定量供給装置
【課題】 漸減段階と小供給段階とを含む複数の段階に分けて被計量物の供給を行う定量供給装置において、定量供給の単位時間当たりの実行回数を均一化する。
【解決手段】 本発明によれば、大供給段階,漸減段階および小供給段階という3段階に分けて、被計量物の供給が行われる。特に、予め定められた第2切換時点t2sにおいて、漸減段階から小供給段階に切り換わる。併せて、この第2切換時点t2sにおける重量測定値Wxが、厳密には被計量物の真の供給済み重量値を経過時間txの関数として推定した重量推定値Wx”が、予め定められた最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値となるように、漸減段開におけるゲート開度Gxが適宜に制御される。これにより、大供給時間T1と漸減時間T3と小供給時間T3との合計である全供給時間Twが略一定となり、定量供給の単位時間当たりの実行回数が均一化される。
【解決手段】 本発明によれば、大供給段階,漸減段階および小供給段階という3段階に分けて、被計量物の供給が行われる。特に、予め定められた第2切換時点t2sにおいて、漸減段階から小供給段階に切り換わる。併せて、この第2切換時点t2sにおける重量測定値Wxが、厳密には被計量物の真の供給済み重量値を経過時間txの関数として推定した重量推定値Wx”が、予め定められた最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値となるように、漸減段開におけるゲート開度Gxが適宜に制御される。これにより、大供給時間T1と漸減時間T3と小供給時間T3との合計である全供給時間Twが略一定となり、定量供給の単位時間当たりの実行回数が均一化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量供給装置に関し、特に、予め定められた目標重量値分の被計量物を供給する、定量供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の定量供給装置、とりわけ樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状(バラ状)の被計量物を取り扱う定量供給装置、として、例えば、多量の被計量物が収容された溜めホッパと、この溜めホッパの下方に配置されており当該溜めホッパから被計量物の供給を受ける計量ホッパと、を備えたものがある。計量ホッパには、ロードセル等の荷重センサが付属されており、この荷重センサから出力される計量信号に基づいて、当該計量ホッパに供給された被計量物の重量が逐次求められる。そして、求められた重量測定値が目標重量値よりも小さい所定の供給停止重量値と一致したときに、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が停止される。これにより、目標重量値分の被計量物を供給する、という定量供給が実現される。さらに、この定量供給を高速かつ高精度に実現するために、被計量物の単位時間当たりの供給量が段階的に変えられることがある。
【0003】
具体的には、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が開始された直後の初期の段階においては、比較的に大きな供給量で被計量物の供給が行われる。これにより、被計量物の供給開始から供給停止までに要する時間、言わば供給時間、の短縮化が図られ、つまり定量供給の高速化が実現される。そして、被計量物の供給開始から或る程度の時間が経過し、例えば上述した重量測定値が供給停止重量値よりも小さい所定の切換重量値に達した時点で、比較的に小さな供給量に切り換えられる。これにより、時間の経過と共に増大する重量測定値の増大速度が低下し、当該重量測定値が供給停止重量値と一致するタイミング、つまり被計量物の供給を停止させるタイミング、の取得が容易になる。また、このタイミングの取得に多少のズレが生じたとしても、元々被計量物の供給量が小さく抑えられているので、当該ズレによる影響(誤差)が軽減される。この結果、目標重量値に対する被計量物の最終的な供給済み重量値の精度、言わば供給精度、が向上し、定量供給の高精度化が実現される。
【0004】
なお、被計量物の単位時間当たりの供給量は、例えば溜めホッパの底部にある排出口に設けられた開閉ゲートの開度によって制御される。即ち、このゲート開度が大きいほど、被計量物の単位時間当たりの供給量は大きくなり、当該ゲート開度が小さいほど、被計量物の単位時間当たりの供給量は小さくなる。そして、開閉ゲートが閉鎖されると、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が停止される。ただし、開閉ゲートが閉鎖されても、その後、暫くの間は、被計量物が計量ホッパに供給され続ける。これは、主に、開閉ゲートと計量ホッパとの間に距離があること、いわゆる落差量、に起因する。また、開閉ゲートを閉鎖させるタイミングが到来してから、つまり重量測定値が供給停止重量値と一致してから、実際に当該開閉ゲートが閉鎖されるまでに、多少の応答遅れが生じることにも、起因する。これらを考慮して、上述の如く供給停止重量値は目標重量値よりも小さい値とされている。
【0005】
このようにゲート開度によって被計量物の単位時間当たりの供給量が制御される、いわゆるゲート開度制御方式においては、当該ゲート開度が段階的に切り換えられると、その切り換わり時点前後の被計量物の供給量差により、当該被計量物の供給先である計量ホッパへの衝撃荷重が変化する。すると、計量ホッパを含む秤系が振動し、この秤系の出力である計量信号に当該秤系の固有振動数に応じた周波数の概略正弦波状の振動成分が発生する。この振動成分は、これを含む計量信号に基づいて求められる重量測定値に誤差となって現れる。従って、正確な重量測定値を得るには、この振動成分が十分に減衰するのを待つ必要がある。特に、被計量物の供給量が小さめとされる最終の段階、言わば小供給段階、において、被計量物の供給停止タイミングを正確に取得するには、この振動成分が減衰するまでの待ち時間を含め、当該小供給段階に掛けられる時間を長めに設定する必要がある。しかし、そうすると、定量供給の高精度化を実現することはできるものの、当該小供給時間を含む全供給時間が長くなり、定量供給の高速化に反する。この不都合を回避するべく、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0006】
この従来技術によれば、図17(a)に示すように、時間txがtx=0という時点を基点として、開閉ゲートが開かれる。これにより、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が開始される。この被計量物の供給開始直後のゲート開度Gxは、多少の応答時間を掛けて、Gx=G1aという比較的に大きな一定値となる。これに伴い、被計量物の単位時間当たりの供給量もまた、このゲート開度G1aに応じた比較的に大きな値となる。この言わば大供給(大投入)段階においては、図17(b)に示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1aに応じた比較的に高い速度(dWx/dtx)で増大する。そして、この重量測定値Wxが供給停止重量値Wcaよりも小さい予め定められた第1の切換重量値W1aに到達(Wx≧W1a)すると、その時点t1aで、大供給段階から中供給(中投入)段階としての漸減段階に切り換わる。この漸減段階においては、ゲート開度Gxが、時間txの経過と共に、厳密には重量測定値Wxが増大するに連れて、漸減され、さらに詳しくは当該重量測定値Wxを変数とする次の式1に基づいて制御される。
【0007】
《式1》
Gx=(G1a−G2a)・{(W2a−Wx)/(W2a−W1a)}αa+G2a
【0008】
なお、この式1において、G2aは、後述する小供給(小投入)段階におけるゲート開度Gxであり、この小供給段階におけるゲート開度G2aは、大供給段階におけるゲート開度G1aよりも小さい(G2a<G1a)。そして、W2aは、予め定められた第2の切換重量値であり、この第2切換重量値W2aは、上述した第1切換重量値W1aよりも大きく、かつ、供給停止重量値Wcaよりも小さい(W1a<W2a<Wca)。さらに、冪指数αaは、0.3≦αa≦0.7を満足する任意の値であり、この冪指数αaの値によって、漸減段階における時間txの経過に対するゲート開度Gxの推移が変わる。例えば、この冪指数αaの値が小さいほど、ゲート開度Gxは、図17(a)において上方に向かって円弧状(凸状)に膨らむように推移する。そして、冪指数αaの値が大きいほど、当該膨らみは小さくなる。
【0009】
この漸減段階においては、時間txの経過と共に漸減するゲート開度Gxに伴って、被計量物の供給量が漸減するので、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、重量測定値Wxが第2切換重量値W2aに到達(Wx≧W2a)すると、その時点t2aで、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、この漸減段階から小供給段階に切り換わる時点t2aでのゲート開度Gxは、式1からも分かるようにGx=G2aとなる。
【0010】
小供給段階においては、このG2aという一定のゲート開度Gxに維持される。これにより、被計量物の供給量は、当該ゲート開度G2aに応じた比較的に小さな一定値となり、重量測定値Wxの増大速度は、さらに低下する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcaと一致(Wx≧Wca)すると、その時点t3aで、ゲート開度GxがGx=0とされる。つまり、開閉ゲートが閉鎖される。ただし、上述したように、開閉ゲートが閉鎖されても、その後、暫くの間は、被計量物が計量ホッパに供給され続ける。これに伴い、重量測定値Wxは増大し続け、詳しくは落差量Wda分だけ増大する。そして、最終的に、当該重量測定値Wxは目標重量値Wpaに近い値Wfa(≒Wpa)に収束する。この最終重量値Wfaが得られると、詳しくは開閉ゲートが閉鎖された供給停止時点t3aから所定の安定待ち時間Tfaが経過した時点t4aでの重量測定値Wxが当該最終重量値Wfaとして取得されると、計量ホッパに供給された被計量物は速やかに当該計量ホッパから排出される。これをもって、一連(1回)の定量供給が終了する。
【0011】
このように、特許文献1に開示された従来技術では、大供給段階と小供給段階との間に中供給段階としての漸減段階が設けられる。そして、この漸減段階において、ゲート開度Gxが、大供給段階におけるのと同じ開度G1aから小供給段階におけるのと同じ開度G2aにまで連続的に漸減される。これにより、各段階間の切り換わり時点t1aおよびt2a前後の被計量物の供給量差が低減され、当該切り換わり時点t1aおよびt2aでの振動成分の発生が抑制される(ただし、被計量物の供給開始直後に当該被計量物の落下衝撃力によって発生する比較的に振幅の大きい初期振動成分については、漸減段階の有無に拘らず抑制されない)。特に、漸減段階から小供給段階への切り換わり時点t2aでの振動成分の発生が抑制されることで、小供給時間T3a(=t3a−t2a)の短縮化が可能となり、ひいては当該小供給時間T3aを含む全供給時間Twa(=T1a+T2a+T3a)の短縮化が可能となる。なお、小供給時間T3aの短縮化は、例えば第2切換重量値W2aが供給停止重量値Wcaに近づけられることで、言い換えればこれら両者W2aおよびWcaの差Wea(=Wca−W2a)が縮小されることで、実現される。また、全供給時間Twaを構成する大供給時間T1a(=t1a−0),中供給時間としての漸減時間T2a(=t2a−t1a)および小供給時間T3aのうち、常套的には、漸減時間T2aが最も長く、小供給時間T3aが最も短い(T2a>T1a>T3a)(厳密にはそうなるように設定される)。
【0012】
ところで、この従来技術を含む定量供給装置においては、上述の如く定量供給の高速化および高精度化が重要視されるが、これ以外にも、当該定量供給の単位時間当たりの実行回数が均一(一定)であること、つまり全供給時間Twaの均一化、も重要視されることがある。特に、定量供給装置の後段に重量選別装置が設けられるシステムにおいては、この要求が強い。即ち、当該システムにおいては、定量供給装置によって定量供給された被計量物が、後段の重量選別装置に順次送り込まれる。重量選別装置においては、この定量供給装置から順次送り込まれてくる被計量物の重量がさらに高い精度で測定され、その測定結果に基づいて被計量物が順次選別される。ここで、重量選別装置による選別精度(重量測定精度)は、当該選別処理に掛けられる時間が長いほど高い。そして、この選別精度が高いほど、最終的に生産される製品の品質、特に重量品質、が向上する。その一方で、選別処理に掛けられる時間が長いと、その分、当該製品の生産速度が低下し、つまり生産性が落ちる。従って、これら製品の品質および生産性という相反する関係にある2つの要素が可能な限り高いレベルで満足されるには、定量供給装置から重量選別装置に順次送り込まれる被計量物の送り込み時間間隔(周期)が均一であること、つまり定量供給装置による毎回の定量供給ごとの全供給時間Twaが均一であること、が必要とされる。
【0013】
ところが、上述の従来技術では、この全供給時間Twaの均一化が図られない。即ち、当該従来技術では、その稼働運転中に、溜めホッパ内における被計量物の収容量や収容姿勢等が変化する。加えて、被計量物の種類によっては、その粒度や粘度,見かけ比重等の性状が当該稼働運転中に変化する。そして、これらの諸状況が変化すると、同じゲート開度Gxであっても、被計量物の単位時間当たりの供給量が変わる。つまり、ゲート開度Gxと被計量物の単位時間当たりの供給量との関係が変わり、言い換えれば当該ゲート開度Gxと重量測定値Wxの増大速度との関係が変わる。この現象は、従来技術に限らず、他の定量供給装置でも、同様に生じる。しかし、従来技術では、重量測定値Wxを制御パラメータとして各段階間の切り換えが行われるために、毎回の定量供給ごとの全供給時間Twaが変動し、特に当該全供給時間Twaの大部分を占める大供給時間T1aおよび漸減時間T2aが顕著に変動する。このように、従来技術では、全供給時間Twaが均一でないため、特に上述の如く後段に重量選別装置が設けられるシステムにおいて、製品の品質および生産性の両方が十分に満足されない。
【0014】
そこで、さらなる別の従来技術として、例えば特許文献2に開示されたものがある。この言わば第2の従来技術によれば、特許文献1に開示された第1の従来技術とは異なり、重量測定値Wxを制御パラメータとして各段階間の切り換えが行われるのではなく、被計量物の供給開始時点(tx=0)を基点とする経過時間txを制御パラメータとして当該各段階間の切り換えが行われる。即ち、第1従来技術においては、制御パラメータである重量測定値Wxとの比較対象基準として、第1切換重量値W1aおよび第2切換重量値W2aという一定の重量値が予め設定されたが、第2従来技術においては、制御パラメータである経過時間txとの比較対象基準として、図18に示すように、第1切換時点t1bおよび第2切換時点t2bという一定の時点が予め設定される。また、被計量物の供給開始時と同時に、経過時間txが測定される。
【0015】
具体的には、当該経過時間txが第1切換時点t1bに到達するまでが、大供給段階とされる。この大供給段階においては、図18(a)に示すように、ゲート開度GxがGx=G1bという比較的に大きな一定値とされる。これにより、図18(b)に示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1bに応じた比較的に高い速度で増大する。そして、経過時間txが第1切換時点t1bに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。この漸減段階においては、経過時間txを変数とする次の式2に基づいてゲート開度Gxが制御される。
【0016】
《式2》
Gx=(G1b−G2b)・{(t2b−tx)/(t2b−t1b)}αb+G2b
【0017】
なお、この式2において、G2bは、小供給段階におけるゲート開度Gxである。この小供給段階におけるゲート開度G2bは、大供給段階におけるゲート開度G1bよりも小さい(G2b<G1b)。そして、冪指数αbは、0<αb≦1を満足する任意の値であり、この冪指数αbの値によって、漸減段階における経過時間txに対するゲート開度Gxの推移が変わる。例えば、この冪指数αbの値が小さいほど、ゲート開度Gxは、図18(a)において上方に向かって円弧状に膨らむように推移する。そして、この冪指数αbの値が大きいほど、当該膨らみは小さくなり、αb=1であるとき、ゲート開度Gxは直線状に推移する。
【0018】
この漸減段階は、経過時間txが第2切換時点t2bに到達するまで継続され、この間、当該経過時間txに伴って漸減するゲート開度Gxに伴って、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、経過時間txが第2切換時点t2bに到達すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、第2切換時点t2bにおけるゲート開度Gxは、式2からも分かるようにGx=G2bとなる。
【0019】
小供給段階においては、このG2bという一定のゲート開度Gxに維持され、これに伴い、被計量物の供給量は、当該ゲート開度G2bに応じた比較的に小さな一定値となる。併せて、重量測定値Wxは、より低い一定速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致(Wx≧Wcb)すると、その時点t3bで、ゲート開度GxがGx=0とされ、開閉ゲートが閉鎖される。これにより、重量測定値Wxは、この供給停止時点t3bから落差量Wdb分だけ増大して、最終的に、目標重量値Wpbに近い値Wfb(≒Wpb)に収束する。そして、供給停止時点t3bから所定の安定待ち時間Tfbを経過した時点t4bでの重量測定値Wxが最終重量値Wfbとして取得され、その後、速やかに計量ホッパ内の被計量物が排出され、一連の定量供給が終了する。
【0020】
このように、第2従来技術においても、第1従来技術と同様、大供給段階と小供給段階との間に漸減段階が設けられるので、これら各段階間の切り換わり時点t1bおよびt2b前後の被計量物の供給量差が低減され、当該切り換わり時点t1bおよびt2bでの振動成分の発生が抑制される(ただし、計量物の供給開始直後の上述した初期振動成分の発生は抑制されない)。特に、漸減段階から小供給段階への切り換わり時点t2bでの振動成分の発生が抑制されることで、小供給時間T3b(=t3b−t2b)の短縮化が可能となり、ひいては全供給時間Twb(=T1b+T2b+T3b)の短縮化が可能となる。なお、小供給時間T3bの短縮化は、第2切換時点t2bにおいて予想される(所期の)重量測定値W2bが供給停止重量値Wcbに近づくように、言い換えればこれら両者W2bおよびWcbの差Web(=Wcb−W2b)が縮小されるように、当該第2切換時点t2bが設定されることで、実現される。また、全供給時間Twbを構成する大供給時間T1b(=t1b−0),漸減時間T2b(=t2b−t1b)および小供給時間T3bのうち、常套的には、漸減時間T2bが最も長く、小供給時間T3bが最も短い(T2b>T1b>T3b)(厳密にはそうなるように設定される)。
【0021】
さらに、この第2従来技術によれば、各段階間の切り換わり時点t1bおよびt2bが一定であり、つまり全供給時間Twbの大部分を占める大供給時間T1bおよび漸減時間T2bが一定である。従って、残りの小供給時間T3bのみが、全供給時間Twbの変動要因となる。ゆえに、第2従来技術によれば、第1従来技術に比べて、全供給時間Twb変動が抑えられ、つまり当該全供給時間Twbの均一化が図られるように思われる。しかし、この第2従来技術をもってしても、全供給時間Twbの均一化を図るのには不十分である。
【0022】
即ち、第2従来技術では、上述の如く経過時間txを制御パラメータとして各段階間の切り換えが行われるが、これは、ゲート開度Gxと被計量物の単位時間当たりの供給量との関係が常に一定であること、言い換えれば当該ゲート開度Gxと重量測定値Wxの増大速度との関係が常に一定であること、を前提とする。ところが、この関係は、被計量物の性状等の諸状況によって変わるため、結果的に、全供給時間Twbが変動する。
【0023】
例えば、今、被計量物の性状等の諸状況が安定しており、ゲート開度Gxと被計量物の供給量との関係が所期の通りである、と仮定する。この場合、図18の一部拡大図である図19の(b)に太実線Bで示すように、第2切換時点t2bにおいて、重量測定値Wxが当該第2切換時点t2bにおける所期の値W2bに到達(Wx=W2b)する。そして、この重量測定値Wxは、小供給段階のゲート開度G2bに従う一定の速度で増大し、当該重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致した時点t3bで、図19(a)に太実線Aで示すように、ゲート開度GxがGx=0とされる。この所期の供給停止時点t3bにおいては、第2切換時点t2bで発生した振動成分が十分に減衰しており、言い換えればそうなるように小供給時間T3bが設定されており、さらに言い換えれば上述の重量値差Webが設定されているので、結果的に所期の供給精度が得られる。
【0024】
ここで、ゲート開度Gxと被計量物の供給量との関係が変化し、例えば当該被計量物の供給量が所期よりも大きくなる、とする。この場合、図19(b)に1点鎖線B’で示すように、第2切換時点t2bにおける重量測定値Wxが所期値W2bよりも大きくなる。つまり、当該第2切換時点t2bにおける実際の重量測定値Wxと供給停止重量値Wcbとの差Web’が所期値Webよりも小さく(Web’<Web)なる。その一方で、実際の重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致すると、その時点t3b’で、図19(a)に1点鎖線A’で示すように、ゲート開度GxがGx=0とされる。要するに、所期の供給停止時点t3bよりも前の或る時点t3b’で、ゲート開度GxがGx=0となる。この結果、実際の小供給時間T3b’(=t3b’−t2b)が所期の小供給時間T3bよりも短く(T3b’<T3b)なり、これに伴い、実際の全供給時間Twb’(=T1b+T2b+T3b’)もまた所期の全供給時間Twbよりも短く(Twb’<Twb)なる。そればかりか、実際の小供給時間T3b’が短いと、特に短すぎると、この実際の小供給時間T3b’の始点でもある第2切換時点t2bで発生した振動成分が十分に減衰しないうちに当該実際の小供給時間T3b’の終点である供給停止時点t3b’が到来することになり、供給精度が低下する。これを回避するには、例えば第2切換時点t2bを早めたり、或いは小供給段階のゲート開度G2bを小さくしたりする等して、所期の小供給時間T3bを長くすればよいが、たとえそうしたとしても、当該小供給時間T3bを含む全供給時間Twbの変動は抑えられない。また、小供給時間T3bを長くすると、当然に全供給時間Twbが長くなり、定量供給の高速化に反することにもなる。
【0025】
これとは反対に、被計量物の供給量が所期よりも小さくなると、図19(b)に2点鎖線B”で示すように、第2切換時点t2bにおける重量測定値Wxが所期値W2bよりも小さくなる。つまり、第2切換時点t2bにおける実際の重量測定値Wxと供給停止重量値Wcbとの差Web”が所期値Webよりも大きく(Web”>Web)なる。そして、実際の重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致した時点t3b”で、図19(a)に2点鎖線A”で示すように、ゲート開度GxがGx=0となる。要するに、所期の供給停止時点t3bよりも後の或る時点t3b”において、ゲート開度GxがGx=0となる。この結果、実際の小供給時間T3b”(=t3b”−t2b)が所期の小供給時間T3bよりも長く(T3b”>T3b)なり、これに伴い、実際の全供給時間Twb”(=T1b+T2b+T3b”)もまた所期の全供給時間Twbよりも長く(Twb”>Twb)なる。
【0026】
このように、第2従来技術においても、被計量物の性状等の諸状況によって、全供給時間Twbが変動する。つまり、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開昭62−230527号公報
【特許文献2】実開平2−99324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
即ち、本発明が解決しようとする課題は、上述の第1従来技術および第2従来技術のいずれにおいても、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られない、という点である。
【0029】
それゆえに、本発明は、漸減段階と小供給段階とを含む複数の段階に分けて被計量物の供給を行う定量供給装置において、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化を図ることができる新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
この目的を達成するために、本発明は、予め定められた目標重量値分の被計量物を供給する定量供給装置において、供給制御信号に従って被計量物の供給を行う供給手段と、当該供給制御信号を生成する供給制御手段と、供給手段による被計量物の供給開始時点からの経過時間を測定する経過時間測定手段と、供給手段による供給済みの被計量物の重量を測定する重量測定手段と、を具備する。ここで、目標重量値よりも小さい供給停止重量値と、この供給停止重量値よりも小さい目標切換重量値と、重量測定手段による重量測定値が当該目標切換重量値と一致する時点での経過時間の基準である基準切換時間と、が予め定められている。そして、供給制御手段は、供給手段による被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減する漸減段階と、この漸減段階の後に続く最終の段階であって当該被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値である小供給段階と、を含む複数の段階に分けて、供給手段による被計量物の供給が行われるように、供給制御信号を生成する。さらに、供給制御手段は、漸減段階において、経過時間測定手段によって測定された経過時間が基準切換時間と一致した第1時点で、当該漸減段階から小供給段階に切り換わると共に、この第1時点での重量測定値が目標切換重量値と一致するように、供給制御信号を生成する。併せて、供給制御手段は、小供給段階において、重量測定値が供給停止重量値と一致した第2時点で、供給手段による被計量物の供給が停止されるように、供給制御信号を生成する、というものである。
【0031】
即ち、本発明によれば、供給制御手段から与えられる供給制御信号に従って、供給手段が、被計量物の供給を行う。具体的には、供給手段は、被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減する漸減段階と、この漸減段階に続く最終の段階であって当該単位時間当たりの供給量が漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値である小供給段階と、を含む複数の段階に分けて、被計量物を供給する。そして、この供給手段による被計量物の供給動作と並行して、経過時間測定手段が、当該供給手段による被計量物の供給開始時点からの経過時間を測定する。併せて、重量測定手段が、供給手段による供給済みの被計量物の重量を測定する。その上で、漸減段階においては、経過時間測定手段によって測定された経過時間、つまり被計量物の供給開始時点からの経過時間、が予め定められた基準切換時間と一致した第1時点で、当該漸減段階から小供給段階に切り換わる。加えて、この第1時点での重量測定値が予め定められた目標切換重量値と一致するように、漸減段階における被計量物の単位時間当たりの供給量が制御される。そして、小供給段階においては、重量測定値が予め定められた供給停止重量値と一致した第2時点で、供給手段による被計量物の供給動作が停止される。これにより、目標重量値分の被計量物を供給する、という定量供給が実現される。
【0032】
ここで、被計量物の供給開始時点から第1時点までの言わば第1時間と、当該第1時点から第2時点までの第2時間、つまり小供給時間と、の合計が、被計量物の供給に掛かる全供給時間となる。この全供給時間のうち、第1時間は、常に一定である。一方、小供給時間は、被計量物の性状等の諸状況によって変動する可能性がある。具体的には、当該小供給時間は、第1時点での重量測定値と、小供給段階における被計量物の単位時間当たりの供給量と、によって決まる。そして、前者の第1時点での重量測定値は、一定である。これに対して、後者の小供給段階における供給量は、被計量物の性状等の諸状況によって変化する可能性がある。しかし、小供給段階における供給量は、漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値であり、元々小さい。従って、被計量物の性状等の諸状況が変わり、これに伴い、小供給段階における供給量が変化したとしても、この変化による小供給時間の変動量は極めて小さい。ゆえに、小供給時間は概ね一定であり、全供給時間もまた概ね一定である。
【0033】
なお、本発明においては、次のような構成が採用されてもよい。即ち、切換重量値よりも小さい複数の標準重量値と、重量測定値が当該複数の標準重量値のそれぞれと一致する時点での経過時間の基準である複数の基準時間と、が予め定められる。その上で、供給制御手段は、漸減段階において、当該経過時間が複数の基準時間のそれぞれと一致した第3時点での重量測定値がこれに対応する標準重量値と一致するように、供給制御信号を生成する。この構成によれば、漸減段階において、被計量物の供給開始時点からの経過時間が複数の基準時間のそれぞれと一致する第3時点ごとに、当該第3時点での実際の重量測定値とこれに対応する標準重量値とが比較される。そして、これら両者が互いに一致するように、言うなれば重量測定値が所期の通りに推移するように、被計量物の単位時間当たりの供給量が制御される。これにより、漸減段階から小供給段階に切り換わる第1時点での重量測定値が目標切換重量値に対してスムーズに一致するようになる。
【0034】
さらに詳しくは、供給制御手段は、それぞれの第3時点での重量測定値と、これに対応する標準重量値と、を比較する比較手段を、備えてもよい。この場合、供給制御手段は、当該比較手段による比較結果に基づいて供給制御信号を生成する供給制御信号生成手段を、さらに備えるものとする。
【0035】
また、本発明では、被計量物の供給開始時点から第1時点までの上述した第1時間が、当該第1時点から第2時点までの第2時間としての小供給時間よりも長いことが、望ましい。即ち、全供給時間を構成する第1時間および小供給時間のうち、第1時間は、常に一定であり、小供給時間は、極僅かであるものの変動する可能性がある。従って、全供給時間の均一化を図るには、第1時間の方が小供給時間よりも長いことが、望ましい。
【発明の効果】
【0036】
上述したように、本発明によれば、漸減段階と小供給段階とを含む複数の段階に分けて被計量物の供給を行う定量供給装置において、被計量物の性状等の諸状況が変わっても、全供給時間は概ね一定である。即ち、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られる。これは、特に、上述の重量選別装置が定量供給装置の後段に設けられるシステムにおいて、製品の品質および生産性の両方を満足させるのに極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態における制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における稼働運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を示す図解図である。
【図4】同実施形態における第1次テスト運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を表す図解図である。
【図5】同第1次テスト運転の改良のための重量推定値の算出要領を説明するための図解図である。
【図6】同重量推定値の算出要領を説明するための別の図解図である。
【図7】同重量推定値が適用された第1次テスト運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値ならびに重量推定値の推移を表す図解図である。
【図8】同実施形態における第2次テスト運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値ならびに重量推定値の推移を表す図解図である。
【図9】同実施形態における基準テーブルを概念的に示す図解図である。
【図10】同実施形態におけるCPUによって実行される自動運転タスクの流れを示すフローチャートである。
【図11】図10に続くフローチャートである。
【図12】図10および図11に続くフローチャートである。
【図13】同CPUによって実行される割込タスクの流れを示すフローチャートである。
【図14】図13に続くフローチャートである。
【図15】同実施形態における別の例を説明するための図解図である。
【図16】図15とはさらに別の例を説明するための図解図である。
【図17】第1の従来技術における時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を示す図解図である。
【図18】第2の従来技術における時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を示す図解図である。
【図19】図18の一部を拡大して示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の一実施形態について、図1〜図14を参照して説明する。
【0039】
本実施形態に係る定量供給装置10は、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱うものであり、図1に示すように、当該被計量物100が多量に収容された溜めホッパ12と、この溜めホッパ12の下方に配置されると共に当該溜めホッパ12から被計量物100の供給を受ける計量ホッパ14と、を備えている。溜めホッパ12の底部にある排出口には、開閉ゲート16が設けられており、この開閉ゲート16の開度Gxによって、当該溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の単位時間当たりの供給量(流量)Qxが制御される。なお、ゲート開度Gxと供給量Qxとは、被計量物100の粒度や粘度,見かけ比重等の当該被計量物100の性状、或いは溜めホッパ12内における当該被計量物100の収容量や収容姿勢等、の諸状況が一定であることを前提として、互いに相関関係にあり、例えば比例関係にある。つまり、当該供給量Qxは、被計量物100の単位時間当りの質量流量と考えることができる。そして、この関係が維持されるように、溜めホッパ12は計量ホッパ14よりも十分に大きい容積を有している。併せて、溜めホッパ12内における被計量物100の収容高さHが常に一定の範囲に保たれるように、図示しない充填装置によって当該溜めホッパ12内に被計量物100が適宜に補充される。
【0040】
計量ホッパ14は、荷重センサとしてのロードセル18を備えており、このロードセル18は、自身への印加荷重に応じた大きさ(電圧値)のアナログ荷重検出信号Wyを生成する。このアナログ荷重検出信号Wyは、情報出力手段としての例えば液晶型のディスプレイ20を備えた制御装置22に入力される。なお、ロードセル18としては、例えば歪ゲージ式のものが適当であるが、これ以外にも、磁歪式や静電容量式、或いはジャイロ式等の適宜のものが採用可能である。また、ロードセル18以外の荷重センサが採用されてもよい。
【0041】
制御装置22は、図2に示すように、増幅回路24を有しており、この増幅回路24に、アナログ荷重検出信号Wyが入力される。この増幅回路24に入力されたアナログ荷重検出信号Wyは、ここで増幅された後、A/D変換回路26に入力される。なお、図示は省略するが、増幅回路24の前段または後段には、アナログ荷重検出信号Wyに含まれる比較的に高い周波数帯域のノイズ成分、詳しくは周波数が50Hz〜60Hzのいわゆるラインノイズを含むそれ以上の周波数帯域の電気的な要因によるノイズ成分、を除去するためのローパスフィルタ回路(例えば1次遅れフィルタ回路)が設けられている。また、増幅回路24自体に、当該ローパスフィルタ回路が組み込まれてもよい。
【0042】
A/D変換回路26は、増幅回路24経由で入力されたアナログ荷重検出信号Wyを、パルス生成手段としてのクロックパルス生成回路28から与えられるクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせてサンプリングする。これにより、アナログ荷重検出信号Wyは、デジタル態様の信号に変換される。なお、A/D変換回路26によるサンプリング周期、つまりクロックパルスCLKの周期ΔTは、例えばΔT=1msである。
【0043】
このA/D変換回路26による変換後のデジタル荷重検出信号Wyは、入出力インタフェース回路30を介して、制御手段としてのCPU(Central
Processing Unit)32に入力され、厳密には、上述のクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて、当該CPU32に取り込まれる。このため、CPU32にも、入出力インタフェース回路30を介して、クロックパルスCLKが与えられる。CPU32に取り込まれたデジタル荷重検出信号Wyには、計量ホッパ14を含む秤系の固有振動数に応じた周波数の概略正弦波状の振動成分が重畳されている。CPU32は、この振動成分を減衰させるべく、デジタル荷重検出信号Wyに対して第1の平滑処理を施す。この第1の平滑処理としては、秤系の固有振動数が概ね10Hz程度であり、かつ、後述する定量供給時に当該固有振動数が被計量物100をも加えた秤系の重量の増加に応じて多少変化することから、例えば10Hz付近に数Hzの幅の比較的に大きい減衰帯域を形成するフィルタリング処理、より具体的には9Hzおよび11Hzという互いに近接した2つのノッチ周波数による減衰帯域を形成する多重(2重)移動平均処理、が適当である。そして、CPU32は、この第1の平滑処理が施された後のデジタル荷重検出信号Wyに基づいて、今現在、計量ホッパ14に供給されている被計量物100の重量値、言わば真の供給済み重量値Wx’、を求め、詳しくは当該真の供給済み重量値Wx’の測定値である重量測定値Wxを求める。さらに、CPU32は、この重量測定値Wxに基づいて、ゲート制御信号Sgを生成する。このゲート制御信号Sgは、入出力インタフェース回路30を介して、D/A変換回路34に入力され、ここでアナログ態様の信号に変換された後、上述した開閉ゲート16を駆動するための後述するサーボアンプ回路36に入力される。また、ゲート制御信号Sgとは別に、CPU32は、排出制御信号Scを生成する。この排出制御信号Scは、入出力インタフェース回路30を介して、後述するシリンダ38に与えられる。
【0044】
このCPU32の動作は、当該CPU32に接続された記憶手段としてのメモリ回路40に記憶されている制御プログラムによって制御される。また、CPU32には、入出力インタフェース回路30を介して、上述したディスプレイ20と、当該CPU32に各種命令を入力するための命令入力手段としての例えば操作キー42と、が接続されている。なお、ディスプレイ20と操作キー42とは、互いに一体化されたものでもよく、例えばタッチスクリーンによって構成されてもよい。
【0045】
図1に戻って、サーボアンプ回路36は、制御装置22から入力されたゲート制御信号Sgに基づいて、サーボモータ44を駆動するための駆動信号Sdを生成する。サーボモータ44は、この駆動信号Sdに従って駆動され、その駆動力は、駆動ギア46と従動ギア48とを有する駆動力伝達手段としてのギア機構50を介して、開閉ゲート16に与えられる。これにより、開閉ゲート16が開閉し、つまりゲート開度Gxが制御される。さらに、サーボモータ44の回転軸には、その回転角度を検出するための回転角度検出手段としてのロータリ型のポテンショメータ52が結合されており、このポテンショメータ52から出力される回転角度検出信号Spは、サーボアンプ回路36にフィードバックされる。サーボアンプ回路36は、このフィードバックされた回転角度検出信号Spと、上述のゲート制御信号Sgと、を比較し、さらに、この比較結果に基づいて、希望通りのゲート開度Gxとなるように、駆動信号Sdを補正する。
【0046】
また、計量ホッパ14の底部は、当該計量ホッパ14に供給された被計量物100を排出するための排出口を形成しており、この排出口には、開閉ゲート16とは別のゲート、言わば排出ゲート54、が設けられている。そして、この排出ゲート54を駆動するための駆動手段として、上述したシリンダ38が設けられている。なお、シリンダ38としては、例えば空気圧式のものが適当であるが、油圧式等の当該空気圧式以外のものも採用可能である。また、シリンダ38に代えて、電磁ソレノイドやモータ等の他の駆動手段が採用されてもよい。
【0047】
このように構成された本実施形態に係る定量供給装置10によれば、次の要領により、被計量物100の定量供給が実現される。
【0048】
即ち、本実施形態に係る定量供給装置10においても、上述の第1従来技術および第2従来技術と同様、図3に示すように、大供給段階,中供給段階としての漸減段階,ならびに小供給段階という3つの段階に分けて、溜めホッパ12から計量ホッパ14へ被計量物100が供給される。そして、小供給段階では、重量測定値Wxが目標重量値Wpよりも落差量Wd分だけ小さい予め定められた供給停止重量値Wcと一致したときに(Wx=Wc)、被計量物100の供給が停止され、詳しくはゲート開度GxがGx=0とされる。なお、大供給段階から漸減段階への切り換え、および、漸減段階から大供給段階への切り換えは、第2従来技術と同様、被計量物100の供給開始時点(tx=0)を基点とする経過時間txを制御パラメータとして行われる。このため、被計量物100の供給開始と同時に、当該経過時間txの測定が開始される。併せて、この経過時間txとの比較対象基準として、第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sという一定の時点が予め設定される。これに加えて、本実施形態においては、第1切換時点t1sよりも前に後述する記憶開始時点t0sという一定の時点が予め設定されると共に、供給停止重量値Wcよりも小さい後述する最大標準重量値Ws[N](<Wc)という一定の重量値が予め設定される。
【0049】
具体的には、被計量物100の供給開始時点から上述の経過時間txが第1切換時点t1sに到達するまでが、大供給段階とされる。この大供給段階においては、図3(a)に示すように、ゲート開度GxがGx=G1という比較的に大きな一定値とされる。これに伴い、図3(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図3(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。また、この大供給段階の途中において、経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、後述する重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始される。
【0050】
そして、経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。漸減段階においては、経過時間txを変数とする次の式3に示す2次関数式に基づいて、厳密には後述する式12に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。
【0051】
《式3》
Gx=a1・tx2+a2・tx+a3
【0052】
この式3において、a1,a2およびa3は、いずれも定数であり、次の3つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、tx=t1sであるときにGx=G1であることが、要求される。そして、第2の条件として、tx=t2sであるときにGx=G2であることが、要求される。なお、G2は、小供給段階におけるゲート開度Gxであり、この小供給段階におけるゲート開度G2は、大供給段階におけるゲート開度G1よりも小さい(G2<G1)。さらに、第3の条件として、tx=t1’sであるときにGx=G1’sであることが、要求される。なお、t1’sは、第1切換時点t1sと第2切換時点t2sとの間に設定された図示しない中間時点であり、G1’sは、大供給段階におけるゲート開度G1よりも小さく、かつ、小供給段階におけるゲート開度G2よりも大きい図示しない所定値(G2<G1s’<G1)である。この中間時点t1’sおよび当該中間時点t1’sに対応するゲート開度G1’sについては、後で詳しく説明する。
【0053】
この式3に基づくことで、漸減段階におけるゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて漸減する。具体的には、当該ゲート開度Gxは、経過時間txに対するその変化率、言わば漸減速度(|dGx/dtx|=|2・a1・tx+a2|;a1<0)、を漸増させながら、それ自体は漸減するように、推移する。これに伴い、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、経過時間txが第2切換時点t2sに到達すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、漸減段階においては、その終点である当該第2切換時点t2sでの重量測定値Wxが、厳密には同第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”[N]が、上述の最大標準重量値Ws[N]と一致(Wx”[N]=Ws[N])するように、ゲート開度Gxが適宜に制御され、言わば必要に応じて修正制御(微調整)される。この修正制御を含む漸減段階におけるゲート開度Gxの制御要領についても、後で詳しく説明する。
【0054】
小供給段階においては、ゲート開度GxがGx=G2という一定値に維持される。これに伴い、重量測定値Wxは、当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定の速度で増大する。そして、この重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致(Wx≧Wc)すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされ、開閉ゲートが閉鎖される。これにより、重量測定値Wxは、当該時点t3から落差量Wd分だけ増大して、最終的に、目標重量値Wpに近い最終重量値Wf(≒Wp)に収束する。
【0055】
この最終重量値Wfが得られると、詳しくは供給停止時点t3から所定の安定待ち時間Tfが経過した時点t4での重量測定値Wxが当該最終重量値Wfとして取得されると、この最終重量値Wfが上述のディスプレイ20に表示される。なお、厳密には、最終重量値Wfは、次の式4に基づく第2の平滑処理としての移動平均処理によって求められる。
【0056】
《式4》
Wf={ΣWx[i−j]/J} where j=0〜{J−1}
【0057】
この式4において、iは、図2に示したA/D変換回路26による任意のサンプリング番号である。そして、Jは、タップ数であり、詳しくは1以上の任意の整数である。なお、上述した第1の平滑処理としての多重移動平均処理においても、この式4と同様の演算式に基づく処理が行われ、詳しくは互いに異なるタップ数による移動平均処理が2回にわたって連続的(縦続的)に行われる。また、この式4に基づく移動平均処理は、第1の平滑処理による減衰対象よりもさらに低い周波数帯域の振動成分、例えば床振動のような5Hz程度の極めて低い周波数帯域の振動成分、を減衰させるためのものであり、ゆえに、当該第1の平滑処理よりもさらに低いノッチ周波数を形成する(そうなるようにタップ数Jが設定される)。そして、この式4に基づく移動平均処理を実現するために、供給停止時点t3以降の重量測定値Wxは、J個の記憶領域を有する図示しないレジスタに順次記憶される。このことは、第1の平滑処理においても、同様である。
【0058】
最終重量値Wfが得られた後、上述したシリンダ38が駆動され、排出ゲート54が開かれる。これにより、計量ホッパ14に供給された被計量物100は、当該排出ゲート54を介して排出され、例えば図示しない包装袋に収容される。そして、この被計量物100の排出が終了した時点で、詳しくは最終重量値Wfが取得された時点t4から所定の排出時間Tgが経過した時点t5で、排出ゲート54が閉鎖される。これをもって、一連の定量供給が終了する。そして、この一連の定量供給が終了した時点t5から所定の準備時間Thが経過した時点t6で、次の定量供給が開始される。つまり、当該時点t6は、次の定量供給の開始時点(tx=0)となる。
【0059】
このように、本実施形態によれば、上述した第1従来技術および第2従来技術と同様、大供給段階と小供給段階との間に漸減段階が設けられるので、これら各段階間の切り換わり時点である第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sでの振動成分の発生が抑制される(ただし、被計量物100の供給開始直後に発生する初期振動成分については、抑制されない。また、第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sで発生する振動成分については、上述した第1の平滑処理が施されることによって除去されるように思われるが、これらの振動成分の振幅は時間txの経過と共に減衰し、周期もまた時間txの経過と共に変化するので(つまり完全な正弦波ではないので)、当該第1の平滑処理が施されても完全には除去されずに残る。このことは、供給停止時点t3で発生する振動成分についても、同様である)。そして、特に、漸減段階から小供給段階に切り換わる第2切換時点t2sでの振動成分の発生が抑制されるので、小供給時間T3(=t3−t2s)の短縮化が可能となり、ひいては全供給時間Tw(=T1+T2+T3)の短縮化が可能となる。なお、小供給時間T3の短縮化は、第2切換時点t2sでの重量測定値Wxが、つまり上述した最大標準重量値Ws[N]が、供給停止重量値Wcに近づけられることで、言い換えればこれら両者Ws[N]およびWcの差We(=Wc−Ws[N])が縮小されることで、さらに言い換えればそうなるように当該第2切換時点t2sが設定されることで、実現される。また、全供給時間Twを構成する大供給時間T1(=t1s−0),漸減時間T2(=t2s−t1s)および小供給時間T3のうち、常套的には、漸減時間T2が最も長く、小供給時間T3が最も短い(T2>T1>T3)(厳密にはそうなるように設定される)。
【0060】
加えて、本実施形態によれば、大供給段階から漸減段階に切り換わる第1切換時点t1sと、漸減段階から小供給段階に切り換わる第2切換時点t2sと、が一定である。つまり、全供給時間Twのうちの大部分を占める大供給時間T1と漸減時間T2とが、常に一定である。しかも、小供給段階の始点でもある第2切換時点t2sでの重量測定値Wxは、最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値(Wx≒Ws[N])であり、厳密にはそうなるように漸減段階におけるゲート開度Gxが制御される。従って、例えば、被計量物100の性状等の諸状況が変わり、これに伴い、ゲート開度Gxと当該被計量物100の単位時間当たりの供給量Qxとの関係が変化したとしても、上述の第1従来技術および第2従来技術とは異なり、全供給時間Twが大きく変動することはない。即ち、全供給時間Twの均一化が図られる。また、特に、第2従来技術とは異なり、供給精度が低下することもない。
【0061】
これについて、詳しく説明すると、全供給時間Twのうちの大部分を占める大供給時間T1と漸減時間T2とが、常に一定である、ということは、残りの小供給時間T3のみが、当該全供給時間Twの変動要因となる。ここで、小供給時間T3は、第2切換時点t2sでの重量測定値Wxと、小供給段階における被計量物100の単位時間当たりの供給量Qxと、によって決まる。このうちの前者の第2切換時点t2sでの重量測定値Wxは、上述の如く最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値である。一方、後者の小供給段階における被計量物100の単位時間当たりの供給量Qxは、当該小供給段階におけるゲート開度G2によって決まるので、基本的には一定であるが、被計量物100の性状等の諸状況が変わると、その影響を受けて変化することがある。しかし、小供給段階におけるゲート開度G2は元々小さく、ゆえに、当該小供給段階における供給量Qxもまた元々小さい。従って、被計量物100の性状等の諸状況が変わり、これに伴い、小供給段階における供給量Qxが変化したとしても、この変化による小供給時間T3の変動量は極めて小さい。しかも、小供給時間T3は元々短い。よって、小供給時間T3は概ね一定であり、全供給時間Twもまた概ね一定である。
【0062】
さらに、上述の如く小供給時間T3が概ね一定であることによって、その始点である第2切換時点t2sで発生した振動成分が十分に減衰するまでの待ち時間が確実に確保される。つまり、小供給時間T2の終点である供給停止時点t3においては、当該振動成分は十分に減衰している。従って、この振動成分の影響を受けることなく、供給停止時点t3が正確に取得される。この結果、常に一定以上(所期の通り)の供給精度が得られる。
【0063】
このような多大な効果をもたらすべく、漸減段階におけるゲート開度Gxが適宜に制御されるが、この漸減段階におけるゲート開度Gxの制御は、次の要領により実現される。
【0064】
まず、実際の稼働運転に先立って、事前のテスト運転を含む調整作業が行われる。そのために、上述した操作キー42の操作によって、調整モードが選択される。続いて、当該操作キー42の操作によって、図4に示すように、希望の目標重量値Wpと、これに見合う(つまり落差量Wdが考慮された)供給停止重量値Wcと、が設定される。併せて、大供給段階のゲート開度G1と、小供給段階のゲート開度G2と、が設定される。さらに、仮の第1切換重量値W1と、仮の第2切換重量値W2と、が設定される。なお、仮の第2切換重量値W2は、供給停止重量値Wcよりも小さく、仮の第1切換重量値W1は、当該仮の第2切換重量値W2よりもさらに小さい(Wc>W2>W1)。そしてさらに、仮の第1切換重量値W1と仮の第2切換重量値W2との間、例えば中間に、仮の中間重量値W1’(={W1+W2}/2)が設定される。このような設定が成された上で、重量測定値Wxを制御パラメータとする仮の定量供給が行われ、言わば第1従来技術による定量供給と同様の要領によるテスト運転が行われる。なお、このテスト運転においても、被計量物100の供給開始時点を基点とする経過時間txが測定される。
【0065】
即ち、図4(a)に示すように、被計量物100の供給開始直後に、ゲート開度GxがGx=G1とされ、仮の大供給段階に入る。この仮の大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持され、これに伴い、図4(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図4(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。
【0066】
そして、重量測定値Wxが仮の第1切換重量値W1に到達(Wx≧W1)すると、その時点t1で、仮の大供給段階から仮の漸減段階に切り換わる。併せて、当該時点t1が仮の第1切換時点として(CPU32によってメモリ回路40に)記憶され、厳密には同時点t1における経過時間txが記憶される。仮の漸減段階においては、上述した式1に準拠する次の式5に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。なお、この式5における冪指数αは、0<α≦1を満足する任意の値である。
【0067】
《式5》
Gx=(G1−G2)・{(W2−Wx)/(W2−W1)}α+G2
【0068】
この式5に基づくことで、仮の漸減段階におけるゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて、厳密には重量測定値Wxが増大するに連れて、漸減する。これに伴い、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、重量測定値Wxが仮の中間重量値W1’に到達(Wx≧W1’)すると、その時点t1’が仮の中間時点として記憶され、厳密には同時点t1’における経過時間txが記憶される。さらに、重量測定値Wxが仮の第2切換重量値W2に到達(Wx≧W2)すると、その時点t2が仮の第2切換時点として記憶され、厳密には同時点t2における経過時間txが記憶される。併せて、仮の漸減段階から仮の小供給段階に切り換わる。なお、この仮の第2切換時点t2でのゲート開度Gxは、式5からも分かるようにGx=G2となる。
【0069】
仮の小供給段階においては、仮の第2切換時点t2におけるのと同じゲート開度G2が維持され、これに伴い、重量測定値Wxが当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致(Wx≧Wc)すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされる。さらに、この供給停止時点t3から上述した安定待ち時間Tfが経過した時点t4で、最終重量値Wfが取得される。取得された最終重量値Wfは、ディスプレイ20に表示される。なお、このディスプレイ20に表示された最終重量値Wfは、目標重量値Wpと照合される。そして、この照合結果に基づいて、大供給段階のゲート開度G1,小供給段階のゲート開度G2,仮の第1切換重量値W1,仮の第2切換重量値W2,供給停止重量値Wcおよび式5における冪指数α等の各設定条件の適不適が確認される。また、必要であれば、つまり最終重量値Wfと目標重量値Wpとの差(=Wp−Wf)が所定の許容範囲を超える場合には、この差が極力小さくなるように、当該各設定条件が適宜に変更される。その際、被計量物100の供給開始時点から供給停止時点t3までの全供給時間Twが極力短くなるようすることにも、注力される。この各設定条件の変更要領については、本発明の本旨に直接関係しないので、これ以上の詳しい説明を省略する。
【0070】
最終重量値Wfの取得後は、適当な時点で、排出ゲート54が開放される。これにより、計量ホッパ14内の被計量物100が排出される。そして、この排出後の適当な時点で、排出ゲート54が閉鎖され、元の状態に戻る。これをもって、一連(1回)のテスト運転が終了する。
【0071】
このようにしてテスト運転が行われることによって、仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2が得られる。また、仮の中間重量値W1’が式5の重量測定値Wxに代入されることによって、仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’が求められる。
【0072】
ここで、上述の式3において、tx=t1であるときにGx=G1である、という第1条件と、tx=t2であるときにGx=G2である、という第2条件と、tx=t1’であるときにGx=G1’である、という第3条件と、の3つの条件が満足されるように、当該式3における各定数a1,a2およびa3が求められる。これにより、仮の漸減段階におけるゲート開度Gxの制御式が、重量測定値Wxを変数とする式5から、経過時間txを変数とする当該式3に、変換される。
【0073】
ただし、式5における重量測定値Wxは、上述した初期振動成分を含む振動成分の影響を受けるため、このような重量測定値Wxを変数とする当該式5に基づいてゲート開度Gxが制御されると、このゲート開度Gxもまた、当該振動成分の影響を受けることになる。すると、式5から式3への変換に必要な仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2が正確に得られず、ひいては当該変換が不適切となる。このような不都合を回避するために、式5における重量測定値Wxに代えて、次に説明する重量推定値Wx”が適用される。
【0074】
この重量推定値Wx”は、真の供給済み重量値Wx’を経過時間txの関数として推定したものであり、過去の{β+1}(β;1以上の整数)個の重量測定値Wxに基づいて求められる。具体的には、図5に示すように、上述したクロックパルスCLKの周期ΔTごとに得られる重量測定値Wxが、γ(γ;1以上の整数)個置きに順次記憶され、つまりTd=γ・ΔTという周期で順次記憶される。そして、k(k;重量測定値Wxの記憶順)という或るタイミングを含む過去の{β+1}個のタイミング{k−β}〜kで記憶された当該{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に基づいて、同タイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉が求められる。即ち、或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉は、Tc=β・Tdという期間分の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に基づいて求められる。
【0075】
なお、ここで言うTcという期間、つまり或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉を算出するのに必要な{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉の取得に掛かる言わば推定用重量値取得期間は、少なくとも計量ホッパ14を含む秤系の固有振動周期Toよりも長め(Tc>To)に設定され、詳しくは当該秤系の最長固有振動周期Tomaxよりも長め(Tc>Tomax)に設定される。例えば、当該秤系の最長固有振動周期TomaxがTomax=100msecであり、上述のTdという重量測定値Wxの記憶周期に係る整数γがγ=10である、と仮定する。この場合、当該記憶周期TdはTd=γ・ΔT=10msec(∵ΔT=1msec)であるので、推定用重量値取得期間Tcに係る整数βがβ≧11であれば、当該推定用重量値取得期間TcはTc=β・Td≧110msecとなり、最長固有振動周期Tomax(=100msec)よりも長くなる。このように推定用重量値取得期間Tcが秤系の最長固有振動周期Tomaxよりも長めに設定されることによって、重量推定値Wx”〈k〉の算出の際に誤差の要因となる秤系の固有振動による影響が抑制され、ひいてはより正確な重量推定値Wx”〈k〉が求められる。ただし、この推定用重量値取得期間Tcが長すぎると、(特に最初の)重量推定値Wx”〈k〉が求められるまでにそれ相応の時間が掛かり、いわゆる応答性が悪くなる。従って、この推定用重量値取得期間Tcは、最長固有振動周期Tomaxの2倍よりも短い(Tc<2・Tomax)のが好ましく、例えば当該最長固有振動周期Tomaxの1.1倍〜1.3倍(1.1・Tomax≦Tc≦1.3・Tomax)程度であるのが好ましい。
【0076】
この或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉の算出要領について、より具体的に説明すると、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉は、次の式6の1次関数式(直線式)によって表される。なお、この式6において、b1〈k〉およびb2〈k〉は、或るタイミングkにおける定数である。
【0077】
《式6》
Wx”〈k〉=b1〈k〉・k+b2〈k〉
【0078】
そして、この式6を構成する2つの定数b1〈k〉およびb2〈k〉を求めるために、当該式6に準拠する次の式7が組み立てられる。
【0079】
《式7》
f〈tx〉=b1〈k〉・tx+b2〈k〉
【0080】
さらに、この式7において、左辺のf〈tx〉に、過去の{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉がそれぞれ代入されると共に、右辺の変数txに、これらの重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に対応する各タイミング値{k−β}〜kがそれぞれ代入されることによって、次の式8のような{β+1}個の1次関数式が組み立てられる。
【0081】
《式8》
Wx〈k−β〉=b1〈k〉・{k−β}+b2〈k〉
Wx〈k−β+1〉=b1〈k〉・{k−β+1}+b2〈k〉
:
Wx〈k−1〉=b1〈k〉・{k−1}+b2〈k〉
Wx〈k〉=b1〈k〉・k+b2〈k〉
【0082】
そして、これら{β+1}個の1次関数式を用いた回帰分析法によって、例えば最小2乗法によって、各1次関数式に共通する定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められる。なお、最小2乗法に限らず、これ以外の回帰分析法や、回帰分析法以外の演算法によって、当該定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められてもよい。ただし、最小2乗法等の回帰分析法によれば、概ね(大きな)時間遅れを生ずることなく、当該定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められ、ひいては重量推定値Wx”〈k〉が求められる。
【0083】
このようにして或るタイミングkにおける定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められると、この定数b1〈k〉およびb2〈k〉が上述の式6に代入される。これによって、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉が求められる。これと同様の要領で、次のタイミング{k+1}以降の各重量推定値Wx”〈k+1〉,Wx”〈k+2〉,…が順次求められる。つまり、上述したTdという重量測定値Wxの記憶周期と同じ周期で、重量推定値Wx”が順次求められる。
【0084】
この重量推定値Wx”の算出に当たっては、図6に示すように、仮の第1切換重量値W1よりも小さい仮の記憶開始重量値W0(<W1)が予め設定される。そして、重量測定値Wxがこの仮の記憶開始重量値W0に到達した時点t0で(Wx≧W0)、重量推定値Wx”の算出のための当該重量測定値Wxの記憶が開始される。従って、例えば、最初に求められる重量推定値Wx”〈β〉は、重量測定値Wxの記憶が開始された時点t0から上述した推定用重量値取得期間Tcが経過した時点、つまり最初に記憶された重量測定値Wx〈0〉を含む{β+1}個の重量測定値Wx〈0〉〜Wx〈β〉が記憶された時点t0’(厳密にはこの時点t0’から多少の推定演算時間が経過した時点)で、得られる。そして、2番目以降の各重量推定値Wx”〈β+1〉,Wx”〈β+2〉,…は、当該時点t0’を基点として、上述の如くTdという周期で順次求められる。
【0085】
なお、図6は、整数βがβ=9の場合を例示している。また、この図6において、L0という符号が付されている直線は、最初の重量推定値Wx”〈β〉を通る上述の式7に従う1次関数直線である。そして、L1という符号が付されている直線は、2番目の重量推定値Wx”〈β+1〉を通る式7に従う1次関数直線であり、L2という符号が付されている直線は、3番目の重量推定値Wx”〈β+2〉を通る当該式7に従う1次関数直線である。さらに、この図6から分かるように、最初の重量推定値Wx”〈β〉,2番目の重量推定値Wx”〈β+1〉,3番目の重量推定値Wx”〈β+2〉等の言わば推定当初の重量推定値Wx”は、常套的には、太破線Yで示す真の供給済み重量値Wx’から乖離する。ただし、太実線Xで示す重量測定値Wxに比べると、当該推定当初の重量推定値Wx”は、全般的には、真の供給済み重量値Wx’に近い。そして、この重量推定値Wx”は、時間txが経過するに連れて、真の供給済み重量値Wx’に近づき、例えば当該重量推定値Wx”自体が仮の第1切換重量値W1に到達(Wx”≧W1)する頃には、真の供給済み重量値Wx’と概ね等価(Wx”≒Wx’)になる。
【0086】
ここで、改めてテスト運転について説明すると、図7(a)に示すように、被計量物100の供給開始直後に、ゲート開度GxがGx=G1とされ、仮の大供給段階に入る。この仮の大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持され、これに伴い、図7(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図7(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。
【0087】
そして、重量測定値Wxが仮の記憶開始重量値W0に到達すると、その時点t0で、重量推定値Wx”の算出のための当該重量測定値Wxの記憶が開始される。併せて、当該時点t0が仮の第1切換時点として記憶され、厳密には同時点t0における経過時間txが記憶される。なお、図7には示さないが、この仮の記憶開始時点t0から上述した推定用重量値取得期間Tcが経過した時点t0’で、図6に示した如く最初の重量推定値Wx”〈β〉が求められる。そして、これ以降、Tdという周期で、重量推定値Wx”が順次求められる。
【0088】
この重量推定値Wx”が仮の第1切換重量値W1に到達すると(Wx”≧W1)、その時点t1で、仮の大供給段階から仮の漸減段階に切り換わる。併せて、当該時点t1が、仮の第1切換時点として記憶される。ただし、重量推定値Wx”は、上述の如くTd(=γ・ΔT)という周期で求められるため、仮の第1切換時点t1における当該重量推定値Wx”が、仮の第1切換重量値W1と一致しないことがあり得る。つまり、上述の図6に示すように、例えばk’という或るタイミングにおいて、重量推定値Wx”が初めて第1切換重量値W1以上(Wx’〈k’〉≧W1)になる、とすると、そのタイミングk’が、仮の第1切換時点t1として特定される。なお、このようにして仮の第1切換時点t1が特定されるには、少なくとも当該仮の第1切換時点t1よりも前に1個以上の重量推定値Wx”が求められる必要があり、言い換えればそうなるように仮の記憶開始重量値W0が設定される必要がある。
【0089】
仮の漸減段階においては、上述した式5における重量測定値Wxに代えて、重量推定値Wx”が適用された次の式9に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。
【0090】
《式9》
Gx=(G1−G2)・{(W2−Wx”)/(W2−W1)}α+G2
【0091】
この式9に基づくことで、仮の漸減段階におけるゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて、厳密には重量推定値Wx”が増大するに連れて、漸減する。これに伴い、重量推定値Wx”の増大速度もまた漸減する。そして、重量推定値Wx”が仮の中間重量値W1’に到達すると(Wx”≧W1’)、その時点t1’が、仮の中間時点として記憶される。さらに、重量推定値Wx”が仮の第2切換重量値W2に到達すると(Wx”≧W2)、その時点t2が、仮の第2切換時点として記憶される。併せて、仮の漸減段階から仮の小供給段階に切り換わる。なお、この仮の第2切換時点t2でのゲート開度Gxは、式9からも分かるようにGx=G2となる。また、この仮の第2切換時点t2で、重量推定値Wx”の算出(真の供給済み重量値Wx’の推定)が終了されると共に、当該重量推定値Wxの算出のための重量測定値Wxの記憶が終了される。
【0092】
仮の小供給段階においては、仮の第2切換時点t2におけるのと等価なゲート開度G2が維持され、これに伴い、重量測定値Wxが当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定の速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされる。これ以降は、図4を参照しながら説明したのと同様である。
【0093】
このようにしてテスト運転が行われることによって、上述したように、仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2が得られると共に、仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’が得られる。併せて、仮の記憶開始時点t0が得られる。
【0094】
そして、このテスト運転が複数回にわたって繰り返されることで、仮の記憶開始時点t0,仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’,仮の第2切換時点t2および仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’のそれぞれが複数ずつ得られる。この間、被計量物100の性状等の諸状況が変化すると、当該複数の仮の記憶開始時点t0,仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2のそれぞれが異なる結果となる。ただし、仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’は一定(不変)である。さらに、これら複数の仮の記憶開始時点t0,仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’,仮の第2切換時点t2および仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’のそれぞれの平均値t0m,t1m,t1’m,t2mおよびG1’mが求められる。そして、この平均値t0m,t1m,t1’m,t2mおよびG1’mが、言わば正式な記憶開始時点t0,第1切換時点t1s,中間時点t1’s,第2切換時点t2sおよび中間時点t1’sにおけるゲート開度G1’dとして決定される。なお、これら正式な記憶開始時点t0,第1切換時点t1s,中間時点t1’sおよび第2切換時点t2sは、上述したTdという周期に従う重量推定値Wx”の算出タイミングと同期するように決定され、言い換えれば記憶開始時点t0から第1切換時点t1s,中間時点t1’sおよび第2切換時点t2sのそれぞれまでの時間が当該周期Tdによって割り切れるように決定される。
【0095】
そして、改めて、tx=t1であるときにGx=G1である、という第1条件と、tx=t2であるときにGx=G2である、という第2条件と、tx=t1’であるときにGx=G1’である、という第3条件と、の3つの条件が満足されるように、式3における各定数a1,a2およびa3が求められる。これにより、重量推定値Wx”を変数とする式9から、経過時間txを変数とする当該式3への変換が、適切に行われる。
【0096】
その上で、今度は、この適切に変換された式3を適用してのテスト運転、言わば第2次のテスト運転、が行われる。
【0097】
即ち、先の言わば第1次テスト運転によって決定された記憶開始時点t0s,第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sが、図8に示すように、予め設定される。併せて、第1切換時点t1sから第2切換時点t2sまでの漸減時間T2が、上述したTdという重量推定値Wx”の算出周期で除されることによって、N(=T3/Td)等分される。そして、このN等分された各区間間の境界に当たる時点が、基準時点t[n](n=0〜N)として設定される。つまり、第1切換時点t1sを最初の基準時点t[0]とし、第2切換時点t2sを最後の基準時点t[N]とする、{N+1}個の基準時点t[n]が等間隔に設定される。このような設定が成された上で、経過時間txを制御パラメータとする第2次テスト運転が開始される。なお、この第2次テスト運転においても、被計量物100の供給開始時点を基点とする当該経過時間txが測定される。
【0098】
具体的には、図8(a)に示すように、被計量物100の供給開始直後に、ゲート開度GxがGx=G1とされ、大供給段階に入る。この大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持される。これにより、図8(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図8(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。
【0099】
そして、経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶が開始される。さらに、当該経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。なお、この第2次テスト運転においては、図6に示した時点t0’ではなく、第1切換時点t1sで、上述した要領による重量推定値Wx”の算出が開始される。また、この第1切換時点t1sでの重量推定値Wx”、つまり最初の基準時点t[0]での重量推定値Wx”[0]は、理想的には仮の第1切換重量値W1と等価(Wx”[0]=W1)になる。そして、この重量推定値Wx”[0]は、当該最初の基準時点t[0]と対応付けられた状態で記憶される。
【0100】
漸減段階においては、上述の(適切に変換された)式3に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。これにより、当該ゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて漸減する。併せて、重量推定値Wx”もまた漸減する。そして、経過時間txがそれぞれの基準時点t[n]に到達するたびに、重量推定値Wx”[n]が求められ、この重量推定値Wx”[n]は、当該基準時点t[n]と対応付けられた状態で記憶される。そして、経過時間txが最後の基準時点t[N]である第2切換時点t2sに到達すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、この第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”[N]は、理想的には仮の第2切換重量値W2と等価(Wx”[N]=W2)になる。また、この第2切換時点t2sにおけるゲート開度Gxは、Gx=G2となる。そして、この第2切換時点t2sにおいて、重量推定値Wx”の算出が終了されると共に、当該重量推定値Wxの算出のための重量測定値Wxの記憶が終了される。
【0101】
小供給段階においては、第2切換時点t2sにおけるのと等価なゲート開度G2が維持され、これに伴い、重量測定値Wxが当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされる。これ以降は、第1次テスト運転時と同様である。また、最終重量値Wfについても、記憶される。
【0102】
このようにして第2次テスト運転が行われることで、漸減段階の各基準時点t[n]における重量推定値Wx”[n]が記憶されると共に、最終重量値Wfもまた記憶される。そして、この第2次テスト運転が複数回にわたって繰り返される。
【0103】
この複数回の第2次テスト運転によって得られた複数のテスト結果のうち、第2切換時点t2s(=t[N])での重量推定値Wx”[N]が、所定の許容範囲内にあるもの、詳しくは次の式10を満足するもの、のみが抽出される。なお、この式10におけるΔWaは、第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”[N]として許容される誤差重量値であり、例えば仮の第2切換重量値W2の数%であり、概ね0.5%〜2%(ΔWa=0.005・W2〜0.02・W2)である。
【0104】
《式10》
W2−ΔWa≦Wx”[N]≦W2+ΔWa
【0105】
そしてさらに、この式10を満足するテスト結果のうち、最終的な供給精度が一定以上のもの、詳しくは最終重量値Wfが次の式11を満足するもの、のみが抽出される。なお、この式11におけるΔWbは、最終重量値Wfとして許容される上述とは別の誤差重量値であり、例えば目標重量値Wpの数%であり、概ね0.5%〜2%(ΔWb=0.005・Wp〜0.02・Wp)である。
【0106】
《式11》
Wp≦Wf≦Wp+ΔWb
【0107】
このように式10および式11の両方を満足するテスト結果のみが抽出された後、この抽出されたテスト結果について、それぞれの基準時点t[n]ごとに、重量推定値Wx”[n]の平均値Wm”[n]が求められる。そして、この平均値Wm”[n]が、それぞれの基準時点t[n]における重量推定値Wx”の標準値、言わば標準重量値Ws[n]、として決定される。
【0108】
この標準重量値Ws[n]は、それぞれの基準時点t[n]と対応付けられた状態で、例えば図9に示す基準テーブルに記憶される。また、それぞれの基準時点t[n]が上述の式3における変数txに代入されることで、当該それぞれの基準時点t[n]におけるゲート開度Gxの標準値、言わば標準ゲート開度Gs[n]、が決定される。そして、この標準ゲート開度Gs[n]についても、同基準テーブルに記憶される。なお、この基準テーブルにおける最小標準重量値Ws[0]は、基本的には仮の第1切換重量値W1と等価(Ws[0]=W1)になる。そして、最大標準重量値Ws[N]は、強制的に仮の第2切換重量値W2と等価(Ws[N]=W2)とされる。また、最初の基準時点t[0]での標準ゲート開度Gs[0]は、大供給段階におけるゲート開度G1と等価(Gs[0]=G1)であり、最後の基準時点t[N]での標準ゲート開度Gs[N]は、小供給段階におけるゲート開度G2と等価(Gs[N]=G2)である。
【0109】
この基準テーブルの完成をもって、事前の調整作業が終了する。これにより、実際の稼働運転が可能となる。
【0110】
この実際の稼働運転について、改めて説明すると、まず、操作キー42の操作によって、稼働モードが選択される。その上で、被計量物100の供給が開始されると共に、この被計量物100の供給開始時点を基点とする経過時間txが測定される。
【0111】
被計量物100の供給開始直後は、図3(a)に示したように、ゲート開度GxがGx=G1とされ、大供給段階に入る。そして、この大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持される。これにより、図3(b)に太実線Xで示したように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。
【0112】
そして、上述の経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶が開始される。さらに、当該経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。併せて、上述の第2次テスト時と同様、当該第1切換時点t1sである最初の基準時点t[0]において、重量推定値Wx”の算出が開始される。この最初の基準時点t[0]における重量推定値Wx”[0]は、最小標準重量値Ws[0]と等価(Wx”[0]=Ws[0])であるのが理想であるが、被計量物100の性状等の諸状況によっては、そうならない場合もあり得る。そこで、次の式12に基づいて、ゲート開度Gx[n](ここではGx[0])が制御される。
【0113】
《式12》
Gx[n]=Gs[n]−ε・(Wx”[n]−Ws[n])
【0114】
なお、この式12において、εは、任意の基準時点t[n]における推定重量値Wx”[n]と標準重量値Ws[n]との差をゲート開度Gx[n]に変換するための係数であり、厳密に言えば、当該差をゲート開度Gx[n]の修正分に変換するための係数である。この変換係数εは、例えば次の式13によって求められる。また、当該変換係数εは、制御状況に応じて任意に設定されてもよい。
【0115】
《式13》
ε=G2/(Wc−W2)
【0116】
この式13の変換係数εを含む式12によれば、最初の基準時点t[0]において、例えば推定重量値Wx”[0]が最小標準重量値Ws[0]と等価である場合、ゲート開度Gx[0]は最大標準ゲート開度Gs[0]と等価(Gx[0]=Gs[0])になる。これに対して、推定重量値Wx”[0]が最小標準重量値Ws[0]よりも大きい(Wx”[0]>Ws[0])場合には、ゲート開度Gx[0]は最大標準ゲート開度Gs[0]よりも小さめ(Gx[0]<Gs[0])とされ、つまりそうなるように修正制御される。なお、推定重量値Wx”[0]が最小標準重量値Ws[0]よりも小さい(Wx”[0]<Ws[0])場合には、ゲート開度Gx[0]は最大標準ゲート開度Gs[0]と等価とされる。
【0117】
これと同様に、経過時間txが最後の基準時点t[N]に到達する直前までは、当該経過時間txがそれぞれの基準時点t[n](n=1〜{N−1})に到達するごとに、上述の式12に基づいて、ゲート開度Gx[0]が制御される。即ち、任意の基準時点t[n]において、例えば推定重量値Wx”[n]が標準重量値Ws[n]と等価(Wx”[n]=Ws[n])である場合、ゲート開度Gx[n]は標準ゲート開度Gs[n]と等価(Gx[n]=Gs[n])とされる。これに対して、推定重量値Wx”[n]が標準重量値Ws[n]よりも大きい(Wx”[n]>Ws[n])場合には、ゲート開度Gx[n]は標準ゲート開度Gs[n]よりも小さめ(Gx[n]<Gs[n])とされる。これとは反対に、推定重量値Wx”[n]が標準重量値Ws[n]よりも小さい(Wx”[n]<Ws[n])場合には、ゲート開度Gx[n]は標準ゲート開度Gs[n]よりも大きめ(Gx[n]>Gs[n])とされる。
【0118】
そして、経過時間txが最後の基準時点t[N]である第2切換時点t2sに到達すると、ゲート開度Gx[N]は、強制的に最大標準ゲート開度Gs[N]と等価(Gx[N]=Gs[N])とされる。このようにしてゲート開度Gxが適宜に制御されることで、第2切換時点t2sにおける重量推定値Wx”[n]は、最大標準重量値Ws[N]と略等価(Wx”[N]≒Ws[n])になる。その一方で、当該第2切換時点t2sにおいては、上述した初期振動成分を含む振動成分が十分に減衰しているので、同第2切換時点t2sにおける重量測定値Wxは、重量推定値Wx”[N]と略等価(Wx=Wx”[N])である。この結果、上述したように、当該第2切換時点t2sにおける重量測定値Wxは、最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値になる。そして、この第2切換時点t2sにおいて、重量推定値Wx”の算出が終了されると共に、当該重量推定値Wxの算出のための重量測定値Wxの記憶が終了される。併せて、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、小供給段階以降については、上述した通りである。
【0119】
このように、本実施形態によれば、漸減段階において、被計量物100の供給開始時点からの経過時間txがそれぞれの基準時点t[n]に到達するごとに、上述の式12に基づいてゲート開度Gxが制御される。これは、それぞれの基準時点t[n]において、重量推定値Wx”[n]と標準重量値Ws[n]とが比較され、これら両者Wx”[n]およびWs[n]が互いに一致するように、言い換えれば当該重量推定値Wx”[n]が所期の通りに推移するように、ゲート開度Gxが適宜に制御されること、言わばリアルタイム制御されること、を意味する。そして、このゲート開度Gxのリアルタイム制御によって、漸減段階の終点であり、かつ、小供給段階の始点でもある、所定の第2切換時点t2sにおいて、重量測定値Wxが、最大標準重量値Ws[n]と略等価な一定値になる。この結果、全供給時間Twの均一化が図られ、つまり定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られる。これは、特に、本実施形態の定量供給装置10の後段に上述した重量選別装置が設けられるシステムにおいて、製品の品質および生産性の両方を満足させるのに、極めて有効である。
【0120】
このような漸減段階におけるゲート開度Gxのリアルタイム制御を含む定量供給を実現するべく、CPU32は、稼働運転時に、上述した制御プログラムに従って、次のように動作する。なお、この稼働運転に入る際、開閉ゲート16は閉鎖されており、溜めホッパ12には所定量(収容高さH)の被計量物100が収容されているものとする。併せて、計量ホッパ14は空の状態であり、排出ゲート54は閉鎖されているものとする。
【0121】
まず、操作キー42の操作によって自動運転ONの命令が入力されると、CPU32は、図10に示す自動運転タスクのステップS1に進む。そして、このステップS1において、初期設定処理を行う。詳しくは、後述するCd,CfおよびCgという3つのカウンタのカウント値を全てリセットする(0とする)と共に、後述するF0,F1,F2,F3,F4,F5およびF6という7つのフラグのそれぞれに0を設定する。そして、このステップS1の実行後、ステップS3に進み、後述する割込タスクの実行を開始する。
【0122】
さらに、CPU32は、ステップS5に進み、ゲート開度GxをGx=G1とするための準備を行い、詳しくは上述したゲート制御信号Sgを生成する準備をする。そして、ステップS7に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成し、つまり開閉ゲート16を制御する。これにより、大供給段階が開始される。
【0123】
ステップS7の実行後、CPU32は、ステップS9に進む。そして、このステップS9において、Cuというカウンタのカウント値をリセットする。なお、このカウント値Cuは、上述した記憶開始時点t0sを捉えるためのものであり、詳しくは被計量物100の供給開始時点から当該記憶開始時点t0sまでの言わば記憶開始待ち時間Tu(=t0s−0;図3参照)をカウントするためのものである。
【0124】
そして、CPU32は、ステップS11に進み、F0というフラグに1を設定する。このフラグF0は、溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の供給が開始されたか否かを表す指標であり、例えば当該フラグF0がF0=1であるときは、被計量物100の供給が開始されたことを表す。一方、この言わば供給開始フラグF0がF0=0であるときは、被計量物100の供給が開始されていないことを表す。
【0125】
このステップS11の実行後、CPU32は、ステップS13に進み、被計量物100の供給開始時点からの経過時間txが記憶開始時点t0sに到達したか否かを判定する。詳しくは、上述の記憶開始待ち時間Tuをカウントするためのカウント値Cuと、当該記憶開始待ち時間Tu(厳密には記憶開始待ち時間Tuをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)と、を比較する。なお、カウント値Cuは、後述するように、割込タスクにおいて管理される。そして、当該カウント値Cuが記憶開始待ち時間Tuに到達(Cu≧Tu)すると、つまり経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、CPU32は、ステップS13からステップS15に進む。
【0126】
ステップS15において、CPU32は、F1というフラグに1を設定する。このフラグF1は、推定重量値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されたか否かを表す指標であり、例えば当該フラグF1がF1=1であるときは、当該重量測定値Wxの記憶が開始されたことを表す。一方、この言わば推定開始フラグF1がF1=0であるときは、重量測定値Wxの記憶が未だ開始されていないことを表す。
【0127】
そして、CPU32は、ステップS17に進み、経過時間txが第1切換時点t1sに到達したか否かを判定する。具体的には、図5および図6を参照しながら説明した重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶順を表すkというインデックスの値と、Rという所定の基準値と、を比較する。なお、インデックスkの値は、割込タスクにおいて管理される。そして、基準値Rは、記憶開始時点t0sから第1切換時点t1sまでの言わば推定待ち時間Tr(=t1s−t0s;図3参照)を当該インデックスkの値に換算した換算値であり、例えば図6におけるk’の値に相当する。このステップS17において、インデックスkの値が基準値Rに到達(k≧R)すると、つまり経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、CPU32は、大供給段階から漸減段階に切り換わるべく、図11のステップS19に進む。
【0128】
ステップS19において、CPU32は、任意の基準時点t[n]における重量推定値Wx”[n]を特定するためのnという上述とは別のインデックスに0を設定する。そして、ステップS21に進み、上述のkというインデックスの値をCpというカウンタのカウント値にコピーする。つまり、このステップS21においては、当該カウント値CpにRという値が設定される。なお、当該カウント値Cpは、次に説明するように、重量推定値Wx”を更新するのに用いられる。
【0129】
ステップS21の実行後、CPU32は、ステップS23に進み、インデックスkの値と上述のカウント値Cpとを比較する。このステップS23は、インデックスkの値がカウント値Cp以上(k≧Cp)になるまで繰り返される。そして、インデックスkの値がカウント値Cp以上になると、CPU32は、重量推定値Wx”を算出するべく、ステップS25に進む。なお、このステップS23が初めて実行されるときは、上述のステップS21が実行された直後であるので、インデックスkの値とカウント値CpとはいずれもR(k=Cp=R)であり、ゆえに、CPU32は、即座にステップS25に進む。
【0130】
ステップS25において、CPU32は、現時点で記憶されている重量測定値Wxのうち今現在のkというタイミングの(最も直近に記憶された)重量測定値Wx〈k〉を含む過去の{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に基づいて、当該kという今現在のタイミングにおける重量推定値Wx”〈k〉を求める。具体的には、上述の式8に示した{β+1}個の1次関数式に基づいて、これら各1次関数式に共通する2つの定数b1〈k〉およびb2〈k〉を求めると共に、これら2つの定数b1〈k〉およびb2〈k〉を式6に代入することによって、当該重量推定値Wx〈k〉を求める。
【0131】
そして、CPU32は、ステップS27に進み、ステップS25で求めた重量推定値Wx”〈k〉を、上述したnというインデックスによって特定される重量推定値Wx”[n]に置き換える。さらに、CPU32は、ステップS29に進み、図9に示した基準テーブルを参照することで、当該インデックスnに対応する標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とを特定する。そして、ステップS31に進み、上述の式12に基づいて、ゲート開度Gx[n]を算出し、さらに、ステップS33に進み、当該ゲート開度Gx[n]に応じたゲート制御信号Sgを生成する。これにより、ゲート開度Gxのリアルタイム制御が実現される。
【0132】
ステップS33の実行後、CPU32は、ステップS35に進み、nというインデックスの値を1だけインクリメントする。そして、ステップS37に進み、当該インクリメント後のインデックスnの値と、その最大値Nと、を比較する。ここで、例えば、インデックスnの値が最大値Nよりも小さい(n<N)場合、つまり経過時間txが未だ第2切換時点t2sである最後の基準時点t[n]に到達していない場合は、改めて重量推定値Wx”[n]を算出するべく、ステップS39に進む。そして、このステップS39において、重量推定値Wx”[n]の更新用の上述したカウント値Cpを1だけインクリメントした後、ステップS23に戻る。一方、インデックスnの値が最大値Nに到達(n=N)した場合、つまり経過時間txが最後の基準時点t[N]に到達した場合は、ステップS37からステップS41に進む。
【0133】
ステップS41において、CPU32は、ゲート開度GxをGx=G02とするためのゲート制御信号Sgを生成する準備を行う。そして、ステップS43に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成して、開閉ゲート16を制御する。これにより、漸減段階から小供給段階に切り換わる。
【0134】
さらに、CPU32は、ステップS45に進み、F2というフラグに1を設定する。このフラグF2は、既に小供給段階に入ったか否かを表す指標であり、例えば当該フラグF2がF2=1であるときは、既に小供給段階に入ったことを表す。一方、この言わば小供給開始フラグF2がF2=0であるときは、未だ小供給段階に入っていないことを表す。このステップS45の実行後、CPU32は、図12のステップS47に進む。
【0135】
ステップS47において、CPU32は、重量測定値Wxと供給停止重量値Wcとを比較する。このステップS47は、重量測定値Wxが供給停止重量値Wc以上(Wx≧Wc)になるまで繰り返される。そして、当該重量測定値Wxが供給停止重量値Wc以上になると、CPU32は、開閉ゲート16を閉鎖するべく、このステップS47からステップS49に進む。
【0136】
ステップS49において、CPU32は、ゲート開度GxをGx=0とするためのゲート制御信号Sgを生成する準備を行う。そして、ステップS51に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成して、開閉ゲート16を制御する。これにより、開閉ゲート16が閉鎖される。
【0137】
そして、CPU32は、ステップS53に進み、F3というフラグに1を設定する。このフラグF3は、上述した最終重量値Wfを得るための安定待ち動作が開始されたか否かを表す指標であり、言い換えれば図3を参照しながら説明した安定待ち時間Tfが計測されている最中であるか否かを表す指標である。例えば、この言わば安定待ち開始フラグF3がF3=1であるときは、安定待ち動作が開始されたことを表し、つまり安定待ち時間Tfが計測されている最中であることを表す。一方、そうでないときは、この安定待ち開始フラグF3はF3=0である。
【0138】
ステップS53の実行後、CPU32は、ステップS55に進む。そして、このステップS55において、F4というフラグがF4=1であるか否かを判定する。このフラグF4は、上述の安定待ち動作が終了したか否かを表す指標であり、割込タスクによって管理される。例えば、この言わば安定待ち終了フラグF4がF4=1であるときは、安定待ち動作が終了したことを表し、当該フラグF4がF4=0であるときは、安定待ち動作が未だ終了していないことを表す。このステップS55は、安定待ち終了フラグF4がF4=1となるまで、つまり安定待ち動作が終了するまで、継続される。そして、安定待ち動作が終了すると、CPU32は、このステップS55からステップS57に進む。
【0139】
ステップS57において、CPU32は、上述した式4に基づく第2の平滑処理としての移動平均処理によって最終重量値Wfを算出する。そして、ステップS59に進み、当該ステップS57で算出した最終重量値Wfをディスプレイ20に表示する。なお、詳しい図示は省略するが、このディスプレイ20への最終重量値Wfの表示は、一定期間にわたって、例えば次の定量供給が開始される直前まで、行われる。また、最終重量値Wfは、図示しない印刷(印字)装置や選別装置等の外部装置に出力することも可能である。
【0140】
ステップS59の実行後、CPU32は、ステップS61に進み、排出ゲート54を開放するようシリンダ38を制御し、つまり排出制御信号Scを生成する。これにより、計量ホッパ14内の被計量物100が当該計量ホッパ14から排出される。
【0141】
そして、CPU32は、ステップS63に進み、F5というフラグがF5=1であるか否かを判定する。このフラグF5は、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したか否かを表す指標であり、これもまた、割込タスクによって管理される。例えば、この言わば排出終了フラグF5がF5=1であるときは、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したことを表し、当該フラグF5がF5=0であるときは、被計量物100の排出が終了していないことを表す。このステップS63は、排出終了フラグF5がF5=1となるまで、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了するまで、継続される。そして、被計量物100の排出が終了すると、CPU32は、このステップS63からステップS65に進み、排出ゲート54を閉鎖するようシリンダ38を制御する。
【0142】
ステップS65の実行後、CPU32は、ステップS67に進み、F6というフラグがF6=1であるか否かを判定する。このフラグF6は、排出ゲート54が完全に閉鎖されたこと、言い換えれば一連(1回)の定量供給が終了したこと、を表す指標であり、これもまた、割込タスクによって管理される。例えば、この言わば1バッチ終了フラグF6がF6=1であるときは、一連の定量供給が終了したことを表し、当該フラグF6がF6=0であるときは、定量供給が終了していないことを表す。このステップS67は、1バッチ終了フラグF6がF6=1となるまで、つまり一連の定量供給が終了するまで、継続される。そして、一連の定量供給が終了すると、CPU32は、このステップS67からステップS69に進む。
【0143】
ステップS69において、CPU32は、全てのフラグF1,F2,F3,F4,F5およびF6に0を設定する。そして、ステップS71に進み、操作キー42の操作によって自動運転OFFの命令が入力された(または入力されている)か否かを判定する。このステップS71において、例えば、自動運転OFFの命令が入力されていない場合、CPU32は、改めて次の定量供給を開始するべく、図10のステップS5に戻る。一方、自動運転OFFの命令が入力された場合は、ステップS73に進み、割込タスクを終了する。そして、CPU32は、この自動運転タスクを終了する。
【0144】
続いて、割込タスクについて詳しく説明する。この割込タスクは、クロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて行われる。即ち、クロックパルスCLKの立ち上がりが到来すると、CPU32は、図13のステップS101に進む。そして、このステップS101において、上述の1バッチ終了フラグF6がF6=0であるか否か、要するに一連の定量供給が行われている最中であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該1バッチ終了フラグF6がF6=1である場合、つまり一連の定量供給が終了した場合は、一旦、この割込タスクを終了する。一方、1バッチ終了フラグF6がF6=0である場合、つまり一連の定量供給が行われている最中である場合は、このステップS101からステップS103に進む。
【0145】
ステップS103において、CPU32は、排出終了フラグF5がF5=0であるか否か、要するに計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したか否か、を判定する。ここで、例えば、当該排出終了フラグF5がF5=0である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が未だ終了していない場合は、ステップS105に進む。なお、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合については、後で詳しく説明する。
【0146】
ステップS105に進むと、CPU32は、安定待ち終了フラグF4がF4=0であるか否か、要するに安定待ち動作が終了したか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち終了フラグF4がF4=0である場合、つまり安定待ち動作が未だ終了していない場合は、ステップS107に進む。なお、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合については、後で詳しく説明する。
【0147】
ステップS107において、CPU32は、A/D変換回路26から入出力インタフェース回路30経由でデジタル荷重検出信号Wyを取得する。そして、ステップS109に進み、当該デジタル荷重検出信号Wyに対して上述した第1の平滑処理を施し、さらに、この第1の平滑処理が施された後のデジタル荷重検出信号Wyに基づいて重量測定値Wxを求める。
【0148】
ステップS109の実行後、CPU32は、ステップS111に進み、安定待ち開始フラグF3がF3=0であるか否か、要するに安定待ち動作が開始されたか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち開始フラグF3がF3=0である場合、つまり安定待ち動作が未だ開始されていない場合は、ステップS113に進む。なお、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始された場合については、後で詳しく説明する。
【0149】
ステップS113において、CPU32は、小供給開始フラグF2がF2=0であるか否か、要するに小供給段階に入ったか否か、を判定する。ここで、例えば、当該小供給開始フラグF2がF2=0であるとき、つまり未だ小供給段階に入っていないときは、ステップS115に進む。一方、小供給開始フラグF2がF2=1であるとき、つまり既に小供給段階に入っているときは、一旦、この割込タスクを終了する。
【0150】
ステップS115に進んだCPU32は、ここで、推定開始フラグF1がF1=0であるか否か、要するに重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されたか否か、を判定する。ここで、例えば、当該推定開始フラグF1がF1=0である場合、つまり重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が未だ開始されていない場合は、ステップS117に進む。なお、推定開始フラグF1がF1=0である場合、つまり重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されている場合については、後で詳しく説明する。
【0151】
ステップS117において、CPU32は、供給開始フラグF0がF0=0であるか否か、要するに被計量物100の供給が開始されたか否か、を判定する。ここで、例えば、当該供給開始フラグF0がF0=0である場合、つまり被計量物100の供給が未だ開始されていない場合は、ステップS119に進む。一方、当該供給開始フラグF0がF0=1である場合、つまり被計量物100の供給が開始された場合は、ステップS121に進み、上述した記憶開始待ち時間Tuをカウントするためのカウンタのカウント値Cuを1だけインクリメントした後、ステップS119に進む。
【0152】
ステップS119において、CPU32は、上述した重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶順を表すkというインデックスに0という値を設定する。そして、ステップS123に進み、当該インデックスkによって特定される重量測定値Wx〈k〉を記憶して、一旦、割込タスクを終了する。
【0153】
一方、上述のステップS115において、推定開始フラグF1がF1=1である場合、つまり重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されている場合は、CPU32は、ステップS125に進む。そして、このステップS125において、上述したCdというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cdは、次に説明するように、重量測定値Wxの記憶周期Td、言い換えれば重量推定値Wx”の算出周期(推定周期)、を測定するのに用いられる。
【0154】
ステップS125の実行後、CPU32は、ステップS127に進み、上述の推定周期Td測定用のカウント値Cdと当該推定周期Tdに係る整数γとを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cdが整数γと等価(Cd=γ)である場合、つまり1回の推定周期Tdが経過した場合は、ステップS129に進む。一方、当該カウント値Cdが整数γと等価でない(Cd≠γ;実際にはCd<γ)場合、つまり1回の推定周期Tdが未だ経過していない場合は、一旦、この割込タスクを終了する。
【0155】
ステップS129において、CPU32は、推定周期Td測定用のカウント値Cdをリセットする。そして、ステップS131に進み、推定用の重量測定値Wxの記憶順を表すインデックスkの値を1だけインクリメントした後、当該インデックスkによって特定される重量測定値Wx〈k〉を記憶するべく、上述のステップS123に進む。
【0156】
なお、上述のステップS111において、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始されている場合は、CPU32は、図14のステップS133に進む。そして、このステップS133において、上述した式4に基づく第2の平滑処理によって最終重量値Wfを算出するための図示しないシフトレジスタに今現在の重量測定値Wxを記憶する。このシフトレジスタに記憶される重量測定値Wxは、上述したように第1の平滑処理が施されたものである。また、当該シフトレジスタには、J個の重量測定値Wxが記憶されるが、このJ個の重量測定値Wxは、新たな重量測定値Wxが記憶されるごとに、古いものから順に廃棄される。また、第1の平滑処理のためにも同様のレジスタが用いられるが、これについての詳細な説明は、ステップの図示を含め省略する。
【0157】
ステップS133の実行後、CPU32は、ステップS135に進む。そして、このステップS135において、上述のCfというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cfは、次に説明するように、安定待ち時間Tfを測定するのに用いられる。
【0158】
ステップS135の実行後、CPU32は、ステップS137に進み、上述の安定待ち時間Tf測定用のカウント値Cfと安定待ち時間Tf(厳密には安定待ち時間Tfをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cfが安定待ち時間Tfに到達(Cf≧Tf)すると、つまり安定待ち時間Tsが経過すると、CPU32は、ステップS139に進む。一方、当該カウント値Csが安定待ち時間Tsに到達していない(Cf<Tf)場合、つまり安定待ち時間Tsが未だ経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
【0159】
ステップS139において、CPU32は、安定待ち終了フラグF4に1を設定する。そして、ステップS141に進み、安定待ち時間Tf測定用のカウント値Cfをリセットした後、一旦、割込タスクを終了する。
【0160】
また、図13のステップS105において、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合は、CPU32は、図14のステップS143に進む。そして、このステップS143において、上述したCgというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cgは、次に説明するように、排出ゲート54の開閉動作を管理するのに用いられ、詳しくは排出時間Tgおよび準備時間Thを測定するのに用いられる。
【0161】
ステップS143の実行後、CPU32は、ステップS145に進み、上述の排出ゲート54管理用のカウント値Cgと排出時間Tg(厳密には排出時間Tgをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが排出時間Tgに到達(Cg≧Tg)すると、つまり排出時間Tgが経過すると、CPU32は、ステップS147に進む。一方、当該カウント値Cgが排出時間Tgに到達していない(Cg<Tg)場合、つまり排出時間Tgが未だ経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
【0162】
ステップS147において、CPU32は、排出終了フラグF5に1を設定する。そして、ステップS149に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットした後、一旦、割込タスクを終了する。
【0163】
さらに、図13のステップS103において、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合は、CPU32は、図14のステップS151に進む。そして、このステップS151において、排出ゲート54管理用のカウント値Cgを1だけインクリメントした後、ステップS153に進む。
【0164】
ステップS153において、CPU32は、排出ゲート54管理用のカウント値Cgと準備時間Th(厳密には準備時間Thをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが準備時間Thに到達(Cg≧Th)すると、つまり準備時間Thが経過すると、CPU32は、ステップS155に進む。一方、当該カウント値Cgが準備時間Thに到達していない(Cg<Th)場合、つまり準備時間Thが未だ経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
【0165】
ステップS155に進んだCPU32は、ここで、1バッチ終了フラグF6に1を設定する。そして、上述のステップS149に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットした後、割込タスクを終了する。
【0166】
このようにCPU32が動作することによって、漸減段階におけるゲート開度Gxのリアルタイム制御を含む定量供給が実現される。
【0167】
なお、本実施形態においては、上述の式3に基づいて、漸減段階の各基準時点t[n]における標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とが決定され、ひいては当該漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されることとしたが、これに限らない。例えば、当該式3に代えて、上述式2に準拠する次の式14が適用されてもよい。
【0168】
《式14》
Gx=(G1−G2)・{(t2s−tx)/(t2s−t1s)}α+G2
【0169】
これとは別に、例えば、次の式15で表される3次関数式に基づいて、漸減段階の各基準時点t[n]における標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とが決定され、ひいては当該漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されてもよい。
【0170】
《式15》
Gx=c1・tx3+c2・tx2+c3・tx+c4
【0171】
この式15において、c1,c2,c3およびc4は、いずれも定数であり、次の4つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、tx=t1sであるときにGx=G1であることが、要求される。そして、このtx=t1sであるときのゲート開度G1が当該ゲート開度Gxの最大値であることが、第2の条件とされる。さらに、第3の条件として、tx=t2sであるときにGx=G2であることが、要求される。そして、このtx=t2sであるときのゲート開度G2が当該ゲート開度Gxの最小値であることが、第4の条件とされる。
【0172】
この式15によれば、ゲート開度Gxは、経過時間txに対して概略S字状に推移するようになる。詳しくは、経過時間txに対するゲート開度Gxの変化率(|dGx/dtx|)が、最初はまず漸増し、その後、漸減するように、当該ゲート開度Gxが推移する。これにより、特に、漸減段階から小供給段階に切り換わる第2切換時点t2sでのゲート開度Gxの変化が連続的(スムーズ)になり、当該第2切換時点t2sの前後における被計量物100の供給量Qxの変化が低減される。この結果、当該第2切換時点t2sでの振動成分の発生がより一層抑制される。これは、小供給時間T3のさらなる短縮化に貢献し、ひいては当該小供給時間T3を含む全供給時間Twのさらなる短縮化に大きく貢献する。
【0173】
また、上述した記憶開始時点t0sを基点としてTd(=γ・ΔT)という周期ごとに重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxが記憶され、ひいては当該重量推定値Wx”が求められることとしたが、これに限らない。例えば、被計量物100の供給開始時点を基点として当該重量測定値Wxが記憶され、ひいては重量推定値Wx”が求められてもよい。
【0174】
加えて、上述のTdという周期ごとではなく、例えば、サンプリング周期ΔTごとに、重量測定値Wxが記憶され、ひいては重量推定値Wx”が求められてもよい。ただし、漸減段階においては、小供給段階に比べて、ゲート開度Gxの制御に正確さが求められないこと、ならびに、CPU32の負担を軽減すること、言い換えれば比較的に廉価なCPU32であっても採用可能とすること、を鑑みると、本実施形態の如く当該Tdという周期に従うのも、一種の得策である。
【0175】
そして、本実施形態においては、上述の式12に基づいてゲート開度Gxが修正制御されることとしたが、これに限らない。例えば、式12に代えて、次の式16が採用されてもよい。なお、この式16におけるρは、0よりも大きい(ρ>0)補正係数である。
【0176】
《式16》
Gx[n]=Gs[n]・{1−ρ・(Wx”[n]−Ws[n])}
【0177】
いずれにしても、第2切換時点t2sにおける重量推定値Wx”が一定となるように、漸減段階におけるゲート開度Gxが適宜に制御されればよい。
【0178】
さらに、本実施形態では、重量測定値Wxが仮の第1切換重量値W1と等価な最小標準重量値Ws[0]に到達する頃の第1切換時点t1sにおいて、大供給段階から漸減段階に切り換わることとされたが、これに限らない。例えば、図15に示すように、記憶開始時点t0sから上述した推定用重量値取得期間Tcが経過した時点、つまり最初の重量推定値Wx”〈β〉が得られた時点t0’sで、大供給段階から漸減段階に切り換わるようにしてもよい。このようにすれば、漸減時間T2が長くなるので、その分、漸減段開におけるゲート開度Gxの制御の幅が広がり、当該制御の柔軟性が向上する。ただし、その一方で、大供給時間T1が短くなるので、全供給時間Twは長引く可能性がある。
【0179】
また、この場合、例えば図16に示すように、上述の時点t0’sよりも早い時点t0”sで、最初の重量推定値Wx”〈β−q〉(q;1≦p<βを満足する整数)が求められると共に、この時点t0”sで、大供給段階から漸減段開に切り換わるようにしてもよい。具体的には、{β+1}個よりもq個だけ少ない{β+1−q}個の重量測定値Wxが記憶された時点、つまり記憶開始時点t0sからTc’(={β−q}・Td<Tc)という期間が経過した時点t0”sで、当該{β+1−q}個の重量測定値Wxに基づいて最初の重量推定値Wx”〈β−q〉が求められるようにする。この{β+1−q}個の重量測定値Wxに基づく重量推定値Wx”〈β−q〉の算出要領は、上述した{β+1}個の重量測定値Wxに基づく算出要領と同様である。そして、これ以降、{β+2−q}個,{β+3−q}個,…というように重量測定値Wxの数が1つずつ増加され、同様の要領で2番目以降の各重量推定値Wx”〈β−q+1〉,Wx”〈β−q+2〉,…が順次求められるようにする。そして、重量測定値Wxの記憶数が{β+1}に到達した時点t0’s以降は、当該{β+1}個の重量測定値Wxに基づいて、重量推定値Wx”が求められるようにする。ただし、この場合は、最初の重量推定値Wx”〈β−q〉,2番目の重量推定値Wx”〈β−q+1〉,3番目の重量推定値Wx”〈β−q+2〉等の推定当初の重量推定値Wx”は、真の供給済み重量値Wx’から比較的に大きく乖離する。なお、図16は、整数βがn=9であり、減算分の整数qがq=3の場合を例示している。
【0180】
そして、極端には、重量推定値Wx”ではなく、重量測定値Wxに基づいて、漸減段階の各基準時点t[n]における標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とが決定され、ひいては当該漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されてもよい。ただし、この場合、初期振動成分を含む振動成分の影響を受けることは、上述した通りである。その一方で、当該振動成分が比較的に小さい場合には、この重量測定値Wxに基づくことも、一種の得策である。
【0181】
本実施形態においては、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱う定量計量装置10を例に挙げたが、これに限らない。例えば、当該樹脂ペレットやグラニュー糖よりも流動性の低い被計量物や、粘性のある被計量物等を取り扱う装置にも、本発明を適用することができる。特に、粘性のある被計量物を取り扱う場合には、当該被計量物がスクリューフィーダによって溜めホッパから計量ホッパへ供給される構成であってもよい。
【0182】
加えて、本実施形態においては、溜めホッパ12の下方に計量ホッパ14が配置され、この計量ホッパ14に付属されたロードセル18等の荷重センサの出力Wyに基づいて、当該計量ホッパ14内の被計量物100の供給済み重量値Wxが測定される構成を例に挙げたが、これに限らない。例えば、溜めホッパ12側にロードセル18等の荷重センサが設けられ、この荷重センサの出力に基づいて、当該溜めホッパ12から排出された被計量物100の排出済み重量値が測定される構成に、本発明を適用してもよい。
【0183】
さらに、開閉ゲート16を駆動する手段として、サーボモータ44を採用したが、これに限らない。例えば、当該サーボモータ44に代えて、ステッピングモータ(パルスモータ)を採用してもよい。この場合、サーボアンプ回路36に代えて、ステッピングモータ用のドライブ回路が用いられる。併せて、制御装置22を構成するD/A変換回路34に代えて、CPU32の制御によって所定の駆動パルスを出力するパルス出力回路が設けられる。そして、このパルス出力回路からドライブ回路を介してステッピングモータに与えられる駆動パルスの数によって、当該ステッピングモータの回転角が制御され、ひいてはゲート開度Gxが制御される。また、当該駆動パルスの周期によって、ステッピングモータの回転速度が制御され、ひいてはゲート開度Gxの時間変化率(開閉ゲート16の開閉動作速度)が制御される。このようにステッピングモータが採用されることで、回転角度検出手段としてのポテンショメータ52が不要となり、定量供給装置10全体の構成が簡素化される。その一方で、ステッピングモータの脱調を防ぐために、特にその駆動開始時における回転速度を徐々に変化させる必要があり、つまり駆動パルスの数や周期について適宜の工夫が必要になる。なお、ステッピングモータ以外のモータや、モータ以外の駆動手段、例えば上述したシリンダ38のような手段が、採用されてもよい。
【0184】
また、大供給段階、中供給段階としての漸減段階および小供給段階という3つの段階に分けて被計量物100が供給される場合について説明したが、これに限らない。例えば、漸減段階および小供給段階の2段階で被計量物100が供給されてもよいし、4段階以上のより多くの段階に分けて被計量物100が供給されてもよい。いずれにしても、上述したように、小供給段階の始点である第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”が一定となるように、漸減段階におけるゲート開度Gxが適宜に制御されることが、肝要である。
【符号の説明】
【0185】
10 定量供給装置
12 溜めホッパ
14 計量ホッパ
16 開閉ゲート
18 ロードセル
22 制御装置
32 CPU
44 サーボモータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量供給装置に関し、特に、予め定められた目標重量値分の被計量物を供給する、定量供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の定量供給装置、とりわけ樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状(バラ状)の被計量物を取り扱う定量供給装置、として、例えば、多量の被計量物が収容された溜めホッパと、この溜めホッパの下方に配置されており当該溜めホッパから被計量物の供給を受ける計量ホッパと、を備えたものがある。計量ホッパには、ロードセル等の荷重センサが付属されており、この荷重センサから出力される計量信号に基づいて、当該計量ホッパに供給された被計量物の重量が逐次求められる。そして、求められた重量測定値が目標重量値よりも小さい所定の供給停止重量値と一致したときに、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が停止される。これにより、目標重量値分の被計量物を供給する、という定量供給が実現される。さらに、この定量供給を高速かつ高精度に実現するために、被計量物の単位時間当たりの供給量が段階的に変えられることがある。
【0003】
具体的には、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が開始された直後の初期の段階においては、比較的に大きな供給量で被計量物の供給が行われる。これにより、被計量物の供給開始から供給停止までに要する時間、言わば供給時間、の短縮化が図られ、つまり定量供給の高速化が実現される。そして、被計量物の供給開始から或る程度の時間が経過し、例えば上述した重量測定値が供給停止重量値よりも小さい所定の切換重量値に達した時点で、比較的に小さな供給量に切り換えられる。これにより、時間の経過と共に増大する重量測定値の増大速度が低下し、当該重量測定値が供給停止重量値と一致するタイミング、つまり被計量物の供給を停止させるタイミング、の取得が容易になる。また、このタイミングの取得に多少のズレが生じたとしても、元々被計量物の供給量が小さく抑えられているので、当該ズレによる影響(誤差)が軽減される。この結果、目標重量値に対する被計量物の最終的な供給済み重量値の精度、言わば供給精度、が向上し、定量供給の高精度化が実現される。
【0004】
なお、被計量物の単位時間当たりの供給量は、例えば溜めホッパの底部にある排出口に設けられた開閉ゲートの開度によって制御される。即ち、このゲート開度が大きいほど、被計量物の単位時間当たりの供給量は大きくなり、当該ゲート開度が小さいほど、被計量物の単位時間当たりの供給量は小さくなる。そして、開閉ゲートが閉鎖されると、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が停止される。ただし、開閉ゲートが閉鎖されても、その後、暫くの間は、被計量物が計量ホッパに供給され続ける。これは、主に、開閉ゲートと計量ホッパとの間に距離があること、いわゆる落差量、に起因する。また、開閉ゲートを閉鎖させるタイミングが到来してから、つまり重量測定値が供給停止重量値と一致してから、実際に当該開閉ゲートが閉鎖されるまでに、多少の応答遅れが生じることにも、起因する。これらを考慮して、上述の如く供給停止重量値は目標重量値よりも小さい値とされている。
【0005】
このようにゲート開度によって被計量物の単位時間当たりの供給量が制御される、いわゆるゲート開度制御方式においては、当該ゲート開度が段階的に切り換えられると、その切り換わり時点前後の被計量物の供給量差により、当該被計量物の供給先である計量ホッパへの衝撃荷重が変化する。すると、計量ホッパを含む秤系が振動し、この秤系の出力である計量信号に当該秤系の固有振動数に応じた周波数の概略正弦波状の振動成分が発生する。この振動成分は、これを含む計量信号に基づいて求められる重量測定値に誤差となって現れる。従って、正確な重量測定値を得るには、この振動成分が十分に減衰するのを待つ必要がある。特に、被計量物の供給量が小さめとされる最終の段階、言わば小供給段階、において、被計量物の供給停止タイミングを正確に取得するには、この振動成分が減衰するまでの待ち時間を含め、当該小供給段階に掛けられる時間を長めに設定する必要がある。しかし、そうすると、定量供給の高精度化を実現することはできるものの、当該小供給時間を含む全供給時間が長くなり、定量供給の高速化に反する。この不都合を回避するべく、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0006】
この従来技術によれば、図17(a)に示すように、時間txがtx=0という時点を基点として、開閉ゲートが開かれる。これにより、溜めホッパから計量ホッパへの被計量物の供給が開始される。この被計量物の供給開始直後のゲート開度Gxは、多少の応答時間を掛けて、Gx=G1aという比較的に大きな一定値となる。これに伴い、被計量物の単位時間当たりの供給量もまた、このゲート開度G1aに応じた比較的に大きな値となる。この言わば大供給(大投入)段階においては、図17(b)に示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1aに応じた比較的に高い速度(dWx/dtx)で増大する。そして、この重量測定値Wxが供給停止重量値Wcaよりも小さい予め定められた第1の切換重量値W1aに到達(Wx≧W1a)すると、その時点t1aで、大供給段階から中供給(中投入)段階としての漸減段階に切り換わる。この漸減段階においては、ゲート開度Gxが、時間txの経過と共に、厳密には重量測定値Wxが増大するに連れて、漸減され、さらに詳しくは当該重量測定値Wxを変数とする次の式1に基づいて制御される。
【0007】
《式1》
Gx=(G1a−G2a)・{(W2a−Wx)/(W2a−W1a)}αa+G2a
【0008】
なお、この式1において、G2aは、後述する小供給(小投入)段階におけるゲート開度Gxであり、この小供給段階におけるゲート開度G2aは、大供給段階におけるゲート開度G1aよりも小さい(G2a<G1a)。そして、W2aは、予め定められた第2の切換重量値であり、この第2切換重量値W2aは、上述した第1切換重量値W1aよりも大きく、かつ、供給停止重量値Wcaよりも小さい(W1a<W2a<Wca)。さらに、冪指数αaは、0.3≦αa≦0.7を満足する任意の値であり、この冪指数αaの値によって、漸減段階における時間txの経過に対するゲート開度Gxの推移が変わる。例えば、この冪指数αaの値が小さいほど、ゲート開度Gxは、図17(a)において上方に向かって円弧状(凸状)に膨らむように推移する。そして、冪指数αaの値が大きいほど、当該膨らみは小さくなる。
【0009】
この漸減段階においては、時間txの経過と共に漸減するゲート開度Gxに伴って、被計量物の供給量が漸減するので、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、重量測定値Wxが第2切換重量値W2aに到達(Wx≧W2a)すると、その時点t2aで、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、この漸減段階から小供給段階に切り換わる時点t2aでのゲート開度Gxは、式1からも分かるようにGx=G2aとなる。
【0010】
小供給段階においては、このG2aという一定のゲート開度Gxに維持される。これにより、被計量物の供給量は、当該ゲート開度G2aに応じた比較的に小さな一定値となり、重量測定値Wxの増大速度は、さらに低下する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcaと一致(Wx≧Wca)すると、その時点t3aで、ゲート開度GxがGx=0とされる。つまり、開閉ゲートが閉鎖される。ただし、上述したように、開閉ゲートが閉鎖されても、その後、暫くの間は、被計量物が計量ホッパに供給され続ける。これに伴い、重量測定値Wxは増大し続け、詳しくは落差量Wda分だけ増大する。そして、最終的に、当該重量測定値Wxは目標重量値Wpaに近い値Wfa(≒Wpa)に収束する。この最終重量値Wfaが得られると、詳しくは開閉ゲートが閉鎖された供給停止時点t3aから所定の安定待ち時間Tfaが経過した時点t4aでの重量測定値Wxが当該最終重量値Wfaとして取得されると、計量ホッパに供給された被計量物は速やかに当該計量ホッパから排出される。これをもって、一連(1回)の定量供給が終了する。
【0011】
このように、特許文献1に開示された従来技術では、大供給段階と小供給段階との間に中供給段階としての漸減段階が設けられる。そして、この漸減段階において、ゲート開度Gxが、大供給段階におけるのと同じ開度G1aから小供給段階におけるのと同じ開度G2aにまで連続的に漸減される。これにより、各段階間の切り換わり時点t1aおよびt2a前後の被計量物の供給量差が低減され、当該切り換わり時点t1aおよびt2aでの振動成分の発生が抑制される(ただし、被計量物の供給開始直後に当該被計量物の落下衝撃力によって発生する比較的に振幅の大きい初期振動成分については、漸減段階の有無に拘らず抑制されない)。特に、漸減段階から小供給段階への切り換わり時点t2aでの振動成分の発生が抑制されることで、小供給時間T3a(=t3a−t2a)の短縮化が可能となり、ひいては当該小供給時間T3aを含む全供給時間Twa(=T1a+T2a+T3a)の短縮化が可能となる。なお、小供給時間T3aの短縮化は、例えば第2切換重量値W2aが供給停止重量値Wcaに近づけられることで、言い換えればこれら両者W2aおよびWcaの差Wea(=Wca−W2a)が縮小されることで、実現される。また、全供給時間Twaを構成する大供給時間T1a(=t1a−0),中供給時間としての漸減時間T2a(=t2a−t1a)および小供給時間T3aのうち、常套的には、漸減時間T2aが最も長く、小供給時間T3aが最も短い(T2a>T1a>T3a)(厳密にはそうなるように設定される)。
【0012】
ところで、この従来技術を含む定量供給装置においては、上述の如く定量供給の高速化および高精度化が重要視されるが、これ以外にも、当該定量供給の単位時間当たりの実行回数が均一(一定)であること、つまり全供給時間Twaの均一化、も重要視されることがある。特に、定量供給装置の後段に重量選別装置が設けられるシステムにおいては、この要求が強い。即ち、当該システムにおいては、定量供給装置によって定量供給された被計量物が、後段の重量選別装置に順次送り込まれる。重量選別装置においては、この定量供給装置から順次送り込まれてくる被計量物の重量がさらに高い精度で測定され、その測定結果に基づいて被計量物が順次選別される。ここで、重量選別装置による選別精度(重量測定精度)は、当該選別処理に掛けられる時間が長いほど高い。そして、この選別精度が高いほど、最終的に生産される製品の品質、特に重量品質、が向上する。その一方で、選別処理に掛けられる時間が長いと、その分、当該製品の生産速度が低下し、つまり生産性が落ちる。従って、これら製品の品質および生産性という相反する関係にある2つの要素が可能な限り高いレベルで満足されるには、定量供給装置から重量選別装置に順次送り込まれる被計量物の送り込み時間間隔(周期)が均一であること、つまり定量供給装置による毎回の定量供給ごとの全供給時間Twaが均一であること、が必要とされる。
【0013】
ところが、上述の従来技術では、この全供給時間Twaの均一化が図られない。即ち、当該従来技術では、その稼働運転中に、溜めホッパ内における被計量物の収容量や収容姿勢等が変化する。加えて、被計量物の種類によっては、その粒度や粘度,見かけ比重等の性状が当該稼働運転中に変化する。そして、これらの諸状況が変化すると、同じゲート開度Gxであっても、被計量物の単位時間当たりの供給量が変わる。つまり、ゲート開度Gxと被計量物の単位時間当たりの供給量との関係が変わり、言い換えれば当該ゲート開度Gxと重量測定値Wxの増大速度との関係が変わる。この現象は、従来技術に限らず、他の定量供給装置でも、同様に生じる。しかし、従来技術では、重量測定値Wxを制御パラメータとして各段階間の切り換えが行われるために、毎回の定量供給ごとの全供給時間Twaが変動し、特に当該全供給時間Twaの大部分を占める大供給時間T1aおよび漸減時間T2aが顕著に変動する。このように、従来技術では、全供給時間Twaが均一でないため、特に上述の如く後段に重量選別装置が設けられるシステムにおいて、製品の品質および生産性の両方が十分に満足されない。
【0014】
そこで、さらなる別の従来技術として、例えば特許文献2に開示されたものがある。この言わば第2の従来技術によれば、特許文献1に開示された第1の従来技術とは異なり、重量測定値Wxを制御パラメータとして各段階間の切り換えが行われるのではなく、被計量物の供給開始時点(tx=0)を基点とする経過時間txを制御パラメータとして当該各段階間の切り換えが行われる。即ち、第1従来技術においては、制御パラメータである重量測定値Wxとの比較対象基準として、第1切換重量値W1aおよび第2切換重量値W2aという一定の重量値が予め設定されたが、第2従来技術においては、制御パラメータである経過時間txとの比較対象基準として、図18に示すように、第1切換時点t1bおよび第2切換時点t2bという一定の時点が予め設定される。また、被計量物の供給開始時と同時に、経過時間txが測定される。
【0015】
具体的には、当該経過時間txが第1切換時点t1bに到達するまでが、大供給段階とされる。この大供給段階においては、図18(a)に示すように、ゲート開度GxがGx=G1bという比較的に大きな一定値とされる。これにより、図18(b)に示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1bに応じた比較的に高い速度で増大する。そして、経過時間txが第1切換時点t1bに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。この漸減段階においては、経過時間txを変数とする次の式2に基づいてゲート開度Gxが制御される。
【0016】
《式2》
Gx=(G1b−G2b)・{(t2b−tx)/(t2b−t1b)}αb+G2b
【0017】
なお、この式2において、G2bは、小供給段階におけるゲート開度Gxである。この小供給段階におけるゲート開度G2bは、大供給段階におけるゲート開度G1bよりも小さい(G2b<G1b)。そして、冪指数αbは、0<αb≦1を満足する任意の値であり、この冪指数αbの値によって、漸減段階における経過時間txに対するゲート開度Gxの推移が変わる。例えば、この冪指数αbの値が小さいほど、ゲート開度Gxは、図18(a)において上方に向かって円弧状に膨らむように推移する。そして、この冪指数αbの値が大きいほど、当該膨らみは小さくなり、αb=1であるとき、ゲート開度Gxは直線状に推移する。
【0018】
この漸減段階は、経過時間txが第2切換時点t2bに到達するまで継続され、この間、当該経過時間txに伴って漸減するゲート開度Gxに伴って、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、経過時間txが第2切換時点t2bに到達すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、第2切換時点t2bにおけるゲート開度Gxは、式2からも分かるようにGx=G2bとなる。
【0019】
小供給段階においては、このG2bという一定のゲート開度Gxに維持され、これに伴い、被計量物の供給量は、当該ゲート開度G2bに応じた比較的に小さな一定値となる。併せて、重量測定値Wxは、より低い一定速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致(Wx≧Wcb)すると、その時点t3bで、ゲート開度GxがGx=0とされ、開閉ゲートが閉鎖される。これにより、重量測定値Wxは、この供給停止時点t3bから落差量Wdb分だけ増大して、最終的に、目標重量値Wpbに近い値Wfb(≒Wpb)に収束する。そして、供給停止時点t3bから所定の安定待ち時間Tfbを経過した時点t4bでの重量測定値Wxが最終重量値Wfbとして取得され、その後、速やかに計量ホッパ内の被計量物が排出され、一連の定量供給が終了する。
【0020】
このように、第2従来技術においても、第1従来技術と同様、大供給段階と小供給段階との間に漸減段階が設けられるので、これら各段階間の切り換わり時点t1bおよびt2b前後の被計量物の供給量差が低減され、当該切り換わり時点t1bおよびt2bでの振動成分の発生が抑制される(ただし、計量物の供給開始直後の上述した初期振動成分の発生は抑制されない)。特に、漸減段階から小供給段階への切り換わり時点t2bでの振動成分の発生が抑制されることで、小供給時間T3b(=t3b−t2b)の短縮化が可能となり、ひいては全供給時間Twb(=T1b+T2b+T3b)の短縮化が可能となる。なお、小供給時間T3bの短縮化は、第2切換時点t2bにおいて予想される(所期の)重量測定値W2bが供給停止重量値Wcbに近づくように、言い換えればこれら両者W2bおよびWcbの差Web(=Wcb−W2b)が縮小されるように、当該第2切換時点t2bが設定されることで、実現される。また、全供給時間Twbを構成する大供給時間T1b(=t1b−0),漸減時間T2b(=t2b−t1b)および小供給時間T3bのうち、常套的には、漸減時間T2bが最も長く、小供給時間T3bが最も短い(T2b>T1b>T3b)(厳密にはそうなるように設定される)。
【0021】
さらに、この第2従来技術によれば、各段階間の切り換わり時点t1bおよびt2bが一定であり、つまり全供給時間Twbの大部分を占める大供給時間T1bおよび漸減時間T2bが一定である。従って、残りの小供給時間T3bのみが、全供給時間Twbの変動要因となる。ゆえに、第2従来技術によれば、第1従来技術に比べて、全供給時間Twb変動が抑えられ、つまり当該全供給時間Twbの均一化が図られるように思われる。しかし、この第2従来技術をもってしても、全供給時間Twbの均一化を図るのには不十分である。
【0022】
即ち、第2従来技術では、上述の如く経過時間txを制御パラメータとして各段階間の切り換えが行われるが、これは、ゲート開度Gxと被計量物の単位時間当たりの供給量との関係が常に一定であること、言い換えれば当該ゲート開度Gxと重量測定値Wxの増大速度との関係が常に一定であること、を前提とする。ところが、この関係は、被計量物の性状等の諸状況によって変わるため、結果的に、全供給時間Twbが変動する。
【0023】
例えば、今、被計量物の性状等の諸状況が安定しており、ゲート開度Gxと被計量物の供給量との関係が所期の通りである、と仮定する。この場合、図18の一部拡大図である図19の(b)に太実線Bで示すように、第2切換時点t2bにおいて、重量測定値Wxが当該第2切換時点t2bにおける所期の値W2bに到達(Wx=W2b)する。そして、この重量測定値Wxは、小供給段階のゲート開度G2bに従う一定の速度で増大し、当該重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致した時点t3bで、図19(a)に太実線Aで示すように、ゲート開度GxがGx=0とされる。この所期の供給停止時点t3bにおいては、第2切換時点t2bで発生した振動成分が十分に減衰しており、言い換えればそうなるように小供給時間T3bが設定されており、さらに言い換えれば上述の重量値差Webが設定されているので、結果的に所期の供給精度が得られる。
【0024】
ここで、ゲート開度Gxと被計量物の供給量との関係が変化し、例えば当該被計量物の供給量が所期よりも大きくなる、とする。この場合、図19(b)に1点鎖線B’で示すように、第2切換時点t2bにおける重量測定値Wxが所期値W2bよりも大きくなる。つまり、当該第2切換時点t2bにおける実際の重量測定値Wxと供給停止重量値Wcbとの差Web’が所期値Webよりも小さく(Web’<Web)なる。その一方で、実際の重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致すると、その時点t3b’で、図19(a)に1点鎖線A’で示すように、ゲート開度GxがGx=0とされる。要するに、所期の供給停止時点t3bよりも前の或る時点t3b’で、ゲート開度GxがGx=0となる。この結果、実際の小供給時間T3b’(=t3b’−t2b)が所期の小供給時間T3bよりも短く(T3b’<T3b)なり、これに伴い、実際の全供給時間Twb’(=T1b+T2b+T3b’)もまた所期の全供給時間Twbよりも短く(Twb’<Twb)なる。そればかりか、実際の小供給時間T3b’が短いと、特に短すぎると、この実際の小供給時間T3b’の始点でもある第2切換時点t2bで発生した振動成分が十分に減衰しないうちに当該実際の小供給時間T3b’の終点である供給停止時点t3b’が到来することになり、供給精度が低下する。これを回避するには、例えば第2切換時点t2bを早めたり、或いは小供給段階のゲート開度G2bを小さくしたりする等して、所期の小供給時間T3bを長くすればよいが、たとえそうしたとしても、当該小供給時間T3bを含む全供給時間Twbの変動は抑えられない。また、小供給時間T3bを長くすると、当然に全供給時間Twbが長くなり、定量供給の高速化に反することにもなる。
【0025】
これとは反対に、被計量物の供給量が所期よりも小さくなると、図19(b)に2点鎖線B”で示すように、第2切換時点t2bにおける重量測定値Wxが所期値W2bよりも小さくなる。つまり、第2切換時点t2bにおける実際の重量測定値Wxと供給停止重量値Wcbとの差Web”が所期値Webよりも大きく(Web”>Web)なる。そして、実際の重量測定値Wxが供給停止重量値Wcbと一致した時点t3b”で、図19(a)に2点鎖線A”で示すように、ゲート開度GxがGx=0となる。要するに、所期の供給停止時点t3bよりも後の或る時点t3b”において、ゲート開度GxがGx=0となる。この結果、実際の小供給時間T3b”(=t3b”−t2b)が所期の小供給時間T3bよりも長く(T3b”>T3b)なり、これに伴い、実際の全供給時間Twb”(=T1b+T2b+T3b”)もまた所期の全供給時間Twbよりも長く(Twb”>Twb)なる。
【0026】
このように、第2従来技術においても、被計量物の性状等の諸状況によって、全供給時間Twbが変動する。つまり、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開昭62−230527号公報
【特許文献2】実開平2−99324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
即ち、本発明が解決しようとする課題は、上述の第1従来技術および第2従来技術のいずれにおいても、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られない、という点である。
【0029】
それゆえに、本発明は、漸減段階と小供給段階とを含む複数の段階に分けて被計量物の供給を行う定量供給装置において、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化を図ることができる新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
この目的を達成するために、本発明は、予め定められた目標重量値分の被計量物を供給する定量供給装置において、供給制御信号に従って被計量物の供給を行う供給手段と、当該供給制御信号を生成する供給制御手段と、供給手段による被計量物の供給開始時点からの経過時間を測定する経過時間測定手段と、供給手段による供給済みの被計量物の重量を測定する重量測定手段と、を具備する。ここで、目標重量値よりも小さい供給停止重量値と、この供給停止重量値よりも小さい目標切換重量値と、重量測定手段による重量測定値が当該目標切換重量値と一致する時点での経過時間の基準である基準切換時間と、が予め定められている。そして、供給制御手段は、供給手段による被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減する漸減段階と、この漸減段階の後に続く最終の段階であって当該被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値である小供給段階と、を含む複数の段階に分けて、供給手段による被計量物の供給が行われるように、供給制御信号を生成する。さらに、供給制御手段は、漸減段階において、経過時間測定手段によって測定された経過時間が基準切換時間と一致した第1時点で、当該漸減段階から小供給段階に切り換わると共に、この第1時点での重量測定値が目標切換重量値と一致するように、供給制御信号を生成する。併せて、供給制御手段は、小供給段階において、重量測定値が供給停止重量値と一致した第2時点で、供給手段による被計量物の供給が停止されるように、供給制御信号を生成する、というものである。
【0031】
即ち、本発明によれば、供給制御手段から与えられる供給制御信号に従って、供給手段が、被計量物の供給を行う。具体的には、供給手段は、被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減する漸減段階と、この漸減段階に続く最終の段階であって当該単位時間当たりの供給量が漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値である小供給段階と、を含む複数の段階に分けて、被計量物を供給する。そして、この供給手段による被計量物の供給動作と並行して、経過時間測定手段が、当該供給手段による被計量物の供給開始時点からの経過時間を測定する。併せて、重量測定手段が、供給手段による供給済みの被計量物の重量を測定する。その上で、漸減段階においては、経過時間測定手段によって測定された経過時間、つまり被計量物の供給開始時点からの経過時間、が予め定められた基準切換時間と一致した第1時点で、当該漸減段階から小供給段階に切り換わる。加えて、この第1時点での重量測定値が予め定められた目標切換重量値と一致するように、漸減段階における被計量物の単位時間当たりの供給量が制御される。そして、小供給段階においては、重量測定値が予め定められた供給停止重量値と一致した第2時点で、供給手段による被計量物の供給動作が停止される。これにより、目標重量値分の被計量物を供給する、という定量供給が実現される。
【0032】
ここで、被計量物の供給開始時点から第1時点までの言わば第1時間と、当該第1時点から第2時点までの第2時間、つまり小供給時間と、の合計が、被計量物の供給に掛かる全供給時間となる。この全供給時間のうち、第1時間は、常に一定である。一方、小供給時間は、被計量物の性状等の諸状況によって変動する可能性がある。具体的には、当該小供給時間は、第1時点での重量測定値と、小供給段階における被計量物の単位時間当たりの供給量と、によって決まる。そして、前者の第1時点での重量測定値は、一定である。これに対して、後者の小供給段階における供給量は、被計量物の性状等の諸状況によって変化する可能性がある。しかし、小供給段階における供給量は、漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値であり、元々小さい。従って、被計量物の性状等の諸状況が変わり、これに伴い、小供給段階における供給量が変化したとしても、この変化による小供給時間の変動量は極めて小さい。ゆえに、小供給時間は概ね一定であり、全供給時間もまた概ね一定である。
【0033】
なお、本発明においては、次のような構成が採用されてもよい。即ち、切換重量値よりも小さい複数の標準重量値と、重量測定値が当該複数の標準重量値のそれぞれと一致する時点での経過時間の基準である複数の基準時間と、が予め定められる。その上で、供給制御手段は、漸減段階において、当該経過時間が複数の基準時間のそれぞれと一致した第3時点での重量測定値がこれに対応する標準重量値と一致するように、供給制御信号を生成する。この構成によれば、漸減段階において、被計量物の供給開始時点からの経過時間が複数の基準時間のそれぞれと一致する第3時点ごとに、当該第3時点での実際の重量測定値とこれに対応する標準重量値とが比較される。そして、これら両者が互いに一致するように、言うなれば重量測定値が所期の通りに推移するように、被計量物の単位時間当たりの供給量が制御される。これにより、漸減段階から小供給段階に切り換わる第1時点での重量測定値が目標切換重量値に対してスムーズに一致するようになる。
【0034】
さらに詳しくは、供給制御手段は、それぞれの第3時点での重量測定値と、これに対応する標準重量値と、を比較する比較手段を、備えてもよい。この場合、供給制御手段は、当該比較手段による比較結果に基づいて供給制御信号を生成する供給制御信号生成手段を、さらに備えるものとする。
【0035】
また、本発明では、被計量物の供給開始時点から第1時点までの上述した第1時間が、当該第1時点から第2時点までの第2時間としての小供給時間よりも長いことが、望ましい。即ち、全供給時間を構成する第1時間および小供給時間のうち、第1時間は、常に一定であり、小供給時間は、極僅かであるものの変動する可能性がある。従って、全供給時間の均一化を図るには、第1時間の方が小供給時間よりも長いことが、望ましい。
【発明の効果】
【0036】
上述したように、本発明によれば、漸減段階と小供給段階とを含む複数の段階に分けて被計量物の供給を行う定量供給装置において、被計量物の性状等の諸状況が変わっても、全供給時間は概ね一定である。即ち、定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られる。これは、特に、上述の重量選別装置が定量供給装置の後段に設けられるシステムにおいて、製品の品質および生産性の両方を満足させるのに極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】同実施形態における制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における稼働運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を示す図解図である。
【図4】同実施形態における第1次テスト運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を表す図解図である。
【図5】同第1次テスト運転の改良のための重量推定値の算出要領を説明するための図解図である。
【図6】同重量推定値の算出要領を説明するための別の図解図である。
【図7】同重量推定値が適用された第1次テスト運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値ならびに重量推定値の推移を表す図解図である。
【図8】同実施形態における第2次テスト運転時の時間の経過に対するゲート開度および重量測定値ならびに重量推定値の推移を表す図解図である。
【図9】同実施形態における基準テーブルを概念的に示す図解図である。
【図10】同実施形態におけるCPUによって実行される自動運転タスクの流れを示すフローチャートである。
【図11】図10に続くフローチャートである。
【図12】図10および図11に続くフローチャートである。
【図13】同CPUによって実行される割込タスクの流れを示すフローチャートである。
【図14】図13に続くフローチャートである。
【図15】同実施形態における別の例を説明するための図解図である。
【図16】図15とはさらに別の例を説明するための図解図である。
【図17】第1の従来技術における時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を示す図解図である。
【図18】第2の従来技術における時間の経過に対するゲート開度および重量測定値の推移を示す図解図である。
【図19】図18の一部を拡大して示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の一実施形態について、図1〜図14を参照して説明する。
【0039】
本実施形態に係る定量供給装置10は、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱うものであり、図1に示すように、当該被計量物100が多量に収容された溜めホッパ12と、この溜めホッパ12の下方に配置されると共に当該溜めホッパ12から被計量物100の供給を受ける計量ホッパ14と、を備えている。溜めホッパ12の底部にある排出口には、開閉ゲート16が設けられており、この開閉ゲート16の開度Gxによって、当該溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の単位時間当たりの供給量(流量)Qxが制御される。なお、ゲート開度Gxと供給量Qxとは、被計量物100の粒度や粘度,見かけ比重等の当該被計量物100の性状、或いは溜めホッパ12内における当該被計量物100の収容量や収容姿勢等、の諸状況が一定であることを前提として、互いに相関関係にあり、例えば比例関係にある。つまり、当該供給量Qxは、被計量物100の単位時間当りの質量流量と考えることができる。そして、この関係が維持されるように、溜めホッパ12は計量ホッパ14よりも十分に大きい容積を有している。併せて、溜めホッパ12内における被計量物100の収容高さHが常に一定の範囲に保たれるように、図示しない充填装置によって当該溜めホッパ12内に被計量物100が適宜に補充される。
【0040】
計量ホッパ14は、荷重センサとしてのロードセル18を備えており、このロードセル18は、自身への印加荷重に応じた大きさ(電圧値)のアナログ荷重検出信号Wyを生成する。このアナログ荷重検出信号Wyは、情報出力手段としての例えば液晶型のディスプレイ20を備えた制御装置22に入力される。なお、ロードセル18としては、例えば歪ゲージ式のものが適当であるが、これ以外にも、磁歪式や静電容量式、或いはジャイロ式等の適宜のものが採用可能である。また、ロードセル18以外の荷重センサが採用されてもよい。
【0041】
制御装置22は、図2に示すように、増幅回路24を有しており、この増幅回路24に、アナログ荷重検出信号Wyが入力される。この増幅回路24に入力されたアナログ荷重検出信号Wyは、ここで増幅された後、A/D変換回路26に入力される。なお、図示は省略するが、増幅回路24の前段または後段には、アナログ荷重検出信号Wyに含まれる比較的に高い周波数帯域のノイズ成分、詳しくは周波数が50Hz〜60Hzのいわゆるラインノイズを含むそれ以上の周波数帯域の電気的な要因によるノイズ成分、を除去するためのローパスフィルタ回路(例えば1次遅れフィルタ回路)が設けられている。また、増幅回路24自体に、当該ローパスフィルタ回路が組み込まれてもよい。
【0042】
A/D変換回路26は、増幅回路24経由で入力されたアナログ荷重検出信号Wyを、パルス生成手段としてのクロックパルス生成回路28から与えられるクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせてサンプリングする。これにより、アナログ荷重検出信号Wyは、デジタル態様の信号に変換される。なお、A/D変換回路26によるサンプリング周期、つまりクロックパルスCLKの周期ΔTは、例えばΔT=1msである。
【0043】
このA/D変換回路26による変換後のデジタル荷重検出信号Wyは、入出力インタフェース回路30を介して、制御手段としてのCPU(Central
Processing Unit)32に入力され、厳密には、上述のクロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて、当該CPU32に取り込まれる。このため、CPU32にも、入出力インタフェース回路30を介して、クロックパルスCLKが与えられる。CPU32に取り込まれたデジタル荷重検出信号Wyには、計量ホッパ14を含む秤系の固有振動数に応じた周波数の概略正弦波状の振動成分が重畳されている。CPU32は、この振動成分を減衰させるべく、デジタル荷重検出信号Wyに対して第1の平滑処理を施す。この第1の平滑処理としては、秤系の固有振動数が概ね10Hz程度であり、かつ、後述する定量供給時に当該固有振動数が被計量物100をも加えた秤系の重量の増加に応じて多少変化することから、例えば10Hz付近に数Hzの幅の比較的に大きい減衰帯域を形成するフィルタリング処理、より具体的には9Hzおよび11Hzという互いに近接した2つのノッチ周波数による減衰帯域を形成する多重(2重)移動平均処理、が適当である。そして、CPU32は、この第1の平滑処理が施された後のデジタル荷重検出信号Wyに基づいて、今現在、計量ホッパ14に供給されている被計量物100の重量値、言わば真の供給済み重量値Wx’、を求め、詳しくは当該真の供給済み重量値Wx’の測定値である重量測定値Wxを求める。さらに、CPU32は、この重量測定値Wxに基づいて、ゲート制御信号Sgを生成する。このゲート制御信号Sgは、入出力インタフェース回路30を介して、D/A変換回路34に入力され、ここでアナログ態様の信号に変換された後、上述した開閉ゲート16を駆動するための後述するサーボアンプ回路36に入力される。また、ゲート制御信号Sgとは別に、CPU32は、排出制御信号Scを生成する。この排出制御信号Scは、入出力インタフェース回路30を介して、後述するシリンダ38に与えられる。
【0044】
このCPU32の動作は、当該CPU32に接続された記憶手段としてのメモリ回路40に記憶されている制御プログラムによって制御される。また、CPU32には、入出力インタフェース回路30を介して、上述したディスプレイ20と、当該CPU32に各種命令を入力するための命令入力手段としての例えば操作キー42と、が接続されている。なお、ディスプレイ20と操作キー42とは、互いに一体化されたものでもよく、例えばタッチスクリーンによって構成されてもよい。
【0045】
図1に戻って、サーボアンプ回路36は、制御装置22から入力されたゲート制御信号Sgに基づいて、サーボモータ44を駆動するための駆動信号Sdを生成する。サーボモータ44は、この駆動信号Sdに従って駆動され、その駆動力は、駆動ギア46と従動ギア48とを有する駆動力伝達手段としてのギア機構50を介して、開閉ゲート16に与えられる。これにより、開閉ゲート16が開閉し、つまりゲート開度Gxが制御される。さらに、サーボモータ44の回転軸には、その回転角度を検出するための回転角度検出手段としてのロータリ型のポテンショメータ52が結合されており、このポテンショメータ52から出力される回転角度検出信号Spは、サーボアンプ回路36にフィードバックされる。サーボアンプ回路36は、このフィードバックされた回転角度検出信号Spと、上述のゲート制御信号Sgと、を比較し、さらに、この比較結果に基づいて、希望通りのゲート開度Gxとなるように、駆動信号Sdを補正する。
【0046】
また、計量ホッパ14の底部は、当該計量ホッパ14に供給された被計量物100を排出するための排出口を形成しており、この排出口には、開閉ゲート16とは別のゲート、言わば排出ゲート54、が設けられている。そして、この排出ゲート54を駆動するための駆動手段として、上述したシリンダ38が設けられている。なお、シリンダ38としては、例えば空気圧式のものが適当であるが、油圧式等の当該空気圧式以外のものも採用可能である。また、シリンダ38に代えて、電磁ソレノイドやモータ等の他の駆動手段が採用されてもよい。
【0047】
このように構成された本実施形態に係る定量供給装置10によれば、次の要領により、被計量物100の定量供給が実現される。
【0048】
即ち、本実施形態に係る定量供給装置10においても、上述の第1従来技術および第2従来技術と同様、図3に示すように、大供給段階,中供給段階としての漸減段階,ならびに小供給段階という3つの段階に分けて、溜めホッパ12から計量ホッパ14へ被計量物100が供給される。そして、小供給段階では、重量測定値Wxが目標重量値Wpよりも落差量Wd分だけ小さい予め定められた供給停止重量値Wcと一致したときに(Wx=Wc)、被計量物100の供給が停止され、詳しくはゲート開度GxがGx=0とされる。なお、大供給段階から漸減段階への切り換え、および、漸減段階から大供給段階への切り換えは、第2従来技術と同様、被計量物100の供給開始時点(tx=0)を基点とする経過時間txを制御パラメータとして行われる。このため、被計量物100の供給開始と同時に、当該経過時間txの測定が開始される。併せて、この経過時間txとの比較対象基準として、第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sという一定の時点が予め設定される。これに加えて、本実施形態においては、第1切換時点t1sよりも前に後述する記憶開始時点t0sという一定の時点が予め設定されると共に、供給停止重量値Wcよりも小さい後述する最大標準重量値Ws[N](<Wc)という一定の重量値が予め設定される。
【0049】
具体的には、被計量物100の供給開始時点から上述の経過時間txが第1切換時点t1sに到達するまでが、大供給段階とされる。この大供給段階においては、図3(a)に示すように、ゲート開度GxがGx=G1という比較的に大きな一定値とされる。これに伴い、図3(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図3(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。また、この大供給段階の途中において、経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、後述する重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始される。
【0050】
そして、経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。漸減段階においては、経過時間txを変数とする次の式3に示す2次関数式に基づいて、厳密には後述する式12に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。
【0051】
《式3》
Gx=a1・tx2+a2・tx+a3
【0052】
この式3において、a1,a2およびa3は、いずれも定数であり、次の3つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、tx=t1sであるときにGx=G1であることが、要求される。そして、第2の条件として、tx=t2sであるときにGx=G2であることが、要求される。なお、G2は、小供給段階におけるゲート開度Gxであり、この小供給段階におけるゲート開度G2は、大供給段階におけるゲート開度G1よりも小さい(G2<G1)。さらに、第3の条件として、tx=t1’sであるときにGx=G1’sであることが、要求される。なお、t1’sは、第1切換時点t1sと第2切換時点t2sとの間に設定された図示しない中間時点であり、G1’sは、大供給段階におけるゲート開度G1よりも小さく、かつ、小供給段階におけるゲート開度G2よりも大きい図示しない所定値(G2<G1s’<G1)である。この中間時点t1’sおよび当該中間時点t1’sに対応するゲート開度G1’sについては、後で詳しく説明する。
【0053】
この式3に基づくことで、漸減段階におけるゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて漸減する。具体的には、当該ゲート開度Gxは、経過時間txに対するその変化率、言わば漸減速度(|dGx/dtx|=|2・a1・tx+a2|;a1<0)、を漸増させながら、それ自体は漸減するように、推移する。これに伴い、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、経過時間txが第2切換時点t2sに到達すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、漸減段階においては、その終点である当該第2切換時点t2sでの重量測定値Wxが、厳密には同第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”[N]が、上述の最大標準重量値Ws[N]と一致(Wx”[N]=Ws[N])するように、ゲート開度Gxが適宜に制御され、言わば必要に応じて修正制御(微調整)される。この修正制御を含む漸減段階におけるゲート開度Gxの制御要領についても、後で詳しく説明する。
【0054】
小供給段階においては、ゲート開度GxがGx=G2という一定値に維持される。これに伴い、重量測定値Wxは、当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定の速度で増大する。そして、この重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致(Wx≧Wc)すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされ、開閉ゲートが閉鎖される。これにより、重量測定値Wxは、当該時点t3から落差量Wd分だけ増大して、最終的に、目標重量値Wpに近い最終重量値Wf(≒Wp)に収束する。
【0055】
この最終重量値Wfが得られると、詳しくは供給停止時点t3から所定の安定待ち時間Tfが経過した時点t4での重量測定値Wxが当該最終重量値Wfとして取得されると、この最終重量値Wfが上述のディスプレイ20に表示される。なお、厳密には、最終重量値Wfは、次の式4に基づく第2の平滑処理としての移動平均処理によって求められる。
【0056】
《式4》
Wf={ΣWx[i−j]/J} where j=0〜{J−1}
【0057】
この式4において、iは、図2に示したA/D変換回路26による任意のサンプリング番号である。そして、Jは、タップ数であり、詳しくは1以上の任意の整数である。なお、上述した第1の平滑処理としての多重移動平均処理においても、この式4と同様の演算式に基づく処理が行われ、詳しくは互いに異なるタップ数による移動平均処理が2回にわたって連続的(縦続的)に行われる。また、この式4に基づく移動平均処理は、第1の平滑処理による減衰対象よりもさらに低い周波数帯域の振動成分、例えば床振動のような5Hz程度の極めて低い周波数帯域の振動成分、を減衰させるためのものであり、ゆえに、当該第1の平滑処理よりもさらに低いノッチ周波数を形成する(そうなるようにタップ数Jが設定される)。そして、この式4に基づく移動平均処理を実現するために、供給停止時点t3以降の重量測定値Wxは、J個の記憶領域を有する図示しないレジスタに順次記憶される。このことは、第1の平滑処理においても、同様である。
【0058】
最終重量値Wfが得られた後、上述したシリンダ38が駆動され、排出ゲート54が開かれる。これにより、計量ホッパ14に供給された被計量物100は、当該排出ゲート54を介して排出され、例えば図示しない包装袋に収容される。そして、この被計量物100の排出が終了した時点で、詳しくは最終重量値Wfが取得された時点t4から所定の排出時間Tgが経過した時点t5で、排出ゲート54が閉鎖される。これをもって、一連の定量供給が終了する。そして、この一連の定量供給が終了した時点t5から所定の準備時間Thが経過した時点t6で、次の定量供給が開始される。つまり、当該時点t6は、次の定量供給の開始時点(tx=0)となる。
【0059】
このように、本実施形態によれば、上述した第1従来技術および第2従来技術と同様、大供給段階と小供給段階との間に漸減段階が設けられるので、これら各段階間の切り換わり時点である第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sでの振動成分の発生が抑制される(ただし、被計量物100の供給開始直後に発生する初期振動成分については、抑制されない。また、第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sで発生する振動成分については、上述した第1の平滑処理が施されることによって除去されるように思われるが、これらの振動成分の振幅は時間txの経過と共に減衰し、周期もまた時間txの経過と共に変化するので(つまり完全な正弦波ではないので)、当該第1の平滑処理が施されても完全には除去されずに残る。このことは、供給停止時点t3で発生する振動成分についても、同様である)。そして、特に、漸減段階から小供給段階に切り換わる第2切換時点t2sでの振動成分の発生が抑制されるので、小供給時間T3(=t3−t2s)の短縮化が可能となり、ひいては全供給時間Tw(=T1+T2+T3)の短縮化が可能となる。なお、小供給時間T3の短縮化は、第2切換時点t2sでの重量測定値Wxが、つまり上述した最大標準重量値Ws[N]が、供給停止重量値Wcに近づけられることで、言い換えればこれら両者Ws[N]およびWcの差We(=Wc−Ws[N])が縮小されることで、さらに言い換えればそうなるように当該第2切換時点t2sが設定されることで、実現される。また、全供給時間Twを構成する大供給時間T1(=t1s−0),漸減時間T2(=t2s−t1s)および小供給時間T3のうち、常套的には、漸減時間T2が最も長く、小供給時間T3が最も短い(T2>T1>T3)(厳密にはそうなるように設定される)。
【0060】
加えて、本実施形態によれば、大供給段階から漸減段階に切り換わる第1切換時点t1sと、漸減段階から小供給段階に切り換わる第2切換時点t2sと、が一定である。つまり、全供給時間Twのうちの大部分を占める大供給時間T1と漸減時間T2とが、常に一定である。しかも、小供給段階の始点でもある第2切換時点t2sでの重量測定値Wxは、最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値(Wx≒Ws[N])であり、厳密にはそうなるように漸減段階におけるゲート開度Gxが制御される。従って、例えば、被計量物100の性状等の諸状況が変わり、これに伴い、ゲート開度Gxと当該被計量物100の単位時間当たりの供給量Qxとの関係が変化したとしても、上述の第1従来技術および第2従来技術とは異なり、全供給時間Twが大きく変動することはない。即ち、全供給時間Twの均一化が図られる。また、特に、第2従来技術とは異なり、供給精度が低下することもない。
【0061】
これについて、詳しく説明すると、全供給時間Twのうちの大部分を占める大供給時間T1と漸減時間T2とが、常に一定である、ということは、残りの小供給時間T3のみが、当該全供給時間Twの変動要因となる。ここで、小供給時間T3は、第2切換時点t2sでの重量測定値Wxと、小供給段階における被計量物100の単位時間当たりの供給量Qxと、によって決まる。このうちの前者の第2切換時点t2sでの重量測定値Wxは、上述の如く最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値である。一方、後者の小供給段階における被計量物100の単位時間当たりの供給量Qxは、当該小供給段階におけるゲート開度G2によって決まるので、基本的には一定であるが、被計量物100の性状等の諸状況が変わると、その影響を受けて変化することがある。しかし、小供給段階におけるゲート開度G2は元々小さく、ゆえに、当該小供給段階における供給量Qxもまた元々小さい。従って、被計量物100の性状等の諸状況が変わり、これに伴い、小供給段階における供給量Qxが変化したとしても、この変化による小供給時間T3の変動量は極めて小さい。しかも、小供給時間T3は元々短い。よって、小供給時間T3は概ね一定であり、全供給時間Twもまた概ね一定である。
【0062】
さらに、上述の如く小供給時間T3が概ね一定であることによって、その始点である第2切換時点t2sで発生した振動成分が十分に減衰するまでの待ち時間が確実に確保される。つまり、小供給時間T2の終点である供給停止時点t3においては、当該振動成分は十分に減衰している。従って、この振動成分の影響を受けることなく、供給停止時点t3が正確に取得される。この結果、常に一定以上(所期の通り)の供給精度が得られる。
【0063】
このような多大な効果をもたらすべく、漸減段階におけるゲート開度Gxが適宜に制御されるが、この漸減段階におけるゲート開度Gxの制御は、次の要領により実現される。
【0064】
まず、実際の稼働運転に先立って、事前のテスト運転を含む調整作業が行われる。そのために、上述した操作キー42の操作によって、調整モードが選択される。続いて、当該操作キー42の操作によって、図4に示すように、希望の目標重量値Wpと、これに見合う(つまり落差量Wdが考慮された)供給停止重量値Wcと、が設定される。併せて、大供給段階のゲート開度G1と、小供給段階のゲート開度G2と、が設定される。さらに、仮の第1切換重量値W1と、仮の第2切換重量値W2と、が設定される。なお、仮の第2切換重量値W2は、供給停止重量値Wcよりも小さく、仮の第1切換重量値W1は、当該仮の第2切換重量値W2よりもさらに小さい(Wc>W2>W1)。そしてさらに、仮の第1切換重量値W1と仮の第2切換重量値W2との間、例えば中間に、仮の中間重量値W1’(={W1+W2}/2)が設定される。このような設定が成された上で、重量測定値Wxを制御パラメータとする仮の定量供給が行われ、言わば第1従来技術による定量供給と同様の要領によるテスト運転が行われる。なお、このテスト運転においても、被計量物100の供給開始時点を基点とする経過時間txが測定される。
【0065】
即ち、図4(a)に示すように、被計量物100の供給開始直後に、ゲート開度GxがGx=G1とされ、仮の大供給段階に入る。この仮の大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持され、これに伴い、図4(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図4(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。
【0066】
そして、重量測定値Wxが仮の第1切換重量値W1に到達(Wx≧W1)すると、その時点t1で、仮の大供給段階から仮の漸減段階に切り換わる。併せて、当該時点t1が仮の第1切換時点として(CPU32によってメモリ回路40に)記憶され、厳密には同時点t1における経過時間txが記憶される。仮の漸減段階においては、上述した式1に準拠する次の式5に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。なお、この式5における冪指数αは、0<α≦1を満足する任意の値である。
【0067】
《式5》
Gx=(G1−G2)・{(W2−Wx)/(W2−W1)}α+G2
【0068】
この式5に基づくことで、仮の漸減段階におけるゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて、厳密には重量測定値Wxが増大するに連れて、漸減する。これに伴い、重量測定値Wxの増大速度もまた漸減する。そして、重量測定値Wxが仮の中間重量値W1’に到達(Wx≧W1’)すると、その時点t1’が仮の中間時点として記憶され、厳密には同時点t1’における経過時間txが記憶される。さらに、重量測定値Wxが仮の第2切換重量値W2に到達(Wx≧W2)すると、その時点t2が仮の第2切換時点として記憶され、厳密には同時点t2における経過時間txが記憶される。併せて、仮の漸減段階から仮の小供給段階に切り換わる。なお、この仮の第2切換時点t2でのゲート開度Gxは、式5からも分かるようにGx=G2となる。
【0069】
仮の小供給段階においては、仮の第2切換時点t2におけるのと同じゲート開度G2が維持され、これに伴い、重量測定値Wxが当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致(Wx≧Wc)すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされる。さらに、この供給停止時点t3から上述した安定待ち時間Tfが経過した時点t4で、最終重量値Wfが取得される。取得された最終重量値Wfは、ディスプレイ20に表示される。なお、このディスプレイ20に表示された最終重量値Wfは、目標重量値Wpと照合される。そして、この照合結果に基づいて、大供給段階のゲート開度G1,小供給段階のゲート開度G2,仮の第1切換重量値W1,仮の第2切換重量値W2,供給停止重量値Wcおよび式5における冪指数α等の各設定条件の適不適が確認される。また、必要であれば、つまり最終重量値Wfと目標重量値Wpとの差(=Wp−Wf)が所定の許容範囲を超える場合には、この差が極力小さくなるように、当該各設定条件が適宜に変更される。その際、被計量物100の供給開始時点から供給停止時点t3までの全供給時間Twが極力短くなるようすることにも、注力される。この各設定条件の変更要領については、本発明の本旨に直接関係しないので、これ以上の詳しい説明を省略する。
【0070】
最終重量値Wfの取得後は、適当な時点で、排出ゲート54が開放される。これにより、計量ホッパ14内の被計量物100が排出される。そして、この排出後の適当な時点で、排出ゲート54が閉鎖され、元の状態に戻る。これをもって、一連(1回)のテスト運転が終了する。
【0071】
このようにしてテスト運転が行われることによって、仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2が得られる。また、仮の中間重量値W1’が式5の重量測定値Wxに代入されることによって、仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’が求められる。
【0072】
ここで、上述の式3において、tx=t1であるときにGx=G1である、という第1条件と、tx=t2であるときにGx=G2である、という第2条件と、tx=t1’であるときにGx=G1’である、という第3条件と、の3つの条件が満足されるように、当該式3における各定数a1,a2およびa3が求められる。これにより、仮の漸減段階におけるゲート開度Gxの制御式が、重量測定値Wxを変数とする式5から、経過時間txを変数とする当該式3に、変換される。
【0073】
ただし、式5における重量測定値Wxは、上述した初期振動成分を含む振動成分の影響を受けるため、このような重量測定値Wxを変数とする当該式5に基づいてゲート開度Gxが制御されると、このゲート開度Gxもまた、当該振動成分の影響を受けることになる。すると、式5から式3への変換に必要な仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2が正確に得られず、ひいては当該変換が不適切となる。このような不都合を回避するために、式5における重量測定値Wxに代えて、次に説明する重量推定値Wx”が適用される。
【0074】
この重量推定値Wx”は、真の供給済み重量値Wx’を経過時間txの関数として推定したものであり、過去の{β+1}(β;1以上の整数)個の重量測定値Wxに基づいて求められる。具体的には、図5に示すように、上述したクロックパルスCLKの周期ΔTごとに得られる重量測定値Wxが、γ(γ;1以上の整数)個置きに順次記憶され、つまりTd=γ・ΔTという周期で順次記憶される。そして、k(k;重量測定値Wxの記憶順)という或るタイミングを含む過去の{β+1}個のタイミング{k−β}〜kで記憶された当該{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に基づいて、同タイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉が求められる。即ち、或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉は、Tc=β・Tdという期間分の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に基づいて求められる。
【0075】
なお、ここで言うTcという期間、つまり或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉を算出するのに必要な{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉の取得に掛かる言わば推定用重量値取得期間は、少なくとも計量ホッパ14を含む秤系の固有振動周期Toよりも長め(Tc>To)に設定され、詳しくは当該秤系の最長固有振動周期Tomaxよりも長め(Tc>Tomax)に設定される。例えば、当該秤系の最長固有振動周期TomaxがTomax=100msecであり、上述のTdという重量測定値Wxの記憶周期に係る整数γがγ=10である、と仮定する。この場合、当該記憶周期TdはTd=γ・ΔT=10msec(∵ΔT=1msec)であるので、推定用重量値取得期間Tcに係る整数βがβ≧11であれば、当該推定用重量値取得期間TcはTc=β・Td≧110msecとなり、最長固有振動周期Tomax(=100msec)よりも長くなる。このように推定用重量値取得期間Tcが秤系の最長固有振動周期Tomaxよりも長めに設定されることによって、重量推定値Wx”〈k〉の算出の際に誤差の要因となる秤系の固有振動による影響が抑制され、ひいてはより正確な重量推定値Wx”〈k〉が求められる。ただし、この推定用重量値取得期間Tcが長すぎると、(特に最初の)重量推定値Wx”〈k〉が求められるまでにそれ相応の時間が掛かり、いわゆる応答性が悪くなる。従って、この推定用重量値取得期間Tcは、最長固有振動周期Tomaxの2倍よりも短い(Tc<2・Tomax)のが好ましく、例えば当該最長固有振動周期Tomaxの1.1倍〜1.3倍(1.1・Tomax≦Tc≦1.3・Tomax)程度であるのが好ましい。
【0076】
この或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉の算出要領について、より具体的に説明すると、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉は、次の式6の1次関数式(直線式)によって表される。なお、この式6において、b1〈k〉およびb2〈k〉は、或るタイミングkにおける定数である。
【0077】
《式6》
Wx”〈k〉=b1〈k〉・k+b2〈k〉
【0078】
そして、この式6を構成する2つの定数b1〈k〉およびb2〈k〉を求めるために、当該式6に準拠する次の式7が組み立てられる。
【0079】
《式7》
f〈tx〉=b1〈k〉・tx+b2〈k〉
【0080】
さらに、この式7において、左辺のf〈tx〉に、過去の{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉がそれぞれ代入されると共に、右辺の変数txに、これらの重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に対応する各タイミング値{k−β}〜kがそれぞれ代入されることによって、次の式8のような{β+1}個の1次関数式が組み立てられる。
【0081】
《式8》
Wx〈k−β〉=b1〈k〉・{k−β}+b2〈k〉
Wx〈k−β+1〉=b1〈k〉・{k−β+1}+b2〈k〉
:
Wx〈k−1〉=b1〈k〉・{k−1}+b2〈k〉
Wx〈k〉=b1〈k〉・k+b2〈k〉
【0082】
そして、これら{β+1}個の1次関数式を用いた回帰分析法によって、例えば最小2乗法によって、各1次関数式に共通する定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められる。なお、最小2乗法に限らず、これ以外の回帰分析法や、回帰分析法以外の演算法によって、当該定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められてもよい。ただし、最小2乗法等の回帰分析法によれば、概ね(大きな)時間遅れを生ずることなく、当該定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められ、ひいては重量推定値Wx”〈k〉が求められる。
【0083】
このようにして或るタイミングkにおける定数b1〈k〉およびb2〈k〉が求められると、この定数b1〈k〉およびb2〈k〉が上述の式6に代入される。これによって、当該或るタイミングkにおける重量推定値Wx”〈k〉が求められる。これと同様の要領で、次のタイミング{k+1}以降の各重量推定値Wx”〈k+1〉,Wx”〈k+2〉,…が順次求められる。つまり、上述したTdという重量測定値Wxの記憶周期と同じ周期で、重量推定値Wx”が順次求められる。
【0084】
この重量推定値Wx”の算出に当たっては、図6に示すように、仮の第1切換重量値W1よりも小さい仮の記憶開始重量値W0(<W1)が予め設定される。そして、重量測定値Wxがこの仮の記憶開始重量値W0に到達した時点t0で(Wx≧W0)、重量推定値Wx”の算出のための当該重量測定値Wxの記憶が開始される。従って、例えば、最初に求められる重量推定値Wx”〈β〉は、重量測定値Wxの記憶が開始された時点t0から上述した推定用重量値取得期間Tcが経過した時点、つまり最初に記憶された重量測定値Wx〈0〉を含む{β+1}個の重量測定値Wx〈0〉〜Wx〈β〉が記憶された時点t0’(厳密にはこの時点t0’から多少の推定演算時間が経過した時点)で、得られる。そして、2番目以降の各重量推定値Wx”〈β+1〉,Wx”〈β+2〉,…は、当該時点t0’を基点として、上述の如くTdという周期で順次求められる。
【0085】
なお、図6は、整数βがβ=9の場合を例示している。また、この図6において、L0という符号が付されている直線は、最初の重量推定値Wx”〈β〉を通る上述の式7に従う1次関数直線である。そして、L1という符号が付されている直線は、2番目の重量推定値Wx”〈β+1〉を通る式7に従う1次関数直線であり、L2という符号が付されている直線は、3番目の重量推定値Wx”〈β+2〉を通る当該式7に従う1次関数直線である。さらに、この図6から分かるように、最初の重量推定値Wx”〈β〉,2番目の重量推定値Wx”〈β+1〉,3番目の重量推定値Wx”〈β+2〉等の言わば推定当初の重量推定値Wx”は、常套的には、太破線Yで示す真の供給済み重量値Wx’から乖離する。ただし、太実線Xで示す重量測定値Wxに比べると、当該推定当初の重量推定値Wx”は、全般的には、真の供給済み重量値Wx’に近い。そして、この重量推定値Wx”は、時間txが経過するに連れて、真の供給済み重量値Wx’に近づき、例えば当該重量推定値Wx”自体が仮の第1切換重量値W1に到達(Wx”≧W1)する頃には、真の供給済み重量値Wx’と概ね等価(Wx”≒Wx’)になる。
【0086】
ここで、改めてテスト運転について説明すると、図7(a)に示すように、被計量物100の供給開始直後に、ゲート開度GxがGx=G1とされ、仮の大供給段階に入る。この仮の大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持され、これに伴い、図7(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図7(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。
【0087】
そして、重量測定値Wxが仮の記憶開始重量値W0に到達すると、その時点t0で、重量推定値Wx”の算出のための当該重量測定値Wxの記憶が開始される。併せて、当該時点t0が仮の第1切換時点として記憶され、厳密には同時点t0における経過時間txが記憶される。なお、図7には示さないが、この仮の記憶開始時点t0から上述した推定用重量値取得期間Tcが経過した時点t0’で、図6に示した如く最初の重量推定値Wx”〈β〉が求められる。そして、これ以降、Tdという周期で、重量推定値Wx”が順次求められる。
【0088】
この重量推定値Wx”が仮の第1切換重量値W1に到達すると(Wx”≧W1)、その時点t1で、仮の大供給段階から仮の漸減段階に切り換わる。併せて、当該時点t1が、仮の第1切換時点として記憶される。ただし、重量推定値Wx”は、上述の如くTd(=γ・ΔT)という周期で求められるため、仮の第1切換時点t1における当該重量推定値Wx”が、仮の第1切換重量値W1と一致しないことがあり得る。つまり、上述の図6に示すように、例えばk’という或るタイミングにおいて、重量推定値Wx”が初めて第1切換重量値W1以上(Wx’〈k’〉≧W1)になる、とすると、そのタイミングk’が、仮の第1切換時点t1として特定される。なお、このようにして仮の第1切換時点t1が特定されるには、少なくとも当該仮の第1切換時点t1よりも前に1個以上の重量推定値Wx”が求められる必要があり、言い換えればそうなるように仮の記憶開始重量値W0が設定される必要がある。
【0089】
仮の漸減段階においては、上述した式5における重量測定値Wxに代えて、重量推定値Wx”が適用された次の式9に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。
【0090】
《式9》
Gx=(G1−G2)・{(W2−Wx”)/(W2−W1)}α+G2
【0091】
この式9に基づくことで、仮の漸減段階におけるゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて、厳密には重量推定値Wx”が増大するに連れて、漸減する。これに伴い、重量推定値Wx”の増大速度もまた漸減する。そして、重量推定値Wx”が仮の中間重量値W1’に到達すると(Wx”≧W1’)、その時点t1’が、仮の中間時点として記憶される。さらに、重量推定値Wx”が仮の第2切換重量値W2に到達すると(Wx”≧W2)、その時点t2が、仮の第2切換時点として記憶される。併せて、仮の漸減段階から仮の小供給段階に切り換わる。なお、この仮の第2切換時点t2でのゲート開度Gxは、式9からも分かるようにGx=G2となる。また、この仮の第2切換時点t2で、重量推定値Wx”の算出(真の供給済み重量値Wx’の推定)が終了されると共に、当該重量推定値Wxの算出のための重量測定値Wxの記憶が終了される。
【0092】
仮の小供給段階においては、仮の第2切換時点t2におけるのと等価なゲート開度G2が維持され、これに伴い、重量測定値Wxが当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定の速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされる。これ以降は、図4を参照しながら説明したのと同様である。
【0093】
このようにしてテスト運転が行われることによって、上述したように、仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2が得られると共に、仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’が得られる。併せて、仮の記憶開始時点t0が得られる。
【0094】
そして、このテスト運転が複数回にわたって繰り返されることで、仮の記憶開始時点t0,仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’,仮の第2切換時点t2および仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’のそれぞれが複数ずつ得られる。この間、被計量物100の性状等の諸状況が変化すると、当該複数の仮の記憶開始時点t0,仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’および仮の第2切換時点t2のそれぞれが異なる結果となる。ただし、仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’は一定(不変)である。さらに、これら複数の仮の記憶開始時点t0,仮の第1切換時点t1,仮の中間時点t1’,仮の第2切換時点t2および仮の中間時点t1’でのゲート開度G1’のそれぞれの平均値t0m,t1m,t1’m,t2mおよびG1’mが求められる。そして、この平均値t0m,t1m,t1’m,t2mおよびG1’mが、言わば正式な記憶開始時点t0,第1切換時点t1s,中間時点t1’s,第2切換時点t2sおよび中間時点t1’sにおけるゲート開度G1’dとして決定される。なお、これら正式な記憶開始時点t0,第1切換時点t1s,中間時点t1’sおよび第2切換時点t2sは、上述したTdという周期に従う重量推定値Wx”の算出タイミングと同期するように決定され、言い換えれば記憶開始時点t0から第1切換時点t1s,中間時点t1’sおよび第2切換時点t2sのそれぞれまでの時間が当該周期Tdによって割り切れるように決定される。
【0095】
そして、改めて、tx=t1であるときにGx=G1である、という第1条件と、tx=t2であるときにGx=G2である、という第2条件と、tx=t1’であるときにGx=G1’である、という第3条件と、の3つの条件が満足されるように、式3における各定数a1,a2およびa3が求められる。これにより、重量推定値Wx”を変数とする式9から、経過時間txを変数とする当該式3への変換が、適切に行われる。
【0096】
その上で、今度は、この適切に変換された式3を適用してのテスト運転、言わば第2次のテスト運転、が行われる。
【0097】
即ち、先の言わば第1次テスト運転によって決定された記憶開始時点t0s,第1切換時点t1sおよび第2切換時点t2sが、図8に示すように、予め設定される。併せて、第1切換時点t1sから第2切換時点t2sまでの漸減時間T2が、上述したTdという重量推定値Wx”の算出周期で除されることによって、N(=T3/Td)等分される。そして、このN等分された各区間間の境界に当たる時点が、基準時点t[n](n=0〜N)として設定される。つまり、第1切換時点t1sを最初の基準時点t[0]とし、第2切換時点t2sを最後の基準時点t[N]とする、{N+1}個の基準時点t[n]が等間隔に設定される。このような設定が成された上で、経過時間txを制御パラメータとする第2次テスト運転が開始される。なお、この第2次テスト運転においても、被計量物100の供給開始時点を基点とする当該経過時間txが測定される。
【0098】
具体的には、図8(a)に示すように、被計量物100の供給開始直後に、ゲート開度GxがGx=G1とされ、大供給段階に入る。この大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持される。これにより、図8(b)に太実線Xで示すように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。なお、図8(b)における太破線Yは、真の供給済み重量値Wx’の推移を示す。
【0099】
そして、経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶が開始される。さらに、当該経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。なお、この第2次テスト運転においては、図6に示した時点t0’ではなく、第1切換時点t1sで、上述した要領による重量推定値Wx”の算出が開始される。また、この第1切換時点t1sでの重量推定値Wx”、つまり最初の基準時点t[0]での重量推定値Wx”[0]は、理想的には仮の第1切換重量値W1と等価(Wx”[0]=W1)になる。そして、この重量推定値Wx”[0]は、当該最初の基準時点t[0]と対応付けられた状態で記憶される。
【0100】
漸減段階においては、上述の(適切に変換された)式3に基づいて、ゲート開度Gxが制御される。これにより、当該ゲート開度Gxは、時間txが経過するに連れて漸減する。併せて、重量推定値Wx”もまた漸減する。そして、経過時間txがそれぞれの基準時点t[n]に到達するたびに、重量推定値Wx”[n]が求められ、この重量推定値Wx”[n]は、当該基準時点t[n]と対応付けられた状態で記憶される。そして、経過時間txが最後の基準時点t[N]である第2切換時点t2sに到達すると、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、この第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”[N]は、理想的には仮の第2切換重量値W2と等価(Wx”[N]=W2)になる。また、この第2切換時点t2sにおけるゲート開度Gxは、Gx=G2となる。そして、この第2切換時点t2sにおいて、重量推定値Wx”の算出が終了されると共に、当該重量推定値Wxの算出のための重量測定値Wxの記憶が終了される。
【0101】
小供給段階においては、第2切換時点t2sにおけるのと等価なゲート開度G2が維持され、これに伴い、重量測定値Wxが当該ゲート開度G2に応じた比較的に低い一定速度で増大する。そして、重量測定値Wxが供給停止重量値Wcと一致すると、その時点t3で、ゲート開度GxがGx=0とされる。これ以降は、第1次テスト運転時と同様である。また、最終重量値Wfについても、記憶される。
【0102】
このようにして第2次テスト運転が行われることで、漸減段階の各基準時点t[n]における重量推定値Wx”[n]が記憶されると共に、最終重量値Wfもまた記憶される。そして、この第2次テスト運転が複数回にわたって繰り返される。
【0103】
この複数回の第2次テスト運転によって得られた複数のテスト結果のうち、第2切換時点t2s(=t[N])での重量推定値Wx”[N]が、所定の許容範囲内にあるもの、詳しくは次の式10を満足するもの、のみが抽出される。なお、この式10におけるΔWaは、第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”[N]として許容される誤差重量値であり、例えば仮の第2切換重量値W2の数%であり、概ね0.5%〜2%(ΔWa=0.005・W2〜0.02・W2)である。
【0104】
《式10》
W2−ΔWa≦Wx”[N]≦W2+ΔWa
【0105】
そしてさらに、この式10を満足するテスト結果のうち、最終的な供給精度が一定以上のもの、詳しくは最終重量値Wfが次の式11を満足するもの、のみが抽出される。なお、この式11におけるΔWbは、最終重量値Wfとして許容される上述とは別の誤差重量値であり、例えば目標重量値Wpの数%であり、概ね0.5%〜2%(ΔWb=0.005・Wp〜0.02・Wp)である。
【0106】
《式11》
Wp≦Wf≦Wp+ΔWb
【0107】
このように式10および式11の両方を満足するテスト結果のみが抽出された後、この抽出されたテスト結果について、それぞれの基準時点t[n]ごとに、重量推定値Wx”[n]の平均値Wm”[n]が求められる。そして、この平均値Wm”[n]が、それぞれの基準時点t[n]における重量推定値Wx”の標準値、言わば標準重量値Ws[n]、として決定される。
【0108】
この標準重量値Ws[n]は、それぞれの基準時点t[n]と対応付けられた状態で、例えば図9に示す基準テーブルに記憶される。また、それぞれの基準時点t[n]が上述の式3における変数txに代入されることで、当該それぞれの基準時点t[n]におけるゲート開度Gxの標準値、言わば標準ゲート開度Gs[n]、が決定される。そして、この標準ゲート開度Gs[n]についても、同基準テーブルに記憶される。なお、この基準テーブルにおける最小標準重量値Ws[0]は、基本的には仮の第1切換重量値W1と等価(Ws[0]=W1)になる。そして、最大標準重量値Ws[N]は、強制的に仮の第2切換重量値W2と等価(Ws[N]=W2)とされる。また、最初の基準時点t[0]での標準ゲート開度Gs[0]は、大供給段階におけるゲート開度G1と等価(Gs[0]=G1)であり、最後の基準時点t[N]での標準ゲート開度Gs[N]は、小供給段階におけるゲート開度G2と等価(Gs[N]=G2)である。
【0109】
この基準テーブルの完成をもって、事前の調整作業が終了する。これにより、実際の稼働運転が可能となる。
【0110】
この実際の稼働運転について、改めて説明すると、まず、操作キー42の操作によって、稼働モードが選択される。その上で、被計量物100の供給が開始されると共に、この被計量物100の供給開始時点を基点とする経過時間txが測定される。
【0111】
被計量物100の供給開始直後は、図3(a)に示したように、ゲート開度GxがGx=G1とされ、大供給段階に入る。そして、この大供給段階においては、当該ゲート開度G1が維持される。これにより、図3(b)に太実線Xで示したように、重量測定値Wxが当該ゲート開度G1に応じた比較的に高い速度で増大する。
【0112】
そして、上述の経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶が開始される。さらに、当該経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、大供給段階から漸減段階に切り換わる。併せて、上述の第2次テスト時と同様、当該第1切換時点t1sである最初の基準時点t[0]において、重量推定値Wx”の算出が開始される。この最初の基準時点t[0]における重量推定値Wx”[0]は、最小標準重量値Ws[0]と等価(Wx”[0]=Ws[0])であるのが理想であるが、被計量物100の性状等の諸状況によっては、そうならない場合もあり得る。そこで、次の式12に基づいて、ゲート開度Gx[n](ここではGx[0])が制御される。
【0113】
《式12》
Gx[n]=Gs[n]−ε・(Wx”[n]−Ws[n])
【0114】
なお、この式12において、εは、任意の基準時点t[n]における推定重量値Wx”[n]と標準重量値Ws[n]との差をゲート開度Gx[n]に変換するための係数であり、厳密に言えば、当該差をゲート開度Gx[n]の修正分に変換するための係数である。この変換係数εは、例えば次の式13によって求められる。また、当該変換係数εは、制御状況に応じて任意に設定されてもよい。
【0115】
《式13》
ε=G2/(Wc−W2)
【0116】
この式13の変換係数εを含む式12によれば、最初の基準時点t[0]において、例えば推定重量値Wx”[0]が最小標準重量値Ws[0]と等価である場合、ゲート開度Gx[0]は最大標準ゲート開度Gs[0]と等価(Gx[0]=Gs[0])になる。これに対して、推定重量値Wx”[0]が最小標準重量値Ws[0]よりも大きい(Wx”[0]>Ws[0])場合には、ゲート開度Gx[0]は最大標準ゲート開度Gs[0]よりも小さめ(Gx[0]<Gs[0])とされ、つまりそうなるように修正制御される。なお、推定重量値Wx”[0]が最小標準重量値Ws[0]よりも小さい(Wx”[0]<Ws[0])場合には、ゲート開度Gx[0]は最大標準ゲート開度Gs[0]と等価とされる。
【0117】
これと同様に、経過時間txが最後の基準時点t[N]に到達する直前までは、当該経過時間txがそれぞれの基準時点t[n](n=1〜{N−1})に到達するごとに、上述の式12に基づいて、ゲート開度Gx[0]が制御される。即ち、任意の基準時点t[n]において、例えば推定重量値Wx”[n]が標準重量値Ws[n]と等価(Wx”[n]=Ws[n])である場合、ゲート開度Gx[n]は標準ゲート開度Gs[n]と等価(Gx[n]=Gs[n])とされる。これに対して、推定重量値Wx”[n]が標準重量値Ws[n]よりも大きい(Wx”[n]>Ws[n])場合には、ゲート開度Gx[n]は標準ゲート開度Gs[n]よりも小さめ(Gx[n]<Gs[n])とされる。これとは反対に、推定重量値Wx”[n]が標準重量値Ws[n]よりも小さい(Wx”[n]<Ws[n])場合には、ゲート開度Gx[n]は標準ゲート開度Gs[n]よりも大きめ(Gx[n]>Gs[n])とされる。
【0118】
そして、経過時間txが最後の基準時点t[N]である第2切換時点t2sに到達すると、ゲート開度Gx[N]は、強制的に最大標準ゲート開度Gs[N]と等価(Gx[N]=Gs[N])とされる。このようにしてゲート開度Gxが適宜に制御されることで、第2切換時点t2sにおける重量推定値Wx”[n]は、最大標準重量値Ws[N]と略等価(Wx”[N]≒Ws[n])になる。その一方で、当該第2切換時点t2sにおいては、上述した初期振動成分を含む振動成分が十分に減衰しているので、同第2切換時点t2sにおける重量測定値Wxは、重量推定値Wx”[N]と略等価(Wx=Wx”[N])である。この結果、上述したように、当該第2切換時点t2sにおける重量測定値Wxは、最大標準重量値Ws[N]と略等価な一定値になる。そして、この第2切換時点t2sにおいて、重量推定値Wx”の算出が終了されると共に、当該重量推定値Wxの算出のための重量測定値Wxの記憶が終了される。併せて、漸減段階から小供給段階に切り換わる。なお、小供給段階以降については、上述した通りである。
【0119】
このように、本実施形態によれば、漸減段階において、被計量物100の供給開始時点からの経過時間txがそれぞれの基準時点t[n]に到達するごとに、上述の式12に基づいてゲート開度Gxが制御される。これは、それぞれの基準時点t[n]において、重量推定値Wx”[n]と標準重量値Ws[n]とが比較され、これら両者Wx”[n]およびWs[n]が互いに一致するように、言い換えれば当該重量推定値Wx”[n]が所期の通りに推移するように、ゲート開度Gxが適宜に制御されること、言わばリアルタイム制御されること、を意味する。そして、このゲート開度Gxのリアルタイム制御によって、漸減段階の終点であり、かつ、小供給段階の始点でもある、所定の第2切換時点t2sにおいて、重量測定値Wxが、最大標準重量値Ws[n]と略等価な一定値になる。この結果、全供給時間Twの均一化が図られ、つまり定量供給の単位時間当たりの実行回数の均一化が図られる。これは、特に、本実施形態の定量供給装置10の後段に上述した重量選別装置が設けられるシステムにおいて、製品の品質および生産性の両方を満足させるのに、極めて有効である。
【0120】
このような漸減段階におけるゲート開度Gxのリアルタイム制御を含む定量供給を実現するべく、CPU32は、稼働運転時に、上述した制御プログラムに従って、次のように動作する。なお、この稼働運転に入る際、開閉ゲート16は閉鎖されており、溜めホッパ12には所定量(収容高さH)の被計量物100が収容されているものとする。併せて、計量ホッパ14は空の状態であり、排出ゲート54は閉鎖されているものとする。
【0121】
まず、操作キー42の操作によって自動運転ONの命令が入力されると、CPU32は、図10に示す自動運転タスクのステップS1に進む。そして、このステップS1において、初期設定処理を行う。詳しくは、後述するCd,CfおよびCgという3つのカウンタのカウント値を全てリセットする(0とする)と共に、後述するF0,F1,F2,F3,F4,F5およびF6という7つのフラグのそれぞれに0を設定する。そして、このステップS1の実行後、ステップS3に進み、後述する割込タスクの実行を開始する。
【0122】
さらに、CPU32は、ステップS5に進み、ゲート開度GxをGx=G1とするための準備を行い、詳しくは上述したゲート制御信号Sgを生成する準備をする。そして、ステップS7に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成し、つまり開閉ゲート16を制御する。これにより、大供給段階が開始される。
【0123】
ステップS7の実行後、CPU32は、ステップS9に進む。そして、このステップS9において、Cuというカウンタのカウント値をリセットする。なお、このカウント値Cuは、上述した記憶開始時点t0sを捉えるためのものであり、詳しくは被計量物100の供給開始時点から当該記憶開始時点t0sまでの言わば記憶開始待ち時間Tu(=t0s−0;図3参照)をカウントするためのものである。
【0124】
そして、CPU32は、ステップS11に進み、F0というフラグに1を設定する。このフラグF0は、溜めホッパ12から計量ホッパ14への被計量物100の供給が開始されたか否かを表す指標であり、例えば当該フラグF0がF0=1であるときは、被計量物100の供給が開始されたことを表す。一方、この言わば供給開始フラグF0がF0=0であるときは、被計量物100の供給が開始されていないことを表す。
【0125】
このステップS11の実行後、CPU32は、ステップS13に進み、被計量物100の供給開始時点からの経過時間txが記憶開始時点t0sに到達したか否かを判定する。詳しくは、上述の記憶開始待ち時間Tuをカウントするためのカウント値Cuと、当該記憶開始待ち時間Tu(厳密には記憶開始待ち時間Tuをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)と、を比較する。なお、カウント値Cuは、後述するように、割込タスクにおいて管理される。そして、当該カウント値Cuが記憶開始待ち時間Tuに到達(Cu≧Tu)すると、つまり経過時間txが記憶開始時点t0sに到達すると、CPU32は、ステップS13からステップS15に進む。
【0126】
ステップS15において、CPU32は、F1というフラグに1を設定する。このフラグF1は、推定重量値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されたか否かを表す指標であり、例えば当該フラグF1がF1=1であるときは、当該重量測定値Wxの記憶が開始されたことを表す。一方、この言わば推定開始フラグF1がF1=0であるときは、重量測定値Wxの記憶が未だ開始されていないことを表す。
【0127】
そして、CPU32は、ステップS17に進み、経過時間txが第1切換時点t1sに到達したか否かを判定する。具体的には、図5および図6を参照しながら説明した重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶順を表すkというインデックスの値と、Rという所定の基準値と、を比較する。なお、インデックスkの値は、割込タスクにおいて管理される。そして、基準値Rは、記憶開始時点t0sから第1切換時点t1sまでの言わば推定待ち時間Tr(=t1s−t0s;図3参照)を当該インデックスkの値に換算した換算値であり、例えば図6におけるk’の値に相当する。このステップS17において、インデックスkの値が基準値Rに到達(k≧R)すると、つまり経過時間txが第1切換時点t1sに到達すると、CPU32は、大供給段階から漸減段階に切り換わるべく、図11のステップS19に進む。
【0128】
ステップS19において、CPU32は、任意の基準時点t[n]における重量推定値Wx”[n]を特定するためのnという上述とは別のインデックスに0を設定する。そして、ステップS21に進み、上述のkというインデックスの値をCpというカウンタのカウント値にコピーする。つまり、このステップS21においては、当該カウント値CpにRという値が設定される。なお、当該カウント値Cpは、次に説明するように、重量推定値Wx”を更新するのに用いられる。
【0129】
ステップS21の実行後、CPU32は、ステップS23に進み、インデックスkの値と上述のカウント値Cpとを比較する。このステップS23は、インデックスkの値がカウント値Cp以上(k≧Cp)になるまで繰り返される。そして、インデックスkの値がカウント値Cp以上になると、CPU32は、重量推定値Wx”を算出するべく、ステップS25に進む。なお、このステップS23が初めて実行されるときは、上述のステップS21が実行された直後であるので、インデックスkの値とカウント値CpとはいずれもR(k=Cp=R)であり、ゆえに、CPU32は、即座にステップS25に進む。
【0130】
ステップS25において、CPU32は、現時点で記憶されている重量測定値Wxのうち今現在のkというタイミングの(最も直近に記憶された)重量測定値Wx〈k〉を含む過去の{β+1}個の重量測定値Wx〈k−β〉〜Wx〈k〉に基づいて、当該kという今現在のタイミングにおける重量推定値Wx”〈k〉を求める。具体的には、上述の式8に示した{β+1}個の1次関数式に基づいて、これら各1次関数式に共通する2つの定数b1〈k〉およびb2〈k〉を求めると共に、これら2つの定数b1〈k〉およびb2〈k〉を式6に代入することによって、当該重量推定値Wx〈k〉を求める。
【0131】
そして、CPU32は、ステップS27に進み、ステップS25で求めた重量推定値Wx”〈k〉を、上述したnというインデックスによって特定される重量推定値Wx”[n]に置き換える。さらに、CPU32は、ステップS29に進み、図9に示した基準テーブルを参照することで、当該インデックスnに対応する標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とを特定する。そして、ステップS31に進み、上述の式12に基づいて、ゲート開度Gx[n]を算出し、さらに、ステップS33に進み、当該ゲート開度Gx[n]に応じたゲート制御信号Sgを生成する。これにより、ゲート開度Gxのリアルタイム制御が実現される。
【0132】
ステップS33の実行後、CPU32は、ステップS35に進み、nというインデックスの値を1だけインクリメントする。そして、ステップS37に進み、当該インクリメント後のインデックスnの値と、その最大値Nと、を比較する。ここで、例えば、インデックスnの値が最大値Nよりも小さい(n<N)場合、つまり経過時間txが未だ第2切換時点t2sである最後の基準時点t[n]に到達していない場合は、改めて重量推定値Wx”[n]を算出するべく、ステップS39に進む。そして、このステップS39において、重量推定値Wx”[n]の更新用の上述したカウント値Cpを1だけインクリメントした後、ステップS23に戻る。一方、インデックスnの値が最大値Nに到達(n=N)した場合、つまり経過時間txが最後の基準時点t[N]に到達した場合は、ステップS37からステップS41に進む。
【0133】
ステップS41において、CPU32は、ゲート開度GxをGx=G02とするためのゲート制御信号Sgを生成する準備を行う。そして、ステップS43に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成して、開閉ゲート16を制御する。これにより、漸減段階から小供給段階に切り換わる。
【0134】
さらに、CPU32は、ステップS45に進み、F2というフラグに1を設定する。このフラグF2は、既に小供給段階に入ったか否かを表す指標であり、例えば当該フラグF2がF2=1であるときは、既に小供給段階に入ったことを表す。一方、この言わば小供給開始フラグF2がF2=0であるときは、未だ小供給段階に入っていないことを表す。このステップS45の実行後、CPU32は、図12のステップS47に進む。
【0135】
ステップS47において、CPU32は、重量測定値Wxと供給停止重量値Wcとを比較する。このステップS47は、重量測定値Wxが供給停止重量値Wc以上(Wx≧Wc)になるまで繰り返される。そして、当該重量測定値Wxが供給停止重量値Wc以上になると、CPU32は、開閉ゲート16を閉鎖するべく、このステップS47からステップS49に進む。
【0136】
ステップS49において、CPU32は、ゲート開度GxをGx=0とするためのゲート制御信号Sgを生成する準備を行う。そして、ステップS51に進み、当該ゲート制御信号Sgを生成して、開閉ゲート16を制御する。これにより、開閉ゲート16が閉鎖される。
【0137】
そして、CPU32は、ステップS53に進み、F3というフラグに1を設定する。このフラグF3は、上述した最終重量値Wfを得るための安定待ち動作が開始されたか否かを表す指標であり、言い換えれば図3を参照しながら説明した安定待ち時間Tfが計測されている最中であるか否かを表す指標である。例えば、この言わば安定待ち開始フラグF3がF3=1であるときは、安定待ち動作が開始されたことを表し、つまり安定待ち時間Tfが計測されている最中であることを表す。一方、そうでないときは、この安定待ち開始フラグF3はF3=0である。
【0138】
ステップS53の実行後、CPU32は、ステップS55に進む。そして、このステップS55において、F4というフラグがF4=1であるか否かを判定する。このフラグF4は、上述の安定待ち動作が終了したか否かを表す指標であり、割込タスクによって管理される。例えば、この言わば安定待ち終了フラグF4がF4=1であるときは、安定待ち動作が終了したことを表し、当該フラグF4がF4=0であるときは、安定待ち動作が未だ終了していないことを表す。このステップS55は、安定待ち終了フラグF4がF4=1となるまで、つまり安定待ち動作が終了するまで、継続される。そして、安定待ち動作が終了すると、CPU32は、このステップS55からステップS57に進む。
【0139】
ステップS57において、CPU32は、上述した式4に基づく第2の平滑処理としての移動平均処理によって最終重量値Wfを算出する。そして、ステップS59に進み、当該ステップS57で算出した最終重量値Wfをディスプレイ20に表示する。なお、詳しい図示は省略するが、このディスプレイ20への最終重量値Wfの表示は、一定期間にわたって、例えば次の定量供給が開始される直前まで、行われる。また、最終重量値Wfは、図示しない印刷(印字)装置や選別装置等の外部装置に出力することも可能である。
【0140】
ステップS59の実行後、CPU32は、ステップS61に進み、排出ゲート54を開放するようシリンダ38を制御し、つまり排出制御信号Scを生成する。これにより、計量ホッパ14内の被計量物100が当該計量ホッパ14から排出される。
【0141】
そして、CPU32は、ステップS63に進み、F5というフラグがF5=1であるか否かを判定する。このフラグF5は、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したか否かを表す指標であり、これもまた、割込タスクによって管理される。例えば、この言わば排出終了フラグF5がF5=1であるときは、計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したことを表し、当該フラグF5がF5=0であるときは、被計量物100の排出が終了していないことを表す。このステップS63は、排出終了フラグF5がF5=1となるまで、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了するまで、継続される。そして、被計量物100の排出が終了すると、CPU32は、このステップS63からステップS65に進み、排出ゲート54を閉鎖するようシリンダ38を制御する。
【0142】
ステップS65の実行後、CPU32は、ステップS67に進み、F6というフラグがF6=1であるか否かを判定する。このフラグF6は、排出ゲート54が完全に閉鎖されたこと、言い換えれば一連(1回)の定量供給が終了したこと、を表す指標であり、これもまた、割込タスクによって管理される。例えば、この言わば1バッチ終了フラグF6がF6=1であるときは、一連の定量供給が終了したことを表し、当該フラグF6がF6=0であるときは、定量供給が終了していないことを表す。このステップS67は、1バッチ終了フラグF6がF6=1となるまで、つまり一連の定量供給が終了するまで、継続される。そして、一連の定量供給が終了すると、CPU32は、このステップS67からステップS69に進む。
【0143】
ステップS69において、CPU32は、全てのフラグF1,F2,F3,F4,F5およびF6に0を設定する。そして、ステップS71に進み、操作キー42の操作によって自動運転OFFの命令が入力された(または入力されている)か否かを判定する。このステップS71において、例えば、自動運転OFFの命令が入力されていない場合、CPU32は、改めて次の定量供給を開始するべく、図10のステップS5に戻る。一方、自動運転OFFの命令が入力された場合は、ステップS73に進み、割込タスクを終了する。そして、CPU32は、この自動運転タスクを終了する。
【0144】
続いて、割込タスクについて詳しく説明する。この割込タスクは、クロックパルスCLKの立ち上がり(または立ち下がり)に合わせて行われる。即ち、クロックパルスCLKの立ち上がりが到来すると、CPU32は、図13のステップS101に進む。そして、このステップS101において、上述の1バッチ終了フラグF6がF6=0であるか否か、要するに一連の定量供給が行われている最中であるか否か、を判定する。ここで、例えば、当該1バッチ終了フラグF6がF6=1である場合、つまり一連の定量供給が終了した場合は、一旦、この割込タスクを終了する。一方、1バッチ終了フラグF6がF6=0である場合、つまり一連の定量供給が行われている最中である場合は、このステップS101からステップS103に進む。
【0145】
ステップS103において、CPU32は、排出終了フラグF5がF5=0であるか否か、要するに計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了したか否か、を判定する。ここで、例えば、当該排出終了フラグF5がF5=0である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が未だ終了していない場合は、ステップS105に進む。なお、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合については、後で詳しく説明する。
【0146】
ステップS105に進むと、CPU32は、安定待ち終了フラグF4がF4=0であるか否か、要するに安定待ち動作が終了したか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち終了フラグF4がF4=0である場合、つまり安定待ち動作が未だ終了していない場合は、ステップS107に進む。なお、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合については、後で詳しく説明する。
【0147】
ステップS107において、CPU32は、A/D変換回路26から入出力インタフェース回路30経由でデジタル荷重検出信号Wyを取得する。そして、ステップS109に進み、当該デジタル荷重検出信号Wyに対して上述した第1の平滑処理を施し、さらに、この第1の平滑処理が施された後のデジタル荷重検出信号Wyに基づいて重量測定値Wxを求める。
【0148】
ステップS109の実行後、CPU32は、ステップS111に進み、安定待ち開始フラグF3がF3=0であるか否か、要するに安定待ち動作が開始されたか否か、を判定する。ここで、例えば、当該安定待ち開始フラグF3がF3=0である場合、つまり安定待ち動作が未だ開始されていない場合は、ステップS113に進む。なお、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始された場合については、後で詳しく説明する。
【0149】
ステップS113において、CPU32は、小供給開始フラグF2がF2=0であるか否か、要するに小供給段階に入ったか否か、を判定する。ここで、例えば、当該小供給開始フラグF2がF2=0であるとき、つまり未だ小供給段階に入っていないときは、ステップS115に進む。一方、小供給開始フラグF2がF2=1であるとき、つまり既に小供給段階に入っているときは、一旦、この割込タスクを終了する。
【0150】
ステップS115に進んだCPU32は、ここで、推定開始フラグF1がF1=0であるか否か、要するに重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されたか否か、を判定する。ここで、例えば、当該推定開始フラグF1がF1=0である場合、つまり重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が未だ開始されていない場合は、ステップS117に進む。なお、推定開始フラグF1がF1=0である場合、つまり重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されている場合については、後で詳しく説明する。
【0151】
ステップS117において、CPU32は、供給開始フラグF0がF0=0であるか否か、要するに被計量物100の供給が開始されたか否か、を判定する。ここで、例えば、当該供給開始フラグF0がF0=0である場合、つまり被計量物100の供給が未だ開始されていない場合は、ステップS119に進む。一方、当該供給開始フラグF0がF0=1である場合、つまり被計量物100の供給が開始された場合は、ステップS121に進み、上述した記憶開始待ち時間Tuをカウントするためのカウンタのカウント値Cuを1だけインクリメントした後、ステップS119に進む。
【0152】
ステップS119において、CPU32は、上述した重量推定値Wx”の推定のための重量測定値Wxの記憶順を表すkというインデックスに0という値を設定する。そして、ステップS123に進み、当該インデックスkによって特定される重量測定値Wx〈k〉を記憶して、一旦、割込タスクを終了する。
【0153】
一方、上述のステップS115において、推定開始フラグF1がF1=1である場合、つまり重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxの記憶が開始されている場合は、CPU32は、ステップS125に進む。そして、このステップS125において、上述したCdというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cdは、次に説明するように、重量測定値Wxの記憶周期Td、言い換えれば重量推定値Wx”の算出周期(推定周期)、を測定するのに用いられる。
【0154】
ステップS125の実行後、CPU32は、ステップS127に進み、上述の推定周期Td測定用のカウント値Cdと当該推定周期Tdに係る整数γとを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cdが整数γと等価(Cd=γ)である場合、つまり1回の推定周期Tdが経過した場合は、ステップS129に進む。一方、当該カウント値Cdが整数γと等価でない(Cd≠γ;実際にはCd<γ)場合、つまり1回の推定周期Tdが未だ経過していない場合は、一旦、この割込タスクを終了する。
【0155】
ステップS129において、CPU32は、推定周期Td測定用のカウント値Cdをリセットする。そして、ステップS131に進み、推定用の重量測定値Wxの記憶順を表すインデックスkの値を1だけインクリメントした後、当該インデックスkによって特定される重量測定値Wx〈k〉を記憶するべく、上述のステップS123に進む。
【0156】
なお、上述のステップS111において、安定待ち開始フラグF3がF3=1である場合、つまり安定待ち動作が開始されている場合は、CPU32は、図14のステップS133に進む。そして、このステップS133において、上述した式4に基づく第2の平滑処理によって最終重量値Wfを算出するための図示しないシフトレジスタに今現在の重量測定値Wxを記憶する。このシフトレジスタに記憶される重量測定値Wxは、上述したように第1の平滑処理が施されたものである。また、当該シフトレジスタには、J個の重量測定値Wxが記憶されるが、このJ個の重量測定値Wxは、新たな重量測定値Wxが記憶されるごとに、古いものから順に廃棄される。また、第1の平滑処理のためにも同様のレジスタが用いられるが、これについての詳細な説明は、ステップの図示を含め省略する。
【0157】
ステップS133の実行後、CPU32は、ステップS135に進む。そして、このステップS135において、上述のCfというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cfは、次に説明するように、安定待ち時間Tfを測定するのに用いられる。
【0158】
ステップS135の実行後、CPU32は、ステップS137に進み、上述の安定待ち時間Tf測定用のカウント値Cfと安定待ち時間Tf(厳密には安定待ち時間Tfをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cfが安定待ち時間Tfに到達(Cf≧Tf)すると、つまり安定待ち時間Tsが経過すると、CPU32は、ステップS139に進む。一方、当該カウント値Csが安定待ち時間Tsに到達していない(Cf<Tf)場合、つまり安定待ち時間Tsが未だ経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
【0159】
ステップS139において、CPU32は、安定待ち終了フラグF4に1を設定する。そして、ステップS141に進み、安定待ち時間Tf測定用のカウント値Cfをリセットした後、一旦、割込タスクを終了する。
【0160】
また、図13のステップS105において、安定待ち終了フラグF4がF4=1である場合、つまり安定待ち動作が終了した場合は、CPU32は、図14のステップS143に進む。そして、このステップS143において、上述したCgというカウンタのカウント値を1だけインクリメントする。なお、このカウント値Cgは、次に説明するように、排出ゲート54の開閉動作を管理するのに用いられ、詳しくは排出時間Tgおよび準備時間Thを測定するのに用いられる。
【0161】
ステップS143の実行後、CPU32は、ステップS145に進み、上述の排出ゲート54管理用のカウント値Cgと排出時間Tg(厳密には排出時間Tgをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが排出時間Tgに到達(Cg≧Tg)すると、つまり排出時間Tgが経過すると、CPU32は、ステップS147に進む。一方、当該カウント値Cgが排出時間Tgに到達していない(Cg<Tg)場合、つまり排出時間Tgが未だ経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
【0162】
ステップS147において、CPU32は、排出終了フラグF5に1を設定する。そして、ステップS149に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットした後、一旦、割込タスクを終了する。
【0163】
さらに、図13のステップS103において、排出終了フラグF5がF5=1である場合、つまり計量ホッパ14内の被計量物100の排出が終了した場合は、CPU32は、図14のステップS151に進む。そして、このステップS151において、排出ゲート54管理用のカウント値Cgを1だけインクリメントした後、ステップS153に進む。
【0164】
ステップS153において、CPU32は、排出ゲート54管理用のカウント値Cgと準備時間Th(厳密には準備時間Thをサンプリング周期ΔTで除した値に相当するカウント換算値)とを比較する。ここで、例えば、当該カウント値Cgが準備時間Thに到達(Cg≧Th)すると、つまり準備時間Thが経過すると、CPU32は、ステップS155に進む。一方、当該カウント値Cgが準備時間Thに到達していない(Cg<Th)場合、つまり準備時間Thが未だ経過していない場合は、一旦、割込タスクを終了する。
【0165】
ステップS155に進んだCPU32は、ここで、1バッチ終了フラグF6に1を設定する。そして、上述のステップS149に進み、排出ゲート54管理用のカウント値Cgをリセットした後、割込タスクを終了する。
【0166】
このようにCPU32が動作することによって、漸減段階におけるゲート開度Gxのリアルタイム制御を含む定量供給が実現される。
【0167】
なお、本実施形態においては、上述の式3に基づいて、漸減段階の各基準時点t[n]における標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とが決定され、ひいては当該漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されることとしたが、これに限らない。例えば、当該式3に代えて、上述式2に準拠する次の式14が適用されてもよい。
【0168】
《式14》
Gx=(G1−G2)・{(t2s−tx)/(t2s−t1s)}α+G2
【0169】
これとは別に、例えば、次の式15で表される3次関数式に基づいて、漸減段階の各基準時点t[n]における標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とが決定され、ひいては当該漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されてもよい。
【0170】
《式15》
Gx=c1・tx3+c2・tx2+c3・tx+c4
【0171】
この式15において、c1,c2,c3およびc4は、いずれも定数であり、次の4つの条件が満足されるように決定される。即ち、第1の条件として、tx=t1sであるときにGx=G1であることが、要求される。そして、このtx=t1sであるときのゲート開度G1が当該ゲート開度Gxの最大値であることが、第2の条件とされる。さらに、第3の条件として、tx=t2sであるときにGx=G2であることが、要求される。そして、このtx=t2sであるときのゲート開度G2が当該ゲート開度Gxの最小値であることが、第4の条件とされる。
【0172】
この式15によれば、ゲート開度Gxは、経過時間txに対して概略S字状に推移するようになる。詳しくは、経過時間txに対するゲート開度Gxの変化率(|dGx/dtx|)が、最初はまず漸増し、その後、漸減するように、当該ゲート開度Gxが推移する。これにより、特に、漸減段階から小供給段階に切り換わる第2切換時点t2sでのゲート開度Gxの変化が連続的(スムーズ)になり、当該第2切換時点t2sの前後における被計量物100の供給量Qxの変化が低減される。この結果、当該第2切換時点t2sでの振動成分の発生がより一層抑制される。これは、小供給時間T3のさらなる短縮化に貢献し、ひいては当該小供給時間T3を含む全供給時間Twのさらなる短縮化に大きく貢献する。
【0173】
また、上述した記憶開始時点t0sを基点としてTd(=γ・ΔT)という周期ごとに重量推定値Wx”の算出のための重量測定値Wxが記憶され、ひいては当該重量推定値Wx”が求められることとしたが、これに限らない。例えば、被計量物100の供給開始時点を基点として当該重量測定値Wxが記憶され、ひいては重量推定値Wx”が求められてもよい。
【0174】
加えて、上述のTdという周期ごとではなく、例えば、サンプリング周期ΔTごとに、重量測定値Wxが記憶され、ひいては重量推定値Wx”が求められてもよい。ただし、漸減段階においては、小供給段階に比べて、ゲート開度Gxの制御に正確さが求められないこと、ならびに、CPU32の負担を軽減すること、言い換えれば比較的に廉価なCPU32であっても採用可能とすること、を鑑みると、本実施形態の如く当該Tdという周期に従うのも、一種の得策である。
【0175】
そして、本実施形態においては、上述の式12に基づいてゲート開度Gxが修正制御されることとしたが、これに限らない。例えば、式12に代えて、次の式16が採用されてもよい。なお、この式16におけるρは、0よりも大きい(ρ>0)補正係数である。
【0176】
《式16》
Gx[n]=Gs[n]・{1−ρ・(Wx”[n]−Ws[n])}
【0177】
いずれにしても、第2切換時点t2sにおける重量推定値Wx”が一定となるように、漸減段階におけるゲート開度Gxが適宜に制御されればよい。
【0178】
さらに、本実施形態では、重量測定値Wxが仮の第1切換重量値W1と等価な最小標準重量値Ws[0]に到達する頃の第1切換時点t1sにおいて、大供給段階から漸減段階に切り換わることとされたが、これに限らない。例えば、図15に示すように、記憶開始時点t0sから上述した推定用重量値取得期間Tcが経過した時点、つまり最初の重量推定値Wx”〈β〉が得られた時点t0’sで、大供給段階から漸減段階に切り換わるようにしてもよい。このようにすれば、漸減時間T2が長くなるので、その分、漸減段開におけるゲート開度Gxの制御の幅が広がり、当該制御の柔軟性が向上する。ただし、その一方で、大供給時間T1が短くなるので、全供給時間Twは長引く可能性がある。
【0179】
また、この場合、例えば図16に示すように、上述の時点t0’sよりも早い時点t0”sで、最初の重量推定値Wx”〈β−q〉(q;1≦p<βを満足する整数)が求められると共に、この時点t0”sで、大供給段階から漸減段開に切り換わるようにしてもよい。具体的には、{β+1}個よりもq個だけ少ない{β+1−q}個の重量測定値Wxが記憶された時点、つまり記憶開始時点t0sからTc’(={β−q}・Td<Tc)という期間が経過した時点t0”sで、当該{β+1−q}個の重量測定値Wxに基づいて最初の重量推定値Wx”〈β−q〉が求められるようにする。この{β+1−q}個の重量測定値Wxに基づく重量推定値Wx”〈β−q〉の算出要領は、上述した{β+1}個の重量測定値Wxに基づく算出要領と同様である。そして、これ以降、{β+2−q}個,{β+3−q}個,…というように重量測定値Wxの数が1つずつ増加され、同様の要領で2番目以降の各重量推定値Wx”〈β−q+1〉,Wx”〈β−q+2〉,…が順次求められるようにする。そして、重量測定値Wxの記憶数が{β+1}に到達した時点t0’s以降は、当該{β+1}個の重量測定値Wxに基づいて、重量推定値Wx”が求められるようにする。ただし、この場合は、最初の重量推定値Wx”〈β−q〉,2番目の重量推定値Wx”〈β−q+1〉,3番目の重量推定値Wx”〈β−q+2〉等の推定当初の重量推定値Wx”は、真の供給済み重量値Wx’から比較的に大きく乖離する。なお、図16は、整数βがn=9であり、減算分の整数qがq=3の場合を例示している。
【0180】
そして、極端には、重量推定値Wx”ではなく、重量測定値Wxに基づいて、漸減段階の各基準時点t[n]における標準重量値Ws[n]と標準ゲート開度Gs[n]とが決定され、ひいては当該漸減段階におけるゲート開度Gxが制御されてもよい。ただし、この場合、初期振動成分を含む振動成分の影響を受けることは、上述した通りである。その一方で、当該振動成分が比較的に小さい場合には、この重量測定値Wxに基づくことも、一種の得策である。
【0181】
本実施形態においては、樹脂ペレットやグラニュー糖のように流動性の高い粉粒状の被計量物100を取り扱う定量計量装置10を例に挙げたが、これに限らない。例えば、当該樹脂ペレットやグラニュー糖よりも流動性の低い被計量物や、粘性のある被計量物等を取り扱う装置にも、本発明を適用することができる。特に、粘性のある被計量物を取り扱う場合には、当該被計量物がスクリューフィーダによって溜めホッパから計量ホッパへ供給される構成であってもよい。
【0182】
加えて、本実施形態においては、溜めホッパ12の下方に計量ホッパ14が配置され、この計量ホッパ14に付属されたロードセル18等の荷重センサの出力Wyに基づいて、当該計量ホッパ14内の被計量物100の供給済み重量値Wxが測定される構成を例に挙げたが、これに限らない。例えば、溜めホッパ12側にロードセル18等の荷重センサが設けられ、この荷重センサの出力に基づいて、当該溜めホッパ12から排出された被計量物100の排出済み重量値が測定される構成に、本発明を適用してもよい。
【0183】
さらに、開閉ゲート16を駆動する手段として、サーボモータ44を採用したが、これに限らない。例えば、当該サーボモータ44に代えて、ステッピングモータ(パルスモータ)を採用してもよい。この場合、サーボアンプ回路36に代えて、ステッピングモータ用のドライブ回路が用いられる。併せて、制御装置22を構成するD/A変換回路34に代えて、CPU32の制御によって所定の駆動パルスを出力するパルス出力回路が設けられる。そして、このパルス出力回路からドライブ回路を介してステッピングモータに与えられる駆動パルスの数によって、当該ステッピングモータの回転角が制御され、ひいてはゲート開度Gxが制御される。また、当該駆動パルスの周期によって、ステッピングモータの回転速度が制御され、ひいてはゲート開度Gxの時間変化率(開閉ゲート16の開閉動作速度)が制御される。このようにステッピングモータが採用されることで、回転角度検出手段としてのポテンショメータ52が不要となり、定量供給装置10全体の構成が簡素化される。その一方で、ステッピングモータの脱調を防ぐために、特にその駆動開始時における回転速度を徐々に変化させる必要があり、つまり駆動パルスの数や周期について適宜の工夫が必要になる。なお、ステッピングモータ以外のモータや、モータ以外の駆動手段、例えば上述したシリンダ38のような手段が、採用されてもよい。
【0184】
また、大供給段階、中供給段階としての漸減段階および小供給段階という3つの段階に分けて被計量物100が供給される場合について説明したが、これに限らない。例えば、漸減段階および小供給段階の2段階で被計量物100が供給されてもよいし、4段階以上のより多くの段階に分けて被計量物100が供給されてもよい。いずれにしても、上述したように、小供給段階の始点である第2切換時点t2sでの重量推定値Wx”が一定となるように、漸減段階におけるゲート開度Gxが適宜に制御されることが、肝要である。
【符号の説明】
【0185】
10 定量供給装置
12 溜めホッパ
14 計量ホッパ
16 開閉ゲート
18 ロードセル
22 制御装置
32 CPU
44 サーボモータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた目標重量値分の被計量物を供給する定量供給装置において、
供給制御信号に従って上記被計量物の供給を行う供給手段と、
上記供給制御信号を生成する供給制御手段と、
上記供給手段による上記被計量物の供給開始時点からの経過時間を測定する経過時間測定手段と、
上記供給手段による供給済みの上記被計量物の重量を測定する重量測定手段と、
を具備し、
上記目標重量値よりも小さい供給停止重量値と、該供給停止重量値よりも小さい目標切換重量値と、上記重量測定手段による重量測定値が該目標切換重量値と一致する時点での上記経過時間の基準である基準切換時間と、が予め定められており、
上記供給制御手段は、上記供給手段による上記被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減する漸減段階と該漸減段階の後に続く最終の段階であって該供給量が該漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値である小供給段階とを含む複数の段階に分けて該供給手段による該被計量物の供給が行われ、かつ、該漸減段階において上記経過時間が上記基準切換時間と一致した第1時点で該漸減段階から該小供給段階に切り換わると共に該第1時点での上記重量測定値が上記目標切換重量値と一致し、さらに、該小供給段階において該重量測定値が上記供給停止重量値と一致した第2時点で該供給手段による該被計量物の供給が停止されるように、上記供給制御信号を生成すること、
を特徴とする、定量供給装置。
【請求項2】
上記切換重量値よりも小さい複数の標準重量値と、上記重量測定値が該複数の標準重量値のそれぞれと一致する時点での上記経過時間の基準である複数の基準時間と、が予め定められており、
上記供給制御手段は、上記漸減段階において上記経過時間が上記複数の基準時間のそれぞれと一致した第3時点での上記重量測定値が対応する上記標準重量値と一致するように上記供給制御信号を生成する、
請求項1に記載の定量供給装置。
【請求項3】
上記供給制御手段は、それぞれの上記第3時点での上記重量測定値と上記対応する標準重量値とを比較する比較手段と、該比較手段による比較結果に基づいて上記供給制御信号を生成する供給制御信号生成手段と、を含む、
請求項2に記載の定量供給装置。
【請求項4】
上記被計量物の供給開始時点から上記第1時点までの第1時間は該第1時点から上記第2時点までの第2時間よりも長い、
請求項1ないし3のいずれかに記載の定量供給装置。
【請求項1】
予め定められた目標重量値分の被計量物を供給する定量供給装置において、
供給制御信号に従って上記被計量物の供給を行う供給手段と、
上記供給制御信号を生成する供給制御手段と、
上記供給手段による上記被計量物の供給開始時点からの経過時間を測定する経過時間測定手段と、
上記供給手段による供給済みの上記被計量物の重量を測定する重量測定手段と、
を具備し、
上記目標重量値よりも小さい供給停止重量値と、該供給停止重量値よりも小さい目標切換重量値と、上記重量測定手段による重量測定値が該目標切換重量値と一致する時点での上記経過時間の基準である基準切換時間と、が予め定められており、
上記供給制御手段は、上記供給手段による上記被計量物の単位時間当たりの供給量が漸減する漸減段階と該漸減段階の後に続く最終の段階であって該供給量が該漸減段階の終点におけるのと略等価な一定値である小供給段階とを含む複数の段階に分けて該供給手段による該被計量物の供給が行われ、かつ、該漸減段階において上記経過時間が上記基準切換時間と一致した第1時点で該漸減段階から該小供給段階に切り換わると共に該第1時点での上記重量測定値が上記目標切換重量値と一致し、さらに、該小供給段階において該重量測定値が上記供給停止重量値と一致した第2時点で該供給手段による該被計量物の供給が停止されるように、上記供給制御信号を生成すること、
を特徴とする、定量供給装置。
【請求項2】
上記切換重量値よりも小さい複数の標準重量値と、上記重量測定値が該複数の標準重量値のそれぞれと一致する時点での上記経過時間の基準である複数の基準時間と、が予め定められており、
上記供給制御手段は、上記漸減段階において上記経過時間が上記複数の基準時間のそれぞれと一致した第3時点での上記重量測定値が対応する上記標準重量値と一致するように上記供給制御信号を生成する、
請求項1に記載の定量供給装置。
【請求項3】
上記供給制御手段は、それぞれの上記第3時点での上記重量測定値と上記対応する標準重量値とを比較する比較手段と、該比較手段による比較結果に基づいて上記供給制御信号を生成する供給制御信号生成手段と、を含む、
請求項2に記載の定量供給装置。
【請求項4】
上記被計量物の供給開始時点から上記第1時点までの第1時間は該第1時点から上記第2時点までの第2時間よりも長い、
請求項1ないし3のいずれかに記載の定量供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−230912(P2011−230912A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105028(P2010−105028)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
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