説明

定着装置、画像形成装置

【課題】電磁誘導加熱方式を用いた定着方式、装置で希求されていた、磁束発生部による漏れ磁束の影響の低減、装置の側板に向かう磁束の遮蔽等を実現する。
【解決手段】発熱回転体である定着ローラ3と加圧回転体である加圧ローラ4の回転軸3a、4aの両端を、金属材料からなる支持板40で支持し、支持板40の両端の軸支持部41を定着ローラ3の回転軸方向に沿って、外部コイル2の端部よりも外側に配置する。軸支持部41を外部コイル2の端部よりも内側に配置する場合に比べ、支持板40には外部コイル2が発生させる磁束fが届きにくく、そのため漏れ磁束も生じ難くなる。そして支持板40が磁束fにより発熱する可能性が低くなり、定着ローラ3の発熱層の発熱効率は優れたものになる。また支持板40が発熱しにくいので、定着ローラ3を外部コイル2に近づけ、発熱層の発熱効率をさらに向上させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置とこれを用いた画像形成装置に関し、詳細には、電磁誘導加熱方式を用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、印刷機、これらの複合装置などの画像形成装置においては、潜像担持体に担持したトナー像などの可視像を記録シートなどの記録媒体に転写することで画像出力を得る。トナー像は、定着装置を通過する際に熱と圧力とによる融解、浸透作用によって記録媒体上に定着させる。このように、定着装置に採用される加熱方式には、発熱源としてハロゲンランプなどを用いた加熱ローラとこれに対向当接する加圧ローラとを備えて定着ニップ部を構成可能な熱ローラ定着方式、ローラ自体よりも熱容量が小さくてすむフィルムを加熱部材として用いたフィルム定着方式があるが、近年、加熱方式に電磁誘導加熱方式を用いた定着方式(例えば、特許文献1参照)が注目されている。
【0003】
特許文献1に開示されている電磁誘導加熱方式を用いた定着方式、装置においては、加熱ローラの内部においてボビンに巻いた誘導加熱コイルを設け、誘導加熱コイルに電流を印加することにより加熱ローラに渦電流を発生させ、それによって加熱ローラを発熱させる構成が備えられている。この構成においては、熱ローラ定着方式のような余熱を必要とせず、瞬時に所定の温度まで立ち上げることができるという利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電磁誘導加熱方式を用いた定着方式、装置では、磁束発生部による漏れ磁束の影響を低減すること、装置の側板に向かう磁束を遮蔽すること、発熱回転体の回転軸方向における発熱量のバラツキを低減すること、磁束発生部支持における磁束集中を緩和すること、磁束発生部支持の強度を向上させること、発熱回転体の回転軸方向における発熱量のバラツキを低減すること等が求められており、本発明はこれらを解決可能な定着装置と、これを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る定着装置は、磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置であって、前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、金属材料を含む支持板を備えると共に、該支持板を、前記発熱回転体の回転軸方向に沿って前記発熱回転体の磁束発生部の端部よりも外側に配置したことを特徴とする。
【0006】
また本発明に係る画像形成装置は、前記本発明の定着装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、磁束発生部による漏れ磁束の影響の低減、装置の側板に向かう磁束の遮蔽、発熱回転体の回転軸方向における発熱量のバラツキの低減、磁束発生部支持における磁束集中の緩和、磁束発生部支持の強度向上、発熱回転体の回転軸方向における発熱量のバラツキの低減等、従来この種の定着装置、画像形成装置での各種の問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る定着装置が適用される画像形成装置の一例を示す全体構成図
【図2】図1に示した画像形成装置で用い得るローラ方式の定着装置の概念的構成を示す断面図
【図3】同平面図
【図4】図1に示した画像形成装置で用い得るローラ方式の定着装置の概念的構成を示す断面図
【図5】図3の要部拡大図
【図6】本発明に係る定着装置の実施形態2を示す断面図
【図7】本発明に係る定着装置の実施形態3を示す平面図
【図8】同要部拡大断面図
【図9】本発明に係る定着装置の実施形態4を示す断面図
【図10】同平面図
【図11】図10の要部拡大図
【図12】磁束遮蔽部材の配置の変形例の断面図
【図13】本発明に係る定着装置の実施形態5を示す断面図
【図14】本発明に係る定着装置の実施形態6を示す断面図
【図15】同平面図
【図16】図15の要部拡大図
【図17】実施形態6の変形例を示す断面図
【図18】実施形態6の他の変形例を示す要部拡大図
【図19】本発明に係る定着装置の実施形態7を示す断面図
【図20】図19の実施形態と他の例の作用比較を示す断面図
【図21】本発明に係る定着装置の実施形態8を示す断面図
【図22】同平面図
【図23】実施形態8の作用と変形例を示す断面図
【図24】実施形態8の変形例と比較例を示す断面図
【図25】実施形態8との比較例を示す断面図
【図26】実施形態8との比較例を示す断面図
【図27】実施形態8との比較例を示す断面図
【図28】本発明に係る定着装置の実施形態9を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態では、磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置において、本発明に係る定着装置の実施形態では、前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、金属材料を含む支持板を備えると共に、該支持板を、前記発熱回転体の回転軸方向に沿って前記発熱回転体の磁束発生部の端部よりも外側に配置する。
【0010】
すなわち、発熱回転体の回転軸方向に沿って、磁束発生部の端部よりも内側に配置される場合に比べて、支持板には磁束発生部が発生する磁束が届き難くなる点にかんがみてなしたものである。これにより、支持板が磁束により発熱する虞が低減し、発熱層の発熱効率が優れるものとなる。また、支持板が磁束発生部に近づいても発熱しにくいので、支持板に支持される発熱回転体を磁束発生部に近づけることができ、発熱層の発熱効率を向上させ得る。支持板に用いる金属材料としては、磁性SUS、炭素鋼などを挙げることができるが、本発明ではこれらに限定されず、適宜の材料を選択できすればよい。
【0011】
または、磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置において、本発明に係る定着装置の他の実施形態では、前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、前記磁束発生部と前記支持板の間に、前記磁束発生部から前記支持板に向かう磁束を遮蔽するための磁束遮蔽部材を備える。
【0012】
すなわち、支持板には磁束発生部が発生する磁束が届きにくいため、支持板が磁束により発熱する虞が低減する。なお、磁束遮蔽部材は、支持板に向かう磁束を遮蔽するが、発熱層に向かう磁束は遮蔽しないようにすることが望ましい。これを満たすためには、磁束遮蔽部材は、通紙領域外に配置することが望ましい。前記磁束遮蔽部材は、前記支持板と前記磁束発生部の各々に当接することにより、前記支持板と前記磁束発生部の間のギャップを規定する。
【0013】
また、磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置において、本発明に係る定着装置のさらに他の実施形態では、前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、非磁性体を含む支持板を備える。
【0014】
すなわち、非磁性支持板に磁束発生部が発生する磁束が届いたとしても、非磁性支持板が磁束により発熱することがない。非磁性支持板に用いる非磁性体としては、樹脂、アルミ、銅、非磁性SUSなどを挙げることができるが、本発明ではこれらに限定されず、適宜の材料を選択できすればよい。
【0015】
前記支持板を、前記発熱回転体の回転軸方向に沿って前記磁束発生部の端部よりも内側に配置し得る。発熱回転体の回転軸方向に沿って定着装置のサイズを低減し、支持板が磁束により発熱するおそれが低減する。
【0016】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置において、本発明に係る定着装置のさらに他の実施形態では、前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、該支持板が、前記発熱回転体を支持する支持穴を有する。
【0017】
すなわち、支持体に支持切欠きを設けて発熱回転体を支持する場合に比べ、発熱回転体の重量に対する支持板の強度が向上し、支持板の変形に起因して発熱回転体が偏心するおそれが低減する。これにより、発熱回転体の回転軸方向に沿って、発熱回転体と磁束発生部の距離が異なることに起因して発熱量がばらつくおそれも低減する。さらには、支持切欠きにより発熱回転体を支持する場合に比べて、支持板が変形しにくくなり、薄い支持板を用いることができ、厚い支持板を用いる場合に比べてコストの低減が図れる。
【0018】
前記支持板は、前記支持穴の周囲に、該支持板の変形を防止するための補強部材を有する。すなわち、補強部材を設けることにより、磁性支持板が変形しにくくなり、発熱回転体の回転軸方向に沿って発熱量がばらつく虞が低減する。補強部材に用いる材料としては、樹脂、アルミ、銅、非磁性SUS等が発熱しにくいので好ましいが、もちろんその他の素材からなる物であっても良い。
【0019】
また前記支持板は、前記支持穴の周囲に、前記磁束発生部に向かって突出する突出部を有するものとすると、突出部を設けることにより、発熱回転体を磁束発生部に近接させ、発熱層の発熱効率を向上させることができ、その一方、突出部以外の部分は、突出部に比べて磁束発生部には遠いので、磁束発生部の発生する磁束により発熱するおそれが低減する。
【0020】
前記突出部が、前記発熱回転体の周方向に沿って、前記発熱回転体に倣った曲線形状を有するものとすると、発熱回転体の重量による応力を突出部が均等に受けるため、磁性支持板が変形しにくくなる。
【0021】
前記突出部が、前記発熱回転体の周方向に沿って、前記磁束発生部に倣った曲線形状を有するものとすると、磁束発生部と発熱回転体のギャップを近づけることができるので、発熱層の発熱効率を向上させることができる。
【0022】
前記支持板の最も前記磁束発生部に近い部分が、前記発熱回転体の最も前記磁束発生部に近い部分よりも、前記磁束発生部から遠い位置にあるものとすると、支持板が磁束発生部に対して発熱回転体よりも遠いため、発熱しにくく、かつ発熱層の発熱効率が向上する。
【0023】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置において、本発明に係る定着装置のまたさらに他の実施形態では、前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、該支持板の前記磁束発生部に近い端部をR形状としてなる。
【0024】
すなわち、磁束漏れを防ぐ支持板の端部をR形状として支持板端部の磁束集中を緩和させるにより、エッジ部が局部加熱されることを低減させ、それゆえに過昇温を防止できるようにしており、部品の耐熱グレードを落としてコストダウンを図れる。
【0025】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置において、本発明に係る定着装置のさらに他の実施形態では、前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、該支持板が、曲げ部または絞り部を有する。
【0026】
すなわち、支持板が発熱回転体の重さで変形し、発熱回転体の軸心がずれる可能性があるが、支持板に曲げ部を設けることにより、支持板の強度を増加させることができ、発熱回転体の軸心がずれるおそれが低減する。これにより、発熱回転体の回転軸方向に沿って、発熱回転体と磁束発生部の距離が異なることに起因して発熱量がばらつくおそれも低減する。
【0027】
前記曲げ部を前記磁束発生部に近い端部に形成し、前記発熱回転体の軸方向の端部に向けて曲げて形成することができる。本来、発熱回転体の軸方向の端部側では磁束が少なく、発熱が少ないが、発熱回転体の軸方向の端部に向けて(外側に)支持版に曲げを形成することにより、発熱回転体の軸方向の中心側に向けて(内側に)曲げて形成する場合に比べて、支持板の端部への磁束集中を低減することができ、支持板の発熱を低減することができる。
【0028】
前記曲げ部を、前記発熱回転体の軸方向の端部に向けて90°以上曲げて形成することができる。この場合は、曲げ部への磁束の集中がよりいっそう緩和される。曲げ角度は90°以上であればよいが、90°が好ましい。また曲げ部の形状は、R形状とすることが好ましい。
【0029】
前記発熱回転体が、定着ローラ、定着スリーブ、定着発熱ベルトのいずれかであり、前記発熱回転体を押圧して当接する加圧回転体を備え、前記発熱回転体と前記加圧回転体の間を通過する記録媒体上に、画像を定着させる構成とし得る。
【0030】
前記発熱回転体が無端ベルト状体であり、該発熱回転体を張架し、該発熱回転体を介して前記加圧回転体に押圧される定着回転体と、該定着回転体と共に前記発熱回転体を張架するテンションローラとを備え、前記支持板が、少なくとも前記テンションローラを支持することによって前記発熱回転体を支持した構成とし得る。
【0031】
前記発熱回転体が加熱ローラであり、前記発熱回転体に掛け回した定着ベルトと、前記発熱回転体と共に前記定着ベルトを張架する定着回転体と、該定着ベルトを介して前記発熱回転体を押圧し、前記定着ベルトに当接する加圧回転体とを備え、前記定着ベルトと前記加圧回転体の間を通過する記録媒体上に、画像を定着させる構成ともし得る。
【0032】
本発明に係る画像形成装置の実施形態では、前記いずれかの定着装置を備える。
【0033】
以下本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0034】
<実施形態1>
図1は、本実施形態による定着装置が適用される画像形成装置の一実施形態を示す図である。もちろん本発明は、図1に示した4連タンデム方式によりフルカラー画像を形成可能な複写機あるいはプリンタには限定されず、またカラー画像を作成するものだけでなく、単一色の画像を形成するものをも対象とする。
【0035】
図1に示す画像形成装置20は、色分解毎の画像を転写体として用いられる転写ベルトに吸着した紙などの記録シートに重畳転写することによりカラー画像が潜像担持体から直接記録シートに形成される方式が用いられている。図1において、画像形成装置20は、原稿画像に応じた各色毎の画像を形成する作像装置21Y、21M、21C、21BKと、各作像装置21Y、21M、21C、21BKに対向して配置された転写装置22と、各作像装置21Y、21M、21C、21BKと転写装置22とが対向する転写領域に記録シートを供給するシート供給手段としての手差しトレイ23、給紙装置24に装備されている二つの給紙カセット24、24のいずれかと、手差しトレイ23、給紙カセット24、24から搬送されてきた記録シートを作像装置21Y、21M、21C、21BKによる作像タイミングに合わせて供給するレジストローラ30と、転写領域において転写後のシート状媒体の定着を行う定着装置1を備えている。なお、本実施形態では、定着対象としてトナー像を担持した記録シートを対象としているが、転写形式によって記録シート等の記録媒体を介せずに感光体に接触する転写体、つまり、転写と同時に定着を行う媒体を対象とすることもできる。
【0036】
定着装置1は、詳細は後述するが、一対のローラを採用した定着方式を採用した構成とされている。このため、定着装置1には、定着ローラを加熱するための熱源を備え、この定着ローラに加圧ローラが当接、押圧している。
【0037】
転写装置22は、転写体として複数のローラに掛け回されているベルト(以下、転写ベルトという)が用いられ、各作像装置における感光体ドラムと対向する位置には転写バイアスを印加する転写バイアス手段がそれぞれ配置され、さらに転写ベルトの移動方向(図1中、矢印で示す方向)において第1色目を転写される側には、第1色目の転写に先立ち記録シートを転写ベルトに吸着させるための吸着用バイアスを印加する吸着用バイアス手段が転写ベルトに当接可能に配置されている。
【0038】
この画像形成装置20において、各作像装置21Y、21M、21C、21BKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像を行うものであり、用いるトナーの色は異なるが、その構成が同様であるから、作像装置21Cの構成を各作像装置21M、21Y、21BKの代表として説明する。
【0039】
作像装置21Cは、静電潜像担持体としての感光体ドラム25C、感光体ドラム25Cの回転方向(図2に示す構成では時計方向)に沿って順に配置されている帯電装置27C、現像装置26C、クリーニング装置28Cを有し、帯電装置27Cと現像装置26Cとの間で書き込み装置29からの書き込み光により色分解された色に対応する画像情報に応じた静電潜像を形成する構成が用いられる。静電潜像担持体としては、ドラム状の他に、ベルト状とする場合もある。なお図1に示す画像形成装置20は、転写装置22が斜めに延在させてあるので、水平方向での転写装置22の占有スペースを小さくすることができている。
【0040】
上記構成を備えた画像形成装置20では、次の行程および条件に基づき画像形成が行われる。なお、以下の説明では、各作像装置を代表して符号21Cで示したマゼンタトナーを用いて画像形成が行われる作像装置を対象として説明するが、他の作像装置も同様である。
【0041】
まず画像形成時、感光体ドラム25Cは、図示しないメインモータにより回転駆動され、帯電装置27Cに印加されたACバイアス(DC成分はゼロ)により除電され、その表面電位が略−50Vの基準電位に設定される。次に感光体ドラム25Cは、帯電装置27CにACバイアスを重畳したDCバイアスを印加されることによりほぼDC成分に等しい電位に均一に帯電されて、その表面電位がほぼ−500V〜−700V(目標帯電電位はプロセス制御部により決定される)に帯電される。
【0042】
感光体ドラム25Cは、一様帯電されると書き込み行程が実行される。書き込み対象となる画像は、図示しないコントローラ部からのデジタル画像情報に応じて書き込み装置29を用いて静電潜像形成のために書き込まれる。つまり、書き込み装置29では、デジタル画像情報に対応して各色毎で2値化されたレーザダイオード用発光信号に基づき発光するレーザ光源からのレーザ光がシリンダレンズ(図示せず)、ポリゴンモータ29A、fθレンズ(図示せず)、第1〜第3ミラー、およびWTLレンズ等を介して、各色毎の画像を担持する感光体ドラム、この場合には、便宜上、感光体ドラム25C上に照射され、照射された部分の感光体ドラム表面での表面電位が略−50Vとなり、画像情報に対応した静電潜像が作像される。
【0043】
感光体ドラム25C上に形成された静電潜像は、現像装置26Cにより色分解色と補色関係にある色のトナーを用いて可視像処理されるが、現像行程では、現像スリーブにACバイアスを重畳したDC:−300V〜−500Vが印加されることにより、書き込み光の照射により電位が低下した画像部分にのみトナー(Q/M:−20〜−30μC/g)が現像され、トナー像が形成される。
【0044】
現像行程により可視像処理された各色のトナー画像は、レジストローラ30によりレジストタイミングを設定されて繰り出される記録シートに転写されることになるが、記録シートは、転写装置22の転写ベルトに達する前にローラで構成されたシート吸着用バイアス手段による吸着用バイアスの印加によって転写ベルトに静電吸着されるようになっている。転写ベルトに静電吸着されて転写ベルトと共に搬送移動する記録シートは、各作像装置での感光体ドラムに対向する位置で転写装置22に装備されている転写バイアス手段22Y、22M、22C、22BKによるトナーと逆極性のバイアス印加によって感光体ドラムからトナー像を静電転写される。
【0045】
各色の転写工程を経た転写紙は、転写ベルトユニットの駆動側ローラで転写ベルトから曲率分離され、定着装置1に向けて搬送され、定着ローラと加圧ローラとにより構成される定着ニップを通過することにより、トナー像が転写シートに定着され、その後、片面プリントの場合には、胴内排紙トレイまたは外部の排紙トレイ(図示せず)へと排出される。
【0046】
なお図1に示す画像形成装置20は、記録シートの両面への画像形成が可能な構成を備えている。図1において、定着装置1を通過した記録シートは、予め両面画像形成モードが選択されている場合に、両面反転ユニット34に向けて搬送され、同ユニット34内で第1面と第2面とを表裏反転されたうえで、両面搬送ユニット35に搬送される。両面搬送ユニット35から搬送される記録シートは片面側への画像形成時と同様に、レジストローラ30に向け搬送され、所定のタイミングで転写位置に向け繰り出される。記録シートの第1面および第2面への画像形成が終了して定着装置1を通過した記録シートは、片面への画像形成時と同様に各排紙ユニットの何れかに排出される。
【0047】
図2は、図1に示した画像形成装置で用い得るローラ方式の定着装置の概念的構成を示す断面図である。図において、2は磁束発生部となる外部コイル、3は定着回転体である定着ローラ、4は加圧回転体である加圧ローラ、5はインバータ、Sは記録媒体である。すなわち、この実施形態の定着装置は、外部コイル2を誘導加熱回路であるインバータにより高周波駆動することによって高周波磁界を発生させ、この磁界により、主に金属性の定着ローラに渦電流が流れるようにしてローラ温度を上昇させている。
【0048】
また発熱回転体である定着ローラ3と加圧回転体である加圧ローラ4は、それぞれの回転軸3a、4aの両端部で支持板40により支持してある。支持板40は、磁性体を含む材料としての、金属材料を含む材料から形成してあり、図3に示すように細長く伸びたアングル状の長手方向断面形状を備える。この支持板40の両端の軸支持部41は、発熱回転体である定着ローラ3の回転軸方向に沿って、磁束発生部となる外部コイル2の端部よりも外側に位置するように配置してある。なお支持板40に用い得る金属材料としては、磁性SUS、炭素鋼を挙げることができ、これらと同等、類似の性質を持つ材料も用いることができる。
【0049】
図4は、定着ローラ3と、その一部を拡大して取り出して示す断面図である。定着ローラ3は、芯金3A、断熱弾性体層3B、整磁層3C、発熱層3D、表層3E(図示の例ではSiゴムとPFAからなる)とからなり、整磁層3Cと発熱層3Dは、メッキ、蒸着、クラッドなど一体となっているが、磁束により発熱する誘導発熱層を有すれば良い。芯金3Aは例えばアルミニウムまたはその合金製のものが用いられる。定着ローラ3は、図2に示すように、加圧ローラ4の押圧により変形してニップを形成し、この間を通過する記録媒体S上に画像を定着させるようになっている。
【0050】
すなわち本実施形態では、定着ローラ3の回転軸3aの軸方向に沿って、支持板40の軸支持部41を外部コイル2の端部よりも内側に配置する場合(図5中に点線で符号41’を付して示す)は、図中点線で示すような漏れ磁束f’が生じるのに比べ、支持板40には外部コイル2が発生させる磁束fが届きにくいため漏れ磁束も生じ難い。これにより、支持板40が磁束fにより発熱する可能性が低くなり、定着ローラ3の発熱層3Dの発熱効率は優れたものになる。さらには支持板40が、外部コイル2に近づいても発熱しにくいので、支持板40が支持している定着ローラ3を外部コイル2に近づけることができ、発熱層3Dの発熱効率をさらに向上させ得る。換言すれば、本実施形態では、磁束発生部である外部コイル2による漏れ磁束の影響を低減させることができる。なお、磁場は距離の自乗に反比例するので、定着ローラ3と外部コイル2の間の距離よりも、外部コイル2と支持板40の距離を離すことが望ましい。
【0051】
<実施形態2>
図6は本発明に係る定着装置の実施形態2を示す断面図である。本実施形態では、発熱回転体として、定着ローラ、定着スリーブ、定着発熱ベルト等を採用できるが、この実施形態は発熱回転体が定着発熱ベルト10の場合である。定着発熱ベルト10は、定着ローラ3とテンションローラである加熱ローラ11とに張架してあり、外部コイル2により加熱ローラ11に掛け回されている部分の定着発熱ベルト10を発熱させ、定着ローラ3を介して押圧される加圧ローラ4との間で記録媒体Sへ画像を定着させるためのニップを形成する。
【0052】
また支持板40は、定着ローラ3、加熱ローラ11、加圧ローラ4のすべての軸3a、11a、4aを軸支しているが、少なくともテンションローラである加熱ローラ11を支持する物であればよく、定着ローラ3と加圧ローラ4の支持は別途の部材、手段、装置を用いても良い。その他の構成、作用は先の実施形態と同様である。なお、加熱ローラ11は単なるテンションローラだけでなく、それ自体が例えば外部コイル2からの磁束により発熱する回転体であっても良い。
【0053】
<実施形態3>
図7は本発明に係る定着装置の実施形態3を示す平面図、図8同断面図である。本実施形態は、支持板全体あるいは少なくとも軸支持部を非磁性体で構成し、漏れ磁束の影響を低減させた例である。
【0054】
図7は、実施形態1の図3に相当するが、支持板40の軸支持部41が外部コイル2(具体的には外部コイル2のコイルを収納したケース)をも支持している。支持板40あるいは軸支持部41を構成する非磁性体には、例えば樹脂や、アルミニウム、銅、非磁性SUS等の非磁性導体を用いることができる。
【0055】
図8(A)は、少なくとも軸支持部41を樹脂製とした場合を示している。磁束fは外部コイル2と定着ローラ3とが対応している部分でのみ発生し、軸支持部41では素材が樹脂のために渦電流が発生せず、結果として磁束も生じない。そして、軸支持部41に磁束fが届いたとしても、非磁性である軸支持部41あるいは支持板40全体が磁束により発熱することがない。図8(B)は、少なくとも軸支持部41に上述したアルミニウム、銅、非磁性SUS等の非磁性導体を用いた場合を示している。この場合、軸支持部41の素材が導体であるため外部コイル2が発生させる磁束fに対する反発磁束f”が発生して打ち消し合う。したがって、この場合も軸支持部41あるいは支持板40全体が磁束により発熱することがない。なお、図示は省略するが、本実施形態も図6で示したベルト方式の装置に適用できる。
【0056】
<実施形態4>
図9は本発明に係る定着装置の実施形態4を示す断面図、図10は同平面図、図11は図10の要部拡大図である。本実施形態は、磁束発生部から支持板に向かう磁束を遮蔽する構造を採用し、漏れ磁束の影響を低減するようにした例である。
【0057】
本実施形態の基本的構成は図2、3、5の例とほぼ同様であるので重複する説明は省略するが、図示のように支持板40の軸支持部41は外部コイル2の端部位置よりも内側に入って位置している。ただし、磁束発生部である外部コイル2と軸支持部41の頂部の間には、外部コイル2から軸支持部41へ向かう磁束fを遮蔽する湾曲した板状の磁束遮蔽部材50が介在させてある。磁束遮蔽部材50の材料としては、アルミニウム、銅等の低抵抗の導電体や、フェライト等の磁性体を挙げることができ、これらと同等、類似の性質を持つ材料も用いることができる。
【0058】
この磁束遮蔽部材50は、軸支持部41と外部コイル2の双方に当接することにより、両者のギャップを規定する部材を兼ねているが、磁束の遮蔽には磁束の強さ等から定まる所要の厚さが必要であるので、それよりも薄くてはならないことは当然である。そして、磁束遮蔽部材50の厚さが所要厚さ以上であれば、図11に示すように、支持板40あるいは軸支持部41が金属材料を含む材料から形成してあっても、外部コイル2が発生させる磁束fが封じ込められて軸支持部41にまで届きにくく、支持板41が磁束により発熱する可能性が低くなる。
【0059】
なおもちろん、磁束遮蔽部材50は、支持板41あるいは軸支持部41に向かう磁束を遮蔽するが、定着ローラ3の発熱層に向かう磁束は遮蔽しないことが望ましい。これを満たすためには、図示は省略するが、磁束遮蔽部材50を通紙領域外に配置することが望ましい。通紙領域は基本的には定着ローラ3と加圧ローラ4が接してニップを形成している範囲内であるから、図示の例の配置では問題がない。また、図12のような配置とすることもできる。特に必要があれば、磁束遮蔽部材50が支持板40の補強部材をも兼ねるような形状、構造としても良い。また磁束遮蔽部材50をギャップ規定部材として考えるときは、支持板40ではなく外部コイル20のケース等に取り付ける等してもよいが、支持板40に取り付けて装置本体側に残すようにすれば、交換部品でなくなり、その分コストダウンを図れる。またいずれにしても、軸支持部41位置が外部コイル2の内側へ入るため、定着ローラ3の軸3a方向に沿って定着装置のサイズを小さくできる。
【0060】
<実施形態5>
図13は、実施形態4と同様の磁束遮蔽部材50を、発熱回転体として定着発熱ベルト10を採用した構成に採用した例である。基本的な構造は実施形態4を示した図6とほぼ同一であり、外部コイル2と加熱ローラ11の間に湾曲した板状の磁束遮蔽部材50が介在させてある点が異なるのみである。そして磁束遮蔽部材50を介在させたことによる作用は実施形態4と同様であるので重複する説明は省略する。
【0061】
<実施形態6>
図14は本発明に係る定着装置の実施形態6を示す断面図、図15は同平面図、図16は図15の要部拡大図である。図16である。本実施形態では、支持板形状を、外部コイルに倣った形状とし、発熱回転体の回転軸方向における発熱量のバラツキを低減するようにした例である。
【0062】
本実施形態の基本的構成は図2、3、5の例とほぼ同様であるので重複する説明は省略するが、図示のように先の例とは定着ローラ3や加圧ローラ4の荷重の掛かる方向が異なっており、そのため支持板40の軸支持部41の厚さを増すとともに、軸支持部41は、定着ローラ3や加圧ローラ4の軸3a、4aを支持する支持穴55を有し、その外側に軸支持部41、ひいては支持板40の変形を防止するために、重量が大きい定着ローラ3の軸3aを支持する支持穴55の周囲に補強部材56を設けてある。
【0063】
先の実施形態等では、軸支持部41に支持切欠きを設けることにより定着ローラ3を支持しても良かったが、この実施形態でその構造を採用すると、定着ローラ3の重量に対する支持板40の強度が不足することがあり、支持板40の変形に起因して定着ローラ3に偏心が生じるおそれがある。定着ローラ3の軸3a方向に沿って定着ローラ3と磁束発生部である外部コイル2の距離が異なると発熱量がばらつくおそれがあるが、図示の例のように補強部材56を設ければ支持板40の強度が向上し、変形のおそれが低減する。また、支持切欠きによる支持に比べて、支持板40が変形しにくくなるので、図示の例よりはずっと薄い支持板(具体的には軸支持部)を用いることができ、コストが図れる。なお、補強部材56に用い得る材料としては、樹脂、アルミ、銅、非磁性SUS等の発熱しにくいものが好ましい。
【0064】
また軸支持部41と補強部材56は、支持穴55の周囲で、磁束発生部である外部コイル2に向かって突出する突出部を形成する。このような突出部を設けることにより、定着ローラ3を外部コイル2に対して近接させ、定着ローラ3の発熱層の発熱効率を向上させることができる。一方、突出部以外の部分は、突出部に比べて磁束発生部である外部コイル2には遠いので、磁束発生部の発生する磁束により発熱するおそれは低い。なお補強部材56の形状は図14に示すようなものでなくても良いが、定着ローラ3の軸3aの周囲が補強の必要な範囲になるので、この範囲はしっかりと補強できる形状である必要がある。
【0065】
また突出形状を、図16に示すように、定着ローラ3の周方向に沿って、定着ローラ3に倣った曲線形状を有するようにすると、定着ローラ3の重量による応力を突出部である軸支持部41と補強部材56が均等に受けるため、支持板40は非常に変形しにくくなる。
【0066】
また突出形状を、図17に示すように、定着ローラ3の周方向に沿って、磁束発生部である外部コイル2に倣った曲線形状を有するようにすると、定着ローラ3と外部コイル2のギャップを小さくして両者を近付けることができ、定着ローラ3の発熱層の発熱効率を向上させることができる。
【0067】
またなお、図18に示すように、支持板40において最も磁束発生部である外部コイル2に近い部分が、発熱回転体である定着ローラ3において最も外部コイル2に近い部分よりも遠くに位置するように構成すれば(図では間隔hで示す)、支持板40の軸支持部41には磁束fが届きにくく、したがって支持板40が発熱しにくく、かつ定着ローラ3の発熱層の発熱効率が向上する。なお、図示は省略するが、本実施形態も図6で示したベルト方式の装置に適用できる。
【0068】
<実施形態7>
図19は本発明に係る定着装置の実施形態7を示す断面図である。本実施形態は、以上説明してきた各実施形態において同時に適用することが好ましいものであり、支持板端部のR形状とすることで、支持板端部の磁束集中を緩和するようにしたものである。
【0069】
すなわち、支持体40の突出部分である軸支持部41の端部形状を、R形状(図示の例では半円形状)とし、軸支持部41のエッジ部分への磁束集中を緩和させている。
【0070】
例えば図20(B)のように軸支持部41の端部形状をエッジ41aがある形状にすると、その部分に外部コイル2が発生させた磁束fが集中し、異常発熱する可能性があるが、図20(A)のようにエッジのない形状、例えば半円形(R1で示す)や楕円形(R2で示す)のようにすると、磁束集中が起きにくくなり、軸支持部41のエッジ部が局部加熱される可能性が低減し、過昇温を防止できる。これは、部品の耐熱グレードを落とせることにつながるので、その分コストダウンを図れることになる。図示は省略するが、もちろん本実施形態も図6で示したベルト方式の装置に適用できる。
【0071】
<実施形態8>
図21は本発明に係る定着装置の実施形態8を示す断面図、図22は同平面図である。本実施形態の基本的構成は図2、3、5の例とほぼ同様であるので重複する説明は省略するが、図示のように支持板40の軸支持部41のうちで外部コイル2に最も近く位置する部位である端部を、外部コイル2から離れる方向へ定着ローラ3の軸3a方向に沿って折り曲げてある。これは、支持板41に曲げ部42を設けることで強度向上を図ったものである。
【0072】
既に述べたように、支持板41が定着ローラ3の重さで変形して軸心がずれる可能性があるが、上述のような曲げ部42を設けることにより、支持板41全体の強度が増し、軸心がずれ難くなり、軸3a方向に沿って外部コイル2との距離が異なることに起因して発熱量がばらつくことが低減する。
【0073】
なお、もともと定着ローラ3の軸3a方向の端部側では、磁束fが少なく、発熱が少ない。本実施形態では、曲げ部42を軸3a方向で外側に向けて形成することにより、定着ローラ3の中心側に向けて内側に曲げて形成する場合に比べて、支持板の端部への磁束集中を低減することができる。
【0074】
図23(A)は、曲げ部42の形態によって磁束fがどのように変化するかを示した図である。図5は、曲げ部42の形態としては基本的かつ最適なものと言えるが、略90度外側へ向くように形成し、かつ曲げた部分をR形状として磁束集中を緩和したものである。外側に曲げる角度は、90°以上であることが好ましい。例えば図23(C)のようにしてもよいし、また図23(B)のようにさらに端部をもう一度折り曲げても良い。
【0075】
さらに、図24に示すように、曲げ部42(及び、形状によっては軸支持部41の一部)の断面形状もコーナー部がR形状となるように形成することが磁束集中を緩和する上で好ましい。断面形状もコーナー部がR形状でないと、図24(C)に示すように大きな磁束集中が生じる可能性が高くなる。
【0076】
すなわち、図25に示すように、曲げ部42が、外側に90°(図25(A))あるいはそれ以上(図25(B))向いてはいても、コーナー部が非R形状に曲げられている場合、磁束集中が生じてしまいやすい。なお、板材を曲げた場合には切削加工等を施さなければコーナー部には微視的に見た場合はR形状が存在するが、磁束集中を緩和するという観点から、本願で言うR形状は、巨視的に見た場合、換言すれば人の目で見て曲線形状である場合を言う。
【0077】
また、図26に示すように、曲げ部42の曲げ方向が外側に向いていても、90°未満の場合には、曲げ部42と外部コイル2とのギャップが狭まり、磁束fがそこに入りやすくなり、磁束集中が生じてしまう。さらに図27に示すように曲げ部42を、内側に曲げて形成してしまうと、曲げ部42が外部コイル2に覆われる形態となり、磁束fが多く入り、集中してしまいやすくなる。
【0078】
<実施形態9>
図28は、図6の実施形態のように発熱回転体が定着発熱ベルト10の場合で、支持板40に曲げ部42を形成した例を示す。図示のように、外部コイル2に対応する部分全体に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0079】
1:定着装置
2:外部コイル(磁束発生部)
3:定着ローラ(定着回転体)
3A:芯金
3B:断熱弾性体層
3C:整磁層
3D:発熱層
3E:表層
3a:定着ローラの回転軸
4:加圧ローラ(加圧回転体)
4a:加圧ローラの軸
5:インバータ
10:定着発熱ベルト
11:加熱ローラ
11a:加熱ローラの軸
20:外部コイル
40:支持板
41:軸支持部
41a:軸支持部の端部形状のエッジ
42:曲げ部
50:磁束遮蔽部材
55:支持穴
56:補強部材
S:記録媒体
f:磁束
f’:漏れ磁束
f”:反発磁束
【0080】
【特許文献1】特開2005-70376号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、
前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、
前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置であって、
前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、金属材料を含む支持板を備えると共に、
該支持板を、前記発熱回転体の回転軸方向に沿って前記発熱回転体の磁束発生部の端部よりも外側に配置したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、
前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、
前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置であって、
前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、
前記磁束発生部と前記支持板の間に、前記磁束発生部から前記支持板に向かう磁束を遮蔽するための磁束遮蔽部材を備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
前記磁束遮蔽部材は、前記支持板と前記磁束発生部の各々に当接することにより、前記支持板と前記磁束発生部の間のギャップを規定することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、
前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、
前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置であって、
前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、非磁性体を含む支持板を備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
前記支持板を、前記発熱回転体の回転軸方向に沿って前記磁束発生部の端部よりも内側に配置したことを特徴とする請求項3または4に記載の定着装置。
【請求項6】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、
前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、
前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置であって、
前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、
該支持板が、前記発熱回転体を支持する支持穴を有することを特徴とする定着装置。
【請求項7】
前記支持板は、前記支持穴の周囲に、該支持板の変形を防止するための補強部材を有することを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記支持板は、前記支持穴の周囲に、前記磁束発生部に向かって突出する突出部を有することを特徴とする請求項6または7に記載の定着装置。
【請求項9】
前記突出部が、前記発熱回転体の周方向に沿って、前記発熱回転体に倣った曲線形状を有することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【請求項10】
前記突出部が、前記発熱回転体の周方向に沿って、前記磁束発生部に倣った曲線形状を有することを特徴とする請求項8または9に記載の定着装置。
【請求項11】
前記支持板の最も前記磁束発生部に近い部分が、前記発熱回転体の最も前記磁束発生部に近い部分よりも、前記磁束発生部から遠い位置にあることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の定着装置。
【請求項12】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、
前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、
前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置であって、
前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、
該支持板の前記磁束発生部に近い端部をR形状としてなることを特徴とする定着装置。
【請求項13】
磁束によって発熱する発熱層を有する発熱回転体と、
前記発熱回転体の外側に配置され、磁束を発生させる磁束発生部とを備え、
前記発熱回転体の発熱により記録媒体上に画像を定着させる定着装置であって、
前記発熱回転体の回転軸方向の端部で前記発熱回転体を支持する、磁性体を含む支持板を備えると共に、
該支持板が、曲げ部または絞り部を有することを特徴とする定着装置。
【請求項14】
前記曲げ部を前記磁束発生部に近い端部に形成し、前記発熱回転体の軸方向の端部に向けて曲げて形成したことを特徴とする請求項13に記載の定着装置。
【請求項15】
前記曲げ部を、前記発熱回転体の軸方向の端部に向けて90°以上曲げて形成したことを特徴とする請求項13または14に記載の定着装置。
【請求項16】
前記発熱回転体が、定着ローラ、定着スリーブ、定着発熱ベルトのいずれかであり、
前記発熱回転体を押圧して当接する加圧回転体を備え、
前記発熱回転体と前記加圧回転体の間を通過する記録媒体上に、画像を定着させることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の定着装置。
【請求項17】
前記発熱回転体が無端ベルト状体であり、
該発熱回転体を張架し、該発熱回転体を介して前記加圧回転体に押圧される定着回転体と、
該定着回転体と共に前記発熱回転体を張架するテンションローラとを備え、
前記支持板が、少なくとも前記テンションローラを支持することによって前記発熱回転体を支持したことを特徴とする請求項16に記載の定着装置。
【請求項18】
前記発熱回転体が加熱ローラであり、
前記発熱回転体に掛け回した定着ベルトと、
前記発熱回転体と共に前記定着ベルトを張架する定着回転体と、
該定着ベルトを介して前記発熱回転体を押圧し、前記定着ベルトに当接する加圧回転体とを備え、
前記定着ベルトと前記加圧回転体の間を通過する記録媒体上に、画像を定着させる請求項1から15のいずれかに記載の定着装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2012−18420(P2012−18420A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223491(P2011−223491)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【分割の表示】特願2006−207613(P2006−207613)の分割
【原出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】