説明

定着装置および画像形成装置

【課題】ウォーミングアップに要する時間が短く、また、定着ローラの外周面の温度を効率的に昇温させることができる定着装置、およびかかる定着装置を備え、印字速度が速く、消費電力の少ない画像形成装置を提供すること。
【解決手段】定着装置90は、互いに圧接してニップ部Nを形成しつつ回転する定着ローラ91および加圧ローラ92と、マイクロ波を発生させ、定着ローラ91に照射するマイクロ波照射ユニット93とを有している。また、定着ローラ91は、マイクロ波照射ユニット93が発生するマイクロ波を吸収して熱を発生する発熱層97Bを有している。この発熱層97Bが発生する熱によって定着ローラ91を加熱し、トナー像Tを担持する記録媒体Pをニップ部Nに通過させつつ、記録媒体Pを加熱・加圧することにより、トナー像Tを記録媒体Pに定着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用するプリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置には、トナーにより形成されたトナー像を未定着状態で担持する紙等の記録媒体を加熱および加圧することにより、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置が備えられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の定着装置は、互いに圧接してニップ部を形成しつつ回転する定着ローラおよび加圧ローラと、前記定着ローラの内側に配設されたハロゲン電球等の発熱源とを有している。そして、ハロゲン電球によって発生した熱により定着ローラを加熱した状態で、未定着像を担持した記録媒体をニップ部に通過させつつ、記録媒体を加熱および加圧して、記録媒体上に形成されたトナー像を記録媒体に定着させる。
【0003】
しかしながら、かかる定着装置では、ハロゲン電球によって発生した熱が、空気を伝導して定着ローラに伝達される。このため、定着ローラの外周面を所定の温度に昇温させるまでに時間がかかり、ウォーミングアップ時間が長くなってしまう。
また、ハロゲン電球によって発生した熱は、定着ローラ自体を加熱することの他、定着ローラの内部空間を加熱することにも使用されてしまうため、熱効率が低いという問題もある。
さらに、この種の定着装置では、より高い熱効率を得る観点から、ニップ部近傍のみが局所的に加熱されるのが好ましい。このような点から見たときにも、特許文献1に記載の定着装置では、定着ローラ全体が加熱されるため、高い熱効率を得るのが難しい。
【0004】
【特許文献1】特開2004−302461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ウォーミングアップに要する時間が短く、また、定着ローラの外周面の温度を効率的に昇温させることができる定着装置、およびかかる定着装置を備え、印字速度が速く、消費電力の少ない画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の定着装置は、互いに圧接してニップ部を形成しつつ回転する定着ローラおよび加圧ローラと、前記定着ローラの外周面を加熱する加熱手段とを有し、前記定着ローラの外周面を加熱した状態で、未定着像を担持する記録媒体を前記ニップ部に通過させ、前記記録媒体を加熱・加圧することにより、前記未定着像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、
前記加熱手段は、マイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、前記定着ローラ中に設けられ、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを有することを特徴とする。
これにより、ウォーミングアップに要する時間が短く、また、前記定着ローラの外周面の温度を効率的に昇温させることができる定着装置が得られる。
【0007】
本発明の定着装置では、前記マイクロ波照射手段は、マイクロ波を発生させるマイクロ波形成部と、該発生させたマイクロ波を前記定着ローラに向けて照射するマイクロ波照射部とを有することが好ましい。
このように、マイクロ波を発生させる部位(前記マイクロ波形成部)と、マイクロ波を照射する部位(前記マイクロ波照射部)とを分けることにより、マイクロ波を照射する部位の小型化を図ることができる。このため、マイクロ波を照射する部位を配設する際の自由度を高めることができる。
【0008】
本発明の定着装置では、前記マイクロ波形成部は、ダイヤモンド弾性表面波素子を有することが好ましい。
ダイヤモンド弾性表面波発振器は、前記定着ローラの加熱用途に使用される波長のマイクロ波を発振することができる。また、発振するマイクロ波の周波数帯域が狭いため、前記波長のマイクロ波を効率よく発振する。このため、前記定着ローラの外周面の昇温に必要な電力を最小限とすることができる。
【0009】
本発明の定着装置では、前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの前記ニップ部近傍、または、それより前記定着ローラの回転方向における上流側の領域に向けて、マイクロ波を照射するよう構成されていることが好ましい。
これにより、前記定着ローラのマイクロ波を照射された領域が回転して、前記ニップ部に移動するまでの時間と、前記発熱層が発熱し、この熱が前記定着ローラの外周面に伝達されるまでの時間との差が短縮される。その結果、前記定着ローラの外周面が、より極大の温度に近い温度に加熱された状態で、前記未定着像を記録媒体に定着させることができる。
【0010】
本発明の定着装置では、前記定着ローラの回転速度は、可変となっており、
前記マイクロ波照射手段は、マイクロ波の照射領域、および/または、マイクロ波の照射強度が、前記回転速度に応じて変化するよう構成されていることが好ましい。
これにより、前記定着ローラの回転速度によらず、極大の温度に加熱された状態で、前記未定着像を記録媒体に定着させることができる。その結果、より短時間でかつ確実に定着工程を行うことができるとともに、定着工程で消費されるエネルギーの低減を図ることができる。
【0011】
本発明の定着装置では、前記定着ローラの回転速度は、可変となっており、
前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの前記マイクロ波を照射する領域の中心と前記ニップ部の中心とのなす角度が、前記回転速度に応じて変化するよう構成されていることが好ましい。
これにより、前記定着ローラの回転速度によらず、極大の温度に加熱された状態で、前記未定着像を記録媒体に定着させることができる。その結果、より短時間でかつ確実に定着工程を行うことができるとともに、定着工程で消費されるエネルギーの低減を図ることができる。
【0012】
本発明の定着装置では、前記定着ローラは、円筒状の基部を有しており、
前記発熱層は、前記基部の外周面側に設けられていることが好ましい。
これにより、前記発熱層から発生した熱を、前記定着ローラの外周面に効率よく伝達することができる。このため、前記ニップ部近傍の温度を、より迅速に昇温することができる。
【0013】
本発明の定着装置では、前記定着ローラは、前記基部の外周面側に設けられた弾性層と、該弾性層の外周面側に設けられた離型層とを有しており、
前記発熱層は、前記基部と前記弾性層との間に設けられていることが好ましい。
これにより、前記定着ローラが記録媒体を加圧した際に、前記弾性層が圧縮されることにより、前記発熱層に加わる応力が低減する。このため、例えば、機械的強度が低い前記発熱層であっても、その耐久性を確保することができる。
【0014】
本発明の定着装置では、前記発熱層として、マイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波吸収材料を含有してなる前記弾性層を有することが好ましい。
これにより、前記弾性層に含まれるマイクロ波吸収材料が、前記発熱層を透過して前記弾性層に照射されたマイクロ波を吸収して熱を発生する。そして、この熱が、前記発熱層で発生する熱に加わることにより、前記定着ローラを定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。また、前記発熱層を透過したマイクロ波を、前記定着ローラを加熱するエネルギーとして有効に利用することができる。このため、前記未定着像を記録媒体に定着するのに要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0015】
本発明の定着装置では、前記発熱層として、マイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波吸収材料を含有してなる前記離型層を有することが好ましい。
これにより、前記離型層に含まれるマイクロ波吸収材料が、前記弾性層を透過して前記離型層に照射されたマイクロ波を吸収して熱を発生する。そして、この熱が、前記発熱層で発生する熱に加わることにより、前記定着ローラを定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。また、前記発熱層および前記弾性層を透過したマイクロ波を、前記定着ローラを加熱するエネルギーとして有効に利用することができる。このため、前記未定着像を記録媒体に定着するのに要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0016】
本発明の定着装置では、前記発熱層は、マイクロ波を吸収して発熱する粒状のマイクロ波吸収材料を圧縮成形してなる層を有することが好ましい。
これにより、比較的厚さの厚い層を効率よく安価に形成することができる。
本発明の定着装置では、前記マイクロ波吸収材料は、主として炭化ケイ素で構成されていることが好ましい。
炭化ケイ素は、マイクロ波の照射により、特に効率よく発熱する。また、熱伝導率が大きいため、比較的低い強度のマイクロ波を用いても、必要な温度に迅速かつ均一に昇温することができる。また、炭化ケイ素は、耐熱性に優れているという利点もある。
【0017】
本発明の定着装置では、前記発熱層の平均厚さは、0.5〜5mmであることが好ましい。
これにより、前記発熱層において、トナーを溶解するのに必要な発熱量を得ることができるとともに、十分な機械的強度を確保することができる。
本発明の定着装置では、前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの内側に設けられていることが好ましい。
これにより、照射されたマイクロ波が前記定着ローラの各部で遮蔽され易い。このため、前記定着ローラの外部に漏れ出るマイクロ波の強度を低下させることができ、定着装置の安全性をより高めることができる。
本発明の定着装置では、前記基部は、マイクロ波を透過させる材料で構成されていることが好ましい。
これにより、前記発熱層に到達するマイクロ波の強度を高めることができるので、前記定着ローラの外周面を、定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。
【0018】
本発明の定着装置では、前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの外側に設けられ、前記記録媒体が担持する未定着像にマイクロ波を照射するよう構成されていることが好ましい。
これにより、前記マイクロ波照射手段の大きさを、前記定着ローラの内容積に制限されずに、自由に設計することができる。また、記録媒体に担持された前記未定着像にマイクロ波が照射された場合、前記未定着像が発熱するので、トナーが溶解するのに要する時間をより短縮することができる。その結果、前記ニップ部に、より速い速度で記録媒体を通過させても、前記未定着像の定着を確実に行うことができる。
【0019】
本発明の定着装置では、前記加圧ローラは、円筒状の基部と、該基部の外周面側に設けられ、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを備えており、
前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの外側に設けられ、前記加圧ローラにマイクロ波を照射するよう構成されていることが好ましい。
これにより、前記定着ローラの発熱量に前記加圧ローラの発熱量が加わり、前記未定着像をより速やかに溶解することができる。その結果、ウォーミングアップ時間のさらなる短縮を図ることができる。また、前記ニップ部に、より速い速度で記録媒体を通過させても、前記未定着像の定着を確実に行うことができる。
【0020】
本発明の定着装置では、前記定着ローラが有する基部および前記加圧ローラが有する基部の少なくとも一方は、マイクロ波を反射させる材料で構成されていることが好ましい。
これにより、前記定着ローラの発熱層や前記加圧ローラの発熱層における発熱量が大きくなる。その結果、前記ニップ部の温度を、定着に必要な温度に、より迅速に昇温させることができる。
本発明の画像形成装置は、露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスにより、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
本発明の定着装置を備えることを特徴とする。
これにより、印字速度が速く、消費電力の少ない画像形成装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の定着装置および画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<<画像形成装置>>
まず、本発明の画像形成装置、すなわち本発明の定着装置を備える画像形成装置を簡単に説明する。
【0022】
図1は、本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す全体構成の模式的断面図である。
図1に示す画像形成装置10は、主として露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体に記録するものである。このような画像形成装置10は、図1に示すように、静電的な潜像を担持し図示矢印方向に回転する感光体20を有し、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、中間転写体61、クリーニングユニット75が配設されている。また、画像形成装置10には、図1にて下部に、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ82が設けられ、その給紙トレイ82に対して記録媒体Pの搬送方向下流に、中間転写体61、定着装置90が記録媒体Pの搬送方向に沿って順次配設されている。また、画像形成装置10には、記録媒体の両面に画像を形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転させて、後述する二次転写位置へ帰還させるための搬送部88が設けられている。
【0023】
感光体20は、円筒状の導電性基材(図示せず)と、その外周面に形成された感光層(図示せず)とを有し、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。
帯電ユニット30は、コロナ帯電などにより感光体20の表面を一様に帯電するための装置である。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光体20上に、レーザを照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
【0024】
現像ユニット50は、ブラック現像装置51と、マゼンタ現像装置52と、シアン現像装置53と、イエロー現像装置54との4つの現像装置を有し、これらの現像装置を感光体20上の潜像に対応して選択的に用いて、前記潜像をトナー像として可視化する装置である。ブラック現像装置51はブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52はマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53はシアン(C)トナー、イエロー現像装置54はイエロー(Y)トナーを用いて現像を行う。
【0025】
本実施形態におけるYMCK現像ユニット50は、前述の4つの現像装置51、52、53、54を選択的に感光体20に対向するように、回転可能となっている。具体的には、このYMCK現像ユニット50は、軸50aを中心として回転可能な保持体55の4つの保持部55a、55b、55c、55dにそれぞれ4つの現像装置51、52、53、54が保持されており、保持体55の回転により、4つの現像装置51、52、53、54が相対位置関係を維持したまま、感光体20に選択的に対向するようになっている。
【0026】
中間転写体61は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト70を有し、この中間転写ベルト70は、一次転写ローラ60、従動ローラ72、駆動ローラ71で張架されており、駆動ローラ71の回転により、図1に示す矢印方向に、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
一次転写ローラ60は、感光体20に形成された単色のトナー像を中間転写ベルト70に転写するための装置である。
【0027】
中間転写ベルト70上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。本実施形態では、駆動ローラ71が、後述する二次転写ローラ80のバックアップローラとしても機能する。また、一次転写ローラ60、駆動ローラ71、従動ローラ72は、基体73によって支持されている。
【0028】
二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70上に形成された単色やフルカラーなどのトナー像を、紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写するための装置である。
定着装置90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させるための装置である。なお、定着装置90については、後に詳述する。
クリーニングユニット75は、一次転写ローラ60と帯電ユニット30との間で感光体20の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ローラ60によって中間転写ベルト70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
【0029】
搬送部88は、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対88A、88Bと、搬送ローラ対88A、88Bによって搬送される記録媒体Pを表裏反転しつつレジローラ86へ向け案内する搬送路88Cとを備えている。これにより、記録媒体の両面に画像形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させる。
【0030】
次に、このように構成された画像形成装置10の動作を説明する。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体20、現像ユニット50に設けられた現像ローラ(図示せず)、および中間転写ベルト70が回転を開始する。そして、感光体20は、回転しながら、帯電ユニット30により順次帯電される。
感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
【0031】
感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。このとき、YMCK現像ユニット50は、イエロー現像装置54が、前記現像位置にて感光体20と対向している。
感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置(すなわち、感光体20と一次転写ローラ60との対向部)に至り、一次転写ローラ60によって、中間転写ベルト70に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70から離間している。
【0032】
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト70に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
一方、記録媒体Pは、給紙トレイ82から、給紙ローラ84、レジローラ86によって二次転写ローラ80へ搬送される。
【0033】
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト70の回転に伴って二次転写位置(すなわち、二次転写ローラ80と駆動ローラ71との対向部)に至り、二次転写ローラ80によって記録媒体Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ80は中間転写ベルト70に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
【0034】
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置90によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対87によって画像形成装置10の外部へ排出される。
一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75のクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75内の残存トナー回収部に回収される。
【0035】
記録媒体の両面に画像形成する場合には、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラ対87により挟持した後に、排紙ローラ対87を反転駆動するとともに、搬送ローラ対88A、88Bを駆動して、当該記録媒体Pを搬送路88Cを通じて表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
【0036】
<<定着装置>>
次に、本発明にかかる定着装置を詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明にかかる定着装置の第1実施形態を、図2ないし図7に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図2は、本発明の定着装置の第1実施形態を一部破断して示す模式的斜視図、図3は、図2におけるA−A線断面図、図4は、図2におけるB−B線断面図、図5は、マイクロ波照射ユニットの電気的構成を示すブロック図、図6は、図4に示すマイクロ波照射部を示す模式的断面図、図7は、図4に示すマイクロ波照射部を示す模式的斜視図である。
各図に示すように、定着装置90は、定着ローラ91と、この定着ローラ91に圧接する加圧ローラ92と、マイクロ波を定着ローラ91に照射するマイクロ波照射ユニット(マイクロ波照射手段)93と、これら各部を収容するハウジング94A、94Bとを有している。ハウジング94A、94Bには、未定着像が担持された記録媒体Pを内部に供給するための給紙口941と、画像が定着された記録媒体Pを外部に排出するための排出口942が、それぞれ、各ローラ91、92の軸方向と略平行となるようにスリット状に設けられている。なお、以下では、出力するマイクロ波の使用可能な周波数は、特に限定されないが、ISMバンドとして定められているため2.45GHzとするのが好ましい。
【0038】
この定着装置90では、定着ローラ91および加圧ローラ92の圧接により形成されるニップ部Nへ、未定着像たるトナー像Tを担持する記録媒体Pが搬送される。そして、記録媒体Pを加熱および加圧することにより、トナー像Tを記録媒体Pに定着させる。なお、本実施形態では、ニップ部Nに搬送される記録媒体Pは定着ローラ91側にトナー像Tを担持している。
【0039】
また、定着ローラ91は、円筒状の基部97Aと、この基部97Aの外周面側に設けられ、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層97Bとを備えている。
このような定着装置90では、定着ローラ91が有する発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域にマイクロ波を照射し、この領域の発熱層97Bを自己発熱させると、ニップ部Nを形成する定着ローラ91の外周面が昇温する。この状態でニップ部Nに、トナー像Tを担持した記録媒体Pを通過させると、トナー像Tが加熱および加圧される。すなわち、発熱層97Bと、マイクロ波照射ユニット93とにより、定着ローラ91の外周面を加熱する加熱手段を構成している。加熱されたトナー像Tは溶解し、記録媒体Pに融着され、永久像(画像)として定着する。
【0040】
ところで、定着装置90では、発熱源となる発熱層97Bが定着ローラの一部を構成している。このため、空気等の媒体を介することなく、定着ローラ91の外周面を加熱することができる。これにより、定着ローラ91の外周面を、定着に必要な温度に迅速に昇温することができる。すなわち、ウォーミングアップ時間の短縮化を図ることができる。
また、図4に示す定着装置90では、マイクロ波照射ユニット93が、定着ローラ91のニップ部N近傍に向けてマイクロ波を照射するよう構成されている。これにより、トナー像Tの融着を行うニップ部N近傍に位置する発熱層97Bを選択的に効率よく発熱させることができる。このため、マイクロ波が、定着ローラ91のうち、トナー像Tの融着に寄与するニップ部Nを選択的に加熱するために有効に利用される。その結果、トナー像Tの定着に要するエネルギーを低く抑えることができる。
【0041】
以下、定着装置90を構成する各部を順次説明する。
定着ローラ91は、図2〜図4に示すように、円筒状をなし、ハウジング94A、94Bの内部に配設されている。
定着ローラ91は、両端がハウジング94A、94Bに固定された固定軸95と、固定軸95を回転中心として回動可能に設けられた一対の軸受96、96と、内周面が一対の軸受96、96の外輪に当接し、一対の軸受96、96とともに回動可能な筒体97とを有する。
【0042】
筒体97は、円筒状の基部(芯金)97Aと、基部97Aの外周面を覆うように設けられた発熱層97Bと、発熱層97Bの外周面を覆うように設けられた弾性層97Cと、弾性層97Cの外周面を覆うように設けられた離型層97Dとを有している。
ここで、基部97Aは、円筒状をなし、マイクロ波を透過させる材料で構成されているのが好ましい。これにより、マイクロ照射ユニット93が定着ローラ91の内側に配設されている場合には、出射されたマイクロ波を、該基部97Aを透過させることができる。その結果、基部97Aを透過したマイクロ波を、発熱層97Bへと効率よく到達させ、発熱層97Bを発熱させることができる。
【0043】
なお、基部97Aを構成する材料としては、マイクロ波に対して透過性を有するもの、すなわち、マイクロ波を、反射および吸収し難い材料(低誘電率材料)であるのが好ましい。これにより、発熱層97Bに到達するマイクロ波の強度を高めることができるので、定着ローラ91の外周面を、定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。
さらに、基部97Aを構成する材料としては、熱伝導率の低い材料であるのが好ましい。これにより、発熱層97Bで発生した熱が、基部97Aを介して外部に逃げるのが防止される。その結果、定着ローラ91の外周面を、所定の温度で容易に保持することができる。
このような材料としては、例えば、各種ガラス、各種セラミック、各種高耐熱性樹脂またはこれらの複合物等を用いることができる。
【0044】
また、基部97Aの厚さは、特に限定されないが、基部97Aに必要な強度を確保しつつ、熱容量をできるだけ小さくすることが好ましい。具体的には、基部97Aの厚さは、基部97Aを構成する材料等によっても若干異なるが、0.1〜3mm程度であるのが好ましく、0.2〜1mm程度であるのがより好ましい。基部97Aの厚さを前記範囲内とすれば、定着ローラ91の機械的強度および耐久性を十分に確保しつつ、基部97Aの熱容量を低減して、ウォーミングアップ時間を短縮することができる。
【0045】
基部97Aの外周面上には、発熱層97Bが形成されている。
発熱層97Bは、マイクロ波照射ユニット93によって照射されたマイクロ波を、効率よく吸収して発熱する。この熱により、定着ローラ91が直接加熱される。本実施形態では、定着ローラ91のニップ部N近傍に向けてマイクロ波が照射されるので、ニップ部N近傍の温度を、定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。
また、発熱層97Bが基部97Aの外周面側に設けられているので、発熱層97Bから発生した熱を、定着ローラ91の外周面に効率よく伝達することができる。このため、ニップ部N近傍の温度を、より迅速に昇温することができる。
【0046】
ここで、発熱層97Bは、基部97A、弾性層97Cおよび離型層97Dよりもマイクロ波の吸収率が高い材料を含んでいる。ここで、発熱層97Bを構成する材料には、基部97Aを構成する材料、弾性層97Cを構成する材料および離型層97Dを構成する材料よりも、誘電損失の比較的大きい高誘電損失材料が好適に用いられる。以下、このような高誘電損失材料を、マイクロ波吸収材料と言う。
【0047】
マイクロ波吸収材料としては、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウム、すず、SiC(炭化ケイ素)、Cr、二酸化マンガン、PZT等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの材料を含む発熱層97Bでは、マイクロ波が照射されたときに、分子が激しく運動し、この分子同士の摩擦によって自己発熱する。これにより、定着ローラ91の外周面を、必要な温度に迅速に昇温することができる。
また、これらの材料の中でも、マイクロ波吸収材料は、SiCが好適である。SiCは、マイクロ波の照射により、特に効率よく発熱する。また、熱伝導率が大きいため、比較的低い強度のマイクロ波を用いても、必要な温度に迅速かつ均一に昇温することができる。また、SiCは、耐熱性に優れているという利点もある。
【0048】
このようなマイクロ波吸収材料を含む発熱層97Bは、例えば、マイクロ波吸収材料を円筒状に成形し、これを基部97Aに嵌め合わせる方法、粒状のマイクロ波吸収材料を、基部の外周面に供給し、圧縮成形する方法、各種成膜法により、基部97Aの外周面にマイクロ波吸収材料を成膜する方法、マイクロ波吸収材料の粉末を他の基材に混ぜて整形する方法等により形成することができる。
このうち、発熱層97Bは、粒状のマイクロ波吸収材料を圧縮成形してなる層で構成されるのが好ましい。このような方法によれば、比較的厚さの厚い層を効率よく安価に形成することができる。
【0049】
ところで、本実施形態では、発熱層97Bが、基部97Aと弾性層97Cとの間に設けられている。このため、定着ローラ91が記録媒体Pを加圧した際に、弾性層97Cが圧縮されることにより、発熱層97Bに加わる応力が低減する。これにより、例えば、機械的強度が低い発熱層97Bであっても、その耐久性を確保することができる。
発熱層97Bの厚さは、特に限定されないが、0.5〜5mm程度であるのが好ましく、1〜2mm程度であるのがより好ましい。これにより、発熱層97Bにおいて、トナーを溶解するのに必要な発熱量を得ることができるとともに、十分な機械的強度を確保することができる。
【0050】
なお、発熱層97Bの厚さが前記下限値より薄い場合、マイクロ波吸収材料の種類によっては、発熱層97Bを透過するマイクロ波の割合が大きくなるおそれがある。この場合、十分な発熱量が得られない可能性がある。一方、発熱層97Bの厚さを前記上限値より厚くしてもよいが、それに見合った効果は得られず、マイクロ波吸収材料の使用量が無駄に多くなるだけでなく、定着ローラ91の柔軟性(弾性)が低下するおそれがある。
【0051】
発熱層97Bの外周面上には、弾性層97Cが形成されている。定着ローラ91は、この弾性層97Cの弾性により、ニップ部Nの幅を大きいものとし、優れた定着性を発揮し、高品位な画像を得ることができる。
弾性層97Cを構成する材料(弾性材料)としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、弾性層97Cを構成する材料としては、例えば、Siゴム、EPDM、フッ素ゴムなどを好適に用いることができる。
【0052】
また、弾性層97Cは、マイクロ波吸収材料を含有しているのが好ましい。これにより、この弾性層97Cに含まれるマイクロ波吸収材料が、発熱層97Bを透過して弾性層97Cに照射されたマイクロ波を吸収して熱を発生する。そして、この熱が、発熱層97Bで発生する熱に加わることにより、定着ローラ91を定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。また、発熱層97Bを透過したマイクロ波を、定着ローラ91を加熱するエネルギーとして有効に利用することができる。このため、トナー像Tを記録媒体Pに定着するのに要するエネルギーの低減を図ることができる。
なお、マイクロ波吸収材料としては、前述の発熱層97Bの材料と同様のものを挙げることができる。
【0053】
また、マイクロ波吸収材料を含有する弾性層97Cの形態としては、マトリックスとなる弾性材料中に、粒状のマイクロ波吸収材料が分散されたものが好適である。かかる弾性層97Cは、例えば、分散媒に弾性材料とマイクロ波吸収材料とを分散させた処理液を調製し、この処理液を発熱層97Bの外周面に供給し、その後分散媒を除去することにより形成することができる。かかる方法により、粒状のマイクロ波吸収材料(マイクロ波吸収粒子)を弾性材料中に分散させてなる弾性層97Cを、比較的容易に形成することができる。
【0054】
この場合、弾性層97Cにおけるマイクロ波吸収材料の含有量は、1〜10wt%程度であるのが好ましく、1〜5wt%程度であるのがより好ましい。これにより、弾性層97Cを、その柔軟性および耐久性を十分に確保しつつ、マイクロ波を吸収して十分な熱量で発熱するようにすることができる。
また、弾性層97Cの厚さは、後述する加圧ローラ92の弾性層98Bの厚さより小さいのが好ましい。これにより、弾性層97Cの耐久性と、発熱層97Bから定着ローラ91の外周面への熱伝導性とを優れたものとすることができる。
なお、弾性層97Cの厚さは、特に限定されないが、例えば、0.5〜3mm程度であるのが好ましく、0.5〜1.5mm程度であるのがより好ましい。
【0055】
弾性層97Cの外周面上には、離型層97Dが形成されている。
離型層97Dを構成する材料(離型材料)としては、例えば、フッ素ゴムや、パーテトラフロロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)などのフッ素樹脂を好適に用いることができる。
また、離型層97Dは、マイクロ波吸収材料を含有しているのが好ましい。これにより、この離型層97Dに含まれるマイクロ波吸収材料が、弾性層97Cを透過して離型層97Dに照射されたマイクロ波を吸収して熱を発生する。そして、この熱が、発熱層97Bで発生する熱に加わることにより、定着ローラ91を定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。また、発熱層97Bおよび弾性層97Cを透過したマイクロ波を、定着ローラ91を加熱するエネルギーとして有効に利用することができる。このため、トナー像Tを記録媒体Pに定着するのに要するエネルギーの低減を図ることができる。
【0056】
なお、マイクロ波吸収材料には、前述の発熱層97Bを構成する材料(マイクロ波吸収材料)と同様のものを用いることができる。
また、マイクロ波吸収材料を含有する離型層97Dの形態としては、マトリックスとなる離型材料中に、粒状のマイクロ波吸収材料が分散されたものが好適である。かかる離型層97Dは、例えば、分散媒に離型材料とマイクロ波吸収材料とを分散させた処理液を調製し、この処理液を弾性層97Cの外周面に供給し、その後分散媒を除去することにより形成することができる。かかる方法により、粒状のマイクロ波吸収材料(マイクロ波吸収粒子)を離型材料中に分散させてなる離型層97Dを、比較的容易に形成することができる。
【0057】
この場合、離型層97Dにおけるマイクロ波吸収材料の含有量は、0.5〜5wt%程度であるのが好ましく、0.5〜2wt%程度であるのがより好ましい。これにより、離型層97Dを、その柔軟性および強度を十分に確保しつつ、マイクロ波を吸収して十分な熱量で発熱するようにすることができる。
また、離型層97Dの厚さは、10〜80μm程度であるのが好ましく、20〜50μm程度であるのがより好ましい。これにより、離型層97Dに必要な強度を保ちつつ、弾性層97Cの弾性を十分に発揮させることができる。
【0058】
以上のような定着ローラ91に圧接する加圧ローラ92は、円柱状をなし、ハウジングの内部に配設されている。
加圧ローラ92は、図2〜図4に示すように、円柱体98と、円柱体98の軸を貫通するように設けられた回転軸99とを有する。また、回転軸99は、ハウジング94Aに固定された一対の軸受100、100により回転可能に支持されている。これにより、加圧ローラ92は、回転軸99を回転中心として回転可能になっている。
【0059】
また、図2に示すように、軸受100には、略コ字状の加圧レバー101が、開放側が定着ローラ91側となるように係合されている。さらに、この加圧レバー101の一端部には、他端部がハウジングの内壁面に取り付けられた加圧スプリング102の一端部が取り付けられている。この加圧スプリング102の弾性力によって、加圧レバー101および軸受100は定着ローラ91側に付勢される。そして、軸受100に支持された加圧ローラ92は、定着ローラ91に圧接されることとなる。
【0060】
加圧ローラ92が有する円柱体98は、円柱状をなす金属製の基部(芯金)98Aと、基部98Aの外周面を覆う弾性層98Bと、弾性層98Bの外周面を覆う離型層98Cとを有している。
弾性層98Bを構成する材料としては、例えば、Siゴム、EPDM、フッ素ゴム等を好適に用いることができる。
【0061】
また、弾性層98Bの厚さは、0.3〜10mm程度であるのが好ましく、0.6〜8mm程度であるのがより好ましい。これにより、弾性層98Bの耐久性を優れたものとしつつ、ニップ部Nの幅を十分なものとすることができる。
また、離型層98Cを構成する材料としては、例えば、PTFE、PFAなどを好適に用いることができる。
また、離型層98Cの厚さは、10〜80μm程度であるのが好ましく、20〜50μm程度であるのがより好ましい。これにより、離型層98Cに必要な強度を保ちつつ、弾性層98Bの弾性を十分に発揮させることができる。
【0062】
定着ローラ91(筒体97)の内側には、図4に示すように、マイクロ波照射ユニット93が配設されている。
このマイクロ波照射ユニット93は、図5に示すように、マイクロ波を発生させるマイクロ波形成部931と、形成したマイクロ波を所定の方向に照射するマイクロ波照射部932とを有している。このように、マイクロ波を発生させる部位(マイクロ波形成部931)と、マイクロ波を照射する部位(マイクロ波照射部932)とを分けることにより、マイクロ波を照射する部位の小型化を図ることができる。このため、マイクロ波を照射する部位を配設する際の自由度を高めることができる。
【0063】
マイクロ波形成部931は、図5に示すように、マイクロ波の基準信号を形成する発振器(発振部)939と、発振器939で形成されたマイクロ波を増幅する増幅器(増幅部)940と、増幅器940に逆流するマイクロ波(マイクロ波の照射対象からの反射波)を遮蔽するとともに、順方向に流れるマイクロ波を放射パターン935に出力するアイソレータ943とを有している。
【0064】
一方、マイクロ波照射部932は、図6に示すように、誘電体材料で構成された基板934と、基板934の表面に設けられ、導電性材料で構成された放射パターン(放射部)935と、反射器(集中部)936とを有している。
アイソレータ943は、固定軸95に設けられた図示しない貫通孔内に挿通したリードを介して、放射パターン935と電気的に接続されている。そして、アイソレータ943から出力されたマイクロ波が、リードを介して放射パターン935に入力され、これにより、放射パターン935からマイクロ波が発生する。
【0065】
発振器939としては、例えば、各種弾性表面波(SAW)発振器、マグネトロン、クライスロン、ジャイロトロンのような各種マイクロ波発振器等が挙げられるが、特に、弾性表面波発振器が好適に用いられる。弾性表面波発振器は、前述のマイクロ波発振器等の他の発振器に比べて小型であるため、定着装置90の内容積を小さく抑えることができる。これにより、定着装置90の小型化を図ることができる。
【0066】
また、弾性表面波発振器は、発振の立ち上がりが急峻であることから、これを発振器として用いることにより、マイクロ波照射ユニット93の動作をオン状態としてから発熱層97Bが発熱するまでの時間を短縮することができる。これにより、ニップ部Nを形成する定着ローラ91の外周面を、トナー像Tの定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。
【0067】
弾性表面波発振器としては、例えば、水晶、サファイア、ホウ酸リチウム、リン酸アルミニウム、酸化テルル、ニオブ酸カリウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム等の圧電材料で構成された層(圧電体層)の表面または内部に、圧電体層を励振するための電極(Interdigital Transducer:IDT)を形成してなるものが挙げられる。
このような弾性表面波発振器では、電極を介して圧電体層に高周波電圧を印加することにより、圧電体層の表面に逆圧電効果による変位を生じさせ、この変位に伴ってマイクロ波のような電磁波を発生させることができる。
【0068】
また、弾性表面波発振器は、特に、上記のような圧電体層とダイヤモンド層とを積層したダイヤモンド弾性表面波発振器を用いるのが好ましい。ダイヤモンド弾性表面波発振器は、定着ローラ91の加熱用途に使用される波長のマイクロ波を発振することができる。さらに、発振するマイクロ波の周波数帯域が狭いため、前記波長のマイクロ波を効率よく発振する。このため、定着ローラ91の外周面の昇温に必要な電力を最小限とすることができる。
【0069】
なお、発振器939が形成するマイクロ波の周波数は、1.5〜5GHz程度であるのが好ましく、2〜3GHz程度であるのがより好ましい。このような周波数帯域のマイクロ波を用いることにより、マイクロ波が照射された領域において、マイクロ波吸収材料にマイクロ波が効率よく吸収される。このため、マイクロ波吸収材料を効率よく加熱することができる。
【0070】
マイクロ波照射部932は、図6および図7に示すように、定着ローラ91(筒体97)の内側に配設され、支持部材933によって固定軸95に固定されている。これにより、筒体97が回転しても、マイクロ波照射部932は回転せず、一定の位置にマイクロ波を照射することができる。なお、本実施形態では、図4に示すように、定着ローラ91のニップ部N近傍に向けてマイクロ波を照射するように、マイクロ波照射部932が固定されている。
【0071】
基板934は、誘電体材料で構成され、放射パターン935を支持するものであり、放射パターン935の表面がニップ部N側に向くように、支持部材933により固定軸95に連結されている。
放射パターン935は、略矩形状のパターンを複数直列に並べたパターンで形成されている。この放射パターン935において、略矩形状のパターンの一辺の長さは、放射するマイクロ波の波長と基板934の誘電率に応じて設定される。例えば、基板934の誘電率が4、発生させるマイクロ波の波長122mmである場合、パターンの一辺の長さは15mmに設定する。
【0072】
基板934の放射パターン935が形成された面と反対側の面上には、略全面にわたって、導電性材料で構成された接地パターン937が形成されている。この接地パターン937の一端は、電気的に接地されている。
このような基板934、放射パターン935および接地パターン937により、マイクロ波を放射するアンテナが構成されている。
【0073】
反射器936は、支持部材933によって、基板934と固定軸95との間に固定されている。
反射器936は、円弧状をなす板材によって構成され、円弧の凹面が、マイクロ波を照射すべき方向(本実施形態では、定着ローラ91のニップ部N近傍方向)に向かって開口するように配設されている。
【0074】
また、円弧状をなす板材は、導電性材料で構成されている。このような反射器936によれば、放射パターン935の表面に対する側面方向およびニップ部N側と反対方向に放射されたマイクロ波を、反射器936の凹面で効率よく反射させ、ニップ部N側で集中させることができる。これにより、この方向に放射されたマイクロ波を、発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域を発熱させるエネルギーとして有効に利用することができる。
【0075】
ここで、この反射器936で反射されたマイクロ波が集中する位置は、放射パターン935から放射されるマイクロ波の波長、反射器936の曲率、放射パターン935と反射器936の凹面との距離等によって決まる。したがって、これらパラメータが、マイクロ波が集中する位置が、定着ローラ91の加熱すべき領域(本実施形態では、発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域)となるように、適宜設定されるのが好ましい。
【0076】
また、反射器936の端部には、その表面が反射器936の凹面と連続するように遮蔽板938が接続されている。遮蔽板938は、金属等のマイクロ波を反射する材料で構成された板材によって構成されている。これにより、放射パターン935の側面方向に放射されたマイクロ波のうち、反射器936によってニップ部N側に方向転換できないマイクロ波を反射させ、このマイクロ波がハウジング94A、94Bの外に漏洩するのを防止することができる。なお、遮蔽板938は、マイクロ波を吸収する材料によって構成するようにしてもよい。
【0077】
このようなマイクロ波照射ユニット93では、発振器939がマイクロ波の基準信号を発振し、このマイクロ波が増幅器940に出力される。増幅器940は、入力されたマイクロ波(基準信号)を、マイクロ波吸収材料が振動する高周波出力レベルまで増幅し、アイソレータ943に出力する。そして、アイソレータ943に入力されたマイクロ波のうち、順方向に流れるマイクロ波は放射パターン935に出力され、放射パターン935から放射される。
【0078】
放射されたマイクロ波のうち、ニップ部N側に進行するマイクロ波は、定着ローラ91(基部97A)の内周面から入射して基部97Aを透過し、発熱層97Bに吸収される。
一方、放射パターン935の表面に対する側面方向およびニップ部Nと反対方向に進行するマイクロ波は、反射器936および遮蔽板938で反射される。このうち反射器936で反射されたマイクロ波は、定着ローラ91(基部97A)の内周面から入射して基部97Aを透過し、発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域で焦点を結ぶ。
なお、この画像形成装置10には、外装ハウジングの開閉蓋が開放されたときに、マイクロ波照射ユニット93の動作をOFFとするインターロック機能が備えられているのが好ましい。これにより、画像形成装置10の駆動中に誤って開閉蓋を開放してしまい、マイクロ波の外部への漏洩が防止され、高い安全性を得ることができる。
【0079】
また、特に、発振器939が弾性表面波発振器である場合、発振の立ち上がり、および、立ち下がりが急峻であるため、開閉蓋が開放された瞬間にマイクロ波の発振が停止され、また、開閉蓋が閉じられ、インターロックが解除されると、直ちにマイクロ波を発振させることができる。したがって、より高い安全性を得ることができるとともに、ウォーミングアップ時間を短縮することができる。
【0080】
以上のような定着装置90を構成する各部のうち、少なくともマイクロ波を照射するマイクロ波照射部932は、ハウジング94A、94B内に収容されている。
ハウジング94A、94Bは、マイクロ波を透過させ難い材料によって構成されたシールド層を有している。ハウジング94A、94Bが、このようなシールド層を有していることにより、マイクロ波照射部932から放射されたマイクロ波が外部に漏出するのが防止される。これにより、このマイクロ波が、誘電体である人体、または他の周辺電子機器に、影響を与えるのを防止することができる。
【0081】
なお、ハウジング94A、94Bは、このようなシールド層によって全体が構成されたものであってもよく、樹脂等よりなる基材の表面にシールド層を被覆したもの、シールド層を基材として、この表面に樹脂等を被覆したものであってもよい。
マイクロ波を透過させ難い材料としては、具体的には、マイクロ波を反射するもの、または、マイクロ波を吸収するものが用いられる。
【0082】
マイクロ波を反射する材料としては、電磁波を反射し得る材料であれば特に限定されないが、例えば、Ni、Sn、Cr、Al、Cu、Au、Fe等の金属、またはこれらの金属を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これら金属によって構成されるシールド層の形態としては、薄膜形状、メッシュ形状等が挙げられる。
なお、本実施形態では、マイクロ波照射部932が定着ローラ91の内側に配設されているので、照射されたマイクロ波が基部97Aや発熱層97B等の定着ローラ91の各部で遮蔽され易い。このため、定着ローラ91の外部に漏れ出るマイクロ波の強度を低下させることができ、定着装置90の安全性をより高めることができるという利点もある。
【0083】
次に、このような定着装置90の動作(作用)について説明する。
この定着装置90では、加圧ローラ92の回転軸99を回転駆動すると、加圧ローラ92の円柱体98が回転し、これに追従して、定着ローラ91の筒体97が固定軸95と独立して回転する。これにより、記録媒体Pが、ハウジング94A、94Bの給紙口941からハウジング94A、94Bの内部に供給され、定着ローラ91および加圧ローラ92の圧接により形成されるニップ部Nを通過した後、排出口942からハウジング94A、94Bの外部に排出されるように走行する。
【0084】
また、マイクロ波照射ユニット93をオン状態にすると、マイクロ波形成部931が、マイクロ波を形成する。マイクロ波形成部931によって形成されたマイクロ波は、リードを介して放射パターン935に出力され、放射パターン935から放射される。放射されたマイクロ波のうち、ニップ部N側に進行するマイクロ波は、基部97Aに内周面から入射して基部97Aを透過し、発熱層97Bに照射される。また、放射パターン935の側面側およびニップ部N側と反対側に進行するマイクロ波は、反射器936で反射され、発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域で焦点を結ぶ。これにより、発熱層97Bのマイクロ波を照射された領域は、マイクロ波を吸収して発熱する。
【0085】
ここで、発熱層97Bで吸収されず、透過したマイクロ波は、弾性層97Cに照射される。このとき、弾性層97Cがマイクロ波吸収材料を含む場合には、弾性層97Cがマイクロ波を吸収して発熱する。また、弾性層97Cで吸収されず、透過したマイクロ波は、離型層97Dに照射される。このとき、離型層97Dがマイクロ波吸収材料を含む場合には、離型層97Dがマイクロ波を吸収して発熱する。そして、これら発熱層97B、弾性層97Cおよび離型層97Dで発生した熱は、定着ローラ91の外周面のニップ部N近傍に伝達し、この領域を定着に必要な温度に昇温させる。
このような状態で、定着ローラ91が回転すると、この昇温された領域がニップ部Nに移動する。そして、ニップ部Nにトナー像Tを担持した記録媒体Pを通過させると、トナー像Tが加熱されて溶解するとともに、定着ローラ91と加圧ローラ92とが圧接することにより、トナー像Tが記録媒体Pに定着される。
【0086】
以上のように、この定着装置90では、定着ローラ91が有する発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域にマイクロ波を照射し、この領域のマイクロ波吸収材料を自己発熱させることによって、ニップ部を形成する定着ローラの外周面の温度を、定着に必要な温度に昇温させる。そして、発熱源が定着ローラの一部を構成していることにより、空気等の媒体を介さず定着ローラの外周面を加熱することができる。このため、ニップ部を形成する定着ローラ91の外周面を、定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。その結果、ウォーミングアップ時間の短縮化を図ることができる。
【0087】
また、マイクロ波を、ニップ部近傍に対応する領域に局所的に照射した場合、ニップ部近傍以外の領域はほとんど加熱されない。このため、マイクロ波が、ニップ部の加熱のために有効に利用されることとなり、トナー像Tを記録媒体Pに定着させるのに要するエネルギーを抑制することができる。
また、マイクロ波照射部932が、定着ローラ91の内側に配設されている場合には、マイクロ波照射ユニット93が占めるスペースを小さくすることができる。これにより、定着装置の小型化を図ることができる。
【0088】
<第2実施形態>
次に、本発明の定着装置の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の定着装置の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8に示す定着装置90は、マイクロ波照射ユニット93のマイクロ波照射部932が、定着ローラ91の外側に配設された以外は、前記第1実施形態にかかる定着装置と同様である。
【0089】
すなわち、本実施形態では、マイクロ波照射ユニット93のマイクロ波照射部932が、ハウジング94A、94B内の定着ローラ91の外側に配設されている。具体的には、マイクロ波照射部932は、記録媒体Pの走行方向の上流側に、かつ、記録媒体Pよりも上方(定着ローラ側)となるように配設されている。
また、マイクロ波照射部932が備える基板934は、放射パターン935の表面が、発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域に向くように配設されている。
【0090】
さらに、反射器936は、その凹面で反射されるマイクロ波が、発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域で焦点を結ぶように配設されている。
また、マイクロ波照射部932は、定着ローラ91の他、記録媒体Pに担持されたトナー像Tにもマイクロ波が照射されるよう構成されている。
また、定着ローラ91において、基部97Aは、マイクロ波を反射させる材料で構成されているのが好ましい。これにより、発熱層97Bで吸収されずに透過したマイクロ波が、基部97Aで反射されて、再び発熱層97Bに到達する。このため、発熱層97Bにマイクロ波が吸収される確率が増大し、発熱層97Bで発生する熱量が大きくなる。これにより、ニップ部Nを形成する定着ローラ91の外周面を、定着に必要な温度に、より迅速に昇温させることができる。また、マイクロ波のエネルギーを有効に利用することができるので、トナー像Tを記録媒体Pに定着するのに要するエネルギーのさらなる抑制を図ることができる。
【0091】
基部97Aを構成する材料、すなわち、マイクロ波を反射させる材料としては、例えば、電磁波を反射し得る材料であれば特に限定されないが、例えば、Ni、Sn、Cr、Al、Cu、Au、Fe等の金属、またはこれらの金属を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
また、基部97Aを、マイクロ波を反射させる材料で構成する代わりに、基部97Aと発熱層97Bとの間に、マイクロ波を反射するマイクロ波反射層を設けるようにしてもよい。かかる構成においても、発熱層97Bを透過したマイクロ波が、マイクロ波反射層で反射されて、再び発熱層97Bに到達することができる。このため、基部97Aをマイクロ波を反射させる材料で構成した場合と同様の効果を得ることができる。
【0093】
なお、この場合には、基部97Aを構成する材料は特に問わないので、基部97Aを構成する材料の選択の幅を広げることができる。例えば、基部97Aを、セラミック等の比較的熱伝導率が低い材料で構成することにより、発熱層97Bで発生した熱が、基部97Aを介して外部に逃げるのが防止される。このため、定着ローラ91の外周面を定着に必要な温度に迅速に昇温させることができる。
【0094】
次に、このような定着装置90の動作(作用)について説明する。
この定着装置90では、マイクロ波照射ユニット93をオン状態にすると、マイクロ波形成部931が、マイクロ波を形成する。マイクロ波形成部931によって形成されたマイクロ波は、リードを介して放射パターン935に出力され、放射パターン935から放射される。放射されたマイクロ波のうち、ニップ部N側に進行するマイクロ波は、定着ローラ91(離型層97D)の外周面から入射して離型層97Dおよび弾性層97Cを順次透過し、発熱層97Bに照射される。また、放射パターン935の表面に対する側面側およびニップ部N側と反対側に進行するマイクロ波は、反射器936で反射され、定着ローラ91(離型層97D)に外周面から入射して、離型層97Dおよび弾性層97Cを順次透過し、発熱層97Bのニップ部N近傍に対応する領域で焦点を結ぶ。これにより、発熱層97Bのマイクロ波を照射された領域は、マイクロ波を吸収して発熱する。
また、離型層97Dがマイクロ波吸収材料を含む場合には、離型層97Dがマイクロ波を吸収して発熱する。また、弾性層97Cがマイクロ波吸収材料を含む場合には、弾性層97Cがマイクロ波を吸収して発熱する。
【0095】
ここで、発熱層97Bで吸収されず透過したマイクロ波は、基部97Aで反射され、再び発熱層97Bに照射される。このため、発熱層97Bにおけるマイクロ波の吸収率が向上し、発熱量が増大する。そして、発熱層97B、弾性層97Cおよび離型層97Dで発生した熱は、定着ローラ91の外周面のニップ部N近傍に伝達し、この領域を定着に必要な温度に昇温させる。
このような状態で、定着ローラ91が回転すると、この昇温された領域がニップ部Nに移動する。そして、ニップ部Nにトナー像Tを担持した記録媒体Pを通過させると、トナー像Tが加熱されて溶解するとともに、定着ローラ91と加圧ローラ92とが圧接することにより、トナー像Tが記録媒体Pに定着される。
【0096】
また、記録媒体Pに担持されたトナー像Tにマイクロ波が照射された場合、トナー像Tはマイクロ波を吸収して発熱する。このため、トナー像Tを担持した記録媒体Pがニップ部Nを通過して加熱される際、トナー像Tが溶解するのに要する時間をより短縮することができる。したがって、ニップ部Nに、より速い速度で記録媒体Pを通過させても、トナー像Tを確実に溶解し、記録媒体Pに定着させることができる。その結果、印字速度の向上を図ることができる。
【0097】
以上のような第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、この第2実施形態では、特に、マイクロ波照射部932が定着ローラ91の外側に配設されているので、マイクロ波照射部932の大きさを、定着ローラ91の内容積に制限されずに、自由に設計することができるという効果も得られる。
【0098】
<第3実施形態>
次に、本発明の定着装置の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の定着装置の第3実施形態を示す模式的断面図である。
以下、第3実施形態について、前記第1実施形態および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図9に示す定着装置90は、加圧ローラ92が、基部98Aと弾性層98Bとの間に発熱層98Dを有する以外は、前記第2実施形態にかかる定着装置と同様である。
【0099】
すなわち、本実施形態では、加圧ローラ92の円柱体98は、円柱状をなす基部98Aと、基部98Aの外周面を覆うように設けられた発熱層98Dと、発熱層98Dの外周面を覆うように設けられた弾性層98Bと、弾性層98Bの外周面を覆うように設けられた離型層98Cとを有している。
発熱層98Dの構成は、定着ローラ91における発熱層97Bと同様である。
また、マイクロ波照射部932は、定着ローラ91の他、加圧ローラ92にもマイクロ波が照射されるよう構成されている。
【0100】
加圧ローラ92が、上記のような発熱層98Dを有していると、マイクロ波照射ユニット93から出射されたマイクロ波のうち、加圧ローラ92に到達したマイクロ波を発熱層98Dが吸収する。これにより、発熱層98Dが発熱し、この熱によって加圧ローラ92の外周面が加熱される。この状態で、加圧ローラ92が回転すると、外周面のうちの加熱された領域がニップ部Nに移動する。そして、ニップ部Nにトナー像Tを担持した記録媒体Pを通過させると、定着ローラ91の発熱量に加圧ローラ92の発熱量が加わり、トナー像Tをより速やかに溶解することができる。これにより、ウォーミングアップ時間のさらなる短縮化を図ることができる。また、ニップ部Nに、より速い速度で記録媒体Pを通過させても、トナー像Tを確実に溶解し、記録媒体Pに定着させることができる。その結果、印字速度の向上を図ることができる。
【0101】
また、定着ローラ91から外れて放射されたマイクロ波を、トナー像Tを溶解させるエネルギーとして、有効に利用することができる。
なお、基部98Aは、マイクロ波を反射する材料で構成されているのが好ましい。これにより、発熱層98Dで吸収されずに透過したマイクロ波が、基部98Aで反射されて、再び発熱層98Dに到達する。このため、発熱層98Dにマイクロ波が吸収される確率が増大し、発熱層98Dで発生する熱量が大きくなる。これにより、ニップ部Nを形成する加圧ローラ92の外周面を、定着に必要な温度に、より迅速に昇温させることができる。また、マイクロ波のエネルギーを有効に利用することができる。
基部98Aを構成する材料、すなわち、マイクロ波を反射させる材料としては、前述の基部97Aを構成する材料として列挙した各種の金属または合金等を用いることができる。
【0102】
また、基部98Aを、マイクロ波を反射する材料で構成する代わりに、基部98Aと発熱層98Dとの間に、マイクロ波を反射するマイクロ波反射層を設けるようにしてもよい。かかる構成においても、発熱層98Dを透過したマイクロ波が、マイクロ波反射層で反射されて、再び発熱層98Dに到達することができる。このため、基部98Aをマイクロ波を反射させる材料で構成した場合と同様の効果を得ることができる。
【0103】
なお、この場合には、基部98Aを構成する材料は特に問わないので、基部98Aを構成する材料の選択の幅を広げることができる。例えば、基部98Aを、セラミック等の比較的熱伝導率が低い材料で構成することにより、発熱層98Dで発生した熱が、基部98Aを介して外部に逃げるのが防止される。このため、加圧ローラ92の外周面を迅速に昇温させることができる。
【0104】
以上のような第3実施形態においても、前記第1実施形態および前記第2実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、この第3実施形態では、特に、加圧ローラ92が発熱層98Dを有しているので、ニップ部Nにおいてトナー像Tを加熱するための発熱量が増大する。このため、より短時間で確実にトナー像Tの定着を行うことができる。
【0105】
<第4実施形態>
次に、本発明の定着装置の第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の定着装置の第4実施形態を示す模式的断面図である。
以下、第4実施形態について、前記第1実施形態〜前記第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図10に示す定着装置90は、マイクロ波照射部932が定着ローラ91の内側と外側の双方に設けられている以外は、前記第3実施形態にかかる定着装置と同様である。
【0106】
すなわち、本実施形態では、マイクロ波照射部932が、2つのマイクロ波照射部(マイクロ波照射部932Aとマイクロ波照射部932B)を有している。そして、図10に示すように、定着ローラ91の内側にマイクロ波照射部932Aが配設され、定着ローラ91の外側にマイクロ波照射部932Bが配設されている。
このうち、マイクロ波照射部932Aは、定着ローラ91のニップ部N近傍に向けてマイクロ波を照射するように固定されている。
【0107】
一方、マイクロ波照射部932Bは、定着ローラ91のうち、定着ローラ91の回転方向におけるニップ部Nより上流側の領域に向けて、マイクロ波を照射するように固定されている。
そして、このようなマイクロ波照射部932は、定着ローラ91のニップ部Nからその上流側の比較的広範囲にわたる領域に向けて、マイクロ波を照射するよう構成されている。
【0108】
ここで、マイクロ波照射部932は、定着ローラ91のマイクロ波を照射される領域が、定着ローラ91の回転速度に応じて変化するのが好ましい。これにより、定着ローラ91の回転速度によらず、定着ローラ91のマイクロ波を照射された領域が回転して、ニップ部Nに移動するまでの時間と、発熱層97Bが発熱し、この熱が定着ローラ91の外周面に伝達されるまでの時間とをほぼ等しくすることができる。
【0109】
マイクロ波照射部932によるマイクロ波の照射領域は、定着ローラ91の回転速度に応じて、マイクロ波照射部932Aの動作およびマイクロ波照射部932Bの動作の少なくとも一方を制御することにより変化させることができる。
例えば、定着ローラ91の回転速度が特に大きい場合には、各マイクロ波照射部932A、932Bの双方を動作させる。これにより、定着ローラ91の比較的広範囲にわたって、マイクロ波を照射することができる。その結果、発熱層97Bの発熱量が増大し、定着ローラ91の外周面が所定の温度に昇温するまでの時間を短縮することができる。
【0110】
一方、定着ローラ91の回転速度が特に小さい場合には、各マイクロ波照射部932A、932Bのうちの一方を動作させる。これにより、定着ローラ91のマイクロ波を照射される領域が縮小する。その結果、発熱層97Bの発熱量が低下し、定着ローラ91の外周面が所定の温度に昇温するまでの時間を延長することができる。
したがって、定着ローラ91の回転速度によらず、極大の温度に加熱された状態で、トナー像Tを記録媒体Pに定着させることができる。その結果、より短時間でかつ確実に定着工程を行うことができるとともに、定着工程で消費されるエネルギーの低減を図ることができる。
なお、定着ローラ91のマイクロ波を照射させる領域を変化させる代わりに、照射するマイクロ波の強度を変化させるようにしてもよく、その双方を変化させるようにしてもよい。
【0111】
以上のような第4実施形態においても、前記第1実施形態〜前記第3実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
また、この第4実施形態では、特に、定着ローラ91の回転速度によらず、定着ローラ91の外周面が極大の温度に加熱された状態で、トナー像Tを記録媒体Pに定着させることができる。
【0112】
<第5実施形態>
次に、本発明の定着装置の第5実施形態について説明する。
図11は、本発明の定着装置の第5実施形態を示す模式的断面図である。
以下、第5実施形態について、前記第1実施形態〜前記第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図11に示す定着装置90は、定着ローラ91の回転速度が可変になっていて、定着ローラ91のマイクロ波が照射される領域が、定着ローラ91の周速に応じて移動するよう構成されている以外は、前記第1実施形態にかかる定着装置と同様である。
【0113】
すなわち、本実施形態では、図11に示すように、定着ローラ91を回転させる回転機構901と、加圧ローラ92を回転させる回転機構902と、各回転機構901、902と電気的に接続され、定着ローラ91と加圧ローラ92のそれぞれの回転速度を制御する制御部903とを有している。
また、マイクロ波照射部932を固定軸95に支持する支持部材933は、固定軸95に対して回動自在に支持されている。このため、マイクロ波照射部932を、固定軸95を回動中心として回動させることにより、マイクロ波の照射方向を変更することができるようになっている。なお、支持部材933と制御部903とは、電気的に接続されており、マイクロ波の照射方向は、制御部903により制御される。
制御部903では、回転機構901、回転機構902および支持部材933のそれぞれの動作を協調制御する。例えば、定着ローラ91の回転速度と加圧ローラ92の回転速度は、等速度になるように制御されるのが好ましい。これにより、ニップ部Nを記録媒体Pが円滑に通過することができる。
【0114】
ここで、マイクロ波照射部932は、定着ローラ91のうち、定着ローラ91の回転方向におけるニップ部Nより上流側の領域に向けて、マイクロ波を照射するように固定軸95に対して支持されているのが好ましい。これにより、定着ローラ91のマイクロ波を照射された領域が回転して、ニップ部Nに移動するまでの時間と、発熱層97Bが発熱し、この熱が定着ローラ91の外周面に伝達されるまでの時間との差が短縮される。その結果、定着ローラ91の外周面が、より極大の温度に近い温度に加熱された状態で、トナー像Tを記録媒体Pに定着させることができる。したがって、より短時間でかつ確実に定着工程を行うことができるとともに、定着工程で消費されるエネルギーの低減を図ることができる。
【0115】
ところで、定着ローラ91の回転速度が特に大きい場合には、定着ローラ91の発熱層97Bがマイクロ波を吸収して発熱し、この熱が外周面に伝達されたとき、この外周面がすでにニップ部Nを通り過ぎた後であることが想定される。この場合、定着ローラ91のニップ部N近傍の温度が十分に昇温せず、トナー像Tの定着が不十分になるおそれがある。
【0116】
一方、定着ローラ91の回転速度が特に小さい場合には、定着ローラ91の発熱層97Bがマイクロ波を吸収して発熱し、この熱が外周面に伝達されたとき、この外周面がニップ部Nに未だ到達していないという状態になることが想定される。この場合も、定着ローラ91のニップ部N近傍の温度が十分に昇温せず、トナー像Tの定着が不十分になるおそれがある。
【0117】
かかる観点から、定着ローラ91のマイクロ波を照射される領域の中心と、ニップ部Nの中心とのなす角度は、定着ローラ91の回転速度に応じて変化するのが好ましい。これにより、定着ローラ91の回転速度によらず、定着ローラ91のマイクロ波を照射された領域が回転して、ニップ部Nに移動するまでの時間と、発熱層97Bが発熱し、この熱が定着ローラ91の外周面に伝達されるまでの時間とをほぼ等しくすることができる。その結果、定着ローラ91の外周面が、極大の温度に加熱された状態で、トナー像Tを記録媒体Pに定着させることができる。
【0118】
以上のような第5実施形態においても、前記第1実施形態および第2実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
また、この第5実施形態では、特に、定着ローラ91の回転速度によらず、定着ローラ91の外周面が極大の温度に加熱された状態で、トナー像Tを記録媒体Pに定着させることができる。
【0119】
以上、本発明の定着装置および画像形成装置について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の定着装置および画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、定着装置の構成は、前記各実施形態で説明した複数の構成を組み合わせたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す全体構成の模式的断面図である。
【図2】本発明の定着装置の第1実施形態を一部破断して示す模式的断面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図2におけるB−B線断面図である。
【図5】マイクロ波照射ユニットの電気的構成を示すブロック部である。
【図6】図4に示すマイクロ波照射部を示す模式的縦断面図である。
【図7】図4に示すマイクロ波照射部を示す模式的斜視図である。
【図8】本発明の定着装置の第2実施形態を示す模式的断面図である。
【図9】本発明の定着装置の第3実施形態を示す模式的断面図である。
【図10】本発明の定着装置の第4実施形態を示す模式的断面図である。
【図11】本発明の定着装置の第5実施形態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0121】
10‥‥‥画像形成装置 20‥‥‥感光体 30‥‥‥帯電ユニット 40‥‥‥露光ユニット 50‥‥‥現像ユニット 50a‥‥‥軸 51‥‥‥ブラック現像装置 52‥‥‥マゼンタ現像装置 53‥‥‥シアン現像装置 54‥‥‥イエロー現像装置 55‥‥‥保持体 55a〜55d‥‥‥保持部 60‥‥‥一次転写ローラ 61‥‥‥中間転写体 70‥‥‥中間転写ベルト 71‥‥‥駆動ローラ 72‥‥‥従動ローラ 73‥‥‥基体 75‥‥‥クリーニングユニット 76‥‥‥クリーニングブレード 80‥‥‥二次転写ローラ 82‥‥‥給紙トレイ 84‥‥‥給紙ローラ 86‥‥‥レジローラ 87‥‥‥排紙ローラ対 88‥‥‥搬送部 88A、88B‥‥‥搬送ローラ対 88C‥‥‥搬送路 90‥‥‥定着装置 91‥‥‥定着ローラ 92‥‥‥加圧ローラ 93‥‥‥マイクロ波照射ユニット 931‥‥‥マイクロ波形成部 932、932A、932B‥‥‥マイクロ波照射部 933‥‥‥支持部材 934‥‥‥基板 935‥‥‥放射パターン 936‥‥‥反射器 937‥‥‥接地パターン 938‥‥‥遮蔽板 939‥‥‥発振器 940‥‥‥増幅器 941‥‥‥給紙口 942‥‥‥排出口 943‥‥‥アイソレータ 94A、94B‥‥‥ハウジング 95‥‥‥固定軸 96‥‥‥軸受 97‥‥‥筒体 97A‥‥‥基部 97B‥‥‥発熱層 97C‥‥‥弾性層 97D‥‥‥離型層 98‥‥‥円柱体 98A‥‥‥基部 98B‥‥‥弾性層 98C‥‥‥離型層 98D‥‥‥発熱層 99‥‥‥回転軸 100‥‥‥軸受 101‥‥‥加圧レバー 102‥‥‥加圧スプリング T‥‥‥トナー像 P‥‥‥記録媒体 N‥‥‥ニップ部 901、902‥‥‥回転機構 903‥‥‥制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに圧接してニップ部を形成しつつ回転する定着ローラおよび加圧ローラと、前記定着ローラの外周面を加熱する加熱手段とを有し、前記定着ローラの外周面を加熱した状態で、未定着像を担持する記録媒体を前記ニップ部に通過させ、前記記録媒体を加熱・加圧することにより、前記未定着像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、
前記加熱手段は、マイクロ波を照射するマイクロ波照射手段と、前記定着ローラ中に設けられ、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記マイクロ波照射手段は、マイクロ波を発生させるマイクロ波形成部と、該発生させたマイクロ波を前記定着ローラに向けて照射するマイクロ波照射部とを有する請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記マイクロ波形成部は、ダイヤモンド弾性表面波素子を有する請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの前記ニップ部近傍、または、それより前記定着ローラの回転方向における上流側の領域に向けて、マイクロ波を照射するよう構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記定着ローラの回転速度は、可変となっており、
前記マイクロ波照射手段は、マイクロ波の照射領域、および/または、マイクロ波の照射強度が、前記回転速度に応じて変化するよう構成されている請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記定着ローラの回転速度は、可変となっており、
前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの前記マイクロ波を照射する領域の中心と前記ニップ部の中心とのなす角度が、前記回転速度に応じて変化するよう構成されている請求項4または5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記定着ローラは、円筒状の基部を有しており、
前記発熱層は、前記基部の外周面側に設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載の定着装置。
【請求項8】
前記定着ローラは、前記基部の外周面側に設けられた弾性層と、該弾性層の外周面側に設けられた離型層とを有しており、
前記発熱層は、前記基部と前記弾性層との間に設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
前記発熱層として、マイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波吸収材料を含有してなる前記弾性層を有する請求項8に記載の定着装置。
【請求項10】
前記発熱層として、マイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波吸収材料を含有してなる前記離型層を有する請求項8または9に記載の定着装置。
【請求項11】
前記発熱層は、マイクロ波を吸収して発熱する粒状のマイクロ波吸収材料を圧縮成形してなる層を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の定着装置。
【請求項12】
前記マイクロ波吸収材料は、主として炭化ケイ素で構成されている請求項9ないし11のいずれかに記載の定着装置。
【請求項13】
前記発熱層の平均厚さは、0.5〜5mmである請求項1ないし12のいずれかに記載の定着装置。
【請求項14】
前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの内側に設けられている請求項1ないし13のいずれかに記載の定着装置。
【請求項15】
前記基部は、マイクロ波を透過させる材料で構成されている請求項14に記載の定着装置。
【請求項16】
前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの外側に設けられ、前記記録媒体が担持する未定着像にマイクロ波を照射するよう構成されている請求項1ないし15のいずれかに記載の定着装置。
【請求項17】
前記加圧ローラは、円筒状の基部と、該基部の外周面側に設けられ、マイクロ波を吸収して発熱する発熱層とを備えており、
前記マイクロ波照射手段は、前記定着ローラの外側に設けられ、前記加圧ローラにマイクロ波を照射するよう構成されている請求項1ないし16のいずれかに記載の定着装置。
【請求項18】
前記定着ローラが有する基部および前記加圧ローラが有する基部の少なくとも一方は、マイクロ波を反射させる材料で構成されている請求項17に記載の定着装置。
【請求項19】
露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスにより、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項1ないし18のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−129203(P2008−129203A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312122(P2006−312122)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】