説明

太陽電池用インターコネクタ及びその製造方法、並びに太陽電池モジュール

【課題】平角の電気導線部とその接合対象との間隔、即ち表面層の厚みを一定に保ち、電気的に均一で良好な接合を得ると共に、電気導線部の材料と接合対象の材料との熱膨張差に起因する、半田による実装後に生じる熱応力及び熱歪みを低減して、接合対象の反り・割れの発生を抑止する。
【解決手段】銅線部1と、銅線部1の少なくとも幅広面の1面、ここでは表面全面を半田めっき2aで覆う表面層2とを備え、表面層2が、半田めっき2a内に当該半田よりも融点の高い材質の粒状のフィラー2bが分散されて、インターコネクタ等に適用される平角導線が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平角導線及びその製造方法、平角導線をインターコネクタに用いた太陽電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、無尽蔵な太陽エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換する発電方式であるため、エネルギー問題を大幅に軽減する技術として、近年技術開発が活発になり、市場も大きく伸びている。
【0003】
現在主流となっている太陽電池モジュールでは、サイズが数10cm角程度の単結晶又は多結晶シリコンの基板を用いた太陽電池セルを並べて、これらを電気導線で接続して集電する形態を採っている。基板と電気導線との接続は半田による溶融液相接合が主流であり、電気導線としては、半田で被覆された平角の銅線が集電用のインターコネクタとして用いられる。インターコネクタは、太陽電池セルと、銀又はアルミニウムペーストを塗布し焼成して形成した電極を介して半田接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−80217号公報
【特許文献2】特開2008−21831号公報
【特許文献3】特開2008−168339号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】遠藤裕寿、他、日立電線:2007年、26巻1号、p15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽電池モジュールは、エネルギーデバイスであることから、インターコネクタ自体の断面積、インターコネクタと太陽電池セルとの接続面積も、電流量に相応した面積が必要である。一方、平角銅線の幅を大きくした場合、太陽光はインターコネクタで反射し、この部分が影になるため、太陽電池セルの発電効率を低減させる原因になっている。
【0007】
多結晶シリコンの基板を用いた太陽電池の場合、インターコネクタの主たる材料である銅の熱膨張係数は、太陽電池セルの主たる構造体であるシリコンのそれに比較して約5倍である。そのため、昇温して液相接合してから室温に冷却する時に熱応力が生じ、太陽電池セルを変形、破損させる原因となっている(非特許文献1を参照)。近年におけるシリコン材料の逼迫もあり、太陽電池セルに使用されるシリコン基板の厚みの低減が図られ、現在厚み180μmのシリコン基板も使用されるようになってきており、熱応力による太陽電池セルの破損問題は、大きな問題になっている。
【0008】
この問題を解決するために、インターコネクタの0.2%耐力(降伏応力)を軽減し、より柔らかくなるように改質する試みがなされている(非特許文献1を参照)。しかしながら、通常の焼鈍による軟化では、今後の厳しい使用状況に対応することが困難であると予想され、インターコネクタの構造や実装構造の改良や集合組織の制御によって、対応することが提案されている(特許文献1〜3を参照)。特許文献1は、インターコネクタの長さ方向に波打ち構造を設け、その蛇腹部分で応力を逃がすものである。特許文献2は、太陽電池セルの電極の長さ方向に対して、任意の間隔で電極を形成しない非接続部を設け、非接触部分に対面するインターコネクタにノッチを加えることで、応力を緩和するものである。また、特許文献3では、導体中心部の結晶方位(めっき線軸方位)が、(211)方位に30%以上の割合で配向させることによって、0.2%耐力を低減し、そのばらつきを小さくすることができるとされている。
【0009】
上記の技術のうち、インターコネクタの構造による応力緩和手法は有効な手段であると考えられる。しかしながら、特許文献1の方法では、必要なインターコネクタが長くなり、材料費、電気抵抗値が高くなるという問題がある。特許文献1,2の方法では、接合面積が小さくなることによる接続抵抗の増加があり、また、ノッチ部分の電気抵抗値が増すという問題がある。
【0010】
インターコネクタを太陽電池セル等の半導体基板に実装する際には、熱風、加熱押さえ治具、半田ごて等でインターコネクタからセル電極方向に圧力をかけて、半田付けを行う。この時、半田の供給が十分でないと、全面に渡って溶着されず、太陽電池セルで発生した電子・ホールを集電することができなかったり、局所的に発熱して太陽電池セルを破損させる場合がある。従って、半田を十分に供給する必要があるが、銀、又はアルミニウム等のペーストで形成された太陽電池セル上の電極とインターコネクタとのクリアランスが適当でなかったり、部分的に小さかったりした場合、溶融半田がインターコネクタの幅方向にはみ出し、場合によっては太陽電池セル上の電極よりもはみ出す。これにより、受光面積を減少させ、発電効率が低下するという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、平角の電気導線部とその接合対象(例えば、シリコンに代表される半導体基板)との間隔、即ち表面層の厚みを一定に保ち、電気的に均一で良好な接合を得ると共に、電気導線部の材料(例えば銅)と接合対象の材料(例えば、シリコンに代表される半導体)との熱膨張差に起因する、半田による実装後に生じる熱応力及び熱歪みを低減して、接合対象の反り・割れの発生を抑止し、平角導線を太陽電池モジュールのインターコネクタに適用した場合に当該インターコネクタに起因する発電効率の低下を抑止する平角導線及びその製造方法、並びに太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の平角導線は、平角の電気導線部と、前記電気導線部の少なくとも幅広面の1面を覆う表面層とを有しており、前記表面層は、半田内に前記半田よりも融点の高い粒状のフィラーが分散されている。
【0013】
本発明の平角導線の一態様では、前記表面層は、厚みが10μm〜40μmの範囲内の値である。
【0014】
本発明の平角導線の一態様では、前記フィラーは、最大径が10μm〜40μm範囲内の値である。
【0015】
本発明の平角導線の一態様では、前記フィラーは、銅、アルミニウム、銀、ニッケルから選ばれた少なくとも1種を材料とするものである。
【0016】
本発明の平角導線の一態様では、前記フィラーは、アルミナ、シリカから選ばれた少なくとも1種を材料とするものである。
【0017】
本発明の平角導線の一態様では、前記フィラーは、表面を活性金属で被覆したセラミックスからなる。
【0018】
本発明の平角導線の製造方法は、平角の電気導線部を溶融した半田のめっき槽に通線し、前記めっき槽から送出され、表面を前記半田で覆われた前記電気導線部の前記半田に、前記半田よりも融点の高い粒状のフィラーを供給して、前記半田内に前記フィラーを含有させ、前記電気導線部を覆う表面層を形成する。
【0019】
本発明の平角導線の製造方法の一態様では、前記電気導線部の前記半田に前記フィラーを強制的に圧接して、前記半田内に前記フィラーを含有させる。
【0020】
本発明の平角導線の製造方法は、平角の電気導線部の少なくとも幅広面の1面に、半田と、前記半田よりも融点の高い粒状のフィラーとの混合物を、固相状態で供給し、前記電気導線部の少なくとも幅広面の1面を覆う表面層を形成する。
【0021】
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池セルを構成する半導体基板と、前記半導体基板の表面上に形成された電極と、前記電極と接続されたインターコネクタとを有しており、前記インターコネクタは、前記平角導線であり、前記平角導線の前記表面層を介して、前記電気導線部と前記電極とが電気的に接続されている。
【0022】
本発明の太陽電池モジュールの一態様では、前記インターコネクタは、前記電気導線部の受光面側で前記電極との非接続部位となる前記幅広面にも前記表面層を有している。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、平角の電気導線部とその接合対象(例えば、シリコンに代表される半導体基板)との間隔、即ち表面層の厚みを一定に保ち、電気的に均一で良好な接合を得ると共に、電気導線部の材料(例えば銅)と接合対象の材料(例えば、シリコンに代表される半導体)との熱膨張差に起因する、半田による実装後に生じる熱応力及び熱歪みを低減して、接合対象の反り・割れの発生を抑止すること、平角導線を太陽電池モジュールのインターコネクタに適用した場合に当該インターコネクタに起因する発電効率の低下を抑止することが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態による平角導線の構成を示す概略断面図である。
【図2】本実施形態による平角導線の製造するための装置構成を示す模式図である。
【図3】本実施形態による平角導線の製造するための他の装置構成を示す模式図である。
【図4】本実施形態による平角導線をインターコネクタとして実装した太陽電池モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【図5】図4におけるインターコネクタの長手方向とする直交する断面の様子を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、平角導線及びその製造方法、並びに太陽電池モジュールの具体的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態による平角導線は、太陽電池モジュール以外のもの、例えばLSI、LED等の小型の半導体デバイスに使用される半導体実装材料にも適用可能である。
【0026】
図1は、本実施形態による平角導線の構成を示す概略断面図であり、平角導線の長手方向に直交する断面を示している。
この平角導線は、平角の電気導線部、ここでは銅線部1と、銅線部1の少なくとも幅広面の1面、ここでは表面全面を覆う表面層2とを備えて構成されている。電気導線部としては、銅を材料とする銅線部1以外に、銅合金を材料するもの、或いはアルミニウム、銀等、その他の電気良導材料が用いられる。ここで、幅広面とは、銅線部1の表面のうち、銅線部1の長手方向に直交する断面において幅の広い辺を含む面を言う。
表面層2は、半田めっき2a内に当該半田よりも融点の高い材質の粒状のフィラー2bが分散されてなるものである。表面層2は、平角導線の接合対象に応じて、銅線部1の幅広面の1面又は2面のみに形成しても良い。
【0027】
半田めっき2aの半田としては、Pb−Sn共晶半田、Sn−Ag−Cu系の鉛フリーの半田をはじめ、種類を問わず用いることができる。
フィラー2bとしては、上記の半田より融点が高く、平角導線の実装時(平角導線が接合対象に接合された時)にスペーサとして機能するのであれば特に材質を問わない。フィラー2bの材質が銅、アルミニウム、銀等の金属であれば、電気抵抗値が低く、表面層2の電気抵抗値を下げるという利点がある。フィラー2bの材質がステンレス、アルミナ、シリカ等であれば、熱膨張係数が半田より小さく、例えばシリコンと銅の間の値であるため、実装後に表面層2が熱応力の緩和層として作用する。フィラー2bの材質がセラミックスの場合には、フィラー2bの表面にチタン又はタングステン等の活性金属をコーティングすることにより、半田めっき2aとの濡れ性が向上するという効果が得られる。
【0028】
本実施形態による平角導線では、表面層2を構成するフィラー2bの融点が半田めっき2aのそれよりも高い。平角導線の実装時の処理温度を半田めっき2aの融点以上でフィラー2bの融点よりも低く設定することにより、半田めっき2aの溶融時にフィラー2bは溶融しない。そのため、当該実装時において、フィラー2bが銅線部1と接合対象との間でスペーサとして機能し、銅線部1と接合対象との間の距離がフィラー2bのうち最大径のもので規定され、表面層2の厚みが一定値に保たれる。即ち、銅線部1と接合対象との間の距離、即ち半田めっき2aの厚みとして所望する値と等しい最大径のフィラー2bを用いて表面層2を形成することにより、容易且つ正確に半田めっき2aの厚みを制御することができる。
【0029】
平角導線が実装された際の半田めっき2aの厚み、即ち表面層2の厚みは、後述するように例えば10μm〜40μmの範囲内の値であることが望ましい。平角導線の実装後における表面層2の厚みは、フィラー2aの最大径で規定されることから、フィラー2aは、その最大径が10μm〜40μmの間の値であることが望ましい。フィラー2bの粒径分布は、特に規定するものではないが、分球して粒径分布を狭くしておく方が、スペーサとして好ましい。但し、偶発的に極めて少ない確率でこれよりも大きな径のフィラーが混在しても構わない。例えば、直径分布が正規分布に従うような場合、フィラーの直径分布の3σ上限を最大径とする(σ:標準偏差)。ふるいにかけられた上限の直径がカットされているフィラーの場合、その上限の径が最大径であるが、小さい方から数えて例えば99.85%のフィラーの直径を最大径とし、偶発的にそれよりも大きな直径のフィラーが混入していても問題ない。
【0030】
図2は、本実施形態による平角導線の製造するための装置構成を示す模式図である。
この製造装置は、溶融めっき法と呼ばれる技術に適用されるものである。図2(a)に示すように、溶融した半田めっき2aを収容する溶融半田めっき浴21と、平角の銅線部1の供給を規定する銅線ガイド22と、半田めっき2aに供給するフィラー2bを収容するフィラーホッパー23と、フィラー2bの供給路となるフィラーガイド24とを備えている。
【0031】
図2(a)の製造装置を用いて本実施形態による平角導線を製造するには、銅線ガイド22を駆動して、銅線部1を溶融半田めっき浴21の溶融した半田めっき2a内に通線して銅線部1の面に半田めっき2aを供給する。銅線ガイド22により、半田めっき2aが供給された銅線部1を外部へ送出する。銅線部1の外部への送出直後に、フィラーホッパー23からフィラーガイド24を通ってフィラー2bを、銅線部1を覆う半田めっき2aに接触させて供給する。フィラー2bを含有する半田めっき2aを冷却し、完全凝固させる。以上により、銅線部1の面に表面層2が形成され、平角導線が作製される。
【0032】
ここで、図2(b)に示すように、製造装置に銅線部1を圧接する圧接ローラー25を設けても良い。この場合、例えば矢印方向に回転する圧接ローラー25により、フィラー2bが供給された半田めっき2aを銅線部1に強制的に圧接する。これにより、半田めっき2aを確実に所望の厚みに規制することができる。その後、フィラー2bを含有する半田めっき2aを冷却し、完全凝固させることで表面層2が形成され、平角導線が作製される。
【0033】
図3は、本実施形態による平角導線の製造するための他の装置構成を示す模式図である。
この製造装置は、エアロゾル或いはコールドスプレーと呼ばれる技術に適用されるものであって、半田粉とフィラーとの混合物30を生成する混合物チャンバー31と、混合物を銅線部1に供給するためのノズル32とを備えている。
【0034】
図3の製造装置を用いて本実施形態による平角導線を製造するには、銅線部1を例えば矢印の方向に走行させ、混合物チャンバー31で生成された半田粉とフィラーとの混合物30を、ノズル32から固相状態のまま高速で銅線部1の面に供給する。これにより、銅線部1に表面層2が形成され、平角導線が作製される。
なお、図3の例では、銅線部1の各幅広面に対応して混合物チャンバー31及びノズル32を設置したが、例えば一方の混合物チャンバー31及びノズル32のみを設置することで、銅線部1の一方の幅広面のみに混合物30を供給し、表面層2をすることができる。
【0035】
図4は、本実施形態による平角導線をインターコネクタとして実装した太陽電池モジュールの概略構成を示す斜視図である。図5は、図4におけるインターコネクタの長手方向とする直交する断面の様子を示す概略断面図である。
この太陽電池モジュールは、図4に示すように、併設された複数の太陽電池セル11と、各太陽電池セル11の表面上に形成された電極12と電気的に接続されるインターコネクタ13とを備えている。インターコネクタ13として本実施形態による平角導線が適用されている。インターコネクタ13は、電極12を介して各太陽電池セル11を集電する。
【0036】
太陽電池モジュールの断面状態を図5に示す。図5は、インターコネクタ13の長手方向とする直交する断面の様子を示す概略断面図である。
単結晶又は多結晶シリコンの基板からなる太陽電池セル11の表面及び裏面に、それぞれ電極12が形成されている。電極12は、その材料としては例えば、表面側(受光面側)には銀ペーストが、裏面側には銀、及びアルミニウムペーストが用いられ、当該金属ペーストを焼成して形成される。受光面は太陽光を受光するために、集電した電流を十分流すことができる範囲で、電極面積は極力小さくした方が良い。
【0037】
インターコネクタ13は、上記した平角導線であって、平角の銅線部1と、銅線部1の少なくとも幅広面の1面を覆う表面層2とを有している。太陽電池セル11の表面に実装されたインターコネクタ13は、銅線部1の下側の幅広面及び上側の幅広面にそれぞれ表面層2が形成されており、銅線部1が電極12と下側の幅広面の表面層2の半田めっき2aで電気的及び機械的に接続されている。この表面層2では、フィラー2bがスペーサとして機能し、表面層2の厚みが最大径のフィラー2bで規定されている。太陽電池セル11の裏面に実装されたインターコネクタ13は、銅線部1の上側の幅広面に表面層2が形成されており、銅線部1が電極12と表面層2の半田めっき2aで接続されている。この表面層2でも同様に、フィラー2bがスペーサとして機能し、表面層2の厚みが最大径のフィラー2bで規定されている。銅線部の一方の幅広面のみに表面層を形成したインターコネクタは、例えばバックコンタクト型の太陽電池モジュールのように、インターコネクタが一面でのみ実装される場合にも適用できる。
【0038】
太陽電池セル11の表面及び裏面にそれぞれEVA(エチレンビニルアセテート)接着層14が設けられてインターコネクタ13が封止される。表面(受光面)側のEVA接着層14は保護ガラス15で覆われ、裏面側のEVA接着層14には例えばバックフィルム16等が設けられる。
【0039】
一般的に、太陽電池モジュールを作製する場合において、インターコネクタを半田付けする際に、半田は十分供給される方が望ましいが、半田の供給量が多過ぎると、半田が電極からはみ出して、受光面積の低下を来たす。インターコネクタと太陽電池セルとの接合長さは長く、しかも2次元的であるため、半田の厚みを長さ方向に均一に保つのは困難である。インターコネクタを実装する際に圧力の不均一等により、半田の間隔が小さくなった場合には、インターコネクタに予め被覆した層から供給される半田の量は一定であるため、半田が横方向にはみ出し、受光面積が小さくなる。また、半田の供給量が多過ぎると、半田は銅に比較して高いため、電気抵抗値が高くなる。更にこの場合、インターコネクタの高さが高くなるために、斜めから太陽光を受光する状況では、インターコネクタの影が受光面に大きく伸びる。以上の諸要因に起因して、インターコネクタ接続時の半田量が過多となると、太陽電池モジュールの発電効率が低下する。
【0040】
その一方で、半田の供給量が少ないと、半田を均一に供給することが困難となり、軟質な半田を介在させることによる、配線の銅と太陽電池セルのシリコンとの熱膨張差を緩和する作用が小さくなる。そのため、熱応力及び熱歪みが大きくなり、太陽電池セルの反り・割れが増長される。
【0041】
本実施形態による太陽電池モジュールでは、インターコネクタ13の電極12との接合時に、半田めっき2aを溶融させてもフィラー2bは溶融せず、フィラー2bが銅線部1と電極12との間でスペーサとして機能し、銅線部1と電極12との間の距離がフィラー2bのうち最大径のもので規定され、表面層2の厚みが所望する適度な一定値に保たれる。
表面層2の厚みを10μm〜40μmの範囲内の値、換言すればフィラー2aとしてその最大径が10μm〜40μmの間の範囲内の値のものを用いることにより、総合的に見て、上記した太陽電池モジュールの発電効率の低下及び太陽電池セルの反り・割れを抑止することができる。
【0042】
また、この太陽電池モジュールでは、太陽電池セル11の表面に実装されたインターコネクタ13の上側の幅広面にも表面層2が形成されている。
銅線部1の広幅面の両面の半田めっき2aにフィラー2bを分散させた場合、銅線部1の上面に供給された半田めっき2aの一部が、重力及び表面張力により銅線部1の下面に移動する。その結果、電極12との接合に供しない上面の表面層2では、フィラー2bの存在により凹凸が形成される。太陽電池セル11の表面(受光面)側は、入射した太陽光10がインターコネクタ13の上側の幅広面の凹凸によって乱反射し、その一部はEVA接着層14と保護ガラス15との界面、保護ガラス15と大気との界面で再反射し、太陽電池セル11に入光する。これにより、通常はインターコネクタによる反射で失われる光も電力として利用され、太陽電池モジュールの発電効率が更に向上する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、半田に含有させた当該半田より融点の高い粒状のフィラーを分散させて表面層を形成する。これにより、フィラーにスペーサの役割を担わせ、太陽電池セル上の電極と平角の銅線部の表面との間隔を適度な一定に保ち、電気的に均一で良好な接合が得られる。それと共に、銅とシリコンの熱膨張差に起因する半田による実装後に生じる熱応力及び熱歪みを低減し、太陽電池セルの反り・割れを低減し、太陽電池セルと平角導線(インターコネクタ)との半田による電気的、機械的接合を良好にすることができる。半田の厚みより小さな径のフィラーを選択し、半田の熱膨張率を太陽電池セルに近づけることにより、半田による実装後に生じる熱応力及び熱歪みを低減し、太陽電池セルの反り・割れを低減し、太陽電池セルと平角導線との半田による電気的、機械的接合を良好にすることができる。
【0044】
更に、太陽電池セル上の電極と平角導線の表面との間隔を適度な間隔に保つことにより、太陽電池セルと銅線部の間に十分且つ均一な溶融半田を保持することが可能となり、受光面への半田のはみ出しを防止し、太陽電池モジュールの発電効率の低下を防止することができる。また、平角導線との接合面の反対面が、フィラーの存在によって凹凸が生じ、受光面側の平角導線に入射する太陽光が乱反射し、乱反射光が太陽電池モジュールの保護ガラスの界面等で再反射し、太陽電池セルの受光面に入射することにより、発電効率が向上する。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0046】
(実施例1)
本実施例では、ステンレスフィラー入り半田めっきの表面層を有する平角導線(インターコネクタ)の作製を行った。銅芯材はΦ1.5mmのタフピッチ銅性丸線を圧延にて厚み0.2mm、幅2mmとした平角の銅線部を使用した。この銅線部を40%の水素を含む窒素を流した600℃に加熱した環状炉に通線し、環状炉の銅線部の出口側を溶融半田めっき槽に挿入した状態で銅線部を出線し、溶融めっきした。半田材料として、Sn−3.0重量%Ag−0.5重量%Cuを使用し、溶融めっき槽の温度は300℃とした。溶融めっき槽を通過した銅線部は、銅線ガイドを使用して垂直方向に出湯するが、めっき槽の液面には、厚み0.3mm、幅2.4mmの角型の孔の開いた絞りダイスを設置し、この孔を通過して上方に移動する。絞りダイスを通過した直後の銅線部は半田が溶融した状態で乗っており、上方に移動するにつれて半田は冷却、凝固する。0.5mm/分の速さで通線する銅線部に被覆する半田の厚みは、板厚方向で片側25μmであり、これを比較材とした。これを試料Aとする。
【0047】
一方、絞りダイス直上にステンレスフィラーを供給するフィーダーを設け、溶融した状態の半田の表面にステンレスフィラーを接触させ、直後の圧接ローラーでステンレスフィラーを半田めっき層内に圧入して平角導線を作製した。ステンレスフィラーは、ふるいによって分級されたもので、その最大径は20μmのものを使用した。0.5mm/分の速さで通線した結果、半田の厚みは25μm、半田内のステンレスフィラーの体積率は10%であった。このようにして作製した平角導線を試料Bとする。
【0048】
上記の平角導線を2本用い、一定の圧力で厚み200μm、150mm角の太陽電池セル上に平行に2列設けた幅3mmの銀ペーストを焼成してなる電極上にそれぞれ実装した。実装時には、半田の融点以上でステンレスフィラーの融点よりも低い温度で半田を溶融せて接合した。平角導線からはみ出す半田の横方向の長さ、及び太陽電池セルの反りを測定した。
【0049】
試料Aでは、局所的に半田が銅線部の横方向にはみ出し、その幅は、片側平均0.2mm、最大1mmに達し、半田は電極からはみ出して太陽電池受光面にまで広がっていた。一方、試料Bでは、半田の横方向へのはみ出し量は、片側平均0.05mm、最大0.1mmに留まった。
【0050】
試料A,Bで銅線部の断面を比較すると、試料Bでは、太陽電池の電極と銅線部との距離がステンレスフィラーによって平均25μmに保たれ、半田は横方向に濡れ広がっていなかった。これに対して、試料Aでは、局所的に銅線部と電極との間に殆ど半田が存しない部分があり、当該部分では、半田が横方向に大きくはみ出していた。
【0051】
また、太陽電池セルの反りは、ステンレスフィラーを混入していない試料Aを用いたものが、平角導線を実装した側に3mm反っていたのに対し、ステンレスフィラーを混入した試料Bの平角導線を実装したものは、0.8mmであった。これは、半田リフロー時にステンレスフィラーが固相であったために、半田の凝固収縮が小さかったこと、ステンレスの熱膨張係数が小さいため、凝固後の熱収縮が小さかったこと、平角導線と太陽電池セルの間隔が一定の間隔を保っていたため、銅とシリコンの熱膨張係数の差に起因する熱歪みが緩和したことによるものである。
【0052】
(実施例2)
本実施例では、銅フィラー入り半田めっきの表面層を有する平角導線(インターコネクタ)の作製を行った。銅芯材はΦ1.5mmのタフピッチ銅性丸線を圧延にて厚み0.2mm、幅2mmとした平角の銅線部を使用した。この銅線部を40%の水素を含む窒素を流した加熱した環状炉に通線し、環状炉の銅線部の出口側を溶融半田めっき槽に挿入した状態で銅線部を出線し、溶融めっきした。半田材料として、Sn−1.2重量%Ag−0.5重量%Cu-0.05重量%Ni合金を使用し、250℃に保たれた溶融めっき槽を通過した銅線部は、銅線ガイドを使用して垂直方向に出湯して上方に移動する。出湯直後の銅線部は半田が溶融した状態で乗っており、上方に移動するにつれて半田は冷却、凝固する。
【0053】
銅フィラーの供給は、銅フィラーを供給するフィーダーを設け、溶融した状態の半田の表面に銅フィラーを接触させ、直後の圧接ローラーで銅フィラーを半田めっき層内に圧入した。銅フィラーは、ふるいによって分級されたもので、その最大径は5μm〜50μmの5水準のものを使用した。半田内の銅フィラーの体積率が20%、半田の厚みが銅フィラーの最大径になるように、フィーダー量、環状炉の温度、及び通線速さを調整し、銅フィラー入りの表面層を有する平角導線を作製した。このようにして作製した各平角導線を試料C〜Jとする。また、比較材として、銅フィラーを入れないで片側半田厚み40μmの平角導線を作製した。このようにして作製した平角導線を試料Kとする。
【0054】
上記の平角導線を2本用い、一定の圧力で厚み190μm、170mm角の太陽電池セル上に平行に2列設けた3mm×5mmサイズの銀ペーストを焼成してなる電極上にそれぞれ実装した。実装時には、半田の融点以上で銅フィラーの融点よりも低い温度で半田を溶融せて接合した。実装した平角導線の長さは太陽電池セルと同じ170mmであり、太陽電池セル上の電極の中心線に沿って実装した。太陽電池セルと平角導線とを、実装する長さ方向に5mmずらして接合した。接合後、平角導線からはみ出す半田を観察し、太陽電池セルの反り・クラックの状態を測定した。
その結果を以下の表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
半田のはみ出しの評価は、平角導線を実装した後、平角導線の長さ方向に直角な方向に濡れ広がった程度で評価した。○は、電極と半田が濡れたことを意味し、フィレットは形成されるが、横方向の濡れ広がりは均一で銀電極の幅に収まっている状態であったものである。△は、半田が局所的にはみ出しているが、その横方向の広がりの最大のものが、電極の幅3mm以内に収まっている状態とした。×は、半田が局所的にはみ出し、電極を超え、太陽電池セルの受光面にまで広がってしまったものとした。
【0057】
また、クラックの評価は、平角導線と太陽電池セルとの接合部断面を研磨して光学顕微鏡で観察して、次のよう評価した。○は、クラックが観察されなかったもの、△は半田内で局所的にクラックの発生が認められたもの、×は大きなクラックが発生し太陽電池セルと平角導線とが部分的に剥離が生じているものとした。
【0058】
試料C、D、I、Jでは、電極の幅3mm近くまで半田が広がったものが認められたが、全ての平角導線で、電極からのはみ出しは観察されなかった。一方、銅フィラーを使用していない平角導線では、半田が広がり、太陽電池セルの受光面まで達していた。これは、銅フィラーの効果である。特に、表面層の厚みが10μm〜40μmの場合、良好であった。銅フィラーが小さい試料でややはみ出したのは、接合時に銅フィラーが流動してしまったためと考えられる。また、半田が厚い場合には、横方向に濡れ広がり易いが、銅フィラーがあることによって、これが抑制されたとみることができる。
【0059】
反り量は銅フィラーの最大径に依存し、銅フィラーの最大径が10μm〜40μmの場合に反り量が小さく、クラックも観察されず健全な接合が可能であった。銅フィラーの最大径が10μmより小さい場合には、銅線とシリコンの距離が小さ過ぎ、リフロー後の熱収縮量差による熱応力を緩和できなかった結果、半田及び太陽電池セルにクラックが生じた。しかし、銅フィラーの近傍でクラックが止められており、クラックの進展を抑制できることが判った。
【0060】
一方、銅フィラーの最大径が40μmより大きい場合には、銅線部に半田を加えた厚みが大きくなるために、リフロー後の熱収縮量差による熱応力が大きくなり、太陽電池セルにクラックが生じた。特に、銅フィラーを含有させていない試料Kでは、太陽電池セルと銀電極界面とで剥離が生じてしまった。界面に印加される熱応力が最も大きかったためと考えられる。
【0061】
次に、太陽電池セルから5mmはみ出した平角導線の端部と、平角導線と接合されていない露出した電極面との間で電気抵抗値を測定した。その結果、銅フィラーを含有する表面層を有する平角導線を実装した接合部位を跨いだ電気抵抗値が、銅フィラーを含有させないで実装した接合部位を跨いだ電気抵抗値よりも低い値を示した。これは、銅が半田より良導体であることから、銅フィラーを経由しても電流が流れることによって、接合部位の電気抵抗値を下げる効果による。また、銅フィラーを含有させていない平角導線の電気抵抗値が高い理由は、接合部位に剥離が生じていたことにより、電流の流れが妨げられたためである。接合部位の電気抵抗値は、表面層の厚みが10μm〜40μmの場合、最も低かったが、これも応力緩和の機構により、クラックの導入が抑制され、接合部が健全であったためである。即ち、銅フィラーを用いることで表面層の電気抵抗値が低下することが明らかになった。
【0062】
銅線部に半田を加えた厚みが大きくなると、太陽光が斜めから入った時の影が長くなる。受光面が遮光されることにより、太陽電池モジュールの発電効率が低下させるため、銅フィラーの最大径は、この点からも10μm〜40μmの間が最も望ましい範囲と言える。
【0063】
(実施例3)
本実施例では、フィラーの材質をそれぞれアルミニウム、銀、ニッケル、アルミナ、シリカとする半田めっきの表面層を有する各平角導線(インターコネクタ)の作製を、溶融めっき法及びエアロゾル法で行った。銅芯材はΦ1.5mmのタフピッチ銅性丸線を圧延にて厚み0.15mm、幅2mmとした平角の銅線部を使用した。
【0064】
溶融めっき法による試料は次のようにして作製した。銅線部を40%の水素を含む窒素を流した加熱した環状炉に通線し、環状炉の銅線部の出口側を溶融半田めっき槽に挿入した状態で銅線部を出線し、溶融めっきした。半田材料として、Sn−3.0重量%Ag−0.5重量%Cu合金を使用し、250℃に保たれた溶融めっき槽を通過した銅線部は、銅線ガイドを使用して垂直方向に出湯して上方に移動する。出湯直後の銅線部は半田が溶融した状態で乗っており、上方に移動するにつれて半田は冷却、凝固する。
【0065】
フィラーの供給は、フィラーを供給するフィーダーを設け、溶融した状態の半田の表面にフィラーを接触させ、直後の圧接ローラーでフィラーを半田めっき層内に圧入した。
フィラーは、ふるいによって分級されたもので、その最大径は25μmのものを使用した。アルミナフィラー及びシリカフィラーは、蒸着法によって約0.05μmのTiがコーティングされているものを使用した。半田内のフィラーの体積率が15%、半田の厚みが30μmになるように、フィーダー量、環状炉の温度、及び通線速さを調整し、各フィラー入りの表面層を有する平角導線を作製した。このようにして作製した各平角導線を試料L〜Pとする。また比較材として、フィラーを入れないで片側半田厚み30μmの平角導線を作製した。このようにして作製した平角導線を試料Qとする。
【0066】
エアロゾル法によるインターコネクタの作製は次のような方法で行った。銅芯材は、溶融めっきで使用したものと同じものを使用したが、半田の被覆を施す前に、アセトンで脱脂を行った。
アルミナフィラーは、溶融めっきで作製したアルミナフィラーの、Tiをコーティングする前の同じ粒径のものを使用した。半田は、溶融めっきに使用した半田と同じ成分で、粒度35μmのものを使用した。これらの粉体をアルミナフィラーの体積率が15%になるように混合したものをエアロゾル噴射用原料とした。
【0067】
エアロゾルによる被覆時の作動ガスには窒素ガスを使用し、作動温度150℃、圧力2MPa、銅線部の送線速さを100mm/sで、銅線部の片面ずつ、片側35μmの膜厚になるようにして、両面を成膜した。このようにして作製した平角導線を試料Rとした。
また、比較材として、アルミナを含有しない半田原料を使用して平角導線を作製した。このようにして作製した平角導線を試料Sとした。
【0068】
上記の平角導線を2本用い、一定の圧力で厚み190μm、170mm角の太陽電池セル上に平行に2列設けた3mm×5mmサイズの銀ペーストを焼成してなる電極上にそれぞれ実装した。実装時には、半田の融点以上で各フィラーの融点よりも低い温度で半田を溶融せて接合した。実装した平角導線の長さは太陽電池セルと同じ170mmであり、太陽電池セル上の銀電極の中心線に沿って実装した。太陽電池セルと平角導線とを、実装する長さ方向に5mmずらして接合した。接合後、平角導線からはみ出す半田を観察し、太陽電池セルの反り・クラックの状態を測定した。
その結果を表2に示す。半田のはみ出し、及びクラックの評価は実施例2と同じである。
【0069】
【表2】

【0070】
半田のはみ出し及びクラックは、フィラーが含有されているものとされていないもので大きく異なった。アルミナフィラーを含有した表面層を有する平角導線、シリカフィラーを含有した表面層を有する平角導線を実装した後の、太陽電池セルの反りは極めて小さく、クラックの発生も認められなかった。これは、アルミナ及びシリカの熱膨張係数が小さいため、接合部分の熱収縮が小さくなってシリコンに近づいたため、接合界面での熱応力が小さくなったことに起因する。即ち、アルミナ、シリカのフィラーを用いると熱応力の緩和層として作用することが判った。
【0071】
次に、太陽電池セルから5mmはみ出した平角導線の端部と、平角導線と接合されていない露出した電極面との間で電気抵抗値を測定した。その結果、アルミニウム、銀をフィラーとして含有させた表面層を有する平角導線の電気抵抗値が最も低かった。これは、アルミニウム、銀が半田に比較して良導体であることから、フィラーを経由しても電流が流れるためである。また、フィラーを含有させていない表面層を有する平角導線の電気抵抗値が最も高かった。これは、クラックの発生で電極が部分的に剥離してしまったためである。即ち、アルミニウム、銀のフィラーを用いると表面層の電気抵抗値が低下することが明らかになった。
【符号の説明】
【0072】
1 銅線部
2 表面層
2a 半田めっき
2b フィラー
10 太陽光
11 太陽電池セル
12 電極
13 インターコネクタ
14 EVA接着層
15 保護ガラス
16 バックフィルム
21 溶融半田めっき浴
22 銅線ガイド
23 フィラーホッパー
24 フィラーガイド
25 圧接ローラー
30 半田粉とフィラーとの混合物
31 混合物チャンバー
32 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角の電気導線部と、
前記電気導線部の少なくとも幅広面の1面を覆う表面層と
を有しており、
前記表面層は、半田内に前記半田よりも融点の高い粒状のフィラーが分散されていることを特徴とする平角導線。
【請求項2】
前記表面層は、厚みが10μm〜40μmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載の平角導線。
【請求項3】
前記フィラーは、最大径が10μm〜40μm範囲内の値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平角導線。
【請求項4】
前記フィラーは、銅、アルミニウム、銀、ニッケルから選ばれた少なくとも1種を材料とするものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平角導線。
【請求項5】
前記フィラーは、アルミナ、シリカから選ばれた少なくとも1種を材料とするものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平角導線。
【請求項6】
前記フィラーは、表面を活性金属で被覆したセラミックスからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平角導線。
【請求項7】
平角の電気導線部を溶融した半田のめっき槽に通線し、
前記めっき槽から送出され、表面を前記半田で覆われた前記電気導線部の前記半田に、前記半田よりも融点の高い粒状のフィラーを供給して、
前記半田内に前記フィラーを含有させ、前記電気導線部を覆う表面層を形成することを特徴とする平角導線の製造方法。
【請求項8】
前記電気導線部の前記半田に前記フィラーを強制的に圧接して、前記半田内に前記フィラーを含有させることを特徴とする請求項7に記載の平角導線の製造方法。
【請求項9】
平角の電気導線部の少なくとも幅広面の1面に、半田と、前記半田よりも融点の高い粒状のフィラーとの混合物を固相状態で供給し、前記電気導線部の少なくとも幅広面の1面を覆う表面層を形成することを特徴とする平角導線の製造方法。
【請求項10】
太陽電池セルを構成する半導体基板と、
前記半導体基板の表面上に形成された電極と、
前記電極と接続されたインターコネクタと
を有しており、
前記インターコネクタは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の平角導線であり、
前記平角導線の前記表面層を介して、前記電気導線部と前記電極とが電気的に接続されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記インターコネクタは、前記電気導線部の受光面側で前記電極との非接続部位となる前記幅広面にも前記表面層を有していることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246536(P2012−246536A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119562(P2011−119562)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】