舎やプレハブ等の倉庫などにも好適に導入することができる太陽電池パネルの下層構造、及び太陽電池パネルを含む外装構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、下地上に連続材である保持部材を固定し、該保持部材に外装材を取り付け、該外装材を介して太陽電池パネルを敷設する太陽電池パネルの下層構造であって、前記外装材は、少なくとも長手方向に沿って被重合部と、該被重合部に重合する重合部とを有し、前記被重合部は段部を備え、前記重合部は裏面側に折曲した係止部を備え、前記保持部材は、少なくとも下地への固定部と、前記外装材の段部を上方から保持する保持部と、前記係止部と係合する被係止部とを有し、敷設状態にて、被重合部に重合させた重合部は、下地面に対して略平行状であって、隣接する重合部が同一レベルに構築されることを特徴とする太陽電池パネルの下層構造に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記下層構造において、下地面の面積より広く外装材を敷設したことを特徴とする太陽電池パネルの下層構造をも提案する。
【0008】
さらに、本発明は、前記下層構造により敷設された外装材の複数の重合部に跨るように桟部材を固定して該桟部材を介して太陽電池パネルを固定するか、複数の重合部に跨るように太陽電池パネルを固定してなることを特徴とする太陽電池パネルを含む外装構造をも提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の太陽電池パネルの下層構造は、保持部材が連続材であるため、太陽電池パネル又は桟部材が配設される所定の固定箇所に制限を受けずに施工することができ、しかも十分な固定強度を得ることができる。
また、重合部に対して太陽電池パネル又は桟部材を固定するが、被重合部が段部に形成することで、該段部に保持部材の保持部を保持し、重合部を重合した状態でビス止め固定した場合にも、万が一ビス孔から雨水が侵入しても内部に浸水することがなく、十分な雨仕舞い性を有する。
さらに、敷設状態にて重合部を、下地面に対して略平行状で略同一レベルに構築したので、太陽電池パネル又は桟部材を整然と敷設することができる。
また、前述のように本発明の下層構造は十分な雨仕舞い性を有するので、太陽電池パネル自体には雨仕舞いを必要とせず、安価に提供することができる。しかも、太陽電池の裏面側に屋根材が存在することで、太陽電池パネルの裏面側に位置する配線ボックス等が雨水に曝され難くなり、太陽電池の不具合を減少させることができる。
さらに、連続材である保持部材を下地の水下側(軒先)や妻側(ケラバ)等の端縁から外側へ突出させて配設することができるので、太陽電池パネルの割付調整が容易となり、通常(従来)よりも太陽電池パネルの割付、敷設が容易で、より多数枚の太陽電池パネルを割付、敷設することができる。
【0010】
このように本発明の下層構造は、十分な取付強度と雨仕舞い性とを備える簡易な外装構造を、太陽電池パネルの下層構造として構築したものであって、しかもその同一レベルに構築された複数の重合部に、太陽電池パネルを直接に、又は桟部材等を介して間接的に固定することができるので、極めて簡単に且つ安価に太陽電池パネルを取り付けることができ、施工後の不具合等も減少させることができる。また、屋根面自体が狭い小型建造物や既設屋根の強度が脆弱な建造物にも容易に適用することができる。
【0011】
また、下地面の面積より広く外装材を敷設した場合、具体的には連続材である保持部材を下地の水下側(軒先)や妻側(ケラバ)等の端縁から外側へ突出させて配設することにより、配設する外装材を下地面より広い面積に敷設することが可能となり、より多数枚の太陽電池パネルを割付、敷設することができ、より大きな太陽光発電を得ることができ、従来の導入対象でなかった畜舎やプレハブ等の倉庫、その他の屋根面自体が狭い小型建造物にも好適に適用されるものである。
【0012】
さらに、前記下層構造を用いた本発明の外装構造は、敷設状態で同一レベルで略平坦状に隣接する重合部に跨るように桟部材を介して間接的に又は直接的に太陽電池パネルを固定したものであるから、桟部材や太陽電池パネルを整然と敷設することができる。
また、下層構造を屋根面とすることで、太陽電池パネル自体に雨仕舞いを必要としないため、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本発明の外装構造の一実施例(第1実施例)を示す側断面図、(b)その正断面図、(c)それに用いた保持部材の拡大側面図、(d)それに用いた外装材の拡大側面図である。
【図2】(a)本発明の外装構造の他の一実施例(第2実施例)を示す側断面図、(b)その正断面図である。
【図3】(a)第1実施例及び第2実施例にて用いた外装材の敷設状態(下層構造)を示す断面図、(b)その外装材を積み重ねた状態を示す側面図、(c)別の仕様の外装材の敷設状態(下層構造)を示す断面図、(d)その外装材を積み重ねた状態を示す側面図である。
【図4】(a)本発明の外装構造の一実施例(第3実施例)を示す正断面図、(b)他の一実施例(第4実施例)を示す正断面図、(c)他の一実施例(第5実施例)を示す正断面図、(d)他の一実施例(第6実施例)を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の太陽電池パネルの下層構造は、外装材を介して太陽電池パネルを敷設することができるものであって、下地上に連続材である保持部材を固定し、該保持部材に外装材を取り付けてなり、敷設状態にて、前記外装材の被重合部に重合させた重合部は、下地面に対して略平行状であって、隣接する重合部が同一レベルに構築されることを特徴とする。
【0015】
本発明における下地は、連続材である保持部材を固定する取付対象を指し、新設の場合、鉄骨やC型鋼等の軽量形鋼等や木材等によって構築された躯体であっても、躯体上に断熱等の下地材を敷設したものであってもよいし、コンクリート造による下地であってもよい。また、既存屋根や既存屋根の下地を取付対象としてもよいし、既存屋根に本案の保持部材が取り付け可能なように下地処理を施したものであってもよい。下地として鉄骨や鋼材、木材等によって躯体が構成されている場合は、母屋等に交わる方向に保持部材を固定すればよく、RC造にあっては保持部材の取り付け方向は任意である。また、既存屋根上や鉄骨躯体上に十分な引き抜き強度を有する部材を配することで保持部材の取り付け方向を任意にすることも可能である。母屋が存在しない場合や欠損している場合には、適宜に補助的に母屋を組み付ければよい。したがって、従来の太陽電池パネルを敷設する対象屋根ではなかった牛舎や鶏舎、豚舎等の畜舎、或いは簡易倉庫として用いられるプレハブなども本発明を適用する下地(取付対象)である。
【0016】
前記外装材は、少なくとも長手方向に沿って被重合部と、該被重合部に重合する重合部とを有する構成であり、前記被重合部は段部を備え、前記重合部は裏面側に折曲した係止部を備え、敷設状態にて下地面に略平行状となるが、それらの具体的構成、並びにそれ以外の構成については特に限定するものではない。
例えば後述する図示実施例のように略平坦状の面板部の長手方向に沿う一方の端縁に傾斜状の立上り部を介して重合部を設け、他方の端縁に略鉛直状の立上り部を介して被重合部を設けてもよく、この外装材は、横葺きにも縦葺きにも適用することができ、さらに搬送時や管理時に積み重ねて保管できるという利点をも備える。
なお、縦葺き用において、前記面板部は、雨水が表面を流れる部分(流水部分)であるため、その両端縁に設けた立上り部が、流水部分からの持出部分(=重合部を面板部より高いレベルに位置させる部分)を兼ね、前記重合部に太陽電池パネルを敷設した際にその裏面の配線ボックス等が雨水に曝され難くする役割を果たす。
【0017】
前記外装材の被重合部は、前述のように段部を備える構成であり、この段部とは、裏面側へ段状に変形される部分を指し、例えば裏面側へ陥没する凹状(凹部)でもよい。この段部には、後述する保持部材の保持部が保持される。
前記重合部は、敷設時に上記被重合部の表面側に重合されるものであって、前述のように裏面側に折曲した係止部を備える構成であり、この係止部は、後述する保持部材の被係止部に係合するものであれば、特にその形状を限定するものではない。
なお、この重合部は、敷設状態にて下地面に対して略平行状とするためには、予め下地面に沿わせる部位を設け、該部位と略平行状に成形すればよい。例えば後述する図示実施例では、面板部を下地面に沿わせる構成としたので、この面板部に略平行状に重合部を成形すれば、敷設状態において下地面と略平行状に配置されるものとなる。
【0018】
前記保持部材は、前記下地上に固定する連続材であって、少なくとも下地への固定部と、前記外装材の段部を上方から保持する保持部と、前記係止部と係合する被係止部とを有する構成であるが、それらの具体的構成、並びにそれ以外の構成については特に限定するものではない。
例えば後述する図示実施例のようにそれぞれ直交する上横片部、縦片部、下横片部からなる構成としてもよい。そのうち下横片部が固定部であり、上横片部の中程に保持部が、先端に被係止部が形成され、実質的(取付強度を保持する)な太陽電池パネルの取付部分である。また、縦片部は、下地(固定部)から太陽電池パネルの実質的な取付部分を離間させる持出部分の役割を果たす。
なお、前記保持部は、前記外装材の被重合部の段部を上方から保持するので、後述する図示実施例のように、外装材の被重合部と隣り合う外装材の重合部との間に保持部(上横片部)は挟着状に保持される。
【0019】
本発明の太陽電池パネルの下層構造は、前記下地上に前記構成の保持部材を固定し、該保持部材に前記構成の外装材を取り付けたものであるから、極めて簡単に且つ安価に太陽電池パネルを取り付けるための下層構造を構築できる。
また、保持部材は連続材であるため、その保持部も、該保持部に取り付ける外装材の重合部も、連続状であり、太陽電池パネルや桟部材を容易に取付位置を調整して施工することができ、固定強度も高いものである。
さらに、外装材の被重合部が段状に形成され、保持部材の保持部を凹状に形成することで、該段部に保持部材の保持部を保持し、更に重合部を重合した状態でビス止め固定した場合にも、万が一ビス孔から雨水が侵入しても内部に浸水することがない。
【0020】
また、本発明の太陽電池パネルの下層構造は、敷設状態で下地面に略平行状の重合部が略同一レベルに構築されるので、太陽電池パネル又は桟部材を容易に、整然と敷設することができる。
さらに、前述のように本発明の下層構造は、十分な雨仕舞い性を有するので、太陽電池パネル自体に雨仕舞いを必要としないため、安価に提供することができる。しかも、太陽電池の裏面側に屋根材が存在することで、太陽電池パネルの裏面側に位置する配線ボックス等が雨水に曝され難くなり、太陽電池の不具合を減少させることができる。
また、連続材である保持部材を下地の水下側(軒先)や妻側(ケラバ)等の端縁から外側へ突出させて配設することができるので、太陽電池パネルの割付調整が容易となり、通常(従来)よりも太陽電池パネルの割付、敷設が容易で、より多数枚の太陽電池パネルを割付、敷設することができる。
【0021】
特に下地面の面積より広く外装材を敷設する、具体的には連続材である保持部材を下地の水下側(軒先)や妻側(ケラバ)等の端縁から外側へ突出させて配設することにより、配設する外装材を下地面より広い面積に敷設することが可能となり、その結果、より多数枚の太陽電池パネルを割付、敷設することができ、より大きな太陽光発電を得ることができる。そのため、従来の太陽電池パネルの導入対象でなかった畜舎やプレハブ等の倉庫、その他の屋根面自体が狭い小型建造物にも太陽光発電を好適に導入し、例えばそれらの小型建造物の室内の照明やその他の電気管理設備に電力を供給することができる。
【0022】
本発明の下層構造に取り付ける太陽電池パネルとしては、特にその具体的構成を限定するものではなく、例えば後述する図示実施例に示すように面板部に太陽エネルギー変換モジュール(以下、太陽電池という)を備え、該面板部の少なくとも対向する側縁に成形部(フレーム材)を設けた構成でもよいし、桟部材を介在させて太陽電池パネルを取り付けるようにしてもよい。
前記太陽電池は、特にその構成及び形状を限定するものではなく、多結晶,単結晶,アモルファス等のシリコン系、化合物系、有機系などどのような太陽電池を用いてもよい。
本発明における太陽電池パネルとは、モジュールを備えたパネル、ボード、シート等のその状態で直接もしくは固定部材等を介して間接的に取付(敷設)可能なのものを指す。
例えばモジュール周縁に枠体(フレーム)を配して矩形状としたものであっても、枠体にパネル同士の接続部分等を設けるものであってもよく、その構成は特に限定するものではない。また、太陽電池パネルの固定方法は、ビスや固定部材(押さえ部材)によって重合部に直接固定するものであっても、重合部に固定される桟部材等に固定するものであってもよい。さらに、太陽電池パネルの敷設状態(取付状態)は、平坦状に表れるものであっても、階段状に表れるものであってもよく、特に限定するものではない。
【0023】
そして、前記下層構造に直接的に、又は桟部材を介して間接的に太陽電池パネルを固定した本発明の外装構造は、敷設状態で同一レベルで略平坦状に隣接する重合部に跨るように桟部材を介して間接的に又は直接的に太陽電池パネルを固定したものであるから、太陽電池パネルを整然と敷設することができる。また、下層構造を屋根面とすることで、太陽電池パネル自体に雨仕舞いを必要としないため、安価に提供することができる。
この本発明の外装構造は、前述の畜舎や倉庫などの小型建造物の他にも、通常の新築屋根や既設屋根にも適用でき、更には鉄骨やC形鋼などで躯体が組まれたものにはほとんど容易に躯体の母屋に直交する方向に保持部材を組み付けることで適用でき、太陽光発電の飛躍的な拡大に貢献できる。
【実施例】
【0024】
図1(a),(b)に示す第1実施例の外装構造、及び図2(a),(b)に示す第2実施例の外装構造は、何れもその下層構造が、図1(c)に拡大して示す保持部材2と、図1(d)に拡大して示す外装材1とからなり、第1実施例は流れ(勾配)方向に配した下地4Aに横葺き仕様の下層構造を構築して更に太陽電池パネル3Aを敷設してなる構造であり、第2実施例は桁行き方向に配した下地4Bに縦葺き仕様の下層構造を構築して更に太陽電池パネル3Bを敷設してなる構造である。
なお、両実施例に共通する説明に際し、以下、太陽電池パネルを3、下地及び下地面を4と説明する。
【0025】
前記外装材1は、長手方向に沿う被重合部14と、該被重合部14に重合する重合部15とを有し、前記被重合部14は段部141を備え、前記重合部15は裏面側に折曲した係止部151を備え、敷設状態にて下地面4に略平行状となる構成である。
図1に示す外装材1は、略平坦状の面板部11の長手方向に沿う一方の端縁(水下側)に傾斜状の立上り部12を介して重合部15を設け、他方の端縁(水上側)に略鉛直状の立上り部13を介して被重合部14を設けた構成である。
この外装材1を図2の縦葺き用として用いる場合には、図面右側の水上側、左側を水下側として敷設したが、下地4等に応じてどのように適宜に敷設すればよい。
【0026】
前記被重合部14は、前述のように段部141を備える構成であり、この段部141とは、裏面側へ段状に変形される部分を指し、後述する保持部材2の保持部22が保持される部位である。
前記重合部15は、敷設時に上記被重合部14の表面側に重合されるものであって、前述のように裏面側に折曲した係止部151を備える構成であり、この係止部は、後述する保持部材2の被係止部23に係合する部位である。
なお、この重合部15は、予め面板部11を下地面4に沿わせる構成としたので、この面板部11に略平行状に重合部15を成形することにより、敷設状態において下地面4と略平行状に配置される。
【0027】
前記保持部材2は、下地4上に固定するれ連続材であって、図1(c)に示すように下地4への固定部21と、前記外装材1の段部141を上方から保持する保持部22と、前記係止部151と係合する被係止部23とを有する構成である。
図1に示す保持部材2は、それぞれ直交する上横片部2a、縦片部2b、下横片部2cからなる構成とした。そのうち下横片部2cが固定部21であり、上横片部2aの中程に保持部22が、先端に被係止部23が形成され、取付強度を保持する太陽電池パネル3の取付部分である。また、縦片部2bは、下地4(固定部21)から太陽電池パネル3の実質的な取付部分を離間させる持出部分の役割を果たす。
【0028】
前記保持部22は、下方へ凹状(陥没状)に形成され、前記外装材1の被重合部14の段部141を上方から保持するので、外装材1の被重合部14と隣り合う外装材1の重合部15との間に保持部22(上横片部2a)は挟着状に保持される。
なお、前述のように前記外装材1の重合部15は、敷設状態にて下地面4に対して略平行状となるためには、それを保持する保持部材2の保持部22(上横片部2a)も、下地面4に対して略平行状に取り付ける必要があり、そのためにこの上横片部2aを、下地4に固定する固定部21(下横片部2c)に対して略平行状に成形した。
【0029】
本発明の下層構造は、前記下地4A,4B上に前記構成の保持部材2を固定し、該保持部材2に前記構成の外装材1を取り付けたものであるから、極めて簡単に且つ安価に太陽電池パネル3A,3Bを取り付けるための下層構造を構築できる。
また、保持部材2は連続材であるため、その保持部22も、該保持部22に取り付ける外装材1の重合部15も、連続状であり、太陽電池パネル3や桟部材5を容易に取付位置を調整して施工することができ、固定強度も高いものである。
さらに、外装材1の被重合部14に段部141を設け、保持部材2の保持部22を凹状に形成したので、該段部141に保持部材2の保持部22を保持でき、更に重合部15を重合した状態でビス止め(ビス3c)固定した場合に、万が一ビス孔から雨水が侵入しても面板部11上に導かれる(落下する)だけであり、外装材1の内部に浸水することがない。
【0030】
前記下層構造の施工手順については、まず、下地4A,4B上に、直交する方向に保持部材2を組み付けるが、図1に示す横葺きの場合には、下地4Aが流れ方向に配設されているので、保持部材2は桁行き方向に配設する。その際、より広い敷設面積とするためには、図1(b)に示すように最も妻側の下地4Aから図中xにて示す部分だけはみ出すように保持部材2を固定(固定具2b)する。なお、流れ方向に所定間隔にて保持部材2を固定するが、予め配設する外装材1の有効幅に応じて取付間隔を設定する。
次に、所定間隔にて下地4Aに固定された保持部材2に外装材1を敷設するが、水下側に位置する外装材1の立上り部13を、保持部材2の縦片部2bの水下側に沿うように配すると共に、外装材1の被重合部14を、保持部材2の上横片部2aの下面側に沿うように配設する。
そして、水上側に位置する外装材1の傾斜状の立上り部12を、保持部材2の縦片部2bの水上側に配すると共に、外装材1の重合部15を、保持部材2の上横片部2aの上面側を覆うように配し、その先端(被係止部23)に係止部151を係止させる(オーバーハング状に取り付ける)。
【0031】
このように施工される下層構造では、太陽電池パネル3の取付部位である重合部15が図1に示される第1実施例では桁行き方向に連続しており、流れ方向に所定間隔にて形成され、図2に示される第2実施例では流れ方向に連続しており、桁行き方向に所定間隔にて形成される。
したがって、図1の第1実施例では、太陽電池パネル3Aの取付に際し、妻側(ケラバ)の端縁から外側へ突出させて配設することができ、太陽電池パネル3Aの桁行き方向における割付調整が容易となり、より多数枚の太陽電池パネル3Aを割付、敷設することができる。また、図2の第2実施例では、太陽電池パネル3Bの取付に際し、水下側(軒先)の端縁から外側へ突出させて配設することができ、太陽電池パネル3Aの流れ方向における割付調整が容易となり、より多数枚の太陽電池パネル3Bを割付、敷設することができる。
【0032】
このように、前記下層構造に太陽電池パネル3A,3Bを直接的に取り付ける際には、桁行き方向の調整を必要とするものは、取付部位である重合部15(保持部材2)が桁行き方向に連続する第1実施例の仕様を選択し、流れ方向の調整を必要とするものは、取付部位である重合部15(保持部材2)が流れ方向に連続する第2実施例の仕様を選択することが望ましい。
尤も本発明の基本概念は、予め太陽電池パネルの仕様を選択するものではなく、多くの建築物、建造物を容易に太陽電池パネルを敷設できる下層構造とすることが目的であって、既設屋根や新築屋根は当然のことながら、従来、当該太陽電池パネルを敷設する対象と認識されていなかった簡易構造物にも容易に太陽電池パネルを敷設することができる対象とできるものである。したがって、基になる建造物等の躯体組みにより、原則的には躯体(下地)4に直交する方向に保持部材2を取り付けて外装材1を敷設し、この外装材1の葺き方向に応じた太陽電池パネル3を選択すればよいが、後述する図4(d)の実施例のように桟部材5を介在させて太陽電池パネル3を間接的に取り付ける場合にはこの限りではない。
【0033】
前記第1実施例、第2実施例にそれぞれ用いられた太陽電池パネルA,3Bは、太陽電池30の側縁に裏面側に中空部分を備えるフレーム材31を周設した構成であって、該フレーム材31をビスである固定具3cにて前記下層構造の重合部15に直接的に固定するものである。
【0034】
図3(a)は、第1実施例及び第2実施例に用いた下層構造を示すが、前記傾斜状の立上り部12(幅a、開き角度b)を設けた外装材1は、図3(b)に示すように平積みが可能であり、搬送時に嵩張りを生ずることがなく、また大量生産(成形)して保管する際にも好適である。
これに対し、図3(c)に示す下層構造に用いた外装材1'は、略平坦状の面板部11'を幅狭にすると共に、傾斜状の立上り部12'(幅c、開き角度d)の勾配を緩やかにした点で異なるが、略鉛直状の立上り部13や被重合部14、重合部15については前記外装材1と全く同様であり、図3(d)に示すように平積みが可能である点でも同様であり、搬送時に嵩張りを生ずることがなく、また大量生産(成形)して保管する際にも好適である。
【0035】
図4(a),(b)に示す第3,第4実施例は、その下層構造の構成と、該下層構造の重合部15に太陽電池パネル3Aを直接取り付ける点では共通するので、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
図4(a)に示す第3実施例は、太陽電池パネル3A'を断面逆ハット状の押さえ部材6Aを下層構造の重合部15に固定することにより、隣接する太陽電池パネル3A',3A'の上縁を押さえ部材6Aの押さえ片にて押さえて固定している。なお、押さえ部材6Aは、ピース材であっても連続材であってもよく、また、押さえ部材6Aに目地キャップを配して平坦状とするものであってもよい。
【0037】
図4(b)に示す第5実施例も、前記第3実施例と同様に押さえ部材6Bの押さえ片にて隣接する太陽電池パネル3A',3A'の上縁を押さえて固定するが、下方に高さを補う断面略ハット状の連続材である台座部材6Cを介在させて固定することで、押さえ部材6Bの固定ピッチ(固定箇所)を小さくする(任意にする)ことができ、太陽電池パネル3A'を固定する強度が向上する(重合部間隔より狭い位置での取り付けが可能になる)。なお、図中、6dは台座部材6Cを固定するビスであり、6eは押さえ部材6Bを台座部材6Cに連結するビスである。
【0038】
図4(c)に示す第5実施例は、桟部材7を介在させて間接的に太陽電池パネル3Aを取り付ける例であって、連続材である桟部材7を、下層構造の重合部15に固定し、該桟部材7に太陽電池パネル3Dを取り付けて固定する。
この実施例では、前記下層構造(重合部15)の上に、排水部71を備える桟部材7を流れ方向に配設し、固定具7b,7bにて固定し、該桟部材7に太陽電池パネル3Dの流れ方向に沿う端縁を支持させた構成である。
そして、桁行き方向に隣接する太陽電池パネル3D,3D間には、押さえ部材6Fを取り付けた。
【0039】
前記桟部材7は、左右の側端縁に上方へ延在する一対の起立片72,72を備え、この起立片72の更に外側にフランジ状の固定部74が設けられ、固定具7bにて前記下層構造(重合部15)に固定され、略中央には隆起部73を備え、この隆起部73の高さの中程には、左右へ突出する突出片75,75が設けられ、該突出片75,75に左右の太陽電池パネル3D,3Dの下端が支持されている。また、前記隆起部75の頂部には、上方が開放する溝部が設けられ、該溝部には上向きボルト6gが嵌合状に配され、締め付けナット6hを締め付けることにより、押さえ部材6Fが固定されるため、太陽電池パネル3D,3Dの端縁(フレーム32,32)は、これら桟部材7と押さえ部材6Fとの間に挟着状に固定される。
この構成の桟部材7では、左右の起立片72,72と隆状部73との間が、排水部71,71であり、雨水を流れ方向に流す役割を果たす。また、起立片72,72のフランジ状の上端には、桁行き方向に配設されたジョイント部材を兼ねる流水部材8,8が固定具8b,8bにて固定され、これらの流水部材8,8の流水空間から導かれた雨水も、排水部71に集められて水下側へ排水される。
【0040】
図4(d)に示す第7実施例は、太陽電池パネル3Eが、パネル本体30と、取付部材9とからなり、パネル本体30は、面板部301に可撓性を有する太陽電池を備え、該面板部301の対向する側縁に成形部302,302を設けた構成であり、取付部材9は、前記パネル本体30の成形部302に取り付ける構成である。
前記パネル本体30の成形部302は、面板部301から裏面側へ略垂直状に折り下げた折り下げ部分と、該折り下げ部分を内側(面板部301側)へ延在させた略水平状の内向き片である係止部分とを有する、断面略コ字状に成形されている。
前記取付部材9は、前記パネル本体30の成形部302を支持する略直角状(L字状)の支持部91と、前記パネル本体30の係止部分を係合させる外側に向く係合溝状の係合部92と、該係合部92の外側へ延在させた下地4への固定部93と、を有する構成であり、断面略2字状のピース材として成形されている。
そして、図示実施例の取付部材9の支持部91は、図示するように略水平状からやや上方へ向くように傾いているため、該支持部91に前記パネル本体30の成形部302を支持させると、パネル本体30の面板部301が強制的に上方への凸状に湾曲され、断面性能を向上することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 外装材
14 被重合部
141 段部
15 重合部
151 係止部
2 保持部材
21 固定部
22 保持部
23 被係止部
3A,3B,3A',3D,3E 太陽電池パネル
4A,4B 下地(躯体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地上に連続材である保持部材を固定し、該保持部材に外装材を取り付け、該外装材を介して太陽電池パネルを敷設する太陽電池パネルの下層構造であって、
前記外装材は、少なくとも長手方向に沿って被重合部と、該被重合部に重合する重合部とを有し、前記被重合部は段部を備え、前記重合部は裏面側に折曲した係止部を備え、
前記保持部材は、少なくとも下地への固定部と、前記外装材の段部を上方から保持する保持部と、前記係止部と係合する被係止部とを有し、
敷設状態にて、被重合部に重合させた重合部は、下地面に対して略平行状であって、隣接する重合部が同一レベルに構築されることを特徴とする太陽電池パネルの下層構造。
【請求項2】
下地面の面積より広く外装材を敷設したことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネルの下層構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の下層構造により敷設された外装材の複数の重合部に跨るように桟部材を固定して該桟部材を介して太陽電池パネルを固定するか、複数の重合部に跨るように太陽電池パネルを固定してなることを特徴とする太陽電池パネルを含む外装構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−2071(P2013−2071A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131986(P2011−131986)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000165505)元旦ビューティ工業株式会社 (159)
【Fターム(参考)】