説明

太陽電池及び太陽電池の製造方法

【課題】OECO太陽電池等の溝形成太陽電池の溝深さを容易に均一化でき高効率化を安価に実現できる製造方法。
【解決手段】シリコン単結晶基板を用いたOECO太陽電池1は、溝の長手方向と垂直な任意の断面において深さが最大の溝2の、電極6の基板厚み方向下端と着目している溝の電極非形成内側面の上端とを結ぶ直線と、前記厚み方向と直交する基準線とのなす角度をθ、開口端縁間距離である溝幅をWとしたとき、当該太陽電池の最小溝深さhが常に、h≧Wtanθを満足する。また、インゴットから切り出されたp型シリコン単結晶基板3の第一主表面上に、加工テーブルの平坦な基板送り面から溝入れ刃の刃部を一定高さだけ突出させ、基板の第一主表面を基板送り面に密着させた状態で、基板を基板送り面に沿って回転している溝入れ刃に向かって移動させ、多数の溝を形成する。このように形成された溝の幅方向片側の内側面に出力取出用の電極を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及び太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽電池には高効率化及び低コスト化が同時に要求されている。そこで、高効率及び低コストの太陽電池の製造方法として、OECO(Obliquely Evaporated Contact)法が近年注目を集めている。OECO法は、ドイツのInstitut fur Solarenergieforschung Hameln/Emmerthal(ISFH)のR.Hezelらによって考案された太陽電池の作製方法であり、例えば、1998年に発刊されたRenewable Energyの第14巻83頁に開示がある(以下、OECO法により製造された太陽電池をOECO太陽電池とも称する)。OECO太陽電池の製造方法を、図12を用いて簡単に説明する。まず、OECO太陽電池は、シリコン単結晶基板24’(以下、半導体単結晶基板、あるいは単に基板ともいう)の受光面1’aとなるべき主表面上に複数の平行な溝2’(矩形、半円、三角断面形状等の断面形状を有する)を刻設し、その各溝2’の幅方向片側の内側面2’aに出力取出用の電極6’を形成した構造を有する。溝形成方法としては、通常ダイシングソーが使用される。すなわち、半導体単結晶基板24’を加工テーブルの表面上に載置して、該加工テーブルの表面から一定間隔隔てた状態で、ダイシングソーを水平移動させ、半導体単結晶基板24’の溝形成面(受光面)1’aに溝2’を形成する。溝側面2’aへの電極6’の形成は、半導体単結晶基板24’の受光面1’aとなる主表面に対して、斜め方向から真空蒸着することにより行なわれる。この方法では、溝自身による蒸着金属の遮蔽効果によって溝側面2’a及び凸状部の上面2’bへ選択的に電極材料を蒸着することができる。このように蒸着された金属は、凸状部上面2’bと側面2’aとで厚みが異なるため、この蒸着工程後にエッチング工程を行って、この側面2’aと上面2’bの厚みの差だけ側面に電極が残るように、該金属を除去する。
【0003】
上記のような構造をとることで、太陽電池のシャドウイングロスは、受光面1’a全体の約5%まで低減される。例えば、スクリーン印刷法により電極を作製した太陽電池の場合、シャドウイングロスは一般に約12%程度にも達するから、OECO太陽電池におけるシャドウイングロスは大幅に小さな値であるといえ、この結果、高いエネルギー変換効率が達成可能となる。
【0004】
今日、実用化されている太陽電池を材料から分類すると、シリコン系(単結晶、多結晶及びアモルファス)、化合物半導体系及びその他に分類できるが、中でも、エネルギー変換効率や製造コストに優れるシリコン単結晶を使用した太陽電池が一般に広く製造されている。通常、太陽電池用シリコン単結晶基板には、チョクラルスキー法(Czochralski法、以下、単にCZ法という)や、浮遊帯域溶融法(Floating zone法、以下、単にFZ法という)によって得られる単結晶インゴットを、ワイヤーソーでスライスして得られる基板を使用する。ワイヤーソーでスライスされた基板は、アズスライスで利用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ワイヤーソーでスライスすると、インゴットへの切り込み量が増加するにしたがって、加工部位に停滞する砥粒が増加し、切断幅が増加することになる。この結果、図13に模式的に示すように、半導体単結晶基板24’の厚みは切断開始側(図面左側)から切断終了側(図面右側)に向かって減少する形態となる。このため、アズスライスでの半導体単結晶基板24’の使用は、工程の短縮によるコストの大幅な削減が可能な一方で、半導体単結晶基板24’の厚みが不均一となってしまうという問題がある。この厚みのばらつきは、直径が4インチの基板において20〜30μmであり、大口径の基板であるほどこのばらつきは増加する。
【0006】
このような太陽電池用基板24’に対し、従来の方法で溝形成を行なう場合、基板24’の厚みが均一とはならないため、受光面1’aからの溝2’の深さは受光面1’a全面において一定とはならない。すなわち、上刃式のダイシングソーは、歯の下縁位置が一定になるため、厚さの大きい基板部位ほど切り込み深さが大となり、溝2’も深くなってしまうのである。
【0007】
上記のように溝2’の深さが不均一である基板24’においては、溝側面2’aに上記蒸着による方法により電極6’を形成すると、形成される電極6’の高さが設計値よりも不足したり、あるいは溝底面2’cに金属が蒸着されたりする。例えば、電極6’の高さが設定値よりも不足していると、電極6’における抵抗ロスが大きくなる。また、金属が溝底面2’cに形成されていると、シャドーイングロスが増大するため、エネルギー変換効率が悪化する問題がある。そして、これを除去するためにエッチング処理を行なうと、電極形成領域が不足して抵抗ロスが増す。これらシャドーロス及び抵抗ロスの増大は、当然、太陽電池のエネルギー変換効率の低下を招く。
【0008】
また、上記記載したようなOECO太陽電池の場合に限らず、基板24’に形成される溝の深さが不均一であると、製造される太陽電池の特性にばらつきが生じる場合がある。例えば、太陽電池の裏面に形成される電極コンタクト用の溝の深さが設定値よりも深い場合、電極と基板との界面面積が大きくなり、界面での再結合レートが増加する。一方で、設定値よりも浅い場合は、電極と基板とのコンタクトを十分に取れなくなり、接触抵抗が増加する。さらに、太陽電池の受光面に溝を形成した場合、溝の深さが不均一であると、表面積のばらつきにより厚み方向と垂直面内での再結合レートに不均一が生じる。これらの特性のばらつきは、出力電圧にばらつきを生じさせることになり、結果として太陽電池の出力を低下させる場合もある。
【0009】
本発明の第一の目的は、OECO法において、シャドーロス及び抵抗ロスを確実に抑制できるよう、電極が適切に形成された太陽電池を提供することにある。また、第二の目的は、OECO太陽電池等の溝形成した太陽電池において、溝深さを容易に均一化でき、ひいては太陽電池の高効率化を安価に実現できる太陽電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
上記第一の目的を達成するために、本発明の第一の態様に係る太陽電池は、
半導体単結晶基板の第一主表面上に互いに略平行な複数の溝が形成された受光面を有し、各溝の幅方向片側における内側面を電極形成領域として、ここに出力取出用の電極が設けられた太陽電池であって、
各溝の長手方向と垂直な任意の断面において、該断面に現れる溝深さが最大となる溝について、形成されている電極の半導体単結晶基板の厚み方向における下端とその溝の電極非形成内側面の上端とを結ぶ直線と、基板厚み方向と直交する基準線とのなす角度をθ、溝の開口端縁間距離として規定される溝幅をWとしたとき、
各溝における最小溝深さhが、
h≧Wtanθ ‥‥▲1▼
を満足することを特徴とする。
【0011】
図4に示すように、溝2の一方の内側面2aに形成されている電極6の半導体単結晶基板24の厚み方向における下端LEとその溝2の電極非形成内側面2cの上端TEとを結ぶ直線と、基板厚み方向と直交する基準線とのなす角度θは、斜め蒸着により電極6を形成する際の、電極材料蒸気の入射角度(蒸着角度)に相当するものである。また、各溝2における最小溝深さhは、長さ方向に深さの分布をもつ溝2の、最も溝深さが小さくなる位置での溝深さのことである。
【0012】
本発明者らが鋭意検討したところ、最小溝深さhと、溝幅W及び角度θが、上記▲1▼式の条件を満足するとき、溝底面に電極が形成されたり、電極形成面積が不足したりする不具合が効果的に抑制されることがわかった。このような太陽電池は、厚みが不均一な基板の、最も薄い部分に形成された短形の溝についても溝深さが十分となり、電極は基板厚み方向に対して適切に形成されており、抵抗ロスは所望の値以上に増加しない。それと同時に、OECO太陽電池の本来の目的であるシャドーロスを減少させる効果も良好である。
【0013】
太陽電池自身の機械的強度を保つために、例えばシリコン単結晶基板では、150〜300μm程度の基板の厚みが確保される。もちろん、太陽電池の製造コストを低減させるには、基板の薄肉化が必要であるため、ただ溝を深く形成するのみでは、太陽電池自身の機械的強度が保てなくなる恐れがある。すなわち、本発明にて規定した溝深さを維持しながらも、高レベルの機械的強度が保たれるとよい。
【0014】
また、断面に観察される各溝の底部位置における半導体単結晶基板の厚みが均一となるように溝を形成すれば、基板強度の面内分布も均一となるので、厚みが不足する特定の位置から基板の割れが生ずる恐れがなくなる。ここで、厚みが均一とは、そのばらつきが±10μmの範囲内であることを意味する。
【0015】
上記の方向に溝を形成することによる利点は以下の通りである。すなわち、各溝2内に形成される電極は、いわゆるフィンガー電極として、溝配列方向に形成される後述の集電用のバスバー電極によって連結される。他方、図3A及び図3Bに示すように、半導体単結晶基板の最も厚肉の位置をP2とし、最も薄肉の位置をP1として、上記のような方向に形成された溝2は、位置P2側で深く、位置P1側に向けて深さが徐々に減少するような深さ分布を持ったものとなる。従って、単位溝長さ当たりのフィンガー電極の形成可能な溝内面面積は、位置P1側に近づくほど減少する。
【0016】
他方、図14、図15及び図16に示すように、太陽電池1には、半導体単結晶基板24の第一の主表面には、各溝2にまたがる形態で、該各溝内に形成された電極(図1:以下、フィンガー電極という)6を互いに電気的に接続する集電用のバスバー電極30が形成される。該バスバー電極30は、図18に示すように、溝2の内面に倣うように形成することもできるし、図19に示すように、各溝2を充填する形態で形成することもできる。
【0017】
図14、図15及び図16に示すように、上記バスバー電極30は、最も薄肉の位置P1よりも最も厚肉の位置P2に近くなるように、その形成位置を定めることが望ましい。バスバー電極30を位置P2に近い側に形成すれば、フィンガー電極6を形成するための溝内面面積が不足する可能性のある領域を、バスバー電極30から遠ざけることができる。フィンガー電極内の電流密度は、バスバー電極30から離れた場所ほど小さくなるので、仮に抵抗ロスの要因が存在しても、電流密度自体が小さいため、電圧降下により実際に生ずる抵抗ロスは小さい。従って、上記のように形成した溝では、溝が浅くなる位置を、バスバー電極30から離れた溝先端側にそろえることができる。従って、蒸着工程において、万が一加工精度等の問題により電極形成領域が設計予定値より若干不足しても、そのような不足が発生するのはバスバー電極30から離れた位置に限られるから、抵抗ロスの増加はほとんど生じないのである。図14、図15及び図16のいずれの構成においても、最も薄肉となる位置P1と最も厚肉となる位置P2とを結ぶ線分の中点を通って、該線分と直交する直線DLにより半導体単結晶基板24を二分したとき、バスバー電極30の全体が最も厚肉となる位置P2の属する領域内に収まっている。このようにすると、抵抗ロス増加に影響するフィンガー電極の位置P1側の先端をバスバー電極30から遠ざける効果を一層高めることができる。
【0018】
なお、バスバー電極30が、位置P2と位置P1とのどちらに近いかは、本明細書においては、以下のようにして判別するものとする。まず、図17に示すように、位置P2及び位置P1のそれぞれにおいて、半導体単結晶基板24の外形線に接するベースラインL2及びL1を引く。また、ベースラインL2と直交し、半導体単結晶基板24の外形線に接する1対の面積規定ラインL3,L4と、ベースラインL1と直交し、半導体単結晶基板24の外形線に接する1対の面積規定ラインL5,L6とを引く。バスバー電極30と、ベースラインL2及び面積規定ラインL3,L4によって囲まれる面積をS2とし、バスバー電極30と、ベースラインL1及び面積規定ラインL5,L6によって囲まれる面積をS1としたとき、S2>S1であれば、バスバー電極30は位置P2側に近いものとみなす。
【0019】
次に、図3Aに示すように各溝2の長手方向は、半導体単結晶基板の最も厚肉の位置P2(肉厚h2)と最も薄肉の位置P1(肉厚h1)とを結ぶ第一主表面に沿う直線Lと平行、もしくはその直線とのなす角度を45°以内とするのがよく、なるべく平行であること(つまり、上記角度がなるべく0°に近いこと)が望ましい。これは、直線Lと溝2の方向とが平行である場合に、各溝2が、位置P2側での溝深さが最大化され、逆に位置P1側での溝深さが最小化されて、上記抵抗ロスの発生を最小化する効果が最も顕著となるためである。そして、直線Lと溝方向とのなす角度が45°を超えると、位置P1に近く位置する溝2の溝深さひいては溝内面面積が全体に不足して、抵抗ロスの発生が顕著となるため望ましくない。
【0020】
また、太陽電池基板材料としてはシリコン単結晶基板が最も好適である。例えばCZ法において製造されるシリコン単結晶は引き上げ軸方向が<100>のものがほとんどであるため、太陽電池基板材料として製造される基板の面方位も{100}である。面方位が略{100}である基板(以下、単に{100}基板ともいう)上に多数の溝を、その主表面における<110>方向に沿って形成すると、溝断面形状に応力集中しやすい部分が形成されていたり、あるいは溝形成加工時のダメージが多く残留していたりした場合、僅かな外力が作用しただけで、溝に沿って基板が容易に劈開し、破壊に至る問題がある。各溝の形成方向を、<110>方向と一致しない向きに設定することで、得られる太陽電池の機械的強度を大幅に向上させることができる。
【0021】
次に、本発明の第二の態様に係る太陽電池の製造方法は、
半導体基板の少なくとも一方の主表面上に複数の溝を形成する工程を有し、
平坦な基板送り面を有する加工テーブルの該基板送り面から、溝入れ刃の刃部を一定高さだけ突出させ、該溝入れ刃を回転させるとともに、
前記半導体基板の一方の第一主表面を前記基板送り面に密着させ、その状態で、該基板を前記基板送り面に沿って、前記溝入れ刃の厚み方向と直角に、該溝入れ刃に向かって相対移動させることにより、前記一方の主表面に前記溝を形成することを特徴とする。
【0022】
上記本発明の太陽電池の製造方法によれば、半導体基板の溝が形成されるべき一方の主表面を、加工テーブルの平坦な基板送り面に密着させているので、該半導体基板の一方の主表面と基板送り面とは当然のことながら平行となる。また、該基板送り面からは一定高さだけ溝入れ刃の刃部を突出させているので、回転している溝入れ刃の厚さ方向に対して直角に、上記半導体基板を相対移動させれば、基板送り面と平行に維持される半導体基板の一方の主表面上には、一定高さの溝が形成されることになる。これにより、OECO太陽電池においては、隣接する溝に対しての遮蔽効果が各溝において均一となるので、該各溝に各々同等の電極が蒸着されることになる。そして、ひいては、各々の電極を設定どおりに形成することができ、抵抗ロスあるいはシャドーイングロス等を抑制できる。また、OECO太陽電池以外の太陽電池においても、各種溝の深さを均一にできるため、太陽電池の特性のばらつきを抑制することができ、ひいては出力の低下を抑制できる。
【0023】
また、本発明においては、一定間隔で回転軸に結合された一体回転する複数の溝入れ刃(以下、溝入れ刃結合体ともいう)の刃部を、加工テーブルの基板送り面から各々互いに等しい高さだけ突出させる。このような形態の溝入れ刃結合体を採用することにより、半導体基板を一度相対移動するだけで、複数の溝入れ刃に対応する複数の溝を主表面に一括して形成することができる。このとき、それぞれの溝入れ刃の突出高さは互いに等しいので、一括して形成される複数の溝の深さは互いに等しいものとなる。また、各々の溝入れ刃は一定間隔をもって溝入れ刃結合体に結合されているので、半導体基板の主表面には、一定間隔で配列する複数の平行溝が形成されることになる。なお、この場合、上記複数溝の一括形成を数回行なって、主表面全面に溝を形成するようにしてもよいが、上記溝入れ刃結合体に結合される各々の溝入れ刃の本数を、半導体基板に形成する予定の溝の本数と同数あるいはそれ以上とし、一度の半導体基板の相対移動により、主表面全面に溝を形成させるのが生産性の観点からより望ましい。
【0024】
さらに、本発明の製造方法に使用される加工テーブルとして、基板送り面上に削り粉排出溝を形成したものを使用することもできる。半導体基板の主表面に溝を形成する場合、溝入れ刃の刃部により該半導体基板の溝となる部分を削ることになるので、溝の形成が進むに従って削り粉が生じる。このように発生した削り粉を生じたままにしておくと、半導体基板と加工テーブルとの間に該削り粉が介在することになり、半導体基板と加工テーブルとの密着状態を良好に維持できなくなる。具体的には、該削り粉により加工テーブルから半導体基板がその削り粉の寸法程度持ち上げられるため、加工テーブルの基板送り面と半導体基板の溝が形成される主表面とが平行から若干ずれることになる。これにより、主表面に形成される溝の深さが主表面全面で一定に保たれない。例えば、削り粉が多量に発生した後に形成される溝の深さは、最初に削られる溝の深さと比較して相対的に浅くなる傾向にある。
【0025】
しかしながら、加工テーブルの基板送り面上に削り粉排出溝を形成すれば、溝形成が進行して削り粉が多量に発生しても、発生した削り粉が該溝に取り込まれるので、加工テーブルの基板送り面と半導体基板の溝が形成される主表面とが常時良好に密着する形態を維持することができ、ひいては、主表面に形成される溝の深さを、溝形成の最初と最後で一定に保つことが可能となる。これにより、前述したように太陽電池の抵抗ロス及びシャドーイングロスを低減させ、エネルギー変換効率の向上が図られることになる。さらに、該削り粉排出溝の形成により、半導体基板と加工テーブルとの接触面積が減少し、半導体基板を相対移動する際の摩擦抵抗を低減することにもなる。これにより、溝形成の加工能率が向上し、生産性も良好となる。
【0026】
なお、上記のような太陽電池の製造方法により、形成される溝の深さを均一にすることができ、溝形成面全面における溝深さ分布の幅(最大値と最小値との差)が、半導体基板の厚さ分布の幅(最大厚さと最小厚さとの差)の5%以下となる太陽電池を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第一の態様に係る太陽電池の一実施形態を部分的に示す拡大断面図である。該太陽電池1においては、シリコン単結晶インゴットから切り出されたp型シリコン単結晶基板24の第一主表面24a上に、例えば幅が数100μm程度、深さが数10〜100μm程度の多数の溝2が互いに平行に形成されている。これらの溝2は、例えば、同軸的に結合された一体回転する数百枚から数千枚の回転刃により一括刻設することができるが、数回の操作に分けて刻設してもよい。
【0029】
上記溝刻設した基板24の第一主表面24aには、n型ドーパントであるリンを熱拡散することによりエミッタ層4が形成され、p−n接合部が形成されている。そして、そのエミッタ層4の上に、トンネル絶縁膜として機能する薄いシリコン酸化膜5が、例えば熱酸化法により形成されている。
【0030】
そして、溝2の幅方向における片側の内側面において上記シリコン酸化膜5の上に電極6が形成されている。該電極6は、蒸着装置内において電極材料(例えばアルミニウム等の金属)を溝の内側面に蒸着することにより形成されたものであり、その蒸着時においては、溝幅方向における片側の内側面2aに優先的に電極材料が蒸着されるよう、蒸着源に対し基板24を所定角度以上に相対的に傾けて配置するようにする。なお、該蒸着時には、溝2,2間に形成された凸条部23の頂面にも余分の電極材料が堆積するが、これは塩酸溶液等のエッチング液にて除去される。そして、電極6を含む基板24の第一主表面24aの全体が、保護層および反射防止膜として機能する窒化シリコン膜7により覆われている。
【0031】
各溝2は、自身の長手方向と直交する断面における外形線形状が、図2Aに示す矩形状、図2Bに示す半円形、及び図2Cに示すV型のいずれかとすることが、外周刃カッティングによる形成が容易であるので本発明に好適である。
【0032】
溝2は、自身の長手方向と直交する断面における外形線形状が、例えば図2Aに示す矩形もしくは図2Cに示すV型となる場合においては、図2Dあるいは図2Eに示すように、互いに交差する2つの辺部2a,2bが現れる形となる。矩形の溝の場合は図2Dに示すように、辺部2a,2bは溝側壁と溝底とにそれぞれ対応するものであり、両者の交差角度は略90゜となる。他方、V型の溝の場合は辺部2a,2bが溝低にて鋭角状に交わる。いずれの場合も、これら辺部の交差位置が鋭利に形成されていると応力集中を招きやすく、太陽電池の強度低下につながる。そこで溝2の断面外形線形状を、上記辺部2a,2bの交差位置にアールR1あるいはR2を施した形状とすることで、太陽電池の機械的強度を一層高めることが可能となる。
【0033】
上記アールR1あるいはR2の大きさは、応力集中防止効果が十分に達成され、かつ溝形状に由来する直列抵抗低減等の効果が損なわれない範囲で設定すること、例えば2〜20μm程度に形成することが望ましい。また、このようなアールの付与は、外周刃カッティング等にて溝を刻設した後、化学エッチングを施すことで容易に形成できる。この化学エッチングは、溝の刻設加工時に生ずるダメージ除去のエッチングに兼用させてもよい。この場合、エッチング厚さとしては、形成するアールを上記望ましい範囲内のものとするために、5〜20μm程度の範囲にて行なうことが望ましい。なお、化学エッチング液としては、水酸化カリウム水溶液等を使用することができる。
【0034】
ところで、チョクラルスキー法(Czochralski法、以下、単にCZ法という)や、浮遊帯域溶融法(Floating zone法、以下、単にFZ法という)によって得られる単結晶インゴットを、ワイヤーソーでスライスして得られる基板は、厚みが不均一であり(図3A参照)、例えば4インチ基板で20〜30μmにものぼり、大口径の基板ほどこのばらつきは増加する。ワイヤーソーではインゴットへの切り込み量が増加するにしたがって、加工箇所に停滞する砥粒が増加し、切断幅が次第に増加するためである。
【0035】
厚みの均一でない基板24対してダイシングソーで一括して溝2を設けた場合、図4の断面模式図にも示すように溝深さも不均一となる。OECO法において、溝の内側面片側のどの程度の領域に電極が形成されるかは、溝深さと蒸着方向(図4中evap)によって決まる。蒸着角度θは、溝2の長手方向(紙面に垂直な方向である)と垂直な任意の断面(すなわち、紙面に表れている断面である)において、断面に現れる溝2の深さが最大となる溝2uについて、形成されている電極6の基板24の厚み方向Tにおける下端LEとその溝2uの電極が形成されていない内側面(電極非形成内側面)2cの上端TEとを結ぶ直線と、基板厚み方向Tと直交する基準線HLとのなす角度として定義される。
【0036】
所望の領域へ電極を形成するのに溝2,2間に生ずる凸条部23の高さが不十分である場合、蒸着角度θによっては凸条部23側の辺部2aのみならず、溝底部に相当する辺部2bにも蒸着されてしまう。エッチングにより除去されるべき領域が増加し、必要とする電極が得られない。
【0037】
本発明においては基板24の最も薄肉の位置(図3Aの位置P1)においても、図4に示すように、電極6が溝底部に相当する辺部2bに蒸着されることのない程度に、十分な溝深さが確保されている。図5Aに示すように、溝の長手方向と垂直な任意の断面にて、溝深さをh、電極高さをheとすると、溝の開口端縁間距離として規定される溝幅Wと、先に定義した蒸着角度θとから、電極の溝深さ方向(基板の厚み方向)への高さhは、
he=Wtanθ
で表される。従って、最も薄肉の位置での溝深さh’が、
h’≧Wtanθ (前記▲1▼式)
を満足するように十分大きく確保されていれば、当該位置においても溝底部に相当する辺部2bに電極6が蒸着されることはない。そして、上記位置で溝深さは最も小さくなるので、他の位置での溝深さhについては、必ず前記▲1▼を満たし、結果として任意の溝2について、底部に相当する辺部2bに電極6が蒸着される不具合を防止できる。
【0038】
なお、図5Bに示すようにV字型の溝の場合も、▲1▼式は近似的に成立する。仮に、着目している溝が基板中で最も深く形成されている溝であるとすると、その基板中で最も浅く形成されている溝の溝深さがh以上であれば、電極が余分に形成されたり、不足することがない。
【0039】
図1に戻り、太陽電池1の他方の主表面24b(以下、第二主表面と記載する)側には、例えば、窒化シリコン膜10を介して裏面電極層8が形成されている。窒化シリコン膜10は保護膜として形成されているものであり、例えば、気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)法等により形成することができる。さらに、裏面電極層8は第二主表面24bの略全面を覆うもので、例えばアルミ蒸着層として構成される。裏面電極層8は、該窒化シリコン膜10を膜厚方向に貫通するコンタクト貫通部10aを介して、下地となるシリコン単結晶基板24と導通させるようにしている。コンタクト貫通部10aは、フォトリソグラフィーで形成してもよいが、本実施形態では、機械加工による溝あるいはレーザー加工による孔とされている。
【0040】
また、太陽電池自身の機械的強度を保つために、シリコン単結晶基板24の厚みは、150〜300μm程度とされる。もちろん、太陽電池の製造コストを低減させるには、基板の薄肉化が必要であるため、ただ溝を深く形成するのみでは、太陽電池自身の機械的強度が保てなくなる恐れがある。すなわち、本発明にて規定した溝深さを維持しながらも、その深さを例えば100μm以下に抑えるのがよい。
【0041】
さらに、図1において、太陽電池1の各溝2は、第一主表面上24aにおいて<110>方向と一致しない向きに形成されている。これにより、太陽電池1の機械的強度が向上する。なお、本明細書において、使用する単結晶基板の結晶主軸が、オフアングル付与により<100>から6゜程度まで傾いていても、該基板は{100}の面方位を有するものとみなす。
【0042】
以下、上記太陽電池1の製造方法の一例について説明する。
まず、高純度シリコンにホウ素あるいはガリウム等のIII族元素を添加したシリコン単結晶インゴットを用意し、ここから面方位{100}のp型シリコン単結晶基板を切り出す。なお、p型シリコン単結晶基板の比抵抗は例えば0.5〜5Ω・cmとする。図6の工程(a)に示すように、該p型{100}基板の第一主表面24a上に、高速回転刃DS(図3B)により、<110>と異なる方向、例えば<100>方向に、深さ20〜100μmの互いに平行な複数の溝2を作成する。シリコン単結晶基板は、CZ法及びFZ法のいずれの方法によって作成されてもよいが、得られる基板の機械的強度の面から、CZ法で作製されるのが好ましい。また、基板厚さは40μmでも十分な機械的強度を保つが、スライシングの便宜、溝形成深さを考慮して150〜300μmに設定することが望ましい。
【0043】
高速回転刃としては、形成する溝形態に応じて、例えば矩形状断面の刃、半円型断面の刃、及び山型断面の刃を適宜選択して用いる。高速回転刃を用い、切削液を噴射しながら1秒間に例えば約0.1〜4cmの速度で基板24の主表面を切削し、溝2を刻設する。なお、高速回転刃は、ダイサーもしくはワイヤーソーでも代用が可能である。
【0044】
図3Aを用いて既に説明した通り、各溝2の長手方向は、半導体単結晶基板の最も厚肉の位置P2(肉厚h2)と最も薄肉の位置P1(肉厚h1)とを結ぶ第一主表面に沿う直線Lと平行、もしくはその直線とのなす角度を45°以内とすることが、溝内面に形成する電極(フィンガー電極)の抵抗ロスを軽減する上で望ましい。また、直線Lと溝2の方向を平行に設定する場合、前記▲1▼式の条件を満たす溝は、以下のようにして形成できる。すなわち、基板の厚さ分布を測定することにより、上記位置P1とP2とを予め求めておく。次に、図3Bにおいて、高速回転刃DSの切断方向と、P1とP2とを結ぶ方向とが一致するように、テーブルDT上に基板24をセットする。そして、設計値として決定されている溝幅W及び蒸着角度θを用いてWtanθの値を算出しておき、位置P1にて溝深さh’が、該Wtanθよりも大きくなり、かつ、各溝底位置において強度が十分確保できる基板厚さT’(例えば、40μm以上)が残留するように、高速回転刃DSの切断切り込み深さを設定する。このとき、各溝2の底面に残留する基板厚さT’は、h1−h’により表すことができる。
【0045】
次に、溝形成後の基板のダメージを、前記した化学エッチングにより除去する。図2Aに示す矩形もしくは図2Cに示すV型の溝の場合、このダメージ除去のエッチングを、図2Dあるいは図2Eに示すアール付与が可能となるように設定することが望ましい。該ダメージ除去のエッチングが終了すれば、上記基板上に、反射損失を低減するための主表面の面あらし処理として、異方性エッチング等による公知の手法により、テクスチャ構造の形成を行なう。テクスチャ形成後、塩酸、硫酸、硝酸、ふっ酸等、もしくはこれらの混合液の酸性水溶液中で洗浄するが、経済的及び効率的見地から、塩酸中での洗浄が好ましい。
【0046】
次に、図6の工程(b)に示すように、洗浄後の基板表面にエミッタ層4を形成する。エミッタ層形成の方法としては、五酸化二リンを用いた塗布拡散法、リンイオンを直接注入するイオン打ち込み法など、いずれの方法でも可能であるが、経済的観点からは、オキシ塩化リンを用いた気相拡散法を採用することが好ましい。例えば、オキシ塩化リン雰囲気中で基板を850℃前後で熱処理することにより、表面にn型エミッタ層4を形成することができる。形成するエミッタ層4の厚さは、例えば約0.5μm程度であり、シート抵抗は40〜100Ω/□とすることができる。なお、この処理により基板表面に形成されるリンガラスは、フッ酸溶液中で除去する。
【0047】
次に、基板の第二主表面24b側の電極形成を行なう。まず、図6の工程(c)に示すように、パッシベーション膜としての窒化シリコン層8を第二主表面24bに形成する。窒化シリコン層8の形成はCVD(Chemical Vapor Deposition)法により行なうことができる。この場合、常圧熱CVD法、減圧熱CVD法及び光CVD法等、いずれの方法も可能であるが、リモートプラズマCVD法を採用した場合、350〜400℃程度の低温プロセスであることと、かつ、得られる窒化シリコン層8の表面再結合速度を小さくできる等の点において、本発明に好適であるといえる。なお、直接熱窒化法は、十分な膜厚を得ることができないため、好ましくない。
【0048】
そして、図6の工程(d)に示すように、形成した窒化シリコン層8に、溝形成時と同様の高速回転刃を用い、下地のp型シリコン単結晶基板24に到達する電極導通用の溝8aを形成する。刃の形状は、溝断面形状に応じて、例えば矩形、半円形、山形のいずれかとする。溝8aの形成後、図6の工程(e)に示すように、該溝8aを周囲の窒化シリコン層8とともに電極9にて覆う。電極材料としては銀や銅を用いることも可能であるが、経済性や加工性の観点からアルミニウム(合金含む)が最も好ましい。該アルミニウムの堆積は、スパッタ法及び真空蒸着法のいずれの方法でも可能である。以上で第二主表面24b側の電極形成処理は終了である。
【0049】
次に、図6の工程(f)に示すように、第一主表面24aに、熱酸化法によりシリコン酸化膜5を形成する。この層は第一主表面24aの電極6と基板24との間のトンネル絶縁層として機能するものであり、短絡防止を図りつつトンネル効果を最適化するために、層厚さは5〜30Åとする。シリコン酸化膜5は、ドライ酸化、ウェット酸化、スチーム酸化、パイロジェニック酸化及び塩酸酸化等、種々の公知の方法で形成が可能であるが、高品質で膜厚の制御が容易なドライ酸化法を採用することが好ましい。
【0050】
シリコン酸化膜5を形成した基板24には、斜め蒸着法により、溝2の幅方向における片側の内側面に電極6を、例えば5〜10μm程度堆積させる。電極材料はアルミニウム(合金含む)が好ましいが、これに限られるものではなく、銀や銅等、他の金属でも可能である。具体的には、溝2の延長方向が蒸着源に対して垂直となるように第一主表面24aを蒸着源に向けた状態を基準として、そこから基板24の主軸を蒸着源に対し70°〜89°傾けた形で、蒸着装置内に基板24を配置する。このような配置により、溝2の幅方向における片側の内側面に電極材料を優先的に堆積させることができる。なお、蒸着は、装置内の真空度が2×10−5Pa以下のレベルに到達してから行なうことが望ましく、蒸着速度は例えば毎秒10〜15Åとする(ただし、これに限られるものではない)。なお、図6の工程(g)に示すように、電極6を蒸着した基板24は、塩酸、硫酸、硝酸、ふっ酸、リン酸あるいはそれらの混合液の酸性水溶液中に浸漬することにより、溝2,2間に生ずる凸条部23の頂部に堆積した不要な電極材料を除去する。
【0051】
以上の工程が終了した基板24は、公知の方法により、図14〜図16に示すようなバスバー電極30を形成し、さらに表面のパッシベーション及び反射防止膜として、例えばリモートプラズマCVD法により、第一主表面24a上に一様に窒化シリコン層7を、例えば600〜700Å堆積することにより(図6の工程(h))、最終的な太陽電池1が得られる。
【0052】
図14は、バスバー電極30を、半導体単結晶基板24の外周縁に沿う円弧状に形成した例である。図16は、半導体単結晶基板24の外周縁に沿う折れ線状に形成した例である。
【0053】
また、図15においては、溝2の配列のうち、最大長の溝2’を含んだ配列の一部40に対しバスバー電極30が、各溝2内のフィンガー電極2を、最も厚肉となる位置P2側の第一部分2aと、最も薄肉となる位置P1側の、第一部分2aよりも長い第二部分2bとに分割する形態にて配置されている。そして、全長の長い溝1ほど第一部分2aの長さが大きくなるように、バスバー電極30の位置が調整されてなる。具体的には、溝配列40の位置においてバスバー電極30が、前記した直線DLと平行に配置されており、該溝配列40において全長の長い溝2ほど第一部分2aの長さが長くなっている。全長の長い溝2ではフィンガー電極2の長さも大きくなり、抵抗ロスも大きくなりがちであるが、バスバー電極30の位置を上記のように工夫して第一部分2aの長さを大きくすれば、第二部分2bはその分長さが小さくなるので、抵抗ロス低減により効果的である。
【0054】
なお、図14〜図16ではバスバー電極30は一様な幅を有するものとして描いているが、バスバー電極30には出力取り出し用のリード線が接続され、そのリード線に近い部分ほど集電が進んで大電流が流れるので、リード線接続位置に向かうほど幅が広くなるように形成することが望ましい。例えば、バスバー電極30の第一の端部にリード線が接続される場合は、第二の端部から該第一の端部に向けて幅が広くなるように形成すればよい。また、バスバー電極30の長手方向中間位置にリード線が接続される場合は、バスバー電極30の両端から該リード線が接続される中間位置に近づくほど幅が広くなるように形成すればよい。
【0055】
また、バスバー電極30の形成方法としては、例えばNi等の金属の電解メッキあるいは無電解メッキ(無電解メッキ後に電解メッキを施すなど、両者の組み合わせであってもよい)により電極パターンを形成する方法、Al等の金属の蒸着により電極パターンを形成する方法、Ni等の金属ペーストをスクリーン印刷して、ペースト印刷パターンを形成し、これを焼成して電極とする方法、アルミ等の電極用金属薄帯を半導体単結晶基板上に圧着等に貼り付ける方法(必要に応じてヒートセッティングを施すことができる)などを例示できる。なお、金属薄帯の貼り付けを用いる場合、フィンガー電極の形成されている溝内面に薄帯を密着させることが困難となり、導通確保に問題が生ずる場合がある。そこで、金属薄帯の片面に金属ペースト層を形成し、その金属ペースト層側にて貼り付けを行なうと、金属ペーストが溝内面に充填され、フィンガー電極との導通確保を容易に行なうことができる。この場合、金属薄帯の貼り付けを行なった後、焼成を行なうことが、電極の密着力を確保する観点において望ましい。
【0056】
(実施の形態2)
以下、本発明の第二の態様に係る太陽電池の製造方法の、実施の形態について説明する。対象となる太陽電池は、本第二の態様においても、第一の態様と同様の、図1に示すOECO電池である。第一の態様では、上刃式の高速回転刃を用い、基板厚さの不均一に応じて溝2の深さに分布が生ずることを敢えて容認し、最小深さ位置での溝深さh’に式▲1▼のような制限を加えることにより、シャドーイングロスや電極抵抗ロスを軽減することを図った。これに対し、第二の態様は、1つの基板内にて溝深さを可及的に揃えることを目的としている。
【0057】
本実施形態では、高純度シリコンにホウ素あるいはガリウム等のIII族元素を添加した、CZ法あるいはFZ法によるp型シリコン単結晶インゴットを用意し、ここからp型シリコン単結晶基板24を切り出す。p型シリコン単結晶基板24の好ましい比抵抗及び基板厚さの範囲は、実施の形態と同じである。なお、本実施形態の製法では、多結晶シリコンを用いることもでき、HEM法、キャスト法、EFG法などこれまでに公知である結晶製造技術によって作られたものが使用できる。
【0058】
次に、図9に示すようにして、該基板24の第一主表面24a上に、溝入れ刃13により互いに平行な複数の溝2を形成する。具体的には、加工テーブル12を、半導体単結晶基板24を載置するための基板送り面12aが上向きになるように固定配置し、溝入れ刃13を一定間隔で同軸的に結合してこれら複数の溝入れ刃13が一体的に回転するようにした溝入れ刃結合体15を、加工テーブル12の基板送り面12aに形成されている開口部14から、これら各々の溝入れ刃13の突出長さが互いに等しくなるように突出させる。そして、該溝入れ刃結合体15を、該軸線16を中心として一体回転させつつ、溝2が形成される予定の第一主表面24aを加工テーブル12の基板送り面12aに密着させて、この状態で、該半導体単結晶基板24を溝入れ刃13の厚さ方向に対して垂直に、該溝入れ刃結合体15に向かうように(図9の送り方向9で示されるように)移動させる。このとき、半導体単結晶基板24の第二主表面24bをチャック保持して移動させるようにする。なお、図9(前述の図13、後述する図10及び図11も同様)においては、半導体単結晶基板24の厚さは誇張して描かれており、実際の半導体単結晶基板24の厚さは該半導体単結晶基板24の直径と比較して略1/500程度となる。
【0059】
これにより、図10に示すように厚さが不均一な半導体単結晶基板24の場合であっても、溝入れ刃結合体15の基板送り面12aからの突出高さh、溝入れ刃の厚さw1及び各溝入れ刃13同士の間隔w2にそれぞれ対応する、溝深さH、溝幅W1及び溝間隔W2の、互いに溝深さHが等しい複数の溝2を形成することが可能となる。これらの溝入れ刃結合体15の構成及び配置に関しては、半導体単結晶基板24に形成すべき所望の溝2に対応させて適宜変更可能である。例えば、溝入れ刃結合体15に結合されている溝入れ刃13の本数は100〜200本とし、溝入れ刃13の突出高さhは数10〜100μm、刃の厚さw1は数10〜100μm、刃と刃の間隔w2はそれぞれ数100μm程度とする。なお、使用される溝入れ刃13の刃の種類としては、例えば、ダイヤモンド刃(例えば、粒径5μm〜10μmのダイヤモンド砥粒を刃表面に一様に付着させたもの)を採用することができる。なお、溝入れ刃13の回転軸を含む断面における断面形状を、矩形状、半円形状、V字状あるいはU字状とすることにより、半導体単結晶基板24の第一主表面24a上に、自身の長手方向と直交する断面における断面形状が上記溝入れ刃の断面形状と対応する形状となる溝を形成することもできる。このような、溝入れ刃13(及び、これらが結合してなる溝入れ刃結合体15)を用い、切削液を加工部に対して噴出しながら1秒間に例えば約0.1〜4cmの速度で基板24の第一主表面24aを切削する。
【0060】
また、上記太陽電池の第一主表面に対する溝形成においては、図11に示すような加工テーブル12’を使用して行なうことも可能である。該加工テーブル12’の基板送り面12’aには削り粉排出溝17が形成されている。該削り粉排出溝17は、例えば、幅0.5〜5mm、長さ10〜30cm、深さ1〜10mmの短冊状のものが間隔1〜10mmにて半導体単結晶基板24が接触する予定の基板送り面12’a上に均一に形成されている。このような、削り粉排出溝17の形成により、半導体単結晶基板24と基板送り面12’aとの接触面積が減少することになり、基板24の移動に際しての摩擦抵抗が低減されて、生産性が向上することになる。さらに、溝形成が進行すると、溝の研削に際して発生した削り粉が該削り粉排出溝17に取り込まれるので、半導体単結晶基板24の第一主表面24aと基板送り面12’aとの間に削り粉が介在しにくくなる。これにより、基板24の第一主表面24aと基板送り面12’aとの密着性を良好に維持することができ、ひいては、形成される溝2の高さを第一主表面上において一定に保つことができる。
【0061】
なお、上記基板送り面12’a上に形成される削り粉排出溝17の形成方向は、基板の送り方向と一致しないようにするのがより望ましい。このような削り粉排出溝17が形成される場合、溝形成により発生した削り粉は加工テーブル12’の基板送り面12’a上に介在し、さらに半導体単結晶基板24の送り方向9への移動に伴って、送り方向9の向きに移動する。そこで、上記削り粉排出溝17の形成方向を基板24の送り方向9と一致しないようにすることにより、削り粉が最終的に削り粉排出溝に取り込まれることになる。
【0062】
溝2を形成した後の工程は、実施の形態1の、図6に示す工程(b)〜工程(h)が同様に実施され、図1に示すものと同様の構成の太陽電池1が得られる。本発明の方法によると、基板24の一方の主表面上24aには、一定高さの溝2が形成されることになる。これにより、OECO太陽電池においては、隣接する溝2に対しての遮蔽効果が各溝2において均一となるので、該各溝2に各々同等の電極6が蒸着されることになる。そして、各々の電極6を設定どおりに形成することができ、抵抗ロスあるいはシャドーイングロス等を抑制できる。
【0063】
以上、本実施の形態2における溝形成の工程においては、上記のような溝入れ刃の形状、あるいは加工テーブルの形状及び構造並びにこれらの配置等を採用したが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の範囲内で当業者の技術的知識に基づいて、これらを適宜変更してもよい。
【0064】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲にて種々の態様で実施できることはいうまでもない。例えば、第一の態様及び第二の態様のいずれにおいても、OECO法により製造する太陽電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。そして、OECO太陽電池以外のものであっても、少なくともいずれか一方の主表面に溝形成を必要とする太陽電池形態であれば、どのような太陽電池にも適用でき、太陽電池の特性のばらつきを抑制、ひいては出力低下抑制に効果がある。
【0065】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
【0066】
(実施例1)
III族元素のガリウムを不純物元素とするp型単結晶太陽電池用シリコンウェーハ1(直径4インチφ、基板最小厚さ270μm、基板最大厚さ300μm、抵抗率0.5Ωcm)を用意し、予めウェーハ厚さの分布を、ダイヤルゲージを用いて調べた。その結果を基に、図3に示すように、ウェーハの最も厚い点と最も薄い点を結ぶ直線と平行になるように、ダイシングソー(高速回転刃)を用いて四角(矩形)断面形状溝2を複数本平行に形成した。砥石ブレードの形状は、厚さ450μm、直径50mm、砥石ブレード間隔50μmとした。ここで、砥石ブレードの厚みを450μm、後述する蒸着角度を5°としたため、溝の最小深さhを50μmとした。また、加工条件は、砥石ブレードの回転速度50rpm、ウェーハ送り速度1mm/sとし、加工部位に冷却水を供給した。ウェーハは、加工面と反対の面を真空チャックによってチャッキングした。また、比較のために厚みを均一に加工したウェーハに同条件で溝加工を行ったものも作製した(これを比較品1とする)。
【0067】
次に、溝加工されたウェーハを、水酸化カリウム水溶液によりエッチングしてダメージ層を取り除き、裏面にプラズマCVD装置を用いてシリコンナイトライド膜8を形成した。引き続き、受光面側に熱拡散によってV族元素のリンを不純物としたn領域4を、シート抵抗が100Ω/□となるように作製した。さらに、裏面に対し回転刃により電極導通用の溝8aを形成し、アルミニウムの真空蒸着により厚さ2μmの電極9を形成した。次に、受光面上に熱酸化により膜厚2nmのトンネル酸化膜5を作製し、引き続いて、この受光面の平行溝に垂直方向、且つウェーハ表面に対し斜め5°の方向から電極となるアルミニウムを真空蒸着し、溝側面の一方のみに厚さ7μmの電極6を形成した。ここで、溝間に形成される凸条部上面に蒸着された金属を、リン酸水溶液のエッチングで除去した。各電極と接続される形で太いバスバー電極を形成し、さらに、太陽光反射防止と表面保護をかねてプラズマCVDによって膜厚70nmのシリコンナイトライド膜7を受光面上に形成し、本発明の太陽電池(本発明品1)及び比較のための太陽電池(比較品1)を得た。
【0068】
次に、ソーラーシミュレータ(光強度:1kW/m、スペクトル:AM1.5グローバル)を用いて、作製した太陽電池の出力特性を測定した。得られた出力特性を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
この測定結果では、本発明品1と比較品1とで得られた出力に大きな差はない。つまり、厚みの不均一なウェーハを使用している本発明の太陽電池においても、厚みの均一なウェーハを使用した場合と同等の高い出力を得ることができる。
【0071】
次に、溝の長手方向と垂直な断面において、本発明品1の溝側面の電極高さ(基板の厚み方向への長さ)を、SEMを用いて測定した。測定結果を、図8に示す。測定箇所は、図7に示すように、ウェーハの中心の点と、中心から半径3.5cmの円上の溝形成方向から45°ずつ回転させた点a〜iの合計9点近傍の電極とした。図7に示す矢印SLがシリコン結晶棒の切断方向を示し、位置12から位置13にかけて基板が緩やかに薄肉となっている。
【0072】
この測定結果では、電極高さの標準偏差σは1.7、電極断面積の差に換算すると最大で10%程度であった。通常、太陽電池の電極による抵抗ロスは、出力の5%程度であることから、今回のばらつきが特性に与える影響は出力の約0.5%であると見積もられる。したがって、この程度の電極高さのばらつきは、太陽電池のエネルギー変換効率に大きな影響を及ぼさないので問題とされない。
【0073】
(実施例2)
III族元素のホウ素を不純物元素とするp型単結晶太陽電池用シリコンウェーハ1(直径4インチφ、基板最小厚さ270μm、基板最大厚さ300μm、抵抗率2.0Ωcm)の受光面側に、ダイシングソーによって四角(矩形)断面形状溝を複数本平行に形成した。溝は、ウェーハの最も厚い点と最も薄い点を結ぶ直線と平行になるように形成した。砥石ブレードの形状は、実施例1同様厚さ450μm、直径50mm、砥石ブレード間隔50μmとした。ここで、砥石ブレードの厚みを450μm、蒸着角度を5°としたため、溝の最小深さhを50μmとした。また、加工条件は、砥石ブレードの回転速度60rpm、ウェーハ送り速度1.5mm/sとし、加工部位に冷却水を供給した。ウェーハは、加工面と反対の面を真空チャックによってチャッキングした。また、比較のために、溝の長手方向をウェーハの最も厚い点と最も薄い点を結ぶ直線と垂直となるように(図3で示した溝方向とは垂直となるように)したウェーハも作製した(これを比較品2とする)。さらに、実施例1と同じ太陽電池作製工程をそれぞれについて行い、本発明の太陽電池(本発明品2)及び比較のための太陽電池(比較品2)を得た。
【0074】
次に、ソーラーシミュレータ(光強度:1kW/m、スペクトル:AM1.5グローバル)を用いて、作製した太陽電池の出力特性を測定した。得られた出力特性を表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
本発明品2は、比較品2と比較して1.9%程度大きいフィルファクタを示し、高い出力を示した。つまり、本発明を適用することでより高い出力を得ることが可能である。
【0077】
さらに、完全な暗状態で太陽電池の電流電圧特性を4端子法により測定し、直列抵抗を見積もった。測定結果を表3に示す。
【0078】
【表3】

【0079】
この測定結果では、本発明品2と比較品2との間で直列抵抗に0.55Ω・cmの差が生じた。フィルファクタの差は、この直列抵抗の差によって生じたと考えられる。OECO太陽電池では、ウェーハの最も厚い点と最も薄い点を結ぶ直線と平行になるように溝を形成することで、フィンガー電極内の抵抗ロスが低減し、高出力を得ることができる。
【0080】
(実施例3)
III族元素のガリウムをドーパント元素とする太陽電池用p型シリコン単結晶基板(10cm角、基板厚300μm、抵抗率0.5Ωcm、厚さのばらつきの最大値25μm)の受光面側に、本発明の製造方法に従い、四角(矩形)断面形状溝を複数本平行に形成する。溝入れ刃の形状は、厚さ450μm、直径50mmとし、これら溝入れ刃同士を間隔50μmにて互いに結合させて溝入れ刃結合体とした。また、該溝入れ刃結合体の加工テーブルからの突出高さhは50μmとした。また、加工条件は、溝入れ刃結合体の回転速度50rpm、基板送り速度1mm/sとした。基板は、溝が形成されるべき第一主表面と反対の面(第二主表面)を真空チャックによってチャッキングし、第一主表面を加工テーブルの基板送り面に対して密着させた。そして、図9にて説明した通りに、該半導体単結晶基板を、加工部位に冷却水を供給しつつ、溝入れ刃の厚さ方向と垂直な方向に移動させて、半導体単結晶基板に複数の溝を形成した。本工程により得られた半導体単結晶基板を本発明品3とする。
【0081】
また、比較のために、基板を加工テーブルに固定し、基板上面に溝入れ刃を切りこませ、その状態で該溝入れ刃を加工テーブルの基板送り面に対して平行に移動させるといった従来の方法により半導体単結晶基板に溝を形成した。本工程により得られた半導体単結晶基板を比較例品3とする。
【0082】
次に、溝加工されたそれぞれの基板に対して、水酸化カリウム水溶液によりエッチングしてダメージ層を取り除き、基板の裏面にプラズマCVD装置を用いて窒化シリコン膜を形成した。引き続き、受光面側に熱拡散によってV族元素のリンを不純物としたn型エミッタ層を、シート抵抗が100Ω/□となるように作製した。さらに、裏面に対し、アルミニウムの真空蒸着により厚さ2μmの電極を形成した。次に、受光面上に熱酸化により膜厚2nmのトンネル酸化膜を作製し、引き続いて、この受光面の平行溝に垂直方向、且つ第一主表面に対し斜め5度の方向からアルミニウムを真空蒸着し、溝側面の一方のみに厚さ5μmの電極を形成した。ここで、溝間の凸状部上面に蒸着された金属は、リン酸水溶液のエッチングで除去した。最後に、太陽光反射防止と表面保護をかねてプラズマCVDによって膜厚70nmの窒化シリコン膜を受光面上に形成し、太陽電池を作製した。
【0083】
ソーラーシミュレータ(光強度:1kW/m、スペクトル:AM1.5グローバル)を用いて、作製した太陽電池の電流電圧特性を測定した。また、該電流電圧特性から得られた太陽電池の諸特性を表4に示す。
【0084】
【表4】

【0085】
この測定結果では、本発明品3の方が、比較例品3に比べて5.7%程度大きいフィルファクタ(電流電圧曲線の曲線因子)を示し、高い最大出力を示した。次に、SEMを用いて太陽電池表面の電極形状を観察した。この結果、比較例品3は、本発明品3に比べ、溝における電極高さが受光面全面で、最大で約15μm不足していることが判明した。上記表1における出力差は、主にフィルファクタの差による。このフィルファクタの差は、SEMの観察から判明した電極断面積の不足による直列抵抗の増大が引き起こしたものと考えられる。
【0086】
このように、本発明を適用することで全てのフィンガー電極に対し、溝側面に形成される電極高さをほぼ一定とできるため、受光面全面における特性のばらつきが低減する。そして、直列抵抗の増大を抑制できる電極の形成が可能となり、高出力の太陽電池を得ることが可能となる。
【0087】
(実施例4)
表面に、基板送り方向に平行な削り粉排出溝を、図11に示すように幅2mm、深さ5mm、溝の間隔2mmで形成した加工テーブルを用いて、本発明による溝加工を行った。使用した基板は、III族元素のホウ素を不純物元素とする太陽電池用p型シリコン単結晶基板(10cm角、基板厚250μm、抵抗率1.0Ωcm、厚さのばらつきの最大値20μm)である。溝入れ刃は、厚さ450μm、直径50mmの四角(矩形)断面形状の溝入れ刃を、互いに50μm間隔で配列させたものを結合し、これを溝入れ刃結合体として使用した。また、加工テーブルの基板送り面からの突出高さhは50μmとした。加工条件は、溝入れ刃の回転速度60rpm、基板送り速度1.25mm/sとし、実施例3と同様に基板を移動させて第一主表面上に溝を形成した。
【0088】
また、削り粉排出溝を形成していない加工テーブルを用いて同条件で溝加工する試験も行った。それぞれのサンプルを50枚ずつ加工した結果、加工テーブルに削り粉排出溝が形成されていない場合、溝加工によって割れや欠け、あるいは溝の深さの設定値からのずれ等の不具合が生じなかったものを良品としたとき、該良品率が83%であった。一方、削り粉排出溝を形成した場合は、良品率が98%となり、良品率を15%向上することができた。これにより、生産性がより向上したことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の太陽電池の一実施形態を部分的に示す拡大断面図。
【図2A】溝形状の第1例を示す模式図。
【図2B】溝形状の第2例を示す模式図。
【図2C】溝形状の第3例を示す模式図。
【図2D】溝内の角部にアールを形成する第1例を示す模式図。
【図2E】溝内の角部にアールを形成する第2例を示す模式図。
【図3A】厚みの不均一な単結晶基板を示す模式図。
【図3B】図3Aの基板に対する溝形成方法を説明する模式図。
【図4】溝深さが十分な本発明の太陽電池の断面模式図。
【図5A】矩形断面溝の溝深さの規定方法を模式的に説明する説明図。
【図5B】V字形断面溝の溝深さの規定方法を模式的に説明する説明図。
【図6】太陽電池の製造工程説明図。
【図7】実施例1において採用した、太陽電池における基板厚み方向への電極形成長さの測定箇所を示す図。
【図8】実施例1における電極高さの測定結果を示すグラフ。
【図9】本発明の太陽電池の製造方法における溝形成方法の一例を説明する模式図。
【図10】本発明の太陽電池の製造方法における溝形成方法の一例を示す断面図。
【図11】本発明の太陽電池の製造方法における溝形成方法の変形例を説明する模式図。
【図12】OECO太陽電池の製造方法における電極蒸着形状を示す図。
【図13】基板の厚さにばらつきがある場合における電極蒸着形状を示す図。
【図14】バスバー電極の形成形態の第一実施形態を示す平面図。
【図15】バスバー電極の形成形態の第二実施形態を示す平面図。
【図16】バスバー電極の形成形態の第三実施形態を示す平面図。
【図17】バスバー電極が位置P2及びP1のいずれに近いかを判別するための定義を説明する図。
【図18】バスバー電極の長手方向断面形状の第一例を示す断面図。
【図19】バスバー電極の長手方向断面形状の第二例を示す断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の少なくとも一方の主表面上に複数の溝を形成する工程を有し、
平坦な基板送り面を有する加工テーブルの該基板送り面から、溝入れ刃の刃部を一定高さだけ突出させ、該溝入れ刃を回転させるとともに、
前記半導体基板の一方の主表面を前記基板送り面に密着させ、その状態で、該基板を前記基板送り面に沿って、前記溝入れ刃の厚み方向と直角に、該溝入れ刃に向かって相対移動させることにより、前記一方の主表面に前記溝を形成することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項2】
一定間隔で同軸的に結合された一体回転する複数の前記溝入れ刃の刃部を各々互いに等しい高さだけ突出させ、
それら溝入れ刃によって、前記半導体基板の前記一方の主表面に、一定間隔で配列する複数の平行溝を一括形成することを特徴とする請求の範囲第1項記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記加工テーブルとして、前記基板送り面上に、削り粉排出溝を形成したものを使用することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記加工テーブルを、前記基板送り面が上向きとなるように固定配置し、前記基板の他方の主表面側をチャック保持するとともに、
固定配置された前記溝入れ刃に向けて該チャック保持された基板を移動させることにより前記溝を形成することを特徴とする請求の範囲第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
請求の範囲第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする太陽電池。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2006−279071(P2006−279071A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162917(P2006−162917)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【分割の表示】特願2002−574130(P2002−574130)の分割
【原出願日】平成14年3月19日(2002.3.19)
【出願人】(000190149)信越半導体株式会社 (867)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】