説明

実装機

【課題】吊り下げ型のヘッドユニットの実装位置精度を向上させることが可能な実装機を提供する。
【解決手段】この実装機100は、電子部品を基板に実装する第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)と、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の上方に配置され、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を支持する支持フレーム1cと、支持フレーム1cの下面1iに設けられ、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の移動をガイドする直動軸受43と、支持フレーム1cの上面1hよりも上方に突出するように設けられ、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を直動軸受43に沿って移動させるYアクチュエータ45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実装機に関し、特に、支持部によりヘッドユニットが上方から支持される実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持部によりヘッドユニットが上方から支持される実装機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1(特に、図21参照)には、装置天井(支持部)と、装置天井の下面に設けられたスペーサと、スペーサの下面側に配置される直動軸受およびアクチュエータと、電子部品の実装を行うヘッドユニットとを備えた実装機が開示されている。この実装機では、装置天井からスペーサ、直動軸受および支持部材を介してヘッドユニットが移動可能に吊り下げられた吊り下げ型のヘッドユニットを備えている。また、スペーサは、両側部が下方に突出する逆U字状の断面形状を有する。下方に突出するスペーサの両側部の下面に、直動軸受の一対のレールがそれぞれ固定されている。そして、一対のレールに移動可能に係合する可動部に、支持部材を介してヘッドユニットが取り付けられている。また、逆U字状のスペーサの中央部の空間には、アクチュエータが配置され、支持部材およびヘッドユニットを直動軸受(レール)の延びる方向に沿って移動させることが可能なように構成されている。このように、上記特許文献1では、両側部が下方に突出する逆U字状のスペーサによって装置天井と支持部材(ヘッドユニット)との間に空間を作り、この空間内にアクチュエータを収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−174296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような吊り下げ型のヘッドユニットを備えた実装機では、アクチュエータによりヘッドユニットを移動させた場合に、慣性によってヘッドユニットが振り子状に微少振動する。しかしながら、上記特許文献1では、装置天井とヘッドユニットとの間にスペーサが介在されていることにより装置天井(支持部)からヘッドユニットまでの高さ方向の間隔が大きくなる。このため、振動発生時のヘッドユニットの振幅が大きくなるので、電子部品の実装位置精度を向上させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、吊り下げ型のヘッドユニットの実装位置精度を向上させることが可能な実装機を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による実装機は、電子部品を基板に実装するヘッドユニットと、ヘッドユニットの上方に配置され、ヘッドユニットを支持する支持部と、支持部の下面に設けられ、ヘッドユニットの移動をガイドするガイド部と、支持部の上面よりも上方に突出するように設けられ、ヘッドユニットをガイド部に沿って移動させるアクチュエータとを備える。
【0008】
この一の局面による実装機では、上記のように、ヘッドユニットの上方に配置され、ヘッドユニットを支持する支持部を設けるとともに、ヘッドユニットをガイド部に沿って移動させるアクチュエータを支持部の上面よりも上方に突出するように設けることによって、支持部がヘッドユニットを上方から支持する吊り下げ型の構成において、アクチュエータを支持部の上面よりも上方に突出させることができるので、支持部とヘッドユニットとの間にアクチュエータ全体を収納するための空間を設ける必要がない。これにより、支持部からヘッドユニットまでの高さ方向の間隔を小さくすることができるので、振動発生時のヘッドユニットの振幅を小さくすることができる。この結果、実装位置精度を向上させることができる。
【0009】
上記一の局面による実装機において、好ましくは、支持部は、支持部の上面から下面まで貫通する開口部を含み、アクチュエータは、少なくとも一部が支持部の上面側に突出するように設けられ、開口部を介して支持部の下面側のヘッドユニットと接続されている。このように構成すれば、ヘッドユニットを移動させるためのアクチュエータを支持部の上面側に露出させた場合にも、支持部の開口部を介してアクチュエータとヘッドユニットとの接続を容易に行うことができる。
【0010】
この場合において、好ましくは、アクチュエータは、支持部の上面上または上面よりも上方の位置に設けられるとともに、開口部内に配置された接続部材を介して支持部の下面側のヘッドユニットと接続されている。このように構成すれば、支持部の下面側にアクチュエータを収納するためのスペースを設ける必要が全くないので、ヘッドユニットを支持部の下面近傍の位置で支持することができる。この結果、支持部からヘッドユニットまでの高さ方向の間隔をより一層小さくすることができるので、実装位置精度をさらに向上させることができる。
【0011】
上記一の局面による実装機において、好ましくは、支持部は、下面が平坦面状に形成された平板形状を有し、ガイド部は、平坦面状の下面に取り付けられている。ここで、ヘッドユニットの振動の影響を除けば、ガイド部の取付位置精度がヘッドユニットの位置精度に最も影響を与える。ガイド部の取付位置精度を向上させるには、ガイド部の取り付け面を高精度に仕上げる必要がある。本発明では、支持部を加工が容易な平板形状とすることにより、容易に、ガイド部の取り付け面(支持部の下面)を高精度に仕上げることができる。また、従来のように直動軸受をスペーサを介して装置天井に取り付ける場合には、スペーサと装置天井の下面(スペーサの取り付け面)との両方に高精度な加工が必要である一方、上記本発明の構成によれば平板形状の支持部の下面だけを高精度に仕上げればよいので、この点でも、ガイド部の取付位置精度を容易に向上させることができる。この結果、ヘッドユニットの実装位置精度を容易に向上させることができる。
【0012】
上記一の局面による実装機において、好ましくは、ヘッドユニットは、ガイド部の下面に取り付けられており、ガイド部の下面と支持部の下面との間の上下方向の距離は、アクチュエータの上下方向の長さよりも小さい。このように構成すれば、アクチュエータ全体を支持部とヘッドユニットとの間の高さ位置に配置する構成と比較して、確実に支持部からヘッドユニットまでの高さ方向の間隔を小さくすることができるので、ヘッドユニットの実装位置精度を容易に向上させることができる。
【0013】
上記一の局面による実装機において、好ましくは、アクチュエータは、互いに対向するように設けられた永久磁石からなる一対の固定子と、一対の固定子間に配置されたコイルを有する可動子とを含むリニアモータからなる。このように構成すれば、発熱源であるコイルが可動子側になるので、ヘッドユニットの移動時の可動子の移動により可動子が空気と接触することによって、可動子のコイルを冷却することができる。この結果、リニアモータからなるアクチュエータの冷却効果を得ることができる。
【0014】
この場合において、好ましくは、アクチュエータは、可動子の上面上に設けられた放熱部をさらに含む。このように構成すれば、ヘッドユニットの移動時の可動子の移動に伴って放熱部も移動し、コイルで発生する熱を放熱部からも放熱することができる。この結果、可動子上の放熱部によってアクチュエータ(コイル)を効果的に冷却することができる。
【0015】
上記アクチュエータが互いに対向する一対の固定子を含むリニアモータからなる構成において、好ましくは、支持部の上面から上方に延びるように設けられるとともに、互いに対向する側面にアクチュエータの一対の固定子がそれぞれ配置された一対の取付壁部をさらに備える。このように構成すれば、支持部の上面に設けられた取付壁部にアクチュエータの固定子を取り付けることができるので、支持部に対するアクチュエータの取り付けを容易に行うことができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、可動子の上方を跨ぐように一対の取付壁部を連結して固定する連結部材をさらに備える。このように構成すれば、連結部材によって可動子の移動を妨げることなく一対の取付壁部(固定子)を強固に固定することができる。ここで、一対の取付壁部に設けられる一対の固定子の間には永久磁石による強力な磁気吸引力が作用するため、この連結部材によって、磁気吸引力による取付壁部の倒れや支持部の歪みが発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による実装機の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態による実装機の筐体を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による実装機の基台上の各部の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による実装機の第1ヘッドユニットを正面側から示す部分断面図である。
【図5】支持フレームの上面を説明するための図1の500−500線に沿った水平断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による実装機のYアクチュエータを説明するための斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による実装機の主な構成要素を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態の第1変形例による実装機のYアクチュエータを示す正面図である。
【図9】本発明の一実施形態の第2変形例による実装機のYアクチュエータを示す正面図である。
【図10】本発明の一実施形態の第3変形例による実装機のYアクチュエータを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
以下、図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態による実装機100の構造について説明する。なお、方向関係を明確にするために図中には適宜XYZ直角座標軸を示している。X軸方向は水平面と平行な方向(実装機100の幅方向)であり、Y軸方向は水平面上でX軸方向と直交する方向(実装機100の奥行き方向)であり、Z軸方向はX軸、Y軸にそれぞれ直交する方向(上下方向)である。
【0020】
実装機100は、ダイシングされたウエハWからベアチップを取り出してプリント基板P(図3参照)上に実装(装着)するとともに、部品供給装置160により供給されるパッケージ部品等をプリント基板P上に実装することが可能ないわゆる複合型の実装機である。この実装機100は、図2に示すように、基台1aと、基台1a上のX方向両端の位置に配置された一対の側部フレーム1bと、側部フレーム1b上に設けられ水平方向(XY方向)に延びる支持フレーム(天板)1cと、支持フレーム1c上に配置される上部フレーム1dとを含む筐体を備えている。なお、支持フレーム1cは、本発明の「支持部」の一例である。また、図2では、実装機100の筐体および後述するコンベア2のみを図示し、以下に説明する各種機構を省略して示している。
【0021】
この実装機100は、図1および図3に示すように、所定の実装作業位置にプリント基板P(図3参照)を搬入および搬出するためのコンベア2と、チップ部品を供給するためのチップ部品供給部3と、プリント基板P上に部品(ベアチップまたはチップ部品)を実装するための実装部4(図1参照)とを備えている。また、実装機100は、ウエハ収納部170(図3参照)から引き出されたウエハWを支持するウエハ保持テーブル5と、ウエハ保持テーブル5に支持されたウエハWからベアチップを取り出して実装部4に受け渡す取出装置6と、取出装置6によるベアチップの取出時にそのベアチップを下方から突き上げる突上げ装置7と、取出装置6によるベアチップの取出動作の前にそのベアチップを撮像する部品位置認識用の移動可能なカメラ8とを含む。
【0022】
コンベア2は、プリント基板Pを搬送するX方向に延びるコンベア本体と、このコンベア本体上でプリント基板Pを持ち上げて位置決めする図示しない位置決め機構とを含む。図2に示すように、コンベア2は、基台1a上に設置され、X方向両端の一対の側部フレーム1bに設けられた開口部1eを介して筐体を貫通するように設けられている。コンベア2は、図3の右側(上流側)から左側(下流側)に向かってプリント基板Pをほぼ水平姿勢でX軸方向に搬送し、所定の実装作業位置にプリント基板Pを位置決め固定する。また、コンベア2による搬送経路上であってX軸方向に所定間隔だけ離間する位置(図3のプリント基板Pの位置)がそれぞれ実装作業位置とされる。なお、以下の説明では、実装作業位置のうちプリント基板Pの搬送方向上流側の位置を第1作業位置S1と呼び、下流側の位置を第2作業位置S2と呼ぶ。
【0023】
チップ部品供給部3は、基台1a上において実装機100の手前側の両端に設けられている。チップ部品供給部3は、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等のチップ部品を供給するために設けられている。チップ部品供給部3には、例えばテープフィーダ161等の部品供給装置160がコンベア2に沿って並んで配置されている。各テープフィーダ161は、テープフィーダ先端の部品供給位置において実装機100の実装部4によりチップ部品をピックアップさせるとともに、このピックアップに伴い次のチップ部品を部品供給位置に繰り出すように構成されている。
【0024】
図1に示すように、実装部4は、ベアチップまたはチップ部品をプリント基板P上に実装するものであり、コンベア2の上方位置においてそれぞれ水平方向(XY方向)に移動することが可能な2つのヘッドユニット(第1ヘッドユニット41、第2ヘッドユニット42という)と、これらを個別に駆動する駆動機構部とを含む。第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42は、それぞれ支持フレーム1cにより上方から吊り下げ支持された吊り下げ型のヘッドユニットである。したがって、第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42は、基台1a上に設置された各部(コンベア2と、チップ部品供給部3と、ウエハ保持テーブル5、取出装置6、突上げ装置7、カメラ8など)の上方の位置で、それぞれ水平方向(XY方向)に移動することが可能である。なお、第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42は、本発明の「ヘッドユニット」の一例である。
【0025】
なお、図4〜図6に示すように、本実施形態では、支持フレーム1cは、それぞれ平坦面状に形成された上面1hおよび下面1iを含む平板形状を有している。図2に示すように、この支持フレーム1cが、側部フレーム1bと上部フレーム1dとにより上下に挟まれるようにして強固に支持および固定されている。上部フレーム1dは中空の屋根状部材であり、後述するYアクチュエータ45の設置空間や図示しない各種配線用の空間が内部に設けられている。また、図4および図5に示すように、支持フレーム1cには、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の各Yアクチュエータ45と第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)とをそれぞれ接続するための2つの開口部1fが形成されている。この開口部1fは、Y方向に直線状に延びるように形成され、支持フレーム1cの上面1hから下面1iまで貫通するように(図4参照)設けられている。また、開口部1fは、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)のY方向の可動範囲に対応して、支持フレーム1cの手前側から後端部近傍にわたって設けられている。さらに、図5に示すように、支持フレーム1cの中央には配線用開口部1gが形成されており、この配線用開口部1gを介して第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)への各種配線ケーブルやエアチューブなどの配線処理を行うことが可能である。なお、Yアクチュエータ45は、本発明の「アクチュエータ」の一例である。
【0026】
図3に示すように、第1ヘッドユニット41は、平面的に見て、主に第1作業位置S1を含む上流側の領域を可動領域として基台1a上方をこの領域内でのみ移動可能とされている。他方、第2ヘッドユニット42は、平面的に見て、主に第2作業位置S2を含む下流側の領域を可動領域として基台1a上方をこの領域内でのみ移動可能となっている。図1および図4に示すように、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、X軸方向に並ぶ2つの部品実装用ヘッド41aおよび1つのカメラ41b(2つの部品実装用ヘッド42aおよび1つのカメラ42b)を備えている。
【0027】
第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、テープフィーダ161によって供給されるチップ部品をこれら部品実装用ヘッド41a(42a)により吸着してプリント基板P上に実装するとともに、取出装置6によりウエハWから取り出されるベアチップを部品実装用ヘッド41a(42a)により吸着してプリント基板P上に実装する。これにより、トランジスタ、コンデンサ等のチップ部品とベアチップとの双方がプリント基板P上に実装される。また、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)は、プリント基板Pへの部品の実装に先立ってカメラ41b(42b)によりプリント基板Pに付されたフィデューシャルマーク(図示せず)を認識することにより、プリント基板Pの位置ずれが認識され、実装時に位置ずれ補正がされる。
【0028】
第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42の駆動機構部は、それぞれ同一の構成を有する。このため、ここでは第1ヘッドユニット41の駆動機構部について説明し、第2ヘッドユニット42の駆動機構部については説明を省略する。図4に示すように、第1ヘッドユニット41の駆動機構部は、支持フレーム1cの下面1i側に取り付けられた一対のガイドレール43aおよびこれらのガイドレール43aに移動可能に係合する6つのスライダ43b(図5参照)と、これらのスライダ43bの下面に取り付けられた可動テーブル44と、第1ヘッドユニット41をY方向に駆動するYアクチュエータ45と、可動テーブル44の下面に取り付けられ、第1ヘッドユニット41をX方向に駆動するXフレーム46とを含んでいる。第1ヘッドユニット41は、ガイドレール43a、スライダ43b、可動テーブル44およびXフレーム46を介して、支持フレーム1cに吊り下げ支持されている。
【0029】
一対のガイドレール43aは、支持フレーム1cの下面1iにおいて、X方向に間隔を隔てて並ぶように設置されている。各ガイドレール43aは、Y方向に延びる直線状形状を有し、第1ヘッドユニット41を支持するとともに第1ヘッドユニット41のY方向の移動をガイドする機能を有する。これらのガイドレール43aも、開口部1fと同様に、第1ヘッドユニット41のY方向の可動範囲に対応して、支持フレーム1cの手前側から後端部近傍にわたって設けられている。各ガイドレール43aには、それぞれ3個ずつスライダ43bが取り付けられており、このガイドレール43aとスライダ43bとにより直動軸受43が構成されている。各スライダ43bは、ガイドレール43aと係合することにより、ガイドレール43aに沿ってY方向にのみ移動可能に取り付けられている。なお、直動軸受43は、本発明の「ガイド部」の一例である。
【0030】
図4に示すように、可動テーブル44は板状形状を有し、可動テーブル44の上面44aが6つのスライダ43bの下面に取り付けられている。6つのスライダ43bは、この可動テーブル44を介して互いに連結されることにより、ガイドレール43aに沿ってY方向に一体的に移動する。可動テーブル44と、この可動テーブル44から下方のXフレーム46および第1ヘッドユニット41は、これらのスライダ43bおよびガイドレール43aを介して、支持フレーム1cによって支持されている。
【0031】
Yアクチュエータ45は、支持フレーム1cの上面1h上に設置され、支持フレーム1cの上面1hよりも上方に突出するように設けられている。また、Yアクチュエータ45は、接続部材47を介して可動テーブル44と接続されている。Yアクチュエータ45は、永久磁石からなる一対の固定子45aと、コイルを内蔵するとともに一対の固定子45aの間に配置された可動子45bとから構成されたリニアモータである。Yアクチュエータ45は、一対の取付壁部45cにより、支持フレーム1cの上面1h上に設置されている。
【0032】
一対の固定子45aは、それぞれ、ガイドレール43aと平行にY方向に延びるように配置された複数の永久磁石からなる。固定子45aは、Y方向に延びる開口部1fのX方向両側の縁部にそれぞれ設けられた一対の取付壁部45cに固定されている。この取付壁部45cは、図5および図6に示すように、開口部1fの長辺側に沿ってY方向に延びるとともに、支持フレーム1cの上面1hから上方に延びるように設けられた板状部材である。図4に示すように、一対の固定子45aは、それぞれ、一対の取付壁部45cが互いに対向する側の側面に、互いにX方向に対向するように配置されている。
【0033】
可動子45bは、支持フレーム1cの開口部1f上方の位置において、一対の固定子45aの間で各固定子45aから僅かに間隔を隔てて配置されている。この可動子45bは、樹脂製の箱状部にコイルが内蔵された構成を有する。可動子45bの下面には、接続部材47の一端(上端)が取り付けられている。また、接続部材47の他端(下端)は、開口部1fを通過して可動テーブル44の上面44aに固定されている。これにより、支持フレーム1cの上面1h側の可動子45bは、接続部材47により開口部1fを介して支持フレーム1cの下面1i側の第1ヘッドユニット41(可動テーブル44)と接続されている。そして、Yアクチュエータ45は、可動子45bのコイルへの電力供給によって可動子45bを固定子45aに対してY方向に相対的に移動させるように構成されている。これにより、Yアクチュエータ45は、可動子45bに接続された可動テーブル44(第1ヘッドユニット41)をガイドレール43aに沿ったY方向に移動させることが可能である。なお、可動子45bは、接続部材47を介して可動テーブル44に支持されている。
【0034】
また、図6に示すように、可動子45bの上面には、上方に延びるように形成された複数の放熱フィン48aを有する放熱部48が取り付けられている。第1ヘッドユニット41のY方向の移動に伴い可動子45bが移動する際に、可動子45bのコイルへの電力供給によって発生する熱をこの放熱部48によって効果的に放熱することが可能である。なお、図5では、便宜的に放熱部48の図示を省略している。
【0035】
また、図4に示すように、一対の取付壁部45cの上端部には、これらの一対の取付壁部45cを連結して固定するための連結部材45dが取り付けられている。連結部材45dは、逆U字状の断面形状を有し、可動子45b(放熱部48)を跨ぐようにして、一対の取付壁部45cの上端部を下端部で相互に連結している。これにより、開口部1fの両側に配置された一対の取付壁部45cは、下端が支持フレーム1cにそれぞれ固定されるとともに、上端が連結部材45dによって相互に一体的に連結されている。この結果、一対の取付壁部45cが連結部材45dと支持フレーム1cとにより一体的に固定されるので、永久磁石からなる固定子45aの間に働くX方向の磁気吸引力に対して、取付壁部45cが固定子45aを強固に支持することが可能である。なお、図5および図6では、説明のため連結部材45dの図示を省略している。
【0036】
図6に示すように、Xフレーム46は、側方(X方向)から見て三角形状を有し、X方向に延びるように形成されている。Xフレーム46の上面は、可動テーブル44に取り付けられている。一方、Xフレーム46は、手前側の取付面46a側で第1ヘッドユニット41を支持している。Xフレーム46の取付面46aには、X方向に延びる一対のレール46bが上下に配置されるとともに、第1ヘッドユニット41の背面側に設けられた一対のスライダ46cが一対のレール46bにそれぞれ移動可能に係合している。また、一対のレール46bの間には、Xアクチュエータ49が設けられている。Xアクチュエータ49は、一対のレール46bの間に配置された固定子49aと第1ヘッドユニット41の背面側に設けられた可動子49bとを有するリニアモータからなる。これにより、Xフレーム46の略全幅にわたって、第1ヘッドユニット41をX方向に直線移動させることが可能である。なお、第1ヘッドユニット41のXフレーム46は、第1作業位置S1を含む上流側の可動領域に対応したX方向の幅寸法を有する。
【0037】
以上のような構成により、第1ヘッドユニット41は、Yアクチュエータ45によって基台1a上方のY方向略全域にわたってY方向に直線移動可能であるとともに、Xアクチュエータ49によって、Xフレーム46の略全幅にわたってX方向に直線移動可能である。これにより、第1ヘッドユニット41が上流側の可動領域内を水平方向に移動可能に構成されている。また、同様の構成により、第2ヘッドユニット42が下流側の可動領域内を水平方向に移動可能に構成されている。
【0038】
また、図4に示すように、本実施形態では、第1ヘッドユニット41の直動軸受43を構成するスライダ43bの下面(可動テーブル44の上面44a)と支持フレーム1cの下面1iとの間の上下方向の距離Dは、リニアモータからなるYアクチュエータ45の高さ寸法(上下方向の長さ)H1よりも小さい。また、距離Dは、本実施形態では直動軸受43(ガイドレール43aおよびスライダ43b)の高さ寸法(厚み)と実質的に等しい。この結果、Yアクチュエータ45を支持フレーム1cの上面1h上に配置することにより、第1ヘッドユニット41を支持フレーム1cの下面1iから直動軸受43の厚み分(=距離D)だけ離間した支持フレーム1c近傍の位置で支持することが可能となっている。
【0039】
また、図3に示すように、基台1a上であって第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42のそれぞれの可動領域内には、部品認識用の固定カメラ9および10が設置されている。固定カメラ9および10は、第1ヘッドユニット41の部品実装用ヘッド41aおよび第2ヘッドユニット42の部品実装用ヘッド42aにより吸着されている部品を下側から撮像する。これにより、部品実装用ヘッド41aおよび部品実装用ヘッド42aにより吸着されている部品の画像認識が可能である。
【0040】
また、実装機100の手前側の中央部には、ウエハWが収納されるウエハ収納部170を着脱可能に固定することが可能である。ここで、ウエハ収納部170は、図4に示すように、ダイシングされた複数枚のウエハWを収容するものである。ウエハ収納部170に収容されている各ウエハWは、それぞれベアチップがフェイスアップ状態(回路形成面(プリント基板Pに対する実装面)が上向きの状態)となるようにフィルム状のウエハシート上に貼り着けられており、このウエハシートを介してホルダWhにより保持されている。
【0041】
また、ウエハ保持テーブル5は、図示しない出し入れ機構により、ウエハ保持テーブル5がウエハ受取位置(図3に示す位置)に配置された状態で、ウエハW(ホルダWh)をウエハ収納部170からウエハ保持テーブル5上に引き出すとともに、ウエハ保持テーブル5上のウエハWをウエハ収納部170内に収容する(戻す)ことが可能に構成されている。
【0042】
ウエハ保持テーブル5は、中央部に円形状の開口部を有しており、ウエハWを保持するホルダWhの開口部とウエハ保持テーブル5の開口部とが重なる(嵌る)ようにホルダWhを保持可能である。
【0043】
ウエハ保持テーブル5は、部品取出作業位置(図7の実線参照)とウエハ受取位置(図7の二点鎖線参照)との間で、基台1a上をY方向に移動可能に構成されている。具体的には、図3に示すように、ウエハ保持テーブル5は、基台1a上にY軸方向に延びるように設けられた一対の固定レール51に移動可能に支持されている。ウエハ保持テーブル5は、固定レール51と平行に延び、かつ、ウエハ保持テーブル5のナット部分に螺合挿入されるボールねじ軸52と、ボールねじ軸52を回転駆動するための駆動モータ53とによって固定レール51に沿って移動される。図7に示すように、ウエハ保持テーブル5は、コンベア2の下方位置(図1参照)を通って、所定の部品取出作業位置(図7の実線参照)とウエハ収納部170近傍のウエハ受取位置(図7の二点鎖線参照)との間をY方向に移動する。
【0044】
突上げ装置7は、一対の小径の突上げロッド71aおよび71bを備えた突上げヘッド71を有し、部品取出作業位置に配置されたウエハ保持テーブル5上のウエハWのうち、取出し対象となるベアチップをその下側から突き上げることにより、当該ベアチップをウエハシートから剥離させながら持ち上げるものである。突上げ装置7は、図示しない駆動手段により、基台1a上においてX軸方向に移動可能に支持する固定レール72に沿ってX方向に移動可能に構成されている。
【0045】
取出装置6は、それぞれ部品吸着用のノズル6cを有する一対のウエハヘッド6aおよび6bを備え、突上げ装置7により突き上げられたベアチップを吸着して第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42に受け渡すものである。この取出装置6は、所定の駆動機構部により部品取出作業位置の上方位置において水平方向(XY方向)に移動される。
【0046】
具体的には、部品取出作業位置には、X軸方向に所定間隔を隔てて配置されかつY軸方向に互いに平行に延びる一対の高架の固定レール61と、両端をそれぞれ固定レール61上に移動可能に支持されたX軸方向に延びるフレーム部材62と、固定レール61に近接する位置に配置されてY軸方向に延び、かつフレーム部材62両端のナット部材(図示省略)にそれぞれ螺合挿入される一対のボールねじ軸63と、ボールねじ軸63を回転駆動する一対のフレーム駆動モータ64とが設けられている。
【0047】
フレーム部材62には、手前側に取出装置6が移動可能に支持されており、後側にカメラ8が移動可能に支持されている。そして、フレーム部材62に、X軸方向に延びて取出装置6のナット部材(図示省略)に螺合挿入されるボールねじ軸(図示省略)と、このボールねじ軸を回転駆動する駆動モータ65と、X軸方向に延びてカメラ8のナット部材(図示省略)に螺合挿入されるボールねじ軸(図示省略)と、このボールねじ軸を回転駆動する駆動モータ66とが備えられている。
【0048】
これにより、各フレーム駆動モータ64の作動によりフレーム部材62を固定レール61に沿って移動させ、取出装置6およびカメラ8を一体的にY軸方向に移動させる。また、駆動モータ65の作動によりフレーム部材62のY方向手前側の位置で取出装置6をX軸方向に移動させるとともに、駆動モータ66の作動によりフレーム部材62のY方向の後側の位置でカメラ8をX軸方向に移動させる。これにより取出装置6およびカメラ8が部品取出作業位置の上方位置において水平方向(XY方向)にそれぞれ移動可能となっている。
【0049】
基台1a上の取出装置6のXY方向における可動領域と、支持フレーム1cにより基台1a上方に吊り下げられた第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42のXY方向における可動領域とは、平面的に見て一部重複している。これにより、後述するように取出装置6から第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42へのベアチップの受渡しが可能となっている。なお、第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42は支持フレーム1cにより基台1a上の各部よりも上方の位置に配置されているため、取出装置6等の可動領域と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42の各可動領域とは上記のように一部重複するが、取出装置6と第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42とが互いに干渉することは無い。
【0050】
カメラ8は、ウエハWからのベアチップの取り出しに先立ち、取り出し対象となるベアチップを撮像する。これにより、取出し対象となるベアチップの位置認識が可能である。
【0051】
次に、図3、図4および図7を参照して、この実装機100による部品実装動作について説明する。なお、以下の動作は、図示しない制御装置により実装機100の各部が制御されることにより実施される。
【0052】
まず、図3に示すように、コンベア2を制御することにより、プリント基板Pを実装機100内に搬入する。そして、コンベア2を制御することにより、プリント基板Pを第1作業位置S1および第2作業位置S2に配置した状態で固定する。
【0053】
この後、ウエハ保持テーブル5をウエハ受取位置(図7の二点鎖線参照)に移動させ、図示しない出し入れ機構によりウエハ収納部170からウエハWをウエハ保持テーブル5上に引き出す。そして、図7に示すように、引き出したウエハWをウエハ保持テーブル5に固定するとともに、ウエハ保持テーブル5を部品取出作業位置(図7の実線参照)に配置する。
【0054】
この際、ウエハW内のベアチップのうち取り出し対象となるベアチップのY方向位置がX方向に移動可能な突上げヘッド71の突上げロッド71aおよび71bのY方向位置に一致するようにウエハ保持テーブル5が移動する。
【0055】
ウエハWが部品取出作業位置に配置されると、カメラ8により取出し対象のベアチップの撮像を行う。この画像データに基づいてベアチップの位置(位置ずれ)を求める。この場合、実装機100は、必要に応じて複数のベアチップを一度に、又は連続してカメラ8に撮像させる。
【0056】
次に、カメラ8による撮像結果に基づき、突上げ装置7、取出装置6およびウエハ保持テーブル5を駆動し、突上げヘッド71の突上げロッド71aおよび71bと、取出装置6のウエハヘッド6aおよび6bの各ノズル6cと、取り出し対象となるベアチップとをXY平面上の同一位置に移動させる。
【0057】
そして、突上げロッド71aまたは71bにより当該ベアチップをその下側から突き上げる。その一方で、ウエハヘッド6aあるいは6bを作動させて、突上げられることによりウエハシートから剥がされたベアチップをノズル6cの先端部の負圧により吸着させる。これによりウエハWからのベアチップの取り出しを行う。以上のウエハWからのベアチップの取り出しは、ウエハヘッド6aおよび6bそれぞれについて実施され、各ノズル6cにそれぞれベアチップが吸着保持される。
【0058】
次に、取出装置6からヘッドユニットへのベアチップの受け渡しを行う。具体的には、取出装置6を制御することにより所定の部品受渡し位置(コンベア2に最も近接した位置)に取出装置6を移動させるとともに、Yアクチュエータ45(図4参照)およびXアクチュエータ49(図4参照)をそれぞれ駆動することにより第1ヘッドユニット41(又は第2ヘッドユニット42)を部品受渡し位置に移動させる。これにより部品受渡し位置において取出装置6と第1ヘッドユニット41(又は第2ヘッドユニット42)とを上下に配置する。
【0059】
その後、ベアチップを第1ヘッドユニット41の下降させた2つの部品実装用ヘッド41aまたは第2ヘッドユニット42の下降させた2つの部品実装用ヘッド42aにより吸着させる。これにより取出装置6から第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)へのベアチップの受渡しを行う。
【0060】
次に、第1ヘッドユニット41を固定カメラ9(第2ヘッドユニット42の場合は固定カメラ10)上方に移動させ、各部品実装用ヘッドに吸着されたベアチップを固定カメラに撮像させるとともに、その画像データに基づき各部品実装用ヘッドに対するベアチップの吸着ずれを演算する。
【0061】
次に、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)のカメラ41b(42b)により、コンベア2に固定されているプリント基板Pに付されているフィデューシャルマーク(図示せず)を認識する。これにより、プリント基板Pのコンベア2に対する位置ずれを認識する。
【0062】
そして、ベアチップの吸着ずれおよびプリント基板Pの位置ずれに基づいて第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)をプリント基板P上方の補正した位置に移動させる。そして、所定の実装位置で部品実装用ヘッドを下降させることによりベアチップをプリント基板P上に実装する。
【0063】
この後、全てのベアチップの実装が完了するまで実装動作を継続する。
【0064】
また、全てのベアチップの実装が完了した場合には、コンベア2を制御することにより、プリント基板Pの固定を解除するとともに、プリント基板Pを実装機100外に搬出する。
【0065】
以上、実装機100による部品実装動作について説明したが、上記動作は、ベアチップのみを実装する場合の最も基本的な部品実装動作の例である。つまり、実際のプリント基板Pの生産時には、より効率的にプリント基板Pを生産すべく、ウエハ保持テーブル5によるウエハWの出し入れ動作、取出装置6および突上げ装置7によるベアチップの取出動作、およびヘッドユニットの実装動作等の複数の動作の一部を並行して実行する。
【0066】
本実施形態では、上記のように、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の上方に配置され、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を支持する支持フレーム1cを設けるとともに、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を直動軸受43に沿って移動させるYアクチュエータ45を支持フレーム1cの上面1hよりも上方に突出するように設ける。これにより、支持フレーム1cが第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を上方から支持する吊り下げ型の構成において、Yアクチュエータ45を支持フレーム1cの上面1hよりも上方に突出させることができるので、支持フレーム1cと第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)との間にYアクチュエータ45全体を収納するための空間を設ける必要がない。これにより、支持フレーム1cから第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)までの高さ方向(Z方向)の間隔を小さくすることができるので、振動発生時の第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の振幅を小さくすることができる。この結果、実装位置精度を向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、支持フレーム1cの上面1h側に突出するようにYアクチュエータ45を設けるとともに、開口部1fを介して支持フレーム1cの下面1i側の第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)と接続する。このように構成することによって、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を移動させるためのYアクチュエータ45を支持フレーム1cの上面1h側に露出させた場合にも、支持フレーム1cの開口部1fを介してYアクチュエータ45と第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)との接続を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、Yアクチュエータ45を支持フレーム1cの上面1h上に設けるとともに、開口部1f内に配置された接続部材47を介して支持フレーム1cの下面1i側の第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)とYアクチュエータ45とを接続することによって、Yアクチュエータ45を容易に設置することができる。また、支持フレーム1cの下面1i側にYアクチュエータ45を収納するためのスペースを設ける必要が全くないので、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を支持フレーム1cの下面1i近傍の位置で支持することができる。この結果、支持フレーム1cから可動テーブル44(第1ヘッドユニット41および第2ヘッドユニット42)までの高さ方向(Z方向)の間隔Dを小さくすることができるので、実装位置精度をさらに向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、支持フレーム1cを下面1iが平坦面状に形成された平板形状に形成するとともに、直動軸受43を平坦面状の下面1iに取り付ける。ここで、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の振動の影響を除けば、直動軸受43の取付位置精度が第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の位置精度に最も影響を与える。直動軸受43の取付位置精度を向上させるには、直動軸受43の取り付け面を高精度に仕上げる必要がある。本発明では、支持フレーム1cを加工が容易な平板形状とすることにより、容易に、直動軸受43の取り付け面(支持フレーム1cの下面1i)を高精度に仕上げることができる。また、従来のように直動軸受をスペーサを介して装置天井に取り付ける場合には、スペーサと装置天井の下面(スペーサの取り付け面)との両方に高精度な加工が必要である一方、上記実施形態の構成によれば平板形状の支持フレーム1cの下面1iだけを高精度に仕上げればよいので、この点でも、直動軸受43の取付位置精度を容易に向上させることができる。この結果、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の実装位置精度を容易に向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)を可動テーブル44を介して直動軸受43の下面に取り付けるとともに、直動軸受43の下面(可動テーブル44の上面44a)と支持フレーム1cの下面1iとの間の上下方向の距離Dを、Yアクチュエータ45の上下方向の長さ(高さ寸法H1)よりも小さくする。このように構成することによって、従来のアクチュエータ全体を支持部とヘッドユニットとの間の高さ位置に配置する構成と比較して、確実に支持フレーム1cから第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)までの高さ方向の間隔(支持フレーム1cの下面1iから可動テーブル44の上面44aまでの距離D)を小さくすることができるので、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の実装位置精度を容易に向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、互いに対向するように設けられた永久磁石からなる一対の固定子45aと、一対の固定子45a間に配置されたコイルを有する可動子45bとを含むリニアモータによりYアクチュエータ45を構成する。このように構成することによって、発熱源であるコイルが可動子45b側になるので、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の移動時の可動子45bの移動により可動子45bが空気と接触することによって、可動子45bのコイルを冷却することができる。この結果、リニアモータからなるYアクチュエータ45(可動子45b)の冷却効果を得ることができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、Yアクチュエータ45の可動子45bの上面上に、複数の放熱フィン48aを有する放熱部48を設ける。このように構成することによって、第1ヘッドユニット41(第2ヘッドユニット42)の移動時の可動子45bの移動に伴って放熱部48も移動し、コイルで発生する熱を放熱部48からも放熱することができる。この結果、可動子45b上の放熱部48によってYアクチュエータ45(可動子45bのコイル)を効果的に冷却することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、支持フレーム1cの上面1hから上方に延びるように一対の取付壁部45cを設けるとともに、一対の取付壁部45cの互いに対向する側面にYアクチュエータ45の一対の固定子45aを取り付ける。このように構成することによって、支持フレーム1cの上面1hに設けられた取付壁部45cにYアクチュエータ45の固定子45aを取り付けることができるので、可動子45bを挟み込むように一対の固定子45aを配置する構成において、支持フレーム1cに対するYアクチュエータ45の取り付けを容易に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、可動子45bの上方を跨ぐように一対の取付壁部45cを連結して固定する連結部材45dを設ける。このように構成することによって、可動子45bの移動を妨げることなく、一対の取付壁部45c(固定子45a)を連結部材45dによって強固に固定することができる。ここで、一対の取付壁部45cに設けられる一対の固定子45aの間には永久磁石による強力な磁気吸引力が作用するため、この連結部材45dによって、磁気吸引力による取付壁部45cの倒れや支持フレーム1cの歪みが発生するのを防止することができる。
【0075】
(第1変形例)
上記実施形態では、支持フレーム1cの上面1h上に設置されたYアクチュエータ45を固定子45aおよび可動子45bを含むリニアモータにより構成した例を示したが、図8に示す第1変形例のように、Yアクチュエータ140を回転モータ141およびボールネジ軸142を用いた直動機構により構成してもよい。なお、Yアクチュエータ140は、本発明の「アクチュエータ」の一例である。
【0076】
図8に示すように、この第1変形例による実装機200のYアクチュエータ140は、支持フレーム1cの上面1h上に上方に突出するように設けられるとともに、接続部材144を介して可動テーブル44(第1ヘッドユニット41)と接続されている。Yアクチュエータ140は、ガイドレール43aと平行に延びるボールネジ軸142と、ボールネジ軸142を回転駆動する回転モータ141と、ボールネジ軸142に螺合するボールナット143とにより構成されている。
【0077】
ボールネジ軸142は、支持フレーム1cの開口部1fの上方の位置で図示しない軸受部材によって回転可能に支持されるとともに、一端が回転モータ141の出力軸に接続されている。また、回転モータ141は、支持フレーム1cの上面1h上に設置されている。ボールネジ軸142に螺合するボールナット143は、接続部材144に回転不能に取り付けられ、この接続部材144が開口部1fを介して支持フレーム1c下側の可動テーブル44に連結されている。
【0078】
これにより、回転モータ141を作動させてボールネジ軸142を回転駆動することにより、ボールナット143が設けられた接続部材144を介して可動テーブル44(第1ヘッドユニット41)をガイドレール43aに沿って移動させることが可能である。なお、第1ヘッドユニット41の直動軸受43の下面(可動テーブル44の上面44a)と支持フレーム1cの下面1iとの間の上下方向の距離Dは、Yアクチュエータ140の高さ寸法(上下方向の長さ)H2よりも小さい。
【0079】
この第1変形例による構成では、可動子側(ボールナット143)に電力供給を行うための配線を設ける必要がないので、装置構成を簡素化することが可能である。また、固定子を取り付けるための取付壁部や、可動子を冷却する放熱部などが不要となるので、Yアクチュエータ140の設置が容易である。
【0080】
(第2変形例)
また、上記実施形態では、リニアモータからなるYアクチュエータ45を、対向する一対の固定子45aと、一対の固定子45a間に配置される可動子45bとにより構成した例を示したが、図9に示す第2変形例のように、単一の固定子241と、固定子241に対向する可動子242とからなるリニアモータによりYアクチュエータ240を構成してもよい。なお、Yアクチュエータ240は、本発明の「アクチュエータ」の一例である。
【0081】
図9に示すように、この第2変形例による実装機300のYアクチュエータ240は、支持フレーム1cの開口部1fを塞ぐように設けられた固定子241と、固定子241に対して上下に対向するように設置された可動子242とを含んでいる。
【0082】
固定子241は、開口部1fを跨いで支持フレーム1cの上面1h上に設置された平板状の取付部材243の下面に取り付けられており、開口部1f内部の位置に配置されている。この固定子241は、ガイドレール43aと平行に延びるように配置された複数の永久磁石からなる。また、可動子242は、可動テーブル44の上面44a上であって開口部1f下方の位置(固定子241の直下の位置)に、取付部材244により固定されている。この可動子242は、コイルを内蔵し、固定子241と僅かに間隔を隔てて対向するように配置されている。
【0083】
そして、Yアクチュエータ240は、可動子242のコイルへの電力供給によって可動子242を固定子241に対して相対的に移動させるように構成されている。これにより、Yアクチュエータ240は、第1ヘッドユニット41(可動テーブル44、Xフレーム46)をガイドレール43aに沿って直線移動させるように構成されている。なお、第1ヘッドユニット41の直動軸受43の下面(可動テーブル44の上面44a)と支持フレーム1cの下面1iとの間の上下方向の距離Dは、Yアクチュエータ240の高さ寸法(上下方向の長さ)H3よりも小さい。
【0084】
この第2変形例による構成では、上記実施形態と異なり、支持フレーム1cの上面1hから上方に突出する一対の取付壁部45cに一対の固定子45aを互いにX方向に対向させて取り付ける必要がないので、Yアクチュエータ45の設置が容易である。
【0085】
(第3変形例)
また、上記実施形態では、Yアクチュエータ45を支持フレーム1cの上面1h上に配置し、Yアクチュエータ45と可動テーブル44(第1ヘッドユニット41)とを、開口部1fを介して接続部材47により接続した例を示したが、図10に示す第3変形例のように、Yアクチュエータ340を支持フレーム1cの上面1h上から突出するように可動テーブル44上に設置して、Yアクチュエータ340と可動テーブル44(第1ヘッドユニット41)とを接続部材を用いることなく直接接続してもよい。なお、Yアクチュエータ340は、本発明の「アクチュエータ」の一例である。
【0086】
図10に示すように、この第3変形例による実装機400のYアクチュエータ340は、可動テーブル44の上面44a上に設置されている。また、Yアクチュエータ340は、開口部1fを介して支持フレーム1cの上面1hから上方に突出するように設けられている。このため、Yアクチュエータ340の固定側(固定子)および可動側(可動子)は、開口部1fの内側の領域に配置されている。
【0087】
ここで、Yアクチュエータ340は、上記実施形態または上記第2変形例のようなリニアモータにより構成してもよいし、上記第1変形例のような直動機構(ボールネジ軸および回転モータ)により構成してもよい。Yアクチュエータ340の固定側(固定子)は、支持フレーム1cの上面1h、下面1iまたは開口部1fが形成された側端面のいずれかの部分に固定される。そして、Yアクチュエータ340の可動側(可動子)は、固定側(固定子)に対して相対的に移動可能な状態で、接続部材を用いることなく可動テーブル44の上面44a上に直接固定される。
【0088】
これにより、Yアクチュエータ340を駆動して可動側(可動子)を固定側(固定子)に対して相対的に移動させることによって、第1ヘッドユニット41(可動テーブル44、Xフレーム46)をガイドレール43aに沿って直線移動させるように構成されている。なお、第1ヘッドユニット41の直動軸受43の下面(可動テーブル44の上面44a)と支持フレーム1cの下面1iとの間の上下方向の距離Dは、Yアクチュエータ340の高さ寸法(上下方向の長さ)H4よりも小さい。
【0089】
この第3変形例による構成では、接続部材を用いることなく、直接第1ヘッドユニット41の可動テーブル44にYアクチュエータ340を取り付けることが可能であるので、部品点数を抑制して構造を簡素化することができる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および変形例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
たとえば、上記実施形態では、2つのヘッドユニットを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットを1つまたは3つ以上設けてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ベアチップを取り出して実装(装着)するとともに、チップ部品を実装することが可能ないわゆる複合型の実装機に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ベアチップまたはチップ部品のいずれかのみの実装を行う実装機に本発明を適用してもよい。
【0093】
また、上記実施形態および上記第1〜第3変形例では、Yアクチュエータを可動テーブルを介してヘッドユニットと接続した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可動テーブルを設けることなく、YアクチュエータをXフレームに接続してもよい。また、Yアクチュエータをヘッドユニットに直接接続してもよい。
【0094】
また、上記実施形態および上記第1〜第3変形例では、平板形状の支持フレームを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、支持フレームを平板形状以外の形状に形成してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、支持フレームの開口部を貫通孔として形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、支持フレームの外周端部から連続的に形成された切り欠き状の開口部を設けてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、支持フレームの開口部を介してYアクチュエータとヘッドユニットとを接続した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、開口部を介することなくアクチュエータとヘッドユニットとを接続してもよい。
【0097】
また、上記実施形態および上記第1〜第3変形例では、ヘッドユニットの直動軸受の下面(スライダ43bの下面)と支持フレームの下面との間の上下方向の距離Dを、直動軸受の高さ寸法(厚み)と実質的に等しくなるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。直動軸受の下面と支持フレームの下面との間の上下方向の距離Dは、直動軸受の高さ寸法(厚み)とは異なる大きさでよい。ただし、上述の通り、この距離Dの大きさを小さくするほど振動発生時のヘッドユニットの振幅を小さくすることができるので、実装位置精度を向上させることができる。
【0098】
また、上記実施形態および上記第2変形例ではYアクチュエータをリニアモータにより構成した例を示し、上記第1変形例ではYアクチュエータを回転モータおよびボールネジ軸を用いた直動機構(ネジ送り機構)により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Yアクチュエータをリニアモータおよびネジ送り機構以外の機構により構成してもよい。
【0099】
また、上記実施形態および上記第1変形例では、Yアクチュエータを支持フレームの上面上に設置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、Yアクチュエータを支持フレームの上面よりも上方の位置に設置してもよい。
【0100】
また、上記実施形態および上記第1〜第3変形例では、本発明のアクチュエータを実装機の奥行き方向(Y方向)のYアクチュエータに適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明のアクチュエータを実装機の幅方向であるX方向のアクチュエータに適用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1c 支持フレーム(支持部)
1h 支持フレームの上面
1i 支持フレームの下面
1f 開口部
41 第1ヘッドユニット(ヘッドユニット)
42 第2ヘッドユニット(ヘッドユニット)
43 直動軸受(ガイド部)
45、140、240、340 Yアクチュエータ(アクチュエータ)
45a、241 固定子
45b、242 可動子
45c 取付壁部
45d 連結部材
47、144 接続部材
48 放熱部
100、200、300、400 実装機
P プリント基板(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットの上方に配置され、前記ヘッドユニットを支持する支持部と、
前記支持部の下面に設けられ、前記ヘッドユニットの移動をガイドするガイド部と、
前記支持部の上面よりも上方に突出するように設けられ、前記ヘッドユニットを前記ガイド部に沿って移動させるアクチュエータとを備えた、実装機。
【請求項2】
前記支持部は、前記支持部の上面から下面まで貫通する開口部を含み、
前記アクチュエータは、少なくとも一部が前記支持部の上面側に突出するように設けられ、前記開口部を介して前記支持部の下面側の前記ヘッドユニットと接続されている、請求項1に記載の実装機。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記支持部の上面上または上面よりも上方の位置に設けられるとともに、前記開口部内に配置された接続部材を介して前記支持部の下面側の前記ヘッドユニットと接続されている、請求項2に記載の実装機。
【請求項4】
前記支持部は、下面が平坦面状に形成された平板形状を有し、
前記ガイド部は、平坦面状の前記下面に取り付けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の実装機。
【請求項5】
前記ヘッドユニットは、前記ガイド部の下面に取り付けられており、
前記ガイド部の下面と前記支持部の下面との間の上下方向の距離は、前記アクチュエータの上下方向の長さよりも小さい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の実装機。
【請求項6】
前記アクチュエータは、互いに対向するように設けられた永久磁石からなる一対の固定子と、前記一対の固定子間に配置されたコイルを有する可動子とを含むリニアモータからなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の実装機。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記可動子の上面上に設けられた放熱部をさらに含む、請求項6に記載の実装機。
【請求項8】
前記支持部の上面から上方に延びるように設けられるとともに、互いに対向する側面に前記アクチュエータの前記一対の固定子がそれぞれ配置された一対の取付壁部をさらに備える、請求項6または7に記載の実装機。
【請求項9】
前記可動子の上方を跨ぐように前記一対の取付壁部を連結して固定する連結部材をさらに備える、請求項8に記載の実装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−33736(P2012−33736A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172435(P2010−172435)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】