説明

容器のための排出装置

底部および周囲壁を含む容器(6)のための排出装置であって、ハブ(1)およびハブに固定される少なくとも2つのアーム部(3)を含む。この発明は、各アーム部(3)が、使用時に材料が容器の壁に向かって運ばれるのを実質的に防止することのできるように設計および配置された少なくとも1つの外側セクションと、外側セクションに接続され、かつ使用時に材料を装置に対する供給の方向で実質的に運ぶことができるように設計および配置された少なくとも1つの内側セクションとを備えた設計であることを特徴とし、少なくとも2つのアーム部(3)は供給の方向に面する実質的に凹んだ面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
使用の分野
この発明は、たとえば、サイロ等の容器のための排出装置に関する。特に、この発明は、樹皮、汚泥、野菜、粉末等のバルク材の排出のための装置に関する。そのような材料は、特に水分が多い場合に橋状に固まる部分が形成される傾向があり、容器からの排出中に問題が生じ得る。
【背景技術】
【0002】
背景
大きな容器に保管される材料のためのさまざまな種類の排出装置があり、これらの装置は、回転翼、滑りフレーム、追出し装置等であり得る。1つの種類の容器はサイロであり、ここでは、排出は材料のさらに別の作業または輸送のためにサイロの底部の何らかの種類の配置によって行なわれる。材料が下方から排出されると、材料がそれ自身によって落下するというのが考えであるが、これが当てはまらない場合がある。さまざまな材料は、停滞し、排出装置の上方およびサイロの壁に沿って橋状の部分を形成する傾向があり、排出される材料が少なくなる。
【0003】
DE36 07 786は、円形の断面を備えたサイロまたは類似の容器のための排出装置を開示している。この装置はハブに固定されたアーム部を含み、ハブおよびアーム部の回転のためにそこに駆動装置が接続される。サイロの底部にはその中心に円形の排出開口部が配置される。サイロ内の材料を中心に向かって押しやるかまたは押圧して排出開口部を通じて外に出すためにアーム部には曲げ部が形成される。
【0004】
図1は、半径方向の排出開口部を備えた容器のためのいくつかの既知の排出装置の例を示す。これらは中心軸上に回転可能に配置され、材料を押すためのいくつかのアーム部を備え、材料は、材料を空間の外に運ぶための運搬スクリューで半径方向の開口部へと落下する。これら既知の装置は、弾力のあるアーム部が配置されるタイプ1(油圧回転翼)および3(油圧回転翼)であるか、固定された真っ直ぐなアーム部が配置されるタイプ2(スライディングスター型(sliding star))である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの種類の既知の排出装置(図1)の大きな問題は、アーム部からの供給方向が容器の壁に向かってかつ前方に向けられている点である。このことは、真っ直ぐなアーム部および弾力のあるかまたは回転可能なアーム部を備えた排出装置の両方に関係し、アーム部は材料からの大きな抵抗で回転の方向で後方に曲げられる。アーム部の設計によって、材料は容器の壁に向かって固められ、容器の周辺の或る量の材料は動かないままになり、まだ動いていない材料は動かない材料へと押出され、材料のさらなる圧縮(カラーリング(collaring))が起こる。このようにして、排出開口部から排出される材料の量は所望ほど大きくなく、装置の効率は低下するか、または排出が停止する。
【0006】
真っ直ぐなアーム部では、それらの設計は、これらアーム部の外側に向けられた動き/力の方向のため、周辺に向かって固まることを防止できず、圧縮された材料を解放する/ほぐすことはできない。
【0007】
供給の方向を除いて、固定された真っ直ぐなアーム部を用いた解決策の1つの短所は、或る位置におけるアーム部が排出開口部の大きな部分を覆うことであり、これは開口部へ
の材料の供給の連続性にとって不利である。さらに、これは装置の効率に否定的に作用する。
【0008】
排出装置の上方に連続した垂直方向の固まりが生じることがあり、固まった材料の弓状の部分が徐々に形成され、排出装置は空転し、排出が停止する(図2)。
【0009】
上述の既知の排出装置は、或る方向、つまり他の材料に向かって、または容器の壁等に向かって材料を運ぶかおよび/または押しやろうとする傾向を有し、このことは、固まるという明らかな傾向をもたらし、装置は排出開口部への材料の落下に逆らって働く傾向がある。これは固まる傾向を有する材料の保管では大きな問題である。多くの容器は、材料を振り落とすための容器の外側の作用が不可能なかなりの容量を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡単な説明
この発明の目的は既知の装置が呈する欠点を解決することである。この発明は請求項1に記載の特徴によって特徴付けられ、有利な実施例は従属クレームで特徴付けられる。
【0011】
この発明による排出装置は、ハブおよびハブに固定される少なくとも2つのアーム部を含む。主な局面によると、この発明は、各アームが、使用時に材料が容器の壁に向かって運ばれるのを実質的に防止することのできるように設計および配置された少なくとも1つの外側セクション、および外側セクションに接続され、かつ使用時に装置に対して実質的に供給の方向で材料を運ぶことのできるように設計および配置された少なくとも1つの内側セクションを備えた設計であることを特徴とし、少なくとも2つのアーム部は供給の方向に面する実質的に凹んだ面を呈する。
【0012】
この発明による排出装置を使用する場合、先行技術による装置よりも材料が固まる傾向の危険性がずっと小さい。装置のアーム部が周辺の内壁まで達し、内壁に向かうすべての道筋を含む容器の水平面全体に作用するため、外側に向けられた力にさらされず、大きな排出効果が得られる。材料は、さもなければ固まりを引起し、最悪の場合には橋状の部分の形成を引起す。そうではなく、容器の内壁にある材料は供給の方向で前方に運ばれるようにされる。さらに別の利点は、常にアーム部は排出開口部を完全に覆うことがなく、材料の中断のない排出が続けられるという点である。この排出装置を使用することにより、容器の充填率にかかわりなく、均一な排出能力が可能となる。
【0013】
さらに、固まる傾向は、アーム部に配置されたフレームによって防止され、同時にフレームはアーム部を補強し、装置の部分はフレームがないときよりも細長くすることができる。補強によって、容器の底部から上方へのアーム部の持上りを防止することもできる。
【0014】
固まる傾向を確実に防止するため、アーム部は同じ方向に曲げられ、容器の底部で動かされる材料に対する供給の方向は、常に同じように、つまり、装置の供給の方向に向けられる。
【0015】
アーム部は楔形の断面を備えた設計であり、楔形は供給の方向の反対に傾斜することが好ましく、このことは装置の往復運動で有利である。アーム部が供給の方向に逆らって動かされる場合に、アーム部は材料を運ぶことなく材料の下でスライドする。このことは、アーム部の曲がった方向と組合さって、往復運動をしている材料を運ぶかまたは押しやる。
【0016】
良好な排出能力を得るため、この排出装置とともに、少なくとも1つの隙間の形状の排出開口部、たとえば、半径方向に向けられた開口部を容器の底部で使用するとさらに有利
である。さらに、この種類の排出開口部は、浮遊の程度の大きい材料に有利である。
【0017】
この発明の主な点は、アーム部の曲がった形状、およびこれがサイロおよび類似の空間からの排出に与える機能である。
【0018】
この発明のこれら局面および他の局面ならびに利点は、詳細な説明および添付の図面から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の詳細な説明では、添付の図面を参照する。
【0020】
発明の実施例の詳細な説明
図3はこの発明による排出装置を示す。それは容器の底部に適用される軸6(図示せず)に回転可能に取付けられたセンターハブ1を含み、好適な駆動を備える。容器6は円形の断面を有することが好ましいが、この発明がその目的を果たす容器6の他の設計も考えられ得る。
【0021】
装置は好適な駆動装置に接続され、装置は回転させるかまたは往復運動させることができる(図4)。いくつかのアーム部3がハブ1によって駆動され、これは材料を容器の排出開口部5に向かって運ぶ。駆動装置は1つまたは複数の油圧ピストン4からなってもよく、これは排出装置がハブのまわりで往復運動で動かされる場合に排出装置のアーム部3に作用する(図4、図5)。
【0022】
複数のアーム部3は実質的に容器6の内壁まで延在する。各アーム部は、使用時に材料が容器の内壁に向かって運ばれるのを実質的に防止することのできるように設計および配置された少なくとも1つの外側セクション(図5)、および外側セクションに接続され、かつ使用時に装置の供給の方向で材料を実質的に運ぶことのできるように設計および配置された少なくとも1つの内側セクションを備えた設計である。
【0023】
供給の方向とは、装置が材料を排出開口部5に向かって動かす方向を意味する。回転運動では、供給の方向は主に運動の方向と一致し、往復運動での供給の方向は動きの1つの方向と一致する(図面では時計方向)。
【0024】
各アーム部のセクションは真っ直ぐであってもよいし、または互いに角度を形成してもよい。各セクションはさらに別の部分に分割してもよく、別々の部分は真っ直ぐであるが、共に「曲がった」セクションを形成する。
【0025】
この発明の一実施例では、各アーム部3は連続して曲がっており、つまり、一定の半径を有し、これは製造で有利である。このため、アーム部は実質的に凹形の設計を呈する。アーム部はさらに、装置の供給の方向から見て凹形の部分が同じように向けられるようにさらに配置される。凹んだ面は装置の供給の方向に面する。
【0026】
アーム部の数は、排出される材料の種類によって異なってもよく、偶数であっても奇数であってもよい(図7)。いくつかのアーム部を用いると排出能力が向上し、1つのアーム部の場合よりも負荷の分散がより均一となる。
【0027】
アーム部3は楔形の断面を備え、楔形が供給の方向と反対に傾斜していることが好ましく、これは往復運動において、1つの方向で材料を運ぶことなく材料の下でスライドし、かつもう1つの方向で或る量の材料を前に押しやるために有利である。
【0028】
さらに詳細には、実質的に環状のフレーム2がアーム部3の外端に隣接して配置される。フレーム2はアーム部3または容器6に固定することができる(図9)。アーム部3に加え、その運動中に、このフレーム2は材料が容器6の内壁に向かって固まるのを防止する。さらに、フレーム2は排出装置を補強し、装置のせん断および曲げの損傷の危険性を低減する。補強により、容器6の底部からのアーム部の持上りも防止される。図示の実施例のフレーム2は円形であるが、たとえば、星形または多角形などの他の幾何学的な形を備えた設計も可能である(図8)。
【0029】
アーム部3は、排出装置の強度をさらに向上するために、フレーム2に向かって或る強化材7を備えた設計であってもよい。橋状の部分の形成をさらに防止するため、フレームまたはアーム部上にヴォールト遮断機(Vault breaker)を配置してもよい。
【0030】
図示の実施例に関して、容器の排出開口部5は半径方向であり、容器の内壁からその中心に向かって実質的に延びるが、後続の処理がどのように行なわれるかに応じて、さまざまな異なる態様で設計および配置されてもよく、底部にわたって非対称であってもよく、互いに角度をなしても、対であってもよい。良好な排出能力を得るために、少なくとも1つの隙間の形状の排出開口部、たとえば、半径方向に向けられた開口部が容器の底部に形成されることが好ましい。さらに、この種類の排出開口部は、浮遊の程度の大きい材料に有利である。
【0031】
容器(サイロ)6に保管される材料が空になると、ハブ1は、回転運動または往復運動でサイロの底部でアーム部3を駆動し、そのようにしてサイロ内の装置の上方にある材料に作用して、材料を「活発化」する。曲がった部アーム部3の凹んだ面は材料をそれらの前に運び、材料はそうして排出開口部へ向かって運ばれ、好適な空間に配置された運搬スクリュー等によってトラックプラットフォーム等に排出され、供給または充填される。排出装置の上方に生じた空隙によって、上方にある材料を排出装置に向かって落下させることができる。これは通常は連続したプロセスであり、材料は常にサイロから供給される。
【0032】
浮遊の程度の大きい(落下する傾向を備えた)材料では、装置は連続して作動させる必要はない。運搬スクリューに関して水平ガードが配置されることが好ましく、これは材料存在を検知する。水平ガードが材料を検知しない場合、排出装置が作動され、材料が供給される。
【0033】
アーム部の曲げ部により、材料が活発に動き、より効率的な排出が得られる。曲がったアーム部3は、材料が容器6の壁に沿って固まり、それによって、排出材料の量の低下に繋がる橋状の部分の形成または圧縮が生じるのを防止する。アーム部の曲げ部により、開口部5は常に完全に覆われることはなく、したがって、材料は排出開口部5のどこかで常に落下することができ、さらにそこから外に出ることができる。
【0034】
図面に示され説明で説明される実施例は制限的なものではなく、単なる例示的なものと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】先行技術の排出装置の平面図である。
【図2】排出装置の上方で材料が固まっているサイロの断面図である。
【図3】アーム部の上方で切断したこの発明による排出装置の平面図である。
【図4】駆動が往復運動で行なわれる排出装置のアーム部の下で切断した平面図である。
【図5】アーム部に沿った概略的な断面図である。
【図6】アーム部の往復運動の概略図である。
【図7】この発明による排出装置の代替の変形例の平面図である。
【図8】フレームの変形例の平面図である。
【図9】フレームが容器に配置される実施例の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部および周囲壁を含む容器(6)のための排出装置であって、ハブ(1)および前記ハブ(1)に固定される少なくとも2つのアーム部(3)を含み、
各アーム部は、
使用時に材料が前記容器の壁に向かって運ばれるのを実質的に防止することのできるように設計および配置された少なくとも1つの外側セクションと、
前記外側セクションに接続され、かつ使用時に前記材料を実質的に前記装置に対する供給の方向で運ぶことのできるように設計および配置された少なくとも1つの内側セクションとを備えた設計であり、
前記少なくとも2つのアーム部は前記供給の方向に面する凹んだ面を実質的に有することを特徴とする、排出装置。
【請求項2】
各アーム部(3)は連続して曲がっていることを特徴とする、請求項1に記載の排出装置。
【請求項3】
前記アーム部(3)は前記容器(6)の壁まで実質的に延在することを特徴とする、請求項1または2に記載の排出装置。
【請求項4】
前記アーム部(3)は楔形の断面を備えた設計であり、前記楔形は前記供給の方向と反対に傾斜することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の排出装置。
【請求項5】
フレーム(2)は前記アーム部(3)の外端に隣接して配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の排出装置。
【請求項6】
前記フレーム(2)は前記アーム部(3)に固定されることを特徴とする、請求項5に記載の排出装置。
【請求項7】
前記フレーム(2)は前記容器(6)に固定されることを特徴とする、請求項5に記載の排出装置。
【請求項8】
前記装置を回転運動で駆動することのできる駆動装置を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の排出装置。
【請求項9】
前記装置を往復運動で駆動することのできる駆動装置を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の排出装置。
【請求項10】
前記ハブと前記アーム部(3)の外端との間に少なくとも1つの主に隙間の形状の排出開口部(5)を備える容器(6)で使用されるように意図されることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−509698(P2006−509698A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560220(P2004−560220)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001946
【国際公開番号】WO2004/054908
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(505205764)サックスルンド・インターナショナル・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】SAXLUND INTERNATIONAL AB
【Fターム(参考)】