説明

室温硬化性組成物及び床構造体

【課題】
本発明は、貯蔵定性に優れ、メチルイソブチルケトンのような有機溶剤を必要としないTVOCの面で問題のない接着剤による床材と床暖房ユニットとを接着する方法とそれに用いる変成シリコーン系接着剤である室温硬化性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記問題点を解決するために、主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体に、針状結晶フィラー、タルク及び分子量2000以上のヒンダードアミンとシリル化触媒を配合することにより、低TVOCで床暖フロア材に用いることができる床材と床暖房ユニットとを接着する方法及び室温硬化性組成物を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変成シリコーン系室温硬化性組成物、及び該室温硬化性組成物を用いて、床暖房フロアに用いる床材と床暖房ユニットとが接着積層された床構造体を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
最近では、床のフロア材の接着に、エポキシ樹脂や酢酸ビニル樹脂系の硬い接着剤でなく、変成シリコーン系のような硬化皮膜にゴム弾性ある柔軟な接着剤が使われている。これは、従来、問題になっていた床鳴りを防止できるからである。しかし、床暖房仕様でのフロア材の接着には、冬場のフロア材の目隙の問題から従来の硬化皮膜の硬い接着剤が用いられている。例えば、変成シリコーン−エポキシ1成分系接着剤が用いられているが、この接着剤は、貯蔵定性に問題があり、またメチルイソブチルケトンのような有機溶剤が必須の為、TVOCの面で課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、貯蔵定性に優れ、メチルイソブチルケトンのような有機溶剤を必要としないTVOCの面で問題のない変成シリコーン系室温硬化性組成物、及び該室温硬化性組成物を用いた床材と床暖房ユニットとが接着積層された床構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体100重量部、針状結晶フィラー2〜30重量部、タルク30〜200重量部、分子量2000以上のヒンダードアミン0.1〜10重量部、加水分解性シリル基含有アミン化合物0.1〜10重量部及び該アミン化合物に対して10〜50重量%の加水分解性シリル基含有エポキシ化合物、架橋可能なシリル基を含有するスズ系触媒0.5〜5重量部からなる室温硬化性組成物である。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の室温硬化性組成物を用いて床材と床暖房ユニットとが接着積層されてなる床構造体である。
【0006】
本発明で用いられる有機重合体としては、主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体であれば特に限定されるものではない。
【0007】
上記架橋可能な加水分解性シリル基とは、加水分解性基が珪素原子に結合した基であり、珪素原子に結合した加水分解性基としては、例えば、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基などが挙げられる。これら加水分解性シリル基の内、反応後に有害な副生成物を生成しないので、アルコキシシリル基が好ましく用いられる。
【0008】
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。これらの内、メトキシ基、エトキシ基等が好適に用いられる。
【0009】
上記加水分解性シリル基を重合体に導入する方法は、種々の方法が提案されており、特に限定されるものではない。例えば、末端にアリル基を有するポリオキシアルキレンをVIII族遷移金属の存在下で一般式(1)
HSi (1)
(式中、Rは1価炭化水素基及びハロゲン化1価炭化水素基から構成される群から選択される基であり、aが2の場合Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xはハロゲン、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトキシメート基よりなる群より選択される原子または基を示す。bが2の場合Xはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。a及びbは同一又は異なって0〜2の整数を表す。ただしa+b=3を満たす。)で表される水素化ケイ素化合物と反応させることによって得ることが出来る。
【0010】
上記重合体の主鎖は本質的にポリエーテルであり、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン及びポリオキシブチレン等が挙げられるが、室温硬化性組成物の伸びが良く、粘度的にも取り扱いやすい点から、ポリオキシプロピレンが好適に用いられる。
【0011】
主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体としては、分子量が4000〜30000のものが好ましく、特に分子量が10000〜30000で分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下のものが好ましい。
上記主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体は1種類でも良いし、何種類かを混ぜて使用しても良い。
【0012】
上記主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体の市販品としては、例えば、鐘淵化学工業(株)からは、商品名MSポリマーとして、MSポリマーS−203、S−303、S−903等、商品名サイリルポリマーとして、サイリルSAT−200、MA430、MAX447、SAT−350、SAT−400等が、又、旭硝子(株)からは、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410等が市販されている。
【0013】
本発明で用いられる針状結晶性フィラーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、金属チタン酸カリウム ウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。上記針状結晶性フィラーは単独で用いられても良いし、2種以上併用されても良いが、主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体100重量部に対し、2〜30重量部配合されることが好ましい。2重量部より少ないと弾性率アップの効果が少なく、30重量部を超えると組成物の粘度が高くなり、作業性に劣る。
【0014】
本発明で用いられるタルクは、BET比表面積2m/g〜12m/gのものが望ましく、主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体)100重量部に対し添加量は、30〜200重量部が好適であり、30重量部未満では効果がなく、200重量部を超えると粘度が高くなり、作業性に支障をきたす。
【0015】
本発明で用いられる分子量2000以上のヒンダードアミンは、床暖フロアの温水パイプの劣化防止に必須であり、分子量2000〜4000のものが好適である。分子量2000未満では、流出しやすく効果が少ない。また、分子量4000を超えると、効果が小さくなる。
【0016】
本発明で用いられる、架橋可能なシリル基を含有するスズ系触媒とは、分子中に架橋可能なシリル基を有し、且つシリル基の架橋反応を促進する錫系触媒であり、例えば、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)やジブチル錫オキシビスエトキシシリケート等が挙げられ、好適に用いられる。この際、架橋可能なシリル基を含有していないシリル基の架橋反応を促進する触媒が併用されていても良い。架橋可能なシリル基を含有していないシリル基の架橋反応を促進する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物、ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩や、他の酸性触媒及び塩基性触媒等が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。この中で、加水分解性シリル基を有する錫触媒が好適である。
【0017】
架橋可能なシリル基を含有するスズ系触媒の添加量は、主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体100重量部に対して、0.5〜5重量部であり、0.5未満では、触媒効果が小さく、5重量部を超えると硬化が早くなり作業性に問題をきたす。
【0018】
また、本発明においては、加水分解性シリル基含有アミン化合物及び加水分解性シリル基含有エポキシ化合物が添加される。
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物として具体的には、例えば 3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン等が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物の量は、加水分解性シリル基含有重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部である。0.1重量部未満の場合は、密着性が悪くなり、10重量部を超えた場合は硬化反応に支障をきたすようになる。
【0019】
上記加水分解性シリル基含有エポキシ化合物は、エポキシ基と加水分解性シリル基を有する化合物であり、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−グリシジル−N,N−ビス〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アミンN−グリシジル−N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アミン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
この添加量は、加水分解性シリル基含有アミン化合物に対して、重量比で10〜50%であり、10%より少ないと効果が少なく、50%より多いと貯蔵安定性が低下する。
【0020】
また、本発明においては、必要に応じて、脱水剤、充填剤、可塑剤、タレ防止剤等が添加されていても良い。
上記脱水剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチ ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシラン化合物類、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等の加水分解性エステル化合物類が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0021】
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、ガラスバルーン等が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0022】
上記可塑剤としては、例えば、燐酸トリブチル、燐酸トリクレジル等の燐酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪酸一塩基酸エステル類、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0023】
上記タレ防止剤としては、例えば、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
更に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、溶剤、香料等が添加されていても良い。
【0024】
本発明の床構造体は、上述した室温硬化性組成物を接着剤として用い、暖房フロアに用いられる床材と床暖房ユニットを積層接着して得られる。床材としては、針葉樹合板等の合板、MDF等の木質フローリング、ラワン合板でパネル化した床暖パネル等が挙げられる。
【0025】
また、床構造体の積層接着は粘着テープを併用することにより、接着剤硬化初期の接着力を補うことも可能である。
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の室温硬化性組成物は、上述の内容であるので、貯蔵安定性、接着性に優れた室温硬化性組成物であり、さらに、基本的に溶剤を含有していないので低VOCの室温硬化性組成物となっている。また、本発明の床構造体は、上記室温硬化性樹脂組成物を住宅の床暖房仕様のフロア材の接着剤として用いてなるので床材の目隙、床鳴りが少ない床構造体である。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
表1に示すように、主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体としてサイリルSAT400(鐘淵化学製)100重量部、充填剤としてコロイダル炭酸カルシウム40重量部、タルクとしてタルクSS(日本タルク工業)100重量部、針状結晶フィラーとしてティスモD(金属チタン酸カリウム、大塚化学社製)15重量部、紫外線吸収剤としてチマソーブ2020FDL(ヒンダードアミン系、チバケミカルスペシャリティ社製)2重量部、脱水財としてビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)3重量部、加水分解性シリル基含有アミン化合物として3−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシラン(信越化学工業社製)4重量部、加水分解性シリル基含有エポキシ化合物として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)1重量部、架橋可能なシリル基含有錫系触媒としてネオスタンU−700(日東化成社製)2重量部を、プラネタリーミキサーで60分間真空混練し、室温硬化性組成物を得た。
【0029】
(実施例2)
実施例1において、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部を2重量部に変更する以外は実施例1と同様にして室温硬化性組成物を得た。
【0030】
(比較例1)
実施例1において、コロイダル炭酸カルシウムを100重量部、タルクSSを0重量部、ティスモDを30重量部、3−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシランを2重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0重量部にする以外は実施例1と同様にして室温硬化性組成物を得た。
(比較例2)
比較例1において、コロイダル炭酸カルシウムを50重量部、タルクSSを200重量部、ティスモDを0重量部とした以外は比較例1と同様にして室温硬化性組成物を製造した。
(比較例3)
実施例1において、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを4重量部に変更する以外は実施例1と同様にして室温硬化性組成物を得た。
【0031】
(評価)
上記で得られた室温硬化性組成物について、以下の方法で評価を行った。結果を表1にまとめた。
(1)粘度
BS粘度計(ローターNO.6)を用い、10rpm、23℃で測定した。
(2)チクソ性
上記粘度測定において、(1rpmの粘度)/(10rpmの粘度)の比を求めた。
(3)貯蔵安定性
上記で得られた室温硬化性組成物を、湿気を遮断できる333ml紙カートリッジに充填し、50℃のオーブン中で2週間放置した後、粘度を測定した。粘度は、23℃の雰囲気下で、10回転粘度を測定し、下記の基準で評価した。結果を表1に示した。
○:初期に対して、粘度上昇が1.5倍未満
×:初期に対して、粘度上昇が1.5倍以上
(4)フロア材の目隙試験
80℃で1週間乾燥した針葉樹合板(300mm×1800mm×20mm厚)の短手方向に室温硬化性組成物を間隔300mmで幅6mmのビード状に6本塗布した後、針葉樹合板(900mm×12mm厚)を水平に並べて積層し、コーナー端部4カ所を釘で固定して床構造体を得た。この構造体を23℃55%RHの雰囲気下で2週間養生し、80℃で1週間乾燥した後、2枚のフロア材間に生じた目隙を測定した。
(4)フロア材の床鳴り試験
針葉樹合板(300mm×450mm×200mm厚)の短手方向に室温硬化性組成物間隔300mm(中心線振り分け)で幅6mmのビード状に2本塗布した後、針葉樹合板の上にフロア材(300×450mm×12mm厚)を水平に積層し、いったん圧力を加えて室温硬化性組成物を押し広げた後、フロア材の中央部に10kgの重りを乗せて圧締し、床構造体を得た。この床構造体23℃、55%RHの雰囲気下で2週間養生した後、針葉樹合板の短手方向の両端部を支持台で支持し、フロア材上の中心部に500mm/分の速度で3mm変位の曲げ応力を加えて、剥離もしくは割れによる床鳴りの発生の有無を観測し、下記の基準で判定した。
○:床なり無し
×:床なりあり
【0032】
【表1】

【0033】
表1からわかるように、実施例1、2,3は、粘度、チクソ性が適性なので作業性が良好で、貯蔵安定性も良い室温硬化性組成物であった。また、床材に応用した際には目隙が少なく床なりも少ない良好な床構造体が得られた。一方、比較例1は、粘度が高く作業性が悪かった。この組成物の作業性を溶剤を使用して改善しようとすればTVOCが高くなってしまう。比較例2は、目隙が大きく床なりがした。比較例3は、貯蔵安定性が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、住宅の床暖房仕様のフロア材と暖房ユニットとが積層接着された床構造体を構成する接着剤として用いられ、得られる床構造体は、住宅の床暖房部材の施工分野に利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖が本質的にポリエーテルであり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体100重量部、針状結晶フィラー2〜30重量部、タルク30〜200重量部、分子量2000以上のヒンダードアミン0.1〜10重量部、加水分解性シリル基含有アミン化合物0.1〜10重量部及び該アミン化合物に対して10〜50重量%の加水分解性シリル基含有エポキシ化合物、架橋可能なシリル基を含有するスズ系触媒0.5〜5重量部からなることを特徴とする室温硬化性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の室温硬化性組成物を用いて床材と床暖房ユニットとが接着積層されてなることを特徴とする床構造体。

【公開番号】特開2006−117753(P2006−117753A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305414(P2004−305414)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】