説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】定着条件を変更しても安定な用紙搬送を維持しつつ良好な画像を得ることができる定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着ローラ12と、定着ローラ12に定着ベルト11を介して圧接してニップ部N1を形成する加圧ローラ14と、加圧ローラ14の加圧状態を変更してニップ部N1のニップ幅を複数段階に切り替える加圧手段と、定着ローラ12を駆動する第1モータ12mと、加圧ローラ14を駆動する第2モータ14mと、を備え、ニップ部N1における定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度が所定の関係となるように、第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱と圧力で用紙上のトナーを定着させる定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー電子写真装置などの画像形成装置において薄紙から厚紙まで、あるいは様々な紙種が用いられ、定着装置での広い用紙対応力が求められている。しかし、定着装置がそれらの用紙に対応することに伴う用紙搬送速度の変化が上下流のユニットに対して影響し合い、用紙のシワ発生や駆動モータのトルクアップ等の現象を発生させ易かった。
【0003】
また、定着装置における大きな課題として、ローラ類の熱膨張による用紙搬送速度変化がある。特許文献1では、その課題を解決する駆動方法として、加圧ベルトの温度状態により駆動モータの回転数を変更して、線速を合わせることが提示されている。また、特許文献2では、弾性体ローラがニップ部で変形することにより、もともとのローラ径に基づいて算出される用紙搬送速度と実際の用紙搬送速度は一致しないこと、及びその対応が提示されている。
【0004】
しかしながら、画像形成装置では定着条件を変更する構成、とくに高速機において定着装置のニップ幅を変更する構成を取ることが多いが、ニップ幅の条件を変更すると画像が乱れる現象(画像ずれ)が発生する場合があった。また、定着装置以降の搬送系で用紙のシワやガイド板等へのコスレによる画像乱れが発生することがあった。
【0005】
また、近年では、定着工程で、グロスコート紙等の地肌光沢が高い用紙に対して画像光沢に地肌光沢に近い光沢を付与することが行なわれてきている。
光沢度を高くする方法として、通常線速の半分以下等の線速にして、定着供給熱量を増して、トナー画像をよりゲル化させて、トナー粒子形状を無くし、光沢を付与することが一般的である。また、定着装置のニップ部では用紙に熱量と圧を加えるが、その圧が高い構成が画像表面をレベリングし光沢を高くすることが知られている。そのため、高い光沢を付与するために、高いニップ圧が得られる構成とされている。また、その構成において、高生産性を上げるためには大きな定着装置になり、且つ、光沢付与時には線速をダウンさせて付与する熱量の増加を図っているため、生産性を大幅に落とす必要があった。
【0006】
また、光沢の制御を目的として、従来から、特許文献3のように定着装置を複数設け、用紙が通過する定着装置個数により光沢制御を行なうものが知られている。しかしながら、実際には複数の定着装置を設けるのは、普通紙の時と光沢付与の時で切り分けが必要であり、2つの搬送路で切り分け等を行なうことになる。
【0007】
そこで、特許文献4では、第1定着工程と第2定着工程にてローラ間を各々離間させて、光沢付与するモードと付与しないモードを切り分ける方法が提示されている。しかしながら、実際にはガイド板を用いても、未定着トナーによる搬送ローラやガイド板へのトナー付着による粘着アップ等があり、モード切替時に別の搬送路へ用紙をガイドすることが難しく、ジャムや画像擦れが発生しやすかった。
【0008】
また、特許文献5では、第2定着工程の簡素化を目的として第2定着工程を進入用紙温度より低く温めたローラとすることが提示されている。しかしながら、第1定着−第2定着工程間を狭くすると、第1定着がオイルレス定着である場合においては、定着ローラに巻きつき易いため、分離板等の安定した分離機構が配置できず、逆に広すぎるとガイド板等で通紙するとガイド板に用紙やトナー表層温度が熱を奪われ、本来の目的である光沢付与ができなかった。従って、第1定着装置の分離機構後で光沢付与できる距離に第2定着装置を配置する必要があるが、面圧が高い定着装置同士を近付けるために、用紙搬送を安定させて用紙のシワ等の発生防止を図る必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、定着条件を変更しても安定な用紙搬送を維持しつつ良好な画像を得ることができる定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。また、光沢付与装置を備える構成において、良好な画像を形成しつつ安定した用紙搬送を行う画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 回動可能に設けられる定着部材(定着ベルト11,定着ローラ12R)と、前記定着部材に当接し用紙上のトナーを熱と圧力により定着させるニップ部(ニップ部N1,N1’,N1’’,N1’’’)を形成する加圧部材(加圧ローラ14,加圧ベルト14a)と、前記定着部材の駆動に関わる定着側駆動ローラ(定着ローラ12,12R)と、前記加圧部材の駆動に関わる加圧側駆動ローラ(加圧ローラ14,ローラ15R,19R)と、前記加圧部材を定着部材に押圧させて前記ニップ部を形成するとともに、該押圧状態を変更して、前記ニップ部のニップ幅を複数段階に切り替える加圧手段と、前記定着側駆動ローラを駆動する第1モータ(第1モータ12m)と、前記加圧側駆動ローラを駆動する第2モータ(第2モータ14m)と、を備え、前記ニップ部における前記定着部材の用紙搬送速度と前記加圧部材の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ及び/又は第2モータの回転数を調整することを特徴とする定着装置(定着装置5,5’,5’’,5’’’、図1〜図7)。
〔2〕 前記加圧手段による前記加圧部材の押圧状態、前記定着側駆動ローラの表面温度、前記第1モータまたは第2モータのトルクのいずれかに基づいて、前記第1モータ及び/又は第2モータの回転数を調整することを特徴とする前記〔1〕に記載の定着装置。
〔3〕 前記ニップ部における前記定着部材の用紙搬送速度と前記加圧部材の用紙搬送速度の差が1%以内となるように、前記第1モータ及び/又は第2モータの回転数を調整することを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の定着装置。
〔4〕 前記ニップ部における前記定着部材の用紙搬送速度と前記加圧部材の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータの回転数を調整することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の定着装置。
〔5〕 前記加圧側駆動ローラを冷却する冷却機構(冷却機構14c)を備え、通紙前待機時に、前記加圧部材を定着部材から離間させ、前記冷却機構により該加圧側駆動ローラを冷却するモード(冷却モード(1))と、前記加圧部材を定着部材に圧接し、前記冷却機構により該加圧側駆動ローラ,加圧部材及び定着部材を介して定着側駆動ローラを冷却するモード(冷却モード(2))と、有することを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の定着装置(図4,図5)。
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置(画像形成装置100、図8)。
〔7〕 用紙搬送のパスライン上であって、前記定着装置の下流側に、加熱手段(ヒータ85)を有する第1回転体(加熱ローラ80)及びトナーに光沢を付与する光沢付与ニップ部(ニップ部N2)を形成可能に該第1回転体に圧接する第2回転体(加圧ローラ90)を有する光沢付与装置(光沢付与装置6)を備えることを特徴とする前記〔6〕に記載の画像形成装置(図9)。
〔8〕 用紙上の画像に光沢を付与するモードと光沢を付与しないモードを有し、前記用紙上の画像に光沢を付与しないモードの場合、前記光沢付与装置は、前記光沢付与ニップ部のニップ圧を光沢を付与するモードのときのニップ圧よりも低くして、前記用紙の搬送を行うことを特徴とする前記〔7〕に記載の画像形成装置。
〔9〕 前記光沢付与装置は、第1回転体または第2回転体を駆動する第3モータ(第3モータ80m)を前記定着装置のローラ駆動から独立して備えることを特徴とする前記〔7〕または〔8〕に記載の画像形成装置(図10)。
〔10〕 前記定着装置における用紙搬送速度V1と前記光沢付与装置における用紙搬送速度V2との速度差が所定の範囲内となるように前記第2モータまたは第3モータの回転数を調整することを特徴とする前記〔9〕に記載の画像形成装置。
〔11〕 前記定着装置の主駆動ローラの表面温度及び/又は前記光沢付与装置の主駆動ローラの表面温度に基づいて、前記第2モータまたは第3モータの回転数を調整することを特徴とする前記〔10〕に記載の画像形成装置。
〔12〕 1.02≧V2/V1≧1.00となるように前記第2モータまたは第3モータの回転数を調整することを特徴とする前記〔10〕または〔11〕に記載の画像形成装置。
〔13〕 用紙の厚さまたは種類に基づいて、前記第1モータ、第2モータ、第3モータの回転数比を調整することを特徴とする前記〔9〕〜〔12〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〔14〕 少なくとも前記光沢付与装置の光沢付与ニップ部への1枚の用紙の進入開始時から所定時間の間だけ、該光沢付与装置における用紙搬送速度を増加させることを特徴とする前記〔9〕〜〔13〕のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の定着装置によれば、定着条件を変更しても常に定着部材と加圧部材がニップ部で略等速で動くため、安定な用紙搬送を維持しつつ用紙の表裏の速度差に起因する画像ずれを防止することができる。
また本発明の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を備えるので良好な画像形成を行うことができる。また、光沢付与装置を備える構成の画像形成装置において、安定した用紙搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る定着装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の定着装置における定着ローラの径の変化状態及び加圧手段の動作状態を示す断面図である。
【図3】図1の定着装置の駆動機構の構成を示す概略図である。
【図4】図1の定着装置において冷却機構を備える構成を示す概略図である。
【図5】本発明に係る定着装置のその他の構成(1)を示す概略断面図である。
【図6】本発明に係る定着装置のその他の構成例(2)を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係る定着装置のその他の構成例(3)を示す概略断面図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の要部構成を示す断面図である。
【図10】図9の画像形成装置の駆動機構の構成を示す概略図である。
【図11】定着装置と光沢付与装置の間における用紙の搬送状態を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る定着装置は、回動可能に設けられる定着部材と、前記定着部材に当接し用紙上のトナーを熱と圧力により定着させるニップ部を形成する加圧部材と、前記定着部材の駆動に関わる定着側駆動ローラと、前記加圧部材の駆動に関わる加圧側駆動ローラと、前記加圧部材を定着部材に押圧させて前記ニップ部を形成するとともに、該押圧状態を変更して、前記ニップ部のニップ幅を複数段階に切り替える加圧手段と、前記定着側駆動ローラを駆動する第1モータと、前記加圧側駆動ローラを駆動する第2モータと、を備え、前記ニップ部における前記定着部材の用紙搬送速度と前記加圧部材の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ及び/又は第2モータの回転数を調整することを特徴とするものである(構成A)。
以下、本発明に係る定着装置の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る定着装置の構成を示す概略断面図である。
定着装置5は、円筒形状の定着ローラ12と、加熱ローラ15と、テンションローラ16と、該定着ローラ12,加熱ローラ15及びテンションローラ16に架け渡された定着部材である定着ベルト11と、該定着ベルト11に対して回転自在に圧接しニップ部N1を形成する加圧部材である加圧ローラ14と、を備える。ここでは、加圧ローラ14が定着ベルト11を介して定着ローラ12に圧接する構成となっている。なお、ニップ部N1の用紙(記録媒体ともいう)排出側であって先端が加圧ローラ14に近接して配置され該加圧ローラ14への用紙の巻き付きを防止する分離部材43と、ニップ部N1の用紙排出側であって先端が定着ベルト11に近接して配置され該定着ベルト11への用紙の巻き付きを防止する分離部材44を備える。
【0015】
なお、定着装置5において、定着ベルト11は前記構成Aにおける定着部材であり、定着ローラ12は前記構成Aにおける定着側駆動ローラであり、加圧ローラ14は前記構成Aにおける加圧部材と加圧側駆動ローラを兼ねるものである。また、定着装置5では、前記加圧手段が加圧ローラ14を押圧して定着ベルト11に圧接させる構成となっている。
【0016】
ここで、定着ベルト11は、用紙S上の未定着トナーTを定着する無端ベルトであり、断面構造としては、例えばニッケル、ステンレス、ポリイミドなどの基材にシリコーンゴム層などの弾性層、更にその上に離型層を形成した3層構造となっている。例えば、定着ベルト11は、内径110mmであり、耐熱性が高く、熱膨張量が少なく、しかも比較的強度が大きな無端状のポリイミド樹脂からなる基材の上に弾性層として厚み200μmのシリコーンゴムの層が形成され、更に最外層に離型層としてトナーとの離型性に優れたフッ素樹脂(PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)など)のチューブが被覆され、あるいはフッ素樹脂がコーティングされたものである。
【0017】
定着ローラ12は、中空円筒状の基体ローラの外周にシリコーンゴム(ソリッドシリコーンゴム)又はシリコーンスポンジ(発泡シリコーンゴム)などの耐熱弾性層を形成してなるローラであり、例えば基体ローラ外周に厚み14mmの発泡シリコーンゴムからなる耐熱弾性層を形成して外径65mmとしたものである。また、定着ローラ12のニップ部N1の手前の領域の温度を検知する温度検知センサ52を備えている。
【0018】
テンションローラ16は、定着ローラ12と加熱ローラ15間に配置され、定着ベルト11を支持しつつ、スプリングバネ16sを使用した機構により定着ベルト11に所定の張力を付与する機能を有する。定着装置5では、例えば軸方向片側9.8N、両側で合計19.6Nの張力を付与する。
【0019】
加熱ローラ15は、アルミ又は鉄の中空ローラであり、例えば外径35mm、厚み0.6mmのアルミ製中空円筒ローラである。また、内部に定着ベルト11を加熱するためのハロゲンヒータなどのヒータ15hからなる熱源を有していて、定着ベルト11の内周側の加圧ローラ14とは圧接しない位置に、すなわちニップ部N1に加熱源を有しないように配置されている。熱源は誘導加熱機構(IH)でもよい。また、定着ベルト11が加熱ローラ15に接触している領域の温度を検知する温度検知センサ62を備えている。
【0020】
加圧ローラ14は、通常はアルミ又は鉄等の芯金の上にシリコーンゴム(ソリッドシリコーンゴム)又はシリコーンスポンジ(発泡シリコーンゴム)などの耐熱弾性層が設けられた円筒形状のローラであり、例えば、厚み1mmの鋼製中空芯金の外周を厚み1.5mmのシリコーンゴムで覆い、更に最外層をPFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブで被覆した外径65mmのローラである。また、加圧ローラ14は、内部にヒータ14hを有し、温度検知センサ72により検知される加圧ローラ14の温度に基づいてヒータ14hの点灯制御が行われて、ニップ部N1を用紙が通過する時に該用紙から加圧ローラ14が熱を奪うことを防止している。
また、加圧ローラ14の外周には、ローラ上のオフセットトナーや紙粉等を取り除くウェブクリーニングユニット(不図示)が設けられている。
【0021】
また、図1,図2に示すように、加圧ローラ14には、加圧レバー76、スプリング77、加圧中間部材76a、カム78からなる加圧手段が設けられている。該加圧手段により加圧ローラ14が定着ベルト11を介して定着ローラ12に圧接してニップ部N1を形成したり、該ニップ部N1を開放したりするようになっている。また、そのニップ部N1のニップ幅は用紙の種類(紙種)やモード(光沢を付与するモード、光沢を付与しないモード)によって複数の通紙状態に可変可能な構成になっている。
【0022】
この加圧手段により加圧ローラ14を加圧状態とする動作としては、まず、外部からの駆動力によりカム78が図2中矢印方向に一定の回転角だけ回転されると、該カム78が加圧中間部材76aを押し上げる(図2中矢印方向)。加圧中間部材76aが押されると、該加圧中間部材76aに固定されているスプリング77が一定の圧力で加圧レバー76の端部を押し上げる。つぎに、加圧レバー76のスプリング77側の端部が押し上げられると、該加圧レバー76は支持軸76bを中心軸として回転する(図2では反時計回り方向)。ついで、加圧レバー76のスプリング77側の端部と支持軸76bの中間にある加圧部76c(不図示)が加圧ローラ14の軸に当接し、定着ローラ12方向に押すように作用する。最後に、加圧ローラ14が定着ベルト11を介して定着ローラ12に圧接して、一定の圧力で加圧する状態の定着用のニップ部N1となる。なお、加圧手段として、図3に示すようにスプリング77は省略可能であり、その場合にはカム78が直接加圧レバー76の端部を押し上げるように作用する。
【0023】
このとき、加圧ローラ14は、定着ベルト11を介して定着ローラ12に対して所定の深さ(例えば、2〜4mm)食い込む。これにより、ニップ部N1は、所定のニップ幅を有することになる。
【0024】
なお、定着装置5では、前記加圧手段により加圧ローラ14の加圧状態を変更して、定着ベルト11内の定着ローラ12と加圧ローラ14の当接状態を変化させ、ニップ部N1のニップ幅を複数段階に切り替えることが可能である。これは、定着装置5においてニップ幅を一定としていると、画像光沢を付与するモードにおいて用紙の厚さによって光沢が異なることがあったり、画像光沢を付与しないモードにおいて薄い用紙では光沢が増加することがあったりすることに対応するものであり、画像光沢に関するモードごと、用紙の厚さや種類などの条件に応じて、前記加圧手段によりニップ部N1のニップ幅を調整して光沢度を調整することを行う。
【0025】
例えば、厚紙(坪量124〜300g/m2の用紙)の用紙を用いる場合には、カム78を調整して、ニップ幅を増大させる。また、普通紙以下の坪量の用紙を用いる場合には、そのままではニップ部N1から該用紙に定着に必要な熱量以上の熱量を供給することになり、画像の光沢度が予定以上に上昇するため、これを抑制する必要があり、カム78を調整して、ニップ幅を減少させ、光沢を抑えることが可能となる。これにより、光沢を付与しないモードにおいて、用紙として熱量過多となる傾向のある普通紙以下の坪量の用紙を使っても、ニップ圧の調整により、厚紙の場合と同等の画像光沢を維持することができる。
【0026】
また、光沢を付与するモードにおいても、用紙の厚さを考慮してカム78を調整し定着装置5におけるニップ部N1のニップ幅を調整して、定着後の画像(定着トナー)の光沢度を10〜30%、より好ましくは20〜30%、さらに好ましくは25%以上、例えば25〜30%とする。これにより、最終的な画像の光沢度を用紙の光沢度に合わせて一定にすることが可能となる。
【0027】
なお、加圧条件の例としては、ニップ部N1における荷重を15〜30N/cm2とする。そして、前記加圧手段により、用紙Sがグロスコート紙の場合(光沢を付与するモード)、ニップ部N1におけるニップ幅を20mmとする。また、用紙Sが普通紙の場合(光沢を付与しないモード)、ニップ部N1におけるニップ幅を15mmとする。その結果、ニップ部N1は、線速に対する総ニップ時間を50msec以上有し、それを減少調整させることで、厚紙(坪量300g/m2程度の用紙)を含めて定着装置5で十分な定着を行うことが可能である。
【0028】
以上のように、光沢を付与するモード、光沢を付与しないモードそれぞれでの希望光沢の信頼性を向上させることができる。また、この広いニップ部により、多種多様な紙種の定着性を良好にし、高速化・高生産性を実現することが可能となる。
【0029】
定着装置5の駆動の際には、例えば図1において、定着装置5用に設けられた駆動モータ(後述)により加圧ローラ14が図中反時計回り方向に回転駆動する。また別の駆動モータ(後述)により定着ローラ12が図中時計回り方向に回転駆動し、定着ベルト11が適切なテンションが付与された状態で用紙Sを排出する方向(図1では時計回り方向)に回動する。なお本発明では、加圧ローラ14が定着装置5における主駆動ローラとして制御される。ここで、主駆動ローラとは、モータなどの駆動機構により回転駆動され、そのローラ外周の周速が定着装置5における用紙の搬送速度(用紙搬送速度または単に搬送速度という)となるローラである。ここでは、加圧ローラ14のほうが、定着ローラ12よりも弾性層が薄く、表面温度の変動が小さいことから、外径変動が小さくなり、主駆動ローラに好適である。
【0030】
また、定着の際には、定着ベルト11は、従動ローラである加熱ローラ15内部に配置されたヒータ15hの発熱により温度検知センサ62で検出される温度が所定の温度(例えばトナー定着に適する温度)まで加熱される。
【0031】
ついで、ニップ部N1に未定着トナーTが形成された用紙Sが通され(図中、右側から左側方向への通紙)、ニップ部N1における加圧及び加熱により未定着トナーTを用紙S上に熱融着させて定着が行なわれる。
【0032】
そして、ニップ部N1の排出側で用紙Sは、分離部材44により定着ベルト11から分離され、あるいは分離部材43により加圧ローラ14から分離されて排出される。
【0033】
ニップ出口で分離部材44により定着ベルト11から分離した用紙Sは分離ニップ出口に配置されたガイド板45(後述)にガイドされて、搬送経路に誘導され、適正な搬送が可能となっている。また、両面印刷のときに用紙Sの1面目がベタ画像、2面目が白紙等のトナー画像が少ない場合に加圧ローラ14に巻きつき易くなるが、この場合にはニップ出口の下方に配置された分離部材43により用紙Sが加圧ローラ14から分離され、搬送経路に誘導される。
【0034】
ところで、通紙時に、ニップ部N1では定着ローラ12の駆動により定着ベルト11が図中時計回り方向に回動し、加圧ローラ14が駆動により反時計回りに回転している状態にあり、加圧ローラ14を主駆動ローラとして用紙の搬送制御が行われている。
【0035】
ここで、定着装置5では、定着ローラ12を軟らかい弾性体ローラ、加圧ローラ14を比較的硬いローラとし、定着ローラ12のローラ硬度が加圧ローラ14のローラ硬度よりも小となる構成となっているが、仮に従来の定着装置のように1つのモータを定着ローラ12と加圧ローラ14の共通の駆動モータとした場合、加圧ローラ14を加圧手段の加圧位置変化動作によって移動させ定着ローラ12とのニップ幅の調整を行なうと、ニップ幅によって、すなわちローラの変形状態によって定着部材(定着ベルト11)と加圧部材(加圧ローラ14)の線速差、すなわち搬送速度の差が変化する現象があった。これは、硬いローラ(ここでは加圧ローラ14)は食い込み量が変化してもローラがほとんど変形しないため線速が変化しないが、相手となる軟らかいローラ(ここでは定着ローラ12)は食い込み量に変化に対して変形の度合いも変わり、線速が変化していくためである。そのため、従来の定着装置においてはこのようなニップ幅の変化が定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度の差に大きな影響を与え、定着段階において、表層の磨耗や用紙上の画像ずれが発生することがあった。この現象の詳細を、図2を用いて説明する。
【0036】
図2は、加圧手段により、加圧ローラ14と定着ローラ12の圧接状態を変化させた様子を示す図である。実線で示した加圧ローラ14の位置によりニップ幅が最大となったニップ部N1maxを示し、点線で示した加圧ローラ14の位置によりニップ幅が最小となったニップ部N1minを示している。
【0037】
まず、ニップ部N1maxの状態では、軟らかい弾性体ローラである定着ローラ12は最も大きく変形した状態となり、平常状態の定着ローラ12の半径R0に対して、ニップ部N1max直前または直後の半径R1はかなり大きくなっている。一方、ニップ部N1minの状態では、定着ローラ12は比較的変形していない状態であり、ニップ部N1min直前または直後の半径R2は半径R0よりは大きいが、半径R1よりも小さい。このとき、半径R1,R2はmm単位で異なる。これに対して、加圧ローラ14は硬いので、加圧ローラ14と定着ローラ12の圧接状態が変化してもほとんど変化せず、その半径も変化しない。
【0038】
ここで、従来の定着装置のように1つのモータを定着ローラ12と加圧ローラ14の共通の駆動モータとした場合、例えば、図2のニップ部N1maxにおける定着ローラ12の周速と加圧ローラ14の周速がほぼ同じになるように駆動機構が設定されているとする。すると、加圧手段により、加圧ローラ14と定着ローラ12の圧接状態を変化させた場合、ニップ部N1での加圧ローラ14の食い込み量に応じて、ニップ部N1における定着ローラ12と加圧ローラ14の回転数比が変化するようになるため、図2の実線で示した加圧ローラ14と定着ローラ12の圧接状態では、ニップ部N1maxにおける定着ベルト11の線速(搬送速度)と加圧ローラ14の線速(搬送速度)はほぼ等速となるが、図2の点線で示した加圧ローラ14と定着ローラ12の圧接状態では、ニップ部N1minにおける定着ベルト11の搬送速度が加圧ローラ14の搬送速度よりも小となる速度差が生じることになり、表層の磨耗や用紙上の画像ずれが発生するようになる。
【0039】
また、定着装置5のニップ部N1における用紙の搬送速度は、用紙と接している定着ベルト11や加圧ローラ14と紙の摩擦係数により決まるが、ニップ部N1において定着ベルト11と加圧ローラ14で線速が異なる場合には定着ベルト11と加圧ローラ14のいずれか前記摩擦係数が高い側が低い側に勝って、傾向として高い側の線速に近くなる。すなわち、ニップ部N1における用紙の搬送速度を支配するローラ(あるいはベルト)は、定着条件、具体的には使用するトナー、用紙、オイルなどの影響によって変動し、定着ベルト11(つまり駆動ローラである定着ローラ12)であったり、加圧ローラ14であったりする。例えば、トナーや用紙、オイルの影響で定着ベルト11の摩擦係数が加圧ローラ14側よりも高い場合には、ニップ部N1における定着ローラ12の食い込み変形量が変わって定着ベルト11の線速が変わると、用紙の線速(搬送速度)はこれに習うようになる。その結果、用紙搬送速度が変われば、例えば転写工程−定着工程との関係において定着工程側が遅くなれば、用紙が定着工程前のガイド板に接触し、そのこすれ方により前後の用紙の進み方に違いが出てシワが発生することになる。逆に定着工程側が速くなれば、転写工程側が引張られるようになり、画像の伸びを発生しやすくなるし、更に転写工程―定着工程間の平行度の差の影響が強く出るためシワが発生しやすくなる。
このように、定着ベルト11と加圧ローラ14の用紙搬送速度の差が発生すると、定着条件で変わりうる摩擦係数の影響が加わって、用紙の安定した搬送がより困難となっていた。
【0040】
本発明はこれらの問題を解決するものである。
すなわち、本発明に係る定着装置5は、図3に示すように、定着ローラ12を駆動する第1モータ12mと、加圧ローラ14を駆動する第2モータ14mと、を備えることとし、ニップ部N1における定着部材(定着ベルト11)の用紙搬送速度と加圧部材(加圧ローラ14)の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する構成としている。なお、ここでいう用紙搬送速度とは、ニップ部N1において定着ベルト11、加圧ローラ14それぞれの用紙と接触する面における線速である。
【0041】
また、本発明では、図3に示すように、ギア101,102,103を介して駆動を伝達して定着ローラ12を駆動回転させ更に該定着ローラの駆動により定着ベルト11、加熱ローラ15、テンションローラ16を回転させる第1モータ12mと、ギア111,112,113,114を介して駆動を伝達して加圧ローラ14を駆動回転させる第2モータ14mと、をそれぞれ独立して制御可能に備えている。
【0042】
このように、定着ローラ12駆動用の第1モータ12mと加圧ローラ14駆動用の第2モータ14mとに駆動源を分けることにより、ニップ部N1における前記加圧手段による加圧ローラ14の加圧状態、すなわちローラ食い込み量の変化に基づいて、第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整することができる。本発明では、ニップ部N1における定着部材(定着ベルト11)の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度が所定の関係、好ましくは略等速、例えば両者の用紙搬送速度の差が1%以内となるように、第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する。これにより、定着条件が変化しても常に定着ベルト11と加圧ローラ14がニップ部N1で略等速で動くため、安定した用紙搬送を維持しつつ用紙の表裏の速度差に起因する表層の磨耗や画像ずれを防止することができる。
【0043】
なお、このとき第2モータ14mの回転数は一定とし、第1モータ12mの回転数を調整することが好適である。これにより、画像形成装置において、定着工程以前の転写工程の条件に影響を及ぼさずに、用紙の表裏の速度差に起因する画像ずれを防止することができる。例えば、図2において、第2モータ14mの回転数は一定として、ニップ部N1maxとなる場合、半径R1に対応して第1モータ12mの回転数を小とし、ニップ部N1minとなる場合、半径R2に対応して第1モータ12mの回転数を大とする。
【0044】
ところで、定着ローラ12は、定着装置5が通紙前の待機時には加熱ローラ15で加熱された定着ベルト11から熱を受けて加熱される状態にあり、通紙時には定着ベルト11から熱を受けつつ接触する用紙に熱を奪われる状態にある。これにより、定着ローラ12の表面温度は待機時にある一定の温度となっており、通紙時の最中には使用する用紙の厚さや種類、搬送速度等の定着条件によっては待機時の温度とは別のある一定の温度となり、それに伴って定着ローラ12の表層が収縮して外周径が変動する。そのため、待機時と通紙時で(詳しくは通紙開始直後から通紙の最中にかけて)定着ローラ12の半径が変動することに伴って定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度とで速度差が生じ、用紙上の画像ずれが発生することがある。また、その速度差の程度は定着条件ごとに異なる。
【0045】
また、加圧ローラ14は、ヒータ14hにより加熱されるが、加圧ローラ14が用紙上のトナーを直接加熱するためのものではないために、ヒータ14hのワット数は抑えられている。そのため、通紙開始前の静止状態にある待機時にヒータ14hにより加圧ローラ14を加熱しておくと、通紙時にはヒータ14hから与えられる熱量よりも用紙により奪われる熱量の方が大きいために、加圧ローラ14は徐々に冷えていくことになり、これに伴い加圧ローラ14の外径は通紙時の最中に小さくなっていく。その結果、定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度とで速度差が生じ、表層の磨耗や用紙上の画像ずれが発生してしまう。
【0046】
なお、通紙時には定着ローラ12は定着ベルト11を介して加圧ローラ14と圧接しており、冷えていく加圧ローラ14の温度の影響を受けることから、定着ローラ12の表面温度が変化する傾向(あるいはその時の定着条件におけるヒータ15hの発熱状態)から加圧ローラ14の温度すなわち外径を推定することが可能である。
【0047】
そこで、定着装置5では、温度検知センサ52により定着ローラ12の表面温度を検知し、その検知された温度に基づいて、第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整することを行う。詳しくは、例えば温度検知センサ52により通紙開始前に定着ローラ12の表面温度を検知しておき、ついでその状態から通紙を開始した後に検知される定着ローラ12の表面温度の変化から定着ローラ12と加圧ローラ14の外径変化を推定し、その推定結果に基づいて第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整するとよい。これにより、定着ローラ12の熱膨張の状態が変化しても常に定着ベルト11と加圧ローラ14がニップ部N1で略等速で動くため、安定した用紙搬送を維持しつつ用紙の表裏の速度差に起因する画像ずれを防止することができる。このときも第2モータ14mの回転数は一定とし、第1モータ12mの回転数を調整することが好適である。なお、このとき測定する定着ローラ12の温度は定着ベルト11を介した温度であってもよい。
【0048】
また、第1モータ12mまたは第2モータ14mのトルクに基づいて、第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整することが好ましい。例えば、第2モータ14mのトルク変動に基づいて第1モータ12mの回転数を調整するとよい。
【0049】
前述のように、表層の磨耗や画像ずれが発生するときは、定着ベルト11と加圧ローラ14との用紙搬送速度に速度差が発生しているときであり、この場合はお互いが等速のときと異なり、部分的に強く擦れ合うのでトルク(モータ電流値)が上昇する。また逆に、一番トルクが低いときは、定着ベルト11と加圧ローラ14がお互いに等速で動いている状態である。例えば、第1モータ12mと第2モータのトルク差が10%以内となるように第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整すると、ニップ部N1における定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度の差が1%以内となる。
【0050】
そこで本発明は、加圧ローラ14を主駆動ローラとして用紙搬送制御を行う場合、加圧ローラ14の回転数を一定値に固定し、第2モータ14mのトルク変動を検知するようにして、該第2モータ14mのトルク変動に基づいて定着ベルト11の回転に関わる定着ローラ12を駆動する第1モータ12mの回転数を可変として、安定した用紙搬送を維持しつつ表層の磨耗や画像ずれ防止を図るようにする。
【0051】
なお、加圧ローラ14の定着ローラ12への圧接条件ごとに第2モータ14mのトルクが最低となる第1モータ12mの回転数を予め求めておくとよい。またこのときの第2モータ14mの回転数は一定であるため、第2モータ14mと第1モータ12mの回転数比も求めておく。これにより、定着装置5が一番最初に稼働開始する時に、加圧ローラ14の定着ローラ12への圧接状態に基づいて、第2モータ14mと第1モータ12mの回転数比を決定しその回転数で駆動開始することにより、第1モータ12mの回転数調整の動作時間が短くなり、通常状態(加圧ローラ14の定着ローラ12への標準圧接状態)と同程度の短時間で最適線速に合わせることが可能となるため、通紙開始から最適速度で用紙の搬送を行なうことができ、用紙走行信頼性を向上させることができる。
【0052】
なお、通紙開始前と通紙開始後の定着ローラ12の表面温度の関係ごとに第2モータ14mのトルクが最低となる第1モータ12mの回転数を予め求めておくとよい。またこのときの第2モータ14mの回転数は一定であるため、第2モータ14mと第1モータ12mの回転数比も求めておく。これにより、通紙開始前と通紙開始後の定着ローラ12の表面温度の関係に基づいて、第2モータ14mと第1モータ12mの回転数比を決定しその回転数で駆動開始することにより、第1モータ12mの回転数調整の動作時間が短くなり、通常状態(加圧ローラ14の定着ローラ12への標準圧接状態)と同程度の短時間で最適線速に合わせることが可能となるため、通紙開始から最適速度で用紙の搬送を行なうことができ、用紙走行信頼性を向上させることができる。
【0053】
つぎに、定着装置5は、図4に示すように、加圧ローラ14を冷却する冷却機構14cを備え、通紙前待機時に、加圧ローラ14を定着ベルト11から離間させ、冷却機構14cにより加圧ローラ14を冷却するモード(冷却モード(1))と、加圧ローラ14を定着ベルト11に圧接し、冷却機構14cにより加圧ローラ14を介して定着ベルト11を冷却するモード(冷却モード(2))と、有することが好ましい。
【0054】
ここで、冷却機構14cは、例えば気流を発生させるファン機構からなり、該ファン機構から加圧ローラ14のローラ表面に空気流を吹きつけることにより該加圧ローラ14のローラ表面を冷却することが可能な構成となっている。この冷却機構14cは、例えば両面印刷の第1面(表)と第2面(裏)の画像光沢に差が生じないように、第2面印刷時に第1面と接触する加圧ローラ14を冷却する冷却機構と兼用してもよい。
【0055】
(冷却モード(1))
前述のように、定着ローラ12は、加熱ローラ15で加熱された定着ベルト11から熱を受けて加熱されるため、待機時、通紙時それぞれにおいて、比較的一定の温度に保たれ、外径もそれぞれの状態で一定している。一方、加圧ローラ14は、待機時にヒータ14hで加熱された状態から通紙を開始すると用紙に熱を奪われて徐々に冷却され小径化する傾向があり、定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度とに速度差を生じさせてしまう。そこで、定着装置5では、通紙前待機時に、定着ローラ12や定着ベルト11の熱的な影響を受けないように加圧ローラ14を定着ベルト11から離間させた状態で、温度検知センサ72により検知される加圧ローラ14の表面温度が通紙安定時の温度となるように、加圧ローラ14をヒータ14hにより加熱するとともに、冷却機構14cにより冷却する制御を行う(冷却モード(1))。また、その状態とした通紙開始時に、ニップ部N1における定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する。これにより、通紙開始から従来の連続通紙で冷却され最終的に一定となる加圧ローラ14の温度(通紙安定時の温度)となっているので、加圧ローラ14の外径が小径化することなく一定となり、常に定着ベルト11と加圧ローラ14がニップ部N1で略等速で動くため、安定した用紙搬送を維持しつつ用紙の表裏の速度差に起因する表層の磨耗や画像ずれを防止することができる。
【0056】
(冷却モード(2))
通紙される用紙の種類や厚さ、あるいはその他の定着条件によって、ニップ部N1における定着制御温度は異なる場合がある。そのため、前回通紙時の定着制御温度が高い状態から次回通紙時の定着制御温度が低い状態に切り替えられる場合があるが、この場合には、前記次回通紙開始後に定着ローラ12の表面温度は徐々に低下し、その外径が変化してしまう。そこで、定着装置5では、前記次回通紙前の待機時に、加圧ローラ14を定着ベルト11を介して定着ローラ12に圧接させた状態で、冷却機構14cにより加圧ローラ14、定着ベルト11を介して定着ローラ12を冷却し、通紙開始前に定着ローラ12の表面温度を前記次回通紙における通紙安定時の温度とする制御を行う(冷却モード(2))。また、その状態とした通紙開始時に、ニップ部N1における定着ベルト11の用紙搬送速度と加圧ローラ14の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する。これにより、前記次回通紙開始から連続通紙で冷却され最終的に一定となる定着ローラ12の温度(通紙安定時の温度)となっているので、定着ローラ12の外径が小径化することなく一定となり、常に定着ベルト11と加圧ローラ14がニップ部N1で略等速で動くため、安定した用紙搬送を維持しつつ用紙の表裏の速度差に起因する表層の磨耗や画像ずれを防止することができる。
【0057】
なお、ここまで定着ベルト方式の定着装置5を前提に本発明を説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、図5に示すような定着ローラ方式の定着装置にも適用可能である。すなわち、本発明の定着装置5’は、定着装置5の定着ベルト11、テンションローラ16、加熱ローラ15を省略した構成であって、円筒形状の定着ローラ12Rと、該定着ローラ12Rに対して回転自在に直接圧接しニップ部N1’を形成する加圧ローラ14と、を備える。
【0058】
ここで、定着ローラ12Rは、中空円筒状の基体ローラの外周にシリコーンゴム(ソリッドシリコーンゴム)又はシリコーンスポンジ(発泡シリコーンゴム)などの耐熱弾性層を形成してなるローラである。また、定着ローラ12Rの内部にヒータ12hを有し、温度検知センサ52により検知される定着ローラ12Rの表面温度に基づいてニップ部N1において適正に定着が可能なようにヒータ12hの点灯制御が行われる。
【0059】
また、加圧ローラ14は、前述したものと同様の加圧制御が行われる加圧手段を備えており、ニップ部N1’のニップ幅が用紙の種類(紙種)やモード(光沢を付与するモード、光沢を付与しないモード)によって複数の状態に可変可能な構成になっている。さらに、加圧ローラ14は、前述した冷却機構14cを備えている。
【0060】
また、定着装置5’は、図3の構成に準じる構成として、定着ローラ12Rを駆動する第1モータ12mと、加圧ローラ14を駆動する第2モータ14mと、を備えることとし、ニップ部N1’における定着部材(定着ローラ12R)の用紙搬送速度と加圧部材(加圧ローラ14)の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する構成としている。この第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する具体的な構成及び制御内容は、定着装置5と同じである。
【0061】
以上のように、定着装置5’において、定着ローラ12Rは前記構成Aにおける定着部材と定着側駆動ローラを兼ねるものであり、加圧ローラ14は前記構成Aにおける加圧部材と加圧駆動ローラを兼ねるものである。また、定着装置5’では、前記加圧手段が加圧ローラ14を押圧して定着ローラ12Rに圧接させる構成となっている。
【0062】
あるいは、本発明は加圧ベルトを用いた方式の定着装置にも適用可能である。
図6は、本発明に係る定着装置におけるその他の構成例(2)を示す断面図である。この定着装置5’’では、上側に回転自在に配置された図5に示したものと同様な定着ローラ12Rと、定着ローラ12Rの下にローラ13R,14R,15Rに回動自在に架け渡された加圧ベルト14aと、が当接して加圧ベルト14aの裏面にある加圧パッドであるバックアップ部材14bにより定着ニップ部N1’’を形成可能に配置されている。また、定着ローラ12Rはヒータ12hにより加熱され、加圧ベルト14aはヒータ14h’により加熱されるようになっている。
【0063】
また、少なくともバックアップ部材14bには、前述したものと同様の加圧制御が行われる加圧手段を備えており、ニップ部N1’’のニップ幅が用紙の種類(紙種)やモード(光沢を付与するモード、光沢を付与しないモード)によって複数の状態に可変可能な構成になっている。さらに、バックアップ部材14bは、前述した冷却機構14cを備えている(不図示)。
【0064】
また、定着装置5’’は、図3の構成に準じる構成として、定着ローラ12Rを駆動する第1モータ12mと、ローラ15Rを駆動する第2モータ14mと、を備えることとし、ニップ部N1’’における定着部材(定着ローラ12R)の用紙搬送速度と加圧部材(加圧ベルト14a)の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する構成としている。この第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する具体的な構成及び制御内容は、定着装置5と同じである。
【0065】
以上のように、定着装置5’’において、定着ローラ12Rは前記構成Aにおける定着部材と定着側駆動ローラを兼ねるものであり、加圧ベルト14aは前記構成Aにおける加圧部材であり、ローラ15Rは加圧側駆動ローラである。また、定着装置5’’では、前記加圧手段が押圧部材(バックアップ部材14b)を介して加圧ベルト14aを押圧して定着ローラ12Rに圧接させる構成となっている。
【0066】
また、その他の構成例(3)として、図7のように、定着部材、加圧部材ともにベルトとして構成するようにしても良い。具体的には、この定着装置5’’’では、定着部材としての定着ベルト11がローラ16R、17R及び案内部材12gに掛け渡され、ローラ17Rが回転駆動されて定着ベルト11が回転する。加圧部材としての加圧ベルト14aは、ローラ18R,19R及び案内部材14gに掛け渡され、ローラ18Rは加圧ベルト14a及び定着ベルト11をローラ16Rに押圧する。ローラ16R、18Rはそれぞれ内部に設けられている加熱手段としてのヒータ12h’、14h’’により加熱されて定着ベルト11及び加圧ベルト14aを加熱する。
【0067】
また、ローラ18Rは、前述したものと同様の加圧制御が行われる加圧手段を備えており、ニップ部N1’’’のニップ幅が用紙の種類(紙種)やモード(光沢を付与するモード、光沢を付与しないモード)によって複数の状態に可変可能な構成になっている。さらに、ローラ18Rは、前述した冷却機構14cを備えている(不図示)。
【0068】
また、定着装置5’’’は、図3の構成に準じる構成として、ローラ16Rを駆動する第1モータ12mと、ローラ19Rを駆動する第2モータ14mと、を備えることとし、ニップ部N1’’’における定着部材(定着ベルト12)の用紙搬送速度と加圧部材(加圧ベルト14a)の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する構成としている。この第1モータ12m及び/又は第2モータ14mの回転数を調整する具体的な構成及び制御内容は、定着装置5と同じである。
【0069】
以上のように、定着装置5’’’において、定着ベルト11は前記構成Aにおける定着部材であり、定着ローラ12は前記構成Aにおける定着側駆動ローラであり、加圧ベルト14aは前記構成Aにおける加圧部材であり、ローラ19Rは加圧側駆動ローラである。また、定着装置5’’’では、前記加圧手段が押圧部材(ローラ18R)を介して加圧ベルト14aを押圧して定着ベルト11に圧接させる構成となっている。
【0070】
本発明の定着装置(定着装置5,5’,5’’,5’’’)によれば、定着条件を変更しても常に定着部材(定着ベルト11、定着ローラ12R)と加圧部材(加圧ローラ14、加圧ベルト14a)がニップ部(ニップ部N1,N1’,N1’’,N1’’’)で略等速で動くため、用紙の表裏の速度差に起因する表層の磨耗や画像ずれを防止することができる。なお、定着装置5,5’,5’’,5’’’では、ニップ部における用紙の搬送を支配する部材は、定着部材,加圧部材の一方の部材となったり、他方の部材となったり、使用するトナーや用紙の種類などによって変動し、それぞれの場合に上下部材の用紙搬送速度の差が問題となりうるが、本発明はこの用紙の搬送を支配する部材が変動することに対しても有効であり、安定した用紙搬送を維持しつつ用紙の表裏の速度差に起因する表層の磨耗や画像ずれを防止することができる。
【0071】
つぎに、本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。
本発明に係る画像形成装置は、前述した本発明の定着装置(定着装置5,5’ ,5’’,5’’’)を備えることを特徴とするものである。また、本発明に係る画像形成装置は、用紙搬送のパスライン上であって、前記定着装置の下流側に、加熱手段を有する第1回転体及びトナーに光沢を付与する光沢付与ニップ部を形成可能に該第1回転体に圧接する第2回転体を有する光沢付与装置を備えることを特徴とする。
【0072】
図8は、本発明に係る画像形成装置の一態様であるデジタルカラー複写機装置本体の全体構成を示す断面概略図である。
カラー複写機100は、装置本体上部に位置する画像読取部100Aと、装置本体中央部に位置する画像形成部200Bと、装置本体下部に位置する給紙部200Cと、を有する。
【0073】
画像読取部100Aには、原稿の画像情報を光学読み取りするスキャナ部1と、原稿を連続してスキャナ部1に搬送するADF(自動原稿送り装置)10と、を備える。
【0074】
画像形成部100Bには、水平方向に延びる転写面を有するベルト状の中間転写体30が配置されており、該中間転写体30の上面には、色分解色と補色関係にある色の画像を形成するための構成が設けられている。すなわち、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による像を担持可能な像担持体としての4つの感光体31が中間転写体30の転写面に沿って並置されている。
【0075】
感光体31の上方には、スキャナ画像情報、外部画像情報に基づいた露光光を各感光体31の周面に照射する書込み部2が配置されている。また、各感光体31はそれぞれ同じ方向(反時計回り方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周りには、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置、現像装置、1次転写装置からなる現像部3と、転写後の感光体31の残留トナーを回収するクリーニング部36と、が配置されている。また、各現像装置には、それぞれのカラートナーが収容されている。
【0076】
中間転写体30は、駆動ローラと従動ローラに掛け回されて各感光体31との対峙位置において同方向に移動可能な構成を有している。また、従動ローラの1つに対向する位置に転写ローラである2次転写部34が設けられている。また、2次転写部34の位置からの用紙(用紙ともいう)搬送のパスライン上に、搬送ベルト35、定着装置5(または定着装置5’でもよい)、光沢付与装置6、搬送ローラ対7がこの順番で配置されている。
【0077】
給紙部200Cは、用紙としての用紙を積載収容する給紙トレイ41(各給紙トレイとして41a,41b,41c,41dがある)と、該給紙トレイ41内の用紙を最上のものから順に1枚ずつ分離して、2次転写部の位置まで搬送する搬送路37、画像形成とのタイミングやスキュー補正を行うレジスト部38を含む搬送機構を有している。
【0078】
本発明の画像形成装置100における画像形成に当たっては、感光体31の表面が現像部3の帯電装置により一様に帯電され、画像読取部100Aからのスキャナ画像情報、あるいは外部画像情報に基づいて書込み部2により各感光体31上にその色に応じた静電潜像が形成される。該静電潜像は対応する色のトナーを収容した現像装置によりトナー像として可視像化され、該トナー像は所定のバイアスが印加される1次転写装置により中間転写体30上に1次転写される。これにより、それぞれの色のトナー像が中間転写体30上に静電気力で順に転写されて重ね合わせられることになる。
【0079】
つぎに、中間転写体30上に1次転写されたトナー像は、2次転写部34で搬送されてきた用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、さらに定着装置5まで搬送され、定着部材と加圧部材との定着ニップ部にて定着が行なわれる。つぎに、用紙上の定着トナーは必要に応じて光沢付与装置6にて光沢が付与され、搬送ローラ対7で搬送され、排紙部8から排出経路に沿って送出された後に、出力画像として装置本体から排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0080】
本発明に係る画像形成装置では、高度な定着、光沢付与機能が得られ、さまざまな紙種(薄紙から厚紙まで)・画像(光沢付与、光沢付与なし)への対応が用紙生産性を低下させることなしに可能となる。
【0081】
図9は、図8に示した画像形成装置(カラー複写機)の要部構成例を示す概略図である。
本発明に係る画像形成装置100は、用紙上の画像に光沢を付与するモードと光沢を付与しないモードを有する画像形成装置であって、定着部材(定着ベルト11)及び該定着部材に圧接してトナーを用紙に定着させるニップ部(定着ニップ部ともいう)N1を形成する加圧部材(加圧ローラ14)を有する定着装置(定着装置5)と、加熱手段(ヒータ85)を有する第1回転体(加熱ローラ80)及びトナーに光沢を付与するニップ部(光沢付与ニップ部ともいう)N2を形成可能に該第1回転体に圧接する第2回転体(加圧ローラ90)を有する光沢付与装置(光沢付与装置6)と、を用紙搬送のパスライン(パスラインPL)上に備えるものである。
【0082】
ここで、前記用紙上の画像に光沢を付与しないモードの場合、光沢付与装置6は、加熱ローラ80への加圧ローラ90のニップ圧を、光沢を付与するモードのときの該加熱ローラ80への加圧ローラ90のニップ圧よりも低くして前記用紙の搬送を行う。
【0083】
また、本発明に係る画像形成装置100は、用紙上の画像に光沢を付与するモードと光沢を付与しないモードを有する画像形成装置であって、回動可能に設けられる定着部材(定着ベルト11)と該定着部材に圧接してトナーを用紙に定着させるニップ部(定着ニップ部ともいう)N1を形成する加圧部材(加圧ローラ14)とを有する定着装置(定着装置5)と、加熱手段(ヒータ85)を有する第1回転体(加熱ローラ80)と定着トナーに光沢を付与するニップ部(光沢付与ニップ部ともいう)N2を形成可能に該第1回転体に圧接する第2回転体(加圧ローラ90)とを有する光沢付与装置(光沢付与装置6)と、前記定着装置のニップ部後端から距離L1として210mm以内に配置され、前記用紙を搬送する搬送ローラ対(搬送ローラ対7)と、を1つの用紙搬送のパスラインPL上にこの順番で備えるものである。
【0084】
ここで、前記用紙上の画像に光沢を付与しないモードの場合であって、該用紙の搬送方向の長さ(以下、単に用紙の長さという)が210mm未満のときに、光沢付与装置6は、加熱ローラ80への加圧ローラ90のニップ圧を、光沢を付与するモードのときの該加熱ローラ80への加圧ローラ90のニップ圧よりも低くして前記用紙の搬送を行う。また、前記用紙の長さが210mm以上のときに、光沢付与装置6は加熱ローラ80と加圧ローラ90の間を開放し、搬送ローラ対7が該用紙の搬送を行う。なお、ここでいう開放とは、加熱ローラ80と加圧ローラ90を離間させ、その間を前記用紙が通過可能な状態とすることである。これらの制御の詳細は後述する。
【0085】
(定着装置)
定着装置5は、前述した本発明に係る定着装置であり、定着ベルト11、加圧ローラ14が回転駆動された状態で、定着ベルト11の表面は所定の温度まで加熱されており、ニップ部N1に未定着トナーTが形成された用紙が通され(図中、右側から左側方向への通紙)、ニップ部N1における加圧及び加熱により未定着トナーを用紙上に熱融着させて定着が行なわれる。ついで、トナー定着された用紙はニップ部N1から排出されるが、分離部材43,44により用紙が加圧ローラ14,定着ベルト11から分離されて排出される。
【0086】
定着装置5から排出された用紙は、つぎに光沢付与装置6に送られるが、定着装置5と光沢付与装置6との間に、例えば2枚の板状部材がパスラインPLの上下に配置され、搬送される用紙を通す隙間を定着装置5から光沢付与装置6に向かって狭くしたガイド板45を設けるとよい。定着装置5から排出される用紙がカールした状態にあっても、ガイド板45が用紙のカール等を補正して用紙先端が搬送方向に向くようになるため、光沢付与装置6でのシワやジャムを防止することができ、搬送品質を安定化させることができる。なお、本発明では定着装置5により用紙上のトナーは十分に定着されているので、通常の搬送においてガイド板45に接触しても画像品質が損なわれることはない。このようなガイド板としては、図10に示すように、ガイド板45と、該ガイド板45と同様な2枚の板状部材がパスラインPLの上下に配置され、搬送される用紙を通す隙間を定着装置5から光沢付与装置6に向かって狭くしたガイド板46と、をパスラインPLに沿ってつないで配置したものでもよい。
【0087】
(光沢付与装置)
光沢付与装置6は、加熱手段(加熱部材85)を内部に有する中空円筒形状の第1回転体(加熱ローラ80)と、用紙上の画像(定着トナー)に光沢を付与するニップ部N2を形成可能に該第1回転体に圧接する第2回転体(加圧ローラ90)と、を有する。
【0088】
ここで、加熱ローラ80は、円筒形状のアルミ又は鉄等の芯金の円周上にシリコーンゴム等の弾性層が設けられ、芯金内部にヒータ85を内蔵している。
また、加圧ローラ90は、丸棒形状のアルミ又は鉄等の芯金の円周上にシリコーンゴム等の弾性層が設けられている。
【0089】
また、加熱ローラ80のニップ部N2入側に近い表面温度を検知する温度検知センサ82を備えており、該温度検知センサ82で検知される温度に基づいて加熱手段85であるハロゲンヒータなどのヒータの点灯制御が行われ、加熱ローラ80の表面温度が一定に保たれている。
【0090】
この加熱ローラ80の表面温度は、画像に光沢を付与するモードのときに、定着トナーに適切に光沢を付与するためにコントロールされる温度である。例えば、用紙上の定着トナーに接触する加熱ローラ80の表面温度は、定着装置5の定着部材(定着ベルト11)の表面温度より低い。あるいは、加熱ローラ80の表面温度は、光沢付与装置6への用紙進入時の用紙温度以上、定着装置5からの該用紙排出直後の用紙温度以下であることが好ましい。
【0091】
あるいは、加熱ローラ80の表面温度は、使用されるトナーのフローテスターによる軟化温度以上、1/2流出開始温度以下であることが好ましく、軟化温度以上、流出開始温度以下であることがより好ましい。ここで、これらのトナー物性温度は、例えばフローテスター(CFT−500D(島津製作所製))を使って、荷重5kg/cm2、昇温速度3.0℃/min、ダイ口径1.00mm、ダイ長さ10.0mmの条件で測定し、温度に対するピストンストロークの関係から求めるとよい。なお、1/2流出開始温度とは、流出開始温度と流出終了温度の中点となる温度である。
【0092】
具体的な加熱ローラ80の表面温度は、例えば60℃(使用トナーの物性温度における軟化温度)〜137℃(使用トナーの物性温度における1/2流出開始温度)が好ましく、60〜120℃(使用トナーの物性温度における流出開始温度)が好ましく、さらに好ましくは80〜100℃である。なお、トナーに関する温度(トナー物性温度)は、トナーロットや色によりばらつきがあり、ここで示す温度はその平均値である。
【0093】
画像形成装置100において、定着装置5通過時(定着工程)では、用紙上の未定着状態のトナーは、ニップ部N1で熱と圧力を受けて、トナー表面から用紙上までトナー層全体が溶融されており、これにより定着が完了する。また、トナーはある程度の平滑化等とともに用紙に密着するようになり、トナー表面にも強い粘着力が発生している。
【0094】
これに対して、光沢付与装置6通過時(光沢付与工程)では、すでに定着が完了しているので、トナー表面をレベリングするだけの熱量を付与する。ここでいう「レベリング」とは、トナー表面を平滑化して光沢度を上げることである。光沢付与装置6に入ってきた用紙上のトナーはニップ部N2で熱と圧力を受けるが、加熱ローラ80の表面温度が光沢付与装置6への用紙進入時の用紙温度以上、定着装置5からの該用紙排出直後の用紙温度以下(あるいは、使用されるトナーのフローテスターによる軟化温度以上、1/2流出開始温度以下。またあるいは、60〜120℃)であるため、トナー層の全体を溶かすのではなく表層を軟化させるのみとなり、トナーとしての色はそのまま保持されつつ、表層のみが平滑な加熱ローラ80の表面によりレベリングされ光沢が向上する。このときのトナー表面は定着工程のときほどの粘着力はないため、加熱ローラ80の直径を30mm以上、40mm以下としても、用紙の分離性が良好である。すなわち、光沢付与装置6の用紙排出側に設けた分離部材83を省略することができ、装置構成の簡素化によるコストダウンが可能となる。また、定着工程のようにトナー層全体を溶かすことによるオフセットが発生しないため、加圧ローラ90の表面のトナー汚れを除去するためのクリーニング部材を省略することができ、装置構成の簡素化によるコストダウンが可能となる。
【0095】
なお、本発明の画像形成装置100において、用紙の種類や紙厚、搬送速度によっては、定着装置5通過時に定着が完了していなくてよく、例えば定着装置5を1段目の定着装置とし、光沢付与装置6を2段目の定着装置として2段の定着装置により定着を完了させるようにする。これは、秤量124g/m2の以上の厚紙を高速で搬送する場合などに有効である。
【0096】
また、加圧ローラ90には、加圧レバー96、スプリング97、加圧中間部材96a、カム98からなる加圧調整手段が設けられており、画像に光沢を付与するモードのときには、この加圧調整手段により加圧ローラ90を所定の圧力での加圧状態とする。
【0097】
その動作としては、まず、外部からの駆動力によりカム98が図中矢印方向に一定の回転角だけ回転されると、該カム98が加圧中間部材96aを押し上げる(図中矢印方向)。加圧中間部材96aが押されると、該加圧中間部材96aに固定されているスプリング97が一定の圧力で加圧レバー96の端部を押し上げる。つぎに、加圧レバー96のスプリング97側の端部が押し上げられると、該加圧レバー96は支持軸96bを中心軸として回転する(図9では時計回り方向)。ついで、加圧レバー96のスプリング97側の端部と支持軸96bの中間にある加圧部96cが加圧ローラ90の軸に当接し、加熱ローラ80方向に押すように作用する。最後に、加圧ローラ90が加熱ローラ80に当接し、所定の圧力で加圧する状態となり光沢付与用のニップ部N2を形成する。なお、加圧調整手段として、スプリング97は省略可能であり、その場合にはカム98が直接加圧レバー96の端部を押し上げるように作用する。
【0098】
加圧調整手段による圧力の調整はカム98の回転角の調整で行われ、カム98の所定の回転位置で加熱ローラ80と加圧ローラ90とを離間させ、ニップ部N2を開放することが可能である。
【0099】
なお、ニップ部N2におけるニップ圧は、用紙上の画像に光沢を付与するモードのとき、前記加圧調整手段により、15〜30N/cm2に調整されることが好ましい。これにより、定着装置5から搬送されてきた用紙が光沢付与装置6を通過するときには、ニップ部N2にて定着トナーに熱を加えるとともに所定の圧力が加えられることにより、該定着トナー表層のレベリングが行われて光沢が付与されることになる。
【0100】
また、光沢を付与しないモードのとき、前記加圧調整手段により、ニップ部N2におけるニップ圧は光沢を付与するモードのときのニップ部N2におけるニップ圧よりも低く調整される。例えば、15N/cm2未満に調整されることが好ましく、5N/cm2以下に調整されることがより好ましい。このときのニップ圧とは、ニップ幅全体の平均値である。これにより、用紙は加熱ローラ80、加圧ローラ90でニップされるが、ニップ圧が弱いため、画像の光沢を上昇させることなく、用紙を搬送するだけの装置として機能する。
【0101】
このように、光沢付与装置6では、前記加圧調整手段により加圧ローラ90の加圧状態を変更して、加熱ローラ80と加圧ローラ90の当接状態を変化させ、加圧ローラ90への加熱ローラ80の食い込み量を変化させているため、図2に示した原理により、ニップ部N2直前の加圧ローラ90の半径が前記加圧調整手段による加圧状態に伴って変化して、光沢付与装置6における用紙搬送速度が変化して予定した用紙の搬送速度と異なることがあった。その結果、定着装置5における用紙搬送速度と適正な関係を維持できなくなり、用紙の安定した搬送が困難となっていた。
【0102】
そこで、本発明に係る画像形成装置100では、光沢付与装置6における第1回転体(加熱ローラ80)または第2回転体(加圧ローラ90)を駆動する第3モータ(第3モータ80m)を定着装置5のローラ駆動(第1モータ12m、第2モータ14mの駆動系)から独立して光沢付与装置6のローラ駆動用として備える。詳しくは、図10に示すように、ギア121,122,123を介して駆動を伝達して加熱ローラ80を駆動回転させる第3モータ80mを独立して制御可能に備える。
【0103】
このように加熱ローラ80駆動用の第3モータ80mを独立して備えることにより、ニップ部N2における前記加圧調整手段による加圧ローラ90の加圧状態、すなわちローラ食い込み量の変化に基づいて、第3モータ80mの回転数を調整し、加熱ローラ80及び供回りする加圧ローラ90の用紙搬送速度、すなわち光沢付与装置6における用紙搬送速度が所定の速度一定となるようにすることができる。その結果、定着装置5における用紙搬送速度と適正な関係を維持でき、用紙の安定した搬送が可能となる。
【0104】
また、画像形成装置100におけるローラ硬度の関係は、定着装置5では「定着ローラ12<加圧ローラ14」であり、光沢付与装置6では「加圧ローラ90<加熱ローラ80」である。ここで、弾性体ローラ同士でニップ部を形成する場合にはローラ硬度が低い(軟らかい)ローラが変形して線速(周速)が変化するので、定着装置5では加圧ローラ14、光沢付与装置6では加熱ローラ80の方が線速(周速)が変わり難い。
【0105】
そこで、画像形成装置100では、加圧ローラ14、加熱ローラ80をそれぞれ定着装置5、光沢付与装置6の主駆動ローラとし、定着装置5の用紙搬送速度(V1)と光沢付与装置6の用紙搬送速度(V2)の速度差が所定の範囲内となるように加圧ローラ14駆動用の第2モータ14mまたは加熱ローラ80駆動用の第3モータ80mの回転数を調整する駆動制御を行う構成とする。
【0106】
なお、前記速度差(V2−V1)が所定の範囲内となるように制御するに当たっては、第3モータ80mの回転数を調整して光沢付与機構部6における用紙搬送速度を調整することが好ましい。画像形成装置100においては、様々なサイズの用紙が通されるが、その中で比較的長い用紙、例えばA3サイズや19インチ紙であって長手方向を搬送方向として搬送される場合には、1枚の用紙が2次転写部34のニップ部(転写ニップ)と定着装置5のニップ部N1でニップされる状態となる。このとき、定着装置5における搬送速度を変更すると、定着工程以前の転写工程の条件にまで影響を及ぼすため好ましくない。そのために、2段目のニップ部N2側である光沢付与装置6側の第3モータ80mの回転数を調整する。
【0107】
また、1.02≧V2/V1≧1.00(式(1))の関係となるように、第2モータ14mまたは第3モータ80mの回転数を調整するとよい。
【0108】
これは、光沢付与装置6における搬送速度(V2)よりも定着装置5における搬送速度(V1)の方が大きいと(V2/V1<1.00のとき)、定着装置5と光沢付与装置6の間で用紙が波打って弛み、該用紙又は画像にたるみシワが発生する不具合が起こりやすいためである。一方、光沢付与装置6における搬送速度(V2)が定着装置5における搬送速度(V1)よりも大きいと、用紙は光沢付与装置6側に引張られる状態となって、用紙の弛みが吸収され好ましいが、光沢付与装置6における搬送速度(V2)が定着装置5における搬送速度(V1)より大きい過ぎると(V2/V1>1.02)、両者間で用紙を強く引張ることになり、用紙または画像にろっ骨シワと呼ばれる用紙のエッジから中央方向に斜めに延びるシワやバンディングが発生する不具合が起こりやすくなる。
【0109】
なお、第2モータ14mまたは第3モータ80mにおける回転数の調整に当たっては、例えば第2モータ14m,第3モータ80mそれぞれの電流値がそれぞれの基準電流値以下となるように調整を行うとよい。あるいは、定着装置5,光沢付与装置6における搬送速度と、加圧ローラ14,加熱ローラ80の条件(回転数、表面温度など)との関係を予め求めておき、その関係に基づいて、第2モータ14mまたは第3モータ80mにおける回転数を調整するとよい。
【0110】
このうち、定着装置5における加圧ローラ14の表面温度及び光沢付与装置6における第1回転体(加熱ローラ80)の表面温度に基づいて、定着装置5における用紙搬送速度と光沢付与装置6における用紙搬送速度との速度差が所定の範囲内となるように、第2モータ14mまたは第3モータ80mの回転数を調整することが好ましい。
【0111】
ここで、加圧ローラ14、加熱ローラ80は弾性体ローラであるため、ローラ温度による熱膨張の程度によってその外径が変化し、定着装置5、光沢付与装置6それぞれにおける用紙搬送速度が変化する原因となる。そこで、温度検知センサ72による加圧ローラ14の表面温度の検知結果から定着装置5における線速変動分(用紙搬送速度変動分)を算出し、温度検知センサ82による加熱ローラ80の表面温度の検知結果から光沢付与装置6における線速変動分(用紙搬送速度変動分)を算出し、それらの変動分を打ち消すように第2モータ14mまたは第3モータ80mの回転数を調整するとよい。
【0112】
また、用紙の厚さが厚くなるとその厚み分だけ、定着装置5において加圧ローラ14は定着ローラ12から離れる方向に移動する。また、グロスコート紙など用紙の種類により該用紙表面の摩擦係数が低くなるとニップ部N1における用紙の微小なスベリが発生し、用紙搬送速度を増加させる必要があるが、それらによりガイド板45内で用紙が弛み、部分的にガイド板45の板状部材に接触して、図11に示すように用紙Sの搬送方向が本来の搬送方向から斜め方向にずれるため、シワ等が発生しやすくなる。そこで、使用する用紙の厚さ又は種類ごとに、用紙がガイド板45内で弛むことなく適正に搬送される第1モータ12m、第2モータ14m、第3モータ80mの回転数比、あるいは第1〜第3モータ12m,14m,80mでの回転数を予め求めておき、通紙開始前に、使用する用紙の厚さや種類に基づいて、第1モータ12m、第2モータ14m、第3モータ80mの回転数比を決定し、その回転数比に基づくそれぞれの回転数で駆動開始するとよい。これにより、用紙の厚さ又は種類が変わっても、通紙開始から最適速度で用紙の搬送を適正に行うことができ、用紙走行信頼性を向上させることができる。
【0113】
なお、定着装置5と光沢付与装置6との間で用紙が弛むと、前述のように該用紙がガイド板45に接触してシワや画像擦れの不具合が発生する。これに対して、光沢付与装置6の方が定着装置5よりも用紙搬送速度が速い関係(例えば、V2/V1>1.02の関係)としてこの用紙の弛みを抑えるように駆動制御を行うと、この不具合を防止することができ搬送状態も安定させることができる。しかしながら、定着装置5、光沢付与装置6ともにニップ部N1,N2の圧が高く駆動モータのトルクが重いため、このような用紙が突っ張る用紙搬送制御を行うと駆動モータのトルクの異常なアップとなり好ましくない。
【0114】
そこで、少なくとも光沢付与装置6のニップ部N2への1枚の用紙の進入開始時から所定時間の間だけ、該光沢付与装置6における用紙搬送速度を増加させることが好ましい。これにより、光沢付与装置6への用紙の進入開始時にとくに発生しやすい用紙の弛みを抑えることができ、シワや画像擦れの不具合を防止することができる。
【0115】
この用紙搬送制御は例えばつぎの手順で行う。なお、この場合は、定着装置5と光沢付与装置6の間のパスラインPLを通過する用紙(とくに用紙の先端)を検知する光学センサのような用紙検知センサ47を備えるようにする(図9)。
(S1) 光沢付与装置6の主駆動ローラの駆動モータ(第3モータ80m)の回転数を増加させた状態で光沢付与装置6に用紙が進入した場合の用紙検知センサ47が用紙先端を検知した時点から用紙弛みが吸収されるまでの時間(用紙弛み吸収時間)を予め測定する。
(S2) 画像形成装置100において通紙が開始され、定着装置5と光沢付与装置6の間のパスラインPLを通過する1枚の用紙の先端を用紙検知センサ47が検知した時に、第3モータ80mの回転数を増加させることにより光沢付与装置6における用紙搬送速度を増加させておく。このときの第3モータ80mの回転数の増加とは、例えば定着装置5と光沢付与装置6で適正に用紙を搬送することができる状態の第3モータ80mの回転数からある規定値分だけ増加させることである。
(S3) ステップS2で用紙検知センサ47が用紙先端を検知した時から前記用紙弛み吸収時間の間、ステップS2の第3モータ80mの回転数の増加状態を維持する。これにより、少なくとも光沢付与装置6のニップ部N2に1枚の用紙が進入開始する時から該用紙は光沢付与装置6側に引張られる状態となって、用紙の弛みが吸収される。
(S4) ステップS2で用紙検知センサ47が用紙先端を検知した時から前記用紙弛み吸収時間経過後、定着装置5と光沢付与装置6で適正に用紙を搬送することができる状態の第3モータ80mの回転数に戻される。すなわち、前記式(1)の関係となるように、第3モータ80mの回転数を調整する。
【0116】
以上の用紙搬送制御により、光沢付与装置6への用紙進入初期のときだけ光沢付与装置6の用紙搬送速度を通常搬送時よりも増加させ、それ以後は通常搬送時の用紙搬送速度とするので、用紙の弛みを取りつつ駆動モータのトルク増加を抑制することができ、安定した用紙搬送が可能となる。
【0117】
なお、光沢を付与しないモードで、搬送方向の長さが基準長さ以上の用紙を搬送する場合、光沢付与装置6では、前記加圧調整手段により、加熱ローラ80と加圧ローラ90の間(ニップ部N2)を開放し、搬送ローラ対7が前記用紙の搬送を行うとよい(図9)。また、光沢を付与しないモードで、搬送方向の長さが基準長さ未満の用紙を搬送する場合、光沢付与装置6では、前記加圧調整手段により、前述のようにニップ部N2におけるニップ圧を光沢を付与するモードのときのニップ部N2におけるニップ圧よりも低く調整し、前記用紙の搬送を行うとよい。
【0118】
ここでいう、「基準長さ」とは、画像形成装置100における装置レイアウト(距離L1、L2)から適宜設定される長さであることが好ましい。例えば、装置レイアウトの決まった画像形成装置100において、光沢付与装置6の加熱ローラ80、加圧ローラ90間を開放した状態で、定着装置5のニップ部N1を出た用紙の先端が該用紙の後端がニップ部N1を出る前に搬送ローラ対7に到達して適切に搬送することが可能な用紙の長さの最大値、あるいはその長さの範囲に装置特性を加味して導き出した値である。
【0119】
ここで例えば、基準長さがB5版用紙の長手方向の長さやB4版用紙の短手方向の長さ(257mm)の場合、光沢を付与しないモードであって、用紙の長さが257mm未満のとき(例えば、A4版用紙の短手方向を搬送方向とするとき)、前記加圧調整手段により、前述のようにニップ部N2におけるニップ圧を光沢を付与するモードのときのニップ部N2におけるニップ圧よりも低く調整し、用紙の長さが257mm以上のとき、前記加圧調整手段により、加熱ローラ80と加圧ローラ90の間(ニップ部N2)を開放する。
【0120】
あるいは、例えば、基準長さがA4版用紙の短手方向の長さ(210mm)の場合、光沢を付与しないモードであって、用紙の長さが210mm未満のとき、前記加圧調整手段により、前述のようにニップ部N2におけるニップ圧を光沢を付与するモードのときのニップ部N2におけるニップ圧よりも低く調整し、用紙の長さが210mm以上のとき、前記加圧調整手段により、加熱ローラ80と加圧ローラ90の間(ニップ部N2)を開放する。
【0121】
なお、ここまで用紙サイズの値を基準長さとした例を示したが、基準長さは必ずしも用紙サイズと一致するものではない。
例えば、基準長さが200mmである場合もありうる。この場合、光沢を付与しないモードであって、用紙の長さが200mm未満のとき、前記加圧調整手段により、前述のようにニップ部N2におけるニップ圧を光沢を付与するモードのときのニップ部N2におけるニップ圧よりも低く調整し、用紙の長さが200mm以上のとき、前記加圧調整手段により、加熱ローラ80と加圧ローラ90の間(ニップ部N2)を開放する。
【0122】
あるいは、基準長さが装置レイアウトから導き出されるある値の範囲から適宜設定される場合もある。例えば、距離L1=210mm、距離L2≦182mmのとき、その値の範囲を182mmより大、210mm以下とし、その範囲から基準長さを200mmと設定する。この場合、光沢を付与しないモードであって、B5版用紙をその短手方向(長さ182mm)を搬送方向として搬送するとき、前記加圧調整手段により、前述のようにニップ部N2におけるニップ圧を光沢を付与するモードのときのニップ部N2におけるニップ圧よりも低く調整し、A4版用紙をその短手方向(長さ210mm)を搬送方向として搬送するとき、前記加圧調整手段により、加熱ローラ80と加圧ローラ90の間(ニップ部N2)を開放することになる。
【0123】
また「基準長さ」を、光沢を付与しないモードで、定着装置5と光沢付与装置6との間の用紙線速差に起因する撓みや引張り合いにより用紙に微小シワ等が発生しうる最小用紙長さとしてもよい。
【0124】
光沢を付与しないモードでは、薄紙長手用紙として秤量80g/m2以下のA3版等の用紙を使用することがあるが、この用紙の場合には、定着装置5と光沢付与装置6との間のわずかな用紙線速差によっても撓みや引張り合いにより用紙に微小シワ等が発生する。そのため、光沢付与装置6の加熱ローラ80と加圧ローラ90とを離間させて、この問題を解決するものである。このとき、用紙は光沢付与装置6を通過するだけであるが、用紙の長さが基準長さ(例えば、210mm)以上であるため、定着装置5のニップ部N1から出てきた用紙先端は搬送ローラ対7まで到達し、搬送ローラ対7が用紙をニップして搬送することになる。これにより、形成された画像にローラが接触する機会を減らして画像品質を確保するとともに、確実に搬送することができる。この場合、画像形成装置100における距離L1はこの基準長さ以下とされる。
【0125】
また、この開放するときの加熱ローラ80と加圧ローラ90の間(ローラ間ギャップ)は2mm以下にするとよい。ローラ間ギャップを2mmより大きくすると、用紙がパスラインPLから外れてジャムが発生しやすくなるためである。
【0126】
なお、加熱ローラ80、加圧ローラ90のそれぞれの表層にフッ素樹脂で被覆することが好ましい。これによれば、用紙の離型性を改善するだけでなく、光沢を付与しないモードで前記のようにローラ間ギャップを2mm以下として加熱ローラ80と加圧ローラ90を離間させて、この間を用紙を通過させる際に、画像面が加熱ローラ80に部分的に接触することがあるが、表面のフッ素樹脂層80aが離型性を有しているために、画像が部分的に接触したとしても画像削れ等の発生を防止することができる。
【0127】
以上のように光沢付与装置6を構成することにより、光沢を付与するモードにおいて目標光沢を安定して得ることができ、また光沢を付与するモード、光沢を付与しないモードそれぞれにおける目標光沢の信頼性を向上させている。
【0128】
また、光沢付与装置6の配置位置として、定着装置5のニップ部N1の後端から該光沢付与装置6のニップ部N2の先端までの距離L2が50mm以上、例えば60〜182mmとなるように、より好ましくは70〜150mmとなるように、さらに好ましくは80〜100mmとなるように、加熱ローラ80及び加圧ローラ90が配置されることが好ましい。
【0129】
距離L2が50mm未満となると、ガイド板45の2枚の板部材の入り側の間隔と出側の間隔は決まっていることから、該板部材の傾斜が急となりすぎて、ガイド板45でジャムが発生しやすくなり不適である。なお、距離L2の下限は、画像形成装置100の構成、例えば定着装置5や光沢付与装置6それぞれのニップ部の構成により変わりうる。
【0130】
また、距離L2の上限は最小用紙長さとするとよい。例えば、距離L2=182mmはB5版用紙の短手方向を搬送方向として搬送する場合に対応するための距離である。また、ハーフレターサイズの用紙の短手方向を搬送方向として搬送する場合には、距離L2の上限を150mmとする。また、官製はがきの用紙の短手方向を搬送方向として搬送する場合には、距離L2の上限を100mmとする。
【0131】
なお、A4版用紙の短手方向が最小用紙長さとなる場合には、距離L2の上限を210mmとしてもよい。あるいは、B5版用紙の長手方向が最小用紙長さとなる場合には、距離L2の上限を257mmとしてもよい。これらの場合には、距離L1の上限も距離L2の上限の距離に対応して変更する必要がある。
【0132】
光沢付与装置6から排出された、または通過した用紙は、つぎに搬送ローラ対7に送られるが、光沢付与装置6と搬送ローラ対7との間に、例えば2枚の板状部材がパスラインPLの上下に配置され、搬送される用紙を通す隙間を光沢付与装置6から搬送ローラ対7に向かって狭くしたガイド板95を設けるとよい。ガイド板95が用紙のカール等を補正して用紙先端が搬送方向に向くようになるため、搬送ローラ対7でのシワやジャムを防止することができ、搬送品質を安定化させることができる。
【0133】
(搬送ローラ対)
搬送ローラ対7は、クロロプレンゴムやシリコーンゴムなどからなる円筒形状のローラ7aと樹脂からなる円筒形状のローラ7bとが当接した構成となっている。ローラ7a,7bのいずれか一方、あるいは両方が回転駆動しており、搬送されてきた用紙を挟み込んで排出経路に搬送する。ここで、搬送ローラ対7は、定着装置5のニップ部N1の後端から基準長さ(例えば、210mm)以内に配置されているので、画像に光沢を付与しないモードであって、用紙の搬送方向の長さが基準長さ(例えば、210mm(A4版用紙の短手方向の長さ))以上の場合、光沢付与装置6の加熱ローラ80、加圧ローラ90間が開放されているが、定着装置5のニップ部N1を出た用紙の先端は該用紙の後端がニップ部N1を出る前に搬送ローラ対7に到達するために、適切に搬送することが可能である。
【0134】
なお、本発明では光沢付与装置6では加熱ローラ80の表面温度が低め(光沢付与装置6への用紙進入時の用紙温度以上、定着装置5からの該用紙排出直後の用紙温度以下(あるいは、使用されるトナーのフローテスターによる軟化温度以上、1/2流出開始温度以下。またあるいは、60〜120℃)とされているので、光沢を付与するモードのときの搬送ローラ対7に到達したときの用紙の温度は定着装置5からの該用紙排出直後の用紙温度と同等以下となっており、搬送ローラ対7へのトナーの固着等を防止することができる。また、同様の理由からガイド板95等へのトナー固着も防止できる。
【0135】
(光沢付与モード・光沢非付与モード)
本発明の画像形成装置100では、同じ連量(秤量)の用紙を用いて、該用紙上の画像に光沢を付与するモード(光沢付与モード)と、光沢を付与しないモード(光沢非付与モード)と、を選択可能に有している。例えば、画像形成装置100の表示モニタに、光沢付与モードと光沢非付与モードとをユーザが選択可能なように表示する。ここで、光沢付与モードとは、コート紙などの光沢度の高い(30〜50%)の用紙を用いて、画像(定着トナー画像)を形成し、画像に対して下地である用紙と同等の光沢を付与するモードであり、グラビア写真印刷用として好適である。また、光沢非付与モードとは、普通紙など光沢度のあまり高くない用紙を用いて、画像を形成し、該画像にとくに光沢を付与する処理を行わないモードである。
【0136】
光沢付与モードが選択された場合、用紙として光沢度30〜50%のコート紙などを用いて、以下のように処理が行われる。ここでは、図9の装置構成で、距離L1=210mm、距離L2=60〜182mmとした場合を前提に説明する。
(S11) 未定着のトナーが載った用紙が搬送され、定着装置5でトナーの定着が行われる。このとき、定着ベルト11は、加熱ローラ15内部に配置されたヒータ15hの発熱によりトナー定着に適する温度まで加熱されている。また、ニップ部N1におけるニップ圧については、加圧手段のカム78を調整して、ニップ圧が15〜30N/cm2の所定のニップ幅としている。これにより、定着装置5を通過した用紙上のトナーは完全に定着されるとともに、画像(定着トナー)に25%以上の光沢が付与されるようになる。
(S12) 定着装置5から排出された用紙はガイド板45によりカール等が補正され、用紙先端が光沢付与装置6に適切に送り込まれる。
(S13) 光沢付与装置6において、用紙上の画像に光沢がさらに付与される。このとき、加熱ローラ80の表面温度は80〜100℃であり、加圧調整手段によりニップ部N2のニップ圧が15〜30N/cm2に調整されている。これにより、用紙が光沢付与装置6を通過するときには、ニップ部N2にて定着トナーに熱及び所定の圧力が加えられ、該定着トナー表層のレベリングが行われて、用紙の光沢度に対して±15%以内、より好ましくは±10%以内となった光沢度が定着トナーに付与される。
(S14) 光沢付与装置6から排出された用紙はガイド板95、搬送ローラ対7を経由して、搬送経路を通って排紙される。
【0137】
光沢非付与モードが選択された場合、用紙のサイズが確認され、用紙の搬送方向の長さとして210mm未満、210mm以上で区分けされて、以下のように処理が行われる。
まず、用紙の搬送方向の長さが210mm未満の場合を説明する。
(S21) 未定着のトナーが載った用紙が搬送され、定着装置5でトナーの定着が行われる。このとき、定着ベルト11は、加熱ローラ15内部に配置されたヒータ15hの発熱によりトナー定着に適する温度まで加熱されている。また、ニップ部N1におけるニップ圧については、加圧手段のカム78を調整して、ニップ圧が15〜30N/cm2で光沢付与モードよりも幅の狭い所定のニップ幅としている。これにより、定着装置5を通過した用紙上の画像(定着トナー)の光沢があまり上昇しない状態で、トナーは完全に定着されるようになる。あるいは、用紙の種類によっては、定着装置5の条件は光沢付与モードと同じとしてもよい。
(S22) 定着装置5から排出された用紙はガイド板45によりカール等が補正され、用紙先端が光沢付与装置6に適切に送り込まれる。
(S23) 光沢付与装置6において、ニップ部N2で用紙を挟み込んで該用紙の搬送を行う。このとき、加熱ローラ80の表面温度は80〜100℃であるが、加圧調整手段によりニップ部N2のニップ圧が、光沢付与モードのときのニップ部N2のニップ圧よりも低く、例えば5N/cm2以下に調整されている。このように軽圧下とすることにより、用紙が光沢付与装置6を通過するときには、ニップ部N2にて定着トナーにあまり熱及び圧力が加えられず、該定着トナーの光沢を上昇させることがない。
(S24) 光沢付与装置6から排出された用紙はガイド板95、搬送ローラ対7を経由して、搬送経路を通って排紙される。
【0138】
つぎに、光沢非付与モードが選択され、用紙の搬送方向の長さが210mm以上の場合、以下のように処理が行われる。
(S31) 未定着のトナーが載った用紙が搬送され、定着装置5でトナーの定着が行われる。このとき、定着ベルト11は、加熱ローラ15内部に配置されたヒータ15hの発熱によりトナー定着に適する温度まで加熱されている。また、ニップ部N1におけるニップ圧については、加圧手段のカム78を調整して、ニップ圧が15〜30N/cm2で光沢付与モードよりも幅の狭い所定のニップ幅としている。これにより、定着装置5を通過した用紙上の画像(定着トナー)の光沢があまり上昇しない状態で、トナーは完全に定着されるようになる。
(S32) 定着装置5から排出された用紙はガイド板45によりカール等が補正され、用紙先端が光沢付与装置6に適切に送り込まれる。
(S33) 光沢付与装置6では、ローラ間ギャップが2mm以下となるように加熱ローラ80と加圧ローラ90を離間させた状態となっており、用紙はこの加熱ローラ80と加圧ローラ90の間を通過していく。
(S34) 光沢付与装置6を通過した用紙はガイド板95を通り、搬送ローラ対7まで到達する。搬送ローラ対7は、定着装置5のニップ部N1の後端から210mm以内に配置されているので、前記用紙の先端は該用紙の後端がニップ部N1を出る前に搬送ローラ対7に到達し、該搬送ローラ対7が用紙を挟み込んで適切に搬送を継続する。搬送ローラ対7を出た用紙は、搬送経路を通って排紙される。
【0139】
以上のように、光沢非付与モード(例えば、通常印字)で、用紙の搬送方向の長さが210mm未満、210mm以上のいずれの場合においても、定着装置5及び光沢付与装置6でトナーの光沢を上昇させることがなく、かつ安定して搬送できるように工夫されているので、光沢付与モード、光沢非付与モードのいずれのモードであっても用紙搬送のパスラインを変更しないで所望の光沢の画像形成が可能となっており、画像形成装置として小型化が可能である。
【0140】
また、光沢付与モードにおいて、定着装置5におけるニップ時間として30msec以上、より好ましくは60msec以上とし、光沢付与装置6におけるニップ時間を15msec以上とすることが可能である。これにより、光沢付与モードにおいても光沢非付与モードの場合と同等の用紙生産性を有することになり、いずれのモードを選択しても高い生産性を維持することができる。
【0141】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0142】
例えば、図9の構成において、光沢付与装置6に代えて用紙のトナー面に熱と圧力を付与する第2のニップ部を有する第2の定着装置とし、定着装置5及び該第2の定着装置の2つの定着装置を使って用紙上へのトナーの定着を完了する構成としてもよい。また、光沢付与装置6を省略してもよい。
【符号の説明】
【0143】
1 スキャナ部
2 書込み部
3 現像部
5,5’,5’’,5’’’ 定着装置
6 光沢付与装置
7 搬送ローラ対
7a,7b ローラ
8 排紙部
10 自動原稿送り装置(ADF)
11 定着ベルト
12,12R 定着ローラ
12h,12h’,14h,14h’,14h’’、15h,85 ヒータ
12g,14g 案内部材
12m 第1モータ
13R,14R,15R,16R,17R,18R,19R ローラ
14,90 加圧ローラ
14a 加圧ベルト
14b バックアップ部材
14c 冷却機構
14m 第2モータ
15,80 加熱ローラ
16 テンションローラ
16s スプリングバネ
30 中間転写体
31 感光体
34 2次転写部
35 搬送ベルト
37 搬送路
38 レジスト部
41,41a,41b,41c,41d 給紙トレイ
43,44,83 分離部材
45,46,95 ガイド板
52,62,72,82 温度検知センサ
76,96 加圧レバー
76a,96a 加圧中間部材
76b,96b 支持軸
76c,96c 加圧部
77,97 スプリング
78,98 カム
80m 第3モータ
100 画像形成装置
100A 画像読取部
100B 画像形成部
100C 給紙部
101,102,103,111,112,113,114,121,122,123 ギア
N1,N1max,N1min,N1’,N1’’,N1’’’,N2 ニップ部
PL パスライン
S 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0144】
【特許文献1】特開平10−312132号公報
【特許文献2】特許第3795758号公報
【特許文献3】特開昭63−192068号公報
【特許文献4】特開2003−167459号公報
【特許文献5】特開2004−139040号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動可能に設けられる定着部材と、
前記定着部材に当接し用紙上のトナーを熱と圧力により定着させるニップ部を形成する加圧部材と、
前記定着部材の駆動に関わる定着側駆動ローラと、
前記加圧部材の駆動に関わる加圧側駆動ローラと、
前記加圧部材を定着部材に押圧させて前記ニップ部を形成するとともに、該押圧状態を変更して、前記ニップ部のニップ幅を複数段階に切り替える加圧手段と、
前記定着側駆動ローラを駆動する第1モータと、
前記加圧側駆動ローラを駆動する第2モータと、を備え、
前記ニップ部における前記定着部材の用紙搬送速度と前記加圧部材の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータ及び/又は第2モータの回転数を調整することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記加圧手段による前記加圧部材の押圧状態、前記定着側駆動ローラの表面温度、前記第1モータまたは第2モータのトルクのいずれかに基づいて、前記第1モータ及び/又は第2モータの回転数を調整することを特徴とする請求項1のいずれかに記載の定着装置。
【請求項3】
前記ニップ部における前記定着部材の用紙搬送速度と前記加圧部材の用紙搬送速度の差が1%以内となるように、前記第1モータ及び/又は第2モータの回転数を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ニップ部における前記定着部材の用紙搬送速度と前記加圧部材の用紙搬送速度が所定の関係となるように、前記第1モータの回転数を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記加圧側駆動ローラを冷却する冷却機構を備え、
通紙前待機時に、前記加圧部材を定着部材から離間させ、前記冷却機構により該加圧側駆動ローラを冷却するモードと、前記加圧部材を定着部材に圧接し、前記冷却機構により該加圧側駆動ローラ,加圧部材及び定着部材を介して定着側駆動ローラを冷却するモードと、有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の定着装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
用紙搬送のパスライン上であって、前記定着装置の下流側に、
加熱手段を有する第1回転体及びトナーに光沢を付与する光沢付与ニップ部を形成可能に該第1回転体に圧接する第2回転体を有する光沢付与装置を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
用紙上の画像に光沢を付与するモードと光沢を付与しないモードを有し、
前記用紙上の画像に光沢を付与しないモードの場合、
前記光沢付与装置は、前記光沢付与ニップ部のニップ圧を光沢を付与するモードのときのニップ圧よりも低くして、前記用紙の搬送を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記光沢付与装置は、第1回転体または第2回転体を駆動する第3モータを前記定着装置のローラ駆動から独立して備えることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着装置における用紙搬送速度V1と前記光沢付与装置における用紙搬送速度V2との速度差が所定の範囲内となるように前記第2モータまたは第3モータの回転数を調整することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記定着装置の主駆動ローラの表面温度及び/又は前記光沢付与装置の主駆動ローラの表面温度に基づいて、前記第2モータまたは第3モータの回転数を調整することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
1.02≧V2/V1≧1.00となるように前記第2モータまたは第3モータの回転数を調整することを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
用紙の厚さまたは種類に基づいて、前記第1モータ、第2モータ、第3モータの回転数比を調整することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
少なくとも前記光沢付与装置の光沢付与ニップ部への1枚の用紙の進入開始時から所定時間の間だけ、該光沢付与装置における用紙搬送速度を増加させることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−256696(P2010−256696A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107826(P2009−107826)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】