説明

容器をブロー成形するための方法および装置

本発明による方法と装置は、容器をブロー成形するために用いる。熱可塑性材料から成るパリソンを、加熱区間領域の搬送経路に沿って熱コンディショニングする。次に、パリソンを、ブロー成形型(4)内部でブロー圧の作用によって容器に成形する。加熱要素は加熱制御部に接続され、該加熱制御部は、前記加熱要素が時間的にほぼ一定の熱出力で作動するように制御特性を有している。延伸装置(11,12,13)は延伸制御部に接続され、該延伸制御部は、ブロー成形装置の始動直後の延伸速度の制御が作動開始から時間的に間隔をおいた1つの生産段階での延伸速度の制御とは異なって設定されるような制御特性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料から成るパリソンを、加熱区間領域の搬送経路に沿って熱コンディショニングした後に、ブロー成形型内部で延伸し、ブロー圧の作用によって容器に成形するようにした、容器のブロー成形方法に関するものである。
本発明は、さらに、パリソンの搬送経路に沿って配置される少なくとも1つの加熱区間と、ブロー成形型を備えたブローステーションとを有し、前記加熱区間が少なくとも1つの加熱要素を有し、前記ブローステーションの領域に延伸装置が配置されている、熱可塑性材料から成る容器のブロー成形装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー圧の作用によって容器を成形する場合、熱可塑性材料から成るパリソン、たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート)から成るパリソンは、ブロー成形機内部で種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー成形機は、典型的には、加熱装置とブロー装置とを有し、ブロー装置の領域で、予め温度調整されたパリソンを2軸配向によって膨張させて容器を形成させる。膨張は、膨張すべきパリソン内部に導入される圧縮空気を用いて行われる。このようなパリソン膨張時における方法技術的経過に関しては、特許文献1に説明されている。その冒頭で述べられている加圧ガスの導入には、成長中の容器ブロー内への圧縮ガス導入と、ブロー成形工程開始時でのパリソン内への圧縮ガス導入とが含まれている。
【0003】
容器成形用のブローステーションの基本構成は、特許文献2に記載されている。また、パリソンの温度調整の可能性に関しては特許文献3に記載されている。
【0004】
ブロー成形装置の内部では、パリソンとブロー成形された容器とが異なる操作装置を用いて搬送されることがある。特に、パリソンを延伸させる搬送心棒を使用するのが有利であることが実証された。しかし、パリソンを他の担持装置を用いて操作することも可能である。パリソンを操作するためにやっとこを使用すること、保持のためにパリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒を使用することも、同様に適用可能な構成である。
【0005】
受け渡しホイールを使用して容器を操作することは、たとえば、ブローホイールと搬出区間との間に受け渡しホイールを配置した特許文献4に記載されている。
【0006】
すでに述べたパリソンの操作は、一方ではいわゆる2段階方式で行われ、すなわちパリソンをまず射出成形法で製造し、次に中間保管し、その後ではじめてその温度に関し調整し、ブロー成形して容器を形成させる方式で行われる。他方、いわゆる1段階方式が適用されることもあり、すなわちパリソンを、射出成形技術で製造し十分に固化した後で適当に温度調整し、次にブロー成形する方式で行われる。
【0007】
使用するブローステーションに関しては、種々の実施態様が知られている。ブローステーションを回転搬送ホイール上に配置する場合、型担持体を本のように開くことができる構成を採用することが多い。しかし、互いに相対的に変位可能な型担持体を使用すること、或いは、他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。定置のブローステーションは容器成形用の複数のキャビティを受容するのに特に適しているが、このような定置のブローステーションの場合には、典型的には、互いに並列に配置される複数個のプレートが型担持体として使用される。
【0008】
加熱を実施する前に、典型的には、パリソンは搬送心棒上で延伸され、搬送心棒はパリソンをブロー成形機全体を通過するように搬送するか、或いは、加熱装置の領域でのみ周回させる。パリソンの口部が鉛直方向において下向きになるように配向してパリソンを直立させて加熱する場合には、通常はパリソンを搬送心棒のスリーブ状保持要素に嵌合させる。パリソンをその口部が鉛直方向において上向きになるように配向して吊るして加熱する場合には、パリソンの口部に、パリソンを締め付け固定する拡開心棒を挿入するのが通常である。
【0009】
ブロー技術を利用して容器の成形を実施する場合、容器壁に所定の材料分布を生じさせるという重要な課題がある。所定の材料分布を得るための重要なパラメータは、ブロー成形前にパリソン内で行われる熱配分の分布である。
【0010】
熱配分は、典型的には、パリソンの周方向に一様な温度レベルを発生させ、パリソンの長手方向に温度プロファイルを発生させるようにして実現する。さらに、パリソンの壁を外側から内側へ貫通する方向においても適当な温度プロファイルの設定が行われる。基本的な出発点は、温度が低いパリソン領域がブロー成形した容器の壁厚領域になること、パリソンの熱い領域は、ブロー成形を実施した時に大きく延伸され、これによって、ブロー成形した容器の薄壁領域になるということである。
【0011】
パリソンの壁内部の温度分布以外に、パリソンに作用する延伸力、パリソンの幾何学的形態によってあらかじめ与えられる材料分布も重要なパラメータである。これらのパラメータは、ブロー成形工程を実施した後にブロー成形容器の領域に実現される材料分布に影響する。
【0012】
パリソンの壁内部の熱分布は、使用する加熱要素の有効熱出力に依存しているばかりでなく、パリソンに作用する炉温度にも同様に依存している。ブロー成形機を始動すると、炉温度は通常周囲空気の温度レベルにあり、始動時間経過後に最終的な作動温度を占める。炉温度は周囲空気の温度、空気湿度、場合によっては作用する空気流のような周囲パラメータにも依存する。同様に、特定の実施態様では、炉領域に配置される構成要素を冷却水または冷却空気によって温度調整することも知られている。
【0013】
生産開始時点で作動温度に比べて低くなっている炉温度と、ブロー成形機の作動を中断している間の炉温度の低下とのために、作動温度に達するまでに生産された容器は所望の品質を有さず、それ故使用できなくなる。同様に、素材を搬送させずに炉を昇温するのも合目的でないことが明らかになった。というのは、これによって生産開始が時間的にかなり遅れ、素材をして炉を通過させなければ安定な作動温度が得られないからである。
【0014】
ブロー成形機のこのような作動態様のために発生する粗悪品の量あるいは生産開始の遅延は不具合なものであり、結果的には粗悪品或いは利用されない生産時間によるコストの上昇を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の方法を改善して、生産開始までの時間的遅延を少なくして高品質の容器を製造することである。
【0017】
さらに、本発明の課題は、冒頭で述べた種類の装置において、生産開始までの時間間隔を短くすることで高品質の容器の製造を可能にするように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題は、本発明によれば、ブロー成形方法においては、加熱区間の領域に配置されている加熱要素を、生産中に、ほぼ一定の熱出力で作動させること、生産開始直後の容器形成時の延伸速度の制御を、生産開始から時間的に間隔をおいた1つの生産段階での容器形成時の延伸速度の制御と異ならせることによって解決される。
【0019】
また、ブロー成形装置においては、加熱要素が加熱制御部に接続され、該加熱制御部は、加熱要素が時間的にほぼ一定の熱出力で作動するように制御特性を有していること、延伸装置が延伸制御部に接続され、該延伸制御部は、ブロー成形装置の始動直後の延伸速度の制御が作動開始から時間的に間隔をおいた1つの生産段階での延伸速度の制御とは異なって設定されるような制御特性を有していることによって解決される。
【0020】
生産開始に引き続いて延伸速度を変化させることにより、生産開始時点で作動温度に比べて低すぎる炉温度が補償される。従って、ブロー成形された容器の材料分布が複数のパラメータに依存していることが活用される。これらのパラメータのうちの1つのパラメータの、その基準値からのずれが既知である場合には、この基準値からのずれの補償は、他のパラメータのうちの1つのパラメータをその基準値からずらすことによって達成することができる。
【0021】
理論制御の形態の実施態様は、延伸速度を加熱時間に依存して制御することによって実現される。
【0022】
材料に起因するパリソンおよび/または容器の特性は、延伸速度をパリソンの材料パラメータに依存して制御することによって考慮される。
【0023】
測定値をベースとする制御は、延伸速度を炉温度に依存して制御することによって達成される。
【0024】
パリソンの幾何学的サイズは、延伸速度をパリソンの幾何学的形態に依存して制御することによって考慮される。
【0025】
測定値に基づく制御は、特に、炉温度を測定して検出することによって行われる。
【0026】
1実施態様によれば、延伸速度を増大させることにより、容器の領域でその底部の重量を増大させる。
【0027】
同様に、延伸速度を減少させることにより、容器の領域でその底部の重量を減少させることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面には、本発明の実施形態が図示されている。
【図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの斜視図である。
【図2】パリソンを延伸し膨張させるためのブロー成形型の縦断面図である。
【図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明する概略図である。
【図4】加熱容量を増大させた加熱区間の変形実施形態を示す図である。
【図5】重設された多数の輻射加熱器を備えた加熱要素と付設のパリソンとの横断面図である。
【図6】測定した炉温度に依存して可変な延伸速度を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
パリソン(1)を容器(2)に成形するための装置の基本構成が図1および図2に図示されている。
【0030】
容器(2)を成形するための装置は実質的にブローステーション(3)から構成されている。ブローステーション(3)はブロー成形型(4)を備え、ブロー成形型(4)にパリソン(1)を取り付け可能である。パリソン(1)はたとえばポリエチレンテレフタラートから成る射出成形品である。パリソン(1)をブロー成形型(4)に取り付け、完成した容器(2)を取り出すことができるようにするため、ブロー成形型(4)は、型半部分(5,6)と、持ち上げ装置(8)によって位置決め可能な底部部分(7)とから成っている。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域において搬送心棒(9)によって保持されていてよく、搬送心棒(9)はパリソン(1)とともに装置内部の複数の処理ステーションを通過する。しかし、パリソン(1)をたとえばやっとこまたは他の操作手段を介して直接にブロー成形型(4)に取り付けるようにしてもよい。
【0031】
圧縮空気の供給を可能にするため、搬送心棒(9)の下方に接続ピストン(10)が配置され、接続ピストン(10)はパリソン(1)に圧縮空気を供給するとともに、搬送心棒(9)に対する密封をも行う。しかし、変形実施形態では、位置固定の圧縮空気供給管を使用することも基本的には考えられる。
【0032】
本実施形態の場合、パリソン(1)の延伸は、シリンダ(12)によって位置決めされる延伸棒(11)を用いて行う。他の実施形態によれば、延伸棒(11)の機械的位置決めを、ピックアップローラによって付勢されるカムセグメントを介して実施する。カムセグメントの使用は、特に、複数のブローステーション(3)が1つの回転ブローホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0033】
図1に図示した実施形態の場合、延伸システムは、2つのシリンダ12のタンデム配置が可能であるように構成されている。一次シリンダ(13)により、本来の延伸工程を開始する前に、まず延伸棒(11)をパリソン(1)の底部(14)の領域まで走行させる。本来の延伸過程を行っている間に、走出した延伸棒を備える一次シリンダ(13)を、該一次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに、二次シリンダ(16)によって或いはカムセグメントを介して位置決めする。特に、延伸工程を実施している間にカム軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)によって有効延伸位置が設定されるように二次シリンダ(16)をカム制御することが考えられる。ガイドローラ(17)は二次シリンダ(16)によって案内軌道に対し押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0034】
担持体(19,20)の領域に配置されている型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(20)を用いて担持体(19,20)相互のロックを行う。
【0035】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のねじ付きインサート部材(22)を使用する。
【0036】
図2は、ブロー成形された容器(2)に加えて、破線で示したパリソン(2)と、概略的に示した成長中の容器ブローホール(23)をも示している。
【0037】
図3はブロー成形機の基本構成図である。ブロー成形機は加熱区間(24)と回転ブローホイール(25)とを備えている。パリソン(1)は受け渡しホイール(27,28,29)によりパリソン装入部(26)を起点として加熱区間(24)の領域へ搬送される。パリソン(1)を温度調整するため、加熱区間(24)に沿って加熱要素(30)とファン(31)とが配置されている。パリソン(1)を十分に温度調整した後、パリソンを、ブローステーション(3)が配置されているブローホイール(25)に受け渡す。ブロー成形を完了した容器(2)は他の受け渡しホイールによって搬出区間(32)へ供給される。
【0038】
容器(2)が該容器(2)の内部に充填される食料品、特に飲料水の長期使用を保証する材料特性を有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形できるようにするには、パリソン(1)の加熱および配向の際に特別な方法ステップを厳守しなければならない。
【0039】
特別なサイズ規定を厳守することによって有利な効果を得ることができる。
【0040】
熱可塑性材として種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用可能である。
【0041】
配向工程中のパリソン(1)の膨張は、圧縮空気を供給することによって行う。圧縮空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧力レベルで供給するプレブロー段階と、これに接続してガスがより高い圧力レベルで供給されるメインブロー段階とに分けられている。典型的には、プレブロー段階の間、10バールないし25バールの範囲の圧力をもった圧縮空気を使用し、メインブロー段階の間は25バールないし40バールの範囲の圧力をもった圧縮空気を供給する。
【0042】
図3から同様に認められるように、図示した実施形態の場合、加熱区間(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素は互いにチェーン状に並べられ、転向ホイール(34)に沿って案内されている。特に、チェーン状の配列によって実質的に長方形の基本輪郭を張ることが考慮されている。図示した実施形態の場合、加熱区間(24)の、受け渡しホイール(29)および送り出しホイール(35)側の拡張領域には、比較的大きなサイズの単一の転向ホイール(34)が使用され、これに隣接している転向部領域には、比較的小さなサイズの2つの転向ホイール(36)が使用されている。しかし、基本的には任意の他のガイドも考えられる。
【0043】
受け渡しホイール(29)と送り出しホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することを可能にするため、図示した配置構成が特に合目的であることが明らかになった。というのは、加熱区間(24)の対応する拡張領域には3つの転向ホイール(34,36)が位置決めされ、より厳密にいえば、加熱区間(24)の直線状延在部への移行領域にはそれぞれより小さな転向ホイール(36)が位置決めされ、受け渡しホイール(29)および送り出しホイール(35)への直接の受け渡し領域にはより大きな転向ホイール(34)が位置決めされているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転型加熱ホイールを使用することも可能である。
【0044】
容器(2)のブロー成形を完了した後、容器は取り出しホイール(37)によってブローステーション(3)の領域から取り出されて、受け渡しホイール(28)および搬出ホイール(38)を介して搬出区間(32)へ搬送される。
【0045】
図4に図示した加熱区間(24)の変形実施形態では、より多数の加熱要素(30)によって単位時間当たりより大量のパリソン(1)を温度調整することができる。この場合、ファン(31)が冷却空気を冷却空気通路(39)の領域へ導入させる。冷却空気通路(39)は付設の加熱要素(30)にそれぞれ対向し、排流穴を介して冷却空気を放出する。排流方向を設定することにより、パリソン(1)の搬送方向に対し実質的に横方向での冷却空気の流動方向が実現される。冷却空気通路(39)は加熱要素(30)に対向している表面領域に加熱流用リフレクタを有していてよく、同様に、放出された冷却空気を介して加熱要素(30)の冷却をも実現するようにしてもよい。
【0046】
図5は、互いに重設された複数個の輻射加熱器(41)を備える加熱要素(30)の概略構成図である。これらの輻射加熱器(41)を使用して、パリソン(1)の長手軸線(42)の方向に所定の温度プロファイルを生じさせることが可能である。
【0047】
加熱要素(30)に対向してリフレクタ(43)が配置されている。リフレクタ(43)は冷却空気を供給するための接続部(44)を有している。リフレクタ(43)の領域に排流穴(45)を配置して、冷却空気をパリソン(1)の表面方向に誘導するようにしてもよい。加熱要素(30)の領域には、輻射加熱器(41)の冷却を行うために冷却ガス用の排流穴(46)が配置されている。排流穴(46)は図示していない冷却空気供給部と接続されている。
【0048】
図6は、加熱時間に依存する延伸速度の設定を説明するグラフである。なお、加熱時間は秒で記載されている。実際に製造される容器(2)に対しては、延伸速度は好ましくは一定である。このグラフからわかるように、炉温度が比較的低い生産開始時点では、延伸速度も最終的な作動状態に比べて低く選定される。延伸速度が低ければ、製造される容器(2)の底部から材料を強く引き出すことになり、これにより厚い材料蓄積を回避する。材料蓄積が厚すぎると、材料温度が低くなりすぎる恐れがあるからである。
【0049】
加熱時間が増加するに従って、よって炉温度が上昇するに従って、延伸速度を下げる。延伸速度が増大するに従って、パリソン(1)の長手方向に延伸するための材料を、パリソン(1)の側壁領域からは多く引き出し、パリソン(1)の底部領域からはこれよりも少なく引き出す。しかしながら、パリソン(1)の底部領域の温度は炉の加熱時間が増えるに従って上昇するので、この底部領域での材料はより柔軟になり、その結果材料温度の上昇と延伸速度の低下との組み合わせにより、容器(2)の底部領域での所望の材料厚が達成される。
【0050】
図6は、炉の加熱時間(47)に依存して、よって炉温度の上昇に依存して、3つの温度T1,T2,T3に対し割り当てられた延伸速度(48)の値V1,V2,V3を例示したものである。
【0051】
加熱時間(47)に依存する延伸速度(48)の設定は、たとえば理論制御reine Steuerungの形態で行うことができる。しかしながら、特に、実際の炉温度を測定して検出し、この具体的に測定した炉温度に依存して延伸速度を設定することが考えられる。この場合、炉温度に対する延伸速度の依存性は、パリソン(1)および容器(2)の幾何学的形状に応じて線形状でも非線形状であってもよい。加熱時間(47)または測定した炉温度への具体的な延伸速度(48)の割り当ては、たとえば自動読み取り表を介して決定することができ、或いは、制御部によって評価される演算ルールを介して決定することができる。この場合、特に、マイクロプロセッサをベースにした制御部が考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料から成るパリソンを、加熱区間領域の搬送経路に沿って熱コンディショニングした後に、ブロー成形型内部で延伸し、ブロー圧の作用によって容器に成形するようにした、容器のブロー成形方法において、
前記加熱区間(24)の領域に配置されている加熱要素(30)を、生産中に、ほぼ一定の熱出力で作動させること、
生産開始直後の前記容器(2)形成時の延伸速度の制御を、生産開始から時間的に間隔をおいた1つの生産段階での前記容器(2)形成時の延伸速度の制御と異ならせることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記延伸速度を加熱時間に依存して制御することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記延伸速度を前記パリソン(1)の材料パラメータに依存して制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記延伸速度を炉温度に依存して制御することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記延伸速度を前記パリソンの幾何学的形態に依存して制御することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記炉温度を測定して検出することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記延伸速度を増大させることにより、前記容器(2)の領域でその底部の重量を増大させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記延伸速度を減少させることにより、前記容器(2)の領域でその底部の重量を減少させることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
パリソンの搬送経路に沿って配置される少なくとも1つの加熱区間と、ブロー成形型を備えたブローステーションとを有し、前記加熱区間が少なくとも1つの加熱要素を有し、前記ブローステーションの領域に延伸装置が配置されている、熱可塑性材料から成る容器のブロー成形装置において、
前記加熱要素(30)が加熱制御部に接続され、該加熱制御部は、前記加熱要素(30)が時間的にほぼ一定の熱出力で作動するように制御特性を有していること、
前記延伸装置が延伸制御部に接続され、該延伸制御部は、前記ブロー成形装置の始動直後の延伸速度の制御が作動開始から時間的に間隔をおいた1つの生産段階での延伸速度の制御とは異なって設定されるような制御特性を有していることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項10】
前記制御部が加熱時間に依存して前記延伸速度を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載のブロー成形装置。
【請求項11】
前記制御部が前記パリソン(1)の材料パラメータに依存して前記延伸速度を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項9または10に記載のブロー成形装置。
【請求項12】
前記制御部が炉温度に依存して前記延伸速度を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項9または10に記載のブロー成形装置。
【請求項13】
前記制御部が前記パリソンの幾何学的形態に依存して前記延伸速度を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項9または10に記載のブロー成形装置。
【請求項14】
前記制御部が炉温度を検出するためのセンサに接続されていることを特徴とする、請求項9から13までのいずれか一つに記載のブロー成形装置。
【請求項15】
前記制御特性が、前記延伸速度を増大させるように設定して、ブロー成形される前記容器(2)の底部重量を増大させるように設定するために構成されていることを特徴とする、請求項9から14までのいずれか一つに記載のブロー成形装置。
【請求項16】
前記制御特性が、前記延伸速度を減少させるように設定して、ブロー成形される前記容器(2)の底部重量を減少させるように構成されていることを特徴とする、請求項9から15までのいずれか一つに記載のブロー成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−529808(P2011−529808A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521431(P2011−521431)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000852
【国際公開番号】WO2010/015220
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (15)
【Fターム(参考)】