説明

定量吐出装置

【課題】 液体材料の吐出量の精度向上が図られた定量吐出装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る定量吐出装置10においては、一対の開閉弁40、50が、キャビティ41、51の流路部41b、51bおよび延長部41c、51cは同一の断面積となっており、また、弁体42、52の支持シャフト42b、52bおよび延長シャフト42c、52cも同一の断面積となっている。そのため、吐出準備段階において、開閉弁40、50の開閉のためにキャビティ41、51内を弁体42、52が進退したときであっても、開閉弁40、50の内部容積は変動せず、開閉弁40、50の内部の液体材料は移動しない。したがって、吐出段階において、押し出しピン62が、連結管25の液体材料を押し出す際に、押し出しピン62の体積移動分だけ、定量の液体材料が高い精度で吐出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量の液体材料を吐出する定量吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体材料を定量吐出するための定量吐出装置として、たとえば下記特許文献1に開示されているような定量吐出装置が知られている。特許文献1の図2に示された定量吐出装置は、シリンジに貯留した液体材料に加圧空気を供給することにより、シリンジの先端に設けられたノズルから定量の液体材料が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−79472号公報
【特許文献2】特開2005−349363号公報
【特許文献3】特開2006−35149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の定量吐出装置には、次のような課題が存在している。すなわち、加圧空気による吐出量の調整では、1mg程度の微量吐出を高い精度(たとえば±0.01mgの誤差)で実現することは非常に困難であった。
【0005】
そこで、このような微量吐出を実現するために、液体材料を一対の弁で挟まれた流路に充填し、そこに充填された液体材料をピンによって押し出す方法が考えられる。このとき、ピンの移動量を高精度に制御することにより、ピンによって押し出される液体材料の量が高精度に制御されるものと考えられる。
【0006】
ただし、このような技術においては、利用する弁の内部容積が変動した場合には、液体材料の高精度のピン押し出しが困難になってしまうため、内部容積の変動が抑えられた弁が必要となってくる。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、液体材料の吐出量の精度向上が図られた定量吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る定量吐出装置は、吐出ノズルから定量の液体材料を吐出する定量吐出装置であって、液体材料を貯留するシリンジから吐出ノズルまで液体材料を流す流路と、流路に各々配置された一対の開閉弁と、一対の開閉弁の間の流路に配置され、該流路に対して進退する押し出しピンとを備え、開閉弁が、筒状のキャビティと、キャビティ内をその延在方向に沿って進退するシャフト状の弁体とを有し、キャビティが、液体材料の流路の一部を構成し、液体材料が内部を流れる流路部と、液体材料の流路から外れるように流路部に対して直線状に配置されて、流路部と同一の断面積を有する延長部と、流路部と延長部との間に介在し、流路部および延長部の断面積よりも大きな断面積を有する拡大部とを含み、弁体が、キャビティの流路部に収容される支持シャフトと、キャビティの延長部に収容されるとともに、支持シャフトと同一の断面積を有する延長シャフトと、キャビティの拡大部に収容されるとともに、弁体が進退したときにキャビティの流路部または延長部を閉塞する拡径部とを含む。
【0009】
この定量吐出装置においては、シリンジから吐出ノズルまで液体材料を流す流路に、一対の開閉弁が配置されている。そして、この開閉弁においては、キャビティの流路部および延長部は同一の断面積となっており、また、弁体の支持シャフトおよび延長シャフトも同一の断面積となっている。そのため、開閉弁の開閉のためにキャビティ内を弁体が進退したときであっても、開閉弁の内部容積は変動せず、開閉弁の内部の液体材料は移動しない。したがって、一対の開閉弁の間の流路に配置された押し出しピンが、該流路の液体材料を押し出す際に、高い精度で液体材料の押し出し量を調整することができ、その結果、定量吐出装置から高い精度で液体材料の吐出量を調整することができる。
【0010】
また、一対の開閉弁の間の流路から上側に分岐するとともに、押し出しピンを収容する分岐流路をさらに備え、分岐流路は、その流路側の内部に、押し出しピンの外周面と分岐流路の内周面との間隙からの流体材料の流入を防ぐシール部を有し、押し出しピンは、その外周面の一部に脱泡用の凹部を有する態様であってもよい。この場合、泡が混入した液体材料を、流路から上側に分岐する分岐流路に導いて、押し出しピンの凹部を介して脱泡することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体材料の吐出量の精度向上が図られた定量吐出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る定量吐出装置の概略構成図である。
【図2】図2は、図1の定量吐出装置を用いて液体材料を吐出する手順を示した図である。
【図3】図3は、図1の定量吐出装置を用いて液体材料の脱泡をおこなう手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る定量吐出装置10は、シリンジ20に貯留している液体材料を、1mg程度の微量の吐出量で、吐出ノズル30から吐出する定量吐出装置である。シリンジ20は、吐出されるべき液体材料を貯留する容器であり、所定の圧力で液体材料を流路へ圧送する。シリンジ20から吐出ノズル30までの流路には、一対の開閉弁40、50が各々配置されており、これらの開閉弁40、50の間は連結管25で連通されている。以下、説明の便宜上、一対の開閉弁40、50のうち、流路の上流側にあるほうを第1の開閉弁40と称し、流路の下流側にあるほうを第2の開閉弁50と称する。
【0015】
第1の開閉弁40は、筒状のキャビティ41と、キャビティ41内をその延在方向に沿って進退するシャフト状の弁体42とで構成されている。
【0016】
キャビティ41は、シリンジ20内の液体材料がシリンジ配管21を介して流入する拡大部41aと、拡大部41aを挟むようにして直線状に配置された流路部41bおよび延長部41cとで構成されている。
【0017】
拡大部41aは、六角形断面を有する部分であり、流路部41b側の端部および延長部41c側の端部の内径に比べて、中央部分の内径が大きくなっている。
【0018】
流路部41bおよび延長部41cは、同一の断面形状および同一の断面積を有する円筒状の部分であり、後述する弁体42の軸線の方向に沿って延在している。ここで、同一の断面形状および同一の断面積とは、弁体42の軸線に直交する断面を対象とする。流路部41bは、連結管25と接続されており、液体材料の流路の一部を構成しているため、その内部を液体材料が流れ得る。一方、延長部41cは、液体材料の流路からは外れており、その内部を液体材料は流れ得ない。
【0019】
流路部41bおよび延長部41cは、それぞれの内部に設けられたシール部Sにより、その内周面と弁体42の外周面との間隙が密閉されている。流路部41bのシール部Sは、連結管25が取り付けられた位置に関して、拡大部41a側とは反対の側に設けられている。そのため、流路部41bのシール部Sは、外部への液体材料の流出は防止するものの、拡大部41aから連結管25への液体材料の流通は妨げない。延長部41cのシール部Sは、拡大部41aに近接する位置に設けられており、拡大部41a内の液体材料は延長部41cにほとんど流入しない。
【0020】
弁体42は、キャビティ41の拡大部41aに収容される拡径部42aと、拡径部42aを挟むようにして直線状に配置された支持シャフト42bおよび延長シャフト42cとで構成されている。
【0021】
拡径部42aは、球状の部分であり、その径は、支持シャフト42bおよび延長シャフト42cの径より大きく、また、これらを収容する流路部41bおよび延長部41cの径より大きくなっている。
【0022】
支持シャフト42bおよび延長シャフト42cは、同一の断面形状および同一の断面積を有する丸棒状の部分であり、同一直線(弁体42の軸線)に沿って延在するように配置されており、相対する側から拡径部42aを挟むように拡径部42aに取り付けられている。ここで、同一の断面形状および同一の断面積とは、弁体42の軸線に直交する断面を対象とする。
【0023】
支持シャフト42bは、流路部41bに収容されており、その一端部が拡径部42aに接続され、他端部が駆動手段43に接続されている。延長シャフト42cは、延長部41cに収容されており、その一端部が拡径部42aに接続され、他端部は自由端となっている。なお、支持シャフト42bが接続された駆動手段43は、弁体42の軸線方向(延在方向)に駆動力を発生させて弁体42をその延在方向に沿って進退させるものであり、たとえば空気圧シリンダや油圧シリンダなどを採用することができる。
【0024】
第1の開閉弁40は、以上のような構成であるため、駆動手段43を作動させることで、弁の開閉動作をおこなうことができる。
【0025】
すなわち、第1の開閉弁40を開けるときには、駆動手段43から離れる側に弁体42を進行させて、拡大部41a内の拡径部42aを、拡大部41aと流路部41bとの連通口から離す。それにより、拡大部41aから流路部41bへの流路が開通し、シリンジ20から拡大部41aに流入した液体材料が流路部41bに流入し、さらに流路部41bに設けられた連結管25から液体材料が流出する。
【0026】
一方、第1の開閉弁40を閉めるときには、駆動手段43に近づく側に弁体42を退行させて、拡大部41a内の拡径部42aにより、拡大部41aと流路部41bとの連通口を塞ぐ。それにより、拡大部41aから流路部41bへの流路が閉鎖され、シリンジ20から拡大部41aに流入した液体材料が流路部41bに流入せず、拡大部41a内に液体材料が留まる。
【0027】
第1の開閉弁40においては、上述したとおり、流路部41bと延長部41cとが同一断面積であり、かつ、支持シャフト42bと延長シャフト42cとが同一断面積であるため、上述した弁の開閉動作の際に容積変化が生じない。そのため、第1の開閉弁40を開けるときも閉めるときも、第1の開閉弁40の内部の液体材料は移動せず、したがって、液体材料が連結管25へ流出せず、また、連結管25から流入もしない。そのため、第1の開閉弁40の開閉動作の際に、連結管25の内部の液体材料は実質的に移動しない。
【0028】
なお、拡大部41aと流路部41bとの連通口の周囲に弁座部44を設けて、この弁座部44により、連通口の剛性を高めたり、連通口と拡径部42aとの間の密閉性を高めたりしてもよい。
【0029】
第2の開閉弁50も、上述した第1の開閉弁40と同様の構成となっている。すなわち、第2の開閉弁50は、第1の開閉弁40のキャビティ41と同様のキャビティ51と、第1の開閉弁40の弁体42と同様の弁体52とで構成されている。
【0030】
そのため、第1の開閉弁40同様、第2の開閉弁50も、駆動手段53を作動させることで、弁の開閉動作をおこなうことができる。
【0031】
すなわち、第2の開閉弁50を開けるときには、駆動手段53から離れる側に弁体52を進行させて、拡大部51a内の拡径部52aを、拡大部51aと流路部51bとの連通口から離す。それにより、流路部51bから拡大部51aへの流路が開通し、連結管25が取り付けられた流路部51bに流入した液体材料が拡大部51aに流入し、さらに拡大部51aに設けられた吐出ノズル30から液体材料が吐出される。
【0032】
一方、第2の開閉弁50を閉めるときには、駆動手段53に近づく側に弁体52を退行させて、拡大部51a内の拡径部52aにより、拡大部51aと流路部51bとの連通口を塞ぐ。それにより、流路部51bから拡大部51aへの流路が閉鎖され、連結管25から流路部51bに流入した液体材料が拡大部51aに流入せず、流路部51b内に液体材料が留まる。
【0033】
第2の開閉弁50においても、弁体52の軸線に直交する断面について、流路部51bと延長部51cとが同一断面積であり、かつ、支持シャフト52bと延長シャフト52cとが同一断面積であるため、上述した弁の開閉動作の際に容積変化が生じない。そのため、第1の開閉弁40の開閉動作同様、第2の開閉弁50の開閉動作の際にも、第2の開閉弁50の内部の液体材料は移動せず、したがって、連結管25や吐出ノズル30の内部の液体材料も実質的に移動しない。
【0034】
第1の開閉弁40と第2の開閉弁50との間の流路、すなわち、連結管25の途中には、液体押出部60が設けられている。
【0035】
液体押出部60は、連結管25に対して直交するように上側に分岐する分岐管61と、分岐管61に収容される押し出しピン62と、押し出しピン62を駆動する駆動手段63とで構成されている。
【0036】
分岐管61は、その一端側が連結管25と連通されており、上述した液体材料の流路から分岐する分岐流路を形成する。分岐管の両端それぞれには、その内部に設けられたシール部Sにより、その内周面と押し出しピン62の外周面との間隙が密閉されている。そのため、連結管25側の端部のシール部Sにより連結管25内の液体材料は分岐管61にほとんど流入せず、また、反対側のシール部により分岐管61内の液体材料の外部への流出が防止される。
【0037】
また、分岐管61には、両端のシール部Sで挟まれた位置に、脱泡管70が接続されている。この脱泡管70は、その一端部が分岐管61に連通されており、他端部は上方に向かって延びている。
【0038】
押し出しピン62は、分岐管61の延在方向に沿って延在している。そして、押し出しピン62の一端部は駆動手段63に接続されており、他端部は自由端となっている。押し出しピン62が接続された駆動手段63は、押し出しピン62の延在方向に駆動力を発生させて押し出しピン62をその延在方向に沿って進退させるものであり、たとえばサーボモータやステッピングモータで駆動されるボールねじと直動ガイドとを組み合わせたリニアアクチュエータなどを採用することができる。また、押し出しピン62には、その外周面の一部に脱泡用の凹部62aが形成されている。
【0039】
液体押出部60は、以上のような構成であるため、駆動手段63を作動させることで、連結管25内の液体材料を押し出すことができる。すなわち、連結管25内に液体材料を導入する際に、予め押し出しピン62を駆動手段63側に退行させておき、連結管25へ液体材料を導入した後、駆動手段63から離れる側に押し出しピン62を進行させることで、連結管25内の液体材料が押し出される。
【0040】
加えて、液体押出部60においては、押し出しピン62の凹部62aにより、分岐管61に導かれた液体材料の脱泡をおこなうことができる。すなわち、押し出しピン62の凹部62aの位置を連結管25側の端部のシール部Sの位置に合わせることにより、凹部62aを介して分岐管61と脱泡管70とを局所的に開通させる。それにより、泡が混入した液体材料を選択的に分岐管61から脱泡管70へ流して、液体材料の脱泡をおこなう。
【0041】
次に、図2を参照しつつ、上述した定量吐出装置10を用いて液体材料を吐出する手順について説明する。
【0042】
図2(a)は、定量吐出装置10の液体材料の材料充填段階を示している。この段階では、第1の開閉弁40は弁体42が進行位置にあって弁が開いており、第2の開閉弁50は弁体52が退行位置にあって弁が閉められている。そのため、シリンジ20に貯留された液体材料は、第1の開閉弁40を通って、連結管25まで流入し、第1の開閉弁40および連結管25の内部が液体材料で充填される。材料充填段階では、液体押出部60の押し出しピン62は退行位置にある。
【0043】
なお、この段階で、シリンジ20から吐出ノズル30までの流路には、全域に亘って液体材料が充填される。上述した第1の開閉弁40および連結管25以外の流路(すなわち、第2の開閉弁50および吐出ノズル30)への充填は、材料充填段階より前の試し打ちの際におこなわれる。
【0044】
図2(b)は、定量吐出装置10の液体材料の吐出準備段階を示している。材料充填段階に続く吐出準備段階では、第1の開閉弁40の弁体42が退行して第1の開閉弁40が閉められるとともに、第2の開閉弁50の弁体52が進行して第2の開閉弁50が開けられる。上述したとおり、このような第1の開閉弁40および第2の開閉弁50の開閉動作の際、連結管25および吐出ノズル30の内部の液体材料は実質的に移動しない。吐出準備段階においても、液体押出部60の押し出しピン62はまだ退行位置にある。
【0045】
図2(c)は、定量吐出装置10の液体材料の吐出段階を示している。吐出準備段階に続く吐出段階では、液体押出部60の押し出しピン62が進行して、連結管25の内部の液体材料を押圧する。それにより、連結管25の内部の液体材料は、開いている第2の開閉弁50のほうに流れ、第2の開閉弁50を介して、吐出ノズル30から吐出される。すなわち、押し出しピン62の体積移動分だけ(すなわち、押し出しピン62が押しのけた液体材料の体積分だけ)液体材料が吐出ノズル30から吐出される。したがって、液体押出部60の駆動手段63により、押し出しピン62の進退移動の量を一定に保つことで、定量の液体材料が繰り返し吐出される。
【0046】
以上で説明したとおり、定量吐出装置10の開閉弁40、50は、キャビティ41、51の流路部41b、51bおよび延長部41c、51cは同一の断面積となっており、また、弁体42、52の支持シャフト42b、52bおよび延長シャフト42c、52cも同一の断面積となっている。そのため、図2(b)に示した吐出準備段階において、開閉弁40、50の開閉のためにキャビティ41、51内を弁体42、52が進退したときであっても、開閉弁40、50の内部容積は変動せず、開閉弁40、50の内部の液体材料は移動しない。
【0047】
したがって、図2(c)に示した吐出段階において、一対の開閉弁40、50の間の流路である連結管25に交差するように配置された押し出しピン62が、連結管25の液体材料を押し出す際に、押し出しピン62の体積移動分だけ、定量の液体材料が高い精度で(たとえば1mg程度の吐出量を±0.01mgの誤差で)吐出することができる。すなわち、定量吐出装置10においては、高い精度で液体材料の押し出し量を調整することができ、その結果、高い精度で液体材料の吐出量を調整することができる。
【0048】
なお、上述した材料充填段階では、シリンジ20から吐出ノズル30までの流路には、全域に亘って液体材料が充填される必要があり、また、液体材料中には泡が混入していないことが好ましい。
【0049】
そのため、材料充填段階に先立ち、以下に示すような脱泡処理をすることが好ましい。図3は、液体材料の脱泡をおこなう手順を示した図である。
【0050】
脱泡処理の際には、まず、図3(a)に示すように、第1の開閉弁40は弁体42を進行させて弁を開いておき、第2の開閉弁50は弁体52を退行させて弁を閉めておく。そして、シリンジ20から連結管25の内部にまで液体材料を導入する。
【0051】
続いて、図3(b)に示すように、第1の開閉弁40を開いたまま、かつ、第2の開閉弁50を閉めたまま、液体押出部60の駆動手段63により押し出しピン62を進行させる。このとき、押し出しピン62の凹部62aの位置を、連結管25側の端部のシール部Sの位置に合わせる。すると、分岐管61と脱泡管70とが、凹部62aを介して局所的に開通される。それにより、泡が混入した液体材料が選択的に分岐管61から脱泡管70へ流れ、液体材料の脱泡がおこなわれる。
【0052】
なお、液体材料に比べて泡のほうが比重が低く、液体材料の上側に泡が存在しやすいため、液体押出部60の分岐管61を連結管25から上側に分岐することで、泡が混入した液体材料が分岐管61に効果的に導入される。
【符号の説明】
【0053】
10…定量吐出装置、20…シリンジ、30…吐出ノズル、40、50…開閉弁、41、51…キャビティ、41a、51a…拡大部、41b、51b…流路部、41c、51c…延長部、42、52…弁体、42a、52a…拡径部、42b、52b…支持シャフト、42c、52c…延長シャフト、60…液体押出部、62…押し出しピン、S…シール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出ノズルから定量の液体材料を吐出する定量吐出装置であって、
前記液体材料を貯留するシリンジから前記吐出ノズルまで前記液体材料を流す流路と、
前記流路に各々配置された一対の開閉弁と、
前記一対の開閉弁の間の前記流路に配置され、該流路に対して進退する押し出しピンと
を備え、
前記開閉弁が、筒状のキャビティと、前記キャビティ内をその延在方向に沿って進退するシャフト状の弁体とを有し、
前記キャビティが、
前記液体材料の流路の一部を構成し、前記液体材料が内部を流れる流路部と、
前記液体材料の流路から外れるように前記流路部に対して直線状に配置されて、前記流路部と同一の断面積を有する延長部と、
前記流路部と前記延長部との間に介在し、前記流路部および前記延長部の断面積よりも大きな断面積を有する拡大部と
を含み、
前記弁体が、
前記キャビティの前記流路部に収容される支持シャフトと、
前記キャビティの前記延長部に収容されるとともに、前記支持シャフトと同一の断面積を有する延長シャフトと、
前記キャビティの前記拡大部に収容されるとともに、前記弁体が進退したときに前記キャビティの前記流路部または前記延長部を閉塞する拡径部とを含む、定量吐出装置。
【請求項2】
前記一対の開閉弁の間の前記流路から上側に分岐するとともに、前記押し出しピンを収容する分岐流路をさらに備え、
前記分岐流路は、その流路側の内部に、前記押し出しピンの外周面と前記分岐流路の内周面との間隙からの前記流体材料の流入を防ぐシール部を有し、
前記押し出しピンは、その外周面の一部に脱泡用の凹部を有する、請求項1記載の定量吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−96130(P2012−96130A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243380(P2010−243380)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】