説明

安定な正のゼータ電位を有する眼科用水中油型乳剤

【課題】長期間にわたり安定な眼科用水中油型乳剤を提供すること。
【解決手段】界面膜で覆われた油のコアを有するコロイド粒子を含み、少なくとも1種類のカチオン性物質及び少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤を含み、正のゼータ電位を有し、ゼータ電位安定性試験Aの条件を満たす眼科用水中油型乳剤。前記乳剤の製造方法。レンズ、眼科用パッチ、インプラント、インサートからなる群から選択される本発明の眼科用水中油型乳剤の送達手段。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間にわたって正の値に保たれたゼータ電位を有する眼科用のカチオン性水中油型乳剤に関する。
【背景技術】
【0002】
「眼科用乳剤」とは、眼科用途に好適であり、薬効又は美容効果を有しうる乳剤を意味する。
【0003】
本発明の乳剤は、長期間にわたって正の値に保たれたゼータ電位をしており、すなわち、長期間にわたって安定である。
【0004】
安定性とは、特定の期間内、並びに保存及び使用期間(保管期限等)の全体を通して、製品が製造時に有していたのと同一の性質及び特性を保持している程度と定義される。安定性試験の目的は、調剤原料又は製剤の品質が、温度、湿度、及び光等の種々の環境因子の下で、長期間にわたっていかに変化するかについての証拠を得ることや、推奨される保存条件、再試験期限、及び保管期限を決定することである。実時間安定性試験は、薬剤の使用期限に最終的に影響するこれらの因子を評価することができるが、多大な時間と費用とを要する。従来、製剤の保管期限の予測には加速安定性試験が用いられている。こうした加速試験においては、試験系を少なくとも6ヶ月間40℃の温度下に置く。
【0005】
分解経路を確立し、考えられる分解生成物を同定することにより、試験系に固有な安定構造を理解し、用いられる分析手法を適合させるために、本出願人は、乳剤を所定時間80℃の温度下という過酷な環境下に置くストレス安定性試験を開発した。
【0006】
アレニウス式等の数学的外挿法を用いて、製品の保管期限の予測値が計算される。薬剤安定性試験へのアレニウス式の適用は正攻法である。等温法では、試験される系は、他の条件を一定にしていくつかの異なる高温下で保存される。過剰な熱に曝露することにより分解が加速され、速度定数をより短期間で求めることができる。
【0007】
近年、水中油型乳剤、特にサブミクロンサイズの液滴を含む乳剤(以下「サブミクロン乳剤」という)は、特に疎水性の薬剤送達のための賦形剤として重要性を増している。
【0008】
しかし、サブミクロン乳剤等の乳剤の安定化は、当業者にとっての関心事である。乳剤を安定化するための既知の方法としては、液滴の表面に電荷を付与し、液敵同士を反発させて、液滴の融合を抑制する方法が知られている。溶液中に分散しているコロイド粒子は、そのイオン性及び双極子特性のために荷電している。電荷は、アニオン系乳剤を生じる負電荷及びカチオン性乳剤を生じる正電荷のいずれであってもよく(Klang他、Pharm.Dev.Technology 2000,5,521−532)、「ゼータ電位」として知られている。ゼータ電位は、粒子間の斥力又は引力の尺度である(Washington,Adv.Drug Deliv.Reviews 1996,20:131−145)。
【0009】
文献に報告されているサブミクロン乳剤の調剤は、通常、天然資源から得られ、植物油等の油に由来する非イオン性又はイオン性の界面活性剤であり、種々の組成を有するリン脂質の混合物であるレシチンの組み合わせを基本としている。レシチンは通常、広いpH範囲にわたって中性であるホスファチジルコリン、ホスファチジルセリンやホスファチジン酸等の負電荷を有するリン脂質、及びホスファチジルエタノールアミン等の正電荷を有するリン脂質を、主要成分として含んでいる。そのような組成を有するため、リン脂質を基材とする乳剤のうち入手可能なものの殆どに含まれるコロイド粒子は負電荷を有する。十分な量のステアリルアミン、オレイルアミン、キトサン、{N−[i−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウム(DOTAP)等のカチオン性試薬を添加することによって、この表面荷電を逆転し、ゼータ電位に反映されるように、正に荷電したコロイドを得ることができる(Rabinovich−Guilatt他、Chem Phys Lipids 2004,131:1−13;Liu他、Pharm.Res.1996,13:1856−1860;Klang他、Int.J.Pharm.1996,132:33−44)。
【0010】
全てのリン脂質を含むコロイド(リポソーム又は乳剤等)において、長期間経過すると、リン脂質が加水分解して遊離の脂肪酸が生成するが、投与後の有害な副作用の原因となりうると共に(Varveri他、J.Photochem.Photobiol.A 1995,91:121−124)、それに起因してゼータ電位の顕著な減少が観測される(Zuidam及びCrommelin,J Pharm Sci 1995,84:1113−1119)。カチオン性リン脂質のコロイドにおいて、ゼータ電位の減少は、系が化学的に完全に安定ではないことを立証しており(Tamilvanan他、STP Pharma Sciences 2001,11:421−426)、液滴の大きさに反映されるように、製剤が物理的に不安定化される場合もある。
【0011】
例えば、ヒマシ油:大豆油相中に0.25〜1.5%のキトサン、0〜1.5%のリン脂質、0〜2.5%のポロキサマーを含むキトサンカチオン性製剤の場合、ポロキサマーとキトサンとを含む製剤のみが、高圧蒸気殺菌に対して優れた安定性を示したのに対し、キトサンとリン脂質とが共存する場合には、殺菌の間に製剤が不安定化した。論文の著者によると、正電荷を有するキトサンと負電荷を有するリン脂質との相互作用により、油滴の周囲の乳化剤膜が損傷を受け、油滴の融合が引き起こされた(Int.J Pharm.1999,183:175−84)。さらに、これらの乳剤については、粘膜投与又は経皮投与における抗菌活性の評価が行われている(Eur.J.Pharm.Biopharm.2002,53:115−23)。
【0012】
特に興味深いのは、点眼投与のためのカチオン性乳剤に関する以下の特許である。
【0013】
米国特許第6,007,826号明細書には、正電荷を有する界面膜で被覆されたコロイド粒子を含むカチオン性水中油型乳剤が開示されている。界面膜は、C10〜C14第一級アルキルアミン(ステアリルアミン又はオレイルアミンが開示されている)、C10〜C24第一級アルカノールアミン又はコレステリルベタイナート等のカチオン性脂質(0.05〜3重量%)、リン脂質(0.5〜3%)、並びに、ポロキサマー、チロキサポール、ポリソルビン酸塩及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群より選択される非イオン性界面活性剤(0.05〜3%)により形成される。油の濃度は3〜20%の範囲内に保たれている。米国特許第6,007,826号明細書の乳剤のゼータ電位は、熱ストレスに対して安定でない(Tamilvanan他、STP Pharma Sciences 2001,11:421−426参照)。
【0014】
Benita及びLambertを発明者とする米国特許第6,656,460号明細書には、0.1〜0.5%のリン脂質、0.5〜2%のポロキサマー等の乳化剤、及び保存料として塩化ベンザルコニウムを含む正電荷を有するサブミクロン乳剤の局所投与によりドライアイ症状を治療する方法が記載されている。これらの組成物は0.1〜0.5重量%のリン脂質を含んでいるので、そのゼータ電位は80℃で低下すると思われる。
【0015】
従来の乳剤は、液滴のサイズに関しては優れた物理的安定性を示すかもしれないが、物理的に安定で、長期間経過後のゼータ電位に影響を及ぼす疑いのある物質を殆ど含まないが、点眼投与に対する優れた許容性を有するカチオン性眼科用乳剤に対する必要性は依然として存在する。
【0016】
ゼータ電位に影響を及ぼす疑いのある物質としては、リン脂質及び保存中に負電荷を生じる任意の物質が考えられる。
【0017】
長期間経過後のゼータ電位に影響を及ぼす物質の量は、あらゆる時点において、乳剤中の正電荷の量が負電荷の量を上回るような量でなければならない。
【0018】
本発明において「長期間」とは、1年以上の期間、好ましくは2年以上の期間、より好ましくは3年以上の期間を意味する。本発明においては、乳剤がテストA〜Dのいずれかの要求を満たす場合、その乳剤は長期間にわたって変化しないゼータ電位を有すると考えられる。
【0019】
本発明において「優れた許容性を有する」とは、治療的有用性の眼球への不快感に対する割合が、患者にとって許容できる範囲内であり、好ましくは、プラセボ又は0.9%NaCl水溶液と同程度である。
【0020】
眼球に対する優れた許容性を示すためには、製剤中のカチオン含量は0.1%以下、好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.03%以下でなければならないことが一般に認められている。ステアリルアミン又はオレイルアミン等の第一級アミンは、0.1〜0.3%w/vにおいて、安全に点眼投与できることが示されている(Klang他、J.Pharm.Pharmacol.1994,46:986−993)。
【特許文献1】米国特許第6,007,826号明細書
【特許文献2】米国特許第6,656,460号明細書
【非特許文献1】Klang他、Pharm.Dev.Technology 2000,5,521−532
【非特許文献2】Washington,Adv.Drug Deliv.Reviews 1996,20:131−145
【非特許文献3】Rabinovich−Guilatt他、Chem Phys Lipids 2004,131:1−13
【非特許文献4】Liu他、Pharm.Res.1996,13:1856−1860
【非特許文献5】Klang他、Int.J.Pharm.1996,132:33−44
【非特許文献6】Varveri他、J.Photochem.Photobiol.A 1995,91:121−124
【非特許文献7】Zuidam及びCrommelin,J Pharm Sci 1995,84:1113−1119
【非特許文献8】Tamilvanan他、STP Pharma Sciences 2001,11:421−426
【非特許文献9】Int.J Pharm.1999,183:175−84
【非特許文献10】Eur.J.Pharm.Biopharm.2002,53:115−23
【非特許文献11】Tamilvanan他、STP Pharma Sciences 2001,11:421−426
【非特許文献12】Klang他、J.Pharm.Pharmacol.1994,46:986−993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
塩化ベンザルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、及び塩化ベンゾチオニウム等の第四級アミンは、保健当局により約0.03%以下の濃度での点眼投与が認められている(Furrer他、Eur.J.Pharm.Biopharm.2002,53:263−280)。乳剤の重要成分としてカチオン性の試薬を含む場合でも、負電荷を有する成分の電荷を中和することにより長期間にわたって正のゼータ電位を保つことができるが、そのような乳剤は、眼科用組成物に対し通常推奨される条件に適合しない。カチオン濃度を低減しようとすると、乳剤が不安定性される。
【0022】
最小量のカチオン性試薬を含み、安定な正のゼータ電位を有し、それを長期間にわたって保持する眼科用サブミクロン乳剤を提案することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、界面膜で覆われた油のコアを有するコロイド粒子を含み、少なくとも1種類のカチオン性物質及び少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤を含み、正のゼータ電位を有し、ゼータ電位安定性試験A、B、C及び/又はDの条件に適合する眼科用水中油型乳剤に関する。
【0024】
本発明の乳剤は、上で定義したように、長期間にわたって物理的に安定であり、試験A、B、C及び/又はDで述べるような特定の測定条件下において正のゼータ電位を保つ。本発明によれば、乳剤は、長期間経過後にゼータ電位に影響を及ぼす疑いのあるあらゆる物質を有効量含んでいない。本発明の乳剤がリン脂質を含まないのが有利である。
【0025】
ゼータ電位
ゼータ電位は、懸濁液中に含まれる全ての粒子が示す物理的性質の尺度である。ゼータ電位を用いて、種々の環境下における懸濁液の挙動の予測、懸濁液及び乳剤の処方の最適化、及び長期安定性の予測を行うことができる。
【0026】
乳剤の液滴が互いに融合して、次第にサイズが増大する会合体が形成するのを避けるためには、粒子に反発力を付与する必要がある。コロイド系に反発力を付与するための1つの方法は、静電的又は電荷安定化である。静電的又は電荷安定化は、系に含まれるイオン濃度を変化させるだけで系を安定化することができるという利点を有している。この方法は、可逆的で安価な方法である。表面電荷は、粒子の性質及び周囲の媒質に応じて様々な原因により生じると思われるが、最も重要な機構は、表面官能基のイオン化又は電荷を有するイオンの吸着である。
【0027】
極性液体中での粒子の相互作用は、粒子表面の電位ではなく、粒子及び会合したイオンの有効電位に支配される。分散液の静電的制御を用いるためには、表面電荷ではなく、粒子のゼータ電位の測定を行わなければならない。荷電粒子は、分散媒中の反対の電荷を有するイオンを引き付ける。表面付近のイオンは強く結合するが、表面から離れたイオンは、より拡散した領域を形成する。すべり面として知られているこの領域は概念上の境界であり、その内部に位置する粒子及びイオンは、一体となってふるまう。すべり面の電位はゼータ電位として知られている。ゼータ電位は、コロイド粒子間の相互作用の程度に関する非常によい指標であることは以前から認識されており、ゼータ電位は、コロイド系の安定性の評価に広く用いられている。ある系において測定されたゼータ電位は、表面の化学組成及び周囲の環境との相互作用の仕方に依存する。したがって、ゼータ電位は、常に一定の環境(特定のpH及びイオン強度)下で検討しなければならない。
【0028】
電気泳動移動度
粒子の表面に電荷が存在することによる重要な帰結は、粒子と印加された電場とが相互作用することである。これらの効果を総称して界面動電効果という。印加された電場の影響下にある液体中に分散した粒子の運動が誘起される場合、特に電気泳動という。電解質を横断するように電場が印加されると、電解質中に分散した荷電粒子は、反対の電荷を有する電極に引き付けられる。粒子に作用する粘性力は、この運動を妨げようとする。これらの拮抗する作用の間で平衡が成立すると、粒子は一定の速度で運動するようになる。この速度は、電場の強さ又は電位勾配、媒質の誘電定数、媒質の粘度及びゼータ電位に依存する。単位電場中での粒子の速度を、その粒子の電気液動移動度という。ゼータ電位は、ヘンリーの式によって電気泳動移動度と関連付けられる。
【0029】
【数1】

【0030】
式中、U=電気泳動移動度、z=ゼータ電位、ε=誘電定数、η=粘度、f(κ)=ヘンリー関数である。
【0031】
電気泳動法によるゼータ電位の決定は、通常、中程度のイオン強度の水性媒体中で行われる。この場合、f(κ)は1.5であり、これをスモルコフスキー近似という。したがって、移動度からゼータ電位を計算することは、スモルコフスキーのモデルに適合する系、すなわち、約0.2ミクロンよりも大きな粒子が、10−3モル以上の塩を含む電解質中に分散した系においては直接的な方法である。誘電定数の低い媒質(非水系媒質等)中の小さな粒子については、f(κ)が1.0となり、同様に計算が簡単になる。このような場合を、ヒュッケル近似という。
【0032】
試験A、B、C及びD
試験Aは、熱ストレス下で乳剤のゼータ電位の安定性を測定するものである。
【0033】
T=0の時点、すなわち、乳剤を調製後すぐに乳剤のゼータ電位を測定し、得られた値をzとする。窒素雰囲気下で(バブリングは行わずに)密封し、5〜10mlの乳剤を含む有効容量10mlのガラス容器(タイプI)を80℃で保存する。
【0034】
T=15時間の時点で、ゼータ電位z15hを測定する。
【0035】
次いで、δ=z15h−zを計算する。
【0036】
それぞれの時点におけるゼータ電位の測定は、下記の要領で行う。
【0037】
乳剤の液滴表面のゼータ電位は、適当なソフトウェアを備え、付属の標品で校正されたMalvern Zetasizer 2000(Malvern Instruments社、英国)等の装置を用いて求めた電気泳動移動度より決定される。
【0038】
必要ならば、散乱強度が粒子の検出に最適な値となるよう、2回蒸留した水で乳剤を希釈する。試料の計数値は、ホモダイン検出器の場合、100〜1000KCpsの範囲内とするべきである(ヘテロダイン検出を用いる場合には、参照ビームの寄与を推定する必要がある)。測定は、150mVの一定のセル駆動電圧を用いて、25℃で3回連続して行う。水の誘電定数及び粘度を用いて、スモルコフスキーの式により電気泳動移動度をゼータ電位に換算する。測定値は、3回の測定で得られた値の平均値に相当する。
【0039】
δが10mVよりも小さい場合乳剤はゼータ電位安定性試験Aの条件に適合すると考えられる。
【0040】
有利な実施形態によると、本発明の眼科用乳剤はゼータ電位安定性試験Bの条件に適合する。試験Bは、乳剤を80℃で48時間保存し、ゼータ電位zを48時間後に測定し、δ=z−zを計算すること以外は試験Aと同様である。δが10mVよりも小さい場合、乳剤はゼータ電位安定性試験Bの条件に適合すると考えられる。
【0041】
より有利な実施形態によると、本発明の眼科用乳剤はゼータ電位安定性試験Cの条件に適合する。試験Cは、乳剤を80℃で7日間保存し、ゼータ電位zを7日目に測定し、δ=z−zを計算すること以外は試験Aと同様である。δが10mVよりも小さい場合、乳剤はゼータ電位安定性試験Cの条件に適合すると考えられる。
【0042】
さらにより有利な実施形態によると、本発明の眼科用乳剤はゼータ電位安定性試験Dの条件に適合する。試験Dは、乳剤を80℃で14日間保存し、ゼータ電位z14を14日目に測定し、δ=z14−zを計算すること以外は試験Aと同様である。δが10mVよりも小さい場合、乳剤はゼータ電位安定性試験Dの条件に適合すると考えられる。
【0043】
本発明の1つの実施形態によると、前記カチオン性物質の濃度は、乳剤の全重量に対する重量(w/w)において0.001〜0.1%、好ましくは0.002〜0.05%、さらに好ましくは0.003〜0.03%の範囲内である。
【0044】
有利には、油の濃度が、乳剤の全重量に対する重量(w/w)において7%以下、好ましくは約0.5〜5%、さらに好ましくは約1〜3%である。
【0045】
本発明の他の実施形態において、カチオン性物質/油の重量比は、0.0025〜0.06、好ましくは0.005〜0.04、好ましくは0.01〜0.02の範囲内にある。
【0046】
本発明の乳剤において、非イオン性界面活性剤の濃度は、乳剤の全重量に対する重量(w/w)において1%未満であり、好ましくは0.01〜0.6%の範囲内に含まれる。
【0047】
本発明の眼科用水中油型乳剤において、カチオン性物質は、C10〜C24の第一級アルキルアミン、第三級脂肪族アミン、第四級アンモニウム化合物、カチオン性脂質、アミノアルコール、ビグアニド塩、カチオン性ポリマー、及びこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択される。
【0048】
第一級アミンは、好ましくは、オレイルアミン及びステアリルアミンからなる群より選択され、第三級脂肪族塩は、ジメチルラウラミン又はジエタノールアミンであってもよく、アミノアルコールはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであってもよい。
【0049】
好ましい実施形態においてカチオン性物質は、好ましくは、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化ラウラルコニウム、セトリミド、ハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ドデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化セトリモニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム、ハロゲン化ベヘナルコニウム、ハロゲン化セタルコニウム、ハロゲン化セテチルジモニウム、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンゾドデシニウム、ハロゲン化クロラリルメテナミン、ハロゲン化ミリスタルコニウム、ハロゲン化ステアラルコニウム、又はこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択される第四級アンモニウム化合物であり、ハロゲン化物は好ましくは塩化物又は臭化物である。有利には、前記カチオン性物質は、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウラルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゼセニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム又はこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択されるものであってもよい。
【0050】
カチオン性ポリマーはキトサンであってもよく、カチオン性脂質は、1,2‐ジオレオイル‐3‐トリメチルアンモニウムプロパン、1,2‐ジオレオイル‐sn‐グリセロ‐ホスファチジルエタノールアミン、カチオン性グリコスフィンゴ脂質又はカチオン性コレステロール誘導体であってもよい。
【0051】
ビグアニド塩の例としては、クロロヘキシジン及びその塩、ポリアミノプロピルビグアニド、フェンホルミン、アルキルビグアニド、又はこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。
【0052】
本発明の乳剤に用いることができる非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニックF68LF(商品名)又はルトロールF68、プルロニックL−G2LF(商品名)及びプルロニックL62D(商品名)(BASF Wyandotte社、米国ニュージャージー州パーシッパニー)等のポロキサマー、ポリソルベート20及びポリソルベート80等のポリソルビン酸、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、ポリオキシステアリン酸誘導体及びこれらの2種類以上の混合物等が挙げられる。
【0053】
本発明の水中油型乳剤は、カチオン性物質として塩化ベンザルコニウムを含み、非イオン性界面活性剤としてポロキサマーを含むのが有利である。
【0054】
本発明において、コロイド粒子は、1μm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは100〜250nmの平均粒径を有する。
【0055】
乳剤の油は、植物油(大豆油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、ヒマシ油、甘扁桃油等)、鉱物油(ワセリン及び流動パラフィン等)、中鎖トリグリセリド(MCT)(炭化水素鎖が8〜12の炭素原子を有するトリグリセリド油)、油脂脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、油脂脂肪アルコール、ソルビトールと脂肪酸よりなるエステル、脂肪酸スクロースエステル、及び生理学的に許容できる任意の油状物質全般からなる群より選択される1又は複数の成分を含んでいてもよい。
【0056】
油相の主成分は、植物油及び/又はMCTであることが好ましい。乳剤を用いて送達しようとする疎水性物質が油相中に十分に溶解しない場合には、脂肪酸又は脂肪アルコールを含んでいてもよい。
【0057】
本発明の乳剤に用いることができるMCT油としては、TCM(商品名)(フランス製油業協会)、ミグリオール812(商品名)(Dynamite Novel社、スウェーデン)が挙げられる。
【0058】
本発明の乳剤中に存在していてもよい他の化合物としては、例えば、アニオン性界面活性剤、及び、スクロース、グリセリン又はマニトール等の浸透圧調節剤、α−トコフェロール、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、無水チオ硫酸ナトリウム、クエン酸一水和物、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビン酸等の酸化防止剤、又はチオマーサル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、ソルビン酸、EDTA及びメチル−、エチル−若しくはブチルパラベン等の保存料等の添加物が挙げられ、これらの添加物は、ゼータ電位の安定性に影響を与えない特定の濃度でのみ添加することができる。
【0059】
アニオン性界面活性剤の例としては、リン脂質等の医薬用アニオン性脂質が挙げられる。本発明の乳剤において用いることができるリン脂質としては、レシチン、70%のホスファチジルコリン及び12%のホスファチジルエタノールアミン及び約15%の他のリン脂質の混合物であるエピクレン120(商品名)(Lucas Meyer社、ドイツ)、オボシン160(商品名)又はオベシン200(商品名)(Lucas Meyer社製、ホスファチジルコリン、18%のホスファチジルエタノールアミン及び12%の他のリン脂質)、例えば卵黄由来の精製リン脂質混合物、約80%のホスファチジルコリン、8%のホスファチジルエタノールアミン、3.6%の非極性油脂及び約2%のスフィンゴミエリンを含むリン脂質混合物であるリポイドE80(商品名)(Lipoid AC社製、Ludwigshafen、ドイツ)等が挙げられる。
【0060】
本発明の乳剤に含まれる水相の好ましいpHは4.0〜8.5であり、6.0〜8.0であれば特に好ましい。
【0061】
本発明はまた、界面膜で覆われた油のコアを有するコロイド粒子を含み、少なくとも1種類のカチオン性物質及び少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤を含み、正のゼータ電位を有し、ゼータ電位安定性試験Aの条件を満たす眼科用水中油型乳剤の製造方法であって、水相と油相とを混合して得られる粗乳剤をせん断混合後高圧でホモゲナイズする工程を有する眼科用水中油型乳剤の製造方法に関する。
【0062】
本発明の眼科用乳剤は、様々な医薬用途のための種々の疎水性の活性成分を含む医薬組成物として調剤することができる。親水性の薬剤も、これらの乳剤によって投与することができる。
【0063】
本発明によると、乳剤は前記活性成分を眼球投与するために調剤することができる。この水中油型乳剤において、水に不溶の薬剤を、内部の油相に溶解させることにより、好ましい分子状態を保つことができる。また、外部相に水を用いることで、油に起因するかすみ目を最小化することができる。さらに、油相中の薬剤の濃度を調整して熱力学的安定性を最大化することができ、それにより、深部組織への薬剤の浸透が促進される。
【0064】
したがって、本発明は、眼の異常の予防及び治療に有用な薬剤の調製への、本発明の水中油型乳剤の使用を提供する。
【0065】
本発明はまた、本発明の眼科用水中油型乳剤と、点眼剤組成物、眼用軟膏又は眼用ゲルから選択される、医薬的に許容される担体とを含む眼科用製剤に関する。
【0066】
前記製剤は、医薬的に許容される担体中に溶解又は封入された薬剤として有効な量の活性成分を含んでいてもよい。本発明はまた、上述の水中油型乳剤を含む医薬組成物の使用を含む眼の症状の治療方法を提供する。
【0067】
本発明はまた、本発明の水中油型乳剤又は上述の眼科用組成物の、眼科的症状の治療剤の調製への使用に関する。
【0068】
本発明のカチオン性乳剤を用いて治療することにより、緑内障、角膜炎、ブドウ膜炎、眼球内炎症等の眼性炎症疾患、ドライアイ症候群、眼性感染症、眼性アレルギー、眼性感染症、ガン性増殖、角膜からの新生血管増殖、網膜浮腫、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜変性症(黄斑変性症、網膜ジストロフィー)、グリア細胞の増殖に関連する網膜症等の広範な眼の症状を予防することができる。
【0069】
眼球への投与に好適な薬剤としては、例えば、抗生物質(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、リファンピシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、アミノグリコシド、エリスロマイシン及びペニシリン、キノロン、セフタジジム、バンコマイシン、イミペネム等)、アンフォテリシンB及びミコナゾール等の抗真菌剤、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール及びスルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、及びプロピオン酸ナトリウム等の抗菌剤、イドクスウリジン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、及びインターフェロン等の抗ウィルス剤、ニトロフラゾン及びプロピオン酸ナトリウム等の抗菌物質、ヨウ素製剤トリクロサン、クロロヘキシジン等の非抗生、感染防止性の抗細菌剤又は抗菌剤、クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロロフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、及びプロフェンピリダミン等の抗アレルギー剤、サリドマイド等の抗増殖剤、合成糖質コルチコイド及び鉱質コルチコイド、より一般的にはコレステロール代謝に由来するホルモン誘導体(プロゲステロン、エストロゲン、テストステロン、DHEA及びそれらの誘導体等のアンドロゲンホルモン)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−リン酸塩、フルオロシノレン、メドリソン、酢酸プレドニソロン、ルオロメタロン、トリアムシノロン及びトリアムシノレンアセトニド並びにそれらの誘導体等の抗炎症剤、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルビプロフェン、及びピロキシカム等の非ステロイド性抗炎症剤、及びロフェコキシブ、ジクロフェナク、ニメスリド、ネパフェナク等のCOX2阻害剤、カルムスチン、シスプラチン、マイトマイシン、及びフルオロウラシル等の抗腫瘍薬、ワクチン、免疫増強剤等の免疫薬、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン及びペプチド並びにバソプレッシン視床下部放出因子、マレイン酸チモロール、レボブノール塩酸塩及びベタキソロール塩酸塩、チモロール塩基、ベタキソロール、アテノロール、エピネフリン、ジピバリル、オキソノロール、アセタゾールアミド塩基及びメタゾールアミド等のβアドレナリン遮断薬、サイトカイン、インターロイキン及び成長因子(上皮細胞成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、形質転換成長因子β、毛様体神経成長因子、グリア誘導神経栄養因子、NGF、EPO、PlGF等の成長因子)、抗体又は抗体断片、オリゴアプタマー、アプタマー及び遺伝子断片(オリゴヌクレオチド、プラスミド、リボザイム、短鎖干渉RNA、核酸断片、ペプチド、アンチセンス配列)、シクロスポリン、シロリムス、及びタクロリムス等の免疫抑制剤、エンドキサン、タモキシフェン等の免疫調整剤、抗トロンビン剤及びrtPA、ウロキナーゼ、プラスミン、一酸化窒素供与体等の血管拡張剤、ルテイン、ビタミン等の酸化防止剤及び/又はそれらの誘導体及び/又はそれらの光学的に許容される塩が挙げられる。
【0070】
有利な実施形態によると、活性成分は少なくとも1つの免疫抑制剤であり、好ましくは、シクロスポリン、好ましくはシクロスポリンA、タクロリムス及びシロリムスからなる群より選択される。これらの乳剤において、免疫抑制剤の量が0.01〜0.4%、好ましくは0.05〜0.2%(w/w)であるのが有利である。これらの乳剤がリン脂質を含まないのが有利である。本発明に係るこれらの乳剤が、MCTを含むかMCTからなるビヒクル中に溶解したシクロスポリン、シロリムス及び/又はタクロリムスを含んでいるのが有利である。理論的裏付けはないが、MCT、中でも植物油の使用は、少なくとも1つの免疫抑制剤、好ましくはシクロスポリンAを含む本発明の眼科用乳剤に安定性及び生体利用性をもたらす。MCTは、優れたシクロスポリン可溶化能を有することが見出されたが、それが本発明の乳剤中において観測されたシクロスポリンの優れた生体利用性に寄与していると思われる。MCTの量が、乳剤の0.5〜4%w/wであることが有利である。本発明の乳剤が、好ましくは、シクロスポリン、好ましくはシクロスポリンA、タクロリムス、及びシロリムスからなる群より選択される免疫抑制剤、MCTを含んでいるのが有利である。好ましくは、免疫抑制剤の油に対する重量比は0.0125〜0.1である。乳剤の特定の実施形態において、免疫抑制剤の油に対する重量比は0.083〜0.1である。乳剤の他の特定の実施形態において、免疫抑制剤の油に対する重量比は0.0125〜0.05である。少なくとも1種類の免疫抑制剤を含む本発明の乳剤は、ドライアイ症状、具体的には乾性角結膜炎(KCS)、アトピー性乾性角結膜炎(AKC)及び春季カタル(VKC)の治療に特に有用である。
【0071】
本発明はまた、有効成分を含む、あるいは含まない水中油型乳剤のドライアイ症状の治療用製剤の調製への使用に関する。
【0072】
本発明の乳剤は、レンズ、眼科用パッチ、インプラント、インサートからなる群から選択される送達手段中に含まれていてもよい。
【0073】
薬剤又は有効成分は、乳剤の重量に対し約0.0001〜5%存在させることができる。薬剤が疎水性であるか親水性であるかによって、物理的に油相又は水系成分のいずれかに存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
本発明の製造及び使用のための最良の形態について以下の実施例で述べる。これらの実施例は、いかに本発明の製造及び使用を行うかについて手順及び指針を提供することのみを目的とするものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0075】
以下の実施例において、下記の略称を使用する。
CTAB:臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム及び臭化ドデシルトリメチルアンモニウムの混合物
MCT:TCM(商品名)(フランス製油業協会)
BAK:塩化ベンザルコニウム
BEC:塩化ベンゼトニウム
BCB:臭化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム
OA:オレイルアミン(Sigma社、米国)
SA:ステアリルアミン(Sigma社、米国)
CsA:シクロスポリンA
クレモフォア:クレモフォアEL(BASF社、フランス)
ルトロール:ルトロールF68(BASF社、フランス)
オキシポール(Gattefosse社、フランス)
モンターヌ 20(SEPPIC社、フランス)
オキシポール(Gattefosse社、サンプリースト、フランス)
モンターヌ 20(SEPPIC社、フランス)
リポイドE80(リポイド社、ドイツ)
【0076】
参考例1:カチオン性物質がCTABであるカチオン性乳剤の調製方法
方法:
【0077】
【表1】

【0078】
油相の成分を同一のビーカーに順次量り取り、わずかに加熱(40℃)しながらマグネチックスターラーで撹拌して、黄色透明でわずかに粘稠な相を得た。水相の成分を同一のビーカーに順次量り取り、わずかに加熱(40℃)しながらマグネチックスターラーで透明になるまで撹拌して、透明な流体相を得た。両方の相を65℃に加熱した。水相を油相に素早く加え、すぐに75℃まで加熱して粗乳剤を生成した。水が蒸発しないように、水相と粗乳剤のビーカーをフィルムで覆った。乳剤は白色でわずかに透明であった。POLYTRON PT6100で5分間高せん断混合して、乳剤の液滴サイズを減少させた。乳剤は乳白色となった。氷浴を用いて乳剤の温度を20℃に下げた。
【0079】
ミクロフルイダイザー(C5、Avestin社)を用いて、圧力689.48bar10,000psiで5分間の連続サイクルでホモゲナイズして最終乳剤を得た。乳剤は乳白色で、非常に流動性が高く、ガラス上に粘着しなかった。乳剤の温度を25℃に下げた。乳剤のpHを測定後、0.1M HCl又は0.1M NaOH溶液を用いて8.00に調整した。乳剤を着色ガラス瓶中で窒素バブリングしながら熟成し、121℃で20分間オートクレーブ殺菌した。
【0080】
水で希釈後、乳剤中の液滴の平均粒径を、高速粒径測定装置(Malvern Instruments社製、英国)を用いて、準弾性光散乱法により測定した。上に詳述したように、2度蒸留した水で1:200に希釈後、Malvern Zetasizer 2000(Malvern Instruments社製、英国)を用いて、25℃で電気泳動移動度を測定した。
【0081】
結果:
【0082】
【表2】

【0083】
参考例2:参考例1のカチオン性乳剤の安定性
方法:
オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃における安定性(液滴サイズ、ゼータ電位)を14日間モニターした。
【0084】
結果:
【0085】
【表3】

【0086】
Z01EM042及びZ01EM043は、ゼータ電位安定性試験Dの条件に適合している。
【0087】
実施例1:カチオン性物質が塩化ベンザルコニウムであるカチオン性乳剤の調製方法:
【0088】
【表4】

【0089】
参考例1に記載の方法により調製を行った。
【0090】
結果:
【0091】
【表5】

【0092】
実施例2:実施例1のカチオン性乳剤の安定性
方法:
オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃における安定性(ゼータ電位)を15日間モニターした。
【0093】
結果:
【0094】
【表6】

【0095】
本実施例で示した乳剤のゼータ電位は、公知の製剤(データは示していない)よりも安定であった。Z01EM093は、試験Dの条件に適合している
【0096】
実施例3:カチオン性物質がオレイルアミンであるカチオン性乳剤
方法:
【0097】
【表7】

【0098】
参考例1に記載の方法により調製を行った。
【0099】
結果:
【0100】
【表8】

【0101】
Z01EM165は、試験Dの条件に適合している
【0102】
実施例4:
方法:
【0103】
【表9】

【0104】
参考例1に記載の方法により調製を行った。
【0105】
結果:
【0106】
【表10】

【0107】
Z01EM092は、ゼータ電位安定性試験Dの条件に適合している。
【0108】
実施例5:BAKを用いたカチオン性乳剤
方法:
【0109】
【表11】

【0110】
オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃における安定性(液滴サイズ、ゼータ電位)をT=0、7、14日目にモニターした。
【0111】
結果:
【0112】
【表12】

表中、ndは未測定を表す。
【0113】
Z01EM105、Z01EM162及びZ01EM163は、試験Dの条件に適合している Z01EM115は、ゼータ電位安定性試験Cの条件に適合している。
【0114】
実施例6:カチオン性物質がBEC又はBCBであるカチオン性乳剤
方法:
【0115】
【表13】

【0116】
参考例1に記載の方法により調製を行った。
【0117】
結果:
【0118】
【表14】

【0119】
Z01EM170及びZ01EM171は、試験Dの条件に適合している
【0120】
実施例7:BAK及び鉱物油を用いたカチオン性乳剤
方法:
【0121】
【表15】

【0122】
オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃における安定性(液滴サイズ、ゼータ電位)を14日間モニターした。
【0123】
結果:
【0124】
【表16】

【0125】
全ての乳剤は、試験Dの条件に適合している。
【0126】
実施例8:油相中にシクロスポリンA(CsA)を活性成分として含むカチオン性乳
剤(ただし、Z06EM046は参考例)
方法及び結果:
【0127】
【表17】

【0128】
【表18】

【0129】
【表19】

【0130】
シクロスポリンを油相中に加え、参考例1に記載の方法により調製した。
【0131】
オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃における安定性(液滴サイズ、ゼータ電位)をT=0、7、15日目にモニターした。
【0132】
CsAを活性成分として含む乳剤は、試験Dの条件を満足している。
【0133】
参考例3:長期間にわたるゼータ電位が安定でないカチオン性乳剤
方法及び結果:
【0134】
【表20】

【0135】
参考例1に記載の方法により調製を行った。
【0136】
オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃における安定性(液滴サイズ、ゼータ電位)をT=0、7、15日目にモニターした。Z01EM102及びZ01EM172は、ゼータ電位安定性試験Dの条件に適合していない。
【0137】
参考例4:カチオン含量が非常に高く、ゼータ電位は長期間にわたって安定だが眼科
用途に適していないカチオン性乳剤
方法及び結果:
参考例1に記載の方法により調製を行った。
【0138】
【表21】

【0139】
オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃における安定性(液滴サイズ、ゼータ電位)をT=0、7、15日目にモニターした。
【0140】
Z01EM186はゼータ電位安定性試験Dの条件に適合しているが、カチオン性物質(BAK)の濃度が、眼球投与に通常用いられる濃度の50倍である。このような乳剤は、眼科用乳剤としては好適でない。
【0141】
実施例9:活性成分としてルテインを含むカチオン性乳剤
方法:
上述のとおり。
【0142】
【表22】

【0143】
参考例1に記載の方法により調製を行った。
【0144】
【表23】

ルテインを活性成分として含む乳剤は、ゼータ電位安定性試験Dの条件を満足している。
【0145】
実施例10:カチオン含量が低くゼータ電位及び/又は液滴サイズが長期間にわたって
安定でないカチオン性乳剤(但し、Z01EM086は参考例)
方法及び結果:
参考例1に記載の方法により調製を行った。オートクレーブ殺菌した乳剤の80℃にお
ける安定性(液滴サイズ、ゼータ電位)をT=0、7、15日目にモニターした。
【0146】
【表24】

【0147】
Z01EM086及びZ01EM089は、ゼータ電位安定性試験Cの条件に適合しない。
【0148】
実施例11:長期局所投与後の眼球への許容性試験
本実験の目的は、カチオン性乳剤(Z01EM134、Z06EM048、Z06EM
050及びZ06EM053。組成については上記実施例を参照)を、白ウサギの右眼に
、1日に複数回、28日間連続眼球局所投与した後における眼球への許容性を決定するこ
とである。
【0149】
方法:
1グループあたり10羽(オス5羽、メス5羽)のニュージーランド産白ウサギを使用した。処置(50μl眼球局所投与)を1日4回、28日間連続して行った。全身への許容性(体重、食餌及び水の摂取量、全身の外見、臨床的症状、血液学的所見及び血液生化学的所見)、眼球への許容性(検眼鏡による観察、スリットランプ試験及び眼球組織学的所見)、及び検視(全巨視的検視、主要臓器の重量)の検討を行った。体重及び臓器重量、食餌及び水の摂取量データ、及び血液学的パラメータ及び生化学パラメータについては、統計的解析(多変量分散分析−最小有意差検定)も併せて行った。
【0150】
結果:
全体的挙動、食餌の摂取量及び水の摂取量、体重、臓器重量は、処置により影響を受けなかった。検視においても、処置に起因する顕著な所見は見出されなかった。検眼鏡による観察、及び眼や付属器官の顕微鏡検査からも副作用は見出されなかった。眼球の反応は、本実験に用いた全ての動物について、結膜がわずかに赤くなっていることのみであったが、これは、眼科製品を複数回点眼したウサギに共通して見られる現象である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用水中油型乳剤であって、界面膜で覆われた油のコアを有するコロイド粒子を含み、0.001〜0.1%w/wの少なくとも1種類のカチオン性物質及び0.01%w/w以上1%w/w未満の少なくとも1種類の非イオン性界面活性剤を含み、正のデータ電位を有し、ゼータ電位安定性試験Aの条件に適合し、
前記カチオン性物質は、C10〜C24の第一級アルキルアミン、第三級脂肪族アミン、第四級アンモニウム化合物、カチオン性脂質、アミノアルコール、ビグアニド塩、カチオン性ポリマー、及びこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択され、
前記非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリソルビン酸、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンエステル、ステアリン酸ポリオキシル及びこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択されるものを含み、
前記ゼータ電位安定性試験Aは、前記眼科用水中油型乳剤を調整後すぐに測定したゼータ電位をZ、5〜10mlの前記眼科用水中油型乳剤を有効量10mlのガラス容器(タイプI)に入れ、窒素雰囲気下でバグリングは行わずに密封し、80℃で15時間保存した後測定したゼータ電位をZ15hとし、Z15hとZとの差をδAとしたとき、δAが10mV未満のとき、ゼータ電位安定性試験Aに適合したとする、
眼科用水中油型乳剤(但し、リン脂質又はジフルプレドナートを配合したものを除く)。
【請求項2】
ゼータ電位安定性試験Bの条件に適合し、
前記ゼータ電位安定性試験Bは、前記眼科用水中油型乳剤を調整後すぐに測定したゼータ電位をZ、5〜10mlの前記眼科用水中油型乳剤を有効量10mlのガラス容器(タイプI)に入れ、窒素雰囲気下でバグリングは行わずに密封し、80℃で48時間保存した後測定したゼータ電位をZとし、ZとZとの差をδBとしたとき、δBが10mV未満のとき、ゼータ電位安定性試験Bに適合したとする、請求項1記載の眼科用乳剤。
【請求項3】
ゼータ電位安定性試験Cの条件に適合し、
前記ゼータ電位安定性試験Cは、前記眼科用水中油型乳剤を調整後すぐに測定したゼータ電位をZ、5〜10mlの前記眼科用水中油型乳剤を有効量10mlのガラス容器(タイプI)に入れ、窒素雰囲気下でバグリングは行わずに密封し、80℃で7日間保存した後測定したゼータ電位をZとし、ZとZとの差をδCとしたとき、δCが10mV未満のとき、ゼータ電位安定性試験Cに適合したとする、請求項1又は2記載の眼科用乳剤。
【請求項4】
ゼータ電位安定性試験Dの条件に適合し、
前記ゼータ電位安定性試験Dは、前記眼科用水中油型乳剤を調整後すぐに測定したゼータ電位をZ、5〜10mlの前記眼科用水中油型乳剤を有効量10mlのガラス容器(タイプI)に入れ、窒素雰囲気下でバグリングは行わずに密封し、80℃で14日間保存した後測定したゼータ電位をZ14とし、Z14とZとの差をδDとしたとき、δDが10mV未満のとき、ゼータ電位安定性試験Dに適合したとする、請求項1〜3のいずれか1項記載の眼科用乳剤。
【請求項5】
前記カチオン性物質を、0.002〜0.05%w/w含む請求項1〜4のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項6】
前記カチオン性物質を、0.003〜0.03%w/w含む請求項5記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項7】
前記油の濃度が、0.5〜7%w/wである請求項1〜6のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項8】
前記油の濃度が、0.5〜5%w/wである請求項7記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項9】
前記油の濃度が、1〜3%w/wである請求項8記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項10】
カチオン性物質/油の重量比が、0.0025〜0.06である請求項1〜9のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項11】
カチオン性物質/油の重量比が、0.005〜0.04である請求項10記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項12】
前記非イオン性界面活性剤の濃度が0.01〜0.6%w/wの範囲内に含まれる請求項1〜11のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項13】
前記ビグアニド塩が、クロロヘキシジン及びその塩、ポリアミノプロピルビグアニド、フェンホルミン、アルキルビグアニド、又はこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択される請求項1〜12のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項14】
前記第四級アンモニウム化合物が、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化ラウラルコニウム、セトリミド、ハロゲン化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ドデシルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化セトリモニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム、ハロゲン化ベヘナルコニウム、ハロゲン化セタルコニウム、ハロゲン化セテチルジモニウム、ハロゲン化セチルピリジニウム、ハロゲン化ベンゾドデシニウム、ハロゲン化クロラリルメテナミン、ハロゲン化ミリスタルコニウム、ハロゲン化ステアラルコニウム、又はこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択され、ハロゲン化物は好ましくは塩化物又は臭化物である請求項1〜12のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項15】
前記カチオン性物質が、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウラルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゼセニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム又はこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択される請求項1〜12のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項16】
前記カチオン性物質が、キトサン、1,2‐ジオレオイル‐3‐トリメチルアンモニウムプロパン、カチオン性グリコスフィンゴ脂質若しくはカチオン性コレステロール誘導体、又はこれらの2種類以上の混合物からなる群より選択される請求項1〜12のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項17】
前記コロイド粒子が、100nm〜1μmの平均粒径を有する請求項1〜16のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項18】
前記コロイド粒子が、100〜300nmの平均粒径を有する請求項17記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項19】
前記コロイド粒子が、100〜250nmの平均粒径を有する請求項18記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項20】
薬理活性物質を含む請求項1〜19のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項21】
前記活性物質が、抗生物質(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、リファンピシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、アミノグリコシド、エリスロマイシン及びペニシリン、キノロン、セフタジジム、バンコマイシン、イミペネム等)、アンフォテリシンB及びミコナゾール等の抗真菌剤、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール及びスルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、及びプロピオン酸ナトリウム等の抗菌剤、イドクスウリジン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、及びインターフェロン等の抗ウィルス剤、ニトロフラゾン及びプロピオン酸ナトリウム等の抗菌物質、ヨウ素製剤トリクロサン、クロロヘキシジン等の非抗生、感染防止性の抗細菌剤又は抗菌剤、クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロロフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、及びプロフェンピリダミン等の抗アレルギー剤、サリドマイド等の抗増殖剤、合成糖質コルチコイド及び鉱質コルチコイド、より一般的にはコレステロール代謝に由来するホルモン誘導体(プロゲステロン、エストロゲン、テストステロン、DHEA及びそれらの誘導体等のアンドロゲンホルモン)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−リン酸塩、フルオロシノレン、メドリソン、酢酸プレドニソロン、ルオロメタロン、トリアムシノロン及びトリアムシノレンアセトニド並びにそれらの誘導体等の抗炎症剤、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルビプロフェン、及びピロキシカム等の非ステロイド性抗炎症剤、及びロフェコキシブ、ジクロフェナク、ニメスリド、ネパフェナク等のCOX2阻害剤、カルムスチン、シスプラチン、マイトマイシン、及びフルオロウラシル等の抗腫瘍薬、ワクチン、免疫増強剤等の免疫薬、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン及びペプチド並びにバソプレッシン視床下部放出因子、マレイン酸チモロール、レボブノール塩酸塩及びベタキソロール塩酸塩、チモロール塩基、ベタキソロール、アテノロール、エピネフリン、ジピバリル、オキソノロール、アセタゾールアミド塩基及びメタゾールアミド等のβアドレナリン遮断薬、サイトカイン、インターロイキン及び成長因子(上皮細胞成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、形質転換成長因子β、毛様体神経成長因子、グリア誘導神経栄養因子、NGF、EPO、PlGF等の成長因子)、抗体又は抗体断片、オリゴアプタマー、アプタマー及び遺伝子断片(オリゴヌクレオチド、プラスミド、リボザイム、短鎖干渉RNA、核酸断片、ペプチド、アンチセンス配列)、シクロスポリン、シロリムス、及びタクロリムス等の免疫抑制剤、エンドキサン、タモキシフェン等の免疫調整剤、抗トロンビン剤及びrtPA、ウロキナーゼ、プラスミン、一酸化窒素供与体等の血管拡張剤、ルテイン、ビタミン等の酸化防止剤及び/又はそれらの誘導体及び/又はそれらの光学的に許容される塩からなる群より選択される請求項20記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項22】
前記活性物質が、シクロスポリン、シロリムス及びタクロリムスからなる群より選択される免疫抑制剤である請求項21記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項23】
前記活性物質が、シクロスポリンAである請求項22記載の眼科用水中油型乳剤。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤の製造方法であって、水相と油相とを混合して得られる粗乳剤をせん断混合後高圧ホモゲナイズする工程を有する方法。
【請求項25】
ドライアイ症状の治療のための眼科用製剤の調製への請求項1〜23のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤の使用。
【請求項26】
緑内障、角膜炎、ブドウ膜炎、眼球内炎症等の眼性炎症疾患、ドライアイ症候群、眼性感染症、眼性アレルギー、眼球感染症、ガン性増殖、角膜からの新生血管増殖、網膜浮腫、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜変性症(黄斑変性症、網膜ジストロフィー)、グリア細胞の増殖に関連する網膜症等の眼の症状の治療用製剤の調製への請求項20〜23のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤の使用。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項記載の眼科用水中油型乳剤を含み、必要に応じて眼科的に許容される担体と組み合わせ、点眼剤、眼用軟膏又は眼用ゲルの形態を有する眼科用製剤。
【請求項28】
前記眼科的に許容される担体中に、薬理的に有効量の有効成分を含む請求項27記載の眼科用製剤。
【請求項29】
レンズ、眼科用パッチ、インプラント、インサートからなる群から選択され、請求項1〜23のいずれか1項記載の乳剤を含む送達手段。

【公開番号】特開2012−149102(P2012−149102A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111941(P2012−111941)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【分割の表示】特願2007−539522(P2007−539522)の分割
【原出願日】平成17年10月10日(2005.10.10)
【出願人】(507149785)
【Fターム(参考)】