説明

定着フィルム及び定着装置

【課題】フィルム定着における、記録材のスリップ防止と、定着性確保、並びにフィルム破損の防止を達成することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、樹脂組成物で形成された基層26aと、樹脂組成物で形成された表層26cと、を有し、記録材上の画像を定着する定着フィルム26において、前記基層26aの樹脂中に、該樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1と、該樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2を含有させると共に、前記第1フィラーF1の含有量をa容量%、第2フィラーF2の含有量をb容量%とした場合、a≧2bかつ5≦a+2b≦80の式を満たすことを特徴とする定着用フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電記録方式、電子写真方式等の画像形成手段により、記録材上に形成された画像を定着する定着フィルム、及び定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電記録装置や電子写真装置において、記録材上に形成されたトナー像の定着は、ハロゲンランプ等の発熱体を内包させた加熱ローラーと弾性体層を有する加圧ローラーとで、前記記録材を挟持搬送させる事で行われるのが一般的である。
【0003】
しかしながら、最近では省電力化、及び通電加熱体への通電開始から定着可能温度に達するまでの時間短縮を実現するために、フィルム加熱方式の加熱装置(フィルム定着)が実用化されている。
【0004】
フィルム定着は、固定支持された加熱体(セラミックヒーター)と、該加熱体に対向圧接しつつ搬送される耐熱性の定着用フィルム(定着用ベルトとも称される、以下、フィルムと記す)とから成るヒーターユニットと、このヒーターユニットに対し記録材を密着させる加圧部材とを有し、上記加熱体の熱をフィルムを介して記録材へ付与することで、記録材上に形成されているトナー像を定着させるものである。
【0005】
このようなフィルム定着において、フィルムの駆動に因って生じる寄り力によりフィルムが座屈しない程度にフィルムの外径、及び厚さで座屈強度を確保することで、寄り制御を省略し、かつフィルムをフィルムガイドに対し圧フリーに外嵌させ、フィルム、及びフィルムガイドに圧接させる加圧ローラー駆動を加えることにより、前記フィルムを従動駆動させて、記録材を加圧ローラーの駆動により搬送させる方式が実用化されている。
【0006】
そして、さらに定着性能を向上させるために、特許文献1に記されている様に、フィルムの基層に耐熱ベース樹脂より熱伝導性が高いフィラーを添加することが提案されている。
【0007】
また、特許文献2に記されている様に、耐熱ベース樹脂中に、弗素樹脂等の耐熱ベース樹脂より表面エネルギーが小さいフィラーを添加することで、摺動抵抗が減少し、記録材の搬送速度が安定することが提案されている。
【0008】
また、特許文献3には、耐熱性、機械的強度、離型性、熱伝導性に優れたフィルムとして、熱硬化性ポリイミド系樹脂を主成分とし、フッ素系樹脂粒子をその表面に分散遍在させるとともに,熱伝導性粉体を含ませたものが提案されている。
【特許文献1】特開平7−110632号公報
【特許文献2】特開2001−056615号公報
【特許文献3】特開平11−156971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の場合は、フィルムガイドとフィルム内面の摺動部の耐久による摺動抵抗の増加や加熱による温度上昇による摺動抵抗の増加、加熱定着時に記録材から発生する水蒸気が加圧ローラー表面へ付着する事による加圧ローラーの摩擦駆動力の低下する等により加圧ローラーの周速に対し、記録材、あるいはフィルムの搬送速度が遅れる現象が生じ、その結果、加圧ローラーは所定の周速度で回転しているにもかかわらず、記録材の搬送が所定の速度から遅れてしまうために紙詰まり(JAM)となる、あるいはフィルムが記録材の搬送速度に対し遅れてしまうためにトナー像が搬送方向の下流側にズレでしまい画像が乱れる所謂スリップの問題が生じる場合がある。
【0010】
また、特許文献2の場合は、耐熱ベース樹脂中に耐熱樹脂より熱伝導性が高いフィラーが存在しないと熱伝導性に劣り、定着性能が低下する可能性がある。
【0011】
そして、特許文献3のように、耐熱樹脂より熱伝導性が高いフィラーと耐熱樹脂より表面エネルギーが小さいフィラーの両方を添加すれば、定着性能とスリップ防止が両立できるが、添加するフィラー量の総和が所定量を超えると、フィルムの引裂強度が低下し、フィルム破損が発生する可能性がある。また耐熱樹脂より表面エネルギーが小さいフィラーの添加による強度ダウン率は、耐熱樹脂より熱伝導性が高いフィラーの添加による強度ダウン率より大きいため、添加量の総和が小さくても、それぞれの添加量の割合によってはフィルム破損が発生する可能性がある。
【0012】
本発明は、フィルム定着における、記録材のスリップ防止と、定着性確保、並びにフィルム破損の防止を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明に係る定着フィルムの代表的な構成は、少なくとも、樹脂組成物で形成された基層と、樹脂組成物で形成された表層と、を有し、記録材上の画像を定着する定着フィルムにおいて、前記基層の樹脂中に、該樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーと、該樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーを含有させると共に、前記第1フィラーの含有量をa容量%(vol%)、第2フィラーの含有量をb容量%としたとき、a≧2bかつ5≦a+2b≦80の式を満たすことを特徴とする。
【0014】
加熱体から記録紙上のトナーへの熱伝導が向上し、定着性能を向上させ、かつ定着フィルムと摺動するヒーター表面、及びフィルムガイド摺動面との摩擦抵抗を小さくすることができるので、記録紙のスリップを防止することができる。
【0015】
さらには添加する熱伝導性フィラーと摺動性フィラーの総和を規制することで、フィルムの強度低下による破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
すなわち、基層に上記の第1フィラーと第2フィラーの2つを添加するものとし、その場合の両フィラーとの添加量の割合(容量%)と総和量を種々変えることで定着フィルムとしての好ましい特性が得られる条件範囲を検討した結果、両フィラーの添加量の割合と総和量を上記のように規制することで、記録材のスリップを防止し、定着性能を向上させ、フィルム破損を生じさせない定着フィルム、及びそれを用いた定着装置の提供が可能となることを見出して本発明を完成した。
【0017】
本発明の定着フィルムによれば、加熱体から記録材上の画像への熱伝導が向上し、定着性能を向上させ、かつ定着フィルムと摺動する加熱体表面、及びフィルムガイド摺動面との摩擦抵抗を小さくすることができるので、記録材のスリップを防止することができる。さらには添加する熱伝導性である第1フィラーと摺動性である第2フィラーの総和を規制することで、フィルムの強度低下による破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
【実施例】
【0019】
〈画像形成装置例〉
図1は画像形成装置例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真方式のレーザープリンタである。
【0020】
このプリンタの不図示の制御部にパソコン等の不図示の外部ホスト装置からプリントすべき画像信号が入力する。その入力をトリガーとして所定の制御タイミングにおいて、像担持体としての感光ドラム1が不図示の駆動系により矢印の時計方向に所定の周速度、本例では140mm/秒の周速度で回転駆動される。
【0021】
一方、所定の給紙タイミングにて第1の給紙ローラー8が駆動されて給紙カセット7内に積載収容されているシート状の記録材Pが一枚分離給紙され、シートパス9を通ってレジストローラー10へ搬送される。あるいは所定の給紙タイミングにて第2の給紙ローラー12が駆動されて汎用の紙サイズに対応するマルチトレイ11に載置されたシート状の記録材Pが一枚分離給紙され、シートパス13を通ってレジストローラー10へ搬送される。レジストローラー10は給紙された記録材Pの先端を受け止めて記録材の斜行修正をするとともに、所定の制御タイミングにて記録材Pを感光ドラム1と転写ローラー5との当接部である転写ニップ部に感光ドラム1の周速と同じ140mm/秒の速度で搬送する。14はフォトセンサー及びフラッパーから成る第1の紙センサー(トップセンサー)であり、レジストローラー10の記録材出口側近接に位置させて配設してある。この第1の紙センサー14により、レジストローラー10で搬送された記録材Pの先端・後端の通過が検知され、感光ドラム1に対するレーザー走査露光のタイミングの決定や入力された画像サイズに対する記録材の搬送方向長さの真偽判定等が行われる。
【0022】
感光ドラム1は接地されたアルミニウムドラムに有機感光層を形成したものであり、これに当接させたれた帯電ローラー2の芯金に不図示のバイアス電源から帯電バイアスが印加される事により回転する感光ドラム周面が所定の極性・電位に一様に帯電される。本例では感光ドラム1は負極性に帯電される。その感光ドラム1の帯電処理面に対してレーザースキャナー3によりレーザー走査露光Lがなされる。レーザースキャナー3は半導体レーザー・レンズ・ポリゴンミラー・モーター等からなり、不図示の制御部であるところのDCコントローラーによりポリゴンの回転及び画像信号に応じたレーザーの変調が行われ、その変調レーザーにより感光ドラム1の帯電処理面が走査露光Lされる。これにより感光ドラム面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0023】
その静電潜像が現像器4によりトナー像として反転現像される。現像器4は負極性一成分磁性トナー及び現像マグネット、現像スリーブ等からなり、不図示のバイアス電源から現像バイアスが印加され、静電潜像の反転現像を行なう。
【0024】
そして、その感光ドラム1上に形成されたトナー像が転写ニップ部に導入されて挟持搬送される記録材Pの面に転写される。転写ローラー5には、不図示のバイアス電源から正極性バイアスが印加されることでトナー像を記録材P上へ静電転写する。
【0025】
転写ニップ部を通過した記録材Pは感光ドラム1の面から分離され、シートパス15から定着装置16へ導入される。また記録材分離後の感光ドラム面はクリーニングブレード6により拭掃されて転写残トナーや紙粉等の残留汚染物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
【0026】
定着装置16に導入された記録材Pは後述するように加熱・加圧によりトナー像の定着処理を受ける。そしてシートパス18を通って排紙ローラー19により排紙トレイ20上にプリントとして出力される。
【0027】
17は定着装置16の定着ニップ部下流側に配設した第2の紙センサー(排紙センサー)である。前記第1の紙センサー14とこの第2の紙センサー17からの信号により記録材Pのプリンタ内搬送状態がDCコントローラー内のCPUにより監視される。仮に、第1の紙センサー14により、記録材Pが転写ニップ部に送られたにもかかわらず、適切な時間内に記録材Pの先後端が第2の紙センサー17により検出されなければ、JAM(紙詰まり)として、プリンタのモーター、高圧トランス、定着用加熱装置16の通電発熱体等に対する通電が遮断される。
【0028】
〈定着装置16〉
図2は定着装置(以下、定着器と記す)16の要部の横断面模型図である。この定着器16はフィルム加熱方式、加圧部材駆動方式の所謂テンションレスタイプの加熱装置である。
【0029】
ここで、以下の説明において、装置構成部材の長手方向とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。また幅または幅方向(短手方向)とは記録材搬送方向における寸法または並行な方向である。または上流側と下流側は記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。
【0030】
21は加熱部材としてのヒーターユニット、22は加圧部材としての弾性加圧ローラである。ヒーターユニット21と加圧ローラーはその長手方向(図面に垂直方向)の両端部側を定着器フレーム(不図示)の手前側と奥側の側板間に保持させ、上下に並行に配列して、且つ所定の押圧力で圧接させて記録材方向において所定幅に定着ニップ部Nを形成させている。
【0031】
ヒーターユニット21において、23は横断面略半円形樋型のフィルムガイドであり、PPS、液晶ポリマー等の耐熱樹脂成形部材である。このフィルムガイド23は図面に垂直方向を長手とする横長部材であり、その下面に長手に沿って設けた溝穴部に加熱体24を嵌入させて保持させてある。25はフィルムガイド23の内側に配設した横断面逆U字形の補強板金である。26は円筒状で可撓性を有する定着フィルムであり、上記のフィルムガイド23と、加熱体24と、補強板金25のアセンブリに対してルーズに外嵌させてある。この定着フィルム26は、円筒状のポリイミド樹脂にPTFE、PFA等のフッ素樹脂層を形成したフィルムである。より具体的には、厚さ60μmの円筒形ポリイミドフィルム(基層)の表面に、フッ素樹脂及びカーボンから成る中間層(プライマー層)、そして離型層(表層)としてPTFE、PFA等から成るフッ素樹脂層が形成されたフィルムである。定着フィルム26については後に詳述する。
【0032】
加圧ローラー22は、アルミニウム・鉄等からなる芯金27に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等から成る弾性層28、及びPFAチューブ等を被覆させて離型層29を形成してなる。この加圧ローラー22は、芯金27の長手両端部を定着器フレームの手前側と奥側の側板間に軸受部材を介して回転可能に支持させてある。
【0033】
そして、ヒーターユニット21と加圧ローラー22を加圧ローラーの弾性層28の弾性に抗して不図示の加圧手段により加圧状態にすることで、加熱体24と加圧ローラー22とを定着フィルム26を挟んで圧接させて加熱定着に必要な所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。補強板金25は加圧力によるフィルムガイド23や加熱体24の変形を防止している。定着フィルム26は定着ニップ部Nにおいて加熱体24とフィルムガイド23にバックアップされる。
【0034】
加圧ローラ22は駆動手段Mにより記録材搬送方向である矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される(加圧部材駆動式)。この加圧ローラ22の回転駆動に伴い、該加圧ローラー22と定着フィルム26の外面との定着ニップ部Nにおける摩擦力で円筒状の定着フィルム26に回転力が作用し、該定着フィルム26がフィルムガイド23の外回りを定着ニップ部Nにおいて定着フィルム内面が加熱体24とフィルムガイド23の下向き面に密着して摺動しながら矢印の時計方向に従動回転する。定着フィルム26の内面とフィルムガイド23との間には摺動グリス(不図示)が塗布されており、定着フィルム26の摺動性を保っている。またフィルムガイド23により定着フィルム26の回転安定性が保たれる。
【0035】
加圧ローラ22の回転駆動による定着フィルム26の回転がなされ、また後述するように加熱体24に対する通電により該加熱体が昇温して所定の目標温度に温調された状態において、定着ニップ部Nの定着フィルム26と加圧ローラー22との間に未定着トナー画像tを担持した記録材Pが入り口ガイド30に案内されて導入され、トナー画像担持面が定着フィルム26の外面に密着して定着フィルム26と一緒に定着ニップ部Nを通過することで、加熱体24の熱が定着フィルム26を介して記録材Pに付与され、未定着トナー画像tが記録材Pの面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通った記録材Pは定着フィルム26の面から曲率分離して出口ガイド31に案内されて排出搬送される。
【0036】
本実施例において上記の加熱体24としてセラミックヒーター(以下、ヒーターと記す)を用いている。図3は用いたヒーター24の構成と通電系の説明図である。本例のヒーター24は、Al、AlN等のセラミック材でできた絶縁基板24aの表面に、銀合金からなる2本の通電発熱体24c・24eをスクリーン印刷して形成具備させてある。そして、その上に保護層24gとしてガラスやフッ素樹脂等をコートしてある。絶縁基板24aの通電発熱体24c・24eの形成面側とは反対面側には温度検知素子としてのサーミスターTHを接着して設けてある。このヒーター24の保護層24g側の面が定着フィルム26の内面が密着して摺動するヒーター表面側である。このヒーター24を表面側を下向きに露呈させてフィルムガイド23の溝穴部に嵌め込んで保持させてある。
【0037】
また、ヒーター24はAC通電制御回路(トライアック)41から通電発熱体24c・24eに通電がなされることで該通電発熱体の発熱で迅速に昇温する。すなわち、ヒーター24は、給電電極24b→1本目の通電発熱体24c→つなぎ電極24d→2本目の通電発熱体24e→給電電極24fの経路で給電されて、通電発熱体24c・24eが発熱する。ヒーター24の温度状態がサーミスターTHで検知される。そのサーミスターTHの出力をA/Dコンバーター43でA/D変換して制御回路(CPUを擁するDCコントローラー)42に取り込む。制御回路(CPU)42はその情報をもとにAC通電制御回路41からヒーター24へ供給するAC電圧を位相制御、波数制御等することによりヒーター24の通電発熱体24c・24eに対する通電電力を制御して、ヒーター24の温度を所定の定着温度に温調制御するようにしてある。本実施例において、通紙時におけるヒーター24の制御温度(定着温度)は200℃である。
【0038】
〈定着フィルム26〉
定着フィルム26について詳述する。図4は定着フィルム26の層構成を示す断面図である。この定着フィルム26は、基層26a、中間層26b、及び表層26cの3層構造からなり、全体に可撓性を有する。基層26aは定着フィルム26のベースフィルムであり、その面がヒーター24およびフィルムガイド23と接触して摺動する。表層26cは離形層であり、その面に定着ニップ部において加圧ローラー22および記録材Pが接触する。中間層26bは基層26aと表層26cとを接合するプライマー層(接着層)である。
【0039】
基層26aは、耐熱樹脂と、耐熱樹脂よりも熱伝導性が高い第1フィラーF1及び耐熱樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2を含有する樹脂組成物で形成される。表層26cは、フッ素樹脂と、導電性の第3フィラーF3を含有する樹脂組成物で形成される。そして、中間層26bは、導電性の第3フィラーF3を含有する樹脂組成物で形成されている。
【0040】
1)基層26a
定着フィルム26の基層26aは、ポリイミド等の耐熱樹脂に、該耐熱樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1及び耐熱樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2を含有せしめた樹脂組成物で形成することによって、熱伝導性及び摺動性を向上せしめる。
【0041】
基層の厚みは、通常、10〜70μm、好ましくは30〜60μmである。
【0042】
基層に使用する耐熱樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー等が挙げられる。これらの耐熱樹脂の中でも、ポリイミドやポリアミドイミドが特に好ましい。この樹脂の層により、定着フィルムの絶縁性が確保される。これらの樹脂の単体層は、熱伝導率が低いため、耐熱樹脂より熱伝導性が高いフィラーを含有せしめる。
【0043】
耐熱樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1としては、例えば、窒化ホウ素(BN)、アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸カリウム、窒化アルミ、マイカ、シリカ、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、及びこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。これらの中でも、窒化ホウ素、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミが好ましい。
【0044】
この第1フィラーF1の基層26aにおける含有量は、通常、4〜40容量%、好ましくは15〜30容量%である。この範囲内であれば、樹脂単体層とほぼ同レベルの柔軟性を確保した上で、熱伝導性と剛性を向上させることができる。この含有量が4容量%未満であると、十分な熱伝導性向上効果が得られず、逆に、40容量%を越えると、可撓性が不十分となり、定着器で定着フィルムとして使用した場合に、比較的短期間でフィルムに割れを生じ易い。
【0045】
また、第1フィラーF1の平均粒子径は、0.5〜15μm、好ましくは1〜10μmである。耐熱樹脂、特にポリイミドやポリアミドイミド等では、一般に樹脂(ポリアミド酸等の前駆体を含む)に溶剤を加えたワニスを用いて成形されるが、フィラーを含有せしめたワニスを用いてフィルム状物を成形すると、表面に凹凸を生じ易い。凹凸の少ない良好な表面状態の薄肉の基層を有するベルトを得るには、第1フィラーF1の平均粒子径を前記範囲とすることが必要である。平均粒子径が15μmを越えると、フィルムに凹凸を生じ易く、0.5μm未満であると、熱伝導性の向上効果が小さく、かつ、フィラーの凝集によりフィルムに凹凸を生じ易い。基層の凹凸が大きいと、定着フィルムの表層表面の凹凸も大きくなり、トナーとの密着性が悪くなって、定着性が低下する。
【0046】
第1フィラーF1の形状は、球状、鱗片状(平板状)、繊維状のいずれでもよいが、これらの中でも平板状のフィラーが、凹凸が少なく表面の滑らかなフィルムが得られ、なおかつ球状のフィラーの場合より高い剛性が得られるため、特に好ましい。したがって、第1フィラーF1としては、形状が平板状で高熱伝導性かつ絶縁性である窒化ホウ素が特に好適である。
【0047】
耐熱樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2は、フッ素樹脂粉体、例えばポリテトラフルオロエチレン粉体、テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエ−テル共重合体粉体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体粉体の一種または二種以上を使用でき、粉体径は均一分散のために0.01〜20μm、好ましくは0.1〜10μmとすることが望ましい。
【0048】
この第2フィラーF2の添加により、定着フィルム内周面の摩擦係数(JIS K7218による)を0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下にしている。
【0049】
第2フィラーF2の基層26aにおける添加量は、通常2〜20容量%、好ましくは5〜10容量%とされる。2容量%未満では摩擦係数0.3以下を達成し難く、20容量%を越えると、摺動接触により発生する剪断応力で破損し易くなる。
【0050】
本発明においては、基層26aにおける第1フィラーF1と第2フィラーF2の両者の含有量に関して、耐熱樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1の含有量をa容量%、耐熱樹脂より表面エネルギーが小さい第1フィラーF2フィラーの含有量をb容量%とした場合、a≧2bかつ5≦a+2b≦80の式を満たすことを特徴としている。
【0051】
即ち、本発明者は、基層26aに上記の第1フィラーF1と第2フィラーFの2つを添加するものとし、その場合の両フィラーF1とF2の添加量の割合と総和量を種々変えることで定着フィルムとしての好ましい特性が得られる条件範囲を検討した結果、両フィラーF1・F2の添加量の割合と総和量を上記のように規制することで、記録材のスリップを防止し、定着性能を向上させ、フィルム破損を生じさせない定着フィルム、及びそれを用いた定着器の提供が可能となることを見出して、この発明を完成したものである。
【0052】
2)表層26c
定着フィルム26の表層26cは、弗素樹脂と導電性の第3フィラーF3を含有する樹脂組成物で形成される。
【0053】
表層26cの厚みは、通常、1〜30μm、好ましくは5〜15μmである。
【0054】
弗素樹脂を使用することにより、離型性を確保し、導電性フィラーを含有せしめることにより、表層26cに導電性を付与して帯電によるオフセットを防止する。
【0055】
弗素樹脂としては、定着フィルム26を200℃前後の高温で連続使用可能とするために、特に耐熱性に優れたものが好ましく、例えば、四弗化エチレン樹脂(PTFE)、四弗化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。
【0056】
導電性の第3フィラーF3としては、特に限定されないが、例えば、ケッチェンブラック等のカーボンブラックやアルミニウム等の金属粉を挙げることができる。この第3フィラーF3の平均粒子径は、安定した均一な導電性を得るために、0.5μm以下であることが好ましい。
【0057】
第3フィラーF3の表層26cにおける含有量は、通常、0.1〜5容量%程度である。ただし、表層26cの導電性をあるレベル以上に上げた場合には、記録材上のトナーが表層26cと接触した際に、トナーの電荷が該表層26cに流れて、記録材とトナーとの間の吸引力が失われる。このため、表層26cの表面抵抗率を1×1012〜1×1015Ω/□とすることにより、帯電防止効果とトナー電荷漏れ防止を両立させるのが望ましい。
【0058】
3)中間層26b
定着フィルム26の中間層26bは、基層26aと表層26cの両樹脂層に接着性を有する樹脂と導電性の第3フィラーF3を含有する樹脂組成物で形成する。
【0059】
中間層の厚みは、通常、0.1〜20μm、好ましくは1〜10μmである。
【0060】
中間層26bも表層26cと同様に導電性フィラーを含有せしめた樹脂を用い、さらに定着フィルム端部等で中間層露出部aを設け、その中間層露出部aに導電性摺動電極部材44を介して接地することにより、定着フィルム26の内面の摩擦帯電に対するシールド効果、及び外面の帯電防止効果を持たせ、オフセットを防止する。即ち、オフセットを防止するには、定着フィルムの導電性を上げればよいが、ヒーター24と接するフィルム内面は、絶縁性とする必要があるため、中間層26b及び表層26cに導電性フィラーを含有せしめることにより、定着フィルム内面の帯電に対するシールド効果と定着フィルム外面の帯電防止効果を持たせ、オフセットを防止する。
【0061】
中間層26cを構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、弗素樹脂とポリアミドイミドの混合物、弗素樹脂とポリエーテルスルホンの混合物などが接着性の点で好ましい。
【0062】
中間層26cに含有させる導電性の第3フィラーF3としては、表層26cに含有させる導電性の第3フィラーF3と同じものが使用できる。
【0063】
導電性フィラーの含有量は、通常、0.5〜10容量%、好ましくは1〜5容量%程度である。中間層の表面抵抗率は、1×10Ω/□以下として、十分に導電性を上げることが好ましく、これにより、定着フィルムの内面の帯電に対するシールド効果、及び外面の帯電防止効果を効率よく得ることができる。
【0064】
上記のような3層構成26a・26b・26cの定着フィルム26を作成するには、例えば、円柱形状の金型上に、基層26aを形成するワニス(耐熱樹脂と、耐熱樹脂よりも熱伝導性が高い第1フィラーF1及び耐熱樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2を含有する樹脂組成物)を塗布し、溶媒を除去した後、中間層26bを形成する樹脂組成物(基層26aと表層26cの両樹脂層に接着性を有する樹脂と導電性の第3フィラーF3を含有する樹脂組成物)を含む液を塗布し、乾燥した後、さらに、表層26aを形成する樹脂組成物(弗素樹脂と導電性の第3フィラーF3を含有する樹脂組成物)を含む液を塗布し、乾燥した後、ポリイミドや弗素樹脂等を焼成すればよい。
【0065】
定着フィルム26は、一般に、総厚20〜110μm、熱伝導率1.0w/m・K以上に調整される。
【0066】
〈実施例と比較例〉
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0067】
[実施例1]
以下のようにして実施例1の定着フィルム26を調製した。
【0068】
1)基層26a
耐熱樹脂としてのポリイミドのワニス(宇部興産製、品番U−ワニス−S)に、第1フィラーF1として、平均粒子径1.5μmの窒化ホウ素(昭和電工製、品番UHP−S1)と、第2フィラーF2として、PTFE粉体を加え、攪拌機で60分間攪拌した後、真空脱泡を行い、ポリイミド樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1及びポリイミド樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2入りワニスを調製した。
【0069】
第1フィラーF1の添加量は、ワニス硬化後に10容量%、ポリイミド樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2の添加量はワニス硬化後に5容量%となるように調整した。即ち、第1フィラーF1の含有量をa容量%、第2フィラーF2の含有量をb容量%とした場合の前記のa≧2bかつ5≦a+2b≦80の式を満たす。
【0070】
このワニスを円柱金型上にディッピングにより、一定厚に付着させた。次いで、100〜200℃の段階的加熱により溶媒除去を行った。これにより、円柱金型上に基層26a
が形成される。ただし、ポリイミド樹脂は未焼成状態である。
【0071】
2)中間層26b
ポリアミドイミド、PTFE、PFA等の混合物からなるディスパージョン(デュポンジャパンリミテッド製、品番855−003)に、導電性の第3フィラーF3として導電性カーボンブラックを3容量%配合して中間層(プライマー層)用の樹脂組成物を調製した。
【0072】
そして、上記のように円柱金型上に形成した基層26a上に上記の樹脂組成物による中間層26bをディッピングにより形成した。
【0073】
3)表層26c
フッ素樹脂ディスパージョン(デュポンジャパンリミテッド製、品番855−405)に、導電性の第3フィラーF3として導電性カーボンブラックを0.7容量%配合した表層用の樹脂組成物を調製した。
【0074】
そして、上記のように円柱金型上に形成した基層26a+中間層26b上に上記の樹脂組成物による表層26cをディッピングにより形成した。
【0075】
その後、各層のポリイミドや弗素樹脂等を焼成した後、金型を引き抜くことにより、3層構成26a・26b・26cの定着フィルム26を得た。
【0076】
各層26a・26b・26cの厚みは、基層26aが50μm、中間層26bが5μm、及び表層26cが10μmであった。また、中間層26bの表面抵抗率は5×10Ω/□、表層26cの表面抵抗率は7×1013Ω/□であった。
【0077】
[実施例2]
基層26bにポリイミド樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1をワニス硬化後に30容量%、ポリイミド樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2をワニス硬化後に15容量%になるように含有せしめたこと以外、実施例1と同様の材料及び製法にて定着フィルム26を作成した。
【0078】
即ち、この実施例2の定着フィルムの場合も基層26aについて、第1フィラーF1の含有量をa容量%、第2フィラーF2の含有量をb容量%とした場合の前記のa≧2bかつ5≦a+2b≦80の式を満たす。
【0079】
[比較例1]
基層26aにポリイミド樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1を含有せしめなかったこと以外は、実施例1と同様の材料及び製法にて定着フィルムを作成した。
【0080】
[比較例2]
基層26aにポリイミド樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2を含有せしめなかったこと以外、実施例1と同様の材料及び製法にて定着用ベルトを作成した。
【0081】
[比較例3]
基層26aにポリイミド樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1をワニス硬化後に50容量%、ポリイミド樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2をワニス硬化後に20容量%含有せしめたこと以外、実施例1と同様の材料及び製法にて定着フィルムを作成した。
【0082】
即ち、この比較例3の定着フィルムの場合は、基層26aについて、第1フィラーF1の式は満たすが、5≦a+2b≦80の式は満たさない。
【0083】
以上の実施例1・2、比較例1〜3で得た定着フィルムについて下記の特性を調べた。
【0084】
a:熱伝導率
京都電子工業(株)製の迅速熱伝導率計Kemtherm QTM−D3で測定した。
【0085】
b:定着性能
A4サイズ紙を15℃の環境に放置したものを15℃の環境温度で30枚/分で999枚連続複写した場合の黒ベタ画像を所定の紙で規定回数こすり、前後の濃度を反射濃度計で測定して濃度の低下率によって定着能指標とした(規格20%以下)。
【0086】
c:摩擦係数(フィルム内周面)
JIS K 7218に準じ、摩擦係数測定器東洋ボ−ルドウィン社製EFM−III−Fを用いて測定した。
【0087】
d:スリップ
30℃、80%RH環境で黒ベタ画像のA3サイズ紙を1枚間欠で100枚通紙し、JAMの発生を調べた。
【0088】
e:引裂き強度
トラウザー引裂き法にて試験速度10mm/分で引裂き強度を測定し、厚さで換算した。
【0089】
f:実機耐久試験
A4サイズの紙が1分間に30枚通紙する複写機の定着器16に定着フィルムを取り付け、実際に通紙し、通紙した紙の枚数を数え、かつ、定着フィルムに亀裂等の異状がないかを目視で観察した。
【0090】
以上の評価結果を表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
表1に示すように、実施例1や実施例2で得られた定着フィルムは、熱伝導性に優れ、十分な耐久性を有し、なおかつ記録材のスリップを生じなかった。
【0093】
比較例1においては、基層26aについて、ベース樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1を添加しなかったため、熱伝導性効果が得られず、定着性が規格を満たせなかった。
【0094】
比較例2においては、基層26aについて、耐熱樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーF2を添加しなかったため、摩擦係数が低減できず、スリップによるJAMが発生した。
【0095】
比較例3においては、ベース樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーF1の含有量をa容量%、耐熱樹脂より表面エネルギーが小さいフィラーの含有量をb容量%とした場合、a≧2bでa+2bが80%超えたため、引裂き強度が低下し、実機での通紙にて破損が発生した。すなわちフィラーの添加量の総和が所定量を超えると、添加するフィラー割合に関わらず引裂き強度が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例の画像形成装置の要部の構成模式図。
【図2】定着器の要部の構成構成模式図。
【図3】用いた加熱体(セラミックヒーター)の構成と通電制御系の説明図。
【図4】定着フィルムの層構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0097】
1・・有機感光ドラム、2・・帯電部材、4・・現像器、7・・紙カセット、16・・定着装置、21・・ヒーターユニット、22・・加圧ローラー、23・・フィルムガイド、24・・加熱体(セラミックヒーター)、26・・定着フィルム、26a・・基層、26b・・中間層(プライマー層)、26c・・表層、TH・・サーミスター、42・・制御回路(CPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、樹脂組成物で形成された基層と、樹脂組成物で形成された表層と、を有し、記録材上の画像を定着する定着フィルムにおいて、
前記基層の樹脂中に、該樹脂より熱伝導性が高い第1フィラーと、該樹脂より表面エネルギーが小さい第2フィラーを含有させると共に、前記第1フィラーの含有量をa容量%、第2フィラーの含有量をb容量%としたとき、a≧2bかつ5≦a+2b≦80の式を満たすことを特徴とする定着フィルム。
【請求項2】
前記表層は弗素樹脂と導電性フィラーを含有することを特徴とする請求項1の定着フィルム。
【請求項3】
前記基層の樹脂がポリイミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着フィルム。
【請求項4】
前記第1フィラーの含有量が4〜40容量%であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項5】
前記第1フィラーが窒化ホウ素であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項6】
前記第2フィラーの含有量が2〜20容量%であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項7】
前記第2フィラーが弗素樹脂であることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項8】
前記基層と前記表層との間に樹脂組成物で形成された中間層を有し、該中間層に導電性フィラーを含有させたことを特徴とすることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項9】
総厚が20〜110μmであることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項10】
熱伝導率が1.0w/m・K以上であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項11】
摩擦係数(JISK7218に規定)が0.3以下であることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の定着フィルム。
【請求項12】
加熱体と、前記加熱体と摺動するフィルムと、前記フィルムを介して前記加熱体とニップを形成する回転加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持した記録材が挟持搬送され、前記フィルムを介した前記加熱体からの熱により記録材上の画像を定着する定着装置において、
前記フィルムが請求項1〜11の何れかに記載の定着フィルムであることを特徴とする定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−276477(P2006−276477A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95745(P2005−95745)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】