説明

宇宙機に搭載された構成部品を保護するための電力管理方式

【課題】従来の電力管理方法は、瞬時最大電力しか制限できなく、ビーム形成環境においても使用可能ではない。
【解決手段】宇宙機106上の電力ユニット118を保護するためのシステムは、地上局108を含む。地上局108は、宇宙機106の電力ユニット118に対する電力負荷レベルを推定するための電力ユニット負荷推定および監視モジュール130を含む。地上局108はまた、宇宙機106の電力ユニット118の過負荷を防ぐように地上局108から宇宙機106へ伝達される信号の電力を調整する電力レギュレータ128を含む。宇宙機106へ伝達される信号の電力は、宇宙機106の電力ユニット118に対する推定電力負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、宇宙機、および、宇宙機または衛星を介した通信に関し、とりわけ、宇宙機に搭載された構成部品を保護するための電力管理方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星通信システムにおける無線周波数(RF)高電力通信ユニットは、通常、最大電力制限を有する。最大電力制限を超過すると、電力ユニットは、損傷する可能性がある。最大電力制限は、瞬時電力制限と特定時間窓平均電力制限とに分けることができる。典型的には、電力ユニットは、瞬時電力レベルと平均電力レベルとに対して異なる限界値を有する。電力ユニットの負荷は、システムにおけるトラフィック負荷とともに変化するのが一般的である。したがって、衛星または宇宙機によってより多くのトラフィックまたは通信信号が搬送されるほど、衛星の電力ユニットを通じて搬送または伝達される信号電力が高くなる。電力ユニットの過負荷の問題は、衛星通信システムにとって、特に、地上のビーム形成通信システムにとって主要な懸念材料である。現在の業界プラクティスでは、特に平均電力制限に対して、システムにおけるアクティブな電力管理を有さない電力ユニットに相当な電力のゆとりを与えている。しかしながら、電力ユニットが過負荷状態となった場合、該ユニットが損傷する可能性がある。実際にはいくつかの既存の保護方式が利用可能であり、該方式は、(増幅器のような)ハードウェア上の制限を用いて、あるユニット出力電力を制限している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの方式は、典型的に、瞬時最大電力しか制限できない。そのような方式は、いかなるビーム形成技術とともにも、ビーム形成環境においても使用可能ではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施形態によると、高電力で動作可能な通信電力ユニットといった、宇宙機上の構成部品を保護する電力管理システムおよび方法が示されている。該システムは、宇宙機に搭載された電力ユニットにより搬送または伝達される通信信号の平均電力を制限する電力レギュレータまたはリミッタを含んでいてもよい。1つまたは複数の予測モデルを用いて、宇宙機の電力ユニットに対する電力負荷を推定してもよい。宇宙機の電力ユニットの所定の電力制限または容量を超過する推定または予測電力負荷に応じて、電力負荷を低減するための措置が自動的に講じられてもよい。予測モデルは、利用可能なシステム統合テストデータに基づいて衛星システムの寿命初期(BOL)において形成されてもよい。予測モデルは、衛星の軌道上テスト(IOT)データに基づいて洗練されてもよい。予測モデルは、宇宙機通信システムにおける所定の電力管理位置からの電力管理データに基づいて通常動作中に更新されてもよい。電力ユニットに対する予測または推定電力負荷は、宇宙機遠隔測定データまたは測定電力データと比較または整合されてもよい。予測モデルに基づいて、地上トラフィック負荷を動的に割り当てて、宇宙機の電力ユニット間に電力を分配することにより、いかなる1つの電力ユニットも過負荷状態とならないようにしてもよい。それぞれの所定の制限に設定されたさまざまなリミッタにより、システムは、通常の動作条件下において、電力ユニットが過負荷状態となること、または、電力ユニットにより搬送または伝達されている信号電力がその容量を超過した結果、損傷が生じる可能性を実質的に防ぐだろう。異常な動作条件下において宇宙機の電力ユニットの損傷を防止するために、電力管理システムは、複数の調整点および複数の監視点を含んでもよい。調整点において、宇宙機の電力ユニットが過励振状態とならないように電力レベルが制御される。電力レベルは、電力リミッタまたはレギュレータにより制御してもよい。監視の観点からは、推定電力が故障制限または予め設定された制限を超えるといつでも、システムは、電力の低減を指令または自動的に実行してもよい。地上のトラフィック負荷点は、システムにフィードバックおよび更新を与えてもよい。
【0005】
ある実施形態によると、宇宙機上の電力ユニットを保護するためのシステムは、地上局を含んでもよい。該地上局は、宇宙機の電力ユニットに対する電力負荷レベルを推定するための電力ユニット負荷推定および監視モジュールを含んでもよい。該地上局はまた、宇宙機の電力ユニットの過負荷を防ぐように地上局から宇宙機へ伝達される信号の電力を調整する地上局電力リミッタを含んでもよい。宇宙機へ伝達される信号の電力は、宇宙機の電力ユニットに対する推定電力負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて調整してもよい。
【0006】
別の実施形態によると、宇宙機は、地上局送信機から受信した信号を宇宙機に搭載された種々の電力増幅器に割り当てる転送リンクプロセスモジュールを含んでもよい。該宇宙機はまた、地上ユーザに信号を伝達する前の、選択された機能のための電力ユニットを含んでもよい。宇宙機に搭載された宇宙機電力リミッタは、電力ユニットが過負荷状態となるのを防ぐように信号電力を調整してもよい。
【0007】
別の実施形態によると、宇宙機上の電力ユニットを保護するための方法は、宇宙機の電力ユニットに対する電力負荷レベルを地上局により推定することを含んでもよい。該方法はまた、宇宙機の電力ユニットの過負荷を防ぐように地上局から宇宙機へ伝達される信号の電力を調整することを含んでもよい。宇宙機へ伝達される信号の電力は、宇宙機の電力ユニットに対する推定電力負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて調整してもよい。
【0008】
請求項によってのみ定義されている本開示のその他の態様および特徴は、添付の図面とともに以下の非限定的な本開示の詳細な説明を検討すると、当業者にとって明らかとなるだろう。
【0009】
以下の実施形態の詳細な説明は、本開示の特定の実施形態を示す添付の図面に言及している。異なる構造および動作を有するその他の実施形態は、本開示の範囲を逸脱しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本開示のある実施形態に係る宇宙機上の電力ユニットを保護するためのシステムの一例を模式的に示すブロック図である。
【図2A】図2Aは、本開示のある実施形態に係る宇宙機の電力ユニットを保護するための方法の一例のフローチャートである。
【図2B】図2Bは、本開示のある実施形態に係る宇宙機の電力ユニットを保護するための方法の一例のフローチャートである。
【図3】図3は、本開示のある実施形態に係る電力ユニット負荷に基づく地球基準セル(ERC)電力割り当ての一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態の詳細な説明は、本開示の特定の実施形態を示す添付の図面に言及している。異なる構造および動作を有するその他の実施形態は、本開示の範囲を逸脱しない。
【0012】
当業者により理解されるであろうように、本開示は、方法、システムまたはコンピュータプログラム製品として実施されてもよい。したがって、本開示は、全体としてハードウェアの実施形態、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)全体としてソフトウェアの実施形態、または、ここで「回路」、「モジュール」もしくは「システム」とすべておしなべて呼ぶことができるソフトウェアとハードウェアの側面を組み合わせた実施形態の形を取ってもよい。さらに、本開示は、その上にコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを実施した1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体において実施されるコンピュータプログラム製品の形を取ってもよい。
【0013】
1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体のあらゆる組み合わせを利用することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体であっても、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えばこれに限定されないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線もしくは半導体システム、装置またはデバイスであっても、上記のいかなる適切な組み合わせであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例(網羅的ではないリスト)としては、以下のものが含まれるだろう:すなわち、1本以上の配線を有する電気接続、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能書き込み可能読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ(R)メモリ)、光ファイバー、携帯型コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または、上記のあらゆる適切な組み合わせである。本文書の文脈の中で、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置もしくはデバイスにより、または、これに関連して用いるためのプログラムを含むか、保存することができるいかなる有形の媒体であってもよい。
【0014】
コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、例えばベースバンド中に、または、搬送波の一部として、内部にコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを実施した伝搬データ信号を含んでいてもよい。そのような伝搬信号は、限定はされないが、電磁気、光学またはこれらのあらゆる適切な組み合わせを含むさまざまな形のいずれを取ってもよい。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体ではなく、かつ、命令実行システム、装置もしくはデバイスにより、または、これに関連して用いるためのプログラムを通信するか、伝搬するか、輸送することのできるいかなるコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよい。
【0015】
コンピュータ読み取り可能な媒体上で実施されるプログラムコードは、限定はされないが、無線、ワイヤライン、光ファイバーケーブル、RFなどまたは上記のあらゆる適切な組み合わせを含むあらゆる適切な媒体を用いて伝達されてもよい。
【0016】
本開示の態様のための動作を実行するコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などといったオブジェクト指向プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語といった従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語のいかなる組み合わせで記載されていてもよい。プログラミングはまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路上のハードウェア記述言語(HDL)と組み合わせてもよい。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で全体として、ユーザのコンピュータ上で部分的に、スタンドアローン型のソフトウェアパッケージとして、ユーザのコンピュータ上で部分的にかつリモートコンピュータ上で部分的に、または、リモートコンピュータまたはサーバ上で全体として実行可能である。後者の場合、該リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含むいかなる種類のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続されていてもよく、または、該接続は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いたインターネットを通じて)外部コンピュータに対して行ってもよい。
【0017】
本開示の実施形態に係る方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照しながら、下で本開示の態様を説明する。フローチャートおよび/またはブロック図の各ブロック、ならびに、フローチャートおよび/またはブロック図におけるブロックの組み合わせが、コンピュータプログラム命令により実施可能であることは理解されるだろう。これらコンピュータプログラム命令は、機械を製造するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または、その他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、その結果、コンピュータまたはその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される該命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて特定された機能/行為を実施するための手段を生み出す。
【0018】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、その他のプログラマブルデータ処理装置、または、その他のデバイスにある特定の手法で機能するよう指示することのできるコンピュータ読み取り可能媒体に保存されてもよく、その結果、コンピュータ読み取り可能媒体に保存された命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて特定された機能/行為を実施する命令を含む製造物品を製造する。
【0019】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、その他のプログラマブルデータ処理装置またはその他のデバイス上にロードされて、一連の動作ステップをコンピュータ、その他のプログラマブル装置またはその他のデバイス上で実行させ、コンピュータまたはその他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて特定された機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータにより実施されるプロセスを生み出すことができる。
【0020】
図1は、宇宙機の電力ユニットを保護するためのシステム例100を模式的に示したブロック図である。該システムは、本開示の実施形態に係る衛星オペレーションセンター102と、地上通信局104と、宇宙機106と、宇宙機電力ユニット保護方式108とを含んでいてもよい。
【0021】
地上局104は、あるユーザの通信デバイス110から、または、複数のユーザの通信デバイスから通信信号を受信してもよい。地上局104は、該通信信号を1人または複数のユーザから宇宙機106へ転送してもよく、その結果、該通信信号は、ビームまたは地球基準セル(ERC)へと形成され、各ERCに関連付けられた他の個々の地上ユーザ112の特定の通信デバイスへ伝達されることができる。
【0022】
地上局104は、ユーザの通信デバイス110から通信信号を受信する個々の地球基準セル(ERC)トラフィック負荷モジュール114を含んでいてもよい。各ERCへ伝達される各信号の信号電力は、第1のリミッタ116またはレギュレータにより調整されてもよい。第1のリミッタ116は、各ERCへ伝達される信号の電力レベルを所定の電力レベルへと制限または調整することができる。該所定のレベルは、システム統合テストデータ、軌道上テストデータに基づくか、または、その他の判断基準に基づいて決定することができる。第1のリミッタ116は確実に、通常の動作条件下において、宇宙機106の電力ユニット118の各々における信号電力が過負荷状態とならないように、または、電力ユニット118の運転制限値または容量を超過しないように保証可能である。
【0023】
地上局104はまた、地上ベースのビーム形成デジタルプロセスモジュール120(GBBFモジュール)を含んでいてもよい。第1のリミッタ116により調整された通信信号は、GBBFモジュール120により受信されてもよい。GBBFモジュール120は、宇宙機106に特定のERCにおいて信号を伝達させる形式に通信信号を変換することができる。GBBFモジュール120において用いることができるGBBFプロセスの一例が、Alexandr Draganovらに対して2010年6月1日付で発行された、「衛星通信のための最適化ビーム形成」という表題の米国特許第7,728,766号に記載されている。
【0024】
第2のリミッタ122は、GBBFモジュール120からの1つまたは複数の出力信号の電力を調整することにより、宇宙機106の電力ユニットが過負荷状態になったり、その容量を超過したりすることを防いでもよい。第2のリミッタ122は、GBBFプロセスが何らかの異常状態に遭遇した場合に、GBBFモジュール120からの出力信号の電力を調整または制限してもよい。より詳細に説明するように、第2のリミッタ122は、監視プロセスにより制御されてもよい。監視プロセスは、宇宙機106の通信システムにおける所定の位置における信号電力レベルを監視または測定してもよい。異常が検出されるか、信号電力の測定値が宇宙機106の電力ユニット118を過励振状態とするか、もしくは、その制限値を超過させかねない所定のレベルを超過した場合は、第2のリミッタ122は、地上局104からの電力レベル出力を低減してもよく、または、伝達された電力を完全に遮断してもよい。
【0025】
地上局104はまた、各ERC用の通信信号を宇宙機106へ伝達する1つまたは複数の地上無線周波数(RF)送信機ユニット124を含んでいてもよい。RF送信機ユニット124は、通信信号の宇宙機106への効果的な伝達に必要であるかもしれない信号上方変換、電力増幅、電力伝達およびその他のRF動作を提供してもよい。
【0026】
RF送信機ユニット124はまた、電力モニタ126および電力レギュレータ128を含んでいてもよい。電力モニタ126は、地上局104の送信機における出力電力を測定してもよい。電力レギュレータ128は、測定された出力電力に基づいて伝達された信号の出力電力を調整することにより、宇宙機106の電力ユニット118における信号電力をさらに制御して、電力ユニット118の過負荷状態を防いでもよい。
【0027】
地上局104はまた、電力ユニット負荷推定および監視モジュール130を含んでいてもよい。電力ユニット負荷推定および監視モジュール130は、宇宙機106の電力ユニット118の出力電力負荷レベルを推定することができる。該モジュール130は、次いで、第2のリミッタ122を制御して、地上RF送信機ユニット124に渡される通信信号の利得またはレベルを調節してもよい。電力ユニット118は、その出力電力レベルの再分配に用いられる。該ユニット118を制御または調節して、1つまたは複数の電力増幅器138によりもたらされる電力増幅器負荷に平衡をもたらしてもよい。ユニット118からの出力電力は、位相整合技術を用いることにより大きく不均衡となっている可能性がある。たとえGBBFモジュール120から電力増幅器138へかけてのすべてのデバイスに完全に負荷がかかっていなくとも、ユニット118の使用により、送信機146においてもたらされている高電力ユニットは、過負荷状態となる可能性がある。
【0028】
電力ユニット負荷推定および監視モジュール130は、宇宙機106の電力ユニット118の出力電力負荷レベルを予測する1つまたは複数の予測または予想モデル132を含んでいてもよい。予想または推定プロセスは、宇宙機106からの信号電力測定データを用いて、電力ユニット118の出力電力負荷を推定または予測することができる。負荷の推定値または予想値が電力ユニット118の所定の制限値を超過すれば、モジュール130は、第2のリミッタ122によりもたらされる電力制限または利得を低減するコマンドを発して、地上局104から宇宙機106へ伝達される通信信号の出力電力を低減することができる。予測モデル132に基づいて、宇宙機106の電力ユニット118間で電力を分配するよう地上トラフィック負荷を動的に割り当てることにより、いかなる1つの電力ユニット118をも過負荷状態にしないようにしてもよい。宇宙機106の電力ユニット118間で電力を分配するよう地上トラフィック負荷を動的に割り当てることの一例は、図3を参照しつつ説明する。
【0029】
1つまたは複数の予測モデル132は、システム統合テストデータに基づいて宇宙機の寿命初期(BOL)において形成されてもよい。1つまたは複数の予測モデル132はまた、軌道上テスト(IOT)データに基づいて検証および洗練されてもよい。宇宙機の製造テスト中、予想または予測モデル132の宇宙セグメント部分の構築に必要なパラメータを測定して、RF受信機144からRF送信機146までを含む数学的モデルを確認することができる。予想モデル132の地上セグメント部分は、地上セグメント製造およびテスト中に測定および確認できる。RF受信機144に対する地上送信機ユニット124間の伝達経路を含む一体型予測モデルは、IOT中に測定されることとなる。しかしながら、宇宙機106上の測定は、ある測定点に設置されたセンサおよび演算データに基づいて制限されている。測定されたデータは、宇宙機106から転送されることとなり、それにより、宇宙機オペレーションセンター102を介して入手可能な遠隔測定データを介してモジュール134に提供されるモデルを改良する。
【0030】
地上局104はまた、宇宙機負荷、監視およびモデル補正モジュール134を含んでいてもよい。宇宙機負荷、監視およびモデル補正モジュール134は、推定電力レベルを宇宙機106からの測定電力レベルと比較することができる。推定電力レベルは、宇宙機106の通信システム内の所定の位置で測定または監視された測定電力レベルと比較してもよい。例えば、電力測定値は、宇宙機転送リンクプロセスモジュール134、宇宙機または衛星リミッタ136、宇宙機電力増幅器138またはその他の所定の位置において採取または測定されてもよい。モジュール134における比較プロセスは、非リアルタイム比較または大幅な時間遅延のある比較とすることができる。該時間遅延が見込まれるのは、データの収集および宇宙機106から地上への伝達が必要であるからである。地上局104の構成部品に関して説明されるその他の信号プロセスは、リアルタイムプロセスとしてもよい。
【0031】
システム100はまた、前に説明したように宇宙機オペレーションセンター102を含んでいてもよい。宇宙機オペレーションセンター102は、宇宙機遠隔測定処理ユニット140を含んでいてもよい。宇宙機遠隔測定処理ユニット140は、宇宙機106からの電力測定データを受信することができる。前に説明したように、電力測定データは、宇宙機転送リンクプロセスモジュール134、宇宙機リミッタ136、宇宙機電力増幅器138およびその他の可能な位置から受信されてもよい。電力測定データは、宇宙機負荷、監視およびモデル補正モジュール134へ伝達されて、モジュール132からの宇宙機106の推定または予測電力レベルと比較されてもよい。
【0032】
宇宙機オペレーションセンター102はまた、電力管理制限配分モジュール142を含んでもよい。電力管理制限配分モジュール142は、第1のリミッタ116、第2のリミッタ122、宇宙機リミッタ136および地上RF送信機ユニット124に対する電力制限を決定することができる。次いで、これらユニットを通じた信号電力は、モジュール142からの電力管理制限配分に基づいて調整または調節されてもよい。第2のリミッタ122を通じた信号電力は、前に説明したのと同様に、電力ユニット負荷推定および監視モジュール130における予測モデル132に基づいて調節されてもよい。
【0033】
宇宙機106は、地上局104からの通信信号を受信するためのRF受信機144を含んでいてもよい。RF受信機144から、通信信号は、宇宙機転送リンクプロセスモジュール134へと渡されてもよい。宇宙機転送リンクプロセスモジュール134は、通信信号を処理し、該信号を種々の電力増幅器138へと割り当てることができる。モジュール134により割り当てられた通信信号は、宇宙機または衛星リミッタ136により調整または調節することができる。該通信信号は、宇宙機オペレーションセンター102のモジュール142からの電力管理制限配分に基づいて、または、その他何らかの予め設定された制限値または判断基準に基づいて、リミッタ136により調整または調節することができる。
【0034】
電力増幅器138は、ERC用ビームの形成に必要かもしれないように通信信号を増幅してもよい。電力増幅器138からの通信信号は、電力ユニット118へ渡される。電力ユニット118は、各々、ERCにおける信号を各ERCに関連付けられた特定の地上ユーザ112へ伝達するのに通信信号を適合させるある所定の機能または複数の機能を実行してもよい。電力ユニット118の機能性は、宇宙機通信システムの設計によって異なっていてもよい。可能な機能性の例として、所望のERCを生成するための信号再分配および信号位相整合が挙げられる。次いで、1つまたは複数のRF送信機146は、ERCにおいて分割された通信信号を各ERCまたはビームに関連付けられた意図する地上のユーザ112へと伝達してもよい。
【0035】
図2Aおよび図2Bは、本開示の実施形態に係る衛星の電力ユニットを保護するための方法200の一例のフローチャートである。該方法200は、図1のシステム100により実行されるか、または、システム100において実施されてもよい。システム100の種々の構成部品により実行することのできる機能が、図2Aおよび図2Bの破線のボックスにより示されている。本開示は、いかなる特定の構成部品により実行されている図2Aおよび図2Bに示す機能または動作によっても限定されることを意図していない。
【0036】
ブロック202において、宇宙機から信号電力測定データを受信してもよい。該信号電力測定データは、宇宙機通信システムにおける種々の測定位置において測定されてもよい。例えば、前に説明したのと同様に、電力の測定は、図1の転送リンクプロセスユニットまたはモジュール134において、衛星もしくは宇宙機リミッタ136において、衛星電力増幅器138において、または宇宙機通信システム内のその他の位置で行われてもよい。
【0037】
ブロック204において、宇宙機電力保護方式またはシステムにおける各リミッタまたはその他の構成部品に対する電力制限配分を決定してもよい。ブロック202および204により実行される機能または動作の例は、図1における宇宙機オペレーションセンター102と類似の宇宙機オペレーションセンターにより実行されてもよく、または、システムにおける何らかのその他の構成部品により実行されてもよい。
【0038】
ブロック206において、宇宙機電力ユニットの電力負荷レベルを予測または推定してもよい。前に説明したのと同様に、1つまたは複数の予測モデルを用いて、宇宙機電力ユニットの電力負荷レベルを予測または推定してもよい。宇宙機電力ユニット負荷を正確に推定するために、宇宙機通信システムにおける所定の電力測定位置からの信号電力レベル測定値を用いることもできる。
【0039】
ブロック208において、推定または予測電力レベルを所定の宇宙機電力測定位置における実際の測定電力レベルと比較してもよい。
【0040】
ブロック210において、推定電力レベルの実際の測定電力レベルとの比較に基づいて、宇宙機へ伝達される通信信号の電力レベルを調節してもよい。前に説明したのと同様に、ビーム形成モジュール120と地上RF送信機ユニット124との間のリミッタ122は、信号の電力レベルを調節して、宇宙機の電力ユニットのいかなる過負荷をも防ぐことができる。
【0041】
地上トラフィック負荷もまた、予測モデルまたは推定電力レベルと測定電力レベルとの比較に基づいて、宇宙機の電力ユニット間で電力を分配するように動的に割り当てることにより、いかなる1つの電力ユニットも過負荷状態とならないようにすることができる。電力ユニット間で電力を分配するように動的に割り当てることにより、いかなる1つの電力ユニットの過負荷状態をも防ぐことの一例は、図3を参照しつつ説明する。
【0042】
ブロック212において、通信信号を受信して、特定のERCへ伝達してもよい。該通信信号は、地上局の転送入力により受信してもよい。
【0043】
ブロック214において、各個々の通信信号の信号電力を各ERCに対して調整または制限して、宇宙機の電力ユニットのいかなる過負荷をも防ぐか、または、宇宙機の電力ユニットの電力制限を超過することを防いでもよい。
【0044】
ブロック216において、調整または制限された通信信号に対して地上ベースのビーム形成(GBBF)プロセスを実行してもよい。ブロック218において、宇宙機からの測定電力レベルに対する推定または予測電力レベルの比較に基づいて、GBBFプロセスの出力における信号電力を調整してもよい。GBBFプロセスの出力電力は、GBBFプロセスの何らかの異常に応じて調整してもよい。
【0045】
ブロック220において、何らかの宇宙機リミッタを制御するための何らかのデータ信号とともに、ERC用の1つまたは複数のRF信号を宇宙機へ伝達してもよい。ブロック220においては、いかなる信号上方変換、電力増幅またはその他のRF動作を行ってもよい。
【0046】
ブロック206〜220における機能および動作は、地上局通信デバイスにより行われているものとして図2Aに示しているが、このことは、本開示をいかようにも制限することを意図していない。
【0047】
ここで図2Bを参照すると、ブロック222において、地上局通信デバイスから1つまたは複数の通信信号および何らかの宇宙機リミッタを制御するための何らかのデータ信号を受信してもよい。
【0048】
ブロック224において、該1つまたは複数の信号を処理し、種々の電力増幅器へ割り当ててもよい。該信号は、あるERCに関連付けられている特定の信号に基づいて、選択された電力増幅器に指定されてもよい。
【0049】
ブロック226において、各信号の信号電力を調整または制限して、該信号を搬送または伝達するための電力ユニットが過負荷状態とならないこと、または、電力ユニットの電力容量を超過しないことを保証してもよい。
【0050】
ブロック228において、関連付けられた電力ユニットの電力制限に基づいて必要とされる可能性があるように各ERC用の信号を増幅してもよい。宇宙機通信システムの設計に基づいて必要とされる可能性があるように、該電力ユニットは、信号再分配、信号位相整合またはその他の機能を実行してもよい。
【0051】
ブロック230において、信号ビームまたはERCを形成し、地上のユーザへ伝達してもよい。信号ビームまたはERCは、個々のユーザの特定の位置を目指すファーフィールド原理を用いて形成してもよい。
【0052】
図3は、本開示の実施形態に係る電力ユニット負荷に基づくERC電力割り当ての一例を示す。図3において、7つのセルまたはERC301〜307が示されている。本例はまた、宇宙機通信システムが、帯グラフ314における電力ユニット配分308、310および312により示されている3つの電力ユニットを有すると仮定している。各セル301〜307における1段目は、順に付したセルの番号である。各セル301〜307における2段目は、現在のERCに対する電力ユニットの寄与に相当する。各セルにおける3つすべての電力ユニットの寄与の合計は、100%に等しい。各セルにおける3段目は、電力配分に相当する。各セル301〜307における3段目の1つ目のパーセンテージは、帯グラフ314における電力配分1に相当し、各セル301〜307における3段目の2つ目のパーセンテージは、帯グラフ314における電力配分2に相当する。帯グラフ314に示されているように、電力配分1により、電力ユニット1はその電力制限を超過する。電力は、帯グラフ314に示されているように3つすべての電力ユニットがその電力制限内にある配分2により示されているように再割り当て可能である。該電力割り当ては、システム要件によって、静的配分とすることも動的配分とすることもできる。動作原理を示すために図3では7つのセルしか示していない。実際のシステムは、何百、何千ものセルを含む可能性がある。その演算はより複雑となる可能性がある。該動作原理は、あらゆる数のセルに適用可能である。
【0053】
上に説明したように、通信宇宙機における高電力ユニットが過励振状態となることを防ぐための体系的な方式、システムおよび方法が開示されている。説明されている方式は、複数の調整点および複数の監視点を含む。該監視点は、宇宙機上の高電力ユニットの負荷を推定する予測モデルを用いてもよい。監視点が過負荷状態にある高電力ユニットを検出すると、宇宙機の高電力ユニットを効果的に保護するために伝達電力を低減する措置が講じられてもよい。ここで開示されている電力保護機構は、地上ベースのビーム形成技術を用いる衛星通信システムにとって特に利益がある。電力管理方式は、ハードウェアユニットに保護を与える体系的な方法である。該方式は、他の既存のハードウェア電力制限方法またはデバイスとともに用いて、瞬時最大電力レベルを制限することができる。
【0054】
図面におけるフローチャートおよびブロック図は、本開示のさまざまな実施形態に係るシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実施構成のアーキテクチャ、機能性および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメントまたはコードの一部を表してもよく、これが、特定の論理機能を実施するための1つ以上の実行可能な命令を含む。また、いくつかの代替の実施構成において、ブロックに示された機能が図に示された順序を外れて起こる可能性があることは注目すべきである。例えば、関連する機能性によっては、連続して示されている2つのブロックが、実際は、実質的に同時に実行されるかもしれず、または、これらブロックが、逆の順序で実行されることもあるだろう。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロックならびにブロック図および/またはフローチャートの複数のブロックの組み合わせは、特定された機能または行為を実行する専用ハードウェアベースのシステムまたは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせにより実施可能であることにも触れておく。
【0055】
ここで用いられている専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のものであり、本開示を限定する意図はない。ここで用いられている、単数形の不定冠詞「a」、「an」および定冠詞「the」は、文脈によりそうでないことが明示されている場合を除き、複数形をも含むよう意図されている。さらに、本明細書において用いられる際、「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という語は、記された特徴、整数、工程、動作、構成要素および/または構成部品の存在を特定するが、1つ以上のその他の特徴、整数、工程、動作、構成要素、構成部品および/またはその群の存在または追加を排除するものではないことは理解されるだろう。
【0056】
ここで特定の実施形態を示し、かつ、説明したが、当業者は、同じ目的を達成すると計算されるあらゆる機構が、示された特定の実施形態と置換されてもよいこと、および、ここでの該実施形態が、他の環境において他の用途を有することを理解する。この用途は、本開示のあらゆる適応例または変形例を包含するよう意図されている。以下の請求項は、ここに説明した特定の実施形態に本開示の範囲をいかようにも限定することを意図していない。
【0057】
本発明は、以下の実施形態にも関している。
1. 宇宙機上の電力ユニットを保護するためのシステムであって、前記システムが、
地上局を含み、前記地上局が、
宇宙機の電力ユニットに対する電力負荷レベルを推定するための電力ユニット負荷推定および監視モジュールと、
宇宙機の電力ユニットの過負荷を防ぐように地上局から宇宙機へ伝達される信号の電力を調整する地上局電力リミッタであって、宇宙機へ伝達される信号の電力が、宇宙機の電力ユニットに対する推定電力負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて調整される地上局電力リミッタと
を含む、システム。
2. 宇宙機の電力ユニットが過負荷状態となるのを防ぐように信号電力を調整する宇宙機に搭載された宇宙機電力リミッタをさらに含む、実施形態1に記載のシステム。
3. 各地球基準セルへの伝達信号の電力を調整する別の地上局電力リミッタをさらに含む、実施形態1に記載のシステム。
4. 宇宙機の電力ユニットが過負荷状態となるのを防ぐように信号電力を調整する宇宙機に搭載された宇宙機電力リミッタと、
各地球基準セルへの伝達信号の電力を調整する別の地上局電力リミッタと
をさらに含む、実施形態1に記載のシステム。
5. 地上局電力リミッタおよび宇宙機電力リミッタの各々に対する制限値を決定する電力管理制限配分モジュールをさらに含む、実施形態4に記載のシステム。
6. 電力ユニット負荷推定および監視モジュールが、宇宙機の電力ユニットに対する負荷レベルを予測する予測モデルを含み、予測モデルが、宇宙機からの測定信号電力レベルを用いて、宇宙機の電力ユニットに対する負荷レベルを正確に推定する、実施形態1に記載のシステム。
7. 電力ユニット負荷推定および監視モジュールが、地上局電力リミッタにより提供された電力制限を低減するコマンドを発することにより、所定の制限値を超過する宇宙機の電力ユニットに対する推定負荷レベルに応じて宇宙機へと地上局により伝達される信号電力を低減する、実施形態6に記載のシステム。
8. 予測モデルが、システム統合テストデータと、軌道上テストデータとに基づいて、宇宙機の寿命初期において形成される、実施形態6に記載のシステム。
9. 予測モデルが、宇宙機からの測定データに基づいて通常動作中に更新され、かつ、推定電力データを宇宙機からの測定電力データと比較する、実施形態6に記載のシステム。
10. 地上局が、
1つ以上の伝達信号を受信する個々の地球基準セルトラフィック負荷モジュールであって、各信号が特定の地球基準セルへと送信される個々の地球基準セルトラフィック負荷モジュールと、
各特定の地球基準セルへの伝達信号の電力を調整する各受信伝達信号のための別の地上局電力リミッタと、
前記別の地上局電力リミッタの各々から伝達信号を受信する地上ベースのビーム形成モジュールと
をさらに含む、実施形態1に記載のシステム。
11. 所定の宇宙機電力測定位置における推定電力レベルを該所定の宇宙機電力測定位置における測定電力レベルと比較する宇宙機負荷、監視およびモデル補正モジュールをさらに含む、実施形態1に記載のシステム。
12. 地上局送信機から受信した信号を宇宙機に搭載された種々の電力増幅器に割り当てる宇宙機転送リンクプロセスモジュールと、
地上ユーザに信号を伝達する前に、選択された機能を実行するための電力ユニットと、
電力ユニットが過負荷状態となるのを防ぐように信号電力を調整する宇宙機に搭載された宇宙機電力リミッタと
を含む宇宙機。
13. 各地球基準セルに対する電力ユニットをさらに含み、前記宇宙機電力リミッタが、所定の電力制限に基づいて各電力ユニットに対する信号電力を調整する、実施形態12に記載の宇宙機。
14. 宇宙機上の電力ユニットを保護するための方法であって、
宇宙機の電力ユニットに対する電力負荷レベルを地上局により推定すること、および
宇宙機の電力ユニットの過負荷を防ぐように地上局から宇宙機へ伝達される信号の電力を調整することであって、宇宙機へ伝達される信号の電力を、宇宙機の電力ユニットに対する推定電力負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて調整すること
を含む方法。
15. 地上局における個々の地球基準セルトラフィック負荷モジュールにより受信した各地球基準セルに対する各個々の信号の電力を調整することをさらに含む、実施形態14に記載の方法。
16. 宇宙機の電力ユニットに対する負荷レベルを予測する予測モデルを用いることをさらに含み、予測モデルが、宇宙機からの測定信号電力レベルを用いて、宇宙機の電力ユニットに対する負荷レベルを推定する、実施形態14に記載の方法。
17. 宇宙機からの測定データに基づいて通常動作中に予測モデルを更新し、推定電力データを宇宙機からの測定電力データと比較することをさらに含む、実施形態16に記載の方法。
18. 宇宙機の通信システム内の種々の所定の電力測定位置における宇宙機から信号電力測定データを受信すること、
推定電力レベルを種々の所定の電力測定位置における宇宙機から信号電力測定データと比較すること、および
推定電力レベルと宇宙機からの信号電力測定データとの比較に基づいて電力レベルを調節すること
をさらに含む、実施形態14に記載の方法。
19. 地上ベースのビーム形成プロセスを実行すること、および
宇宙機の電力ユニットに対する推定電力負荷レベルに基づいて地上ベースのビーム形成プロセスの出力における信号電力を調整すること
をさらに含む、実施形態14に記載の方法。
20. 地上局における個々の地球基準セルトラフィック負荷モジュールにより受信した各地球基準セルに対する各個々の信号の電力を調整すること、
各地球基準セルに対する調整信号に地上ベースのビーム形成プロセスを施すこと、および
宇宙機の電力ユニットに対する推定電力負荷レベルに基づいて地上ベースのビーム形成プロセスの出力における信号電力を調整すること
をさらに含む、実施形態14に記載の方法。
【符号の説明】
【0058】
100 システム
102 宇宙機オペレーションセンター
104 地上通信局
106 宇宙機
108 宇宙機電力ユニット保護方式
110 通信デバイス
112 地上ユーザ
114 個々の地球基準セルトラフィック負荷モジュール
116 第1のリミッタ
118 電力ユニット
120 地上のビーム形成デジタルプロセスモジュール
122 第2のリミッタ
124 地上RF送信機ユニット
126 電力モニタ
128 電力レギュレータ
130 電力ユニット負荷推定および監視モジュール
132 予測モデル
134 宇宙機負荷、監視およびモデル補正モジュール
134 宇宙機転送リンクプロセスモジュール
136 衛星リミッタ
138 電力増幅器
140 宇宙機遠隔測定処理ユニット
142 電力管理制限配分モジュール
144 RF受信機
146 RF送信機
301〜307 セル
308、310、312 電力ユニット配分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙機上の電力ユニットを保護するためのシステムであって、地上局を含み、前記地上局が、
宇宙機の電力ユニットに対する電力負荷レベルを推定するための電力ユニット負荷推定および監視モジュールと、
宇宙機の電力ユニットの過負荷を防ぐように地上局から宇宙機へ伝達される信号の電力を調整する地上局電力リミッタであって、宇宙機へ伝達される信号の電力が、宇宙機の電力ユニットに対する推定電力負荷レベルに少なくとも部分的に基づいて調整される地上局電力リミッタと
を含むシステム。
【請求項2】
宇宙機の電力ユニットが過負荷状態となるのを防ぐように信号電力を調整する宇宙機に搭載された宇宙機電力リミッタをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各地球基準セルへの伝達信号の電力を調整する別の地上局電力リミッタをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
宇宙機の電力ユニットが過負荷状態となるのを防ぐように信号電力を調整する宇宙機に搭載された宇宙機電力リミッタと、
各地球基準セルへの伝達信号の電力を調整する別の地上局電力リミッタと
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
地上局電力リミッタおよび宇宙機電力リミッタの各々に対する制限値を決定する電力管理制限配分モジュールをさらに含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
電力ユニット負荷推定および監視モジュールが、宇宙機の電力ユニットに対する負荷レベルを予測する予測モデルを含み、予測モデルが、宇宙機からの測定信号電力レベルを用いて、宇宙機の電力ユニットに対する負荷レベルを正確に推定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
電力ユニット負荷推定および監視モジュールが、地上局電力リミッタにより提供された電力制限を低減するコマンドを発することにより、所定の制限値を超過する宇宙機の電力ユニットに対する推定負荷レベルに応じて宇宙機へと地上局により伝達される信号電力を低減する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
予測モデルが、システム統合テストデータと、軌道上テストデータとに基づいて、宇宙機の寿命初期において形成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
予測モデルが、宇宙機からの測定データに基づいて通常動作中に更新され、かつ、推定電力データを宇宙機からの測定電力データと比較する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
地上局が、
1つ以上の伝達信号を受信する個々の地球基準セルトラフィック負荷モジュールであって、各信号が特定の地球基準セルへと送信される個々の地球基準セルトラフィック負荷モジュールと、
各特定の地球基準セルへの伝達信号の電力を調整する各受信伝達信号のための別の地上局電力リミッタと、
前記別の地上局電力リミッタの各々から伝達信号を受信する地上ベースのビーム形成モジュールと、
所定の宇宙機電力測定位置における推定電力レベルを該所定の宇宙機電力測定位置における測定電力レベルと比較する宇宙機負荷、監視およびモデル補正モジュールと
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−124900(P2012−124900A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−266422(P2011−266422)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】