説明

太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材

【課題】太陽電池素子に悪影響を及ぼす可能性のある有機系の防錆剤を使用することなく、良好な防錆性及びハンダ加工性を備えた太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材及びそれを用いた太陽電池用集電シートの製造方法を提供する。
【解決手段】銅箔11の表面に亜鉛からなる亜鉛層12が形成された導電性基材10であって、亜鉛層12は、クロムを含有せず、亜鉛の量が20mg/mを超えて40mg/m以下であることを特徴とする太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池モジュールの内部において配線として使用される太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、表面側封止材シート、太陽電池素子、裏面側封止材シート、及び裏面保護シートが順に積層された構成であり、太陽光が上記太陽電池素子に入射することにより発電する機能を有している。
【0003】
太陽電池モジュールの内部で発電を行う太陽電池素子は、通常、太陽電池モジュールの内部に複数枚設けられ、これらが直並列接続されることにより必要な電圧及び電流を得られるように構成されている。複数の太陽電池素子を太陽電池モジュールの内部で配線するために、例えば、配線パターンになる金属箔を基材である樹脂シートの表面に積層させた太陽電池用集電シートが使用される(特許文献1参照)。そして、金属箔からなる配線パターンと、太陽電池素子の出力電極とはハンダ加工により電気的に接合される。
【0004】
太陽電池用集電シートの基材である樹脂シートの表面に配線パターンを設けるには、例えば、プリント配線基板と同様に、まず、基材の表面の全面に金属箔等からなる導電性基材を積層させ、その後、この導電性基材をフォトリソグラフィ法により所望の配線パターンとなるようにエッチング加工すればよい。
【0005】
ところで、上記の導電性基材として一般的に用いられる銅箔の表面は、極めて酸化されやすい。そして、酸化された銅箔の表面は、ハンダに対する濡れ性が著しく劣る。そのため、配線パターンとなる銅箔の表面には、防錆加工が必要である。この点、プリント配線基板では、配線パターンとなる銅箔の表面に防錆塗膜を塗布する方法(特許文献2参照)、銅と錯体構造を形成した被膜を配線パターンの表面に形成させる方法(特許文献3参照)等のように、配線パターンとなる導電性基材の表面に有機系の防錆剤による防錆処理が行われている。このような防錆処理が施されたプリント配線基板は、配線パターンの表面の酸化が抑制されるために、ハンダに対する良好な濡れ性が維持され、ハンダ加工による電子部品のプリント配線基板への確実な装着という観点からは好ましいものである。
【0006】
しかしながら、太陽電池用集電シートは、何十年もの長期間に亘って太陽光に曝露されながら太陽電池素子に接合した状態で使用される。このため、プリント配線基板のように有機系の防錆剤を使用した防錆処理が施されると、長期間に亘る使用の途中で、有機系の防錆剤が、それ自身又はそれが分解して生成した化合物によって太陽電池素子に悪影響を及ぼし、太陽電池モジュールの性能劣化の原因になり得る。
【0007】
太陽電池用集電シートの配線パターンを形成する導電性基材には、有機系の防錆剤を使用しない防錆処理が必要である。そのような防錆処理として、クロム及び亜鉛を含むメッキによって銅箔上に防錆層を設ける処理が行なわれている(特許文献4参照)。しかし、クロム/亜鉛による防錆処理を施した場合には、有機系の防錆剤を使用した場合のような太陽電池素子への悪影響が軽減される一方で、配線パターンのハンダに対する濡れ性が著しく低下してしまい、太陽電池素子の電極と太陽電池用集電シートとのハンダによる接合の確実性が低下するという問題があった。
【0008】
以上のように、防錆性と太陽電池素子に対する安定性、及び良好なハンダ加工性(すなわちハンダに対する濡れ性)とを兼ね備える太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材が存在しなかったのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−081237号公報
【特許文献2】特開平9−326549号公報
【特許文献3】特開平6−006018号公報
【特許文献4】特開2000−178787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、太陽電池素子に悪影響を及ぼす可能性のある有機系の防錆剤を使用することなく、良好な防錆性及びハンダ加工性を備えた太陽電池用集電シートの配線パターン形成用として好適に用いることのできる導電性基材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、銅箔の表面に、防錆剤として一般的に必須であるとされているクロムを使用せずに、所定の付着量の亜鉛からなる保護膜を形成した導電性基材を配線パターン形成用として用いることにより、太陽電池用集電シートの配線パターンにおいて、良好な防錆性とハンダ加工性を両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0012】
(1) 太陽電池用集電シートの配線パターンに用いる導電性基材であって、厚さ10μm〜35μmの銅箔の少なくとも一方の面に、付着量として20mg/mを超えて40mg/m以下の亜鉛層が形成されていることを特徴とする導電性基材。
【0013】
(2) 前記銅箔が電解製箔で形成されている(1)に記載の導電性基材であって、前記銅箔の光沢面に前記亜鉛層が形成されていることを特徴とする導電性基材。
【0014】
(3) 前記銅箔の前記亜鉛層上に、更に一又は複数の機能強化層が形成されている(1)又は(2)に記載の導電性基材であって、前記機能強化層のうちのいずれの層にもクロムを含有しないことを特徴とする(1)又は(2)に記載の導電性基材。
【0015】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の導電性基材を、樹脂基材と積層して積層体を得る積層工程と、所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスクを前記積層体の表面に形成した後にエッチング処理を行うことにより、前記エッチングマスクに覆われていない箇所の前記導電性基材を除去するエッチング工程と、前記エッチング工程後に、アルカリ性の剥離液を使用して前記エッチングマスクを除去する剥離工程と、を備える太陽電池用集電シートの製造方法であって、前記剥離工程において、前記エッチングマスクを剥離するとともに、前記亜鉛層の表面の一部を前記アルカリ性の剥離液で除去することにより、前記亜鉛の付着量が0.5mg/mを超えて20mg/m以下である防錆保護層を前記配線パターンの表面に形成させることを特徴とする太陽電池用集電シートの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、太陽電池素子に悪影響を及ぼす可能性のある有機系の防錆剤を使用することなく、良好な防錆性及びハンダ加工性を備えた太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材の層構成を示す模式図である。
【図2】本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材を用いた太陽電池用集電シートを示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における縦断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の配線シートの製造方法の一実施態様により配線パターンが形成される様子を順次示す模式図である。
【図4】実施例2における表面亜鉛量とハンダ盛り高さとの関係を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材(以下、単に「導電性基材」ともいう)、本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材を用いた太陽電池用集電シートの製造方法について説明する。
【0019】
<太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材>
まず始めに、本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材10について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材10の層構成を示す模式図である。
【0020】
導電性基材10は、銅箔11の少なくとも一方の面に亜鉛層12が形成されてなる導電性の薄膜であり、後に詳しく説明する製造方法によって、太陽電池用集電シート1(図2参照)を製造する際に、配線パターン10aを構成する基材として好適に用いることができるものである。導電性基材10において亜鉛層12が形成されていない銅箔11の他方の面については、特に層構成等は限定されないが、少なくとも何らかの防錆処理が施されていることが好ましく、本実施例の導電性基材10においては、亜鉛からなる背面亜鉛層13が形成されている。
【0021】
銅箔11は、導電性基材10が、太陽電池用集電シート1において、配線パターン10aとなったときに、配線パターン10aの導通部となる。配線パターン10aには高い導電性、及び成形時の加工適性も求められるが、銅箔11はそれらの条件を十分に満足するものである。
【0022】
銅箔11の厚さは、後に詳しく説明する太陽電池用集電シート1(図2参照)に要求される耐電流の大きさ等に応じて適宜設定すればよい。銅箔11の厚さは、特に限定されないが、一例として10〜35μmが挙げられる。
【0023】
銅箔11は電解式及び圧延式の方法を含む従来周知の製造方法により製箔することができる。製造方法は、特に限定されないが、好ましい一例として電解式の製箔方法が挙げられる。電解式の製箔方法は、電解浴に部分的に浸漬された回転ドラム陽極にそれに間隔を置いて対面する円弧状陰極を備え、間に電解液を流通せしめる電解設備において、回転ドラムに銅を電着させ、最終的に所定の厚さの銅箔をドラムから剥離することにより銅箔を製箔する製造する方法である。この方法で製造された銅箔は、製箔時に回転ドラム側に密着していた側の面が表面の粗さが極めて小さい光沢面となり、反対側の面が比較的表面の粗さが大きい粗化面となる。
【0024】
導電性基材10を構成する銅箔11として、上記のように光沢面と粗化面を備える銅箔を特に好ましく用いることができる。光沢面と粗化面を備える銅箔を銅箔11とする際は、光沢面側に以下に詳しく説明する亜鉛層12を形成することにより、特にハンダ加工適性に優れる導電性基材10を製造することができる。
【0025】
亜鉛層12は、銅箔11の表面が酸化するのを抑制するために銅箔11の一方の面、好ましくは光沢面に薄膜形成された亜鉛からなる層である。ここで、導電性基材10において亜鉛層12の形成される側の面は、太陽電池用集電シート1の配線パターン10aとして用いられる際に、配線パターン10aが太陽電池素子の電極と接合する側の面となる(図2参照)。そのため、亜鉛層12の形成される側の面には、防錆性に加えてハンダ加工性が求められる。従来、銅箔の表面に有機系の防錆剤を用いない防錆処理を施す場合は、亜鉛層に加えてクロム層を形成することが必須とされてきたが、本発明の導電性基材10は、太陽電池素子の電極と接合する側の面に一定の付着量に限定した亜鉛層を形成することによって太陽電池用集電シート用途における必要な防錆性を確保しつつ、且つ、少なくとも太陽電池用集電シートの配線パターンとしての使用時には、この面をクロムレスとすることでハンダ加工適性を向上させている点に特徴がある。
【0026】
銅箔11の表面に亜鉛層12を形成させるため方法は特に限定されず、亜鉛めっき、亜鉛のスパッタや蒸着によって形成することができる。なかでも、従来公知の電解めっき方法を好ましく使用することができる。めっき液は、亜鉛以外にも、必要に応じて、錯化剤又はアンモニア水等を含有していてもよい。めっき条件としては、めっき液の温度を15℃から50℃の範囲とすることが好ましい。
【0027】
ここで、導電性基材10の亜鉛層12は、後に詳しく説明する通り、エッチング処理工程後のエッチングマスクを除去する剥離工程時に、配線パターン10a上に残った防錆保護層12aの表面の一部が削除されて、最終的には、配線パターン10aにおいて、もとの亜鉛層12よりも薄い防錆保護層12bとなる(図3参照)。導電性基材10は、太陽電池用集電シート1において配線パターン10aとなった際に、防錆保護層12bにおける亜鉛の付着量が以下に説明する適切な量となるように、予め亜鉛層12の亜鉛の付着量を適切な範囲に調整しておくことにより、太陽電池用集電シート1の配線パターン10aに防錆性と太陽電池素子に対する安定性、及び良好なハンダ加工性とを付与しうるものとなっている。
【0028】
具体的には、導電性基材10が、太陽電池用集電シート1の配線パターン10aとなった状態において、導電層11aの表面上に防錆保護層12bを形成する亜鉛の付着量は、0.5mg/mを超えて20mg/m以下であることが好ましい。防錆保護層12bを形成する亜鉛の付着量がこの範囲であるとき、太陽電池用集電シート1は、防錆性と太陽電池素子に対する安定性、及び良好なハンダ加工性とを兼ね備えることができる。
【0029】
上記の亜鉛の付着量は、薄膜を形成させるには極めて小さい量である。そのため、このような微量の亜鉛で形成された薄膜は、原子数個レベルの厚さであると考えられ、また、所々に膜の欠陥を生じていると考えられる。このような膜の欠陥が存在するために、防錆保護層12bの下層に存在する導電層11aの銅が所々で露出しており、そのためハンダ加工性と防錆性とを両立することができると考えられる。
【0030】
太陽電池用集電シート1の配線パターン10aに最終的に形成される防錆保護層12bの付着量を上記範囲とするために、導電性基材10においては、銅箔11上に形成される亜鉛層12における亜鉛の付着量を、20mg/mを超えて40mg/m以下とする。また、25mg/mを超えて35mg/m以下であることが更に好ましい。亜鉛層12における亜鉛の付着量が20mg/m未満であると、エッチング処理後の防錆保護層12bを形成する亜鉛の付着量を0.5mg/mを超えるものとすることが難しく、配線パターン10aの防錆性が不十分となる。又、亜鉛層12における亜鉛の付着量が40mg/mを超えると、一般的な条件でエッチング処理をした場合の防錆保護層12bを形成する亜鉛の付着量が20mg/mを超えてしまい、配線パターン10aのハンダ加工性が低下してしまう。又、それを防ぐために亜鉛の除去量を大きくすることは可能であるとしても、除去される亜鉛のコストが増大するため好ましくない。
【0031】
本発明では、上記のように、導電性基材10において、銅箔11の表面に亜鉛からなる亜鉛層12を特定の付着量で形成させることで、最終製品である太陽電池用集電シート1におけるハンダ加工性と防錆性との両立を図っている。元来、亜鉛はハンダに対する付着適性の乏しいものである。しかしながら、本発明者らは、意外にも、太陽電池用集電シート1の配線パターン10aの導電層11aの表面に形成される防錆保護層12bを構成する亜鉛の付着量を0.5mg/mを超えて20mg/m以下とすることによって、亜鉛によるハンダの加工適性の低下が抑制されるとともに、導電層11aを構成する銅の酸化が2か月程度の時間内においては十分に抑制されることを見出し、更に、配線パターン10aの構成材料となる導電性基材10においても亜鉛層12を構成する亜鉛の付着量を20mg/mを超えて40mg/m以下とすることにより、銅箔11を構成する銅の酸化についても3か月程度の時間内においては十分に抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0032】
太陽電池用集電シートにおいては、太陽電池素子との接合前の配線パターンの酸化に対しては極めて高い防錆性が求められるが、太陽電池モジュールとして一体化された後については、銅箔の表面はハンダで覆われ、更に、太陽電池モジュールの構成部材は高いガスバリア性を備えるため、銅箔の酸化が進みにくい状態となり、又、一体化後であれば、視認できない程度の僅かな酸化であれば問題とはならない。従って上述したような時間内において必要な防錆性能を発揮しうるものであれば、実施上において何ら不足はない。このような事情から、本発明の導電性基材は、その用途を太陽電池用集電シートの配線パターン形成用とする場合には、極めて好適な部材として用いることができる。
【0033】
導電性基材10において亜鉛層12の形成される側の面と反対側の面は、太陽電池用集電シート1の配線パターン10aとして用いられる際に、配線パターン10aにおける樹脂基材20と接合する面となる。そのため亜鉛層12の形成される面ほどの高い防錆性やハンダ加工性は求められないが、適当な防錆性を確保するために、背面亜鉛層13が形成されることが好ましい。通常は、亜鉛層12を、上記めっき方法によって形成する際に背面亜鉛層13も同時に形成されることとなる。ただし、背面亜鉛層13には、亜鉛層12と同等の物性は求められないことより、本発明の必須の構成要件ではない。
【0034】
導電性基材10は、上記した各層以外にも、他の機能強化層を必要に応じて更に備えるものであってもよい。これらの機能強化層としては、例えばニッケル等を積層した耐熱層或いは粗化面に設けられるシランカップリング剤等を用いた密着性向上層等が挙げられるがこれらに限られない。ただし、機能強化層が亜鉛層12側の面に設けられるものである場合には、ハンダ加工適性への悪影響を避けるためにクロムを含有しない層とすることが好ましい。
【0035】
尚、樹脂基材との接合面となる亜鉛層12とは反対側の面については、樹脂基材との接着性を向上するために、例えばシランカップリング剤等を用いた密着性向上層や、各種の粗化粒子を積層させた粗化処理層を別途形成することが好ましい。これらの層については、ハンダ加工適性への影響を考慮することは不要であるため、クロムの排除は特に求められない。
【0036】
<太陽電池用集電シート>
まず始めに、本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材10の一実施形態である太陽電池用集電シート1について、図2を参照しながら説明する。図2は、太陽電池用集電シート1の模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における縦断面図である。本発明の導電性基材10は、図2に示す太陽電池用集電シート2において配線パターン10aを形成するための材料として用いられる。
【0037】
図1(a)及び(b)に示す通り、太陽電池用集電シート1は、樹脂基材20の表面に導電性基材10からなる配線パターン10aが形成されたものである。後に詳しく説明する通り、樹脂基材20の表面に本発明の導電性基材10を接合させ、その後、エッチング処理等によりパターニングする方法により、配線パターン10aを樹脂基材20の表面に形成することができる。
【0038】
配線パターン10aは、所望の配線形状(配線パターン)となるように太陽電池用集電シート1の表面に形成された電気配線である。配線パターン10aは、導電層11aと、導電層上11aの一方の面に形成される防錆保護層12bとを備える。
【0039】
導電層11aは高い導電性を有する銅箔11からなり、配線パターン10aに導電性を付与して、太陽電池用集電シート上で太陽電池素子の電極と接合され、太陽電池素子からの集電を行うための電気配線となる。
【0040】
防錆保護層12bは、亜鉛層12からなり、導電層11aの表面の酸化を抑制する層である。防錆保護層12bは、太陽電池用集電シートの配線パターン10aにおいて、太陽電池素子の出力電極と接合される側の面となる。
【0041】
背面防錆保護層13aは、背面亜鉛層13により形成される防錆層であり、導電層11aの樹脂基材と接着される側の面に形成される。
【0042】
樹脂基材20は、シート状に成型された樹脂である。樹脂基材20を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系等が例示される。これらの中でも、ハンダ加工における良好な耐熱性を太陽電池用集電シート1に付与することができるとの観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が最も好ましい。
【0043】
樹脂基材20の厚さは、太陽電池用集電シート1に要求される強度や薄さ等に応じて適宜設定すればよい。樹脂基材20の厚さは、特に限定されないが、一例として20〜250μmが挙げられる。
【0044】
<太陽電池用集電シートの製造方法>
次に、図3(a)〜(d)を参照しながら本発明の太陽電池用集電シートの製造方法の一実施態様について説明する。図2(a)〜(d)は、本発明の太陽電池用集電シート1の製造方法の一実施態様により配線パターンが形成される様子を順次示す模式図である。なお、以下の説明において、既に説明した内容と重複する部分については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0045】
本実施態様の太陽電池用集電シート1の製造方法により、上記で説明した太陽電池用集電シート1が製造される。本実施態様の太陽電池用集電シートの製造方法では、図3(a)に示すように、樹脂基材20の表面に、導電性基材10を積層する積層工程により積層体3を形成し、この積層体3に対して、エッチング工程及び剥離工程を施すことにより、太陽電池用集電シート1が作製される。以下、積層工程、エッチング工程及び剥離工程について説明する。
【0046】
[積層工程]
樹脂基材20の表面に本発明の導電性基材10を接合させるには、公知の方法を特に制限なく使用することができる。このような方法としては、導電性基材10を接着剤によって樹脂基材20の表面に接着する方法が挙げられる。中でも、ウレタン系、ポリカーボネート系、エポキシ系等の接着剤を使用したドライラミネート法によって導電性基材10を樹脂基材20の表面に接着する方法が好ましい。このとき、導電性基材10を構成する銅箔11が光沢面と粗化面を有するものである場合には、粗化面側を樹脂基材に接合させる。
【0047】
[エッチング工程]
エッチング工程は、所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスク14を導電性基材10の表面に作製した後でエッチング処理を行うことにより、エッチングマスク14に覆われていない箇所における導電性基材10を除去する工程である。
【0048】
既に説明したように、この工程で使用される積層体3は、樹脂基材20の表面に導電性基材10が積層されたものである。亜鉛からなる亜鉛層12は、後述する剥離工程において、その一部が除去されて、防錆保護層12bとなる。このため、亜鉛層12における亜鉛の付着量は、剥離工程の条件等に合わせて適宜調整すればよく、一般的な剥離工程の条件においては、亜鉛層12における亜鉛の付着量を、20〜40mg/mの範囲で調整することにより、防錆保護層12bにおける亜鉛の付着量を0.5mg/mを超えて20mg/m以下とすることが可能であり、このようにして、太陽電池用集電シート1を防錆性と太陽電池素子に対する安定性、及び良好なハンダ加工性とを兼ね備えるものとすることができる。
【0049】
この工程では、図2(b)に示すように、まず、導電性基材10の表面(すなわち亜鉛層12の表面)に所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスク14が作製される。エッチングマスク14は、後に説明するエッチング工程において、将来配線パターン10aとなる防錆保護層12a及び導電層11aがエッチング液による腐食を免れるために設けられる。つまり、作製しようとする配線パターン10aの平面視形状とエッチングマスク14の平面視形状は同一である。このようなエッチングマスク14を形成する方法は特に限定されず、例えば、フォトレジスト又はドライフィルムをフォトマスクを通して感光させた後で現像することにより導電性基材10の表面にエッチングマスク14を形成してもよいし、インクジェットプリンター等の印刷技術により導電性基材10の表面にエッチングマスク14を形成してもよい。
【0050】
エッチングマスク14は、後に説明する剥離工程において、アルカリ性の剥離液で剥離できることが必要である。このような観点からは、フォトレジスト又はドライフィルムを使用してエッチングマスク14を作製することが好ましい。
【0051】
次に、エッチング工程におけるエッチング処理について説明する。この処理は、図2(c)に示すように、導電性基材10のうち、エッチングマスク14に覆われていない部分をエッチング液により除去する処理である。この処理を経ることにより、導電性基材10のうち、配線パターン10aとなる箇所以外の部分が除去されるので、樹脂基材20の表面には、所望とする配線パターン10aの形状に配線パターン10aが残ることになる。エッチング処理に使用されるエッチング液については、公知のものを特に制限なく使用することができる。
【0052】
[剥離工程]
次に、剥離工程について説明する。この工程は、アルカリ性の剥離液を使用して、エッチングマスク14を除去する工程である。
【0053】
この工程を経ることにより、図2(d)に示すように、エッチングマスク14が防錆保護層12aの表面から除去される。このとき、防錆保護層12aは、アルカリ性の剥離液によってその表面の一部が溶解されて、もとの防錆保護層12aよりも薄膜で亜鉛の付着量が5〜15mg/mである防錆保護層12bとなる。つまり、防錆保護層12bは、導電性基材10の表面に存在していた防錆保護層12aが薄膜になることによって形成された層である。薄膜の防錆保護層12bが存在することにより、導電層11aの防錆性とハンダ加工適性とが太陽電池用集電シート1に付与されることは既に述べた通りである。
【0054】
剥離工程で使用されるアルカリ性の剥離液としては、例えば、苛性ソーダの水溶液が挙げられる。
【0055】
本実施態様の太陽電池用集電シートの製造方法では、剥離工程において、エッチングマスク14を完全に剥離させる一方で、防錆保護層12bの亜鉛の付着量が5〜15mg/mで残るように溶解させる。このため、エッチングマスク14を完全に剥離することができ、且つ、防錆保護層12bにおける亜鉛の付着量を5〜15mg/mで残すことのできる条件を、製造試験により調べることが必要である。具体的には、剥離液の種類、剥離液の温度、剥離液の濃度、剥離工程の処理時間等によって、エッチングマスク14の剥離の程度や防錆保護層12bの残存の程度が変化するので、上記の条件に適合するように、製造試験において剥離工程の条件を適宜決定する。なお、防錆保護層12bがどの程度残存しているかについては、既に説明した通り、原子吸光分析等によって残存した亜鉛の量を定量すればよい。製造試験により条件が決定された後は、その条件を使用して本製造を行えばよい。
【0056】
一例として、付着量(厚さ)30mg/mの亜鉛層12を有する導電性基材10、及びドライフィルムを光硬化させた厚さ15μmのエッチングマスク14を使用した場合、温度40℃、濃度1.5g/Lの苛性ソーダ水溶液を剥離液とし、剥離工程として約1分間の浸漬処理を施すことにより、エッチングマスク14は完全に除去され、防錆保護層12bの付着量(厚さ)は、約10mg/mとなった。
【0057】
なお、上記の本発明の太陽電池用集電シートにおいては、いわゆるハンダショートが好適に抑制できるという優れた効果を奏する。すなわち本発明の太陽電池用集電シートは、ハンダの濡れ性に優れるため、配線間の絶縁部分へのハンダ残りがほとんどない。このため、本発明の太陽電池用集電シートは、特に、配線間ピッチが1mm以下の高密度配線においてはもちろん、200μm以下の高密度配線や100μm以下の高密度配線においても好適に用いられる。
【0058】
また、使用するハンダが、導電性の合金成分と、絶縁性の高い樹脂成分と、からなる合金/樹脂複合系ハンダであって、このハンダを太陽電池用集電シート面の略全面に塗布した後に太陽電池用集電シートと重ね、その後リフローして太陽電池用集電シートと加熱接合する際に、ハンダの樹脂成分を配線間に残しつつ、合金成分を配線パターン上に移行させて合金と樹脂とを相分離し、ハンダの合金成分で配線パターンと接合する方法に、本発明の太陽電池用集電シートを好適に用いることができる。すなわち、この場合、リフローによって速やかに合金と樹脂とが分離する必要があるが、本発明の太陽電池用集電シートは配線パターン部分の濡れ性に優れるので、合金部分の移行が速やかに起こる。
【0059】
<太陽電池モジュール>
本発明の導電性基材10を用いた太陽電池用集電シート1は、太陽電池モジュールに組み込まれてモジュール内の電気配線として使用される。太陽電池用集電シート1における導電層11aの表面と、太陽電池素子の電極とが防錆保護層12bを介してハンダ加工によって接合することにより、太陽電池用集電シート1と太陽電池素子とが電気的に接合され、電気配線となる。
【0060】
ここで、太陽電池素子の電極とは、太陽電池素子が光を受けて発生させた電力を、太陽電池素子の外部に出力するための電極である。特に限定されないが、この電極は、一例として、銀、又は銀化合物等で構成される。
【0061】
又ハンダ加工において使用されるハンダは、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。このようなハンダの一例としては、鉛−錫合金ハンダ、銀入りハンダ、無鉛ハンダ、錫−ビスマス、錫−ビスマス−銀、等が挙げられる。太陽電池素子の電極と、銅箔11の表面とを防錆保護層12bを介してハンダ加工によって接合する際、従来公知の方法を特に制限なく使用することができる。
【0062】
太陽電池用集電シート1と太陽電池素子との接合体は、必要に応じて、透明前面基板、表面側封止材シート、背面側封止材シート、裏面保護シート等を組み合わせることにより、太陽電池モジュールとなる。
【0063】
このような太陽電池モジュールの一例として、太陽電池モジュールの表面側から、透明前面基板、表面側封止材シート、太陽電池素子と太陽電池用集電シート1との接合体、裏面側封止材シート及び裏面保護シートをこの順で重ねあわせ、真空熱ラミネート加工により一体化したものが挙げられるが、このような構成には限定されず、太陽電池モジュールに要求される性能を考慮して適宜構成すればよい。
【0064】
以上、本発明の太陽電池用集電シートの配線パターン形成用の導電性基材及びそれを用いた太陽電池用集電シートの製造方法について、その実施形態及び実施態様を示して具体的に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施態様に限定されるものでなく、本発明の構成の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0066】
<試験例1>
電解製箔法によって得られる厚さ25μmの銅箔の光沢面に、亜鉛電解めっきによって付着量30mg/mの亜鉛層が形成された導電性基材を、シート状に成型されたポリエチレンナフタレート(PEN)(厚さ50μm)の基材表面にドライラミネート法により積層した積層体を使用した。この積層体の表面にドライフィルムを使用して、厚さ80μm、幅150mm、長さ150mmのエッチングマスクを作製した。
【0067】
その後、温度45℃、濃度250g/Lの塩化第2鉄水溶液をエッチング液として、上記エッチングマスクが形成された積層シートをこのエッチング液に約2分間浸漬し、次いで、純水で洗浄した。これにより、エッチングマスクで被覆されていない箇所の導電性基材が除去された。
【0068】
次に剥離工程として、上記エッチング処理を経た積層体を、温度40℃、濃度1.5g/Lの苛性ソーダ水溶液である剥離液に、表1記載の時間だけ浸漬した。次いで、純水で洗浄した。これにより、導電性基材からなる幅150mm、長さ150mmの配線パターンが基材の表面に形成された。配線パターンの防錆保護層(亜鉛層)に含まれる亜鉛の量を原子吸光分析により定量した結果を表1に示す。
【0069】
表1に記載した実施例1〜3及び比較例1〜2の太陽電池用集電シートのそれぞれについて、ハンダ密着適性を試験した。試験に使用したハンダは、合金成分として錫42%、ビスマス57%、銀1%を含むものであり(タムラ化研株式会社製の形式TCAP―5405)、太陽電池用集電シート面の全面にハンダを塗布した後、太陽電池用集電シートをホットプレートでハンダ溶融温度である160から170℃となるように加熱溶融さえた。これにより、ハンダの合金成分は、太陽電池用集電シートの配線パターン部分に移行した。ハンダ密着適性の評価は、目視により行い、以下の基準に従った。
○:ハンダが配線パターンに広がり、良好な濡れ性を示した
△:ハンダが配線パターンの表面に盛り上がるように付着したが、密着性は良好だった
×:ハンダが配線パターンの表面に盛り上がるように付着し、密着性は不良だった
【0070】
表1に記載した実施例1〜3及び比較例1〜2の太陽電池用集電シートのそれぞれについて、85℃、85%RHで24時間放置することにより、防錆性を評価した。防錆性の評価は、目視により行い、以下の基準に従った。
○:配線パターンの表面に曇りを生じない
△:配線パターンの表面の金属光沢がやや低下した
×:配線パターンが部分的に変色した
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示すように、防錆保護層に含まれる亜鉛の量が5〜15mg/mである実施例1〜3の太陽電池用集電シートでは、ハンダ密着適性及び防錆性を両立することができるのに対して、比較例1及び2では、ハンダ密着適性又は防錆性のいずれかを満足できないことがわかる。このことから、本発明の導電性基材を用いた太陽電池用集電シートの有効性を確認することができる。
【0073】
<試験例2>
防錆保護層に含まれる亜鉛の量を下記表2の量とした以外は試験例1と同様にして、実施例4から7、比較例3から4の太陽電池用集電シートを得た。次に、それぞれの太陽電池用集電シート上に、6mm径のスクリーンを用いてハンダを円形形状に塗布した。その後、太陽電池用集電シートをホットプレートでハンダ溶融温度である160から170℃となるように加熱溶融させ、その後放置により冷却した。
【0074】
この際、ハンダは表面張力によって銅表面上、断面視で略凸半球状(ドーム状)を形成した。この高さをマイクロメーターにて計測してハンダ盛り高さとした(N=3の平均値)。また、スポット毎のハンダ塗布量を別途測定し、単位重量あたりのハンダ盛り高さを求めた。また、濡れ性の外観目視状態を試験例1と同じく3段階で示した。この結果をまとめて表2に示す。また、図4には、横軸に防錆保護層に含まれる亜鉛量、縦軸に単位重量あたりのハンダ盛り高さとして両者の関係をグラフで示した。
【0075】
【表2】

【0076】
表2と図4に示すように、本発明の範囲内及び好ましい範囲内の亜鉛量で濡れ性が良好となっていることが理解できる。なお、亜鉛量がゼロの場合(比較例4)には、測定開始時に、銅表面に錆びが発生しており評価を行わなかった。このため、表2において、濡れ性目視評価を「−」と表記した。
【0077】
また、表2と図4とから、ハンダをスポット状に塗布して溶融冷却し、そのハンダ盛り高さが濡れ性の指標として好適なことが判明した。なお、スポット毎の塗布量を一定にすることが困難な場合には、ハンダ塗布量を測定して単位重量あたりのハンダ盛り高さとすれば更に精度が向上する。この実施例においては、亜鉛量20mg付近(ハンダ盛り高さ10μm付近)に濡れ性の臨界点があることが理解できる。この方法を用いることで、盛り高さの測定のみで簡易的に濡れ性を比較でき評価手法としても極めて有益である。
【0078】
<試験例3>
電解製箔法によって得られる厚さ25μmの銅箔の光沢面に、電解めっきによって付着量5mg/mの亜鉛層及びその上層に更に付着量2mg/mのクロム層が形成された導電性基材を、試験例1と同じの基材の表面にドライラミネート法により積層した積層体を使用した。この積層体の表面にドライフィルムを使用して、試験例1と同じく厚さ80μm、幅150mm、長さ150mmのエッチングマスクを作製した。
【0079】
その後、試験例1と同方法、同条件でエッチングマスクで被覆されていない箇所の導電性基材を除去した。
【0080】
次に剥離工程として、上記エッチング処理を経た積層体を、温度40℃、濃度1.5g/Lの苛性ソーダ水溶液である剥離液に、実施例1と同じく90秒間だけ浸漬した。次いで、純水で洗浄した。これにより、導電性基材からなる幅150mm、長さ150mmの配線パターンが基材の表面に形成された。配線パターンの防錆保護層の表層に含まれるクロムの量を原子吸光分析により定量したところ、クロムの付着量は2mg/mであった。
【0081】
このクロム層を備える太陽電池用集電シートについて、上記試験例1に記載の試験方法及び評価基準で、ハンダ密着適性及び防錆性を評価した。結果は、いずれも、防錆性については○であり、ハンダ密着性については×という結果であった。
【符号の説明】
【0082】
1 太陽電池用集電シート
10 導電性基材
10a 配線パターン
11 銅箔
11a 導電層
12 亜鉛層
12a 防錆保護層
12b 防錆保護層
13 背面亜鉛層
13a 背面防錆保護層
14 エッチングマスク
20 樹脂基材
3 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池用集電シートの配線パターンに用いる導電性基材であって、
厚さ10μm〜35μmの銅箔の少なくとも一方の面に、付着量として20mg/mを超えて40mg/m以下の亜鉛層が形成されていることを特徴とする導電性基材。
【請求項2】
前記銅箔が電解製箔で形成されている請求項1に記載の導電性基材であって、
前記銅箔の光沢面に前記亜鉛層が形成されていることを特徴とする導電性基材。
【請求項3】
前記銅箔の前記亜鉛層上に、更に一又は複数の機能強化層が形成されている請求項1又は2に記載の導電性基材であって、
前記機能強化層のうちのいずれの層にもクロムを含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性基材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の導電性基材を、樹脂基材と積層して積層体を得る積層工程と、
所望の配線パターンの形状にパターニングされたエッチングマスクを前記積層体の表面に形成した後にエッチング処理を行うことにより、前記エッチングマスクに覆われていない箇所の前記導電性基材を除去するエッチング工程と、
前記エッチング工程後に、アルカリ性の剥離液を使用して前記エッチングマスクを除去する剥離工程と、を備える太陽電池用集電シートの製造方法であって、
前記剥離工程において、前記エッチングマスクを剥離するとともに、前記亜鉛層の表面の一部を前記アルカリ性の剥離液で除去することにより、前記亜鉛の付着量が0.5mg/mを超えて20mg/m以下である防錆保護層を前記配線パターンの表面に形成させることを特徴とする太陽電池用集電シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−4236(P2013−4236A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132438(P2011−132438)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】