説明

安全性評価装置及び安全性評価方法

【課題】 人が移動する経路の安全性をより適切に評価すること。
【解決手段】 複数の経路の構造を収集する経路構造収集部42と、複数の経路で発生する事象の状態を収集する事象収集部43と、構造と状態とに基づいて事象の進展を算出する事象進展シミュレーション部44と、構造と状態とに基づいて複数の経路にいる人の移動を算出する人流動シミュレーション部45と、構造と状態と移動と進展とに基づいて複数の経路のそれぞれの安全性を算出する安全性算出部46とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性評価装置及び安全性評価方法に関し、特に、人が移動する経路の安全性を評価する安全性評価装置及び安全性評価方法に関する。さらに、本発明は、災害時支援装置及び災害時支援方法に関し、特に、有害物質が拡散する災害が発生したときに避難経路を選定する災害時支援装置及び災害時支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火災に例示される災害が発生したときに、自動的に防災センタに災害の発生を通知するシステムが知られている。このようなシステムは、温度センサ、煙検知機に例示されるセンサを備え、そのセンサは、炎、煙を検出したときに、その検出結果を防災センタに通報している。このようなシステムでは、防災センタの監視員により通報される情報に基づいて災害の状況が判断されている。このようなシステムでは、通報される内容が多いときに、監視員が災害の状況を迅速かつ的確に判断することが困難である。さらに、地下空間、大規模施設に例示される建造物は、構造が複雑であり、監視員が通報される情報に基づいて適切な避難経路を選定することが困難である。このため、災害が発生したときにコンピュータを用いて災害の状況を判断して適切な避難経路を選定する防災システムが望まれている。
【0003】
避難経路は、安全であることが望まれている。災害が発生したときの避難経路の安全性をより適切に評価する評価システムが望まれている。
【0004】
特開平01−297083号公報には、ホテル、デパート、病院、客船等の建造物で火災や浸水等の災害が発生した場合に、迅速かつ正確に非常口までの避難経路を合成することができる総合防災システムが開示されている。
【0005】
特開平03−63899号公報には、災害発生時に、災害発生区画を検知し、コンピュータに記憶された通路データと避難方向指示器の設置データとを比較して、各指示器設定位置における避難方向を計算し、その結果を各指示器に矢印で表示することができる総合防災システムが開示されている。
【0006】
特開平05−2693号公報には、火災現場で煙とそれに伴う酸欠により判断力が低下しても確実に避難誘導ができるよう判断を含めて可能な限り自動化する。特に客室内残存者無しの確認と、混乱時の通路の誘導が確実に行えるようにするホテル等建造物火災緊急避難誘導システムが開示されている。そのホテル等建造物火災緊急避難誘導システムは、火災の発生位置、規模の概略は握、客室ドアロック解除、非常用発電機始動、火災状況と避難方法の合成音放送、客室出入数と残存者の計数、通路の色彩変化に対応する音圧変化による合成音放送、などを自動的に行う。前記通路の色彩変化は床(絨毯)の色を中央から両端部へ向かって色分けし、合成音放送は内容の1区切りごとに平均音圧を変えて繰り返して注意を喚起する。火災発生階と同一階では非常階段へ、高い階は非常エレベータへ、低い階は通常階段へ誘導する。客室残存者確認のためのビデオカメラにはシャッタを付けて客のプライバシーを守る。
【0007】
特許3446996号公報には、避難時の災害の拡がりを予測して避難者に最適な避難経路を指示し、かつ消火や救助に駆けつけた対策専門要員に最適な経路情報を提供する総合防災救難システムが開示されている。その総合防災救難システムは、建造物内を所定サイズの3次元ブロックに分割し、各3次元ブロックまたは3次元ブロックグループ毎に、当該3次元ブロックまたは3次元ブロックグループ毎に設置した防災検知設備により災害の発生の有無を監視する災害発生監視手段と、いずれかの3次元ブロックまたは3次元ブロックグループにおける災害の発生を契機に、全ての3次元ブロックまたは3次元ブロックグループにおける防災用検知設備の出力に基づき災害の現状を判定し、さらに災害の拡大または縮小状況を予測する予測手段と、予測結果に基づき、危険区域を回避して安全区域または建造物外部に避難させる避難経路を所定の経路探索アルゴリズムに従って探索し、探索した経路に導く経路指示を行う経路探索手段とを備える。
【0008】
【特許文献1】特開平01−297083号公報
【特許文献2】特開平03−63899号公報
【特許文献3】特開平05−2693号公報
【特許文献4】特許3446996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、人が移動する経路の安全性をより適切に評価する安全性評価装置及び安全性評価方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、より適切な避難経路を選定する災害時支援装置及び災害時支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明による安全性評価装置は、複数の経路の構造を収集する経路構造収集部(42)と、複数の経路で発生する事象の状態を収集する事象収集部(43)と、構造と状態とに基づいて事象の進展を算出する事象進展シミュレーション部(44)と、構造と状態とに基づいて複数の経路にいる人の移動を算出する人流動シミュレーション部(45)と、構造と状態と移動と進展とに基づいて複数の経路のそれぞれの安全性を算出する安全性算出部(46)とを備えていることが好ましい。
【0012】
人流動シミュレーション部(45)は、進展に更に基づいて移動を算出する。事象進展シミュレーション部(44)は、人の移動に更に基づいてその進展を算出することが好ましい。すなわち、人流動シミュレーション部(45)と事象進展シミュレーション部(44)とは、協働して、事象の進展と人の移動とを算出することが好ましい。
【0013】
本発明による安全性評価方法は、複数の経路の構造を収集するステップと、複数の経路で発生する事象の状態を収集するステップと、構造と状態とに基づいて事象の進展を算出するステップと、構造と状態とに基づいて複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、構造と状態と移動と進展とに基づいて複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップとを備えていることが好ましい。
【0014】
その移動は、その進展に更に基づいて算出され、かつ、その進展は、その移動に更に基づいて算出されることが好ましい。
【0015】
本発明による安全性評価プログラムは、コンピュータである安全性評価装置(41)により実行されるコンピュータプログラムであり、そのコンピュータプログラムの部分として、複数の経路の構造を収集するステップと、複数の経路で発生する事象の状態を収集するステップと、構造と状態とに基づいて事象の進展を算出するステップと、構造と状態とに基づいて複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、構造と状態と移動と進展とに基づいて複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップとを備えていることが好ましい。
【0016】
移動は、進展に更に基づいて算出され、かつ、その進展は、その移動に更に基づいて算出されることが好ましい。
【0017】
本発明による災害時支援装置(1)は、複数の経路の構造を収集する経路構造収集部(42)と、複数現場情報を複数事象に対応付けるシナリオ情報データベース(11)と、複数の経路に分散されて配置された複数のセンサ(3)から複数の経路の状況を示す現場情報を収集する現場情報収集部(14)と、シナリオ情報データベース(11)を参照して複数事象のうちの現場情報に対応する事象を抽出する現状推定部(31)と、構造と状態とに基づいて事象の進展を算出する事象進展シミュレーション部(44)と、構造と状態とに基づいて複数の経路にいる人の移動を算出する人流動シミュレーション部(45)と、構造と状態と移動と進展とに基づいて複数の経路のそれぞれの安全性を算出する安全性算出部(46)と、安全性に基づいて複数の経路から避難者が避難する避難経路を選定する避難経路選定部(33)と、複数の経路に分散されて配置された複数の提示装置(5)に避難経路を表示する避難経路提示部(16)とを備えていることが好ましい。このように選定される避難経路は、より適切である。
【0018】
人流動シミュレーション部(45)は、進展に更に基づいて移動を算出する。事象進展シミュレーション部(44)は、人の移動に更に基づいてその進展を算出することが好ましい。すなわち、人流動シミュレーション部(45)と事象進展シミュレーション部(44)とは、協働して、事象の進展と人の移動とを算出することが好ましい。
【0019】
本発明による災害時支援装置(1)は、安全性に基づいて複数の経路から有害である物質が通過する排出経路を選定する排煙路選定部(34)を更に備えていることが好ましい。このとき、避難経路は、排出経路と異なる。
【0020】
本発明による災害時支援装置(1)は、排出経路を介して物質が外部に排出されるように複数の機器(4)を制御する機器制御部(17)を更に備えていることが好ましい。
【0021】
本発明による災害時支援方法は、複数の経路の構造を収集するステップと、複数現場情報を複数事象に対応付けるシナリオ情報データベース(11)と、複数の経路に分散されて配置された複数のセンサ(3)から複数の経路の状況を示す現場情報を収集するステップ(S1)と、シナリオ情報データベース(11)を参照して、複数事象のうちの現場情報に対応する事象を抽出するステップ(S2)と、構造と状態とに基づいて事象の進展を算出するステップと、構造と状態とに基づいて複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、構造と状態と移動と進展とに基づいて複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップと、安全性に基づいて複数の経路から避難者が避難する避難経路を選定するステップ(S3)と、複数の経路に分散されて配置された複数の提示装置(5)に避難経路を表示するステップ(S4)とを備えている。このように選定される避難経路は、より適切である。
【0022】
その移動は、進展に更に基づいて算出され、かつ、その進展は、その移動に更に基づいて算出されることが好ましい。
【0023】
本発明による災害時支援方法は、安全性に基づいて複数の経路から有害である物質が通過する排出経路を選定するステップ(S3)を更に備えていることが好ましい。このとき、避難経路は、排出経路と異なる。
【0024】
本発明による災害時支援方法は、排出経路を介して物質が外部に排出されるように複数の機器(4)を制御するステップ(S5)を更に備えていることが好ましい。
【0025】
本発明による災害時支援プログラムは、コンピュータである災害次支援装置(1)により実行されるコンピュータプログラムであり、そのコンピュータプログラムの部分として、複数の経路の構造を収集するステップと、複数現場情報を複数事象に対応付けるシナリオ情報データベース(11)と、複数の経路に分散されて配置された複数のセンサ(3)から複数の経路の状況を示す現場情報を収集するステップと、シナリオ情報データベース(11)を参照して、複数事象のうちの現場情報に対応する事象を抽出するステップと、構造と状態とに基づいて事象の進展を算出するステップと、構造と状態とに基づいて複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、構造と状態と移動と進展とに基づいて複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップと、安全性に基づいて複数の経路から避難者が避難する避難経路を選定するステップと、複数の経路に分散されて配置された複数の提示装置(5)に避難経路を表示するステップとを備えている。このように選定される避難経路は、より適切である。
【0026】
その移動は、進展に更に基づいて算出され、かつ、その進展は、その移動に更に基づいて算出されることが好ましい。
【0027】
本発明による災害時支援プログラムは、安全性に基づいて複数の経路から有害である物質が通過する排出経路を選定するステップを更に備えていることが好ましい。このとき、避難経路は、排出経路と異なる。
【0028】
本発明による災害時支援プログラムは、その排出経路を介して物質が外部に排出されるように複数の機器(4)を制御するステップを更に備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明による安全性評価装置及び安全性評価方法は、人が移動する経路の安全性をより適切に評価することができる。本発明による災害時支援装置及び災害時支援方法は、より適切な避難経路を選定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図面を参照して、本発明による安全性評価装置の実施の形態を記載する。その安全性評価装置41は、コンピュータであり、図1に示されているように、複数のコンピュータプログラムがインストールされている。すなわち、安全性評価装置41は、図示されていないCPUと記憶装置と入力装置と出力装置とを備えている。そのCPUは、安全性評価装置41にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置と出力装置とを制御する。その記憶装置は、ROMまたはRAMであり、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUにより生成される情報を一時的に記録する。その入力装置は、たとえばキーボードであり、ユーザの操作により生成される情報をそのCPUに出力する。その出力装置は、たとえばディスプレイであり、そのCPUにより生成される情報をユーザに認識可能に表示する。
【0031】
安全性評価装置41は、コンピュータプログラムである経路構造収集部42と事象収集部43と事象進展シミュレーション部44と人流動シミュレーション部45と安全性算出部46とがインストールされている。
【0032】
経路構造収集部42は、入力装置を用いてユーザにより建造物の構造が入力されたときに、その建造物の構造を入力装置から収集する。その建造物は、複数の経路を備えている。その建造物の構造は、その複数の経路の形状とその複数の経路を形成する壁・床・天井を形成する材料とを示している。その建造物の構造は、さらに、その複数の経路に設置されている機器の能力と状態とを示している。その機器としては、その複数の経路を互いに隔離する扉、空調設備、排煙設備、消火設備が例示される。その建造物としては、高層ビル、地下商業施設、駅、歩道橋が例示される。
【0033】
事象収集部43は、入力装置を用いてユーザによりその建造物に発生する加害事象が入力されたときに、その加害事象を入力装置から収集する。その加害事象としては、火災、有害物質の拡散、人が集まるイベント、通勤ラッシュが例示される。
【0034】
事象進展シミュレーション部44は、経路構造収集部42により収集された構造と事象収集部43により収集された加害事象とに基づいて、その加害事象がどのように進展するかをシミュレーションにより算出する。
【0035】
人流動シミュレーション部45は、経路構造収集部42により収集された構造と事象収集部43により収集された加害事象と事象進展シミュレーション部44により算出された進展とに基づいてその建造物にいる人がそれぞれどのように移動するかをシミュレーションにより算出する。そのシミュレーションとしては、ポテンシャル法が好適である。シミュレーションされる人は、そのポテンシャル法で、空間毎に設定されるポテンシャルの高い場所から低い場所へと移動するモデルで用いて表現される。そのポテンシャルは、空間ごとに危険度、通行可否等に応じて設定される値である。
【0036】
なお、事象進展シミュレーション部44は、人流動シミュレーション部45により算出された人の移動にさらに基づいて、その加害事象がどのように進展するかをシミュレーションにより算出することもできる。このとき、人流動シミュレーション部45と事象進展シミュレーション部44とは、事象の進展と人の移動とをより詳細に算出することができ、好ましい。
【0037】
安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象収集部43により収集された加害事象と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展と人流動シミュレーション部45により算出された人の移動とに基づいて、その複数の経路のそれぞれの安全性を算出する。
【0038】
すなわち、安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象収集部43により収集された加害事象と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展と人流動シミュレーション部45により算出された人の移動とに基づいて、その経路毎に複数の変数を算出する。その複数の変数は、煙熱曝露量Xと火炎熱曝露量Xと有害物質量X3,i(i=1,2,3,…,n)と距離Xと避難時間Xと蓄煙量Xと発煙速度Xと施設の排煙能力Xと負荷Xと明るさX10と避難経路上の避難誘導手段数X11と最大避難誘導手段間隔X12と最長直線割合X13と直線区間数X14と斜度X15と斜面長さX16と最大人口密度X17と滞留発生時間X18と接続数X19と一時避難場所面積X20と煙量X21と発煙速度X22と室間圧力差X23と避難経路圧力差X24と火災室の隣室に対する圧力差X25と床面高さX26とから形成されている。ここで、数nは、考慮される有害物質の数を示している。
【0039】
煙熱曝露量Xは、その経路にいる避難者が十分に安全な場所(建造物の外部)に避難するときに、その避難者が被曝する熱量を示している。すなわち、煙熱曝露量Xは、その避難者が各経路を通過する滞在時間の定積分の和により表現される。その定積分は、その経路が煙に巻き込まれていないときに、ボルツマン定数σと煙温度Tと輻射熱量Χとを用いて、次式:
∫max(0,σT−Χ)dt
により表現される。輻射熱量Χは、人体への影響が少ないと考えられる輻射熱量を示している。その定積分は、その経路が煙に巻き込まれた後に、煙温度の初期温度からの上昇幅ΔTを用いて、次式:
∫(ΔT)dt
により表現される。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展と人流動シミュレーション部45により算出された人の移動とに基づいて、煙熱曝露量Xを算出する。
【0040】
火炎熱曝露量Xは、火災が発生している火災室にいる避難者が、火炎からの影響の無い部屋に避難するときに、その避難者が被爆する熱量を示している。すなわち、火炎熱曝露量Xは、その避難者がその火災室から退室する際の、もしくは、通過する際の滞在時間の定積分の和により表現される。ボルツマン定数σと火炎温度T’と輻射熱量Χとを用いて
∫max(0,σT’4−Χ)dt
により表現される。
【0041】
有害物質量X3,iは、その経路にいる避難者が十分に安全な場所に避難するときに、その避難者に吸引される有害物質iの量を示している。すなわち、有害物質量X3,iは、その避難者が各経路を通過する滞在時間の定積分の和により表現される。その定積分は、その経路が煙に巻き込まれていないときに、煙の下層中に含まれる有害物質iの濃度ρaiを用いて、次式:
∫ρaidt
により表現され、その経路が煙に巻き込まれているときに、煙層中に含まれる有害物質iの濃度ρsiを用いて、次式:
∫ρsidt
により表現される。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展と人流動シミュレーション部45により算出された人の移動とに基づいて、有害物質量X3,iを算出する。
【0042】
距離Xは、災害地点からその経路までの換算距離を示している。その換算距離は、各設備等の配備状況と災害(事象)種類に応じて決定され、経路固有の安全対策、災害(事象)により異なる値を示している。すなわち、距離Xは、災害発生地点と避難経路の最短距離、もしくは、被災区画と避難経路の最短距離を、災害に対応する係数を乗じた換算距離を示している。その換算距離は、その経路の安全性が高いときに、実測距離よりも長い。たとえば、その係数は、火災の場合に、最短距離の間に防火扉、防火シャッタが存在すれば、1より大きな値を示し、内装材が木材等で仕上げられていれば、1より小さな値を示す。その係数は、水害の場合に、床面の高さに応じて設定される。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展とに基づいて、距離Xを算出する。
【0043】
避難時間Xは、その経路にいる避難者が安全な場所に避難するまでの時間を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と人流動シミュレーション部45により算出された人の移動とに基づいて、避難時間Xを算出する。このように算出される避難時間Xは、室内造作による滞留などによる避難時間の増加が考慮されて好ましい。なお、避難時間Xは、人流動シミュレーション部45により算出された人の移動に無関係に、在館者密度、面積、通路部分長さ(歩行距離)等から簡易的に算出することもできる。
【0044】
蓄煙量Xは、その経路で、煙の下限が避難に支障をきたす高さにまで降下するのに要する煙の量を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、蓄煙量Xを算出する。
【0045】
発煙速度Xは、その経路に煙が流入する速さを示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展とに基づいて、発煙速度Xを算出する。発煙速度Xは、避難行動(扉の開閉)によっても煙の拡散経路は変わる可能性があるため、火災性状解析と避難性状解析をリンクして算出されることが望ましい。
【0046】
排煙能力Xは、施設に存在する排煙設備による排煙能力を表している。その排煙設備は、自然排煙による排煙、機械式排煙設備による排煙、機械式給気による押し出し排煙等が想定される。火災の場合を想定すると、火災により発生する煙は、通常の空気に比べ比重が軽いため、部屋上部に滞留する。ここで、面積A[m]の区画で有効に働き、排気速度がQ[m/s]である機械式の排煙方式を例にする。このとき、その排煙設備は、区画上部に滞留する煙の下限をQ/A[m/s]の速度で引き上げる効果がある。すなわち、その区画は、排煙を行わない場合の煙の層が降下する速度S[m/s]がS<Q/Aならば、ただちに危険になる可能性は低いと考えられる。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展とに基づいて、排煙能力Xを算出する。
【0047】
負荷Xは、その経路の屈曲部の個数を示し、または、その経路の角度を示している。その屈曲部の個数は、避難行動の支障とならない屈曲角度δ以上の屈曲部の数を示している。負荷Xは、その屈曲部が鋭角な屈曲に例示される特殊な屈曲であるときに、個数を数える際に重みを乗じて算出される。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、負荷Xを算出する。
【0048】
明るさX10は、その経路の明るさを示し、照明の間隔もしくは実測値を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、明るさX10を算出する。
【0049】
避難経路上の避難誘導手段数X11は、その避難上に存在する避難誘導手段の個数を示している。ここで、避難誘導手段は、避難誘導灯、音声誘導装置等の避難誘導装置の他、警備員等の配置による避難誘導を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、避難誘導手段数X11を算出する。
【0050】
最大避難誘導灯手段間隔X12は、その経路上に存在する避難誘導手段の間隔の最大値を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、最大避難誘導灯手段間隔X12を算出する。
【0051】
最長直線割合X13は、その経路のうち直線長さの割合を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、屈曲部、階段、扉などで区切られた直線部分の長さを計測し、経路全体に占める最長直線の割合から最長直線割合X13を算出する。
【0052】
直線区間数X14は、その経路の最長直線割合X13が予め定めた所定の割合Pを超えていない場合に、次に長い直線が占める割合をその最長直線割合X13に加算し、これを最長直線割合X13がPを超えるまで行い、このとき加算した直線区間の数を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、直線区間数X14を算出する。
【0053】
斜度X15は、その経路の斜度を示している。斜度X15は、階段と廊下とで、値を変えることが好ましい。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、斜度X15を算出する。
【0054】
斜面長さX16は、その経路に含まれる斜面の長さを示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、斜面長さX16を算出する。
【0055】
最大人口密度X17は、その経路に避難者が滞留するときの人口密度の最大値を示している。安全性算出部46は、人流動シミュレーション部45により算出された人の移動に基づいて、最大人口密度X17を算出する。
【0056】
滞留発生時間X18は、その経路に避難者に滞留が発生するまでの時間を示している。安全性算出部46は、人流動シミュレーション部45により算出された人の移動に基づいて、滞留発生時間X18を算出する。
【0057】
接続数X19は、その経路に接続する他の経路の個数を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、接続数X19を算出する。
【0058】
一時避難場所面積X20は、その経路上に一時的に安全が確保される一時避難場所が存在するときに、その一時避難場所の面積を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、一時避難場所面積X20を算出する。
【0059】
煙量X21は、その経路上に一時避難場所が存在するときに、その一時避難場所に煙が流入するまでに要する煙の量を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、煙量X21を算出する。
【0060】
発煙速度X22は、その経路上に一時避難場所が存在するときに、その一時避難場所に煙が流入する煙の速さを示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展とに基づいて、発煙速度X22を算出する。発煙速度X22は、避難行動(扉の開閉)によっても煙の拡散経路は変わる可能性があるため、火災性状解析と避難性状解析をリンクして算出されることが望ましい。
【0061】
室間圧力差X23は、圧力P0と圧力P1とを用いて、次式:
23=P0−P1
により表現される。圧力P0は、その経路が備える1つの室の圧力を示している。圧力P1は、その1つの室に隣接する避難場所側の圧力を示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展とに基づいて、室間圧力差X23を算出する。
【0062】
避難経路圧力差X24は、経路上の室と、経路上の室と隣接する火災室からの伝播経路上に存在する室j(j=1,2,3,…,m)との圧力差をPとすると、次式:
24=(δ+δ+…+δ)/m
により表現される。ここで、係数δは、経路上の室圧力が経路上の室と隣接する火災室からの伝播経路上に存在する室よりも高い場合に正となり、低い場合に負となる。
【0063】
火災室の隣室との圧力差X25は、火災室と、隣接する室k(k=1,2,…,f)の圧力差をPとすると、次式:
25=(ε+ε+…+ε)/m
により表現される。ここで、係数εは、火災室圧力が隣室圧力より低い場合に正となり、高い場合に負となる。
【0064】
床面高さX26は、高さh0と高さh1とを用いて、次式:
26=h0−h1
により表現される。高さh0は、その経路が備える1つの室の高さを示している。高さh1は、その1つの室に隣接する避難場所側の高さを示している。安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造に基づいて、床面高さX26を算出する。
【0065】
安全性算出部46は、さらに、その複数の変数を用いて、経路毎に経路安全性を算出する。その経路安全性S1は、考慮する有害物質の数をnとし、適当な係数α、α、α3,1、α3,2、…、α3,n、α、α、…、α26、γと適当な関数F、F、F、…、F26、F27とを用いて、次式:
S1=α(X)+α(X)+Σα3,i(X3,i)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α1010(X10)+α1111(X11)+α1212(X12)+α1313(X13)+α1414(X14)+α1515(X15)+α1616(X16)+α1717(X17)+α1818(X18)+α1919(X19)+α2020(X20)+α2121(X21)+α2222(X22)+α2323(X23)+α2424(X24)+α2525(X25)+α2626(X26)+γF27(X,X,X3,1,X3,2,…,X3,n,X,X,X,X,X,X,X10,X11,X12,X13,X14,X15,X16,X17,X18,X19,X20,X21,X22,X23,X24,X25,X26
により表現される。ここで、Σは、有害物質iに関してi=1からi=nまでα3,i(X3,i)の和を示している。経路安全性S1は、値が大きいほど、その経路が安全であることを示している。
【0066】
ここで、関数F27は、複数の変数X〜X26のうちの複数の変数間の相互作用の効果を表している。その相互作用としては、発煙量Xと発煙速度Xとの関係が例示される。発煙速度Xが低い場合、発生した煙は階段、ダクト、施行上発生したスキマなどから流出するため、多くの煙が発生しても、ただちに避難上危険と考えられる煙積層とならない。しかし、発煙速度が煙の流出速度に比べて十分に高い場合には、少量の煙の発生においても、避難上危険と考えられる煙積層となる恐れがある。すなわち、その経路の安全性は、発煙量Xと発煙速度Xとの組み合わせにより増減することがあり、このような数式によれば、経路安全性S1は、その増減を反映することができる。
【0067】
ここで、係数α、α、α3,1、α3,2、…、α3,n、…、α26は、変数の値X、X、X3,1、X3,2、…、X3,n、…、X26に応じ変化する。このとき、各避難経路での避難完了時間をtとすると、係数α、α、α3,1、α3,2、…、α3,n、…、α26は、それぞれ、α(X、X、X3,1、X3,2、…、X3,n、…、X26、t)、α(X、X、X3,1、X3,2、…、X3,n、…、X26、t)、…、α24(X、X、X3,1、X3,2、…、X3,n、…、X26、t)で表される。
【0068】
例えば、有害物質iは人体に対し、呼吸を阻害する影響(毒性)を有していると仮定する。通常、有害物質iの吸引は人体にとって、有害であるが、有害物質iを吸引した避難者は、その他の有害物質の吸引量が低下するため、その他の有害物質i′の毒性が有害物質iの毒性よりも高い場合には、有害物質iの吸引は全体としては安全性を高めることがある。このような作用は、拮抗作用と呼ばれている。このような拮抗作用は、他の変数間にも存在すると考えられる。また、避難が完了した場合、変数X、X、X3,1、X3,2、…、X3,n、…、X26が安全性に与える影響は変化する。例えば、避難経路への煙の侵入は危険であるが、避難完了後であれば、安全上大きな影響は無い。
【0069】
安全性算出部46は、さらに、経路安全性を複数の経路に対応付けてディスプレイに表示する。
【0070】
図2は、人流動シミュレーション部45により用いられるモデルを示している。そのモデル51は、経路モデル52、53、54と人モデル55、56、57とから形成されている。経路モデル52、53、54は、経路の形状を示し、壁のモデル52、53とドアのモデル54とを含んでいる、人モデル55、56、57は、有限の大きさを持った個体を示し、その個体は、個体の大きさBSと、個体間が保つべき距離PSとを有している。ここで、距離PSは、周囲の状況により変化し、大きさBSは、人の体の大きさに対応し、変化しない。
【0071】
このようなシミュレーションでは、第1ステップ〜第4ステップの4つのステップで人の移動を算出する。
第1ステップ:
人モデルは、1ステップで大きさBSの1/2の距離だけ移動する。このとき、人モデルは、大きさBSと距離PSとが重複しないように移動する。さらに、人モデルは、距離PSが重複するようであれば、移動しないで、距離PSを所定の割合で縮小させる。人モデルは、距離PSの縮小後に、次ステップで移動可能であれば移動する。
第2ステップ:
人モデルは、第1ステップの操作を繰り返し、距離PSが大きさBSと等しくなり、大きさBSと距離PSとの重複により動けない状態になったときに、膠着状態にあるとみなし、膠着フラグを立てる。
第3ステップ:
膠着フラグが立っている人モデルがいるときに、その人モデルが2ステップ移動すればその重複状態を脱するかを判断する。
第4ステップ
第3ステップで重複しないと判別されたときに、人モデルを1ステップのみ移動させる。重複相手に膠着フラグが立っていれば、移動することができない。
たとえば、仮に人モデル57を移動させたとすると、人モデル57は、人モデル55と人モデル56と重複状態にあるので、人モデル55人モデル56には重複フラグを立てる。重複フラグは、人モデル57が移動し重複状態を脱するまで、維持される。
この操作により得られる挙動では、1ステップのみは大きさBSの重複が発生するが、それ以降は必ず解消される。また、一回の移動を大きさBSの1/2程度としているため、二回の移動で重複しない条件で移動させる限りは、一回移動での重複量も制限されている。
【0072】
このようなモデル51は、人モデル55、56、57がドアのモデル54を目指す場合で、ドアの幅が十分でないときに、一人も移動できなくなるアーチ現象を表現することができる。このようなアーチ現象は、現実では、圧力の強い箇所から動き始める。このとき、一部の人間は、過度の圧力を受け、通常の体の大きさより小さくなっている。このようなモデル51によれば、その重複を避難者の変形と考えることができ、その重複の発生の有無をカウントすることにより過度の混雑による危険性も予見することが可能になる。
【0073】
本発明による安全性評価方法の実施の形態は、安全性評価装置41により実行される。ユーザは、まず、安全性を評価する対象である建造物が備える複数の経路の構造を安全性評価装置41に入力する。ユーザは、さらに、その建造物で発生する加害事象のうちの安全性を評価する対象である加害事象を安全性評価装置41に入力する。
【0074】
安全性評価装置41は、入力された構造と加害事象とに基づいて、その加害事象がどのように進展するかをシミュレーションにより算出する。安全性評価装置41は、さらに、その構造と加害事象と加害事象の進展とに基づいて、その建造物にいる人がそれぞれどのように移動するかをシミュレーションにより算出する。安全性評価装置41は、その構造と加害事象と加害事象の進展と人の移動とに基づいて、その建造物の複数の経路ごとに経路安全性を算出し、その経路安全性を複数の経路に対応付けてディスプレイに表示する。
【0075】
このような安全性評価方法によれば、人が移動する経路の安全性をより適切に評価することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明による安全性評価装置41は、有害物質が拡散する災害が発生したときに避難経路を選定する災害時支援装置に適用されることができる。その災害時支援装置1は、図3に示されているように、災害時支援システム2に適用されている。災害時支援システム2は、災害時支援装置1がセンサ群3と機器群4と提示装置群5とに双方向に情報を伝送することができるように接続されている。
【0077】
センサ群3は、建造物に分散されて配置されている複数のセンサから形成されている。その建造物としては、高層ビル、地下商業施設、地下鉄が例示される。そのセンサは、建造物の状況を常時に監視し、その監視結果を災害時支援装置1に伝送する。その状況としては、その建造物が備える複数の経路に拡散する物質の状況、災害時にその建造物から避難する避難者の状況、機器群4の各々の運転状態が例示される。そのセンサとしては、温度センサ、煙検知機、監視カメラ、集音マイク、通報装置、機器群4の各々の運転状態を検出するセンサが例示される。機器群4は、その建造物に設置されている複数の機器および設備から形成されている。その機器としては、その建造物が備える複数の経路を互いに隔離する扉、空調設備、排煙設備、消火設備が例示される。その消火設備としては、スプリンクラが例示される。
【0078】
提示装置群5は、その建造物が備える経路に分散されて配置されている複数の提示装置から形成されている。その提示装置としては、表示装置、誘導灯、スピーカが例示される。その表示装置は、その建造物の全体見取り図、フロア詳細図に例示される図を記録し、その図に重ねて災害時支援装置1から通知される避難経路を他の経路と識別可能に表示し、推定される現在の状況、予測される事象の進展状況を表示する。その誘導灯は、その建造物が備える経路に沿う壁の大人の目線より少し低い高さに配置され、複数の方向をそれぞれ示す複数の矢印とその矢印に隣接したメッセージを発光させることができる。その誘導灯は、災害時支援装置1から避難経路が通知されるときに、その複数の矢印のうちのその避難経路を示す1つの矢印を点灯する。このとき、避難者は、その建造物から避難するときに、その矢印を見るために前かがみになり、好ましい。
【0079】
災害時支援装置1は、ワークステーションに例示されるコンピュータであり、その建造物の内部もしくは外部に配置されている。災害時支援装置1は、図4に示されているように、コンピュータプログラムであるシナリオ情報データベース11と避難者特性情報データベース13と現場情報収集部14と経路分離部15と避難経路提示部16と機器制御部17とがインストールされている。
【0080】
シナリオ情報データベース11は、その建造物に発生する加害事象により引き起こされる事象(被害、障害)が記録されている。避難者特性情報データベース13は、その建造物の中にいる避難者の特性と分布とが記録されている。
【0081】
現場情報収集部14は、その建造物の状況を示す現場情報をセンサ群3から収集する。すなわち、現場情報収集部14は、センサ群3により検出される炎の発生、有害物質、煙の発生・拡散、機器群4の運転状況、災害時にその建造物から避難する避難者の状況をセンサ群3から収集する。経路分離部15は、現場情報収集部14により収集された建造物の状況に基づいて、その建造物が備える複数の経路を、避難者が避難する避難経路と有害物質が通過する排出経路とに分離する。避難経路提示部16は、経路分離部15により算出された避難経路を提示装置群5に伝送して、提示装置群5にその避難経路を提示させる。機器制御部17は、経路分離部15により算出された避難経路と排煙路とが確実に隔離されて有害物質が排煙路から避難経路に流入しないように機器群4を制御する。
【0082】
図5は、シナリオ情報データベース11を示している。シナリオ情報データベース11は、現場情報21に対応付けて事象22を記録している。現場情報21は、センサ群3から収集される建造物の状況を示している。事象22は、現場情報21により示される状況を引き起こす災害を示している。事象22としては、火災、有害物質の拡散が例示される。その有害物質は、人体または施設内に設置された機器に害を与える可能性がある物質である。その有害物質としては、火災による煙、散布された化学物質・生物、高濃度の窒素、水蒸気が例示される。窒素は、環境に存在し、一般に人体に有害でないが、高濃度の窒素は、人体に酸欠を引き起こし有害である。水蒸気は、高湿度下での運転が保証されていない機器にとって有害である。状況22と事象22との対応付けは、実機試験結果、縮小モデル試験結果、シミュレーション、過去の事例に基づいて導出される。
【0083】
図6は、避難者特性情報データベース13を示している。避難者特性情報データベース13は、施設27に対応付けて避難者の特性毎の分布を示している。その避難者特性の分布は、運動能力28と人数29とから形成されている。その建造物は、複数の区画に分割されている。施設27は、その複数の区画を互いに識別している。避難者は、運動能力に応じて複数のレベルに区別されることができる。運動能力28は、その複数のレベルを互いに識別している。運動能力28としては、障害の有無、年齢、性別の組み合わせが例示される。人数29は、施設27により識別される区画に配置される運動能力28に示されるレベルの避難者の人数を示している。施設27と避難者の特性毎の分布との対応付けは、各区画に出入りする人員を実際に検出して導出され、または、過去の統計結果に基づいて算出される。
【0084】
図7は、経路分離部15を示している。経路分離部15は、コンピュータプログラムである現状推定部31と安全性評価部32と避難経路選定部33と排煙路選定部34とを備えている。
【0085】
現状推定部31は、シナリオ情報データベース11を参照して、現場情報収集部14により収集された現場情報に対応する事象を算出する。現状推定部31は、さらに、ユーザにより操作されたときに、その事象をユーザにより入力された他の事象に変更して出力することができる。なお、現状推定部31は、現場情報収集部14により収集された現場情報に対応する複数の事象を算出することもできる。このとき、監視員は、現場情報収集部14により収集された現場情報(たとえば、映像)に基づいて、その複数の事象からより尤らしい事象を選出することができる。また、現状推定部31は、使用者(監視員)に対し事象を決定するのに不足している情報を促すことにより、事象推定の精度を上げることができる。
【0086】
安全性評価部32は、既述の実施の形態に記載される経路構造収集部42と事象収集部43と事象進展シミュレーション部44と人流動シミュレーション部45と安全性算出部46とを備えている。経路構造収集部42は、入力装置を用いてユーザにより建造物の構造が入力されたときに、その建造物の構造を入力装置から収集する。事象収集部43は、現状推定部31により算出された事象を収集する。
【0087】
事象進展シミュレーション部44は、経路構造収集部42により収集された構造と事象収集部43により収集された加害事象とに基づいて、その加害事象がどのように進展するかをシミュレーションにより算出する。人流動シミュレーション部45は、経路構造収集部42により収集された構造と事象収集部43により収集された加害事象と事象進展シミュレーション部44により算出された進展とに基づいてその建造物にいる人がそれぞれどのように移動するかをシミュレーションにより算出する。
【0088】
安全性算出部46は、経路構造収集部42により収集された経路の構造と事象収集部43により収集された加害事象と事象進展シミュレーション部44により算出された加害事象の進展と人流動シミュレーション部45により算出された人の移動とに基づいて、その経路毎に複数の変数を算出する。その複数の変数は、煙熱曝露量Xと火炎熱暴露量Xと有害物質量X3,iと距離Xと避難時間Xと蓄煙量Xと発煙速度Xと施設の排煙能力Xと負荷Xと明るさX10と避難誘導手段数X11と最大避難誘導手段間隔X12と最長直線割合X13と直線区間数X14と斜度X15と斜面長さX16と最大人口密度X17と滞留発生時間X18と接続数X19と一時避難場所面積X20と煙量X21と発煙速度X22と室間圧力差X23と避難経路圧力差X24と火災室の隣室に対する圧力差X25と床面高さX26とから形成されている。安全性算出部46は、さらに、その複数の変数を用いて、経路毎に経路安全性を算出する。
【0089】
避難経路選定部33は、さらに、避難者特性情報データベース13を参照して、各区画にいる避難者の人数を算出し、現状推定部31により算出された事象と安全性評価部32により算出された経路安全性とに基づいて、避難者安全性を算出する。その避難者安全性S2は、建造物内にいる避難者の人数Nと適当な定数βとβとを用いて、次式:
S2=βΣ{α(X)+α(X)+Σα3,i(X3,i)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α1010(X10)+α1111(X11)+α1212(X12)+α1313(X13)+α1414(X14)+α1515(X15)+α1616(X16)+α1717(X17)+α1818(X18)+α1919(X19)+α2020(X20)+α2121(X21)+α2222(X22)+α2323(X23)+α2424(X24)+α2525(X25)+α2626(X26)+γF27(X,X,X3,1,X3,2,…,X3,n,X,X,X,X,X,X,X10,X11,X12,X13,X14,X15,X16,X17,X18,X19,X20,X21,X22,X23,X24,X25,X26)}/N+βMax{α(X)+α(X)+Σα3,i(X3,i)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α(X)+α1010(X10)+α1111(X11)+α1212(X12)+α1313(X13)+α1414(X14)+α1515(X15)+α1616(X16)+α1717(X17)+α1818(X18)+α1919(X19)+α2020(X20)+α2121(X21)+α2222(X22)+α2323(X23)+α2424(X24)+α2525(X25)+α2626(X26)+γF25(X,X,X3,1,X3,2,…,X3,n,X,X,X,X,X,X,X10,X11,X12,X13,X14,X15,X16,X17,X18,X19,X20,X21,X22,X23,X24,X25,X26)}=βΣ{S1}/N+βMax{S1}
により表現される。ここで、数式{S1}(k=1,2,3,…,N)は、複数の経路のうちの1つの経路にいる避難者が外部に避難するときに通過する経路の経路安全性を示している。数式Σ{S1}/Nは、避難者が通過する経路の経路安全性の平均を示している。数式Max{S1}は、避難者が通過する経路の経路安全性の最大値を示している。
【0090】
避難経路選定部33は、経路全体の安全性の確保と局所的な危険性の増加の回避とを達成することを目標として避難経路を選定する、たとえば、避難者安全性S2が最小になるように、避難経路を選定する。すなわち、避難経路選定部33は、避難者が通過する経路の経路安全性の平均と最大値とがより小さくなるような避難経路を選定する。なお、避難者安全性S2は、その平均値とその最大値との線形結合と異なる計算式により算出されることもできる。このとき、その計算式は、目標となる状態で避難者安全性S2が最小になるように設計されている。
【0091】
排煙路選定部34は、現状推定部31により算出された事象と安全性評価部32により算出された避難者安全性とに基づいて、その建造物が備える複数の経路から有害物質を隔離する複数の排煙路を選出する。このとき、排煙路選定部34は、避難経路選定部33と協調して排煙路と避難経路とが一致しないように、その複数の排煙路を選出する。排煙路選定部34は、さらに、その有害物質を建造物の外に排出するために、その有害物質が複数の排煙路を通過する向きを算出する。
【0092】
本発明による災害時支援装置方法の実施の形態は、災害時支援装置1により間欠的に実行される。災害時支援装置1は、図8に示されているように、まず、センサ群3から現場情報を収集する(ステップS1)。災害時支援装置1は、現場情報に基づいて火災が発生したと判別されたときに(ステップS2、YES)、その建造物が備える複数の経路を避難経路と排煙路とに分離する(ステップS3)。
【0093】
すなわち、災害時支援装置1は、シナリオ情報データベース11を参照して、センサ群3から収集された現場情報に対応する事象を算出する。このとき、災害時支援装置1がユーザにより操作されたときに、その事象はユーザにより入力された他の事象に変更される。災害時支援装置1は、シナリオ情報データベース11を参照して、または、シミュレーションにより、その事象がどのように進展するかを算出する。このとき、災害時支援装置1がユーザにより操作されたときに、その進展は、ユーザにより入力された他の進展に変更される。
【0094】
災害時支援装置1は、算出された事象と進展とに基づいて、その建造物が備える複数の経路から有害物質がより拡散しない複数の排煙経路を選出する。災害時支援装置1は、さらに、避難者特性情報データベース13とを参照して、各区画にいる各運動能力の避難者がそれぞれ避難する複数の避難経路を建造物が備える複数の経路から選出する。
【0095】
災害時支援装置1は、算出された事象と進展とに基づいて、その建造物が備える複数の経路から有害物質を隔離する複数の排煙路を選出する。このとき、災害時支援装置1は、排煙路と避難経路とが一致しないように、その複数の排煙路を選出する。災害時支援装置1は、さらに、その有害物質を建造物の外に排出するために、その有害物質が複数の排煙路を通過する向きを算出する。
【0096】
災害時支援装置1は、算出された避難経路を提示装置群5に通知して、提示装置群5にその避難経路を提示させる(ステップS4)。提示装置群5のうちの表示装置は、その建造物の全体見取り図またはフロア詳細図に重ねて災害時支援装置1から通知される避難経路を他の経路と識別可能に表示する。提示装置群5のうちの誘導灯は、災害時支援装置1から避難経路が通知されるときに、その避難経路を指示する矢印を点灯する。
【0097】
災害時支援装置1は、算出された避難経路と排煙路とが確実に隔離されて有害物質が排煙路から避難経路に流入しないように機器群4を制御する(ステップS5)。たとえば、災害時支援装置1は、機器群4のうちの扉を閉鎖して避難経路と排煙路とを隔離する。災害時支援装置1は、機器群4のうちの空調装置を用いて環境の空気を避難経路に供給する。災害時支援装置1は、機器群4のうちの排煙装置を用いて排煙路の煙を環境に排出する。災害時支援装置1は、機器群4のうちのスプリンクラを用いて湿度を上昇させて火災の延焼を防止する。
【0098】
災害時支援装置1は、センサ群3から現場情報を収集する(ステップS6)。災害時支援装置1は、その現場情報に基づいて各区画に避難者が残存していないかどうかを確認する(ステップS7)。災害時支援装置1は、各区画に避難者が残存しているときに(ステップS7、YES)、ステップS3〜ステップS6を繰り返し実行する。ここで、災害時支援装置1は、一部の区画に避難者が残存していないことが確認できたときに、機器群4を用いてその区画を窒息させて火災を消火する。災害時支援装置1は、建造物からすべての避難者が避難したことが確認できたときに(ステップS7、NO)、ステップS5〜ステップS7を繰り返し実行して、避難経路の選定を止めて機器群4を用いて排煙のみを行う。
【0099】
本発明による災害時支援方法によれば、より適切な避難経路を選定することができる。
【0100】
本発明による安全性評価装置41は、さらに、建造物を設計するときに利用されることができる。すなわち、ユーザは、まず、設計された建造物の構造を安全性評価装置41に入力する。ユーザは、さらに、その建造物で発生する加害事象のうちの安全性を評価する対象である加害事象を安全性評価装置41に入力する。安全性評価装置41は、入力された構造と加害事象とに基づいて、その建造物の複数の経路ごとに経路安全性を算出し、その経路安全性を複数の経路に対応付けてディスプレイに表示する。ユーザは、その経路安全性を参考にして、避難経路がより安全になるように、設計しなおす。このような利用によれば、より安全である建造物を設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、本発明による安全性評価装置を示すブロック図である。
【図2】図2は、アーチ現象を示す平面図である。
【図3】図3は、災害時支援システムを示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明による災害時支援装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】図5は、シナリオ情報データベースを示す図である。
【図6】図6は、避難者特性情報データベースを示す図である。
【図7】図7は、経路分離部を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明による災害時支援方法の実施の形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
41:安全性評価装置
42:経路構造収集部
43:事象収集部
44:事象進展シミュレーション部
45:人流動シミュレーション部
46:安全性算出部
51:アーチ現象
52:壁
53:壁
54:ドア
55:避難者
56:避難者
57:避難者
1 :災害時支援装置
2 :災害時支援システム
3 :センサ群
4 :機器群
5 :提示装置群
11:シナリオ情報データベース
13:避難者特性情報データベース
14:現場情報収集部
15:経路分離部
16:避難経路提示部
17:機器制御部
21:現場情報
22:事象
23:進展
25:経路
26:負荷
24:避難容量
27:施設
28:運動能力
29:人数
31:現状推定部
32:安全性評価部
33:避難経路選定部
34:排煙路選定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の経路の構造を収集する経路構造収集部と、
前記複数の経路で発生する事象の状態を収集する事象収集部と、
前記構造と前記状態とに基づいて前記事象の進展を算出する事象進展シミュレーション部と、
前記構造と前記状態とに基づいて前記複数の経路にいる人の移動を算出する人流動シミュレーション部と、
前記構造と前記状態と前記移動と前記進展とに基づいて前記複数の経路のそれぞれの安全性を算出する安全性算出部
とを具備する安全性評価装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記人流動シミュレーション部は、前記進展に更に基づいて前記移動を算出し、
前記事象進展シミュレーション部は、前記移動に更に基づいて前記進展を算出する
安全性評価装置。
【請求項3】
複数の経路の構造を収集するステップと、
前記複数の経路で発生する事象の状態を収集するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記事象の進展を算出するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、
前記構造と前記状態と前記移動と前記進展とに基づいて前記複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップ
とを具備する安全性評価方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記移動は、前記進展に更に基づいて算出され
前記進展は、前記移動に更に基づいて算出される
安全性評価方法。
【請求項5】
複数の経路の構造を収集するステップと、
前記複数の経路で発生する事象の状態を収集するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記事象の進展を算出するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、
前記構造と前記状態と前記移動と前記進展とに基づいて前記複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップ
とを具備する安全性評価プログラム。
【請求項6】
請求項5において、
前記移動は、前記進展に更に基づいて算出され
前記進展は、前記移動に更に基づいて算出される
安全性評価プログラム。
【請求項7】
複数の経路の構造を収集する経路構造収集部と、
複数現場情報を複数事象に対応付けるシナリオ情報データベースと、
前記複数の経路に分散されて配置された複数のセンサから前記複数の経路の状況を示す現場情報を収集する現場情報収集部と、
前記シナリオ情報データベースを参照して、前記複数事象のうちの前記現場情報に対応する前記事象を抽出する現状推定部と、
前記構造と前記状態とに基づいて前記事象の進展を算出する事象進展シミュレーション部と、
前記構造と前記状態とに基づいて前記複数の経路にいる人の移動を算出する人流動シミュレーション部と、
前記構造と前記状態と前記移動と前記進展とに基づいて前記複数の経路のそれぞれの安全性を算出する安全性算出部と、
前記安全性に基づいて前記複数の経路から避難者が避難する避難経路を選定する避難経路選定部と、
前記複数の経路に分散されて配置された複数の提示装置に前記避難経路を表示する避難経路提示部
とを具備する災害時支援装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記人流動シミュレーション部は、前記進展に更に基づいて前記移動を算出し
前記事象進展シミュレーション部は、前記移動に更に基づいて前記進展を算出する
災害時支援装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記安全性に基づいて前記複数の経路から有害である物質が通過する排出経路を選定する排煙路選定部を更に具備し、
前記避難経路は、前記排出経路と異なる
災害時支援装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記排出経路を介して前記物質が外部に排出されるように複数の機器を制御する機器制御部
を更に具備する災害時支援装置。
【請求項11】
複数の経路の構造を収集するステップと、
複数現場情報を複数事象に対応付けるシナリオ情報データベースと、
前記複数の経路に分散されて配置された複数のセンサから前記複数の経路の状況を示す現場情報を収集するステップと、
前記シナリオ情報データベースを参照して、前記複数事象のうちの前記現場情報に対応する前記事象を抽出するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記事象の進展を算出するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、
前記構造と前記状態と前記移動と前記進展とに基づいて前記複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップと、
前記安全性に基づいて前記複数の経路から避難者が避難する避難経路を選定するステップと、
前記複数の経路に分散されて配置された複数の提示装置に前記避難経路を表示するステップ
とを具備する災害時支援方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記移動は、前記進展に更に基づいて算出され
前記進展は、前記移動に更に基づいて算出される
災害時支援方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記安全性に基づいて前記複数の経路から有害である物質が通過する排出経路を選定するステップを更に具備し、
前記避難経路は、前記排出経路と異なる
災害時支援方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記排出経路を介して前記物質が外部に排出されるように複数の機器を制御するステップ
を更に具備する災害時支援方法。
【請求項15】
複数の経路の構造を収集するステップと、
複数現場情報を複数事象に対応付けるシナリオ情報データベースと、
前記複数の経路に分散されて配置された複数のセンサから前記複数の経路の状況を示す現場情報を収集するステップと、
前記シナリオ情報データベースを参照して、前記複数事象のうちの前記現場情報に対応する前記事象を抽出するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記事象の進展を算出するステップと、
前記構造と前記状態とに基づいて前記複数の経路にいる人の移動を算出するステップと、
前記構造と前記状態と前記移動と前記進展とに基づいて前記複数の経路のそれぞれの安全性を算出するステップと、
前記安全性に基づいて前記複数の経路から避難者が避難する避難経路を選定するステップと、
前記複数の経路に分散されて配置された複数の提示装置に前記避難経路を表示するステップ
とを具備する災害時支援プログラム。
【請求項16】
請求項15において、
前記移動は、前記進展に更に基づいて算出され
前記進展は、前記移動に更に基づいて算出される
災害時支援プログラム。
【請求項17】
請求項16において、
前記安全性に基づいて前記複数の経路から有害である物質が通過する排出経路を選定するステップを更に具備し、
前記避難経路は、前記排出経路と異なる
災害時支援プログラム。
【請求項18】
請求項17において、
前記排出経路を介して前記物質が外部に排出されるように複数の機器を制御するステップ
を更に具備する災害時支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−309456(P2006−309456A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130414(P2005−130414)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】