説明

安定な油相高含有O/Wエマルジョンの製造方法、その方法で製造されたエマルジョン、およびその使用

本発明は、安定な油相高含有O/Wエマルジョンの製造方法、この方法により製造されたO/Wエマルジョン、およびその使用に関する。この方法で製造されたエマルジョンは、油相含有率が高く、パーソナルケア製品および化粧品に広く使用することができる。O/Wエマルジョンは、乳白色のクリーム様外観を有するか、所望するなら、透明なゲル状外観とすることができる。このエマルジョンは、皮膚に塗布すると、皮膚軟化性オイルを速やかに放出し、メイキャップ除去、マッサージ、または湿潤などの機能を発揮し、またベビーオイルの代替として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定な高い油相含有率のO/Wエマルジョンの製造方法、この方法により製造されたO/Wエマルジョン、およびその使用に関する。このエマルジョンはパーソナルケア製品および化粧品に広く使用することができる。
【背景技術】
【0002】
純オイル製品または純オイル組成物製品は、パーソナルケアおよび化粧品の分野に古くからあった。しかしながら、例えば、浸透性が非常に高いためパッケージに対する要求が厳しい、製品が液体の性質を有するため塗布しにくいなど、それらには未だ多くの欠点がある。上記の欠点は、直接オイルの粘度を増加させることで克服できるが、オイル放出が困難になる、展延性が急激に低下する、コストが大幅に増加するなどの新たな問題が発生するであろう。したがって、塗布後急速にオイルが放出され、クリーム様の外観を有し、使用やパッケージングが容易で、かつまた、保存期間が十分に長い1つの系を構築することは可能であろうか。
【0003】
この目的のために、オイルおよび脂肪は、一般に、水中油型(O/W)エマルジョンの形態とされ、これにより上記の問題は解決される。しかしながら、従来の市販のO/Wエマルジョンは、油相含有率が10〜40重量%であり、これらは、通常、クリーム、ローションまたは軟膏の形態をとっている。油相含有率が50重量%超のO/Wエマルジョンを製造することは困難である。高い油相含有率のO/Wエマルジョンを従来の乳化方法で得るのは困難であり、たとえ短期間の乳化に成功したとしても、解乳化しやすく、安定に保存することは難しい。
【0004】
中国特許第1175805C号には、エマルジョン安定剤の系と、それを用いて製造されたエマルジョンが開示されている。前記安定剤の系は、オイル用乳化剤と、キサンタンポリサッカライドおよびポリグルコマンナンポリサッカライドのポリサッカライド組み合わせを含んでいる。エマルジョンにおいて、油相は一般にポリジメチコンなどのシリコーン油であり、乳化剤は脂肪酸グリコールエステルなどの非イオン性乳化剤であり、それはキサンタンポリサッカライドおよびポリグルコマンナンポリサッカライドなどのポリサッカライド安定剤も含み、グリコールなどの湿潤剤を含んでもよい。上記エマルジョン中のポリサッカライド安定剤の量および組み合わせは、非常に限定されており、使用するキサンタンポリサッカライドとポリグルコマンナンポリサッカライドの組み合わせの量は、0.02〜0.5重量%であり、キサンタンポリサッカライドとポリグルコマンナンポリサッカライドの重量比は1:10〜10:1と規定されている。中国特許第1175805C号の殆どの実施例で、油相を20重量%含む例のみが示されている。実施例18で調製された油相含有率が80%のエマルジョンは、単なる中間製品である。実施例19は、油相を高率で含有する処方を開示しているが、安定性はわずか1週間であり、したがって、実際の製造および適用に要求される要件を満たすことができない。すなわち、この発明の処方で実際の製造に合ったオイル高含有エマルジョン、特に、安定な油相高含有O/Wエマルジョンを得ることは現実には難しい。
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
従来技術の問題を考慮して、本発明者らは、高い油相高含有率のO/Wエマルジョンについて鋭意研究を重ねたところ、驚いたことに、O/Wエマルジョンの製造に従来とは異なる特定の方法を用いることにより技術的問題を解決することができ、安定した高い油相含有率のO/Wエマルジョンが得られることを見出した。O/Wエマルジョンの従来の製造方法では、水相に油相を加えるとき、油相を直接水相に注ぎ、その際、攪拌するか、またはその後に攪拌し、その後O/Wエマルジョンを得る。本発明者らは、添加の間に系全体を均質な乳化状態に維持するように油相を制御した速度で水相に加えた場合、65重量%を超えてもよい高い油相含有率のO/Wエマルジョンが製造できることを見出した。また、このエマルジョンは貯蔵安定性が良好で、実際の適用に要求される要件を満たすことができる。さらに、O/Wエマルジョン用に比較的低い凝固開始点を有する油相を選択すれば、そうして得られたO/Wエマルジョンは広い適用条件を満たすことができる。エマルジョン中の油相含有率は非常に高く、80〜95重量%にも達するが、この高い油相含有率でもエマルジョンは十分に安定である。このエマルジョンは乳白色のクリーム様の外観を有するか、2つの相の反射率を調節することにより所望の透明なゲルの外観を有する。このエマルジョンは、皮膚に塗布すると、皮膚を軟化させるオイルを速やかに放出し、メイキャップ除去、マッサージ、または湿潤などの機能を発揮し、またベビーオイルの代替として使用することができる。
【0006】
したがって、本発明の1つの目的は、
(a)水相と乳化剤とを混合して、均質な水相混合物を得る工程と、
(b)工程(a)で得られた前記水相混合物に、液体状態の油相を、前記油相がエマルジョンの全重量を基準として毎分2〜30重量%、好ましくは毎分2〜20重量%、より好ましくは毎分5〜20重量%の量で添加され、かつ、系全体が、この添加の間、均質なエマルジョン状態を維持するような添加速度で攪拌しながら添加する工程と
を含むO/Wエマルジョンの製造方法を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本方法の好ましい実施形態では、O/Wエマルジョンを製造するために、O/Wエマルジョンの全重量を基準として、50〜95重量%の量の油相を使用し、4.5〜45重量%の量の水相を使用し、0.5〜5重量%の量の乳化剤を使用する。
【0008】
本発明のO/Wエマルジョンの製造方法においては、油相を液体から徐々に冷却したときに油相全体が凝固を始める温度(すなわち、凝固開始温度)が0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下となるように、油相を選択することが好ましい。
【0009】
油相には、1種の油成分のみが含まれていてもよく、2種以上の油成分が含まれていてもよい。1種の油成分のみが含まれる場合、この油成分の融点は、上記要件、すなわち、0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下の要件を満たす必要がある。2種以上の油成分が含まれる場合、各油成分の融点が0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下であるか、油成分の少なくとも1種が0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下の融点を有し、ただし、油相全体の凝固開始温度が0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下である。
【0010】
本発明において選択することができる油成分に関し、油相全体の凝固開始温度が0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下である限り、それらは、パーソナルケアおよび化粧用O/Wエマルジョンの油相に一般に使用されているものとすることができる。例えば、それらはワセリンまたは鉱油(ホワイトオイル)とすることができる。
【0011】
本発明の方法の他の好ましい実施形態では、油相は、エチルヘキシルパルミテート(TEGO(登録商標)SOFT OP)、ジエチルヘキシルカーボネート(TEGO(登録商標)SOFT DEC)、オクチルドデカノール(TEGO(登録商標)SOFT G20)、PPG−14ブチルエーテル(TEGO(登録商標)SOFT PBE)およびトリイソステアリン(TEGO(登録商標)SOFT TIS)からなる群より選択される1種以上の成分を含む。特に、油相は、この群からの2種の成分、例えば、エチルヘキシルパルミテートとジエチルヘキシルカーボネートの組み合わせ、またはエチルヘキシルパルミテートとPPG−14ブチルエーテルの組み合わせ、またはオクチルドデカノールとトリイソステアリンの組み合わせを含む。
【0012】
また、油相は、ポリシロキサン化合物、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコールおよび脂肪族エステルからなる群より選択される1種以上をさらに含むことができる。ポリシロキサン化合物は、シクロメチコン、ジメチコンおよびシリコーンエラストマーから選択することが好ましい。好ましいシリコーンエラストマーは、Dow Corning(登録商標)9701を含む。これらの追加油成分は、得られる相全体の凝固開始温度も上記要件を満たすように、すなわち0℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下となるように選択する。
【0013】
O/Wエマルジョンを製造するために、O/Wエマルジョンの全重量を基準として、一般に50〜95重量%、好ましくは55〜90重量%、より好ましくは60〜85重量%、特に好ましくは65〜80重量%の量の油相を使用する。
【0014】
本発明のO/Wエマルジョンの製造方法においては、O/Wエマルジョンの連続相を形成するために水相を使用し、一方、油相はO/Wエマルジョンの分散相を形成する。水相は、水のみ、または水に加えて他の水溶性物質を含むことができる。これらの物質は、パーソナルケアおよび化粧用O/Wエマルジョンの水相に通常含有されているものである。そのようなものには、特に、エタノール、および/または2つ以上の水酸基(例えば3つの水酸基)を有するC〜Cポリオールが含まれ、後者は、好ましくはグリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、またはこれらの任意の組み合わせであり、特に好ましくはグリコールである。さらに、キサンタンガム、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、置換メチルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリアクリル樹脂(polyacrylics)、主鎖にアルキル置換基を有するポリアクリル樹脂(例えば、TEGO(登録商標)Carbomer 341 ER)からなる群より選択される1種以上の水溶性ポリマーもまた水相に含有させることができる。水溶性ポリマーは、特にキサンタンガムである。
【0015】
O/Wエマルジョンを製造するために、O/Wエマルジョンの全重量を基準として、一般に4.5〜45重量%、好ましくは9.5〜40重量%、より好ましくは14.5〜35重量%、特に好ましくは19.5〜30重量%の量の水相を使用する。
【0016】
本発明のO/Wエマルジョンの製造方法においては、油相および水相の他に、これら2つの相を乳化させてO/Wエマルジョンを形成する乳化剤を使用する。本発明の目的のためには、乳化剤は、パーソナルケアおよび化粧用O/Wエマルジョンに一般に使用されているものである。乳化剤は、非イオン性であっても、アニオン性であっても、カチオン性であってもよい。
【0017】
非イオン性乳化剤として、本発明においては、エトキシ化脂肪酸エステル、脂肪酸のポリグリセリルエステル、脂肪族アルコールのエトキシ化エーテル、脂肪酸糖エステル(例えば、脂肪酸グルコースエステルおよび脂肪酸スクロースエステル)、およびエトキシ化ジメチコンからなる群より選択される1種以上が好ましく使用し得る。より好ましい非イオン性乳化剤は、エトキシ化脂肪酸ソルビトールエステル、ポリグリセリル−3−メチルグルコースジステアレート(TEGO(登録商標)Care 450)、セテアレス−15およびグリセリルステアレート(TEGO(登録商標)Care 215)、並びにセテアリルグルコシド(TEGO(登録商標)Care CG90)からなる群より選択される1種または2種である。
【0018】
アニオン性乳化剤としては、グリセリルステアレートシトレート(Axol C62)が特に好ましい。カチオン性乳化剤としては、ジステアリルジモニウムクロリド(Varisoft TA100)が特に好ましい。
【0019】
本発明のO/Wエマルジョンの製造方法においては、乳化剤は、特に、ポリグリセリル−3−メチルグルコースジステアレート(TEGO(登録商標)Care 450)、セテアレス−15およびグリセリルステアレート(TEGO(登録商標)Care 215)、グリセリルステアレートシトレート(Axol C62)、ジステアリルジモニウムクロリド(Varisoft TA100)、またはセテアリルグルコシド(TEGO(登録商標)Care CG90)である。
【0020】
本発明のO/Wエマルジョンの製造方法においては、乳化剤は、O/Wエマルジョンの全重量を基準として、一般に0.5〜5重量%の量を使用する。
【0021】
当然ながら、当業者であれば、本発明の方法で使用する水相または油相中に、従来から使用されている他のパーソナルケアおよび化粧用O/Wエマルジョンも含有させることができることは理解していよう。これらの成分が水相または油相に適正に含有されるか否かは、当該技術分野における通常の知識にしたがって決定される。
【0022】
本発明の方法においては、皮膚軟化剤として、あらゆる化粧用オイル、特に、炭素原子が2〜44個の直鎖および/または分枝モノ−および/またはジカルボン酸と炭素原子が1〜22個の飽和または不飽和の直鎖および/または分枝アルコールとのモノ−またはジエステルを使用することができる。同様に、炭素原子が2〜36個の2価脂肪族アルコールと炭素原子が1〜22個の1価の脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物も使用し得る。さらに、例えば安息香酸エステル、例えば炭素原子が1〜22個の飽和または不飽和の直鎖または分枝アルコールの安息香酸エステル、あるいはまた、イソステアリルベンゾエートまたはオクチルドデシルベンゾエートなどの長鎖のアリールカルボン酸エステルも適している。皮膚軟化剤およびオイル成分として適したさらなるモノエステルは、例えば、メチルラウレート、メチルステアレート、メチルオレエート、メチルエルケート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、イソプロピルステアレート、またはイソプロピルオレエートなどの、炭素原子が12〜22個の脂肪酸のメチルエステルおよびイソプロピルエステルである。他の好適なモノエステルは、例えば、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルパルミテート、イソノニルイソノナノエート、2エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2ヘキシル−デシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、またはエルシルオレエートであり、また、脂肪族工業アルコール分と脂肪族工業カルボン酸混合物とから得ることができるエステル、例えば、動物性および植物性脂肪から得られるような、炭素原子が12〜22個の不飽和脂肪族アルコールと炭素原子が12〜22個の飽和および不飽和脂肪酸とのエステルである。しかしながら、例えばホホバ油またはマッコウクジラ油中に存在するような、天然のモノエステルまたはワックス状のエステル混合物もまた適している。好適なジカルボン酸エステルは、例えば、ジ(n−ブチル)アジペート、ジ(n−ブチル)セバケート、ジ(2−エチル−ヘキシル)アジペート、ジ(2−ヘキシルデシル)スクシネート、またはジイソ−トリデシルアゼレートである。好適なジオールエステルは、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジイソトリ−デカノエート、プロピレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ブタンジオールジイソステアレート、およびネオペンチルグリコールジカプリレートである。皮膚軟化剤として使用することができるさらなる脂肪酸エステルは、例えば、C12〜15−アルキルベンゾエート、ジカプリリルカーボネート、またはジエチルヘキシルカーボネートである。同様に、皮膚軟化剤およびオイル成分として、比較的長鎖のトリグリセリド、すなわち、グリセロールと3つの酸分子(そのうちの少なくとも1つは比較的長鎖の酸分子である)とのトリエステル(triple esters)が使用し得る。ここで、脂肪酸トリグリセリドの例を挙げれば、皮膚軟化剤およびオイル成分として、例えば、天然植物油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油またはパーム油、およびココナッツ油またはパーム核油の液体部分、および例えばニーツフットオイルまたは牛脂の液体部分などの動物油、あるいはカプリル酸/カプリン酸混合物の合成トリグリセリド、工業オレイン酸のトリグリセリド、イソステアリン酸とのトリグリセリド、またはパルミチン酸/オレイン酸混合物のトリグリセリドが使用し得る。さらに、炭化水素、特に液体パラフィンおよびイソパラフィンも使用し得る。使用可能な炭化水素の例には、パラフィン油、イソヘキサデカン、ポリデセン、ワセリン、軽質液体パラフィンまたはスクアランが挙げられる。さらに、オレイルアルコールまたはオクチルドデカノールなどの直鎖または分枝の脂肪族アルコールも使用でき、また、ジカプリリルエーテルなどの脂肪族アルコールエーテルも使用し得る。好適なシリコーン油およびワックスは、例えば、ポリジメチルシロキサン、シクロメチルシロキサン、および、アリール−またはアルキル−またはアルコキシ−置換ポリメチル−シロキサンまたはシクロメチルシロキサンである。
【0023】
当業者に知られている増粘剤は全て、油相の粘度を増加させる増粘剤として使用することができる。これについては、特に、水素化キャスターワックス、蜜蝋またはマイクロクリスタリンワックスなどのワックスが挙げられる。さらに、シリカ、アルミナまたは層状ケイ酸塩(例えば、ヘクトライト、ラポナイトまたはサポナイト)などの無機増粘剤も使用し得る。これらの無機油相増粘剤は、ここでは疎水的に改質し得る。これに関し、油中水型エマルジョンの増粘/安定のために、特に、アエロシル、層状ケイ酸塩、および/または、例えばステアリン酸亜鉛などの脂肪酸の金属塩が使用し得る。
【0024】
可能な粘度調節剤は、例えば、NaCl、コカミドDEA/MEAおよびラウレス−3などの低分子量非イオン性界面活性剤、またはPEG−200水素化グリセリルパルメートなどのポリマー性の高分子量かつ会合性(associative)の高エトキシ化脂肪誘導体などが含まれる。
【0025】
UV/光スクリーニング剤としては、例えば、紫外線を吸収し、その吸収したエネルギーを熱などのより長波長の放射線として形態で放射することができる有機物質が使用し得る。UV−Bスクリーニング剤は、油溶性であっても水溶性であってもよい。油溶性UV−B/光スクリーニング剤としては、例えば、
3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、
4−アミノ安息香酸誘導体、例えば2エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよびアミル4(ジメチルアミノ)ベンゾエート、
桂皮酸エステル、例えば2−エチルヘキシル4メトキシシンナメート、イソペンチル4−メトキシシンナメートまたは2−エチルヘキシル2−シアノ−2−フェニルシンナメート(オクトクリレン)、
サリチル酸エステル、例えば2−エチルヘキシルサリチレート、4−イソプロピルベンジルサリチレートまたはホモ−メンチルサリチレート、
ベンゾフェノン誘導体、例えば2−ヒドロキシ−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノンまたは2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、
ベンザルマロン酸エステル、例えばジ(2−エチル−ヘキシル)4−メトキシベンザルマロナート、
トリアジン誘導体、例えば2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびオクチルトリアゾン、
プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−(tert−ブチル)フェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン
などが挙げられる。
【0026】
可能となる水溶性UV−B/光スクリーニング剤は、
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、並びに、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキル−アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、およびその塩、
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデン−メチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)ベンゼンスルホン酸、およびその塩
である。
【0027】
例えば、1−(4’−(tert−ブチル)フェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンまたは1−フェニル−3−(4’−イソ−プロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオンなどのベンゾイルメタン誘導体は、典型的なUV−A/光スクリーニング剤として特に可能である。UV−AおよびUV−Bスクリーニング剤を混合して使用できることは明らかである。
【0028】
上記の可溶性物質に加えて、不溶性の顔料、すなわち微分散させた金属酸化物または塩、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムおよびステアリン酸亜鉛も本目的のために使用可能である。これに関し、粒子の平均粒径は100nm未満、例えば、5〜50nm、特には、15〜30nmである。これらは球形であってもよいが、楕円形、またはそれとは別の球形から外れた形の粒子も使用できる。比較的新しいカテゴリーの光スクリーニング剤には、例えば、2,2’−メチレンビス{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)フェノール}などの、粒径が200nm未満で、例えば、50%水性分散体として利用可能な、微粉化された有機顔料が含まれる。さらに他の好適なUV/光スクリーニング剤については、SOEFW-Journal 122, 543 (1996)のP.Finkelによるレビューに見られる。
【0029】
上記した2つのグループの第1のリUV/光スクリーニング剤に加えて、UV線が皮膚を貫通することによって引き起こされる光化学反応連鎖を遮断する抗酸化剤タイプの第2の光スクリーニング剤も使用することができる。抗酸化剤として、例えば、スーパーオキシドジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、ジブチルヒドロキシ−トルエンおよびアスコルビン酸(ビタミンC)などを使用し得る。
【0030】
固体として、例えば、酸化鉄顔料、二酸化チタンまたは酸化亜鉛粒子、および「UV保護剤」として追記したものなどを使用し得る。さらに、例えば、ナイロン−12、窒化ホウ素、例えばポリアクリレートまたはポリメタクリレート粒子などのポリマー粒子、あるいはシリコーンエラストマーなどの特殊な感覚効果をもたらす粒子もまた使用し得る。
【0031】
真珠光沢添加物として、例えば、グリコールジステアレートまたはPEG−3ジステアレートを使用し得る。
【0032】
防虫剤として、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオール、または防虫剤(insect repellant)3535などを使用し得る。
【0033】
セルフタンニング剤として、例えば、ジヒドロキシアセトンおよびエリトルロースなどを使用し得る
【0034】
保存料として、例えば、1種または複数のアルキルパラベンエステルとフェノキシエタノールとの混合物を使用し得る。アルキルパラベンエステルは、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよび/またはブチルパラベンであってもよい。フェノキシエタノールに代えて、ベンジルアルコールまたはエタノールなどの他のアルコールもし得る。さらに、例えば、ソルビン酸もしくは安息香酸、サリチル酸、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、クロロアセトアミド、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチル−カルバメート、ヒドロメチルグリシン酸ナトリウム、メチルイソ−チアゾリン、クロロメチルイソチアゾリン、エチルヘキシル−グリセリンまたはカプリリルグリコールなどの他の一般的な保存料も使用し得る。
【0035】
香料として、天然または合成の香気物質またはその混合物を使用し得る。天然香気物質は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ダイダイまたはイランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果物(アニス、コリアンダー、キャラウェー、ジュニパー)、果物の皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンジェリカ、セロリ、カルダモン、コスツス、アイリス、タイム)、針状の葉および小枝(トウヒ、モミ、マツ、モンタナマツ)、並びに、樹脂およびバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、乳香、オポポナックス)の抽出物である。例えばジャコウネコ香および海狸香などの動物性原料も使用可能である。典型的な合成芳香化合物は、エステル系、エーテル系、アルデヒド系、ケトン系、アルコール系および炭化水素系の生成物である。エステル系芳香化合物は、例えば、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p−(tert−ブチル)シクロ−ヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネートおよびベンジルサリチレートである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば、炭素原子が8〜18個の直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシ−アセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアルおよびブルゲオナールが含まれ、ケトンには、例えば、イオノン、イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれ、炭化水素には、主に、テルペンおよびバルサムが含まれる。一緒に魅力的な香りを発生する異なる香気物質の混合物も使用し得る。香り成分として一般に使用される低揮発性のエッセンシャルオイルも香料として適しており、例えば、セージ油、カモミール油、丁子油、バーム油、ペパーミント油、桂皮油、リンデンブロッサムオイル、ジュニパーベリーオイル、ベチベル油、乳香油、ガルバナムオイル、ラブダナムオイルおよびラバンジン油がある。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、ライラル、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシル−シンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサンブレンフォルテ(Boisambrene Forte)、アンブロキサン(Ambroxan)、インドール、ヘジオン(Hedione)、サンデリス(Sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタル(cyclovertal)、ラバンジン油、クラリーセージ油、ダマスコーン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチレート、ベルトフィックスコウアー(Vertofix coeur)、イソ−E−スーパー(iso-E-super)、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エベルニル(Evernyl)、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラット(Romillat)、イロチル(Irotyl)およびフロラマット(Floramat)が単独でまたは混合物を使用し得る。
【0036】
着色剤として、化粧の目的に適し、かつ、認可されている物質を使用することができ、例えば、Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft[ドイツ研究協会の着色剤委員会]の出版物"Kosmetische Faerbemittel"[化粧用着色剤], Verlag Chemie, Weinheim, 1984, PP.81-106に記載されているものなどがある。これらの着色剤は、完全な混合物を基準として0.001〜0.1重量%の濃度でのみ使用される。
【0037】
本発明のO/Wエマルジョンには、通常の量の生体活性物質を使用することができる。「生体活性物質」との用語は、例えば、トコフェロールおよび誘導体、アスコルビン酸および誘導体、レチノールおよび誘導体、デオキシリボ核酸、コエンザイムQ10、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、ヒドロキシ酸、サリチル酸、アミノ酸、アミノ酸誘導体、ヒアルロン酸、グルカン、クレアチンおよびクレアチン誘導体、グアニジンおよびグアニジン誘導体、セラミド、フィトスフィンゴシンおよびフィトスフィンゴシン誘導体、スフィンゴシンおよびスフィンゴシン誘導体、擬セラミド、エッセンシャルオイル、ペプチド、タンパク質加水分解物、植物抽出物、並びに、ビタミンおよびビタミン混合物を意味するものと理解されるべきである。
【0038】
ケア添加物として、例えばエトキシ化グリセロール脂肪酸エステル(例えば、PEG−7グリセロールココエートなど)、または例えばポリクタニウム−7などのカチオン性ポリマー、またはポリグリセロールエステルを含有させることができる。
【0039】
本発明の方法の工程(b)において、工程(a)で得られた水相混合物に、液状の油相を、この油相がエマルジョンの全重量を基準として毎分2〜30重量%、好ましくは毎分2〜20重量%、より好ましくは毎分5〜20重量%の量で添加され、かつ、添加の間、系全体が均質な乳化状態を維持するような添加速度で攪拌しながら、添加する。本発明の目的のため、前記「均質な乳化状態」は、系全体が一様な外観を有していて、相分離が起こらないことを意味する。実際には、工程(b)で用いられる添加速度は、系の乳化状態を壊さずに水相混合物に油相を添加することができる任意の速度である。しかしながら、経済的な関心からは、前記添加速度は、系の均質な乳化状態を壊さずにできるだけ速く水相混合部へ油相が添加されるような速度にする。当業者であれば、添加の間、系全体が均質な乳化状態を維持するように、油相と水相の比、エマルジョンの総量、攪拌モードおよび攪拌機の回転速度にしたがって適当な速度を選択することができる。本発明の方法の好ましい実施形態では、工程(b)の初期の段階で既に添加された油相の水相に対する重量比が3分の1未満のときは、添加速度を比較的遅くし、その後、添加速度をより高い値に適正に増加させることができる。100〜1000gの実験室規模の用量を例にとれば、エマルジョンの系全体を均質に維持しながら油相を水相混合物に添加するには、一般に5〜15分を要する。工場における大量生産では、添加の間、系全体を均質な乳化状態に維持しながら油相を水相混合物に添加するには、5〜30分を要する。
【0040】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、さらに、
(c)工程(b)で油相の添加が完了した後、均質化のための攪拌速度を増加させ、O/Wエマルジョンを得る
工程を含む。
【0041】
本発明の方法の工程(c)では、工程(b)における油相の添加を完了した後、均質化のための攪拌速度を増加させ、O/Wエマルジョンを得る。工程(c)の目的は、混合物系を均質化することにある。この均質化には、通常、工程(b)で使用したものより高速の攪拌速度または剪断速度が必要である。工程(b)の攪拌速度は、通常、600〜1000rpm、好ましくは700〜1000rpmであるが、工程(c)では、通常、1000〜16000rpm、好ましくは100〜13000rpmである。この目的を達成するために、本発明では、IKA(登録商標)RW 28、IKA(登録商標)RW 20、IKA(登録商標)RW 14およびIKA(登録商標)RW 16などの、IKA(登録商標)により提供されるジェットフロー攪拌機を使用することができる。
【0042】
均質なエマルジョンは工程(b)で既に得られている。工程(c)の目的は、エマルジョン系をさらに均質化し、それにより最終製品の外観と安定性を向上させることにある。
【0043】
工程(a)〜(c)では、各工程における所望の混合系をより速く得るために、または各工程で所望されるより均質化した所望の混合系を得るために、またはその両方もしくは他の目的のために、加熱しながら工程(a)〜(c)を実施することができる。勿論、加熱せずにそれらを実施することもできる。
【0044】
本発明の方法は、スキンケア製品のみならず、ヘアケア製品の製造にも適している。
【0045】
第2の態様においては、本発明は、本発明の方法により製造されたO/Wエマルジョンを提供する。本方法で製造されるO/Wエマルジョンは、高い油相含有率を有することができるとともに、貯蔵安定性を備えている。
【0046】
本発明の油相高含有O/Wエマルジョンは、乳白色のクリーム様外観を有するか、所望するなら、透明なゲル状外観とすることができる。このエマルジョンは、皮膚に塗布すると、皮膚を軟化させるオイルを速やかに放出し、メイキャップ除去、マッサージ、または湿潤などの機能を発揮し、またベビーオイルの代替として使用することができる。したがって、本発明の油相高含有O/Wエマルジョンは、各種のパーソナルケア製品および化粧品に広く使用することができる。
【0047】
したがって、最後の態様においては、本発明は、本発明の方法により製造された油相高含有O/Wエマルジョンのメイキャップ除去剤、マッサージ調製物、ベビーケア製品およびサンケア調製物における使用を提供する。
【0048】
指定がある場合を除いて、本発明で用いる成分の重量%は全てエマルジョンの全重量に対するものである。
【0049】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図したものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0050】
実施例1〜3
実施例1〜3の処方を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
製品1は次の工程により調製する。
(i)3重量%のグリセロール、0.1重量%のキサンタンガム、1重量%の乳化剤TEGO(登録商標)Care 450および0.1重量%の保存料クロロアセトアミドを、10.8重量%の水に順次添加し、混合し、攪拌しながら80℃まで加熱して相Bを得る工程、
(ii)45重量%のエチルヘキシルパルミテート(TEGO(登録商標)SOFT OP)および40重量%のジエチルヘキシルカーボネート(TEGO(登録商標)SOFT DEC)からなる液状の油相Aを、工程(i)で得られた相Bへ、800rpmの攪拌速度で5分かけて添加し(すなわち、毎分19重量%の油相を添加する)、その間、系全体を常に均質な乳化状態に維持する工程、および
(iii)油相Aの添加完了後、均質化のために攪拌速度を10,000rpmに増加し、油相高含有O/Wエマルジョン製品1を全量で200g得る工程。
【0053】
均質なエマルジョンは本実施例の工程(ii)で既に得られているが、工程(iii)はエマルジョン系の一層の均質化を図るものであり、これにより最終製品の外観と安定性が向上する。
【0054】
製品2は、実施例1における製品1の調製と同様の方法で調製し、95重量%のジエチルヘキシルカーボネート(TEGO(登録商標)SOFT DEC)からなる液状の油相Aを、相Bに15分かけて添加し(すなわち、毎分6.3重量%の油相を添加し)、最終的に製品2を全量で800g得る。均質なエマルジョンは本実施例の工程(ii)で既に得られているが、工程(iii)はエマルジョン系の一層の均質化を図るものであり、これにより最終製品の外観と安定性が向上する。
【0055】
製品3は、実施例1における製品1の調製と同様の方法で調製し、34重量%のエチルヘキシルパルミテート(TEGO(登録商標)SOFT OP)および41重量%のジエチルヘキシルカーボネート(TEGO(登録商標)SOFT DEC)からなる液状の油相Aを、相Bへ10分かけて添加し(すなわち、毎分7.5重量%の油相を添加し)、最終的に製品3を全量で2000g得る。均質なエマルジョンは本実施例の工程(ii)で既に得られているが、工程(iii)はエマルジョン系の一層の均質化を図るものであり、これにより最終製品の外観と安定性が向上する。
【0056】
これらの3種の製品それぞれについて、室温安定性試験、耐熱試験および凝固−溶融試験を行う。室温安定性試験では、室温(20〜25℃)で3ヶ月間、試料を貯蔵する。耐熱試験では、45℃で3ヶ月間、試料を貯蔵する。そして、凝固−溶融試験では、試料を−15℃に冷却し、その後、室温で加熱するサイクルを計3回繰り返す。試験結果は、これらの製品が上記試験後も、変色や層分離などが生ずることはなく、依然、均質な外観を維持していることを示す。これらのことから、製品1〜3が、依然、油相含有率が高く、優れた貯蔵安定性を有していることが明らかである。
【0057】
製品1〜3は、クリーム状で、明らかな流動性を示さず、使用に便利であり、パッケージに対する要求が低い。皮膚に塗布すると、エモリエントオイルが大量に放出され、メイキャップ除去、マッサージまたは湿潤などの機能を発揮する。これらの製品は、オイル製品の機能を非常に良く発揮することができるが、高い流動性や浸透性などのそれらの一般的な欠点を示すことはない。
【0058】
実施例4
実施例4のO/Wエマルジョン処方を表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
実施例1における製品1の調製と同様の方法で、表2の処方のO/Wエマルジョンを調製し、30重量%のエチルヘキシルパルミテート(TEGO(登録商標)SOFT OP)および55重量%のPPG−14ブチルエーテル(TEGO(登録商標)SOFT PBE)からなる液状の油相Aを、相Bに15分かけて添加し(すなわち、毎分5.7重量%の油相を添加し)、最終的に製品4を全量で1000g得る。均質なエマルジョンは本実施例の工程(ii)で既に得られているが、工程(iii)はエマルジョン系の一層の均質化を図るものであり、これにより最終製品の外観と安定性が向上する。
【0061】
この実施例で得られたエマルジョンは、乳白色のクリーム様外観と、良好な安定性を有している。製品4について、室温安定性試験、耐熱試験および凝固−溶融試験を行う。室温安定性試験では、室温(20〜25℃)で3ヶ月間、試料を貯蔵する。耐熱試験では、45℃で3ヶ月間、試料を貯蔵する。そして、凝固−溶融試験では、試料を−15℃に冷却し、その後、室温で加熱するサイクルを計3回繰り返す。試験結果は、これらの製品が上記試験後も、変色や層分離などが生ずることはなく、依然、均質な外観を維持していることを示す。これらのことから、製品4が、依然、優れた貯蔵安定性を有していることが明らかである。同様に、皮膚に塗布すると、大量のエモリエントオイルが速やかに放出され、メイキャップ除去、マッサージまたは湿潤などの機能を非常に良く発揮する。
【0062】
実施例5
実施例5のO/Wエマルジョン処方は、表3に示す通りである。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例1における製品1の調製と同様の方法で、表3の処方のO/Wエマルジョンを調製し、25重量%のオクチルドデカノール(TEGO(登録商標)SOFT G20)および35重量%のトリイソステアリン(TEGO(登録商標)SOFT TIS)からなる液状の油相Aを、相Bに5分かけて添加し(すなわち、毎分12重量%の油相を添加し)、最終的に製品5を全量で2000g得る。均質なエマルジョンは本実施例の工程(ii)で既に得られているが、工程(iii)はエマルジョン系の一層の均質化を図るものであり、これにより最終製品の外観と安定性が向上する。
【0065】
この実施例で得られたエマルジョンは、乳白色のクリーム様外観を有する。製品5について、室温安定性試験、耐熱試験および凝固−溶融試験を行う。室温安定性試験では、室温(20〜25℃)で3ヶ月間、試料を貯蔵する。耐熱試験では、45℃で3ヶ月間、試料を貯蔵する。そして、凝固−溶融試験では、試料を−15℃に冷却し、その後、室温で加熱するサイクルを計3回繰り返す。試験結果は、この製品が上記試験後も、変色や層分離などが生ずることはなく、依然、均質な外観を維持していることを示す。これらのことから、製品5が、依然、優れた貯蔵安定性を有していることが明らかである。皮膚に塗布すると、適量のエモリエントオイルが速やかに放出され、メイキャップ除去、マッサージまたは湿潤などの機能を非常に良く発揮する。
【0066】
実施例6
実施例6のO/Wエマルジョン処方は、表4に示す通りである。
【0067】
【表4】

【0068】
実施例1における製品1の調製と同様の方法で、表4の処方のO/Wエマルジョンを調製し、35重量%のホワイトオイルおよび35重量%のトリイソステアリン(TEGO(登録商標)SOFT TIS)からなる液状の油相Aを、相Bに10分かけて添加し(すなわち、毎分7重量%の油相を添加し)、最終的に製品6を全量で1000g得る。均質なエマルジョンは本実施例の工程(ii)で既に得られているが、工程(iii)はエマルジョン系の一層の均質化を図るものであり、これにより最終製品の外観と安定性が向上する。
【0069】
この実施例で得られたエマルジョンは、乳白色のクリーム様外観を有する。製品6について室温安定性試験、耐熱試験および凝固−溶融試験を行う。室温安定性試験では、室温(20〜25℃)で3ヶ月間、試料を貯蔵する。耐熱試験では、45℃で3ヶ月間、試料を貯蔵する。そして、凝固−溶融試験では、試料を−15℃に冷却し、その後、室温で加熱するサイクルを計3回繰り返す。試験結果は、この製品が上記試験後も、変色や層分離などが生ずることはなく、依然、均質な外観を維持していることを示す。これらのことから、製品6が、依然、優れた貯蔵安定性を有していることが明らかである。皮膚に塗布すると、適量の皮膚軟化性オイルが速やかに放出され、メイキャップ除去、マッサージまたは湿潤などの機能を非常に良く発揮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
O/Wエマルジョンの製造方法であって、
(a)水相と乳化剤とを混合して、均質な水相混合物を得る工程と、
(b)工程(a)で得られた前記水相混合物に、液体状態の油相を、前記エマルジョンの全重量を基準として毎分2〜30重量%、好ましくは毎分2〜20重量%、より好ましくは毎分5〜20重量%の量で前記油相が添加され、かつ、系全体がこの添加の間、均質なエマルジョン状態を維持するような添加速度で攪拌しながら添加する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記エマルジョンの全重量を基準として、前記油相は、50〜95重量%の量であり、前記水相は、4.5〜45重量%の量であり、前記乳化剤は、0.5〜5重量%の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記O/Wエマルジョンの全重量を基準として、前記油相は、55〜90重量%、好ましくは60〜85重量%、特に好ましくは65〜80重量%の量であり、前記水相は、9.5〜40重量%、好ましくは14.5〜35重量%、特に好ましくは19.5〜30重量%の量である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記油相は、エチルヘキシルパルミテート、ジエチルヘキシルカーボネート、オクチルドデカノール、PPG−14ブチルエーテルおよびトリイソステアリンからなる群より選択される1種以上の成分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記乳化剤は、非イオン性、アニオン性、またはカチオン性乳化剤であって、
前記非イオン性乳化剤は、エトキシ化脂肪酸エステル、脂肪酸のポリグリセリルエステル、脂肪族アルコールのエトキシ化エーテル、脂肪酸糖エステル(例えば、脂肪酸グルコースエステルおよび脂肪酸スクロースエステル)およびエトキシ化ジメチコンからなる群より選択される1種以上であり;前記非イオン性乳化剤は、好ましくは、エトキシ化脂肪酸ソルビトールエステル、ポリグリセリル−3−メチルグルコースジステアレート、セテアレス−15およびグリセリルステアレート、並びにセテアリルグルコシドからなる群より選択される1種または2種であり;
前記アニオン性乳化剤は、グリセリルステアレートシトレートであり;
前記カチオン性乳化剤は、ジステアリルジモニウムクロリドである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水相は、キサンタンガム、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル樹脂および置換ポリアクリル樹脂からなる群より選択される1種以上の水溶性ポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記油相は、ポリシロキサン化合物、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコールおよび脂肪族エステルからなる群より選択される1種以上を含み、前記ポリシロキサン化合物は、好ましくは、シクロメチコン、ジメチコンおよびシリコーンエラストマーからなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記水相は、水に加えて、エタノール、および/または2つ以上の水酸基を有するC〜Cポリオールを含み、後者は、好ましくは、グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(c)工程(b)で前記油相の添加が完了した後、均質化のための前記攪拌速度を増加して、前記O/Wエマルジョンを得る工程をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により製造されたO/Wエマルジョン。
【請求項11】
メイキャップ除去剤、マッサージ調製物、ベビーケア製品およびサンケア調製物における請求項10に記載のO/Wエマルジョンの使用。

【公表番号】特表2012−510432(P2012−510432A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537816(P2011−537816)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/CN2008/073859
【国際公開番号】WO2010/063155
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】