説明

室内空気品質向上用の二機能層状光触媒/熱触媒

光触媒/熱触媒被覆は、ハニカム上に付与された金属/二酸化チタンまたは金属酸化物/二酸化チタンの内層と、内層上に付与された二酸化チタンまたは金属酸化物ドープ二酸化チタンの外層とを含む。内層は、金/二酸化チタン、白金/二酸化チタンまたは酸化マンガン/二酸化チタンとすることができる。二酸化チタンまたは金属酸化物ドープ二酸化チタンの外層は、揮発性有機化合物を二酸化炭素、水および他の物質に酸化する。外層は、薄く、多孔質であるので、空気中の汚染物質は、外層を通って拡散し、内層上に吸着できる。紫外光の光子が、被覆により吸収されると、反応性ヒドロキシルラジカルが形成され、この反応性ヒドロキシルラジカルが汚染物質を酸化して、水、二酸化炭素および他の物質を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、金属/二酸化チタンまたは金属酸化物/二酸化チタンの内層と、二酸化チタンまたは金属酸化物/二酸化チタンの外層とを含む光触媒/熱触媒(thermocatalyst)に関し、これは、その光触媒/熱触媒表面上に吸着される空気中の気体状汚染物質を酸化して、二酸化炭素、水および他の物質を形成する。
【背景技術】
【0002】
室内空気は、一酸化炭素、オゾンならびにホルムアルデヒド、トルエン、プロパナール、ブテンおよびアセトアルデヒドなどの揮発性有機化合物を含む痕跡量の汚染物質を含みうる。空気からこれらの汚染物質を除去するために、活性炭などの吸収剤空気フィルターが使用されている。空気がフィルターを通して流れる際に、フィルターは汚染物質の通過を阻止するので、汚染物質のない空気をフィルターから流すことができる。フィルターを使用することの欠点は、これらが、汚染物質の通過を単に阻止するだけであって、これらを破壊しないことである。加えて、フィルターは、オゾンや一酸化炭素を阻止するためには有効ではない。
【0003】
二酸化チタンは、汚染物質を破壊するための光触媒として空気浄化装置中で使用されている。二酸チタンに紫外光が照射されると、光子が二酸化チタンに吸収され、価電子帯から伝導帯へと電子を上げる。すると、価電子帯に正孔が生じ、電子が伝導帯に付加される。上げられた電子は酸素と反応し、価電子帯に残っている正孔は水と反応して、反応性ヒドロキシルラジカルを形成する。汚染物質が、二酸化チタン触媒上に吸着すると、ヒドロキシルラジカルが攻撃し、汚染物質を、水、二酸化炭素および他の物質に酸化する。
【0004】
ドープされているか、金属酸化物処理された二酸化チタンは、二酸化チタン光触媒の有効性を高めることができる。しかしながら、二酸化チタンおよびドープされた二酸化チタンは、一酸化炭素を酸化する際には、効果が少ないか、または有効ではない。一酸化炭素(CO)は、無色無臭の有毒ガスであり、これは、炭化水素燃料の不完全燃焼により形成される。一酸化炭素は、他の毒よりも多くの死の原因であり、閉ざされた環境では特に危険である。二酸化炭素への一酸化炭素の室温酸化のための有効な熱触媒として作用するように、二酸化チタン上に金を負荷することができる。
【0005】
光触媒として、二酸化チタンは単独では、オゾンを分解する際の有効性が低い。オゾン(O3)は、コピー機、プリンター、スキャナーなどの職場に通常存在する機器から放出される汚染物である。オゾンは、吐き気および頭痛を誘発することがあり、長期間オゾンにさらされると、鼻粘膜がダメージを受けて、呼吸に問題が生じうる。OSHAは、オゾンに対する許容暴露限界(permissible exposure limit)(PEL)を8時間で0.08ppmと設定している。
【0006】
オゾンは、熱力学的に不安定な分子であり、250℃の温度まで非常にゆっくりと分解する。周囲温度では、吸着表面酸素原子へのオゾンの酸化を促進することにより、オゾンを分解する際には、酸化マンガンが有効である。これらの吸着酸素原子は次いでオゾンと結合して吸着過酸化物化学種を形成し、この吸着過酸化物化学種が分子状酸素として脱着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、光触媒表面に吸着する揮発性有機化合物、一酸化炭素およびオゾンを含む気体状汚染物質を酸化および分解して、二酸化炭素、水、酸素および他の物質を形成する触媒が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
基体上の層状光触媒/熱触媒被覆は、その被覆上に吸着する汚染物質を、水、酸素、二酸化炭素および他の物質に酸化または分解することにより、建物または乗り物内の空気を浄化する。
【0009】
ファンが、空気を空気浄化システム中に引込む。空気は、ハニカムの開放通路またはチャネルを通して流れる。ハニカムの表面は、層状光触媒/熱触媒被覆で被覆されている。連続するハニカムの間に配置されている紫外線光源が、被覆を活性化する。被覆は、金属/二酸化チタンまたは金属酸化物/二酸化チタン被覆の内層と、二酸化チタンまたは金属酸化物/二酸化チタン被覆の外層とを含む。
【0010】
一例では、内層は、金/二酸化チタンである。室温で、金/二酸化チタンの内層は一酸化炭素を二酸化炭素に酸化する。一酸化炭素が金/二酸化チタン被覆上に吸着されると、金は、酸化触媒として作用して、酸素の存在下で二酸化炭素への一酸化炭素の酸化のエネルギー障壁を低下させる。
【0011】
別の例では、内層は、酸化マンガン/二酸化チタンである。室温で、酸化マンガン/二酸化チタン被覆はオゾンを酸素に酸化する。オゾンが被覆上に吸着されると、酸化マンガンは、オゾン分解に必要なエネルギー障壁を低下させて、オゾンを分子状酸素に分解する。
【0012】
別の例では、内層は、白金/二酸化チタンである。室温で、白金/二酸化チタン被覆は低極性を二酸化炭素に酸化する。低極性有機化合物は、白金に増加した親和性を有する。低極性有機化合物は、白金上に吸着し、ヒドロキシルラジカルにより酸素の存在下で二酸化炭素および水に酸化される。
【0013】
外層は、揮発性有機化合物を二酸化炭素、水および他の物質に酸化する。外層は、薄く、多孔質であるが、紫外光には不透明ではない。したがって、一酸化炭素、オゾンおよび低極性有機化合物は、外層を通って拡散し、触媒のための金属/二酸化チタンまたは金属酸化物/二酸化チタン内層上に吸着できる。さらに、外層は、紫外光を透過させて、内層に到達させる。
【0014】
紫外光の光子が、被覆により吸収されると、反応性ヒドロキシルラジカルが形成される。汚染物質が、被覆上に吸着されると、このヒドロキシルラジカルが汚染物質を攻撃して、水素原子を汚染物質から引抜き、揮発性有機化合物を、水、二酸化炭素および他の物質に酸化する。
【0015】
次の詳述および図面により、本発明のこれらの形態や他の形態をさらに良好に理解することができるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
現在好ましい実施形態の次の詳述により、本発明の様々な形態および利点が、当業者に明らかになるであろう。詳述を伴う図面を、簡単には次のように説明することができる。
【0017】
図1は、部屋、オフィスもしくは車、列車、バスまたは航空機などの乗り物のキャビンなどの室内空間12を含む建物、乗り物または他の構造物10を概略的に示す図である。HVACシステム14が、室内空間12を暖房または冷房する。室内空間12内の空気は、通路16によって、HVACシステム14中に引込まれる。HVACシステム14は、室内空間12から引出された空気16の温度を変える。HVACシステム14が冷房モードで作動しているならば、空気は冷却される。代わって、HVACシステム14が暖房モードで作動しているならば、空気は加熱される。次いで、空気は、通路18によって室内空間12へと戻されて、室内空間12内の空気温度は変わる。
【0018】
図2は、空気中の揮発性有機化合物、半揮発性有機化合物、一酸化炭素およびオゾンなどの汚染物質を、水、二酸化炭素および他の物質に酸化することにより、建物または乗り物10内の空気を浄化するために使用される空気浄化システム20を示す概略図である。例えば、揮発性有機化合物は、アルデヒド、ケトン、アルコール、芳香族化合物、アルケン、アルカンまたはこれらの混合物であってよい。空気浄化システム20は、空気を浄化し、その後、これを、通路16でHVACシステム14に引き入れることもできるし、またはHVACシステム14から出た空気を浄化して、その後これを、通路18で、建物または乗り物10の室内空間12に引き入れることができる。空気浄化システム20は、HVACシステム14と共に使用されない独立ユニットであってもよい。
【0019】
ファン34は、入口22を通して、空気浄化システム20に空気を引込む。空気は、粒子フィルター24を通して流れるが、これは、埃または任意の他の大きな粒子を、これらの粒子の流れを阻止することによりフィルター除去する。次いで、空気は、ハニカムなどの基体28を通して流れる。一例では、ハニカム28は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から製造される。図3は、複数の六角形開放通路またはチャネル30を有するハニカム28の正面図を示す概略図である。複数の開放通路30の表面は、光触媒/熱触媒被覆40で被覆されている。紫外光により活性化されると、被覆40は、被覆40の上に吸着される揮発性有機化合物を酸化する。下記で説明するように、空気がハニカム28の開放通路30を通して流れると、被覆40の表面に吸着される汚染物質は、二酸化炭素、水および他の物質に酸化される。
【0020】
連続するハニカム28の間に配置される光源32が、開放通路30の表面の光触媒被覆40を活性化する。図に示されているように、ハニカム28および光源32は、空気浄化システム20内に交互に存在する。即ち、各ハニカム28の間に、光源32は位置している。好ましくは、光源32は、180ナノメートルから400ナノメートルの範囲の波長を有する光を発生させる紫外線光源である。
【0021】
光源32が照射されると、ハニカム28の表面上の被覆40が活性化される。紫外光の光子が、被覆40により吸収されると、電子が、価電子帯から伝導帯へと上げられ、価電子帯に正孔が生成される。被覆40は、酸素および水の存在下で、汚染物質を、二酸化炭素、水および他の物質に酸化するはずである。伝導帯へ上げられた電子は、酸素に捕獲される。価電子帯の正孔は、光触媒/熱触媒被覆40上に吸着される水分子と反応して、反応性ヒドロキシルラジカルを生成する。
【0022】
汚染物質が、被覆40上に吸着されると、ヒドロキシルラジカルが汚染物質を攻撃し、水素原子を汚染物質から引抜く。こうして、ヒドロキシルラジカルが、汚染物質を酸化し、水、二酸化炭素および他の物質を生成する。
【0023】
図4に示すように、被覆40は、ハニカム28上に付与された金属/二酸化チタンまたは金属化合物/二酸化チタン熱触媒/光触媒の内層44と、内層44上に付与された二酸化チタンまたは金属化合物/二酸化チタン光触媒の外層46とを含む。好ましくは、内層44および外層46の金属化合物/二酸化チタンは、金属酸化物/二酸化チタンである。
【0024】
二酸化チタン46または金属酸化物/二酸化チタンの外層は、揮発性有機化合物および半揮発性有機化合物を二酸化炭素、水および他の物質に酸化するのに有効である。外層46は、有効な厚みおよび多孔度を有する。すなわち、外層46は、一酸化炭素などといった外層46によって酸化されない他の汚染物質を、外層46を通して通過させ、内層44上に吸着させる。一例では、外層46は、肉眼では白色であるが、紫外光には不透明ではない。
【0025】
好ましくは、光触媒は、二酸化チタンである。一例では、二酸化チタンは、ミレニウム(Millennium)チタニア、デグッサ(Degussa)P−25または同等の二酸化チタンである。しかしながら、他の光触媒物質もしくは二酸化チタンと他の金属酸化物との組み合わせを使用することもできることは理解されるべきである。例えば、光触媒物質は、Fe23、ZnO、V25、SnO2、FeTiO3またはこれらの混合物あってよい。加えて、Fe23、ZnO、V25、SnO2、CuO、MnOx、WO3、Co34、CeO2、ZrO2、SiO2、Al23、Cr23またはNiOなどの他の一つまたは複数の金属酸化物を二酸化チタンと混合することもできる。
【0026】
さらに、外層46が、金属酸化物負荷二酸化チタンである場合は、二酸化チタンに、WO3、ZnO、SrTiO3、Fe23、V25、SnO2、FeTiO3、PbO、Co34、NiO、CeO2、CuO、SiO2、Al23、Mnx2、Cr23またはZrO2などの一つまたは複数を負荷することができる。あるいは、二酸化チタンには、CdSまたはCdSeなどといった任意の光触媒物質を負荷してもよい。
【0027】
一例では、外層46は、内層44に亘って付与された二酸化チタンまたは金属酸化物ドープ二酸化チタンの2μm未満の厚みを有する。外層46は、噴霧、電気泳動、浸漬被覆または代替の適切な堆積方法により内層44の表面へ付与することができる。一例では、光触媒の25%重量の水性懸濁液を調製する。懸濁液は、内層44で被覆された基体上に噴霧できる。懸濁液を付与した後に、基体を乾燥して、ハニカム28上の内層44上に均一な外層46を形成する。
【0028】
第一の例では、内層44は、金/二酸化チタンである。室温で、内層44は、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化する。一酸化炭素が被覆に吸着すると、金/二酸化チタンは、熱触媒として作用し、一酸化炭素のエネルギー障壁を低下させて、酸素の存在下で一酸化炭素を二酸化炭素に酸化する。二酸化チタンは、低温一酸化炭素酸化のための有効な担体である。さらに、金/二酸化チタンは、外層46を通って拡散する揮発性有機化合物を水および二酸化炭素に酸化するための有効な光触媒である。したがって、内層44は同時に、光触媒と熱触媒との両方として作用する。
【0029】
一酸化炭素酸化は主に、金粒子の境界面で生じる。一酸化炭素は、金の表面または境界部位に吸着されて、カルボニル化学種を形成する。酸素は、金/二酸化チタン表面に吸着される。酸素は、境界面に吸着されると考えられる。境界部位のカルボニル化学種は酸素と反応して、酸素−金−一酸化炭素複合体を形成する。この複合体が分解して、二酸化炭素を形成する。
【0030】
光触媒機能の場合は、二酸化チタンの表面に位置する高度に分散された金粒子は、内層44内の電子および正孔の再結合速度を低下させ、被覆の光触媒活性を高める。好ましくは、金粒子は、3ナノメートル未満のサイズを有する。熱触媒機能に関して、金粒子のサイズは、一酸化炭素酸化の活性に対しても重要であり、これは、金が非常に小さいナノ粒子で成形されていることに依存する。
【0031】
金/二酸化チタン被覆の触媒性能は、調製方法に影響を受ける。金の触媒活性は、金がナノ粒子に成形されていることに依存する。共沈、析出−沈殿、液相グラフト、コロイド混合、含浸または化学蒸着を含む任意の方法により、金のナノ粒子を生じさせることができる。
【0032】
共沈法では、室温またはやや高めた温度で、一定のpHで、金前駆体の水溶液とチタン前駆体の水溶液とを混合することにより、触媒を調製することができる。沈殿物を濾過し、蒸留水で十分に洗浄し、70℃で真空下で一晩乾燥する。乾燥させた後に、生成物を200℃から500℃の範囲でか焼すると、乾燥した金/二酸化チタン光触媒/熱触媒が形成される。
【0033】
析出−沈殿法では、二酸化チタン粉末を、蒸留水所望量のHAuCl4に懸濁させる。この混合物に尿素を徐々に添加し、次いで、混合物を80°から90℃に加熱し、尿素を分解すると、NH4OH(水酸化アンモニウム)および二酸化炭素が放出されて、混合物のpHが高まる。pHが徐々に高まることにより、二酸化チタンの表面へのAu(OH)3の均一な沈殿が生じる。試料を蒸留水で十分に洗浄して、残留塩化物イオンを除去する。次いで、試料を70℃で真空下で一晩乾燥する。次いで、試料を200℃から500℃の温度でか焼すると、乾燥した金/二酸化チタン光触媒/熱触媒が形成される。析出−沈殿法の利点は、活性成分が全て、二酸化チタン担体の表面に残り、その中に埋もれないことである。
【0034】
液相グラフト法では、溶液中の金錯体が、二酸化チタンなどの基体の表面と反応して、触媒活性な形態に変換可能な化学種を形成する。Me2Auを、金前駆体として使用することができる。前駆体をアセトンに溶かし、次いで、二酸化チタンを溶媒に添加する。この混合物を沈殿させると、金前駆体が金属酸化物表面に吸着する。次いで、この混合物を濾過し、400℃で4時間か焼する。
【0035】
一例では、ハニカム28に二機能触媒を被覆するために、水を、乾燥した金/二酸化チタン光触媒/熱触媒に添加して、水性25%重量懸濁液を形成する。噴霧、電気泳動または浸漬被覆により、この懸濁液をハニカム28の表面に付与して、金/二酸化チタン内層44を形成する。懸濁液を付与した後に、基体を乾燥して、ハニカム28上に均一な金/二酸化チタン内層44を形成する。
【0036】
金/二酸化チタン懸濁液をハニカム28に付与する前に、懸濁液を処理してハニカム28に対するその付着性を増加させてもよい。例えば、懸濁液は、分散発生器を有するホモジナイザーを使用して、7500rpmの速度で均質化させることができる。懸濁液をハニカム28に付与すると、被覆は、ナノメートルスケールで多孔質となり、通常、40m2/gより大きな表面積を有する。内層44は次いでハニカム28上で乾燥される。内層44は、有効温度に加熱してもよい。
【0037】
二酸化チタンに金属酸化物を負荷して、金/二酸化チタン内層44の光触媒および熱触媒有効性をさらに改善することもできる。金は、二酸化チタンの表面で移動して、大きなクラスターを形成する傾向を有する。この金粒子の移動により、金/二酸化チタン内層44の有効性が低減することがある。二酸化チタンの表面に金属酸化物を負荷することにより、金属酸化物が金粒子を分離して、これらが移動して、大きなクラスターを形成することを防ぎ、それによって、金/二酸化チタン内層44の有効性を増大させることができる。好ましくは、金属酸化物を使用して、金粒子を二酸化チタンの表面に固定化する。一例では、金属酸化物は、WO3、ZnO、CdS、SrTiO3、Fe23、V25、SnO2、FeTiO3、PbO、CeO2、CuO、SiO2、Al23、MnOx、Cr23またはZrO2のうちの一つまたは複数である。
【0038】
別の例では、内層44は、白金/二酸化チタンである。室温で、内層44は、低極性有機化合物を二酸化炭素に酸化すると同時に、有害な揮発性有機化合物を酸化する。低極性有機分子は、白金に増加した親和性を有する。低極性有機化合物が白金上に吸着すると、白金は、低極性有機化合物をヒドロキシルラジカルによる内層44酸化上に保持し、酸素の存在下で低極性有機化合物を二酸化炭素に酸化する。
【0039】
二酸化チタン上に分散された白金は、50ppmより低いなどといった低い汚染物質濃度に対して光触媒作用を示す。オゾン、エチレンおよびブタンの光触媒酸化速度は、二酸化チタン上の白金では、二酸化チタン単独よりも大きい。光触媒酸化速度は、二酸化チタン上の白金にわたるオゾンおよびブタンでは二倍に、エチレンでは2から14倍になる。エチレンの光触媒酸化速度は、水分およびエチレンの濃度に依存する。驚くべきことに、これらの汚染物質の光触媒酸化は、水蒸気の増加とともに増加する。これとは対照的に、二酸化チタン単独での汚染物質の光触媒酸化は、水分の増加とともに低下する。
【0040】
二酸化チタンの表面に位置する高度に分散された白金粒子は、電子および正孔の再結合速度を低下させ、被覆の光触媒活性を高める。好ましくは、白金粒子は、5ナノメートル未満のサイズを有しており、約1.0〜1.5ナノメートルの白金の島(island)を形成する。好ましい白金負荷は、0.1%と5.0%の間である。
【0041】
別の例では、内層44は、酸化マンガン/二酸化チタンである。酸化マンガンは、二酸化マンガンおよびドープ酸化マンガンを含む。周囲温度では、酸化マンガンは、オゾンを分解するのに有効である。酸化マンガンは、吸着表面酸素原子へのオゾンの分解を促進する。これらの酸素原子は次いでオゾンと結合して吸着過酸化物化学種を形成し、この吸着過酸化物化学種が分子状酸素として脱着される。オゾンが酸化マンガン上に吸着すると、酸化マンガンは、オゾン分解に必要なエネルギー障壁を低下させることにより、解離的オゾン吸着の部位として作用する。したがって、オゾンが単独で存在する場合には、酸化マンガンは、酸素を生成する。
【0042】
加えて、過酸化物化学種は高度に反応性であり、二酸化炭素および水への揮発性有機化合物の酸化を促進する。したがって、酸化マンガンは、揮発性有機化合物を酸化する際に特に有効であり得る。揮発性有機化合物が単独で存在する場合には、被覆40の酸化マンガン内層44は、二酸化炭素、水および他の物質を生成する。したがって、二酸化マンガン光触媒/熱触媒被覆は同時に、光触媒と熱触媒との両方として作用する。
【0043】
室温では、被覆40の酸化マンガン/二酸化チタン内層44は、オゾンを酸素に分解すると同時に、有害な揮発性有機化合物を、二酸化炭素、水および他の物質に酸化する。したがって、酸化マンガン/二酸化チタン光触媒/熱触媒被覆は同時に、光触媒および熱触媒の両方として作用する。
【0044】
二酸化チタンの表面に高度に分散された酸化マンガン粒子は、電子と正孔との再結合速度を低下させて、被覆の光触媒活性を高める。好ましくは、酸化マンガン粒子は、ナノサイズである。
【0045】
酸化マンガン/二酸化チタン被覆の触媒性能は、調製方法に影響を受ける。析出−沈殿、共沈、含浸または化学蒸着により、酸化マンガンのナノ粒子を生じさせることができる。これらの方法を使用することにより、酸化マンガンのナノ粒子を生じさせて、触媒活性を改善することができる。
【0046】
本発明の酸化マンガン/二酸化チタン光触媒/熱触媒を調製するために、水を粉末二酸化チタンに滴下で添加して、二酸化チタン内の細孔が水で満たされる点すなわち初期濡れ点(point of incipient wetness)を決定する。次いで、この量の水を使用して、マンガン塩(硝酸マンガンまたは好ましくは酢酸マンガン)を溶かす。必要なマンガン塩の量を、表面の目標とされるマンガンのモル百分率により決定するが、通常は、0.1から6mol%である。
【0047】
次いで、マンガン塩溶液を二酸化チタンに滴下で添加する。次いで、生じた粉末を120℃で6時間乾燥する。次いで、粉末を500℃で6時間か焼して、酢酸塩および硝酸塩を除去する。か焼の間に、マンガンを酸化して、酸化マンガンを形成する。か焼の後に、酸化マンガンナノ粒子を積層された二酸化チタン粉末が形成される。
【0048】
基体に酸化マンガン/二酸化チタン二機能触媒を被覆するために、水を、乾燥した酸化マンガン/二酸化チタン光触媒/熱触媒に添加して、懸濁液を形成する。噴霧、電気泳動または浸漬被覆により、この懸濁液をハニカム28の表面に付与して、酸化マンガン/二酸化チタン内層44を形成する。懸濁液を付与した後に、懸濁液を乾燥して、ハニカム28上に均一な酸化マンガン/二酸化チタン内層44を形成する。好ましくは、懸濁液は、二酸化チタン上に重量1%の酸化マンガンを有する。
【0049】
二酸化チタン上に金属をドープすると、光の有効透過深さが低減する。したがって、より小さな有効透過深さを有する層をハニカム28上に配置し、その後、光のより大きな有効透過深さを有する層を配置するのが好ましい。従って、光のより大きな有効透過深さを有する層が、光源32に最も近くなる。内層44は、より小さな有効透過深さを有しており、ハニカム28上に最初に堆積される。外層46は、より大きな有効透過深さを有しており、次に内層44上に堆積される。
【0050】
外層46(最も大きな有効透過深さを有する層)の厚みは、光源44から光の一部だけを吸収して、内層44に光の一部を到達させるかあるいは光を到達させないように調節できる。光源32からの光が内層44に到達しない場合は、外層46の多孔度によって、内層44内への汚染物質の透過が可能となる。したがって、内層44上で、一酸化炭素などの汚染物質は酸化されることができ、オゾンなどの汚染物質は分解されることができる。この場合、内層44は、熱触媒としてのみ機能する。光源32からの紫外光の一部が到達し、内層44によって吸収される場合は、内層44は、光触媒および熱触媒として二機能性となり得る。内層44に亘って付与された外層46は、紫外光に直接さらされており、汚染物質を二酸化炭素、水および他の物質に酸化する光触媒活性を与えることができる。さらに、外層46は多孔質であり、一酸化炭素、オゾンおよび低極性有機化合物を、外層46を通して通過させ、内層44上に吸着させる。
【0051】
内層44は、環境に基づいて選択できる。空気が高濃度のオゾンを有する場合は、酸化マンガン/二酸化チタンを内層44として使用できる。あるいは、空気が高濃度の一酸化炭素を有する場合は、金/二酸化チタンを内層44として使用できる。
【0052】
ハニカム28を通過した後、次に、浄化された空気を、出口36を通して空気浄化装置から排出する。空気浄化システム20の壁38は好ましくは、反射性物質42でライニングされている。反射性物質42は、ハニカム28の開放通路30の表面へと紫外光を反射する。
【0053】
図5は、本発明の二機能被覆40の代替の実施態様を示す図である。被覆40は、ハニカム28の表面54の一部に付与された金属/二酸化チタンまたは金属化合物/二酸化チタン熱触媒/光触媒の層44と、ハニカム28の表面54の別の一部に付与された二酸化チタンまたは金属化合物/二酸化チタン光触媒の層46とを含む。
【0054】
別の実施態様では、システム20の設計の柔軟性を高めかつシステム20の全体の有効性を変えるように、異なる被覆調合物が、異なる基体上に配置される。
【0055】
図6は、空気浄化システム56の代替の例を示す図である。この例では、空気は最初に、二機能光触媒/熱触媒として機能する金/二酸化チタン被覆を有する第一のハニカム58を通って流れる。その熱触媒機能により、金/二酸化チタン被覆は、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化できる。同時に、その光触媒機能により、金/二酸化チタン被覆は、揮発性有機化合物、特にホルムアルデヒドを二酸化炭素および水に酸化する。金/二酸化チタン触媒は、ホルムアルデヒド酸化において二酸化チタン単独より優れた光触媒活性を与える。
【0056】
空気は次いで、金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆を有する第二のハニカム60を通って流れる。金属酸化物は、WO3、ZnO、SrTiO3、Fe23、V25、SnO2、FeTiO3、PbO、Co34、NiO、CeO2、CuO、SiO2、Al23、Mnx2、Cr23またはZrO2のうちの一つまたは複数とすることができる。第二のハニカム60上の金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆は、揮発性有機化合物および半揮発性有機化合物などといった、第一のハニカム58からの残りの汚染物質を、水および二酸化炭素に酸化する。揮発性有機化合物は、約200℃未満の沸点を有する化合物として分類され、半揮発性有機化合物は、200℃またはそれを超える沸点を有する化合物として分類される。
【0057】
金/二酸化チタン被覆を有する第一のハニカム58と、金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆を有する第二のハニカム60とを使用することで、一酸化炭素、揮発性有機化合物および半揮発性有機化合物両方を酸化し、破壊することができる。したがって、金/二酸化チタン被覆された第一のハニカム58と、金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆された第二のハニカム60とを含む空気浄化システム56は、金/二酸化チタンの内層44と、金属酸化物ドープ二酸化チタンの外層46とを有する層状被覆40と同じ機能を達成する。
【0058】
この構成では、第一のハニカム58と第二のハニカム60の順序は、空気浄化システム56の性能にとって重要である。他の揮発性有機化合物汚染物質に比較して、ホルムアルデヒドは、二酸化チタンの表面に相対的に強い吸着性を有し、活性部位を覆うが、そうでなければこれらの活性部位は他の揮発性有機化合物に利用可能である。したがって、第一のハニカム58によるホルムアルデヒドの除去は、他の揮発性有機化合物の酸化における第二のハニカム60の光触媒活性を大幅に改善する。
【0059】
図7は、空気浄化システム62の代替の例を示す図である。この例では、空気は最初に、金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆を有する第一のハニカム64を通って流れる。金属酸化物は、WO3、ZnO、SrTiO3、Fe23、V25、SnO2、FeTiO3、PbO、Co34、NiO、CeO2、CuO、SiO2、Al23、Mnx2、Cr23またはZrO2のうちの一つまたは複数とすることができる。第一のハニカム64上の金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆は、揮発性有機化合物および半揮発性有機化合物などといった汚染物質を、水および二酸化炭素に酸化する。空気は次いで、オゾンを酸素および水に分解するための酸化マンガン/二酸化チタン被覆を有する第二のハニカム66を通って流れる。金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆を有する第一のハニカム64と、酸化マンガン/二酸化チタン被覆を有する第二のハニカム66とを使用することで、オゾン、揮発性有機化合物および半揮発性有機化合物両方を酸化し、破壊することができる。したがって、金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆された第一のハニカム64と、酸化マンガン/二酸化チタン被覆された第二のハニカム66とを含む空気浄化システム62は、酸化マンガン/二酸化チタンの内層44と、金属酸化物ドープ二酸化チタンの外層46とを有する層状被覆40と同じ機能を達成する。
【0060】
この構成では、オゾンは強い酸化剤であり、光触媒酸化を助けるであろう。したがって、空気は、酸化マンガン/二酸化チタン被覆された第二のハニカム66を通って流れる前に金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆された第一のハニカム64を通って流れるのが望ましい。あるいは、空気浄化システム62は、二つ以上の第一のハニカム64と、二つ以上の第二のハニカム66とを含む。
【0061】
空気浄化システム56のハニカム58および60ならびに空気浄化システム62のハニカム64および66の代替の配置が可能であることは理解されるべきである。図8に示すように、空気浄化システム68は、空気浄化システム68内に互いに隣接して配置された第一のハニカム70と第二のハニカム72とを含んでもよい。すなわち、ハニカム70と72の間に配置されているランプや光源は存在しない。あるいは、図9に示すように、第一のハニカム70と第二のハニカム72とは、接着剤74により互いに取り付けまたは結合される。あるいは、第一のハニカム70と第二のハニカム72とは、アタッチメント機構により取り付けられる。図10に示すように、空気浄化システム62と共にさらなるハニカム76を使用してもよい。例えば、第一のハニカム70と第二のハニカム72とは、光源32の一方側に配置され、被覆を有するさらなるハニカム74は、この光源32の反対側に配置される。付加的なハニカム76を一つだけ図示し、説明したとはいえ、任意の数の付加的なハニカム76を使用できることは理解されるべきである。
【0062】
上述したように、第一のハニカム70は、金/二酸化チタン被覆を有することができ、第二のハニカム72は、金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆を有することができる。あるいは、第一のハニカム70は、金属酸化物ドープ二酸化チタン被覆を有することができ、第二のハニカム72は、オゾンを酸素および水に分解するための酸化マンガン/二酸化チタン被覆を有することができる。さらなるハニカム76は、所望の浄化効果を生成する任意の被覆を有することができ、当業者ならば、どのような被覆を付加的なハニカム76上に使用すべきか知っているであろう。
【0063】
ハニカム28が描出および記載されているが、被覆40を任意の構造物に付与することができることは、理解されるべきである。ハニカム28の空隙は通常、形状が六角形であり均一に分布されているが、他の空隙形状および分布を使用することもできることは理解されるべきである。汚染物質が、光源の存在下で構造物の被覆40上に吸着すると、汚染物質は、水、二酸化炭素および他の物質に酸化される。
【0064】
さらに、被覆プロセスの詳細な説明は、「室内空気品質向上用の酸化タングステン/二酸化チタン光触媒」という名称で2003年5月30日に出願された同時係属の特許出願である出願番号第10/449,752号、「室内空気品質向上用の二機能酸化マンガン/二酸化チタン光触媒/熱触媒」という名称で2003年6月19日に出願された特許出願である出願番号第10/464,942号、および、「室内空気品質向上用の二機能金/二酸化チタン光触媒/熱触媒」という名称で2003年6月19日に出願された係属中の特許出願である出願番号第10/465,025号に開示されており、これらの開示は、参照することによってその全部を組み込むものである。二機能酸化マンガン/二酸化チタン光触媒/熱触媒に関する関連情報も、係属中の特許出願である出願番号第10/464,942号に開示される。二機能金/二酸化チタン光触媒/熱触媒に関する関連情報も、係属中の特許出願である出願番号第10/465,024号に開示される。
【0065】
前記記載は、本発明の原理を例示しているにすぎない。前記教示に従い、本発明の多くの変更および変化が可能である。本発明の好ましい実施形態を開示したが、当業者であれば、一定の変更も、本発明の範囲内であることを認めるであろう。したがって、添付の請求項の範囲内で、特に記載したとは別に、本発明を実施することもできることは理解されるであろう。このため、本発明の真の範囲および内容を決定するためには、この請求項を検討すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】屋内空間およびHVACシステムを含む建物、乗り物または他の構造物などの閉ざされた環境を示す概略図。
【図2】本発明の空気浄化システムを示す概略図。
【図3】空気浄化システムのハニカムを示す概略図。
【図4】本発明の被覆を示す概略図。
【図5】本発明の被覆の代替の適用を示す概略図。
【図6】各ハニカムが異なる被覆を有する二つのハニカムを使用する空気浄化システムの代替の実施態様を示す概略図。
【図7】各ハニカムが異なる被覆を有する二つのハニカムを使用する空気浄化システムの別の代替の実施態様を示す概略図。
【図8】本発明の空気浄化システムの隣接するハニカムを示す概略図。
【図9】接着剤またはアタッチメント機構により互いに結合された本発明の空気浄化システムの隣接するハニカムを示す概略図。
【図10】本発明の空気浄化システムのハニカムの別の代替の配置を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体上に付与されている金属/二酸化チタンおよび金属化合物/二酸化チタンのうちの一方の第一の層と、この第一の層上に付与されている二酸化チタンおよび金属化合物/二酸化チタンのうちの一方の第二の層とを含む層状触媒被覆と、
を備えることを特徴とする浄化システム。
【請求項2】
前記第一の層は、二酸化チタン上の金であり、一酸化炭素を二酸化炭素および水に触媒的に酸化することを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項3】
前記第一の層は、白金/二酸化チタンであり、低極性有機化合物を二酸化炭素および水に触媒的に酸化することを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項4】
前記第一の層は、二酸化チタン上の白金を含み、この白金は、前記低極性有機化合物に対して増加した親和性を有しており、前記低極性有機化合物は、前記白金上に吸着し、前記ヒドロキシルラジカルは、前記低極性有機化合物を二酸化炭素に酸化することを特徴とする請求項3記載の浄化システム。
【請求項5】
前記第一の層は、酸化マンガン/二酸化チタンであり、オゾンを分解することを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項6】
前記第一の層は、二酸化チタン上の酸化マンガンを含み、この酸化マンガンは、前記オゾンの分解のエネルギー障壁を低下させて、前記オゾンを分子状酸素に分解することを特徴とする請求項5記載の浄化システム。
【請求項7】
前記浄化システムは、前記層状触媒被覆を活性化する光源をさらに含み、前記層状触媒被覆は、前記光源により活性化されると、前記層状触媒被覆上に吸着される空気流中の汚染物質を酸化することを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項8】
前記光源は、紫外線光源であることを特徴とする請求項7記載の浄化システム。
【請求項9】
前記光源からの光子が、前記層状触媒被覆により吸収され、酸素および水の存在下で汚染物質を酸化する反応性ヒドロキシルラジカルを形成し、この反応性ヒドロキシルラジカルが、前記汚染物質を水および二酸化炭素に酸化することを特徴とする請求項7記載の浄化システム。
【請求項10】
前記汚染物質は、ホルムアルデヒド、トルエン、プロパナール、ブテン、アセトアルデヒド、アルデヒド、ケトン、アルコール、芳香族化合物、アルケンおよびアルカンの少なくとも一つを含む、揮発性有機化合物および半揮発性有機化合物の一方であることを特徴とする請求項7記載の浄化システム。
【請求項11】
前記揮発性有機化合物は、200℃未満の沸点を有することを特徴とする請求項10記載の浄化システム。
【請求項12】
前記半揮発性有機化合物は、200℃と等しいかまたはそれを超える沸点を有することを特徴とする請求項10記載の浄化システム。
【請求項13】
前記第二の層は、二酸化チタン上に金属酸化物を含む金属化合物/二酸化チタンであり、この金属酸化物は、WO3、ZnO、SrTiO3、Fe23、V25、SnO2、FeTiO3、PbO、Co34、NiO、CeO2、CuO、SiO2、Al23、Mnx2、Cr23およびZrO2のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項14】
前記第二の層は、多孔質であることを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項15】
前記第二の層は、紫外光に対し部分的に透明であることを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項16】
前記浄化システムは、空気を浄化することを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項17】
前記第一の層は、二酸化チタン上に金属化合物を含む前記金属化合物/二酸化チタンであり、前記金属化合物は、金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項18】
前記第二の層は、二酸化チタン上に金属化合物を含む金属化合物/二酸化チタンであり、前記金属化合物は、金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項19】
前記浄化システムは、前記基体の表面をさらに含み、前記第一の層は、前記基体の前記表面の一部の上にあり、前記第二の層は、前記基体の前記表面の別の一部の上にあることを特徴とする請求項1記載の浄化システム。
【請求項20】
入口および出口を有する容器と、
前記容器内にある多孔質基体と、
流体を前記入口を通して前記容器内に引込み、前記流体を前記多孔質基体を通して流し、前記流体を前記出口を通して前記容器から放出する装置と、
前記基体上に付与されている金属/二酸化チタンおよび金属酸化物/二酸化チタンのうちの一方の第一の層と、この第一の層上に付与されている二酸化チタンおよび金属酸化物/二酸化チタンのうちの一方の第二の層とを含む層状触媒被覆と、
前記触媒被覆を活性化する紫外線光源と、
を備える流体浄化システムであって、前記紫外線光源からの光子が、前記金属/二酸化チタン触媒被覆により吸収されて、反応性ヒドロキシルラジカルを形成し、この反応性ヒドロキシルラジカルは、前記光紫外線光源により活性化されると、前記金属/二酸化チタン触媒被覆上に吸着される前記流体中の汚染物質を、水および酸素の存在下で水および二酸化炭素に酸化することを特徴とする流体浄化システム。
【請求項21】
金属/二酸化チタンおよび金属酸化物/二酸化チタンのうちの一方の第一の被覆を有する第一の基体と、
二酸化チタンおよび金属化合物/二酸化チタンのうちの一方の第二の被覆を有する第二の基体と、
を備えることを特徴とする流体浄化システム。
【請求項22】
前記第一の被覆は、金/二酸化チタンであり、前記第二の被覆は、金属酸化物ドープ二酸化チタンであることを特徴とする請求項21記載の流体浄化システム。
【請求項23】
前記金属酸化物ドープ二酸化チタンの金属酸化物は、WO3、ZnO、SrTiO3、Fe23、V25、SnO2、FeTiO3、PbO、Co34、NiO、CeO2、CuO、SiO2、Al23、Mnx2、Cr23およびZrO2のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項22記載の流体浄化システム。
【請求項24】
前記第一の基体は、前記空気浄化システムの入口の近くにあり、前記第二の基体は、前記空気浄化システムの前記入口から遠くにあることを特徴とする請求項22記載の流体浄化システム。
【請求項25】
前記第一の被覆は、酸化マンガン/二酸化チタンであり、前記第二の被覆は、金属酸化物ドープ二酸化チタンであることを特徴とする請求項21記載の流体浄化システム。
【請求項26】
前記金属酸化物ドープ二酸化チタンの金属酸化物は、WO3、ZnO、SrTiO3、Fe23、V25、SnO2、FeTiO3、PbO、Co34、NiO、CeO2、CuO、SiO2、Al23、Mnx2、Cr23およびZrO2のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項25記載の流体浄化システム。
【請求項27】
前記第二の基体は、前記空気浄化システムの入口の近くにあり、前記第一の基体は、前記空気浄化システムの前記入口から遠くにあることを特徴とする請求項25記載の流体浄化システム。
【請求項28】
前記第一の基体は、前記第二の基体に隣接していることを特徴とする請求項21記載の流体浄化システム。
【請求項29】
前記第一の基体は、前記第二の基体に固定されていることを特徴とする請求項28記載の流体浄化システム。
【請求項30】
前記第一の基体は、接着剤またはアタッチメント機構の一つにより前記第二の基体に固定されていることを特徴とする請求項29記載の流体浄化システム。
【請求項31】
前記流体浄化システムは、二酸化チタン、金属/二酸化チタンおよび金属化合物/二酸化チタンのうちの一つの第三の被覆を有する第三の基体と、光源とをさらに含み、第一の基体および前記第二の基体は、前記光源の第一の側に配置されており、前記第三の基体は、前記光源の反対の第二の側に配置されていることを特徴とする請求項28記載の流体浄化システム。
【請求項32】
前記流体浄化システムは、二酸化チタン、金属/二酸化チタンおよび金属化合物/二酸化チタンのうちの一つの第三の被覆を有する第三の基体と、光源とをさらに含み、第一の基体および前記第二の基体は、前記光源の第一の側に配置されており、前記第三の基体は、前記光源の反対の第二の側に配置されていることを特徴とする請求項31記載の流体浄化システム。
【請求項33】
前記基体上に付与される金属/二酸化チタンおよび金属酸化物/二酸化チタンのうちの一方の第一の層と、この第一の層上に付与される二酸化チタンおよび金属酸化物/二酸化チタンのうちの一方の第二の層とを含む層状触媒被覆を付与し、
前記層状触媒被覆を活性化し、
反応性ヒドロキシルラジカルを形成し、
前記層状触媒被覆上に空気流中の汚染物質を吸着させ、
前記汚染物質を前記ヒドロキシルラジカルで酸化する、
各ステップを含むことを特徴とする浄化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2007−513766(P2007−513766A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545762(P2006−545762)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/041457
【国際公開番号】WO2005/058467
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591003493)キャリア コーポレイション (161)
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
【Fターム(参考)】